JP2019072701A - 凝集剤組成物および水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、バイオマスから得ることができる安全な素材であるリグニン成分を有効成分の一つとし、かつ、様々なpHの被処理水に対し良好な凝集効果を発揮でき、事前のpH調整を省略できる、凝集剤、及び、これを用いた水処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、以下を提供する:(A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤を含む凝集剤;及び、上記剤の用途。【選択図】なし
Description
本発明は、凝集剤組成物および水処理方法に関する。
将来的な石油資源の枯渇が懸念されている。石油資源の代替原料として、これまでにバイオマスの利用を図る研究が数多くなされている。斯かる潮流の中で、バイオマス利用の分野において、木材を原料として使用する製紙産業が、大規模かつ商業ベースで成功している例として挙げられる。
木材の構成成分の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンの全利用に成功している例としては、亜硫酸蒸解を用いたサルファイトパルプの製造が挙げられる。木材の亜硫酸蒸解により得られる成分のうち、例えばパルプは、各種セルロース製品の原料に用いられており、ヘミセルロース(非セルロース系多糖類)は、発酵原料等に用いられている。また、亜硫酸蒸解により得られるリグニンスルホン酸塩は、バインダー性能、分散性能、及びキレート能等の様々な能力を発揮することより、多様な分野にて利用されている。
石油資源の代替原料として、バイオマス由来のリグニンの新しい利用方法を見出すことが求められていると同時に、凝集剤の用途では安全性の高い天然物由来の凝集剤が望まれている。
製紙産業では主に水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを使用したクラフト蒸解により木材を蒸解している。その際に排出されるクラフトリグニンはほぼ全量を燃料として回収しており、その他の利用用途としては、排出されるクラフトリグニンのごく一部がホルムアルデヒドと亜硫酸ナトリウムを用いた反応によりスルホメチル化クラフトリグニンを得て、分散剤として利用されているに過ぎない。
一般的な廃水浄化のための凝集処理は、下水、産業廃水、工事現場からの汚濁廃水などの廃水に凝集剤を投入して水中の懸濁物質を凝集させて汚泥とし、次いで汚泥を水とともにフィルタープレスやスクリュープレス等により脱水し分離することにより行われている。
特許文献1には、50〜85重量%の粘土と、亜硫酸ナトリウムを含む無機凝集剤、及び有機高分子凝集剤から選択される1種以上の凝集剤とを含んでなり、該無機凝集剤が亜硫酸ナトリウムを含有する複合凝集剤(請求項1)、及び、60重量%をこえて85重量%以下の粘土を含み、無機凝集剤、有機高分子凝集剤から選択される1種以上の凝集剤を含んでなり、該無機凝集剤が鉄塩を含有し、有機高分子凝集剤が、リグニンスルホン酸ナトリウムを含有しうる複合凝集剤(請求項2)が記載されている。特許文献1の複合凝集剤によると、処理槽に複合凝集剤を所定量いちどきに投入するだけでよく、凝集剤の逐次投入のタイミングや量、液のpHの複雑な管理、調整を要することなく処理を行うことができるとされている(段落[0013])。さらに、特許文献1の複合凝集剤によると、無機凝集剤、有機高分子凝集剤のみを用いた場合に比べ、同量のその無機凝集剤、有機高分子凝集剤を成分の一部として使用してはるかに効果的な汚濁物質の処理が可能となるとされている(段落[0014])。
特許文献2には、カチオン性高分子と、リグニンスルホン酸、その塩等のアニオン性高分子とをイオン当量に応じた配合量で含む水溶液の分散型高分子凝集剤が水浄化に使用できることが記載されている。
非特許文献1には、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドの部分加水分解塩、マレイン酸共重合物、水溶性アニリン樹脂、ポリチオ尿素、ポリエチレンイミン、第四級アンモニウム塩、ポリビニルピリジン類、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、カセイ化デンプンなどの有機高分子凝集剤による凝集に適したpHは6以上であることが記載されている。また、非特許文献1には、無機凝集剤として、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス及びポリシリカ鉄が用いられること、及び、アルミ系凝集剤及び鉄系凝集剤による凝集に適したpHはそれぞれpH6〜8、pH9〜11と記載されている。
新・公害防止の技術と法規2013(水質編),p248−249
特許文献1は、粘土を必須成分とすることにより、無機凝集剤、有機高分子凝集剤のみを用いた場合に比べはるかに効果的な汚濁物質の処理が可能となるとしているものの、実験−1及び実験−2において、無機凝集剤、有機高分子凝集剤のみを用いた場合として実証されているのは、有機高分子凝集剤がポリアクリルアミド系有機高分子凝集剤である場合のみである(段落[0037]表2中、粘土不含水準イ、及び、段落[0041]表4中、粘土不含水準ヘ参照)。そのため、特許文献1は、リグニンスルホン酸ナトリウムを、粘土を必須とする複合凝集剤の一成分として用いうることを開示しているものの、リグニン成分が粘土不含でも凝集剤又は凝集剤組成物の一成分として利用できることを示すものではない。
特許文献2は、分散型高分子凝集剤の一成分であるアニオン性高分子として、リグニンスルホン酸、その塩等を用いうることを開示するものの、アニオン性高分子は、カチオン性高分子のイオン当量に応じて配合されている必要がある。したがって、特許文献2は、アニオン性高分子の一例であるリグニンスルホン酸及びその塩が、カチオン性高分子不含でも凝集剤又は凝集剤組成物の一成分として利用できることを示すものではない。
非特許文献1には、凝集剤の使用に適したpHは一般に6以上の、どちらかと言えばアルカリ側とされており、凝集可能なpHを広げ、pH調整操作をおこなわなくとも、酸性側での凝集処理が可能な凝集剤の開発が望まれていた。さらに、非特許文献1で用いられる合成系高分子凝集剤は、以下の3つの問題を有している:[1]土壌に放出されても分解されず、蓄積されること;[2]単量体(アクリルアミド等)自体が毒性を有し、安全性が低いこと;及び[3]石油等の化石資源から合成されたものであり、人類によって再生できないものを原料としていること。
そのため、本発明は、バイオマスから得ることができる安全な素材であるリグニン成分を有効成分の一つとし、かつ、様々なpHの被処理水に対し良好な凝集効果を発揮でき、事前のpH調整を省略できる、凝集剤組成物、及び、これを用いた水処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記〔1〕〜〔12〕を提供する。
〔1〕 (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び
(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤
を含む凝集剤。
〔2〕 リグニン成分は、還元性糖類を含む、〔1〕に記載の剤。
〔3〕 リグニン成分の固形分あたりの還元性糖類含量が5質量%以下である、〔2〕に記載の剤。
〔4〕 リグニン成分は、クラフトリグニン及びリグニンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の剤。
〔5〕 リグニン成分のS含量が0.5質量%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の剤。
〔6〕 リグニン成分の固形分あたりのCa含量が0.06質量%以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の剤。
〔7〕 リグニン成分の固形分あたりのNa含量が15質量%以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の剤。
〔8〕 リグニン成分の固形分あたりのMg含量が0.300質量%以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の剤。
〔9〕 無機凝集剤が、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス及びポリシリカ鉄から選ばれる少なくとも1つを含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の剤。
〔10〕 (A剤)及び(B剤)を含む2成分系である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の剤。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の剤を被処理水に添加する工程を含む、水処理方法。
〔12〕 (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び、(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤を被処理水に同時添加又は順次添加する工程を含む、水処理方法。
〔1〕 (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び
(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤
を含む凝集剤。
〔2〕 リグニン成分は、還元性糖類を含む、〔1〕に記載の剤。
〔3〕 リグニン成分の固形分あたりの還元性糖類含量が5質量%以下である、〔2〕に記載の剤。
〔4〕 リグニン成分は、クラフトリグニン及びリグニンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の剤。
〔5〕 リグニン成分のS含量が0.5質量%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の剤。
〔6〕 リグニン成分の固形分あたりのCa含量が0.06質量%以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の剤。
〔7〕 リグニン成分の固形分あたりのNa含量が15質量%以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の剤。
〔8〕 リグニン成分の固形分あたりのMg含量が0.300質量%以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の剤。
〔9〕 無機凝集剤が、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス及びポリシリカ鉄から選ばれる少なくとも1つを含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の剤。
〔10〕 (A剤)及び(B剤)を含む2成分系である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の剤。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の剤を被処理水に添加する工程を含む、水処理方法。
〔12〕 (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び、(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤を被処理水に同時添加又は順次添加する工程を含む、水処理方法。
本発明によれば、バイオマスから得ることができ、毒性が低く、再生が可能なため環境及び人体に対し安全性の高いリグニン誘導体を有効成分とし、かつ、酸性、アルカリ性に拘らず様々なpHの被処理水に対し良好な凝集効果を発揮でき、事前のpH調整を省略できる、凝集剤組成物、及び、これを用いた水処理方法が提供される。本発明は、様々な用途における凝集処理への利用が可能であり、例えば、廃水処理分野、上・下水道分野、発酵工業、製紙工業、土木建築業界等の各種分野で好適に使用することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
<凝集剤組成物>
本発明の凝集剤組成物は、以下の(A剤)及び(B剤)を少なくとも含み、好ましくは、以下の(A剤)及び(B剤)の双方を含む2成分系である。
(A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分を含む凝集剤、及び
(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤
ここで、2成分系の凝集剤組成物とは、上記(A剤)及び上記(B剤)の双方のみを凝集効果の有効成分とする凝集剤組成物をいう。したがって、凝集剤組成物が2成分系であっても、有効成分以外の任意成分を含むことは許容される。凝集剤組成物は、上記(A剤)及び上記(B剤)以外の有効成分を含む多成分系であってもよい。
本発明の凝集剤組成物は、以下の(A剤)及び(B剤)を少なくとも含み、好ましくは、以下の(A剤)及び(B剤)の双方を含む2成分系である。
(A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分を含む凝集剤、及び
(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤
ここで、2成分系の凝集剤組成物とは、上記(A剤)及び上記(B剤)の双方のみを凝集効果の有効成分とする凝集剤組成物をいう。したがって、凝集剤組成物が2成分系であっても、有効成分以外の任意成分を含むことは許容される。凝集剤組成物は、上記(A剤)及び上記(B剤)以外の有効成分を含む多成分系であってもよい。
(A剤:リグニン成分)
リグニン成分は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果を発揮する有効成分の一つである。リグニン成分は、その固形分あたりのメトキシル基含量が3質量%以上であり、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上である。上限は、20質量%以下であり、好ましくは19.5質量%以下、より好ましくは19.2質量%以下である。メトキシル基含量が3質量%以上であることにより、本発明の凝集剤組成物が適度な量のリグニンを含むため、凝集効果を得ることができる。一般にリグニンの構造中には芳香核に結合したメトキシル基が存在する。そのため、メトキシル基含量は、リグニン含量の指標となる。
リグニン成分は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果を発揮する有効成分の一つである。リグニン成分は、その固形分あたりのメトキシル基含量が3質量%以上であり、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上である。上限は、20質量%以下であり、好ましくは19.5質量%以下、より好ましくは19.2質量%以下である。メトキシル基含量が3質量%以上であることにより、本発明の凝集剤組成物が適度な量のリグニンを含むため、凝集効果を得ることができる。一般にリグニンの構造中には芳香核に結合したメトキシル基が存在する。そのため、メトキシル基含量は、リグニン含量の指標となる。
本発明において、メトキシル基含量は、ViebockおよびSchwappach法によるメトキシル基の定量法(「リグニン化学研究法」、P.336〜340、平成6年、ユニ出版(株)発行、参照)によって測定した値である。
リグニン成分は、木質バイオマス由来であることが好ましい。木質バイオマスの処理方法によって、通常、得られるリグニン成分の態様、構造は異なり、いくつかの種類が存在する。
リグニン成分は、通常、リグニン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1つ以上を含む。リグニン誘導体とは、リグニンの分解物、リグニンの誘導体、リグニンの分解物の誘導体を意味する。リグニン誘導体としては、例えば、リグニンスルホン酸、クラフトリグニン、ソーダリグニン、ソーダ−アントラキノンリグニン、オルガノソルブリグニン、爆砕リグニン、硫酸リグニンなどが挙げられる。これらのうち、リグニンスルホン酸、クラフトリグニンが好ましい。
リグニン成分は、粉体状でも、液体状でもよい。液体状のリグニン成分の調製方法は特に限定されないが、例えば、粉末状のリグニン成分を適当な溶媒(例えば水、水酸化ナトリウム水溶液など)に溶解して液体状のリグニン成分を得る方法が挙げられる。
リグニン成分は、リグニン又はその誘導体を1種含んでもよいし、2種以上を含んでもよく、リグニンスルホン酸及びクラフトリグニンからなる群より選ばれる1つ以上を少なくとも含むことが好ましい。
(リグニンスルホン酸)
リグニンスルホン酸は、リグニン又はその誘導体の少なくとも一部がスルホン酸(塩)基で置換されている化合物をいう。
リグニンスルホン酸は、リグニン又はその誘導体の少なくとも一部がスルホン酸(塩)基で置換されている化合物をいう。
リグニン成分としては、調製したものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。リグニンスルホン酸を含むリグニン成分の市販品としては、例えば、サンエキスP202、サンエキスP252、サンエキスP321、サンエキスSCP、バニレックスHW、バニレックスN、バニレックスRN、パールレックスNP、パールレックスDP(いずれも日本製紙製)を挙げることができる。また、以下に調製方法を例示するが、下記の調製方法で調製されたものに限定されるものではない。
(リグニンスルホン酸を含むリグニン成分の調製方法)
リグニンスルホン酸を含むリグニン成分の調製方法としては、例えば、リグノセルロース原料を亜硫酸処理して調製する方法、好ましくは、リグノセルロース原料を亜硫酸蒸解処理して調製する方法が挙げられる。
リグニンスルホン酸を含むリグニン成分の調製方法としては、例えば、リグノセルロース原料を亜硫酸処理して調製する方法、好ましくは、リグノセルロース原料を亜硫酸蒸解処理して調製する方法が挙げられる。
リグノセルロース原料は、構成体中にリグノセルロースを含むものであれば特に限定されるものではない。例えば、木材、非木材等のパルプ原料が挙げられる。
木材としては、エゾマツ、アカマツ、スギ、ヒノキ等の針葉樹木材、シラカバ、ブナ等の広葉樹木材が例示される。木材の樹齢、採取部位は問わない。そのため、互いに樹齢の異なる樹木から採取された木材や、互いに樹木の異なる部位から採取された木材を組み合わせて用いてもよい。
非木材としては、竹、ケナフ、葦、稲が例示される。
リグノセルロース原料は、これらの材料を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
木材としては、エゾマツ、アカマツ、スギ、ヒノキ等の針葉樹木材、シラカバ、ブナ等の広葉樹木材が例示される。木材の樹齢、採取部位は問わない。そのため、互いに樹齢の異なる樹木から採取された木材や、互いに樹木の異なる部位から採取された木材を組み合わせて用いてもよい。
非木材としては、竹、ケナフ、葦、稲が例示される。
リグノセルロース原料は、これらの材料を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
亜硫酸処理は、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかをリグノセルロース原料に接触させて行うことができ、中間生成物を得る処理である。亜硫酸処理の条件は、特に限定されず、リグノセルロース原料に含まれるリグニンの側鎖のα炭素原子にスルホン酸(塩)基が導入され得る条件であればよい。
亜硫酸処理は、亜硫酸蒸解法により行うことが好ましい。これにより、リグノセルロース原料中のリグニンをより定量的にスルホ化することができる。
亜硫酸蒸解法は、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液(例えば、水溶液:蒸解液)中で、リグノセルロース原料を高温下で反応させる方法である。当該方法は、サルファイトパルプの製造方法として工業的に確立されており、実施されている。そのため、亜硫酸処理を亜硫酸蒸解法により行うことにより、経済性及び実施容易性を高めることができる。
亜硫酸蒸解法は、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液(例えば、水溶液:蒸解液)中で、リグノセルロース原料を高温下で反応させる方法である。当該方法は、サルファイトパルプの製造方法として工業的に確立されており、実施されている。そのため、亜硫酸処理を亜硫酸蒸解法により行うことにより、経済性及び実施容易性を高めることができる。
亜硫酸塩の塩としては、亜硫酸蒸解を行う場合、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液における亜硫酸(SO2)濃度は、特に限定されないが、反応薬液100mLに対するSO2の質量(g)の比率が、1g/100mL以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には2g/100mL以上がより好ましい。上限は、20g/100mL以下が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には15g/100mL以下がより好ましい。SO2濃度は、1g/100mL〜20g/100mLが好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には2g/100mL〜15g/100mLがより好ましい。
亜硫酸処理のpH値は特に限定されないが、10以下が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には5以下がより好ましい。pH値の下限は、0.1以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には0.5以上がより好ましい。亜硫酸処理の際のpH値は、0.1〜10が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には0.5〜5がより好ましい。
亜硫酸処理の温度は特に限定されないが、170℃以下が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には150℃以下がより好ましい。下限は、70℃以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には100℃以上がより好ましい。亜硫酸処理の温度条件は、70〜170℃が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には100℃〜150℃がより好ましい。
亜硫酸処理の処理時間は特に限定されなく、亜硫酸処理の諸条件にもよるが、0.5〜24時間が好ましく、1.0〜12時間がより好ましい。
亜硫酸処理の処理時間は特に限定されなく、亜硫酸処理の諸条件にもよるが、0.5〜24時間が好ましく、1.0〜12時間がより好ましい。
亜硫酸処理においては、カウンターカチオン(塩)を供給する化合物を添加することが好ましい。カウンターカチオンを供給する化合物を添加することにより、亜硫酸処理におけるpH値を一定に保つことができる。カウンターカチオンを供給する化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)2、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、NH3、NH4OH、NaOH、NaHCO3、Na2CO3が挙げられる。カウンターカチオンは、マグネシウムイオンであることが好ましい。
亜硫酸処理において、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液を用いる場合、溶液には必要に応じて、SO2のほかに、上記カウンターカチオン(塩)、蒸解浸透剤(例えば、アントラキノンスルホン酸塩、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン等の環状ケトン化合物)を含ませてもよい。
亜硫酸処理を行う際に用いる設備に限定はなく、例えば、一般に知られている溶解パルプの製造設備等を用いることができる。
亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液から中間生成物を分離するには、常法に従って行えばよい。分離方法としては、例えば、亜硫酸蒸解後の亜硫酸蒸解排液の分離方法が挙げられる。
亜硫酸蒸解処理によると、高スルホン化度のリグニンスルホン酸が得られることがあり、その場合、部分脱スルホン化処理により低スルホン化度のリグニンスルホン酸を得ることができる。部分脱スルホン化方法としては、特開昭58−45287号公報に記載されている方法、すなわち、最初のpHが9以上で、150〜200℃で処理する方法又はより低pHで熱処理する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
また特開2016−135834号公報に記載されている方法によっても低スルホン化度のリグニンスルホン酸を含むリグニン成分を得ることができる。
(クラフトリグニン(Kraftlignin))
クラフトリグニンは、チオリグニン(Thiolignin)、サルフェートリグニン(Sulphate Lignin)とも呼ばれる。クラフトリグニンを含むリグニン成分としては、原料から調製されたものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。原料から調製されたクラフトリグニンを含むリグニン成分としては、例えば、クラフトリグニンのアルカリ溶液、クラフトリグニンのアルカリ溶液をスプレードライして粉末化した粉末化クラフトリグニン、クラフトリグニンのアルカリ溶液を酸で沈殿させた酸沈殿クラフトリグニンが挙げられる。
クラフトリグニンは、チオリグニン(Thiolignin)、サルフェートリグニン(Sulphate Lignin)とも呼ばれる。クラフトリグニンを含むリグニン成分としては、原料から調製されたものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。原料から調製されたクラフトリグニンを含むリグニン成分としては、例えば、クラフトリグニンのアルカリ溶液、クラフトリグニンのアルカリ溶液をスプレードライして粉末化した粉末化クラフトリグニン、クラフトリグニンのアルカリ溶液を酸で沈殿させた酸沈殿クラフトリグニンが挙げられる。
クラフトリグニンのアルカリ溶液は、例えば特開2000−336589号公報に記載されている方法、すなわち、クラフト法パルプ製造プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、陰極側でNaOH溶液を生じさせる方法により得られるが、これらの方法に限定されるものではない。
クラフトリグニンのアルカリ溶液を酸で沈殿させた酸沈殿クラフトリグニンとしては、国際公開第2006/038863号、国際公開第2006/031175号、国際公開第2012/005677号に記載されている方法などにより得られる粉末状の酸沈殿クラフトリグニンを用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
クラフトリグニンは、上記のクラフトリグニンをスルホン化したスルホン化リグニン又はスルホメチル化したリグニンを用いてもよい。例えば、「リグニンの利用に関する研究(第3報)チオリグニンのスルホメチル化について;老田靖、中野準三、右田伸彦:木材学会誌,第12巻,第5号,239−244(1966)」に記載されている方法により、スルホメチル化したスルホメチル化クラフトリグニン、米国特許第5049661号明細書に記載されているスルホン化リグニンが挙げられる。
スルホン化したリグニンとしては、調製したものを用いても良く、市販品を用いても良い。市販品としては例えば、POLYFON、REAX(いずれもIngevity製)が挙げられる。
(還元性糖類)
リグニン成分は、好ましくは還元性糖類を含む。還元性糖類を含むリグニン成分は、木質バイオマスから得ることができる。一般的に、木質バイオマスを亜硫酸蒸解又はクラフト蒸解する過程で、廃液中に還元性糖類がリグニンと共に残留する。リグニン成分中の還元性糖類含量は、リグニン成分の固形分に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。上限は、特に限定されないが20.0質量%以下である。
リグニン成分は、好ましくは還元性糖類を含む。還元性糖類を含むリグニン成分は、木質バイオマスから得ることができる。一般的に、木質バイオマスを亜硫酸蒸解又はクラフト蒸解する過程で、廃液中に還元性糖類がリグニンと共に残留する。リグニン成分中の還元性糖類含量は、リグニン成分の固形分に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。上限は、特に限定されないが20.0質量%以下である。
還元性糖とは、還元性を示す糖をいい、塩基性溶液中でアルデヒド基又はケトン基を生じる糖をいう。
還元性糖としては、例えば、全ての単糖、マルトース、ラクトース、アラビノース、スクロースの転化糖等の二糖、及び多糖が挙げられる。アルカリ処理排液中に含まれる還元性糖としては、通常、セルロース、ヘミセルロース、及びそれらの分解物を含む。セルロース及びヘミセルロースの分解物としては、例えば、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、フルクトース等の単糖;キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖等のオリゴ糖が挙げられる。
還元性糖類含量の測定方法としては、例えば、Somogyi−Schaffer法によって測定した測定値をグルコース量に換算して得る方法が挙げられる。
還元性糖としては、例えば、全ての単糖、マルトース、ラクトース、アラビノース、スクロースの転化糖等の二糖、及び多糖が挙げられる。アルカリ処理排液中に含まれる還元性糖としては、通常、セルロース、ヘミセルロース、及びそれらの分解物を含む。セルロース及びヘミセルロースの分解物としては、例えば、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、フルクトース等の単糖;キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖等のオリゴ糖が挙げられる。
還元性糖類含量の測定方法としては、例えば、Somogyi−Schaffer法によって測定した測定値をグルコース量に換算して得る方法が挙げられる。
(カウンターカチオン)
リグニン成分に含まれるリグニンまたはその誘導体(例えばリグニンスルホン酸)は、電離していない状態であってもよく、スルホン酸基の水素原子がカウンターイオンで置換されていてもよい。カウンターイオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンが挙げられ、ナトリウムイオンが好ましい。なお、カウンターイオンは、1種単独のカウンターイオンであってもよく、2種以上のカウンターイオンを組み合わせてもよい。
リグニン成分に含まれるリグニンまたはその誘導体(例えばリグニンスルホン酸)は、電離していない状態であってもよく、スルホン酸基の水素原子がカウンターイオンで置換されていてもよい。カウンターイオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンが挙げられ、ナトリウムイオンが好ましい。なお、カウンターイオンは、1種単独のカウンターイオンであってもよく、2種以上のカウンターイオンを組み合わせてもよい。
(無機塩)
リグニン成分は、通常、無機塩を含有する。無機塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。リグニン成分の固形分に対する無機塩の含量は、通常1〜25質量%である。リグニン成分中のCa含量(固形分に対するカルシウム原子含量)は、通常は0.06質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下である。下限は、通常は0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上である。リグニン成分中のNa含量(組成物固形分に対するナトリウム原子含量)は、通常は15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下又は12質量%以下であり、好ましくは11質量%以下である。下限は、通常は1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。リグニン成分中のMg含量(固形分に対するマグネシウム原子含量)は、通常は0.300質量%以下であり、好ましくは0.200質量%以下である。下限は、通常は0.001質量%以上であり、好ましくは0.002質量%以上である。
リグニン成分は、通常、無機塩を含有する。無機塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。リグニン成分の固形分に対する無機塩の含量は、通常1〜25質量%である。リグニン成分中のCa含量(固形分に対するカルシウム原子含量)は、通常は0.06質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下である。下限は、通常は0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上である。リグニン成分中のNa含量(組成物固形分に対するナトリウム原子含量)は、通常は15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下又は12質量%以下であり、好ましくは11質量%以下である。下限は、通常は1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。リグニン成分中のMg含量(固形分に対するマグネシウム原子含量)は、通常は0.300質量%以下であり、好ましくは0.200質量%以下である。下限は、通常は0.001質量%以上であり、好ましくは0.002質量%以上である。
無機塩含量、Ca含量、Na含量及びMg含量の測定は、以下のようにして行うことができる。無機塩類については、まず、試料を10%塩酸溶液で100℃15分間処理し、その後、各金属イオン(Ca2+、Na+、Mg2+)に関しては、誘導結合プラズマ(ICP)法により定量し、定量結果をそれぞれ、Ca含量、Na含量及びMg含量(質量%)に換算し硫酸イオンおよび亜硫酸イオンに関してはイオンクロマト法により定量する。
リグニン成分のS含量は、通常は0.5質量%以上であり、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。上限は、通常10.0質量%以下であり、8質量%以下であってもよい。
リグニンスルホン酸又はその塩を含むリグニン成分のS含量は、通常は、リグニンスルホン酸又はその塩の構造中のS含量である。リグニンスルホン酸のスルホン酸(塩)基のS含量とは、リグニン成分の固形物含量に対するリグニンスルホン酸のスルホン酸(塩)基に含有される硫黄原子の含量をいう。具体的には、下記数式(1)より算出する値である。
数式(1):
スルホン酸(塩)基のS含量(質量%)=全S含量(質量%)−無機態S含量(質量%)
(数式(1)中、S含量はいずれもリグニンスルホン酸の固形物量に対するS含量を示す。)
数式(1):
スルホン酸(塩)基のS含量(質量%)=全S含量(質量%)−無機態S含量(質量%)
(数式(1)中、S含量はいずれもリグニンスルホン酸の固形物量に対するS含量を示す。)
数式(1)中、全S含量は、リグニン成分に含まれるすべてのS含量であり、ICP発光分光分析法により定量することができる。また、無機態S含量は、イオンクロマト法により定量したSO3含量及びSO4含量の合計量として算出できる。
クラフトリグニンを含むリグニン成分(リグニンスルホン酸及びその塩を実質的に含まない(好ましくは含まない)リグニン成分)のS含量は、有機態S含量で表され、リグニンスルホン酸又はその塩を含むリグニン成分のS含量と同様に測定された全S含量から無機態S含量を差し引いて算出できる。
(B剤:無機凝集剤)
無機凝集剤は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果を発揮する有効成分の一つである。無機凝集剤はアルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤である。アルミ系無機凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム(PAC))が挙げられるが、これらに限定されない。鉄系無機凝集剤としては、例えば、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス、ポリシリカ鉄(PSI)が挙げられるが、これらに限定されない。
無機凝集剤は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果を発揮する有効成分の一つである。無機凝集剤はアルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤である。アルミ系無機凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム(PAC))が挙げられるが、これらに限定されない。鉄系無機凝集剤としては、例えば、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス、ポリシリカ鉄(PSI)が挙げられるが、これらに限定されない。
(比率)
(B剤)に対する(A剤)の比率は、通常は5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上である。上限は、通常は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
(B剤)に対する(A剤)の比率は、通常は5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上である。上限は、通常は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
(2成分の態様)
(A剤)及び(B剤)は、それぞれ分離した形態であることが好ましいが、予め両者が混合されている、組成物の形態でもよい。
(A剤)及び(B剤)は、それぞれ分離した形態であることが好ましいが、予め両者が混合されている、組成物の形態でもよい。
<本発明の凝集剤組成物の形態>
本発明の凝集剤組成物を構成する(A剤)及び(B剤)のそれぞれの剤形は、特に限定されず、例えば、固体状(例、粉状、粒状、ペレット状)、液状(例、溶液、懸濁液、分散液、乳化液)であってよい。
本発明の凝集剤組成物を構成する(A剤)及び(B剤)のそれぞれの剤形は、特に限定されず、例えば、固体状(例、粉状、粒状、ペレット状)、液状(例、溶液、懸濁液、分散液、乳化液)であってよい。
<任意成分>
本発明の凝集剤組成物を構成する(A剤)及び(B剤)は、それぞれ個別に必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。任意成分は、必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、吸着剤、消泡剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、凝集助剤、保存料が挙げられる。任意成分の含量は特に限定されず、任意成分の種類に応じて適宜選択できる。吸着剤としては、例えば、ゼオライト(例、天然ゼオライト、合成ゼオライト)が挙げられる。凝集助剤としては、例えば、塩化カルシウムが挙げられる。
本発明の凝集剤組成物を構成する(A剤)及び(B剤)は、それぞれ個別に必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。任意成分は、必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、吸着剤、消泡剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、凝集助剤、保存料が挙げられる。任意成分の含量は特に限定されず、任意成分の種類に応じて適宜選択できる。吸着剤としては、例えば、ゼオライト(例、天然ゼオライト、合成ゼオライト)が挙げられる。凝集助剤としては、例えば、塩化カルシウムが挙げられる。
本発明の凝集剤組成物を構成する(A剤)と(B剤)は、必要に応じて、溶媒又は分散媒を含んでいてもよい。
溶媒及び分散媒は特に限定されないが、例えば、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチル−tert−ブチルエーテル、ブチルカルビトール)、ケトン類(例、アセトン、ジエチルケトン)、グリコール類(例、エチレングリコール、プロピレングリコール)、及びこれら2種以上の混合媒体が挙げられ、好ましくは水及びアルコール類からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは水である。
溶媒及び分散媒は特に限定されないが、例えば、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチル−tert−ブチルエーテル、ブチルカルビトール)、ケトン類(例、アセトン、ジエチルケトン)、グリコール類(例、エチレングリコール、プロピレングリコール)、及びこれら2種以上の混合媒体が挙げられ、好ましくは水及びアルコール類からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは水である。
任意成分の添加方法は特に限定されないが、例えば、リグニン又はその誘導体と、任意成分とを、公知の粉体混合機(例、円筒型混合機、V型混合機、リボン型混合器、高速流動型混合機、気流撹拌型混合機)に投入して、リグニン又はその誘導体と、任意成分とを混合する方法が挙げられる。混合の前に、各成分を必要に応じて公知の装置(例、ジョークラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル、ローラーミル、ジェットミル)を用いて粉砕処理してもよい。また、リグニン成分、又は無機凝集剤と、任意成分とを、溶媒又は分散媒に加えて、公知の撹拌装置(例、バッチ式ミキサー、連続式ミキサー)により撹拌して混合してもよい。混合のための装置へ各成分を投入する順序には特に限定がなく、すべての成分を同時に装置に投入しても、いずれかの成分を先に装置に投入しておいてから順次残りの成分を投入してもよい。混合の際の温度条件には特に限定はなく、加温または冷却してもよいし加温又は冷却しなくてもよい。混合の際の回転速度に特に限定はなく、例えば、10〜100rpmとしてよい。混合時間にはとくに限定はなく、例えば1〜10分間としてよい。
<水処理方法>
本発明の凝集剤組成物は、水処理に用いることができる。本発明の水処理方法は、凝集剤組成物を被処理水に添加する工程を含む方法である。
本発明の凝集剤組成物は、水処理に用いることができる。本発明の水処理方法は、凝集剤組成物を被処理水に添加する工程を含む方法である。
<被処理水>
処理対象である被処理水は、凝集対象の懸濁物質を含む水であれば特に制限はないが、例えば、各種土木工事(例、トンネル掘削工事、道路工事、河川工事、港湾工事)において排出される土木工事排出濁水、廃水処理分野、上・下水道分野、発酵工業、製紙工業、土木建築業界等の産業上生じる廃水若しくは排水、天然に存在する水(例、河川の淡水)、意図的に貯留された水(例、ダム貯留水若しくは貯水池等の産業用水)が挙げられ、好ましくは土木工事排出濁水である。
処理対象である被処理水は、凝集対象の懸濁物質を含む水であれば特に制限はないが、例えば、各種土木工事(例、トンネル掘削工事、道路工事、河川工事、港湾工事)において排出される土木工事排出濁水、廃水処理分野、上・下水道分野、発酵工業、製紙工業、土木建築業界等の産業上生じる廃水若しくは排水、天然に存在する水(例、河川の淡水)、意図的に貯留された水(例、ダム貯留水若しくは貯水池等の産業用水)が挙げられ、好ましくは土木工事排出濁水である。
被処理水の、pH、濁度、及び温度には特に限定はないが、被処理水のpHはpH2〜12であることが好ましい。
本発明の方法において上記凝集剤組成物を使用する場合、(A剤)及び(B剤)の添加順序は特に限定されず、同時添加でも順次添加でもよいが、(B剤)、(A剤)の順が好ましい。例えば、(B剤)を予め被処理水に添加し、pH調整することなく、その後(A剤)を添加して、凝集処理することが好ましい。すなわち、本発明の水処理方法は、凝集剤組成物を構成し得る(A剤)及び(B剤)を被処理水に同時添加又は順次添加する工程を含む方法であってもよい。
本発明の凝集剤組成物は、他の凝集剤と併用してもよい。この場合、本発明の凝集剤組成物中における他の凝集剤の含有量は、(A剤)の含有量及び(B剤)の含有量の和を下回ることが好ましく、これにより、(A剤)及び(B剤)による凝集効果を確実に発揮することができる。斯かる観点からは、(A剤)の含有量及び(B剤)の含有量の和に対する他の凝集剤の含有量の比は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
他の凝集剤としては例えば、高分子凝集剤、ゼオライト(例、天然ゼオライト、合成ゼオライト)、天然鉱物、粘土などが挙げられる。高分子凝集剤としては公知の凝集剤を使用することができる、例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドの部分加水分解塩、マレイン酸共重合物、水溶性アニリン樹脂、ポリチオ尿素、ポリエチレンイミン、第四級アンモニウム塩、ポリビニルピリジン類、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、デンプン、カセイ化デンプン、グアーガムが挙げられるが、これらに限定されない。他の凝集剤の添加時期は特に限定されず、本発明の凝集剤組成物の添加と同時添加又は順次添加でもよい。(A剤)及び(B剤)と共に他の凝集剤を用いる場合、例えば、(B剤)の添加後に(A剤)と他の凝集剤とを同時添加する態様、及び、(B剤)の添加後、(A剤)の添加の前または後に他の凝集剤を添加する態様が挙げられる。
本発明の凝集剤組成物を用いる場合、被処理水100mLに対して、リグニン成分が150ppm〜600ppmとなるように添加量を調整することが好ましい。本発明の凝集剤組成物を用いる場合、被処理水100mLに対して、リグニン成分が150ppm〜600ppmとなるように添加量を調整することが好ましく、無機凝集剤が500ppm〜4000ppmとなるように添加量を調整することが好ましく、リグニン成分の添加量及び無機凝集剤の添加量の和が650ppm〜4600ppmとなるように添加量を調整することが好ましく、さらに好ましくは、リグニン成分が150ppm〜600ppmとなるように、かつ、無機凝集剤が500ppm〜4000ppmとなるように添加量を調整することが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
以下に、リグニン成分の製造例を記す。
<製造例1>
針葉樹クラフト蒸解黒液を温度180℃で30分熱処理し、針葉樹クラフト蒸解黒液を得た、その後、斯かる黒液をpHを約10に低下させることにより沈殿させ、得られた沈殿リグニンをその後にろ過して洗浄することにより、Lig1を得た。
Lig1を48%NaOHで溶解し、pH10、固形分濃度20%のクラフトリグニン溶液(Lig1−Na)を得た。
針葉樹クラフト蒸解黒液を温度180℃で30分熱処理し、針葉樹クラフト蒸解黒液を得た、その後、斯かる黒液をpHを約10に低下させることにより沈殿させ、得られた沈殿リグニンをその後にろ過して洗浄することにより、Lig1を得た。
Lig1を48%NaOHで溶解し、pH10、固形分濃度20%のクラフトリグニン溶液(Lig1−Na)を得た。
<製造例2>
製造例1の針葉樹クラフト蒸解黒液を広葉樹クラフト蒸解黒液に変更した以外は同様とし、pH10、固形分濃度20%のクラフトリグニン溶液(Lig2−Na)を得た。
製造例1の針葉樹クラフト蒸解黒液を広葉樹クラフト蒸解黒液に変更した以外は同様とし、pH10、固形分濃度20%のクラフトリグニン溶液(Lig2−Na)を得た。
<製造例3>
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に、中間組成物を洗浄および脱水し、パルプ(亜硫酸処理物)を得た。洗浄は1段階とした。続いて、パルプをアルカリ処理しアルカリ処理抽出物を得た。アルカリ処理においては、NaOH5重量%(対パルプ固形分)を接触させ100℃にて2時間アルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得た。その後、アルカリ処理抽出物を酸処理した。酸処理においては、まず、アルカリ処理抽出物を固形分43%となるように濃縮および/または加水して調整した水溶液800gを60℃に加温し、pH3となるまで硫酸70重量%水溶液を添加した。続いて90℃で25分間保持した後に、生じた沈殿物をろ過により集め、低スルホン化度のリグニンスルホン酸塩(Lig3)を得た(スルホン酸(塩)基のS含量は1.8質量%であった)。
続いて、Lig3を48%NaOHで溶解し、pH10、固形分濃度20%の低スルホン化度リグニンスルホン酸塩溶液(Lig3−Na)を得た。
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に、中間組成物を洗浄および脱水し、パルプ(亜硫酸処理物)を得た。洗浄は1段階とした。続いて、パルプをアルカリ処理しアルカリ処理抽出物を得た。アルカリ処理においては、NaOH5重量%(対パルプ固形分)を接触させ100℃にて2時間アルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得た。その後、アルカリ処理抽出物を酸処理した。酸処理においては、まず、アルカリ処理抽出物を固形分43%となるように濃縮および/または加水して調整した水溶液800gを60℃に加温し、pH3となるまで硫酸70重量%水溶液を添加した。続いて90℃で25分間保持した後に、生じた沈殿物をろ過により集め、低スルホン化度のリグニンスルホン酸塩(Lig3)を得た(スルホン酸(塩)基のS含量は1.8質量%であった)。
続いて、Lig3を48%NaOHで溶解し、pH10、固形分濃度20%の低スルホン化度リグニンスルホン酸塩溶液(Lig3−Na)を得た。
<製造例4>
バニレックスN(登録商標)(日本製紙製)を水に溶解し、pH10、固形分濃度20%の低スルホン化度リグニンスルホン酸塩溶液(Lig4−Na)を得た。
バニレックスN(登録商標)(日本製紙製)を水に溶解し、pH10、固形分濃度20%の低スルホン化度リグニンスルホン酸塩溶液(Lig4−Na)を得た。
<製造例5>
温度計、攪拌装置及び還流装置を備えたステンレス製反応容器に、Lig1−Naを100部、水を400部、37%ホルムアルデヒド液(和光純薬製)を14.1部及び亜硫酸ナトリウム(和光純薬製)を20部仕込み、攪拌下で140℃に昇温した。昇温後140℃に保持した状態で2時間反応させた。その後冷却し、pH10、固形分濃度20%のスルホメチル化されたクラフトリグニン溶液(Lig5−Na)を得た。
温度計、攪拌装置及び還流装置を備えたステンレス製反応容器に、Lig1−Naを100部、水を400部、37%ホルムアルデヒド液(和光純薬製)を14.1部及び亜硫酸ナトリウム(和光純薬製)を20部仕込み、攪拌下で140℃に昇温した。昇温後140℃に保持した状態で2時間反応させた。その後冷却し、pH10、固形分濃度20%のスルホメチル化されたクラフトリグニン溶液(Lig5−Na)を得た。
<製造例6>
製造例5のLig1−NaをLig2−Naに変更した以外は同様とし、pH10、固形分濃度20%のスルホメチル化されたクラフトリグニン溶液(Lig6−Na)を得た。
製造例5のLig1−NaをLig2−Naに変更した以外は同様とし、pH10、固形分濃度20%のスルホメチル化されたクラフトリグニン溶液(Lig6−Na)を得た。
<製造例7>
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に、中間組成物を洗浄および脱水し、パルプ(亜硫酸処理物)を得た。洗浄は1段階とした。続いて、パルプをアルカリ処理しアルカリ処理抽出物を得た。アルカリ処理においては、NaOH5重量%(対パルプ固形分)を接触させ100℃にて2時間アルカリ処理し、濃縮して、pH10、固形分濃度20%のアルカリ処理抽出物溶液(Lig7−Na)を得た。
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に、中間組成物を洗浄および脱水し、パルプ(亜硫酸処理物)を得た。洗浄は1段階とした。続いて、パルプをアルカリ処理しアルカリ処理抽出物を得た。アルカリ処理においては、NaOH5重量%(対パルプ固形分)を接触させ100℃にて2時間アルカリ処理し、濃縮して、pH10、固形分濃度20%のアルカリ処理抽出物溶液(Lig7−Na)を得た。
表1中の%は、各製造例で得られたリグニン成分(サンプル全体)の固形分に対する質量%を表す。
表1中、メトキシル基含量は、ViebockおよびSchwappach法によるメトキシル基の定量法(「リグニン化学研究法」、P.336〜340、平成6年、ユニ出版(株)発行、参照)によって測定した。「還元性糖類」は、Somogyi−Schaffer法によって測定し、測定値をグルコース量に換算して求めた。
表1中、製造例3〜7のS含量は、スルホン酸(塩)基のS含量(質量%)であり、全S含量をICP発光分光分析法により定量し、無機態S含量は、イオンクロマト法により定量したSO3含量及びSO4含量の合計量として算出し、以下の数式(1)に代入して求めた:
数式(1):
スルホン酸(塩)基のS含量(質量%)=全S含量(質量%)−無機態S含量(質量%)
(数式(1)中、S含量はいずれもリグニンスルホン酸の固形物量に対するS含量を示す。) 製造例1および2のS含量は、製造例3〜7と同様に全S含量と無機態S含量とを測定し、全S含量から無機態S含量を差し引いて算出された有機態S含量(質量%)を示す。
数式(1):
スルホン酸(塩)基のS含量(質量%)=全S含量(質量%)−無機態S含量(質量%)
(数式(1)中、S含量はいずれもリグニンスルホン酸の固形物量に対するS含量を示す。) 製造例1および2のS含量は、製造例3〜7と同様に全S含量と無機態S含量とを測定し、全S含量から無機態S含量を差し引いて算出された有機態S含量(質量%)を示す。
また、無機塩含量、Ca含量、Na含量及びMg含量の測定は、以下のようにして行った。まず、試料を10%塩酸溶液で100℃15分間処理した。その後、各金属イオン(Ca2+、Na+、Mg2+)に関しては、誘導結合プラズマ(ICP)法により定量し、定量結果をそれぞれ、表1に示すCa含量、Na含量及びMg含量(質量%)に換算した。
<実施例1〜21並びに比較例1〜9>
表2〜4に示す凝集剤1及び凝集剤2の併用による凝集効果、凝集剤1の単独使用による凝集効果、及び凝集剤2の単独使用による凝集効果を、以下のようにして評価した。
表2〜4に示す凝集剤1及び凝集剤2の併用による凝集効果、凝集剤1の単独使用による凝集効果、及び凝集剤2の単独使用による凝集効果を、以下のようにして評価した。
凝集剤評価用懸濁液は、以下のようにして調製した。砕石砕砂(山口県周南産、密度2.65)を200g採取し、水2000gを加えて、5分攪拌した後、5分静置して、懸濁した上澄みを採取した。この液を70%硫酸あるいは48%水酸化ナトリウム溶液でpH調製し、pH2、pH8.5、pH12の各凝集剤評価用懸濁液を調製した。
上記凝集剤評価用懸濁液の懸濁物質(SS)量(濃度)は、JIS K0102 14.1に記載の方法で測定したところ、いずれも2700mg/Lであった。
凝集効果の評価は、以下の方法により行った。凝集剤評価用懸濁液を、共栓付きの容積100ミリリットルのメスシリンダーに100ミリリットル入れた。そして、メスピペットにより、表2〜4に示す凝集剤を、懸濁液に対して、所定濃度添加した。凝集剤1及び凝集剤2を併用した場合、添加順序は、凝集剤1、凝集剤2の順とした。表2〜4に示す凝集剤を添加した後直ちに、メスシリンダーを上下10回転攪拌し、その後、静置して懸濁粒子の沈降状況を評価した。沈降速度(清澄度)は添加後5分毎に液面上端と沈降界面の各メモリを読み、15分まで目視で評価した。
凝集剤1(無機凝集剤)としては、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム)(PAC):浅田化学工業製、または、ポリシリカ鉄(PSI);PSI−025:南海化学製を使用した。
評価結果を表2〜表4に示す。
表2〜表4に示す結果より、公知の凝集剤であるPACを1000ppmの濃度で単独使用した比較例3、6及び9、製造例1で得た凝集剤2を300ppmで単独使用した比較例2、5及び8、並びに、固形分に対するメトキシル基含量が2.5質量%であるLig7−NaをPACと共に用いた比較例1、4及び7と比較して、メトキシル基含量が3〜20質量%の範囲内であるLig1−Na〜Lig6−NaをPAC又はPSIと共に用いた実施例1〜21では、濁水のpHが2〜12の幅広い範囲で、沈降時間に拘らず低い値の清澄度(すなわち高い清澄度)が示された。
これらの結果は、本発明の凝集剤組成物が、様々なpHの被処理水において良好な凝集効果を発揮できることを示している。また、これらの結果は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果が幅広いpH範囲で発揮され得、被処理水を事前にpH調整処理に供する手間を省くことができることを示している。さらにこれらの結果は、本発明が、バイオマスから得ることのできる安全な素材であるリグニン成分の新しい用途を提供することができることも示している。
これらの結果は、本発明の凝集剤組成物が、様々なpHの被処理水において良好な凝集効果を発揮できることを示している。また、これらの結果は、本発明の凝集剤組成物の凝集効果が幅広いpH範囲で発揮され得、被処理水を事前にpH調整処理に供する手間を省くことができることを示している。さらにこれらの結果は、本発明が、バイオマスから得ることのできる安全な素材であるリグニン成分の新しい用途を提供することができることも示している。
Claims (12)
- (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び
(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤
を含む凝集剤。 - リグニン成分は、還元性糖類を含む、請求項1に記載の剤。
- リグニン成分の固形分あたりの還元性糖類含量が5質量%以下である、請求項2に記載の剤。
- リグニン成分は、クラフトリグニン及びリグニンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
- リグニン成分のS含量が0.5質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
- リグニン成分の固形分あたりのCa含量が0.06質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
- リグニン成分の固形分あたりのNa含量が15質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤。
- リグニン成分の固形分あたりのMg含量が0.300質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の剤。
- 無機凝集剤が、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩素化コッパラス及びポリシリカ鉄から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剤。
- (A剤)及び(B剤)を含む2成分系である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の剤。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の剤を被処理水に添加する工程を含む、水処理方法。
- (A剤)固形分あたりのメトキシル基含量が3〜20質量%であるリグニン成分、及び、(B剤)アルミ系無機凝集剤及び鉄系無機凝集剤から選ばれる少なくとも1つの無機凝集剤を被処理水に同時添加又は順次添加する工程を含む、水処理方法。
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CN112047448A (zh) * | 2020-09-28 | 2020-12-08 | 杨剑飞 | 一种污水处理用絮凝剂及其制备方法 |
CN114477713A (zh) * | 2022-01-21 | 2022-05-13 | 交通运输部天津水运工程科学研究所 | 一种快速高效的淤泥脱水处理絮凝剂及其使用方法 |
CN115626736A (zh) * | 2022-10-28 | 2023-01-20 | 山东尚舜化工有限公司 | 一种连续化法预处理橡胶促进剂tbbs生产废水的工艺 |
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2017
- 2017-10-19 JP JP2017202622A patent/JP2019072701A/ja active Pending
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