JP2019101324A - トナー - Google Patents

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Koji Abe
浩次 阿部
政志 河村
Masashi Kawamura
政志 河村
雄平 照井
Yuhei Terui
雄平 照井
佐藤 正道
Masamichi Sato
正道 佐藤
松永 智教
Tomonori Matsunaga
智教 松永
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Abstract

【課題】 さまざまな環境で飛び散りとベタ追従性の両立ができ、高精細な画像を高安定に出力できるトナーを提供することにある。また、現像性、転写性、環境安定性及び耐久性に優れたトナーを提供することにある。【解決手段】 本発明は、コア部と該コア部を覆う表層とを有するトナー粒子を有するトナーであって、該表層に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が含まれていることを特徴とするトナーに関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真及び静電印刷のような画像形成方法において、静電荷像(静電潜像)を現像するために用いられるトナーに関する。
近年、コンピューター及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。
また、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下が抑えられた高耐久性、高速化、高精細な画像、省エネルギー、軽量化及び小型化が求められている。上記要求に対応するために、環境安定性、部材汚染、低温定着性、耐久性及び保存安定性といったトナーの性能のさらなる向上が必要となる。
商品の広告などにおいては、濃度が濃い画像が求められている。しかし、濃度が濃い画像を連続で出力すると濃度が薄くなっていく問題が発生する(以下、ベタ追従性という)。そのため、トナーの流動性を良好にし、トナーの供給を良好にすることでベタ追従性を改善してきた。しかし、トナーの流動性を良好にするために外添剤の大量添加や小粒径化をすると、外添剤の埋め込みによりトナーの耐久性が悪くなる問題が発生していた。
さらに、流動性が良好になると各々の色のカラートナーが静電荷像に忠実に現像されず、静電荷像の周りにもトナーが現像する(以下、飛び散りという)問題が発生する。
また、要望されている高速化を達成するためには、低温定着性にふさわしい結着樹脂が選択されるが、この結着樹脂がカラートナーの現像性及び耐久性に与える影響も大きい。
このような要望に対応するためには、温度及び湿度の使用環境の違いによって生じるトナーの帯電量の変化やトナーの表面性の変化といった課題を解決する必要がある。また、現像ローラー、帯電ローラー、規制ブレード及び感光ドラムのような部材への汚染といった課題を解決する必要がある。よって、様々な環境で安定した帯電性や部材汚染が生じない安定した耐久性と高精細な画質を有するトナーの開発が求められている。
このような課題を解決する手段の1つとしてトナー粒子の表面を樹脂で覆う方法がある。
特許文献1には、フッ素含有化合物を用いて処理してなるトナーが開示されている。しかし、フッ素含有化合物はフッ化系アンモニウム塩であるため、水分を吸着しやすい。また、フッ化系アンモニウム塩はトナーからの脱離やトナー表面への埋め込みが発生しやすいため、耐久性のさらなる改善が必要となっている。
特許文献2には、結着樹脂とフィラーを含有するトナー母体粒子において、前記フィラーがフッ素樹脂であることを特徴とするトナーが開示されている。しかし、前記フィラーとして、溶剤に溶解しない無機あるいは有機の粒子状物質を用いているため、トナーからの脱離や埋め込みが発生するため、耐久性のさらなる改善が必要となっている。
引用文献3には、フッ素を含有する有機ケイ素重合体で表面処理されていることを特徴とする層状無機鉱物が開示されている。しかし、前記層状無機鉱物は、厚さ数nmの層が重ね合わさってできている無機鉱物であるため、衝撃等によって割れやすい。このような層状無機鉱物をトナーに用いた場合には、耐久によって変化を生じ、トナー表面への埋没や部品への汚染が発生する。そのため、耐久性のさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献4では、温度、湿度の環境に左右されず良質な画像形成を行うことができるトナーとして、表面部に連続した薄膜の形で施されたケイ素化合物を含む重合トナーが開示されている。
しかしながら、シラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、架橋度が弱く、耐久劣化による部材汚染に対してはさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献5及び6では、環境安定性を改善するトナーとして、多面体オリゴシルセスキオキサン化合物を含むトナーが開示されている。
しかしながら、多面体オリゴシルセスキオキサン化合物及びその誘導体は結晶化し易く、均一な膜化を行いにくい。多面体オリゴシルセスシロキサン化合物及びその誘導体は、数ナノメートルの粒子であり、粒状塊または集合体になりやすい。そのため、多面体オリゴシルセスキオキサンの隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードの発生、ケイ素の表面析出量が不十分であることによって発生する画像濃度変化、トナー融着による部材汚染の発生や保存安定性に対してさらなる改善が必要となっている。
特開2006−23394号公報 特開2006−47743号公報 特開2016−118739号公報 特開平09−179341号公報 特開2010−145994公報 特開2010−145995公報
従来、ベタ画像の連続印刷(ベタ追従性)において、トナーの供給不足による画像の濃度低下を防止するために、高い流動性を有するトナーを用いていた。しかしながら、高い流動性を有するトナーを用いた場合には、飛び散りや耐久劣化が問題になっていた。
本発明の目的は、さまざまな環境で飛び散りとベタ追従性の両立ができ、高精細な画像を高安定に出力できるトナーを提供することにある。また、現像性、転写性、環境安定性及び耐久性に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、コア部と該コア部を覆う表層とを有するトナー粒子を有するトナーであって、
該表層に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が含まれていることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、現像性、転写性、環境安定性及び耐久性に優れたトナーを提供することができる。
TEM観察で得られたトナー粒子断面の説明図である。 本発明のトナー粒子の29Si−NMRの測定チャートである。 本発明のトナーのDSC測定で得られたリバーシングヒートフロー曲線を示す図である。 本発明で使用する画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 飛び散り評価に用いる潜像画像の説明図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、これら説明に限定されるわけではない。
本発明のトナーは、コア部と該コア部を覆う表層とを有するトナー粒子を有し、表層部に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が含まれていることを特徴とする。
本発明においては、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を表層に有するトナー粒子であることによって高い流動性ではなくても、飛び散りとベタ追従性が良化する。フッ素を有するシランを含有することで、トナー同士の凝集性が高くなり飛び散り性が良化する。フッ素を含有する有機ケイ素化合物の分極が大きいためと考えられる。また、トナー同士の凝集は、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の分子内分極のためほぐれやすく、流動性を有していなくても、ベタ追従性は良化すると考えられる。
[フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体]
トナー粒子の表層の平均厚みDav.は、1.0nm以上300.0nm以下であることが好ましい。より好ましくは、5.0nm以上125.0nm以下であり、特に好ましくは、7.5nm以上100.0nm以下である。トナー粒子の表層の平均厚みが上記の範囲内であれば、定着性への影響を抑えつつ、飛び散りやベタ追従性を良化することができる。また、トナー粒子の離型剤や樹脂のブリードを防ぐことができ、良好な環境安定性、保存性や耐久性が得られる。
トナー粒子の表面のESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた測定において、トナー粒子表面の炭素濃度dC、酸素濃度dO、ケイ素濃度dSi、フッ素濃度dFの合計濃度(dC+dO+dSi+dF)に対するフッ素濃度dFが1.00atomic%以上55.00atomic%以下であることが好ましい。上記ESCAは、トナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に数nmの厚さで存在する表層の元素分析を行うものである。フッ素濃度dFの割合が上記範囲である場合、環境安定性と帯電性のバランスが特に良好になる。
トナー粒子の表面のESCAを用いた測定において、トナー粒子表面のフッ素濃度dFとケイ素濃度dSiの比(dF/dSi)が0.10≦dF/dSi≦15.00であることが好ましい。
比(dF/dSi)が上記範囲内である場合、飛び散りとベタ追従性をより良好に改善できる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、シロキサン結合を有することが好ましい。フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、シロキサン結合を有することが好ましい。フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、シロキサン結合を有することで、環境安定性が良化する傾向がある。フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体がシロキサン結合を有するにより帯電性を保持しやすいためと考えられる。
トナー粒子の蛍光X線によるSiOの量が1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましいる。トナー粒子のSiO量が上記の範囲内である場合、特に良好な転写性が得られる。シロキサン成分は樹脂成分よりもネガ性が高いためと考えられる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物は、トリフルオロプロピルトリアルコキシシランが好ましい。トリフルオロプロピルトリアルコキシシランであれば、飛び散りとベタ追従性をより良好に改善できる。
トナーにおいて、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率(%)は、75.0%以上であることが好ましい。この場合、表面状態の変化が生じにくくなり、より良好な耐久安定性が得られる。尚、ここで規定される固着率は、後述する方法で水中でトナーを撹拌した際に、トナー表面に残存するフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の割合である。より好ましくは85.0%以上、さらに好ましくは90.0%以上である。
トナー粒子の表面のESCAを用いた測定において、トナー粒子表面の炭素濃度dC、酸素濃度dO、ケイ素濃度dSi、フッ素濃度dFの合計濃度(dC+dO+dSi+dF)に対するケイ素濃度dSiが1.00atomic%以上32.00atomic%以下であることが好ましい。ケイ素濃度dSiが上記の範囲内である場合、トナー表層の表面エネルギーが小さくなるため、流動性が良化してカブリが良化する。より好ましくは、10.00atomic%以上であり、さらに好ましくは15.00atomic%以上20.00atomic%以上である。上限は、30.0atomic%以下であることがより好ましい。
トナー粒子を試料とするテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、前記トナー粒子のTHF不溶分のケイ素重合体の全ピーク面積[SA]に対する、下記式(X3)
Figure 2019101324
(式中、Rは、炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基を表す。)
で表される部分構造のピーク面積の割合[SX3]が、[SX3]≧0.20の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たす場合、トナー粒子の表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び部材汚染の抑制に関してより優れた効果が得られる。また、X3構造によって耐久性が高まるため、トナー粒子内部に存在する、低分子量(Mw500以下)樹脂、及び低ガラス転移温度(Tg35℃以下)樹脂、離型剤のブリードが抑えられる。その結果、トナーの撹拌性が良化し、ベタ追従性及び耐久性に優れたトナーを得ることができる。
上記したトナー粒子の表層の平均厚み、フッ素濃度dF、ケイ素濃度dS、フッ素濃度dFとケイ素濃度dSiの比、シロキサン結合の存在、トナー粒子中のSiO量、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率(%)、[SX3]は、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の表層の形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の表層を形成する時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、環境安定性の観点からフルオロアルキル基を有することが好ましい。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる方法が挙げられる。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、R:炭化水素基、n:1〜4)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法である。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在するフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。
このフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層をトナー粒子に均一、もしくはそれに近い状態で設けることによって、従来のトナーのように、無機微粒子の固着や付着を行わなくても、環境安定性、保存安定性、耐久性に優れたトナーを得ることができる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、フルオロアルキル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基を有する有機ケイ素化合物が好ましい。
フルオロアルキル基としては、例えば下記式(1)で示される基が挙げられる。
F−(CF−(CH− 式(1)
(式(1)中、lは1以上15以下(好ましくは、3以上15以下)の整数である。mは0以上20以下の整数である。)
フルオロポリエーテル基として、例えばCF−と−(CH−との間に、下記の2価の基がランダムに結合した基が挙げられる。hは1以上15以下の整数を表す。
−(CF−O− (iは1〜3の整数)
−CFCF−CF−O−
フルオロエーテル基においては、エーテル性の酸素の数が1〜20個であることが好ましい。
有機ケイ素化合物において、フッ素を含む官能基以外の部分は、以下の構造を有することが好ましい。
*−Si(A)3−n(B)
(A、Bは、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基のいずれかであり、AとBは異なる官能基である。nは0以上3以下の整数である。*は、フッ素を含む官能基との結合部である。)
また、フルオロポリエーテル基部分の重量平均分子量は250〜15000が好ましく、500〜10000がより好ましく、750〜7500がさらに好ましい。平均分子量が250以上であることにより、飛び散りとベタ追従性が良化する。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の具体的な化合物の例を以下に挙げる。
パーフルオロオクチルトリクロロシラン、パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリクロロシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシランの如きパーフルオロアルキルアルコキシシラン;
パーフルオロアルキルトリクロロシラン;トリフルオロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシランの如きトリフルオロアルキルトリクロロシラン;
トリフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの如きトリフルオロアルキルアルコキシシランが挙げられる。
その他、以下の化合物も例示される。
6,6,6−TRIFLUOROHEXYLTRICHLOROSILANE、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−NONAFLUOROHEXYLTRICHLOROSILANE、
DIMETHOXYMETHYL−3,3,3−TRIFLUOROPROPYLSILANE、
3,3,3,−TRIFLUOROPROPYLTRIMETHOXYSILANE、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−NONAFLUOROHEXYLDICHLOROSILANE、
BIS(NONAFLUOROHEXYL)DICHLOROSILANE、
[BIS(NONAFLUOROHEXYLDIMETHYLSILOXY)METHYL]SILYLETHYLDIMETHYLCHLOROSILANE、
BIS(NONAFLUOROHEXYLDIMETHYLSILOXY)METHYLSILANE、
BIS(NONAFLUOROHEXYL)TETRAMETHYLDISILOXANE、
BIS(PENTAFLUOROPHENYL)DIMETHOXYSILANE、
1,6−BIS(TRICHLOROSILYLETHYL)DODECAFLUOROHEXANE、
1,8−BIS(TRICHLOROSILYLETHYL)HEXADECAFLUOROOCTANE、
BIS((TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)DIMETHYLSILOXY)METHYLCHLOROSILANE、
BIS((TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)DIMETHYLSILOXY)METHYLSILANE、
3,5−BIS(TRIFLUOROMETHYL)PHENYLDIMETHYLSILANE、
1,3−BIS(TRIFLUOROPROPYL)−1,1,3,3−TETRAMETHYLDISILAZANE、
1,3−BIS(TRIFLUOROPROPYL)TETRAMETHYLDISILOXANE、
4−BROMO−3,3,4,4−TETRAFLUOROBUTYLTRICHLOROSILANE、
4−BROMO−3,3,4,4−TETRAFLUOROBUTYLTRIMETHOXYSILANE、
DODECAFLUORODEC−9−ENE−1−YLTRICHLOROSILANE、
DODECAFLUORODEC−9−ENE−1−YLTRIMETHOXYSILANE、
HENEICOSAFLUORODODECYLTRICHLOROSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)DIMETHYLCHLOROSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)DIMETHYL(DIMETHYLAMINO)SILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)METHYLDICHLOROSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)TRICHLOROSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)TRIETHOXYSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)TRIMETHOXYSILANE、
(HEPTADECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDRODECYL)TRIS(DIMETHYLAMINO)SILANE、
(3−HEPTAFLUOROISOPROPOXY)PROPYLMETHYLDICHLOROSILANE、
(3−HEPTAFLUOROISOPROPOXY)PROPYLTRICHLOROSILANE、
3−(HEPTAFLUOROISOPROPOXY)PROPYLTRIMETHOXYSILANE、
HEXADECAFLUORODODEC−11−EN−1−YLTRICHLOROSILANE、
HEXADECAFLUORODODEC−11−EN−1−YLTRIMETHOXYSILANE、
NONAFLUOROHEXYLDIMETHYLCHLOROSILANE、
NONAFLUOROHEXYLDIMETHYL(DIMETHYLAMINO)SILANE、
NONAFLUOROHEXYLMETHYLDICHLOROSILANE、
NONAFLUOROHEXYLTRICHLOROSILANE、
NONAFLUOROHEXYLTRIETHOXYSILANE、
NONAFLUOROHEXYLTRIMETHOXYSILANE、
NONAFLUOROHEXYLTRIS(DIMETHYLAMINO)SILANE、
PENTAFLUOROPHENOXYUNDECYLTRIMETHOXYSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLDIMETHYLCHLOROSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLPROPYLDIMETHYLCHLOROSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLPROPYLMETHYLDICHLOROSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLPROPYLTRICHLOROSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLPROPYLTRIMETHOXYSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLTRIETHOXYSILANE、
PENTAFLUOROPHENYLTRIMETHOXYSILANE、
PERFLUORODODECYL−1H,1H,2H,2H−TRIETHOXYSILANE−PERFLUOROTETRADECYL−1H,1H,2H,2H−TRIETHOXYSILANE、
(4−PERFLUOROOCTYLPHENYL)TRIETHOXYSILANE、
[PERFLUORO(POLYPROPYLENEOXY)]METHOXYPROPYLTRIMETHOXYSILANE、
(TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)METHYLDICHLOROSILANE、
(TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)SILANE、
(TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)TRICHLOROSILANE、
(TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)TRIETHOXYSILANE、
(TRIDECAFLUORO−1,1,2,2−TETRAHYDROOCTYL)TRIMETHOXYSILANE、
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−TRIDECAFLUORO−2−(TRIDECAFLUOROHEXYL)DECYLTRICHLOROSILANE、
m−(TRIFLUOROMETHYL)PHENYLTRIMETHOXYSILANE、
p−TRIFLUOROMETHYLTETRAFLUOROPHENYLTRIETHOXYSILANE、
(3,3,3−TRIFLUOROPROPYL)DIMETHYLCHLOROSILANE、
(3,3,3−TRIFLUOROPROPYL)METHYLDICHLOROSILANE、
(3,3,3−TRIFLUOROPROPYL)METHYLDIMETHOXYSILANE、
(3,3,3−TRIFLUOROPROPYL)TRICHLOROSILANE、
(3,3,3−TRIFLUOROPROPYL)TRIMETHOXYSILANE、
TRIFLUOROPROPYLTRIS(DIMETHYLSILOXY)SILANE。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体において、フッ素を含有する有機ケイ素化合物に由来するユニットの割合が、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上である。フッ素を含有する有機ケイ素化合物に由来するユニットの割合を50モル%以上とすることによって、さらにトナーの環境安定性を向上させることができる。
また、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の含有量は、トナー粒子中に0.50質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.75質量%以上40.00質量%以下であることがより好ましい。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、フッ素を含有する有機ケイ素化合物以外に、フッ素を含有しない有機ケイ素化合物を用いて重合したものであってもよい。
例えば、フッ素を含有しない有機ケイ素化合物として、下記式(Z)で表される構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2019101324
(式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
の炭化水素基により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。Rとしては、炭素数1以上6以下の炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基として芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みて、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数が1以上3以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく例示できる。また、Rとしてフェニル基も好ましく例示できる。この場合、帯電性及びカブリ防止が良好となる。さらに好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、Rはメチル基である。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
上記式(Z)の構造を有する化合物としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本発明において、効果を損なわない範囲で、フッ素を含有する有機ケイ素化合物とともに、一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を用いて得られた有機ケイ素重合体であってもよい。併用できる有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のビニルシラン。
アリールトリメトキシシラン、アリールトリエトキシシラン、アリールトリクロロシラン、アリールトリアセトキシシラン、アリールトリヒドロキシシラン、のような三官能性のアリールシラン。
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン、テトライソシアネートシラン、テトラアミノシランのような四官能性のシラン。
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、のような二官能性シラン。
クロロジメチルビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルメトキシジメチルシラン、アリルエトキシジメチルシラン、3−(メトキシジメチルシリル)−プロピルアクリレート、3−(エトキシジメチルシリル)−プロピルアクリレート、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、クロロトリエチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、クロロジメチルプロピルシラン、ジメチルメトキシプロピルシラン、ジメチルエトキシプロピルシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、ジメチルイソプロピルメトキシシラン、ジメチルイソプロピルエトキシシラン、クロロジエチルイソプロピルシラン、ジエチルメトキシイソプロピルシラン、ジエチルエトキシイソプロピルシラン、トリイソプロピルシリルクロライド、ブチルクロロジメチルシラン、ブチルジメチルメトキシシラン、ブチルジメチルエトキシシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルメトキシシラン、tert−ブチルジメチルエトキシシラン、クロロ(ジメチル)テキシルシラン、(ジメチル)テキシルメトキシシラン、(ジメチル)テキシルエトキシシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、ジメチル−n−オクチルメトキシシラン、ジメチル−n−オクチルエトキシシラン、クロロ(デシル)ジメチルシラン、(デシル)ジメチルメトキシシラン、(デシル)ジメチルエトキシシラン、ジメチルオクタデシルクロロシラン、ジメチルオクタデシルメトキシシラン、ジメチルオクタデシルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ベンジルクロロジメチルシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、クロロジメチル(3−フェニル−プロピル)シラン、ジメチル(3−フェニル−プロピル)メトキシシラン、ジメチル(3−フェニル−プロピル)エトキシシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、3−(メトキシジメチルシリル)−プロピルアクリレート、3−(エトキシジメチルシリル)−プロピルアクリレート、のような一官能性のシラン。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが1つの反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H1つで反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素を1つ攻撃するため、反応媒体中のHの含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に縮重合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成しやすい。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。シラノール基に置換されるとケイ素の電子密度が疎になり、水酸化物イオンを引き寄せるためである。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れたフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90℃以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子の表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
さらに、本発明の効果を損なわない程度に、上記有機ケイ素化合物とともに、有機チタン化合物や有機アルミ化合物を用いてもよい。
有機チタン化合物としては、以下のものが挙げられる。
チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
有機アルミ化合物としては、以下のものが挙げられる。
アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
本発明において、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層とトナー粒子表層以外の部分(いわゆる芯部分)は、隙間なく接していることが好ましい。換言すれば特開2001−75304号報に開示されているような粒状塊の被覆層でないことが好ましい。また、多面体オリゴシルセスシロキサン化合物及びその誘導体は、数ナノメートルの粒状塊または集合体になりやすい。粒状塊や集合体の隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードが発生し易くなる。隙間なく接している場合には、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体はTHFに不溶な成分を含有することが好ましい。THFに不溶な成分であることにより、低分子量(Mw500以下)樹脂、低Tg(35℃以下)樹脂、離型剤のブリードが抑えられる。
フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体に含有されるケイ素のうち、50%以上がTHFに不溶な重合体中に含有されていることが好ましい。この場合、有機ケイ素化合物の重合体が膜状及び半球状に形成しやすいためである。
次に、トナー粒子の製造方法について説明する。
以下、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層で、コア部を被覆した構造(いわゆる、コア−シェル構造)を有するトナー粒子の製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
第一製法としては、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成するための有機ケイ素化合物、及び、結着樹脂を形成するための重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る態様(以下、懸濁重合法とも称する)が挙げられる。
第二製法としては、先にトナー粒子母体を得た後、トナー粒子母体を水系媒体中に投入して、水系媒体中でトナー粒子母体にフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の表層を形成する態様が挙げられる。トナー粒子母体は、公知の方法を用いて製造したものを用いることができ、たとえば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、妖怪懸濁法を用いて製造することができる。
第三製法としては、結着樹脂、及びフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成するための有機ケイ素化合物を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る態様が挙げられる。
第四製法としては、結着樹脂粒子、及びゾル又はゲル状態のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成するための有機ケイ素化合物含有粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する態様が挙げられる。
第五製法としては、トナー粒子母体の表面に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を形成するための有機ケイ素化合物を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー粒子母体表面に噴射し、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体をトナー粒子の表層に形成する態様が挙げられる。トナー粒子母体は、第二製法の場合と同じく、公知の方法で製造したものを用いることができる。
これらの製造方法によって製造されたトナー粒子は、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体がトナー粒子の表面近傍で形成されるため、環境安定性(特に、過酷環境下での帯電性)が良好となる。また、過酷環境下においてもトナー内部(コア部)に存在する樹脂や、必要に応じて添加される離型剤のブリードによるトナー粒子の表面状態の変化が抑制される。
得られたトナー粒子又はトナーを、熱風を用いて表面処理してもよい。熱風を用いてトナー粒子又はトナーの表面処理を行うことによって、トナー粒子の表面近傍のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の縮重合を促進して、環境安定性と現像耐久性を向上させることができる。
熱風を用いた表面処理としては、熱風でトナー粒子又はトナーの表面を処理することができ、かつ、熱風で処理されたトナー粒子又はトナーを冷風で冷却できる方式を採用できる手段であればどのようなものであってもよい。
熱風を用いた表面処理を行う装置としては、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)が挙げられる。
上記製造方法において水系媒体とは、以下のものが挙げられる。
水;メタノール、エタノール、及びプロパノールのようなアルコール類、並びに、これらの混合溶媒である。
トナー粒子の製造方法として、上述した製造方法の中でも、第一製法である懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法ではフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体がトナー粒子の表面に均一に析出しやすく、表層と内部との接着性に優れ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じて着色剤、離型剤、極性樹脂、及び低分子量樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥させてトナー粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
なお、以下に記載される材料は、懸濁重合法にのみ適用されるものではなく、上記他の製法にも適用できるものである。
重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の量で用いることが好ましく、単独でも又は併用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
一方、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及びこれらのアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
また、多官能の架橋剤としては以下のものが挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。架橋剤の添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
上記重合性単量体の重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の水系媒体中での分散安定剤として以下のものを使用することができる。
無機分散安定剤として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
さらに、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
難水溶性無機分散安定剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の添加量は重合性単量体100.0質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤を得るためには、水のような液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散剤を生成させてもよい。具体的には、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
[樹脂成分]
トナー粒子に用いられる結着樹脂は、特段限定されず、従来公知のものを用いることができる。結着樹脂はビニル系樹脂、ポリエステルなどが好ましく例示できる。ビニル系樹脂としては、前述したビニル系重合性単量体の重合により生成する樹脂を用いることができる。ビニル系樹脂は、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体をトナー粒子の表面に析出させる作用に優れ、表面均一性、長期保存安定性に優れているため好ましい。
ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。
その他の結着樹脂として、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂を含有していてもよい。
また、トナーは、結晶性ポリエステルを含有しても良い。結晶性ポリエステルとは融点を有するポリエステルのことである。
結晶性ポリエステルの合成に用いられるアルコール成分としては、以下の炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが挙げられる。以下に示すアルコール成分は2種以上組み合わせて使用してもよい。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール等。
ビスフェノールA又はビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール。
ここで、融点を有するポリエステル樹脂を得るためには、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールがさらに好ましい。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール又は芳香族ジオールの含有量は、アルコール成分中に50モル%以上である。急激な粘度の変化により低温定着性をさらに向上させるためには、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステルの合成に用いられるカルボン酸成分としては、以下の芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。以下に示すカルボン酸成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキルエステル(炭素数1以上3以下)が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及び、イソプロピル基が挙げられる。テレフタル酸又はテレフタル酸のアルキルエステル(炭素数1以上3以下)はトナーの帯電安定性が良化するため好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸が挙げられる。また、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、不飽和脂肪族ジカルボン酸であってもよく、フマル酸、マレイン酸等を例示することができる。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中に50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
なお、脂肪族ジカルボン酸が、不飽和脂肪族ジカルボン酸である場合、不飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、50モル%未満であることが好ましい。より好ましくは0.01モル%以上25.0モル%以下であり、さらに好ましくは0.10モル%以上10.0モル%以下である。不飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量が、カルボン酸成分中に50モル%未満であることで、低温定着性が良化する。
また、カルボン酸成分として、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸又は炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸以外に、3価以上のカルボン酸成分を使用してもよい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物のなかでは、安価で、反応制御が容易なため、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物が好ましい。
また、一価のカルボン酸、一価のアルコールを必要に応じて用いてもよい。具体的には、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸のような一価のカルボン酸;n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコールのような一価のアルコール。これらのカルボン酸成分は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。具体的には、多価カルボン酸と多価アルコールとを、エステル化反応、又は、エステル交換反応させた後、低沸点の多価アルコールを減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得る。エステル化又はエステル交換反応のときには必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムのような通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムのような公知の重合触媒を使用することができる。また、重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
[離型剤]
トナー粒子は、離型剤を含有することが好ましい。前記トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂が挙げられる。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
[着色剤]
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、C.I.206、220、221、254。
青色顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
また、トナーの製造方法によっては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払う必要がある。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料を処理する好ましい方法として、あらかじめ染料の存在下に重合性単量体を重合させ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する方法が挙げられる。一方、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサン等)で処理を行ってもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
[荷電制御剤]
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
また、樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸系官能基を有する重合体が好ましい。スルホン酸系官能基を有する重合体とは、スルホ基(スルホン酸基)、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体である。
スルホ基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、側鎖にスルホ基を有する高分子型化合物等が挙げられる。特にスルホ基含有アクリルアミド系モノマーまたはメタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上用いて合成されたアクリル酸エステル共重合体またはメタクリル酸エステル共重合体が好ましい。より好ましい共重合比は5質量%以上である。また、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上90℃以下のアクリル酸エステル共重合体またはメタクリル酸エステル共重合体である高分子型化合物が好ましい。高湿下での帯電安定性が良化する。
上記のスルホ基含有アクリルアミド系モノマー、スルホ基含有メタクリルアミド系モノマーとしては、下記式(X)で表せるものが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン酸等が挙げられる。
Figure 2019101324
(式(X)中、Rは、水素原子、又は、メチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、アルコキシ基を表し、nは、1以上10以下の整数を表す。)
スルホン酸系官能基を有する重合体は、トナー粒子において、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下含有させることにより、トナー粒子の帯電状態を一層良好なものとすることができる。
これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
[外添剤]
トナーは、各種特性付与を目的として、各種有機微粒子又は無機微粒子でトナー粒子の表面を処理し、トナーとすることができる。前記有機微粒子又は無機微粒子は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機微粒子又は無機微粒子としては、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロムのような金属酸化物、窒化ケイ素のような窒化物、炭化ケイ素のような炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムのような金属塩。
(3)滑剤:フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩。
(4)荷電制御性粒子:酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナのような金属酸化物、カーボンブラック。
有機微粒子又は無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナーの帯電均一化のためにトナー粒子の表面を処理する。有機微粒子又は無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電性の調整、高湿環境下での帯電特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された有機微粒子又は無機微粒子を用いることが好ましい。有機微粒子又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いられてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時にあるいは処理した後あるいは処理する前に、シリコーンオイルより処理したものである。シリコーンオイルで処理された疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
これら有機微粒子又は無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.00質量部に対し、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.02質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03質量部以上1.00質量部以下である。添加量の適正化により、有機微粒子又は無機微粒子のトナー粒子への埋め込みや遊離による部材汚染が良化する。これら有機微粒子又は無機微粒子は、単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
有機微粒子又は無機微粒子のBET比表面積は、10m/g以上450m/g以下であることが好ましい。
有機微粒子又は無機微粒子の比表面積BETは、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m/g)を算出することができる。
有機微粒子又は無機微粒子はトナー粒子の表面に強固に固着や付着させてもよい。トナー粒子の表面に有機微粒子又は無機微粒子を強固に固着又は付着させるための外添混合機としては、三井ヘンシェルミキサ、メカノフュージョン、サイクロミックス、タービュライザ、フレキソミックス、ハイブリタイゼーション、メカノハイブリット、ノビルタが挙げられる。また、回転周速を早めたり、処理時間を長めにしたりすることで有機微粒子又は無機微粒子を強く固着や付着することができる。
[トナー]
以下、トナーの物性について説明する。
トナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。
トナーのガラス転移温度(Tg)は35℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下であり、さらに好ましくは45℃以上70℃以下である。ガラス転移温度が上記範囲であることによって、耐ブロッキング性、耐低温オフッセット性、オーバーヘッドプロジェクター用フィルムの透過画像の透明性をさらに向上させることができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)(以下、トナーの重量平均分子量ともいう)は、5,000以上50,000以下であることが好ましい。トナーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐ブロッキング性及び現像耐久性と、低温定着性及び画像の高グロスを成立させることができる。なお、トナーの重量平均分子量(Mw)は、低分子樹脂の添加量及び重量平均分子量(Mw)やトナー粒子製造時の反応温度、反応時間、重合開始剤量、連鎖移動剤量及び架橋剤量により調整することができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上30.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
トナーのテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、トナーの着色剤及び無機微粒子以外のトナー成分に対して50.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは45.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以上40.0質量%以下である。THF不溶分の含有量を50.0質量%以下とすることによって、低温定着性を向上させることができる。
また、トナーの円形度分布において、平均円形度が0.970以上1.000以下であることが好ましい。また、モード円形度が0.98以上1.00以下であることが好ましい。この場合、トナーの多くが真球に近い形状を有するため、鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナーの感光体への付着力の低下がより一層顕著になり、転写効率が高くなり好ましい。
尚、モード円形度とは、0.40から1.00までの円形度を、0.40以上0.41未満、0.41以上0.42未満、・・・0.99以上1.00未満及び1.00のように0.01ごとに61分割し、測定した各粒子の円形度をそれぞれ各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となる分割範囲の円形度をいう。
<トナー粒子又はトナーの物性の測定方法>
[トナーのTHF不溶分の含有量]
トナーのTHF不溶分の含有量とは、THF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の質量割合を意味する。本発明において、測定対象のトナーのTHF不溶分の含有量とは、以下のように測定された値である。
測定対象のトナー1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分を濃縮した後、40℃で数時間真空乾燥を行い、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の着色剤のような樹脂成分以外の成分の質量を(W3g)とする。THF不溶分の含有量は、下記式から求められる。
THF不溶分の含有量(質量%)
={(W1−(W3+W2))/(W1−W3)}×100
[フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の部分構造の確認方法、フッ化アルキル基の有無の確認方法、フッ素を含有するケイ素化合物の重合体におけるシロキサン結合の有無の確認方法]
トナー粒子またはトナーに含有されるフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体における構造の確認には以下の方法を用いる。
フッ化アルキル基の構造は、13C−NMRにより確認した。また、詳細な構造はH−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、IR、蛍光X線により確認した。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
13C−NMR(固体)の測定条件)
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナーまたはトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れた。
測定角周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
29Si−NMR(固体)の測定方法)
(測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
プローブ:3.2mmφ
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー及びトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定角周波数:97.38MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
測定法:DD/MAS
29Si 90°
フリップ角 45°
遅延時間 180sec
パルスシーケンス Single pulse dec solid
積算回数:20480回
[X1構造、X2構造、X3構造、X4構造の確認及び定量方法]
X1、X2、X3及びX4の部分構造は、H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認できる。
トナーの29Si−NMR測定後に下記の構造にピーク分離して、各ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。下記式の構造は点線枠内の構造である。下記一般式(X4)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が4.0であるX4構造、下記一般式(X3)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が3.0であるX3構造、下記式(X2)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が2.0であるX2構造、下記式(X1)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が1.0であるX1構造。
Figure 2019101324
Figure 2019101324
(式(X3)中のRは炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 2019101324
(式(X2)中のR、Rは炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 2019101324
(式(X1)中のR、R、Rは炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基を表す。)
カーブフィティングはJEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II用ソフトのJOEL Delta version5.0.4(商品名)を用いる。それぞれのピークをピークアップした。波形分離はガウス型を用いてピーク分離した。
X1構造の面積、X2構造の面積、X3構造の面積、X4構造の面積を求めて以下の式により[SX1]、[SX2]、[SX3]、[SX4]を求める。
本発明では化学シフト値でシランモノマーを特定して、トナーの29Si−NMRの測定において全ピーク面積からモノマー成分を取り除いたX1構造の面積とX2構造の面積とX3構造の面積とX4構造の面積の合計をトナーのフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の全ピーク面積SXとした。
[SX1]+[SX2]+[SX3]+[SX4]=1.00
[SX1]={X1構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
[SX2]={X2構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
[SX3]={X3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
[SX4]={X4構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
X1構造、X2構造、X3構造及びX4構造におけるケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X1構造の一例(R=R=−OC、R=−CH):−47ppm
X2構造の一例(Rw=−OC、Rh=−CH):−56ppm
X2構造の一例(Rw=−OH、Rf=−(CH(CFCF):−54ppm
また、X4構造がある場合のケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X4構造:−108ppm
多核NMRの結果から、フルオロアルキル基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、フルオロアルキル基の構造は“あり”とした。また、フッ素を含有するケイ素化合物の重合体がシロキサン結合を有していると確認できたら、シロキサン構造は“あり”とした。
[蛍光X線測定(波長分散型蛍光X線分析装置)によるSiO量(質量%)の測定法]
蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー約4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)を測定する。
粒子中のSiO量(質量%)は、以下のようにして求めた。
ポリスチレン樹脂粒子(Mw20000、Tg=80℃)100質量部に対して、シリカ(SiO)微粉末を0.10質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を0.20質量部、0.50質量部となるようにポリスチレン樹脂粒子(Mw20000、Tg=80℃)とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを錠剤成型圧縮機で上記のようにしてペレット作製する。次にSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線から分析対象のトナー中のSiO含有量(質量%)を求める。
また、本発明において、ケイ素の計数率をケイ素強度という場合もある。
[透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の表層の平均厚みDav.の測定]
トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる樹脂と有機ケイ素化合物の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。トナー粒子中の各種元素の存在状態は、透過型電子顕微鏡を用いて各種元素のマッピングによって確認できる。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとした。
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次にEELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層にフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が存在することを確認する。
次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図1参照)。次に、前記中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)、分割軸の長さをRAn、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みをFRAnとする。
そして、前記分割軸上の32箇所のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.を求める。
また、平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
[透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]
TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)を下記式に従って求める。
(TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem))=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
[トナー粒子のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層の平均厚みDav.]
トナー粒子のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層の平均厚みDav.は以下の方法で求めた。
まず、1つのトナー粒子のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求めた。
(n)=(軸上のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層の厚みの32箇所の合計)/32
この計算をトナー粒子10個に対して行った。得られたトナー粒子の表層の厚みD(n)(nは1から10の整数)から、トナー粒子1つあたりの平均値を下記式に従って計算し、トナー粒子のフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層の平均厚みDav.を求めた。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
[トナー粒子の表層に存在するフッ素元素の濃度(原子%)とケイ素元素の濃度(原子%)]
トナー粒子の表層に存在するフッ素原子の濃度[dF](原子%)、ケイ素原子の濃度[dSi](原子%)、炭素原子の濃度[dO](原子%)、及び、酸素原子の濃度[dO](原子%)は、X線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた表面組成分析を行い算出した。本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 5回
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、ULVAC−PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表層に存在する、フッ素原子の濃度[dF](原子%)、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、及び、酸素原子の濃度[dO](いずれも、原子%(atomic%と同じ。))を算出した。
[トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)の測定]
トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件により測定する。
(測定条件)
・カラム(昭和電工(株)製):Shodex GPC KF−801、KF−802、KF−803、KF−804、KF−805、KF−806、KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・温度:40℃
・流速:0.6mL/分
・検出器:RI
・試料濃度及び量:0.1質量%の試料を10μL
(試料調製)
測定対象(トナー(粒子)、各種樹脂)
0.04gをテトラヒドロフラン20mLに分散、溶解後、24時間静置し、0.2μmフィルター(商品名:マイショリディスクH−25−2、東ソー(株)製)で濾過し、その濾液を試料として用いる。
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いる、このとき、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。
GPCの分子量分布の作成において、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立ち上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
[トナー(粒子)、各種樹脂のガラス転移温度(Tg)及び熱量積分値の測定]
トナー(粒子)及び各種樹脂のガラス転移温度(Tg)及び熱量積分値は、示差走査熱量計(DSC)M−DSC(商品名:Q2000、TA−インストルメンツ社製)を用いて、下記手順にて測定する。測定する試料(トナー(粒子)、各種樹脂)3mgを精秤する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃以上200℃以下の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行う。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/分で測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移温度(Tg:℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピーク面積で表されるトナー(粒子)1g当たりの熱量積分値(J/g)を測定する。トナーのDSC測定によって得られたリバーシングフロー曲線の一例を図3に示す。
熱量積分値(J/g)は、上記の測定から得られたリバーシングフロー曲線を用いて求める。計算には解析ソフト Universal Analysis 2000 forWindows(商品名) 2000/XP Version4.3A(TAインスツルメンツ社製)を用い、Integral Peak Linearの機能を用いて、35℃と135℃での測定点を結ぶ直線と吸熱曲線とで囲まれた領域から熱量積分値(J/g)を求める。
[フッ素元素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率の測定方法]
フッ素元素の固着率は、トナーを水洗する前後でのフッ素元素の残存率として求めた。
(水洗方法)
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。乾燥品をスパチュラで解砕して処理後試料を得る。
(蛍光X線測定(波長分散型蛍光X線分析装置)によるフッ素元素の測定)
蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中に測定対象となる試料(トナーまたは上記の処理後試料)約4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)を測定する。
トナーを測定試料とした際のフッ素元素の計数率をKFとし、処理後試料を測定試料とした際のフッ素元素の計数率をKAFとしたとき、フッ素元素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率(%)fFは以下の式で表される。この式より、本発明におけるフッ素元素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率を算出することができる。
フッ素元素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率fF(%)=(KAF/KF)×100
[トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定]
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤としてコンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
[トナー(粒子)の平均円形度の測定方法]
トナー(粒子)の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150ワットの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS−150、(株)ヴェルヴォクリーア製)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー(粒子)を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上19.92μm以下に限定し、トナー(粒子)の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の5100A(商品名)をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、以下の配合における部数は、特に説明がない限り、質量部を示す。
[荷電制御樹脂(1)の製造例]
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール100質量部、単量体としてスチレン90質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.5質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸6.0質量部を添加して撹拌しながら常圧の還流下で加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに常圧の還流下で5時間撹拌して重合を終了した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粒子を250メッシュの篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に前記粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え再溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。こうして得られた荷電制御樹脂はTgが約81℃であり、メインピーク分子量(Mp)が18,500、数平均分子量(Mn)が10,300、重量平均分子量(Mw)が20,100であり、酸価は19.6mgKOH/gであった。得られた樹脂を荷電制御樹脂(1)とする。
[ポリエステル(1)の製造例]
・テレフタル酸:12.0mol部
・ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物:11.0mol部
・ジブチルチンオキサイド:0.08mol部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着した。窒素雰囲気下で、減圧しながら、常法に従って195℃でTgが63℃になるまで反応を行い、ポリエステル(1)を得た。得られたポリエスエル(1)は、重量平均分子量(Mw)6,100、数平均分子量(Mn)2,680、酸価11.6mgKOH/g、水酸基価16.7mgKOH/g、Tg57.7℃であった。
[ポリエステル(2)の製造例]
(イソシアネート基含有プレポリマーの合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:11.7モル部
・フタル酸:10.0モル部
・ジブチルチンオキサイド:0.065モル部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着した。窒素雰囲気下で、215℃にて攪拌して8時間反応し、さらに減圧下で5時間反応させた後、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート4.8モル部と2時間反応し、イソシアネート基含有ポリエステルを得た。イソシアネート基含有ポリエステルを25質量部とイソホロンジアミン1質量部を50℃で2時間反応させ、ウレア基を含有するポリエステルを主成分とするポリエステル(2)を得た。得られたポリエステル(2)は、重量平均分子量(Mw)26500、数平均分子量(Mn)3300、ピーク分子量7700、酸価9.9mgKOH/g、水酸基価15.6mgKOH/g、Tg61.4℃であった。
[ポリエステル(3)の製造例]
・1,6−ヘキサンジオール:400.0質量部
・1,4−ブタンジカルボン酸:480.0質量部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着した。窒素雰囲気下で、190℃で5時間反応を行い、200℃で5時間反応を行い、155℃、9kpaで反応を2時間行い、ポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)は、重量平均分子量(Mw)14500、数平均分子量(Mn)3000,酸価0.5mgKOH/g,水酸基価18.7mgKOH/g、融点57.3℃であった。尚、ポリエステル(3)は結晶性ポリエステルである。
[トナー粒子(1)の製造例]
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液25.0質量部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)を用いて14,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl水溶液90質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 69.0質量部
・n−ブチルアクリレート 31.0質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 0.1質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 7.5質量部
・ポリエステル(1) 5.0質量部
・ポリエステル(3) 5.0質量部
・荷電制御樹脂(1) 0.5質量部
・離型剤(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃) 10.0質量部
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)で3時間分散させて得られた重合性単量体組成物(1)を60℃で20分保持した。その後、重合性単量体組成物(1)に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート17.0質量部(トルエン溶液50%)を添加した重合性単量体組成物(1)を水系媒体中に投入し、高速撹拌装置の回転数を14,000rpmに維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を65℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら4時間反応させた。このとき水系媒体のpHは5.1であった。容器内を温度80℃に昇温して1時間維持した。
次に、イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って、重合体スラリー(1)を得た。蒸留留分は300質量部であった。
60℃に冷却後、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10.0質量部を加えて、次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を15.0質量部加えてpH10.0にした。次いで、60℃で5時間反応を行った。
30℃に冷却後、重合体スラリー(1)を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.2μmのトナー粒子(1)が得られた。
トナー粒子(1)の処方及び条件を表1に示した。トナー粒子(1)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在することを確認した。表層が、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。以下の実施例及び比較例においても、同様にフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体を含有する表層はフッ素とケイ素のマッピングでも確認を行った。
[トナー粒子(2)〜(11)、(16)、(17)の製造例]
トナー粒子(1)の製造例で用いたシランを表1、表2に記載したように変更した以外はトナー粒子(1)の製造例と同様にしてトナー粒子(2)〜(11)、(16)、(17)を得た。ただし、トナー粒子(5)、(16)の製造においては、モノマー処方も表1、表2に記載したように変更した。トナー粒子(2)〜(11)、(16)、(17)の処方及び条件を表1、表2に示した。トナー粒子(2)〜(11)、(16)、(17)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[トナー粒子(12)の製造例]
(トナー母体(12)の製造)
・ポリエステル(1) 60.0質量部
・ポリエステル(2) 40.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 7.5質量部
・荷電制御樹脂(1) 0.5質量部
・離型剤(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃) 10.0質量部
上記材料を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合した後、二軸混練押出機によって140℃で溶融混練を行い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕して、さらに風力分級機を用いて分級することによって、重量平均粒径6.0μmのトナー母体(12)を得た。
一方、リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)を用いて13,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
次に、上記水系分散媒体をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で5,000rpmに攪拌しながら、トナー母体(12)120.0質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10.0質量部を加えて、5分間攪拌した。
ついで、この混合液を60℃で3時間保持した。pHは5.1であった。次に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 15.0質量部を加えてpHを10.0にしてから、85℃まで昇温して4.0時間保持した。その後、10%塩酸4.0質量部とイオン交換水50質量部を加えてpHを5.1にした。イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って重合体スラリー(12)を得た。蒸留留分は320質量部であった。重合体スラリー(12)を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子(12)が得られた。得られたトナー粒子(12)の処方及び条件を表2に示した。トナー粒子(12)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[トナー粒子(13)の製造例]
・ポリエステル(1) 60.0質量部
・ポリエステル(2) 40.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 7.5質量部
・荷電制御樹脂(1) 0.5質量部
・離型剤(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃) 10.0質量部
上記材料を、トルエン400質量部に溶解または分散させて、樹脂溶解液を得た。
リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)を用いて14,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
次に、上記水系分散媒体をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で5,000rpmに攪拌しながら、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10.0質量部を加えて、5分間攪拌した。
ついで、この混合液を60℃で3時間保持した。pHは5.1であった。次に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 15.0質量部を加えてpHを10.0にしてから、85℃まで昇温して4.0時間保持した。その後、10%塩酸4.0質量部とイオン交換水50質量部を加えてpHを5.1にした。イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って重合体スラリー(13)を得た。蒸留留分は320質量部であった。重合体スラリー(13)を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.1μmのトナー粒子(13)が得られた。トナー粒子(13)の処方及び条件を表2に示した。トナー粒子(13)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在することを確認した。表層が、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[トナー粒子(14)の製造例]
(樹脂粒子分散液(1)の調製)
・ポリエステル(3):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:25質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記樹脂を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル(3)溶解液を得た。このポリエステル溶解液の入った容器を65℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水250質量部を10mL/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらにエバポレータで減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル(3)の樹脂粒子分散液(1)を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、115nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
(樹脂粒子分散液(2)の調製)
・ポリエステル(2):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:20質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記材料を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル(2)溶解液を得た。このポリエステル(2)溶解液の入った容器を40℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230質量部を10質量部/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル(2)の樹脂粒子分散液(2)を得た。樹脂粒子の体積平均粒径は、130nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
(ゾルゲル分散液(1)の調製)
・トリフルオロメトキシシラン:100質量部
・メチルエチルケトン:70質量部
容器にメチルエチルケトンを投入した。その後、トリフルオロメトキシシランを徐々に投入して、撹拌しながら80℃で1時間保持した。撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5質量部となるように徐々に滴下し、昇温速度20℃/1hで昇温し、85℃で1時間保持をした。さらにイオン交換水230質量部を10質量部/分の速度で徐々に滴下して乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、ゾルゲル分散液(1)を得た。ゾルゲル粒子の体積平均粒径は、150nmであった。また、ゾルゲル粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。ゾルゲル分散液(1)のゾルゲル溶液は撹拌しながら10℃以下で保存し、調製後24時間以内に使用した。粒子の表面は粘性の高いゾル又はゲル状態である方が粒子同士の接着性が良好になるため好ましい。
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3):57.5質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5質量部
・イオン交換水:190質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:(株)スギノマシン製)を用い圧力250MPaで20分間分散処理を行い、着色剤粒子の体積平均粒径が118nmで、固形分量が20%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
・オレフィンワックス(融点:84℃):60質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):2.0質量部
・イオン交換水:240質量部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで115℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径170nm、固形分量20%の離型剤粒子分散液を得た。
・樹脂粒子分散液(1):100質量部
・樹脂粒子分散液(2):300質量部
・ゾルゲル分散液(1):300質量部
・着色剤粒子分散液(1):50質量部
・離型剤粒子分散液:50質量部
フラスコ中にイオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.5質量部加えた後、以上の材料を撹拌した。次いで、1mol/Lの硝酸水溶液を滴下してpH3.8にした後、これにポリ硫酸アルミニウム0.35質量部を加え、IKA製ウルトラタラックスで分散を行った。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で40分保持した後、ここにゾルゲル分散液(1)300質量部の混合液を緩やかに追加した。その後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを7.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌を継続しながら徐々に90℃まで加熱し、90℃で5時間保持した。さらに95℃で7.5時間保持した。その後、イオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.0質量部加え、100℃で5時間反応を行った。反応終了後、減圧蒸留により85℃で320質量部の留分を回収した。その後、冷却、濾過、乾燥を行った。40℃のイオン交換水5Lに再分散し、15分間撹拌翼(300rpm)で撹拌し、濾過を行った。
この再分散と濾過の洗浄を繰り返し、電気伝導度6.0μS/cm以下となったところで、洗浄を終了し、トナー粒子(14)を得た。トナー粒子(14)の処方及び条件を表2に示した。トナー粒子(14)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[トナー粒子(15)の製造例]
トナー母体(12)120.0質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)中で攪拌しながら、トルエン10.0質量部とエタノール5.0質量部と水5.0質量部とトリフルオロトリメトキシシラン10.0質量部を90℃で5時間反応させたフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体溶解液を3.5質量部噴霧して均一に混合した。
そして、粒子を入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環させて、乾燥及び重合を行った。得られた処理トナーを同様にして、処理トナー100質量部に対し前記フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体溶解液3.5質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)内で噴霧して、入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環させた。
同様にフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体溶解液の噴霧と乾燥を合計10回繰り返してトナー粒子(15)を得た。トナー粒子(15)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[トナー粒子(18)〜(20)の製造例]
トナー粒子(1)の製造例において、銅フタロシアニン7.5質量部を、カーボンブラック10.0質量部、ピグメントレッド122(P.R.122)8.0質量部、ピグメントイエロー155(P.Y.155)6.0質量部にそれぞれ変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして、トナー粒子(18)〜(20)を得た。トナー粒子(18)〜(20)の処方及び条件を表2に示した。トナー粒子(18)〜(20)のTEM観察においてフッ素とケイ素のマッピングを行い、表層に均一なフッ素原子とケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
[比較トナー粒子(1)の製造例]
トナー粒子(1)の製造例で用いたシランを表3に記載したように変更した以外はトナー粒子(1)の製造例と同様にして比較トナー粒子(1)、(2)を得た。比較トナー粒子(1)、(2)の処方及び条件を表3に示した。比較トナー粒子(1)のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在すること、表層がケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。尚、比較トナー粒子(2)は、有機ケイ素化合物を含有する被覆層を有さないものである。
[トナー(1)の製造例]
トナー粒子(1)100質量部に対し、BET比表面積が220m/gであり、ヘキサメチルジシラザン5.0質量%、100cpsのシリコーンオイル2質量%で表面を疎水化処理された疎水性シリカ0.2質量部とBET比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.25質量部を、撹拌翼最先端の周速が17.00m/secの三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で3分間混合して得られたトナーをトナー(1)とする。物性を表7に示した。
[トナー(2)〜(20)の製造例]
トナー(1)の製造例において、トナー粒子(1)をトナー粒子(2)〜(20)に変更した以外は同様にしてトナー(2)〜(20)を得た。物性を表7、8、10、11に示した。
[比較トナー(1)の製造例]
トナー(1)の製造例において、トナー粒子(1)を比較トナー粒子(1)に変更した以外は同様にして比較トナー(1)を得た。物性を表9、12に示した。
[比較トナー(2)の製造例]
(フッ素処理シリカの作成)
有機ケイ素化合物(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)3.0質量部、テトラヒドロフラン30.0質量部、1モル/L−NaOH水溶液2.0質量部を室温で撹拌してシラン溶液を調製した。一次粒子の個数平均径が20nmのシリカ微粒子をブレンダーで撹拌しながら、シラン溶液を滴下して混合し、45℃で乾燥した。
乾燥後、ブレンダーで撹拌し解砕を行ってフッ素処理シリカを得た。帯電量は−420μC/gであった。
比較トナー粒子(2)100質量部に対し、フッ素処理シリカ2.5質量部とBET比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.25質量部を、撹拌翼最先端の周速が17.00m/sの三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で3分間混合して、比較トナー(2)を得た。物性を表9、12に示した。
[比較トナー(3)の製造例]
(フッ素処理層状無機鉱物Aの作製)
水1,000部と、ベンジル基を有する第4級アンモニウム塩で変性した変性層状無機鉱物モンモリロナイト(クレイトンAPA Southern Clay Products社製)100部を添加し、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて、15分間攪拌、分散させ、層状無機鉱物をスラリー状にした。そこにトリフルオロプロピルトリメトキシシランを1部添加してさらに10分間攪拌した。得られたスラリーをろ過し、オーブンにて150℃で90分間乾燥させた後、粉砕してフッ素処理層状無機鉱物を得た。
比較トナー粒子(1)100質量部に対し、フッ素処理層状無機鉱物3.0質量部とBET比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.25質量部を、撹拌翼最先端の周速が17.00m/secの三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で3分間混合して比較トナー(3)を得た。物性を表9,12に示した。
[比較トナー(4)の製造例]
比較トナー粒子(1)100質量部に対し、100nmのフッ化カルシウム3.0質量部と、BET比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.25質量部とを、撹拌翼最先端の周速が17.00m/secの三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で3分間混合して得られたトナーを比較トナー(4)とする。物性を表9,12に示した。
[比較トナー(5)の製造例]
比較トナー粒子(1)100質量部に対し、N,N,N−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム・ヨージド1.0質量部と、BET比表面積が220m/gであり、ヘキサメチルジシラザン5.0質量%、100cpsのシリコーンオイル2質量%で表面を疎水化処理された疎水性シリカ2.0質量部と、BET比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.25質量部とを、撹拌翼最先端の周速が17.00m/secの三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で3分間混合して得られたトナーを比較トナー(5)とする。物性を表9,12に示した。
[実施例1]
トナー(1)を用いて以下の評価を行った。評価結果を表10に示した。
(環境安定性及び現像耐久性の評価)
図4のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9660Ciのトナーカートリッジに、トナー(1)200gを装填した。そして、そのトナーカートリッジを低温低湿L/L(温度10℃/湿度15%RH)、高温高湿H/H(35.0℃/90%RH)の各環境下で24時間放置した。各環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP9600Ciに取り付け、1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で10,000枚までプリントアウトした。初期において、ベタ画像濃度(トナー載り量0.35mg/cm)とカブリの評価を行い、10,000枚出力時にベタ画像濃度、カブリ、部材汚染(フィルミング、現像スジ、ドラム融着)の評価を行った。耐久は2枚出力するごとに1秒間停止する間歇耐久で行った。
(飛び散り評価)
図5のような縞状の潜像画像を未定着で出力し、120℃のオーブンに1分間放置して定着させた。縞状の潜像画像は解像度600dpiにおける潜像部幅が4ドット(170μm)であり、非潜像部幅が10ドット(420μm)の潜像画像である。尚、転写紙は140g/mのA4サイズを用いた。
A:良好な細線の定着状態を示す。
B:軽微な飛び散りが20本中、1本観察される。
C:軽微な飛び散りが20本中、2本以上10本以下観察される。
D:軽微な飛び散りが20本中、11本以上観察される、あるいは、細線の周囲のやや目立つ飛び散りが20本中、1本以上10本以下観察される。
E:細線の周囲のやや目立つ飛び散りが20本中、11本以上観察される。
F:著しい飛び散りで細線が確認できない線が存在する。
(連続3枚ベタ画像濃度差)
連続3枚ベタ画像濃度差は、初期と10,000枚耐久出力後に、ベタ画像(トナー載り量0.35mg/cm)を連続で3枚出力し、下記基準に従い評価した。なお、転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
SPI補助フィルターを装着した、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて、初期のベタ画像濃度と10,000枚耐久出力後のベタ画像濃度を測定した。尚、連続3枚ベタ画像濃度差は、3枚の内、最も画像濃度が高い画像濃度から低い画像濃度を引いた値である。
なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。画像濃度は転写紙の中心を1点で測定した。
A:0.00以上0.09未満
B:0.10以上0.19未満
C:0.20以上0.29未満
D:0.30以上0.39未満
E:0.40以上
(摩擦帯電量(トリボ)の測定)
摩擦帯電量は、以下に示す方法によって求めた。
まず、トナーと負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)を、低温低湿(10℃/15%RH)、高温高湿(35.0℃/90%RH)でそれぞれ24時間放置した。
上記放置後に、トナーと標準キャリアを、トナーの質量が5質量%となるように、各環境下でターブラミキサを用いて60秒間混合し、二成分現像剤を得た。
次に、この混合後の二成分現像剤を混合後1分以内に常温常湿(25℃/50%RH)の環境下で、底部に目開き20μmの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と、容器に接続されたコンデンサに蓄積された電位とを測定した。この際、吸引圧を4.0kPaとした。前記吸引前後の質量差、蓄電された電位、及びコンデンサの容量から、下記式を用いてトナー粒子又はトナーの摩擦帯電量を算出した。
なお、測定に使用した負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)は250メッシュを通過したものを使用した。
Q=(A×B)/(W1−W2)
Q(mC/kg):トナー粒子又はトナーの摩擦帯電量
A(μF):コンデンサの容量
B(V):コンデンサに蓄積された電位差
W1−W2(kg):吸引前後の質量差
(画像濃度の評価)
画像濃度については、SPI補助フィルターを装着した、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて、上記低温低湿(L/L)(10℃/15%RH)、高温高湿(H/H)(35.0℃/90%RH)の環境下で出力した、初期と10,000枚耐久出力後のベタ画像の定着画像部の画像濃度を測定した。
なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
C:1.30以上1.40未満
D:1.25以上1.30未満
E:1.20以上1.25未満
F:1.20以下
(カブリの評価)
0%の印字比率の画像を、初期及び10,000枚耐久出力後にプリントアウトし、得られた画像について、「リフレクトメータ」((有)東京電色製)により白色度を測定した。また、画像形成に供していない転写紙の白色度を測定し、両者の差から、カブリ濃度(%)を算出した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。転写紙は110g/mのA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:1.0%未満
B:1.0%以上1.5%未満
C:1.5%以上2.0%未満
D:2.0%以上2.5%未満
E:2.5%以上3.0%未満
F:3.0%以上
(部材汚染評価)
部材汚染は10,000枚耐久出力後に、前半部分がハーフトーン画像(トナー載り量0.175mg/cm)であり、後半部分がベタ画像(トナー載り量0.35mg/cm)であるミックス画像を出力して、下記基準に従い評価した。なお、転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:現像ローラー上にも、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが1本以上2本以下ある、又は、感光ドラム上に1個以上3個以下の融着物がある、但し、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
C:ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチがわずかに観察される。
D:ハーフトーン部、ベタ部の画像上に細かいスジや濃度の異なるポチが観察される。
E:現像ローラー上とハーフトーン部の画像上に顕著なスジや濃度の異なるポチが観察される
(低温定着性の評価(低温オフセット終了温度))
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9660Ciの定着ユニットをスピードが調整できるように改造した。この改造後のLBP9660Ciを用いて、トナー載り量が0.45mg/cmの未定着トナー画像を形成し、250mm/secの定着速度で、加熱加圧し定着画像を形成した。
キムワイプ(商品名:S−200、(株)クレシア)用い、75g/cmの荷重をかけて定着画像を10回こすり、こすり前後の濃度低下率が5%未満になる温度(低温オフセット終了温度)を測定した。この温度を定着性の指標とした。評価は、常温常湿(25℃/50%RH)で実施した。
(保存安定性の評価)
10gのトナーを100mLガラス瓶にいれ、温度50℃、湿度25%で3日間放置した後に目視で判定した。
A:変化なし。
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる。
C:ほぐれにくい凝集体が発生。
D:流動性なし。
E:明白なケーキングが発生。
(実施例2〜20)
実施例1のトナー(1)をトナー(2)〜(20)に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表11に示した。
(実施例21)
実施例1のトナー(1)をトナー粒子(3)に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表11に示した。トナー(3)を用いた場合と比べて、トナー粒子(3)を用いた場合でも遜色のない評価結果が得られた。
(比較例1〜5)
実施例1のトナー(1)を比較トナー(1)〜(5)に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表12に示した。
Figure 2019101324
Figure 2019101324
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1 感光体
2 現像ローラー
3 トナー供給ローラー
4 トナー
5 規制ブレード
6 現像装置
7 レーザー光
8 帯電装置
9 クリーニング装置
10 クリーニング用帯電装置
11 撹拌羽根
12 駆動ローラー
13 転写ローラー
14 バイアス電源
15 テンションローラー
16 転写搬送ベルト、
17 従動ローラー
18 紙
19 給紙ローラー
20 吸着ローラー
21 定着装置

Claims (10)

  1. コア部と該コア部を覆う表層とを有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該表層に、フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が含まれていることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子の表面のESCAを用いた測定において、トナー粒子表面の炭素濃度dC、酸素濃度dO、ケイ素濃度dSi、フッ素濃度dFの合計濃度(dC+dO+dSi+dF)に対するフッ素濃度dFが1.00atomic%以上55.00atomic%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体は、シロキサン結合を有する請求項1または請求項2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子の表層の平均厚みDav.が1.0nm以上300.0nm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子の表面のESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた測定において、トナー粒子表面のケイ素濃度dSiに対するフッ素濃度dFの比(dF/dSi)が0.10≦dF/dSi≦15.00である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子の蛍光X線によるSiOの量が1.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体がフッ化アルキル基を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記フッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体が、トリフルオロプロピルトリアルコキシシランの重合体である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記トナー粒子におけるフッ素を含有する有機ケイ素化合物の重合体の固着率が75.0%以上である請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 前記トナー粒子の表面のESCAを用いた測定において、トナー粒子表面の炭素濃度dC、酸素濃度dO、ケイ素濃度dSi、フッ素濃度dFの合計濃度(dC+dO+dSi+dF)に対するケイ素濃度dSiが1.00atomic%以上32.00atomic%以下である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナー。
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