JP2019115138A - 開閉装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】開閉装置を構成する金属容器の内部に混入した異物の周辺における電界集中を緩和し、かつ、金属容器の内壁面に設ける樹脂層の割れや表面状態の荒れを抑制する。【解決手段】高電圧導体と、高電圧導体を内部に有する金属容器と、金属容器の内部で高電圧導体を支持する絶縁スペーサと、を有する開閉装置であって、金属容器の内壁面には、樹脂層が設けられ、樹脂層は、非線形抵抗材を含み、非線形抵抗材の表面には、改質層が設けられ、非線形抵抗材は、樹脂層の全体のうち、樹脂層の気相側の表面で密度が高い。【選択図】図6
Description
本発明は、開閉装置に関する。
一般に、電力系統を構成する変電所には、電力系統の保護・制御を目的として、遮断器や断路器などの開閉機器を複数組み合わせた電力用開閉装置が設けられる。電力用開閉装置としては、ガス絶縁開閉装置を用いることが望ましい。ガス絶縁開閉装置は、気中絶縁変電所と比較して、据付面積を大幅に縮小でき、かつ、絶縁信頼性を向上できることから、現在では、多くの送配電系統の変電所に適用されている。
ガス絶縁開閉装置は、SF6(六フッ化硫黄)や乾燥空気などの絶縁ガスが封入された金属容器内に遮断器、接地断路器、接地開閉器、計器用交流計、計器用変圧器などの各種機器が格納されている。
絶縁ガスとして主に用いられるSF6ガスは、化学的に極めて安定である。また、赤外線吸収量が大きく、環境面の指標であるGWP(Global Warming Potential)が23900と極めて大きいため、温暖化ガスに指定されている。さらに、SF6ガスは、硫黄S及びフッ素Fを含んでいるため、大気中で分解された場合には環境への影響が懸念される。これらの問題の解決策としては、完全ガス回収などが検討されている。しかしながら、SF6ガスを完全に封じ込めることは困難であるため、一般に、使用量に対して、年0.1%のリークが許容されている。ただし、地球温暖化への影響の大きさは、GWPと大気中濃度の積で与えられ、現時点ではSF6ガスの大気中濃度が極めて低く、SF6ガスの影響は、二酸化炭素に比べると極めて小さいと言える。
ただし、SF6ガス使用量が増加すると、機器の解体点検時のガス抜き時やガス漏れ発生時に、大量のSF6ガスが大気中に放出されることになり、地球温暖化に大きな影響を与える可能性がある。
このようなことから、SF6ガスの使用量を削減することは必須であり、ガス絶縁開閉装置においては、絶縁信頼性を確保しつつ、より一層の小形化が要求される。
特許文献1には、ガス絶縁機器の導体及び接地部の少なくとも一方の表面に、絶縁物に適度の抵抗を持たせた被覆材料が開示されている。
特許文献2には、ガス絶縁容器の金属筐体の内面に、性質が異なる二層のコーティング層を密着して設け、気相側のコーティング層には、高抵抗材料の誘電体又は低誘電率材料を設けた構成が開示されている。
特許文献3には、金属容器の内側表面に非線形抵抗膜を形成し、非線形抵抗膜には、ZnO等の非線形抵抗粉末材と、誘電率の異なる粒子状部材と、が充填されている密閉型絶縁装置が開示されている。
ガス絶縁開閉装置を小形化するためには、絶縁ガスを封入した金属容器を小形化する必要がある。ガス絶縁開閉装置を構成する金属容器の大きさは、絶縁および熱設計などによって決定される。絶縁設計で重要となるのは、金属容器内に異物が存在する場合の絶縁性能である。金属容器内に異物が混入した場合、金属異物は、静電気を受けて、浮上と落下を繰り返す運動をする。この静電気力は、異物が有する電荷と金属容器の内側表面の電界とによって生じる。
ガス絶縁開閉装置を小形化すると、金属容器の内側表面が高電界となる。したがって、金属容器内部の異物が活発に運動しやすくなる。異物の運動が大きくなった場合、高電圧導体や絶縁物に付着し、電界集中により絶縁破壊する可能性が高くなる。
また、異物形状が長尺となるほど、異物の運動が大きくなり、絶縁性能に影響を及ぼす。製造工程の異物管理工程において、長尺異物の管理を徹底している。しかし、管理しきれない大きさの異物に対しては、運転電圧の印加の際に金属容器内で異物が設計における想定以上に高圧導体方向に浮上しないように、金属容器の内側表面の電界設計を検討する必要がある。
金属容器の内側表面の電界強度は、高圧導体との距離に依存する。金属容器の内側表面における電界強度を下げるためには、金属容器を大きくする必要があり、ガス絶縁開閉装置は大型化する。これは、環境負荷低減を目的としたガス絶縁開閉装置の小形化と相反する。
特許文献1及び2においては、金属容器の内側表面から異物に電荷が供給されるのを抑制し、静電気力で異物が運動することを抑制している。しかし、特許文献1及び2で示されているような構成では、金属容器の内側表面に塗布された樹脂、異物及び絶縁ガスとの間で形成される電気三重点で電界集中が生じ、絶縁性能を低下させる可能性がある。
特許文献3においては、電界集中すると抵抗値が低下する非線形抵抗膜を金属容器の内側表面に設けている。しかし、特許文献3で示されているような構成では、非線形抵抗膜の気相側の表面付近においては電界が集中するため、抵抗が小さくなると考えられるが、気相側の表面から離れた部位においては電界強度が低くなるため、抵抗は大きいと考えられる。このため、実際に気相側の表面から金属容器への電流が大きくなるとは考えにくい。
本発明の目的は、開閉装置を構成する金属容器の内部に混入した異物の周辺における電界集中を緩和し、かつ、金属容器の内壁面に設ける樹脂層の割れや表面状態の荒れを抑制することにある。
本発明の開閉装置は、高電圧導体と、高電圧導体を内部に有する金属容器と、金属容器の内部で高電圧導体を支持する絶縁スペーサと、を有し、金属容器の内壁面には、樹脂層が設けられ、樹脂層は、非線形抵抗材を含み、非線形抵抗材の表面には、改質層が設けられ、非線形抵抗材は、樹脂層の全体のうち、樹脂層の気相側の表面で密度が高い。
本発明によれば、開閉装置を構成する金属容器の内部に混入した異物の周辺における電界集中を緩和することができ、かつ、金属容器の内壁面に設ける樹脂層の割れや表面状態の荒れを抑制することができる。これにより、開閉装置の絶縁信頼性を向上することができる。
本発明は、開閉装置を構成する金属容器の内側表面(内壁面)に電界緩和を目的として塗布する非線形抵抗材添加樹脂に関する。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、実施例においては、ガス絶縁開閉装置について説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の形式の開閉装置を含むものである。
まず、図1を用いてガス絶縁開閉装置の概略構成を説明する。
図1は、ガス絶縁開閉装置の概略断面図である。
本図において、ガス絶縁開閉装置100は、断路器用密閉金属容器17a(上部断路器用密閉金属容器)と、断路器用密閉金属容器17b(第一の下部断路器用密閉金属容器)と、断路器用密閉金属容器17c(第二の下部断路器用密閉金属容器)と、縦型の遮断器用密閉金属容器19と、ケーブルヘッド用密閉金属容器20と、を備えている。
遮断器用密閉金属容器19は、遮断部12を内蔵し、遮断器を構成している。遮断器用密閉金属容器19の上部には、絶縁スペーサ11aによってガス的に区分した断路器用密閉金属容器17aを接続されている。断路器用密閉金属容器17aには、絶縁スペーサ11bによってガス的に区分したケーブルヘッド用密閉金属容器20が接続されている。
また、遮断器用密閉金属容器19の下部には、絶縁スペーサ11cによってガス的に区分した状態で、断路器用密閉金属容器17bが接続されている。そして、断路器用密閉金属容器17bには、絶縁スペーサ11dによってガス的に区分した接続用密閉金属容器21が接続されている。さらに、接続用密閉金属容器21には、絶縁スペーサ11eによってガス的に区分した断路器用密閉金属容器17cが接続されている。
断路器用密閉金属容器17bの下部には、絶縁スペーサ11fによってガス的に区分した主母線用密閉金属容器18a(第一の主母線用密閉金属容器)が接続されている。一方、断路器用密閉金属容器17cの下部には、絶縁スペーサ11gによってガス的に区分した主母線用密閉金属容器18b(第二の主母線用密閉金属容器)が接続されている。
断路器用密閉金属容器17a内には、断路部10aが詳細を省略した操作器(図示せず)によって開閉可能に構成されている。断路部10aと電気的に接続して主回路を構成する高電圧導体15は、ケーブルヘッド用密閉金属容器20内のケーブルヘッド13に接続されている。
断路器用密閉金属容器17b内には、断路部10bが詳細を省略した操作器(図示せず)によって開閉可能に構成されている。同様に、断路器用密閉金属容器17c内には、断路部10cが詳細を省略した操作部(図示せず)によって開閉可能に構成されている。遮断部12の下方に位置する端子は、断路部10bを介して、主母線用密閉金属容器18a内の母線14a(主母線導体)に接続されている。遮断部12の下方に位置する端子は、断路部10cを介して、主母線用密閉金属容器18b内の母線14bに接続されている。
断路部10a〜10c、絶縁スペーサ11a〜11e、遮断部12、ケーブルヘッド13、母線14a、14b、高電圧導体15が格納された密閉金属容器(断路器用密閉金属容器17a〜17c、主母線用密閉金属容器18a、18b、遮断器用密閉金属容器19、ケーブルヘッド用密閉金属容器20、接続用密閉金属容器21)内には、絶縁ガス16が封入されている。絶縁ガス16としては、例えば、SF6、CO2、N2や乾燥空気などが挙げられる。SF6を用いる場合、0.5〜0.7MPa程度の絶対圧力でガスを封入し、高電圧部と接地部の絶縁性能を確保している。
図2は、図1の密閉金属容器(断路器用密閉金属容器17a〜17c、主母線用密閉金属容器18a、18b、遮断器用密閉金属容器19、ケーブルヘッド用密閉金属容器20、接続用密閉金属容器21)のうち、接続用密閉金属容器21の断面を示したものである。
図2を用いて、接続用密閉金属容器21内に混入した異物の挙動について説明する。
本図に示すように、異物2が接続用密閉金属容器21内に混入した場合、異物2には、静電気力が作用する。このため、異物2は、高電圧導体15に印加される運転電圧によって、浮上と落下とを繰り返すように運動する。本図においては、このときの異物2の挙動を軌跡7として模式的に示している。異物2は、浮上及び落下の繰り返しにより、運動エネルギーを蓄積し、高電圧導体15に接近する場合がある。この運動により、異物2が高電圧導体15に接近し、高電圧導体15と異物2との間に強い電界が生じた場合、絶縁破壊を生じる可能性がある。
図3は、図2の異物2の周辺を拡大して示したものである。
図3においては、異物2が接続用密閉金属容器21の内壁面に接触した部位が電気三重点8となっていることを示している。異物2の周辺に生じる電界は、等電位線6(点線)により示している。等電位線6は、異物2、接続用密閉金属容器21及び絶縁ガス16の3つの相が接する部位に形成される電気三重点8で密となる。すなわち、電気三重点8近傍で高電界部が形成され、これが絶縁上の弱点となる。
そこで、本実施例では、接続用密閉金属容器21等の内壁面に非線形抵抗材を含有する樹脂を塗布する。以下では、図4〜6を用いて、当該樹脂を塗布した場合について説明する。
図4は、接続用密閉金属容器21の断面を示したものである。
本図においては、異物2が混入した状態を示している。接続用密閉金属容器21内には、高電圧導体15と、それを接続用密閉金属容器21内で支持する絶縁スペーサ11d、11eが配置され、絶縁ガス16が封入されている。また、接続用密閉金属容器21の内側表面には、非線形抵抗材を含有する樹脂層1が塗布により形成されている。なお、絶縁スペーサ11d、11eは、エポキシ樹脂にアルミナ粒子を混合したものを用いている。
図5は、本実施例に用いる非線形抵抗材の電気特性の一例を示したものである。横軸に電圧を、縦軸に電流をとっている。
本図に示すように、非線形抵抗材は、電圧と電流との関係が比例関係を有するものではなく、電圧が特有の値となるまで電流が流れない性質を有している。そして、本図に示す曲線のように、電圧が臨界値を超えると、電流が急峻に立ち上がるようになっている。これは、非線形抵抗材の抵抗率の減少に対応している。図中の点線で示すとおり、電圧が臨界値よりも低い領域を高抵抗領域と呼び、高い領域を低抵抗領域と呼ぶ。
上記の非線形抵抗材の特性を利用して接続用密閉金属容器21(図4)の内側表面に生じる電界を緩和するためには、樹脂層1(図4)に含まれる非線形抵抗材を電気三重点8(図3)の近傍に配置することが望ましい。高電界部に位置する非線形抵抗材に電流が生じ、電荷の蓄積が緩和されるからである。
しかし、樹脂に粒子状の非線形抵抗材を混合し、塗布する場合、鉛直上向きの塗布面においては、非線形抵抗材が樹脂よりも比重が大きければ、塗布後樹脂硬化の前に非線形抵抗材が沈降してしまう。この場合、非線形抵抗材を含有の樹脂層1(図4)の表層には、樹脂のみの層ができ、非線形抵抗材が電気三重点8(図3)から離れてしまうため、非線形抵抗材による電界緩和効果が十分には発揮されなくなってしまう。
一方、鉛直下向き面に塗布した場合は、粒子の沈降により、樹脂層1(図4)の表層(下向き面)に非線形抵抗材の粒子が集積しやすい。よって、鉛直上向きの塗布面ほど問題が大きくはないと考えられるが、粒子の表面が親水性の場合、気相よりも親水性の樹脂との親和性が高くなり、気相に露出しにくい傾向がある。
図6は、図4の異物2の周辺を拡大して示したものである。
図6においては、図4に示すとおり、接続用密閉金属容器21の鉛直上向きの塗布面に異物2が付着した状態を示している。異物2の周辺に生じる電界は、図3と同様に、等電位線6(点線)により示している。
図6において、樹脂層1は、改質層3を有する粒子状の非線形抵抗材4を樹脂5に分散したものである。改質層3は、粒子状の非線形抵抗材4の表面を表面改質剤により改質することにより形成されている。樹脂層1は、気相側に非線形抵抗材4が高密度で分布した構造を有している。樹脂層1の接続用密閉金属容器21側には、非線形抵抗材4の比率が低く樹脂5の比率が高い領域が形成されている。言い換えると、非線形抵抗材4は、樹脂層1の全体のうち、樹脂層1の気相側の表面で密度が高くなっている。
ここで、非線形抵抗材4としては、例えば、酸化亜鉛、酸化バリウム、チタン酸バリウム、二酸化チタン、炭化ケイ素などが挙げられる。また、非線形抵抗材4の表面改質に用いる表面改質剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は、疎水性の官能基であるアルキル基、フルオロアルキル基等を含むことが望ましい。アルキル基、フルオロアルキル基等は、直鎖であることが更に望ましい。樹脂5としては、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、水酸基(OH基)を有し、親水性である。
上記の材料を用いた場合、改質層3は、非線形抵抗材4の表面を覆う疎水性の官能基を含む。そして、当該疎水性の官能基は、改質層3の最も外側において外部に向かって配向するように非線形抵抗材4の表面に化学結合していることが望ましい。なお、非線形抵抗材4の粒子径は、粒子に働く重力よりも、粒子の表面の性状、気相との親和性による気液界面への集積、この集積による粒子濃度勾配に基づく拡散などが支配的になるような範囲とすることが望ましい。具体的には、非線形抵抗材4の粒子径は10nm〜30μm程度が考えられる。
本実施例を示す図6と比較例を示す図3とを比較すると、本実施例の方が電気三重点8付近における等電位線6が疎となっていることがわかる。これは、本実施例のように接続用密閉金属容器21に樹脂層1を設けることにより、電界集中を緩和することができることを示している。
本実施例においては、電気三重点8付近に集中する電界により非線形抵抗材4の粒子の内部に生じる電位差(電圧)が臨界値を超えると、粒子の内部に電流が流れ、その部分において発熱する。電気三重点8から離れた領域に存在する非線形抵抗材4の粒子においては、強い電界が生じないため、電圧が臨界値を超えることないため、電流が流れない。
本実施例によれば、非線形抵抗材を樹脂層の表面に集積できるため、非線形抵抗材が樹脂層全体に分散されている構成よりも、電気三重点における電界緩和効果を高めることができ、樹脂層を薄くすることができる。これにより、接続用密閉金属容器と樹脂層との線膨張率の違いによる樹脂割れや樹脂表面の荒れを抑制することができ、絶縁信頼性を向上させることができる。
なお、本実施例においては、接続用密閉金属容器21の内側表面に非線形抵抗材4を含有する樹脂層1を形成した場合について説明したが、その他の密閉金属容器である断路器用密閉金属容器17a〜17c、主母線用密閉金属容器18a、18b、遮断器用密閉金属容器19及びケーブルヘッド用密閉金属容器20(図1)の内側表面にも、同様の構造が適用できる。
実施例2は、実施例1と同一の部分については、詳細な説明を省略する。
実施例2のガス絶縁開閉装置100(図1)も、全体的な構成としては実施例1と同様であり、図4に示す樹脂層1を有する。
図7は、図4の異物2付近を拡大して示したものである。
図7において実施例1(図6)と異なる点は、樹脂層1の表面付近に集積している非線形抵抗材4について、粒子径が大きく異なる2種類を含む点である。言い換えると、非線形抵抗材4は、その粒子径分布において複数の粒子径のピーク(極大値)を有する。粒子径は異なっているものの、非線形抵抗材4が改質層3で覆われている点は、実施例1と同様である。
本実施例によれば、非線形抵抗材4の粒子の充填率を向上させることができる。
実施例3も、実施例1と同一の部分については、詳細な説明を省略する。
実施例3のガス絶縁開閉装置100(図1)も、全体的な構成としては実施例1と同様であり、図4に示す樹脂層1を有する。
図8は、図4の異物2付近を拡大して示したものである。
図8において実施例1(図6)と異なる点は、樹脂層1の表面付近に集積している非線形抵抗材について、誘電率が異なる2種類を含む点である。低誘電率の非線形抵抗材9bが接続用密閉金属容器21内の気相側、高誘電率の非線形抵抗材9aが接続用密閉金属容器21の内壁側に分布している。非線形抵抗材9aと非線形抵抗材9bとは、誘電率は異なっているが、それらの表面はいずれも、改質層3で覆われている。なお、誘電率は、接続用密閉金属容器21内の気相側が低い方が望ましい。
図8においては、非線形抵抗材9aの方が非線形抵抗材9bよりも粒子径が大きい。ただし、粒子径については、本図の例に限定されるものではなく、非線形抵抗材9bが非線形抵抗材9aよりも粒子径が大きくてもよい。
なお、本実施例においては、誘電率に分布を持たせることで電界緩和を実現しているが、抵抗率に分布を持たせることにより電界緩和を実現することもできる。この場合には、接続用密閉金属容器21の内径側の抵抗率が小さくなるように、非線形抵抗材の抵抗率および粒子径を選定することが好ましい。言い換えると、非線形抵抗特性(図5に示すような電気特性)が異なる複数種類の非線形抵抗材を用い、それらの粒子径も適宜選定することにより、電界緩和を実現することができる。
図9は、実施例4の構成を示したものであり、図4と同様の断面図である。
図9において図4と異なる点は、高電圧導体15を接続用密閉金属容器21内で支持する絶縁スペーサ11eの表面の一部に非線形抵抗材を含有する樹脂層1が形成されている点である。樹脂層1の構成は、実施例1〜3のいずれのものであってもよい。
図9に示すように、高電圧導体15と絶縁スペーサ11eと絶縁ガス16とで形成される電気三重点108や、絶縁スペーサ11eと接続用密閉金属容器21の内壁との接続部に樹脂層1が形成されている。これにより、電界集中を緩和することができる。
以下、本発明の効果について、比較実験の結果に基づいて説明する。
図10は、樹脂層における非線形抵抗材の有無及び非線形抵抗材の改質層の有無について比較した結果を示すグラフである。横軸には比較した3種類の樹脂層を、縦軸には異物が浮上を開始する電界すなわち浮上開始電界をとっている。
横軸において、「コートなし」は、非線形抵抗材を含まない樹脂層を、「非線形抵抗材」は、改質層を設けていない非線形抵抗材を添加した樹脂層を、「非線形抵抗材+表面処理」は、改質層を設けた非線形抵抗材を添加した樹脂層を示している。なお、非線形抵抗材の添加量は、樹脂に対して同じ質量としている。すなわち、樹脂と非線形抵抗材との質量比が1:1となるように混合している。
縦軸においては、「コートなし」の場合を基準として規格化した値を表示している。
本図から、改質層を設けていない非線形抵抗材を添加した樹脂層の場合、非線形抵抗材を含まない樹脂層の場合と比べ、異物の浮上開始電界が約1.7倍であり、改質層を設けた非線形抵抗材を添加した樹脂層の場合、非線形抵抗材を含まない樹脂層の場合と比べ、浮上電界が約2倍であることがわかる。
したがって、表面改質処理を施して改質層を設けた非線形抵抗材を添加することにより、非線形抵抗材の電界緩和効果が更に向上することがわかった。
なお、本発明は、真空開閉装置にも適用可能である。
1:樹脂層、2:異物、3:改質層、4:非線形抵抗材、5:樹脂、6:等電位線、7:軌跡、8、108:電気三重点、9a、9b:非線形抵抗材、10a〜10c:断路部、11a〜11g:絶縁スペーサ、12:遮断部、13:ケーブルヘッド、14a、14b:母線、15:高電圧導体、16:絶縁ガス、17a〜17c:断路器用密閉金属容器、18a、18b:主母線用密閉金属容器、19:遮断器用密閉金属容器、20:ケーブルヘッド用密閉金属容器、21:接続用密閉金属容器。
Claims (11)
- 高電圧導体と、
前記高電圧導体を内部に有する金属容器と、
前記金属容器の内部で前記高電圧導体を支持する絶縁スペーサと、を有し、
前記金属容器の内壁面には、樹脂層が設けられ、
前記樹脂層は、非線形抵抗材を含み、
前記非線形抵抗材の表面には、改質層が設けられ、
前記非線形抵抗材は、前記樹脂層の全体のうち、前記樹脂層の気相側の表面で密度が高い、開閉装置。 - 前記非線形抵抗材は、粒子状である、請求項1記載の開閉装置。
- 前記非線形抵抗材は、複数の粒子径のピークを有する、請求項2記載の開閉装置。
- 前記非線形抵抗材は、2種類以上で構成され、それぞれが異なる非線形抵抗特性を有する、請求項2記載の開閉装置。
- 前記非線形抵抗材は、2種類以上で構成され、それぞれが異なる誘電率を有する、請求項2記載の開閉装置。
- 前記絶縁スペーサの少なくとも一部には、樹脂層が設けられ、
前記樹脂層は、非線形抵抗材を含み、
前記非線形抵抗材の表面には、改質層が設けられ、
前記非線形抵抗材は、前記樹脂層の全体のうち、前記樹脂層の気相側の表面で密度が高い、請求項1記載の開閉装置。 - 前記金属容器には、絶縁ガスが充填されている、請求項1記載の開閉装置。
- 前記樹脂層は、エポキシ樹脂を含む、請求項1記載の開閉装置。
- 前記非線形抵抗材は、酸化亜鉛、酸化バリウム、チタン酸バリウム、二酸化チタン又は炭化ケイ素で形成されている、請求項1記載の開閉装置。
- 前記改質層は、疎水性の官能基を含む、請求項1記載の開閉装置。
- 前記官能基は、アルキル基又はフルオロアルキル基である、請求項10記載の開閉装置。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017245976A Pending JP2019115138A (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | 開閉装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019115138A (ja) |
WO (1) | WO2019123889A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6608099B1 (ja) * | 2019-02-01 | 2019-11-20 | 三菱電機株式会社 | ガス絶縁機器 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014148426A (ja) * | 2013-01-31 | 2014-08-21 | Ishihara Sangyo Kaisha Ltd | 放熱性組成物 |
US10043621B2 (en) * | 2014-03-12 | 2018-08-07 | Mitsubishi Electric Corporation | Gas insulated switchgear |
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2017
- 2017-12-22 JP JP2017245976A patent/JP2019115138A/ja active Pending
-
2018
- 2018-11-12 WO PCT/JP2018/041790 patent/WO2019123889A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2019123889A1 (ja) | 2019-06-27 |
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