JP2019144271A - 光学分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ユーザの熟練度に関わらず、精度の高い位置決めを行うことができる光学分析装置を提供する。【解決手段】セル30に収容された液体試料に光を照射して液体試料を分析する光学分析装置であって、セルが設置されるセル設置部5が設けられた分析装置本体と、分析装置本体に対して開閉可能に設けられ、セル設置部を覆うカバーと、カバーの開閉動作に連動して、カバーを閉めるとセルを押圧する押圧機構22とを具備し、セル設置部が、セルを設置する位置決め面を具備し、押圧機構が、位置決め面に対してセルを押圧することを特徴とする。【選択図】図4
Description
本発明は、液体試料に光を照射して液体試料を分析する光学分析装置に関する。
上述したような分析装置として、液体試料に含まれる所定成分の分子構造が所定の波長領域の光を吸収することを利用して、液体試料に含まれる所定成分を測定する装置がある。
しかしながら、液体試料は気体試料とは異なり、セルの位置が少しでもずれると、セル表面やセル内部で発生する光の反射、散乱、屈折等が変化し、正確な測定結果が得られなくなるので、セルをシビアに位置決めする必要がある。そのため、測定精度がユーザの熟練度によって変化してしまうという問題がある。
例えば特許文献1には、ユーザがセルを所定の場所に設置して扉を閉めるだけでセルが位置決めされる装置が開示されている。しかし、この装置では扉側にセルを設置するセル設置部が設けられているので、長時間にわたり扉が開閉されると、経年劣化によってセルの位置が徐々にずれるおそれがあり、上述した分析装置の精度に耐えうるだけの精度の高い位置決めを行うことはできない。
そこで本発明は、ユーザの熟練度に関わらず、精度の高い位置決めを行うことができる光学分析装置を提供することをその主たる課題とするものである。
本発明の光学分析装置は、セルに収容された液体試料に光を照射して液体試料を分析する光学分析装置であって、前記セルが設置されるセル設置部が設けられた分析装置本体と、前記分析装置本体に対して開閉可能に設けられ、前記セル設置部を覆うカバーと、前記カバーの開閉動作に連動して、前記カバーを閉めると前記セルを押圧する押圧機構とを具備し、前記セル設置部が、前記セルを設置する位置決め面を具備し、前記押圧機構が、前記位置決め面に対して前記セルを押圧することを特徴とする。
このようなものであれば、カバーを開閉するだけで、セルが押圧機構によって位置決め面に固定されるので、ユーザの熟練度によらず位置決めを行うことができるとともに、分析装置本体にセル設置部を設けたので、カバーの開閉動作による経年劣化によってセル設置部に設置したセルがずれることを防いで、精度よくセルを位置決めすることができる。
本発明の光学分析装置の別の具体的な一形態としては、前記位置決め面が、前記セルの側周面又は端面とそれぞれ接触するとともに、隣り合う2面をさらに具備し、前記押圧機構が、前記2面に対して前記セルを押圧するものを挙げることができる。
このようなものであれば、セルの側周面又は端面とそれぞれ接触する隣り合う2面又は2点と押圧機構によって押圧される1点又は1面との合わせて3つ以上の点又は面で固定されるので、セルがずれることなく、確実に位置決めすることができる。
このようなものであれば、セルの側周面又は端面とそれぞれ接触する隣り合う2面又は2点と押圧機構によって押圧される1点又は1面との合わせて3つ以上の点又は面で固定されるので、セルがずれることなく、確実に位置決めすることができる。
本発明の光学分析装置の別の具体的な一形態としては、前記押圧機構が、前記セルと前記カバーとの間に介在する複数の部材から構成されているものを挙げることができる。
このようなものであれば、押圧機構を複数の部材から構成しているので、セルを押圧する位置の自由度が広がり、所望の位置からセルを押圧することができるので、よりセルの位置ずれが起こり難い位置からセルを押圧することができ、セルの位置ずれを確実に防止することができる。
このようなものであれば、押圧機構を複数の部材から構成しているので、セルを押圧する位置の自由度が広がり、所望の位置からセルを押圧することができるので、よりセルの位置ずれが起こり難い位置からセルを押圧することができ、セルの位置ずれを確実に防止することができる。
本発明の光学分析装置の別の具体的な一形態としては、前記セルが、前記液体試料が収容される筒状のセル本体を具備し、前記セル本体と前記押圧機構との間に設けられた緩衝部材を具備し、前記押圧機構が、前記緩衝部材を介して前記セル本体を押圧するものを挙げることができる。
このようなものであれば、押圧機構が緩衝部材を介してセル本体を押圧するので、セル本体自体を押圧機構で押圧する場合と比べて、セル本体に生じるひずみ等によって光の屈折度合いが変化することを防ぐことができ、より精度よく分析を行うことができる。
このようなものであれば、押圧機構が緩衝部材を介してセル本体を押圧するので、セル本体自体を押圧機構で押圧する場合と比べて、セル本体に生じるひずみ等によって光の屈折度合いが変化することを防ぐことができ、より精度よく分析を行うことができる。
本発明の光学分析装置の別の具体的な一形態としては、前記セルが、前記突起部の先端に設けられた蓋をさらに具備し、前記蓋が、前記セル内の気体を抜くための気体抜き穴を具備するものを挙げることができる。
分析時にはセルに照射される光源からの光によって液体試料の温度が上昇する。このとき、液体試料に沸点の低い材料が含まれていると、この材料が揮発して気体が発生し、蓋が外れるという問題があったが、本発明の光学分析装置では、蓋に気体抜き穴を設けておくことによって、発生した気体を逃がすことができ、蓋が外れて液体試料が漏れることを防ぐことができる。
分析時にはセルに照射される光源からの光によって液体試料の温度が上昇する。このとき、液体試料に沸点の低い材料が含まれていると、この材料が揮発して気体が発生し、蓋が外れるという問題があったが、本発明の光学分析装置では、蓋に気体抜き穴を設けておくことによって、発生した気体を逃がすことができ、蓋が外れて液体試料が漏れることを防ぐことができる。
このように本発明によれば、ユーザの熟練度に関わらず、精度の高い位置決めを行うことができる光学分析装置を提供することができる。
以下の本発明の光学分析装置の一実施形態について説明する。
第1実施形態における光学分析装置1は、例えば公共用水域(河川、湖沼、海域等)や住宅・会社・農業用水に含まれる油分濃度、又は、金属部品等の残留油分濃度を測定するために用いられるものであって、非分散形赤外線吸収方式(NDIR)やフーリエ変換型赤外分光方式(FTIR)を用いて測定を行うものである。
この光学分析装置1は、図1に示すように、液体試料が収容されたセル30が設置されて、液体試料の分析を行う分析装置本体2と、分析装置本体2に対して開閉可能に設けられるカバー3とを具備する。
第1実施形態において液体試料とは炭化水素を含む溶媒に溶けた油分であって、溶媒としては、例えばハイドロフロロフルオロカーボンやクロロフロロカーボン等を用いることができる。
分析装置本体2は、図1及び図2に示すように、赤外波長領域の光を射出する光射出部4と、光射出部4から射出される光の光軸上に液体試料が収容されたセル30が設置されるセル設置部5と、セル設置部5を通過した光を検出する分析機構6と、これらを収容する筐体7とを具備するものである。
筐体7は、図1に示すように、上面が水平面7aと傾斜面7bとで構成されており、傾斜面7b上に光学分析装置1を作動させるスイッチ群8が設けられるとともに、測定条件や測定結果を表示するための液晶画面9が設けられている。また、水平面7aにはセル30を一時的に保管するための凹み10が設けられている。そして、水平面7aから傾斜面7bを跨いで凹部11が設けられており、この凹部11ではセル30を設置するためのセル設置部5が露出している。
カバー3は、図1に示すように、筐体7に設けられた凹部11、ひいてはセル設置部5を覆うために設けられたものであって、例えばカバー3を貫く棒状の回転軸の両端を分析装置本体2で固定することによって、分析装置本体2に対して開閉可能となるように設けられている。また、このカバー3には外側から圧力をかけると、バネの力によってカバー3が開くプッシュ方式のものが用いられている。
光射出部4は、赤外波長領域の光を射出するものであって、図2及び図3に示すように、赤外波長領域の光を射出する光源12と、光源12を収容する第1収容体13とを具備する。
光源12は、赤外波長領域の光(例えば、0.7μm〜25μmの波長域の光)を射出する例えば白熱電灯やLED等であって、この光源12の周囲は、ボディ14に覆われている。このボディ14は、閉塞した一端から開口する他端に向かって開口径が広がる中空の略円錐形状をなし、内周面は光源12からの光を反射するリフレクターとなる。また、ボディ14の開口する一端はボディ14と隙間なく密着してボディ14内を気密に保つ窓が設けられている。
第1収容体13は、図2に示すように、その一部に概略筒形状をなす突出部を具備し、この突出部の先端部分に光源12からの光が射出される円形状の光射出窓13aがはめ込まれている。
分析機構6は、図2に示すように、セル30を透過した光を検出するものであって、セル30を透過した光を一定周期で断続(チョッピング)するチョッパ15と、チョッパ15によってチョッピングされた光のうち、特定波長域の光を透過させるフィルタ16と、フィルタ16を透過した光を検出するセンサ17と、センサ17が検出した赤外波長領域の光の光強度を用いて、液体試料に含まれる炭化水素の濃度を測定する測定部18と、上述した順にこれらが収容される第2収容体19とを具備する。フィルタ16は、例えば3μm〜4μmの赤外波長領域の光を透過させる分析用フィルタ16a及びゼロ校正用のリファレンスフィルタ16bを具備する。また、センサ17は、分析用センサ17a及びリファレンス用センサ17bを具備する。なお、分析用フィルタ16の前に、光量を抑えるフィルタを別途設けておいてもよい。
上述したセンサ17としては、例えば焦電センサが用いられる。この焦電センサとは、センサに入射する光によって生じる温度変化により、自発分極をもつ誘電体の表面電荷が変化する焦電効果を用いて赤外波長領域の光を検出するものである。
測定部18は、センサ17が検出した赤外波長領域の光の光強度を用いて、液体試料に含まれる炭化水素の濃度を測定するものであって、構造的には、CPU、内部メモリ、I/Oバッファ回路、ADコンバータ等を有した所謂コンピュータ回路である。
第2収容体19は、図2に示すように、その一部に概略筒形状をなす突出部を具備し、この突出部の先端部分にセル30を透過した光が入射する光入射窓19aがはめ込まれている。この光入射窓19aは、第1収容体13に設けられた光射出窓13aと同じ大きさ及び形状をなすものである。
セル30は、図5に示すように、第1実施形態では中空の円筒形状をなし液体試料を収容し、光が照射されるセル本体31と、セル本体31に設けられた緩衝部材とを具備する。本実施形態において、緩衝部材は、セル本体31の側周面の略中央部からセル本体31と連通して突出する筒形状の突起部31aで構成されるが、光が照射されるセル本体31以外の場所であればどの部位でも構わない。この突起部31aの中心軸は、セル本体31の中心軸に対して垂直となるように設けられており、その先端は開口している。セル本体31は、軸方向の両端面が光を透過する透明部材で構成され、それ以外の部分は光を透過しない黒色部材で構成されている。突起部31aも光を透過しない黒色部材で構成されるとともに、その一部に印が設けられている。また、円形状をなす両端面の大きさは、第1収容体13の光射出窓13a、及び第2収容体19の光入射窓19aと同じとなるように構成されている。
また、セル30にはセル本体31から液体試料が漏れないようにするための蓋32が設けられている。この蓋32には、セル本体31内の気体を逃がすための気体抜き穴が設けられており、第1実施形態では、蓋32が突起部31aの開口を覆うように配置されるとともに、内側周面には互いに対向する位置にスリット33(気体抜き穴)が設けられている。
しかして、セル設置部5は、図3、図4(a)(b)示すように、セル30が配置される設置台20と、設置台20上に設けられて、カバー3の開閉動作に連動してセル30を押圧する押圧機構22とを具備するものである。
このようなセル30を設置する設置台20は、セル30を設置する位置決め面が設けられたものであって、セル30を設置する位置決め面としては、セル本体31の側周面とそれぞれ接触して隣り合う2面である第1傾斜面21a、21bと、突起部31aの側周面とそれぞれ接触して隣り合う2面である第2傾斜面34a、34bとが設けられている。
第1傾斜面21a、21bは、設置台20の上面の略中心部分に互いに対向して形成された断面視略V字形状をなすものである。この第1傾斜面21a、21bには、第1収容体13及び第2収容体19の突出部も配置される。そして、設置台20上に配置された第1収容体13と第2収容体19との間に形成された空間23にセル30が設置される。この第2傾斜面34a、34bにセル30を設置すると、セル30の中心軸と光射出部4の光軸とが所定の位置関係(第1実施形態では一致)となるようにセル30が配置される。
第2傾斜面34a、34bは、設置台20の上面から突出するブロック体25の先端面に互いに対向して形成されたV字形状の切り込みをなすものである。
押圧機構22は、ブロック体25と対向するように配置され、セル30を押圧する押圧部材24と、押圧部材24をカバー3の開閉動作と連動させる連動部材26とを具備する。つまり、押圧機構22は、セル30とカバー3との間に介在する複数の部材(押圧部材24、連動部材26、転動部材29)を具備する。
押圧部材24は、セル30と当接して、カバー3の開閉に際して加えられる力を利用してセル30を押圧するものである。この押圧部材24は、設置台20に対して回転可能に軸支されており、その自由端の一方がセル30を押圧する押圧部35となり、他方がカバー3の開閉に際して加えられた力を受ける作用部36となるものである。具体的には、平板形状をなすとともに、その両端が互いに逆の方向を向くように折り曲げられた鉤形状をなし、一端が押圧部35、他端が作用部36となるものである。また、第1実施形態では、押圧部材24は、バネ等の弾性部材によってブロック体25側に向かって付勢されている。
連動部材26は、カバー3の開閉に際して加えられる力を押圧部材24に伝達するものである。この連動部材26は、その一端が作用部36に接触するとともに、一方向(第1実施形態では鉛直方向)に移動する例えば棒形状の押下部28と、押下部28の他端に設けられ、カバー3の回転により力を受ける例えば平面視円形状の受け部27と、カバー3と受け部27との間に生じる摩擦力を低減すべく、この間に介在する転動部材29とを具備する。この転動部材29は、回転軸に貫通した板材とこの板材の下端に設けられたローラーとで構成されている。なお、押下部28は、設置台20に固定された支持部材に設けられており、この支持部材は、押下部28を鉛直方向に移動可能に支持するものである。
上述したように構成した光学分析装置1の動作について以下に説明する。
まず、ゼロ校正を行うために何も収容されていないセル30をセル設置部5に設置する。このとき、カバー3がプッシュ式であるので、ユーザは片手で簡単にカバー3を開けることができるとともにセル30をセル設置部5へ設置することができる。
セル30をセル設置部5に設置する際に、カバー3が開けられると、転動部材29が受け部27の略中央部分に移動して鉛直下方向に受け部27を押圧するので、受け部27に接続された押下部28が鉛直下方向に移動し、押下部28がその下端に当接する押圧部材24の作用部36を押圧する。すると、押圧部材24が回転し、押圧部材24の上端がブロック体25から離間する開位置に移動する。
押圧部材24が開位置にある状態において、設置台20上に設けられた第1収容体13と第2収容体19で区切られた空間23にセル30を設置する。このとき、ユーザはブロック体25と押圧部材24の間にセル30を設置すればよく、ブロック体25及び押圧部材24が、セル30を設置位置へと導くガイドとしての役割を果たすので、容易にセル30を設置することができる。
また、セル30のセル本体31を設置する位置決め面が互いに対向する一対の第1傾斜面21a、21bで構成されているので、セル本体31が第1傾斜面21a、21bと当接する2つの点又は面で接触して仮置きされる。このとき、セル本体31の中心軸と、光射出部4の光軸とが一致するようにセル本体31が位置決めされる。
この状態でユーザがカバー3を閉めると、転動部材29が受け部27と接触しなくなる。そのため、転動部材29が受け部27を鉛直下方向へ押圧する圧力がなくなるので、押下部28が押圧部材24の作用部36を押す力もなくなり、押圧部材24は図示しないバネの付勢力によって開位置のときとは逆方向に回転し、押圧部材24がブロック体25に向かってセル30を押圧する閉位置に移動する。
押圧部材24が閉位置に移動すると、突起部31aは一対の第2傾斜面34a、34bに対して押圧部材24で押圧して固定される。突起部31aは、第2傾斜面34a、34bと接触する2点で仮置きされるので、押圧部材24で押圧されるまでの間に位置ずれが生じることがない。そのため、ユーザの熟練度の関わらず、セル本体31の中心軸と光射出部4の光軸とが一致する位置で、セル30を確実に固定することができる。また、押圧部材24がセル30を押圧する位置とブロック体25がセル30を押圧する位置とが、高さ方向にほぼ同じとなるので、セル30の周方向に働くモーメント力が釣り合い、セル30が周方向に回転することを防ぐことができる。さらに、突起部31aに印を設けることによって、セル30の向きを揃えることができるので、より一層再現性を高めて分析を行うことができる。
この状態において、光射出部4から赤外光がセル30に照射され、セル30を透過した光が分析機構6に入射してゼロ校正が行われる。
次に、本測定を行うために、ゼロ校正を行ったセル30を共洗いした後に溶媒に試料を漬けて油分を抽出した液体試料をセル30へ注入する。このときセル30に突起部31aが設けられているので、突起部31aの断面積をセル本体31の断面積よりも小さくすれば、液体試料を収容するセル本体31の体積を突起部31aを設けていないセル本体の体積に比べて小さくすることができるので、少ない溶媒量でセル本体31を満たすことができ、高価な溶媒を用いた液体試料が無駄になることがなく、コストを抑えることができる。
この後、セル30をセル設置部5に設置する動作は、上述したゼロ校正時と同じであるので、ここでは説明を省略するが、押圧機構22が突起部31aを押圧するので、セル本体31を押圧機構22で押圧する場合と比べて、セル本体31にひずみ等が生じることを防ぐことができ、より精度よくセル30を位置決めすることができる。
このとき、本測定においては光射出部4から射出される光によって液体試料の温度が上昇する。液体試料に沸点の低い溶媒が含まれている場合、溶媒が揮発して気体が発生するが、第1実施形態のセル30には蓋32にスリット33が設けられているので、このスリット33から気体を逃がすことができ、蓋32が外れることを防ぐことができる。
また、セル30に突起部31aが設けられているので、ユーザは突起部31aを持ってセル30を移動させることができ、セル30の側面に付着したユーザの指紋等によって測定精度が悪化することを防ぐことができる。
さらに突起部31aの一部に印を設けることによって、セル30の向きを揃えることもでき、再現性をより一層高めて分析を行うことができる。
また、セル30に突起部31aが設けられているので、ユーザは突起部31aを持ってセル30を移動させることができ、セル30の側面に付着したユーザの指紋等によって測定精度が悪化することを防ぐことができる。
さらに突起部31aの一部に印を設けることによって、セル30の向きを揃えることもでき、再現性をより一層高めて分析を行うことができる。
上述した第1実施形態の光学分析装置1は以下のような格別の効果を有する。
つまり、カバー3を閉めるだけで押圧機構22によってセル30の位置決めがされるので、ユーザの熟練度によらず位置決めを行うことができるとともに、分析装置本体2にセル設置部5を設けたので、カバー3を閉める間にセル設置部5に設置したセル30がずれることを防いで、精度よくセル30を位置決めすることができる。
また、光射出部4側に設けられた光射出窓13aと、光射出部4からの光が透過するセル30の側面と、セル30を透過した光が入射する分析機構6側の設けられた光入射窓19aの形状及び大きさを揃えることにより、光射出部4から射出される光を確実にセル30に収容された液体試料に当てて分析を行うことができる。
さらに押圧機構22が、セル30とカバー3との間に介在する押圧部材24と連動部材26の複数の部材で構成されるので、セル30を押圧する位置の自由度が広がり、所望の位置からセル30を押圧することができるので、よりセルの位置ずれが起こり難い位置から押圧することができる。
なお、本発明は実施形態に限られたものではない。
第1実施形態の光学分析装置ではセルは円筒形状をなすものであったが、例えば図6(a)に示すように、セル100の端面が多角体形状(図では矩形状)をなす筒状体であってもよい。この第2実施形態においては、図6(b)に示すように、セル100の側面の2面が設置台101に設けられた隣り合う2面であって傾斜する面101a、101bとそれぞれ当接して配置されるとともに、カバー102に設けられた突起で構成される押圧部材103がセル100を傾斜面101a、101bに押圧することによって、セル100を位置決めするように構成することができる。
第1実施形態の光学分析装置では、セルの側周面又は底面と接触する隣り合う2面又は2点と、該2面にセルを押圧する1点又は1面の合計3点又は3面で、セルを固定するものであったが、3点以上の点又は面であってもよい。
また、セルに突起部を設けなくてもよい。この一例である第3実施形態としては、セル201を一面が開口する筐体形状をなすセル本体とこのセル本体の開口を覆うように設けられた蓋とのみで構成するものが挙げられる。この場合、セル201を位置決めする方法としては、セル201を設置する設置台にセル201よりも大きい筐体形状の穴部200を設け、この穴部200にセル201を挿入して設置した際に、穴部200に押圧部材203が挿通された押圧機構202を設け、扉の開閉に連動させて扉が閉まった状態において、穴部200を構成する隣り合う側面200a、200bの2面にセル201の側面の2面を押圧してセル201を位置決めするように構成することができる。また、第3実施形態においては、緩衝部材を押圧部材203のセル201と当接する面に設けてもよい。
また、押圧機構が相対する2方向からセルの側周面を押圧するように構成してもよい。この一例である第4実施形態としては、図8に示すように、押圧機構302として、第1押圧部材302aと第2押圧部材302bとを設置台301に互いに逆方向に回転可能となるように固定したものを挙げることができる。この押圧機構の動作としては、図示しないカバーの開閉動作に連動する連動部材303が鉛直方向に移動することによって、図9(a)に示すように、第1押圧部材302aと第2押圧部材302bとが、互いに近接してセル300を挟持する閉位置に移動するとともに、図9(b)に示すように、第1押圧部材302aと第2押圧部材302bとが離間してセル300を取り出し可能な開位置に移動するものを挙げることができる。なお、第4実施形態において、セル300は、その側周面が設置台301上に設けられた傾斜する隣り合う2面301a、301bと接触して仮置きされるとともに、閉位置において該仮置きされた位置に固定されるものである。
第1実施形態の光学分析装置では、同一のセルを用いて本測定とゼロ校正とを行うものであったが、2つのセルを用いて本測定とゼロ校正を行うものであってもよい。または、1つのセルを上半分と下半分とに分けて、上半分又は下半分をゼロ校正用に気体を封入するように構成してもよい。
蓋に設けられた気体抜き穴は、気体を逃がす構成であれば第1実施形態に限られたものではなく、例えば孔部を設けたようなものであってもよい。
また、第1実施形態では、蓋を閉めたときにバネの付勢力によって押圧部材が閉位置に移動するものであったが、バネの付勢方向を逆にして、蓋を開けたときにバネの付勢力によって押圧部材を開位置に移動させるようにしてもよい。
上述した実施形態では、光学分析装置が、光源に赤外領域の光を用いるとともに油分濃度を測定するものであったが、光を用いて、液体試料を分析するものであれば何でもよく、例えば、光源に紫外や可視光等の様々な波長領域の光を用いてもよいし、分光計や粒度分布測定を行うものであってもよい。
光の屈折は、液体試料の温度により屈折の度合いが変わり、またその屈折の度合いは、液体試料が水よりも有機溶媒の方が大きくなる。そのため、本発明の光学分析装置は、赤外波長領域の光を用いた分析装置、又は有機溶媒が含まれる液体試料を分析する分析装置に特に好適に用いることができる。
本発明は、その趣旨に反しない範囲で様々な変形が可能である。
1・・・光学分析装置
2・・・分析装置本体
3・・・カバー
5・・・セル設置部
21・・押圧機構
30・・セル
2・・・分析装置本体
3・・・カバー
5・・・セル設置部
21・・押圧機構
30・・セル
Claims (9)
- セルに収容された油分又は有機溶媒を含む液体試料に光を照射して該液体試料を分析する光学分析装置であって、
前記セルが設置されるセル設置部が設けられた分析装置本体と、
前記分析装置本体に対して開閉可能に設けられ、前記セル設置部を覆うカバーと、
前記セルを押圧する押圧機構とを具備し、
前記セル設置部が、前記セルを位置決めする位置決め面を具備し、
前記カバーを閉めることによって、前記押圧機構が連動して前記位置決め面に対して前記セルを押圧し、セルが位置決めされるように構成されていることを特徴とする光学分析装置。 - 前記カバーを開けると、前記カバーから前記押圧機構への作用力が大きくなることで、前記押圧機構が前記セルから離間し、
前記カバーを閉めると、前記カバーから前記押圧機構への作用力が小さくなることで、前記押圧機構が前記位置決め面に対して前記セルを押圧して、セルが位置決めされるように構成されている請求項1に記載の光学分析装置。 - 前記セルが筒形状をなし、
前記位置決め面が、前記セルの側周面又は端面とそれぞれ接触するとともに、隣り合う2面をさらに具備し、
前記押圧機構が、前記2面に対して前記セルを押圧することを特徴とする請求項1又は2記載の光学分析装置。 - 前記押圧機構が、前記セルと前記カバーとの間に介在する複数の部材から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学分析装置。
- 前記押圧機構は、前記カバーに設けられた第1部材と、前記分析装置本体に設けられた第2部材とを含み、
前記カバーを閉めることによって、前記第1部材と前記第2部材とが連動して前記位置決め面に対して前記セルを押圧し、セルが位置決めされるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学分析装置。 - 前記押圧機構が、前記前記分析装置本体に設けられ、前記カバーの開閉動作に連動して前記セルを前記位置決め面に押圧する押圧部材を具備し、
前記カバーを開けると、前記押圧部材が連動して前記セルから離間し、
前記カバーを閉めると、前記押圧部材が連動して前記位置決め面に対して前記セルを押圧して、セルが位置決めされる請求項4に記載の光学分析装置。 - 前記押圧機構が、
前記押圧部材を前記セルに押圧する弾性体を更に具備し、
前記カバーを開けると、前記カバーから前記押圧機構への作用力が前記弾性体の付勢力に抗して、前記押圧部材が前記セルから離間し、
前記カバーを閉めると、前記弾性体の付勢力により、前記押圧部材が前記位置決め面に対して前記セルを押圧する、請求項6に記載の光学分析装置。 - 前記セルが、前記液体試料が収容される筒状のセル本体を具備し、
前記セル本体と前記押圧機構との間に設けられた緩衝部材を具備し、
前記押圧機構が、前記緩衝部材を介して前記セル本体を押圧することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学分析装置。 - 前記セルが、前記突起部の先端に設けられた蓋をさらに具備し、
前記蓋が、前記セル内の気体を抜くための気体抜き穴を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学分析装置。
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