JP2019080587A - 山林樹木挿し木苗の育苗方法 - Google Patents

山林樹木挿し木苗の育苗方法 Download PDF

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Abstract

【課題】山林樹木挿し木苗の生産において、より簡便に水分環境を制御することを可能とする方法の提供。【解決手段】 以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法:(1)発根前の挿し穂を、高密度で培土に栽植する工程;(2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び(3)挿し穂を発根させ、施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。【選択図】なし

Description

本発明は山林樹木挿し木苗を効率的に製造(生産)する方法に関する。
我が国におけるスギ、ヒノキ等の山林樹木苗の生産は、露地又は温室等の施設内において実生で行われるほか、挿し木によって行われる。
一方、海外の林業先進国では、樹木苗木育成用のコンテナを用いるコンテナ育苗技術の技術が確立され、近年、わが国でも国内林業向けのマルチキャビティコンテナが開発され普及が拡大している。樹木苗木育成用のコンテナは多数の苗育成孔を有する硬質プラスティック製の育苗容器であり、樹種、育苗環境、作業性に応じて、容量、形状等様々なタイプがある。
コンテナ育苗のメリットは、(i)低コストであること、(ii)貯蔵や運搬などのハンドリングに優れること、(iii)培地付き苗なので植栽適期の拡大が可能であること、(iv)小型軽量のため植栽効率が高いこと等があげられる。
挿し木育苗において、育苗用コンテナを用いる場合は、台木(母樹)の穂を含む部分を切り取り(切り取られた部分を「挿し穂」という)、該挿し穂をコンテナに充填された挿し床に直接挿し木するか、あるいは露地から床替えした穂を挿し木して発根させ、育苗する方法が採られる。かかる方法による育苗(以下「挿し木育苗」という)においては、挿し穂を約200本/m以上の高い密度で生育せしめるといった面積当たり生産量を高める育苗が可能である(露地育苗では100本/m2程度)。なお、挿し木(又は挿し付け)とは、挿し穂を植え付ける工程を意味する。
挿し付け直後の挿し穂は、根を有しないため水分の吸収能が低い一方、蒸散は活発に行われるため、水分収支がアンバランスであり挿し穂内における水分は不足しやすい。そのため挿し木育苗においては、発根するまで、挿し木後の挿し穂における水分の亡失を防ぐことが、最も重要な管理項目の一つである。とくに夏場は挿し穂の蒸散・光合成が活発であるため、水分収支が一層アンバランスになりがちである。
一般的な挿し木育苗では、挿し穂における水分の亡失を防ぐために、温度、湿度、光といった、主に蒸散を抑える地上部の環境要因の制御が行われる。特に潅水管理は、穂の上部にのみ霧状のミストを与えること(頭上潅水)によって穂からの蒸散の抑制、適度な水分供給が行われる。
更に、ミストの頭上潅水を行うに際しては、ミストを与えすぎると培土(培地)の表面付近、すなわち挿し穂の地上部の基部付近が過湿状態になり、病気が発生しやすくなる(非特許文献1)。そのため、当該箇所が過湿にならないようにする湿度コントロールも不可欠である。
「緑化と苗木」(塘隆男著)、育苗ノート、平成18年12月 挿し木の基本、http://www1.gifu-u.ac.jp/~fukui/06-4-03.html
特許第4334080号公報 特許第4928992号公報 特許第5010931号公報
挿し木苗の大量生産においては、面積当たりの挿し付け密度が高いため、頭上潅水において過湿を避けようとすると培土に均等に水が行き渡らず、培土の部位間における含水率のバラつきが大きくなりやすい。とくに、近年普及しているコンテナを用いる場合には、一株に与えられる培土の量が小さいこともあり、培土が乾燥しやすい。側面にスリットが刻まれたコンテナにおいては、培土が一層乾燥しやすい。そのため、コンテナを用いる育苗においては、湿度コントロールは一層困難である。
すなわち、挿し穂からの蒸散を抑制し、かつ挿し穂の地上部の基部付近を過湿状態にしないようにするためには、潅水管理及び温湿度管理による水分環境の制御が必要であるが、かかる制御はきめ細かく、特に山林樹苗の育苗では長期間(約3ヶ月)にわたり行わなければならず、煩雑であるうえに労力を要するのが現状である。
したがって、本発明は、山林樹木挿し木苗の生産において、より簡便に水分環境を制御することを可能とする方法を与えることを目的とする。
本発明者らは、上記課題の解決を志向して、環境を制御するより簡便な方法について研究を行ったところ、驚くべきことに潅水の方法を変更することによって水分環境のコントロールがより簡便に行い得る可能性があることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも以下の発明に関する:
[1] 以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法:
(1)発根前の挿し穂を、高密度で培土に栽植する工程;
(2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び
(3)挿し穂を発根させ、施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
[2]挿し穂が発根した後に、培土の底面からの潅水を行わない前記[1]の方法。
[3] 以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法:
(1)発根前の挿し穂を高密度で培土に栽植する工程;
(2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び
(3’)挿し穂を発根させ、発根した後に、培土の底面からの潅水を停止し、頭上潅水を行って前記発根後の挿し穂を施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
[4]培土の底面からの潅水を、培土を水に浸漬して行う、前記[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]水に浸漬される培土の高さが、培土全体の高さの3%以上、40%以下に保たれる、前記[4]の方法。
[6]山林樹木がスギ又はヒノキである前記[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7]挿し穂の栽植密度が約200本/m以上である前記[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8]栽植が、コンテナに入れた培土に行われる前記[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9]コンテナがサイドスリット付きのコンテナである、前記[8]の方法。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかの方法により製造される山林樹木挿し木苗。
特許文献1〜3には、底面から給水・潅水するための方法・装置が示されている。しかしながら、これらの方法・装置における対象植物として、山林樹木についてはこれらの文献には記載されていないし、発根前のステージにあるものについての開示もなされていない。また、挿し木を水に浸漬することは病害の蔓延を助長し、カルス形成を阻害するため、一般的には避けるべきことであることが知られている(非特許文献2)。したがって、本発明の方法は、上記各従来技術とはまったく別異の方法であるばかりでなく、これらの技術からは想到することができないものなのである。
本発明によれば、挿し付け後から発根までの期間に挿し穂内の水分損失、あるいは挿し穂基部の過湿による枯損が抑えられ、更に山林樹木挿し木苗の発根率が総体的に向上するとともに、発根が促進され、挿し付けから発根までの期間、更に植栽までの期間を短縮することができる。したがって、本発明の方法によれば、効率的な挿し木苗の生産が可能になる。その結果本発明の方法によれば、山林樹木挿し木苗の生産において、綿密な潅水管理及び湿度管理が不要となり、施設内の水分環境をより簡便に制御することができる。
理論に束縛されるものではないが、本発明の方法によれば、培土の水分環境が一定かつ好適な状態に保たれ、挿し穂における発根が促進され、その後の旺盛な生育がもたらされると考えられる。
本発明の方法のうち挿し穂が発根した後に、培土の底面からの潅水を行わない前記方法によれば、より早期に発根させ、かつ側根及び細根を増やすことができる。
本発明の方法のうち培土の底面からの潅水を、培土を水に浸漬して行う、前記いずれかの方法によれば、培土の底面からの潅水を簡便に行うことができる。
本発明の方法のうち水に浸漬される培土の高さ(コンテナを用いる場合は、コンテナ底面から水面までの高さに相当)が培土全体の高さ(コンテナを用いる場合は、コンテナ全体の高さに相当)の3%以上、40%以下に保たれる前記方法によれば、潅水をより適切に行うことができる。
本発明の方法のうち山林樹木がスギ又はヒノキである前記いずれかの方法によれば、スギ又はヒノキの山林樹木挿し木苗の生産において、簡便に水分環境を制御することができる。
本発明の方法のうち挿し穂の栽植密度が約200本/m以上である前記いずれかの方法によれば、きわめて高い栽植密度において簡便に水分環境を制御することができる。
本発明の方法のうち挿し木育苗を、コンテナを用いて行う前記いずれかの方法によれば、培土の最適な水分状態を均一に保つことにより、水分不足による挿し穂の枯死を大幅に削減することができ、更には頭上からのミスト等による潅水を必要としないため、過湿による挿し穂基部の枯死を大幅に削減することができ、故に得苗率を高め、発根率を均一にすることができるため、山林樹木苗をより簡便かつ効率的に大量に生産することができる。
本発明の方法のうちコンテナがサイドスリット付きのコンテナである前記方法においては、培土乾燥を防ぎつつ、良好な根系を得ることができる。
前記いずれかの本発明の方法により製造される山林樹木挿し木苗は、水分環境を簡便に制御しつつ生産することができる。
本発明の方法の一例を示すための模式図である。図中のaは水に浸漬される培土の高さを示し、bは培土全体の高さを示す。 本発明の方法の一例を示すための写真図である。 培地水分管理と穂の形態の違いが発根率及ぼす影響を示すグラフ図である。
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
前記のとおり、本発明は以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法に関する:
(1)発根前の挿し穂を、高密度で培土に栽植する工程;
(2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び
(3)挿し穂を発根させ、施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
工程(1)
工程(1)は発根前の山林樹木挿し穂を、高密度で培土に栽植する工程である
本発明における山林樹木は限定されないところ、スギ、ヒノキ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ等の針葉樹、ミズキ、サクラ、シイ、カシ、カエデ、コナラ、ハンノキ等の広葉樹、その他主として海外で植林される樹種であるアカシア、ユーカリ等が例示される。山林樹木がスギ又はヒノキである本発明の方法は好ましく、スギであるものはより好ましい。
本発明における挿し穂の大きさは限定されず、約20cm〜約40cmであってよい。
本発明において培土の種類は限定されないところ、赤玉土、鹿沼土、ピートモス、ココピートが例示される。培土が、赤玉土主体の培土である本発明の方法は好ましい。また、培土に替えて毛管力に優れた他の媒体(マット材、保水材等)を用いてもよい。したがって、本発明における「培土」には、上記したような毛管力に優れた他の媒体も包含される。
本発明における挿し木の時期は限定されず、通常の挿し木が行われる時期に挿し木を行ってよい。例えば九州地方においては3月中旬〜4月中旬に挿し付けられる春挿し、あるいは9月上旬〜10月中旬に補完的に行われる秋挿しであってよく、冬挿しであってもよい。
本発明の方法において挿し穂の栽植密度は、高密度であれば限定されないところ、約200本/m以上は好ましく、約240本/m以上はより好ましく、約300本/m以上は一層より好ましい。なお、通常の露地における挿し穂においては、密度は約100株/mにすぎない。
工程(2)
工程(2)は、前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程である。
本工程では、温湿度管理、潅水が目的で通常行われるミストの潅水等は必要ないが、挿し木が行われた直後から約1日〜約7日間は頭上潅水によるミストの潅水を行ってよく、その後の期間においても、場合によっては適宜頭上潅水によるミストの潅水を行ってもよい。
本発明における「底面から潅水する」とは、通常の頭上潅水とは異なり培土の下方から潅水することを意味し、底面のみからの潅水、底面及び近傍の側面からの潅水、ならびに底面近傍の側面のみからの潅水等が包含される。
かかる潅水により、各挿し穂が水分を利用し得る各培土の含水量を、約45%〜約65%に保つ本発明の方法は好ましく、約50%〜約65%に保つ本発明の方法はより好ましく、約50%〜約60%に保つ本発明の方法は一層より好ましい。
土壌水分量をpF値によって規定するに、pF値は限定されず、挿し木苗の育苗において通常採用される値であってよい。pF値が、約1.0〜約2.5に保たれる本発明の方法は好ましく、約1.5〜約2.3に保たれる本発明の方法はより好ましい。
底面から潅水を行う時期・タイミングは、発根が促進されるものであれば限定されない。定期的に、例えば毎日、1日おき又は2日おきに潅水する方法や、培土の乾燥具合を観察して適宜潅水する方法、あるいは挿し付け後一定期間(例えば1〜3ヶ月間)にわたり培土を湛水状態の容器に常時浸漬させる方法が例示される。
定期的に潅水する方法における潅水する方法及び上記適宜潅水する方法における潅水量は限定されず、各挿し穂の切り口部分に十分に水分が与えられる潅水量であればよい。
培土を常時浸漬させる方法においては、培土を入れた浸水が可能な容器ごと、水を張った容器(プール)に浸漬して培土を浸漬する方法が例示される(図1及び2)。
培土を常時浸漬させる方法においては、水に浸漬される培土の高さ(例えば図1におけるa。コンテナを用いる場合は、コンテナ底面から水面までの高さに相当)は限定されず、当該高さが培土全体の高さ(例えば図1におけるb。コンテナを用いる場合は、コンテナ全体の高さに相当)の約3%以上、約40%以下に保たれる方法は好ましく、約5%以上、約35%以下に保たれる方法はより好ましく、約5%以上、約30%以下に保たれる方法は一層より好ましい。
培土全体の高さが約15cmの場合は、水に浸漬される培土の高さが約0.7cm〜約6cmである本発明の方法は好ましい。
水深はプールの面積、培土の表面積、時期等を考慮して適宜調節してよい。また、発根をより効率的に促進するために、潅水量を徐々に低減してもよい。
本発明における施設は限定されないところ、通常の温室や実験室ならびに恒温室等を挙げることができる。本発明において、挿し木直後から施設を用いることは好ましい。
本発明の方法において、施設内の温度は、挿し付けされた山林樹木の穂が発根・生育する温度に調節されていればよい。本発明において、温度調節された温度が、夜温10°C以上および/または平均温度20°C以上35°C以下である方法は好ましい。夜温15°C以上および/または平均温度25°C以上30°C以下である方法は、より好ましい。
本発明の方法において、施設内の温度以外の育苗条件は通常の条件を用いることができる。
本発明の方法において、施設内の湿度はとくに限定されない。本発明の方法のうち、湿度が調節され、該湿度が相対湿度60%以上である方法は好ましく、相対湿度70%以上である方法はより好ましい。
本発明の方法において、他の条件や器具等は、施設を利用した通常の山林樹木挿し木苗を製造する方法におけるものを用いることができる。
本発明の方法において、施設内の光条件はとくに限定されないところ、採穂後の挿し穂の光合成および呼吸活性を抑制するために、施設の遮光が行われる方法は好ましい。遮光が行われる場合、遮光率は、40%〜55%が好ましく、40%〜50%がより好ましい。
本発明の方法のうち、挿し付け後の穂の生育が、温度条件に加えて湿度条件および光条件が調節された施設内において行われる方法は好ましい。
本発明において、低温期には、プールの水を加温して、例えば夜間における水温を10℃以上に保つことは好ましく、15℃以上に保つことはより好ましい。
挿し穂を挿し付けした後、該培土の表面を押圧して、培土をより緊密にする本発明の方法は、培土における毛管力を高め、底面から潅水された水分の拡散をより効率的に行うことができるため好ましい。
本発明の方法のうち、挿し付けをコンテナを用いて行う方法は好ましい。
コンテナとは山林樹木の育苗に用いられる細長形状の容器である。コンテナのサイズは、例えば上径約5cm、下径約1.5cm、高さ約15cmであり、先細りの形状である(図1)。また、コンテナの底部の穴の大きさ、形状も、底部からの潅水による水分をコンテナ内に供給できるものであれば限定されない。
コンテナの形状は限定されず、実質的に四角錐台形状あるいは円錐台形状であってよい。
隣接するコンテナ同士が連結され、数十個の単位で一体化したものはトレイ又は育苗トレイと称されるところ、本発明においてはかかるトレイを用いることができる。
コンテナとして、側面における細い切れ込み部(サイドスリット)を有することは必須ではないが、サイドスリットを有することは好ましい。サイドスリットにより空気根切り(air pruning)がなされ、側根を生じさせることができる。また、リブ付きのコンテナも本発明の方法において好適に用いることができる。
コンテナとしてBCC社製のもの(商品名:Flexi Flame)や日新農工産業製のもの(38連樹木用トレイ、商品名:トレイマスター)等が例示されるところ、これらの市販のコンテナは本発明の方法において好適に用いることができる。
工程(3)
工程(3)は、挿し穂を発根させ、施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程である。当該育苗する方法は限定されず、通常の方法で行ってよい。潅水の方法は頭上潅水又は浸漬による潅水を継続してよく、挿し穂が発根した後に、培土の底面からの潅水を行わない本発明の方法は好ましい。したがって、以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法は好ましい:
(1)発根前の挿し穂を高密度で培土に栽植する工程;
(2)前記培土の底面から潅水して該培土に浸水せしめ、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;
(3’)挿し穂を発根させ、発根した後に、培土の底面からの潅水を停止し、頭上潅水を行って前記発根後の挿し穂を施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
本発明は、上記本発明の方法によって製造される山林樹木挿し木苗にも関する。当該挿し木苗のうち、挿し穂が発根した後に、培土の底面からの潅水を行わない本発明の方法によって製造される挿し木苗は、側根及び細根の発達が促進されるため好ましい。
実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例はいかなる意味においても本発明を限定するものではない。
(実施例1)浸漬試験
[目的]
コンテナ底部を水に浸漬することにより地下部の水分状態を均一に保つことによる、発根に対する効果の有無を調べる。
[材料と方法]
・試験地:宮崎県
・山林樹木の種類:スギ(品種:アオシマアラカワ)
・穂の形態:穂の形態の違いによる影響を見るため、比較的堅い穂及び比較的柔らかい穂の両方を供試した。穂長を30cmに調整し、切り口から5cmを培土に挿し付けた。
・挿し付け年月日:2012年9月18日
・処理(培地水分管理):底面浸水処理区(本発明:水を溜めたバットにコンテナ下部が浸水するように浸漬)及びミスト潅水処理区(対照)を設けた。
・調査内容:同年11月27日(挿し付け後70日目)に生存率及び発根率を調査した。
[結果・考察]
底面浸水処理区(本発明:「底水−柔穂」及び「底水−堅穂」)において、発根が顕著に促進されていた(図3)。目視によれば、これらの底面浸水処理区における発根時期は対照区より約1ヶ月早く、枯死する個体も少なかった。
以上の結果から、本発明の方法は発根を促進する効果を奏することが明らかになった。
(実施例2)低温期浸漬試験
[目的]
本発明の方法の低温期における効果を調べる。
[材料と方法]
・試験地:宮崎県
・山林樹木の種類:スギ(品種:不明(山採り穂))
・穂の形態:穂長を30cmに調整し、切り口から5cmを培土に挿し付けた。
・挿し付け年月日:2013年2月4日に挿し付け、底面浸水処理は挿し付けから4月24日まで行った。
なお、コンテナとしてサイドスリット付きコンテナ(BCC社製:容量150ml)を用いた。
培土配合:赤玉土とピートモスとの混合培土
・処理(培地水分及び夜温管理):底面浸水処理区(本発明:水を溜めたプールにコンテナ下部が浸水するように浸漬)ならびにミスト管理処理の区(対照)を設けた(表1)。
底面浸水処理区については、底部の浸水を挿し付け後2ヶ月間(4月24日まで)行い、その後は通常処理の区と同様に頭上潅水のみを行った。
ミスト潅水処理区においては、AM9:00〜PM4:00の間に、1回/時間の割合で潅水を十分に(1分間)行った。
・調査内容:同年5月31日に生存率及び発根率を調査した。
[結果・考察]
底面浸水処理区(本発明)においては生存率、発根率ともに高かった(表2)。
したがって、本発明の方法は低温期の挿し付けにおいても発根を促進する効果を奏するとともに、挿し穂の歩留まりを向上せしめることが明らかになった。
本発明によれば、山林樹木挿し木苗の発根率が向上するとともに、発根が促進され、挿し付けから発根までの期間、更に植栽までの期間を短縮することができる。したがって、本発明は、山林樹木苗生産業及び関連産業の発展に資するところ大である。
1・・・挿し穂
2・・・コンテナ
3・・・育苗トレイ
4・・・プール(育苗ベンチ)
5・・・水

Claims (10)

  1. 以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法:
    (1)発根前の挿し穂を、高密度で培土に挿し付けする工程;
    (2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び
    (3)挿し穂を発根させ、施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
  2. 挿し穂が発根した後に、培土の底面からの潅水を行わない請求項1に記載の方法。
  3. 以下の工程を含む、山林樹木挿し木苗を製造する方法:
    (1)発根前の挿し穂を約200本/m以上の密度で培土に栽植する工程;
    (2)前記培土の底面から潅水して、前記挿し穂の切り口に水分を供給する工程;及び
    (3’)挿し穂を発根させ、発根した後に、培土の底面からの潅水を停止し、頭上潅水を行って前記発根後の挿し穂を施設内及び屋外において山林樹木挿し木苗を育苗する工程。
  4. 培土の底面からの潅水を、培土を水に浸漬して行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 水に浸漬される培土の高さが、培土全体の高さの3%以上、40%以下に保たれる請求項4に記載の方法。
  6. 山林樹木がスギ又はヒノキである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 挿し穂の栽植密度が約200本/m以上である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 栽植が、コンテナに入れた培土に行われる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. コンテナがサイドスリット付きのコンテナである、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により製造される、山林樹木挿し木苗。
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