JP2019075616A - 音場収録装置及び音場収録方法 - Google Patents

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Keigo Wakayama
圭吾 若山
高田 英明
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英明 高田
ホルヘ トレビーニョ
Trevino Jorge
ホルヘ トレビーニョ
修一 坂本
Shuichi Sakamoto
修一 坂本
鈴木 陽一
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Abstract

【課題】任意の指向特性を持つ音源によって作り出される音空間について、マイクロホンの近傍以外の任意の位置の音空間情報を得る。【解決手段】指向特性表現部121が、指向性を持つ音源を複数の点音源で表現し、第1行列算出部122が、各点音源によって生じる音空間情報の球面調和係数行列B(enc)を算出し、第2行列算出部123が、各点音源から任意の位置rtgtまでの伝搬作用素B(tgt)を算出し、移動作用素算出部124が、球面調和係数行列B(enc)と伝搬作用素B(tgt)の線形演算により移動作用素Trec→tgtを算出し、合成部14が、収録位置rrecでの音空間情報の展開係数B(rec)に移動作用素Trec→tgtを適用し、任意の位置の音空間情報の展開係数B(trans)を求める。【選択図】図2

Description

本発明は、音場再現のための音空間情報を取得する技術に関する。
音空間情報の収録には、通常、複数のマイクロホンを有するマイクロホンアレイを用いる。特に、剛球上にマイクロホンをできるだけ等密度に配置した球状マイクロホンアレイは、形状がコンパクト、かつ、対称形であるため、比較的多くの場面で使用されている。ただし、マイクロホンの数に応じて収録される音空間の距離が規定されるため、マイクロホンアレイの近傍の音空間しか正確に収録することができない。この範囲を広げるためには、極めて多数のマイクロホンを稠密に配置する必要がある。
この問題を解決するために、発明者らは、非特許文献1において、収録する音源の位置を既知とすることで、マイクロホンの近傍以外のあらゆる位置での音空間情報を算出することができる移動作用素の算出方法を提案した。
J. Trevino, K. Wakayama, S. Sakamoto, Y. Suzuki, H. Takada, and M. Okamoto, "Recording of extended sound fields using spherical microphone arrays and a-priori knowledge of the sound source positions,"The Journal of the Acoustical Society of America, 2016, Volume 139, Issue 4, http://dx.doi.org/10.1121/1.4950265 羽田陽一、古家賢一、島内末廣、"球調和関数展開に基づく多重極音源を用いた指向性合成"、日本音響学会誌、一般社団法人 日本音響学会、2013年、第69巻、第11号、pp. 577-588
しかしながら、非特許文献1の手法では、音源の特性を無指向性の点音源と限定して移動作用素を算出していた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、任意の指向特性を持つ音源によって作り出される音空間について、マイクロホンの近傍以外の任意の位置の音空間情報を得ることを目的とする。
第1の本発明に係る音場収録装置は、指向性を持つ音源を複数の点音源で表現する音源表現手段と、前記複数の点音源のそれぞれによって生じる音空間情報の球面調和係数行列を算出し、前記複数の点音源のそれぞれから任意の位置までの伝搬作用素を算出し、前記球面調和係数行列と前記伝搬作用素の線形演算により移動作用素を算出する算出手段と、マイクロホンアレイで得られた音空間情報に前記移動作用素を適用して前記任意の位置での音空間情報を合成する合成手段と、を有することを特徴とする。
第2の本発明に係る音場収録方法は、コンピュータが実行する音場収録方法であって、指向性を持つ音源を複数の点音源で表現するステップと、前記複数の点音源のそれぞれによって生じる音空間情報の球面調和係数行列を算出するステップと、前記複数の点音源のそれぞれから任意の位置までの伝搬作用素を算出するステップと、前記球面調和係数行列と前記伝搬作用素の線形演算により移動作用素を算出するステップと、マイクロホンアレイで得られた音空間情報に前記移動作用素を適用して前記任意の位置での音空間情報を合成するステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、任意の指向特性を持つ音源によって作り出される音空間について、マイクロホンの近傍以外の任意の位置の音空間情報を得ることができる。
本実施形態の音場収録装置を用いて任意の位置での音空間情報を得る様子を示す図である。 本実施形態の音場収録装置の構成を示す機能ブロック図である。 球面調和関数と9つの点音源の位置関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の音場収録装置1を用いて任意の位置での音空間情報を得る様子を示す図である。音場収録装置1は、音源位置が既知の指向性を持つ音源によって作り出される音空間の、球状マイクロホンアレイ3の設置位置以外の任意の位置における音空間情報を合成する。
(音場収録装置の構成)
図2は、本実施形態の音場収録装置1の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す音場収録装置1は、音源位置入力部11、算出部12、音空間情報入力部13、合成部14、及び音空間情報出力部15を有する。音場収録装置1が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは音場収録装置1が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。以下、各部について説明する。
音源位置入力部11は、指向性を持つ音源の音源位置など算出部12が移動作用素を算出するために必要な情報を入力する。
算出部12は、入力した音源位置に基づいて指向性を持つ音源を複数の点音源で表現し、指向性を持つ音源により任意の位置で作り出される音空間情報を算出するための移動作用素を求める。算出部12の詳細については後述する。
音空間情報入力部13は、球状マイクロホンアレイ3で収録されたマルチチャネル信号を球面調和関数領域で表現して得られた、収録位置での音空間情報を入力する。
合成部14は、収録位置での音空間情報に算出部12の求めた移動作用素を適用し、任意の位置の音空間情報を得る。
音空間情報出力部15は、合成部14で得られた任意の位置の音空間情報を出力する。
(算出部の処理)
続いて、算出部12について説明する。算出部12は、指向特性表現部121、第1行列算出部122、第2行列算出部123、及び移動作用素算出部124を有する。
指向特性表現部121は、音源位置入力部11が入力した音源位置の周囲に複数の点音源を近接して配置し、任意の指向性を持つ音源を複数の点音源で表現する。
第1行列算出部122は、複数の点音源のそれぞれによって生じる音空間情報の球面調和係数行列を算出する。
第2行列算出部123は、複数の点音源のそれぞれから任意の位置までの伝搬作用素を算出する。
移動作用素算出部124は、第1行列算出部122の算出した球面調和係数行列と第2行列算出部123の算出した伝搬作用素の線形演算により移動作用素を算出する。
以下、算出部12の処理に関して、複数の点音源による指向性合成、指向性合成の球面調和関数表現、球面調和係数の推定、及び移動作用素の導出について説明する。
(複数の点音源による指向性合成)
音源のもつ指向性を球面調和関数を用いて表すと次式(1)のようになる。
ここで、D(θ,φ)は、とある周波数における音源の指向性を表し、θとφはそれぞれ水平角と仰角である。Yn mは、字数n、陪数mの球面調和関数を表す。式(1)から、音源の指向性は、球面調和関数の展開係数Anmで表されることがわかる。
このように算出された指向性は、近接した極性の異なる複数の点音源の重ね合わせで表現することが可能である(非特許文献2参照)。例えば、非特許文献2では、例として、2次の球面調和関数で表現できる任意の指向性を、以下のように配置した9つの点音源の重ね合わせにより表現できることを示している。
なお、dはそれぞれの点音源の間隔であり、表現すべき指向性を持つ音源の波長より小さくなる必要がある。また、ベクトルrrecは、音空間を収録したマイクロホンの位置を表す。
元々の音源の指向性は式(1)のように展開係数[A]nm=Anmで表現できることから、球面調和関数領域でこの指向性を9つの点音源の重ね合わせとして表現する際には、各点音源に掛け合わせる重み係数ベクトルH=[H12・・・H9Tを、行列C,Pを用いて次式(3)のように算出することとなる。
例えば、先に例を示した2次の球面調和関数で表される指向性は、次式(4),(5)として表現される。
ここで、kは波数である。なお、式(4),(5)は、非特許文献2の式と異なっているが、これは、単に両者で使用している球面調和関数の座標系の違い、および、正規化の違いであり、本質的には同じものである。図3に、使用した球面調和関数と9つの点音源の位置関係を示す。
(指向性合成の球面調和関数表現)
位置rs=(rs,θs,φs)にある点音源により任意の位置rで生じる音圧は、球面調和関数を用いて以下の式(6)で表される。
ここで、jnとhn (1)はそれぞれ、球ベッセル関数、第一種球ハンケル関数であり、*は複素共役を表す。
式(6)から、位置rsにおける点音源により生じる音空間情報を空間フーリエ変換で表すと、その係数Bnm (s)は、次式(7)のように導かれる。
したがって、非特許文献2で示した複数の点音源による指向性合成手法は、近接するそれぞれの点音源によって生じる音空間情報の空間フーリエ変換係数Bnm (s)を用いて、球面調和関数領域で表現し直すことが可能である。すなわち、マイクロホンにより収録された展開係数Bnm (rec)は、式(7)に示す各点音源の係数の和として次式(8)で表されることになる。
(球面調和係数の推定)
式(8)を各点音源における係数を用いた行列により表現し直すと、各点音源によって生じる音空間情報の球面調和係数行列B(enc)は次式(9)のように表される。
この球面調和係数行列B(enc)の各要素は各点音源から出力される音の球面調和係数であり、式(2)により算出された距離を用いて式(7)から求める。したがって、任意の指向性を持つ音源によって作り出される音空間の、収録位置における球面調和係数B(rec)は、音源の指向性を表現するために各点音源に重み付けする重み係数ベクトルHを用いて、式(3)と同じように次式(10)のように表される。
球面調和係数B(rec)はマイクロホンアレイを用いて収録されるため、算出すべき元の音源の展開係数Aは、式(10)から次式(11)のように推定される。
ここで、[・]+は一般逆行列を表し、多くの場合、Moore−Penroseの疑似逆行列として算出する。さらに、各音源に対する重み係数ベクトルHは次式(12)のように表現される。
(移動作用素の導出)
式(12)は、指向性を持つ音源を複数の点音源で表した際の各点音源に掛け合わせる重み係数ベクトルHを算出する。重み係数ベクトルHを用いて、指向性を持つ音源が作り出す音空間を任意の位置で合成する。
式(9)で表される各点音源によって生じる音空間情報の球面調和係数行列B(enc)を、各点音源から該当する点までの音の伝搬行列として解釈する。すなわち、式(9)を、各点音源から収録位置rrecまでの音空間情報の伝搬特性として考える。このように考えると、各点音源から任意の位置rtgtまでの伝搬作用素B(tgt)は、式(2)におけるrrecをrtgtに入れ替えた上で、式(9),(7)を適用して求めることができる。
この伝搬作用素B(tgt)と式(12)から、収録位置rrecからターゲットとなる任意の位置rtgtへ移動した際の展開係数を次式(13)で求めることができる。
収録位置rrecから任意の位置rtgtへの展開係数の移動作用素Trec→tgtは次式(14)で表される。
本実施形態では、指向特性表現部121が、指向性を持つ音源を複数の点音源で表現し、第1行列算出部122が、各点音源によって生じる音空間情報の球面調和係数行列B(enc)を算出し、第2行列算出部123が、各点音源から任意の位置rtgtまでの伝搬作用素B(tgt)を算出し、移動作用素算出部124が、球面調和係数行列B(enc)と伝搬作用素B(tgt)の線形演算により移動作用素Trec→tgtを算出する。そして、合成部14が、収録位置rrecでの音空間情報の展開係数B(rec)に移動作用素Trec→tgtを適用し、任意の位置の音空間情報の展開係数B(trans)を求めることにより、ある収録位置で球状マイクロホンアレイ3で収録しさえすれば、任意の指向性を持つ音源によって作り出される音空間について、収録位置以外の任意の位置の音空間情報を得ることができる。
1…音場収録装置
11…音源位置入力部
12…算出部
121…指向特性表現部
122…第1行列算出部
123…第2行列算出部
124…移動作用素算出部
13…音空間情報入力部
14…合成部
15…音空間情報出力部
3…球状マイクロホンアレイ

Claims (4)

  1. 指向性を持つ音源を複数の点音源で表現する音源表現手段と、
    前記複数の点音源のそれぞれによって生じる音空間情報の球面調和係数行列を算出し、前記複数の点音源のそれぞれから任意の位置までの伝搬作用素を算出し、前記球面調和係数行列と前記伝搬作用素の線形演算により移動作用素を算出する算出手段と、
    マイクロホンアレイで得られた音空間情報に前記移動作用素を適用して前記任意の位置での音空間情報を合成する合成手段と、
    を有することを特徴とする音場収録装置。
  2. 前記球面調和係数行列及び前記伝搬作用素は、行列
    で表され、上記行列の各要素は、各点音源から出力される音の球面調和係数であり、次式
    (ただし、kは波数、rs,θs,φsは点音源の位置、hn (1)は第一種球ハンケル関数、Yn mは次数n,陪数mの球面調和関数であり、*は複素共役を表す)
    で求めることを特徴とする請求項1に記載の音場収録装置。
  3. コンピュータが実行する音場収録方法であって、
    指向性を持つ音源を複数の点音源で表現するステップと、
    前記複数の点音源のそれぞれによって生じる音空間情報の球面調和係数行列を算出するステップと、
    前記複数の点音源のそれぞれから任意の位置までの伝搬作用素を算出するステップと、
    前記球面調和係数行列と前記伝搬作用素の線形演算により移動作用素を算出するステップと、
    マイクロホンアレイで得られた音空間情報に前記移動作用素を適用して前記任意の位置での音空間情報を合成するステップと、
    を有することを特徴とする音場収録方法。
  4. 前記球面調和係数行列及び前記伝搬作用素は、行列
    で表され、上記行列の各要素は、各点音源から出力される音の球面調和係数であり、次式
    (ただし、kは波数、rs,θs,φsは点音源の位置、hn (1)は第一種球ハンケル関数、Yn mは次数n,陪数mの球面調和関数であり、*は複素共役を表す)
    で求めることを特徴とする請求項3に記載の音場収録方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021038782A1 (ja) * 2019-08-29 2021-03-04 日本電信電話株式会社 信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラム
WO2023228437A1 (ja) * 2022-02-17 2023-11-30 ヤマハ株式会社 情報処理方法、情報処理システムおよびプログラム

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