JP2019129799A - 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 - Google Patents
細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019129799A JP2019129799A JP2018017455A JP2018017455A JP2019129799A JP 2019129799 A JP2019129799 A JP 2019129799A JP 2018017455 A JP2018017455 A JP 2018017455A JP 2018017455 A JP2018017455 A JP 2018017455A JP 2019129799 A JP2019129799 A JP 2019129799A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plant
- lignin
- cell wall
- nucleic acid
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
Description
[1]細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法であって、
植物の木質繊維細胞内において、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなる酵素を発現させることを含む、方法。
[2]細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産するための核酸であって、
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなる酵素をコードするコーディング配列を含む、核酸。
[3]前記コーディング配列は、配列番号2の塩基配列と少なくとも80%の同一性を有する、[2]に記載の核酸。
[4]前記コーディング配列と作動可能に連結され、木質繊維細胞で前記コーディング配列の発現を誘導するプロモータ配列を更に含む、[2]又は[3]に記載の核酸。
[5]前記プロモータ配列が、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有する、[4]に記載の核酸。
[6][2]〜[5]の何れか一項に記載の核酸を含むベクター。
[7]細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法であって、
[2]〜[5]の何れか一項に記載の核酸又は[6]に記載のベクターを、植物の木質繊維細胞内に導入して発現させることを含む、方法。
[8][1]又は[7]に記載の方法により得られる、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物若しくはその子孫、又はその部分。
[9][2]〜[5]の何れか一項に記載の核酸又は[6]に記載のベクターを木質繊維細胞内に含む、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物若しくはその子孫、又はその部分。
[10]グルコースを製造する方法であって、[8]又は[9]に記載の植物若しくはその子孫、又はその部分に含まれる木質繊維細胞の細胞壁からグルコースを抽出することを含む方法。
[11]グルコースの抽出が、前記の植物若しくはその子孫、又はその部分の少なくとも一部に酵素糖化処理を施すことにより行われる、[10]に記載の方法。
[12]酵素糖化処理がセルラーゼにより行われる、[11]に記載の方法。
[13]植物の木質繊維細胞の一次細胞壁を増加させ、二次細胞壁中のリグニンを減少させるためのキットであって、[2]〜[5]の何れか一項に記載の核酸又は[6]に記載のベクターを含むキット。
(1)概要
本発明は、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法(以下適宜「本発明の植物産生方法」と略称する)に関する。
以下、詳細を説明する。
本発明の植物の産生方法の対象となる植物は、制限されるものではなく、イモ類、豆類、ナス科類などの双子葉植物一般に適用できる。特に、バイオマス資源の観点からは、ポプラ、ユーカリ、アカシアなどの双子葉木本植物が好ましい。但し、本発明の植物の産生方法は、これらの植物に限定されるものではなく、ミスカンザス、エリアンサス、ダンチク、ソルガム、ススキなどの単子葉エネルギー植物の育種一般にも適用できる。
ある態様によれば、本発明の植物の産生方法で用いられる酵素(本発明の酵素)は、ピロリ菌のHpSK1酵素(配列番号1)、又はその類似体である。類似体としては、例えばそのホモログ(オルソログ及びパラログを含む)、又はそのフラグメントが挙げられる。
本発明の植物の産生方法では、本発明の酵素を木質繊維細胞内で発現させることにより、細胞壁内のリグニンを質的・量的に改変することができる。
(1)概要
本発明は、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法(本発明の植物産生方法)に使用される核酸(以下適宜「本発明の核酸」と略称する)にも関する。
本発明の核酸におけるコーディング配列は、前述の本発明の酵素をコードするコーディング配列であれば、その塩基配列は限定されない。但し、ピロリ菌のHpSK1遺伝子(配列番号2)、又はその類似配列であることが好ましい。
本発明の核酸は、前記コーディング配列と作動可能に連結され、木質繊維細胞で前記コーディング配列の発現を誘導するプロモータ配列を更に含むことが好ましい。プロモータ配列としては、木質繊維細胞において遺伝子発現を誘導することが可能なプロモータ配列であれば、その種類は制限されない。例としては、交雑ヤマナラシC4H遺伝子のプロモータ又はその類似配列、NST3プロモータ又はその類似配列、NST結合配列(SNBE)を繰り返してコアプロモータの上流に配置した人工プロモータ、二次細胞壁セルロース合成酵素のプロモータ、リグニン合成に関与する酵素類のプロモータ、キシラン合成に関与する酵素類のプロモータ等が挙げられる。特に、交雑ヤマナラシ由来のC4H遺伝子のプロモータ配列(配列番号3)又はその類似配列が、木質繊維細胞特異的に強い発現を促す点において好ましい。
本発明の核酸は、その他の配列を有していてもよい。その他の配列としては、エンハンサ、ポリA付加シグナル、5’−UTR(非翻訳領域)、標識又は選抜マーカー遺伝子、マルチクローニング部位、複製開始点等が挙げられる。
本発明の核酸は、発現カセットとして構成されることが好ましい。「発現カセット」とは、当該核酸が有するコーディング配列(主に遺伝子又はその断片)を自律的に発現することのできる一つの発現系単位をいう。発現カセットは、前記核酸を含む領域の他に、遺伝子発現に必要な発現調節領域を有する。そのような発現調節領域としては、例えば、前述したプロモータ配列やターミネータ配列が挙げられる。また、その他の構成として、発現カセットには、特定の遺伝子等を発現させる上で必要な一つの発現系単位をゲノム上からそのまま取り出したものや、様々な生物由来の発現調節領域等を組み合わせる等して人工的に構築したものが存在する。本発明においては、いずれの発現カセットも利用することが可能である。また、上述する発現調節領域の構成については、本明細書中に記載のない限り、当該分野において公知の構成を適宜選択することが可能である。
本発明の核酸は、ベクターの形態としてもよい。斯かるベクター(以下適宜「本発明のベクター」と略称する)も本発明の対象となる。本明細書において「ベクター」とは、上記の「発現カセット」を含むものであって、上記「発現カセット」に含まれる塩基配列からなる核酸の増殖に使用される、大腸菌等へ導入されるベクターや、植物の形質転換を行うためのベクターを含む。本発明に使用されるベクターとしては、当該分野において公知のベクターを使用でき、導入する植物やベクターの使用する手法・目的に応じて適宜選択すればよい。ベクターの種類は制限されず、任意のベクターを用いることができる。例としては植物ウイルスベクター、バクテリウムベクター等が挙げられる。具体例としては、下記実施例にて使用されるpDEST_NST3p_VP16_HSP_GWB5などを使用することができる。但し、繰り返すが、ベクターはこれらのものに限定されず、当業者に周知の任意のベクターを用いることができる。
本発明の核酸(例えば発現カセット)又は本発明のベクターを植物中に導入する方法も、限定されるものではなく、任意の手法を用いることができる。例としてはアグロバクテリウム法が典型的であるが、他にもPEG−リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等、従来周知の方法が適用できる。
本発明の核酸及び本発明のベクターは、キットの形態としてもよい。斯かるキット(以下適宜「本発明のキット」と略称する)も本発明の対象となる。
本発明は、本発明の植物産生方法により得られる、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物若しくはその子孫、又はその部分(以下適宜「本発明の植物若しくはその子孫、又はその部分」、或いは単に「本発明の植物等」と略称する)にも関する。
本発明は、グルコースを製造する方法であって、本発明の植物若しくはその子孫、又はその部分に含まれる木質繊維細胞の細胞壁からグルコースを抽出することを含む方法(以下適宜「本発明のグルコース製造方法」と略称する)にも関する。
ここで、グルコースの抽出は、本発明の植物等の少なくとも一部に酵素糖化処理を施すことにより行うことが好ましい。「酵素糖化処理」は、細胞壁成分に含まれるセルロースからどれだけ容易にグルコースを抽出できるかを評価するための周知の手法である。好ましくは、セルラーゼを用いて本発明の植物若しくはその子孫、又はその部分を処理し、セルラーゼが触媒する酵素反応によって、遊離されたグルコースを取得する。
下記の実施例に示すように、本発明の植物の産生方法により得られた、本発明の酵素が木質繊維細胞内で発現されてなる植物(CEF2-VP16又はCEF4-VP16導入シロイヌナズナ植物)では、野生株よりも顕著に多いグルコースが得られた(例えば実施例3及び図5等参照)。このように、本発明の植物等は、野生株と比較した際に、セルロース及びその分解物であるグルコースが抽出し易くなっている。
本発明においては、前述の本発明の酵素が木質繊維細胞内で発現されることにより、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変されている。斯かる効果によって、植物の強度はある程度維持しながら、セルロース及びその分解物であるグルコースを抽出し易い植物の産生が可能となる。グルコースはエタノールの原料となるほか、様々な化合物の合成原材料となりうる。これにより、植物一個体あたりから抽出できるセルロースの量を増加することができる。斯かるセルロース及びその分解物であるグルコースの量を増加できれば、バイオ燃料やマテリアル生産量を増やすことができる。また、セルロースそのものも紙パルプや添加剤等など様々な用途に利用できる。これらバイオ燃料、マテリアルの生産促進により低炭素化社会の実現に向けて貢献できる。
(1−1)形質転換用ベクターPkC4Hpro:HpSK1の構築
以下のように形質転換ベクターを構築した。
5’- AAATAATGATTTTATTTTGACTGATAGTGACCTGTTCGTTGCAACAAATTGATGAGCAATGCTTTTTTATAATGCCAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTCA -3'(5’末端側付加配列、配列番号4)
5’-GACCCAGCTTTCTTGTACAAAGTGGGCATTATAAGAAAGCATTGCTTATCAATTTGTTGCAACGAACAGGTCACTATCAGTCAAAATAAAATCATTATTT -3’(3’末端側付加配列、配列番号5)
次に、上記HpSK1遺伝子のタンパク質コード領域を、pDEST_PkC4Hp_HSP_GWB4ベクターに、LRクロナーゼ(登録商標)(サーモフィッシャー社)を用いて移し変え、形質転換に使用するベクターを構築した。
上記(1−1)で得られた形質転換用ベクターPkC4Hpro:HpSK1を、土壌細菌アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101(C58C1Rifr)pMP90(Gmr)株(koncz and Schell, 1986)に対して、エレクトロポレーション法で導入した。導入後の菌を、200mlの抗生物質(カナマイシン(Km)50mg/L、ゲンタマイシン(Gm)25mg/L及びリファンピシリン(Rif)50mg/L)を含むLB培地で2日間培養した。次いで、培養液から菌体を回収し、500mlの浸潤培地(Infiltration medium)(国際公開第2007/102346号を参照)に懸濁させた。
上記(1−2)で得られたPkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナT1植物について、播種後約80日で花茎を採取し、バイブレーションミクロトームを用いて、地上高約3cmのところで50μm厚の横断切片を作製した。2%(w/v)フロログルシン塩酸水溶液で1分間染色し、10%(w/v)塩酸で封入してリグニン沈着の様子を観察した。また、1%(w/v)過マンガン酸カリウム溶液(モイレ染色液)で5分間染色し、超純水で洗浄後に、10%塩酸溶液で5分間脱色し、再度超純水で洗浄した後に、1.5M炭酸カルシウム溶液で封入して同様にリグニン沈着の様子を観察した。その結果、フロログルシン染色においてはHpSK1ラインは野生株と異なり、より鮮やかに呈色した(図1)。また、モイレ染色においてもHpSK1ラインは野生株と異なり、繊維細胞の赤色の呈色が弱くなっていた(図1)。これらのことは、HpSK1ラインにおいて、二次細胞壁中のリグニン組成が変化している可能性を示している。
上記(1−2)で得られたPkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナT1植物において、約5週間栽培した植物から最初に発生した花茎を切除したのち、切除後に複数の花茎を発生させ追加で約30日間栽培した。次いで約30日間水やりを行わずに植物体を乾燥させた後、それぞれの個体の地上部から、葉、長角果、果柄、を除いて花茎のみを採取し、その乾燥花茎をサンプリングし、1cm以下の長さになるよう刻み、メタノールに浸し一晩以上静置した後、新しいメタノールで2回リンスすることでクロロフィルを除去した。80℃で10分間煮沸した後、新しいメタノールに交換した。この操作を2度繰り返した後、50%クロロホルム、50%メタノール溶液に浸し70℃で煮沸した後、新しい50%クロロホルム、50%メタノール溶液に交換した。この操作を2度繰り返した後、アセトン溶液に浸し、70℃で煮沸した後、新しいアセトン溶液に交換した。この操作を2度繰り返した後、100%エタノール溶液で3回リンスした後、70℃で2日間乾燥させた。これをアルコール不溶性残渣とした。得られたアルコール不溶性残渣をホモジナイザー(シェイクマスターネオ;バイオメディカルサイエンス社)を用いて2000rpm、10分間の粉砕処理を行い、細胞壁粉末を得た。
(4−1)シロイヌナズナ花茎生産量の測定
前記[実施例3]で得られたPkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナT1植物の全乾燥花茎の総重量を測定した(図3(a))。その結果、PkC4Hpro:HpSK1導入系統の花茎の総乾燥重量は、コントロール系統と大きな差はなかった。したがって、[実施例3]で記載したようにPkC4Hpro:HpSK1導入系統ではリグニン量の低下およびリグニンの組成が変化している可能性があるにもかかわらず、細胞壁生産量はコントロール株と同等であることを示している。
前記[実施例3]に記載した硫酸加水分解後の上清について炭酸カルシム粉末と混合し中和液をえた後、その中和液5μLとABEE標識試薬(1650mgの4-アミノ安息香酸エチル(Ethyl-4- Aminobenzoate)と350mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sodium cyanoborohydride)を、410μL酢酸と3500 μLメタノールで溶解した溶液)と混和し、80℃で30分間反応させ、単糖をABEE標識した。標識後の溶液に200μLの超純水および、200μLのクロロホルムを加え、ボルテックスで激しく混和した後、卓上遠心機で5秒間遠心することで水層と有機溶媒層に分離し、水層のみをシリンジで分取し、0.2μL孔径のフィルターに通したのち、UPLC(ウォーターズ社製)に供した。なおUPLCの分離条件として、移動相の溶液には200mMホウ酸溶液(pH8.9)とアセトニトリルを使用した。まず移動相の初期条件は200mMホウ酸溶液(pH8.9):アセトニトリルアセトニトリル=97:3(v/v)とし、その混合比を4分後までに200mMホウ酸溶液(pH8.9):アセトニトリル=79:21(v/v)となるようにアセトニトリル濃度を上昇させるグラジエント条件で単糖を分離した。4分後から5分後の間は200mMホウ酸溶液(pH8.9):アセトニトリル=70:30の混合比で溶液を流すことでカラム内を洗浄した後、5分後から6.5分後の間で200mMホウ酸溶液(pH8.9):アセトニトリル=97:3の混合液を流すことでカラムの平衡化を行った。なお、移動相の流速は0.7mL/minで行った。またカラムは逆相カラム(ACQUITY UPLC BEH C18 Column, 130Å, 1.7 μm, 2.1 mm×100 mm, ウォーターズ社製)を用い、カラム温度は50℃で行った。また検出は蛍光検出器(ACQUITY UPLC FLR Detector、ウォーターズ社製)を使用し、誘起光305nm、励起光360nmで蛍光を検出した。サンプル溶液中のグルコース濃度はグルコース標準液から得られたピーク面積を元に算出し、精製細胞壁粉末1mgあたりのグルコース量を算出した。その結果、PkC4Hpro:HpSK1導入系統のグルコース量はコントロール系統と大きな差はなかった(図3(b))。この結果からPkC4Hpro:HpSK1導入系統においても、最大効率でグルコースを抽出できれば、その総量はコントロール系統と同等であることを示している。
前記[実施例3]に記載した方法で得られた細胞壁精製粉末2〜3mgを2mlマイクロチューブに分取した後、1mlの5mMクエン酸緩衝液(pH4.8)、0.02%アジ化ナトリウム、0.4FPUセルクラスト(Celluclast)(ノボザイムズ社)1.5L、0.8CBUノボザイム188(Novozyme 188)(ノボザイムズ社)溶液を加えて、50℃、200rpmで24時間振盪しながら、酵素糖化反応を行い得られるグルコース量を調べた。その結果PkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナ植物系統はコントロール系統に比べて酵素糖化性が約2倍高かった(図3(c))。この結果と前記(4−1)で得られた花茎乾燥重さをもとに一個体あたりからのグルコース収量を算出したところ、PkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナ植物系統は、コントロール系統に比べて、約2倍程度一個体あたりのグルコース収量が多い事がわかった(図3(d))。したがって、前記(4−1)、(4−2)、および本項(4−3)の結果より、PkC4Hpro:HpSK1導入シロイヌナズナ植物系統では、単位栽培面積当たりより多くのグルコースを得ることができ、バイオエタノール生産等に有利であると考えられた。
Claims (13)
- 細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法であって、
植物の木質繊維細胞内において、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなる酵素を発現させることを含む、方法。 - 細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産するための核酸であって、
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなる酵素をコードするコーディング配列を含む、核酸。 - 前記コーディング配列は、配列番号2の塩基配列と少なくとも80%の同一性を有する、請求項2に記載の核酸。
- 前記コーディング配列と作動可能に連結され、木質繊維細胞で前記コーディング配列の発現を誘導するプロモータ配列を更に含む、請求項2又は3に記載の核酸。
- 前記プロモータ配列が、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有する、請求項4に記載の核酸。
- 請求項2〜5の何れか一項に記載の核酸を含むベクター。
- 細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物を生産する方法であって、
請求項2〜5の何れか一項に記載の核酸又は請求項6に記載のベクターを、植物の木質繊維細胞内に導入して発現させることを含む、方法。 - 請求項1又は7に記載の方法により得られる、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物若しくはその子孫、又はその部分。
- 請求項2〜5の何れか一項に記載の核酸又は請求項6に記載のベクターを木質繊維細胞内に含む、細胞壁内のリグニンの含有量が低減され、及び/又は、リグニンの質が改変された植物若しくはその子孫、又はその部分。
- グルコースを製造する方法であって、請求項8又は9に記載の植物若しくはその子孫、又はその部分に含まれる木質繊維細胞の細胞壁からグルコースを抽出することを含む方法。
- グルコースの抽出が、前記の植物若しくはその子孫、又はその部分の少なくとも一部に酵素糖化処理を施すことにより行われる、請求項10に記載の方法。
- 酵素糖化処理がセルラーゼにより行われる、請求項11に記載の方法。
- 植物の木質繊維細胞の一次細胞壁を増加させ、二次細胞壁中のリグニンを減少させるためのキットであって、請求項2〜5の何れか一項に記載の核酸又は請求項6に記載のベクターを含むキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018017455A JP7097547B2 (ja) | 2018-02-02 | 2018-02-02 | 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018017455A JP7097547B2 (ja) | 2018-02-02 | 2018-02-02 | 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019129799A true JP2019129799A (ja) | 2019-08-08 |
JP7097547B2 JP7097547B2 (ja) | 2022-07-08 |
Family
ID=67546639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018017455A Active JP7097547B2 (ja) | 2018-02-02 | 2018-02-02 | 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7097547B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014150504A2 (en) * | 2013-03-15 | 2014-09-25 | The Regents Of The University Of California | Tissue specific reduction of lignin |
-
2018
- 2018-02-02 JP JP2018017455A patent/JP7097547B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014150504A2 (en) * | 2013-03-15 | 2014-09-25 | The Regents Of The University Of California | Tissue specific reduction of lignin |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
"NCBI Sequence Revision History [online], ACCESSION No.AE000511 , 31-JAN-2014 uploaded, [retrieved 17", NCBI DATABASE, JPN7021004947, 31 January 2014 (2014-01-31), ISSN: 0004639400 * |
GEOFFREY FUCILE ET AL., PLOS GENETICS, vol. Vol. 4, Issue 12, JPN7021004946, 2008, pages 1000292, ISSN: 0004639401 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7097547B2 (ja) | 2022-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Yoshida et al. | Engineering the Oryza sativa cell wall with rice NAC transcription factors regulating secondary wall formation | |
CN103403016B (zh) | 植物中经空间修饰的基因表达 | |
US8183432B2 (en) | Plant having reduced lignin and cellulose contents without reducing glucan content, method of producing the same and utilization thereof | |
US8901371B2 (en) | Compositions and methods for improved plant feedstock | |
Aznar et al. | Gene stacking of multiple traits for high yield of fermentable sugars in plant biomass | |
BRPI1002997A2 (pt) | sorgo sacarino transgÊnico com composiÇço de lignina alterada e processo de preparaÇço do mesmo | |
US10865421B2 (en) | Acyltransferases and methods of using | |
EP2914726B1 (en) | Improved acyltransferase polynucleotides, polypeptides, and methods of use | |
CN109750048A (zh) | 苹果果实糖转运蛋白基因MdERDL6及其应用 | |
KR101679130B1 (ko) | Bass2 단백질 또는 이를 암호화하는 유전자를 포함하는 식물 종자의 크기 및 종자 내 저장 지방의 함량 증가용 조성물 | |
Xu et al. | Genome-wide analysis of the SWEET genes in Taraxacum kok-saghyz Rodin: An insight into two latex-abundant isoforms | |
JP3538428B2 (ja) | 植物プロモーターおよび該プロモーターを用いた遺伝子発現方法 | |
CN110612022B (zh) | 产生碳水化合物的植物材料 | |
JP7097547B2 (ja) | 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 | |
JP2016214218A (ja) | 転写抑制因子を利用した植物の二次細胞壁の量的形質を改変する方法 | |
JP6103631B2 (ja) | 形質転換植物による木質の高効率生産方法 | |
JP6713665B2 (ja) | 転写制御因子の強化により取り出しやすい形でセルロースを効率よく産生する植物を生産する方法 | |
WO2011010485A1 (ja) | エイコサノイド生産方法、並びにゼニゴケ由来のエイコサノイド生合成系遺伝子及びその利用 | |
JP6501105B2 (ja) | 茎が肥大化した植物の生産方法 | |
US20170107542A1 (en) | Transgenic plants having altered expression of a xylan xylosyltransferase and methods of using same | |
JP4524391B2 (ja) | 植物の細胞壁合成に関与する遺伝子とその利用 | |
JP7028441B2 (ja) | 細胞壁が改変された植物、斯かる植物を得るための方法及び核酸、並びに斯かる植物を用いたグルコースの製造方法 | |
CN105821041B (zh) | 一种调控木材发育的相关基因及其应用 | |
Verma | Hydroxyproline-O-glycosylation in Monocot Plants and Its Application in Cell Wall Engineering | |
AU2004219816A2 (en) | Genes controlling plant cell wall formation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210202 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20210301 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20210301 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211116 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220222 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220425 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220517 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220616 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7097547 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |