JP2019078408A - 車両用変速機のカラー付き樹脂部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】カラーは形状を簡素化でき、圧入はカラーの加熱が不要にでき、カラー付き樹脂部品はバリ除去が不要にできるので、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減と品質向上に寄与する。【解決手段】貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品と、前記貫通穴に圧入されたカラーと、を備えた結合部構造において、前記貫通穴は側壁に貫通穴の軸と平行に延びる複数の貫通穴の溝が形成され、前記カラーは圧入部分にカラーの溝がなく、かつ、前記カラーは天面の直径および底面の直径が圧入部分の直径より0.2mm以上1.0mm以下小さく形成され、前記結合部構造は前記カラーの前記圧入部分の周長のうち前記貫通穴の溝と接触する割合が0.25以上0.55以下であることを特徴とする車両用変速機のカラー付き樹脂部品。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用変速機のカラー付き樹脂部品と、車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法に関する。
車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、歯車や軸や滑車などからなり動力源の動力をトルクや回転数または回転方向を変えて活軸へと伝達する車両用変速機に使用され、カラーの貫通穴にねじ等を通して被取付け物に締結することで組立てられるものである。
図5は、このような車両用変速機のカラー付き樹脂部品の一例を示す断面模式図である。歯車52やベルト54をかけた滑車53の下部には車両用変速機のカラー付き樹脂部品50が設けられており、車両用変速機のカラー付き樹脂部品50の底部では歯車52や滑車53の下部がオイル55に浸かった状態にあり、オイル55は歯車52や滑車53が回転することで生じる抵抗が少なくなる観点で好ましい量で満たされており、車両用変速機のカラー付き樹脂部品50はカラー42の貫通穴にねじ56を通して被取付け物51に締結されている。
こうした車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、カラーとねじ等との間に樹脂を挟むと、車両運転中の振動や衝撃などの応力により挟んだ樹脂が破壊されてカラーとねじ等の間に隙間が生じ、車両運転中に絶えず締結部がガタツキを起して機能を十分に発揮しない問題が発生してきた。そのため、車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、カラーとねじ等の間に樹脂を挟むことを防止するため、カラーを圧入した部位には樹脂が削れたバリの存在を防止することが極めて重要である。
また、車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、圧入してから、ねじ等により被取付け物に締結するまでの間に、例えば、出荷輸送する際の振動や衝撃等でかかる応力により、カラーが抜ける問題が発生してきた。そのため、車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、カラーの抜けを防止することも極めて重要である。
特許文献1には、カラーを圧入した部位に樹脂が削れたバリが存在するのを防止する方法の一つとして、圧入で生じたバリを、予め設けた空間に堆積させて、バリ取りを不要にした圧入部材付き樹脂製品が提案されている。
また、特許文献2には、カラーの抜けを防止する方法の一つとして、熱圧入する一方で、クリープによる樹脂部品本体の変形を許容して、カラーが抜け止めされる樹脂部品の締結部構造が提案されている。
また、特許文献3には、カラーを圧入した部位に樹脂が削れたバリが存在するのを防止する方法の一つとして、圧入によって塑性変形を生じる凹部と凸部を圧入部位に設けた圧入組立体が提案されている。
しかしながら、特許文献1の発明は、圧入で生じたバリを予め設けた空間に堆積させるために、貫通穴に山が形成された被圧入領域と山が形成されていない非圧入領域を備えて被圧入領域と非圧入領域を直角な壁で繋げる必要と、また、カラーは小径の案内部分と大径の圧入部分を備える必要とがあり、貫通穴とカラーは形状が複雑化しているので、かえってコストの上昇を招く恐れがある。このため、特許文献1の発明は、貫通穴とカラーの形状を簡素化する上で不利になっている。
また、特許文献2の発明は、樹脂が溶融する温度までカラーを加熱してから熱圧入する必要があり、樹脂は流動性が発現するため圧入で樹脂を削ることが原理的になくバリを生じない一方で、加工時間が長く圧入加工装置が大型化する恐れがある。このため、特許文献2の発明は、圧入の加工時間を短くして圧入装置を簡素化する上で不利になっている。
また、特許文献3の発明は、圧入によって塑性変形を生じる凹部と凸部を圧入方向に交互に形成する必要があり、汎用性がある射出成形では金型と樹脂を離型させることが困難である。このため、特許文献3の発明は、凹部と凸部を安価な加工法で形成する上で不利になっている。
本発明は、上述した従来技術の問題点などに鑑み、カラーは形状を簡素化でき、圧入はカラーの加熱が不要にでき、カラー付き樹脂部品はバリ除去が不要にできる車両用変速機のカラー付き樹脂部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
第1の発明は、貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品と、前記貫通穴に圧入されたカラーと、を備えた結合部構造において、前記貫通穴は側壁に貫通穴の軸と平行に延びる複数の貫通穴の溝が形成され、前記カラーは圧入部分にカラーの溝がなく、かつ、前記カラーは天面の直径および底面の直径が圧入部分の直径より0.2mm以上1.0mm以下小さく形成され、前記結合部構造は前記カラーの前記圧入部分の周長のうち前記貫通穴の溝と接触する割合が0.25以上0.55以下である車両用変速機のカラー付き樹脂部品である。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品の材料がナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂であることを特徴とする。
第3の発明は、前記第2の発明において、貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品の材料がガラス繊維強化されたことを特徴とする。
第4の発明は、貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品と、前記貫通穴に冷間圧入されたカラーと、を備えた結合部構造において、前記貫通穴は側壁に貫通穴の軸と平行に延びる複数の貫通穴の溝が形成され、前記カラーは圧入部分にカラーの溝がなく、かつ、前記カラーは天面の直径および底面の直径が圧入部分の直径より0.2mm以上1.0mm以下小さく形成され、前記結合部構造は前記カラーの前記圧入部分の周長のうち前記貫通穴の溝と接触する割合が0.25以上0.55以下であることを特徴とする車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法である。
第5の発明は、下記工程(A)〜(D)をこの順で含む、第1から第3の何れか一つに記載の車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法である。
(A)貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受けに配置する工程、(B)カラーを、装置のカラーの受けに、カラーの軸と装置のカラーの受けとを垂直にして配置する工程、(C)前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を前記装置の受けに押付けて、前記貫通穴の軸と、前記カラーの軸とを、平行に矯正する工程、(D)前記貫通穴の軸と前記カラーの軸とを平行に矯正した状態を維持して、前記貫通穴に、前記カラーを、冷間圧入する工程。
(A)貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受けに配置する工程、(B)カラーを、装置のカラーの受けに、カラーの軸と装置のカラーの受けとを垂直にして配置する工程、(C)前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を前記装置の受けに押付けて、前記貫通穴の軸と、前記カラーの軸とを、平行に矯正する工程、(D)前記貫通穴の軸と前記カラーの軸とを平行に矯正した状態を維持して、前記貫通穴に、前記カラーを、冷間圧入する工程。
本発明によれば、カラーは形状を簡素化でき、圧入はカラーの加熱が不要にでき、カラー付き樹脂部品はバリ除去が不要にできるので、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減と品質向上に寄与する。
以下、図面を参照しながら、本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品、および、車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法についてさらに詳しく説明する。
本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、図1に示したように、貫通穴を有する樹脂製品10に、カラー20を圧入した、結合部構造30として構成されている。
本発明で用いられる車両用変速機は、複数のギア比を必要に応じて切り替えることできるものと、電気自動車で使われる場合がある単一のギア比で動力源の回転を変換して伝達するものがある。
本発明で用いられる貫通穴を有する樹脂製品10は、熱可塑性樹脂であることが必要である。熱可塑性樹脂であると、熱を加えることで容易に成形できるので、実用性が高く、様々な貫通穴を有する樹脂製品10を製造することができる。
本発明で用いられる貫通穴を有する樹脂製品10は、貫通穴11の側壁に貫通穴の軸14(図2参照)と平行に延びる複数の貫通穴の溝12が形成されることが必要である。ここで貫通穴の軸14とは、貫通穴11の厚みに沿って、貫通穴11の中心を通る仮想線のことである。貫通穴の溝12が形成されないと、圧入で貫通穴の側壁の樹脂が削れてバリが生じ、バリ除去工程が必要になるためコスト削減に寄与しない問題が起こる場合がある。
本発明で用いられる貫通穴の溝12の形状は特に限定されないが、台形、三角形、四角形、長方形、丸形、楕円形などを使用することが可能であり、特に好ましいのは台形、四角形、長方形であり、中でも最も好ましいのは台形である。ここで、台形とは貫通穴の溝の外径を成す下底と、貫通穴の溝の内径を成す上底とを、円周に沿って湾曲させた形状のことである。
本発明で用いられる貫通穴の溝の高さ12A(図2参照)は、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下である。ここで貫通穴の溝の高さ12Aは、貫通穴の溝の外径12Cと、貫通穴の溝の内径12Bの半径の差で算出した長さであり、すなわち12Cと12Bの距離を半径方向で測定した長さである。0.1mm未満であると、貫通穴の溝12の製造において、熱可塑性樹脂製品の貫通穴の溝12の形状転写が不十分に成り易く、貫通穴の溝の高さ12Aが不均一になる場合がある。1.0mmを超えると、貫通穴の溝12の製造において、熱可塑性樹脂製品の貫通穴の溝12が金型から離型し難いため変形が起こり易く、貫通穴の溝12の形状が不均一になる場合がある。
本発明で用いられる貫通穴を有する樹脂製品10の製造方法は特に限定されないが、押出成形、射出成形、熱プレス成形などを使用することが可能であり、特に複雑な形状を大量に生産する観点で汎用性およびコスト削減に優れている射出成形であることが好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂を構成する樹脂は、例えば、熱可塑性ポリアミド樹脂である、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン、またはそれらの熱可塑性ポリアミド樹脂の誘導体、またはその共重合体またはその混合物を使用することが可能であり、特に好ましいのはナイロン6、ナイロン66の誘導体、またはその共重合体またはその混合物であり、中でも最も好ましいのは、射出成形の操業性に優れて、かつ、高温下でオイルに直接触れる車両用変速機のカラー付き樹脂部品に要求される機械的強度、耐熱性、および耐油性に優れる観点から、ナイロン6、ナイロン66である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性ポリアミド樹脂の中でもナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂をマトリックス樹脂として、強化剤としてガラス繊維を配合することが好ましい。ガラス繊維を配合することで、ナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂に特有の機械的強度、耐熱性、および耐油性はさらに向上するので、高温下でオイルに直接触れる車両用変速機のカラー付き樹脂部品に好適に用いることができる。
本発明で用いられるカラー20は、カラーの貫通穴21を有する筒状体部品であり、車両用変速機のカラー付き樹脂部品を被取付け物に締結する際に、カラーの貫通穴21にねじ等を通して締結することで、貫通穴を有する樹脂製品10がねじ等や被取付け物と接触しなくなり、ねじ等の締結力や車両運転中の振動や衝撃等の応力により、貫通穴を有する樹脂製品10に亀裂や変形が生じるのを防止する。
本発明で用いられるカラー20は、カラーの圧入部分22にカラーの溝がないことが必要である。ここでカラーの圧入部分とは、締結部構造30において、貫通穴の溝12と接触するカラーの外周部分のことである。さらにカラーの溝とは、カラーの圧入部分22の表面に転造加工などにより施されたローレットの凹凸形状のことである。カラーの圧入部分22にカラーの溝があると、カラー20の製造方法が複雑でコスト削減に寄与しない問題が起り、かつ、結合部構造30はカラーの圧入部分の周長31(図3参照)のうち、貫通穴の溝12と接触する割合が不安定になる問題が起こる場合がある。
本発明で用いられるカラー20は、天面の直径23A(図2参照)および底面の直径24Aが圧入部分の直径22Aより0.2mm以上1.0mm以下小さく形成されることが必要である。ここでカラーの軸とは、貫通穴21の厚みに沿って、貫通穴21の中心を通る仮想線のことである。0.2mm未満であると貫通穴の軸14(図2参照)とカラーの軸26を軸合せすることができずに圧入されて、貫通穴とカラーが片当りするため、片当りした部位で貫通穴の溝12の樹脂が削れてバリが生じ、バリ除去工程が必要になるため、コスト削減に寄与しない問題が起こる場合がある。1.0mmを超えると天面23および底面24の面積が小さくなり、ねじ等を締め付けた際の荷重に耐えられず、カラー20が陥没などの塑性変形を起す問題が起こる場合がある。
本発明で用いられるカラー20の製造方法は特に限定されない。例えば、金属材料を目的の形状に削る切削加工、再結晶温度以上で塑性変形させる熱間圧造加工、常温下で塑性変形させる冷間圧造加工、熱間圧造加工と冷間圧造加工との間の温度で塑性変形させる温間圧造加工などの手法で製造することが可能であり、特に好ましいのは熱による歪みが少なく、材料ロスが少なく、金型を用いるため加工精度が高く、加工速度が速いため、汎用性とコスト削減に優れる冷間圧造加工である。特に、本発明で用いられるカラー20の製造は、カラーの圧入部分22にカラーの溝がないので、カラーの圧入部分22を回転させながら転造ダイスに押付けてカラーの溝の形状に塑性変形させる転造加工を不要にできるため、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減に寄与する。また、本発明で用いられるカラー20の製造は、目的の形状に加工した後に、防錆や装飾のため、カラー20の表面にメッキを被膜して行うことが好ましい。
本発明で用いられるカラー20の材料は特に限定されないが、例えば、快削鋼(SUM)、炭素鋼(SWCH)、クロムモリブデン鋼(SCM)、ボロン鋼、耐熱鋼(SUH)、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、アルミなどの金属を使用することが可能であり、特に好ましいのは冷間圧造用炭素鋼として一般的に使われて、汎用性とコスト削減に優れる観点から炭素鋼(SWCH)である。また、本発明で用いられるカラー20の表面は、防錆や装飾のため、亜鉛、ニッケル、クロム、アルマイトなどのメッキを被膜することが可能であり、特に好ましいのは汎用性とコスト削減に優れる観点から3価クロメートである。
以下、従来の結合部構造では圧入の際に貫通穴の樹脂が削れる原因と、本発明で用いられる結合部構造30では圧入の際に貫通穴の溝12の樹脂が削れない理由について詳しく説明する。
図4はカラーの圧入部分にカラーの溝がなく、貫通穴の側壁に貫通穴の溝がない従来の結合部構造を示した模式図である。カラー42が、貫通穴を有する樹脂製品40の貫通穴41に圧入されると、貫通穴41の樹脂は貫通穴41の周方向に伸びる横歪みの変形を起し、かつ、貫通穴41の径方向に縮む縦歪みの変形を起す。ここで、横歪みとは元の形状に比べて周方向に伸びた比率であり、縦歪みとは元の形状に比べて径方向に縮んだ比率である。横歪みと縦歪みは、それぞれに弾性変形と塑性変形があることが知られている。弾性変形は、歪みが小さく貫通穴41の樹脂が降伏しない荷重の場合に、荷重を取り除くと変形はなくなり元の形状に戻る性質があり、圧入の際に貫通穴41の樹脂を削ることがない。塑性変形は、歪みが大きく貫通穴41の樹脂が降伏する荷重の場合に、荷重を取り除いても変形が完全には戻らない性質があり、特に歪みが大きく貫通穴41の樹脂が降伏する荷重を大きく超えた場合には、圧入の際に貫通穴41の樹脂を削りバリを生じることがある。従来の結合部構造43の貫通穴41の樹脂は、貫通穴41の周方向に隙間がないため貫通穴41の径が広がった分の周長さしか伸びないので横歪みが極めて小さくなり、横歪みが極めて小さい分、貫通穴41の径方向に貫通穴41の樹脂を縮める縦歪みが大きくなると考えられる。従って、従来の結合部構造43は圧入した際に貫通穴41の樹脂の縦歪みが大きく、貫通穴41の樹脂が降伏する荷重を大きく超えて、貫通穴41の樹脂が削れてバリが生じると考えられる。
図1、2、および3はカラーの圧入部分22にカラーの溝がなく、貫通穴の側壁に貫通穴の溝12がある本発明における圧入を示した模式図である。カラーの圧入部分22が貫通穴11に圧入されると、貫通穴の溝12の樹脂は貫通穴の周方向に伸びる横歪みの変形を起し、かつ、貫通穴の径方向に縮む縦歪みの変形を起す。本発明の結合部構造30の貫通穴の溝12の樹脂は、貫通穴の溝12の周方向に隙間があるため貫通穴の溝の内径12Bが広がった分の周長さに加えて隙間にも向かって伸びるので横歪みが極めて小さく抑制されることがなく、横歪みが極めて小さく抑制されない分、貫通穴の溝12の径方向に貫通穴の溝12の樹脂を縮める縦歪みが小さくなると考えられる。従って、本発明の結合部構造30は圧入した際に貫通穴の溝12の樹脂の縦歪みが小さく、貫通穴の溝12の樹脂が降伏する荷重を大きく超えずに、貫通穴の樹脂が削れずバリを生じないと考えられる。
本発明で用いられる結合部構造30は、カラーの圧入部分の周長31(図3参照)のうち、貫通穴の溝12と接触する周長32の割合が0.25以上0.55以下である必要があり、より好ましくは0.35以上0.45以下である。0.25未満であると、結合部構造30の結合力は弱くなり、圧入してから、車両用変速機のカラー付き樹脂部品をねじ等により被取付け物に締結するまでの間の、例えば、車両用変速機のカラー付き樹脂部品を出荷輸送する際の振動や衝撃等でかかる応力により、貫通穴を有する樹脂製品10からカラー20が抜ける問題が起こる場合がある。0.55を超えると、前記で詳しく説明した圧入の際に貫通穴の溝12の樹脂が削れない理由において貫通穴の溝12の樹脂の縦歪みを小さくする効果が不十分で、圧入した際に貫通穴の溝12の樹脂が削れてバリが生じ、バリ除去工程が必要になるためコスト削減と品質向上に寄与しない問題が起こる場合がある。特に、本発明で用いられる結合部構造30は、圧入の際に貫通穴の溝12の樹脂が削れないので、バリ除去工程が不要であり、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減と品質向上に寄与する。
本発明で用いられる結合部構造30は、好ましくは、カラー20の抜け力が50〔N〕以上である。ここで、カラー20の抜け力とは、締結部構造30からカラー20を抜くときに発生する最大の力である。50〔N〕未満であると、車両用変速機のカラー付き樹脂部品を出荷輸送する際の振動や衝撃等でかかる応力により、貫通穴を有する樹脂製品10からカラー20が抜ける場合がある。
本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法は、図6に示したように、貫通穴を有する樹脂製品10に、カラー20を冷間圧入して、結合部構造30を形成する方法よりなる。
本発明において、冷間圧入は、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴11(図1参照)に、カラー20を常温下で圧入することにより行う。貫通穴を有する樹脂製品10の樹脂が溶融する温度下で行う熱圧入と比較して、冷間圧入はカラー20を加熱する時間が不要なため圧入加工時間が短く、また、圧入装置はカラー20を加熱する機能が不要なため、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減に寄与する。
本発明において、冷間圧入は、図6に示したように、貫通穴を有する樹脂製品の押し具60と、カラーの押し具61と、貫通穴を有する樹脂製品の押し具60とカラーの押し具61に連結されたバネ64と、カラーの受け62と、貫通穴を有する樹脂製品の受け63を有した圧入装置により行うことが好ましい。
本発明において、冷間圧入は、圧入装置に貫通穴を有する樹脂製品10とカラー20を設置した段階で、図6の(a)で示したように、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26とが、非平行になる場合がある。非平行になる原因は、貫通穴を有する樹脂製品10が射出成形後に冷却される過程で収縮変形して反りを生じる現象が生じることなどがある。また、同時に冷間圧入するカラー20が2個以上である場合には、一つの貫通穴を有する樹脂製品10に2個以上の冷間圧入箇所があり、それぞれの冷間圧入箇所での反りが複雑に相互に影響し合うため、より顕著に非平行になる場合がある。
本発明において、冷間圧入は、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26とが、平行を維持したまま、カラー20を加圧して行われることが好ましい。ここで平行とは、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26との傾き角度が1°以下のことである。1°を超えて冷間圧入すると、貫通穴とカラーが片当りするため、片当りした部位で貫通穴の溝12の樹脂が削れてバリが生じ、バリ除去工程が必要になるため、コスト削減に寄与しない問題が起こる場合がある。
以下では、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26とが、平行を維持したまま、カラー20を加圧するための圧入装置の機構について詳しく説明する。
本発明において、冷間圧入は、開始の段階で、図6の(a)で示したように、貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品10を、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受け63に配置する工程(A)によりなされる。このとき、貫通穴の軸14と、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受け63とは、非垂直に配置される場合がある。非垂直になる原因は、貫通穴を有する樹脂製品10が射出成形後に冷却される過程で収縮変形して反りを生じる場合などがある。また、同時に冷間圧入するカラー20が2個以上である場合には、一つの貫通穴を有する樹脂製品10に2個以上の冷間圧入箇所があり、それぞれの冷間圧入箇所での反りが複雑に相互に影響し合うことで、より顕著に非垂直になる場合がある。
本発明において、冷間圧入は、次の段階で、図6の(a)で示したように、カラー20を、装置のカラーの受け62に、カラーの軸26と装置のカラーの受け62とを垂直にして配置する工程(B)によりなされる。このとき、垂直に配置するには、カラーの軸26とカラーの底面24とが垂直であり、カラーの底面24と装置のカラーの受け62とが平行であれば良い。
本発明において、冷間圧入は、次の段階で、図6の(b)で示したように、エアシリンダー等で加圧されたカラーの押し具61が下降し、貫通穴を有する樹脂製品の押し具60が、貫通穴を有する樹脂製品10を、貫通穴を有する樹脂製品の受け63に押付けること(工程(C))によりなされる。これにより、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26とが平行に矯正される。このとき、平行に矯正されるには、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受け63と、装置のカラーの受け62とが、平行であれば良い。このとき、貫通穴を有する樹脂製品の押し具60とカラーの押し具61に連結されたバネ64のストロークとバネ係数は、カラー20とカラーの押し具61とが接触しないものを適宜選定することが重要である。
本発明において、冷間圧入は、次の段階で、図6の(c)で示したように、エアシリンダー等で加圧してカラーの押し具61をさらに下降させ、貫通穴を有する樹脂製品の貫通穴の軸14と、カラーの軸26とを平行に矯正した状態を維持したまま、カラーの押し具61で、カラー20を加圧して行なわれる(工程(D))。このとき、貫通穴を有する樹脂製品の押し具60とカラーの押し具61に連結されたバネ64のストロークとバネ係数は、カラー20とカラーの押し具61とが接触するものを適宜選定することが重要である。特に本発明において、冷間圧入は、冷間圧入の際に貫通穴の溝12の樹脂が削れないので、バリ除去工程が不要であり、車両用変速機のカラー付き樹脂部品のコスト削減と品質向上に寄与する。
以下に測定方法及び評価方法について説明する。
(1)カラーの天面の直径と圧入部分の直径の差
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの天面の直径φ1と、カラーの圧入部分の直径φを測定した後に、下式を用いて算出した。
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの天面の直径φ1と、カラーの圧入部分の直径φを測定した後に、下式を用いて算出した。
φ−φ1
(2)カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの天面の直径φ2と、カラーの圧入部分の直径φを測定した後に、下式を用いて算出した。
(2)カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの天面の直径φ2と、カラーの圧入部分の直径φを測定した後に、下式を用いて算出した。
φ−φ2
(3)カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの圧入部分の周長L1と、カラーの圧入部分が個々の貫通穴の溝と接触する周長を測定した。測定したカラーの圧入部分が個々の貫通穴の溝と接触する周長の値を合計して、カラーの圧入部分が貫通穴の溝と接触する周長L2とした。次いで、下式を用いて算出した。
(3)カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、カラーの圧入部分の周長L1と、カラーの圧入部分が個々の貫通穴の溝と接触する周長を測定した。測定したカラーの圧入部分が個々の貫通穴の溝と接触する周長の値を合計して、カラーの圧入部分が貫通穴の溝と接触する周長L2とした。次いで、下式を用いて算出した。
L2/L1
(4)貫通穴の溝の高さ
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、貫通穴の溝の個々の高さ、すなわち、個々の貫通穴の溝の外径と貫通穴の溝の内径の距離を半径方向で測定して、その平均値を貫通穴の溝の高さとした。
(4)貫通穴の溝の高さ
Quality Vision International Inc.製の非接触3次元測定機SmartScope ZIP 250と測定ソフトウェアMeasureMind3Dを用いて、貫通穴の溝の個々の高さ、すなわち、個々の貫通穴の溝の外径と貫通穴の溝の内径の距離を半径方向で測定して、その平均値を貫通穴の溝の高さとした。
(5)バリ
任意に選定した判定者に目視で観察させて、結合部構造から削れた貫通穴の溝の樹脂が落下したことを認識した場合はバリ発生、カラーの天面の側およびカラーの底面の側で削れた貫通穴の溝の樹脂がカラーと貫通穴の溝に挟まれたことを認識した場合はバリ発生、カラーの天面の側およびカラーの底面の側で削れた貫通穴の溝の樹脂がカラーに覆い被さったことを認識した場合はバリ発生、それ以外をバリなしとした。
任意に選定した判定者に目視で観察させて、結合部構造から削れた貫通穴の溝の樹脂が落下したことを認識した場合はバリ発生、カラーの天面の側およびカラーの底面の側で削れた貫通穴の溝の樹脂がカラーと貫通穴の溝に挟まれたことを認識した場合はバリ発生、カラーの天面の側およびカラーの底面の側で削れた貫通穴の溝の樹脂がカラーに覆い被さったことを認識した場合はバリ発生、それ以外をバリなしとした。
(6)抜け力
日本電産シンポ(株)製のプッシュプルゲージFGP−50を用いて、締結部構造からカラーを抜くときに発生した最大の力をn数=3測定して、その平均値を抜け力とした。
日本電産シンポ(株)製のプッシュプルゲージFGP−50を用いて、締結部構造からカラーを抜くときに発生した最大の力をn数=3測定して、その平均値を抜け力とした。
(7)降伏した貫通穴の溝の割合
任意に選定した判定者に、レンズ倍率10倍のルーペを用いて、結合部構造からカラーを抜いた後の貫通穴の溝を観察させて、全ての貫通穴の溝の本数N1と、樹脂の降伏が認められる貫通穴の溝の本数N2を数えた後に、下式を用いて算出した
N2/N1
(8)評価
評価基準を以下のように定めて評価した。
任意に選定した判定者に、レンズ倍率10倍のルーペを用いて、結合部構造からカラーを抜いた後の貫通穴の溝を観察させて、全ての貫通穴の溝の本数N1と、樹脂の降伏が認められる貫通穴の溝の本数N2を数えた後に、下式を用いて算出した
N2/N1
(8)評価
評価基準を以下のように定めて評価した。
◎:バリなし、かつ、抜け力100〔N〕以上、かつ、降伏した貫通穴の溝の割合0.5未満
○:バリなし、かつ、抜け力50〔N〕以上、かつ、評価◎以外
×:上記以外 。
○:バリなし、かつ、抜け力50〔N〕以上、かつ、評価◎以外
×:上記以外 。
以下に車両用変速機のカラー付き樹脂部品の作成方法について説明する。
[貫通穴を有する樹脂製品の作成]
貫通穴を有する樹脂製品は、射出成形して作成した。射出成形では、種々の貫通穴の溝の外径の金型入子を準備して、金型入子を金型に組み換えながら射出成形を行い、様々な貫通穴の溝の外径を有する樹脂製品を得た。得られた貫通穴は、およそ、貫通穴の溝の形状が貫通穴の溝の外径を成す下底と貫通穴の溝の内径を成す上底とを円周に沿って湾曲させた台形であり、貫通穴の溝の内径が直径14.6mmであり、厚みが2.7mmであった。
貫通穴を有する樹脂製品は、射出成形して作成した。射出成形では、種々の貫通穴の溝の外径の金型入子を準備して、金型入子を金型に組み換えながら射出成形を行い、様々な貫通穴の溝の外径を有する樹脂製品を得た。得られた貫通穴は、およそ、貫通穴の溝の形状が貫通穴の溝の外径を成す下底と貫通穴の溝の内径を成す上底とを円周に沿って湾曲させた台形であり、貫通穴の溝の内径が直径14.6mmであり、厚みが2.7mmであった。
[カラーの作成]
カラーは、材料に炭素鋼SWCH10Rを用いて、冷間圧造加工した後に、最表面に3価クロメートを厚み5μmでメッキした。冷間圧造加工では、種々の条件で冷間圧造加工を行い、様々な天面の直径および底面の直径を得た。また、種々の金型で冷間圧造加工を行い、様々な圧入部分の直径を得た。得られたカラーは、およそ、厚みが3.1mmであり、貫通穴が直径9mmであった。
カラーは、材料に炭素鋼SWCH10Rを用いて、冷間圧造加工した後に、最表面に3価クロメートを厚み5μmでメッキした。冷間圧造加工では、種々の条件で冷間圧造加工を行い、様々な天面の直径および底面の直径を得た。また、種々の金型で冷間圧造加工を行い、様々な圧入部分の直径を得た。得られたカラーは、およそ、厚みが3.1mmであり、貫通穴が直径9mmであった。
[結合部構造の作成]
冷間圧入装置に貫通穴を有する樹脂製品とカラーを設置して、常温下で、カラーの天面を加圧することで、カラーの底面側から貫通穴に冷間圧入した。
冷間圧入装置に貫通穴を有する樹脂製品とカラーを設置して、常温下で、カラーの天面を加圧することで、カラーの底面側から貫通穴に冷間圧入した。
以下に本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[貫通穴を有する樹脂製品の作成]に従って、表1に記載された樹脂と繊維と繊維配合率を使用して、貫通穴を有する樹脂製品を作成した。また、[カラーの作成]に従って、表1に記載されたカラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を有するカラーを作成した。そして、カラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を評価した。次いで、[結合部構造の作成]に従って、表1に記載されたカラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さを有する締結部構造を作成した。そして、カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さと、バリと、抜け力を評価した。
[貫通穴を有する樹脂製品の作成]に従って、表1に記載された樹脂と繊維と繊維配合率を使用して、貫通穴を有する樹脂製品を作成した。また、[カラーの作成]に従って、表1に記載されたカラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を有するカラーを作成した。そして、カラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を評価した。次いで、[結合部構造の作成]に従って、表1に記載されたカラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さを有する締結部構造を作成した。そして、カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さと、バリと、抜け力を評価した。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
(実施例5、比較例3)
カラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
カラーの天面の直径および圧入部分の直径の差と、カラーの底面の直径と圧入部分の直径の差を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
(実施例6〜7、比較例4)
カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さを表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
カラーの圧入部分の周長のうち貫通穴の溝と接触する割合と、貫通穴の溝の高さを表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
(実施例8、9)
樹脂と繊維と繊維配合率を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
樹脂と繊維と繊維配合率を表1に示す組合せとした以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
(比較例5)
樹脂と繊維と繊維配合率を表1に示す組合せとした以外は、比較例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
樹脂と繊維と繊維配合率を表1に示す組合せとした以外は、比較例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。
(比較例6)
[貫通穴を有する樹脂製品の作成]で貫通穴の溝がない金型入子を準備して射出成形を行い、貫通穴の溝がない従来の貫通穴を有する樹脂製品を作成したこと以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。抜け力の評価はプッシュプルゲージの測定仕様上限の500〔N〕を超えた。
[貫通穴を有する樹脂製品の作成]で貫通穴の溝がない金型入子を準備して射出成形を行い、貫通穴の溝がない従来の貫通穴を有する樹脂製品を作成したこと以外は、実施例1と同様にして締結部構造を作成して評価した。抜け力の評価はプッシュプルゲージの測定仕様上限の500〔N〕を超えた。
表1に実施例1〜9および比較例1〜6の評価データを示す。
本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品は、高温下でオイルに直接触れる車両用変速機のカラー付き樹脂部品に好適に使用されるが、これ以外にも耐熱性と耐油性を要求されるその他のカラー付き樹脂部品に適用できる。
10 :本発明に係る貫通穴を有する樹脂製品
11 :樹脂製品の貫通穴
12 :樹脂製品の貫通穴の溝
12A:樹脂製品の貫通穴の溝の高さ
12B:樹脂製品の貫通穴の溝の内径
12C:樹脂製品の貫通穴の溝の外径
13 :樹脂製品の貫通穴の厚み
14 :樹脂製品の貫通穴の軸
20 :本発明に係るカラー
21 :カラーの貫通穴
22 :カラーの圧入部分
22A:カラーの圧入部分の直径
23 :カラーの天面
23A:カラーの天面の直径
24 :カラーの底面
24A:カラーの底面の直径
25 :カラーの厚み
26 :カラーの軸
30 :本発明に係る結合部構造
31 :カラーの圧入部分の周長
32 :カラーの圧入部分が貫通穴の溝と接触する周長
33 :貫通穴の溝の周方向の隙間
34 :結合部構造の軸
40 :従来の貫通穴を有する樹脂製品
41 :従来の貫通穴
42 :従来のカラー
43 :従来の結合部構造
50 :本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品
51 :被取付け物
52 :歯車
53 :滑車
54 :ベルト
55 :オイル
56 :ねじ
57 :歯車と滑車の回転軸
60 貫通穴を有する樹脂製品の押し具
61 カラーの押し具
62 カラーの受け
63 貫通穴を有する樹脂製品の受け
64 貫通穴を有する樹脂製品の押し具とカラーの押し具に連結されたバネ
11 :樹脂製品の貫通穴
12 :樹脂製品の貫通穴の溝
12A:樹脂製品の貫通穴の溝の高さ
12B:樹脂製品の貫通穴の溝の内径
12C:樹脂製品の貫通穴の溝の外径
13 :樹脂製品の貫通穴の厚み
14 :樹脂製品の貫通穴の軸
20 :本発明に係るカラー
21 :カラーの貫通穴
22 :カラーの圧入部分
22A:カラーの圧入部分の直径
23 :カラーの天面
23A:カラーの天面の直径
24 :カラーの底面
24A:カラーの底面の直径
25 :カラーの厚み
26 :カラーの軸
30 :本発明に係る結合部構造
31 :カラーの圧入部分の周長
32 :カラーの圧入部分が貫通穴の溝と接触する周長
33 :貫通穴の溝の周方向の隙間
34 :結合部構造の軸
40 :従来の貫通穴を有する樹脂製品
41 :従来の貫通穴
42 :従来のカラー
43 :従来の結合部構造
50 :本発明の車両用変速機のカラー付き樹脂部品
51 :被取付け物
52 :歯車
53 :滑車
54 :ベルト
55 :オイル
56 :ねじ
57 :歯車と滑車の回転軸
60 貫通穴を有する樹脂製品の押し具
61 カラーの押し具
62 カラーの受け
63 貫通穴を有する樹脂製品の受け
64 貫通穴を有する樹脂製品の押し具とカラーの押し具に連結されたバネ
Claims (5)
- 貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品と、前記貫通穴に圧入されたカラーと、を備えた結合部構造において、前記貫通穴は側壁に貫通穴の軸と平行に延びる複数の貫通穴の溝が形成され、前記カラーは圧入部分にカラーの溝がなく、かつ、前記カラーは天面の直径および底面の直径が圧入部分の直径より0.2mm以上1.0mm以下小さく形成され、前記結合部構造は前記カラーの前記圧入部分の周長のうち前記貫通穴の溝と接触する割合が0.25以上0.55以下であることを特徴とする車両用変速機のカラー付き樹脂部品。
- 前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品の材料がナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機のカラー付き樹脂部品。
- 前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品の材料がガラス繊維強化された請求項2に記載の車両用変速機のカラー付き樹脂部品。
- 貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品と、前記貫通穴に冷間圧入されたカラーと、を備えた結合部構造において、前記貫通穴は側壁に貫通穴の軸と平行に延びる複数の貫通穴の溝が形成され、前記カラーは圧入部分にカラーの溝がなく、かつ、前記カラーは天面の直径および底面の直径が圧入部分の直径より0.2mm以上1.0mm以下小さく形成され、前記結合部構造は前記カラーの前記圧入部分の周長のうち前記貫通穴の溝と接触する割合が0.25以上0.55以下であることを特徴とする車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法。
- 下記工程(A)〜(D)をこの順で含む、請求項1から3の何れか一つに記載の車両用変速機のカラー付き樹脂部品の製造方法。
(A)貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を、装置の貫通穴を有する樹脂製品の受けに配置する工程、
(B)カラーを、装置のカラーの受けに、カラーの軸と装置のカラーの受けとを垂直にして配置する工程、
(C)前記貫通穴を有する熱可塑性樹脂製品を前記装置の受けに押付けて、前記貫通穴の軸と、前記カラーの軸とを、平行に矯正する工程、
(D)前記貫通穴の軸と前記カラーの軸とを平行に矯正した状態を維持して、前記貫通穴に、前記カラーを、冷間圧入する工程
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017207013 | 2017-10-26 | ||
JP2017207013 | 2017-10-26 |
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---|---|
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JP2018200767A Pending JP2019078408A (ja) | 2017-10-26 | 2018-10-25 | 車両用変速機のカラー付き樹脂部品 |
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JP (1) | JP2019078408A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210059300A (ko) * | 2019-11-15 | 2021-05-25 | 주식회사 본시스템즈 | 사이클로이드 감속기 조립체 |
-
2018
- 2018-10-25 JP JP2018200767A patent/JP2019078408A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20210059300A (ko) * | 2019-11-15 | 2021-05-25 | 주식회사 본시스템즈 | 사이클로이드 감속기 조립체 |
KR102364348B1 (ko) * | 2019-11-15 | 2022-02-18 | 주식회사 본시스템즈 | 사이클로이드 감속기 조립체 |
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