JP2019108712A - 壁構造 - Google Patents

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Hikaru Suminaga
光 住永
貫 松田
Toru Matsuda
貫 松田
貴史 清水
Takashi Shimizu
貴史 清水
公江 吉谷
Kimie Yoshitani
公江 吉谷
拓久 山田
Hirohisa Yamada
拓久 山田
徹 落合
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徹 落合
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Kazuhiro Matsushita
和宏 松下
康臣 松島
Koshin Matsushima
康臣 松島
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【課題】耐久性を向上させることが可能な壁構造を提供すること。【解決手段】壁構造(1)は、下地材(10)と、仕上げ材(30)と、下地材(10)と仕上げ材(30)との間に伸縮性を有する不織繊維構造体(20)とを備えている。不織繊維構造体(20)は、吸音性を有する。不織繊維構造体(20)の厚みは、1.5mm以上10mm以下である。さらに、不織繊維構造体(20)の厚みは、1.5mm以上10mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、壁構造に関し、特に、屋内空間に設置される下地材と仕上げ材とを有する内壁構造に関する。
建物の内壁として、たとえば、クロス仕上げの石膏ボードが用いられる。このような技術として、たとえば、特開2000−45404号公報(特許文献1)が挙げられる。この特許文献1には、石膏ボードと、石膏ボードの屋内側に原紙(シート材)が配置された壁構造が開示されている。
一方、建物の内壁に、吸音効果を施したものが知られている。このような技術として、たとえば、特開2006−342559号公報(特許文献2)が挙げられる。この特許文献2には、下地壁面と石膏パネルとの間に吸音材を充填したハニカム構造体が配置された吸音仕上げ壁が開示されている。
特開2000−45404号公報 特開2006−342559号公報
特許文献1の技術においては、石膏ボードに直接シート材が貼り付けられているため、地震または交通による振動などが原因で、石膏ボードにひび割れが生じることにより、シート材にもしわやひび割れが発生する場合がある。
また、特許文献2の技術においては、吸音効果が得られるように通気性を有する石膏ボードにする必要があり、吸音材を取り付けた壁と吸音材を取り付けていない壁とで、外観が変化する場合がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐久性を向上させることが可能な壁構造を提供することである。
本発明の一の局面における壁構造は、下地材と、仕上げ材と、下地材と仕上げ材との間に位置し、伸縮性を有するシート状物とを備えている。
好ましくは、伸縮性を有するシート状物は、吸音性を有する。
好ましくは、伸縮性を有するシート状物の厚みは、1.5mm以上10mm以下である。
好ましくは、伸縮性を有するシート状物の密度は、50kg/m以上である。
好ましくは、伸縮性を有するシート状物が不織繊維構造体である。
下地材と仕上げ材との間に形成する材料としては、特に制限されるものではなく、プラスチック発泡体(たとえば、発泡スチレン、発泡ウレタン、発泡ポリオレフィンなど)、ゴムまたはエラストマー、繊維構造体(織物、編物、不織布などで構成された構造体)など伸縮作用を有するものが利用できる。これらの中でも、適度な伸縮性を有し、吸音性を有するという理由からは、不織繊維構造体で形成されたシート状物を用いることが好ましい。
好ましくは、不織繊維構造体は、複数の繊維を含み、複数の繊維は、加熱した蒸気が噴射されることにより結合されている。
好ましくは、不織繊維構造体と仕上げ材との間に、クラフト紙をさらに備える。
本発明によれば、耐久性を向上させることが可能な壁構造を提供することができる。
本発明の実施の形態における壁構造を概略的に示す側面図である。 本発明の実施の形態における壁構造の変形例を概略的に示す側面図である。 面内せん断試験に用いる試験体のベース体を示す模式図である。 図3のベース体に石膏ボードを取り付けた状態を示す模式図である。 図4の石膏ボードの一部に不織繊維構造体を取り付けた状態を示す模式図である。 図6の不織繊維構造体および石膏ボードに仕上げ材を取り付けた状態を示す模式図である。 試験体を面内せん断試験装置に取り付けた状態を示す説明図である。 面内せん断試験の試験結果を示すグラフである。 面内せん断試験の試験結果を示す表である。 オートグラフ試験器の模式的な説明図である。 オートグラフ試験に用いる試験体1を示す模式図である。 図11の試験体1を用いたオートグラフ試験の試験結果を示すグラフである。 オートグラフ試験に用いる試験体2を示す模式図である。 図13の試験体2を用いたオートグラフ試験の試験結果を示すグラフである。 オートグラフ試験に用いる試験体3を示す模式図である。 図15の試験体3を用いたオートグラフ試験の試験結果を示すグラフである。 オートグラフ試験に用いる試験体4を示す模式図である。 図17の試験体4を用いたオートグラフ試験の試験結果を示すグラフである。 他の面内せん断試験治具を示す模式的な説明図である。 図19の面内せん断試験治具を矢印XX方向から見て部分的に拡大した拡大側面図である。 不織繊維構造体の密度が50kg/mである場合の面内せん断試験の結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の密度が75kg/mである場合の面内せん断試験の結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の密度が100kg/mである場合の面内せん断試験の結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが2.5mm、密度が50kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが2.5mm、密度が75kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが2.5mm、密度が100kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが5.5mm、密度が50kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが5.5mm、密度が75kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 不織繊維構造体の厚さが5.5mm、密度が100kg/mである場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一
または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
図1を参照して、本発明の実施形態に係る壁構造1について説明する。なお、図1において、矢印A1で示す厚さ方向を、面外方向といい、矢印A2で示す長さ方向を、面内方向という。
本発明の実施の形態の壁構造1は、下地材10と、仕上げ材30と、下地材10と仕上げ材30との間に位置し、伸縮性を有するシート状物20とを備えている。言い換えると、壁構造1は、屋内空間から順に仕上げ材30と、シート状物20と、下地材10とを備えている。なお、下地材10およびシート状物20は、たとえば接着剤で接着されている。シート状物20および仕上げ材30もまた、たとえば接着剤で接着されている。
壁構造とは、屋内空間を区切る内壁(間仕切り壁)や、屋外空間と屋内空間とを区切る外壁をいうが、本実施の形態の壁構造1は、内壁構造であるとして説明する。
下地材10は、石膏ボードであることが好ましい。石膏ボードは、いわゆる壁材として一般的に用いられる石膏ボードであり、たとえば、ガラス繊維等が混入された石膏ボード(網入り強化石膏ボード)であってもよい。また、下地材10は、いわゆる壁材として一般的に用いられるものであればよく、たとえば、合板、コンクリートなどであってもよい。
仕上げ材30は、屋内空間に面する内装材であり、たとえば、クロス、化粧材、壁紙などである。以下、本実施の形態の仕上げ材30は、クロスであるとして説明する。
シート状物20としては、たとえば、プラスチック発泡体、ゴム、エラストマー、繊維構造体などの伸縮作用を有するものが利用できる。これらの中でも、適度な伸縮性を有し、吸音性を有するという理由から、シート状物20は、不織繊維構造体であることが好ましい。不織繊維構造体20は、多数の繊維を有し、多数の繊維がランダムに配交している。具体的には、不織繊維構造体20は、少なくとも面外方向の伸縮性を有しており、面内方向の伸縮性を有していてもよい。また、不織繊維構造体20は、多孔を有しているため、吸音性を有している。
前記不織繊維構造体としては、たとえば、ウェブを機械的圧縮処理(ニードルパンチなど)、部分的な熱圧融着処理(熱エンボス加工など)、バインダー成分による接着または融着処理などにより固定した成形体が挙げられる。不織繊維構造体を構成する繊維としては、たとえば、ポリオレフィン系繊維、(メタ)アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、塩化ビニル系繊維、スチレン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリウレタン系繊維などが挙げられる。これらの繊維のうち、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維またはこれらの繊維を含む複合繊維などが汎用される。
ポリエステル系繊維を構成するポリエステル系樹脂としては、ポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(たとえばイソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(たとえばジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系繊維を構成するポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
不織繊維構造体を構成する繊維の平均繊度は、特に制限されるものではないが、壁構造に不織繊維構造体を用いる場合には、良好な伸縮性を得るために、その平均繊度は0.1〜30dtexの範囲内であることが好ましく、0.5〜20dtexの範囲内であることがより好ましい。
不織繊維構造体(または繊維)は、さらに、従来公知の適宜の添加剤、たとえば安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、増粘剤、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、滑剤、抗菌剤、防虫・防ダニ剤、防カビ剤、つや消し剤、蓄熱剤、香料、蛍光増白剤、潤滑剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、構造体表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
本発明では、特に、不織繊維構造体の中でも、バインダー成分(特に、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系などの熱接着性樹脂で構成された熱接着性繊維で構成されたバインダー繊維)の融着により固定された繊維構造体が好ましく、伸縮性と強度とを両立できる観点から、湿熱接着性繊維を含み、かつこの湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された構造体(湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体)が特に好ましい。湿熱接着性繊維を含み、かつこの湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された構造体(以下、「湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体」と称することがある)は、たとえば、高温水蒸気の噴射によって得ることができる。高温水蒸気の噴射によって得られた不織繊維構造体の内部構造は厚み方向で均一に接着されているため、繊維構造を保持しながら、高い強度を確保することができる。
湿熱接着性繊維は、高温水蒸気の噴射の際に接着機能を発現可能な湿熱接着性樹脂を少なくとも含むように構成される。具体的な湿熱接着性樹脂としては、熱水(たとえば、80〜120℃、特に95〜100℃)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、たとえば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体などが挙げられる。さらに、高温水蒸気の噴射の際に接着機能を発現可能なエラストマー(たとえば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマーなど)などであってよい。これらの湿熱接着性樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2−10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
湿熱接着性繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面(偏平状、楕円状、多角形状など)に限定されず、中空断面形状などであってもよい。湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂を含む複数の樹脂で構成された複合繊維であってもよい。複合繊維は、湿熱接着性樹脂を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の観点から、繊維表面において長さ方向に連続する湿熱接着性樹脂を有するのが好ましい。
湿熱接着性樹脂が表面を占める複合繊維の横断面構造としては、たとえば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、接着性が高い構造である点から、湿熱接着性樹脂が繊維の全表面を被覆する構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。芯鞘型構造は、他の繊維形成性重合体で構成された繊維の表面に湿熱接着性樹脂をコーティングした繊維であってもよい。
複合繊維の場合、湿熱接着性樹脂同士を組み合わせてもよいが、非湿熱接着性樹脂と組み合わせてもよい。非湿熱接着性樹脂としては、非水溶性または疎水性樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの非湿熱接着性樹脂のうち、耐熱性および寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、たとえば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボフェノキシ)エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオールからなる繊維形成性のポリエステル系樹脂を挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。またポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12を主成分とする脂肪族ポリアミドなどを挙げることができ、少量の第3成分を含有するポリアミドでもよい。
不織繊維構造体は、前記湿熱接着性繊維に加えて、さらに非湿熱接着性繊維を含んでいてもよい。非湿熱接着性繊維としては、前記複合繊維を構成する非湿熱接着性樹脂で構成された繊維の他、セルロース系繊維(たとえば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)などが挙げられる。これらの非湿熱接着性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの非湿熱接着性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの非湿熱接着性繊維は、目的の特性に応じて選択でき、レーヨンなどの半合成繊維と組み合わせると、相対的に高密度で機械的特性の高い繊維構造体が得られる。
湿熱接着性繊維と非湿熱接着性繊維との割合(質量比)は、特に制限されるものではないが、湿熱接着性繊維/非湿熱接着性繊維=100/0〜20/80であるのが好ましく、100/0〜50/50であるのがより好ましい。
湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体は、不織繊維構造体を構成する繊維の前記湿熱接着性繊維の融着による繊維接着率についても特に制限されないが、壁構造に不織繊維構造体を用いる場合には、良好な伸縮性を得るために、10〜85%の範囲内であることが好ましく、20〜60%の範囲内であることがより好ましい。ここで、「繊維接着率」は、不織繊維構造体の断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。したがって、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合(集束して融着した繊維の割合)が少ないことを意味する。
不織繊維構造体を構成する繊維は、各々の繊維の接点で接着しているが、この接着点が、厚み方向に沿って、繊維構造体表面から内部(中央)、そして裏面に至るまで、均一に分布しているのが好ましい。接着点が表面または内部などに集中すると、優れた伸縮性および成形性を確保するのが困難となるだけでなく、接着点の少ない部分における形態安定性が低下する。
したがって、不織繊維構造体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲内にあるのが好ましい。さらに、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(最少値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、好ましくは50%以上、より好ましくは55〜99%、特に好ましくは60〜98%である。繊維接着率が、厚み方向において、このような均一性を有していることで、繊維の接着面積が低いにも拘わらず、自由に伸縮可能な繊維が多く、優れた伸縮性を有している。
湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体は、ステープル繊維を用いて得られたウェブ(たとえば、セミランダムウェブ、パラレルウェブなど)に対して、温度70〜150℃(より好ましくは80〜120℃)の高温水蒸気を、圧力0.1〜2MPa(より好ましくは0.2〜1.5MPa)で噴射する方法により得られる。
前記のような不織繊維構造体としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、たとえば、株式会社クラレ製の「フェリベンディ」(登録商標)であることが好ましい。「フェリベンディ」は、蒸気を複数の繊維に向かって噴射させることにより、複数の繊維が結合されている不織繊維構造体である。具体的には、「フェリベンディ」は、加熱スチームを複数の繊維に向かって噴射させ、蒸気の熱と噴流の同時作用により、特殊繊維を瞬時に反応させて複数の繊維を結合させる「スチームジェット」(登録商標)製法により製造されるものである。「フェリベンディ」は、従来の不織繊維構造体と比較して、より伸縮性を有する。
不織繊維構造体20の伸縮性とは、厚さ方向に加えられる外力や、長さ方向から加えられる外力を不織繊維構造体20が変形することで吸収し、外力が与えられなくなった場合には、元の構造に復元する性能のことをいう。不織繊維構造体20は、一般的に繊維の結合や交絡によりその構造が保持されており、その繊維間には空隙を有する。本実施の形態の不織繊維構造体20は、上述の外力を変形により吸収することが出来る十分な空隙を有し、且つ、元の構造に復元する為に、少なくとも一部の繊維間が結合により固定されていることが好ましい。
不織繊維構造体20の伸縮性は、たとえば、厚さ方向の圧縮弾性率によって示すことができる。本実施の形態の不織繊維構造体20の圧縮弾性率は、0.03以上0.50以下が好ましい。なお、不織繊維構造体20の圧縮弾性率は、JIS K 7181:2011に準拠し、不織繊維構造体の厚さに対して、10%から20%の圧縮範囲から求めた数値である。上記範囲は、フェリベンディボードの密度50〜150kg/mの範囲に相当する。
不織繊維構造体20の厚みは、好ましくは1.5mm以上10mm以下である。これにより、下地材10にひび割れが生じた場合でも、クロス30に接着されている不織繊維構造体20が伸縮性を有するため、クロス30のひび割れを防止することができる。不織繊維構造体20の厚みが1.5mm未満だと、下地材10にひび割れが生じた場合に不織繊維構造体20でそのひび割れを吸収できず、クロス30までひび割れが伝わってしまい、クロス30のひび割れを防止することができない。さらに、不織繊維構造体20の厚みが1.5mm未満だと、吸音性能の観点からも好ましくない。また、不織繊維構造体20の厚みが10mmより大きいと、内壁構造1が厚くなりすぎて室内空間が狭くなり、室内空間の意匠を損なう可能性がある。不織繊維構造体20の厚みは、より好ましくは2.5mm以上10mm以下、より一層好ましくは5.5mm以上10mm以下である。これにより、下地材10にひび割れが生じた場合でも、クロス30のひび割れを防止して耐久性を向上することができ、さらに吸音率を向上させることができる。
不織繊維構造体20の密度は、好ましくは50kg/m以上、より好ましくは75kg/m以上、より一層好ましくは100kg/m以上である。これにより、施工性を向上することができる。不織繊維構造体20の密度が50kg/m未満だと、柔らかすぎるため、不織繊維構造体20を下地材10に接着するとシワになる場合があり、不織繊維構造体20上にクロス30を貼ることができず、施工性が悪い。また、不織繊維構造体20の密度が、50kg/m以上であれば、下地材10にひび割れが生じた場合でも、クロス30のひび割れを防止することができる。
本実施の形態に係る内壁構造1の厚みは、一般的な石膏ボード1枚の厚みと略同一であることが望ましい。たとえば、建物の壁構造に用いられる石膏ボード1枚の厚みが12.5mmである場合、本実施の形態の内壁構造1は、厚さ9.5mmの石膏ボードと、厚さ3mmの不織繊維構造体20とを重ねて、内壁構造1の厚みを12.5mmにすればよい。このように、本実施の形態の内壁構造1は、下地材10としての石膏ボードの厚みと不織繊維構造体20の厚みとを調整することで、既存の内壁構造と同じ厚みに施工することができる。これにより、たとえば、既存の壁構造から本実施の形態の内壁構造1にリフォームなどを行った場合でも、内壁の意匠に影響を与えない。
また、本実施の形態の内壁構造1は、面外方向の伸縮性を有する不織繊維構造体20を使用することで、不織繊維構造体20で衝撃を吸収するため、既存の石膏ボードからなる内壁構造と比較して、衝撃を吸収することができ、壁に衝突したとしても怪我をしにくい。さらに、不織繊維構造体20は、復元力を有するため、仮に不織繊維構造体20が凹んだとしても、元の状態に復帰する。
<変形例>
図2を参照して、本発明の実施形態に係る内壁構造1の変形例について説明する。
内壁構造1Aは、上述した内壁構造1とは異なり、クロス30が直接不織繊維構造体20に貼り付けられておらず、クロス30は、たとえば、クラフト紙40などのシート状部材を介して不織繊維構造体20に貼り付けられている。具体的には、クラフト紙40をホットメルトなどで不織繊維構造体20に接着させ、クロス30をクラフト紙40に接着剤などで接着させる。これにより、クラフト紙40を設けることで、接着性を補うことができるため、クロス30と下地材10とを簡単に接着することができ、施工性を向上させることができる。
また、クラフト紙40を設けた内壁構造1Aは、クラフト紙40を設けていない内壁構造1と比較して、吸音率を向上することができる。
(実施例1)
実施例1では、下地材とクロスとの間に不織繊維構造体を設けることによって、クロスのひび割れを抑制することができるか否かを確認するために、面内せん断試験を行った。
面内せん断試験の説明に先立って、面内せん断試験に用いる試験体について図3〜6を参照して説明する。図3において、矢印B1で示す方向を左右方向、矢印B2で示す方向を上下方向という。
まず、面内せん断試験に用いる試験体を作成するために、図3に示すように、内壁構造のベースとなるベース体100を準備した。ベース体100は、木材で形成され、4つの第1〜第4枠材101〜104を有している。第3,4枠材103,104は、第1,2枠材101,102の間にそれぞれ取り付けられている。
図4に示すように、第1枠材101、第3枠材103の左側および第4枠材104の左側には、厚さ9.5mmの石膏ボート111,113a,114aがそれぞれ接着剤で貼り付けられている。また、第2枠材102、第3枠材103の右側および第4枠材104の右側には、厚さ12.5mmの石膏ボート112,113b,114bがそれぞれ接着剤で貼り付けられている。これにより、略中央部には、開口部105が設けられる。
図5に示すように、厚さ9.5mmの石膏ボート111,113a,114a(図4)が貼り付けられた部分の上方に、厚さ3.0mmの不織繊維構造体121a,121bを接着剤で貼り付ける。不織繊維構造体121a,121bとして、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレンービニルアルコール共合体である芯鞘型複合ステープル繊維である湿熱接着性繊維(「ソフィスタ」株式会社クラレ製)からなるウェブを、加熱スチームを噴射させて複数の繊維を結合した不織繊維構造体(「フェリベンディ」株式会社クラレ製、厚さ3.0mm 密度50kg/m)を準備した。また、厚さ12.5mmの石膏ボード112,113a,113bが貼り付けられた部分の上には、不織繊維構造体は貼り付けない。図6に示すように、不織繊維構造体121a,121b(図5)および石膏ボート112,113b,114b(図5)の上に、同一のクロス131〜134を貼り付ける。このように、面内せん断試験に用いる試験体140を作成する。
次に、図7を参照して、面内せん断試験では、上述のようにして作成した試験体140を、面内せん断試験装置の土台201と載荷梁202との間に固定し、載荷梁202に取り付けられる駆動装置203で左右交互に力をかけて、4つのセンサーでクロスの開き量を計測した。
これらのセンサーは、試験体140の4カ所に取り付けられている。具体的には、図5,6,7を参照して、第1センサーC1は、不織繊維構造体121aが設けられているクロス131,133の間に取り付けられ、第3センサーC3は、不織繊維構造体121bが設けられているクロス131,134との間に取り付けられ、第2センサーC2は、不織繊維構造体が設けられていないクロス132,133との間に取り付けられ、第4センサーC4は、不織繊維構造体が設けられていないクロス132,134との間に取り付けられている。つまり、第1,3センサーC1,C3を取り付けた位置には、不織繊維構造体が設けられているのに対し、第2,4センサーC2,C4を取り付けた位置には、不織繊維構造体が設けられていない。第1〜4センサーC1〜C4は、いずれも、株式会社東京測器研究所製のパイ型変位計を用いた。試験の条件は、周波数が0.5Hzであり、振幅変位が±13.6mmであった。
このようにして行った面内せん断試験により、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けた場合と、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けなかった場合とのクロスのひび割れ抑制効果を求めた。その結果を、図8,9に示す。図8は、駆動装置への入力値に伴うクロスの開き量の結果を示すグラフであり、図9は、クロスの開き量の平均値を示す表である。図8において、横軸は、駆動装置203への入力値(mm)であり、縦軸は、第1〜4センサーC1〜C4で測定したクロスの開き量(mm)である。
図8に示すように、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体が設けられている位置に取り付けられる第1センサーC1は、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体が設けられていない位置に取り付けられる第2センサーC2と比較して、クロスの開き量が小さい。具体的な値で見ると、図9で示すように、第1センサーC1のクロスの開き量の最大値は、0.21mmであるのに対し、第2センサーC2のクロスの開き量の最大値は、0.35mmであり、不織繊維構造体を設けることでクロスの変位を40%低減できることが分かる。
さらに、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体が設けられている位置に取り付けられる第3センサーC3は、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体が設けられていない位置に取り付けられる第4センサーC4と比較して、クロスの開き量が小さいことが分かる。具体的な値で見ると、図9で示すように、第3センサーC3のクロスの開き量の最大値は0.23mmであるのに対し、第4センサーC4のクロスの開き量の最大値は0.61mmであり、不織繊維構造体を設けることで変位を約63%低減できることが分かる。
以上より、本実施例によれば、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けることで、石膏ボードにクロスだけを貼り付けた従来の内壁構造と比較して、クロスのひび割れを抑制できることを確認した。
(実施例2)
実施例2では、下地材とクロスとの間に不織繊維構造体を設けた場合と、不織繊維構造体を設けなかった場合とのクロス表面の変位値を確認するために、オートグラフ試験を行った。
オートグラフ試験の説明に先立って、オートグラフ試験に用いる試験体について図10を参照して説明する。図10において、矢印B3で示す方向を前方とし、その反対方向を後方とする。矢印B2で示す方向を上下方向とする。
厚さが同一の第1〜3石膏ボード151〜153を3枚用意する。第2石膏ボード152の下縁と、第3石膏ボード153の上縁とが当接するように上下に配置して、接着剤で接着する。第1石膏ボード151を第2,3石膏ボード152,153の後方に配置して、第2,3石膏ボード152,153にまたがるように、接着剤で接着固定する。さらに、不織繊維構造体154を第2,3石膏ボード152,153の前方に配置して、第2,3石膏ボード152,153にまたがるように、接着剤で接着固定する。図10においては、例示的に、不織繊維構造体154およびクロス155が貼り付けられているが、図11,13,15,17に示す試験体では、クロス155単体、または、クロス155および不織繊維構造体154,154aが貼り付けられている。このように、図11,13,15,17に示す試験体は、不織繊維構造体が設けられているか否か、および、第1〜3石膏ボード151〜153の厚みにおいて相違する。本実施例においても、不織繊維構造体として、実施例1と同じものを用いた。
次に、オートグラフ試験について説明する。オートグラフ試験は、株式会社島津製作所製のAGS−5kNDを用いて行った。図10を参照して、第2石膏ボード152の上端および第3石膏ボード153の下端をクリップ210,211で保持して、オートグラフで上方向に向かって1mm/秒の速さで引っ張り、2つのセンサーでクロスの開き量を計測した。センサーは、試験体の2か所に取り付けられ、第1センサーC11は、第2,3石膏ボード152,153の側方に取り付けられ、第2センサーC12は、クロス155の表面に取り付けられる。第1,2センサーC11,C12は、いずれも株式会社東京測器研究所製のパイ型変位計を用いた。
このようにして行ったオートグラフ試験により、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けた場合と、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けなかった場合と比較して、石膏ボードにひび割れが生じた場合に、クロスのひび割れを抑制する効果を確認した。図11,13,15,17は、試験体の模式図であり、図12,14,16,18は、図11,13,15,17で示す試験体をオートグラフで引っ張った場合のクロスの変位量を示すグラフである。図12,14,16,18において、横軸は、第1センサーC11で測定した石膏ボードの変位量(mm)であり、縦軸は、第2センサーC12で測定したクロス表面の変位量(mm)である。
図11で示す試験体1は、第1〜第3石膏ボード151a〜153aの厚さが9.5mmであり、第2,3石膏ボード152a,153aの表面にクロス155aだけを貼り付けたものである。この試験体1の結果を図12に示す。図12に示すように、試験体1は、クロス155aの表面が急激に変位することが分かる。
図13で示す試験体2は、第1〜第3石膏ボード151a〜153aの厚さが9.5mmであり、第2,第3石膏ボード152a,153aとクロス155aの間に、厚さ1.5mmの不織繊維構造体154aを貼り付けたものである。この試験体2の結果を図14に示す。図14に示すように、試験体2は、図11,12の不織繊維構造体を設けない試験体1と比較して、クロス155aの表面の変位が低減していることが分かる。
図15で示す試験体3は、第1〜第3石膏ボード151b〜153bの厚さが12.5mmであり、第2,3石膏ボード152b,153bの表面にクロス155aだけを貼り付けたものである。この試験体3の結果を図16に示す。図16に示すように、試験体3は、クロス155aの表面が急激に変位することが分かる。
図17で示す試験体4は、第1〜第3石膏ボード151b〜153bの厚さが12.5mmであり、第2,第3石膏ボード152b,153bとクロス155aの間に、厚さ10mmの不織繊維構造体154bを貼り付けたものである。この試験体4の結果を図18に示す。図18に示すように、試験体4は、図15,16の不織繊維構造体を設けない試験体3と比較して、クロス表面の変位が低減していることが分かる。さらに、試験体4は、図13,14の厚さ1.5mmの不織繊維構造体154aを設けた試験体2と比較しても、よりクロス表面の変位が低減していることが分かる。
以上より、本実施例によれば、石膏ボードとクロスとの間に不織繊維構造体を設けることで、クロスのひび割れを抑制できることを確認した。さらに、不織繊維構造体の厚みが厚いほどクロスのひび割れをより抑制できることを確認した。具体的には、不織繊維構造体の厚みが1.5mm以上であると、不織繊維構造体を設けない場合と比較してクロスのひび割れを抑制できることが確認できた。さらに、不織繊維構造体の厚みが10mmであると、より一層クロスのひび割れを抑制できることが確認できた。
(実施例3)
実施例3では、不織繊維構造体を設けることによるクロスのひび割れ抑制効果と、不織繊維構造体の厚さと、不織繊維構造体の密度との関係を確認するために、簡易面内せん断試験を行った。
本実施例の簡易面内せん断試験では、クラレクラフレックス株式会社製の簡易面内せん断試験器(MS−01)を用いて行った。図19,20を参照して、試験器230は、取っ手231を回転させることで、支点部232を中心に上移動部233および下移動部234が上下に移動することで、試験器230に固定した試験体のクラフト紙156の破壊量を2つのセンサーで計測するものである。第1センサーC21は、試験器230に取り付けられ、第2センサーC22は、試験体に取り付けられる。第1,2センサーC21,C22は、いずれも株式会社東京測器研究所製のパイ型変位計を用いた。
図20で示すように、本実施例で用いる試験体としては、石膏ボード150とクラフト紙156との間に不織繊維構造体154を挟んだものを用いた。石膏ボード150の厚さは、9mmであった。クラフト紙156として、50μmのものを準備した。不織繊維構造体154として、実施例1と同じ方法で得られた不織繊維構造体(厚さはそれぞれ2.5mm,5.5mm,10mm、密度はそれぞれ50kg/m,75kg/m,100kg/m)を準備した。
このようにして行った簡易面内せん断試験により、石膏ボード150の厚さおよび密度とクロス155のひび割れ抑制効果との関係を求めた。その結果を、図21〜23に示す。図21は、不織繊維構造体の密度が50kg/mの場合、図22は、不織繊維構造体の密度が75kg/mの場合、図21は、不織繊維構造体の密度が100kg/mの場合のクラフト紙の変位量を示すグラフである。図21〜23において、横軸は、第1センサーC21で測定した試験器の変位量(μm)であり、縦軸は、第2センサーC22で測定したクロス表面の変位量(μm)である。
図21に示すように、不織繊維構造体の密度が50kg/mの場合は、不織繊維構造体の厚さが2.5mm、5.5mm、10mmの場合のいずれでもクラフト紙の表面はほとんど変位しないことが分かる。
図22に示すように、不織繊維構造体の密度が75kg/mの場合は、不織繊維構造体の厚さが5.5mm、10mmの場合はクロスの表面はほとんど変位しないことが分かる。これに対し、不織繊維構造体の厚さが2.5mmの場合は、クラフト紙の表面がやや変位することが分かる。
図23に示すように、不織繊維構造体の密度が100kg/mの場合は、不織繊維構造体の厚さが5.5mmの場合はクラフト紙の表面はほとんど変位しないことが分かる。不織繊維構造体の厚さが2.5mmの場合は、クラフト紙の表面が変位することが分かる。不織繊維構造体の厚さが10mmの場合は、クラフト紙の表面がマイナス変位することが分かる。これは、石膏ボードが反った影響である。
以上より、本実施例によれば、不織繊維構造体の密度が50kg/m以上、好ましくは50kg/m以上100kg/m以下であれば、クラフト紙のひび割れを抑制することができることを確認した。また、不織繊維構造体の密度が75kg/m以上100kg/m以下で、不織繊維構造体の厚さが2.5mm以上10mm以下であれば、クラフト紙のひび割れを抑制することができ、さらに、不織繊維構造体の厚さが5.5mm以上10mm以下であれば、よりクラフト紙のひび割れを抑制することができることを確認した。内壁構造は、クラフト紙にクロスを貼り付けて構成されることから、クロスについても同様のひび割れ抑制効果が適用される。
(実施例4)
実施例4では、不織繊維構造体の吸音効果を確認するために、垂直入射吸音率測定試験を行った。
本実施例の垂直入射吸音率測定試験では、ブリュエルケアー社製の垂直入射吸音率測定器を用いて行った。試験体としては、以下のものを準備した。まず、不織繊維構造体だけの試験体(以下、不織繊維構造体単体という)として、実施例1と同じ方法で得られた不織繊維構造体(厚さはそれぞれ2.5mm,5.5mm,10mm、密度はそれぞれ50kg/m,75kg/m,100kg/m)を準備した。不織繊維構造体とクラフト紙を貼り合わせた試験体(以下、クラフト複合という)として、上述の不織繊維構造体とクラフト紙とを、50%に希釈したルーアマイルドで接着したものを準備した。不織繊維構造体とクラフト紙とクロスとを貼り合わせた試験体(以下、壁紙複合という)として、上述の不織繊維構造体とクラフト紙と壁紙SG5209とを、50%に希釈したルーアマイルドで接着したものを準備した。
不織繊維構造体の厚さを2.5mmとした場合の結果を図24〜26に示す。この中で、不織繊維構造体の密度を50kg/mとした場合の結果を図24、不織繊維構造体の密度を75kg/mとした場合の結果を図25、不織繊維構造体の密度を100kg/mとした場合の結果を図26に示す。
図24〜26を比較すると、不織繊維構造体の厚さが2.5mmにおいて、クラフト複合は、不織繊維構造体単体と比較して吸音率が高いことが分かった。また、不織繊維構造体の密度が異なる図24〜図26を比較しても、ほとんど吸音率に差はないため、不織繊維構造体の密度と吸音率とは無関係であることが分かった。
不織繊維構造体の厚さを5.5mmとした場合の結果を図27〜29に示す。この中で、不織繊維構造体の密度を50kg/mとした場合の結果を図27、不織繊維構造体の密度を75kg/mとした場合の結果を図28、不織繊維構造体の密度を100kg/mとした場合の結果を図29に示す。
図27〜29を比較すると、不織繊維構造体の厚さが5.5mmでも、図24〜図26の比較と同様に、クラフト複合は、不織繊維構造体単体と比較して吸音率が高いことが分かった。また、不織繊維構造体の密度が異なる図27〜図29を比較しても、ほとんど吸音率に差はないため、不織繊維構造体の密度と吸音率とは無関係であることが分かった。さらに、厚さ2.5mmの不織繊維構造体を用いた図24〜図26と、厚さ5.5mmの不織繊維構造体を用いた図27〜図29とを比較すると、厚さ5.5mmの不織繊維構造体を用いた図27〜図29の方が吸音率が高いことが分かった。
以上より、本実施例によれば、吸音率は、不織繊維構造体の厚さが関係しており、不織繊維構造体が厚いほど吸音率が高いことを確認した。具体的には、吸音率の観点からは、不織繊維構造体の厚さは2.5mm以上10mm以下が好ましく、5.5mm以上10mm以下がより好ましいことを確認した。また、不織繊維構造体単体よりも、クラフト複合または壁紙複合の方が吸音効果が高いことを確認した。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではな
いと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変
更が含まれることが意図される。
1,1A 壁構造(内壁構造)、10 下地材、20 不織繊維構造体(シート状物)、30 仕上げ材(クロス)、40 クラフト紙、100 ベース体、101〜104 第1〜4枠材、105 開口部、111,112,113a,113b,114a,114b 石膏ボード、121a,121b 不織繊維構造体、131〜134 クロス、140 試験体、150 石膏ボード、151〜153,151a〜153a,151b〜153c 第1〜第3石膏ボード、154,154a,154b 不織繊維構造体、155,155a クロス、156 クラフト紙、201 土台、202 積荷梁、203 駆動装置、210,211 クリップ、230 試験器、231 取っ手、232 支点部、233 上移動部、234 移動部、C1〜C4 第1〜4センサー、C11,C21 第1センサー、C12,C22 第2センサー。

Claims (7)

  1. 下地材と、仕上げ材と、前記下地材と前記仕上げ材との間に位置し、伸縮性を有するシート状物とを備えた、壁構造。
  2. 前記伸縮性を有するシート状物は、吸音性を有する、請求項1に記載の壁構造。
  3. 前記伸縮性を有するシート状物の厚みは、1.5mm以上10mm以下である、請求項1または2に記載の壁構造。
  4. 前記伸縮性を有するシート状物の密度は、50kg/m以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の壁構造。
  5. 前記伸縮性を有するシート状物が不織繊維構造体である請求項1〜4のいずれかに記載の壁構造。
  6. 前記不織繊維構造体は、複数の繊維を含み、
    前記複数の繊維は、加熱した蒸気が噴射されることにより結合されている、請求項5に記載の壁構造。
  7. 前記不織繊維構造体と前記仕上げ材との間に、クラフト紙をさらに備える、請求項5または6に記載の壁構造。
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