<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、第1実施形態に係る吸引器の全体斜視図である。図1に示すように、吸引器10は、マウスピース11と、カートリッジ20(吸引器用カートリッジの一例に相当する)と、バッテリ部12と、を有する。カートリッジ20は、グリセリン又はプロピレングリコール等のエアロゾル形成材料を含む液体を霧化してマウスピース11に向けてエアロゾルを供給する。エアロゾル形成材料には、例えばニコチン等が含まれる場合もある。バッテリ部12は、カートリッジ20に電力を供給する。マウスピース11は、カートリッジ20で生成されたエアロゾルを使用者の口へ導く。吸引器10が所定期間使用された後、マウスピース11とカートリッジ20は、交換することができる。なお、マウスピース11は交換せず、カートリッジ20のみを交換するようにすることもできる。第1実施形態では、吸引器10はマウスピース11を備えるものとして説明するが、これに限らず、吸引器10はマウスピース11を備えなくてもよい。また、第1実施形態では、カートリッジ20とマウスピース11とが別々の部材として構成されているが、カートリッジ20とマウスピース11とを一体に形成してもよい。
次に、図1に示したカートリッジ20について詳細に説明する。図2Aは、ヒータユニットを除いた第1実施形態のカートリッジ20の透過斜視図である。図2Bは、図2Aに示すカートリッジ20の2B−2Bにおける断面図である。図2Cは、図2Aに示すカートリッジ20の2C−2Cにおける断面図である。図2Dは、カートリッジ20が備えるヒータユニットの斜視図である。図2Eは、ベース部を除いたヒータユニットの斜視図である。
図2Aから図2Cに示すように、カートリッジ20は、近位端21と遠位端22とを有する。近位端21は、図1に示したマウスピース11に近い、即ち、使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口に近い端部である。遠位端22は、バッテリ部12に近い、即ち使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口から遠い端部である。第1実施形態では、便宜上、近位端21と遠位端22とをつなぐ方向(図2Aにおいて上下方向)を第1方向といい、これと直交する方向を第2方向という。第1方向は、長手方向ということもできるし、第2方向は短手方向ということもできる。なお、図2D及び図2Eにおいては、X,Y,Z軸が付記されている。これらの図においては、Z軸方向は第1方向と一致し、X軸方向及びY軸方向は第2方向と一致する。
図2Aから図2Cに示すように、カートリッジ20は、略筒状のカートリッジ本体部24と、上壁37と、ヒータユニット50と、を有する。カートリッジ本体部24は、略筒状の側壁24aと、側壁24aの内側に位置する略筒状の内側壁24bとを有する。側壁24aと内側壁24bとの隙間には空間が画定される。この空間は、エアロゾル形成材料を含む液体を貯留するためのタンク部26として機能する。タンク部26の遠位端22側は、タンク部26の遠位端22を区画する底壁24dが設けられる。底壁24dは、後述するチャンバ27を区画する壁でもある。内側壁24bの内部空間は、第1方向に延びるエアロゾル流路28を構成する。タンク部26の近位端21側は開口しており、この開口は上壁37によって閉止される。
カートリッジ本体部24の遠位端22側には、タンク部26と連通する通路32と、エアロゾル流路28と連通するチャンバ27とが設けられる。ヒータユニット50は、カートリッジ本体部24の側壁24aの遠位端22側に取り付けられる。ヒータユニット50は、カートリッジ本体部24の遠位端22側を閉止する底壁の機能を有する。
上壁37の略中央部には、エアロゾル流路28と連通するエアロゾル排出口29が形成される。これにより、チャンバ27で生成されたエアロゾルが、エアロゾル流路28を通過して、エアロゾル排出口29からカートリッジ20の外部へ排出される。なお、図1に示すように吸引器10がマウスピース11を備えている場合は、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、マウスピース11を通じて使用者の口内に到達する。一方で、吸引器10がマウスピース11を備えていない場合には、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、直接使用者の口内に到達する。
タンク部26は、その内部にエアロゾル形成材料を含む液体を保持するように構成される。タンク部26は、その内部にコットン等の液保持部材を備えておらず、タンク部26内の液体はカートリッジ20の向きに応じて自由に移動可能である。即ち、タンク部26内に収容される液体の液面の高さは、タンク部26内の液体の量に応じて変化するといえる。
図2A及び図2Bに示すように、通路32は、タンク部26の底壁24dに形成された筒状部24cによって画定される。通路32は、タンク部26よりも狭い流路(断面)を有し、タンク部26よりも大きな毛管作用を有する。これにより、タンク部26からヒータユニット50の後述する液収容部31に流入した液体がタンク部26に逆流することが抑制される。
図2Bから図2Eに示されるヒータユニット50は、主に液体を霧化する機能を有する。ヒータユニット50は、液保持部材25と、ヒータ30とを有する。液保持部材25は、エアロゾル形成材料を含む液体をヒータに向けて輸送するように構成された任意の多孔質部材で形成され得る。液保持部材25は、ヒータ30と密に接触するために、コットン又はガラス繊維等の可撓性を有する繊維状部材で形成されることが好ましい。第1実施形態では、液保持部材25は、一例として2枚のコットンを重ねて構成される。液保持部材25は、Z方向に突出する畝状面25c(凸状面の一例に相当する)を有する。畝状面25cは、Z軸方向に直交するX軸方向に沿って延在する。また、一対の電極34は、畝状面25cの突出方向であるZ軸方向と、畝状面25cの延在方向であるX軸方向との両方に直交するY軸方向に離間して配置される。
液保持部材25の畝状面25cのY軸方向における中央部は、Y軸方向の他の部分と比べてZ軸方向において異なる位置に存在する。具体的には、液保持部材25のY軸方向における中央部は、畝状面25cの頂部を構成する。また、液保持部材25は、ディスク状又は平板状の多孔質部材を畝状に変形させることで構成される。この平板状の多孔質部材は、ヒータ30が接触する面(畝状面25c)が、一対の長辺と一対の短辺を有する。この平板状の多孔質部材を畝状に形成したとき、図2D及び図2Eに示すように、長辺は、X軸方向から見たときに略U字形状に変形される。
ヒータ30は、一対の電極34と接続されて、畝状面25cの突出方向(Z軸方向)と交差する方向に延びる要素を有し、畝状面25cの頂部と交差するように配置される。ヒータ30は、その少なくとも一部が液保持部材25の畝状面25cと接触するように構成される。具体的には、ヒータ30は、その所定長さ部分が液保持部材25の畝状面25cに沿って配置される。ヒータ30は、ヒータ30のほぼ全長に渡って液保持部材25の畝状面25cと接触することが好ましい。この場合、電極34とヒータ30との接続部分(例えば溶接部分)は、液保持部材25の畝状面25cと接触し得る。これにより、ヒータ30の全長に渡ってヒータ30を畝状面25cに接触させることができる。また、電極34とヒータ30との接続部分間のY軸方向における距離は、この接続部分間のヒータ30の長さよりも短い。即ち、ヒータ30は、電極34間に撓むように配置される。
また、図2D及び図2Eに示すように、ヒータ30は液保持部材25の畝状面25cに押し付けられるように配置されることが好ましい。液保持部材25は、ヒータ30を液保持部材25に押し付けることによって変形可能な材料(可撓性を有する材料)で構成されることが好ましい。ヒータ30は、例えば、図示の例のように1本の線状のヒータであってもよいし、メッシュ状又は板状等、任意の形状のヒータであってもよい。第1実施形態のようにヒータ30が1本の線状ヒータである場合は、例えばメッシュ状又は板状のヒータに比べて熱容量を小さくすることができ、効率よく液体を霧化することができる。
ヒータ30は、一対の電極34にそれぞれ接続される一対の端部30aを有する(図2D及び図2Eには一つの端部30aが示される)。この一対の端部30aは、X軸方向において同一の位置において、一対の電極34に接続される。なお、これに限らず、ヒータ30の一対の端部30aは、X軸方向において互いにずれて位置してもよい。この場合は、一対の端部30aがX軸方向において同一の位置で一対の電極34に接続される場合に比べて、ヒータ30の長さが長くなるので、ヒータ30と液保持部材25の畝状面25cとの接触面積を大きくすることができる。また、この一対の端部30aは、液保持部材25の畝状面25cの頂部よりも遠位端22側に位置する。即ち、ヒータ30は、液保持部材25の畝状面25cに沿うように湾曲して、畝状面25cと接触する。これにより、ヒータ30と液保持部材25の畝状面25cとの接触面積を十分に確保することができる。
また、図2Eに示すように、ヒータユニット50は、カートリッジ20の遠位端22を構成する底壁52を有する。底壁52は、チャンバ27と連通する複数の空気流入口53を有する。また、底壁52は、一対の電極34がカートリッジ20の外部まで延在するための貫通孔54を有する。カートリッジ20と図1に示したバッテリ部12とを組み立てたとき、一対の電極34の外部に延在した部分は、バッテリ部12の図示しないバッテリ端子と接続するように構成される。これにより、バッテリ部12は、一対の電極34を介してヒータ30に電力を供給することができる。
ヒータユニット50は、液保持部材25の畝状面25cと対向する、反対面25dを支持する支持部材57を有する。より具体的には、支持部材57は、畝状面25cのヒータ30が接触している位置と対向する、反対面25dの位置を支持するように構成される。これにより、ヒータ30が液保持部材25の畝状面25cに押し付けられるように配置されて液保持部材25がヒータ30から所定の力を受けても、液保持部材25の畝状の形態を維持することができる。また、第1実施形態では、液保持部材25の反対面25dは支持部材57と接触し、反対面25dと支持部材57との間には何も設けられない。つまり、ヒータ30が畝状面25cにのみ設けられている。したがって、ヒータ30が液保持部材25に保持された液体を霧化したときに、エアロゾルは、反対面25dから発生し難くなり、畝状面25cから優先的に発生する。第1実施形態においては、支持部材57は底壁52と一体に形成されるが、これに限らず、底壁52とは別体の部材として構成することもできる。支持部材57のY軸方向の長さ(幅)とX軸方向の長さは任意であり、所望の畝状面25cを形成するように設計される。
図2Dに示すように、ヒータユニット50は、底壁52に取り付けられるベース部51を有する。ベース部51は、略中央部に開口51aを有する略板状体である。ベース部51は、さらに、図2B及び図2Cに示した筒状部24cが接続される接続口51bと、底壁52の空気流入口53と連通する連通口51cとを有する。連通口51cは、チャンバ27と連通し、空気流入口53から流入した空気をチャンバ27に導くように構成される。
図2Dに示すように、液保持部材25は、ベース部51の開口51aを通過するように配置される。また、図2B及び図2Cに示すように、液保持部材25の畝状面25cの少なくとも一部は、開口51aを通じてチャンバ27に向かって突出するように配置される。図2Cに示すように、開口51aを形成する縁部51dは、液保持部材25の畝状面25cの側部を支持部材57に押さえつけるように構成される。これにより、液保持部材25の畝状の形態を維持することができる。
ヒータ30が液保持部材25と接触しない状態において、液保持部材25の畝状面25cの開口51aから突出する部分は、Y軸方向から見た断面(図2Bに示す断面)において略直線状であり、且つX軸方向から見た断面(図2Cに示す断面)において凸状に形成される。本実施形態では、Y軸方向から見た断面(図2Bに示す断面)においては、畝状面25cの底壁52からの畝の高さが略一定に構成される。これに限らず、畝状面25cの畝は、Y軸方向から見た断面(図2Bに示す断面)において底壁52に対して傾斜するように構成されていてもよい。
図2B及び図2Dに示すように、ベース部51と底壁52によって液収容部31が画定される。図示されていないが、ベース部51は、液収容部31からの液体が底壁52の空気流入口53及びベース部51の連通口51cに入り込まないように、液収容部31を区画している。液収容部31は、タンク部26の少なくとも一部よりも大きな毛管作用を有する。液収容部31は、ヒータユニット50内に形成され、通路32から流入した液体を第2方向に沿って移動させる。図2Cに示すように、液保持部材25の両端部は、液収容部31の内部に延在している。これにより、液収容部31内の液体は、液保持部材25に吸収され、液保持部材25によって保持される。
図2B及び図2Cに示すように、ヒータユニット50をカートリッジ本体部24に取り付けたとき、ヒータ30はその全長に渡ってチャンバ27内に露出される。空気流入口53及び連通口51cを通じてチャンバ27内に流入した空気は、ヒータの全長に渡って接触して、エアロゾル流路28及びエアロゾル排出口29を通じて使用者の口内に到達する。これにより、ヒータ30の全長において生成したエアロゾルを効率よくエアロゾル排出口29に輸送することができる。言い換えれば、チャンバ27内にエアロゾルが滞留することを防止し、チャンバ27壁面にエアロゾルが付着することを抑制することができる。また、第1実施形態のカートリッジ20では、畝状面25cがエアロゾル排出口29側を向いている。これにより、ヒータ30に通電したときのエアロゾルの蒸発方向と吸引時の気流の流れとが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ27壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。
次に、以上で説明した第1実施形態のカートリッジ20の作用について説明する。まず、タンク部26に収容された液体は、通路32を通じて液収容部31に到達する。液収容部31内の液体は、液保持部材25の両端部と接触して液保持部材25に吸収され、ヒータ30近傍まで輸送される。使用者がマウスピース11から空気を吸引すると、例えば、バッテリ部12の図示しない空気圧センサにより、バッテリ部12からヒータ30に電力が供給される。これにより、畝状面25cがヒータ30によって加熱され、液体が霧化してエアロゾルが生成される。使用者の吸引に伴って空気流入口53から連通口51cを通過してカートリッジ20に流入した空気は、チャンバ27内で生成されたエアロゾルを伴ってエアロゾル流路28及びエアロゾル排出口29を通過して、使用者の口内に到達する。
第1実施形態のカートリッジ20では、ヒータ30が液保持部材25の畝状面25cのみに載置される。これにより、ヒータ30に通電したとき、エアロゾル排出口29側で優先してエアロゾルが生成される。したがって、ヒータ30に通電したときのエアロゾルの蒸発方向と吸引時の気流の流れとが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ27壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる
また、液保持部材25が可撓性の繊維材料である場合は、液体を保持したときに膨張する。第1実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が畝状面25cを有する。液保持部材25が畝状面25cを有する場合、液保持部材25が平坦である場合に比べて、畝状面25cの突出方向(Z軸方向)における膨張量が小さくなることが判った。言い換えれば、液保持部材25が平坦である場合、液保持部材25が液体を保持したときのZ軸方向の膨張量によって、ヒータ30との接触が不安定になる虞がある。この場合、液体を適切に霧化できない。これに対して、液保持部材25が畝状面25cを有する第1実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が液体を保持する前と、液保持部材25が液体を保持した後での液保持部材25とヒータ30との位置関係が変化し難い。したがって、第1実施形態のカートリッジ20によれば、液保持部材25が平坦である場合に比べて、液保持部材25とヒータ30との位置関係を所望の程度に維持することができる。その結果、液保持部材25に保持された液体を適切に霧化することができる。
また、ヒータ30は、通電すると温度上昇により熱膨張する。第1実施形態のカートリッジ20では、ヒータ30が液保持部材25の畝状面25cに沿うように湾曲して、畝状面25cと接触する。ヒータ30が湾曲している場合、ヒータ30が略直線状である場合に比べて、ヒータ30が熱膨張したときに、畝状面25cの突出方向におけるヒータ30の位置が変化し難いことが判っている。第1実施形態のヒータ30は湾曲しているので、ヒータ30が熱膨張しても、畝状面25cの突出方向におけるヒータ30の位置が変化し難く、液保持部材25とヒータ30との接触を維持することができる。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態の吸引器10は、図1に示した吸引器10と同様の形態を有し、カートリッジ20の形態のみが異なる。
第2実施形態のカートリッジ20について詳細に説明する。図3Aは、第2実施形態のカートリッジ20の透過斜視図である。図3Bは、カートリッジ20が備えるヒータユニット50の側面図である。図3Cは、液保持部材25を除いたヒータユニット50の側面図である。図3Dは、ヒータユニット50を除いたカートリッジ20の底面図である。なお、図3B及び図3Cにおいては、X,Y,Z軸が付記されている。これらの図においては、Z軸方向は第1方向と一致し、X軸方向及びY軸方向は第2方向と一致する。
図3Aに示すように、カートリッジ20は、近位端21と遠位端22とを有する。近位端21は、図1に示したマウスピース11に近い側、即ち、使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口に近い側の端部である。遠位端22は、バッテリ部12に近い側、即ち使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口に遠い側の端部である。
図3Aに示すように、カートリッジ20は、上壁37と、略筒状のカートリッジ本体部24と、ヒータユニット50と、を有する。カートリッジ本体部24は、略筒状の側壁24aと、側壁24aの内側に位置する略筒状の内側壁24bとを有する。側壁24aと内側壁24bとの隙間には空間が画定される。この空間は、エアロゾル形成材料を含む液体を貯留するためのタンク部26として機能する。タンク部26の遠位端22側は、タンク部26の遠位端22を区画する底壁24dが設けられる。底壁24dは、後述するチャンバ27を区画する壁でもある。内側壁24bの内部空間は、第1方向に延びるエアロゾル流路28を構成する。カートリッジ本体部24の近位端21側には、上壁37が一体に形成される。これにより、タンク部26の近位端21側が区画される。
カートリッジ本体部24は、タンク部26と連通する通路32(図3D参照)と、エアロゾル流路28と連通するチャンバ27とを有する。ヒータユニット50は、カートリッジ本体部24の側壁24aの遠位端22側に取り付けられる。ヒータユニット50は、カートリッジ本体部24の遠位端22側を閉止する底壁の機能を有する。
上壁37の略中央部には、エアロゾル流路28と連通するエアロゾル排出口29が形成される。これにより、チャンバ27で生成されたエアロゾルが、エアロゾル流路28を通過して、エアロゾル排出口29からカートリッジ20の外部へ排出される。なお、図1に示すように吸引器10がマウスピース11を備えている場合は、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、マウスピース11を通じて使用者の口内に到達する。一方で、吸引器10がマウスピース11を備えていない場合には、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、直接使用者の口内に到達する。
タンク部26は、その内部にエアロゾル形成材料を含む液体を保持するように構成される。タンク部26は、その内部にコットン等の液保持部材を備えておらず、タンク部26内の液体はカートリッジ20の向きに応じて自由に移動可能である。即ち、タンク部26内に収容される液体の液面の高さは、タンク部26内の液体の量に応じて変化するといえる。
図3Dに示すように、通路32は、タンク部26の底壁24dに形成された開口32aによって画定される。通路32は、タンク部26よりも狭い流路(断面)を有し、タンク部26よりも大きな毛管作用を有する。通路32は、ヒータユニット50が有する液収容部31(図3C)と連通している。通路32を通過した液体は、液収容部31に流入し、後述する液保持部材25に保持される。
図3B及び図3Cに示されるヒータユニット50は、主に液体を霧化する機能を有する。ヒータユニット50は、液保持部材25と、図示しないヒータとを有する。液保持部材25は、エアロゾル形成材料を含む液体をヒータに向けて輸送するように構成された任意の多孔質部材で形成され得る。液保持部材25は、ヒータ30と密に接触するために、コットン又はガラス繊維等の可撓性を有する繊維状部材で形成されることが好ましい。液保持部材25は、Z方向に突出する凸状面25eを有する。凸状面25eは、第1実施形態の液保持部材25と同様に畝状面であってもよいし、例えば半球状面等の任意の凸状面であり得る。
液保持部材25の凸状面25eのY軸方向における中央部は、Y軸方向の他の部分と比べてZ軸方向において異なる位置に存在する。具体的には、液保持部材25のY軸方向における中央部は、凸状面25eの頂部を構成する。また、液保持部材25は、ディスク状又は平板状の多孔質部材を凸状に変形させることで構成される。この平板状の多孔質部材は、ヒータが接触する面(凸状面)が、一対の長辺と一対の短辺を有する。この平板状の多孔質部材を凸状に形成したとき、図3Bに示すように、長辺は、X軸方向から見たときに略U字形状に変形される。
図示しないヒータは、液保持部材25の凸状面25eに接触して配置される。ヒータは液保持部材25の凸状面25eに押し付けられるように配置されることが好ましい。液保持部材25は、ヒータを液保持部材25に押し付けることによって変形可能な材料(可撓性を有する材料)で構成されることが好ましい。ヒータは、第1実施形態のように1本の線状のヒータであってもよいし、メッシュ状又は板状等、任意の形状のヒータであってもよい。第1実施形態のようにヒータが1本の線状ヒータである場合は、例えばメッシュ状又は板状のヒータに比べて熱容量を小さくすることができ、効率よく液体を霧化することができる。ヒータは、図示しない電極に接続され、カートリッジ20をバッテリ部12と接続したときにバッテリ部12から電力が供給されるように構成される。ヒータは、液保持部材25の凸状面25eに沿うように湾曲して、凸状面25eと接触する。これにより、ヒータと液保持部材25の凸状面25eとの接触面積を十分に確保することができる。
また、図3B及び図3Cに示すように、ヒータユニット50は、カートリッジ20の遠位端22を構成する底壁52を有する。底壁52は、チャンバ27と連通する図示しない空気流入口を有する。また、ヒータユニット50は、液保持部材25の凸状面25eと対向する反対面25dを支持する支持部材57を有する。より具体的には、支持部材57は、凸状面のヒータが接触している位置と対向する反対面25dの位置を支持するように構成される。第2実施形態においては、支持部材57は底壁52と一体に形成されるが、これに限らず、底壁52とは別体の部材として構成することもできる。支持部材57は、液保持部材25の反対面25dと接触する支持面57aを有する。支持面57aは、そのZ軸方向の高さが、Y軸方向において変化し、且つX方向においても変化する。即ち、支持面57aは略ドーム状又は略半球状の外形を有する。これに伴い、支持面57aによって支持される液保持部材25の凸状面25eも、略ドーム状又は略半球状の外形を有し得る。第2実施形態において、ヒータが液保持部材25の凸状面25eに押し付けられるように配置した場合、液保持部材25はヒータから所定の力を受ける。支持部材57が液保持部材25を支持することにより、ヒータから所定の力を受けても、液保持部材25の形状を維持することができる。また、第2実施形態では、液保持部材25の反対面25dは支持部材57と接触し、反対面25dと支持部材57との間には何も設けられない。つまり、ヒータ30が凸状面25eにのみ設けられている。したがって、ヒータが液保持部材25に保持された液体を霧化したときに、エアロゾルは、反対面25dから発生し難くなり、凸状面25eから優先的に発生する。
図3B及び図3Cに示すように、ヒータユニット50は、その側部に一対の凸部58を有する。凸部58は、支持面57aよりも近位端21側まで延在する。これにより、一対の凸部58の間に配置された液保持部材25がY軸方向に移動することが制限される。また、図3Dに示すように、カートリッジ本体部24の側壁24aは、ヒータユニット50の凸部58を受け入れるように構成される一対の切欠部24eを有する。ヒータユニット50の凸部58を側壁24aの切欠部24eに挿入することで、ヒータユニット50と側壁24aとの位置合わせをすることができる。また、カートリッジ20の側壁24aにヒータユニット50を取り付けると、ヒータユニット50の凸部58が側壁24aの切欠部24eと係合し、ヒータユニット50の周方向の移動が抑制される。
第2実施形態のカートリッジ20では、凸状面25eがエアロゾル排出口29側を向いている。これにより、ヒータに通電したときのエアロゾルの蒸発方向と吸引時の気流の流れとが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ27壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。
次に、以上で説明した第2実施形態のカートリッジ20の作用について説明する。まず、タンク部26に収容された液体は、通路32を通じて液収容部31に到達する。液収容部31に到達した液体は、液保持部材25に吸収され、毛管作用によってヒータが接触する凸状面25eまで輸送される。使用者がマウスピース11から空気を吸引すると、例えば、バッテリ部12の図示しない空気圧センサにより、バッテリ部12からヒータに電力が供給される。これにより、凸状面25eがヒータ30によって加熱され、液体が霧化してエアロゾルが生成される。使用者の吸引に伴ってカートリッジ20に流入した空気は、チャンバ27内で生成されたエアロゾルを伴ってエアロゾル排出口29を通過して、使用者の口内に到達する。
第2実施形態のカートリッジ20では、ヒータが液保持部材25の凸状面25eのみに載置される。これにより、ヒータに通電したとき、エアロゾル排出口29側で優先してエアロゾルが生成される。したがって、ヒータに通電したときのエアロゾルの蒸発方向と吸引時の気流の流れとが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ27壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる
また、液保持部材25が可撓性の繊維材料である場合は、液体を保持したときに膨張する。第2実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が凸状面25eを有する。液保持部材25が凸状面25eを有する場合、液保持部材25が平坦である場合に比べて、凸状面25eの突出方向(Z軸方向)における膨張量が小さくなることが判った。言い換えれば、液保持部材25が平坦である場合、液保持部材25が液体を保持したときのZ軸方向の膨張量によって、ヒータとの接触が不安定になる虞がある。この場合、液体を適切に霧化できない。これに対して、液保持部材25が凸状面25eを有する第2実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が液体を保持する前と、液保持部材25が液体を保持した後での液保持部材25とヒータとの位置関係が変化し難い。したがって、第2実施形態のカートリッジによれば、液保持部材25が平坦である場合に比べて、液保持部材25とヒータとの位置関係を所望の程度に維持することができる。その結果、液保持部材25に保持された液体を適切に霧化することができる。
また、ヒータは、通電すると温度上昇により熱膨張する。第2実施形態のカートリッジ20では、ヒータが液保持部材25の凸状面25eに沿うように湾曲して、凸状面25eと接触する。ヒータが湾曲している場合、ヒータが略直線状である場合に比べて、ヒータが熱膨張したときに、凸状面25eの突出方向におけるヒータの位置が変化し難いことが判っている。第2実施形態のヒータを湾曲させた場合、ヒータが熱膨張しても、凸状面25eの突出方向におけるヒータの位置が変化し難く、液保持部材25とヒータとの接触を維持することができる。
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。第3実施形態の吸引器10は、図1に示した吸引器10と同様の形態を有し、カートリッジ20の形態のみが異なる。
第3実施形態のカートリッジ20について詳細に説明する。図4は、第3実施形態のカートリッジ20の概略側断面図である。
図4に示すように、カートリッジ20は、近位端21と遠位端22とを有する。近位端21は、図1に示したマウスピース11に近い側、即ち、使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口に近い側の端部である。遠位端22は、バッテリ部12に近い側、即ち使用者が吸引器10を使用したときに使用者の口に遠い側の端部である。
図4に示すように、カートリッジ20は、第1壁41及び第2壁42と、略筒状の側壁43と、ヒータユニット50と、を有する。第1壁41は、カートリッジ20の遠位端22側の端壁である。第2壁42は、カートリッジ20の近位端21側の端壁である。カートリッジ20の内部には、エアロゾル形成材料を含む液体を貯留するためのタンク部26が配置される。図示の例では、タンク部26の近位端21側は、カートリッジ20の第2壁42によって画定される。さらに、タンク部26は、第1方向(長手方向)に延びる側壁部26aとカートリッジ20の側壁43によって側壁部分が画定され、第2方向(短手方向)に延びるタンク壁26bによって近位端21側が画定される。
タンク部26の側方には、第1方向に延びるエアロゾル流路28が設けられる。図示の例では、エアロゾル流路28は、カートリッジ20の第2方向における中心部からずれて配置された略円筒状の流路である。カートリッジ20は、第1壁41とタンク部26との間に、遠位端22側に凸状に形成されたチャンバ壁27aを有する。チャンバ壁27aによって、第1壁41とタンク部26との間に、エアロゾル流路28と連通するチャンバ27が画定される。
第2壁42の側方部には、エアロゾル流路28と連通するエアロゾル排出口29が形成される。これにより、チャンバ27で生成されたエアロゾルが、エアロゾル流路28を通過して、エアロゾル排出口29からカートリッジ20の外部へ排出される。なお、図1に示すように吸引器10がマウスピース11を備えている場合は、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、マウスピース11を通じて使用者の口内に到達する。一方で、吸引器10がマウスピース11を備えていない場合には、エアロゾル排出口29から排出されたエアロゾルは、直接使用者の口内に到達する。
タンク部26は、その内部にエアロゾル形成材料を含む液体を保持するように構成される。タンク部26は、その内部にコットン等の液保持部材を備えておらず、タンク部26内の液体はカートリッジ20の向きに応じて自由に移動可能である。即ち、タンク部26内に収容される液体の液面の高さは、タンク部26内の液体の量に応じて変化するといえる。
ヒータユニット50は、主に液体を霧化する機能を有する。具体的には、ヒータユニット50は、液保持部材25と、ヒータ30とを有する。液保持部材25は、エアロゾル形成材料を含む液体をヒータ30に向けて輸送するように構成された任意の多孔質部材で形成され得る。液保持部材25は、ヒータ30と密に接触するために、コットン又はガラス繊維等の可撓性を有する繊維状部材で形成されることが好ましい。液保持部材25は、第1方向において遠位端22側に突出する凸状面25eを有する。凸状面25eは、第1実施形態の液保持部材25と同様に畝状面であってもよいし、例えば半球状面等の任意の凸状面であり得る。
液保持部材25の凸状面25eの第2方向における中央部は、第2方向の他の部分と比べて第1方向において異なる位置に存在する。具体的には、液保持部材25の第2方向における中央部は、凸状面25eの頂部を構成する。また、液保持部材25は、ディスク状又は平板状の多孔質部材を凸状に変形させることで構成される。この平板状の多孔質部材は、ヒータ30が接触する面(凸状面)が、一対の長辺と一対の短辺を有する。この平板状の多孔質部材を凸状に形成したとき、図4に示す方向から見たときに略U字形状に変形される。
図示のように、液保持部材25の端部は、タンク部26のタンク壁26bに形成された開口を通じてタンク部26内に延在してもよい。これにより、タンク部26内の液体を液保持部材25の端部から吸収することができる。しかしながら、これに限らず、液保持部材25の端部は、タンク部26の外部に位置していてもよい。
ヒータ30は、液保持部材25の凸状面25eに接触して配置される。ヒータ30は液保持部材25の凸状面25eに押し付けられるように配置されることが好ましい。液保持部材25は、ヒータ30を液保持部材25に押し付けることによって変形可能な材料(可撓性を有する材料)で構成されることが好ましい。ヒータ30は、第1実施形態のように1本の線状のヒータ30であってもよいし、メッシュ状又は板状等、任意の形状のヒータであってもよい。第1実施形態のようにヒータ30が1本の線状のヒータ30である場合は、例えばメッシュ状又は板状のヒータに比べて熱容量を小さくすることができ、効率よく液体を霧化することができる。
ヒータ30は、第1壁41の外側(遠位端22側)に設けられた一対の電極34に接続され、カートリッジ20をバッテリ部12と接続したときにバッテリ部12から電力が供給されるように構成される。ヒータ30は、リード線34aを介して電極34と接続される。なお、本明細書において電極とは、ヒータ30に電力を供給するための部材であり、加熱を主目的としない任意の通電部材を含む。したがって、本明細書において、リード線34aは電極34の一部を構成し得る。ヒータ30は、液保持部材25の凸状面25eに沿うように湾曲して、凸状面25eと接触する。これにより、ヒータ30と液保持部材25の凸状面25eとの接触面積を十分に確保することができる。ヒータ30は、凸状面25eの突出方向(第1方向)と交差する方向(第2方向)に延びる要素を有し、凸状面25eの頂部と交差するように配置される。ヒータ30は、その少なくとも一部が液保持部材25の凸状面25eと接触するように構成される。具体的には、ヒータ30は、その所定長さ部分が液保持部材25の凸状面25eに沿って配置される。ヒータ30は、ヒータ30のほぼ全長に渡って液保持部材25の凸状面25e接触することが好ましい。この場合、リード線34aとヒータ30との接続部分(例えば溶接部分)は、液保持部材25の畝状面25cと接触し得る。これにより、ヒータ30の全長に渡ってヒータ30を畝状面25cに接触させることができる。
ヒータ30は、リード線34aにそれぞれ接続される一対の端部30aを有する。この一対の端部30aは、液保持部材25の凸状面25eの頂部よりも近位端21側に位置する。即ち、ヒータ30は、液保持部材25の凸状面25eに沿うように湾曲して、凸状面25eと接触する。これにより、ヒータ30と液保持部材25の凸状面との接触面積を十分に確保することができる。
図示のように、ヒータ30はその全長に渡ってチャンバ27内に露出される。また、カートリッジ20は、チャンバ27と連通する空気流入口53を、側壁43に有する。側壁43に設けられた空気流入口53から流入した空気は、ヒータ30の側方からチャンバ27内を第2方向に移動し、エアロゾル流路28を通じてエアロゾル排出口29から排出される。このとき、空気流入口53から流入した空気は、ヒータ30の全長に渡って接触して、エアロゾル流路28及びエアロゾル排出口29を通じて使用者の口内に到達する。これにより、ヒータ30の全長において生成したエアロゾルを効率よくエアロゾル排出口29に輸送することができる。言い換えれば、チャンバ27内にエアロゾルが滞留することを防止し、チャンバ27壁面にエアロゾルが付着することを抑制することができる。また、第3実施形態のカートリッジ20では、チャンバ壁27aが凸状面25eと同様にドーム形状を有するので、空気流入口53がチャンバ壁27aに沿って流れることにより、湾曲したヒータ30に沿って空気が流れやすくなる。
ヒータユニット50は、液保持部材25の凸状面25eと対向する反対面25dを支持する支持部材57を有する。より具体的には、支持部材57は、畝状面25cのヒータ30が接触している位置と対向する反対面25dの位置を支持するように構成される。これにより、ヒータ30が液保持部材25の畝状面25cに押し付けられるように配置されて液保持部材25がヒータ30から所定の力を受けても、液保持部材25の畝状の形態を維持することができる。また、第1実施形態では、液保持部材25の反対面25dは支持部材57と接触し、反対面25dと支持部材57との間には何も設けられない。支持部材57は例えばタンク部26のタンク壁26bに固定され得る。
本実施形態では、支持部材57は、液体が通過可能な少なくとも一つの開口を有するように構成される。また、支持部材57の少なくとも一つの開口は、タンク部26内に露出される面と、液保持部材25との接触面と連通するように構成される。これにより、タンク部26内の液体は、支持部材57の少なくとも一つの開口を通過して、液保持部材25に到達することができる。ひいては、液保持部材25は、反対面25dの支持部材57と接触した部分から液体を吸収することができる。なお、これに限らず、支持部材57は、第1実施形態と同様に中実の部材で形成されていてもよい。
次に、以上で説明した第3実施形態のカートリッジ20の作用について説明する。まず、タンク部26に収容された液体は、タンク部26内に位置する液保持部材25の両端部から液保持部材25に吸収される。また、タンク部26内の液体は、支持部材57の少なくとも一つの開口を通過して、液保持部材25に吸収される。液保持部材25に吸収された液体は、ヒータ30近傍まで輸送される。使用者がマウスピース11から空気を吸引すると、例えば、バッテリ部12の図示しない空気圧センサにより、バッテリ部12からヒータ30に電力が供給される。これにより、凸状面がヒータ30によって加熱され、液体が霧化してエアロゾルが生成される。使用者の吸引に伴って空気流入口53カートリッジ20に流入した空気は、チャンバ27内で生成されたエアロゾルを伴ってエアロゾル流路28及びエアロゾル排出口29を通過して、使用者の口内に到達する。
液保持部材25が可撓性の繊維材料である場合は、液体を保持したときに膨張する。第3実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が凸状面25eを有する。液保持部材25が凸状面25eを有する場合、液保持部材25が平坦である場合に比べて、凸状面25eの突出方向における膨張量が小さくなることが判った。言い換えれば、液保持部材25が平坦である場合、液保持部材25が液体を保持したときの第1方向の膨張量によって、ヒータ30との接触が不安定になる虞がある。この場合、液体を適切に霧化できない。これに対して、液保持部材25が凸状面25eを有する第3実施形態のカートリッジ20では、液保持部材25が液体を保持する前と、液保持部材25が液体を保持した後での液保持部材25とヒータ30との位置関係が変化し難い。したがって、第3実施形態のカートリッジ20によれば、液保持部材25が平坦である場合に比べて、液保持部材25とヒータ30との位置関係を所望の程度に維持することができる。その結果、液保持部材25に保持された液体を適切に霧化することができる。
また、ヒータ30は、通電すると温度上昇により熱膨張する。第3実施形態のカートリッジ20では、ヒータ30が液保持部材25の凸状面25eに沿うように湾曲して、凸状面25eと接触する。ヒータ30が湾曲している場合、ヒータ30が略直線状である場合に比べて、ヒータ30が熱膨張したときに、凸状面25eの突出方向におけるヒータ30の位置が変化し難いことが判っている。第3実施形態のヒータ30は湾曲しているので、ヒータ30が熱膨張しても、凸状面25eの突出方向におけるヒータ30の位置が変化し難く、液保持部材25とヒータ30との接触を維持することができる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、第1実施形態から第3実施形態のカートリッジ20は、それぞれの部分を交換することもでき、そのような実施形態も本願発明の技術的思想の範囲内である。