JP2019138771A - 鉄道車両の状態監視装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2に記載の装置は、車輪の輪重で表わされる指標を検出する検出装置と、検出した指標が入力され、鉄道車両の異常の有無を出力する分類器を具備する判定装置とを備えている。この分類器は、機械学習によって生成されるが、機械学習の際、正常な鉄道車両についての教師データと、異常な鉄道車両についての教師データとが必要である。
特許文献2に記載の装置によれば、機械学習により分類器を生成するだけで良いため、特許文献1に記載の方法に比べれば、簡易に鉄道車両の異常の有無を判定可能である。
特許文献2には、異常な鉄道車両の教師データを汎用機構解析ソフトを用いた数値シミュレーションによって算出することも提案されているものの、実際の異常な鉄道車両についての教師データではないため、十分な判定精度は得られない。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、軌道上を走行する鉄道車両が具備する車輪の輪重で表わされる指標を検出する検出装置と、前記検出装置で所定時間内に検出した複数の前記指標と、入力された前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンス情報とに基づき、前記鉄道車両の異常の有無を判定する判定装置とを備え、前記判定装置は、前記複数の前記指標が入力され、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスの有無を出力する分類器を具備し、前記分類器の出力がメンテナンス無しの場合、前記鉄道車両は正常であると判定し、前記分類器の出力がメンテナンス有りの場合、前記入力されたメンテナンス情報に基づき、前記分類器に入力された複数の前記指標を検出した所定時間内において、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われたか否かを判定し、実際にメンテナンスが行われているときには前記鉄道車両は正常であると判定し、実際にはメンテナンスが行われていないときには前記鉄道車両に異常が生じていると判定し、前記分類器は、正常な前記鉄道車両について、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われていない所定時間内に検出した複数の前記指標が入力されたときにメンテナンス無しを出力し、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われた所定時間内に検出した複数の前記指標が入力されたときにメンテナンス有りを出力するように、機械学習を用いて生成される、ことを特徴とする鉄道車両の状態監視装置を提供する。
なお、判定装置が具備する分類器としては、人工ニューラルネットワーク(Artificial Newral Network、ANN)やサポートベクターマシンなど、機械学習を用いて生成できる限りにおいて種々の構成を採用可能である。
車体ねじれ指標=(P1+P3+P6+P8)−(P2+P4+P5+P7)・・・(1)
前側の台車の台車ねじれ指標=(P1+P4)−(P2+P3)・・・(2)
後側の台車の台車ねじれ指標=(P5+P8)−(P6+P7)・・・(3)
ただし、P1は前側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P2は前側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P3は前側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P4は前側の台車の後方左側の車輪の輪重を、P5は後側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P6は後側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P7は後側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P8は後側の台車の後方左側の車輪の輪重を示す。
なお、車体ねじれ指標、前側の台車の台車ねじれ指標及び後側の台車の台車ねじれ指標は、式(1)〜(3)から明らかなように、車輪の輪重を検出することで算出可能である。車輪の輪重は、例えば、特許文献1に記載のように、歪ゲージを用いた輪重センサやロードセル等のセンサを軌道に設置することで検出可能である。保守・点検等の手間やコストを考えると、軌道に設けられたセンサを用いて検出することが好ましい。ただし、本発明はこれに限るものではなく、鉄道車両(台車)自体がセンサを備え、該センサによって輪重(及び横圧)を測定可能ないわゆるPQモニタリング台車を用いて各指標を算出することも可能である。
また、本発明に係る鉄道車両の状態監視装置において異常の有無の判定に用いる指標が台車ねじれ指標である場合、前側の台車の台車ねじれ指標及び後側の台車の台車ねじれ指標のうち、何れか一方の台車ねじれ指標を用いても良いし、双方の台車ねじれ指標を用いても良い。すなわち、判定装置が具備する分類器に何れか一方の台車ねじれ指標が入力される構成でも良いし、分類器に双方の台車ねじれ指標が入力される構成でも良い。
すなわち、好ましくは、前記検出装置は、前記車体ねじれ指標及び前記台車ねじれ指標を検出し、前記判定装置は、前記検出装置で所定時間内に検出した複数の前記車体ねじれ指標と、入力された前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンス情報とに基づき、前記鉄道車両の異常の有無を判定し、前記鉄道車両に異常が生じていると判定した場合、前記複数の車体ねじれ指標を検出した所定時間内に前記検出装置で検出した複数の前記台車ねじれ指標のうち、その絶対値が所定のしきい値以上の台車ねじれ指標が存在するときには前記鉄道車両が備える軸ばねが破損していると判定し、存在しないときには前記鉄道車両が備える2次ばねに関する異常が発生していると判定する。
上記の好ましい構成において、軸ばねは車輪毎に設けられており、いずれかの車輪の軸ばねが破損すると、その軸ばねが設けられた車輪に掛かっていた台車の重量は、その台車におけるその車輪の前後方向及び左右方向に位置する車輪に掛かる。例えば、台車の前方右側の車輪の軸ばねが破損すると、前方右側の車輪に掛かっていた台車の重量は、前方左側の車輪及び後方右側の車輪に掛かる。このように、軸ばねが破損すると、その影響は、軸ばねが破損した車輪に対して前後方向及び左右方向に位置する車輪に及ぶことになる。
したがって、前述の式(2)に示すように、前側の台車の前方右側及び後方左側に位置する車輪のそれぞれの輪重の合計(P1+P4)と、前側の台車の前方左側及び後方右側に位置する車輪のそれぞれの輪重の合計(P2+P3)との差である台車ねじれ指標(前側の台車の台車ねじれ指標)の絶対値が所定のしきい値以上である場合、前側の台車の軸ばねが破損していると判定可能である。式(3)で表わされる後側の台車の台車ねじれ指標についても同様である。
また、上記の好ましい構成において、2次ばね(空気ばね)は、台車毎に左右一対設けられており、2次ばねに関する異常としては、2次ばねのパンクや、2次ばねの吸排気を制御する高さ調整弁の故障を例示できる。
図1に示すように、本実施形態に係る状態監視装置100は、軌道上を走行する鉄道車両3が具備する車輪31の輪重で表わされる指標を検出する検出装置1と、検出装置1で所定時間内に検出した複数の指標と、軌道又は鉄道車両3のメンテナンス情報(判定対象である軌道又は鉄道車両3でいつメンテナンスが行われたかという、メンテナンスの種別や日時等に関する情報)とが入力され、これら入力された複数の指標及びメンテナンス情報に基づき、鉄道車両3の異常の有無を判定する判定装置2とを備えている。
なお、図1に示す状態監視装置100では、検出装置1の演算部12と、判定装置2とが別体とされているが、本発明はこれに限るものではなく、演算部12及び判定装置2の双方の機能を果たすプログラムをインストールした単一のPCを用いて構成することも可能である。
車体ねじれ指標=(P1+P3+P6+P8)−(P2+P4+P5+P7)・・・(1)
前側の台車の台車ねじれ指標=(P1+P4)−(P2+P3)・・・(2)
後側の台車の台車ねじれ指標=(P5+P8)−(P6+P7)・・・(3)
車体ロール指標=(P1+P3+P5+P7)−(P2+P4+P6+P8)・・・(4)
ただし、P1は前側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P2は前側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P3は前側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P4は前側の台車の後方左側の車輪の輪重を、P5は後側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P6は後側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P7は後側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P8は後側の台車の後方左側の車輪の輪重を示す。
図2は、本実施形態に係る状態監視装置100の概略動作を示すフロー図である。
状態監視装置100は、図2に示すように、まず分類器21の機械学習を実行するか否かを判断する(図2のS1)。分類器21の機械学習を一度も実行していない場合には、当然に機械学習を実行することになる(図2のS1における「Yes」、図2のS2)。また、既に分類器21の機械学習を実行したことがある場合には、例えば、軌道又は鉄道車両3のメンテナンスが行われた直後や、予め定めた所定の時間経過後に、状態監視装置100が自動的に機械学習を実行するように構成すればよい。さらに、例えば、オペレータの手動指示により、状態監視装置100が機械学習を実行するように構成することも可能である。機械学習を実行することにより、分類器21は生成される。その他の場合(図2のS1における「No」)、状態監視装置100は、新たな機械学習を実行することなく、既存の分類器21を用いて次の動作(図2のS3)を実行する。
図3に示すように、軌道のメンテナンス又は鉄道車両3のメンテナンスの前後で、車体ねじれ指標が急変している。なお、図示は省略するが、鉄道車両3に異常が生じたときにも正常な場合に比べて車体ねじれ指標は急変する。状態監視装置100は、この車体ねじれ指標等の鉄道車両3が具備する車輪31の輪重で表わされる指標が急変する現象を利用して機械学習を実行し、分類器21を生成する。
なお、メンテナンスが実際に行われた場合、そのメンテナンスの間には車体ねじれ指標T1が検出されないため、メンテナンス実行前のi個の車体ねじれ指標T1と、メンテナンス実行後のn−i個の車体ねじれ指標T1とを合わせて計n個の車体ねじれ指標T1が用いられる。
機械学習の更に詳細な内容については、例えば、人工ニューラルネットワークに用いられる公知の機械学習の手順を適用できるため、ここではその詳細な説明については省略する。
なお、分類器21は、異常の有無の判定対象である鉄道車両3毎に生成することが好ましい。また、分類器21は、判定対象である軌道(検出装置1を取り付けた軌道)毎に生成することが好ましい。
図5は、状態監視装置100の判定動作を模式的に示す説明図である。以下、図2に加えて図5を適宜参照しつつ、具体的に説明する。
まず、機械学習によって生成された分類器21に、異常の有無の判定対象である鉄道車両3について検出装置1で検出した(演算部12で算出した)複数(機械学習を実行した場合と同じn個)の車体ねじれ指標T1(1)、T1(2)、T1(3)・・・T1(n)が入力される(図2のS3、図5)。
そして、分類器21の出力がメンテナンス無し(0)である場合(図2のS4において「Yes」の場合)、判定装置2は、鉄道車両3が正常であると判定し(図2のS5、図5)、その結果を出力する。
一方、判定装置2は、分類器21に入力された複数の車体ねじれ指標T1を検出した所定時間内において、実際には軌道又は鉄道車両3のメンテナンスが実際に行われていないとき(図2のS7において「No」の場合)には、鉄道車両3に異常が生じていると判定し(図2のS9、図5)、その結果を出力する。
具体的には、状態監視装置100が備える判定装置2は、鉄道車両3に異常が生じていると判定した場合(図2のS9、図5)、複数(n個)の車体ねじれ指標T1を検出した所定時間内に検出装置1で連続して検出した複数(n個)の台車ねじれ指標(前側の台車の台車ねじれ指標及び後側の台車の台車ねじれ指標)T2(1)、T2(2)、T2(3)・・・T2(n)のうち、その絶対値が所定のしきい値以上の台車ねじれ指標T2が存在するか否かを判定する(図2のS10、図5)。
このしきい値としては、最初に設定したのと同じ固定のしきい値を用いるのではなく、適宜のタイミングで変動するしきい値を用いることが好ましい。例えば、軌道又は鉄道車両3のメンテナンスが行われた直後(鉄道車両3に異常が生じていない可能性が非常に高い状態)に検出した複数の台車ねじれ指標T2の平均値を算出し、この平均値を超える値にしきい値を設定することが可能である。
このため、判定装置2は、複数の台車ねじれ指標T2のうち、その絶対値が所定のしきい値以上の台車ねじれ指標T2が存在するときには鉄道車両3が備える軸ばねが破損していると判定し(図2のS11、図5)、存在しないときには鉄道車両3が備える2次ばねに関する異常(2次ばねのパンクや、2次ばねの吸排気を制御する高さ調整弁の故障)が発生していると判定し(図2のS12、図5)、その結果を出力する。
また、本実施形態に係る状態監視装置100によれば、異常の有無のみならず、更に異常の種別を判定可能であるため、異常の種別に応じた適切な処置を施すことが可能である。
2・・・判定装置
3・・・鉄道車両
11・・・輪重センサ
12・・・演算部
21・・・分類器
31・・・車輪
100・・・鉄道車両の状態監視装置
Claims (3)
- 軌道上を走行する鉄道車両が具備する車輪の輪重で表わされる指標を検出する検出装置と、
前記検出装置で所定時間内に検出した複数の前記指標と、入力された前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンス情報とに基づき、前記鉄道車両の異常の有無を判定する判定装置とを備え、
前記判定装置は、
前記複数の前記指標が入力され、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスの有無を出力する分類器を具備し、
前記分類器の出力がメンテナンス無しの場合、前記鉄道車両は正常であると判定し、
前記分類器の出力がメンテナンス有りの場合、前記入力されたメンテナンス情報に基づき、前記分類器に入力された複数の前記指標を検出した所定時間内において、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われたか否かを判定し、実際にメンテナンスが行われているときには前記鉄道車両は正常であると判定し、実際にはメンテナンスが行われていないときには前記鉄道車両に異常が生じていると判定し、
前記分類器は、正常な前記鉄道車両について、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われていない所定時間内に検出した複数の前記指標が入力されたときにメンテナンス無しを出力し、前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンスが実際に行われた所定時間内に検出した複数の前記指標が入力されたときにメンテナンス有りを出力するように、機械学習を用いて生成される、
ことを特徴とする鉄道車両の状態監視装置。 - 前記指標は、以下の式(1)で表わされる車体ねじれ指標、或いは、以下の式(2)又は(3)で表わされる台車ねじれ指標である、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の状態監視装置。
車体ねじれ指標=(P1+P3+P6+P8)−(P2+P4+P5+P7)・・・(1)
前側の台車の台車ねじれ指標=(P1+P4)−(P2+P3)・・・(2)
後側の台車の台車ねじれ指標=(P5+P8)−(P6+P7)・・・(3)
ただし、P1は前側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P2は前側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P3は前側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P4は前側の台車の後方左側の車輪の輪重を、P5は後側の台車の前方右側の車輪の輪重を、P6は後側の台車の前方左側の車輪の輪重を、P7は後側の台車の後方右側の車輪の輪重を、P8は後側の台車の後方左側の車輪の輪重を示す。 - 前記検出装置は、前記車体ねじれ指標及び前記台車ねじれ指標を検出し、
前記判定装置は、前記検出装置で所定時間内に検出した複数の前記車体ねじれ指標と、入力された前記軌道又は前記鉄道車両のメンテナンス情報とに基づき、前記鉄道車両の異常の有無を判定し、前記鉄道車両に異常が生じていると判定した場合、前記複数の車体ねじれ指標を検出した所定時間内に前記検出装置で検出した複数の前記台車ねじれ指標のうち、その絶対値が所定のしきい値以上の台車ねじれ指標が存在するときには前記鉄道車両が備える軸ばねが破損していると判定し、存在しないときには前記鉄道車両が備える2次ばねに関する異常が発生していると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両の状態監視装置。
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