JP2019112718A - 積層薄板の製造方法及び積層薄板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 薄く広幅な素材でも良好な平坦度を有することが可能な積層薄板と、その積層薄板を簡易に得ることが出来る製造方法を提供する。【解決手段】 Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板と、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程と、前記中間積層材を焼鈍する焼鈍工程と、焼鈍した前記中間積層材を冷間圧延する圧延工程とを有し、厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である積層薄板を得る、積層薄板の製造方法及び積層薄板。【選択図】 なし
Description
本発明は、積層薄板の製造方法及び積層薄板に関する。
リードフレームまたはメタルマスク等に使用されるFe−Ni系合金薄板は、他部材に組み込むために、打ち抜きやエッチング等の加工が行われる。このような加工を高精度に行うために、従来より様々な検討がなされている。例えば特許文献1は、加熱収縮が少なく、なおかつ形状平坦性の良いリードフレーム材料を得るために、Fe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系合金薄板を製品板厚に冷間圧延した後、6.0kgf/mm2以上の張力を付加して歪取り焼鈍を行ない、さらに張力を4.0kgf/mm2以下に抑えて歪取り焼鈍を行なう2段の歪取り焼鈍を適用することで、平坦度を向上させることができる、リードフレーム材料の製造方法について開示されている。また特許文献2には、従来の蒸着マスクよりも高精度なパターンを作製するために、低熱膨張率の第一の金属箔(Fe−Ni系やFe−Ni−Co系)に、第一の金属箔とエッチング特性が異なる金属層を積層した蒸着マスクについて開示されている。
製品形状の多様化、高精度化や生産性向上要求に伴い、素材であるFe−Ni系合金薄板においても、さらなる薄板化、広幅化が要求されている。一方で素材の薄板化や広幅化が進行するにつれて、薄板材表面の平坦度は低下する傾向にある。薄板材表面の平坦度が低下すると、高精度な加工(曲げ加工やプレス打抜き)が困難となる。また、広幅化、薄板化が進行するにつれて、薄板の搬送時に薄板の自重による折れや曲り等の発生が増加する傾向にある。特許文献1に記載の発明は耐熱収縮性や平坦度を改善することができる発明であるが、上述したような広幅化と薄板化に伴って発生する問題については記載されておらず、検討の余地が残されている。また特許文献2はメタルマスクの剛性を低下させずに蒸着パターンの精細化を推進できる発明であるが、引用文献1と同様に上述したような広幅化・薄板化に伴って発生する問題については記載されておらず、検討の余地が残されている。また引用文献2では金属被膜をスパッタリングやイオンプレーティングなどの気相めっき法や、湿式めっき法によって形成されることが記載されている。これらの気相めっき法や湿式めっき法は広幅材に行うには、素材への前処理工程が必要となるため、生産性の低下が懸念される。よって本発明の目的は、薄く広幅な素材でも良好な平坦度を有する積層薄板と、その積層薄板を簡易に得ることが出来る製造方法を提供することである。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
すなわち本発明の一態様は、Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板と、
質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程と、
前記中間積層材を焼鈍する焼鈍工程と、
焼鈍した前記中間積層材を冷間圧延する圧延工程とを有し、厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である積層薄板を得る、積層薄板の製造方法である。
好ましくは、前記積層薄板の板幅が400mm以上である。
すなわち本発明の一態様は、Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板と、
質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程と、
前記中間積層材を焼鈍する焼鈍工程と、
焼鈍した前記中間積層材を冷間圧延する圧延工程とを有し、厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である積層薄板を得る、積層薄板の製造方法である。
好ましくは、前記積層薄板の板幅が400mm以上である。
本発明の他の一態様は、Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層と、
前記内層の両面に接合された、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層と、を備え、
厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である、積層薄板である。
好ましくは、前記積層薄板の板幅が400mm以上である。
前記内層の両面に接合された、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層と、を備え、
厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である、積層薄板である。
好ましくは、前記積層薄板の板幅が400mm以上である。
本発明によれば、薄く広幅な素材でも良好な平坦度を有する積層薄板を、簡易に得ることが出来る。
以下、本発明の実施形態である積層薄板の製造方法について説明する。
<接合工程>
まず本実施形態の製造方法では、所定の板厚を有するCu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板(以下、内層材とも記載する)と、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板(以下、外層材とも記載する)とを準備する。内層用薄板及び外層用薄板の厚みは、所望の積層薄板構成に合わせて適宜変更することが可能であるが、あまりに厚すぎると加工率の増加により薄板化のコスト上昇を招く可能性があるので、1.0mm以下と設定することが好ましい。より好ましくは、0.7mm以下である。内層用薄板及び外層用薄板の幅も特に限定せず、用途に合わせて調整することができるが、あまりに広幅すぎると積層薄板の形状が悪化する傾向にあるので、例えば1200mm以下と設定することができる。そして、この内層用薄板と外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程を行う。
<接合工程>
まず本実施形態の製造方法では、所定の板厚を有するCu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板(以下、内層材とも記載する)と、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板(以下、外層材とも記載する)とを準備する。内層用薄板及び外層用薄板の厚みは、所望の積層薄板構成に合わせて適宜変更することが可能であるが、あまりに厚すぎると加工率の増加により薄板化のコスト上昇を招く可能性があるので、1.0mm以下と設定することが好ましい。より好ましくは、0.7mm以下である。内層用薄板及び外層用薄板の幅も特に限定せず、用途に合わせて調整することができるが、あまりに広幅すぎると積層薄板の形状が悪化する傾向にあるので、例えば1200mm以下と設定することができる。そして、この内層用薄板と外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程を行う。
本実施形態における内層材は、Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる。これらは、加工性が良好かつ軽量な材料(外層材のFe−Ni系合金に比較して)であり、この内層材を後述する外層材と接合させた積層薄板とすることで、従来のFe−Ni系合金薄板よりも軽量化し、加工性も向上させることができる。好ましくは、融点が高く、安定して焼鈍可能なCu及びCu基合金を適用する。ここで本実施形態におけるCu基合金とは、Cuを質量%で50%より多く含む合金を示し、Al基合金とは、Alを質量%で50%より多く含む合金を示す。
本実施形態における外層材には、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不不可避的不純物からなる組成を有するFe−Ni系合金を適用する。本実施形態で規定する組成を有するFe−Ni系合金は、所望の熱膨張係数を得るために必要な組成を有するものである。Ni及びCoは、所望の熱膨張係数を得るために必要な元素である。Ni+Co含有量が28.0%未満ではオーステナイト組織が不安定となりやすく、一方52.0%を越えると熱膨張率が上昇し、低熱膨張特性を満足しないことから、Ni+Coの含有量は28.0〜52.0%とする。好ましいNi+Co含有量の下限は35%であり、好ましいNi+Co含有量の上限は43%である。なお、Coは必ずしも含有されている必要はないが、CoにはFe−Ni系合金を高強度とする作用があるため、6.0%までの範囲で、Niの一部をCoで置換することができる。これは特に厳しいハンドリング性を求められるような場合や、外層材の厚みが薄い(例えば、一方の外層材の厚みが、積層薄板総厚の20%以下となるような)積層薄板の場合に有効である。
Si、Mnは通常Fe−Ni系合金では、脱酸を目的に微量含有されているが、過剰に含有すれば偏析を起こし易くなるため、Si含有量は0.5%以下とし、Mnの含有量は1.0%以下とする。なお、SiとMnの下限は特に限定しないが、前述のように脱酸元素として添加されることから、Siは0.05%程度、Mnは0.05%程度は少なからず残留する。上記の元素以外は実質的にFe及び不可避的不純物とすることができるが、本発明の効果を阻害しない範囲で本明細書にて説明した元素以外の元素などが含まれていてもよい。例えば、特に制限の必要な不純物元素にはCがあり、例えば、エッチングを行う用途に使用する場合は、エッチング性の阻害を抑制しないようにCの上限を0.05%と制限すると良い。また、プレス打抜き性を向上させる場合はS等の快削性元素を0.020%以下で含有させても良く、熱間加工性を向上させるようなB等の元素を0.0050%以下で含有させても良い。
本実施形態での接合工程ではレーザー接合等の融接、クラッド接合等の圧接、ロウ付け等のろう接を適用することができるが、接合強度が高く容易に大量の積層材を得ることができる、圧接を適用することが好ましい。本実施形態における接合工程は、圧接(クラッド接合)を適用している。本実施形態における接合工程(圧接工程)時には、外層材(2枚のFe−Ni系合金板材)の間に内層材(1枚のCu、Al、Cu基合金、またはAl基合金板材)を配置し、連続的に圧延して接合する。このとき異種金属をスムーズに接合させるために、ワークロールの材質や表面粗さ、回転速度や圧下率等の圧延条件を適宜変更することができる。なお、圧接前に外層材と内層材との接合強度を高めるために、機械的手段や化学的手段を用いて、互いの接合面を粗化させる粗化処理工程を導入してもよい。また内層材は外層材より低硬度であるため、そのまま圧接すると平坦度が劣化する可能性もある。そのため、内層材の硬度を外層材の硬度に近づける目的で、冷間圧接工程前に内層材のみを圧延する予備圧延工程を施してもよく、外層材の硬度を内層材の硬度に近づける目的で、冷間圧接工程前に外層材のみを焼鈍する予備焼鈍工程を施してもよい。なお本実施形態では3層を一度に圧接する方法を想定しているが、2層ずつ圧接してもよい。
<焼鈍工程>
続いて接合工程後の中間積層材を焼鈍する焼鈍工程を行う。この焼鈍工程により、内層材及び外層材に含まれる金属原子を相互に拡散させ、接合強度を向上させる。この焼鈍工程は所望の温度に設定された加熱炉に中間積層材を連続的に通して行うことができる。例えば、中間積層材がロール状に巻かれた状態から引き出し、加熱炉に通板させ、コイル状に巻き取る方法で行うことができる。なお焼鈍工程は少なくとも一回行えばよく、焼鈍工程後の中間積層材を冷間圧延する中間圧延工程を導入してもよい。また、中間圧延工程後に再度焼鈍工程を行っても良い。
続いて接合工程後の中間積層材を焼鈍する焼鈍工程を行う。この焼鈍工程により、内層材及び外層材に含まれる金属原子を相互に拡散させ、接合強度を向上させる。この焼鈍工程は所望の温度に設定された加熱炉に中間積層材を連続的に通して行うことができる。例えば、中間積層材がロール状に巻かれた状態から引き出し、加熱炉に通板させ、コイル状に巻き取る方法で行うことができる。なお焼鈍工程は少なくとも一回行えばよく、焼鈍工程後の中間積層材を冷間圧延する中間圧延工程を導入してもよい。また、中間圧延工程後に再度焼鈍工程を行っても良い。
上記の焼鈍工程について、焼鈍温度は内層材に合わせて適宜選択する事ができる。例えば内層材をCuとした場合、焼鈍温度については、800℃以上の温度で行うことが好ましい。この工程により、冷間圧接により加工硬化した材料の歪みを除去し軟化させ、後の最終冷間圧延により所望の板厚と機械特性を得やすくなる。焼鈍温度が800℃未満であると材料が十分に軟化しないおそれがある。また焼鈍温度の上限は特に限定しないが、高すぎると所望の特性が得られない可能性があるため、1100℃と設定することができる。
さらに本実施形態では、薄板の焼鈍時の加熱保持時間(薄板が加熱炉に滞在している時間)を0.1〜1.2分に調整することが好ましい。このように上述した温度範囲内で加熱保持時間を比較的短時間にすることで、熱処理工数を短くすることができる。加熱保持時間が0.1分未満だと歪みの除去が不十分である場合や、拡散焼鈍が進行しないことによる密着性の悪化が懸念される。一方で加熱保持時間が1.2分を超えると、合金薄板の機械特性の変動や、焼鈍時間の増大によるコスト増大を招来する可能性がある。加熱保持時間の下限は0.2分であることが好ましく、加熱保持時間の上限は0.9分であることが好ましい。尚、この焼鈍は、所望の温度に設定された加熱炉に第1冷間圧延材を連続的に通して行うことができる。例えば、第1冷間圧延材がロール状に巻かれた状態から引き出し、加熱炉を通り、ロール状に巻き取る方法で行うことができる。
さらに本実施形態では、薄板の焼鈍時の加熱保持時間(薄板が加熱炉に滞在している時間)を0.1〜1.2分に調整することが好ましい。このように上述した温度範囲内で加熱保持時間を比較的短時間にすることで、熱処理工数を短くすることができる。加熱保持時間が0.1分未満だと歪みの除去が不十分である場合や、拡散焼鈍が進行しないことによる密着性の悪化が懸念される。一方で加熱保持時間が1.2分を超えると、合金薄板の機械特性の変動や、焼鈍時間の増大によるコスト増大を招来する可能性がある。加熱保持時間の下限は0.2分であることが好ましく、加熱保持時間の上限は0.9分であることが好ましい。尚、この焼鈍は、所望の温度に設定された加熱炉に第1冷間圧延材を連続的に通して行うことができる。例えば、第1冷間圧延材がロール状に巻かれた状態から引き出し、加熱炉を通り、ロール状に巻き取る方法で行うことができる。
<圧延工程>
続いて焼鈍工程後の中間積層材に所定の圧下率で冷間圧延を行い、厚さが1.0mm以下の積層薄板を得る圧延工程を行う。本実施形態では、冷間圧延時の総圧下率を50%以下に設定することが好ましい。総圧下率を50%超に設定した場合、外層と内層との圧延方向伸び差が過大となるため、内層のうねりにより接合部の剥離が生じる可能性がある。また、圧延荷重の増加により圧延ロールの変形量が大きくなり、積層薄板の平坦性が劣化しやすくなるが、本実施形態によれば上記の平坦性劣化を抑制し、後述する最大急峻度の値を達成しやすくなる傾向にある。冷間圧延時のパス数は特に限定しないが、薄板材を得るために高い圧下率をかけなければならない場合は、2パス以上と設定することが好ましい。圧下率50%以下の冷間圧延を繰り返して、所望の厚さの積層薄板を得ることにより、良好な平坦度を有する積層薄板を得ることができる。好ましい総圧下率の上限は40%であり、より好ましくは30%である。なお複数パス圧延する場合は、より内層のうねりを制御するために1パスあたりの圧延率を15%以下に設定することがより好ましい。なお、総圧下率の下限は特に限定しないが、量産性を考慮すると5%以上に調整することが好ましい。
続いて焼鈍工程後の中間積層材に所定の圧下率で冷間圧延を行い、厚さが1.0mm以下の積層薄板を得る圧延工程を行う。本実施形態では、冷間圧延時の総圧下率を50%以下に設定することが好ましい。総圧下率を50%超に設定した場合、外層と内層との圧延方向伸び差が過大となるため、内層のうねりにより接合部の剥離が生じる可能性がある。また、圧延荷重の増加により圧延ロールの変形量が大きくなり、積層薄板の平坦性が劣化しやすくなるが、本実施形態によれば上記の平坦性劣化を抑制し、後述する最大急峻度の値を達成しやすくなる傾向にある。冷間圧延時のパス数は特に限定しないが、薄板材を得るために高い圧下率をかけなければならない場合は、2パス以上と設定することが好ましい。圧下率50%以下の冷間圧延を繰り返して、所望の厚さの積層薄板を得ることにより、良好な平坦度を有する積層薄板を得ることができる。好ましい総圧下率の上限は40%であり、より好ましくは30%である。なお複数パス圧延する場合は、より内層のうねりを制御するために1パスあたりの圧延率を15%以下に設定することがより好ましい。なお、総圧下率の下限は特に限定しないが、量産性を考慮すると5%以上に調整することが好ましい。
本実施形態では上述した圧延工程後の素材に、Fe−Ni系合金材の再結晶温度未満かつ内層用薄板の融点未満の温度で加熱する、歪取り焼鈍を導入してもよい。例えば内層用薄板にCu及びCu合金を選択した場合は、300〜700℃で歪取り焼鈍を行うことが好ましい。より好ましい歪取り焼鈍の下限は、400℃である。なおこの歪取り焼鈍は、例えば、圧延用素材がロール状に巻かれた状態から引き出し、加熱炉に通板させ、コイル状に巻き取る方法で行うことができる。さらに本実施形態では、冷間圧延を終えた薄板に形状矯正を行うことが好ましい。これにより積層薄板に残存している耳波や中伸びを矯正し、平坦度を大幅に向上させることが可能となる。この形状矯正に用いる装置は、ローラレベラーやテンションレベラー等、従来から用いられている形状矯正装置を使用することができる(本実施形態ではテンションレベラーを使用する)。この形状矯正は、伸び率を0.2〜0.7に設定することで、より確実に耳波や中伸びを強制することができるため好ましい。
上記の製造方法によって作製した本実施形態の積層薄板は、Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層と、前記内層の両面に接合された、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層とからなることを特徴とする。この構成により本実施形態の積層薄板は低熱膨張率を維持しつつ、電気伝導性を向上させることが可能であり、良好な曲げ加工性、打ち抜き加工性を発揮することも期待できる。上記の効果により本実施形態の積層薄板は、高いプレス打ち抜き性が要求されるリードフレーム材や、高精度なパターンを蒸着しなければならないメタルマスク材の用途にも適している。上記以外にも、本発明の積層薄板は内層の存在により従来のFe−Ni系薄板よりも放熱性に優れるため、放熱性を重視する用途に適用することも可能である。
本実施形態の積層薄板の内層は剛性をより高く保つために、厚みを積層薄板総厚の80%以下に抑えることが好ましい。内層の厚みの下限は特に限定しないが、薄すぎると加工性などの所望の特性が損なわれ、軽量化効果も得られない可能性があるため、内層の厚みは、例えば積層薄板総厚の10%以上と設定することができる。より好ましい内層の厚みの上限は積層薄板総厚の60%であり、より好ましい内層の厚みの下限は積層薄板総厚の30%である。なお本実施形態のように接合方法にクラッド接合を適用した場合、互いの成分が拡散した拡散層が接合界面に形成される。この拡散層を有することで、内層と外層とは強固に接合される。なお、内層の両面にそれぞれ形成される外層は、一方と他方で厚さを変えても良いが、同じ厚さとしておくことが好ましい。
本実施形態の積層薄板は、さらに生産コストを下げるために、広幅な薄板に適用することが好ましい。具体的には板幅が400mm以上であることが好ましい。板幅の上限は特に限定しないが、例えば1200mmと設定することができる。なお本実施形態での薄板とは、コイル状に巻き回されている鋼帯や、その鋼帯を切断して作製された矩形状の薄板も含む。矩形状薄板の場合、「板幅」とは短辺のことを示す。このように広幅化が進行すると薄板の剛性は低下する傾向にある。例えば外層材にAlやCu、内層材にFeまたはFe基合金を適用した積層薄板では、しわ等の形状不良が発生する可能性があったが、本実施形態では軟質な内層を、比較的剛性が高い外層で挟んでいる構造であるため、しわ等の形状不良の発生を抑制できる傾向にある。また従来のFe−Ni系合金薄板と比較して、強度を低下させずに軽量化することが可能であるため、搬送時の薄板の折れや曲りの発生を抑制する効果が期待できる。また製品の低背化要求に対応するためにも、本実施形態の積層薄板の板厚は1.0mm以下と設定する。好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。板厚の下限は特に設定しないが、薄すぎると製造が困難なため、例えば0.05mmと設定することができる。
本実施形態の積層薄板は、800mm長さにおける最大急峻度を2.5%以下に設定する。これにより、良好な平坦度の積層薄板とすることができる。このような良好な平坦度を有する積層薄板は、例えばエッチング用途に使用した場合はエッチングの進行ムラを抑制し、高精度なエッチング加工を達成することが可能であり、例えば樹脂、ドライフィルム等様々な部材との密着性を向上させることも可能である。この最大急峻度は、冷間圧延後、所定の製品幅で製品の長さを800mmに切断した際の、積層薄板を水平定盤に置いた状態の浮上り高さで評価することができ、測定面積内での急峻度の最大値を示す。最大急峻度が2.5%を超える場合、他部材との密着性が低下するため好ましくない。より好ましい最大急峻度は2.0%以下であり、さらに好ましい最大急峻度は1.5%以下であり、特に好ましい最大急峻度は1.0%以下である。なお、最大急峻度の下限は特に限定しない。全く平坦な形状(急峻度0.00%)であることが最良であるが、全く平坦な形状を製造することは極めて困難であるため、現実的な最大急峻度の下限は0.01%程度と設定することができる。
本実施形態の積層薄板において、板厚方向の熱伝導率は20W/(K・m)以上であることが、放熱性を重視する用途に適用できるため好ましい。より好ましくは30W/(K・m)以上である。熱伝導率の上限は特に限定しないが、高く設定するためには内層材を厚くしなければならず、強度低下及び低熱膨張特性の低下を招く可能性があるため、200W/(K・m)以下と設定することができる。
まずCu材の両面にFe−Ni系冷間圧延材が配置されるように重ね合わせた後、圧接により厚みが0.125mm、幅500mmの中間積層材を準備した。各層の厚み比率は、Fe−Ni:Cu:Fe−Ni=1:2:1であった。得られた中間積層材を900℃に設定した加熱炉に炉内滞在時間0.8分の条件で、連続して焼鈍した。焼鈍後、圧延張力12.5MPaにて1パスの冷間圧延を行い、厚さ0.1mm(圧下率20%)に調整する圧延工程を行った。さらに圧延工程後の圧接材にテンションレベラーによる形状矯正を行い、本発明の積層薄板を作製した。なお形状矯正時の伸び率は、0.35%に調整した。また比較例として、厚さ0.125mm、幅1000mmのFe−Ni系冷間圧延材に、20%の圧下率で冷間圧延を行い0.1mmとした、Fe−Ni系薄板を準備した。比較例のFe−Ni系薄板にも、圧延後にテンションレベラーによる形状矯正を行った。形状矯正時の伸び率は、0.5%に調整した。得られた本発明例について、三次元形状測定器を用いて浮上り高さを測定し、薄板の波高さ/薄板の波ピッチ(波と波との位置間隔)から長さ800mmあたりの急峻度を導出した。測定した結果、本発明の積層薄板における最大急峻度は0.2%であることに対し、比較例の最大急峻度は0.5%であり、本発明例は急峻度が低下しやすい積層薄板であることにもかかわらず、比較例よりも優れた急峻度を有することが確認できた。
Claims (4)
- Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層用薄板と、
質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層用薄板とを接合して、内層用薄板の両面に外層用薄板が接合された中間積層材とする接合工程と、
前記中間積層材を焼鈍する焼鈍工程と、
焼鈍した前記中間積層材を冷間圧延する圧延工程とを有し、
厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である積層薄板を得る、積層薄板の製造方法。 - 前記積層薄板の板幅が400mm以上である、請求項1に記載の積層薄板の製造方法。
- Cu、Al、Cu基合金、Al基合金から選択される金属材料からなる内層と、
前記内層の両面に接合された、質量%でNi+Co:28.0〜52.0%(但し、Coは0〜6.0%)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Ni系合金の外層と、を備え、
厚さ1.0mm以下、かつ800mm長さにおける最大急峻度が2.5%以下である、積層薄板。 - 前記積層薄板の板幅が400mm以上である、請求項3に記載の積層薄板。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017247477 | 2017-12-25 | ||
JP2017247477 | 2017-12-25 |
Publications (1)
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