JP2019090589A - 水中爆弾用安全装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また昨今、弾薬の安全性の向上が重要な課題となっているため、導爆薬経路に使用する火薬を偶発的に爆発する可能性が低い低感度爆薬を使用して安全性を向上する取り組みや爆弾の構造をさらに単純化することで伝爆性を確実にし、爆弾性能を向上する試みが行われている。
特許文献1等に開示された従来の安全装置において、上述のような威力の小さい伝爆薬を使用すると、連結する伝爆薬の配置が略直角となっているため爆発を上手く伝達できずに信管が動作不良となり、爆弾が炸裂できず不発射弾となってしまう。
また、特許文献2に開示された静止式水雷においては、圧電式音波受信器を使用して安全状態から待機状態に切り替えているが、圧電式音波受信器等、電池によって動作する部品を使用すると制御回路や電池等爆弾に搭載する部品が多くなるため、構造が極めて複雑となってしまう。
ここで火薬系列とは、水中爆弾用安全装置に搭載された点火装置および爆発を伝達する火工品であり、本実施形態においては、電気雷管、導爆薬筒、導爆薬、伝爆薬筒である。
また安全状態とは機雷等の爆弾が所定時間不作動となっている状態をさし、待機状態とは、機雷等の爆弾の安全状態が解除されて作動可能となっている状態をさす。
本発明によれば、火薬系列を同一直線上に連結する待機状態と火薬系列の一部を同一直線上の火薬系列から分離することで遮断する安全状態とを切り替えることで安全性の高い機雷等の爆弾を提供することが可能となる。
また、火薬系列を同一直線上に連結することで、威力の小さい火薬を使用しても確実に炸薬まで伝爆することが可能で、火薬の伝爆性を向上することが可能となる。
そして、安全状態から待機状態に切り替える機構は水圧を使用した機構であるためエネルギーが不要であり、電池や制御回路等の部品が不要で装置構成を単純化することが可能となる。
また本発明の水中爆弾用安全装置は、前記移動機構はピストンであり、前記回転変換機構は前記ピストンの下部に回転可能に取り付けられたシャフトと前記シャフトを貫通した状態で設けられかつ導爆薬筒を備えたロータであることを特徴とする。
本発明によれば、移動機構(ピストン)による直線運動を回転変換機構(シャフト、ロータ)によって回転運動に変換し、ロータを回転させることでロータの外周に取り付けられた火薬系列のひとつである導爆薬筒を他の火薬系列と同一直線上に配置することができる。
具体的に説明すると安全状態においては、火薬系列である電気雷管、導爆薬、伝爆薬筒は同一直線上に配置され、ロータに設けられた導爆薬筒のみ同一直線上の火薬系列から分離されている。そして待機状態へと切り替える場合は、移動機構(ピストン)と回転変換機構(シャフト、ロータ)を利用してロータを回転させることで導爆薬筒を他の火薬系列と同一直線上に配置する。
このように、移動機構(ピストン)による直線運動を回転変換機構(シャフト、ロータ)等の簡単な構成によって安全状態から待機状態へと切り替えることが可能であり、装置構成が単純化され部品点数を最小限とすることが可能となる。
本発明によれば、移動機構(ピストン)による直線運動を回転変換機構(シャフト、ロータ)によって回転運動に変換する構成として、伸張器本体に設けられたガイドピンと、シャフトに設けられた傾斜溝を使用したカム構造を採用している。このようにカム構造を採用することにより、簡単な装置構成で安全状態から待機状態への切り替えを実現することが可能となる。
本発明によれば、ピストンの移動を制限し待機状態へ切り替わるまでの時間を遅くするための溶解片を備えているため、例えば艦船によって爆弾を敷設する場合等の爆弾を投下後一定時間爆弾が安全状態となる必要がある場合でも簡単な機構で実現することが可能となる。航空機を利用して敷設する場合は航空機が爆薬と充分離れており時限時間を設ける必要がないため、溶解片は設けなくてもよい。
また本発明の水中爆弾用安全装置は、前記シャフトが前記直線運動の方向に伸張した長溝を備え、前記ロータは前記シャフトに係合するためのつめを有し、前記ロータは前記シャフトの直線運動とは連動しないが回転運動とは連動することを特徴とする。
ここで直線運動の方向とは、シャフトが伸張器本体内を摺動する方向であって本実施形態においては長手方向である。
本発明によれば、上述の構造を採用することによりピストンの回転運動をロータの回転運動に伝達しない構造としているため、ロータに搭載された導爆薬筒の位置精度が保たれ、かつ、ピストンに取り付けられたOリングの回転方向の摺動抵抗がなく滑らかに安全状態から待機状態に安全に切り替えることが可能となる。
本発明によれば、火薬系列の整列方向(本実施形態においては長手方向)と移動機構の直線運動の方向を同じとすることによって、水中爆弾用安全装置を小さくすることが可能となる。
そして、火薬系列を同一直線上に連結することで、威力の小さい火薬を使用しても確実に炸薬まで伝爆することが可能で、火薬の伝爆性を向上することが可能となる。
また昨今の爆弾の安全性に対する取り組みに対して、導爆薬経路に低感度爆薬を使用する場合にあっては、さらに爆弾の安全性も向上することが可能となる。
図1は、本発明を適用した実施形態の水中爆弾用安全装置100を示す正面断面図(安全状態)であり、図2は、上記実施形態の水中爆弾用安全装置100を示す右側面断面図(安全状態)である。図7は、上記実施形態の水中爆弾用安全装置100を示す外観正面図である。
水中爆弾用安全装置100は、機雷等の水中に埋設される爆弾を起爆する目的および安全状態から待機状態へ切り替える目的で炸薬Eに取り付けられる部材であり、全体が円柱状で機雷本体表面Mに一部埋め込まれて底面が炸薬Eに接触するように設けられ、上部は水中Wに露出した状態となっている。
水中爆弾用安全装置100は、外側から被覆する円筒状の伸張器本体9と、伸張器本体9の上部に設けられて伸長器本体9内部に摺動可能に嵌合されたピストン3と、ピストン3の上部外周を囲むように設けられた溶解片2と、溶解片2の上部から溶解片2を囲むように被覆したカバー1と、ピストン3の下部に回転可能に取り付けられたシャフト4と、シャフト4の下部にシャフト4を貫通した状態で摺動可能に嵌合したロータ5と、シャフト4を回転させるためのガイドピン41,41と、ロータ5の下部に設けられた圧縮ばね6と、ロータ5の外周に設けられた導爆薬筒84と、伸張器本体9の外周に設けられた点火用端子台81と、電気雷管82と、導爆薬85と、伝爆薬筒7を備える。
ピストン3は、伸張器本体9の上部に設けられた開口に挿入されて水中爆弾用安全装置100の軸方向に摺動可能に設けられた円柱状の部材であり、ピストン3の伸張器本体9との摺動面には伸張器本体9内部への浸水を防止するためのOリング32が設けられている。また、ピストン3の上部は、伸張器本体9から露出しており、機雷本体表面Mに埋め込まれていない状態となっている。さらにピストン3の上部にはピストン3の外周を囲むように溶解片2とカバー1が設けられ、伸張器本体9とピストン3が相対移動しないために安全ピン31が設けられている。ピストン3の底面には、シャフト4を取り付けるための正方形状の凹部33が設けられている。
溶解片2は、着水後徐々に溶解することで水圧によって作動するピストン3の移動を制限し待機状態へ切り替わるまでの時間を遅くするための時限装置である。溶解片2は円筒状の固形の物体であり、ピストン3の上部の外周に設けられていて、浸水することにより溶解して水中Wに溶け出し消失する。溶解片2は設けられていなくてもよく、敷設方法によって適宜選択可能である。例えば艦船によって機雷等の爆弾を敷設する場合には、艦船から機雷等の爆弾を投下した後艦船が爆弾から所定距離離れるまでは艦船の安全性を確保する必要がある。このような場合は溶解片2を用いて時限時間を設ける必要があるが、航空機を利用して敷設する場合は航空機が爆薬と充分離れているため時限時間を設ける必要がない。
カバー1は、溶解片2を保護するために設けられた部材であり、溶解片2を囲んだ状態でピストン3の上部に被せるように取り付けられており、浸水時カバー1は伸張器本体9から離れて脱落する。
圧縮ばね6は、ロータ5の下部に設けられるばねであり、ピストン3が伸張器本体9の内部を下降しシャフト4が下降することで圧縮された状態となる。
電気雷管82は、点火用端子台81からの信号により電気的に点火させる装置を管内に内蔵した部材であり、伸張器本体9の側面に配設されている。
導爆薬筒84、導爆薬85、伝爆薬筒7は、電気雷管82で発生した爆発を炸薬Eに伝達する火工品であり、伸張器本体9の内部に設けられている。ロータ5の外周に設けられた導爆薬筒84が待機状態にある場合、導爆薬筒84の上面は電気雷管82の底面と相対し、導爆薬筒84の底面は導爆薬85の上面と相対するように配置される。また導爆薬85の底面は伝爆薬筒7の上面と接触し、伝爆薬筒7の底面は炸薬Eに接触している。
このように、水中爆弾用安全装置100が待機状態にある場合、電気雷管82、導爆薬筒84、導爆薬85、伝爆薬筒7が一直線上になるように配置されていて、水中爆弾用安全装置100が安全状態にある場合、導爆薬筒84のみ同一直線上の火薬系列から分離された配置となっている。
水中爆弾用安全装置100は、ピストン3が長手方向Lに移動することで、シャフト4およびロータ5が回転し、火薬系列である電気雷管82、導爆薬筒84、導爆薬85、伝爆薬筒7が一直線上に配置する。
シャフト4は、ピストン3の長手方向Lの直線運動をロータ5の回転運動に変換するための円柱状の部材であり、ガイドピン41,41を挿入するための傾斜溝43,43と、長手方向に伸張した長溝45を備える。
またシャフト4の上面は、球状の凸部42となっており、凸部42をピストン3の底面に設けられた正方形状の凹部33に取り付けることで凸部42と凹部33の接触面Tは点接触するようにしている。そのため、ピストン3の長手方向Lの運動とは連動するがピストン3の回転運動とは連動しない構造となっている。さらに、シャフト4の下部はロータ5の中心孔に挿入されている。
ガイドピン41,41は、伸張器本体9の外側から内側に向かって挿入された一対のピンであり、ガイドピン41,41の先端はシャフト4の傾斜溝43,43と係合している。
ロータ5は、シャフト4とともに回転してロータ5の外周に設けられた導爆薬筒84の周方向の位置を安全状態から待機状態へと切り替える円環状の部材であり、導爆薬筒84と、シャフト4を挿入するための中心孔と、中心孔の側面にシャフト4に係合するためのつめ44を備える。つめ44は、シャフト4に設けられた長溝45に係合しているため、ロータ5はシャフト4の長手方向Lの運動とは連動しないがシャフト4の回転運動とは連動する構造となっている。またロータ5の回転運動に連動して水中爆弾用安全装置100の状態(安全状態(安全)、待機状態(解除))を示す表示51も移動するように形成され、表示51の移動状態は伸張器本体9の切り欠き窓部91を通して視認可能となっている。
図5は、上記実施形態の水中爆弾用安全装置100を示す右側面断面図(待機状態)であり、図6は、上記実施形態の水中爆弾用安全装置100の伝爆経路を示す模式図である。
ここで、安全状態から待機状態へと切り替える切替動作に関して説明を行う。
水中爆弾用安全装置100は使用前、安全状態となっており図4(a)、電気雷管82、導爆薬筒84、導爆薬85、伝爆薬筒7のうち、導爆薬筒84のみ同一直線上の火薬系列から分離された配置となっている。
水中爆弾用安全装置100の安全ピン31を取り外して機雷を水中Wに投下すると、ピストン3と伸張器本体9を固定するロックが外れるとともにカバー1が外れる(ステップ1)。
ピストン3の上部に溶解片2が設けられている場合は、溶解片2の周囲が浸水され溶解片2が徐々に溶けて消失し、ピストン3が伸張器本体9内を移動可能となる。溶解片2が設けられていない場合は、安全ピン31を取り外した時点でピストン3が伸張器本体9内を移動可能となる(ステップ2)。
ピストン3の上部が水圧により押されることによってピストン3は伸張器本体9の内部を長手方向Lに移動(下降)する(ステップ3)。
ピストン3が移動すると、ピストン3の移動に連動してシャフト4も長手方向Lに移動(下降)し、傾斜溝43,43に係合したガイドピン41,41の作用により、傾斜溝43,43に沿ってシャフト4が軸を中心に回転運動する(ステップ4)。
シャフト4が長手方向Lに移動(下降)しながら軸を中心に回転運動すると、ロータ5は長溝45およびつめ44の作用により長手方向Lには移動せず、回転運動のみ連動する。ロータ5および導爆薬筒84が周方向に回転して、火薬系列である電気雷管82、導爆薬筒84、導爆薬85、伝爆薬筒7が一直線上に配置され(図4(b))、水中爆弾用安全装置100の状態を示す表示51が安全状態(安全)から待機状態(解除)に移動する(ステップ5)。
また、火薬系列を同一直線上に連結することで、威力の小さい火薬を使用しても確実に炸薬Eまで伝爆することが可能で、火薬の伝爆性を向上することが可能となる。
そして、安全状態から待機状態に切り替える機構は水圧を使用した機構であるためエネルギーが不要であり、さらにピストン3の直線移動をロータ5の回転移動に変換するという構造が単純でかつ最小限の部材で切替機構を提供することが可能となる。
さらに、水中爆弾用安全装置100の状態を伸張器本体9の切り欠き窓部91を通して視認可能となっているため、水中爆弾用安全装置100を装着する前の点検時において、安全性の確認が可能となる。
上述の構造を採用することで、安全状態と待機状態に簡単かつ安全に切り替えることが可能となる。
2 溶解片、
3 ピストン、
31 安全ピン、
32 Oリング、
33 凹部、
4 シャフト、
41 ガイドピン、
42 凸部、
43 傾斜溝、
44 つめ、
45 長溝、
5 ロータ、
51 表示、
6 圧縮ばね、
7 伝爆薬筒、
81 点火用端子台、
82 電気雷管、
84 導爆薬筒、
85 導爆薬、
9 伸張器本体、
91 切り欠き窓部、
100 水中爆弾用安全装置、
E 炸薬、
L 長手方向、
M 機雷本体表面、
W 水中
Claims (8)
- 機雷等の水中に埋設される爆弾を起爆するための水中爆弾用安全装置において、水圧により火薬系列の一部を同一直線上から分離した安全状態から前記火薬系列を同一直線上に配置した待機状態へ切り替えることを特徴とする水中爆弾用安全装置。
- 前記水中爆弾用安全装置は、伸張器本体と、前記伸張器本体の内部に摺動可能に嵌合された移動機構と、前記移動機構による直線運動を回転運動に変換する回転変換機構を備え、前記移動機構は水圧が加えられることにより前記伸張器本体内を直線運動し、前記直線運動により前記回転変換機構が回転することで前記火薬系列を安全状態から待機状態へ切り替えることを特徴とする請求項1記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記移動機構はピストンであり、前記回転変換機構は前記ピストンの下部に回転可能に取り付けられたシャフトと前記シャフトを貫通した状態で設けられかつ導爆薬筒を備えたロータであることを特徴とする請求項2記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記水中爆弾用安全装置は、前記伸張器本体の外側から内側に向かって挿入された一対のガイドピンを備え、前記シャフトは前記ガイドピンと係合するための傾斜溝を有し、前記ピストンの直線運動に連動して前記シャフトが直線運動するとともに前記傾斜溝に沿って前記シャフトおよび前記ロータが回転運動することを特徴とする請求項3記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記水中爆弾用安全装置は、さらに前記ピストンの直線運動を遅らせるための溶解片を備え、前記溶解片が水中で溶解して消失することにより、前記ピストンの上部が水圧により押されて前記伸張器本体の内部を直線運動することを特徴とする請求項3または4記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記ピストンは前記シャフトを取り付けるための凹部を備え、前記シャフトは前記凹部に取り付けるための凸部を有し、前記シャフトは前記ピストンの直線運動とは連動するが回転運動とは連動しないことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記シャフトは前記直線運動の方向に伸張した長溝を備え、前記ロータは前記シャフトに係合するためのつめを有し、前記ロータは前記シャフトの直線運動とは連動しないが回転運動とは連動することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項記載の水中爆弾用安全装置。
- 前記火薬系列の整列方向と前記移動機構の直線運動の方向は同一であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の水中爆弾用安全装置。
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