JP2019107247A - 歯科用マトリックスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックスを、患者に過度な負担をかけることなく簡便に製造することのできる歯科用マトリックスの製造方法を提供すること。【解決手段】歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる際に使用される歯科用マトリックスの製造方法であって、削合前および/または削合後の歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータを取得する工程(1)、および、前記デジタルデータを使用して前記少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する工程(2)を含む、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用マトリックスの製造方法、それにより得られる歯科用マトリックス、および、当該歯科用マトリックスを用いる硬化物の製造方法に関する。
歯科治療において、歯牙等の歯系組織の削合部にコンポジットレジン等の硬化性組成物を充填した後、硬化させることがある(例えば特許文献1などを参照)。この際、硬化後の硬化物の表面の形状が対合する歯牙の形状に対応していないと、咬み合わせに不具合が生じるなどの問題が生じるため、硬化物を研削したり研磨したりすることが行われるが、これらの操作は煩雑であり患者への負担も大きい。
特開2000−159621号公報
上記のような問題を解決するための方法として、歯系組織の削合部に硬化性組成物を充填した後、これを硬化させる際に、特定の形状を有する型(歯科用マトリックス)を当該硬化性組成物に当接させた状態で硬化させることにより、得られる硬化物の形状を所望のものとする方法が考えられる。このような歯科用マトリックスを製造するための方法としては、患者の口腔内で歯牙等の歯系組織にシリコーン、寒天、アルジネートなどからなる印象材を適用して歯科用印象型を製造した上で、この歯科用印象型に石膏等の模型材料を充填することで歯科用模型を製造し、この歯科用模型を用いて製造する方法が考えられるが、このような方法は、患者に対する負担が大きい問題がある。
そこで本発明は、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックスを、患者に過度な負担をかけることなく簡便に製造することのできる歯科用マトリックスの製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該製造方法により得られる、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックス、および、当該歯科用マトリックスを用いる、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる硬化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、歯系組織等の3Dデジタルデータを用いて歯科用マトリックスを製造することにより、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックスを、患者に過度な負担をかけることなく簡便に製造することができることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[15]に関する。
[1] 歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる際に使用される歯科用マトリックスの製造方法であって、削合前および/または削合後の歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータを取得する工程(1)、および、前記デジタルデータを使用して前記少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する工程(2)を含む、製造方法。
[2] 前記歯科用マトリックスを構成する素材の1mmあたりの全光線透過率が4〜95%である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記歯科用マトリックスを構成する素材の曲げ弾性率が5〜300N/mm2である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記歯科用マトリックスを構成する素材の引張強さが5〜40MPaである、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記歯科用マトリックスを構成する素材の引裂強さが5〜50kN/mである、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記歯科用マトリックスが唇側歯面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.3〜10mmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記歯科用マトリックスが舌側歯面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.1〜10mmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記歯科用マトリックスが咬合面および/または切端面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.1〜10mmである、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] 前記少なくとも一部分が対合する歯牙を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 前記対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が、当該対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲内にある、[9]に記載の製造方法。
[11] 前記対合する歯牙が採り得る相対位置が、矢状顆路角5〜60°、側方顆路角1〜20°、および、イミディエイトサイドシフト0.1〜4mmの各範囲内の顎運動で採り得る相対位置である、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記少なくとも一部分が削合された歯牙を含み、前記デジタルデータにおいて、削合部のデジタルデータを加工する工程を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 工程(2)が積層造形法により行われる、[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14] [1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法により得られる歯科用マトリックス。
[15] [14]に記載の歯科用マトリックスを歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
本発明によれば、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックスを、患者に過度な負担をかけることなく簡便に製造することのできる歯科用マトリックスの製造方法が提供される。また本発明によれば、当該製造方法により得られる、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックス、および、当該歯科用マトリックスを用いる、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる硬化物の製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値および各物性等)の上限値および下限値は適宜組み合わせ可能である。
〔歯科用マトリックスの製造方法〕
本発明の製造方法で製造される歯科用マトリックスは、歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる際に使用されるものである。そして当該歯科用マトリックスを製造するための本発明の方法は、削合前および/または削合後の歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータを取得する工程(1)、および、前記デジタルデータを使用して前記少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する工程(2)を含む。当該歯科用マトリックスの製造方法により、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる歯科用マトリックスを、患者に過度な負担をかけることなく簡便に製造することができる。
《工程(1)》
工程(1)では、削合前および/または削合後の歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータ(典型的には3Dデジタルデータ)を取得する。デジタルデータを取得する当該歯系組織としては、例えば、歯牙を含む口腔内組織の全体、上顎歯列弓、下顎歯列弓、1つまたは2つ以上の歯牙などが挙げられ、これらのうちの1つのみでもよいし、可能な場合にはこれらのうちの2つ以上(例えば、上顎歯列弓および下顎歯列弓の両方など)であってもよい。デジタルデータの取得は、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが接触していない開口状態で行ってもよいし、接触している閉口状態で行ってもよいし、開口状態と閉口状態のそれぞれにおいてデジタルデータを取得してもよい。
上記デジタルデータの取得方法に特に制限はなく、例えば、患者の歯系組織からデジタルデータを取得する方法、患者の歯系組織から印象型を得た上でこの印象型からデジタルデータを取得する方法、患者の歯系組織に対応した歯科用模型を得た上でこの歯科用模型からデジタルデータを取得する方法などが挙げられる。これらの中でも、患者の歯系組織の形状により近い歯科用マトリックスをより簡便に製造することができることなどから、患者の歯系組織からデジタルデータを取得する方法が好ましい。
患者の歯系組織からデジタルデータを取得するための具体的な方法としては、例えば、口腔内直接光学計測法、パターン投影法、口腔内カメラ等の口腔内スキャナを用いる方法、X線を用いる方法、コーンビームCTスキャン等のCTスキャンを用いる方法などの歯系組織と実質的に接触しない非接触法;口腔内接触プローブを用いる接触法などが挙げられる。これらの中でも、患者への負担をより軽減することができることなどから、非接触法が好ましく、CTスキャンを用いる方法、口腔内スキャナを用いる方法がより好ましく、パウダーレスでデジタルデータを取得できる点から、口腔内スキャナがさらに好ましい。
得られたデジタルデータは、マスターデータ(基本データ)として、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアに取り込み、必要に応じて加工を施した後で、工程(2)における歯科用マトリックスの形成に使用することができる。なお、工程(1)において歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータを取得することで、電子メール、FTP(File Transfer Protocol)サーバ、クラウドサービス等を利用してそれを転送したり保存したりすることができる。得られたデジタルデータは必要に応じて各種ファイル形式(例えばSTL形式等)に変換してもよい。
後述の工程(2)においては、得られたデジタルデータの全てを使用してもよいが、一部のみを使用してもよく、例えば、得られたデジタルデータのうち目的とする歯科用マトリックスに対応した部分のみを使用することができる。得られたデジタルデータの一部のみを使用するには、例えば、CADソフトウェア上にて範囲線を決定して必要なデジタルデータの範囲を特定すればよい。当該範囲の一例として、頬側は齦頬移行部相当位置までとし、口蓋側には範囲の規定を設けず、喉側は軟組織への移行部までとする範囲などが挙げられる。このような範囲であれば、口腔内をまんべんなく包含できる。なおデジタルデータの範囲の特定は、工程(2)の説明において後述する歯科用マトリックスの形状の設計の前に行ってもよいし、当該設計の後に行ってもよい。
《工程(2)》
工程(2)では、工程(1)で取得したデジタルデータを使用して歯系組織の少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する。歯系組織の少なくとも一部分の外形に対応した形状としては、例えば、当該歯系組織の少なくとも一部分の凸状(歯牙の形状等)の外形に対応した凹状の形状などが挙げられる。なお、上記歯系組織の少なくとも一部分の外形に対応した形状は、工程(2)において使用されるデジタルデータに基づく歯系組織の外形の全てに対応するものであってもよいが、そのうちの一部のみに対応するものであってもよい。例えば、後述するようにデジタルデータを取得する歯系組織の少なくとも一部分が削合された歯牙を含む場合であって、取得されたデジタルデータにおいて削合部のデジタルデータを加工(削合部をなくす加工など)する場合に、製造される歯科用マトリックスは、当該加工がされていない部分のデジタルデータに基づく歯系組織の外形に対応した形状を少なくとも有していればよい。
歯科用マトリックスを形成するにあたっては、工程(1)で取得したデジタルデータを使用して、予め歯科用マトリックスの形状を設計するのが好ましい。
目的とする歯科用マトリックスが唇側歯面に対応する部分(唇側歯面に対向する歯科用マトリックスにおける壁部)を含む場合、形状安定性などの観点から、当該部分(壁部)の厚みは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、0.8mm以上であることがさらに好ましく、1mm以上であることが特に好ましく、また、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
目的とする歯科用マトリックスが舌側歯面に対応する部分(舌側歯面に対向する歯科用マトリックスにおける壁部)を含む場合、形状安定性などの観点から、当該部分(壁部)の厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましく、0.8mm以上であることが特に好ましく、また、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
目的とする歯科用マトリックスが咬合面および/または切端面に対応する部分(咬合面および/または切端面に対向する歯科用マトリックスにおける底部)を含む場合、形状安定性や、また、通常、複雑な形状を有する咬合面や切端面における硬化性組成物の様子をより確実に把握することができることなどから、当該部分(底部)の厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましく、0.8mm以上であることが特に好ましく、また、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
また、歯科用マトリックスの形状を設計するにあたっては、所望の形状を有する歯科用マトリックスが得られるようにデジタルデータの少なくとも一部を加工してもよく、特にデジタルデータを取得する歯系組織の少なくとも一部分が削合された歯牙を含む場合、取得されたデジタルデータにおいて削合部のデジタルデータを加工することが好ましい。当該加工の典型例としては、削合部の大きさを小さくする加工や、削合部をなくす加工などが挙げられる。このような加工をすることにより、コンポジットレジン等の硬化性組成物を充填する空間を確保することができると共に、硬化物の形状を所望のものとすることができる。また、当該加工は、削合物の大きさを大きくする加工や、もともと削合部が存在しない部分に削合部に対応する形状を新たに設ける加工であってもよい。このような加工によって得られる歯科用マトリックスは、硬化物の形成前に歯牙を予め削合したり削合部の大きさを大きくしておくなどして使用することができる。一方、デジタルデータを取得する歯系組織の少なくとも一部分が削合される前の歯牙から構成される場合などにおいて、上記デジタルデータの加工をせずに歯科用マトリックスを製造すれば、硬化物の形成前に歯牙を予め削合しても、削合前の当該歯牙の形状を容易に再現することができる。
本発明においては、デジタルデータを取得する歯系組織の少なくとも一部分が対合する歯牙(上顎の歯牙およびそれに対合する下顎の歯牙)を含んでいてもよい。この場合、製造される歯科用マトリックスにおいて、対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が、当該対合する歯牙が採り得る相対位置(患者(被験者)の生体内で採り得る相対位置)の範囲内になるようにすれば、硬化物の形成時に歯科用マトリックスをより効果的に固定することができて所望の形状を有する硬化物の取得がより容易になる。
上記対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲について、矢状顆路角としては、5°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、また、60°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。また、側方顆路角としては、1°以上であることが好ましく、4°以上であることがより好ましく、また、20°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。また、イミディエイトサイドシフトとしては、0.1mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、また、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
製造される歯科用マトリックスにおいて、対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が、当該対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲内になるようにするためには、例えば、工程(1)において、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが接触している閉口状態で主として歯系組織の唇側のデジタルデータを取得すると共に、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが接触していない開口状態で上顎歯列弓および下顎歯列弓のそれぞれのデジタルデータを取得し、これらのデジタルデータをCADソフトウェア上で合成して、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが安定する咬合位置を特定し、その咬合位置から上記相対位置を規定すればよい。当該安定する咬合位置から上記相対位置を規定するにあたり、CADソフトウェア上で合成した上記デジタルデータにさらに仮想上のデジタル咬合器を結合させれば、想定される顎運動を容易に把握することができ、製造される歯科用マトリックスにおいて、対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が、当該対合する歯牙が採り得る所望の相対位置の範囲内となるようにすることが容易になる。
前記デジタルデータを使用して歯系組織の少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する際の具体的な方法に特に制限はなく、例えば、歯科用マトリックス形成材料をミリングする方法を採用してもよいが、より簡便に目的とする歯科用マトリックスを得ることができることなどから、積層造形法を採用することが好ましい。
積層造形法の具体的な方法に特に制限はなく、例えば、光学的立体造形法;溶融した樹脂を積層していく熱溶解積層法(FDM法);液化した材料(バインダーを含んでいてもよく、また、所望のカラーを有する材料であってもよい)を噴射して積層を繰り返すインクジェット法などが挙げられる。また溶融したワックスを噴射する方法を採用してもよい。これらの中でも、患者の歯系組織の形状により近い歯科用マトリックスをより簡便に製造することができることなどから、光学的立体造形法が好ましい。
光学的立体造形法としては、光学的エネルギーによって焼結したり熱溶融したりすることのできる粉末(熱可塑性樹脂粉末等)を用いてこれを焼結ないし熱溶融させる方法(粉末積層造形法)を採用してもよいが、サポート材等を別途用いる必要がなく患者の歯系組織の形状により近い歯科用マトリックスをより簡便に製造することができることなどから、光学的エネルギーによって硬化可能な液状材料を用い、これを光学的エネルギーによって硬化させることで所望の形状を有する各層を順次形成していく方法を採用することが好ましい。上記の光学的エネルギーとしては、活性エネルギー線によるものが挙げられ、当該活性エネルギー線の照射によって光学的エネルギーを付与することができる。
活性エネルギー線の種類に特に制限はなく、例えば、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、X線、放射線、高周波などが挙げられる。これらの中でも、紫外線ないし可視光性が好ましく、波長300〜450nmの紫外線ないし可視光線がより好ましく、波長300〜400nmの紫外線ないし可視光線がさらに好ましい。活性エネルギー線の光源としては、例えば、各種レーザー(例えば、半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザー、LEDレーザー等)、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED、各種水銀灯(高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯等)、蛍光灯などが挙げられ、レーザーが好ましい。光源としてレーザーを用いれば、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮することができ、また良好な集光性を利用して造形精度の高い歯科用マトリックスを得ることができる。
活性エネルギー線の照射にあたっては、レーザーなどのように点状に絞られた活性エネルギー線を線描方式で照射する方式を採用してもよいし、液晶シャッター、デジタルマイクロミラーシャッター(DMD)等のような微小光シャッターを複数配列するなどして形成した面状描画マスクを通った活性エネルギー線を照射する方式を採用してもよい。
光学的エネルギーによって硬化可能な液状材料を用い、これを光学的エネルギーによって硬化させることで所望の形状を有する各層を順次形成していく際の具体的な方法としては、例えば、自由液面法、規制液面法などが挙げられ、患者の歯系組織の形状により近い歯科用マトリックスをより簡便に製造することができることなどから、規制液面法が好ましい。
自由液面法では、液状材料を収容した容器の上側から液状材料に活性エネルギー線を照射することにより局所的に層を硬化させて歯科用マトリックスを一層ずつ順次形成していく。この過程において、容器に収容した液状材料の液面近傍に形成された硬化した層を一層分だけ液状材料中に沈降させて、当該硬化した層の上に次の層を形成するための液状材料を、必要に応じてリコーターなども使用して配置し、配置した当該液状材料に活性エネルギー線を照射する操作を繰り返す。
一方、規制液面法では、液状材料を収容した容器の下側から当該容器の底面を通して液状材料に活性エネルギー線を照射することにより局所的に層を硬化させて歯科用マトリックスを一層ずつ順次形成していく。この過程において、硬化した層を一層分だけ上昇させて、当該硬化した層の下面と容器の底面との間に次の層を形成するための液状材料を流入させ、流入した当該液状材料に活性エネルギー線を照射する操作を繰り返す。
自由液面法および規制液面法のいずれにおいても、目的とする歯科用マトリックスの3D形状に対応したデジタルデータに基づく一層毎のスライスデータに従って活性エネルギー線を照射することで、所望の形状を有する歯科用マトリックスを製造することができる。
規制液面法に使用される容器としては、底面の少なくとも一部が光学的に透明であるものを用いることができる。当該容器は、底面の全体が活性エネルギー線透過性材料から形成されていてもよいし、底面の周縁部分が活性エネルギー線を透さない材料から形成されると共に当該周縁部分に包囲された中央部分が活性エネルギー線透過性材料から形成されていてもよく、目的とする歯科用マトリックスのサイズなどに応じて、容器の底面における光学的に透明な部分の面積を決めることができる。上記活性エネルギー線透過性材料としては、例えば、透明なガラス、透明なプラスチックなどが挙げられる。
上記した光学的エネルギーによって硬化可能な液状材料に特に制限はなく、例えば、重合性単量体および光重合開始剤を含む組成物、光硬化性樹脂などが挙げられ、得られる歯科用マトリックスを構成する素材の各物性を容易に後述する範囲内とすることができることなどから、重合性単量体および光重合開始剤を含む組成物(以下、「造形用組成物」と称する場合がある)が好ましい。
[重合性単量体]
・化合物(I)〜(III)
造形用組成物に含まれる重合性単量体の種類に特に制限はないが、得られる歯科用マトリックスを構成する素材の各物性を容易に後述する範囲内とすることができることなどから、下記式(I)で表される化合物(I)、下記式(II)で表される化合物(II)および下記式(III)で表される化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
Figure 2019107247
上記式(I)中、R1は水素原子またはメチル基であり、aは1または2であり、A1は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、bは3〜6の整数であり、cは3〜14の整数であり、dは2または3である。
Figure 2019107247
上記式(II)中、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、eは1または2であり、A2は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、fは4〜20の整数であり、gは2または3である。
Figure 2019107247
上記式(III)中、R4およびR5はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、A3は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、hは4〜20の整数であり、jは2または3である。
化合物(I)に係る上記式(I)において、R1は水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。aは1または2であり、1であることが好ましい。bは3〜6の整数であり、化合物(I)の安定性、製造容易性などの観点から、4〜6の整数であることが好ましく、5であることがより好ましい。
上記式(I)において、cは3〜14の整数であり、3〜10の整数であることが好ましく、3〜6の整数であることがより好ましい。cが上記上限以下であることにより造形用組成物の粘度が過度に上昇するのを抑制することができ、また、得られる歯科用マトリックスの強度も向上する。また、cが上記下限以上であることにより、得られる歯科用マトリックスの柔軟性や衝撃吸収性が向上する。
上記式(I)において、dは2または3であり、2であることが好ましい。dが2である場合には、dが3である場合に比べて、得られる歯科用マトリックスの柔軟性がより向上しやすい。
上記式(I)において、A1は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがさらに好ましい。前記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の、アルキレン基、アルケニレン基などが挙げられる。アルキレン基としては、例えば、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、エイコサメチレン基などが挙げられる。アルケニレン基としては、例えば、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基などが挙げられる。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、ジメチルシクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基などが挙げられる。シクロアルケニレン基としては、例えば、シクロヘキセニレン基、シクロヘプテニレン基、シクロオクテニレン基、シクロノネニレン基、シクロデセニレン基などが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、アリーレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、メチルフェニレン基、キシリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、フルオニレン基などが挙げられる。
これらの炭化水素基は、異性体がある場合、その異性体であってもよい。また、前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる2種以上を組み合わせた基であってもよく、例えば、アルキレン基とシクロアルキレン基との組み合わせ;アルキレン基とアリーレン基との組み合わせ;シクロアルキレン基とアリーレン基との組み合わせ;アルキレン基とシクロアルキレン基とアリーレン基との組み合わせであってもよい。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);ヒドロキシ基;アミノ基;炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基;炭素数3〜20のシクロアルキル基;炭素数6〜14のアリール基などが挙げられる。
上記炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基などが挙げられる。
上記炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基などが挙げられる。
上記炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、テトラメチルフェニル基などが挙げられる。
なお、これらの置換基は、異性体がある場合、その異性体であってもよい。
上記炭化水素基が有する置換基の数は、1〜10個であることが好ましく、1〜8個であることがより好ましく、1〜6個であることがさらに好ましく、1〜4個であることが特に好ましい。A1は1種の置換基を有していてもよく、2種以上の置換基を有していてもよい。
化合物(I)は、後述するように、式:A1−(NCO)d(A1およびdは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物を用いて好ましく製造することができ、かかる点から、A1は化合物(I)を製造するのに用いるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた2価または3価の残基であることが好ましい。
1の好ましい具体例としては、例えば、イソホロンジイル基、トリレン基、4,4’−ジフェニルメタンジイル基、ナフチレン基、キシリレン基、フェニレン基、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイル基、トルイレン基、ヘキサメチレン基、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイル基、水添化キシリレン基、トリフェニレンメタントリイル基、テトラメチルキシレン基、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイル基などが挙げられる。
化合物(I)としては、R1が水素原子であり、aが1であり、bが4〜6の整数であり、cが3〜14の整数であり、dが2または3であり、A1が炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものが好ましく;R1が水素原子であり、aが1であり、bが5であり、cが3〜10の整数であり、dが2または3であり、A1が炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがより好ましく;R1が水素原子であり、aが1であり、bが5であり、cが3〜6の整数であり、dが2であり、A1が炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがさらに好ましい。
化合物(I)の製造方法に特に制限はないが、より効率的に化合物(I)を得ることができることなどから、下記式(i)で表されるエチレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルまたはグリセリンのジ(メタ)アクリル酸エステルと、下記式(ii)で表されるラクトンとを反応させて下記式(iii)で表されるラクトン付加物を生成する工程(工程(a))、および、当該ラクトン付加物と上記した式:A1−(NCO)d(A1およびdは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物とを反応させる工程(工程(b))を含む方法を好ましく採用することができる。
Figure 2019107247
上記式(i)中、R1およびaは上記と同じ意味を有する。
Figure 2019107247
上記式(ii)中、bは上記と同じ意味を有する。
Figure 2019107247
上記式(iii)中、R1、a、bおよびcは上記と同じ意味を有する。
工程(a)では、ラクトン付加物を効率的に得ることができることなどから、触媒を用いることが好ましい。当該触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;カチオン触媒;アニオン触媒(例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)等についてのアルキル金属等);金属の酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。工程(a)の反応温度としては、例えば、100〜150℃とすることができる。
工程(b)では、目的とする化合物(I)を効率的に得ることができることなどから、ウレタン化触媒を用いることが好ましい。当該ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;3級アミン触媒(例えば、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン等)などが挙げられる。また、工程(b)は、重合禁止剤の存在下に行うことが好ましい。当該重合禁止剤としては、造形用組成物における安定剤として使用することのできる後述の重合禁止剤と同様のものを使用することができる。工程(b)の反応温度としては、例えば、40〜90℃とすることができる。
上記の式:A1−(NCO)dで表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物の好ましい具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる歯科用マトリックスの柔軟性および耐破壊性が向上することなどから、イソホロンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
化合物(II)に係る上記式(II)において、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。R2は水素原子であることが好ましい。また、R3はメチル基であることが好ましい。eは1または2であり、1であることが好ましい。fは4〜20の整数であり、5〜14の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。fが上記上限以下であることにより造形用組成物の粘度が過度に上昇するのを抑制することができ、また、得られる歯科用マトリックスの強度も向上する。また、fが上記下限以上であることにより、得られる歯科用マトリックスの柔軟性や衝撃吸収性が向上する。
上記式(II)において、gは2または3であり、2であることが好ましい。gが2である場合には、gが3である場合に比べて、得られる歯科用マトリックスの柔軟性がより向上しやすい。
上記式(II)において、A2は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがさらに好ましい。当該A2の説明は、化合物(I)におけるA1の説明と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
化合物(II)は、後述するように、式:A2−(NCO)g(A2およびgは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物を用いて好ましく製造することができ、かかる点から、A2は化合物(II)を製造するのに用いるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた2価または3価の残基であることが好ましい。A2の好ましい具体例は、化合物(I)におけるA1の好ましい具体例と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
化合物(II)としては、R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、eが1であり、fが4〜20の整数であり、gが2または3であり、A2が炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものが好ましく;R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、eが1であり、fが5〜14の整数であり、gが2または3であり、A2が炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがより好ましく;R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、eが1であり、fが6〜10の整数であり、gが2であり、A2が炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがさらに好ましい。
化合物(II)の製造方法に特に制限はないが、より効率的に化合物(II)を得ることができることなどから、下記式(iv)で表されるエチレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルまたはグリセリンのジ(メタ)アクリル酸エステルと、下記式(v)で表されるエチレンオキシド(下記式(v)においてR3が水素原子である場合)またはプロピレンオキシド(下記式(v)においてR3がメチル基である場合)を反応させて下記式(vi)で表されるエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物を生成する工程(工程(c))、および、当該エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物と上記した式:A2−(NCO)g(A2およびgは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物とを反応させる工程(工程(d))を含む方法を好ましく採用することができる。
Figure 2019107247
上記式(iv)中、R2およびeは上記と同じ意味を有する。
Figure 2019107247
上記式(v)中、R3は上記と同じ意味を有する。
Figure 2019107247
上記式(vi)中、R2、R3、eおよびfは上記と同じ意味を有する。
工程(c)では、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物を効率的に得ることができることなどから、触媒を用いることが好ましい。当該触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;カチオン触媒;アニオン触媒(例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)等についてのアルキル金属等);金属の酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。工程(c)の反応温度としては、例えば、100〜150℃とすることができる。
工程(d)では、目的とする化合物(II)を効率的に得ることができることなどから、ウレタン化触媒を用いることが好ましい。当該ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;3級アミン触媒(例えば、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン等)などが挙げられる。また、工程(d)は、重合禁止剤の存在下に行うことが好ましい。当該重合禁止剤としては、造形用組成物における安定剤として使用することのできる後述の重合禁止剤と同様のものを使用することができる。工程(d)の反応温度としては、例えば、40〜90℃とすることができる。
上記の式:A2−(NCO)gで表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物の好ましい具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる歯科用マトリックスの柔軟性および耐破壊性が向上することなどから、イソホロンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
化合物(III)に係る上記式(III)において、R4およびR5はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。R4は水素原子であることが好ましい。また、R5はメチル基であることが好ましい。hは4〜20の整数であり、5〜14の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。hが上記上限以下であることにより造形用組成物の粘度が過度に上昇するのを抑制することができ、また、得られる歯科用マトリックスの強度も向上する。また、hが上記下限以上であることにより、得られる歯科用マトリックスの柔軟性や衝撃吸収性が向上する。
上記式(III)において、jは2または3であり、2であることが好ましい。jが2である場合には、jが3である場合に比べて、得られる歯科用マトリックスの柔軟性がより向上しやすい。
上記式(III)において、A3は2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であり、炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であることがさらに好ましい。当該A3の説明は、化合物(I)におけるA1の説明と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
化合物(III)は、後述するように、式:A3−(NCO)j(A3およびjは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物を用いて好ましく製造することができ、かかる点から、A3は化合物(III)を製造するのに用いるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた2価または3価の残基であることが好ましい。A3の好ましい具体例は、化合物(I)におけるA1の好ましい具体例と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
化合物(III)としては、R4が水素原子であり、R5が水素原子またはメチル基であり、hが4〜20の整数であり、jが2または3であり、A3が炭素数6〜20の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものが好ましく;R4が水素原子であり、R5がメチル基であり、hが5〜14の整数であり、jが2または3であり、A3が炭素数6〜14の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがより好ましく;R4が水素原子であり、R5がメチル基であり、hが6〜10の整数であり、jが2であり、A3が炭素数6〜13の2価または3価の非置換または置換された炭化水素基であるものがさらに好ましい。
化合物(III)の製造方法に特に制限はないが、より効率的に化合物(III)を得ることができることなどから、(メタ)アクリル酸と、下記式(vii)で表されるエチレンオキシド(下記式(vii)においてR5が水素原子である場合)またはプロピレンオキシド(下記式(vii)においてR5がメチル基である場合)を反応させて下記式(viii)で表されるエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物を生成する工程(工程(e))、および、当該エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物と上記した式:A3−(NCO)j(A3およびjは上記と同じ意味を有する)で表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物とを反応させる工程(工程(f))を含む方法を好ましく採用することができる。
Figure 2019107247
上記式(vii)中、R5は上記と同じ意味を有する。
Figure 2019107247
上記式(viii)中、R4、R5およびhは上記と同じ意味を有する。
工程(e)では、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物を効率的に得ることができることなどから、触媒を用いることが好ましい。当該触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;カチオン触媒;アニオン触媒(例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)等についてのアルキル金属等);金属の酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。工程(e)の反応温度としては、例えば、100〜150℃とすることができる。
工程(f)では、目的とする化合物(II)を効率的に得ることができることなどから、ウレタン化触媒を用いることが好ましい。当該ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズ化合物(例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート等)等の有機スズ触媒;3級アミン触媒(例えば、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン等)などが挙げられる。また、工程(f)は、重合禁止剤の存在下に行うことが好ましい。当該重合禁止剤としては、造形用組成物における安定剤として使用することのできる後述の重合禁止剤と同様のものを使用することができる。工程(f)の反応温度としては、例えば、40〜90℃とすることができる。
上記の式:A3−(NCO)jで表されるジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物の好ましい具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物またはトリイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる歯科用マトリックスの柔軟性および耐破壊性が向上することなどから、イソホロンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
造形用組成物に含まれる重合性単量体は、化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)のうちの1種のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。例えば、造形用組成物は、化合物(I)と、化合物(II)および化合物(III)のうちの少なくとも1種とを含んでいてもよい。
重合性単量体における化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、目的とする歯科用マトリックスが得られやすいことなどから、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。当該含有量の上限に特に制限はないが、当該含有量は例えば、99質量%以下、95質量%以下、さらには90質量%以下とすることができる。
・(メタ)アクリルアミド
造形用組成物に含まれる重合性単量体は、目的とする歯科用マトリックスが得られやすいことなどから、下記式(IV)で表される化合物(IV)および下記式(V)で表される化合物(V)からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドを含むことが好ましく、上記した化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種と共に当該(メタ)アクリルアミドを含むことがより好ましい。
Figure 2019107247
上記式(IV)中、R6は水素原子またはメチル基であり、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基であり、R7およびR8は互いに直接結合していない。
Figure 2019107247
上記式(V)中、R9は水素原子またはメチル基であり、R10は炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキレン基であり、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基であり、R12およびR13は互いに直接結合しておらず、R11およびR12は互いに直接結合しておらず、R11およびR13は互いに直接結合していない。
上記式(IV)中、R6は水素原子またはメチル基である。化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種との混和性がよく、硬化性および得られる歯科用マトリックスにおける表面滑沢性に優れることなどから、R6は水素原子であることが好ましい。
上記式(IV)中、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。またR7およびR8は、いずれか一方が水素原子または炭素数1〜5の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ他方が炭素数1〜5の非置換または置換されたアルキル基であることが好ましく、いずれか一方が水素原子または炭素数1〜4の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ他方が炭素数1〜4の非置換または置換されたアルキル基であることがより好ましく、いずれか一方が水素原子または炭素数1〜3の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ他方が炭素数1〜3の非置換または置換されたアルキル基であることがさらに好ましい。
7およびR8は互いに直接結合していない。これにより、剛直で嵩高い環状構造が形成されず造形用組成物中での分子鎖の運動性が向上し、所望の物性を有する歯科用マトリックスがより容易に得られやすい。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基が有していてもよい置換基としては、化合物(I)のA1が表す炭化水素基が有していてもよい置換基として上記したものと同様のものとすることができ、ここでは重複する説明を省略する。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基が有する置換基の数は、1〜10個であることが好ましく、1〜8個であることがより好ましく、1〜6個であることがさらに好ましく、1〜4個であることが特に好ましい。当該アルキル基は1種の置換基を有していてもよく、2種以上の置換基を有していてもよい。
化合物(IV)の具体例としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリルアミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種との混和性がよく、硬化性および得られる歯科用マトリックスにおける表面滑沢性に優れることなどから、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドが好ましく、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドがより好ましく、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドがさらに好ましく、N,N−ジエチルアクリルアミドが特に好ましい。
上記式(V)中、R9は水素原子またはメチル基である。化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種との混和性がよく、硬化性および得られる歯科用マトリックスにおける表面滑沢性に優れることなどから、R9は水素原子であることが好ましい。
上記式(V)中、R10は炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキレン基である。当該アルキレン基の炭素数は1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、n−プロピレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、イソブチリデン基、sec−ブチリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキレン基が有してもよい置換基としては、化合物(I)のA1が表す炭化水素基が有していてもよい置換基として上記したものと同様のものとすることができ、ここでは重複する説明を省略する。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキレン基が有する置換基の数は、1〜10個であることが好ましく、1〜8個であることがより好ましく、1〜6個であることがさらに好ましく、1〜4個であることが特に好ましい。当該アルキレン基は1種の置換基を有していてもよく、2種以上の置換基を有していてもよい。
上記式(V)中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。またR11、R12およびR13は、いずれか1つまたは2つが水素原子または炭素数1〜5の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ残りが炭素数1〜5の非置換または置換されたアルキル基であることが好ましく、いずれか1つまたは2つが水素原子または炭素数1〜4の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ残りが炭素数1〜4の非置換または置換されたアルキル基であることがより好ましく、いずれか1つまたは2つが水素原子または炭素数1〜3の非置換または置換されたアルキル基であり、かつ残りが炭素数1〜3の非置換または置換されたアルキル基であることがさらに好ましい。
12およびR13は互いに直接結合しておらず、R11およびR12は互いに直接結合しておらず、R11およびR13は互いに直接結合していない。これにより、剛直で嵩高い環状構造が形成されず造形用組成物中での分子鎖の運動性が向上し、所望の物性を有する歯科用マトリックスがより容易に得られやすい。
上記の炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基としては、化合物(IV)においてR7およびR8が表す炭素数1〜8の非置換または置換されたアルキル基と同様のものとすることができ、ここでは重複する説明を省略する。
化合物(V)の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリルアミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種との混和性がよく、硬化性および得られる歯科用マトリックスにおける表面滑沢性に優れることなどから、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミドが好ましく、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドより好ましく、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドがさらに好ましく、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが特に好ましい。
重合性単量体における化合物(IV)および化合物(V)からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドの含有量は、目的とする歯科用マトリックスが得られやすいことなどから、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
・フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル
造形用組成物に含まれる重合性単量体は、耐着色性などを目的として、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルを含んでいてもよく、この場合、上記した化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種と共に当該フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。このようなフッ素含有(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロー3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、耐着色性に優れることなどから、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートが好ましく、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
重合性単量体におけるフッ素含有(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、硬化性の観点などから、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
造形用組成物に含まれる重合性単量体は、化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種、化合物(IV)および化合物(V)からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、ならびに、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルのうちのいずれか1種または2種以上を主成分とすることができる。この場合、当該重合性単量体における、化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種、化合物(IV)および化合物(V)からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、ならびに、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル以外の他の重合性単量体の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以下、さらには0.01質量%以下であってもよい。
造形用組成物における全ての重合性単量体の合計の含有量は、目的とする歯科用マトリックスが得られやすいことなどから、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。当該含有量の上限に特に制限はないが、当該含有量は例えば、99.9質量%以下、99.5質量%以下、さらには99質量%以下とすることができる。
[光重合開始剤]
造形用組成物に含まれる光重合開始剤としては、一般工業界で使用されている光重合開始剤から適宜選択して用いることができ、中でも歯科用途に用いられている光重合開始剤を好ましく用いることができる。
具体的な光重合開始剤としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド類(塩を含む)、チオキサントン類(第4級アンモニウム塩等の塩を含む)、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキシド類およびα−ジケトン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、紫外領域(近紫外領域を含む)および可視光領域の双方での光硬化性に優れ、光学的立体造形法によって所望の形状を有する歯科用マトリックスをより効率的に製造することができ、特に、Arレーザー、He−Cdレーザー等の各種レーザー;ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED、各種水銀灯、蛍光灯などのいずれの光源を用いても十分に光学的立体造形を行うことができる。
上記(ビス)アシルホスフィンオキシド類のうち、アシルホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(通称「TPO」)、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドのナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのアンモニウム塩などが挙げられる。
上記(ビス)アシルホスフィンオキシド類のうち、ビスアシルホスフィンオキシド類としては、例えば、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物などを用いることもできる。
これらの(ビス)アシルホスフィンオキシド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドのナトリウム塩が好ましい。
α−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナントレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノンなどが挙げられる。これらの中でも、特に可視光領域の光源を使用する場合などにおいて、カンファーキノンが好ましい。
造形用組成物における光重合開始剤の含有量は、使用される光重合開始剤の種類などにもよるが、光学的立体造形の効率などの観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
[重合促進剤]
造形用組成物は、硬化性の向上などを目的として、重合促進剤をさらに含んでいてもよい。当該重合促進剤としては、例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸ブチルなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性がより優れることなどから、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチルおよび4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
造形用組成物における重合促進剤の含有量は、使用される重合促進剤の種類などにもよるが、硬化性などの観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
[フィラー]
造形用組成物は、ペースト性状を調整したり、得られる歯科用マトリックスの強度を向上させたりするなどの目的のため、フィラーをさらに含んでいてもよい。当該フィラーとして、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機−無機複合フィラーなどが挙げられる。フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機フィラーの材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。
無機フィラーの材料としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機フィラーの形状は特に限定されず、例えば不定形フィラーまたは球状フィラーなどを適宜選択して使用することができる。
造形用組成物におけるフィラーの含有量は、所望の物性を有する歯科用マトリックスがより容易に得られやすいことなどから、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、また、85質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
[重合体]
造形用組成物は、その流動性や、得られる歯科用マトリックスの柔軟性を向上させたりするなどの目的のため、重合体をさらに含んでいてもよい。当該重合体として、例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムまたはその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴムまたはその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。当該スチレン系エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)ブロック共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)ブロック共重合体、またはこれらの水素添加物などが挙げられる。重合体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
造形用組成物における重合体の含有量は、所望の物性を有する歯科用マトリックスがより容易に得られやすいことなどから、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、また、85質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
[軟化剤]
造形用組成物は、軟化剤をさらに含んでいてもよい。当該軟化剤として、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の石油系軟化剤;パラフィン、落花生油、ロジン等の植物油系軟化剤などが挙げられる。軟化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
造形用組成物における軟化剤の含有量は、所望の物性を有する歯科用マトリックスがより容易に得られやすいことなどから、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、また、85質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
[安定剤]
造形用組成物は、劣化の抑制や、硬化性の調整などの目的のため、安定剤をさらに含んでいてもよい。当該安定剤としては、公知の安定剤を用いることができ、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。当該重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(通称「BHT」)などが挙げられる。安定剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
造形用組成物における安定剤の含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.02質量%以上であることがさらに好ましく、また、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
[他の添加剤]
造形用組成物は、上記したもの以外の他の添加剤をさらに含んでいてもよい。当該他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば、顔料、染料、有機溶媒、増粘剤などが挙げられる。他の添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
造形用組成物における他の添加剤の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
上記のような積層造形法によって得られた造形物は、そのまま歯科用マトリックスとして使用してもよいし、活性エネルギー線の照射や熱などによるポストキュアを行って力学的特性や形状安定性などを向上させた後に歯科用マトリックスとして使用してもよい。
《歯科用マトリックス》
本発明の製造方法で得られる歯科用マトリックスは、それを構成する素材の1mmあたりの全光線透過率が4〜95%であることが好ましい。これにより、硬化物の形成時に硬化性組成物の様子をより確実に把握することができ、また、硬化性組成物が光によって硬化するものである場合にその硬化を効率的に行うことができる。このような観点から、当該全光線透過率は、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが特に好ましく、40%以上、50%以上、さらには60%以上であってもよく、また、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましい。当該全光線透過率は、ヘーズメーター(D65光源)により、JIS K7361−1:1997の規定を準用して求めることができる。ここで当該全光線透過率の測定に使用される試験片としては、歯科用マトリックスから得られたものを使用することができるが、歯科用マトリックスを構成する素材と同一の素材からなる試験片を別途作製し、それを用いて測定してもよい。
本発明の製造方法で得られる歯科用マトリックスは、それを構成する素材の曲げ弾性率が5〜300N/mm2であることが好ましい。これにより、硬化物の形成時に歯科用マトリックスをより効果的に固定することができて所望の形状を有する硬化物の取得がより容易になると共に、硬化後に歯科用マトリックスの取り外しが容易になる。このような観点から、上記曲げ弾性率は、10N/mm2以上であることがより好ましく、30N/mm2以上であることがさらに好ましく、50N/mm2以上であることが特に好ましく、また、200N/mm2以下であることがより好ましく、100N/mm2以下であることがさらに好ましい。当該曲げ弾性率は、3点曲げ試験により求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。ここで当該曲げ弾性率の測定に使用される試験片としては、歯科用マトリックスから得られたものを使用することができるが、歯科用マトリックスを構成する素材と同一の素材からなる試験片を別途作製し、それを用いて測定してもよい。
本発明の製造方法で得られる歯科用マトリックスは、それを構成する素材の引張強さが5〜40MPaであることが好ましい。これにより、形状安定性により優れた歯科用マトリックスとなる。このような観点から、上記引張強さは、7.5MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上であることがさらに好ましく、また、20MPa以下であることがより好ましい。また、本発明の製造方法で得られる歯科用マトリックスは、それを構成する素材の引張伸度(切断時伸び)が30〜300%であることが好ましい。これにより、硬化物の形成時に歯科用マトリックスをより効果的に固定することができて所望の形状を有する硬化物の取得がより容易になると共に、硬化後に歯科用マトリックスの取り外しが容易になる。このような観点から、上記引張伸度は、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、また、200%以下であることがより好ましい。
当該引張強さおよび引張伸度は、JIS K6251:2017の規定を準用して求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。ここで当該引張強さおよび引張伸度の測定に使用される試験片としては、歯科用マトリックスから得られたものを使用することができるが、歯科用マトリックスを構成する素材と同一の素材からなる試験片を別途作製し、それを用いて測定してもよい。
本発明の製造方法で得られる歯科用マトリックスは、それを構成する素材の引裂強さが5〜50kN/mであることが好ましい。これにより、形状安定性により優れた歯科用マトリックスとなる。このような観点から、上記引裂強さは、10kN/m以上であることがより好ましく、20kN/m以上であることがさらに好ましく、25kN/m以上であることが特に好ましく、また、40kN/m以下であることがより好ましい。当該引裂強さは、JIS K6252−1:2015の規定を準用して求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。ここで当該引裂強さの測定に使用される試験片としては、歯科用マトリックスから得られたものを使用することができるが、歯科用マトリックスを構成する素材と同一の素材からなる試験片を別途作製し、それを用いて測定してもよい。
工程(1)および工程(2)を含む本発明の歯科用マトリックスの製造方法の好ましい実施態様を以下に示す。
すなわち、当該実施態様では、まず、患者の口腔内の状況を確認し、口腔内スキャナ等を用いて対合する歯牙を含む歯系組織のデジタルデータを取得する。この際、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが接触している閉口状態で主として歯系組織の唇側のデジタルデータを取得すると共に、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが接触していない開口状態で上顎歯列弓および下顎歯列弓のそれぞれのデジタルデータを取得する。なおデジタルデータを取得する前に患者の歯系組織の削合等が行われていてもよい。次いで、そのデジタルデータをCADソフトウェアに取り込み、当該CADソフトウェア上で仮想上のデジタル咬合器を結合させ、上顎歯列弓と下顎歯列弓とが安定する咬合位置を特定し、その咬合位置から、製造する歯科用マトリックスにおける対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が当該対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲内となるように歯科用マトリックスを設計する。そして、実際に製造する歯科用マトリックスの範囲をCADソフトウェア上で規定し、さらに唇側歯面に対応する部分の厚み、舌側歯面に対応する部分の厚み、咬合面および/または切端面に対応する部分の厚みなどを規定する。次いで、設計されたデジタルデータをSTL形式に変換し、光学的立体造形装置を用いて目的とする歯科用マトリックスを製造する。
〔硬化物の製造方法〕
本発明の硬化物の製造方法は、上記した本発明の歯科用マトリックスの製造方法により得られる歯科用マトリックスを、歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる工程を含む。当該硬化物の製造方法により、所望の形状を有する硬化物が容易に得られる。なお、硬化後の硬化物には、必要に応じて、表面形状を整えるなどの加工をさらに行ってもよい。
使用される硬化性組成物の種類に特に制限はなく、市販されている各種コンポジットレジン等を使用することができる。当該硬化性組成物は、光により硬化するものであることが好ましい。硬化性組成物の硬化方法に特に制限はなく、使用される硬化性組成物の種類などに応じて適宜選択することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において採用された各測定ないし評価方法を以下に示す。
(1)全光線透過率
歯科用マトリックスを構成する素材の1mmあたりの全光線透過率は、各実施例において使用した造形用組成物を用いて各実施例と同様の光造形装置によって作製した直径22mm×厚み1mmの円盤状の試験片を用いて、ヘーズメーター(D65光源)により、JIS K7361−1:1997の規定を準用して測定した。
(2)曲げ弾性率
歯科用マトリックスを構成する素材の曲げ弾性率は、各実施例において使用した造形用組成物を用いて各実施例と同様の光造形装置によって作製した40mm×4mm×3mmの矩形状の試験片を用いて、株式会社島津製作所製のオートグラフにより、支点間距離30mm、撓み距離3mmの条件で3点曲げ試験を行うことにより求めた。
(3)引張強さおよび引張伸度
歯科用マトリックスを構成する素材の引張強さおよび引張伸度は、各実施例において使用した造形用組成物を用いて各実施例と同様の光造形装置によって作製したシート(厚み2mm)からJIS K6251:2017に記載されたダンベル状8号形試験片と同じ寸法の試験片を打抜き刃を用いて作製し、この試験片を用いて、株式会社島津製作所製のオートグラフにより、上記JIS K6251:2017の規定を準用して試験スピード500mm/分で引張試験を行うことにより求めた。
(4)引裂強さ
歯科用マトリックスを構成する素材の引裂強さは、各実施例において使用した造形用組成物を用いて各実施例と同様の光造形装置によって作製したシート(厚み2mm)からJIS K6252−1:2015に記載されたトラウザ形試験片と同じ寸法の試験片を打抜き刃を用いて作製し、この試験片を用いて、株式会社島津製作所製のオートグラフにより、上記JIS K6252−1:2015の規定を準用して試験スピード500mm/分で引張試験を行うことにより求めた。
以下の実施例において使用された各成分の内容を以下に示す。
[重合性単量体]
・化合物(II−1)
2−ヒドロキシエチルアクリレートのプロピレンオキシド付加物とイソホロンジイソシアネートとを反応させて得られる、上記式(II)においてR2=水素原子、R3=メチル基、A2=イソホロン基(イソホロンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基)、e=1、f=9、および、g=2である化合物。
・DEAA
N,N−ジエチルアクリルアミド
[光重合開始剤]
・TPO
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
[安定剤]
・BHT
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
[実施例1]
(1) 非接触式の口腔内スキャナー(「TRIOS3 オーラルスキャナ」、3Shape社製)を用いて、被験者の上顎全体、下顎全体および閉口状態での唇側歯系組織の各3Dデジタルデータを取得した。また被験者に対して、フェイスボウを用いて、顎運動時に採り得る、側方顆路角、矢状顆路角およびイミディエイトサイドシフトの各範囲のデータを取得した。これらのデータをCADソフトウェア(EXOCAD社製)に取り込んだ。次に、上記CADソフトウェア上で上顎歯列弓と下顎歯列弓とが安定する咬合位置を特定し、その位置に合致するように歯科用マトリックスの設計を行った。具体的な設計は以下のようにした。なお、得られたデジタルデータは、CADソフトウェア上で仮想上のデジタル咬合器と結合した。得られたデジタルデータはSTL形式に変換して出力した。
(設計)
上顎歯列弓については、両犬歯遠心側部分の間の範囲における唇側歯系組織の歯茎根元方向の位置として、両犬歯歯頸線から歯茎根元方向へ1mmの両地点を結んだ線とした。ただし上唇小帯の部分についてはその部分を回避するようにした。また、両犬歯よりも遠心側の唇側歯系組織の歯茎根元方向の位置としては、臼歯部歯頸線から歯茎根元方向へ1mmの位置とした。唇側歯系組織に対応する部分(唇側歯面に対応する部分を含む)の厚みは1mmとした。
また、舌側歯系組織の歯茎根元方向の位置として、歯頸線から歯茎根元方向へ0.5mmの位置を設定した。舌側歯系組織に対応する部分(舌側歯面に対応する部分を含む)の厚みは1mmとした。
さらに、咬合面および切端面に対応する部分の厚み(上顎歯列弓と下顎歯列弓との間隔)は1.5mmとした。
一方、下顎歯列弓については、両犬歯遠心側部分の間の範囲における唇側歯系組織の歯茎根元方向の位置として、両犬歯歯頸線から歯茎根元方向へ0.5mmの両地点を結んだ線とした。また、両犬歯よりも遠心側の唇側歯系組織の歯茎根元方向の位置としては、臼歯部歯頸線から歯茎根元方向へ0.3mmの位置とし、上記した両犬歯歯頸線から歯茎根元方向へ0.5mmの両地点とは可及的に移行するようにした。唇側歯系組織に対応する部分(唇側歯面に対応する部分を含む)の厚みは1mmとした。
また、舌側歯系組織の歯茎根元方向の位置として、歯頸線から歯茎根元方向へ0.3mmの位置を設定した。舌側歯系組織に対応する部分(舌側歯面に対応する部分を含む)の厚みは1mmとした。
(2) 次に出力されたデジタルデータを用いて、光造形装置(「DigitalWax」 028J+、DWS社製)によって、対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が当該対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲内(矢状顆路角33°、側方顆路角5°、および、イミディエイトサイドシフト3mm)となる歯科用マトリックスを光学的立体造形法で製造した。この際に使用した造形用組成物としては、化合物(II−1)を70質量部、DEAAを30質量部、TPOを2質量部、および、BHTを0.05質量部の割合で混合したものを用いた。得られた歯科用マトリックスを構成する素材の各物性を表1に示した。
Figure 2019107247
(3) (2)で製造した歯科用マトリックスをモデル的に使用するため、まず(1)で出力されたデジタルデータを使用して被験者の口腔内を表す歯科用模型を製造した。すなわち、出力されたデジタルデータを用いて、光造形用樹脂(「RD−ECO」、DWS社製)を使用して光造形装置(「DigitalWax」 028J+、DWS社製)によって上顎歯列弓および下顎歯列弓を含む歯科用模型を光学的立体造形法で製造した。
(4) 次に、(2)で製造した歯科用マトリックスが(3)で製造した歯科用模型に適合することを確認した後、これを取り外し、歯科用模型の右側上顎前歯切端部をハンドピースを用いて0.5mm切削した。
一方、取り外した歯科用マトリックスの右側上顎前歯部(凹部)内にワセリンを塗布し、さらに光硬化性のコンポジットレジン(「クリアフィル マジェスティ」 ESフロー、クラレノリタケデンタル株式会社製)を充填した後、これを歯科用模型に戻し、歯科用マトリックスの上から光照射器(「ペンキュア」、モリタ社製)で光照射することによってコンポジットレジンを硬化させた。その後、歯科用マトリックスを撓ませ、変形させて歯科用模型から取り外し、歯科用模型上で切削前と同等の最終外形の歯冠形状が復元されたことを目視にて確認した。

Claims (15)

  1. 歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる際に使用される歯科用マトリックスの製造方法であって、削合前および/または削合後の歯系組織の少なくとも一部分を表すデジタルデータを取得する工程(1)、および、前記デジタルデータを使用して前記少なくとも一部分の外形に対応した形状を有する歯科用マトリックスを形成する工程(2)を含む、製造方法。
  2. 前記歯科用マトリックスを構成する素材の1mmあたりの全光線透過率が4〜95%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記歯科用マトリックスを構成する素材の曲げ弾性率が5〜300N/mm2である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記歯科用マトリックスを構成する素材の引張強さが5〜40MPaである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記歯科用マトリックスを構成する素材の引裂強さが5〜50kN/mである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記歯科用マトリックスが唇側歯面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.3〜10mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記歯科用マトリックスが舌側歯面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.1〜10mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記歯科用マトリックスが咬合面および/または切端面に対応する部分を含み、当該部分の厚みが0.1〜10mmである、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記少なくとも一部分が対合する歯牙を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記対合する歯牙の外形にそれぞれ対応した各部分の相対位置が、当該対合する歯牙が採り得る相対位置の範囲内にある、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記対合する歯牙が採り得る相対位置が、矢状顆路角5〜60°、側方顆路角1〜20°、および、イミディエイトサイドシフト0.1〜4mmの各範囲内の顎運動で採り得る相対位置である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記少なくとも一部分が削合された歯牙を含み、前記デジタルデータにおいて、削合部のデジタルデータを加工する工程を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 工程(2)が積層造形法により行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法により得られる歯科用マトリックス。
  15. 請求項14に記載の歯科用マトリックスを歯系組織の削合部に充填された硬化性組成物に当接させた状態で、当該硬化性組成物を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
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