JP2019120505A - 半導体装置及び測定方法 - Google Patents

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芳彦 横井
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Abstract

【課題】シャント抵抗における消費電力及び発熱を抑えつつ、パワートランジスタに流れる電流の測定を正確に行うこと。【解決手段】制御部40は、それぞれのシャント抵抗36,37に流れるセンス電流の電流値と、センス電流の測定時における、シャント抵抗36,37のセンストランジスタ31,32側の第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部との間の端部間電圧の電圧値を測定し、センス電流の電流値及び端部間電圧の電圧値に基づいてメイン電流の電流値を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、パワートランジスタに流れる電流の電流測定精度を向上させた半導体装置に関する。
電動工具やモバイル機器などに内蔵されるバッテリパックには、バッテリセルの充放電を制御するためのパワートランジスタ及びパワートランジスタを制御するためのバッテリ管理ICが搭載されている。バッテリパックシステムにおいては、電池残量の検出、内部状態の制御や監視、あるいはシステム保護等を目的として、デバイスに流れる電流値を高精度にモニタリングできることが要求される。また、その他のパワートランジスタを用いるシステム、例えばインバータ回路が搭載されたパワーコンディショナー、UPS、モータ駆動等においても、制御やシステム保護等の観点から、デバイスに流れる電流を高精度に測定する必要がある。
電流値の測定には、例えばホール素子、シャント抵抗、シャント抵抗及びセンスデバイスを用いた方法等が知られている。このうち、シャント抵抗及びセンスデバイスを用いたものが、特許文献1〜3に開示されている。
例えば、特許文献1には、負荷電流の経路上にシャント抵抗を介挿することなく、無損失で精度よく負荷電流を検出することができ、検出する際に負荷電流の大きさに応じ、ゲインを容易に切り替えることができる半導体集積回路装置が開示されている。また、特許文献2には、パワーMOSFETの線形および飽和の両方の動作領域でパワーMOSFETを流れる電流をセンスする電流センス回路が開示されている。
センスデバイスを用いた電流検出では、センスデバイス及びメインデバイスの各端子に等しい電圧が印加されていることが重要であるため、特許文献1〜2では、演算増幅器による電圧フィードバックを行うことにより、各端子間に等しい電圧が印加されるようになっている。
また、特許文献3には、演算増幅器を使わずに、高い精度で負荷電流を検出することができる電流検出装置が開示されている。特許文献3では、メインデバイスとセンスデバイスのドレイン−ソース間電圧VDS(コレクタ−エミッタ間電圧VCE)がずれることを前提として、CPUによりずれた値を補正する方法が示されている。また、これと同時に、周囲温度を計測することにより、温度補正もCPUで行われる。
特開平7−113826号公報 特開2004−364280号公報 特開2004−45213号公報
ホール素子を用いた電流検出では、電流検出精度が高く、かつ電流検出に伴う電力損失は発生しない。しかし、ホール素子が高価であることや、体積が大きいことから、パワートランジスタを搭載した機器の低コスト化や小型化ができない。
負荷電流の経路上にシャント抵抗を挿入する方式では、回路構成が簡単であり、かつ、電流検出精度も高い。ただし、大電力対応のシャント抵抗は高価であり、抵抗での電力損失も発生する。一方、抵抗値を小さくすれば電力損失は抑制されるが、ADコンバータの分解能を考慮すれば、ある程度の抵抗値が必要である。また、近年では、パワートランジスタの並列数の増加や、デバイス自身の進化によりパワートランジスタのオン抵抗の低下が著しく、シャント抵抗における電力損失や発熱が無視できなくなってきている。
しかし、特許文献1〜2のように、演算増幅器を用いる方法では、演算増幅器の応答速度(スルーレート)やオフセット電圧を考慮した設計をする必要がある。一般的に、応答性能の向上やオフセット電圧の低減(あるいはオフセットキャンセル)を実現しようとすれば、回路規模が増大しコストが上昇してしまう。
また、特許文献2のように、ソース電圧をフィードバックする場合には、負電源が必要となり、さらなる回路規模の増大、コストの上昇を招いてしまう。
また、特許文献1に示された技術をパワートランジスタ回路に適用しようとすると、数十〜数百Vの高電圧信号を扱う必要があり、高耐圧の演算増幅器等が必要となる。さらに、センスデバイスに分流した電流は負荷に流すことができず、すべて損失となる。
また、特許文献3では、温度を含めた電流補正をする場合に以下の問題が生じる。例えば、温度検出手段により雰囲気温度を測定しているが、パワートランジスタに電流を流すとトランジスタの自己発熱により、雰囲気温度に比べてジャンクション温度の方が高くなる。このため、正確な温度補正を行うことは困難である。また、温度検出手段の例としてサーミスタが挙げられているが、一般的にサーミスタの熱時定数は数秒オーダーである。よって、数十秒オーダーの非常にゆっくりとした温度変化には応答可能であるが、数百ミリ秒以下のような極めて短時間での温度変化をモニタすることはできない。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本明細書には、複数の実施の形態の半導体装置が記載されているが、一実施の形態の半導体装置を述べると、次の通りである。半導体装置は、パワートランジスタと、パワートランジスタと並列に接続され、パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定するセンス回路と、制御部と、を備えている。センス回路は、並列接続された抵抗値が異なる複数のシャント抵抗と直列に接続されたセンストランジスタを有する。制御部は、それぞれのシャント抵抗のセンストランジスタ側の第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部との間の端部間電圧の電圧値を測定し、端部間電圧の電圧値及び端部間電圧の電圧値とシャント抵抗の抵抗値に基づいて測定されるセンス電流の電流値に基づいてメイン電流の電流値を測定する。
一実施の形態によれば、シャント抵抗における消費電力及び発熱を抑えつつ、パワートランジスタに流れる電流の測定を正確に行うことが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るパワートランジスタを備えたバッテリパックの構成の一例を示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係る電流測定方法のフローチャート図である。 センス電流の測定方法を説明する図である。 センストランジスタの電流電圧特性の例を示す図である。 本発明の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態2に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。 本発明の実施の形態3に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。 本発明の実施の形態4におけるシャント抵抗のキャリブレーション方法を説明する図である。 本発明の実施の形態5に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。 本発明の実施の形態5に係る電流測定方法のフローチャート図である。 本発明の実施の形態5に係るセンストランジスタの電流電圧特性の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するためのすべての図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
<バッテリパックの構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係るパワートランジスタを備えたバッテリパックの構成の一例を示す回路図である。図1に示すように、バッテリパック1は、バッテリセル10、パワートランジスタ20、センス回路30、制御部40等を備えている。
バッテリパック1は、端部1a及び端部1bを介して負荷90と接続され、負荷90へ電流を供給する回路ブロックである。バッテリセル10の正側端部は、バッテリパック1の端部1aと接続されている。一方、バッテリセル10の負側端部は、パワートランジスタ20と接続されている。
バッテリセル10は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成されている。バッテリセル10は、複数のセルで構成されてもよいし、単一のセルで構成されてもよい。
[パワートランジスタ]
パワートランジスタ20は、バッテリセル10の充放電時における電流制御を行う回路ブロックである。パワートランジスタ20は、図1に示すように、パワートランジスタ21,22,31,32を備えている。パワートランジスタ21,22,31,32は、例えば、NMOS等の電界効果トランジスタで構成されている。
パワートランジスタ21の一方の端部は、パワートランジスタ22の一方の端部と接続されている。パワートランジスタ21の他方の端部は、バッテリパック1の端部1bと接続されている。パワートランジスタ22の他方の端部は、バッテリセル10の負側端部と接続されている。したがって、パワートランジスタ21,22は、直列に接続されている。パワートランジスタ21のゲート及びパワートランジスタ22のゲートは、制御部40と接続されている。
パワートランジスタ31,32は、図1に示すように、後述するセンス回路30の構成要素でもある。このため、以下では、パワートランジスタ31,32を、センストランジスタ31,32と表記する場合がある。
パワートランジスタ21,22,31,32は、制御部40からのゲート電圧制御により、オン・オフを切り換える。
[センス回路]
センス回路30は、パワートランジスタ20に流れる電流(メイン電流)の電流値を測定するためのセンス電流を流す回路ブロックである。なお、メイン電流は、負荷90に供給する負荷電流である。センス回路30は、図1に示すように、すでに述べたセンストランジスタ31,32、及びシャント抵抗36,37を備えている。
センストランジスタ31,32は、パワートランジスタ20に流れるメイン電流の電流値を測定するためのセンス電流Is1,Is2を、対応するそれぞれのシャント抵抗(第1のシャント抵抗)36、シャント抵抗(第2のシャント抵抗)37へ流す回路素子である。シャント抵抗36,37は、センス電流を検出する回路素子である。
センストランジスタ31の一方の端部及びセンストランジスタ32の一方の端部はパワートランジスタ21の一方の端部と接続されている。したがって、センストランジスタ31,32は互いに並列に接続され、さらに、パワートランジスタ21とも並列に接続されている。
センストランジスタ31の他方の端部は、シャント抵抗36の一方の端部と接続されている。センストランジスタ32の他方の端部は、シャント抵抗37の一方の端部と接続されている。センストランジスタ31のゲート及びセンストランジスタ32のゲートは、制御部40と接続されている。センストランジスタ31,32は、制御部40からのゲート電圧制御により、オン・オフを切り換える。
シャント抵抗36の他方の端部及びシャント抵抗37の他方の端部は、パワートランジスタ21の他方の端部と接続されている。したがって、センストランジスタ31,32は、シャント抵抗36,37と、それぞれ1対1に対応し、直列に接続されている。
パワートランジスタ21及びセンストランジスタ31,32は、電力用トランジスタの1つとして知られている、マルチソース(またはマルチエミッタ)構造を持つ電流検出機能付きトランジスタである。このような構造のトランジスタでは、トランジスタ間の特性が非常によく一致するため、それぞれのトランジスタに流れる電流の比は、それぞれのトランジスタを構成するトランジスタセルの数の比と一致する。なお、センストランジスタ31,32のセル数は同一であり、パワートランジスタ21のセル数より少ない。以下では、センストランジスタ31,32のセル数を「1」とし、パワートランジスタ21のセル数を「n」と表記することもある。また、「n」は、例えば、1000〜10000程度の値である。
シャント抵抗36,37それぞれの両端は、制御部40と接続されており、制御部40によりシャント抵抗36,37のそれぞれの端部の端部電圧が測定される。
[制御部]
制御部40は、図1に示すように、演算部41、電圧測定部42、記憶部44、充放電制御回路45等を備えている。
電圧測定部42は、シャント抵抗36,37のそれぞれの一方の端部の端部電圧(第1の端部電圧)Vs1,Vs2及びそれぞれの他方の端部の端部電圧(第2の端部電圧)Vr1,Vr2を測定する回路ブロックである。なお、シャント抵抗36,37の端部電圧Vs1,Vs2は、センストランジスタ31,32のシャント抵抗36,37側の端部電圧でもある。
電圧測定部42は、図1に示すように、端子(第2の端子)P2を介して、シャント抵抗36の一方の端部と接続されている。また、電圧測定部42は、端子(第3の端子)P3を介して、シャント抵抗36の他方の端部と接続されている。また、電圧測定部42は、端子(第4の端子)P4を介して、シャント抵抗37の一方の端部と接続されている。また、電圧測定部42は、端子(第5の端子)P5を介して、シャント抵抗37の他方の端部と接続されている。なお、第3の端子と第5の端子は同一の端子で構成されるようにしても良い。
電圧測定部42は、ADコンバータを備えており、それぞれの端部電圧をADコンバータによりデジタル変換し、変換後のデジタル信号を演算部41へ供給する。
記憶部44は、バッテリパック1において必要とされる各種情報を格納する回路ブロックである。記憶部44は、フラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリを備えている。記憶部44は、例えば、センストランジスタ31,32の端部電圧Vs1,Vs2や、センストランジスタ31,32と、パワートランジスタ21とのセル数の比率や、シャント抵抗36,37のそれぞれの抵抗値Rs1,Rs2を格納する。例えば、抵抗値Rs1,Rs2の大小関係はRs1>Rs2であるとする。
充放電制御回路45は、バッテリセル10の充放電時における過電流保護や、バッテリパック1の各部の監視で異常が発生した場合に保護等を行う回路ブロックである。例えば、充放電制御回路45は、パワートランジスタ20を構成するパワートランジスタ21,22及びセンス回路30を構成するセンストランジスタ31,32のオン,オフを制御する。
充放電制御回路45は、図1に示すように、端子(第1の端子)P1を介して、パワートランジスタ21、センストランジスタ31,32のそれぞれのゲートと接続されている。また、充放電制御回路45は、端子P6を介して、パワートランジスタ22と接続されている。
一般的に、パワートランジスタ21を線形領域で動作させるため、ゲートに供給されるゲート電圧は、ゲート−ソース間電圧Vgsとパワートランジスタ21の閾値電圧Vtとの差分が、ドレイン−ソース間電圧Vpdsより十分大きくなるように設定される(Vgs−Vt>>Vpds)。また、この条件下では、センストランジスタ31,32も同様に線形領域で動作する。
演算部41は、電圧測定部42で測定された、シャント抵抗36,37のそれぞれの端部電圧(第1の端部電圧)Vs1,Vs2及び他方の端部の端部電圧(第2の端部電圧)Vr1,Vr2に基づいて、センストランジスタ31,32の電流電圧特性の取得及びパワートランジスタ20に流れるメイン電流の電流値の測定を行う。なお、センストランジスタの電流電圧特性の取得及びメイン電流の測定方法については後述する。また、充放電制御回路45及び演算部41は、制御回路を構成する。
<メイン電流測定方法>
次に、メイン電流測定方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る電流測定方法のフローチャート図である。メイン電流の測定は、図2に示すステップS10〜S40により行われる。なお、メイン電流測定に先立って、充放電制御回路45はパワートランジスタ21,22をオンし、負荷電流が流れているものとする。したがって、センストランジスタ31,32もオンしている。また、図3は、センス電流の測定方法を説明する図である。
[ステップS10]
ステップS10は、センストランジスタ31を介してシャント抵抗36に流れるセンス電流Is1を測定するステップである。
電圧測定部42は、シャント抵抗36の端部電圧Vs1,Vr1を測定し、測定した端部電圧Vs1,Vr1の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs1,Vr1に基づいて、図3に示すように、シャント抵抗36の端部間電圧ΔV1を測定する。
そして、演算部41は、測定した端部間電圧ΔV1、及びシャント抵抗36の抵抗値Rs1に基づいて、センス電流Is1(=ΔV1/Rs1)を測定する。演算部41は、測定したセンス電流Is1、端子間電圧ΔV1、及び端部電圧Vs1,Vr1を、記憶部44に格納してもよいし、演算部41内でバッファリングしてもよい。
なお、ステップS10は、次に説明するステップS20と同時に行ってもよいし、電流の変化に比べて十分に短い時間で実行可能な場合は順番に実行してもよい。あるいは、サンプルホールド回路を用いて、同じタイミングで電圧を取得し、順次AD変換を行うことも可能である。
[ステップS20]
次に、ステップS20について説明する。ステップS20は、センストランジスタ32を介してシャント抵抗37に流れるセンス電流Is2を測定するステップである。ステップS20は、ステップS10と類似しているので、ステップS10とは異なる点を主に説明する。
電圧測定部42は、シャント抵抗37の端部電圧Vs2,Vr2を測定し、測定した端部電圧Vs2,Vr2の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs2,Vr2に基づいて、図3に示すように、シャント抵抗37の端部間電圧ΔV2を測定する。そして、演算部41は、測定した端部間電圧ΔV2、及びシャント抵抗37の抵抗値Rs2に基づいて、センス電流Is2(=ΔV2/Rs2)を測定する。ステップS20においても、充放電制御回路45は、測定したセンス電流Is2、端子間電圧ΔV2、及び端部電圧Vs2,Vr2を、記憶部44に格納してもよいし、演算部41内でバッファリングしてもよい。
[ステップS30]
次に、ステップS30について説明する。ステップS30は、センストランジスタ31(32)の電流電圧特性を取得するステップである。演算部41は、測定されたセンス電流Is1,Is2、及びシャント抵抗36,37の端部間電圧ΔV1,ΔV2に基づいて、センストランジスタ31(32)の電流電圧特性を取得する。
図4は、センストランジスタの電流電圧特性の例を示す図である。横軸はセンス電流Isであり、縦軸はシャント抵抗の端部間電圧ΔVである。
図4には、一例として、抵抗値が異なる2つのシャント抵抗Rs1,Rs2を用いた場合の測定値がプロットされている。なお、プロットされた測定値は、ドレイン電圧Vd及びセンストランジスタのゲート電圧Vsgが一定の状態で測定されたものである。
図4に示すように、ドレイン電圧Vdが一定の場合、センストランジスタ31,32がMOSFETであれば、端部間電圧ΔVとセンス電流Isは比例関係となり、測定値は一直線上にプロットされる。これは、センストランジスタ31,32が線形領域で動作しているからである。このため、少なくとも2種類のシャント抵抗Rs1,Rs2に基づくデータがあれば、電流電圧特性を取得することが可能である。
図4には、プロットされた測定値を通る直線L1が描かれている。この直線L1が、測定時のドレイン電圧Vdに対応する、センストランジスタの電流電圧特性である。なお、測定時のドレイン電圧Vdが高くなると、電流電圧特性は上方に移動し、例えば、直線L2のようになる。一方、測定時のドレイン電圧Vdが低くなると、電流電圧特性は下方に移動し、例えば、直線L3のようになる。
[ステップS40]
ステップS40は、パワートランジスタ20に流れるメイン電流を測定するステップである。演算部41は、シャント抵抗の両端の端部電圧Vs,Vrが同一であるとした場合のセンス電流Is0を算出する。すなわち、このセンス電流Is0は、シャント抵抗の両端が短絡された、端部間電圧ΔV=0の場合の電流と等価であり、パワートランジスタ21及びセンストランジスタ31,32の各端子に等しい電圧が印加された条件における、センス電流の電流値に他ならない。図4の例では、直線L1が横軸と交差する点がセンス電流Is0である。
そして、演算部41は、センストランジスタ31,32とパワートランジスタ21のセル数の比率「n」に基づいて、パワートランジスタ20に流れるメイン電流Imainの電流値(Imain=n×Is0)を測定する。より高い精度で負荷電流を測定したい場合は、このステップで測定されたメイン電流Imainに、センス電流Is1,Is2を加えてもよい。
なお、ここでは、2組のセンストランジスタとシャント抵抗による測定例を示したが、3組以上のセンストランジスタとシャント抵抗を用いて測定してもよい。
また、図3では、パワートランジスタ21,センストランジスタ31,32において、ドレインからソースへ電流が流れる場合を示しているが、パワートランジスタ及びセンストランジスタがMOSFETで構成される場合、MOSFETの特性により、ソースからドレインへ電流が流れる場合についても、ステップS10〜S40の手順を変更することなくメイン電流Imainを測定することが可能である。
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、演算部41は、端部間電圧ΔV及びセンス電流Isに基づいてメイン電流Imainの電流値を測定する。具体的には、演算部41は、端部間電圧ΔVがゼロであるとした場合のセンス電流Is0の電流値を算出することにより、メイン電流Imainの電流値を測定する。
この構成によれば、シャント抵抗36,37に流れるセンス電流は小さな電流でよく、またシャント抵抗36,37には例えば数Ω〜数kΩ等の比較的大きな抵抗値を使用することができる。さらには、メイン電流が流れるパワーラインにシャント抵抗を設けなくてもよい。これらにより、電力損失を大幅に低減しつつ、パワートランジスタ20に流れるメイン電流Imainの測定を正確に行うことが可能となる。
また、この構成によれば、大電力に対応するシャント抵抗が不要となるため、小型で安価なチップ抵抗を使用することができる。これにより、部品コストの低減及び装置の小型化、あるいはレイアウトや構造設計の自由度の向上が可能となる。図5は、本発明の効果を説明する図である。図5(a)には、従来の制御基板1100の例が示され、図5(b)には、本発明の半導体装置が搭載された制御基板1000の例が示されている。
図5(a)に示すように、従来の制御基板1100には、メイン電流測定用の大型のシャント抵抗1102が設けられていた。制御IC1101は、シャント抵抗1102に流れる電流を測定することにより直接メイン電流を測定していた。これに対し、本発明では、図5(b)に示すように、制御基板1000には、小型のシャント抵抗36,37が設けられる。制御IC1101は、シャント抵抗36,37に流れる電流を測定することによりメイン電流を測定する。このように、本発明では、シャント抵抗の面積を大幅に小さくすることができ、制御基板1000における実装面積及び基板面積を削減することが可能となる。
また、パワートランジスタ20、センス回路30、及び制御部40等の回路ブロックを含む回路ブロックと、シャント抵抗36,37とが同一パッケージで構成されてもよい。この構成によれば、実装面積がより一層削減される。
また、本実施の形態によれば、ステップS30で取得された電流電圧特性には、温度変化の影響が反映されているので、メイン電流Imainの測定において温度補正を考慮する必要がない。
また、端子P3,P5は同一の端子で構成されてもよい。この構成によれば、端子P3,P5が共通化されるので、配線本数を削減することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、センストランジスタが1個、シャント抵抗が複数設けられた場合のメイン電流の測定方法について説明する。なお、以下では、前述の実施の形態と重複する箇所については原則として説明は省略する。
図6は、本発明の実施の形態2に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。図6には、回路の要部として、パワートランジスタ21、センス回路30が示されている。
図6に示すように、センス回路30は、センストランジスタ31が設けられている。すなわち、センス回路30のセンストランジスタは1個である。
また、センス回路30は、スイッチトランジスタ(スイッチ回路)131,132も備えている。スイッチトランジスタ131,132は、メイン電流測定時、センス電流を流すシャント抵抗を切り換える回路素子である。スイッチトランジスタ131,132は、例えば、NMOS等の電界効果トランジスタで構成されている。また、スイッチトランジスタ131,132のオン抵抗の抵抗値は、シャント抵抗36,37の抵抗値より十分小さくなるよう設定する。
シャント抵抗36,37の一方の端部は、センストランジスタ31と接続されている。また、シャント抵抗36,37のセンストランジスタ31とは反対側の他方の端部は、スイッチトランジスタ(スイッチ回路)131,132の一方の端部とそれぞれ接続されている。このように、シャント抵抗36,37は、1対1に対応するスイッチトランジスタ131,132と直列に接続されている。
スイッチトランジスタ131,132のシャント抵抗とは反対側の他方の端部は、パワートランジスタ21の他方の端部及びバッテリパック1の端部1bと接続されている。また、スイッチトランジスタ131,132のゲートは、制御部40と接続されている。スイッチトランジスタ131,132は、充放電制御回路45によりオン・オフが制御される。
このように、シャント抵抗36,37は、スイッチトランジスタ131,132を介して並列に接続されている。また、センストランジスタ31は、並列に接続されたシャント抵抗36,37と直列に接続されている。
<メイン電流測定方法>
次に、本実施の形態におけるメイン電流測定方法について説明する。本実施の形態においても、図2のフローチャートを参照しつつ、実施の形態1とは異なる箇所を中心に説明する。また、実施の形態1と同様に、メイン電流測定に先立って、充放電制御回路45はパワートランジスタ21,22をオンし、負荷電流が流れているものとする。すなわち、センストランジスタ31もオンしている。なお、ステップS30〜S40は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
[ステップS10]
ステップS10では、充放電制御回路45は、スイッチトランジスタ131をオンし、スイッチトランジスタ132をオフする。このときのセンス電流が流れる経路は、センストランジスタ31から、シャント抵抗36、スイッチトランジスタ131を経由する経路である。
電圧測定部42は、シャント抵抗36の端部電圧Vs1,Vr1を測定し、測定した端部電圧Vs1,Vr1の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs1,Vr1に基づいて、シャント抵抗36の端部間電圧ΔV1を測定する。なお、電圧測定部42は、端部電圧Vr1の測定時、スイッチトランジスタ131の他方の端部の電圧を測定してもよい。前述したように、スイッチトランジスタ131のオン抵抗は、シャント抵抗36より抵抗値が十分小さいため、この電圧の電圧値を端部電圧Vr1の電圧値としても測定精度にほとんど影響はないからである。
[ステップS20]
ステップS20では、スイッチトランジスタ131をオフし、スイッチトランジスタ132をオンする。このときのセンス電流が流れる経路は、センストランジスタ31から、シャント抵抗37、スイッチトランジスタ132を経由する経路である。
電圧測定部42は、シャント抵抗37の端部電圧Vs2,Vr2を測定し、測定した端部電圧Vs2,Vr2の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs2,Vr2に基づいて、シャント抵抗37の端部間電圧ΔV2を測定する。なお、電圧測定部42は、端部電圧Vr2の測定時、スイッチトランジスタ132の他方の端部の電圧を測定してもよい。前述したように、スイッチトランジスタ132のオン抵抗は、シャント抵抗37より抵抗値が十分小さいため、この電圧の電圧値を端部電圧Vr2の電圧値としても測定精度にほとんど影響はないからである。
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、前述の実施の形態における各効果に加え、以下の効果が得られる。本実施の形態によれば、充放電制御回路45は、オンするスイッチトランジスタを切り換えながら、対応するシャント抵抗に流れるセンス電流の電流値と、端部間電圧の電圧値と、を測定する。この構成によれば、共通のセンストランジスタ31を介してそれぞれのセンス電流Is1,Is2を測定することができる。これにより、複数のセンストランジスタ間における特性のばらつきによるメイン電流Imainの測定精度低下を防ぐとともに、汎用的な2分割のマルチソースMOSでの構成が可能となる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、カレントミラー回路を用いてセンス電流を流しながらメイン電流の電流値を測定する方法について説明する。
図7は、本発明の実施の形態3に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。図7には、回路の要部として、パワートランジスタ21、センス回路30が示されている。
図7に示すように、センス回路30は、センストランジスタ31、カレントミラー回路235、スイッチ回路237、電流源239を備えている。
カレントミラー回路235は、リファレンス側と同じ電流値の電流を出力側に流すことができる回路ブロックである。カレントミラー回路235は、図7に示すように、リファレンス側トランジスタ235a、出力側トランジスタ235bを備えている。リファレンス側トランジスタ235a及び出力側トランジスタ235bは、例えば、NMOS等の電界効果トランジスタで構成されている。
リファレンス側トランジスタ235aの一方の端部(第3の端部)は、スイッチ回路237と接続されている。また、リファレンス側トランジスタ235aの一方の端部は、リファレンス側トランジスタ235a及び出力側トランジスタ235bのそれぞれのゲートと接続されている。
出力側トランジスタ235bの一方の端部は、センストランジスタ31の他方の端部と接続されている。したがって、センストランジスタ31及び出力側トランジスタ235bは直列に接続されている。また、リファレンス側トランジスタ235aの他方の端部、及び出力側トランジスタ235bの他方の端部(第4の端部)は、パワートランジスタ21の他方の端部と接続されている。
電流源239は、カレントミラー回路235のリファレンス側に所定の電流値の定常電流(リファレンス電流)を供給する回路ブロックである。電流源239は、図7に示すように、複数の電流供給回路239a,239bを備えている。電流供給回路239a,239bは電流値が既知で互いに異なるリファレンス電流を供給する。電流供給回路239aは、例えば、センス電流Is1と同じ電流値のリファレンス電流Ir1を供給する。また、電流供給回路239bは、例えば、センス電流Is2と同じ電流値のリファレンス電流Ir2を供給する。なお、図7では、2種類のリファレンス電流Ir1,Ir2を供給する場合が例示されているが、電流値が異なる3種類以上のリファレンス電流を流すことができるように構成されてもよい。
スイッチ回路237は、カレントミラー回路235へ供給する電流を切り換える回路素子である。スイッチ回路237は、例えば、それぞれの電流供給回路239a,239bと1対1に対応するスイッチング素子(図示は省略)で構成される。これらのスイッチング素子は、例えば、NMOS等の電界効果トランジスタで構成される。これらのスイッチング素子は、カレントミラー回路235と接続される。そして、これらのスイッチング素子のゲートは制御部40と接続される。スイッチング素子は、充放電制御回路45によるゲート電圧制御によりオン・オフが切り換えられる。スイッチ回路237は、これらのスイッチング素子のオン・オフにより、カレントミラー回路235へ供給するリファレンス電流を切り換える。
<メイン電流測定方法>
次に、本実施の形態におけるメイン電流方法について説明する。図2のフローチャートを参照しつつ、実施の形態1〜2とは異なる箇所を中心に説明する。また、実施の形態1〜2と同様に、メイン電流測定に先立って、充放電制御回路45はパワートランジスタ21及びセンストランジスタ31をオンしており、負荷電流が流れているものとする。なお、ステップS30〜S40は、実施の形態1〜2と同様であるので、説明は省略する。
[ステップS10]
ステップS10では、スイッチ回路237の電流供給回路239a側のスイッチング素子をオンする。これにより、カレントミラー回路235のリファレンス側トランジスタ235aには、電流供給回路239aからリファレンス電流Ir1が供給される。
そうすると、カレントミラー回路235の出力側では、センストランジスタ31及び出力側トランジスタ235bを経由する経路に、リファレンス電流Ir1と同じ電流値のセンス電流Is1が流れる。
電圧測定部42は、このときの出力側トランジスタ235bのそれぞれの端部の端部電圧Vs1,Vr1を測定し、測定した端部電圧Vs1,Vr1の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs1,Vr1に基づいて、出力側トランジスタ235bの端部間電圧ΔV1を測定する。
[ステップS20]
ステップS20では、スイッチ回路237の電流供給回路239b側のスイッチング素子をオンする。これにより、カレントミラー回路235のリファレンス側トランジスタ235aには、電流供給回路239bからリファレンス電流Ir2が供給される。
そうすると、カレントミラー回路235の出力側では、センストランジスタ31及び出力側トランジスタ235bを経由する経路に、リファレンス電流Ir2と同じ電流値のセンス電流Is2が流れる。
電圧測定部42は、このときの出力側トランジスタ235bのそれぞれの端部の端部電圧Vs2,Vr2を測定し、測定した端部電圧Vs2,Vr2の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs2,Vr2に基づいて、出力側トランジスタ235bの端部間電圧ΔV2を測定する。
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、前述の各実施の形態における各効果に加え、以下の効果が得られる。本実施の形態によれば、充放電制御回路45は、カレントミラー回路235のリファレンス側トランジスタ235aに流れるリファレンス電流を切り換えながら、出力側トランジスタ235bの端部間電圧の電圧値を測定する。この構成によれば、シャント抵抗を不要にでき、また半導体プロセスで製造可能な素子のみでの構成となるため、回路をワンチップ化することが可能となる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、シャント抵抗のキャリブレーション方法について説明する。図8は、本発明の実施の形態4におけるシャント抵抗のキャリブレーション方法を説明する図である。図8には、シャント抵抗36,37、制御部40、電流源450が示されている。また、シャント抵抗36,37のキャリブレーションは、メイン電流Imainの測定時以外のタイミングで実行される。
電源部450は、シャント抵抗36,37に対し、電流値が既知である所定のキャリブレーション電流を供給する。例えば、電源部450は、キャリブレーション電流Ic1をシャント抵抗36へ供給する。同様に、電源部450は、キャリブレーション電流Ic2をシャント抵抗37へ供給する。
電圧測定部42は、キャリブレーション電流の供給時におけるシャント抵抗36,37のそれぞれの端部間電圧を測定する。演算部41は、測定した端部間電圧と、既知のキャリブレーション電流Ic1,Ic2と、によってシャント抵抗の正確な抵抗値を較正データとして取得し、記憶部44へ格納する。あるいは、演算部41は、取得した較正データを内部でバッファリングしてもよい。
メイン電流Imainの測定時、演算部41は、取得した較正データに基づいて、センス電流を測定する。
本実施の形態によれば、センス電流をより一層高精度に測定することができるので、メイン電流Imainの測定精度をより一層向上させることが可能となる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5では、パワートランジスタがIGBT等のバイポーラトランジスタである場合について説明する。
図9は、本発明の実施の形態5に係るパワートランジスタを備えた回路の要部を示す図である。図9には、回路の要部として、パワートランジスタ521、センス回路30が示されている。センス回路30は、センストランジスタ531〜533、シャント抵抗36,37,538を備えている。
なお、本実施の形態においても、センストランジスタ531〜533は、パワートランジスタ20の構成要素でもある。
パワートランジスタ521、センストランジスタ531〜533は、IGBT等のバイポーラトランジスタで構成されている。センストランジスタ531〜533は、互いにセル数が等しいトランジスタである。そして、パワートランジスタ521のセル数は、センストランジスタ531〜533の「n」倍である。
パワートランジスタ521のコレクタは、センストランジスタ531〜533のコレクタと接続されている。センストランジスタ531,532,533のエミッタは、シャント抵抗36,37,538の一方の端部とそれぞれ接続されている。シャント抵抗36,37,538の他方の端部は、パワートランジスタ521のエミッタと接続されている。パワートランジスタ521、センストランジスタ531〜533のベースは、端子P1を介して制御部40と接続されている。
<メイン電流測定方法>
次に、本実施の形態におけるメイン電流測定方法について説明する。図10は、本発明の実施の形態5に係る電流測定方法のフローチャート図である。図10のフローチャートを参照しつつ、実施の形態1とは異なる箇所を中心に説明する。また、実施の形態1等と同様に、メイン電流測定に先立って、充放電制御回路45はパワートランジスタ521及びセンストランジスタ531〜533をオンしており、負荷電流が流れているものとする。なお、ステップS40は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
[ステップS10〜S20]
演算部41は、端部電圧Vs1,Vr1に基づいて、シャント抵抗36の端部間電圧ΔV1、センス電流Is1を測定する。
また、演算部41は、端部電圧Vs2,Vr2に基づいて、シャント抵抗37の端部間電圧ΔV2、センス電流Is2を測定する。
[ステップS525]
電圧測定部42は、シャント抵抗538の端部電圧Vs3,Vr3を測定し、測定した端部電圧Vs3,Vr3の電圧値を演算部41へ供給する。演算部41は、端部電圧Vs3,Vr3に基づいて、シャント抵抗538の端部間電圧ΔV3、センス電流Is3を測定する。
[ステップS30]
充放電制御回路45は、測定されたセンス電流Is1〜Is3、及びセンストランジスタ531〜533の端部電圧Vs1〜Vs3に基づいて、センストランジスタ531(532,533)の電流電圧特性を取得する。
図11は、本発明の実施の形態5に係るセンストランジスタの電流電圧特性の例を示す図である。図11の横軸はセンス電流Isであり、図11の縦軸はシャント抵抗の端部間電圧ΔVである。
図11には、一例として、抵抗値が異なる3つのシャント抵抗Rs1,Rs2,Rs3を用いた場合の測定値がプロットされている。なお、プロットされた測定値は、コレクタ電圧Vc及びベース電圧Vbが一定の状態で測定されたものである。
図11に示すように、バイポーラトランジスタの電流電圧特性は、MOSFETの場合とは異なり直線状にはならない。このため、センストランジスタがバイポーラトランジスタである場合には、少なくとも3種類のデータを用いて、例えば二次曲線等でフィッテングすることにより電流電圧特性を取得する。
インバータ等の用途でバイポーラトランジスタを用いる場合は、一般的にバイポーラトランジスタと逆並列にダイオードを接続する。したがって、この場合にはMOSFETとは異なり、メイン電流Imainはコレクタからエミッタへ流れる場合のみ測定可能である。
本実施の形態によれば、パワートランジスタ521がバイポーラトランジスタである場合にも、電流の流れる方向に制限はあるが、メイン電流Imainを正確に測定することが可能である。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について説明する。実施の形態6では、電流電圧特性に基づいて、ジャンクション温度を測定する方法について説明する。
これまでに述べた各実施の形態では、センストランジスタの電流電圧特性に基づいて、シャント抵抗の端部間電圧がゼロのときのセンス電流Is0を算出することにより、メイン電流Imainを測定する。一方、図4の電流電圧特性によれば、センス電流がゼロのときの端部間電圧を算出することができる。このときの端部間電圧ΔV0は、パワートランジスタ21のドレイン電圧Vdとソース電圧Vpsの電位差に等しくなる。
そこで、演算部41は、センス電流がゼロの時の端部間電圧ΔV0(=Vd−Vps)と、メイン電流Imainに基づいて、パワートランジスタ21のオン抵抗Ron(=ΔV0/Imain)を算出する。そして、演算部41は、予め測定された温度係数、及び測定したオン抵抗Ronに基づいて、ジャンクション温度を測定する。
また、センストランジスタのオン抵抗を算出することでも、ジャンクション温度を測定することが可能である。具体的には、センストランジスタのソース側端部の電圧Vsにより、オン抵抗は、Ron=(Vd−Vs)/Isとなる。このオン抵抗と温度係数により、ジャンクション温度の測定が可能である。
本実施の形態によれば、メイン電流Imain測定時に取得した情報に基づいてジャンクション温度を測定することができるので、温度変化に対する応答性を格段に向上させることが可能となる。また、これにより、温度異常を従来よりも短時間で検出することができるので、システムを安全に停止させることができ、システムの信頼性を向上させることが可能となる。
また、パッケージ内でジャンクション温度を直接測定することができるので、ジャンクション温度の測定精度を向上させることが可能となる。これにより、システムの過剰な温度設計マージンの削減や、熱設計が容易化されることにより、システムの小型化やコストの低減が実現される。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
[付記]
以下に本発明の好ましい態様について付記する。
パワートランジスタのゲートと、前記パワートランジスタと並列に接続され、出力が前記パワートランジスタに流れる電流値をモニタするセンストランジスタのゲートとに接続される第1の端子と、
前記センストランジスタに接続された第1のシャント抵抗の両端にそれぞれ接続される第2の端子および第3の端子と、
前記センストランジスタに前記第1のシャント抵抗と並列に接続され、前記第1のシャント抵抗と異なる抵抗値を有する第2のシャント抵抗の両端にそれぞれ接続される第4の端子および第5の端子と、
前記第2、第3、第4、第5の端子と接続され、前記第1のシャント抵抗間の電圧及び前記第2のシャント抵抗間の電圧を測定する電圧測定部と、
測定した前記電圧から前記パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定し、前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタを制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記第1及び第2のシャント抵抗に流れるセンス電流の電流値と、前記センス電流の測定時における、前記第1のシャント抵抗間の前記電圧及び前記第2のシャント抵抗間の前記電圧を測定し、前記センス電流の前記電流値及び測定した前記電圧の電圧値に基づいて前記メイン電流の前記電流値を測定し、
前記第3の端子と前記第5の端子とは、同一の端子である、
半導体装置。
10…バッテリセル、20〜22…パワートランジスタ、30…センス回路、31,32,531〜533…センストランジスタ、36,37,538…シャント抵抗、40…制御部、235…カレントミラー回路、235a…リファレンス側トランジスタ、235b…出力側トランジスタ、P1〜P6…端子

Claims (20)

  1. パワートランジスタと並列に接続され、前記パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定するセンス回路と、
    制御部と、
    を備え、
    前記センス回路では、センストランジスタと、並列接続された抵抗値が異なる複数のシャント抵抗とが直列に接続され、
    前記制御部は、それぞれの前記シャント抵抗に流れるセンス電流の電流値と、前記センス電流の測定時における、前記シャント抵抗の前記センストランジスタ側の第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部との間の端部間電圧の電圧値を測定し、前記センス電流の前記電流値及び前記端部間電圧の前記電圧値に基づいて前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記制御部は、前記端部間電圧がゼロであるとした場合の前記センス電流の前記電流値を算出することにより、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  3. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記制御部は、測定した前記センス電流の複数の前記電流値と、対応する複数の前記端部間電圧とに基づいて、前記センストランジスタの電流電圧特性を取得し、取得した前記電流電圧特性に基づいて、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  4. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記センストランジスタのセル数は、前記パワートランジスタのセル数より少ない、
    半導体装置。
  5. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記センス回路は、並列に接続され、同一セル数の複数の前記センストランジスタを有し、それぞれの前記センストランジスタは、1対1に対応する前記シャント抵抗と直列に接続されている、
    半導体装置。
  6. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記センス回路は、1個の前記センストランジスタを有し、
    前記センストランジスタは、並列に接続された複数の前記シャント抵抗と直列に接続され、
    それぞれの前記シャント抵抗には、1対1に対応するスイッチ回路が直列に接続され、
    前記制御部は、オンする前記スイッチ回路を切り換えながら、対応するシャント抵抗に流れる前記センス電流の前記電流値と、前記端部間電圧の前記電圧値と、を測定する、
    半導体装置。
  7. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記メイン電流の測定時以外のタイミングにおいて、電流値が既知のキャリブレーション電流が前記シャント抵抗に供給され、
    前記制御部は、前記キャリブレーション電流の供給時における前記シャント抵抗の前記端部間電圧に基づく前記シャント抵抗の抵抗値を較正データとして取得し、取得した前記較正データに基づいて前記メイン電流の測定時における前記センス電流を測定する、
    半導体装置。
  8. パワートランジスタと並列に接続され、前記パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定するセンス回路と、
    制御部と、
    を備え、
    前記センス回路は、カレントミラー回路を有し、
    前記カレントミラー回路の出力側トランジスタは、センストランジスタと直列に接続され、
    前記制御部は、前記カレントミラー回路のリファレンス側トランジスタに流れるリファレンス電流の電流値を切り換えながら、前記出力側トランジスタにセンス電流を流し、前記センス電流が流れているときにおける、前記出力側トランジスタの前記センストランジスタ側の第3の端部と、前記第3の端部とは反対側の第4の端部との間の端部間電圧の電圧値を測定し、前記電流値及び前記端部間電圧の前記電圧値に基づいて前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  9. 請求項8に記載の半導体装置において、
    前記制御部は、前記端部間電圧がゼロであるとした場合の前記センス電流の前記電流値を算出することにより、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  10. 請求項8に記載の半導体装置において、
    前記制御部は、測定した前記センス電流の複数の電流値と、対応する複数の前記端部間電圧とに基づいて、前記センストランジスタの電流電圧特性を取得し、取得した前記電流電圧特性に基づいて、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  11. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記センストランジスタは、MOSFETで構成されている、
    半導体装置。
  12. 請求項3に記載の半導体装置において、
    前記制御部は、前記電流電圧特性に基づいて、前記センス電流をゼロであるとした場合の前記端部間電圧を算出し、算出した前記センス電流をゼロであるとした場合の前記端部間電圧と、前記メイン電流又は前記センス電流に基づいて、前記パワートランジスタ又は前記センストランジスタのオン抵抗を算出し、前記オン抵抗及び温度係数に基づいてジャンクション温度を測定する、
    半導体装置。
  13. パワートランジスタと並列に接続され、前記パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定するセンス回路と、
    を備え、
    前記センス回路では、センストランジスタと、並列接続された抵抗値が異なる複数のシャント抵抗とが直列に接続された、半導体装置における測定方法であって、
    それぞれの前記シャント抵抗の前記センストランジスタ側の第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部との間の端部間電圧の電圧値を測定し、
    測定した前記端部間電圧の前記電圧値に基づいて、それぞれの前記シャント抵抗に流れるセンス電流の電流値を測定し、
    測定した前記センス電流の前記電流値及び前記端部間電圧の前記電圧値に基づいて前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    測定方法。
  14. 請求項13に記載の測定方法において、
    前記端部間電圧がゼロであるとした場合の前記センス電流の前記電流値を算出することにより、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    測定方法。
  15. 請求項13に記載の測定方法において、
    測定した前記センス電流の複数の前記電流値と、対応する複数の前記端部間電圧とに基づいて、前記センストランジスタの電流電圧特性を取得し、
    取得した前記電流電圧特性に基づいて、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    測定方法。
  16. 請求項15に記載の測定方法において、
    前記電流電圧特性に基づいて、前記センス電流をゼロであるとした場合の前記端部間電圧を算出し、
    算出した前記センス電流をゼロであるとした場合の前記端部間電圧と、前記メイン電流又は前記センス電流に基づいて、前記パワートランジスタ又は前記センストランジスタのオン抵抗を算出し、
    前記オン抵抗及び温度係数に基づいてジャンクション温度を測定する、
    測定方法。
  17. パワートランジスタのゲートと、前記パワートランジスタと並列に接続され、出力が前記パワートランジスタに流れる電流値をモニタするセンストランジスタのゲートとに接続される第1の端子と、
    前記センストランジスタに接続された第1のシャント抵抗の両端にそれぞれ接続される第2の端子および第3の端子と、
    前記センストランジスタに前記第1のシャント抵抗と並列に接続され、前記第1のシャント抵抗と異なる抵抗値を有する第2のシャント抵抗の両端にそれぞれ接続される第4の端子および第5の端子と、
    前記第2、第3、第4、第5の端子と接続され、前記第1のシャント抵抗間の電圧及び前記第2のシャント抵抗間の電圧を測定する電圧測定部と、
    測定した前記電圧から前記パワートランジスタに流れるメイン電流の電流値を測定し、前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタを制御する制御回路と、
    を有し、
    前記制御回路は、前記第1及び第2のシャント抵抗に流れるセンス電流の電流値と、前記センス電流の測定時における、前記第1のシャント抵抗間の前記電圧及び前記第2のシャント抵抗間の前記電圧を測定し、前記センス電流の前記電流値及び測定した前記電圧の電圧値に基づいて前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  18. 請求項17に記載の半導体装置において、
    前記制御回路は、前記第1のシャント抵抗間電圧及び前記第2のシャント抵抗間電圧がゼロであるとした場合の前記センス電流の前記電流値を算出することにより、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  19. 請求項18に記載の半導体装置において、
    前記制御回路は、前記第1及び第2のシャント抵抗に流れる前記センス電流の複数の前記電流値と、前記センス電流の測定時における、前記第1のシャント抵抗間電圧及び前記第2のシャント抵抗間電圧とに基づいて前記センストランジスタの電流電圧特性を取得し、取得した前記電流電圧特性に基づいて、前記メイン電流の前記電流値を測定する、
    半導体装置。
  20. 請求項19に記載の半導体装置において、
    前記制御回路は、前記電流電圧特性に基づいて、前記センス電流をゼロであるとした場合の前記第1のシャント抵抗間電圧又は前記第2のシャント抵抗間電圧を算出し、前記算出した電圧と、前記メイン電流又は前記センス電流に基づいて、前記パワートランジスタ又は前記センストランジスタのオン抵抗を算出し、前記オン抵抗及び温度係数に基づいてジャンクション温度を測定する、
    半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113300426A (zh) * 2021-04-27 2021-08-24 珠海迈巨微电子有限责任公司 功率器件、电池管理系统及检测电路
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