JP2019111508A - 塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料の無駄を少なくするとともに、円筒形状の被塗装物の外側全面の塗装を可能にする。【解決手段】回動自在なターンテーブルと、ターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した複数個のワーク回転シャフトを具備したワーク回転装置と、ワーク回転装置に連結したワークに塗料を噴射するための塗料噴射手段を用いて、ワーク回転シャフトにワークを連結し、ワーク回転シャフトを回転させてワークを自転させるとともに、ターンテーブルを回転させてワークを公転させ、自転しながら公転しているワークに向けて、塗料噴射手段より塗料を噴射することを特徴とし、ワークの自転速度をターンテーブルの公転速度よりも早くして、塗料噴射手段はターンテーブルの中心点から左右いずれかの方向に所定長だけオフセットした方向に向けて塗料を噴射することとした。【選択図】図1

Description

本発明は塗装方法に係り、より詳しくは、塗料の無駄を少なくするとともに、被塗装物の外側全面の塗装を可能にしたことを特徴とする塗装方法に関する。
従来から、被塗装物(以下「ワーク」と言う。)を大量に塗装する場合は、コンベア上にワークを等間隔に置いて、このワークをコンベア上で回転させながらコンベアにより移動させ、この移動していくワークに向け、複数箇所に固定したスプレーガンにより塗料を噴射する方法が採用されていた。
しかしながらこの方法では、スプレーガンの位置が固定されているとともに、ワークを等間隔にコンベア上に配置しているため、ワークが存在しない箇所にも塗料を噴射することになり、塗料の無駄が多くなってしまうという問題点があった。
そのため、過去において本出願人は、このような従来の塗装装置の問題点を解決するために、ワークを固定させたワーク供給テーブルを回転させ、ワーク供給テーブルとともに回転するワークに向けて塗料を噴射する方法(以下「回転塗装」という。)を提案し、これにより塗料の無駄を少なくするという効果を得ることができた。
即ち、この回転塗装では、複数個のワークを装着可能な回転テーブルを具備しており、この回転テーブルは、軸に回転自在に連結されており、その外周部近傍において複数個のワークを装着可能としている。そして、ワークを装着した回転テーブルを回転させ、回転する回転テーブル上のワークに向けて、スプレーガンより、塗料を噴射し、それによりワークの塗装を行う方法としている。
そのため、この回転塗装の方法を採用することで、コンベア上に等間隔を置いてワークを載置し、このワークに向けて複数個のスプレーガンにより塗料を噴射する従来の塗装装置と比較すると、塗料の無駄を少なくすることが可能である。
また、過去において本出願人は、複数個のワークを固定した複数個の回転テーブルを、任意の間隔を置いてコンベア上に回動自在に装着し、回転テーブルのそれぞれを回動させながらコンベアにより移動させ、回転テーブルの移動にスプレーガンを追従させながら、特定の回転テーブルに固定したワークに向けて塗料を噴射する方法を提案しており、これによっても、塗料の無駄を少なくすることが可能である。
特開平11−290733号公報 特開2004−82068号公報
ところで、ワークには、例えばドアミラー、スマートフォンの筐体等のように、表面と裏面が明確に区別されており、表面の塗装のみで良く、裏面の塗装を行う必要が無いもののほかに、ワインキャップ、口紅ケース等のような円筒形状のものがある。そして、このような円筒形状のワークでは、外側面と内側面を有して、外側面がすべて表面であり、外側面の全面に均等な塗膜を形成して塗装する必要があるが、前述の回転塗装の方法では、ワインキャップや口紅ケース等のように円筒形状で外側面の全面を塗装する必要があるワークの場合には、その外側面の全周に均等な塗膜を形成して塗装することが困難であることが指摘されていた。
即ち、前述の回転塗装の方法では、スプレーガンに対向する面が固定されているために、スプレーガンに対向していない面は塗装されず、そのために、ワインキャップ、口紅ケース等のように、円筒形状で外側面がすべて表面であるワークの場合には、外側全周を均一な膜厚に塗装することができなかった。
そこで、本発明は、塗料の無駄を少なくするとともに、円筒形状の被塗装物の外側全面の塗装を可能にした塗装方法を提供することを課題としている。
本発明の塗装方法は、
回動自在なターンテーブルと、ターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した、それぞれにワークを連結可能な複数個のワーク回転シャフトと、を具備したワーク回転装置と、ワーク回転装置に連結したワークに塗料を噴射するための1又は複数個の塗料噴射手段と、を用いた塗装方法であって、
ワーク回転シャフトにワークを連結し、
ワーク回転シャフトを回転させることでワーク回転シャフトに連結したワークを自転させるとともに、
ターンテーブルを回転させることでワークを公転させ、
ターンテーブル上で自転しながらターンテーブルの回動に従って公転しているワークに向けて、塗料噴射手段より塗料を噴射する、ことを特徴としている。
本発明の塗装方法では、回動自在なターンテーブルと、該ターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した、それぞれにワークを連結可能な複数個のワーク回転シャフトと、を具備したワーク回転装置と、このワーク回転装置に連結したワークに塗料を噴射するための塗料噴射手段と、を具備した塗装装置を用いて、ワークを連結したワーク回転シャフトを回転させることでワークワークを自転させるとともに、ターンテーブルを回転させることでワークを公転させ、ターンテーブル上で自転しながらターンテーブルの回動に従って公転しているワークに向けて、塗料噴射手段より塗料を噴射することとしている。
そのために、本発明の塗装方法では、塗料の無駄を少なくすることができるとともに、円筒形状のワークの外側面の全面に均等な塗膜を形成することが可能である。
本発明の塗装方法の実施例を説明するための図である。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置を説明するための斜視図である。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置を説明するための図であり側面を示している。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置を説明するための斜視図であり分解した状態を示している。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置を説明するための斜視図であり分解した状態を下側から示している。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置を説明するための斜視図でありカバーを外した状態を下側から示している。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置の一部の断面図である。 本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置におけるワークの取付方法を説明するための断面図である。
本発明の塗装方法は、ワークを連結させるワーク回転装置と、このワーク回転装置に連結したワークに向けて塗料を噴射する1又は複数個の塗料噴射手段を具備した塗装装置を用いた塗装方法であり、ワーク回転装置は、回動自在なターンテーブルと、このターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した、それぞれにワークを連結可能な複数個のワーク回転シャフトと、を具備している。そして、本発明の塗装方法では、ワーク回転装置のワーク回転シャフトにワークを連結し、ワーク回転シャフトを回転させることでワーク回転シャフトに連結したワークを自転させ、それとともに、ターンテーブルを回転させることでワークを公転させ、ターンテーブル上で自転しながらターンテーブルの回動に従って公転しているワークに向けて、スプレーガン等の塗料噴射手段より塗料を噴射することとしている。
ここで、ターンテーブルの回転速度に対して、ワークの自転速度を早くするとよく、好ましくは、ワークの自転速度は、ワークが塗料噴射手段による塗料の噴射領域を通過するときに、ワークが少なくとも1回転する速度であることが良く、これにより、確実にワークの外側面の全域を塗装することが可能である。
また、塗料噴射手段によってワークに向けて塗料を噴射するときには、ターンテーブルの中心点から左右いずれかの方向に所定長だけずれた方向に向けて塗料を噴射するとよく、これにより、複数のワークに同時に塗料を噴射することができ、より少ない塗料で塗装を行うことが可能となる。
本発明の塗装方法の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の塗装方法を説明するための図であり、本実施例の塗装方法を実施するために用いる塗装装置46を示している。
そして、前記塗装装置46は、ワークを回転させるためのワーク回転装置と、このワーク回転装置に連結したワークに向けて塗料を噴射するための塗料噴射手段を有している。即ち、図において1がワーク回転装置であり、また図において47が塗料噴射手段である。
そして、前記ワーク回転装置1は、回動自在なターンテーブルを有しており、このターンテーブルの外周部近傍には、ターンテーブルの円周方向に沿って、ワーク回転シャフトが、回動自在に配置され、このワーク回転シャフトにワークが連結されることとしている。即ち、図においてWがワーク回転シャフトに連結されたワークであり、本実施例においては、30個のワークが設置されている。
次に、図において47は塗料噴射手段であり、本実施例において、この塗料噴射手段は、塗装ロボットに備えたスプレーガンを用いており、このスプレーガン47より前記ワークWに向けて、塗料を噴射することとしている。
そして、本実施例において前記スプレーガン47は、前記ターンテーブル2の中心点から右側へ所定長だけずれた位置に向けて配置しており、これにより、前記ターンテーブル2の中心点から右側へオフセットした方向に塗料を噴射することとしている。
そして、このように構成される塗装装置1を用いた本発明の塗装方法の実施例では、まず、前記ワーク回転シャフトにワークWを連結する。
次に、ワーク回転シャフトを回転させることでワーク回転シャフトに連結したワークWを自転させるとともに、前記ターンテーブル2を回転させることでワークWを公転させる。
そして、前記ターンテーブル2上で自転しながらターンテーブル2の回動に従って公転しているワークWに向け、前記スプレーガン47より塗料を噴射する。
そうすると、ワークWが自転しているために、円筒形状のワークの場合でも、ワークの外側面の全面に塗料が塗着するために、ワークの外側面の全面に均等な塗膜を形成することが可能である。
また、本実施例の塗装方法では、ワークWを装着したターンテーブル2を回転させ、回転するターンテーブル2上のワークWに向けて、スプレーガンにより塗料を噴射し、それによりワークの塗装を行う回転塗装としているため、コンベア上に等間隔を置いてワークを載置し、このワークに向けて複数個のスプレーガンにより塗料を噴射する従来の塗装装置と比較すると、塗料の無駄を少なくすることが可能である。
なお、本実施例の塗装方法においては、ターンテーブルは反時計周り方向に向けて公転させ、ワークは時計周り方向に自転させており、ワークの自転速度は、前記ターンテーブルの回転速度よりも早くしている。具体的には、ワークの自転速度は、ワークがスプレーガン47の正面側、即ち塗料の噴射領域を通過するときに、少なくとも1回転する速度にしている。
従って、本実施例の塗装方法では、ワークがスプレーガン47による塗料噴射領域を通過する過程で、ワークWの全面に塗料を塗着させることが可能である。なお、スプレーガン47から噴射される塗料は、必ずしもスプレーガン47の正面側に直線状に向いて移動するのではなく、広がっていくのが一般的である。従って、前述において塗料噴射領域とは、スプレーガン47から噴射された塗料が移動していく領域を総称している。
次に、図1において48はスプレーガン47から噴射された塗料のミストを示している。即ち、本実施例においては、スプレーガン47は、図1にも示されているように、ターンテーブル2の中心点から右側に所定長だけずれた方向に向けて、即ちターンテーブル2の中心点から所定長だけオフセットした位置に向けて塗料を噴射可能な配置で設置されており、これにより、複数個のワークに同時に塗料を塗着可能としている。
この関係を説明すると、本実施例の塗装方法では、ターンテーブル2の回動に従って公転しているワークWは自転しており、更に、ワークWの自転速度は、ワークWがスプレーガン47による塗料の噴射領域を通過するときに、ワークWが少なくとも1回転する速度にしているため、ターンテーブル2の中心点に向けて塗料を噴射することのみで、ワークWの全面を塗装することが可能である。
しかしながら本実施例の塗装方法では、更に、塗料の噴射方向をターンテーブルの中心点から右側にオフセットすることで、図1にも示されているように、目的とするワークの前方に配置された複数のワークに対しても塗料を塗着可能としている。
従って、本実施例の塗装方法では、各ワークに対して、スプレーガン47の前を通過するときのみならず、通過した後においても塗料を塗着することができるために、ターンテーブルの中心点に向けて塗料を噴射する方法と比較して、塗料の塗着割合を増やすことが可能である。この点本発明者の実験によると、ターンテーブルの中心点に向けて塗料を噴射した場合の塗料の塗着割合は30%前後であったが、本実施例によるオフセット方向への塗料噴射を行った場合には、塗料の塗着割合が10%程度上昇したことが証明された。従って、本実施例の塗装方法では、塗料の塗着割合が上がるために、ターンテーブルの中心点に向けて塗料を噴射する場合と比較して、より少ない塗料によってワークの塗装を行うことが可能である。
なお、前述したように、本実施例の塗装方法においては、ターンテーブルは反時計周り方向に向けて公転させ、ワークは時計周り方向に自転させているが、この回転方向は特に限定されない。また、ワークの自転速度は、ワークがスプレーガン47による塗料の噴射領域を通過するときに、少なくとも1回転する速度にすれば良い。更に、スプレーガンの数は1個には限定されず、複数個のスプレーガンを設置してもよく、複数個を設置することで塗装速度を上げることが可能となる。
次に、本実施例の塗装方法を実施するために用いる前記ワーク回転装置(以下単に「ワーク回転装置」と言う。)について、図面を参照して詳細に説明すると、図2は、ワーク回転装置を示す図であり、図において1がワーク回転装置である。また図3にはワーク回転装置の側面図、図4はワーク回転装置を分解した状態を上側から示した図、図5はワーク回転装置を分解した状態を下側から示した図、図7は図3におけるA−A線断面構造の一部を示す図である。
そして、ワーク回転装置1では、前述したように、ワークを公転するためのターンテーブルを有している。即ち、図において2がターンテーブルであり、このターンテーブル2は、基台3上に回動自在に連結されている。
ここで、前記基台3について説明すると、前記基台3は、塗装ロボット等のアームに設置される取付ベース4を有し、取付ベース4は円盤状としている。
また、前記取付ベース4には複数本の支柱5が立設されており、この支柱5の上方部分には連結ベースが配置されている。そして、前記連結ベースは、下方側連結ベース6と、上方側連結ベース7を有しており、下方側連結ベース6と上方側連結ベース7は、間隔を置いて上下2段に配置されている。
なお、図2において8は、塗装ロボットのアームの一部である。即ち、ワーク回転装置1を使用してワークの塗装を行う場合には、前記取付ベース4を前記塗装ロボットのアーム8に取り付けることとしている。但し、記取付ベース4は、必ずしも塗装ロボットのアームに取り付ける必要はなく、例えば天吊り型のロボットアームを用いてワークの塗装を行う場合には、塗装ブースの床面に設置してもよい。
次に、前記ターンテーブル2について説明すると、前記ターンテーブル2は、テーブルベースを有しており、このテーブルベースの上面及び側面は、カバー9により覆われている。
ここで、図6は、前記カバー9を外した状態のターンテーブル2を下側から示した図であり、図において10がテーブルベースである。そして、前記テーブルベース10は、下方側テーブルベース11と、この下方側テーブルベール11の上方に間隔を置いて配置された上方側テーブルベース12を有しており、下方側テーブルベース11及び上方側テーブルベース12はいずれも円盤状とし、ほぼ同一径としており、支柱により互いに連結されている。
そして、前記下方側テーブルベース11及び上方側テーブルベース12間において、テーブルベース10の外周部近傍には、テーブルベース10の円周方向に沿って、ワークを連結するためのワーク回転シャフトが複数個、具体的には、前述したように30個が配置されている。即ち、図6において13がワーク回転シャフトであり、このワーク回転シャフト13は、前記テーブルベース10に回動自在に装着されている。
ここで、前記ワーク回転シャフト13の取付方法について図8を参照にして説明すると、図8は前記ワーク回転シャフト13の近傍の断面構造を示す図であり、図において、前記下方側テーブルベース11の上面には下方側固定座14が取り付けられており、下方側固定座14の上方において前記上方側テーブルベース12の下面には、上方側固定座15が取り付けられている。
一方、前記ワーク回転シャフト13は、全体を円柱状としており、前記下方側固定座14と上方側固定座15間に、ベアリング16を介して回動自在に配置されている。即ち、ワーク回転シャフト13は、ベアリング16を介して、前記下方側固定座14上に回動自在に載置され、上部は、前記上方側固定座15を貫通して、テーブルベース10の上方に突出している。
ここで、前記上方側固定座15は、中心部にワーク回転シャフト13が貫通する貫通孔17が形成されており、更に、上方部分は前記上方側テーブルベース12を貫通して前記上方側テーブルベース12の上方に突出している。そして、前記上方側テーブルベース12の上方に突出した部分をガード部18とし、このガード部18によって、ターンテーブル2の内部に塗料ミストや塵等が入り込むことを防止している。
次に、前記ワーク回転シャフト13について説明すると、前記ワーク回転シャフト13は、円柱状の胴部19と、この胴部19の上方に連設した嵌合部20を有し、本実施例ではステンレス製としている。そして、前記胴部19は、前記下方側テーブルベース11と上方側テーブルベース12間に位置しており、自転用ギヤ21が周設されている。一方、前記嵌合部20は、鋭角な円錐状としており、先端部分は前記上方側テーブルベース12の上方に突出し、下方側は前記ガード部18内に位置している。
次に、図6において22は回転体である。即ち、ワーク回転装置1では、前記ターンテーブル2内に回転体22が、回動自在に配置されている。そしてこの回転体22は、円盤状であるとともに、その外周部に歯が形成されたギヤ状としており、その外周部が、前記ワーク回転シャフト13の胴部19に周設した自転用ギヤ21にかみ合うこととしている。そのため、これにより、回転体22を回動することで、自転用ギヤ21を介して前記ワーク回転シャフト13を回動可能とし、即ち、回転体22を回動することで、ワーク回転シャフト13に装着したワークを自転させることを可能としている。
次に、図4において23は、ワーク供給治具である。即ち、ワーク回転装置では、多数個のワークを1回の動作で前記ターンテーブル2に連結し、又はターンテーブル2に連結している多数個のワークを1回の動作で取り外すためのワーク供給治具23を有している。
そして、このワーク供給治具23を用いることで、複数個のワークをターンテーブルに一度に連結することが可能なために、ワークを一つ一つ、ワーク回転シャフト13に連結したり、ワーク回転シャフト13から取り外したりする手間を無くし、ワーク回転シャフトに対するワークの脱着を容易にして、作業時間の短縮を達成している。
ここで、前記ワーク供給治具23について説明すると、前記ワーク供給治具23は、前記ターンテーブル2の上方に配置される治具ベースを有している。即ち、図において24が治具ベースであり、この治具ベース24は、前記ターンテーブル2とほぼ同等の径を有した円盤状としている。そして、その外周部近傍には、治具ベース24の円周方向に沿って、前記ワーク回転シャフト13と同数の挿入穴25(図8参照)が、ワーク回転シャフト13の配置と同ピッチで形成されており、この挿入穴25のそれぞれに、ワーク固定具26が、回動自在に配置されている。
ここで、前記ワーク固定具26について図8を参照して説明すると、図8において、前記ワーク固定具26は、ステンレス製とし。前記挿入穴25内に回動自在に挿入可能な径を有した円柱状としている。そして、底部には上方に向けて、前記ワーク回転シャフト13に形成した円錐状の嵌合部20が嵌合可能な円錐状の嵌合穴27が形成されている。従ってこれにより、前記治具ベース24を前記ターンテーブル2の上方に配置することで、前記嵌合部20が前記嵌合穴27に嵌合することとしている。従って、前記ワーク固定具26のそれぞれに、あるいはワーク固定具の任意のものにワークを固定した状態で、前記治具ベース24を前記ターンテーブル2の上方に配置するのみで、即ち1回の動作のみで、ワーク固定具に固定したワークのすべてをワーク回転シャフト13のいずれかに連結させ、従って、1回の動作で多数個のワークをターンテーブルに連結することが可能である。
なお、図8において28は、ワーク固定具26にワークを固定するための固定穴である。即ち、ワーク固定具26では、底部に突起を有するワークを固定する場合に突起を挿入固定する固定穴28を有しており、この固定穴28内にワークの突起を挿入固定することで、ワークをワーク固定具26に固定可能としている。図においてWがワークであり、31がワークが具備する突起である。
また、図8において32はアダプタである。即ち、ワークWに突起が無い場合には、固定穴28に挿入固定可能な突起33を有するアダプタ32を用いて、ワークWをワーク固定具26に固定しても良い。但し、ワークをワーク固定具26に固定する方法は特に限定されず、いずれの方法でも良い。従って、ワーク固定具26の外径と同等の内径を有するワークの場合はワーク固定具26に被せることでワーク固定具26に固定してもよく、ワークの外形寸法に合わせてワーク固定具26の形状寸法を決めてもよい。
次に、図8において29はストッパーである。即ち、前記ワーク固定具26には、下方側にリング状のストッパー29を周設しており、これにより、ワーク固定具26が挿入穴25から落下することを防止している。更に、図において30はOリングであり、ワーク固定具26では、挿入穴25にワーク固定具26を挿入した後に、挿入穴25の下方においてワーク固定具26にOリング30を周設することで、ワーク固定具26が挿入穴25から飛び出ることを防止している。
次に、図4において34は位置決めピンである。即ち、前記ターンテーブル2には位置決めピン34を立設しており、一方、前記治具ベース24には、図7に示すように、前記位置決めピン34が挿入するピン挿入孔35を形成している。そして、前記位置決めピン34をピン挿入穴35に挿入することで、いずれかのワーク回転シャフト13の嵌合部20が、いずれかのワーク固定具26の嵌合穴27に嵌合することとしている。従って、前述したように、ワーク固定具26が配置されている挿入孔25とワーク回転シャフト13の配置が同ピッチであるため、容易に、1回の動作で、ワーク固定具26に固定したすべてのワークを、ワーク回転シャフト13に連結させることを可能にしている。なお、図において36は、前記位置決めピン34を保護するためのカバーである。
次に、図7を参照して、前記ターンテーブル2を回動し、回転体22を回動する機構について説明すると、下方側連結ベース6と上方側連結ベース7間には、中空の公転用駆動手段37が配置されており、この公転用駆動手段37を回動することで、前記ターンテーブル2を回動可能としている。
即ち、前記公転用駆動手段37は、ベアリング38を介して前記下方側連結ベース6及び上方側連結ベース7間に回動自在に連結されており、更に、上方側連結ベース7の上方に突出して、連結部39を介して、テーブルベース10に連結されている。
また、前記公転用駆動手段37には、前記下方側連結ベース6及び上方側連結ベース7間において、主ギヤ40が周設されており、更に、前記主ギヤ40には、図2に示すように、モーター等の駆動手段42の回動軸に連結された連結用ギヤ41が連結されている。そして、これにより、モーター42を駆動すると、連結用ギヤ41を介して主ギヤ40が回動し、それにより、主ギヤ40が周設されている公転用駆動手段37が回動する。そうすると、公転用駆動手段37が連結されているテーブルベース10が回動し、これにより、ターンテーブル2を回動することが可能である。なお、公転用駆動手段37の回動方法はいずれの方法を採用してもよく、必ずしもギヤを用いる必要はない。従って例えば、ベルトやその他の手段によって公転用駆動手段37を回動してもよい。
次に、前記公転用駆動手段37内には、円筒状の自転用駆動手段43が、回動自在に貫通しており、この自転用駆動手段43は、前記回転体22に連結されている。
一方、前記取付ベース4には、主軸44が回動自在に立設されており、この主軸44は、塗装ロボットのアーム8に備えたモーター等の駆動手段により、回動することとしている。
そして前記主軸44の上部には、カップリング45を介して前記自転用駆動手段43が連結されており、これによって、前記主軸44を回動することで、前記自転用駆動手段43が回動し、それに伴って、回転体22が回動する。そうすると、この回転体22の回動に伴って、回転体22とかみ合った自転用ギヤ21を有するワーク回転シャフト13が回動し、それにより、ワーク固定具26を介してワーク回転シャフト13に連結したワークWを自転させることが可能となる。
従って、モーター42を駆動することで、公転用駆動手段37を介してターンテーブル2を公転することができ、それとともに、主軸44を回動することで、自転用駆動手段43を介してワークWを自転させることが可能である。
なお、前述の説明では、公転用駆動手段37が回動するためのモーターと、自転用駆動手段43を回動するためのモーターをそれぞれ備えた場合の構成について説明したが、公転用駆動手段37と自転用駆動手段43は必ずしも別のモーターで回動する必要は無く、一つのモーターで公転用駆動手段37と自転用駆動手段43を回動する構成としても良い。従って、例えば、公転用のモーターと自転用のモーターを兼用し、ギヤユニット等を用いて、一つのモーターの駆動で、公転用駆動手段37と自転用駆動手段43の双方を回動可能にしても良い。
また、前述したように、主軸44を回動することで自転用駆動手段43を回動させることとしているが、必ずしも主軸44は必要なものではなく、自転用駆動手段43を回動可能であれば、いずれの方法を採用しても良く、自転用駆動手段43をモーター、ベルト等により直接回動しても良い。更に、主軸44を回動することで自転用駆動手段43を回動させる方法を採用した場合でも、主軸44を回動する方法は特に限定されない。従って、公転用駆動手段37の回動方法と同様に、ベルトやその他の手段によって主軸44を回動することとしてもよい。
次に、このように構成されたワーク回転装置1を用いた本発明の塗装方法について詳細に説明すると、このワーク回転装置を用いてワークの塗装を行う場合には、まず、ワーク供給治具23のワーク固定具26の任意のものに、ワークWを取り付ける。なおこのとき、必ずしもすべてのワーク固定具26にワークWを取り付ける必要は無く、必要数のワークのみを取り付ければ良い。
次に、ワーク供給治具23の治具ベース24を、位置決めピン34をピン挿入穴35に挿入することで、ターンテーブル2の上方に配置する。そうすると、すべてのワーク回転シャフト13の嵌合部20がワーク供給治具23のワーク固定部26の嵌合穴27に嵌合し、ワーク固定具26に固定したすべてのワークがワーク回転シャフト13に連結される。即ち、すべてのワークが1回の動作でターンテーブル2に連結される。
次に、塗装ロボットのアーム8に備えたモーター等の駆動手段により、主軸44を回動するとともに、モーター42を駆動する。そうすると、カップリング45を介して主軸44に連結されている自転用駆動手段43が回動するとともに、自転用駆動手段43が連結されている前記回転体22が回動する。そしてそれにより、回転体22とかみ合った自転用ギヤ21を有するワーク回転シャフト13が回動し、それにより、ワーク固定具26を介して、ワーク回転シャフト13に連結させたワークWが自転する。
また、それとともに、モーター42の駆動により、連結用ギヤ41が回動するとともに、この連結用ギヤ41に連結されている主ギヤ40が回転し、それにより、主ギヤ40が周設されている公転用駆動手段37が回動し、更に、連結部39を介して公転用駆動手段37が連結されているターンテーブル2が回転し、これによりワークWが公転する。
そして、本実施例の塗装方法では、このように、自転しながら、ターンテーブル2の回転によって公転しているワークWに向けて、前記塗料噴射手段としてのスプレーガン47から塗料を噴射する。そうすると、ワインキャップや口紅ケース等のような、円筒形状で、外側面の全面を塗装する必要があるワークであっても、その外側面の全面に均等な塗膜を効率的に形成することができる。
そしてこのとき、本実施例の塗装方法では、ワークを連結させたターンテーブルを回転させて塗装する回転塗装としているため、コンベア上に等間隔を置いてワークを一つ一つ載置し、このワークに向けて複数個のスプレーガンで塗料を噴射する従来の塗装装置と比較し、塗料の無駄を少なくすることが可能である。
また、ワークの自転速度を、ワークがスプレーガン47による塗料の噴射領域を通過するときに、ワークが少なくとも1回転する速度にしているため、ワークがスプレーガン47による塗料噴射領域を通過する過程で、ワークの全面に塗料を塗着させることが可能である。
更に、スプレーガン47を、ターンテーブル2の中心点から右側に所定長だけずれた方向に向けて塗料を噴射可能な位置に設置し、これにより複数個のワークに同時に塗料を塗着可能としているため、ターンテーブルの中心点に向けて塗料を噴射する方法と比較して、塗料の塗着割合を増やすことが可能である。
なお、本発明の塗装方法に用いるワーク回転装置は、回動自在なターンテーブルと、このターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した、それぞれにワークを連結可能な複数個のワーク回転シャフトを具備してればよく、必ずしも前述の構成にする必要はない
本発明の塗装方法は、外側面の全面を塗装する必要があるワークを大量に塗装する場合の全般に適用可能である。
1 ワーク回転装置
2 ターンテーブル
3 基台
4 取付ベース
5 支柱
6 下方側連結ベース
7 上方側連結ベース
8 塗装ロボットのアームの一部
9 カバー
10 テーブルベース
11 下方側テーブルベース
12 上方側テーブルベース
13 ワーク回転シャフト
14 下方側固定座
15 上方側固定座
16 ベアリング
17 上方側固定座の貫通孔
18 ガード部
19 ワーク回転シャフトの胴部
20 嵌合部
21 自転用ギヤ
22 回転体
23 ワーク供給治具
24 治具ベース
25 挿入穴
26 ワーク固定具
27 嵌合穴
28 固定穴
29 ストッパー
30 Oリング
31 ワークの突起
32 アダプタ
33 アダプタの突起
34 位置決めピン
35 ピン挿入穴
36 カバー
37 公転用駆動手段
38 ベアリング
39 連結部
40 主ギヤ
41 連結用ギヤ
42 駆動手段(モーター)
43 自転用駆動手段
44 主軸
45 カップリング
46 塗装装置
47 スプレーガン
W ワーク

Claims (4)

  1. 回動自在なターンテーブルと、該ターンテーブルの外周部近傍に円周方向に沿って回動自在に配置した、それぞれにワークを連結可能な複数個のワーク回転シャフトと、を具備したワーク回転装置と、該ワーク回転装置に連結したワークに塗料を噴射するための1又は複数個の塗料噴射手段と、を用いた塗装方法であって、
    前記ワーク回転シャフトにワークを連結し、
    前記ワーク回転シャフトを回転させることでワーク回転シャフトに連結したワークを自転させるとともに、
    前記ターンテーブルを回転させることでワークを公転させ、
    前記ターンテーブル上で自転しながらターンテーブルの回動に従って公転しているワークに向けて、塗料噴射手段より塗料を噴射する、ことを特徴とする塗装方法。
  2. 前記ターンテーブルの回転速度に対して、ワークの自転速度を早くした、ことを特徴とする請求項1に記載の塗装方法。
  3. 前記ワークの自転速度は、ワークが塗料噴射手段による塗料の噴射領域を通過するときにワークが少なくとも1回転する速度であることを特徴とする請求項2に記載の塗装方法。
  4. 前記塗料噴射手段は、前記ターンテーブルの中心点から左右いずれかの方向に所定長だけずれた方向に向けて塗料を噴射する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗装方法。
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