JP2019117613A - 価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置 - Google Patents

価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置 Download PDF

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Shino Tokuyo
志野 徳世
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Abstract

【課題】所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置を提供する。【解決手段】価値算出方法は、地域の入力を受け付ける処理をコンピュータが実行する。価値算出方法は、受け付けた地域の植生に関する植生情報を取得する処理をコンピュータが実行する。コンピュータは、植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを有する。価値算出方法は、価値データベースを参照し、取得した植生情報に対応するグループに基づいて、地域の生態系サービスの価値を算出する処理をコンピュータが実行する。価値算出方法は、算出した生態系サービスの価値を出力する処理をコンピュータが実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置に関する。
近年、企業等の事業活動によって無料または安価に使える資源として過剰に利用されてきた自然環境について、持続的により価値の高い恵みを得るために、自然資本として企業等の会計に組み入れようという動きが進んでいる。環境白書によれば、自然資本は、森林、土壌、水、大気、生物資源など、自然によって形成される資本のことであり、自然資本から生み出されるフローを生態系サービスとして捉えることができる。ところが、生態系サービスや、その基盤となる生物多様性は、その価値を1つの指標に定量化することが難しく、様々な評価方法が提案されている。
例えば、緑地を利用する人間を行動に基づいてクラスタ分析し、行動クラスタごとの緑地の環境に対する価値と、人間の意識との間で回帰分析することで、緑地の価値を評価することが提案されている。また、例えば、評価対象地域の動物相および植物相を含む自然資本の保全に対する支払意志額に基づいて、自然資本の価値を求めることが提案されている。また、例えば、複数の生態系サービスについて、経済価値の評価方法に応じたパラメータに基づいて、経済価値を算出することが提案されている。
特開2016−031546号公報 特開2015−146112号公報 特開2014−026507号公報
しかしながら、植物相については、従来よりリモートセンシング等によって、例えば森林の面積等の定量化が進められているが、動物相については、絶滅危惧種、希少種および外来種等の特定の動物種ごとの生息調査が行われている程度である。このため、動物相全体の生息状況を把握することが困難であり、例えば所定の面積のメッシュで区切られた所定の地域について、動植物の価値が高いのか、あるいは低いのかを評価することが困難である。
一つの側面では、所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置を提供することにある。
一つの態様では、価値算出方法は、地域の入力を受け付ける処理をコンピュータが実行する。価値算出方法は、受け付けた前記地域の植生に関する植生情報を取得する処理をコンピュータが実行する。コンピュータは、前記植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する前記植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを有する。価値算出方法は、前記価値データベースを参照し、取得した前記植生情報に対応する前記グループに基づいて、前記地域の生態系サービスの価値を算出する処理をコンピュータが実行する。価値算出方法は、算出した前記生態系サービスの価値を出力する処理をコンピュータが実行する。
所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる。
図1は、実施例の価値算出装置の構成の一例を示すブロック図である。 図2は、植生DBの一例を示す図である。 図3は、生息情報DBの一例を示す図である。 図4は、分類テーブル記憶部の一例を示す図である。 図5は、価値DBの一例を示す図である。 図6は、植生図の一例を示す図である。 図7は、植生自然度の分類の一例を示す図である。 図8は、ニホンジカの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。 図9は、ニホンジカの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。 図10は、動物aの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。 図11は、動物bの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。 図12は、動物cの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。 図13は、動物aの植生グループによる分類の一例を示す図である。 図14は、動物bの植生グループによる分類の一例を示す図である。 図15は、動物cの植生グループによる分類の一例を示す図である。 図16は、動物aの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。 図17は、動物b,cの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。 図18は、生態系サービスの一例を示す図である。 図19は、樹種の引き抜き抵抗力に関する評価点の一例を示す図である。 図20は、立木密度に関する評価点の一例を示す図である。 図21は、胸高直径に関する評価点の一例を示す図である。 図22は、二酸化炭素の吸収に関するパラメータの一例を示す図である。 図23は、樹木による炭素吸収量の一例を示す図である。 図24は、森林のモデルの一例を示す図である。 図25は、植生の経年変化の一例を示す図である。 図26は、表示画面の一例を示す図である。 図27は、表示画面の他の一例を示す図である。 図28は、分類テーブル生成処理の一例を示すフローチャートである。 図29は、価値算出処理の一例を示すフローチャートである。 図30は、価値算出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
以下、図面に基づいて、本願の開示する価値算出方法、価値算出プログラムおよび価値算出装置の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
図1は、実施例の価値算出装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す価値算出装置100は、入力された地域における動物種の生息適性を判定するとともに、当該地域の植生に基づく生態系サービスの価値を算出する情報処理装置の一例である。価値算出装置100は、例えば、据置型や可搬型のパーソナルコンピュータを用いることができる。また、価値算出装置100は、可搬型の端末としては、上記の可搬型のパーソナルコンピュータの他にも、例えば、タブレット端末を採用することもできる。
価値算出装置100は、地域の入力を受け付ける。価値算出装置100は、受け付けた地域の植生に関する植生情報を取得する。価値算出装置100は、植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを有する。価値算出装置100は、価値データベースを参照し、取得した植生情報に対応するグループに基づいて、地域の生態系サービスの価値を算出する。価値算出装置100は、算出した生態系サービスの価値を出力する。これにより、価値算出装置100は、所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる。
次に、価値算出装置100の構成について説明する。図1に示すように、価値算出装置100は、通信部110と、表示部111と、操作部112と、入出力部113と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、価値算出装置100は、図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイス等の機能部を有することとしてもかまわない。
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、図示しないネットワークを介して他の情報処理装置と有線または無線で接続され、他の情報処理装置との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、他の情報処理装置から植生情報、生息情報および価値情報等を受信する。通信部110は、受信した植生情報、生息情報および価値情報等を制御部130に出力する。
表示部111は、各種情報を表示するための表示デバイスである。表示部111は、例えば、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。表示部111は、制御部130から入力された表示画面等の各種画面を表示する。
操作部112は、価値算出装置100のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。操作部112は、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現される。操作部112は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部130に出力する。なお、操作部112は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現されるようにしてもよく、表示部111の表示デバイスと、操作部112の入力デバイスとは、一体化されるようにしてもよい。
入出力部113は、例えば、メモリカードR/W(Reader/Writer)である。入出力部113は、通信部110で受信する植生情報、生息情報および価値情報等の代わりに、メモリカードに記憶された植生情報、生息情報および価値情報等を読み出して制御部130に出力するようにしてもよい。また、入出力部113は、例えば、制御部130から出力された生息適性度の評価結果、生態系サービスの価値および資本価値をメモリカードに記憶する。なお、メモリカードとしては、例えばSDメモリカード等を用いることができる。
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、植生データベース121と、生息情報データベース122と、分類テーブル記憶部123と、価値データベース124とを有する。なお、以下の説明では、データベースをDBと表す場合がある。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
植生DB121は、例えば山地の森林地域にどのような植物が生育しているのかを示す植生データ、つまり植生情報を記憶する。図2は、植生DBの一例を示す図である。図2に示すように、植生DB121は、「格子点ID(Identifier)」、「東経」、「北緯」、「森林計画区」、「土地利用」、「標高」、「斜面方位」、「斜面傾斜」、「林齢」、「優占樹種(相観)1」、「優占樹種(相観)2」といった項目を有する。また、植生DB121は、「下層植生出現種数」、「低木層植被率」、「草本層植被率」といった項目を有する。植生DB121は、例えば、林野庁の調査データや環境省の生物多様性センター等のオープンデータを用いることができる。また、植生DB121は、より詳細な地域固有のデータを用いてもよい。植生DB121は、例えば、格子点ごとに1レコードとして記憶する。
「格子点ID」は、例えば森林生態系多様性基礎調査で用いられる調査地を識別する識別子である。「東経」および「北緯」は、それぞれ経度および緯度を示す情報である。「森林計画区」は、森林法に基づく区域の情報である。「土地利用」は、当該格子点における土地利用を示す情報である。「標高」は、当該格子点における標高を示す情報であり、単位はmである。「斜面方位」は、当該格子点における斜面の方位を示す情報である。「斜面傾斜」は、当該格子点における斜面の傾斜を示す情報であり、単位は度である。「林齢」は、当該格子点における森林の年齢を示す情報である。「優占樹種(相観)1」および「優占樹種(相観)2」は、当該格子点内に出現する樹種の胸高断面積の合計が30%以上を占める樹種、つまり植物群落を外から見たときの特徴となる樹種を示す情報である。「下層植生出現種数」は、当該格子点における森林での低木および草本類で構成される植物集団について、出現する植物種の数を示す情報である。「低木層植被率」は、植物群落の低木層の植物が当該格子点内の標本とする面積のどれだけを覆っているかを示す情報であり単位は%である。「草本層植被率」は、植物群落の草本層の植物が当該格子点内の標本とする面積のどれだけを覆っているかを示す情報であり、単位は%である。
図1の説明に戻って、生息情報DB122は、例えば各地域における動物の目撃情報を集計した生息情報を記憶する。図3は、生息情報DBの一例を示す図である。図3に示すように、生息情報DB122は、「種名」、「5kmメッシュコード」、「確認調査」といった項目を有する。生息情報DB122は、例えば、環境省の生物多様性センター等のオープンデータを用いることができる。また、生息情報DB122は、より詳細な地域固有のデータを用いてもよい。生息情報DB122は、例えば、5kmメッシュコードごとに1レコードとして記憶する。
「種名」は、動物種の名前を示す情報である。「5kmメッシュコード」は、生物多様性センターにおける自然環境保全基礎調査の動植物分布調査で用いるメッシュを識別する識別子である。「確認調査」は、動植物分布調査において、当該動物種が確認されたか否かを示す情報である。図3の1行目の例では、5kmメッシュコード「39272127」のメッシュにおいて、「ニホンジカ」が「第2回と第6回で確認」されたことを示す。
図1の説明に戻って、分類テーブル記憶部123は、動物種ごとに、当該動物種の生態に応じた植生ごとの生息適性と、当該動物種の生態とを対応付けた分類テーブルを記憶する。図4は、分類テーブル記憶部の一例を示す図である。図4に示すように、分類テーブル記憶部123は、「動物種」、「生息適性」、「生態」といった項目を有する。分類テーブル記憶部123は、例えば、動物種ごとに1レコードとして記憶する。
「動物種」は、動物種を識別する識別子である。なお、「動物種」は、動物種の名前を用いてもよい。「生息適性」は、動物種がどの様な植生において生息適性度が高いか否かを示す情報である。「生息適性」は、生息適性が低い順から「1」〜「5」で表され、「1」が最も生息適性度が低く、「5」が最も生息適性度が高くなる。また、植生を表す「I」〜「V」は、植生自然度をグループに分類した植生グループである。「I」は、植生自然度が最も低い市街地を示し、以降、農地、草地、人工林の順に植生自然度が高くなり、「V」は植生自然度が最も高い自然林を示す。「生態」は、動物種の食性や生息域等を示す情報である。図4の1行目の例では、動物種「A」は、植生自然度が「I」、「II」、「III」、「IV」、「V」の順に、生息適性が高くなる。すなわち、動物種「A」は、市街地が最も生息適性が低く、順に、農地、草地、人工林と生息適性が高くなり、自然林が最も生息適性が高くなる。
図1の説明に戻って、価値DB124は、植生グループに応じた生態系サービスの価値を記憶する。図5は、価値DBの一例を示す図である。図5に示す価値DB124は、生態系サービスの価値のうち、調整サービスに分類される表面侵食防止機能および表層崩壊防止機能の価値を表すデータベースの一例である。なお、価値DB124は、生態系サービスの他の項目に対応するデータベースを含んでも構わない。図5に示すように、価値DB124は、「植生グループ」、「樹種」、「立木密度」、「胸高直径」、「総合点」、「機能強度」、「機能の価値」といった項目を有する。
「植生グループ」は、分類テーブル記憶部123の生息適性の項目で用いた「I」〜「V」に対応し、植生自然度をグループに分類した植生グループである。つまり、「I」は、植生自然度が最も低い市街地を示し、以降、農地、草地、人工林の順に植生自然度が高くなり、「V」は植生自然度が最も高い自然林を示す。「樹種」は、樹種の引き抜き抵抗力に関する評価点を示す情報である。「立木密度」は、立木密度に関する評価点を示す情報である。「胸高直径」は、胸高直径に関する評価点を示す情報である。「総合点」は、樹種、立木密度および胸高直径の評価点の積で求められた点数を示す情報である。「機能強度」は、総合点が最大の樹種林を「1」として、他の樹種林を「1」未満の比率で表した情報である。「機能の価値」は、無林地と有林地の表層崩壊面積の差に基づく表層崩壊防止機能の価値の原単位と、機能強度との積であり、その樹種林の価値の単位を示す情報である。なお、植生グループが同じ値で複数行あるものは、樹種、立木密度および胸高直径で表される森林の状態が異なるサンプルを表す。つまり、価値DB124を参照する場合には、植生グループと植生情報とに基づいて、最も近い森林の状態のサンプル(行)を参照して機能の価値を求めることになる。
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
制御部130は、第1生成部131と、第2生成部132と、受付部133と、取得部134と、判定部135と、算出部136と、出力制御部137とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130は、通信部110を介して、予め図示しない他の情報処理装置から植生情報、生息情報および価値情報等を取得して、植生DB121、生息情報DB122および価値DB124の情報を更新するようにしてもよい。
第1生成部131は、分類テーブルを生成する。第1生成部131は、通信部110を介して、図示しない生物多様性センター等の他のサーバから植生情報および生息情報等を取得して、植生DB121および生息情報DB122に、それぞれ記憶する。第1生成部131は、植生DB121を参照し、植生情報に基づく植生図を生成する。なお、植生図は、植生情報に植生図が含まれる場合には、植生情報に含まれる植生図を用いてもよいし、植生自然度を用いてもよい。植生自然度区分基準は、人為の影響度合いにより植生を区分して10段階で定義されており、所定エリアの植生自然度を決定する方法は複数ある。例えば、小円選択法により1kmメッシュ単位で植生自然度を区分した結果は、生物多様性センター(https://www.biodic.go.jp/kiso/vg/vg_kiso.html)に公開されている。ここでは、メッシュにおける占有面積率や優先樹種に着目してそのメッシュの代表植生を決定し、決定した代表植生に基づき、植生自然度区分基準を参照してメッシュの植生自然度として特定する。すなわち、第1生成部131は、植生図に基づいて、例えば、植生DB121の「格子点ID」で表される10km四方の二次メッシュを用いて、メッシュごとに当該メッシュを代表する植生を決定する。なお、第1生成部131は、二次メッシュをさらに1km四方に分割したメッシュを用いてもよい。第1生成部131は、例えば、メッシュにおける面積比率が最も高い樹種を代表する植生とする。また、第1生成部131は、例えば、植生DB121の「優占樹種(相観)1」の樹種を代表する植生としてもよい。第1生成部131は、メッシュごとの代表する植生を決定すると、決定した代表する植生に基づいて、各メッシュの植生自然度を特定する。
ここで、図6および図7を用いて、植生図および植生自然度について説明する。図6は、植生図の一例を示す図である。図6に示す植生図11は、ある地域における二次メッシュの植生を示す植生図の一例である。植生図11は、例えば、樹種や針葉樹、広葉樹といった分類に基づいて塗り分けられている。
図7は、植生自然度の分類の一例を示す図である。図7は、植生自然度を植生に応じて10段階で分類したものである。図7に示すように、植生自然度は、市街地等の「1」から順に、耕作地等の「2」、果樹園等の「3」というように自然度が高くなり、高山風衝低木群落である高山ハイデ等の「10」が最も植生自然度が高くなる。
第1生成部131は、例えば、図6の植生図11の二次メッシュ12における面積比率が最も高い樹種を、二次メッシュ12を代表する植生に決定する。次に、第1生成部131は、図7の植生自然度の分類に基づいて、決定した代表する植生がどの植生自然度に分類されるかを特定する。第1生成部131は、同様に、取得した植生情報の地域の全メッシュについて同様に植生自然度を特定する。また、第1生成部131は、取得した植生情報の地域における各植生自然度のメッシュの数を特定する。なお、分類テーブルを生成するにあたっては、植生情報を取得する地域は、なるべく広範囲であることが望ましい。例えば、第1生成部131は、日本全国における植生情報を取得し、日本全国の各メッシュの植生自然度を特定する。なお、植生情報を取得する地域は、全世界であってもよい。
次に、第1生成部131は、生息情報DB122を参照し、生息情報に基づいて動物種ごとに当該動物種が存在するメッシュを特定する。第1生成部131は、特定したメッシュを植生自然度ごとに分類し、植生自然度ごとの当該動物種が存在するメッシュの数を特定する。第1生成部131は、特定した植生自然度ごとの動物種が存在するメッシュの数と、取得した植生情報の地域における各植生自然度のメッシュの数とに基づいて、下記の式(1)を用いて、植生自然度ごとの当該動物種の生息率を算出する。すなわち、第1生成部131は、生息情報に基づいて、植生自然度ごとに動物種の生息率を算出する。
動物種の生息率=ある植生自然度における動物種が存在するメッシュの数
/ある植生自然度のメッシュの総数 ・・・(1)
言い換えると、第1生成部131は、所定の地域の植生を地図上に表わした植生図における所定の面積のメッシュごとに、該メッシュを代表する植生を決定して植生自然度を求める。また、第1生成部131は、それぞれの植生自然度ごとに、動物種が存在するメッシュの数と、植生自然度のメッシュの総数とに基づいて、動物種の生息率を算出する。
ここで、図8を用いて、植生自然度ごとの動物種の生息率について説明する。図8は、ニホンジカの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。図8は、例えば、ニホンジカについて植生自然度ごとの生息率をグラフ化したものである。図8では、概ね植生自然度が高くなると、ニホンジカの生息率も高くなる傾向であるが、例えば、直線で定量化するには、バラツキが大きい状態である。そこで、第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類し、分類した植生グループと、ニホンジカの生息率とを対応付ける。
まず、第1生成部131は、10段階の植生自然度を、植生自然度「1」について市街地を示す植生グループ「I」に分類し、類似する植生自然度「2」および「3」について農地を示す植生グループ「II」に分類する。また、第1生成部131は、類似する植生自然度「4」および「5」について草地を示す植生グループ「III」に分類し、類似する植生自然度「6」および「7」について人工林を示す植生グループ「IV」に分類する。また、第1生成部131は、類似する植生自然度「8」および「9」について自然林を示す植生グループ「V」に分類する。なお、植生自然度「10」は、シカ等の大型動物やキツネ等の小型動物の生息が困難であるため、植生グループには分類しない。また、各植生グループの動物種の生息率は、例えば、同じ植生グループに属する植生自然度における、動物種の生息率の平均値を用いることができる。
図9を用いて、ニホンジカの生息率を植生グループごとに対応付けた場合を説明する。図9は、ニホンジカの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。図9のグラフでは、植生グループをニホンジカの生息率が低いグループから順に並べると、概ね直線上に乗ることが判る。つまり、第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類し、動物種の生息率が低い順から並べて直線を引くことで、動物種の生息率を定量化できる。すなわち、第1生成部131は、動物種の生態に応じて植生グループの順位を入れ替える。なお、図9の例のように、植生自然度を植生グループに分類すると動物種の生息率が低い順となっている場合には、植生グループの順位は入れ替えなくてもよい。第1生成部131は、入れ替えた植生グループの順位を生息適性の順位とし、各植生グループを動物種と対応付けて分類テーブル記憶部123に記憶する。なお、第1生成部131は、動物種の生態に関する情報についても動物種と対応付けて分類テーブル記憶部123に記憶する。
ここで、図10から図17を用いて、他の動物種における生息適性の分類テーブルの生成について説明する。図10から図12は、動物a,b,cのそれぞれの植生自然度ごとの生息率の一例を示す図である。図10は、動物a、例えばタヌキについて植生自然度ごとの生息率をグラフ化したものである。図11は、動物b、例えばキツネについて植生自然度ごとの生息率をグラフ化したものである。図12は、動物c、例えばニホンザルについて植生自然度ごとの生息率をグラフ化したものである。図10から図12では、図8のニホンジカの例とは異なり、植生自然度の順番と動物aの生息率とは特定の傾向が見られず無関係となる状態である。そこで、第1生成部131は、ニホンジカの場合と同様に、植生自然度を植生グループ「I」から「V」に分類し、分類した植生グループと、動物a,b,cのそれぞれの生息率とを対応付ける。
図13から図15は、動物a,b,cのそれぞれの植生グループによる分類の一例を示す図である。図13から図15に示すように、第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類し、分類した植生グループに生息適性が低い順に順位を付ける。なお、図13から図15では、順位との混同を避けるため、植生グループは「I」から「V」に対応する市街地、農地、草地、人工林および自然林と記している。
図13では、生息適性が低い順の順位は、1位が自然林(植生グループ「V」)、2位が草地(植生グループ「III」)、3位が市街地(植生グループ「I」)、4位が農地(植生グループ「II」)、5位が人工林(植生グループ「IV」)となる。図14では、生息適性が低い順の順位は、1位が市街地(植生グループ「I」)、2位が自然林(植生グループ「V」)、3位が草地(植生グループ「III」)、4位が農地(植生グループ「II」)、5位が人工林(植生グループ「IV」)となる。図15では、生息適性が低い順の順位は、1位が市街地(植生グループ「I」)、2位が自然林(植生グループ「V」)、3位が草地(植生グループ「III」)、4位が農地(植生グループ「II」)、5位が人工林(植生グループ「IV」)となる。このように、生息適性の順位は、例えば動物種によって食性が異なるために差異が発生する。つまり、生息適性の順位は、食性を含む生態が類似すると、同一または類似する順位となる傾向にある。
図16は、動物aの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。図16のグラフは、動物aについて分類した植生グループを生息適性が低い順に順位を入れ替えて、植生グループごとの生息率をプロットしたものである。すなわち、図16では、植生グループの生息適性が低い順は、「V」、「III」、「I」、「II」、「IV」となる。すると、図16に示すように、動物aの生息率が概ね直線上に乗ることが判る。つまり、第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類し、動物aの生態に応じて植生グループの順位を入れ替えて、動物aの生息率が低い順から並べて直線を引くことで、動物種の生息率を定量化できる。第1生成部131は、入れ替えた植生グループの順位を生息適性の順位とし、各植生グループを動物種と対応付けて分類テーブル記憶部123に記憶する。
図17は、動物b,cの植生グループごとの生息率の一例を示す図である。図17のグラフは、動物b,cについて分類した植生グループを生息適性が低い順に順位を入れ替えて、植生グループごとの生息率をプロットしたものである。つまり、図14および図15に示すように、動物bと動物cとは、生息率の値は異なるが、植生グループの順位は同じであるので、同一のグラフ上に生息率をプロットできる。つまり、動物bと動物cとは、植生自然度と生息適性との対応順が同一である。
図17では、植生グループの生息適性が低い順は、「I」、「V」、「III」、「II」、「IV」となる。すると、図17に示すように、動物b,cの生息率が、それぞれ概ね直線上に乗ることが判る。また、動物bと動物cとは、生態が類似していることが判る。つまり、第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類し、動物b,cの生態に応じて植生グループの順位を入れ替えて、動物b,cの生息率が低い順から並べて直線を引くことで、動物種の生息率を定量化できる。第1生成部131は、入れ替えた植生グループの順位を生息適性の順位とし、各植生グループを動物種と対応付けて分類テーブル記憶部123に記憶する。また、上述のように、類似する生態を持つ動物種は、既に分類テーブルを生成した動物種のグラフに対して、例えば生息総頭数等から求めた任意の係数を用いることで、実地の調査データがない動物種、例えば外来種等でも定量化を行って分類テーブルを生成できる。
すなわち、分類テーブルは、類似する植生自然度をグループに分類し、分類した該グループと、動物種の生息適性とを対応付けた分類テーブルである。また、分類テーブルは、グループと動物種の生息適性との対応付けを、動物種の生態に応じて変更した分類テーブルである。さらに、分類テーブルは、植生自然度と生息適性との対応順が同一である動物種を、同一のグループに分類した分類テーブルである。
図1の説明に戻って、第2生成部132は、価値DB124を生成する。第2生成部132は、例えば、生態系サービスの価値のうち、調整サービスに分類される表面侵食防止機能および表層崩壊防止機能の価値を算出し、価値DB124を生成する。第2生成部132は、通信部110を介して、図示しない他のサーバから価値情報等を取得して、取得した価値情報に基づいて、生態系サービスの価値を算出する。
ここで、図18を用いて、生態系サービスについて説明する。図18は、生態系サービスの一例を示す図である。図18に示す生態系サービスは、生物多様性条約に関連するTEEB(The Economics of Ecosystem and Biodiversity:生態系と生物多様性の経済学)の分類に基づくサービスである。供給サービスは、農作物や木材等の従来から取引が行われており、市場価格が存在するものである。調整サービスは、表面侵食防止機能、表層崩壊防止機能、二酸化炭素吸収機能等のように、市場価格が存在しないものである。市場価格が存在しない場合の評価方法としては、顕示選好法および表明選考法が挙げられるが、本実施例では、例えば、顕示選好法の一例である代替法を用いる。代替法は、自然環境がもつ機能を別の商品や施設等に置き換えるときの費用で環境の価値を評価する方法である。文化的サービスは、レクリエーション等の価値を表すものであり、例えば、訪問地までの旅費をもとに訪問価値を評価するトラベルコスト法を用いて価値を表すことができる。
次に、本実施例の価値DB124における表面侵食防止機能および表層崩壊防止機能の価値の算出について、図19から図21を用いて説明する。まず、表面侵食防止機能および表層崩壊防止機能を表す森林の土砂崩壊防止機能判定値Pは、樹種の引き抜き抵抗力に関する評価点P1、立木密度に関する評価点P2、および、胸高直径に関する評価点P3、に基づいて、下記の式(2)を用いて算出できる。なお、森林の土砂崩壊防止機能判定値Pは、価値DB124の「総合点」に相当する。また、図19から図21に示す各評価点P1〜P3については、林野庁の「流域山地災害等対策調査(流木災害対策手法検討調査)委託事業報告書 平成27年度」に基づくものである。
P=P1×P2×P3 ・・・(2)
図19は、樹種の引き抜き抵抗力に関する評価点の一例を示す図である。図19に示すように、樹種の引き抜き抵抗力に関する評価点P1は、例えば、林相や樹種に基づいて区分A〜Cの3つに区分される。区分Aは、根直径10mmの引き抜き抵抗力が1000(N)以上のスギ林、天然生針葉樹林(マツ以外)、天然生広葉樹林の場合であり、評価点P1が「1.6」である。区分Bは、根直径10mmの引き抜き抵抗力が500(N)以上、1000(N)未満のヒノキ林、広葉樹二次林の場合であり、評価点P1が「1.2」である。区分Cは、根直径10mmの引き抜き抵抗力が300(N)以上、500(N)未満のマツ林の場合であり、評価点P1が「0.8」である。
図20は、立木密度に関する評価点の一例を示す図である。図20に示すように、立木密度に関する評価点P2は、例えば、1ヘクタール当たりの本数ごとに設定する。針葉樹人工林の場合、評価点P2は、立木密度が400〜600(本/ha)までは「0.5」、600〜800(本/ha)までは「0.8」、800〜1600(本/ha)までは「1.0」となる。また、針葉樹人工林の場合、評価点P2は、立木密度が1600〜1800(本/ha)までは「0.7」、1800〜2000(本/ha)までは「0.4」となる。同様に、針葉樹人工林以外の場合、評価点P2は、立木密度が400〜600(本/ha)までは「0.5」、600〜800(本/ha)までは「0.8」、800〜1600(本/ha)までは「1.0」となる。また、針葉樹人工林以外の場合、評価点P2は、立木密度が1600〜1800(本/ha)までは「1.0」、1800〜2000(本/ha)までは「1.0」となる。つまり、評価点P2は、針葉樹人工林と、針葉樹人工林以外とで異なる値となる場合がある。
図21は、胸高直径に関する評価点の一例を示す図である。図21に示すように、胸高直径に関する評価点P3は、例えば、胸高直径の5cmごとに点数を設定する。評価点P3は、例えば、胸高直径10〜15(cm)の場合「0.2」、胸高直径15〜20(cm)の場合「0.5」、胸高直径20〜25(cm)の場合「1.0」と設定する。また、評価点P3は、例えば、胸高直径25〜30(cm)の場合「1.9」、胸高直径30〜35(cm)の場合「3.0」、胸高直径35〜40(cm)の場合「4.4」と設定する。
第2生成部132は、例えば、植生図、ならびに、サンプルの立木密度および胸高直径等を含む価値情報に基づいて、森林の土砂崩壊防止機能判定値P(総合点)を上述の式(2)を用いて、例えば、価値情報のサンプルごとに算出する。また、第2生成部132は、サンプルの樹種等に基づいて、各サンプルの植生グループを求める。次に、第2生成部132は、各サンプルに対応するデータを総合点の大きい順にソートする。第2生成部132は、最も総合点が高いサンプルの機能強度を「1」に設定する。第2生成部132は、他のサンプルの機能強度を、当該サンプルの総合点/最も総合点が高いサンプルの総合点といった式で算出する。
第2生成部132は、最も総合点が高いサンプルの機能の価値に、森林の表層崩壊防止機能の価値の原単位の値を設定する。原単位の値は、例えば、6560万円/(km・機能強度)とする。なお、当該原単位の値は、2011年の日本学術会議の算出方法に基づいて算出できる。例えば、当該算出方法では、森林の表層(土砂)崩壊防止機能の価値は、年間3280万円/kmである。この値は、山腹工事3年間の費用8560万円/haの1年分の値である2850万円/haと、1年間に森林によって表層崩壊を防止できる面積1.15ha/kmとを乗算することで求められる。なお、年間3280万円/kmという値は、無林地と有林地の表層崩壊面積の差を求めたものである。また、有林地はすべての森林を含むので、機能強度は、平均をとって0.5と仮定する。原単位の値は、3280万円/kmを0.5で除算することで、6560万円/(km・機能強度)と求められる。
第2生成部132は、機能の価値の原単位と、各サンプルの機能強度とを乗算することで、各サンプルの機能の価値を算出する。第2生成部132は、植生グループ、樹種、立木密度および胸高直径の各評価点、総合点、機能強度、ならびに、機能の価値を、サンプルごとに対応付けて記憶することで価値DB124を生成する。
また、価値DB124の他の調整サービスの例としては、二酸化炭素吸収機能が挙げられる。第2生成部132は、例えば、林野庁の二酸化炭素の森林吸収量の算出方法に基づいて、二酸化炭素吸収機能の価値DB124を生成する。第2生成部132は、まず、樹種や林齢を考慮した下記の式(3)を用いて吸収量を算出する。
吸収量(炭素トン/年)=幹の体積の増加量(m/年)×拡大係数
×(1+地上部・地下部比)×容積密度(トン/m
×炭素含有率 ・・・(3)
図22は、二酸化炭素の吸収に関するパラメータの一例を示す図である。ここで、拡大係数であるBEF、地上部バイオマスに対する地下部バイオマス(根)の比率であるR、および、容積密度(トン/m)であるDは、図22に示すパラメータを用いる。なお、BEFは、地上部バイオマス(幹、枝、葉)と、幹バイオマスとの比率である。
第2生成部132は、上述の式(3)、図22の各パラメータ、および、植生図に基づいて、所定の地域の炭素吸収量を求める。
図23は、樹木による炭素吸収量の一例を示す図である。第2生成部132は、図23に示すような、植生グループ「IV」である人工林の主な樹種であるスギやヒノキと、植生グループ「V」である天然林広葉樹とのおおよその炭素吸収量を用いてもよい。図23の例では、スギ、ヒノキおよび天然林広葉樹について、20年生前後、40年生前後、60年生前後および80年生前後の1年当たりのおおよその炭素吸収量が挙げられている。なお、図23に示す炭素吸収量は、(独)森林総合研究所によるものである。
第2生成部132は、上述のように求めた炭素吸収量に基づいて、全国版J−VER(オフセット・クレジット)取引制度の価格である10000円/(t−CO2)を用いて、1年間の二酸化炭素吸収機能の価値を算出し、価値DB124に記憶する。なお、第2生成部132は、調整サービスの複数の項目、例えば、表面侵食防止機能および表層崩壊防止機能と、二酸化炭素吸収機能とにおける、それぞれの価値を合算し、植生グループごとに単位面積当たりの合算した価値を算出するようにしてもよい。この場合、価値DB124には、植生グループごとに単位面積当たりの合算した価値を記憶する。また、第2生成部132は、調整サービスの各項目だけでなく、生態系サービスの他の項目、例えば、供給サービスの項目を合算してもよく、同様に、植生グループごとに単位面積当たりの合算した価値を算出するようにしてもよい。
すなわち、価値DB124は、植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する植生自然度を分類した植生グループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースである。また、価値DB124は、生態系サービスの複数の項目の価値を合算し、グループごとに単位面積あたりの合算した価値を記憶するようにしてもよい。また、価値DB124では、生態系サービスの複数の項目は、地域が提供可能な供給サービスおよび調整サービスに属する項目とすることができる。
図1の説明に戻って、受付部133は、価値算出処理を行う際に、例えば、ユーザによる操作部112での操作に基づいて、評価対象の地域および動物種の入力を受け付ける。受付部133は、受け付けた地域を取得部134に出力する。また、受け付けた動物種を判定部135に出力する。なお、受付部133は、ユーザによる操作部112での操作に代えて、記録媒体に記録した評価対象の地域および動物種を、入出力部113を介して入力を受け付けてもよい。また、受付部133は、ユーザによる操作部112での操作に代えて、図示しない端末装置等から通信部110を介して評価対象の地域および動物種の入力を受け付けてもよい。なお、受付部133は、評価対象の地域のみの入力を受け付けるようにしてもよい。
取得部134は、受付部133から受け付けた地域が入力されると、植生DB121を参照し、受け付けた地域の植生情報を取得する。なお、取得部134は、通信部110を介して、図示しない生物多様性センター等の他のサーバから、受け付けた地域の植生情報を取得するようにしてもよい。取得部134は、取得した植生情報を判定部135および算出部136に出力する。
判定部135には、受付部133から受け付けた動物種が入力され、取得部134から取得した植生情報が入力される。判定部135は、分類テーブル記憶部123を参照し、取得した植生情報と、受け付けた動物種に対応する分類テーブルとに基づいて、受け付けた地域における動物種の生息適性を判定する。すなわち、判定部135は、受け付けた動物種の生息適性が最も高い場合に生息適性を「5」と判定し、以下、生息適性が高い順に「4」、「3」、「2」と判定し、生息適性が最も低い場合に「1」と判定する。判定部135は、判定結果に基づいて、生息適性の画面情報を生成する。判定部135は、生成した生息適性の画面情報を出力制御部137に出力する。また、判定部135は、生成した生息適性の画面情報や判定結果のデータを、入出力部113を介して、SDカード等の記録媒体に記録するようにしてもよい。
すなわち、判定部135は、取得した植生情報、および、グループと該グループごとの動物種の生息率に応じた生息適性とを対応付けた分類テーブルに基づいて、地域における動物種の生息適性を判定する。
算出部136は、取得部134から植生情報が入力されると、植生情報に対応する植生グループに基づいて、地域における植生グループの面積を算出する。なお、植生グループは、第1生成部131で用いたものと同じものを用いる。算出部136は、価値DB124を参照し、算出した植生グループごとの面積に応じて、受付部133で受け付けた地域の生態系サービスの価値を算出する。
また、算出部136は、算出した生態系サービスの価値と、生態系サービスの提供可能期間とに基づいて、受け付けた地域における将来便益を表す資本価値を算出する。ここで、算出部136は、資本価値を算出する場合に、生態系サービスのうち供給サービスについては、例えば20年間等の提供可能期間に基づいて、下記の式(4)を用いて算出する。また、算出部136は、生態系サービスのうち調整サービスについては、割引率、例えば5%に基づいて、下記の式(5)を用いて算出する。
資本価値=(各植生グループの供給物の価値×レンタル率)
×提供期間 ・・・(4)
資本価値=各植生グループの調整サービスの価値/割引率 ・・・(5)
なお、レンタル率は、農作物を生産するコストを除いて利益分を算出するための数値である。また、上述の式(4)、(5)は、地域において植生グループが提供可能期間で変化しないと仮定すると、提供可能期間X年の地域Qの持つ価値は、下記の式(6)のように表現できる。なお、式(6)では、植生グループごとの生態系サービスの価値を、生態系サービスΣSniとしている。ここで、Sは生態系サービスを表し、nは植生グループを表し、iは各生態系サービスの小項目を表す。
地域Qの資本価値=ΣQni=Σ[ΣSni]X × 割引率 ・・・(6)
算出部136は、算出した生態系サービスの価値および資本価値の情報を、出力制御部137に出力する。
ここで、図24を用いて生態系サービスの価値および資本価値の算出の具体例について説明する。図24は、森林のモデルの一例を示す図である。本具体例では、図24に示す森林のモデル13について生態系サービスの価値および資本価値を算出する。また、本具体例では、生態系サービスとして調整サービスの表層崩壊防止機能を用いており、以下の説明では生態系サービスとして表現している。モデル13は、森林全体の面積が1000haであり、そのうち広葉樹天然林が300ha、針葉樹スギ2次林が500ha、針葉樹スギ人工林が200haである。
算出部136は、モデル13の各森林の機能強度として、価値DB124の各サンプルのうち、同じ植生グループであり、樹種、立木密度および胸高直径が最も近いサンプルの機能の価値を取得する。ここでは、算出部136は、広葉樹天然林について、植生グループ「V」であり、総合点が7.0点である機能強度「1.00」の機能の価値「6560(万円/km・年)」を取得する。同様に、算出部136は、針葉樹スギ2次林について、植生グループ「IV」であり、総合点が4.9点である機能強度「0.70」の機能の価値「4590(万円/km・年)」を取得する。同様に、算出部136は、針葉樹スギ人工林について、植生グループ「IV」であり、総合点が0.64点である機能強度「0.09」の機能の価値「590(万円/km・年)」を取得する。
算出部136は、各森林の機能強度と面積とに基づいて、下記の式(7)〜(9)に示すように、生態系サービスの価値を算出する。
広葉樹天然林 :6560(万円/km・年)×300(ha)
=1.97(億円/年) ・・・(7)
針葉樹スギ2次林:4590(万円/km・年)×500(ha)
=2.30(億円/年) ・・・(8)
針葉樹スギ人工林: 590(万円/km・年)×200(ha)
=0.12(億円/年) ・・・(9)
算出部136は、モデル13の森林全体の生態系サービスの価値を、式(7)〜(9)の合計として、4.39(億円/年)を算出する。また、算出部136は、森林全体の生態系サービスの価値と割引率5%とに基づいて、下記の式(10)を用いて資本価値を算出する。
資本価値=4.39(億円/年)÷0.05(割引率/年)
=87.8(億円) ・・・(10)
すなわち、算出部136は、モデル13の森林全体の生態系サービスの価値および資本価値として、4.39(億円/年)、および、87.8(億円)を算出することができる。
これに対して、モデル13の森林を植生グループで分類せずに、1種類として評価すると、生態系サービスの価値および資本価値は、下記の式(11)、(12)となる。
生態系サービスの価値=1.15(ha/km・年)×10(km
×2850(万円/ha)
=3.28(億円/年) ・・・(11)
資本価値=3.28(億円/年)÷0.05(割引率/年)
=65.6(億円) ・・・(12)
すなわち、算出部136は、植生グループや、樹種、立木密度および胸高直径に応じた機能の価値を用いることで、植生自然度を反映した価値を算出することができる。なお、上記の具体例では、樹種、立木密度および胸高直径に基づいて、価値DB124を参照して機能の価値を取得したが、植生グループごとの機能の価値の平均値を価値DB124に記憶して、当該平均値を用いてもよい。この場合、例えば、植生グループ「V」、「IV」の機能の価値の各平均値を用いて生態系サービスの価値および資本価値を算出することができる。なお、算出部136は、生態系サービスの価値および資本価値をメッシュごとに求めてもよい。
さらに、算出部136は、植生自然度、つまり植生が変化する外部撹乱、および外部撹乱から元の植生に再生するための再生性を反映した植生自然度(植生)の経年変化に基づいて、資本価値を算出してもよい。算出部136は、植生自然度(植生)の経年変化について、例えば、エージェントベースモデル等の予測シミュレーションを用いて予測を行う。なお、エージェントベースモデルのシミュレーションとしては、例えば、EclipseのRepast SimphonyのJAVA(登録商標)スクリプトを用いて動植物の行動繁殖パターンをモデル化してシミュレーションを行うことができる。また、例えば、NetLOGO(自然現象をシミュレーションするためのプログラム可能なモデリング環境)を用いてもよい。
図25は、植生の経年変化の一例を示す図である。算出部136は、例えば、図25に示すように、ある地域Nが山火事等によって外部撹乱が発生した状態から、植樹等によって再生するy年後の自然度Nyjを、下記の式(13)を用いて推定する。なお、Sは生態系サービスを表し、nは植生グループを表し、iは各生態系サービスの小項目を表し、jは経年変化を表す。算出部136は、このように、植生の経年変化を予測することで、例えば、10年後や20年後の生態系サービスの価値や資本価値を算出することができる。
ΣNyj=Σ[[ΣSni]yj、持続年数(1,y)] ・・・(13)
言い換えると、算出部136は、価値DB124を参照し、取得した植生情報に対応するグループに基づいて、地域の生態系サービスの価値を算出する。また、算出部136は、地域におけるグループごとの面積に応じて、生態系サービスの価値を算出する。また、算出部136は、生態系サービスの価値と、生態系サービスの提供可能期間とに基づいて、地域における将来便益を表す資本価値を算出する。また、算出部136は、植生自然度が変化する外部撹乱、および、外部撹乱から元の植生に再生するための再生性を反映した植生自然度の経年変化に基づいて、資本価値を算出する。
図1の説明に戻って、出力制御部137には、判定部135から生息適性の画面情報が入力され、算出部136から生態系サービスの価値および資本価値の情報が入力される。出力制御部137は、生息適性の画面情報、ならびに、生態系サービスの価値および資本価値の情報に基づいて、生息適性と、生態系サービスの価値および資本価値とを含む表示画面を生成する。
なお、出力制御部137は、受付部133において、評価対象の地域のみの入力を受け付けた場合には、算出部136で用いた植生グループに基づいて、分類テーブル記憶部123を参照し、評価対象の地域において生息適性が高い動物種を取得する。この場合、出力制御部137は、評価対象の地域において生息適性が高い動物種と、生態系サービスの価値および資本価値とを含む表示画面を生成する。
出力制御部137は、生成した表示画面を表示部111に出力して表示させる。また、出力制御部137は、生成した表示画面や、生息適性の画面情報、ならびに、生態系サービスの価値および資本価値の情報を、入出力部113を介して、SDカード等の記録媒体に記録するようにしてもよい。
すなわち、出力制御部137は、算出した生態系サービスの価値を出力する。また、出力制御部137は、算出した資本価値を出力する。また、出力制御部137は、判定した生息適性を出力する。
ここで、図26および図27を用いて表示画面について説明する。図26は、表示画面の一例を示す図である。図26に示すように、表示画面20は、例えば、図6に示す植生図に、生息適性を重畳表示させる。表示画面20では、例えば、10km四方の二次メッシュをさらに1kmのメッシュに細分化し、1kmのメッシュごとの代表する植生に対応する生息適性を表示している。なお、生息適性は、植生図の他にも、地形図やその他の地図に重畳表示してもよい。また、表示画面20では、対象の地域における生態系サービスの価値および資本価値の情報を表示している。
図27は、表示画面の他の一例を示す図である。図27に示すように、表示画面21は、受付部133において、評価対象の地域のみの入力を受け付けた場合における表示画面の一例である。表示画面21では、評価対象の地域において生息適性が高い動物種と、生態系サービスの価値および資本価値とを表示している。
このように、価値算出装置100では、地域における動物種の生息適性を表示する場合と比較して、その地域の生態系サービスの価値や資本価値を、さらに表示するので、その地域の評価項目を増やすことができる。すなわち、価値算出装置100は、地域における動物種の生息適性を表示する場合と比べて、評価項目が増加するので、評価の精度を向上させることができる。
次に、実施例の価値算出装置100の動作について説明する。まず、分類テーブルを生成する分類テーブル生成処理について説明する。図28は、分類テーブル生成処理の一例を示すフローチャートである。
第1生成部131は、他のサーバから植生情報および生息情報等を取得して(ステップS1)、植生DB121および生息情報DB122に、それぞれ記憶する。第1生成部131は、植生DB121を参照し、植生情報に基づく植生図を生成する。
第1生成部131は、植生図に基づいて、メッシュごとに当該メッシュを代表する植生を決定する。第1生成部131は、決定したメッシュごとの代表する植生に基づいて、各メッシュの植生自然度を特定する。すなわち、第1生成部131は、植生情報に基づく植生図における各メッシュの植生自然度を特定する(ステップS2)。
次に、第1生成部131は、生息情報DB122を参照し、生息情報に基づいて動物種ごとに当該動物種が存在するメッシュを特定する。第1生成部131は、特定したメッシュを植生自然度ごとに分類し、植生自然度ごとの当該動物種が存在するメッシュの数を特定する。第1生成部131は、それぞれの植生自然度ごとに、動物種が存在するメッシュの数と、植生自然度のメッシュの総数とに基づいて、動物種の生息率を算出する。すなわち、第1生成部131は、生息情報に基づいて、植生自然度ごとに動物種の生息率を算出する(ステップS3)。
第1生成部131は、植生自然度を植生グループに分類する(ステップS4)。第1生成部131は、動物種の生息率が低い順になるように植生グループの順位を入れ替える。すなわち、第1生成部131は、動物種の生態に応じて植生グループの順位を入れ替える(ステップS5)。第1生成部131は、入れ替えた植生グループの順位を生息適性の順位とし、各植生グループを動物種と対応付けて分類テーブル記憶部123に記憶する(ステップS6)。これにより、価値算出装置100は、動物種の植生グループごとの生息適性を定量化できる。
次に、評価対象の地域および動物種に対する価値算出処理について説明する。図29は、価値算出処理の一例を示すフローチャートである。
受付部133は、ユーザから評価対象の地域および動物種の入力を受け付ける(ステップS11)。受付部133は、受け付けた地域を取得部134に出力する。また、受け付けた動物種を判定部135に出力する。
取得部134は、受付部133から受け付けた地域が入力されると、植生DB121を参照し、受け付けた地域の植生情報を取得する(ステップS12)。取得部134は、取得した植生情報を判定部135および算出部136に出力する。
判定部135は、分類テーブル記憶部123を参照し、取得した植生情報と、受け付けた動物種に対応する分類テーブルとに基づいて、受け付けた地域における動物種の生息適性を判定する(ステップS13)。判定部135は、判定結果に基づいて、生息適性の画面情報を生成する。判定部135は、生成した生息適性の画面情報を出力制御部137に出力する。
算出部136は、取得部134から植生情報が入力されると、植生情報に対応する植生グループに基づいて、地域における植生グループの面積を算出する。算出部136は、価値DB124を参照し、取得した植生情報に応じた植生グループに基づいて、受け付けた地域の生態系サービスの価値を算出する(ステップS14)。また、算出部136は、算出した生態系サービスの価値と、生態系サービスの提供可能期間とに基づいて、受け付けた地域の資本価値を算出する(ステップS15)。算出部136は、算出した生態系サービスの価値および資本価値の情報を、出力制御部137に出力する。
出力制御部137は、入力された生息適性の画面情報、ならびに、生態系サービスの価値および資本価値の情報に基づいて、生息適性と、生態系サービスの価値および資本価値とを含む表示画面を生成する(ステップS16)。出力制御部137は、生成した表示画面を表示部111に出力して表示させる(ステップS17)。これにより、価値算出装置100は、所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる。
このように、価値算出装置100は、地域の入力を受け付ける。また、価値算出装置100は、受け付けた地域の植生に関する植生情報を取得する。また、価値算出装置100は、植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベース124を有する。また、価値算出装置100は、価値データベース124を参照し、取得した植生情報に対応するグループに基づいて、地域の生態系サービスの価値を算出する。また、価値算出装置100は、算出した生態系サービスの価値を出力する。その結果、価値算出装置100は、所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる。
また、価値算出装置100は、地域におけるグループごとの面積に応じて、生態系サービスの価値を算出する。その結果、価値算出装置100は、植生自然度を反映した生態系サービスの価値を出力できる。
また、価値算出装置100は、生態系サービスの価値と、生態系サービスの提供可能期間とに基づいて、地域における将来便益を表す資本価値を算出する。また、価値算出装置100は、算出した資本価値を出力する。その結果、価値算出装置100は、生態系サービスの価値とともに、資本価値を出力できる。
また、価値算出装置100は、植生自然度が変化する外部撹乱、および、外部撹乱から元の植生に再生するための再生性を反映した植生自然度の経年変化に基づいて、資本価値を算出する。その結果、価値算出装置100は、植生自然度の経年変化を反映した資本価値を出力できる。
また、価値算出装置100では、価値データベース124は、生態系サービスの複数の項目の価値を合算し、グループごとに単位面積あたりの合算した価値を記憶する。その結果、価値算出装置100は、植生グループと、当該植生グループの面積とに応じて、容易に生態系サービスの価値を出力できる。
また、価値算出装置100では、生態系サービスの複数の項目は、地域が提供可能な供給サービスおよび調整サービスに属する項目である。その結果、価値算出装置100は、供給サービスと調整サービスとを含む生態系サービスの価値を出力できる。
また、価値算出装置100は、動物種の入力を受け付ける。また、価値算出装置100は、取得した植生情報、および、グループと該グループごとの動物種の生息率に応じた生息適性とを対応付けた分類テーブルに基づいて、地域における動物種の生息適性を判定する。また、価値算出装置100は、判定した生息適性を出力する。その結果、価値算出装置100は、動物種の生息適性を考慮した所定の地域における動植物の価値の評価を支援できる。
なお、上記実施例では、動物種の生息適性と植生グループとを対応付けた分類テーブルを用いて入力された地域における動物種の生息適性度を評価したが、これに限定されない。例えば、図9、図16および図17に示すようなグラフの直線を表す一次関数を用いて入力された地域における動物種の生息適性度を評価してもよい。すなわち、一次関数の傾きや切片等で動物種の生息適性を分類し、これらが類似する動物種間で一次関数を流用して生息適性度を評価してもよい。
また、上記実施例では、植生自然度を5つの植生グループに分類したが、これに限定されない。例えば、植生自然度「2」の耕作地や緑の多い住宅地と、植生自然度「3」の樹園地とを異なる植生グループに分ける等、他の分類を行ってもよい。
また、上記実施例では、植生情報としてオープンデータを用いたが、これに限定されない。例えば、衛星画像や航空写真等の画像を解析し、市街地、耕作地、草原、針葉樹、広葉樹、落葉樹、常緑樹等を分類することで、植生情報として用いてもよい。
また、上記実施例では、動物の一例としてニホンジカ、タヌキ、キツネおよびニホンザルの場合を説明したが、これに限定されない。例えば、カモシカ、ノウサギ等の各種の草食性の動物や、イノシシ、クマ等の各種の雑食性や肉食性の動物の生態情報を用いてもよい。
また、上記実施例では、生態系サービスの項目として、調整サービスの表面侵食防止、表層崩壊防止、および、二酸化炭素吸収の各機能について価値DB124を生成したが、これに限定されない。例えば、調整サービスのその他の項目に対応する機能であって、代替法等によって価値を評価できる項目について価値DB124を生成するようにしてもよい。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、受付部133と取得部134とを統合してもよい。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図30は、価値算出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
図30に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201〜208は、バス209に接続される。
ハードディスク装置208には、図1に示した第1生成部131、第2生成部132、受付部133、取得部134、判定部135、算出部136および出力制御部137の各処理部と同様の機能を有する価値算出プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、植生DB121、生息情報DB122、分類テーブル記憶部123、価値DB124、および、価値算出プログラムを実現するための各種データが記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200のユーザから操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200のユーザに対して表示画面等の各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えば印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、図1に示した通信部110と同様の機能を有し図示しないネットワークと接続され、図示しない他の情報処理装置と各種情報をやりとりする。
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を図1に示した第1生成部131、第2生成部132、受付部133、取得部134、判定部135、算出部136および出力制御部137として機能させることができる。
なお、上記の価値算出プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)等に接続された装置にこの価値算出プログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらから価値算出プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
100 価値算出装置
110 通信部
111 表示部
112 操作部
113 入出力部
120 記憶部
121 植生DB
122 生息情報DB
123 分類テーブル記憶部
124 価値DB
130 制御部
131 第1生成部
132 第2生成部
133 受付部
134 取得部
135 判定部
136 算出部
137 出力制御部

Claims (9)

  1. 地域の入力を受け付け、
    受け付けた前記地域の植生に関する植生情報を取得し、
    前記植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する前記植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを参照し、取得した前記植生情報に対応する前記グループに基づいて、前記地域の生態系サービスの価値を算出し、
    算出した前記生態系サービスの価値を出力する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする価値算出方法。
  2. 前記算出する処理は、前記地域における前記グループごとの面積に応じて、前記生態系サービスの価値を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の価値算出方法。
  3. 前記算出する処理は、前記生態系サービスの価値と、前記生態系サービスの提供可能期間とに基づいて、前記地域における将来便益を表す資本価値を算出し、
    前記出力する処理は、算出した前記資本価値を出力する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の価値算出方法。
  4. 前記算出する処理は、前記植生自然度が変化する外部撹乱、および、前記外部撹乱から元の植生に再生するための再生性を反映した前記植生自然度の経年変化に基づいて、前記資本価値を算出する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の価値算出方法。
  5. 前記価値データベースは、前記生態系サービスの複数の項目の価値を合算し、前記グループごとに単位面積あたりの合算した価値を記憶する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の価値算出方法。
  6. 前記生態系サービスの複数の項目は、前記地域が提供可能な供給サービスおよび調整サービスに属する項目である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の価値算出方法。
  7. 前記受け付ける処理は、動物種の入力を受け付け、
    取得した前記植生情報、および、前記グループと該グループごとの前記動物種の生息率に応じた生息適性とを対応付けた分類テーブルに基づいて、前記地域における前記動物種の生息適性を判定し、
    前記出力する処理は、判定した前記生息適性を出力する、
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の価値算出方法。
  8. 地域の入力を受け付け、
    受け付けた前記地域の植生に関する植生情報を取得し、
    前記植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する前記植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを参照し、取得した前記植生情報に対応する前記グループに基づいて、前記地域の生態系サービスの価値を算出し、
    算出した前記生態系サービスの価値を出力する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする価値算出プログラム。
  9. 地域の入力を受け付ける受付部と、
    受け付けた前記地域の植生に関する植生情報を取得する取得部と、
    前記植生に基づく自然度を示す植生自然度のうち類似する前記植生自然度を分類したグループに応じた生態系サービスの価値を示す価値データベースを参照し、取得した前記植生情報に対応する前記グループに基づいて、前記地域の生態系サービスの価値を算出する算出部と、
    算出した前記生態系サービスの価値を出力する出力制御部と、
    を有することを特徴とする価値算出装置。
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