JP2019077658A - 腋臭用デオドラント組成物 - Google Patents
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Description
腋窩部のアポクリン汗腺から分泌されたアポクリン汗に含まれる脂肪やタンパク質等が皮膚常在菌によって分解され、さらにこれに皮脂腺で分泌される皮脂が加わり、さらにはアポクリン汗と皮脂とがエリクン汗によって広げられて腋臭を発する。3つの汗腺類のうち、腋臭への影響が大きいのがアポクリン汗腺であり、アポクリン汗腺からの分泌量が多い人がいわゆる「わきが」になりやすい。
腋臭は、体臭の中でも特に全身的な体臭へ与える影響が大きいことから、これを抑制するデオドラント製品のニーズは高まっている。
しかしながら、シメン−5−オールは、様々な皮膚常在菌に対してもある程度効果を発揮するが、シメン−5−オール単独では十分な防臭効果を得るのは困難である。そのため、シメン−5−オールと他の成分とを併用したデオドラント剤が報告されている。具体的には他の成分としてトリクロサン(特許文献2)、リゾチーム及び/又はその塩(特許文献3)、グルコン酸クロルヘキシジン(特許文献4)等が報告されている。
<1> 下記成分を含有する腋臭用デオドラント組成物。
成分(A):シメン−5−オール、柿タンニン、茶エキス及びグリチルリチン酸2カリウム
成分(B):フェノールスルホン酸亜鉛及びアーティチョークエキス
成分(C):セイヨウナシ果汁発酵液
成分(D):ヒト型セラミド化合物
<2> さらに成分(E):シャクヤクエキス、ハマメリスエキス、オトギリソウエキス及びアロエエキスから選択される1以上の成分を含有する<1>に記載の腋臭用デオドラント組成物。
<3> 液剤、ローション剤、ゲル剤、乳液剤又はクリーム剤である<1>または<2>に記載の腋臭用デオドラント組成物。
成分(A):シメン−5−オール、柿タンニン、茶エキス及びグリチルリチン酸2カリウム
成分(B):フェノールスルホン酸亜鉛及びアーティチョークエキス
成分(C):セイヨウナシ果汁発酵液
成分(D):ヒト型セラミド化合物
成分(A)は抗菌成分であり、シメン−5−オールと共に植物由来の成分を組み合わせていることに特徴がある。
シメン−5−オールは、イソプロピルメチルフェノールとも呼ばれ、様々な皮膚常在菌に対してもある程度効果を発揮する殺菌成分である。一方で、シメン−5−オール単独では十分な殺菌作用を得るのは困難である。
本発明においては、シメン−5−オールと共に、植物由来成分である柿タンニン、茶エキス及びグリチルリチン酸2カリウムを組み合わせて配合することにより、シメン−5−オール単独では得られない優れた抗菌作用を得ることができる。
原料植物の使用部位は、必要となる抗菌作用を有する抽出物(エキス)が得られる限り、葉、茎、根、花、実、幹、枝等、植物のいずれの部位であってもよい。
植物抽出物は、原料植物の適当な部位を適当な溶媒を用いて抽出することによって得ることができ、溶媒としては、求められる作用が得られる限り制限はなく、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。また、搾汁をそのまま使用することもできる。これらの植物抽出物は、市販されているものを使用することができる。
シメン−5−オールの配合量は、0.001〜3質量%の範囲で適宜決定され、他の成分(柿タンニン、茶エキス及びグリチルリチン酸2カリウム)の配合量は、それぞれ0.001〜3質量%の範囲で適宜決定される。
成分(B)であるフェノールスルホン酸亜鉛(パラフェノールスルホン酸亜鉛)は、収れん作用を有し、汗や皮膚に含まれるたんぱく質と反応することによって、血管や組織を凝固させ、毛穴や汗腺からの汗の分泌を抑制する作用を有する。
フェノールスルホン酸亜鉛と共に、植物由来成分であるアーティチョークエキスを組み合わせて配合することにより、フェノールスルホン酸亜鉛単独よりも優れた制汗作用を有する。そのため、本発明の腋臭用デオドラント組成物を使用した際に抗菌作用を有する成分(A)(及び他の成分)が汗により腋窩部から流出することを防ぐことができる。
フェノールスルホン酸亜鉛の配合量は、0.001〜3質量%の範囲で適宜決定され、アーティチョークエキスの配合量は、0.001〜3質量%の範囲で適宜決定される。
成分(C)であるセイヨウナシ果汁発酵液は、ヨーロッパ原産のバラ科ナシ属の植物であるセイヨウナシの果汁を乳酸発酵させたものであり、糖やミネラルによる保湿作用を有する。また、乳酸による角質柔軟化およびマイルドなピーリング作用により、成分(C)は、成分(A)及び成分(B)の皮膚内部への浸透を促進する。また、成分(A)との相乗作用により優れた殺菌作用を向上させる作用も期待できる。また、成分(C)は植物由来成分であるため、肌に悪影響を与えることが少ない。
成分(D)であるヒト型セラミド化合物は、ヒトの皮膚角層に存在するセラミドと同等の構造を有する化合物であり、肌のうるおいといった保湿機能の改善や、肌から水分が蒸発するのを防止し、外部からの刺激や細菌の進入を防ぐ働きを有する。そのため、成分(D)が配合されることにより、上述した成分(A)〜(C)の作用をより促進することに加え、外部からの腋臭原因菌の侵入を抑制することができる。
任意成分としては、例えば、分散媒(溶媒)成分、消臭成分、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、動植物抽出エキス、ビタミン類、アミノ酸、pH調整剤、シリカ、タルク、ベントナイト等の粉体、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、清涼剤、抗炎症剤等が挙げられる。
成分(E)の配合量が少なすぎる場合、肌の状態を整える作用が不十分になるおそれがあり、また、多すぎるとかえって効果が得られないおそれがある。
本発明の腋臭用デオドラント組成物の形態には制限はなく、使用する方法に応じて適宜決定されるが、腋窩部への塗布性から通常、半固形状又は液状である。具体的には、液剤、ローション剤、ゲル剤、乳液剤、クリーム剤などの種々の形態に用いることができる。この中でもクリーム剤が好適な形態である。本発明の腋臭用デオドラント組成物は、その形態に応じて、一般に知られている方法により製造すればよい。
以下の成分を均等になるまで混合して実施例のデオドラント組成物(クリーム状)を調製した。
<成分(A)>
シメン−5−オール:0.5重量部
柿タンニン:0.1重量部
茶エキス:0.1重量部
グリチルリチン酸2カリウム:0.1重量部
<成分(B)>
フェノールスルホン酸亜鉛:2重量部
アーティチョークエキス:0.1重量部
<成分(C)>
セイヨウナシ果汁発酵液:0.1重量部
<成分(D)>
N−ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミド3):0.2重量部
<モデル基材成分>
ブチレングリコール40重量部、精製水60重量部、界面活性剤0.5重量部を含む混合物
腋臭原因菌のモデル菌として、黄色ブドウ球菌を使用し、実施例の組成物(クリーム状)の有無による菌繁殖の違いを評価した。なお、評価は卵黄加マンニット食塩天秤板培養法で行った。
まず、ヒトから単離培養した黄色ブドウ球菌を105倍希釈し、黄色ブドウ球菌溶液を調整した。得られた溶液10mLに実施例の組成物5gを添加し均一になるまで撹拌して検液を得た。
得られた検液を卵黄加マンニット食塩寒天培地に0.1ml塗沫し、35℃で0時間、24時間後、48時間後、生育した微生物のコロニーを観察したところ、48時間後においてもコロニー形成が確認されなかった。
モデル試験として、ブタの皮膚に実施例1の組成物(クリーム状)を塗布した後、約37℃に調整した人工汗(酢酸)に浸漬し、表皮に付着する耐久時間を評価した。その結果、1時間後には全く流失がなく、その後24時間後においても表皮に実施例1の組成物が付着していることが目視にて確認された。
評価3−1.防臭性評価
女性被験者(5名)に対し、片方の腋窩部に実施例の組成物(1g程度)を塗布し、もう片方の腋窩部には何も塗布せず、日常生活を行ってもらった。評価前(0時間)と、塗布開始から10時間後に、臭いセンサーによる測定を行い、それぞれの数値(平均値)を比較した。
その結果、何も塗布しなかった腋窩部は評価前の数値29に対し、10時間後は104であったのに対し、実施例の組成物を塗布した腋窩部は評価前の数値28に対し、10時間後は32であった。この結果から、実施例の組成物に優れた腋臭の抑制作用があることが認められた。
その結果、何も塗布しなかった腋窩部は評価前の数値36に対し、運動後は39であったのに対し、実施例の組成物を塗布した腋窩部は評価前の数値35に対し、運動後は105であった。この結果から、実施例の組成物は、汗によって流失せずに、優れた腋臭の抑制作用が持続することが認められた。
上記女性被験者5名に対して、実施例1の組成物の使用中の肌のべたつきについて以下の基準に基づき官能評価を行った。結果を、被験者5名の平均値から、下記の評価基準、判定基準で評価した。
[評価基準]
3点:非常にベタつく
2点:少しベタつく
1点:ベタつきを感じない
下記の製品(クリーム状)を調製した。
シメン−5−オール:0.5重量部
柿タンニン:0.1重量部
茶エキス:0.1重量部
グリチルリチン酸2カリウム:0.1重量部
フェノールスルホン酸亜鉛:2重量部
アーティチョークエキス:0.1重量部
セイヨウナシ果汁発酵液:0.1重量部
N−ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミド3):0.2重量部
シャクヤクエキス:0.1重量部
ハマメリスエキス:0.1重量部
オトギリソウエキス:0.1重量部
アロエエキス:0.1重量部
<モデル基材成分>
ブチレングリコール40重量部、精製水60重量部、界面活性剤0.5重量部を含む混合物
Claims (3)
- 下記成分を含有することを特徴とする腋臭用デオドラント組成物。
成分(A):シメン−5−オール、柿タンニン、茶エキス及びグリチルリチン酸2カリウム
成分(B):フェノールスルホン酸亜鉛及びアーティチョークエキス
成分(C):セイヨウナシ果汁発酵液
成分(D):ヒト型セラミド化合物 - さらに成分(E):シャクヤクエキス、ハマメリスエキス、オトギリソウエキス及びアロエエキスから選択される1以上の成分を含有する請求項1に記載の腋臭用デオドラント組成物。
- クリーム剤である請求項1または2に記載の腋臭用デオドラント組成物。
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