JP2019116543A - シートモールディングコンパウンド、繊維強化複合材料およびそれらに用いられる樹脂組成物 - Google Patents

シートモールディングコンパウンド、繊維強化複合材料およびそれらに用いられる樹脂組成物 Download PDF

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徳多 石川
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【課題】プレス成形時に金型壁面を上滑りすることなく、かつ流動性に優れたSMCを提供すること。さらには、かかるSMCを用いることで、品位および強度特性に優れた繊維強化複合材料を提供すること【解決手段】不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列により形成される辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、以下の成分(A)〜成分(C)を含む、シートモールディングコンパウンド。成分(A): 熱硬化性樹脂成分(B): 硬化剤成分(C): 熱可塑性粒子【選択図】なし

Description

本発明は、航空・宇宙用部材、自動車用部材等の繊維強化複合材料に好適に用いられる繊維強化複合材料用の樹脂組成物、およびそれを用いた繊維強化複合材料に関するものである。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を生かした材料設計が出来るため、航空宇宙分野、自動車分野を始め、スポーツ分野、一般産業分野等に用途が拡大しており、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、レジントランスファーモールディング(RTM)、シートモールディングコンパウンド(SMC)成形等の方法により製造される。プリプレグ法は、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸したプリプレグを所望の形状に積層し、加熱することによって成形物を得る方法である。しかし、このプリプレグ法は航空機や自動車等の構造材用途で要求される高い材料強度を有する繊維強化複合材料の生産には向いているが、プリプレグの作製、積層等の多くのプロセスを経ることを必要とするため、少量生産しかできず、大量生産には不向きであり、生産性に問題がある。一方、SMC成形は、強化短繊維とマトリックス樹脂から構成され、強化短繊維に樹脂組成物を含浸させてシート状にしたものをBステージ化することでSMCを作成し、そのSMCを成形型内で加熱圧縮し硬化させて成形品を得る方法である。この方法であれば、成形型を用意することで、煩雑なプリプレグ作製や積層工程を介さずに短時間で繊維強化複合材料を成形できるだけでなく、複雑な形状の繊維強化複合材料でも容易に成形が可能という利点もある。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂等が用いられる。この中で、樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、および得られる複合材料の強度や剛性といった力学特性の観点からエポキシ樹脂が好適に用いられる。
SMCに用いられるマトリックス樹脂は強化繊維に充分含浸するために低粘度である必要がある。一方でBステージ化後には、それまでSMCの両面に貼られたフィルムの剥離が容易であり、かつ良好な成形品を与えるような適度な流動特性を有するものでなければならない。また、増粘剤として熱可塑性粒子を含有するマトリックス樹脂の場合は粒子がSMC中に均一に分散している必要がある。
このような状況を鑑み、ソルビトールポリグリシジルエーテルとイソシアネート化合物を配合することによって、マトリックス樹脂への濡れ性に優れ、容易にBステージ化可能な樹脂組成物が報告されている(特許文献1)。
アクリル系樹脂に増粘剤としてビニル重合体粒子を添加することで、べたつきのない取り扱い性の良好なSMCが報告されている(特許文献2)。
エポキシ樹脂に増粘剤としてビニル重合体粒子を添加することで、良好なタック性を示し、かつ優れた成形性を有するSMCが報告されている(特許文献3)。
繊維強化複合材料の品位については不連続の強化繊維の束状集合体の形状が検討されており、たとえば、束状集合体端部と強化繊維の配列方向との角度を12°とすることで、束状集合体と樹脂の均質性を向上させる方法が提案されている(特許文献4)。
特開平5-320303号公報 特開2002-3679号公報 国際公開2016/182077号パンフレット 国際公開2008/149615号パンフレット
前述の特許文献1に記載の方法では、容易にBステージ化が可能になるものの、成形温度付近の粘度が不十分であり、SMCのプレス成形において、十分に流動しないという課題があった。次に、前述の特許文献2および3に記載の方法では、マトリックス樹脂に増粘剤として配合された粒子が強化繊維への含浸工程において強化繊維に濾されやすく、樹脂組成物が不均一に分布したSMCとなってしまい、SMCのプレス成形において、流動性がばらつき、成形品の品位が低下してしまうという課題があった。 また、特許文献4に記載の方法では、不連続の強化繊維の束状集合体端部と強化繊維の配列方向との角度が12°である束状集合体とマトリックス樹脂からなるSMCは、束状集合体と樹脂の均質性が高いものの、プレス成形時に、金型壁面を束状集合体と樹脂が滑り、十分に圧力が反映されず、流動性が悪いという課題があった。このように、従来技術では、プレス成形時に金型壁面を上滑りすることなく、かつ流動特性に優れたSMCを得ることが困難であった。
そこで、本発明の目的は、斯かる従来技術の欠点を改良し、プレス成形時に金型壁面を上滑りすることなく、かつ流動性に優れたSMCを提供すること。さらには、かかるSMCを用いることで、品位および強度特性に優れた繊維強化複合材料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明のSMCは次の構成を有する。すなわち、 不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、
前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列が形成する辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、以下の成分(A)〜成分(C)を含む、シートモールディングコンパウンド。
成分(A): 熱硬化性樹脂
成分(B): 硬化剤
成分(C): 熱可塑性粒子
さらに、本発明においては、そのシートモールディングコンパウンドを硬化させて繊維強化複合材料とすることができる。
本発明によれば、プレス成形時に金型壁面を上滑りすることなく、かつ流動性に優れたSMCと、それを硬化させてなる品位と強度特性に優れる繊維強化複合材料を提供することが可能になる。
束状集合体中の模式図であり、強化繊維の配列方向に対して、束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列が形成する辺がとる鋭角の角度a、角度bが示されている。
本発明のシートモールディングコンパウンドについて説明する。
本発明における成分(A)は、耐熱性や機械特性発現のために必要な成分であり、熱硬化性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。この中で、樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、および得られる複合材料の強度や剛性といった力学特性の観点からエポキシ樹脂が好適に用いられる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む場合、分子内にエポキシ基を1つ以上、好ましくは2個以上含む化合物であれば特に限定されないが、この例としては、2官能性エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びこれらを変性したエポキシ樹脂やこれらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定はされない。また、成分(A)として、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好適に使用できる。これらのエポキシ樹脂を用いると、例えば、分子内にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂など剛直性の高いエポキシ樹脂を用いた場合と比較して、成形品としたときの機械強度が向上するという更なる効果を奏する。これは、剛直性の高いエポキシ樹脂は短時間で硬化させると架橋密度が上がるため歪みが生じやすくなるのに対し、上述のエポキシ樹脂を用いると、そういった問題が起こる可能性が低いためである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、jER(登録商標)825、jER(登録商標)826、jER(登録商標)827、jER(登録商標)828、jER(登録商標)834、jER(登録商標)1001、jER(登録商標)1002、jER(登録商標)1003、jER(登録商標)1004、jER(登録商標)1004AF、jER(登録商標)1007、jER(登録商標)1009(以上三菱化学(株)製)、エピクロン(登録商標)850(DIC(株)製)、エポトート(登録商標)YD−128(新日鐵住金化学(株)製)、DER(登録商標)−331、DER(登録商標)−332(ダウケミカル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としてはjER(登録商標)806、jER(登録商標)807、jER(登録商標)1750、jER(登録商標)4004P、jER(登録商標)4007P、jER(登録商標)4009P(以上三菱化学(株)製)、エピクロン(登録商標)830(DIC(株)製)、エポトート(登録商標)YDF−170、エポトート(登録商標)YDF2001、エポトート(登録商標)YDF2004(以上新日鉄住金化学(株))などが挙げられる。また、アルキル置換体であるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、エポトート(登録商標)YSLV−80XY(新日鉄住金化学(株))などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、エピクロン(登録商標)EXA−1515(DIC(株)製)などがあげられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としてはjER(登録商標)152、jER(登録商標)154(以上三菱化学(株)製)、エピクロンN−740、エピクロン(登録商標)N−770、エピクロン(登録商標)N−775(以上DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、エピクロン(登録商標)N−660、エピクロン(登録商標)N−665、エピクロン(登録商標)N−670、エピクロン(登録商標)N−673、エピクロン(登録商標)N−695(以上DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上日本化薬(株)製)などが挙げられる。
これらの樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度としては、1000000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1000Pa・s以下であることが好ましい。この粘度であれば、好ましいタック性およびドレープ性を有するSMCを得ることができる。
本発明における成分(B)は、主剤と共有結合することにより熱硬化性樹脂を硬化させる成分である。熱硬化性樹脂を硬化させ得るものである限り、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合を例に挙げると、アミン系、フェノール系、酸無水物系、メルカプタン系、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。アミン系の硬化剤は、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、脂肪族アミン、アミノ安息香酸エステル類、チオ尿素付加アミン、ヒドラジドなどを例示できる。フェノール系の硬化剤は、ビスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物などを例示できる。酸無水物系の硬化剤は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、カルボン酸無水物などを例示できる。メルカプタン系の硬化剤は、ポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂などを例示できる。例示したものの中でも、アミン系硬化剤が好ましい。さらに、これらの中でもジシアンジアミドまたはその誘導体が特に好ましい。ジシアンジアミドは、樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、エポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。また、樹脂組成物の保存安定性に優れることから、好適に使用できる。またジシアンジアミドの誘導体とは、ジシアンジアミドと各種化合物を結合させて得られる化合物を意味し、ジシアンジアミドと同様に、樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、また樹脂組成物の保存安定性にも優れる。ジシアンジアミドの誘導体としては、例えばジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド等の各種化合物を結合させたものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジシアンジアミドと併用してもよい。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の成分(B)は、成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部含まれることが好ましい。成分(A)100質量部に対して、成分(B)が1〜50質量部の範囲内にある場合は、十分な硬化性向上の効果が得られるために好ましく、成分(B)が6〜50質量部の範囲内にある場合は、さらに好ましい。
本発明の樹脂組成物中の成分(C)は、熱可塑性樹脂の粒子であり、加熱することで成分(A)中に溶解あるいは膨潤し得る粒子である限り、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、フェノキシ樹脂およびそれらの共重合体を含む粒子が素材として挙げられる。この中で、樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、およびプレス成形時に金型壁面を上滑りすることなく、優れた流動性を示すことからポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドおよびそれらの共重合体を含む粒子が好適に用いられる。ここで記載したポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸およびポリアクリルアミドはアクリル基中の水素原子がアルキル基に置換したものを含む。アルキル基の炭素原子数は耐熱性の観点から炭素原子数が1個以上6個以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物中の成分(C)は、成分(A)100質量部に対して、5〜30質量部含まれることが好ましい。成分(A)100質量部に対して、成分(C)が5〜30質量部の範囲内にある場合は、十分なBステージ化の効果が得られるために好ましく、成分(C)が7〜20質量部の範囲内にある場合は、さらに好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明の樹脂組成物中の成分(C)の平均粒子径は、10nm以上10μm以下であることが好ましい。10nm以下の場合は粒子が凝集して強化繊維に濾されやすくなることがある。10μm以上の場合は粒子径が強化繊維の間隙より大きくなりやすく、強化繊維に濾されてしまうことがある。より好ましくは100nm以上5μm以下である。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。かかる平均粒子径は、走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意の100個の粒子径を測長したものの数平均粒子径を指す。粒子の形状が真円でない場合、その粒子の長径を直径とする真円状の粒子として換算して、その直径を粒子径として測定する。なお、長径とは、それぞれ、粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の長辺である。
本発明の樹脂組成物中の成分(C)のガラス転移温度は、60℃以上130℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が60℃未満の場合は成分(A)中での保管安定性に乏しく、ガラス転移温度が130℃を超える場合、加熱してBステージ化する際に硬化反応が進行してしまう。70℃以上120℃以下であることがより好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明の樹脂組成物中の成分(C)の真球度は、75以上100以下であることが好ましい。形状が真球に近いほど、樹脂含浸時の繊維との摩擦が減少するため好ましい。90以上100以下であることがより好ましく、95以上100以下であることがさらに好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
ここで、真球度とは走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意に選択されたm個(通常、30個)について、それぞれの投影形状から個々に短径と長径を測定し、次の式(1)に従い算出されるものである。なお、短径、長径とは、それぞれ、粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺である。
Figure 2019116543
本発明の樹脂組成物中の成分(C)の粒子径分布指数は、1以上5以下であることが好ましく、1以上2.5以下であることが好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。このような比較的狭い粒子径分布とすることで、繊維強化複合材料とした時に、成分分布の均一性に優れ、機械特性のバラツキを小さくすることができる。粒子径分布指数が5を上回る場合、機械特性のバラツキが大きな原因となってしまう。
ここで、粒子径分布指数は、走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意に選択されたn個(通常、100個)の粒子について粒子径を測長し、次の式(2)から式(4)に基づき算出する。粒子の投影形状が真円でない場合、その粒子の長径を直径とする真円状の粒子として換算して、その直径を粒子径として測定する。なお、長径とは、それぞれ、粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の長辺である。粒子径が小さく、この方法で観察できない場合には、観察できる程度に倍率を高めるか、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、同様の方法で決定する。
Figure 2019116543
なお、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
本発明における成分(C)の粒子の製造方法は、格別限定されるものではないが、好ましくは乳化重合により作製する。乳化重合法は、原料となる単量体を、乳化剤の存在下、重合開始剤として過酸化物開始剤、レドックス開始剤などのラジカル重合開始剤を用いて乳化重合を行い、目的の熱可塑性粒子を得ることができる。この際に、二段階に乳化重合を行い、コア層とシェル層を有する粒子を製造してもよい。さらに、乳化重合時に異なる2成分以上の単量体を原料として用いてもよい。コアシェル構造の場合はコア部とシェル部のガラス転移温度の差を制御することで、加熱時の成分(A)への膨潤または相溶の度合いを調整することができる。この差は1以上5以下であることが好ましく、さらに好ましくは1以上3以下である。1未満である場合はコア部とシェル部の成分(A)への膨潤または相溶の度合いに差が生まれず、5を超える場合はコア部またはシェル部の一方の成分が成分(A)中へ膨潤または相溶することが困難になる。
ここで、成分(C)がコアシェル構造を有していることを確認する方法としては、例えば、重合過程においてサンプリングした粒子の粒子径が確実に成長していることで確認できる。
本発明における成分(D)は、イソシアネート化合物であり、増粘後の樹脂の粘度を容易に調整可能である。一分子中にイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。これらのうち、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する場合はより容易にBステージ化することが可能となるため、より好ましい。成分(D)のイソシアネート化合物は、例えばエチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、2,3−ジメチルテトラメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,3−ジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートヘキサン、シクロペンテン−1,3−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2,3,4−テトライソシアネートブタン、ブタン−1,2,3−トリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニル−4,4−ジイソシアネート、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチレンキシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート、上述のポリイソシアネートのトリマー、これらのポリイソシアネート化合物をポリオール化合物と予備重合させることによって得られるプレポリマーを挙げることができ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらのうち、本発明に係るイソシアネート化合物は、Bステージ化後に良好な流動特性を得るために、一分子におけるイソシアネート基数が3個以上6個以下のポリイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物を含むものが好ましい。例えば、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート、上述のポリイソシアネートのトリマー、これらのポリイソシアネート化合物をポリオール化合物と予備重合させることによって得られるプレポリマーが挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の成分(D)は、成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部含まれることが好ましい。成分(A)100質量部に対して、成分(D)が1〜50質量部の範囲内にある場合は、樹脂組成物の粘度が低下し、強化繊維へ容易に含浸させることが可能となるため、好ましい。成分(A)100質量部に対して、1〜40質量部含まれることがより好ましい。
本発明の樹脂組成中の成分(D)に加えて、耐熱性を改善するため、イソシアネート基と反応可能な活性水素を有する化合物を配合しても良い。例えば、アミン化合物、アルコール化合物、フェノール誘導体、カルボン酸誘導体、エポキシ化合物が挙げられる。この中でも、樹脂調合後の安定性の観点から、アルコール化合物がより好ましい。
硬化時間を短縮するために、本発明に係る樹脂組成物に加えて、硬化促進剤として触媒を加えてもよい。ここで、触媒とは、主剤の単独硬化反応、及び、主剤と硬化剤との結合形性による硬化反応を速やかに円滑にする成分である。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合を例に挙げると、例えば、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。これらの触媒のうち、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
本発明の樹脂組成物は、その他の成分を更に含んでいても良い。例えば、各種フィラーや硬化剤、酸化防止剤などである。
樹脂組成物の硬化性は、成形温度、例えば140℃でのガラス化時間に依存しており、ガラス化時間が短時間であるほど硬化性が高く、繊維強化複合材料を形成するための硬化時間も短縮される。よって、繊維強化複合材料の生産性を向上する目的においては、成形温度におけるガラス化時間が10分未満である樹脂組成物であることが好ましく、特に、5分未満である樹脂組成物であることが好ましく、短時間であるほど好ましい。ここで、ガラス化時間は次のようにして測定することができる。すなわち、ATD−1000(Alpha Technologies(株)製)等の熱硬化測定装置を用いて所定温度での樹脂組成物の動的粘弾性測定を行い、硬化反応進行に伴うトルク上昇から複素粘性率を求める。このとき、複素粘性率が1.0×10Pa・sに達するまでの時間をガラス化時間とする。
本発明に係る樹脂組成物は、E型粘度計で測定した70℃における粘度が0.01Pa・s以上10Pa・s以下の範囲にあることが好ましく、0.01Pa・s以上1Pa・s以下の範囲にあることがより好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。70℃における粘度が10Pa・s以下である樹脂組成物は強化繊維への含浸性が優れ、それにより高品位な繊維強化複合材料が得られる。また、70℃における粘度が0.01Pa・s以上である樹脂組成物は、樹脂含浸時の粘度が低くなりすぎず、それにより樹脂が外部へ流れ出ることなく、均一に強化繊維基材に含浸しやすい。なお、かかる粘度は各成分を混合した直後のエポキシ樹脂組成物の粘度を指す。
本発明に係る樹脂組成物を使用して得られる繊維強化複合材料の耐熱性は、樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物のガラス転移温度に依存するため、高耐熱性を有した繊維強化複合材料を得るためには、例えば140℃の温度下で2時間加熱して完全硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が140℃以上250℃以下の範囲にあることが好ましく、150℃以上220℃以下であればさらに好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。ガラス転移温度が140℃に満たない場合は樹脂硬化物の耐熱性が不十分な場合がある。ガラス転移温度が250℃を越える場合、3次元架橋構造の架橋密度が高くなることから樹脂硬化物が脆くなることがあり、その場合は繊維強化複合材料の引張強度や耐衝撃性が低下する場合がある。ここでガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いた測定により求められる。
本発明のシートモールディングコンパウンド、つまりSMCは、本発明の樹脂組成物、並びに、強化繊維を含むものである。本発明のSMCの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明の樹脂組成物を、強化繊維の形態に合った周知の方法により強化繊維に含浸させた後、室温〜80℃程度の温度に数時間〜数日間保持することによりBステージ化することで、本発明のSMCが得られる。例えば、Bステージ化は、樹脂組成物を強化繊維に含浸させたものを80℃で30分間保持することで達成され、主に粒子の膨潤によってなると考えられ、Bステージ化後の樹脂組成物の粘度としては、DMA(例えば、TAインスツルメンツ社製ARES)を用いて測定した成形温度、例えば、130℃における粘度が100Pa・s以上100000Pa・s以下の範囲にあることが好ましい。樹脂組成物の粘度が100Pa・s以下の場合はタック性が悪く、SMCの取り扱い性が悪化する。500Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲にあることがより好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明における強化繊維としては特に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、本発明のSMC中の強化繊維としては、炭素繊維が好適に用いられる。
炭素繊維としては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性の点から高くとも400GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)等が挙げられる。
本発明におけるSMCは、不連続の強化繊維の束状集合体と繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物とを含むSMCであって、前記束状集合体は、図1に示されるように、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列が形成する辺がとる鋭角の角度を、それぞれ角度aおよび角度bとすると、角度a,bのそれぞれが2°以上30°以下であり、束状集合体中の強化繊維の端部の配列が形成する辺の強化繊維の配列方向に対する角度aおよび角度bは小さいほど、強化繊維間の間隔が広がる傾向となり、束状集合体において粒子が濾されにくくなり、構成成分の均質性が高いSMCとなるため、これを用いて成形される繊維強化複合材料において品位及び強度向上の効果が大きい。角度aおよび角度bが30°以下の場合、その効果が著しい。しかし、一方において、束状集合体自体の取り扱い性は、低下する。また、強化繊維の配列方向と切断する刃との角度が小さければ小さいほど、切断工程における安定性が低下する。そのため、角度aおよび角度bは2°以上であることが好ましい。角度aおよび角度bは、3°以上25°以下であることがより好ましい。繊維強化複合材料の品位および強度向上効果と束状集合体の製造工程におけるプロセス性と兼ね合いから、角度aおよび角度bは、5°以上15°以下であることがさらに好ましい。なお、ここで言う角度は、絶対値で表される。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。また、角度aと角度bは同じ値である必要はなく、また、全ての繊維束における角度aを同一にする必要はなく、角度bを同一にする必要もない。
不連続の強化繊維の束状集合体を製造するための連続強化繊維束の切断手段としては、例えば、ギロチンカッター、ロービングカッター等のロータリーカッターがある。連続強化繊維束は、連続強化繊維束の長手方向と切断手段に装備されている切断刃の方向とが相対的に斜行する状態において、切断手段に挿入され、切断される。
本発明のSMCを用いた繊維強化複合材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、レジントランスファーモールディング(RTM)、シートモールディングコンパウンド(SMC)成形が好適に用いられる。これらのうち、生産性や成形体の形状自由度といった観点で、特にSMC成形が好適に用いられる。SMC成形時の加熱温度は本発明の樹脂組成物が硬化する温度であればよく、硬化時間の短縮の観点から120℃以上200℃以下であることが好ましい。成形時の圧力は本発明のSMCを十分に流動させることが可能な圧力であればよく、1Pa以上15Pa以下であることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のSMCが硬化されてなるものである。このような繊維強化複合材料において、特に自動車分野で用いられる繊維強化複合材料の場合には、高い耐熱性や曲げ弾性率等の力学特性が要求される。本発明の繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂である樹脂硬化物のガラス転移温度を通常好ましくは140℃以上250℃以下とすることができるため、耐熱性に優れ、樹脂硬化物の高い機械特性が反映されるため、20GPa以上、より好ましい様態では25GPa以上という、高い曲げ弾性率を示すことができる。また、本発明のSMCは、組成物の均質性に優れているため、測定箇所による曲げ弾性率のばらつきが少なく、CV値が30%以下、より好ましい範囲では15%以下に抑えることが可能である。
ここで、この曲げ弾性率のCV値は、任意に選択されたn個(通常、10個)の試験片から曲げ弾性率の平均値を算出し、この平均値と各試験片の曲げ弾性率との差を平均値で除したものをパーセント化し、平均化した値である。
以下、実施例により、本発明の樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料等についてさらに詳細に説明する。
〈樹脂原料〉
各実施例・比較例の樹脂組成物を得るために、以下の樹脂原料を用いた。なお、表中の樹脂組成物の欄における各成分の数値は含有量を示し、その単位は、特に断らない限り「質量部」である。
1.成分(A)である熱硬化性樹脂
・エポキシエステル3000A(共栄社化学(株)製):ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物
・スチレンモノマー(出光興産(株)製):スチレン
・エポトート(登録商標)YD128(新日鉄住金化学(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・jER(登録商標)154(三菱化学(株)製):フェノールノボラック型エポキシ樹脂
・アラルダイト(登録商標)MY0500(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製):パラアミノフェノールトリグリシジルエーテル
2.成分(B)である硬化剤
・パーブチル(登録商標)Z(日本油脂(株)製):t−ブチルペルオキシベンゾエート
・jERキュア(登録商標)DICY7(三菱ケミカル(株)製):ジシアンジアミド
3.成分(C)である熱可塑性粒子
・粒子1(東京化成工業(株)製MMA:メタクリル酸メチルを原料として以下の製造方法で作製した、平均粒子径1.0μm、真球度85、粒子径分布係数4.0、Tg105℃の熱可塑性粒子)
(粒子1の製造方法)
2000mLの4口フラスコの中に、30分間窒素ガスを通気させ脱気したイオン交換水1000gを加え、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。水温が80℃を維持していることを確認した後、MMA900g添加し、1時間重合を行い、均一溶液を得た。次に該溶液をスプレーガンを用いて噴霧させ乾燥した。さらに篩を用いて粒子径の小さい成分と大きい成分をそれぞれ取り除き、比較的粒子径分布のそろった粒子を得た。得られた粒子を走査型電子顕微鏡観察にて観察したところ、平均粒子径1.0μm、真球度85、粒子径分布係数4.0、Tg105℃のメタクリル酸メチルの微粒子であった。
・粒子2(アルドリッチ社製、ポリアクリロニトリル(重量平均分子量 610,000)を原料として用いて粒子1と同様の製造方法で作製した、平均粒子径6.4μm、真球度94、粒子径分布係数1.15、Tg95℃のポリアクリロニトリル微粒子)
・粒子3(東京化成工業(株)製MMA:メタクリル酸メチルを原料として粒子1と同様の製造方法で作製した、平均粒子径0.50μm、真球度85、粒子径分布係数2.3、Tg105℃の熱可塑性粒子)
・粒子4(東京化成工業(株)製、MMA:メタクリル酸メチル、n−BMA:メタクリル酸ノルマルブチル、MAA:メタクリル酸を原料として用いて粒子1と同様の製造方法で作製した、平均粒子径0.60μm、真球度87、粒子径分布係数1.5、Tg93℃の熱可塑性粒子)
・粒子5(東京化成工業(株)製、MMA:メタクリル酸メチル、n−BMA:メタクリル酸ノルマルブチル、MAA:メタクリル酸を原料として用いて粒子1と同様の製造方法で作製した、平均粒子径0.80μm、真球度92、粒子径分布係数1.3、Tg93℃の熱可塑性粒子)
・粒子6(東京化成工業(株)製、MMA:メタクリル酸メチル、n−BMA:メタクリル酸ノルマルブチル、MAA:メタクリル酸を原料として用いて粒子1と同様の製造方法で作製した、平均粒子径0.90μm、真球度95、粒子径分布係数1.2、Tg92℃の熱可塑性粒子)
・粒子7(東京化成工業(株)製、MMA:メタクリル酸メチル、n−BMA:メタクリル酸ノルマルブチル、MAA:メタクリル酸を原料として用いて以下の製造方法で作製した、平均粒子径0.70μm、真球度75、粒子径分布係数1.3、コア部のTg92℃、シェル部のTg60℃のコアシェル微粒子)
(粒子7の製造方法)
2000mLの4口フラスコの中に、30分間窒素ガスを通気させ脱気したイオン交換水600gを加え、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。水温が80℃を維持していることを確認した後、MMA25g、nーBMA10g添加し、1時間重合を行った。その後、イオン交換水200g、MMA200g、nーBMA200gを加え、更に1時間重合を行った。最後に、イオン交換水200g、MMA200g、MAA35gを加え、更に1時間重合を行い、均一溶液を得た。次に該溶液をスプレーガンを用いて噴霧させ乾燥した。さらに篩を用いて粒子径の小さい成分と大きい成分をそれぞれ取り除き、比較的粒子径分布のそろった粒子を得た。得られた粒子を走査型電子顕微鏡観察にて観察したところ、平均粒子径0.70μm、真球度75、粒子径分布係数1.3、コア部のTg92℃、シェル部のTg60℃のコアシェル微粒子であった。
・粒子8(東京化成工業(株)製、MMA:メタクリル酸メチルを原料として用いて作製した、平均粒子径23.0μm、真球度70、粒子径分布係数6、Tg105℃の熱可塑性粒子)
・粒子9(アルケマ(株)製、Orgasol(登録商標)1002D、平均粒子径20μm、粒径分布1.2、真球度97、Tg53℃)
・粒子10(大日精化工業(株)製、ダイナミックビーズUCN−8070CM、平均粒子径7μm、粒径分布1.8、真球度96、Tg57℃)
・熱可塑性樹脂ポリビニルホルマール(チッソ(株)製ビニレック(登録商標)K)
4.成分(D)であるポリイソシアネート化合物
・ルプラネート(登録商標)M20S(BASF INOAC ポリウレタン(株)製):ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)
・ルプラネート(登録商標)MI(BASF INOAC ポリウレタン(株)製):モノメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)
〈樹脂組成物の調製〉
表に記載した含有割合で各成分を混合し、樹脂組成物を調製した。
〈調製直後の樹脂組成物の粘度の測定〉
測定すべき検体を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計を使用して、70℃に保持した状態で測定した。E型粘度計としては、(株)トキメック製TVE−30Hを用いた。なお、検体としては、各成分を混合した直後の樹脂組成物を用いた。
〈Bステージ化後の樹脂組成物の粘度の測定〉
測定すべき検体を、DMA(TAインスツルメンツ社製ARES)を使用して、30℃に加熱したステージにサンプルを投入し、1分間に10℃ずつ昇温したときの粘度を測定し、各温度での粘度をその温度条件の粘度とした。例えば、130℃の粘度は、検体が130℃に達した際の粘度を130℃の粘度とした。なお、検体としては、各成分を混合した樹脂組成物を80℃で30分間保持したものを用いた。
〈SMCの作製ならびにSMC使用繊維強化複合材料の作製〉
炭素繊維として、トレカ(登録商標)T700S−12K(東レ(株)製)を使用した。前記連続炭素繊維ストランドを切断して均一分散するように散布することにより、繊維配向が等方的である不連続炭素繊維不織布を得た。切断装置にはロータリー式カッターを用いた。このロータリー式カッターは周方向に5mm間隔で刃を設けたものであり、連続炭素繊維ストランドを、ロータリー式カッターの刃に対して12°の角度で、ロータリー式カッターに連続して挿入し切断した。また、不連続炭素繊維不織布の目付は1kg/mであった。
不連続炭素繊維不織布に上記エポキシ樹脂組成物を、炭素繊維重量含有率が40%となるようにローラーで含浸させることによりシート状のSMC前駆体を得た。これを40℃で24時間保持し、樹脂をBステージ化させることで、SMCを得た。このSMCを2枚重ね、加圧型プレス機により10MPaの加圧のもと、約140℃×10分間の条件により硬化させ、厚み1.6mmの平板状の繊維強化複合材料を得た。
〈SMC使用繊維強化複合材料の曲げ弾性率測定〉
前記のようにして得られた平板状の繊維強化複合材料より、0度(平板長手方向を0度)と90度方向のそれぞれから、100×25×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、JIS K7074(1988年)に準拠し測定を実施した。
(実施例1〜19)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、70℃における粘度を測定した。また、それぞれの樹脂組成物を80℃で30分間保持し、Bステージ化した後、130℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物と表に示す通りの角度a、bを有する束状集合体を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ弾性率を測定した。いずれの場合も、調製直後の樹脂組成物の70℃における粘度は10Pa・s以下とSMC作製時の強化繊維への含浸性が良好であった。また、Bステージ化後の130℃における樹脂の粘度は100000Pa・s以下でありSMCを加熱プレス成形する際の流動性も良好であった。さらに繊維強化複合材料の曲げ弾性率は15GPa以上と力学特性も良好であり、そのばらつきも30%以下に抑えることができた。
(比較例1)
実施例4において、成分(C)を添加せず、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に70℃における粘度、130℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ弾性率を測定した。調製直後の樹脂組成物の70℃における粘度は0.50Pa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性が良好であった。ただし、Bステージ化後の130℃における樹脂の粘度は5.0Pa・sでSMCを加熱プレス成形する際の流動性は不良であった。また、繊維強化複合材料については、曲げ弾性率が力学特性が不良で、そのばらつきも大きかった。
(比較例2)
実施例4において、成分(C)を熱可塑性樹脂であるビニルホルマールに変更し、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に70℃における粘度、130℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ弾性率を測定した。調製直後の樹脂組成物の70℃における粘度は22Pa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性は悪く、Bステージ化後の130℃における樹脂の粘度は10Pa・sでSMCを加熱プレス成形する際の流動性も不良であった。また、繊維強化複合材料については、曲げ弾性率が不良で、そのばらつきも大きかった。
(比較例3)
実施例4において、束状集合体の形状を表に示す通りの角度a、bに変更し、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に70℃における粘度、130℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ弾性率を測定した。調製直後の樹脂組成物の70℃における粘度は0.8Pa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性は良好だった。Bステージ化後の130℃における樹脂の粘度は900Pa・sでSMCを加熱プレス成形する際の流動性は良好であった。繊維強化複合材料については、曲げ弾性率は良好であるが、そのばらつきは大きかった。
Figure 2019116543
Figure 2019116543
本発明のSMCは、従来のSMC用エポキシ樹脂組成物からなるSMCに比べ、組成物の均質性に優れ、プレス成形時の金型壁面での上滑りを抑制可能であるため、優れた流動特性を有するSMCを与え、機械特性に優れる繊維強化複合材料を与えるという点で優れている。これにより、航空・宇宙用途、自動車用途の他、スポーツ・産業用途全般に繊維強化複合材料の適用が進み、化石燃料を中心とするエネルギー消費量の削減に繋がり、地球温暖化問題への貢献が期待できる。

Claims (9)

  1. 不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、
    前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列により形成される辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、以下の成分(A)〜成分(C)を含む、シートモールディングコンパウンド。
    成分(A): 熱硬化性樹脂
    成分(B): 硬化剤
    成分(C): 熱可塑性粒子
  2. 成分(C)の真球度が75以上100以下である、請求項1に記載のシートモールディングコンパウンド。
  3. 成分(C)の粒子径分布指数が1.0以上5.0以下である、請求項1または2に記載のシートモールディングコンパウンド。
  4. 成分(C)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  5. 成分(D)として、イソシアネート化合物をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  6. 成分(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  7. 成分(B)がジシアンシアミドまたはその誘導体である、請求項1〜6のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  8. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンドが硬化されてなる繊維強化複合材料。
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