JP2019123774A - 半導体素子保護用材料及び半導体装置 - Google Patents

半導体素子保護用材料及び半導体装置 Download PDF

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【課題】得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができ、半導体素子を良好に保護することができる半導体素子保護用材料を提供する【解決手段】本発明に係る半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に塗布して、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、前記半導体素子と前記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なり、可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、23℃で液状である硬化剤と、硬化促進剤と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、前記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して用いられる半導体素子保護用材料に関する。また、本発明は、上記半導体素子保護用材料を用いた半導体装置に関する。
半導体装置の高性能化が進行している。これに伴って、半導体装置から発せられる熱を放散させる必要性が高まっている。また、半導体装置では、半導体素子の電極は、例えば、電極を表面に有する他の接続対象部材における電極と電気的に接続されている。
半導体装置では、例えば、半導体素子と他の接続対象部材との間にエポキシ樹脂組成物を配置した後、該エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、半導体素子と他の接続対象部材とが接着及び固定されている。なお、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置される上記エポキシ樹脂組成物の硬化物は、半導体素子の表面を保護するための材料とは異なる。
また、半導体装置では、半導体素子を保護するために、エポキシ樹脂組成物を該半導体素子の表面に塗布して用いられることがある。
上記のようなエポキシ樹脂組成物が、例えば、下記の特許文献1,2に開示されている。
下記の特許文献1には、可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、23℃で液状である硬化剤と、硬化促進剤と、熱伝導率10W/m・K以上であり、かつ球状である無機フィラーとを含む半導体素子保護用材料が記載されている。
下記の特許文献2には、芳香族骨格又は脂環式骨格を有するエポキシ化合物と、硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含む半導体素子保護用材料が記載されている。また、特許文献2には、上記半導体素子保護用材料が、イオン捕捉剤を含んでもよいことが記載されている。
特開2016−23310号公報 特開2017−041633号公報
従来のエポキシ樹脂組成物には、不純物として各種イオンが含まれることがある。各種イオンを含むエポキシ樹脂組成物を硬化させると、得られる硬化物の絶縁信頼性が低いことがある。特に、この硬化物では、高温高湿下においてマイグレーションが発生しやすく、高温高湿下における絶縁信頼性が低くなることがある。
特許文献2には、イオン捕捉剤が記載されている。このようなイオン捕捉剤を用いることで、エポキシ樹脂組成物において、各種イオンをある程度捕捉できる。このため、イオン捕捉剤を含むエポキシ樹脂組成物では、イオン捕捉剤を含まないエポキシ樹脂組成物と比べて、硬化物の絶縁信頼性はある程度高くなる。
しかしながら、イオン捕捉剤を含むエポキシ樹脂組成物では、硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性をある程度高めることができても、硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を大幅に高めることができないことがある。
近年、半導体装置の高性能化等に伴って、絶縁信頼性の更なる向上が求められている。半導体素子保護用材料の硬化物の絶縁信頼性をさらに高めることで、半導体装置の高性能化に対応することができる。
本発明は、半導体装置において、半導体素子を保護するために、該半導体素子の表面上に塗布して、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料を提供する。
本発明の目的は、上記の用途において、得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができ、半導体素子を良好に保護することができる半導体素子保護用材料を提供することである。また、本発明は、上記半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を提供することも目的とする。
本発明の広い局面では、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に塗布して、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、前記半導体素子と前記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なり、可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、23℃で液状である硬化剤と、硬化促進剤と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、前記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーを含有する、半導体素子保護用材料が提供される。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを含有する。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記第2の無機フィラーの熱伝導率が、前記酸化亜鉛フィラーの熱伝導率よりも高い。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記第2の無機フィラーの材質が、アルミナ、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素である。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、半導体素子保護用材料100重量%中、前記酸化亜鉛フィラーの含有量が、5重量%以上、70重量%以下である。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記可撓性エポキシ化合物100重量部に対して、前記可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物の含有量が10重量部以上、100重量部以下である。
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために用いられるか、又は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために用いられる。
本発明の広い局面によれば、半導体素子と、前記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備え、前記硬化物が、上述した半導体素子保護用材料の硬化物である、半導体装置が提供される。
本発明に係る半導体装置のある特定の局面では、前記半導体素子が、前記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第1の電極を有し、前記半導体素子の第1の電極が、第2の電極を表面に有する接続対象部材における前記第2の電極と電気的に接続されている。
本発明に係る半導体素子保護用材料は、可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、23℃で液状である硬化剤と、硬化促進剤と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含む。本発明に係る半導体素子保護用材料では、上記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーを含有する。本発明に係る半導体素子保護用材料では、上記の構成が備えられているので、得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができる。従って、本発明に係る半導体素子保護用材料を、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布し、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる。本発明に係る半導体素子保護用材料は、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、上記半導体素子と上記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するもの(材料)とは異なる。
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(A)可撓性エポキシ化合物と、(B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、(C)23℃で液状である硬化剤と、(D)硬化促進剤と、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含む。本発明に係る半導体素子保護用材料では、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーが、(E1)酸化亜鉛フィラーを含有する。本発明に係る半導体素子保護用材料は、(E1)酸化亜鉛フィラーを含む。
本発明に係る半導体素子保護用材料では、上述した構成が備えられているので、得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができる。例えば、本発明に係る半導体素子保護用材料の硬化物は、温度130℃及び湿度85%RHの高温高湿下の環境でも、絶縁性を100時間以上維持することができる。従って、本発明に係る半導体素子保護用材料を、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布し、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。また、本発明に係る半導体素子保護用材料を、接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、上記半導体素子の上記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。
また、本発明に係る半導体素子保護用材料では、上述した構成が備えられているので、硬化物の放熱性に優れている。このため、半導体素子の表面上に硬化物を配置することによって、半導体素子の表面から硬化物を経由して、熱を充分に放散させることができる。このため、半導体装置の熱劣化を効果的に抑制することができる。
また、本発明に係る半導体素子保護用材料では、上述した構成が備えられているので、硬化物の耐湿性に優れている。さらに、タック性にも優れている。このため、半導体装置が過酷な環境に晒されても、硬化物による保護性能を充分に維持することができる。
また、本発明に係る半導体素子保護用材料の硬化物は、柔軟性にも優れている。このため、半導体素子の変形応力などによって、半導体素子の損傷が生じ難くなり、更に半導体素子の表面から硬化物を剥離し難くすることができる。
また、本発明に係る半導体素子保護用材料の硬化物は、耐熱性にも優れており、クラックが生じ難い。さらに、上記半導体素子保護用材料の硬化物は、寸法安定性にも優れている。
本発明に係る半導体素子保護用材料は、例えば23℃で液状であることが好ましく、23℃で固体ではないことが好ましい。なお、液状には、粘稠なペーストも含まれる。23℃で液状である半導体素子保護用材料は、23℃等の常温で塗布することができる。
本発明に係る半導体素子保護用材料では、上述した構成が備えられているので、塗布性に優れており、塗布時の意図しない流動を抑えることが可能である。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の表面上に良好に塗布することができる。例えば、半導体素子の放熱性を高めたい部位の表面上に選択的に、精度よく、上記半導体素子保護用材料を塗布することができる。
塗布性をより一層高める観点からは、上記半導体素子保護用材料の25℃及び10rpmでの粘度は、好ましくは40Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは140Pa・s以下、より好ましくは130Pa・s以下である。
上記粘度は、B型粘度計(東機産業社製「TVB−10型」)を用いて測定される。
従来のエポキシ樹脂組成物には、不純物として各種イオンが含まれることがある。各種イオンを含むエポキシ樹脂組成物を硬化させると、得られる硬化物の絶縁信頼性が低いことがある。特に、この硬化物では、高温高湿下においてマイグレーションが発生しやすく、高温高湿下における絶縁信頼性が低くなることがある。特に、塩化物イオンが、絶縁信頼性の低下に大きく影響する。
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(E1)酸化亜鉛フィラーを含むので、上記半導体素子保護用材料、及び上記半導体素子保護用材料の硬化物中の上記塩化物イオンの量を少なくすることができる。
(E1)酸化亜鉛フィラーの使用により塩化物イオン量を少なくすることができる機構として、以下の反応式が推定される。すなわち、酸化亜鉛と塩化物イオンとが反応し、塩化亜鉛が生成する。この反応により、上記半導体素子保護用材料中、及び上記半導体素子保護用材料の硬化物中の塩化物イオン量を少なくすることができる。さらに、生成した塩化亜鉛は、高温高湿下でも塩化物イオンをほとんど遊離しないので、得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができる。
ZnO+2Cl→ZnCl+O2−
本発明に係る半導体素子保護用材料は、上述したように塩化物イオンを捕捉する成分として(E1)酸化亜鉛フィラーを含む。しかしながら、半導体素子保護用材料が、酸化亜鉛に限られず、塩化物イオンを捕捉する成分(以下、塩化物イオン捕捉剤)を含む場合、絶縁信頼性に優れた硬化物を得ることができる。
本願明細書では、以下の第1,第2の構成を備える半導体素子保護用材料も提供する。
第1の構成:(A)可撓性エポキシ化合物と、(B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、(C)23℃で液状である硬化剤と、(D)硬化促進剤と、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含む。
第2の構成:該(E)無機フィラーとして、酸化亜鉛とは異なる塩化物イオン捕捉剤を含むか、又は該(E)無機フィラーとは異なる物質として塩化物イオン捕捉剤を含む。
上記第1,第2の構成を備える半導体素子保護用材料は、無機フィラーとして、酸化亜鉛とは異なる塩化物イオン捕捉剤を含んでいてもよく、該無機フィラーとは異なる物質として塩化物イオン捕捉剤を含んでいてもよい。
得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高める観点からは、上記塩化物イオン捕捉剤は、以下の(1)又は(2)の構成を備えることが好ましい。
(1)上記塩化物イオン捕捉剤が、塩化物イオンを不可逆的に捕捉して、捕捉した塩化物イオンを遊離しない。
(2)上記塩化物イオン捕捉剤が、温度23℃の条件下で捕捉した塩化物イオンのうち、温度130℃、湿度85%RHの条件下で上記塩化物イオン捕捉剤から遊離する塩化物イオンが50重量%以下である。
硬化物の放熱性を高める観点からは、上記塩化物イオン捕捉剤の熱伝導率は、好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上である。
得られる硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高め、かつ硬化物の放熱性を高めるために用いられる上記塩化物イオン捕捉剤としては、例えば、カドミウム、及び水銀等が挙げられる。
以下、上記半導体素子保護用材料に用いることができる各成分の詳細を説明する。
((A)可撓性エポキシ化合物)
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(A)可撓性エポキシ化合物を含む。(A)可撓性エポキシ化合物を用いることによって、硬化物の柔軟性及び接着力を高めることができる。(A)可撓性エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A)可撓性エポキシ化合物における可撓性の指標として、化学量論量のジエチレントリアミン(「DETA」)で硬化されたときに、デュロメーターShoreDの測定が30以下であるエポキシ樹脂であると定義される。
(A)可撓性エポキシ化合物は、例えば、分子内に可撓性部分を有するエポキシ化合物である。(A)可撓性エポキシ化合物としては、特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、サルファイド変性エポキシ樹脂、ポリアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、及びダイマー酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び接着力を効果的に高める観点からは、(A)可撓性エポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上有することが好ましい。硬化物の柔軟性及び接着力をより一層高める観点からは、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
硬化物の柔軟性及び接着力をより一層高める観点からは、上記ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルは、アルキレングリコール基が9以上繰り返された構造単位を有することが好ましい。アルキレン基の繰り返し数の上限は特に限定されない。アルキレン基の繰り返し数は、30以下であってもよい。上記アルキレン基の炭素数は、好ましくは2以上、好ましくは5以下である。
上記ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A)可撓性エポキシ化合物の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。(A)可撓性エポキシ化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の柔軟性及び接着力がより一層高くなる。(A)可撓性エポキシ化合物の含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
((B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物)
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物を含む。(B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物は、可撓性を有さない。(A)可撓性エポキシ化合物とともに(B)エポキシ化合物を用いることによって、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性が高くなり、保護フィルムに対する貼り付き性を低下させることができる。(B)エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(B)エポキシ化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物、ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ化合物、キサンテン骨格を有するエポキシ化合物、アントラセン骨格を有するエポキシ化合物、及びピレン骨格を有するエポキシ化合物等が挙げられる。(B)エポキシ化合物として、これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(B)エポキシ化合物は、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルではないことが好ましい。
半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性をより一層高くし、保護フィルムに対する貼り付き性をより一層効果的に低下させる観点から、また、本発明の効果がより一層優れることから、(B)エポキシ化合物は、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物(ビスフェノール型エポキシ化合物)であることが好ましい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物としては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシ化合物としては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物としては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A)可撓性エポキシ化合物と(B)エポキシ化合物との合計の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。(A)可撓性エポキシ化合物と(B)エポキシ化合物との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性、並びに硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
(A)可撓性エポキシ化合物100重量部に対して、(B)エポキシ化合物の含有量は好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下である。(B)エポキシ化合物の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層高くなる。(B)エポキシ化合物の含有量が上記上限以下であると、硬化物の柔軟性がより一層高くなる。
((C)23℃で液状である硬化剤)
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(C)23℃で液状である硬化剤を含む。(C)硬化剤は、23℃で液状である。このため、半導体素子保護用材料の塗布性が高くなる。また、半導体素子保護用材料の半導体素子の表面に対する濡れ性が高くなる。(C)硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(C)硬化剤としては、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。但し、これらの硬化剤を用いる場合に、23℃で液状である硬化剤が選択される。(C)硬化剤はイミダゾール化合物でなくてもよい。
硬化物中でのボイドの発生をより一層抑え、硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(C)硬化剤は、フェノール化合物であることが好ましい。
半導体素子保護用材料の塗布性をより一層高め、硬化物中でのボイドの発生をより一層抑え、硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(C)硬化剤は、アリル基を有することが好ましく、上記フェノール化合物がアリル基を有することが好ましい。
上記フェノール化合物としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。
(A)可撓性エポキシ化合物と(B)エポキシ化合物との合計100重量部に対して、(C)硬化剤の含有量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上、更に好ましくは30重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、更に好ましくは80重量部以下である。(C)硬化剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料を良好に硬化させることができる。(C)硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化物内における硬化に寄与しなかった(C)硬化剤の残存量が少なくなる。
((D)硬化促進剤)
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(D)硬化促進剤を含む。(D)硬化促進剤の使用によって、硬化速度を速くし、半導体素子保護用材料を効率的に硬化させることができる。(D)硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(D)硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物、及び有機金属化合物等が挙げられる。本発明の効果により一層優れることから、(D)硬化促進剤は、イミダゾール化合物であることが好ましい。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。(D)硬化促進剤として、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を用いることもできる。上記イミダゾール系潜在性硬化剤の市販品としては、例えば、PN23、PN40、PN−H(商品名、いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。また、(D)硬化促進剤として、マイクロカプセル化イミダゾールとも呼ばれる、アミン化合物のエポキシアダクトの水酸基に付加反応させた硬化促進剤を用いることもできる。上記マイクロカプセル化イミダゾールの市販品としては、例えば、ノバキュアHX−3088、ノバキュアHX−3941、HX−3742、HX−3722(商品名、いずれも旭化成イーマテリアルズ社製)等が挙げられる。さらに、(D)硬化促進剤として、包摂イミダゾールを用いることもできる。上記包摂イミダゾールの市販品としては、例えば、TIC−188(商品名、日本曹達社製)が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、4,4−ジメチルアミノピリジン及びジアザビシクロウンデセンのオクチル酸塩等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
(A)可撓性エポキシ化合物と(B)エポキシ化合物との合計100重量部に対して、(D)硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。(D)硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料を良好に硬化させることができる。(D)硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化物内における硬化に寄与しなかった(D)硬化促進剤の残存量が少なくなる。
((E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラー)
本発明に係る半導体素子保護用材料は、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーを含む。
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。(E)無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。(E)無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量は、(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを用いない場合に、(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量を意味する。(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量は、(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを用いる場合に、(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量と、(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーの含有量との合計の含有量を意味する。
(E1)酸化亜鉛フィラー:
本発明に係る半導体素子保護用材料では、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーが、(E1)酸化亜鉛フィラーを含む。本発明に係る半導体素子保護用材料は、(E1)酸化亜鉛フィラーを含む。(E1)酸化亜鉛フィラーを用いることによって、マイグレーションを抑制することができ、硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高めることができる。
(E1)酸化亜鉛フィラーの熱伝導率は、一般的に、25W/m・Kである。したがって、(E1)酸化亜鉛フィラーを用いることによって、硬化物の放熱性を高めることができる。
(E1)酸化亜鉛フィラーの形状は、特に限定されない。(E1)酸化亜鉛フィラーの形状は、球状であってもよく、板状であってもよく、不定形状であってもよく、破砕状であってもよい。(E1)酸化亜鉛フィラーは、これら複数の形状を有する酸化亜鉛フィラーの混合物であってもよい。
(E1)酸化亜鉛フィラーの平均粒子径は、特に限定されない。(E1)酸化亜鉛フィラーの表面積を大きくし、(E1)酸化亜鉛フィラーの添加効果を高める観点、また、(E1)酸化亜鉛フィラーの沈降を抑える観点からは、(E1)酸化亜鉛フィラーの平均粒子径は小さいほどよい。入手が容易であることから、(E1)酸化亜鉛フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.6μm以上である。(E1)酸化亜鉛フィラーの添加効果をより一層高める観点、(E1)酸化亜鉛フィラーの沈降をより一層抑える観点、半導体素子保護用材料の塗布性を高くする観点からは、(E1)酸化亜鉛フィラーの平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
上記半導体素子保護用材料の粘度の上昇を効果的に抑制する観点からは、(E1)酸化亜鉛フィラーの平均粒子径は、好ましくは15μm以下である。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量は、特に限定されない。硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性を高める観点からは、(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量は多いほどよい。上記半導体素子保護用材料100重量%中、(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量が上記下限以上であると、硬化物の高温高湿下における絶縁信頼性をより一層高めることができる。(E1)酸化亜鉛フィラーの含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなり、また、半導体素子保護用材料及び半導体装置の製造コストを抑えることができる。
(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラー:
本発明に係る半導体素子保護用材料では、(E)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーが、(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを含むことが好ましい。本発明に係る半導体素子保護用材料は、(E2)酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを含むことが好ましい。(E2)第2の無機フィラーの熱伝導率は、10W/m・K以上である。(E2)第2の無機フィラーを用いることによって、半導体素子保護用材料の塗布性を高く維持しつつ、かつ硬化物の柔軟性を高く維持しつつ、硬化物の放熱性を高めることができる。また、(E1)酸化亜鉛フィラーに加えて、(E2)第2の無機フィラーを用いることにより、(E1)酸化亜鉛フィラーの使用量を抑えることができ、半導体素子保護用材料及び半導体装置の製造コストを抑えることができる。(E2)第2の無機フィラーは、酸化亜鉛フィラーとは異なり、かつ熱伝導率が10W/m・K以上であれば特に限定されない。(E2)第2の無機フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、(E2)第2の無機フィラーの熱伝導率は、好ましくは15W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上である。(E2)第2の無機フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。硬化物の放熱性を更により一層効果的に高める観点からは、(E2)第2の無機フィラーの熱伝導率が、(E1)酸化亜鉛フィラーの熱伝導率よりも高いことが好ましい。
硬化物の放熱性を効果的に高める観点からは、(E2)第2の無機フィラーの材質は、アルミナ、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素であることが好ましい。これらの好ましい材質の無機フィラーを用いる場合に、これらの無機フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。(E2)第2の無機フィラーとして、上記以外の材質の無機フィラーを適宜用いてもよい。
(E2)第2の無機フィラーの形状は、特に限定されない。(E2)第2の無機フィラーの形状は、球状であってもよく、板状であってもよく、不定形状であってもよく、破砕状であってもよい。(E2)第2の無機フィラーは、これら複数の形状を有する無機フィラーの混合物であってもよい。
塗布性を効果的に高める観点からは、(E2)第2の無機フィラーは球状であることが好ましい。球状とは、アスペクト比(長径/短径)が1以上、2以下であることをいう。
(E2)第2の無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは150μm以下である。(E2)第2の無機フィラーの平均粒子径が上記下限以上であると、(E2)第2の無機フィラーを高密度で容易に充填できる。(E2)第2の無機フィラーの平均粒子径が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
上記半導体素子保護用材料が(E2)第2の無機フィラーを含む場合に、上記半導体素子保護用材料100重量%中、(E2)第2の無機フィラーの含有量は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。(E2)第2の無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。(E2)第2の無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
((F)カップリング剤)
上記半導体素子保護用材料は、(F)カップリング剤を含むことが好ましい。(F)カップリング剤の使用により、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性及び接着力がより一層高くなる。(F)カップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(F)カップリング剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。(F)カップリング剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性がより一層高くなる。(F)カップリング剤の含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
(F)カップリング剤は、100℃での重量減少が10重量%以下であるシランカップリング剤、100℃での重量減少が10重量%以下であるチタネートカップリング剤、又は100℃での重量減少が10重量%以下であるアルミネートカップリング剤を含むことが好ましい。これらの好ましいシランカップリング剤を用いる場合に、これらのシランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
100℃における重量減少が10重量%以下であると、硬化中に(F)カップリング剤の揮発が抑制され、ボイドの発生量を抑制することができるため、半導体素子に対する濡れ性がより一層高くなり、硬化物の放熱性がより一層高くなる。また、タック性も良好にすることができる。
なお、100℃における重量減少は、赤外水分計(ケツト科学研究所社製「FD−720」)を用い、50℃/分の昇温速度で100℃まで昇温し、10分後の重量減少を測定することにより求めることができる。
(他の成分)
上記半導体素子保護用材料は、溶剤を含まないか、又は溶剤を含む場合には溶剤の含有量は少ない方が好ましい。
上記溶剤としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。残留物の除去性をより一層高める観点からは、上記溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。上記有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、並びに石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
上記半導体素子保護用材料が上記溶剤を含む場合には、上記半導体素子保護用材料100重量%中、上記溶剤の含有量は好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満である。
上記半導体素子保護用材料は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。該添加剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類若しくはパラフィン等の離型剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤;酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分;酸化防止剤等が挙げられる。
上記半導体素子保護用材料は、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては、ポリカルボン酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキロールアンモニウム塩、リン酸エステル塩、アクリル系ブロック共重合物、及びポリマー塩等が挙げられる。
上記硬化物100重量%中、及び、上記半導体素子保護用材料100重量%中、上記分散剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上であり、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
(半導体素子保護用材料の他の詳細及び半導体装置)
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して用いられる。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、上記半導体素子と上記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なる。
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の表面を被覆する被覆材料であることが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の側面上に塗布されないことが好ましい。
上記半導体素子保護用材料は、上記半導体素子を封止するための材料とは異なることが好ましく、上記半導体素子を封止するための封止剤ではないことが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、アンダーフィル材ではないことが好ましい。
上記半導体素子が、第2の表面側に第1の電極を有し、上記半導体素子保護用材料は、上記半導体素子の上記第2の表面側とは反対の第1の表面上に塗布されて用いられることが好ましい。
上記半導体素子保護用材料は、半導体装置において、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる。
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために好適に用いられ、かつ上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために好適に用いられる。
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために好適に用いられ、かつ上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために好適に用いられる。
上記半導体素子保護用材料を塗布する方法としては、ディスペンサーによる塗布方法、スクリーン印刷による塗布方法、及びインクジェット装置による塗布方法等が挙げられる。上記半導体素子保護用材料は、ディスペンサー、スクリーン印刷、真空スクリーン印刷又はインクジェット装置による塗布方法により塗布されて用いられることが好ましい。塗布が容易であり、かつ硬化物中にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記半導体素子保護用材料は、ディスペンサーにより塗布されて用いられることが好ましい。
本発明に係る半導体装置は、半導体素子と、上記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備える。本発明に係る半導体装置では、上記硬化物が、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。本発明に係る半導体装置では、上記硬化物が、上述した半導体素子保護用材料の硬化物である。
本発明の効果がより一層有効に発揮されることから、上記半導体素子保護用材料は、ドライバICチップの保護用材料であることが好ましい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
図1に示す半導体装置1は、半導体素子2と、半導体素子2の第1の表面2a上に配置された硬化物3とを備える。硬化物3は、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。硬化物3は、半導体素子2の第1の表面2a上の一部の領域に配置されている。
半導体素子2は、第1の表面2a側とは反対の第2の表面2b側に、第1の電極2Aを有する。半導体装置1は、接続対象部材4をさらに備える。接続対象部材4は、表面4aに第2の電極4Aを有する。半導体素子2と接続対象部材4とは、他の硬化物5(接続部)を介して接着及び固定されている。半導体素子2は、接続対象部材4上に実装されている。半導体素子2の第1の電極2Aと、接続対象部材4の第2の電極4Aとが対向しており、導電性粒子6により電気的に接続されている。第1の電極2Aと第2の電極4Aとが接触することで、電気的に接続されていてもよい。硬化物3は、半導体素子2の第1の電極2Aが配置されている側と反対の第1の表面2a上に配置されている。硬化物3は、半導体素子2の接続対象部材4側と反対の第1の表面2a上に配置されている。
硬化物3の半導体素子2側とは反対の表面上に、保護フィルム7が配置されている。それによって、硬化物3によって放熱性及び半導体素子2の保護性を高めるだけでなく、保護フィルム7によっても、半導体素子2の保護性をより一層高めることができる。硬化物3は、上述した組成を有して得られているため、硬化物3の保護フィルム7に対する貼り付きを抑えることができる。
上記接続対象部材としては、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板等が挙げられる。上記フレキシブルプリント基板としては、ポリイミド基板等の樹脂基板等が挙げられる。本発明の効果がより一層有効に発揮されることから、上記接続対象部材は、基板であることが好ましく、フレキシブルプリント基板であることが好ましく、樹脂基板であることが好ましく、ポリイミド基板であることがより好ましい。
半導体素子の表面上において、半導体素子保護用材料の硬化物の厚みは、好ましくは400μm以上、より好ましくは500μm以上であり、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1900μm以下である。半導体素子保護用材料の硬化物の厚みは、半導体素子の厚みよりも薄くてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
図2に示す半導体装置1Xは、半導体素子2と、半導体素子2の第1の表面2a上に配置された硬化物3Xとを備える。硬化物3Xは、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。硬化物3Xは、半導体素子2の第1の表面2a上の全体の領域に配置されている。硬化物3Xの半導体素子2側とは反対の表面上に、保護フィルムは配置されていない。硬化物3Xの半導体素子2側とは反対の表面は露出している。
上記半導体装置では、上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面上に、保護フィルムが配置されているか、又は、上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面が露出していることが好ましい。
なお、図1,2に示す構造は、半導体装置の一例にすぎず、半導体素子保護用材料の硬化物の配置構造等には適宜変形され得る。
半導体素子保護用材料の硬化物の熱伝導率は、特に限定されないが、1.1W/m・Kを超えることが好ましく、1.5W/m・K以上であることがより好ましく、1.8W/m・K以上であることが更に好ましい。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用いた。
(A)可撓性エポキシ化合物
EX−821(n=4)(ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:185)
EX−830(n=9)(ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:268)
EX−931(n=11)(ナガセケムテックス社製、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:471)
EX−861(n=22)(ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:551)
(B)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物
jER828(三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:188)
jER834(三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、軟化点:30℃、エポキシ当量:255)
YH−434L(新日鉄住金化学社製、ポリグリシジルアミン変性エポキシ樹脂、エポキシ当量:120)
(C)23℃で液状である硬化剤
フジキュアー7000(富士化成社製、23℃で液状、アミン化合物)
MEH−8005(明和化成社製、23℃で液状、アリルフェノールノボラック化合物)
(D)硬化促進剤
SA−102(サンアプロ社製、DBUオクチル酸塩)
(E1)酸化亜鉛フィラー
酸化亜鉛I種(堺化学工業社製、不定形状、平均粒子径:0.6μm)
LPZINC−11(堺化学工業社製、不定形状、平均粒子径:11μm)
LPZINK−40S(堺化学工業社製、球状、平均粒子径:40μm)
(E2)酸化亜鉛とは異なる無機フィラー
CB−P05(昭和電工社製、酸化アルミニウム、熱伝導率:20W/m・K、球状、平均粒子径:4μm)
CB−P40(昭和電工社製、酸化アルミニウム、熱伝導率:20W/m・K、球状、平均粒子径:44μm)
(他の成分)
イオン捕捉剤:
IXE−300(東亞合成社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)
IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)
DHT−4A(協和化学工業社製、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤)
分散剤:
BYK−9076(BYK社製)
(実施例1)
EX−821(n=4)を6.5重量部、jER828を2.5重量部、フジキュアー7000を5重量部、SA−102を0.5重量部、酸化亜鉛I種を5重量部、CB−P05を40重量部、CB−P40を40重量部、及びBYK−9076を0.5重量部混合し、脱泡を行い、半導体素子保護用材料を得た。
(実施例2〜12及び比較例1〜5)
配合成分の種類及び配合量を下記の表1,2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
(評価)
(1)25℃における粘度の測定
B型粘度計(東機産業社製「TVB−10型」)を用いて、得られた半導体素子保護用材料の25℃における10rpmでの粘度(mPa・s)を測定した。
(2)熱伝導率
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
得られた評価サンプルの熱伝導率を、熱伝導率計(京都電子工業社製「迅速熱伝導率計QTM−500」)を用いて測定した。
(3)塗布性
得られた半導体素子保護用材料をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製「SHOTMASTER-300」)から、ポリイミドフィルムに直径5mm、高さ2mmになるように直接吐出した後、半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化させた。硬化後の半導体素子保護用材料の形状から塗布性を下記の基準で判定した。
[塗布性の判定基準]
○:直径5.3mm以上、高さ1.8mm未満(流動性あり)
△:直径5mmを超え、5.3mm未満、高さ1.8mmを超え、2mm未満(流動性少しあり)
×:直径5mm、高さ2mmのまま(流動性なし)
(4)耐湿性
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
得られた評価サンプルをディジタル超絶縁/微少電流計(日置電機社製「DSM−8104」)、平板試料用電極(日置電機社製「SME−8310」)を用いて体積抵抗率を測定した。
次に、プレッシャークッカー試験を高度加速寿命試験装置(エスペック社製「EHS−211」)で行った。121℃、湿度100%RH及び2atmの条件で24時間放置し、次に23℃及び湿度50%RHの環境で24時間放置した後、体積抵抗率を測定した。プレッシャークッカー試験前後の体積抵抗率の低下率を計算し、耐湿性を下記の基準で判定した。
[耐湿性の判定基準]
○:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%以下
△:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%を超え、20%以下
×:試験前後の体積抵抗率の低下率が20%を超える
(5)接着力(ダイシェア強度)
ポリイミド基板上に、接着面積が3mm×3mmになるように半導体素子保護用材料を塗布し、3mm角のSiチップを載せて、テストサンプルを得た。
得られたテストサンプルを150℃で2時間加熱し、半導体素子保護用材料を硬化させた。次に、ダイシェアテスター(アークテック社製「DAGE 4000」)を用いて、300μm/秒の速度で、25℃でのダイシェア強度を評価した。
[接着力(ダイシェア強度)の判定基準]
○:ダイシェア強度が10N以上
△:ダイシェア強度が6N以上、10N未満
△△:ダイシェア強度が5N以上、6N未満
×:ダイシェア強度が5N未満
(6)タック性(保護フィルムの貼り付き性)
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
得られた評価サンプルを23℃及び湿度50%RHの環境で24時間放置した。24時間放置後直ちに、評価サンプルの表面の粘着性を、タックテスター(UBM社製「TA−500」)を用いタックを測定した。
[タック性(保護フィルムの貼り付き性)の判定基準]
○:応力が50gf/cm未満
△:応力が50gf/cm以上、100gf/cm未満
×:応力が100gf/cm以上
(7)フィルム反り
得られた半導体素子保護用材料をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製「SHOTMASTER−300」)から、ポリイミドフィルムに縦20mm、横100mm、高さ10mmになるように直接吐出した後、半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化させた。硬化後にポリイミドフィルムの反りを目視で確認し、フィルム反りを下記の基準で判定した。
[フィルム反りの判定基準]
○:ポリイミドフィルムの反りなし
×:ポリイミドフィルムの反り発生
(8)耐熱性
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
得られた評価サンプルをディジタル超絶縁/微少電流計(日置電機社製「DSM−8104」)、平板試料用電極(日置電機社製「SME−8310」)を用いて体積抵抗率を測定した。
次に、180℃で100時間放置し、次に23℃及び湿度50%RHの環境で24時間放置した後、体積抵抗率を測定した。耐熱試験前後の体積抵抗率の低下率を計算し、耐熱性を下記の基準で判定した。
[耐熱性の判定基準]
○○:試験前後の体積抵抗率の低下率が5%以下
○:試験前後の体積抵抗率の低下率が5%を超え、10%以下
△:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%を超え、20%以下
×:試験前後の体積抵抗率の低下率が20%を超える
(9)絶縁信頼性
基板(ポリイミドフィルム)上に形成された櫛歯型電極(材質:銅の上にスズめっき、パターンピッチ:30μm、L/S=15μm/15μm)の上に、熱硬化ソルダーレジスト(日本ポリテック社製「NPR−3300」)を10μmの膜厚で塗布して150℃で1時間加熱硬化させて、テストパターンを準備した。上記テストパターンに半導体素子保護用材料を塗布し、150℃で2時間加熱硬化させて、試験片を得た。加熱後の試験片を130℃及び湿度85%RHの槽(エスペック社製「SH641」)へ入れ、マイグレーションテスター(IMV社製「MIG−8600B」)を用いて電極間に40Vの直流電圧を印加して、電極間の抵抗を測定した。絶縁信頼性を以下の基準で判定した。判定結果が○○、○又は△の場合に、絶縁信頼性は合格と判断され、実使用に支障がない絶縁性保持性があり、高温高湿下における絶縁信頼性に優れている。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:抵抗が1×10Ω以上で500時間以上持続し、高温高湿下における絶縁性が極めて良好
○:抵抗が1×10Ω以上で100時間以上、500時間未満持続し、高温高湿下における絶縁性が非常に良好
△:抵抗が1×10Ω以上、1×10Ω未満で100時間以上持続し、高温高湿下における絶縁性が良好
×:100時間未満で抵抗が1×10Ω未満に低下し、絶縁不良とみなされる
組成及び結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2019123774
Figure 2019123774
1,1X…半導体装置
2…半導体素子
2a…第1の表面
2b…第2の表面
2A…第1の電極
3,3X…硬化物
4…接続対象部材
4a…表面
4A…第2の電極
5…他の硬化物
6…導電性粒子
7…保護フィルム

Claims (9)

  1. 半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に塗布して、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、
    半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、前記半導体素子と前記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なり、
    可撓性エポキシ化合物と、
    可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物と、
    23℃で液状である硬化剤と、
    硬化促進剤と、
    熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、
    前記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーを含有する、半導体素子保護用材料。
  2. 前記無機フィラーが、酸化亜鉛フィラーとは異なる第2の無機フィラーを含有する、請求項1に記載の半導体素子保護用材料。
  3. 前記第2の無機フィラーの熱伝導率が、前記酸化亜鉛フィラーの熱伝導率よりも高い、請求項2に記載の半導体素子保護用材料。
  4. 前記第2の無機フィラーの材質が、アルミナ、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素である、請求項2又は3に記載の半導体素子保護用材料。
  5. 半導体素子保護用材料100重量%中、前記酸化亜鉛フィラーの含有量が、5重量%以上、70重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
  6. 前記可撓性エポキシ化合物100重量部に対して、前記可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物の含有量が10重量部以上、100重量部以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
  7. 半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために用いられるか、又は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
  8. 半導体素子と、
    前記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備え、
    前記硬化物が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料の硬化物である、半導体装置。
  9. 前記半導体素子が、前記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第1の電極を有し、前記半導体素子の第1の電極が、第2の電極を表面に有する接続対象部材における前記第2の電極と電気的に接続されている、請求項8に記載の半導体装置。
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