以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.弾球遊技機の装置構成:
A−1.正面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.背面側の構成:
B.遊技の概要:
C.制御装置の構成:
C−1.メイン制御装置の構成:
C−2.周辺装置の構成:
D.第1実施例の発射ハンドル:
E.第2実施例の発射ハンドル:
F.第3実施例の発射ハンドル:
G.第4実施例の発射ハンドル:
H.変形例:
H−1.第1変形例:
H−2.第2変形例:
H−3.第3変形例:
I.第5実施例の発射ハンドル:
A.弾球遊技機の装置構成 :A−1.正面側の構成 :
図1は、本実施例の弾球遊技機10の正面図である。図示されている様に、本実施例の弾球遊技機10の正面側は、弾球遊技機10の前面を構成する樹脂製の正面パネル15や、正面パネル15の中央に設けられた盤面部12や、正面パネル15上のやや下方に設けられた上皿13などから構成されている。盤面部12には正面パネル15の背面側からガラス板がはめ込まれており、ガラス板を通して正面パネル15の背面側に設置された遊技盤を視認することが可能である。なお、図1では、遊技盤の詳細な構成については図示を省略している。
上皿13は、皿状に形成された凹部と、凹部を囲む壁面とから構成されており、上皿13の内側に遊技球を保持することが可能となっている。また、上皿13は弾球遊技機10の内部に設けられた発射ユニットに接続されており、上皿13に遊技球を投入することによって発射ユニットに遊技球を供給することが可能である。上皿13の下方には下皿16が設けられており、上皿13の近傍に設けられたレバーを操作することにより、上皿13と下皿16とを連通させることが可能となっている。後述するように、上皿13には遊技に伴って遊技球が払い出されることがあることから、上皿13に遊技球が収まりきらなくなる場合が生じ得るが、このように下皿16を設けて上皿13と下皿16とを連通させることにより、上皿13に収まりきらなくなった遊技球を下皿16に排出することが可能で
ある。
上皿13の右下には、遊技球を遊技盤に発射するための発射ハンドル11が備えられている。この発射ハンドル11は上述した発射ユニットに接続されており、上皿13から発射ユニットに遊技球を供給した状態で発射ハンドル11を操作することにより、遊技球を遊技盤に発射することが可能である。また、この発射ハンドル11には、図示しないセンサ11sが備えられており、遊技者が発射ハンドル11に触れているか否かをセンサ11sによって検出することが可能である。そして、センサ11sの検出結果に応じて発射ユニットからの発射を制御することにより、遊技者が発射ハンドル11に触れていない状態で遊技球が発射されてしまうのを防ぐことが可能となっている。なお、発射ハンドル11の詳細な構成については、後で詳しく説明する。
正面パネル15の上方には、左右に2つのスピーカ14が備えられており、弾球遊技機10で行われる遊技にともなって効果音やメロディーなどの演出音を出力することが可能である。これらのスピーカ14は、正面パネル15の背面側から正面側に向けて取り付けられており、正面パネル15に向かって遊技を行う遊技者に演出音を効率よく届けることが可能となっている。
また、正面パネル15の端(図1の右側の端)には、シリンダ錠を用いて施錠や開錠が可能な鍵部17が設けられており、この鍵部17を施錠することにより、正面パネル15を弾球遊技機10の本体に固定することが可能である。また、鍵部17を開錠すれば、正面パネル15を弾球遊技機10の本体から離間することが可能であり、こうすることで、正面パネル15の裏面に設けられた各種の装置や、本体側の装置にアクセスすることが可能となる。なお、正面パネル15は弾球遊技機10の本体に軸支されており、正面パネル15を弾球遊技機10の本体に対して回動させることにより、正面パネル15を本体から離間することが可能である。
弾球遊技機10の横には、貸し玉機4が備えられており、弾球遊技機10の遊技者は遊技を行う際に貸し玉機4に紙幣やプリペイドカードを挿入することで、貸し玉機4から遊技球を借り受けることができる。この貸し玉機4と上皿13との間にはノズル52が設けられており、貸し玉機4から貸し出された遊技球をノズル52を介して上皿13へと投入することができる。上述したように、上皿13に遊技球を投入すると遊技球が発射ユニットに供給されるので、遊技者は、貸し玉機4から遊技球を借り受けて発射ハンドル11を操作することにより、遊技盤20に遊技球を発射して遊技を行うことが可能となる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の弾球遊技機10に備えられた遊技盤20の構成を示した説明図である。前述したように、こうした遊技盤20は、正面パネル15の盤面部12(図1を参照)にガラス板の背面側から取り付けられる。図2に示されている様に、遊技盤20には、土台となるベース板29の外縁付近にベース板29に対して略垂直に設けられたレール21が備えられており、このレール21の内側に、釘22や風車23などが取り付けられた遊技領域28が形成されている。発射ユニットによって発射された遊技球は、レール21によって遊技領域28へと導かれ、遊技領域28内を、釘22や風車23などによって進行方向を変えられながら流下していく。遊技領域28にはスルー作動口24や作動口25や小入賞口26などの遊技球が入球可能な口(入球口)が設けられており、流下する遊技球がこれらの作動口や小入賞口に入球すると、賞球が払い出されたり、後述する大当たり抽選などが行われる。
これらの入球口のうち、スルー作動口24は、入球した遊技球が通過可能なゲート形状の作動口であり、スルー作動口24に入球した遊技球は遊技領域28から排出されること
なくそのままスルー作動口24を通過して遊技盤20上を流下し続ける。また、スルー作動口24には入球を検知するセンサ24sが設けられており、弾球遊技機10の制御装置は、センサ24sの検知状態を読み出すことにより、スルー作動口24へ入球があったことを把握することが可能である。スルー作動口24への入球があった場合、弾球遊技機10の制御装置は、スルー作動口24への入球に対する賞球を上皿13に払い出したり、スルー作動口24への入球を契機として抽選を行うなどの各種の処理を実行する。
一方、小入賞口26は、遊技球が入球すると入球した遊技球を取り込んで遊技盤20の背面側へと排出するタイプの入賞口である。この小入賞口26も上述したスルー作動口24と同様にセンサ26sが備えられており、制御装置はセンサ26sの検知状態を読み出すことにより、小入賞口26への入球を検出して、小入賞口26への入球に対する賞球を払い出すことが可能となっている。
また、本実施例の弾球遊技機10の作動口25(第1作動口25aおよび第2作動口25b)は、小入賞口26と同様に、入球した遊技球を遊技盤20の背面側に排出するタイプの作動口である。これらの作動口25もセンサ(25as,25bs)を備えており、センサの検知状態を読み出すことにより、第1作動口25aおよび第2作動口25bへの入球をそれぞれ検出することが可能である。なお、第2作動口25bの近傍には、電動役物41が備えられており、この電動役物41を駆動することにより、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態と、入球し難い状態とを切り替えることが可能である。この点について、図3を参照しながら説明する。
図3は、第2作動口の近傍に設けられた電動役物41を駆動することにより、遊技球が第2作動口に入球し易い状態と入球し難い状態とを切り替える様子を示した説明図である。図3(a)に示されているように、電動役物41は、上部に第1作動口25aが設けられた作動口ユニット40に組み付けられており、2つの電動役物41の間に第2作動口25bが設けられている。この電動役物41は作動口ユニット40の内部に設けられた駆動機構に接続されており、駆動機構によって電動役物41を駆動することが可能である。
図3(b)には、電動役物41を駆動して電動役物41と電動役物41との間隔を広げた状態が示されている。図示されているように、電動役物41を駆動すると、左右の電動役物41の間が大きく広がる。この状態では、電動役物41の上面が第2作動口25bに向かって傾斜しており、このため、図中に矢印で示されているように、電動役物41の上面で受けた遊技球を第2作動口25bの方向に導くことができる。こうすることで、左右の電動役物41の間を大きく開いていない状態(図3(a)を参照)に比べて、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態を実現することができる。また、電動役物41を駆動して左右の電動役物41を元の位置(図3(a)を参照)に戻せば、ふたたび遊技球が入球し難い状態にすることができる。このように、電動役物41を駆動することで、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態と入球し難い状態とを、容易に切り替えることが可能となっている。
なお、本実施例では、電動役物41の間隔が広がって遊技球が入球し易い状態(図3(b)を参照)を電動役物41の開放状態と呼び、電動役物41の間隔が狭まって遊技球が入球し難い状態(図3(a)を参照)を電動役物41の閉鎖状態と呼ぶものとする。ここで、電動役物41を駆動することによって第2作動口25bへの入球し易さを変化させる観点からは、電動役物41の閉鎖状態は、遊技球の入球が完全に不可能な程度に第2作動口25bが閉鎖されている必要は必ずしもなく、電動役物41の開放状態よりも入球が困難であればよい。
また、第1作動口25aおよび第2作動口25bに遊技球が入球した場合、本実施例の
弾球遊技機10では、賞球を払い出したり、「大当たり抽選」を行って抽選の結果に応じた各種の動作を行う。これらの点については後で説明する。
遊技盤20上の作動口ユニット40の下方には、図2に示されている様に、大型の入球口である大入球口60が設けられている。大入球口60には駆動機構が備えられており、開口部の前面に設けられた板部材を遊技盤20の前方に傾斜させることによって、開口部が閉じて入球が不可能な閉鎖状態から、開口部が開口して入球可能な開放状態に切り替えることが可能である。大入球口60の開放状態では、開口部が広いことから多数の遊技球が容易に入球することが可能なので、大入球口60を開放状態にすることによって、遊技者に対して大変に有利な遊技状態を作り出すことが可能である。なお、本実施例の弾球遊技機10では、大入球口60への入球に対して「15個」の賞球を払い出す。
遊技領域28の最下部には、小入賞口26や作動口25や大入球口60などのいずれにも入球しなかった遊技球を回収するアウト口50が設けられている。アウト口に入球した遊技球は遊技盤20から排出されて、弾球遊技機10内に設けられた球回収装置に回収される。また、アウト口50に達した遊技球に対しては、賞球は払い出されない。アウト口50は他の作動口や賞球口よりも下方に設けられているので、遊技者は、遊技球がアウト口50に達するまでにいずれかの作動口や入賞口に入球することを望みながら遊技を行う。これにより、遊技者の意識を遊技に引きつけることが可能となっている。
遊技盤20の右側の右端には、所定の図柄を表示可能なセグメント式表示装置70が設けられている。セグメント式表示装置70の内部には複数の発光ダイオード(LED)が設けられており、LEDを発光させることによって図柄を表示することが可能である。また、これら複数のLEDはそれぞれ個別に発光させることが可能であり、このため、次の図4に示すように、発光させるLEDを適切に組み合わせることで、各種の文字や数字を表示することも可能である。
図4は、本実施例の弾球遊技機10に備えられたセグメント式表示装置70の詳細な構成を示した説明図である。図4(a)に示されている様に、本実施例の弾球遊技機10のセグメント式表示装置70は、左表示部72、中央表示部74、および右表示部76の3つの表示部を備えており、それぞれの表示部は、数字の「8」の字状に配置された7つのLED(左表示部72ではLED72a〜LED72g)および右下に配置されたドット形状のLED(左表示部ではLED72p)から構成されている。上述したように、これらのLEDはそれぞれ個別に点灯あるいは消灯することが可能であり、点灯あるいは消灯するLEDを組み合わせることで、文字や数字を表現することが可能である。例えば、図4(b)に示されている例では、左表示部72のハッチングを付したLEDを点灯させることにより、左表示部に数字の「2」を表示している。
また、数字だけでなく、文字を表示することも可能である。例えば、図4(b)の例では、中央表示部74にアルファベットの「H」の文字を表示しており、右表示部76には「L」の文字を表示している。このように点灯あるいは消灯させるLEDを組み合わせることで、文字や数字を表示することが可能である。もちろん、表示可能な文字や数字は図4(b)の例に限られず、各種の文字や数字、更には「−」などの記号を表示することが可能である。また、図4(b)の例では、左表示部72に数字を表示し、中央表示部74および右表示部76には文字を表示しているが、この例とは逆に、中央表示部74や右表示部76に数字を表示することも可能であるし、左表示部72にアルファベットを表示することも可能である。
なお、セグメント式表示装置70の各LEDを、文字や数字を形成しない組み合わせで点灯させることも可能である。例えば、LED72aとLED72eとを点灯させれば、
数字とも文字とも呼べない態様の表示を行うことが可能である。このような文字とも数字とも呼べない態様の表示を行えば、遊技者は表示の意味を直ちに理解することが困難になる。このため、後述する「大当たり遊技状態」や「確変状態」などの遊技者にとって有利な遊技状態が発生したのではとの期待を遊技者に抱かせたり、あるいは、有利な遊技状態が発生していることを遊技者に容易に察知されることを回避して、有利な遊技状態の発生を遊技者に報知した際の遊技者の高揚感を高めて、遊技の興趣を向上させることが可能である。
セグメント式表示装置70の各LEDは、後述するメイン制御装置100に接続されており、メイン制御装置100はセグメント式表示装置70の各LEDを点灯あるいは消灯させることによって、各種の文字や数字や記号などを表示することが可能である。また、点灯させるLEDを次々と切り替えることで、セグメント式表示装置70上で文字や数字を次々と変動させながら表示すること(図柄の変動表示)も可能である。本実施例の弾球遊技機10では、こうした図柄の変動表示が、作動口25への入球を契機として開始される。
また、図2に示されている様に、セグメント式表示装置70の下方には、スルー用セグメント式表示装置80が備えられている。このスルー用セグメント式表示装置80も、セグメント式表示装置70と同様に、複数のLEDが備えられており、各LEDを個別に点灯あるいは消灯することが可能である。また、点灯させるLEDを次々と切り替えることで、図柄の変動表示を行うことも可能である。本実施例の弾球遊技機10では、こうしたスルー用セグメント式表示装置80での図柄の変動表示が、スルー作動口24への入球を契機として行われる。
図2に示されている様に、遊技領域28の中央には、液晶ディスプレイ装置を備えた演出表示装置30が設けられており、遊技の進行に応じて演出表示装置30に各種の演出画像を表示することによって、弾球遊技機10の遊技の興趣をより高めることを可能としている。演出表示装置30は弾球遊技機10の背面側に設けられた表示制御装置300によって制御されており、弾球遊技機10は遊技の進行状況に応じて表示制御装置300へ所定のコマンドを送信することにより、遊技の進行状況に応じた各種の演出画像を表示することが可能である。
演出表示装置30の上方には、演出役物35が備えられている。演出役物35は、内部に光源が設けられて発光することが可能であり、更に、遊技盤20の背面側に設けられた駆動装置によって回転することが可能である。そして、演出表示装置30に表示される演出画像に連動して回転しながら発光したり、あるいは演出画像とは無関係に唐突に発光したり回転したりすることで、遊技の興趣をより高めることを可能としている。また、詳細な図示は省略するが、演出役物35の他にも各種のランプが遊技盤20や正面パネル15に設けられており、遊技の進行に合わせて各ランプが点灯することで遊技を盛り上げることが可能である。こうした演出表示装置30や演出役物35や各種ランプなどについても、弾球遊技機10の背面側に設けられた装置群によって制御される。
A−3.背面側の構成 :
図5は、上述した遊技盤20上で行われる遊技を制御するための装置が備えられた弾球遊技機10の背面側の構成を示した説明図である。図示されている様に、弾球遊技機10の背面側には、遊技を制御するメイン制御装置100や、遊技に伴う各種の演出を制御するサブ制御装置200や、サブ制御装置200からの命令に従って演出表示装置30の液晶ディスプレイ装置に種々の画像を表示する表示制御装置300などが設けられている。メイン制御装置100には、RAM140やROM110などを備えたMPU102が搭載されており、こうしたMPU102やRAM140やROM110などが協働すること
によって遊技を制御する。サブ制御装置200もメイン制御装置100と同様にMPUを備えており、MPUやMPU内のRAMやROMなどが協働しながら遊技に伴う演出を制御する。なお、メイン制御装置100やサブ制御装置200や表示制御装置300の構成については、後で詳しく説明する。
これらメイン制御装置100やサブ制御装置200は、透明なプラスチック製のケースに収められた状態で弾球遊技機10の背面側に搭載されている。このプラスチック製のケースは、2つのケース部材がメイン制御装置100の電子回路を両側から囲った状態でケース部材同士が互いに結合された構造となっており、プラスチックケースを取り外して電子回路にアクセスするためには、ケース部材の結合部分やケース部材自体を破壊する必要がある。一般に、遊技ホールに設置される遊技機は、遊技機に細工をすることで遊技機を操作して賞球を払い出させたり、あるいは遊技機を誤動作させることで賞球を不正に獲得するなどの不正行為を受ける虞があるが、このようにプラスチックケースでメイン制御装置を覆っておけば、メイン制御装置100に細工をされた場合には、ケース部材の結合部分が破壊されていたり、ケース部材自体が破壊されていることによって細工がされたことを発見できる。これにより、たとえ不正行為を受けたとしても、被害の発生を未然に回避することが可能となる。
弾球遊技機10の背面側には、演出役物35を駆動するための演出役物駆動装置350や、メイン制御装置100やサブ制御装置200などの各装置に電力を供給するための電源装置240なども備えられている。また、背面側の上部には、遊技ホールに備えられた島設備から遊技球の供給を受ける遊技球タンク400が備えられている。この遊技球タンク400には、賞球の払い出しを行う払出装置(図示は省略)が接続されており、払出装置を払出制御装置410(図示は省略)によって駆動することにより、遊技球タンク400内の遊技球を弾球遊技機10の上皿13に払い出すことが可能である。
また、本実施例の弾球遊技機10の背面側には、ケーブルを接続可能な外部出力端子910が備えられている。一般に遊技ホールには、ホール内に設置した各遊技機の情報を集めるためのコンピュータ(ホールコンピュータ)が設置されており、本実施例の弾球遊技機10では、こうしたホールコンピュータからのケーブルを外部出力端子910に接続することにより、弾球遊技機10で行われている遊技に関連する各種の情報をホールコンピュータに対して送信することが可能となっている。例えば、発射ユニットから遊技球が発射されたことを示す信号や、アウト口50から遊技球が排出されたことを示す信号や、賞球を払い出したことを示す信号や、あるいは、払い出した賞球の数を示す情報などを送信することが可能である。ホールコンピュータでは、これらの情報を集めることで、遊技者が本実施例の弾球遊技機10に投入した遊技球の数と、遊技者が獲得した遊技球の数とを把握することが可能であり、延いては、本実施例の弾球遊技機10の収益状況を把握することが可能となる。
また、外部出力端子910は、上述したスルー作動口24や作動口25に遊技球が入球したことを示す信号を出力したり、あるいは、上述したセグメント式表示装置70(図4を参照)で図柄の変動表示を開始したことを示す信号や、変動表示を行っている最中であることを示す信号や、変動表示が終了したことを示す信号を出力することも可能である。
なお、図5に示されている様に、弾球遊技機10にはヒンジ部904を介して枠板902が取り付けられており、この枠板902を遊技ホールの島設備に固定することによって、弾球遊技機10を遊技ホールに設置することが可能である。また、弾球遊技機10を遊技ホールに設置した状態においても、ヒンジ部904を軸にして弾球遊技機10を前面方向に回転させることにより、こうした背面側の各装置にアクセスすることが可能である。
B.遊技の概要 :
本実施例の弾球遊技機10では、上述した各構成を用いて遊技の進行を制御するが、こうした制御の詳細を説明する前に、弾球遊技機10で行われる遊技の概要を説明しておく。
まず、遊技者が上皿13に遊技球を投入して発射ハンドル11を操作すると、上皿13から発射ユニットに供給された遊技球が、遊技盤20の遊技領域28に一球ずつ発射される。発射ユニットは、遊技球を発射する速度が発射ハンドル11の回転角に応じて変化するようになっており、このため、遊技者は発射ハンドル11の回転角を調整することで、遊技球が発射される位置の狙いをつけることが可能である。
遊技領域28に発射された遊技球は、釘22や風車23などによって進行方向を変えられながら、遊技盤20の盤面上を流下していく。このとき、遊技球は釘22や風車23などに阻まれながら時間をかけて流下していくので、遊技者は遊技球の動きを目で追うことにより、遊技球の動きを楽しんだり、あるいは、作動口25や小入賞口26などに遊技球が入球することを期待しながら遊技球を見守るなどして、遊技の興趣を楽しむことが可能である。
遊技盤20の盤面上を流下する遊技球がスルー作動口24に入球すると、前述したスルー用セグメント式表示装置80(図2を参照)において、図柄の変動表示が開始される。こうした図柄の変動表示は、変動表示を開始してから所定の時間(変動表示時間)が経過するまで継続され、変動表示時間が経過すると、今度は図柄が停止した状態で表示される。この図柄の停止表示の際に、予め定められた当たり図柄が表示されると、スルー図柄の当たりとなる。
本実施例の弾球遊技機10では、スルー図柄の当たりが発生すると、前述した作動口ユニット40の電動役物41が所定時間(例えば0.5秒)の間だけ開放状態となる(図3(b)を参照)。前述したように、電動役物41の開放状態では第2作動口25bに遊技球が入球し易いので、この所定時間の間は、遊技者にとっては第2作動口25bに遊技球を入球させ易い有利な状態となる。このようにスルー作動口24への入球に起因して遊技者に有利な状態を付与すれば、遊技者はスルー作動口24に遊技球が入球することを狙って遊技球の発射位置を調整したり、発射した遊技球がスルー作動口24に入球することを期待しながら遊技球の動きを追うことになるので、遊技の興趣を高めることが可能となる。なお、本実施例では、スルー図柄の当たりが発生すると、このように第2作動口25bへの入球が電動役物41によってサポートされることから、スルー図柄の当たりを「サポート当選」と呼ぶものとする。
前述したように、スルー用セグメント式表示装置80では、図柄の変動表示が所定の時間に渡って継続する。このため、図柄の変動表示を行っている間に、別の遊技球がスルー作動口24に入球する場合もある。この場合、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球の入球を保留(スルー作動口の保留)として蓄えておき、図柄の変動表示が終了した後に、保留しておいた分の変動表示を行う。また、蓄えることが可能な保留は一つに限らず、複数の保留を蓄えておくことが可能である。なお、本実施例の弾球遊技機10では、最大で4つの保留を蓄えることができるものとして説明する。
本実施例の弾球遊技機10では、スルー作動口の保留の数を、遊技盤20に設けられた表示ランプ82(図2を参照)によって確認することが可能である。図2に示されている様に、表示ランプ82は演出表示装置30の下方に4つ設けられており、4つの表示ランプ82のうちの点灯している表示ランプ82の個数が、スルー作動口の保留数に対応している。例えば、保留が一つも無い場合には、いずれの表示ランプ82も点灯していない状
態となる。そして、保留が1つ蓄えられている状態では、表示ランプ82の1つが点灯した状態となり、保留が2つ蓄えられた状態では、2つの表示ランプ82が点灯した状態となる。同様に、保留が3つ蓄えられた状態では3つの表示ランプ82が点灯し、保留が4つ蓄えられた状態では4つの表示ランプ82が点灯する。また、本実施例の弾球遊技機10では、保留数が増加するのにしたがって、表示ランプ82が左端の表示ランプ82から順に点灯していき、保留が消化されるのにしたがって、表示ランプ82が右側から順に消灯していく。これにより、保留が増減する様子を遊技者に直感的に把握させることが可能となり、遊技者が遊技の状況を把握する労力を軽減して遊技者が遊技をより楽しめるようになっている。
遊技盤20を流下する遊技球が作動口25(第1作動口25aあるいは第2作動口25b)に入球した場合は、セグメント式表示装置70(図4を参照)において、図柄の変動表示が開始される。このセグメント式表示装置70での図柄の変動表示も、上述したスルー用セグメント式表示装置80での図柄の変動表示と同様に、図柄の変動表示が所定の時間だけ継続し、その後、図柄が停止表示される。このとき、図柄が所定の当たり図柄で停止表示されると、「大当たり」となって弾球遊技機10は「大当たり遊技状態」に移行する。「大当たり遊技状態」では、遊技盤20に設けられた大入球口60が開放状態となり、遊技者は発射した遊技球を大入球口60に容易に入球させて多数の賞球を獲得することが可能となる。このように、大当たり遊技状態は遊技者にとって大変に有利な状態なので、遊技者は大当たり遊技状態が発生することを狙って遊技を行うことが通常である。
なお、セグメント式表示装置70の図柄が当たり図柄で停止するか否か(大当たり遊技状態が発生するか否か)は、弾球遊技機10のメイン制御装置100で行われる大当たり抽選によって決定される。こうした大当たり抽選については、後で説明する。また、作動口25に遊技球が入球すると、図柄の変動表示から停止表示までの一連の遊技が行われることから、この一連の遊技を、遊技の一単位と捉えることが可能である。このことから、本実施例では、作動口への入球から図柄の停止表示までの一連の遊技を「1遊技回」と呼ぶものとする。
大当たり遊技状態が開始されて大入球口60が開放状態になると、所定の時間が経過するか、あるいは所定の数の遊技球が大入球口60に入球するまで、大入球口60は開放状態を維持する。そして、所定の時間が経過するか、あるいは所定の数の遊技球が大入球口60に入球すると、大入球口60は閉鎖状態に戻る。大入球口60が開いてから閉じるまでの遊技は「ラウンド遊技」あるいは単に「ラウンド」と呼ばれる。大当たり遊技状態では、こうしたラウンドが所定の回数だけ繰り返し行われ、その後、大当たり遊技状態が終了する。
なお、大入球口60にはセンサ60sが設けられており、遊技球の入球を1球ずつ検出することができるので、検出した遊技球の数をカウントすることによって所定の数の遊技球が大入球口60に入球したことを検出可能である。ここで、センサ60sの位置や検出タイミングによっては、所定数の入球を検出したタイミングで大入球口60を閉じても、そのタイミングでは既に所定数よりも多くの遊技球が入球している場合がある。こうした場合には、遊技者は通常よりも多くの賞球を獲得することが可能となる。そこで、このように所定数よりも多くの遊技球が入球する場合が時折生じるように、センサ60sの検出タイミングやセンサ60sの位置を調整しておけば(例えば、センサ60sの位置を遊技盤20の表面よりも遊技球数個分だけ奥側に配置しておく)、遊技者は、できるだけ多くの遊技球が入球することを願いながら、大入球口60が閉まる瞬間まで大入球口60の動向に注目することになる。これにより、遊技者の興味をラウンド遊技により強く引きつけることが可能となる。また、このように所定の個数の遊技球が入球したことをセンサ60sで検出してから大入球口60を閉じる場合、所定数の遊技球が入球する前に大入球口6
0が閉じてしまうことがないので、少しの数の遊技球しか入球していないのに大入球口60が閉じたという不満を遊技者が抱く虞がなく、好適である。
一方、所定の時間が経過したら大入球口60を閉じる場合、遊技者は、大入球口60が閉じる前により多くの遊技球を大入球口60に入球させようとすることから、遊技球が大入球口60に向かうように発射ハンドル11を操作して狙いを付けようとする。これにより、遊技球を狙った場所に発射するという遊技の興趣を高めることが可能である。また、本実施例の弾球遊技機10では、大入球口60は風車23よりも遊技盤20の内側に設けられており(図2を参照)、このため、遊技球の進路が風車23によって内側に向けられると、大入球口60に入球しやすくなる。したがって、遊技者は風車23によって遊技球の進路が内側に向けられることを期待しながら遊技を行うことになり、その結果、遊技者の注意を風車23に引きつけて風車23の興趣を向上させることができる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、ラウンド数などが異なる複数の種別の「大当たり遊技状態」が発生可能であり、大当たりが発生した場合には、これら複数の種別のいずれかの大当たり遊技状態に移行する。ここで、以降の説明の理解を容易にするために、こうした各種別の大当たり遊技状態について説明しておく。
「2R大当たり遊技状態(あるいは単に2R大当たり)」は、上述したラウンドが2回繰り返し行われる大当たり遊技状態である。この大当たり遊技状態では、ラウンドが2回繰り返されると大当たり遊技状態が終了するので、大当たり遊技状態を迅速に終了することができる。弾球遊技機10では、遊技状態を次々と変化させることで遊技の興趣を向上させることが可能であるが、こうすると、遊技状態が迅速に変化することから、遊技の興趣を効果的に高めることが可能である。加えて、遊技がテンポ良く進む印象を遊技者に与えて、遊技の爽快感を向上させることが可能となる。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、後述するように、大当たり遊技状態が発生した後に、大当たりの発生確率を変更することが可能である。本実施例では、大当たりの発生確率が高確率に変更された状態(大当たりに当選しやすい状態)を「確率変動状態」あるいは「確変状態」と呼び、高確率に変更されていない状態を「非確率変動状態」あるいは「非確変状態」と呼ぶものとする。また、確変状態への移行を伴う大当たりを「確変大当たり」と呼び、それ以外の大当たりを「通常大当たり」と呼ぶものとする。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、「明示確変2R大当たり遊技状態(あるいは単に明示確変2R大当たり)」と「非明示確変2R大当たり遊技状態(あるいは単に非明示確変2R大当たり)」の2種類の2R大当たり遊技状態が実行可能である。これらの大当たり遊技状態は、いずれもラウンドが2回繰り返されるとともに、確変状態への移行を伴う大当たりであるが、確変状態に移行したことを遊技者が容易に認識できるか否かが異なる。詳しくは後述するが、例えば、「明示確変2R大当たり遊技状態」が発生した場合には、電動役物41(図3を参照)が、それまでは低頻度で開閉していたのに途端に頻繁に開閉し始めることによって、遊技者は確変状態が発生したことを認識できる。これに対して「非明示確変2R大当たり遊技状態」では、電動役物41の動作にそのような変化が起こらず、したがって、遊技者は確変状態が発生したことを容易に認識することは困難となっている。このため、「非明示確変2R大当たり遊技状態」では、遊技者に気付かせずに確変状態を発生させることが可能であり、延いては、いつのまにか確変状態が発生していたという驚きを遊技者に与えたり、あるいは、もしかしたら確変状態が発生しているかもしれないという期待感を遊技者に与えて、遊技の興趣を高めることが可能である。
「15R大当たり遊技状態(あるいは単に15R大当たり)」は、上述したラウンドが15回繰り返し行われる大当たり遊技状態である。この状態では、遊技者は多くのラウン
ド遊技を行うことができるので、多数の賞球を得ることができる。このため、遊技者は15R大当たり遊技状態が発生することを望む傾向があり、したがって、弾球遊技機10において15R大当たり遊技状態を発生可能としておくことにより、15R大当たりへの期待を遊技者に抱かせて遊技者の興味を弾球遊技機10に引きつけることが可能となる。
また、15R大当たり遊技状態についても、2R大当たり遊技状態と同様に、複数の態様の15R大当たり遊技状態があるものとしてもよい。本実施例の弾球遊技機10では、こうした15R大当たりとして、「通常15R大当たり遊技状態(あるいは単に通常15R大当たり)」と「確変15R大当たり遊技状態(あるいは単に確変15R大当たり)」の2種類の大当たり遊技状態が実行可能となっている。このうち、「確変15R大当たり」では、大当たり遊技状態が発生した後の所定のタイミングに(例えば、大当たり遊技状態が終了した際に)、大当たりの発生確率を高確率に変更する。こうすると、「確変15R大当たり」が発生した場合、大当たり遊技の後は大当たりに当選し易い状態となるため、遊技者にとってたいへんに有利な状態となる。また、大当たりの発生確率が高いことから、通常よりも少ない回数の大当たり抽選によって大当たりに当選することが可能となる。したがって、確変15R大当たりを発生可能としておくことにより、遊技者に、複数の大当たり遊技状態が短期間に発生して多数の遊技球を短時間で獲得できるのではとの期待感を抱かせて、遊技者を遊技に強く引きつけることが可能である。加えて、確変15R大当たりが実際に発生した際には、遊技者の達成感が大きく高揚されるので、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。
一方、「通常15R大当たり遊技状態」では、大当たり遊技状態の終了後に確変状態への移行は行わない。また、通常15R大当たり遊技状態が発生した際に確変状態であった場合には、確変状態から非確変状態に移行する。こうすれば、確変状態から非確変状態に変更することによって遊技者に有利な確変状態が終了したとしても、大当たり遊技状態が発生したことにより、遊技者が大きく失望してしまうのを防ぐことができる。これにより、遊技者の興味を大きく損なうことなく、確変状態から非確変状態に移行することが可能となる。
なお、前述したように、これらの大当たり遊技状態が発生すると大入球口60が開いて遊技球が入球可能となるが、このときの大入球口60の開閉の態様を、上述した各大当たりの種別に応じて異ならせてもよい。例えば、非明示確変2R大当たりの場合には、大入球口60を短時間(例えば0.2秒)だけ開けるものとしてもよい。こうすれば、大入球口60を開閉させても、遊技者は大入球口60が開閉したことに気付き難いので、大入球口60の開閉に起因して遊技者が大当たりの発生を認識してしまう虞を低減することができる。したがって、前述したように非明示確変2R大当たりの発生後に確変状態に変更してやれば、いつのまにか確変状態になっていたという驚きを遊技者により確実に与えることが可能となる。あるいは、1つの大当たり種別に対して複数の開閉態様を実行可能とすることも可能である。例えば、通常15R大当たりの場合に、開放時間が短いラウンドを15回繰り返す態様と、それよりも開放時間が長いラウンドを15回繰り返す態様とのいずれの態様で実行するかを抽選により決定するものとしてもよい。こうした場合、遊技者は大入球口60がいずれの態様で開閉を開始するか注目しながら大当たり遊技状態の開始を待つことになるので、大当たりに当選したことで遊技者が安心して遊技に対する興味が低下してしまう虞を回避することが可能である。
また、明示確変2R大当たりの場合も非明示確変2R大当たりと同様に、大入球口60を短時間だけ開くものとしてもよい。そして、明示確変2R大当たりの場合には、大入球口60が開閉動作を行った後に、電動役物41が開閉動作を頻繁に行う遊技状態に移行するものとしてもよい。こうすると、確変状態の発生を、大入球口60の開閉によって気付かせるのではなく、電動役物41の動作によって遊技者に気付かせることができる。前述
したように、電動役物41はスルー作動口24への入球に起因して開閉することがあるので、遊技者は、スルー作動口24への入球に起因して電動役物41が開閉したのか、それとも大当たりの発生に起因して電動役物41が開閉したのかを、即座に識別することは困難である。したがって、明示確変2R大当たりが発生したのではとの期待を遊技者に抱かせるとともに、遊技者の興味を電動役物41に引きつけることが可能となり、その結果、遊技の興趣を高めることが可能となる。
一方、通常15R大当たりや、確変15R大当たりの場合には、2R大当たりの場合よりも長い時間に渡って(例えば30秒間程度)、大入球口60を開けるものとしてもよい。こうすれば、遊技者は大入球口60が開いたことを十分に認識できるとともに、大入球口60に遊技球が入球する様子を視認することで、大当たりが発生したことによる高揚感をいっそう楽しむことが可能となる。また、遊技球が大入球口60に入球する様子を視認できることから、遊技球が大入球口60に入球するように発射ハンドル11を操作して狙いを付ける遊技をいっそう楽しむことが可能となる。
なお、本実施例では、大入球口60が開閉を繰り返し行う動作状態(遊技状態)を「開閉モード」と呼ぶ。また、大入球口60が短時間だけ開く上述した態様は、遊技球が入球し難いことから「低頻度入球モード」と呼び、大入球口60が低頻度入球モードよりも長い時間に渡って開く上述した態様は、低頻度入球モードよりも遊技球が入球し易いことから「高頻度入球モード」と呼ぶものとする。
また、電動役物41が開閉を繰り返し行う動作状態(遊技状態)は、第2作動口25bへの入球を促している状態であることから、「サポートモード」と呼ぶものとする。更に、電動役物41についても大入球口60と同様に、電動役物41が開いている時間を短くすれば遊技球が入球し難くなり、逆に電動役物41が開いている時間を長くすれば遊技球が入球し易くなる。したがって、電動役物41が開く時間を変化させることで、第2作動口25bへの入球のし易さを変化させることが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、電動役物41が開く時間が異なる2つの種別のサポートモードが実行可能となっており、2つの種別のサポートモードのうち、電動役物41が開放状態を維持する時間(開放時間)が他方のサポートモードよりも短いサポートモードを「低サポートモード」と呼び、電動役物41の開放時間が他方のサポートモードよりも長いサポートモードを「高サポートモード」と呼ぶものとする。
なお、こうしたサポートモードでは、電動役物41の単位時間あたりの開放回数を変化させれば、第2作動口25bへの入球のし易さを変えることが可能である。このことから、複数の種別のサポートモードを備えた場合には、単位時間あたりの電動役物41の開閉回数を各サポートモードの間で異ならせてもよい。本実施例の弾球遊技機10では、高サポートモードの方が低サポートモードよりも電動役物41の単位時間あたりの開閉回数が多くなっており、こうすることで、高サポートモードでは第2作動口25bへの入球を低サポートモードよりも容易としている。
また、大当たり遊技状態の終了後にサポートモードを開始する場合、開始するサポートモードの種別を大当たりの種別に応じて異ならせてもよい。あるいは、大当たりの種別によっては、サポートモードを開始しないものとしてもよい。また、サポートモードの実行中に大当たりに当選する場合もあるが、こうした場合には、大当たり遊技状態の終了後に、サポートモードの種別を変更するものとしてもよい。こうすれば、大当たり遊技状態の発生に起因して電動役物41の動作態様に変化を生じさせることができる。本実施例の弾球遊技機10では、「通常15R大当たり」の場合や「確変15R大当たり」の場合や「明示確変2R大当たり」の場合には、高サポートモードを開始する(低サポートモード中にこれらの大当たりに当選した場合には、サポートモードを高サポートモードに切り替え
る)ものとし、「非明示確変2R大当たり」の場合には、高サポートモードを開始しない(低サポートモード中に非明示確変2R大当たりに当選した場合には、サポートモードを高サポートモードに切り替えずに低サポートモードを継続する)ものとしている。
上述したように、本実施例の弾球遊技機10では、作動口25に遊技球が入球するとセグメント式表示装置70で図柄の変動表示と停止表示とが行われ、図柄が所定の当たり図柄で停止表示されると、大当たり遊技状態へと移行する。この図柄の変動表示および停止表示の際には、セグメント式表示装置70だけでなく、演出表示装置30の液晶ディスプレイ装置においても種々の画像や図柄が表示されて演出が行われる。
図6は、演出表示装置30において演出画像が表示されている様子を例示した説明図である。図6(a)に示されている様に、本実施例の弾球遊技機10では、数字が付されたキャラクタ図柄32が演出表示装置30に表示される。キャラクタ図柄32は、演出表示装置30の縦方向に3つの段(図中に「上段」「中段」「下段」と示した各段を参照)に分かれて各段で横一列に並んでいる。また、各段のキャラクタ図柄32とキャラクタ図柄32との間には、副図柄34が描かれている。そして、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示が行われる際には、各段のキャラクタ図柄32および副図柄34が、横一列に並んだ状態を保ちながら演出表示装置30の横方向に移動する様子が表示される。
前述したように、セグメント式表示装置70では、図柄の変動表示が開始されてから所定の変動時間が経過すると、図柄が停止表示される。このとき、演出表示装置30においても、横方向に移動していたキャラクタ図柄32および副図柄34が停止して、キャラクタ図柄32および副図柄34が停止表示される。ここで、本実施例の弾球遊技機10では、キャラクタ図柄32および副図柄34の停止表示の態様を、セグメント式表示装置70での図柄の停止表示の態様に対応させることが可能となっている。例えば、セグメント式表示装置70において大当たりに対応する図柄が停止表示された場合には、これに対応させて、演出表示装置30では、同一の数字が付されたキャラクタ図柄32が一列に並んだ状態で停止表示される。
図6(b)には、同一の数字が付されたキャラクタ図柄32が縦方向に一列に並んだ状態で停止表示されている様子が例示されている。図示されている様に、図中に「L1」と示されたライン上に、数字の「3」が付されたキャラクタ図柄32が並んで表示されている。このように同じ数字が付されたキャラクタ図柄32を並べて表示すれば、大当たりが発生したことを遊技者に容易に認識させることが可能である。
また、キャラクタ図柄32を停止表示させる際には、上段、中段、下段の各段を同時に停止させてもよいが、それぞれの段を異なるタイミングで停止させてもよい。例えば、まず上段および下段を停止表示し、最後に中段を停止表示する。このとき、上段と下段とで同じキャラクタ図柄32を一列に並べた状態で停止させれば、中段でも同じキャラクタ図柄32が停止して大当たり状態が発生するのではとの期待を遊技者に抱かせることができるので、遊技の興趣を高めることが可能となる。なお、本実施例では、このように2つの段の図柄を揃えて停止表示させる表示態様をリーチ表示とよび、リーチ表示を用いた演出をリーチ演出と呼ぶものとする。
また、図6(b)では、「L1」と示したライン上に同じキャラクタ図柄32が並んだ態様を例示したが、キャラクタ図柄32が一列に並ぶ態様はこの態様に限らず、種々の態様が可能である。すなわち、本実施例の弾球遊技機10の演出表示装置30では、図6(b)に示されている「L1」から「L5」までの5つのラインのいずれかのライン上に同じキャラクタ図柄32を並べて停止表示することが可能となっている。このように複数のラインのいずれに並んだ場合も、大当たり遊技状態の発生に対応するものとしておけば、
多数のラインのいずれかのライン上には同じ図柄が並ぶのではとの期待を遊技者に抱せることができるので、遊技者の期待感をいっそう向上させて遊技の興趣を高めることが可能である。
また、キャラクタ図柄32を停止表示させる際には、大当たりの種別に応じて、異なる態様で停止表示させるものとしてもよい。例えば、確変15R大当たりなどの確変状態に移行する大当たり(確変大当たり)では、「1」や「3」などの奇数が付されたキャラクタ図柄32を一列に揃えて停止表示させ、通常15R大当たりなどの非確変状態に移行する大当たりでは、「2」や「4」などの偶数が付されたキャラクタ図柄32を一列に揃えて停止表示するものとしてもよい。こうすれば、確変状態へ移行する大当たりであることや、非確変状態へ以降する大当たりであることを、演出表示装置30によって遊技者に認識させることも可能となる。
これとは逆に、非明示確変2R大当たりの場合には、キャラクタ図柄32を一列に揃えないものとしてもよい。こうすれば、大当たりが発生したことを遊技者が演出表示装置30によって知ってしまう虞を回避して、いつのまにか大当たり遊技状態が発生していたという驚きや、いつのまにか確変状態に移行していたという驚きをより確実に与えることが可能となる。
演出表示装置30は、遊技盤20の中央付近に設けられ、サイズも大きいので、遊技者の目にとまりやすい。このため、遊技者は演出表示装置30を見ながら遊技を行うことが通常である。したがって、演出表示装置30を用いることで演出を効果的に行うことが可能である。また、演出表示装置30は面積が大きい上に液晶ディスプレイ装置の画素数を多くするなどして精細な画像を表示することが可能なので、高品質な映像を表示することができる。こうした高品質な画像を表示すれば、演出の効果をいっそう高めることが可能である。
また、作動口25に遊技球が入球した場合、演出表示装置30での演出や、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示を行うだけでなく、賞球を払い出すものとしてもよい。こうすると、作動口25に遊技球が入球すると図柄の変動表示が始まって大当たり状態に移行する可能性が生じるだけでなく、賞球を得ることもできるので、遊技者は作動口25に入球することをより強く望みながら遊技を行うことになる。このため、作動口25に遊技球が入球するか否かに遊技者をいっそう注目させることができ、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。更には、払い出した賞球の分だけ遊技者は遊技を長く行うことができるので、遊技者を遊技により長く引きつけておくことが可能となる。本実施例の弾球遊技機10では、第1作動口25aへの入球に対しては「3個」の賞球を払い出し、第2作動口25bへの入球に対しては「4個」の賞球を払い出すものとしている。
演出表示装置30やセグメント式表示装置70で図柄の変動表示を行っている間に遊技球が作動口25に入球した場合には、スルー作動口24の場合と同様に、遊技球の入球を保留(作動口の保留)として蓄えておき、図柄の変動表示が終了した後に、保留していた分の変動表示を行う。本実施例の弾球遊技機10では、遊技盤20に設けられた表示ランプ83a(図2を参照)によって第1作動口25aの保留数を確認可能であり、同様に、表示ランプ83bによって第2作動口25bの保留数を確認可能である。図2に示されている様に、表示ランプ83aおよび表示ランプ83bはそれぞれ4つずつ設けられており、これらのうちの点灯している表示ランプの個数が、それぞれの作動口の保留数に対応している。すなわち、保留が1つも無い場合には、いずれの表示ランプも消灯した状態となり、保留が1つ存在する状態では、表示ランプの1つが点灯した状態となる。同様に、保留が2つ存在する状態では、2つの表示ランプが点灯した状態となり、保留が3つ存在する状態では3つの表示ランプが、保留が4つ存在する状態では4つの表示ランプが、それ
ぞれ点灯状態となる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、保留数が増加するのにしたがって、左端の表示ランプから順に表示ランプが点灯していき、保留が消化されるのにしたがって、右側から順に表示ランプが消灯していく。これにより、保留が増減する様子を遊技者に容易に把握させることが可能である。保留数が多いほど大当たり抽選を行う回数が多いことから、遊技者は保留数が多い状態を望む傾向があるので、このように保留数が増減する様子をわかりやすく表示することで、保留数の増減に伴う遊技の興趣を遊技者にいっそう楽しませることが可能となる。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、こうした保留数の表示を演出表示装置30で行うことも可能である。すなわち、図6(a)に示されているように、演出表示装置30の一部の領域(第1作動口保留表示エリアおよび第2作動口保留表示エリア)に意匠図柄を表示することにより、演出表示装置30を用いて保留数を表示することが可能である。ここで、図中の「第1作動口保留表示エリア」は、第1作動口25aの保留数を表示するための領域であり、図示されているように、第1エリアa1、第2エリアa2、第3エリアa3、第4エリアa4の4つの表示エリアから構成されている。そして、第1作動口25aの保留数と同数の意匠図柄を表示エリアの左から順に表示することにより、第1作動口25aの保留数を表示することが可能である。
例えば第1作動口25aの保留数が「2」であれば、これに対応して、第1作動口保留表示エリアの左から2つのエリア(第1エリアa1及び第2エリアa2)に意匠図柄を表示することで、第1作動口25aの保留数が「2」であることを表示可能である。第2作動口保留表示エリアについても同様に、第1エリアb1、第2エリアb2、第3エリアb3、第4エリアb4の4つの表示エリアから構成されており、第2作動口の保留数に対応する数の意匠図柄を表示エリアに表示することにより、第2作動口25bの保留数を表示することが可能である。
図2に示されているように、遊技盤20には、小入賞口26も設けられている。遊技球が小入賞口26に入球した場合、本実施例の弾球遊技機10では、所定の数の遊技球を賞球として上皿13に払い出す。このように小入賞口26への入球に伴って賞球を払いだせば、たとえ小入賞口26への入球時に大当たり抽選が行われなくても、遊技者は小入賞口26へ遊技球が入球することを期待しながら遊技を行う傾向がある。したがって、小入賞口26を設けることにより、大当たり抽選の回数を増やすことなく、遊技者の興味を遊技に引きつけて遊技の興趣を高めることが可能である。
また、小入賞口26を、作動口25よりも遊技盤20の下方に設けておけば、作動口25に遊技球が入球しなくても、小入賞口26に入球する可能性があるので、遊技球が作動口25に入球しなかったことにより遊技者の興味がそがれてしまうのを回避することができる。これにより、遊技者を遊技により強く引きつけておくことが可能となる。
一方、スルー作動口24や作動口25などの入球口のいずれにも遊技球が入球しなかった場合には、遊技球は遊技盤20の下部に設けられたアウト口50に回収されて遊技盤20の外に排出される。この場合、遊技者は賞球を獲得することができない。このように弾球遊技機10では、遊技者が遊技球を発射して遊技盤20上の作動口25や小入賞口26に入球させる遊技が行われ、こうした遊技の進行に伴って賞球が払い出されたり、各種の演出が行われながら遊技が進行する。以下では、かかる遊技を制御する制御装置の詳細な構成について説明する。
C.制御装置の構成 :
図7は、弾球遊技機10の制御装置の構成を示したブロック図である。図示されているように、遊技機の制御装置は、メイン制御装置100や、サブ制御装置200や、表示制御装置300などから構成されている。メイン制御装置100は、上述した大当たり抽選を行ったり、大当たり抽選の結果に応じて大当たり遊技状態への移行を行うなど、主として遊技の進行を制御する役割を果たす。また、サブ制御装置200や払出制御装置410に各種の動作を指令するコマンドを送信することにより、これらの装置に各種の動作を実行させる。なお、図7では、データや信号を入出力する方向を黒色の矢印で示している。
C−1.メイン制御装置の構成 :
メイン制御装置100には、演算装置104やROM110やRAM140などが搭載されたワンチップタイプのMPU102が備えられている。MPU102のチップの内部では演算装置104やROM110やRAM140が互いにバス接続されており、これらの間でデータを相互に送受信可能である。MPU102は、こうしたバス接続を用いてROM110からプログラムを読み出すとともに、読み出したプログラムに記述された各種の命令を演算装置104において実行することが可能である。加えて、加算や減算などの算術計算を演算装置104を用いて実行することも可能である。また、MPU102には、読み込んだプログラムを一時的に格納するプログラムレジスタや、演算装置104において実行中の命令のアドレス(プログラム内でのアドレス)を記憶するプログラムカウンタや、演算装置104での演算に用いる各種のデータを格納するワーキングレジスタなども備えられており、これらの構成を用いてプログラムを適切に実行することが可能となっている。
また、MPU102は、実行中のプログラムに対して一定の時間間隔で割り込みを発生させるタイマ割り込み機能を有している。MPU102は、タイマ割り込み機能による割り込みが発生すると、プログラムの実行を中断するとともに、プログラムカウンタの値をMPU102内のスタックメモリに格納する。また、ワーキングレジスタ等の各レジスタの値についても、MPU102内のメモリに格納する。そして、割り込んで実行するプログラムの先頭アドレスをMPU102のプログラムレジスタから取得してそのプログラムを実行する。また、割り込んで実行したプログラムが終了すると、MPU102内のスタックメモリに格納しておいたプログラムレジスタの値を読み出すとともに、MPU102内のメモリに格納しておいた各レジスタの値をそれぞれのレジスタに戻す。そして、元のプログラムを、プログラムレジスタに格納されたアドレスから実行開始することにより、元のプログラムを続きから再開することが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、かかるタイマ割り込み機能を用いて、スルー作動口24への入球を検出する処理や作動口25への入球を検出する処理などを実行する。
ROM110には、各種のデータを記憶可能な記憶エリアが複数備えられており、このうち、プログラムエリア111には、MPU102が実行するプログラムが記憶されている。また、プログラムの先頭アドレスなどのプログラム実行時に必要な種々のデータもプログラムエリア111に記憶されている。MPU102は、ROM110のプログラムエリア111からこれらのプログラムやデータを読み出してプログラムを実行することにより、弾球遊技機10の制御を行う。
ROM110の抽選テーブルエリア112には、メイン制御装置100によって大当たり抽選が行われる際に参照される「大当たり抽選テーブル」が記憶されている。本実施例の弾球遊技機10の大当たり抽選テーブルには、「0」から「599」までの各数値と、各数値に対する大当たり抽選の当否結果が対応付けられており、「0」から「599」までのいずれかの数値を大当たり乱数カウンタから取得して大当たり抽選テーブルを参照することにより、取得した数値に対する大当たり抽選の当否を判定することが可能である。
振り分けテーブルエリア113には、大当たりが発生した際に参照される「振り分けテーブル」が記憶されている。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、非明示確変2R大当たりや通常15R大当たりなどの複数の種別の大当たり遊技状態を発生可能である。このため、大当たりが発生した際には、振り分けテーブルを参照することにより、これらの大当たり遊技状態のうちのいずれの大当たり遊技状態を実行するかを決定する。
停止態様テーブルエリア114には、セグメント式表示装置70において図柄を停止表示させる際に参照する「停止態様テーブル」が記憶されている。停止態様テーブルには、セグメント式表示装置70の各LEDを点灯させるか否かがLEDごとに定められており、停止態様テーブルにしたがって各LEDを点灯あるいは消灯させることで、セグメント式表示装置70に所定の停止図柄を表示することが可能である。
変動表示時間テーブルエリア115には、セグメント式表示装置70において図柄の変動表示を行う時間(変動表示時間)が設定された「変動表示時間テーブル」が記憶されている。この変動表示時間テーブルには、長さが異なる複数の変動表示時間が、それぞれの変動時間を識別する番号が付された状態で設定されている。図柄の変動表示を行う際には、変動表示時間の番号を決定した後に、変動表示時間テーブルを参照してその番号に対応する変動表示時間を読み出すことにより、図柄の変動表示時間が決定される。
コマンド情報記憶エリア116には、メイン制御装置100がサブ制御装置200や払出制御装置410などに送信する各種のコマンドが記憶されている。本実施例の弾球遊技機10では、これらのコマンドは所定のデータ長(バイト数)からなるバイナリデータであり、このため、ROM110上に記憶しておくことが可能である。このようにROM110上にコマンドを記憶しておけば、メイン制御装置100がサブ制御装置200や払出制御装置410などにコマンドを送信する際には、記憶しておいたコマンドを読み出してサブ制御装置200や払出制御装置410に送信すればよい。こうすれば、コマンドを送信する度にコマンドを新たに生成する必要がないので、コマンドを迅速に送信することが可能である。
なお、上述したROM110の各記憶エリアの分類は、記憶する内容に着目して分類したものであり、これらの記憶エリアがROM110上で実際に分けられて構成されている必要は必ずしもない。もちろん、ROM110上で実際に分けて構成することも可能である。例えば、ROM110のアドレス空間において、各記憶エリアごとにアドレスを分けて構成してもよいし、あるいは、いわゆるバンク構造を用いて、各記憶エリアをそれぞれ異なるバンクに割り当てるものとしてもよい。このように各記憶エリアをROM110上で実際に分けて構成すれば、各々の記憶エリアのデータがまとめられた状態でROM110に記憶されるので、各記憶エリアからデータをより迅速に読み出すことが可能となる。
メイン制御装置100のRAM140は、遊技の進行に用いられる各種のデータを一時的に記憶しておくことが可能なランダムアクセスメモリーである。RAM140もROM110と同様に、演算装置104とバス接続されており、MPU102は演算装置104のデータをRAM140に格納したり、RAM140のデータを読み出して演算装置104に転送することが可能である。また、ROM110からデータを読み出してRAM140にデータを書き込むことにより、ROM110のデータをRAM140に格納することも可能である。更に、RAM140とROM110とがバス接続されていることから、ROM110のデータをRAM140に格納する際には、ROM110のデータを演算装置104を介さずにRAM140に直接書き込むことも可能である。こうすれば、ROM110のデータをより迅速にRAM140に書き込むことが可能であり、また、ROM110のデータをRAM140に書き込む際の演算装置104の処理負担を軽減することが可能である。
なお、図7では図示を省略しているが、メイン制御装置100には、バックアップ装置も備えられている。このバックアップ装置は、電源装置240からメイン制御装置100に供給される電圧を監視するとともに、電圧が所定の電圧を下回ると、停電が発生したものと判断してメイン制御装置100に停電通知信号を送信する。メイン制御装置100は停電通知信号を受信すると、大入球口60を閉じる等の停電時処理を行うとともに、MPU102の動作を停止する。このとき、RAM140にはバックアップ用のコンデンサからバックアップ電圧が供給されるようになっており、こうすることで、RAM140に記憶されたデータを停電中もそのまま保持することが可能となっている。バックアップ用のコンデンサは静電容量が大きく、また、RAM140は記憶状態を維持するだけであればそれほど大きな電力を必要としないので、このようにバックアップ用のコンデンサから電圧を供給することにより、RAM140の記憶状態を長い時間に渡って保つことが可能である。その結果、停電から回復した際には、RAM140の記憶状態が元の状態に復元された状態で動作を再開することが可能となる。
RAM140は、記憶するデータの内容や、記憶したデータにより実現される機能に着目すると、図7に示されているように、複数の記憶エリア(カウンタエリア141、保留記憶エリア142、フラグエリア143、電動役物保留エリア144、コマンドバッファ145、汎用エリア146)を備えていると捉えることが可能である。これらの記憶領域を使用する処理の詳細については後述するが、理解を容易にするために、各記憶エリアについて簡単に説明しておく。
「カウンタエリア141」には、大当たり抽選の当否判定に用いる大当たり乱数カウンタや、大当たりの種別を決定する際に用いる大当たり種別カウンタなどが備えられている。本実施例の弾球遊技機10では、大当たり乱数カウンタの値を取得するとともに、ROM110の抽選テーブルエリア112に記憶された大当たり抽選テーブルを参照することにより、大当たり抽選の当否判定を行うことが可能である。また、大当たり種別カウンタの値を取得するとともに、ROM110の振り分けテーブルエリア113に記憶された振り分けテーブルを参照することにより、大当たり種別を決定することが可能となっている。
「保留記憶エリア142」は、作動口25への入球を保留として記憶するための記憶エリアである。すなわち、本実施例の弾球遊技機10では、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示を行っている最中に、別の遊技球が作動口25に入球した際には、入球を保留として記憶すべく、大当たり乱数カウンタや大当たり種別カウンタから値を取得して保留記憶エリア142に記憶する。また、本実施例では、第1作動口25aと第2作動口25bの2つの作動口を備えていることに対応して、保留記憶エリア142には、「第1作動口保留記憶エリア」と「第2作動口保留記憶エリア」の2つの保留記憶エリアが設けられており、それぞれの作動口に対する保留を個別に記憶することが可能となっている。
「フラグエリア143」は、遊技の進行に伴う遊技状態の変化や、大当たりの発生などを契機としてONあるいはOFFに設定される各種のフラグを保持するためのエリアである。例えば、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、通常15R大当たりや確変15R大当たりなどの複数の種別の大当たり遊技状態に移行可能であるが、こうした各種別の大当たりに対応して、「通常15R大当たりフラグ」や「確変15R大当たりフラグ」がフラグエリア143に設けられている。そして、大当たりが発生した場合には、その大当たりの種別に対応する大当たりフラグがセットされる(ONに設定される)。また、大当たり遊技状態が終了すると、対応する大当たりフラグがリセットされる(OFFに設定される)。このため、各大当たりフラグを参照することにより、大当たり遊技状態か否かを判断したり、大当たり遊技状態がどの種別の大当たり遊技状態なのかを判断すること
が可能である。
「電動役物保留エリア144」は、スルー作動口24への入球を保留として記憶するためのエリアである。すなわち、前述したようにスルー作動口24に遊技球が入球した際にはスルー用セグメント式表示装置80で図柄の変動表示が行われるが、図柄の変動表示を行っている間に遊技球がスルー作動口24に入球した場合には、入球を保留として記憶する。電動役物保留エリア144は、こうした保留を記憶するための記憶エリアである。電動役物開放カウンタ141fから読み出された数値は、電動役物保留エリア144にいったん格納され、図柄の変動表示が終了すると、電動役物保留エリア144から数値が読み出されて図柄の変動表示が行われることによって保留が消化される。
「コマンドバッファ145」は、メイン制御装置100に接続された周辺の各装置(サブ制御装置200や電動役物駆動部42や大入球口駆動部62など)に送信するコマンドを一時的に記憶しておくバッファ領域である。弾球遊技機10のメイン制御装置100は、遊技の進行に応じて各種のコマンドをコマンドバッファ145に格納し、所定のタイミングでサブ制御装置200や電動役物駆動部42などにコマンドを出力することにより、これらの各装置の動作を制御することが可能である。
「汎用エリア146」は、メイン制御装置100が遊技を制御する際に各種のデータを一時的に記憶したり、演算装置104の演算結果を一時的に格納することが可能な汎用的な記憶領域である。メイン制御装置100のMPU102は、遊技を制御する各種のプログラムを実行する際に、この汎用エリア146を適宜使用することにより、処理を的確に実行することが可能となっている。
前述したように、メイン制御装置100はこれらの各構成を用いて遊技の進行を制御する。このとき、メイン制御装置100に接続された各種のセンサ(11sなど)や払出制御装置410からの信号に応じて、各種の処理を行う。また、メイン制御装置100に接続されたサブ制御装置200や電動役物駆動部42などの各装置に向けて、メイン制御装置100から各種のコマンドを送信することにより、これらの各装置の動作を制御する。以下では、メイン制御装置100に接続されたこれらの周辺装置の構成について説明する。
C−2.周辺装置の構成:
サブ制御装置200は、メイン制御装置100から送信されてくるコマンドを受信してコマンドに応じた各種の制御を行う制御装置であり、主として、遊技に伴う各種の演出を制御する役割を果たす。詳細な説明は省略するが、サブ制御装置200もメイン制御装置100と同様に、MPUやROMやRAMを備えており、これらの各装置を用いて各種の処理を実行可能である。また、サブ制御装置200には表示制御装置300が接続されており、サブ制御装置200からの命令に従って表示制御装置300が各種の演出画像や演出図柄を演出表示装置30に表示することにより、演出表示装置30を用いた演出を実行することが可能である。
サブ制御装置200は、メイン制御装置100からコマンドを受け取ると、コマンドを解析してコマンドに含まれる各種の情報を取得し、取得した情報に応じて各種の演出処理を行う。例えば、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間や図柄の変動パターンに関する情報を含むコマンド(後述する「変動開始コマンド」)を受信すると、表示制御装置300に指示を送ることにより、表示制御装置300に接続された演出表示装置30に演出図柄を変動表示させる。このとき、メイン制御装置100から送られてくるコマンドには、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示時間に関する情報が含まれていることから、サブ制御装置200は、演出表示装置30での演出図柄の変動表示を、セグメ
ント式表示装置70での図柄の変動表示に合わせて実行させることが可能である。また、セグメント式表示装置70での図柄の停止表示にあわせて、演出表示装置30での演出図柄の変動表示を停止させる(確定表示させる)ことも可能である。
また、前述したように、本実施例の弾球遊技機10ではリーチ演出が可能であるが、こうしたリーチ演出についても、メイン制御装置100からのコマンドに応じてサブ制御装置200が所定の処理を行うことにより実現される。すなわち、サブ制御装置200はメイン制御装置100から変動開始コマンドを受信すると、変動開始コマンドに含まれる変動表示時間に関する情報に基づいて、リーチ演出を行うのに必要な時間があるか否かを判断する。そして、リーチ演出を実行可能であると判断した場合には、実際にリーチ演出を行うか否かを決定し、リーチ演出を行う場合には、表示制御装置300に所定のコマンドを送信することによって演出表示装置30でリーチ演出を実行する。こうしたリーチ演出だけでなく、その他の種々の演出についても、メイン制御装置100からサブ制御装置200にコマンドが送信されることによって実現される。
表示制御装置300は、メイン制御装置100やサブ制御装置200と同様に、MPUやROMやRAMなどを搭載した制御回路を備えており、これらの各構成を用いて種々の処理を実行可能である。また、演出表示装置30に表示する種々の画像の画像データを予め記憶している。これらの画像データは各種のエンコード処理が施された状態で記憶されており、こうすることで、画像データを記憶しておく記憶領域が過大になってしまう事態を回避している。表示制御装置300は、エンコード処理された画像データをMPUやデコード用LSIなどを用いてデコード処理し、デコード処理した画像データを演出表示装置30に出力する。こうすることにより、エンコード処理された画像データであっても、演出表示装置30に迅速に表示することが可能となっている。
図7に示されている様に、メイン制御装置100には、サブ制御装置200だけでなく、スルー作動口24や作動口25などに設けられた各センサも接続されている。こうした入球口に設けられた各センサは、遊技球の入球を検出するとメイン制御装置100に信号を送り、これを受けて、メイン制御装置100に設けられたラッチ回路(図示は省略)がラッチ状態になることにより、遊技球の入球を記憶する。メイン制御装置100のMPU102は、このラッチ回路の状態を読み出すことにより、スルー作動口24や作動口25への入球を検出することが可能である。
電動役物駆動部42は、電動役物41を開閉するアクチュエータや、アクチュエータを駆動する駆動回路などから構成されている。メイン制御装置100は、電動役物駆動部42に信号を送信して電動役物駆動部42を動作させることにより、電動役物41を開閉することが可能である。また、大入球口駆動部62も電動役物駆動部42と同様に、大入球口60を開閉するアクチュエータや、アクチュエータを駆動する制御回路などから構成されており、大入球口駆動部62に信号を送信することで大入球口60を開閉することが可能である。
メイン制御装置100には、前述したセグメント式表示装置70も接続されている。このため、メイン制御装置100はセグメント式表示装置70に信号を出力してセグメント式表示装置70での図柄の変動表示や停止表示を行うことが可能である。
払出制御装置410は、前述したように遊技球タンク400(図5を参照)に接続された払出装置を制御する装置であり、払出制御装置410を介して払出装置を動作させることによって、遊技球タンク400内の遊技球を弾球遊技機10の上皿13(図1を参照)に払い出すことが可能である。メイン制御装置100は、この払出制御装置410を介して払出装置を動作させることにより、スルー作動口24や作動口25などの作動口への入
球に対する賞球や、小入賞口26や大入球口60などの入賞口への入球に対する賞球を払い出す。また、払出装置には、払い出した遊技球の数を計数するカウンタが備えられており、メイン制御装置100は払出制御装置410を介してこのカウンタを参照することによって、入球口ごとに定められた所定数の遊技球が払い出されたことを確認することが可能である。更に、払出装置には、遊技球タンク400内が空の場合や、遊技球を払い出す通路が詰まるなどして遊技球の払い出しが正常に行えない場合などの異常を検出する異常センサが設けられている。メイン制御装置100は異常センサの出力信号を調べることにより、賞球の払い出し状況に異常が生じているか否かを検知することも可能である。
図7に示されているように、メイン制御装置100には、外部出力端子910も接続されている。前述したように、外部出力端子910は弾球遊技機10の背面側に設けられており、遊技ホールに設置されたホールコンピュータからのケーブルを外部出力端子910に接続することが可能である(図5を参照)。ホールコンピュータからのケーブルを外部出力端子910に接続した状態でメイン制御装置100から外部出力端子910に向けて信号を出力してやれば、外部出力端子910を介してホールコンピュータに各種の信号を送信することが可能となる。
外部出力端子910には各種の信号を出力することが可能であるが、本実施例の弾球遊技機10では、大当たりが発生したことを示す「大当たり信号」を送信することが可能となっている。また、大当たり信号を出力する際の態様としては種々の態様を採用することが可能であるが、簡単には、大当たり抽選の結果が大当たりとなったらパルスを出力すればよい。こうすれば、ホールコンピュータはパルスを検出することにより、大当たりが発生したことを容易に検出することができる。あるいは、大当たりが発生した際に一時的に信号を出力するのではなく、大当たりが発生して大当たり遊技状態が継続している間に信号を出力し続けるものとしてもよい。例えば、大当たり遊技状態でない間は電圧レベルを低レベル(「Low」の状態)に保ち、一方、大当たり遊技状態の継続中は電圧レベルを高レベル(「High」の状態)に保つ。こうすれば、ホールコンピュータは電圧レベルの変化を検出することにより、大当たりが発生したことを検出可能である。加えて、電圧レベルが現在の遊技状態(この場合は大当たり遊技状態か否か)に対応していることから、電圧レベルを調べることで、大当たり遊技状態が現在も継続中か否かを容易に検出することが可能である。
また、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球タンク400の遊技球が不足した場合にも所定の信号を出力することが可能である。こうすれば、遊技ホールは遊技球の不足をホールコンピュータで検出することが可能となり、その結果、遊技球を補給するなどの対処を施すことで弾球遊技機10を正常に稼動させることが可能となる。
更に、遊技球が払い出されたことを示す信号や、遊技球がアウト口50から排出されたことを示す信号も出力可能になっている。これらの信号を出力する態様についても種々の態様を採用することが可能であるが、例えば、遊技球が払い出されたりアウト口50から排出される度にパルスを出力すればよい。こうした場合、遊技球の1球ごとにパルスを出力してもよいし、所定の数の遊技球ごと(たとえば10球ごと)にパルスを出力するものとしてもよい。いずれの場合も、ホールコンピュータはパルスを計数することにより、払い出された遊技球の数や、アウト口50から排出した遊技球の数を把握することが可能である。また、遊技球が発射されるごとにパルスを出力するなどして、発射された遊技球の数をホールコンピュータで把握可能としてもよい。こうすれば、アウト口50から排出された遊技球の数(いわゆるアウト数)だけでなく、発射された遊技球の数とアウト数との差(いわゆるセーフ数)を把握することも可能となる。
加えて、正面パネル15(図1を参照)が開いたことを示す信号を出力することも可能
である。こうした信号を出力するには、正面パネル15と本体との間にセンサやスイッチを設けておき、センサやスイッチで正面パネル15の開閉状態を検出すればよい。あるいは、正面パネル15の開閉状態を直接検出するのではなく、鍵部17の状態に基づいて間接的に検出してもよい。例えば、鍵部17にセンサを設けておき、センサで鍵部17の施錠状態を検出する。通常、弾球遊技機10が遊技ホールに設置された状態では、鍵部17は施錠されているので、鍵部17が開錠された場合には、正面パネル15が開けられたものと推測することができる。したがって、鍵部17に設けたセンサ状態を示す信号を出力してやれば、ホールコンピュータで正面パネル15の開閉状態を検出することが可能となる。加えて、このように鍵部17の状態を検出してやれば、正面パネル15を閉じた後に鍵部17を施錠するのを忘れた場合でも、施錠がされていないことをホールコンピュータで検出可能である。これにより、鍵部17の施錠の不備を原因として不正行為を受けてしまう虞を回避可能である。
なお、こうした各種の信号は、それぞれの信号ごとに異なる信号線や端子を用いて出力するものとしてもよいし、あるいは、信号線や端子を複数の信号の間で共用させて出力するものとしてもよい。例えば、いわゆるシリアル通信を行ったり、複数の信号をまとめて1つの信号にエンコードするなどすれば、複数の信号の間で信号線や端子を共用することが可能である。こうすれば、信号線の数や端子の数に限りがある場合でも、多数の種類の信号を出力することが可能である。
発射制御装置500は遊技球を発射する発射ユニットに接続されており、発射制御装置500が発射ユニットを制御することによって、遊技球が適切に発射される。また、発射制御装置500にはメイン制御装置100から所定の周期のパルス信号が送信されるようになっており、このパルス信号に基づいて発射ユニットに遊技球を発射させることにより、遊技球を適切な時間間隔をおきながら発射することが可能となっている。また、メイン制御装置100には発射ハンドル11に設けられたタッチセンサー11sが接続されており、遊技者が発射ハンドル11に触れているか否かをメイン制御装置100で把握することが可能である。このため、遊技者が発射ハンドル11に触れていない状態では、メイン制御装置100が発射制御装置500に送信するパルス信号を停止することにより、遊技者が発射ハンドル11に触れていない状態で遊技球が発射されてしまう事態を回避することが可能となっている。
更に、発射制御装置500には、発射ハンドル11に設けられた可変抵抗器も接続されている。この可変抵抗器は発射ハンドル11の回転角に応じて抵抗値が変化するようになっており、このため、発射制御装置500は遊技球を発射する強さを可変抵抗器の抵抗値に基づいて制御することにより、発射ハンドル11の回転角に応じた強さで遊技球を発射することが可能である。
本実施例の弾球遊技機10では、上述した各構成を用いて遊技の制御が行われる。このとき、遊技者は発射ハンドル11を操作して遊技盤20上に狙いをつけながら遊技球を発射して遊技を行う。ここで、遊技者が発射ハンドル11を操作していない状態で遊技球が発射されるのを防ぐために、発射ハンドル11には、バネ部材によって発射ハンドル11を初期位置(遊技球が発射されない位置)に付勢する機構が設けられている。もっとも、このように発射ハンドル11を初期位置に付勢する場合、前述したように、遊技者は付勢力に逆らって発射ハンドル11を狙いの位置に保持しなければならないので、疲れを感じてしまう場合がある。こうした点に鑑みて、本実施例の弾球遊技機10では、発射ハンドル11に以下の構成を採用することにより、発射ハンドル11を初期位置に付勢して遊技者が操作していない状態で遊技球が発射されるのを回避しながらも、遊技者にかかる負担を軽減可能としている。
D.第1実施例の発射ハンドル :
図8は、第1実施例の発射ハンドル11の詳細な構成を示した斜視図である。図示されているように、発射ハンドル11は、おおまかには、弾球遊技機10の正面パネル15に取り付けられる本体部600と、本体部600に対して回動可能に設けられた回動部700と、本体部600に組みつけられて発射ハンドル11の前面を構成する前面カバー部材610などから構成されている。
図9は、発射ハンドル11を前面カバー部材610の側からみた様子を示した説明図である。なお、図9では、図示が複雑化するのを避けるために、前面カバー部材610の図示を省略している。また、回動部700および回動部700と共に回転する部材を太い実線で示しており、本体部600および本体部600に固定された部材はそれよりも細い実線で示している。図示されているように、発射ハンドル11を前面カバー部材610の側からみると、回動部700は略円形形状の部材となっており、本体部600に対して略円形形状の中心を軸に回転可能に設けられている。また、回動部700の側面には、遊技者が指をかける突起部700aが設けられており、この突起部700aに指をかけて回動部700を操作することにより、回動部700を容易に操作することが可能となっている。
回動部700と本体部600との間には、回動部700と本体部600とを渡してバネ部材800が設けられている。このバネ部材800は捻りバネを構成しており、捻りバネの捻り力によって回動部700を初期位置(図9の回動部700の位置)に戻す方向(図中に矢印で示した方向)に付勢している。このため、遊技者が回動部700を操作していない状態では回動部700を初期位置に戻しておくことが可能となっている。また、回動部700を初期位置に戻した状態(図9の状態)では、回動部700に設けられた溝の内側が、本体部600に設けられた溝受突起602aおよび溝受突起602bの側面に当接する(図中に「A」と示した箇所および「B」と示した箇所を参照)。これにより、回動部700が初期位置を越えて回転してしまうのを防ぐことが可能となっている。また、初期位置においてもバネ部材800の付勢力を回動部700に付加しておくことが可能な構成となっており、このため、回動部700を初期位置により確実に戻しておくことが可能となっている。
発射ハンドル11の本体部600の側には回転式の可変抵抗器630が設けられている。可変抵抗器630の回転軸にはギアが設けられており、このギアは回動部700の側のギアとかみ合った状態となっている。このため、回動部700を回転させると、回動部700に連動して可変抵抗器630の回転軸が回転し、その結果、回動部700の回転角が可変抵抗器630の抵抗値に反映される。こうして回動部700の回転角を可変抵抗器630の抵抗値に反映させれば、発射制御装置500では、可変抵抗器630の抵抗値に基づいて遊技球を発射する強さを制御することにより、回動部700の回転角に応じた強さで遊技球を発射することが可能となる。
また、発射ハンドル11の本体部600側には、メイン制御装置100に接続されたマイクロスイッチ624が設けられている。このマイクロスイッチ624は、発射ハンドル11の本体部600側に設けられたレバー部材620によってスイッチが押される構成になっており、遊技者はレバー部材620を介してマイクロスイッチ624を操作することが可能である。(図中の白抜きの矢印を参照)。マイクロスイッチ624は通常の状態では導通状態となっているが、スイッチが押されると切断状態となる。このため、メイン制御装置100ではマイクロスイッチ624の導通状態を検知して、導通が切断された際に発射制御装置500へのパルス信号の出力を停止することにより、レバー部材620が押された際に遊技球の発射を停止することが可能である。これにより、レバー部材620を遊技球の発射を停止する発射停止スイッチとして機能させることが可能となっている。
こうした発射停止スイッチを設けておけば、遊技者は発射ハンドル11を元の位置に戻さなくてもスイッチを押すだけで遊技球の発射を停止できるので、発射位置の狙いをつけた状態のまま発射を停止することができる。これにより、遊技球の発射を再開する際に遊技者が狙いをつけ直す手間をなくして、遊技者に遊技をより楽しませることが可能となっている。
また、前述したように、本実施例の発射ハンドル11のマイクロスイッチ624は、通常の状態では導通状態となっており、スイッチが押された状態で切断状態となる。そして、メイン制御装置100では、マイクロスイッチ624が切断状態の際に、発射制御装置500へのパルス信号の出力を停止している。こうすると、マイクロスイッチ624とメイン制御装置100とを接続するケーブルが断線した場合や、マイクロスイッチ624が故障してマイクロスイッチ624が導通しなくなった場合にも、パルス信号が出力されずに遊技球が発射されない。こうしておけば、遊技球が発射されなくなることにより、ケーブルが断線したことやマイクロスイッチ624が故障したことを容易に把握可能であり、延いては、断線や故障が生じた状態のまま弾球遊技機10が使用されてしまう事態を未然に回避することが可能となる。
レバー部材620には、回動部700に当接する当接ピン622が設けられている。この当接ピン622は、回動部700がバネ部材800に付勢されて初期位置に移動すると、回動部700に当接して、マイクロスイッチ624を押す方向にレバー部材を移動させる。このため、回動部700が初期位置に戻された状態では、マイクロスイッチ624を押して遊技球の発射を停止することが可能である。初期位置において遊技球の発射を停止するには、初期位置での可変抵抗器630の抵抗値に基づいて遊技球の発射を停止することも考えられるが、可変抵抗器ごとの抵抗値のバラツキを無くすことが困難であったり、あるいは可変抵抗器の組み付け精度をすべての弾球遊技機10で揃えることが困難である等の理由から、可変抵抗器の抵抗値に基づいて発射を停止することは容易ではない場合がある。この点、このように初期位置においてマイクロスイッチ624を押す構成としておけば、こうした場合であっても、初期位置において遊技球の発射を確実に停止することが容易に可能となる。また、こうすれば、可変抵抗器630の抵抗値の精度に対する要求を緩和したり、本体部600への可変抵抗器630の組み付け精度の要求を緩和することも可能となり、延いては発射ハンドル11の製造工程や弾球遊技機10の製造工程を簡素に保つことも可能となる。
なお、マイクロスイッチ624により発射を停止するこうした構成は、発射ハンドル11にとって必ずしも必須の構成ではないが、上述したように様々な利点があるので、この構成を備えておくとより好適である。
また、図9では図示を省略しているが、発射ハンドル11にはタッチセンサー11sも備えられている。このタッチセンサー11sの検知部は回動部700に電気的に接続されており、回動部700の表面全体には導電性のメッキが施されている。このため、遊技者が回動部700に触れているか否かをタッチセンサー11sによって検出することが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、こうしたタッチセンサー11sの検知状態をメイン制御装置100で把握し、遊技者が回動部700を触れていない際には、発射制御装置500へのパルス信号の送信を停止する。こうすることにより、遊技者が発射ハンドル11に触れていない状態で遊技球が発射されてしまう事態を回避することが可能となっている。
図10は、発射ハンドル11の回動部700を回転させた際の回動部700やバネ部材800の動作の様子を示した説明図である。なお、図10では、本体部600や本体部600に固定された部材を細い実線で示しており、回動部700や回動部700とともに回
転する部材はそれよりも太い実線で示している。図10(a)には、回動部700をバネ部材800の付勢に逆らう方向(図中の白抜きの矢印の方向)に初期位置から60度ほど回転させた様子が示されている。図示されているように、回動部700を回転させると、溝受突起602aや溝受突起602bを回動部700の溝に沿わせながら回動部700が回転していく。回動部700を更に回転させれば、図10(c)に示されているように、溝受突起602cおよび溝受突起602bが回動部700の溝の内側(図中に「C」と示した箇所および「D」と示した箇所を参照)に当接するまで回動部700を回転させることが可能である。
ここで、回動部700を回転させると、回動部700に固定されたバネ部材800の一方の端が回動部700とともに回転してバネ部材800が変形していくので、バネ部材800の弾性力は回動部700の回転量の増加に伴って次第に強まっていく。もっとも、本実施例の発射ハンドル11では、このようにバネ部材800の弾性力は強まるものの、バネ部材800の弾性力に対抗する力を発生させることにより、遊技者にかかる負担を軽減可能としている。以下ではこの点について説明するが、そのための準備として、弾性力に対抗する力を発生させる機構である当接部710および摩擦リング612について、図8を参照しながら説明する。
図8に示されているように、当接部710は、前面カバー部材610の方向に向けて回動部700から立設されており、回動部700とともに回転する。詳しくは後述するが、この当接部710は弾性を有する部材で形成されており、立設方向と交差する方向に弾性変形することが可能である。一方、摩擦リング612は、前面カバー部材610の内側の面(回動部700と向かい合う面)に前面カバー部材610に固定して設けられている。前述したように、前面カバー部材610は本体部600に組みつけられて本体部600に固定されるので、前面カバー部材610を本体部600に組み付けた状態では、摩擦リング612も本体部600に固定された状態となる。
ここで、前面カバー部材610を本体部600に組み付けると、図中に破線の矢印で示されているように、当接部710が摩擦リング612の内側に位置する。そして、回動部700を回転させると、当接部710が摩擦リング612の内側に当接しながら移動することによって、当接部710と摩擦リング612との間に摩擦力を発生させる。この点について図11および図12を参照しながら詳しく説明する。
図11は、回動部700の回転に連動して、当接部710が摩擦リング612に当接しながら摩擦リング612上を移動する様子を示した説明図である。なお、図11では、図示が煩雑になるのを避けるために、本体部600の側の構成の詳細な図示を省略している。また、理解を容易にするために、摩擦リング612および当接部710以外の構成を細い実線で示しており、摩擦リング612および当接部710をそれよりも太い実線で示している。
図11(a)には、回動部700の初期位置における摩擦リング612と当接部710との位置関係が示されている。図示されているように、初期位置においては、当接部710と摩擦リング612とが僅かに離れた状態となっている。このため、初期位置においては、摩擦リング612と当接部710との間には摩擦力は発生しない。
ここで、図11(a)には、回動部700の回転中心を中心とする半径一定の円弧が破線で示されている。この破線と比較すると明らかなように、摩擦リング612の内側の面(当接部710と向い合う面)は、回動部700の回転中心に対する距離が次第に短くなる形状をしている。このため、回動部700が回転すると、当接部710が摩擦リング612の内側の面に次第に接近していき、やがて摩擦リング612の内側の面に当接する。
図11(b)には、回動部700を60度ほど回転させた位置における摩擦リング612と当接部710との位置関係が示されている。図11(b)に示された位置(回転位置B)では、当接部710が摩擦リング612に当接しており、このため、当接部710と摩擦リング612との間には摩擦力が生じる。図11(c)には回動部700を最大回転角の近傍まで回転させた様子が示されており、この状態においても同様に、当接部710と摩擦リング612とが接して当接部710と摩擦リング612との間に摩擦力が生じている。
図12は、回動部700の各回転位置における当接部710と摩擦リング612との位置関係および当接部710の様子をより詳細に示した説明図である。なお、図12では、図示が煩雑になるのを避けるために、当接部710および摩擦リング612以外の部材については詳細な図示を省略している。図12(a)には、回動部700の各回転位置における当接部710と摩擦リング612との位置関係が示されている。前述したように、摩擦リング612の内側の面は回動部700の回転中心からの距離が一定ではなく、回動部700の回転中心に対する距離が次第に短くなる(図中に破線で示した半径一定の円弧との差を参照)。このため、回動部700を初期位置から回転させると、当接部710が摩擦リング612に当接して摩擦力が発生するとともに、回動部700の回転量が増えるほど、当接部710が摩擦リング612に強く押し付けられて摩擦力が強まっていく。
図12(b)には、回動部700の各回転位置における当接部710の様子が示されている。前述したように当接部710は弾性部材で形成されているので、回動部700の回転中心から摩擦リング612の内側の面までの距離が次第に短くなって摩擦リング612の内側の面に強く押し付けられていくと、図示されているように、当接部710が次第に弾性変形していく。摩擦力を発生させる観点からは、当接部710は必ずしも弾性部材である必要はないが、このように当接部710を弾性部材で形成しておけば、摩擦リング612と当接部710とを押し付け合う力(摩擦リング612と当接部710との間の垂直抗力)を高めて摩擦力を強めた場合でも、摩擦リング612に当接部710が噛み込んで動かなくなってしまったり、摩擦リング612や当接部710が破損してしまう虞を回避することができるので好適である。こうして回動部700が回転していくのにつれて摩擦力を増加させていくことにより、遊技者が発射ハンドル11を狙いの位置に保持する際の負担を軽減することが可能となる。この点について図13を参照しながら説明する。
図13は、回動部700の回転量と、回動部700を初期位置に戻そうとする力との関係を示した説明図である。図13(a)に示されたグラフの横軸には回動部700の回転量が示されており、縦軸には回動部700を初期位置に戻そうとするバネ部材800の弾性力および摩擦リング612と当接部710との間の摩擦力が示されている。前述したように、バネ部材800は回動部700の回転につれて変形量が増加していくので、回動部700の回転量が増加するのにしたがって、バネ部材800が回動部700を初期位置に戻そうとする弾性力も増加していく(図13(a)に破線で示されたグラフを参照)。一方、当接部710と摩擦リング612との間の摩擦力は、回動部700の回転量が増加するのにしたがって当接部710と摩擦リング612とが押し付けられる力が増加することから、回動部700の回転量の増加にしたがって増加していく(図13(a)に実線で示されたグラフを参照)。
ここで、遊技者が発射ハンドル11の回動部700を目的の位置に保持するためには、回動部700を初期位置に戻そうとするバネ部材800の弾性力に逆らわなければならないが、このとき、摩擦リング612と当接部710との間に発生している摩擦力も、バネ部材800の弾性力に対抗することになる。したがって、遊技者が回動部700を目的の位置に保持するために必要な力(遊技者にかかる負荷)は、バネ部材800の弾性力と、
摩擦リング612および710の間の摩擦力との差に相当する力となる(図13(a)に示された白抜きの矢印を参照)。
図13(b)のグラフには、バネ部材800の弾性力と摩擦力との差(回動部700を目的の位置に保持する際に遊技者にかかる負荷)と、回動部700の回転量との関係が示されている。図示されているように、本実施例の発射ハンドル11では、回動部700の回転量が増加するのにしたがって摩擦力を増加させていることから、回動部700の回転量が増加するのにしたがって、遊技者にかかる負荷が減少してく。
一般に、バネ部材などの弾性部材の弾性力によって回動部700を初期位置に付勢する場合、回動部700の回転量の増加にしたがって弾性部材の変形量が増加していくことから、回動部700の回転量が大きくなるほど回動部700を保持するために大きな力が必要となり、遊技者に負担がかかって遊技者が疲れを感じてしまい易い。この点、このように回動部700が初期位置に戻ろうとする力を、回動部700の回転量の増加にしたがって低下させてやれば、回動部700を狙いの位置に保持する際に回動部700を強い力で保持しなくてもよいので、遊技者が疲れを感じてしまう虞を低減することが可能となる。また、こうして回動部700を初期位置に戻す力を減少させたとしても、回動部700を初期位置の方向に付勢することができるので、遊技者が発射ハンドル11を操作しない間に回動部700を初期位置に確実に戻しておくことが可能である。これにより、本実施例の発射ハンドル11では、回動部700を初期位置に付勢して遊技者が発射ハンドル11を操作していない間に遊技球が発射されてしまう事態を確実に回避可能としながらも、遊技者にかかる負担を軽減可能としている。
加えて、本実施例の発射ハンドル11では、初期位置に近づくほど回動部700を戻す力が増加することから、発射ハンドル11を初期位置により確実に戻すことが可能となっている。すなわち、一般に弾性部材の弾性力を用いて回動部を初期位置に戻そうとする場合、回動部が大きく変位した位置では初期位置に戻そうとする力が大きくなるが、逆に初期位置に近い位置では初期位置に戻そうとする力が弱まるので、初期位置に近づくほど回動部が初期位置に戻り難くなる。かといって、初期位置においても十分な力を発生させようとしてバネ力を強めれば、今度は遊技者が操作ハンドルを強い力で保持しなければなならなくなってしまい、遊技者が疲れ易くなってしまう。この点、本実施例の発射ハンドル11のように、回転量が大きくなるほど初期位置に戻す力を弱めてやれば、逆に初期位置に近づくほど回動部700が元に戻ろうとする力が大きくなるので、回動部700の初期位置の付近においても回動部700を確実に初期位置に戻すことが可能となる。もちろん、初期位置において十分な力を発生させるために必要以上に強いバネを用いる必要もないので、遊技者にかかる負担を増加させてしまうこともない。
更に、初期位置の近傍においても回動部700を初期位置に十分な力で戻すことが可能なことから、本実施例の発射ハンドル11のように、初期位置の近傍においてスイッチを駆動する構成を採用することも可能である(図9のマイクロスイッチ624およびレバー部材620および当接ピン622を参照)。こうした場合も、回動部700が初期位置に十分な力で戻されることから、スイッチを動作させることができなかったり、スイッチが抵抗になって回動部700が初期位置まで戻りきらないといった事態が生じてしまう虞を回避可能である。
なお、回動部700を初期位置に戻す力は、摩擦力の増加量を調節することにより調節可能である。例えば、本実施例の発射ハンドル11では、摩擦リング612と当接部710とが押し付けられる力に起因して摩擦力が発生することから、摩擦リング612の内側の面(当接部710に当接する面)の形状を調節してやればよい。すなわち、摩擦リング612の内側の面と当接部710の回転中心との距離が緩やかに減少する形状にしておけ
ば、当接部710を摩擦リング612に押し付ける力が回動部700の回転量の増加に対して緩やかに上昇するので、回転量に対する摩擦力の増加率(図13(a)に実線で示されたグラフの傾き)を緩やかにすることが可能である。また、これとは逆に、摩擦リング612の内側の面と回動部700の回転中心との距離が急激に縮まれば、回転量に対する摩擦力を急激に増加させる(図13(a)に実線で示されたグラフの傾きを大きくする)ことが可能である。こうして摩擦力を調節することにより、回動部700を初期位置に戻す力(遊技者にかかる力)を回動部700の増加に対して減少させることが可能となり、また、初期位置に戻す力の変化率(図13(b)のグラフの傾き)を適切に設定することも可能である。
また、図12(b)では、当接部710は、回動部700から立設された柱の部分が弾性変形するものとして説明した。もっとも、当接部710の柱の部分ではなく、摩擦リング612に当接する部分が弾性変形するものとしてもよい。例えば、摩擦リング612に当接する面や面の近傍をゴム材などの弾性部材で形成しておき、この部分が弾性変形するものとしてもよい。こうした場合も、回動部700の回転量が増加するのにしたがって、当接部710を摩擦リング612に押し付ける力を強めることが可能であり、その結果、回動部700の回転量の増加につれて摩擦力を増加させることが可能となる。
なお、上述した説明では、摩擦リング612と当接部710とを押し付ける力を変化させることによって摩擦力を変化させるものとして説明したが、摩擦リング612と当接部710とを押し付ける力を変化させるのではなく、摩擦リング612と当接部710との間の摩擦係数を変化させることによっても、摩擦力を変化させることが可能である。すなわち、摩擦リング612の表面の摩擦係数を、摩擦リング612上の場所によって異ならせておけば、当接部710が摩擦リング612上を移動していく際に摩擦力を変化させることが可能である。こうした場合も、回動部700の回転量が増加するのにしたがって、摩擦力を増加させることが可能である。また、摩擦リング612の表面の材質を使い分けたり表面を研磨するなどして摩擦係数を調整することにより、回動部700の回転量の増加に対して摩擦力を適切に増加させることも可能である。
以上に説明したように、本実施例の発射ハンドル11では、回動部700の回転量に連動させて摩擦力を発生させるとともに、回動部700の回転量が増加するのにしたがって摩擦力を増加させている。その結果、回動部700を初期位置に戻そうとする力を、回動部700の回転量の増加にともなって減少させている。こうして回動部700の回転量にしたがって回動部700を戻す力を減少させることにより、回動部700を初期位置に確実に付勢可能としながらも、遊技者にかかる力を弱めて遊技者への負担を軽減可能としている。
E.第2実施例の発射ハンドル :
前述した第1実施例の発射ハンドル11では、回動部700を初期位置に戻す力を、摩擦力を用いて減少させていた。しかし、摩擦力を用いるのではなく、バネ部材の弾性力の方向を変化させることによって、回動部700を初期位置に戻す力を減少させることも可能である。以下では、バネ部材の弾性力の方向を変化させることによって回動部700を初期位置に戻す力を減少させる第2実施例の発射ハンドルについて説明する。
図14は、第2実施例の発射ハンドル11を示した斜視図である。図示されているように、第2実施例の発射ハンドル11は、第1実施例の発射ハンドル11と同様に、弾球遊技機10の正面パネル15に取り付けられる本体部600と、本体部600に対して回動可能に設けられた回動部700と、本体部600に取り付けられて発射ハンドル11の前面を形成する前面カバー部材610などから構成されている。また、本体部600と回動部700との間にはバネ部材800が設けられており、バネ部材800の弾性力によって
回動部700を初期位置に付勢することが可能となっている。
図15は、第2実施例の発射ハンドル11を前面カバー部材610の方向から見た様子を示した説明図である。なお、図15では、図示が煩雑になるのを避けるために、前面カバー部材610の図示を省略している。また、本体部600側の部材を細い実線で示しており、回動部700とともに回転する部材をそれよりも太い実線で示している。図示されているように、バネ部材800の一方の端は本体部600に取り付けられており(図中に「E」と示した箇所を参照)、もう一方の端は回動部700に取り付けられている(図中に「F」と示した箇所を参照)。そして、バネ部材800の両端を互いに近づける方向にバネ部材800の弾性力が生じることにより、回動部700を初期位置に戻る方向(図中に「付勢方向」と示した矢印を参照)に付勢している。
また、第2実施例の発射ハンドル11においても、前述した第1実施例の発射ハンドル11と同様に、レバー部材620やマイクロスイッチ624や可変抵抗器630や溝受突起602などが設けられている。これらの構成については前述した第1実施例の発射ハンドル11と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図16は、第2実施例の発射ハンドル11の回動部700を回転させた際の様子を示した説明図である。図16(a)に示されているように、回動部700を回転させると(図中に示した白抜きの矢印を参照)、回動部700に接続されたバネ部材800の一方の端(図中に「F」と示した部分を参照)が回動部700の回転に連動して移動することにより、バネ部材800が次第に変形して弾性力が強まっていく。回動部700を更に回転させると、図16(b)に示されているように、バネ部材800の両端(図16(b)に「E」と示した部分および「F」と示した部分を参照)が大きく離れていき、最終的には、回動部700の内側に設けられた溝が溝受突起602cおよび溝受突起602bに当接するまで(図16(b)に「C」と示した箇所および「D」と示した箇所を参照)、回動部700を回転させることが可能である。
ここで、バネ部材800は回動部700を初期位置の方向に付勢しているが、前述したようにバネ部材800の弾性力はバネ部材800の両端(図中に「E」と示した箇所および「F」と示した箇所)に作用するため、弾性力は回動部700を初期位置に戻す方向(図16に「付勢方向」と示した矢印を参照)に直接作用するのではなく、バネ部材800の両端を互いに引き寄せ合う方向に作用する。そして、このバネ部材800の両端を引き寄せあう力の、回動部700の回転方向の成分が、回動部700を初期位置に付勢する力となる。このとき、第2実施例の発射ハンドル11では、バネ部材800の両端の相対位置が、回動部700の回転に連動して変化することから、回動部700を初期位置に付勢する力を回動部700の回転に連動して減少させることが可能である。この点について図17を参照しながら詳しく説明する。
図17は、回動部700の回転に連動して、回動部700を初期位置に付勢する力を減少させる様子を示した説明図である。なお、図17では、図示が煩雑になるのを避けるために、本体部600に備えられた各構成(マイクロスイッチ624や可変抵抗器630など)については図示を省略している。図17(a)に太い破線の矢印で示されているように、バネ部材800の弾性力は、バネ部材800と回動部700との接続箇所(図中に「F」と示された箇所を参照)を、バネ部材800と本体部600との接続箇所(図中に「E」と示された箇所を参照)に引き寄せる方向に働く。そしてこの力の、回動部700の回転方向(バネ部材800と回動部700との接続箇所から回動部700の回転中心に向かう方向に直行する方向)に対する成分が、回動部700を初期位置に付勢する付勢力となる(図中に太い実線で示した矢印を参照)。
ここで、図17(a)に示されているように、弾性力の回動部700の回転方向の成分の大きさは、バネ部材800の両端を結ぶ直線と回転方向とがなす角(図中に「a」と示した角を参照)の余弦と、バネ部材800の弾性力との積に相当する大きさである。すると、回動部700が回転する際には、バネ部材800の一方の端(回動部700に接続された端)が移動することにより、この端と回動部700の回転中心とを結ぶ方向が、バネ部材800の弾性力の方向に次第に近づき、その結果、この角の角度が次第に大きくなる(この角度の余弦が小さくなる)。すなわち、図17(b)に示されているように、バネ部材800の両端のうちの回動部700に接続された側の端(図中に「F」と示した部分を参照)が、回動部700とともに回転しながらもう一方の端(図中に「E」と示した部分を参照)から離れるのにつれて、バネ部材800の両端と回転中心とで作られる角(図中に「b」と示した角)の角度が次第に大きくなり、それにともなって、バネ部材800の弾性力の、回動部700の回転方向の成分(バネ部材800と回動部700との接続箇所における成分)が次第に小さくなっていく(図17(b)に太い実線で示された矢印を参照)。
このように、第2実施例の発射ハンドル11では、バネ部材800の弾性力の方向(図中に「E」と示された箇所および「F」と示された箇所を結ぶ方向)を、回動部700の回転方向(バネ部材800と回動部700との接続箇所における回転方向)に対して変化させている。その結果、バネ部材800の弾性力の回動部700の回転方向の成分を、回動部700の回転に連動して減少させることが可能となっており、結果として、回動部700を初期位置に付勢する力を、回動部700の回転量の増加につれて減少させることが可能となっている。
図18は、第2実施例の発射ハンドル11における回動部700の回転量と、回動部700を初期位置に付勢する力の大きさとの関係を示した説明図である。図中の破線のグラフはバネ部材800の弾性力を示している。前述したように、回動部700が回転していくと、それに連れてバネ部材800の両端の位置が次第に離れていくので(図17(a)および図17(b)を参照)、回動部700の回転量の増加にともなってバネ部材800の弾性力は増加していく。これに対して、バネ部材800の弾性力の回動部700の回転方向の成分(回動部700を初期位置に付勢する力)は、上述したように回動部700の回転方向と弾性力の方向とのなす角の角度(図17(a)に「a」と示した角を参照)が、回動部700の回転にともなって次第に大きくなり、角の余弦が減少することから、回動部700の回転量の増加につれて次第に減少していく。
こうして回動部700を初期位置に付勢する力を、回動部700の回転量の増加に対して減少させてやれば、回動部700の回転量が増加しても、遊技者が回動部700を目的の位置に保持するために強い力で回動部700を支える必要がないので、回動部700を初期位置に付勢可能としながらも、付勢力に起因して遊技者が疲れを感じ易くなってしまう虞を回避することが可能となる。また、回動部700の回転量の増加にともなって付勢力を減少させることから、回動部700の回転量が少ない状態(回動部700が初期位置の近傍に位置する状態)では、十分な強さの付勢力を発生させることが可能である。したがって、例えば前述したマイクロスイッチ624(図9を参照)のように、回動部700が初期位置に戻る力により動作する機構を設けた場合であっても、遊技者が操作していない際には十分な付勢力によって回動部700を初期位置に確実に戻すことが可能であり、その結果、こうした機構を確実に動作させることが可能である。
F.第3実施例の発射ハンドル :
前述した第1実施例の発射ハンドル11では、回動部700を初期位置に戻す力を、摩擦力を発生させることによって減少させており、一方、第2実施例の発射ハンドル11では、バネ部材の弾性力の方向を変化させることによって減少させていた。もっとも、バネ
部材の弾性力の方向を変化させる方法と、摩擦力を発生させる方法とを併用することも可能である。
図19は、バネ部材800の弾性力の方向を変化させるとともに摩擦力を発生させることにより、回動部700を初期位置に戻す力を低減させる第3実施例の発射ハンドル11を示した説明図である。図示されているように、第3実施例の発射ハンドル11は、前述した実施例の発射ハンドル11と同様に、正面パネル15に取り付けられる本体部600と、本体部600に対して回転可能に設けられた回動部700と、本体部600に固定される前面カバー部材610などから構成されている。また、回動部700には当接部710が設けられており、この当接部710が、前面カバー部材610の内側の面に設けられた摩擦リング612に当接することにより、当接部710と摩擦リング612との間に摩擦力を生じるように構成されている。
図20は、第3実施例の発射ハンドル11を前面カバー部材610の方向から見た様子を示した説明図である。図示されているように、第3実施例の発射ハンドル11においてもバネ部材800が本体部600と回動部700とを渡して取り付けられている。そして、回動部700を回転させると、前述した第2実施例の発射ハンドル11と同様に、バネ部材800が取り付けられた箇所(図中に「E」と示された箇所および「F」と示された箇所)の相対位置が変化することに起因して、回動部700を初期位置に付勢する力が回転量の増加に連れて減少する(図17を参照)。また、第3実施例の発射ハンドル11には当接部710も設けられており、前述したように、この当接部710が前面カバー部材610の内側に設けられた摩擦リング612に当接することにより、摩擦力を発生させる。このとき、第1実施例の発射ハンドル11と同様に、当接部710が摩擦リング612に押し付けられる力が、回動部700が回転するのに連れて強まることにより、回動部700の回転量の増加につれて摩擦力が増加していく。
図21は、第3実施例の発射ハンドル11における回動部700の回転量と、回動部700に加わる各種の力の大きさとの関係を示した説明図である。図21(a)には、バネ部材800の弾性力が破線で示されており、また、この弾性力の回動部700の回転方向の成分が実線で示されている。前述したように、回動部700が回転するとバネ部材800の両端が引き離されていくので、バネ部材800の弾性力は回動部700の回転量が増加すると次第に増加していく。一方、弾性力の回動部700の回転方向の成分は、前述したように弾性力の方向が回動部700の回転に連動して変化していくことに起因して、回動部700の回転量が増加するのにつれて次第に減少していく。
ここで、前述したように第3実施例の発射ハンドル11では、当接部710が摩擦リング612に当接することにより摩擦力を発生させており、この摩擦力は回動部700の回転量が増加するほど強まっていく(図21(a)に示された実線のグラフを参照)。第3実施例の発射ハンドル11では、バネ部材800の弾性力の回転方向成分によって回動部700が初期位置に戻されることになるが、この力に対して、摩擦リング612と当接部710との間に生じるこの摩擦力が対抗することになる。したがって、回動部700の回転方向の成分と、摩擦力との差が、遊技者が回動部700を保持するために必要な力となる。
図21(b)には、バネ部材800の弾性力の回転方向成分と、摩擦力との差が実線のグラフで示されている(図中に「回動部を保持するために必要な力」と示された実線を参照)。前述したように、バネ部材800の弾性力の回転方向成分は回動部700の回転につれて減少し、更に摩擦力が増加することから(図21(a)を参照)、回動部700を保持するために必要な力(回動部700を初期位置に付勢する力)は、回動部700の回転量の増加につれて減少していく。
このように、第3実施例の発射ハンドル11においても、回動部700の回転量の増加につれて回動部700を初期位置に付勢する力を減少させることが可能である。その結果、回動部700を初期位置に付勢可能としながらも、遊技者が回動部700を支える際の力を軽減して、遊技者が疲れを感じてしまう虞を回避可能となる。
また、第3実施例の発射ハンドル11では、摩擦力によって付勢力を減少させるだけでなく、バネ部材800の弾性力の方向を変化させることによっても付勢力を減少させることから、強力な摩擦力を発生させなくても付勢力を十分に減少させることが可能である。一般に、強力な摩擦力を発生させるためには、部材同士(本実施例では当接部710および摩擦リング612)を強い力で押し付ける必要があるが、こうした場合には、耐久性の観点から、当接する部材やその部材を支える機構に高い強度が要求される場合がある。この点、このようにバネ部材800の弾性力の方向を変化させることによって付勢力を減少させた上で摩擦力を用いれば、それほど強力な摩擦力を発生させなくても付勢力を十分に減少させることができるので、当接部分(本実施例では摩擦リング612および当接部710)の強度に関する要求を軽減させることが可能となり好適である。延いては、当接部分により簡素な構成を採用して発射ハンドル11の製造工程を簡素化することも可能となる。
また、摩擦力は回動部700を目的の位置に保持する際だけでなく、回動部700を回転させる際にも発生することから、第3実施例の発射ハンドル11では、回動部700の付勢力が減少することに起因して遊技者が発射位置の狙いをつけ難いと感じてしまう虞を回避することも可能となっている。すなわち、回動部700の回転量の増加にしたがって付勢力を減少させた場合、回動部700を回転させていくほど回動部700の手ごたえが軽くなることから、遊技者によっては、発射位置の調整がし難いと感じる場合も考えられる。この点、摩擦力を発生させれば、回動部700を回転させていく際には摩擦力が負荷になるので、負荷が軽すぎると感じてしまう虞を回避することが可能である。この点について図21を参照しながら補足して説明する。
前述したように、遊技者が回動部700を回転させる際には、バネ部材800による付勢力と摩擦力との和が負荷となる。図21(b)には、図21(a)に示された摩擦力と、バネ部材の弾性力の回転方向成分との和が、破線のグラフで示されている(図中に「回動部を回転させる際に必要な力」と示されたグラフを参照)。図21(a)に示されているように、回動部700を付勢する力(バネ部材の弾性力の回転方向成分)は回動部700の回転量の増加につれて減少するものの、摩擦力は回動部700の回転量の増加につれて増加するので、この2つの力の和(図中に「回動部を回転させる際に必要な力」と示されたグラフを参照)は、回動部700の回転量が増加しても大きく減少することはない。このため、回動部700を回転させる際に負荷が軽すぎて狙いをつけ難いと遊技者が感じる虞を回避することが可能となっている。
このように、当接部710と摩擦リング612との間に摩擦力を発生させてやれば、遊技者が回動部700を目的の位置に保持する際には、遊技者の負荷を軽減する役割を摩擦力に担わせることが可能であり、一方、遊技者が回動部700を回転させる際には、遊技者に対する負荷の役割を摩擦力に担わせることが可能である。その結果、遊技者の負担を軽減するために付勢力を減少させる事と、狙いが付け難くなる虞を回避するために付勢力の減少を抑える事との相反する2つの要素を、両立させることが可能となる。
G.第4実施例の発射ハンドル :
前述した第1実施例および第3実施例の発射ハンドル11では、回動部700側の部材(当接部710)が前面カバー部材610側の部材(摩擦リング612)に当接すること
によって摩擦力が発生するものとして説明した。しかし、回動部700側の部材を、前面カバー部材610の側の部材ではなく本体部600側の部材に当接させるものとしてもよい。また、第1実施例および第3実施例では、当接部710の弾性力によって回動部700側の部材(当接部710)を本体部600側の部材(摩擦リング612)に押し付けて摩擦力を発生させるものとして説明したが、当接部710の弾性力を利用するのではなく、遊技者が発射ハンドル11に加える力を利用して摩擦力を発生させるものとしてもよい。
図22は、遊技者が回動部700に加える力を利用して回動部700と本体部600との間に摩擦力を発生させる第4実施例の発射ハンドル11を示した斜視図である。図示されているように、第4実施例の発射ハンドル11においても前述した各実施例の発射ハンドル11と同様に、本体部600や回動部700や前面カバー部材610などから発射ハンドル11が構成されている。ここで、第4実施例の発射ハンドル11では、回動部700の軸部702が本体部600の軸受部606に挿入されて軸受けされるが、軸受部606の口径は軸部702の径よりも若干大きめに設けられており、このため、回動部700は本体部600に対して若干の遊びを持った状態で本体部600に軸受される。
また、回動部700を本体部600に組み付けた状態では、本体部600から突設されたリング部604を回動部700の内面704(図中で回動部700にハッチングを付した部分を参照)が取り囲んだ状態となる。ここで、図22では図示が煩雑になるのを避けるために図示を省略しているが、このリング部604の表面の一部には、細かい凹凸を設けたり摩擦係数の高い部材(例えばゴム部材)を貼り付けるなどして摩擦係数を高めた摩擦面が形成されている。こうした構成を用いて第4実施例の発射ハンドル11では、次のように摩擦力を発生させて回動部700を初期位置に付勢する力を減少させる。
図23は、第4実施例の発射ハンドル11を回転させた際に摩擦力が発生する様子を概念的に示した説明図である。図23(a)には、遊技者が回動部700を操作する際に回動部700に働く各種の力が示されている。ここで、第4実施例の発射ハンドル11では、突起部700aの側面700asが回動部700の回転中心方向(図中に「G」と示された破線の方向)に対して傾けて設けられており、このため、遊技者が側面700asに力をかけて回動部700を回転させると、回動部700には回転方向だけでなく回転の中心に向かう方向にも力が働く(図中に「G」と示された破線の方向を向いた実線の矢印を参照)。
一方、回動部700にはバネ部材800が本体部600との間に接続されているので、回動部700には、バネ部材800と本体部600との接続箇所(図中に「E」と示された箇所)の方向に引き寄せられる力が働く(図中の破線の矢印を参照)。このため、遊技者が加えた力の回転中心方向成分(図中の実線の矢印を参照)は、バネ部材800の弾性力によって支えられることになる。もっとも、遊技者が回動部700に加える力を強めていくと、やがてバネ部材800の弾性力を上回り、その結果、回動部700が回転中心方向に移動する。
図23(b)には、回動部700が回転中心方向(図中に白抜きの矢印で示された方向を参照)に移動した様子が示されている。図示されているように、回動部700が移動すると、回動部700の内面704が本体部600のリング部604に当接する(図中に「H」と示された部分を参照)。前述したように、リング部604の表面には細かい凹凸が形成された摩擦面が設けられており、リング部604が当接すると摩擦力を発生させる。第4実施例の発射ハンドル11では、この摩擦力によって、回動部700を初期位置に付勢するバネ部材800の弾性力に対抗することが可能である。このように、第4変形例の発射ハンドル11においても、付勢力に対向する摩擦力を発生させることが可能であり、
その結果、付勢力を減少させて遊技者にかかる負担を軽減させることが可能となっている。
また、第4実施例の発射ハンドル11では、遊技者が加えた力によって回動部700が移動する方向と反対の方向にバネ部材800の弾性力を発生させている(図23(a)に示された実線の矢印および破線の矢印を参照)。このため、遊技者が回動部700にある程度の力を加えた場合にのみ、回動部700を回転中心方向に移動させて摩擦力を発生させることが可能である。このように遊技者が回動部700を操作した際にのみ摩擦力を発生させれば、遊技者が回動部700を操作していない際には、回動部700を初期位置に付勢する力がこの摩擦力のために弱められてしまうことがないので、遊技者が回動部700を操作していない際には十分な付勢力によって回動部700を初期位置に確実に戻すことが可能である。
なお、摩擦面はどのような方法で形成してもよく、例えば、前述したように表面に細かな凹凸を設けてもよいし、ゴム部材などのように摩擦係数の高い部材を取り付けてもよい。あるいは、摩擦係数の高い材質を用いて形成してもよい。こうした方法を用いれば、発射ハンドル11の他の箇所(例えば、回動部700の表面あるいは前面カバー部材610の表面)よりも摩擦係数が高い面を形成することが可能となり、その面によって十分な摩擦力を発生させることが可能となる。
また、図23では、バネ部材800の弾性力の向きと、遊技者が加える力の向きとが、おおまかには逆の向きになる場合(弾性力の向きと遊技者が加える力の向きとのなす角が90度以上の場合)について説明した。しかし、これとは逆に、バネ部材800の弾性力の向きと、遊技者が加える力の向きとが、おおまかに同じ向き(弾性力の向きと遊技者が加える力の向きとのなす角が90度以下)になるものとしてもよい。こうした場合、遊技者が加える力と弾性力とがおおまかには同じ向きに働くことから、回動部700を操作した際には、回動部700を摩擦面により強い力で押し付けることができるので、より強い摩擦力を発生させることが可能となる。その結果、摩擦力によって付勢力を減少させて遊技者にかかる負担を軽減させることが可能となる。
また、バネ部材800の弾性力の向きと、遊技者が加える力の向きとが完全に同じ向きでない場合(あるいは完全に逆向きでない場合)、バネ部材800の弾性力と、遊技者が加えた力との合力によって、回動部700を回動部700の回転中心からずらす方向に、回動部700に対して力を作用させることが可能となる。こうした力によっても、回動部700を摩擦面に押し付けて摩擦力を発生させることが可能であり、摩擦力によって付勢力を減少させて遊技者にかかる負担を軽減させることが可能である。
なお、前述したように、回動部700の外周には、回動部700の回転方向と交差する面(図23の例では側面700as)を設けておくと、遊技者は回動部700を容易に操作することができるので好適である。また、このような面を設けた場合、遊技者はこの面に指をかけて回動部700を操作することが通常なので、この面に垂直な向きに遊技者の力が加わると考えることができる。したがって、この面に垂直な向きと、バネ部材800の弾性力の向きとの関係を、上述した各関係にしておくことにより、上述した各効果をより確実に奏することが可能となる。
H.変形例 :
以下では、上述した各実施例の変形例について説明する。なお、以下の変形例においては、上述した各実施例と同様の構成については同一の符号を付すとともに、詳細な説明を省略する。
H−1.第1変形例 :
前述しだ第2実施例ないし第4実施例の発射ハンドル11では、捻り力を発生させるタイプのバネ部材(いわゆる捻りバネ)を用いるものとして説明した(図17を参照)。しかし、これらの発射ハンドル11では、バネ部材800を取り付けた2点を結ぶ方向(図17の例では図中に「E」と示された位置と「F」と示された位置とを結ぶ方向)に力を発生させればよいことから、引き伸ばしに対して縮もうとするタイプのバネ(いわゆる引きバネ)を用いることも可能である。
図24は、バネ部材800に引きバネを用いた第1変形例の発射ハンドル11を示した説明図である。図24(a)に示されているように、第1変形例の発射ハンドル11では、バネ部材800に引きバネ(つるまきバネ)が用いられており、この引きバネの一方の端が本体部600に接続され(図中に「E」と示した部分を参照)、もう一方の端が回動部700に接続されている(図中に「F」と示した部分を参照)。
こうした変形例の発射ハンドル11においても、前述した実施例と同様に、バネ部材800の弾性力の方向を変化させることによって、回動部700を初期位置に付勢する力を減少させることが可能である。すなわち、引きバネはバネの両端を引き寄せあうので、バネ部材800が取り付けられた本体部600側の箇所(図中に「E」と示した箇所)と回動部700側の箇所(図中に「F」と示した箇所)とが引き寄せ合う。そして、この引き寄せ合う力の、回動部700の回転方向の成分が、回動部700を初期位置に付勢する力となる。すると、前述した第2実施例ないし第4実施例の発射ハンドル11と同様に、回動部700が回転していくと、図24(b)に示されているように、回動部700を初期位置に付勢する付勢力が次第に減少していく。
このように、第1変形例の発射ハンドル11においても、回動部700の回転量が増加するのにつれて、回動部700を初期位置に付勢する力を減少させることが可能であり、その結果、回動部700を初期位置に付勢可能としながらも、遊技者が回動部700を目的の位置に保持する際にかかる負荷を軽減することが可能となる。
H−2.第2変形例 :
前述した第1実施例の発射ハンドル11では、回動部700の回転量が増加するのにつれて摩擦力が増加し続ける(単調増加する)ものとして説明した(図13(a)を参照)。しかし、回動部700の回転量の増加に対して摩擦力は増加し続ける必要はなく、途中で増加が止まったり、あるいは減少したりするものとしてもよい。
図25は、回動部700の回転の途中で摩擦力を一時的に減少させる第2変形例の発射ハンドル11を例示した説明図である。図示されているように、第2変形例の発射ハンドル11には前述した第1実施例の発射ハンドル11と同様に、前面カバー部材610に取り付けられた摩擦リング612と、回動部700に取り付けられた当接部710とが備えられている。そして、回動部700の回転に伴って当接部710が回転すると、摩擦リング612と当接部710とが当接することによって、摩擦力を発生させる。
ここで、第2変形例の発射ハンドル11では、摩擦リング612の形状が前述した実施例の発射ハンドル11とは異なっており、初期位置から図中に「I」と示された位置までの区間では、摩擦リング612の内側の面(当接部710と当接する面)から回動部700の回転中心までの距離が次第に縮まるまるものの、「I」と示された位置から「J」と示された位置までの区間では距離が次第に広がっていく。そして、「J」と示された位置を過ぎると、その後は再び距離が縮まっていく。このため、回動部700を回転させた際には、当接部710が図中に「I」と示された位置に移動するまでは、当接部710を摩擦リング612に押し付ける力が次第に増加していき、その後「I」と示された位置から
「J」と示された位置までの間は次第に減少していく。そして、「J」と示された位置を回動部700が通過すると、当接部710と摩擦リング612とを押し付ける力が再び増加していく。当接部710と摩擦リング612との間に生じる摩擦力は、当接部710と摩擦リング612とを押し付ける力に比例するので、押し付ける力の変化に対応して、摩擦力も変化していく。
図26は、回動部700の回転量と、発生する摩擦力の大きさとの関係を示した説明図である。図26(a)に実線のグラフで示されているように、回動部700が初期位置から回転していくと、摩擦リング612と当接部710とが当接して摩擦力が次第に増加していく。そして、当接部710が図25に「I」と示した位置を過ぎると、当接部710を摩擦リング612に押し付ける力が次第に減少することに対応して、摩擦力が次第に減少していく(図26(a)に「Iに対応する位置」と示した箇所および「Jに対応する位置」と示した箇所との間の区間を参照)。その後、図25に「J」と示された位置を当接部710が過ぎると、当接部710を摩擦リング612に押し付ける力が再び増加することに対応して、摩擦力が次第に上昇していく。ここで、第2変形例の発射ハンドル11においても前述した実施例の発射ハンドル11と同様に、当接部710と摩擦リング612との間に生じた摩擦力は、回動部700を初期位置に戻そうとするバネ部材800の弾性力に対抗するので、バネ部材800の弾性力からこの摩擦力を引いた差が遊技者にかかる負荷となる(図24(a)に示された白抜きの矢印を参照)。
図26(b)には、第2変形例の発射ハンドル11における回動部700の回転量と、遊技者にかかる負荷の強さとの関係が示されている。第2変形例の発射ハンドル11では、回動部700の回転の途中で摩擦力が減少することから、図示されているように、遊技者にかかる負荷が回動部700の回転の途中で一時的に増加する(図24(a)に「Iに対応する位置」と示した箇所および「Jに対応する位置」と示した箇所との間の区間を参照)。もっとも、その他の区間では、摩擦力が増加していることに対応して、遊技者にかかる負荷を、回動部700の回転量の増加に対して減少させることが可能となっている。その結果、これらの区間では、遊技者が発射ハンドル11を保持する際の負担を軽減して、遊技者が疲れを感じてしまう虞を回避可能としている。
なお、このように負荷が増加する区間を設けた場合、遊技者は回動部700の手ごたえの変化に基づいて、回動部700の回転量を推測することが可能となる。すなわち、回動部700を回転させていくと、途中までは摩擦力が増加していくことから、回動部700の手ごたえが強まっていくが、途中からは摩擦力が減少することに対応して、回動部700の手ごたえが軽くなっていく。遊技者はこうした回動部700の手ごたえの変化によって回動部700の位置を推測することが可能となる。こうすれば、遊技者は回動部700の手ごたえを頼りにしながら回動部700の回転量を調整することができるので、遊技球の発射位置の調整をより容易に行うことが可能となる。
また、図26(b)に示された例では、遊技者にかかる負荷が途中で増加するものの、図26(b)のグラフを全体としてみれば右下がりのグラフになっている。すなわち、回動部700の回転量の区間を全体としてみれば、回動部700の回転量の増加につれて、遊技者にかかる負荷が次第に減少していく。遊技者にかかる負荷が回動部700の回転量の増加に対して減少する区間があれば、その区間においては遊技者の負荷を軽減できるので、このように遊技者の負荷が全体的に減少する必要は必ずしもないが、こうすれば、前述したように途中で負荷が増加する区間を設けて回動部700の手ごたえを変化させた場合であっても、全体としては遊技者の負荷が減少するので、遊技者が疲れを感じてしまう虞をより効果的に回避することが可能となる。
H−3.第3変形例 :
前述した第1実施例および第3実施例の発射ハンドル11では、回動部700の初期位置においては当接部710と摩擦リング612とが離れた状態になっており、回動部700が回転するとこれらが当接して摩擦力を発生させるものとして説明した(図11を参照)。しかし、摩擦力を増加させて付勢力を減少させる観点からは、初期位置において当接部710と摩擦リング612とが必ずしも離れている必要はなく、これらの部材が初期位置においても当接しているものとしてもよい。
図27は、初期位置においても当接部710と摩擦リング612とが当接して摩擦力が生じる第3変形例の発射ハンドル11を示した説明図である。図示されているように、第3変形例の発射ハンドル11では、回動部700の初期位置においても当接部710と摩擦リング612とが当接している。また、摩擦リング612の内側の面(当接部710に当接する面)は、当接部710の初期位置から図中に「K」と示された位置までの区間では回転中心からの距離が一定であり、図中に「K」と示された位置を過ぎると、回転中心からの距離が次第に短くなる。このため、回動部700が回転して当接部710が摩擦リング612上を移動する際には、図中に「K」と示された位置を当接部710が通過するまでは当接部710と摩擦リング612とを押し付けあう力が変化せず、図中に「K」と示された位置を通過すると増加していく。このことに対応して、当接部710と摩擦リング612との間に生じる摩擦力についても、当接部710が図中に「K」と示された位置を通過するまでは変化せず、通過後に増加していく。
図28は、第3変形例の発射ハンドル11の回動部700の回転量と各種の力の大きさとの関係を示した説明図である。図28(a)に実線のグラフで示されているように、第3変形例の発射ハンドル11では、回動部700の初期位置において当接部710と摩擦リング612とが当接していることから、初期位置においても摩擦力が発生する。回動部700が回転すると、図27に「K」と示した位置を当接部710が過ぎた後に(図28(a)に「Kに対応する位置」と示した箇所を参照)、当接部710と摩擦リング612とを押し付ける力が増加することに対応して、摩擦力が増加していく。第3変形例の発射ハンドル11では、この摩擦力と、バネ部材800の弾性力(図28(a)に破線で示されたグラフを参照)との差が、遊技者が回動部700を支える際に遊技者にかかる力となる。
図28(b)には、第3変形例の発射ハンドル11において回動部700の回転量と遊技者にかかる負荷との関係が示されている。図示されているように、摩擦力が回動部700の回転の途中から増加することに対応して、遊技者にかかる負荷は回動部700の回転の途中から減少していく。このように、回動部700の初期位置において摩擦力が生じる場合であっても、回動部700の回転量の増加につれて摩擦力を増加させてやれば、回動部700を初期位置に付勢する力を回動部700の回転量の増加に対して減少させることが可能であり、その結果、前述した実施例と同様に、回動部700を遊技者が所望の位置に保持する際の負担を軽減して、遊技者が疲れを感じ難い遊技機を実現することが可能となる。
なお、第3実施例の発射ハンドル11では、遊技者が回動部700を回転させる際の回動部700の動きを滑らかに保つことも可能となっている。すなわち、当接部710と摩擦リング612とが初期位置において既に当接していることから、回動部700を操作した際に当接部710と摩擦リング612とが勢いよく当接して回動部700に衝撃が発生する虞がない。このため、回動部700を回転させる際の回動部700の動きを滑らかにして発射ハンドル11の操作感をより向上させることが可能である。
これに対して、回動部700の初期位置において当接部710と摩擦リング612とを離しておく場合には、回動部700の初期位置の近傍では、当接部710と摩擦リング6
12との間の摩擦力が付勢力に対抗することがないので、回動部700を初期位置まで戻しておくことがより確実に可能となる。また、初期位置の近傍にマイクロスイッチ624等の機構を設けた場合には、初期位置の近傍でこれらの機構を動作させるだけの力が必要となるが、初期位置において当接部710と摩擦リング612とを離しておけば、初期位置の近傍で回動部700を付勢する力が弱まってマイクロスイッチ624等の機構を動作させることができなくなる虞をより確実に回避することが可能となる。
なお、摩擦力を発生させてやれば、少なくとも摩擦力の分は、遊技者にかかる負担を軽減することが可能である。したがって、摩擦力を発生させるだけであっても、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能である。例えば、回動部700の回転量の増加につれて摩擦力が増加しない場合(摩擦力が一定の場合や摩擦力が減少する場合)であっても、遊技者にかかる負担を摩擦力の分は軽減可能であるから、こうした場合であっても、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能である。
I.第5実施例の発射ハンドル :
上述した実施例および変形例では、遊技者の疲れを軽減可能とする発射ハンドルの構成について説明した。ここで、こうした構成に加えて、遊技球の発射速度と、本体部600に対する回動部700の回転量との関係を適切に設定することにより、遊技者にとってより使い勝手のよい発射ハンドルを実現することが可能となる。以下ではこうした第5実施例の発射ハンドルについて説明する。なお、前述した実施例や変形例と同様の構成については説明を省略する。
図29(a)は、第5実施例の発射ハンドル11について、回動部700の初期位置からの回転量と遊技球の発射速度との関係を示した説明図である。図示されているように、第5実施例の発射ハンドル11では、回動部700の回転量が増加すると、それにつれて遊技球の発射速度が次第に増加する(図中に「初期位置」と示された箇所と「L」と示された箇所との間の区間を参照)。ここで、回動部700の回転量が図中に「L」と示された箇所を越えると、発射速度の増加率(回動部700の回転量の増加量に対する発射速度の増加量の割合)がそれまでよりも緩やかに(発射速度の増加率が小さく)なる(図中に「L」と示された位置と「M」と示された位置との間の区間を参照)。遊技球の発射速度と回転量との関係をこのように設定しておくと、この区間では回動部700を操作した際に発射速度の変化が少ないので、遊技者は回動部700を操作することによって遊技球の発射速度を細かく調整することが可能となる。
回動部700の回転量が更に増加すると、今度は遊技球の発射速度の増加率がそれまでよりも大きくなって発射速度が急激に上昇していく。こうすると、遊技者が遊技球を速い速度で発射したい場合には、発射速度の増加率が上昇する位置(図29(a)の例では「M」と示した位置)を越えてある程度の量だけ回動部700を回転させれば発射速度を十分に高められるので、回動部700を大きく回さなくてもよい。したがって、遊技者が遊技球を速い速度で発射しながら遊技を行う際(いわゆる右打ちを行う際など)に遊技者の負担を軽減することが可能となる。
ここで、第5実施例の発射ハンドル11では、こうした構成に加えて前述した実施例や変形例の構成を採用することにより、発射ハンドル11の使い勝手をより向上可能としている。すなわち、前述の各実施例や各変形例の構成を採用すると、前述したように回動部700を回転させる際に遊技者にかかる負担を軽減することができる。例えば、前述した第1実施例の発射ハンドル11の構成を第5実施例の発射ハンドル11に採用すると、図29(b)に示されているように、回動部700の回転量が増加した際に遊技者にかかる負荷(遊技者が回動部700を支える力)が過大になる事態を回避可能である。すると、第5実施例の発射ハンドル11では、回転量が大きな範囲で遊技者にかかる負荷を抑える
ためにバネ部材800の弾性力を弱める必要がないので、遊技球の発射速度の増加が緩やかな範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)においても、回動部700に十分な大きさの戻り力を発生させることができる。
回動部700を操作して遊技球の発射速度を細かく調整する場合、回動部700が軽くて簡単に動いてしまうと、たとえ発射速度の変化が緩やかであっても、回動部700が動いて狙いがズレてしまうため、遊技者は扱い難さを感じてしまうことがある。この点、このように回動部700に十分な負荷を発生させて遊技者に手ごたえを感じさせておけば、回動部700が簡単に動いてしまうことに起因する扱い難さを解消して、発射ハンドル11の使い勝手を向上させることが可能となる。
参考までに、従来の操作ハンドルの場合について簡単に説明する。図30は、従来の操作ハンドルについて、回動部の回転量と遊技球の発射速度との関係、および回動部の回転量と遊技者にかかる負荷との関係を例示した説明図である。図30(b)に示されているように、従来の操作ハンドルでは、回動部の回転量が増えると遊技者にかかる負荷が次第に増加する。すると、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)において回動部に手ごたえを持たせようとすると、回転量が大きい範囲(図中に「M」と示した箇所よりも右側の範囲)において負荷が大きくなってしまう。
その結果、回転量が大きい範囲で発射速度の増加を強めていわゆる右打ちを容易に可能としても、遊技者は回動部をその位置に保持する際に疲れを感じやすいため、右打ちがし難いと感じてしまうことがある。かといって、回転量が大きい範囲で遊技者の負担を抑えようとすると、今度は狙いを正確に調整したい範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)において回動部の手ごたえが軽くなって狙いを付け難くなってしまう。
この点、第5実施例の発射ハンドル11では、回動部700の回転量が大きい範囲において遊技者にかかる負荷を抑えることができるので、遊技球を速い速度で発射する際の負担を軽減しながらも、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲において回動部700に手ごたえを持たせることが可能である。これにより、遊技球を強い速度で容易に発射可能でありながらも、遊技球の狙いが付け易い使い勝手のよい発射ハンドル11を実現することが可能となる。
なお、前述したように回動部700の回転量は発射ハンドル11に備えた可変抵抗器630によって検出することが可能である。回動部700の回転量を検出すれば、検出した回転量に応じて遊技球の発射速度を制御することにより(例えば発射制御装置500の出力を制御することにより)、図29に示した発射速度と回転量との関係を実現することが可能である。
また、前述した実施例や変形例で説明したように、回動部700を初期位置に戻す戻り力を摩擦力によって軽減する場合、摩擦力を発生させる部材(第1実施例の発射ハンドル11では当接部710および摩擦リング612)同士が当節する際の回動部700の回転位置を調節することにより、摩擦力が発生し始める位置(回動部700の回転位置)を任意の位置に設定することが可能である(図13を参照)。前述したように、摩擦力が発生し始めると遊技者の負荷が減少し始めるので、摩擦力が発生し始める位置を調整することにより、回動部700の手ごたえが最も大きくなる位置を、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲内に設けることが可能である。
図31は、遊技者にかかる負荷が最も大きくなる位置を、遊技球の発射速度の変化が緩
やかな範囲内に設けた様子を例示した説明図である。図31(b)に示されているように、遊技者にかかる負荷が最も大きくなる位置(図中に「N」と示した箇所を参考)が、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)に設けられている。例えば、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲内において当接部710と摩擦リング612とが当節するように、当接部710と摩擦リング612とを構成しておけば、こうした構成を実現することが可能である。こうすると、遊技球の発射速度を細かく調整できる範囲において回動部700の手ごたえを最も大きくすることができるので、発射速度を細かく調整する際には回動部700に手ごたえを持たせながらも、それ以外の範囲では遊技者の負担を極力抑えることができる。これにより、遊技球の狙いが付け易い発射ハンドル11を実現しながらも、遊技者の負担をより軽減することが可能となる。
なお、摩擦力の大きさは、摩擦力を発生させる部材間の摩擦係数や部材同士を押し付ける力を調節することによっても調整可能である。したがって、当接部710と摩擦リング612とが当節する位置を発射速度の変化が緩やかな範囲内に設けるだけでなく、当接部710や摩擦リング612の摩擦係数を調整したり、当接部710と摩擦リング612とを押し付ける力を調整することによっても、こうした構成を実現することが可能である。例えば、摩擦力の増加量(回動部700の回転量の増加に対する増加量)が、バネ部材800の弾性力の増加量(回動部700の回転量の増加に対する増加量)を上回る位置を、発射速度の変化が緩やかな範囲内に設けておく。遊技者にかかる負荷はバネ部材800の弾性力と摩擦力との差なので、摩擦力の増加量が弾性力の増加量を超えると、遊技者にかかる負荷が増加から減少に転じる(遊技者にかかる負荷が極大になる)。したがって、発射速度の変化が緩やかな範囲内において遊技者にかかる負荷を最大にすることが可能である。
また、第2変形例において前述したように、遊技者にかかる負荷が回動部700の回転の途中で一時的に増加する構成としてもよい。
図32は、遊技者にかかる負荷が回動部700の回転の途中で増加する発射ハンドル11について、回動部700の回転量と遊技球の発射速度との関係、および回動部700の回転量と遊技者にかかる負荷との関係を例示した説明図である。このような発射ハンドル11では、図32(b)に例示されているように、発射速度の変化が緩やかな範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)において、遊技者にかかる負担が減少から増加に転じる構成とすることも可能である(図中に「O」と示した箇所を参照)。こうすると、遊技者は回動部700の手ごたえが変化することによって、発射速度の変化率が小さい範囲(速度を細かく調整することが可能な範囲)に回動部700があることを認識することができる。これにより、発射ハンドル11の使い易さをより向上させることが可能となる。
また、図32(b)に示されているように、発射速度の変化が緩やかな範囲を越えた位置で、遊技者にかかる負荷が増加から減少に転じる構成を採用してもよい(図中に「P」と示した箇所を参照)。こうすると、遊技者は回動部700の手ごたえが変化することによって、発射速度の変化率が大きい領域に回動部700が位置していることを認識可能である。こうすれば、いわゆる右打ちを行う場合などに、発射速度が速い位置まで回動部700を回したことを遊技者は容易に認識することが可能となるので、より好適である。
なお、第5実施例の発射ハンドル11では、発射速度の変化が緩やかな範囲を越えた範囲(回動部700の回転量が大きい範囲)での回動部700の手ごたえは、発射速度の変化が緩やかな範囲における手ごたえよりも小さい必要は必ずしもない。すなわち、回転量が大きい範囲において遊技者にかかる負荷が、バネ部材800の弾性力よりも軽減されて
いればよい。こうすれば、発射速度の増加が緩やかな範囲において回動部700に手ごたえを持たせて遊技球の狙いを付けやすくしながらも、遊技者が回動部700を大きく回して遊技を行う際の遊技者の負担を軽減することが可能となる。
また、遊技者にかかる負荷を減少させる際には、こうした摩擦力を用いる構成だけでなく、前述の第2実施例と同様に弾性力の方向を変化させることによって、戻り力を抑制する構成を採用することも可能である。
図33は、弾性力の方向を変化させることによって戻り力を抑制する構成を採用した発射ハンドル11について、回動部700の回転量と発射速度との関係、および回動部700の回転量と遊技者にかかる負荷との関係を示した説明図である。図33(b)に示されているように、回動部700を回転させると、遊技者にかかる負荷が次第に減少する。こうした構成は前述した第2実施例と同様の構成を採用することにより実現可能である(図14ないし図18を参照)。こうした場合も、遊技球の発射速度の変化が緩やかな範囲(図中に「L」と示した箇所と「M」と示した箇所との間の範囲)において回動部700に手ごたえを持たせながらも、回動部700の回転量が大きい範囲において遊技者にかかる負荷が過大になってしまう事態を回避可能である。
なお、上述した各実施例および各変形例の発射ハンドル11は、次のような遊技盤を備えた遊技機に搭載するとより好適である。
図34は、第5実施例の発射ハンドルを搭載した遊技機の遊技盤を例示した説明図である。図示されているように、この遊技盤20には前述した実施例の遊技盤(図2を参照)と同様に、作動口25(第1作動口25aおよび第2作動口25b)や、スルー作動口24や、大入球口60などが備えられている。
発射ハンドル11の操作により発射された遊技球は、遊技盤20の左側(遊技盤20に向かって左側)からレール21によりガイドされながら遊技領域28の上部に進入する。そして、釘22によって進路を変えられながら遊技領域28を流下していく。ここで、遊技盤20の中央には演出表示装置30を搭載した中央装置31が備えられており、この中央装置31によって遊技領域28は、中央装置31の上側の領域(上部領域)と、中央装置31の右側(遊技盤20に向かって右側)の領域(右領域)と、中央装置31の左側(遊技盤20に向かって左側)の領域(左領域)と、中央装置31の下側の領域(下部領域)との4つの領域に大きく分かれている。
すると、遊技球は遊技領域28の左側から発射されることから、遊技球の発射速度が速いほど遊技球は上部領域の右方に到達し、上部領域の略中央よりも右方に到達すると、ほとんどの遊技球は右領域を流下することになる。これとは逆に上部領域の略中央よりも左方に遊技球が流下した場合には、ほとんどの遊技球は左領域を流下することになる。
ここで、図34の遊技盤20では、右領域を流下した遊技球が到達する位置に大入球口60が配置されており、大入球口60の開放時には、右領域を流下した遊技球が大入球口60に容易に入球することが可能である。したがって、大入球口60の開放時には、遊技者は遊技球を速い速度で発射することによって、遊技球を大入球口60に次々と入球させる爽快感を楽しむことが可能である。このとき、前述した各実施例や各変形例の発射ハンドル11では、遊技球を速い速度で発射すべく回動部700を大きく回転させたとしても、遊技者にかかる負荷を少なく抑えることが可能である。これにより、こうした遊技を行う際の遊技者の負担を軽減させて遊技の爽快感をより高めることが可能となっている。
また、前述した第5実施例の発射ハンドル11では、回動部700を大きく回転させな
くても遊技球の発射速度を高めることが可能なことから、遊技者に煩わしい操作を強いることなくこうした遊技を楽しませることが可能である。これにより、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となっている。
なお、大入球口60をこのような位置に配置する場合、右領域を流下した遊技球が大入球口60に入球する確率が、左領域を流下した遊技球が大入球口60に入球する確率を上回る位置に大入球口60を配置するとより好適である。こうすれば、右領域に遊技球を発射した方が大入球口60に入球させ易いことから、大入球口60の開放時には遊技者は右領域を狙おうとする。これにより、発射ハンドル11を同じ位置に保持しつづけて発射ハンドル11を操作する遊技が単調になってしまう事態を回避することが可能となる。
また、図34に例示した遊技盤20では、中央装置31の上部の入口31bから遊技球を取り込んで中央装置31下方のステージ31c上に遊技球を導く通路31aが設けられている。ここで、ステージ31cの中央には通過穴31dが設けられており、ステージ31c上の遊技球がこの通過穴31dに入球すると、ステージ内部の通路を通過して第1作動口25a上方の出口穴31eから排出され、その結果、高い確率で第1作動口25aに入球する。したがって、入口31bに遊技球を入球させて遊技球をステージ31c上に導けば、ステージ31c上に遊技球が導かれなかった場合よりも高い確率で第1作動口25aに遊技球を入球させることが可能である。
こうした構成を採用した場合、遊技者は入口31bを狙って遊技球を発射する傾向が生じる。そこで、前述した第5実施例の発射ハンドル11を採用する際には、発射速度を細かく調整可能な範囲(発射速度の変化が緩やかな範囲)の発射速度で発射された遊技球が、入口31bの近傍に到達する構成とするとより好適である。前述したように、この範囲では発射速度を細かく調整可能であり、かつ回動部700に適度な手ごたえがあることから、遊技球の狙いがつけ易い。これにより、入口31bを狙って遊技球を発射する遊技を遊技者により楽しませることが可能となる。
また、前述したように、発射速度を細かく調整可能な範囲(発射速度の変化が緩やかな範囲)において、回動部700を操作する際に遊技者にかかる負荷が、増加から減少(あるいは減少から増加)に変化する構成(図26、図31、図32を参照)を採用することも可能である。こうした場合、遊技者にかかる負荷が変化する位置(回動部700の回転位置)において発射された遊技球が、遊技球が入口31bの近傍に到達する構成とすると、より好適である。こうすれば、遊技者は回動部700の手ごたえの変化から、入口31bに入球し易い位置に発射ハンドル11を操作できていることを認識することが可能である。これにより、遊技が行い易いと遊技者に感じさせることができ、加えて、入口31bに入球し易い状態で遊技が行えている安心感を遊技者に与えることもできるので、結果として遊技者の興味を遊技に引き付けて遊技の興趣を高めることが可能となっている。
以上、本実施例および変形例の発射ハンドルについて説明したが、本発明は、上述した各実施例および変形例に限らず、その趣旨を逸脱しないかぎり、種々の態様で実施することが可能である。
[上述の実施例および変形例に具現された発明] :
遊技領域に遊技球を発射して遊技を行う遊技機では、発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球口に入球すると、入球に対して賞球が払い出されたり、抽選が行われたりしながら遊技が進行する。こうした遊技機では、遊技者が発射ハンドルを操作することによって遊技球が発射されるようになっている(例えば、特許文献1)。発射ハンドルには回転式のハンドルが広く採用されており、このタイプの発射ハンドルでは、遊技球が発射される際の球速がハンドルの回転角に応じて変化し、ハンドルの回転角が大きいほど遊技球
が速い速度で発射され、回転角が小さいほど遅い速度で発射される。このため、回転角を調整することによって遊技球の狙いを付けることが可能である。
また、こうした発射ハンドルでは、ハンドルを初期位置に付勢するバネ機構が設けられており、遊技者がハンドルから手を離すとバネの力によってハンドルを初期位置に戻すことが可能である。これにより、遊技者がハンドルを操作していない状態で遊技球が発射されてしまう事態を回避することが可能となっている。
しかし、このようにハンドルを初期位置に戻す機構が設けられた遊技機では、遊技者はハンドルを戻す力に逆らってハンドルを保持しながら遊技を行わなければならないので、疲れを感じてしまうことがあるという問題があった。
そこで、上述した課題の少なくとも一部を解決するために、遊技機A1は次の構成を採用した。すなわち、
遊技機A1 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位に応じて、遊技球を前記遊技領域に該変位に応じた速さで発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に戻す戻し力を発生させる戻し力発生手段と
を備え、
前記戻し力発生手段は、前記操作部の前記初期位置からの変位が増加するのにしたがって、前記戻し力を減少させる戻し力減少手段を備えることを特徴とする遊技機。
遊技機A1では、遊技者が操作部を操作して操作部を初期位置から変位させると、遊技領域に遊技球が発射されて遊技が行われる。また、操作部を初期位置に戻す力を発生させる手段を備えており、この戻し力によって操作部を初期位置に戻す。ここで、遊技機A1では、操作部の変位が増加するのにしたがって、戻し力を減少させる。
本発明の発明者が見出した新たな知見によれば、こうした構成を採用すると、遊技者が操作部を保持する際に感じる負担を軽減することが可能となる。まず、この新たな知見について説明する。一般に、操作部の変位に応じて遊技球を遊技領域に発射する遊技機では、弾性部材の弾性力によって操作部を初期位置に戻すように構成されている。こうした場合、操作部の変位が大きいほど弾性部材の変形量が増えて戻し力が強まる。これに対して本発明の発明者は、操作部の変位が大きいほど戻し力が弱まる操作部を考案したところ、上述した一般の遊技機に比べて、遊技者が疲れを感じ難くなることを見出した。これは次の理由からと考えられている。すなわち、一般の遊技機では、操作部の変位が大きいほど弾性部材の弾性力が強まることから、変位が大きいほど遊技者は強い力で操作部を支えなければならない。こうした場合、操作部を初期位置から変位させていくと次第に負荷が強まっていくことから、遊技者は疲れを感じやすい傾向がある。これに対して、操作部の変位が増えるほど戻し力が弱まる場合、遊技者は操作部を初期位置から変位させていくほど負荷が弱まることから、操作部を操作する際に疲れ難いと感じる傾向がある。その結果、操作部の変位が増えるほど戻し力が弱まる遊技機では、一般の遊技機にくらべて疲れを感じ難い傾向が生じる。こうした傾向により、遊技機A1では、戻し力によって操作部を初期位置に戻すことを可能としながらも、遊技者が疲れを感じる虞を低減可能としている。
また、戻し力を弱めることによって、遊技者が疲れを感じる虞を低減可能な点に鑑みると、この遊技機は次のように捉えることも可能である。
遊技機A2 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位に応じて、遊技球を前記遊技領域に該変位に応じた速さで発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に付勢する付勢力(または戻し力)を発生させる付勢力発生手段(または戻し力発生手段)と、
前記操作部の前記初期位置からの変位が増加するのにしたがって前記付勢力(または戻し力)を減少させる付勢力減少手段(または戻し力減少手段)と
を備える遊技機。
かかる遊技機A2においても、遊技者が操作部を操作して操作部を初期位置から変位させると、遊技領域に遊技球が発射されて遊技が行われる。また、付勢力(または戻し力)を発生する手段を備えており、この付勢力(または戻し力)によって操作部を初期位置に付勢する(または初期位置に戻す)。ここで、遊技機A2では、操作部の変位が増加するのにしたがって、付勢力(または戻し力)を減少させる。
こうした遊技機A2においても、操作部の変位が増えるほど付勢力(または戻し力)が弱まることから、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能となる。
なお、操作部は本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
また、遊技機A1および遊技機A2では、次の構成を採用してもよい。
遊技機A3 :
遊技機A1または遊技機A2であって、
前記操作部は、前記本体に対して回動することにより前記変位する操作部であり、
前記戻し力発生手段は、前記本体と前記操作部とに接続された弾性部材が、該本体との接続箇所と、該操作部との接続箇所とを接近させる弾性力を生じることにより、前記戻し力を発生させる手段であり、
前記戻し力減少手段は、前記本体に対する前記弾性力の力点と、前記回動の中心と、前記操作部に対する該弾性力の力点とがなす角が、該操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて広がることにより、該弾性力の、該操作部の回動方向の成分を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機A3では、操作部が本体に対して回動可能に設けられている。また、操作部と本体部とに弾性部材が接続されており、この弾性部材の弾性力が操作部と本体とに作用することにより、操作部が初期位置に戻される。ここで、操作部が回動すると、本体に対して弾性力が作用する力点と、操作部の回動の中心と、操作部に対して弾性力が作用する力点とがなす角が広がっていく。
弾性部材の弾性力は操作部側の力点と本体側の力点とを結ぶ方向に作用するが、操作部は本体に対して回動することから、この弾性力の、操作部の回動方向の成分が、操作部を初期位置に戻す力(戻し力)となる。すると、弾性力のこの方向の成分(戻し力)は、本体側の力点と回動中心と操作部側の力点とがなす角の角度が大きくなると、次第に小さくなる。その結果、操作部の初期位置からの変位が増加するのにしたがって、戻し力を減少
させることが可能となる。こうすれば、弾性部材を用いた簡素な構成によって戻し力を減少させることができるので、好適である。
また、遊技機A1および遊技機A2は、次の構成を採用することも可能である。
遊技機A4 :
遊技機A1または遊技機A2であって、
前記操作部とともに前記本体に対して変位するとともに、該本体側に当接することにより、該操作部と該本体との間に摩擦力を発生させる摩擦力発生部を備え、
前記戻し力減少手段は、前記摩擦力発生部が前記当接する力が、前記操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて強まることにより、前記摩擦力を高める手段である遊技機。
かかる遊技機A4では、摩擦力発生部が操作部とともに変位し、この摩擦力発生部が本体側の部材に当接することにより、操作部と本体との間に摩擦力を発生させる。この摩擦力は、操作部を初期位置に戻す戻し力に対抗するので、戻し力を減少させることができる。ここで、遊技機A4では、操作部の初期位置からの変位の増加に連動させて摩擦力発生部を本体側に当接させる力を強める。
こうすれば、操作部の変位が増加するのにつれて、戻し力に対抗する摩擦力を強めることができ、その結果、操作部の変位の増加につれて戻し力を減少させることが可能となる。これにより、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能となる。また、このように摩擦力を用いて戻し力を減少させてやれば、操作部の変位に応じて戻し力を制御する複雑な構成を備えなくても簡素な構成によって戻し力を減少させることができるので、好適である。
なお、操作部と本体との間に摩擦力を生じさせると、遊技者が操作部を変位させる際には、摩擦力に打ち勝つ力が必要になる。とはいえ、遊技を行う際には、操作部を変位させて遊技球の発射位置の狙いを一度つけてしまえば、その後に操作部を頻繁に変位させる必要が生じることは多くないので、遊技者への負担が過剰に増大してしまうことはない。加えて、一般に遊技中は、遊技者は操作部を目的の位置に保持する時間の方が、目的の位置まで変位させる時間よりも長いので、操作部を目的の位置まで変位させる際の負担がたとえ増えたとしても、操作部を目的の位置に保持する際の負担が減れば、遊技全体としては遊技者の負担を軽減可能である。その結果、操作部を目的の位置まで変位させる際の負担がたとえ増加しても、遊技者が疲れを感じる虞を十分に低減させることが可能となる。
また、このように摩擦力を発生させた場合、操作部と本体との間に摩擦力が作用するものの、操作部と本体とが固定されるわけではない。したがって、摩擦力が発生した状態においても遊技者は操作部の変位を容易に調整可能である。このように、戻し力を減少させて遊技者の負担を軽減した状態においても、操作部を調整して発射位置の狙いを調節することが可能なので、遊技者の負担を軽減可能としながらも、遊技者が操作部を扱い難いと感じてしまう虞を回避することが可能となっている。
なお、「前記操作部とともに前記本体に対して変位する」摩擦力発生部とは、操作部とともに変位するものであれば、どのようなものであってもよい。たとえば、ネジ止めや接着などによって操作部に固定された別部材であってもよいし、あるいは、操作部とともに一体に成形されて、操作部の一部を構成するものであってもよい。いずれの場合も、操作部とともに変位することが可能であるから、「前記操作部とともに変位する」摩擦力発生部に該当する。
また、「本体側に当接する」とは、本体と操作部との間に摩擦力が作用しさえすれば、どのような態様で当接してもよい。例えば、本体に直接当接するものであってもよいし、あるいは、本体に設けられた部材に当接するものであってもよい。本体に設けられた部材に当接する場合、その部材を介して、本体と操作部との間に摩擦力が作用することが可能である。また、本体に設けられた部材に当接する場合には、その部材が本体に完全に固定されている必要は必ずしもなく、例えば、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して本体に取り付けられていてもよい。こうした場合であっても、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して、操作部と本体側との間で摩擦力が作用することができるので、「本体側に当接する」に該当する。
また、遊技機A1および遊技機A2は、次の構成を採用することも可能である。
遊技機A5 :
遊技機A1または遊技機A2であって、
前記初期位置からの前記操作部の変位を検出する変位検出手段を備え、
前記戻し力減少手段は、前記検出した変位に応じて前記戻し力を制御することにより、該操作部の前記初期位置からの変位が増加するのにしたがって該戻し力を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機A5では、操作部の変位を検出し、検出した変位に応じて戻し力を制御することにより、操作部の変位の増加に対して戻し力を減少させる。
こうした場合も、操作部の変位が増加するのに連れて戻し力を減少させることができるので、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能となる。
なお、操作部の変位を検出する際には、種々の方法を用いることが可能である。例えば、変位を検出可能な各種のセンサを用いてもよいし、あるいは、操作部に部材を接続しておき、操作部の変位を反映した量だけその部材が動くことによって、操作部の変位を検出してもよい。また、戻し力を制御する際にも種々の方法を用いることが可能である。例えば、アクチュエータを用いて戻し力を発生させるとともに、検出した操作部の変位に応じてアクチュエータの出力を制御してもよい。いずれの方法を用いた場合も、操作部の変位を検出して変位に応じて戻し力を制御すれば、操作部の変位が増加するのにつれて戻し力を減少させることが可能であり、その結果、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能となる。
また、摩擦力によって戻し力を減少させてやれば、少なくとも摩擦力の分は、遊技者が付勢力に逆らって操作部を保持する力が小さくて済むので、このことによっても、遊技者が疲れを感じる虞を軽減することが可能である。したがって、以下のような遊技機として把握することも可能である。
遊技機B1 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた遊技機本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記遊技機本体に対する初期位置からの変位に応じて、遊技球を前記遊技領域に該変位に応じた速さで発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に付勢する付勢手段と、
前記操作部とともに変位する部材が、前記遊技機本体側に当接することにより、前記初期位置への付勢力に逆らう摩擦力を発生させる摩擦力発生手段と
を備える遊技機。
かかる遊技機B1では、遊技機本体に対して変位可能に設けられた操作部を遊技者が操作すると、操作部の変位に応じた速さで遊技球が発射される。ここで、操作部には操作部とともに遊技機本体に対して変位する部材が接続されており、この部材が本体側に当接することにより、摩擦力を発生させる。
こうすれば、遊技者が操作部を初期位置から変位させた状態では、操作部を初期位置に戻そうとする付勢力に摩擦力が逆らうことになる。これにより、遊技者が操作部を目的の位置に保持する際に操作部を支えなければならない力を弱めることが可能となり、その結果、遊技者が疲れを感じる虞を低減することが可能となる。
なお、操作部は遊技機本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は遊技機本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、遊技機本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
また、操作部と本体との間に摩擦力を生じさせると、遊技者が操作部を変位させる際には、この摩擦力に打ち勝つ力が必要になる。とはいえ、遊技を行う際には、操作部を変位させて遊技球の発射位置の狙いを一度つけてしまえば、その後に操作部を頻繁に変位させる必要が生じることは稀なので、遊技者への負担が過剰に増大してしまうことはない。加えて、一般に遊技中は、遊技者は操作部を目的の位置に保持する時間の方が、目的の位置まで変位させる時間よりも長いので、操作部を目的の位置まで変位させる際の負担がたとえ増えたとしても、操作部を目的の位置に保持する際の負担が減れば、遊技全体としては遊技者の負担を軽減可能である。その結果、操作部を目的の位置まで変位させる際の負担が増加しても、遊技者が疲れを感じる虞を十分に低減させることが可能となる。
加えて、このように摩擦力を発生させた場合、操作部と本体側との間に摩擦力が作用するものの、操作部と本体とが固定されるわけではない。したがって、摩擦力を発生させた状態においても、遊技者は操作部の変位を容易に調整可能である。このように、付勢力を減少させて遊技者の負担を軽減した状態においても、操作部を調整して発射位置の狙いを調節することができるので、遊技者の負担を軽減しながらも、遊技者が操作部を扱い難いと感じてしまう虞を回避することが可能となっている。
なお、「前記操作部とともに変位する部材」とは、操作部とともに変位するものであれば、どのようなものであってもよい。たとえば、ネジ止めや接着などによって操作部に固定された別部材であってもよいし、あるいは、操作部とともに一体に成形されて、操作部の一部を構成するものであってもよい。いずれの場合も、操作部とともに変位することが可能であるから、「前記操作部とともに変位する部材」に該当する。
また、「遊技機本体側に当接する」とは、遊技機本体と操作部との間に摩擦力が作用しさえすれば、どのような態様で当接してもよい。例えば、遊技機本体に当接するものであってもよいし、あるいは、遊技機本体に設けられた部材に当接するものであってもよい。遊技機本体に設けられた部材に当接する場合、その部材を介して、遊技機本体と操作部との間に摩擦力が作用することが可能である。また、遊技機本体に設けられた部材に当接する場合には、その部材が遊技機本体に完全に固定されている必要は必ずしもなく、例えば、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して遊技機本体に取り付けられていてもよい。こうした場合であっても、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して、操作部と遊技機本体側との間で摩擦力が作用することができるので、「遊技機本体側に当接する」に該当する。
また、上述した遊技機B1は、次の構成を採用してもよい。
遊技機B2 :
遊技機B1であって、
前記摩擦力発生手段は、遊技者により前記操作部に加えられた力によって前記部材が前記本体に固定された部材に当接することにより、前記摩擦力を発生させる手段である遊技機。
かかる遊技機B2では、遊技者が操作部に加える力により操作部側の部材が本体側の部材に当接して摩擦力を発生させる。
遊技者が操作部を操作する力を利用して摩擦力を発生させてやれば、遊技者が操作部を操作していない状態ではこの摩擦力は生じないので、遊技者が操作部を操作していない状態ではこの摩擦力によって付勢力を弱めることなく操作部を十分な強さで付勢することが可能である。その結果、遊技者が操作部を操作しない際に操作部を初期位置により確実に付勢することが可能となる。
また、上述した実施例には、次の発明も具現されている。
一般に、遊技者は遊技球の狙いを付けながら遊技を行うことが通常であるが、狙いをあまり付けずに遊技を行う場合もある。たとえば、抽選に当選すると大入球口などの特別な入球口が開くタイプの遊技機では、遊技球を強く発射すれば高い確率でその入球口に入球する構成を採用することがあり、こうした入球口に入球させる場合には狙いをあまり付けずに遊技を行うことがある。そこで、発射ハンドルの回転量に対する遊技球の発射速度を調整することにより、発射ハンドルの回転量が所定の角度を超えるまでは、発射速度を発射ハンドルの回転に対して緩やかに変化させ、所定の角度を超えたら発射速度を大きく速める技術が提案されている。こうすると、発射ハンドルを一定角度以上回せば遊技球を簡単に強く発射することができ、なおかつ一定角度に達しない範囲では正確な狙いをつけることができるので、正確な狙いを付けたい場合とそうでない場合とのいずれの場合にも対応可能な使い勝手のよい発射ハンドルが実現可能と考えられている。
しかし、提案されている発射ハンドルは、実際には使い勝手が十分に良いものではないという問題があった。すなわち、発射ハンドルの回転に対して発射速度が緩やかに変化するとしても、発射ハンドルが動けば遊技球の発射速度が変化することには変わりはない。したがって、遊技者は発射ハンドルが不意に動いて発射速度が変化してしまわないように発射ハンドルを慎重に操作しなければならず、その結果、扱い難いと感じてしまうことがどうしてもある。かといって、発射速度の変化を抑えようとして発射ハンドルの回転に対する発射速度の変化をより小さくすると、今度は発射ハンドルを動かしても発射位置があまり変化しないので、かえって狙いを付け難くなってしまう。こうした理由から、十分に使い勝手がよいものではなかった。
そこで、こうした従来の技術の課題の少なくとも一部を解決するために、遊技機C1は次の構成を採用した。
遊技機C1 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位量に応じた速さで、遊技球を前記遊技領域に発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に戻す戻し力を発生させる戻し力発生手段と
を備え、
前記遊技球発射手段は、前記操作部の変位量の増加量に対する遊技球の速さの増加量の割合が、該変位量が所定の変位量に達するまでの範囲の少なくとも一部の範囲では、該所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲よりも小さい手段であり、
前記戻し力発生手段は、前記操作部の変位が前記所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲で前記戻し力を減少させる戻し力減少手段を備える遊技機。
遊技機C1では、遊技者が操作部を操作して操作部を初期位置から変位させると、遊技領域に遊技球が発射されて遊技が行われる。また、操作部を初期位置に戻す戻し力を発生させる手段を備えており、この戻し力によって操作部を初期位置に戻す。ここで、遊技球の速さは操作部の変位量に応じて変化するが、遊技機C1では、操作部の変位量の増加量に対する遊技球の速さの増加量の割合(発射速度勾配)が、操作部の変位が所定の変位量に達するまでの変位範囲では、その所定の変位量を越えた変位範囲よりも小さい。加えて、その所定の変位量を越えた変位範囲では、戻し力を減少させる。
操作部の変位量が所定量に達しない範囲で発射速度勾配を小さくしておけば、この範囲では遊技球の速さを細かく調整することが可能である。このとき、操作部に戻し力を作用させてやれば、遊技者は操作部に手ごたえを感じながら操作部を操作できるので、遊技球の狙いをつけ易くすることが可能となる。加えて、操作部の変位が所定の変位量を越えた範囲で戻し力を減少させてやれば、発射速度勾配が小さい範囲において操作部に手ごたえを発生させたことに起因して、操作部の変位量がより大きい範囲において戻し力が過大になって遊技者にかかる負荷が大きくなってしまう虞を回避することも可能となる。これにより、遊技球の速さを細かく調整可能な範囲と、その範囲を越えた範囲とのいずれにおいても扱いやすい操作部を実現することが可能となる。
なお、こうした発射速度勾配が小さい範囲は、操作部の変位量が所定の変位量に達するまでの全ての範囲である必要はなく、一部の範囲であってもよい。そうした範囲があれば、その範囲においては遊技球の速さを細かく調整することが可能である。また、こうした範囲は、操作部の変位が所定の変位量を越えた範囲の全ての範囲よりも発射速度勾配が小さい必要はなく、所定の変位量を越えた範囲に発射速度勾配がより小さい範囲が存在してもよい。こうした場合でも、所定の変位量に達する前の発射速度勾配が小さい範囲において速さを細かく調整可能であることには変わりがないからである。戻し力を減少させる範囲についても同様であり、所定の変位量を越えた範囲の全ての範囲で戻し力を減少させる必要は必ずしもなく、一部の範囲で減少させてもよい。こうした場合もその一部の範囲では戻し力が過大になる虞を回避可能である。
また、上述したように、発射速度勾配が小さい範囲は、所定の変位量を越えた全範囲よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。したがって、この範囲は、戻し力が減少する範囲(所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲)よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。もちろん、戻し力が減少する範囲よりも発射速度勾配を小さくしてもよい。こうした場合、操作部の負荷が減少するとともに遊技球の速さが高まることから、遊技者はより容易に遊技球を強く発射することが可能となる。また、遊技球の速さが上昇するのに連動して操作部が軽くなることから、遊技球を強く発射する爽快感をより向上させることも可能となって好適である。
なお、操作部は本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
また、戻し力を減少させることによって、操作部の変位量が増えても遊技者にかかる負
荷が過大になる虞を回避可能とする点に鑑みると、この遊技機は次のように捉えることも可能である。
遊技機C2 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位量に応じた速さで、遊技球を前記遊技領域に発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に付勢する付勢力(または戻し力)を発生させる付勢力発生手段(または戻し力発生手段)と、
前記操作部の前記初期位置からの変位量が増加するのにしたがって前記付勢力(または戻し力)を減少させる付勢力減少手段(または戻し力減少手段)と
を備え、
前記遊技球発射手段は、前記操作部の変位量の増加量に対する遊技球の速さの増加量の割合が、該変位量が所定の変位量に達するまでの範囲の少なくとも一部の範囲では、該所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲よりも小さい手段であり、
前記付勢力減少手段(または戻し力減少手段)は、前記操作部が前記所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲で該変位が増加するのにしたがって前記付勢力(または戻し力)を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機C2においても、遊技者が操作部を操作して操作部を初期位置から変位させると、遊技領域に遊技球が発射されて遊技が行われる。また、付勢力(または戻し力)を発生する手段を備えており、この付勢力(または戻し力)によって操作部を初期位置に付勢する(または初期位置に戻す)。ここで、遊技機C2では、操作部の変位量の増加に対する遊技球の速さの増加量の割合(発射速度勾配)が、操作部の変位が所定の変位量に達するまでの変位範囲では、その所定の変位量を越えた変位範囲よりも小さい。加えて、その所定の変位量を越えた範囲では、操作部の変位が増加するのにしたがって付勢力(または戻し力)を減少させる。
こうした遊技機C2においても、発射速度勾配を小さくした範囲では、遊技球の速さを細かく調整することができるとともに、操作部に付勢力(または戻し力)を作用させて操作部に手ごたえをもたせることができるので、遊技球の狙いをつけ易くすることが可能となる。加えて、操作部の変位量が増加するのにつれて付勢力(または戻し力)を減少させてやれば、操作部に手ごたえを持たせたことに起因して操作部の変位が大きい範囲で遊技者にかかる負荷が過大になってしまう虞を回避することが可能となる。
なお、操作部は本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
また、上述した遊技機C1と同様の理由から、発射速度勾配が小さい範囲は、操作部の変位量が所定の変位量に達するまでの全ての範囲である必要はなく、一部の範囲であってもよい。同様に、操作部の変位量が所定の変位量を越えた範囲の全ての範囲よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。付勢力(または戻し力)を減少させる範囲についても同様であり、所定の変位量を越えた全ての範囲で付勢力(または戻し力)を減少させる必要は必ずしもなく、一部の範囲で減少させてもよい。
更に、上述の遊技機C1と同様の理由から、こうした発射速度勾配が小さい範囲は、付勢力(または戻し力)が減少する範囲よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。
もちろん、上述の遊技機C1と同様に、付勢力(または戻し力)が減少する範囲よりも発射速度勾配を小さくしてもよい。こうした場合、操作部の負荷が減少するとともに遊技球の速さが高まることから、遊技者はより容易に遊技球を強く発射することが可能となる。また、遊技球の速さが上昇するのに連動して操作部が軽くなることから、遊技球を強く発射する爽快感をより向上させることも可能となって好適である。
遊技機C3 :
遊技機C1または遊技機C2であって、
前記操作部は、前記本体に対して回動することにより前記変位する操作部であり、
前記戻し力発生手段は、前記本体と前記操作部とに接続された弾性部材が、該本体との接続箇所と、該操作部との接続箇所とを接近させる弾性力を生じることにより、前記戻し力を発生させる手段であり、
前記戻し力減少手段は、前記本体に対する前記弾性力の力点と、前記回動の中心と、前記操作部に対する該弾性力の力点とがなす角が、該操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて広がることにより、該弾性力の、該操作部の回動方向の成分を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機C3では、操作部が本体に対して回動可能に設けられている。また、操作部と本体部とに弾性部材が接続されており、この弾性部材の弾性力が操作部と本体とに作用することにより、操作部が初期位置に戻される。ここで、操作部が回動すると、本体に対して弾性力が作用する力点と、操作部の回動の中心と、操作部に対して弾性力が作用する力点とがなす角が広がっていく。
弾性部材の弾性力は操作部側の力点と本体側の力点とを結ぶ方向に作用するが、操作部は本体に対して回動することから、この弾性力の、操作部の回動方向の成分が、操作部を初期位置に戻す力(戻し力)となる。すると、弾性力のこの方向の成分(戻し力)は、本体側の力点と回動中心と操作部側の力点とがなす角の角度が大きくなると、次第に小さくなる。その結果、操作部の初期位置からの変位が増加するのにしたがって、戻し力を減少させることが可能となる。こうすれば、弾性部材を用いた簡素な構成によって戻し力を減少させることができるので、好適である。
遊技機C4 :
遊技機C1または遊技機C2であって、
前記操作部とともに前記本体に対して変位するとともに、該本体側に当接することにより、該操作部と該本体との間に摩擦力を発生させる摩擦力発生部を備え、
前記戻し力減少手段は、前記摩擦力発生部が前記当接する力が、前記操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて強まることにより、前記摩擦力を高める手段である遊技機。
かかる遊技機C4では、摩擦力発生部が操作部とともに変位し、この摩擦力発生部が本体側の部材に当接することにより、操作部と本体との間に摩擦力を発生させる。この摩擦力は、操作部を初期位置に戻す戻し力に対抗するので、戻し力を減少させることができる。ここで、遊技機A4では、操作部の初期位置からの変位の増加に連動させて摩擦力発生部を本体側に当接させる力を強める。
こうすれば、操作部の変位が増加するのにつれて、戻し力に対抗する摩擦力を強めることができ、その結果、操作部の変位の増加につれて戻し力を減少させることが可能となる。このように摩擦力を用いて戻し力を減少させてやれば、操作部の変位に応じて戻し力を制御する複雑な構成を備えなくても簡素な構成によって戻し力を減少させることができるので、好適である。
遊技機C5 :
遊技機C1または遊技機C2であって、
前記初期位置からの前記操作部の変位を検出する変位検出手段を備え、
前記戻し力減少手段は、前記検出した変位に応じて前記戻し力を制御することにより、該操作部の前記初期位置からの変位が増加するのにしたがって該戻し力を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機C5では、操作部の変位を検出し、検出した変位に応じて戻し力を制御することにより、操作部の変位の増加に対して戻し力を減少させる。
こうした場合も、操作部の変位が増加するのに連れて戻し力を減少させることができるので、操作部に手ごたえを持たせて遊技球の狙いを付け易くしながらも、そのことに起因して遊技者にかかる負荷が過大になってしまう虞を回避することが可能となる。
なお、操作部の変位を検出する際には、種々の方法を用いることが可能である。例えば、変位を検出可能な各種のセンサを用いてもよいし、あるいは、操作部に部材を接続しておき、操作部の変位を反映した量だけその部材が動くことによって、操作部の変位を検出してもよい。また、戻し力を制御する際にも種々の方法を用いることが可能である。例えば、アクチュエータを用いて戻し力を発生させるとともに、検出した操作部の変位に応じてアクチュエータの出力を制御してもよい。いずれの方法を用いた場合も、操作部の変位を検出して変位に応じて戻し力を制御すれば、操作部の変位が増加するのにつれて戻し力を減少させることが可能である。
また、摩擦力によって戻し力を減少させてやれば、少なくとも摩擦力の分は、遊技者が付勢力に逆らって操作部を保持する力が小さくて済むので、このことによっても、遊技者にかかる負荷を軽減することが可能である。したがって、以下のような遊技機として把握することも可能である。
遊技機D1 :
遊技領域に向けて遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域が設けられた遊技機本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位量に応じた速さで、遊技球を前記遊技領域に発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に付勢する付勢手段と、
前記操作部とともに変位する部材が、前記遊技機本体側に当接することにより、前記初期位置への付勢力に逆らう摩擦力を発生させる摩擦力発生手段と
を備え、
前記遊技球発射手段は、前記操作部の変位量の増加量に対する遊技球の速さの増加量の割合が、該変位が所定の変位量に達するまでの範囲の少なくとも一部の範囲では、該所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲よりも小さい手段であり、
前記摩擦力発生手段は、前記操作部の変位が前記所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲で前記摩擦力を発生させる手段である遊技機。
かかる遊技機D1では、遊技機本体に対して変位可能に設けられた操作部を遊技者が操作すると、操作部の変位量に応じた速さで遊技球が発射される。ここで、操作部には操作部とともに遊技機本体に対して変位する部材が接続されており、この部材が本体側に当接することにより、摩擦力を発生させる。
摩擦力が発生すると、操作部を初期位置に戻そうとする付勢力に摩擦力が逆らうことになるので、遊技者が操作部を目的の位置に保持する際に操作部を支えなければならない力を弱めることが可能となる。こうすれば、発射速度勾配(操作部の変位量の増加量に対する遊技球の速さの増加量の割合)が小さい範囲において操作部に付勢力を作用させて操作部に手ごたえを持たせても、そのことに起因して、操作部の変位量がより増加した範囲において付勢力が過大になって遊技者にかかる負荷が大きくなってしまう虞を回避することが可能となる。
なお、こうした発射速度勾配が小さい範囲は、操作部の変位量が所定の変位量に達するまでの全ての範囲である必要はなく、一部の範囲であってもよい。そうした範囲があれば、その範囲においては遊技球の速さを細かく調整することが可能である。また、こうした範囲は、操作部の変位量が所定の変位量を越えた範囲の全ての範囲よりも発射速度勾配が小さい必要はなく、所定の変位量を越えた範囲に発射速度勾配がより小さい範囲が存在してもよい。こうした場合でも、所定の変位量に達する前の発射速度勾配が小さい範囲において速さを細かく調整可能であることには変わりがないからである。摩擦力を発生させる範囲についても同様であり、所定の変位量を越えた範囲の全ての範囲で摩擦力を発生させる必要は必ずしもなく、一部の範囲で発生させてもよい。こうした場合もその一部の範囲では遊技者にかかる負荷が過大になる虞を回避可能である。
また、上述したように、発射速度勾配が小さい範囲は、所定の変位量を越えた全範囲よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。したがって、この範囲は、摩擦力を発生させる範囲(所定の変位量を越えた範囲の少なくとも一部の範囲)よりも発射速度勾配が小さい必要は必ずしもない。もちろん、摩擦力が発生する範囲よりも発射速度勾配を小さくしてもよい。こうした場合、遊技球の速さが高まる範囲では、遊技者が操作部を支える際の負荷が軽減されることから、遊技者はより容易に遊技球を強く発射することが可能となって好適である。
なお、操作部は遊技機本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は遊技機本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、遊技機本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
遊技機D2 :
遊技機D1であって、
前記摩擦力発生手段は、遊技者により前記操作部に加えられた力によって前記部材が前記本体に固定された部材に当接することにより、前記摩擦力を発生させる手段である遊技機。
かかる遊技機D2では、遊技者が操作部に加える力により操作部側の部材が本体側の部材に当接して摩擦力を発生させる。
遊技者が操作部を操作する力を利用して摩擦力を発生させてやれば、遊技者が操作部を操作していない状態ではこの摩擦力は生じないので、遊技者が操作部を操作していない状態ではこの摩擦力によって付勢力を弱めることなく操作部を十分な強さで初期位置に付勢することが可能である。こうすれば、付勢力を抑制して遊技者にかかる負荷を軽減しながらも、操作部を初期位置により確実に付勢することが可能となり、好適である。
また、次の構成を採用すると、遊技者が遊技球の狙いをより付け易い遊技機を実現することが可能である。
遊技機E1 :
遊技球が流下する遊技領域に遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する入球口と、
前記遊技領域が設けられた遊技機本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位量に応じた速さで前記遊技領域に遊技球を発射することにより、該遊技領域の、該操作部の変位量に応じた位置に遊技球を発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に戻す戻し力を発生させる戻し力発生手段と、
前記操作部の変位に連動して前記戻し力の強さを変化させる戻し力変化手段と
を備え、
前記遊技領域は、遊技球を所定の割合で前記入球口に導く第1の流下領域と、該第1の流下領域よりも高い割合で遊技球を該入球口に導く第2の流下領域とを有する遊技領域であり、
前記戻し力変化手段は、前記操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて戻し力を増加させるとともに、該操作部が前記第2の流下領域に遊技球が発射される位置に達すると、該戻し力を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機E1では、遊技領域に第1の流下領域と第2の流下領域とが設けられており、第2の流下領域を流下する遊技球は第1の流下領域を流下する遊技球よりも高い割合で入球口に入球する。遊技球は操作部の変位に応じた速さで遊技領域に発射されるため、遊技者は操作部の変位量を調整することにより、遊技球が発射される遊技領域内の位置を調整することが可能である。また、操作部には操作部を初期位置に戻す戻し力が作用する。ここで、操作部が初期位置から変位するとそれにつれて戻し力が増加するが、遊技球が第2の流下領域に発射される位置まで操作部の変位が到達すると、今度は戻し力を減少させる。
こうすると、遊技球を入球させ易い位置に操作部を操作すれば、操作部の手ごたえが変化することから、遊技者は、遊技球を入球させ易い適切な位置に操作部を操作できていることを認識することが可能である。こうして操作部を初期位置に戻す力を変化させることにより、操作部を適切な位置に操作できていることを遊技者に認識させてやれば、遊技者は遊技球の狙いをより付け易くなり、結果として操作部の使い易さを向上させることが可能となる。
なお、戻し力は、遊技球を第2の流下領域に発射可能な位置まで操作部が初期位置から変位するまでの間に常に増加し続ける必要は必ずしもなく、操作部の変位の途中で減少に転じてもよい。こうした場合でも、遊技球を第2の流下領域に発射可能な位置において、戻し力が増加から減少に転じれば、操作部の手ごたえを変化させることが可能である。
また、操作部の位置に応じて戻し力を減少させる際には、第2の流下領域に遊技球が発射される全ての位置において戻し力を減少させる必要は必ずしもなく、一部の範囲において減少させてもよい。こうした場合でも、その一部の範囲では操作部の手ごたえが変化することから、遊技者は操作部を適切な位置に操作できていることを認識可能である。
また、操作部は遊技機本体に対して変位可能であればよいので、変位の態様は遊技機本体に対して回動する態様に限られず、どのような態様でもよい。例えば、遊技機本体に対して直線的に変位するものとしてもよい(スライドタイプの操作部でもよい)。
また、操作部の手ごたえを変化させることによって遊技者が発射位置を認識可能とする点に鑑みると、次の構成を採用することも可能である。
遊技機E2 :
遊技球が流下する遊技領域に遊技球が発射されることにより遊技が行われる遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する入球口と、
前記遊技領域が設けられた遊技機本体に対して変位可能に設けられ、前記遊技を行う遊技者が操作する操作部と、
前記操作部の前記本体に対する初期位置からの変位量に応じた速さで前記遊技領域に遊技球を発射することにより、該遊技領域の、該操作部の変位量に応じた位置に遊技球を発射する遊技球発射手段と、
前記操作部を前記初期位置に戻す戻し力を発生させる戻し力発生手段と、
前記操作部の変位に連動して前記戻し力の強さを変化させる戻し力変化手段と
を備え、
前記遊技領域は、遊技球を所定の割合で前記入球口に導く第1の流下領域と、該第1の流下領域よりも高い割合で遊技球を該入球口に導く第2の流下領域とを備えた遊技領域であり、
前記戻し力変化手段は、前記操作部の前記初期位置からの変位の増加につれて戻し力を減少させるとともに、該操作部が前記第2の流下領域に遊技球が発射される位置に達すると、該戻し力を増加させる手段である遊技機。
かかる遊技機E2では、遊技機E1と同様に、遊技領域に第1の流下領域と第2の流下領域とが設けられており、第2の流下領域を流下する遊技球は第1の流下領域を流下する遊技球よりも高い割合で入球口に入球する。また、遊技球は操作部の変位に応じた速さで遊技領域に発射されるため、遊技者は操作部の変位量を調整することにより、遊技球が発射される遊技領域内の位置を調整することが可能である。更に、遊技機E1と同様に、操作部には操作部を初期位置に戻す戻し力が作用する。ここで、操作部が初期位置から変位するとそれにつれて戻し力が減少するが、遊技球が第2の流下領域に発射される位置まで操作部の変位が到達すると、今度は戻し力が増加する。
こうした場合も、操作部の手ごたえが変化することから、遊技球を入球させ易い適切な位置に操作部を操作できていることを遊技者に認識させることが可能である。これにより、遊技者は遊技球の狙いをより付け易くなるので、結果として操作部の使い易さを向上させることが可能となる。
なお、戻し力は、遊技球を第2の流下領域に発射可能な位置まで操作部が初期位置から変位するまでの間に常に減少し続ける必要は必ずしもなく、操作部の変位の途中で増加に転じてもよい。こうした場合でも、遊技球を第2の流下領域に発射可能な位置において、戻し力が増加から減少に転じさえすれば、操作部の手ごたえを変化させることが可能である。
また、操作部の位置に応じて戻し力を増加させる際には、第2の流下領域に遊技球が発射される全ての位置において戻し力を増加させる必要は必ずしもなく、一部の範囲において増加させてもよい。こうした場合でも、その一部の範囲では操作部の手ごたえが変化することから、遊技者は操作部を適切な位置に操作できていることを認識可能である。
遊技機E3 :
遊技機E1であって、
前記戻し力変化手段は、前記操作部とともに変位する部材が、前記遊技機本体側に当接して前記戻し力に抗する摩擦力を発生させることにより、前記戻し力を減少させる手段である遊技機。
かかる遊技機E3では、操作部とともに遊技機本体に対して変位する部材が操作部に接続されており、この部材が本体側に当接することによって摩擦力が発生する。そして、この摩擦力が戻し力に対抗することにより、戻し力を減少させる。
このように摩擦力を用いて戻し力を減少させてやれば、操作部の変位に応じて戻し力を制御する複雑な構成を備えなくても簡素な構成によって戻し力を減少させることができるので、好適である。
なお、操作部と本体との間に摩擦力を生じさせると、遊技者が操作部を変位させる際には、この摩擦力に打ち勝つ力が必要になるので、操作部の手ごたえが強くなる。もっとも、操作部を変位させるのではなく一定の位置に支える際には、摩擦力によって戻し力が弱まるため、操作部の手ごたえが軽くなる。したがって、操作部を一定の位置に支える際の手ごたえの変化により、遊技者は適切な位置に遊技球を発射できていることを認識可能である。
加えて、このように摩擦力を発生させた場合、操作部と本体側との間に摩擦力が作用するものの、操作部と本体とが固定されるわけではない。したがって、摩擦力を発生させた状態においても、遊技者は操作部の変位を容易に調整可能である。このため、摩擦力を発生させているものの、遊技者が操作部を扱い難いと感じてしまう虞を回避することが可能である。
なお、「前記操作部とともに変位する部材」とは、操作部とともに変位するものであれば、どのようなものであってもよい。たとえば、ネジ止めや接着などによって操作部に固定された別部材であってもよいし、あるいは、操作部とともに一体に成形されて、操作部の一部を構成するものであってもよい。いずれの場合も、操作部とともに変位することが可能であるから、「前記操作部とともに変位する部材」に該当する。
また、「遊技機本体側に当接する」とは、遊技機本体と操作部との間に摩擦力が作用しさえすれば、どのような態様で当接してもよい。例えば、遊技機本体に当接するものであってもよいし、あるいは、遊技機本体に設けられた部材に当接するものであってもよい。遊技機本体に設けられた部材に当接する場合、その部材を介して、遊技機本体と操作部との間に摩擦力が作用することが可能である。また、遊技機本体に設けられた部材に当接する場合には、その部材が遊技機本体に完全に固定されている必要は必ずしもなく、例えば、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して遊技機本体に取り付けられていてもよい。こうした場合であっても、エラストマーやグリス材などの柔軟な部材を介して、操作部と遊技機本体側との間で摩擦力が作用することができるので、「遊技機本体側に当接する」に該当する。
遊技機F1 :
遊技機A1〜A5,遊技機B1〜B2,遊技機C1〜C5,遊技機D1〜D2,遊技機E1〜E3のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機である遊技機F1。
ここで、パチンコ遊技機としては、例えば次の構成のパチンコ遊技機を採用することが可能である。すなわち、遊技者が操作する操作手段(例えば操作ハンドル)と、操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
遊技機F2 :
遊技機A1〜A5,遊技機B1〜B2,遊技機C1〜C5,遊技機D1〜D2,遊技機E1〜E3のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンである遊技機F2。
ここで、スロットマシンとしては、例えば次の構成のスロットマシンを採用することが可能である。すなわち、複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に該識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバーや操作ハンドル)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間が経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備える遊技機。なお、かかる遊技機の遊技媒体としては、コインやメダルなどが代表例として挙げられる。
遊技機F3 :
遊技機A1〜A5,遊技機B1〜B2,遊技機C1〜C5,遊技機D1〜D2,遊技機E1〜E3のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものである遊技機C3。
ここで、パチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させた遊技機としては、例えば次の構成の遊技機を採用することが可能である。すなわち、複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に該識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバーや操作ハンドル)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間が経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備え、遊技媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるよう構成された遊技機を採用可能である。