本発明者は尿失禁の監視の改善を可能にするシステムを提供することが有利であることに気が付いた。より具体的には、本発明者は、失禁と類似の問題に悩む多くの人々のために、単なるおむつを交換する必要性以外の態様の監視を提供する失禁を監視するためのシステムを有することが有用であろうことに気が付いた。
本発明の一態様によると、失禁を監視するシステムが提供され、このシステムは、尿に晒されると、変化した電気特性を呈示するように構成される尿検知回路と、膀胱の充満レベルにより変化する少なくとも1つのパラメータを判定するために着用者の膀胱の測定を実行するように構成される測定回路と、センサの向き及び/又は動きを判定するように構成されるセンサと、尿検知回路が尿に晒されているかを判定し、尿検知回路へと放出された尿の量を推定し、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、測定回路により判定されたこの少なくとも1つのパラメータを表すデータ、センサにより判定された向き及び/又は動きに基づいて着用者の推定された動き及び/又は姿勢並びに尿検知回路へと放出された尿の推定量を記録するように構成される処理回路とを備える。
システムは不随意の排尿事象(以下同じ意味で排尿事象又は失禁事象と称される)の実際の検出と、膀胱充満レベルを示すパラメータ、(着用者の現在の活動を示す)着用者の推定された動き及び/又は姿勢並びに着用者により放出された尿の推定量とを相関付けることを可能にする。このタイプの相関関係は、前述のとおり、通常、腹圧を増大させる活動の間の比較的少量の尿の漏れを特徴とする緊張性尿失禁の監視に対して特に有用である。膀胱の充満レベル、動き/姿勢及び放出された尿の量に関する情報は、それによって、いずれの活動が失禁を引き起こす及びこれらの活動中の失禁の重症度を理解することにとって有益である。しかしながら、このシステムは、切迫性及び混合タイプの失禁を監視するためにも有用であるという点に留意すべきである。
尿検知回路が尿に晒されていることを検出又は判定することに応じてデータの記録をトリガすることにより、膀胱充満レベルを示すパラメータ並びに着用者の推定された動き及び/又は姿勢が失禁事象時に一般的である条件に対応するため、正確な監視が提供される。この正確さはいかなる手動監視方法でも達成するのは困難であろう。
本発明の一実施形態によると、処理回路は、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、測定回路により判定されたこの少なくとも1つのパラメータ、推定された動き及び/又は姿勢並びに尿検知回路へと放出された尿の推定量の間の関連付けを記録するように更に構成される。換言すれば、処理回路は測定回路により判定されたこの少なくとも1つのパラメータ、推定された動き/姿勢及び尿検知回路へと放出された尿の量の推定を論理的にリンクするように構成される。
処理回路はこのデータ内に尿検知回路が尿に晒されているという表示を記録するように更に構成される。処理回路は、このため、尿検知回路が尿に晒されているという表示と、測定回路により判定されたこの少なくとも1つのパラメータ、推定された動き/姿勢及び尿検知回路へと放出された尿の量の推定を関連付ける(又は尿検知回路が尿に晒されているという表示とそれらをリンクさせる)ように構成される。
処理回路はメモリ内にデータを記録するように構成される。
本発明の一実施形態によると、処理回路は変化した電気特性に基づいて尿検知回路が尿に晒されていることを判定するように構成される。より具体的には、尿検知回路の変化した電気特性を検出することにより処理回路は尿検知回路が尿に晒されていることを判定することができる。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路は、尿に晒されると、電気的応答を呈示するように構成され、処理回路は、尿検知回路の電気的応答を検出することにより、尿検知回路が尿に晒されていることを判定するように構成される。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路の変化した電気特性は尿検知回路へと放出された尿の量を示す/尿の量に比例する。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路の電気的応答は尿検知回路へと放出された尿の量を示す/尿検知回路へと放出された尿の量に比例し、処理回路は尿検知回路の電気的応答に基づいて尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路の変化した電気特性又は電気的応答は、変化した抵抗、変化したキャパシタンス、変化したインダクタンス、変化したインピーダンス、変化した共振周波数、尿検知回路によって生成された変化した電圧、尿検知回路によって生成された変化した電流、尿検知回路の変化した共振周波数を含む群から選択される1つ以上のものを含む。
本発明の一実施形態によると、変化の大きさを判定することにより処理回路は尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路は、尿検知回路からの信号の送信に電力を供給するために尿に晒されると電流を生成するように構成される部分を有し、尿検知回路からの信号を受信することに応じて、処理回路はこのデータを記録するように構成される。したがって、排尿事象は処理回路によるデータの記録を直接的にトリガする。更に、信号の送信に電力を供給する電流が尿により生成されるため、尿検知回路内の追加的な電源を必要としない。尿検知回路は、それによって、合理的に比較的低いコストで製造することができる。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路から送信された信号は尿検知回路へと放出された尿の量を示し、処理回路は尿検知回路から受信した信号に基づいて尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される。
本発明の一実施形態によると、この部分によって生成された電流は、この部分の尿に晒されている表面積に比例する。
本発明の一実施形態によると、この部分は、この部分が尿に晒されると、アノードとして機能するように構成される第1の導電路若しくは電極と、カソードとして機能するように構成される第2の導電路若しくは電極とを有する。アノード−カソードペアによって信頼性の高い、自己発電型尿検知回路の合理的かつ比較的安価な製造が可能になる。
本発明の一実施形態によると、尿検知回路部は、尿検知回路のメモリ内に記憶されるカウンターの増加に電力を供給するために、尿に晒されると電流を生成するように構成される部分を有する。複数の以後の排尿からもたらされる水分の量に関する情報は、それによって、処理回路と尿検知回路の間の信号伝達の低減した量によって集められる。
そのため、処理回路は、カウンターに基づいて尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される。
本発明の一実施形態によると、処理回路は、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、時間データを記録するように更に構成される。その結果、失禁事象の時間が、記録される。
本発明の一実施形態によると、処理回路は少なくとも1つの判定されたパラメータに基づいて、すなわち、少なくとも1つの判定されたパラメータを用いることにより膀胱充満レベルを推定するように更に構成される。膀胱充満レベルの推定はこの記録されたデータ中に含まれていてもよい。
本発明の一実施形態によると、処理回路は判定されたパラメータに基づいて膀胱充満レベルを示す信号を提供するように構成される。信号を、例えば、ユーザに膀胱充満レベルについての情報を提供するために用いてもよい。信号は相対又は絶対表現で充満レベルを示す。システムのユーザは、この情報に基づいて、トイレに行くべき時であるか否かを判断することができる。
本発明の一実施形態によると、処理回路は、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、警告信号を提供するように構成される。したがって、ユーザは、さもなければ、気付かずに見逃されていたかもしれない尿漏れが生じたことを知らされる。これはユーザがいずれの状況が不随意の放尿をもたらすかを理解することを簡単にすることができる。
本発明の一実施形態によると、システムはマイクロホン、温度センサ、加速度計、又は高度計の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを更に備える。更なるセンサは、排尿事象に対する影響を有するより多くのパラメータがデータ内に記録されることを可能にする。したがって、これらのセンサにより測定されるパラメータは、排尿事象に応じて処理回路により記録されるデータ中に含まれていてもよい。
本発明の一実施形態によると、測定回路及び処理回路は直流的に接続される。これにより測定回路と処理回路の間の簡単な通信を可能にする。
本発明の一実施形態によると、処理回路及び尿検知回路は直流的に分離される。これにより、尿検知回路を全く配線を扱う必要なしに取り扱ってよいため、システムの使用を単純化する。また、それは尿検知回路が失禁事象の後に容易に交換されるシステムの使い捨て可能な構成要素として用いられることを可能にする。
本発明の一実施形態によると、測定回路は膀胱のインピーダンスを測定する及び/又は膀胱の寸法の超音波測定を実行するように構成される。これらのタイプの測定は膀胱充満レベルの正確な推定を可能にする。
本発明の一実施形態によると、処理回路は記録したデータで表される少なくとも1つの判定されたパラメータに基づいて閾値を判定するように更に構成される。したがって、膀胱充満閾値に対応する閾値が判定される。閾値は少なくとも1つの判定されたパラメータに基づくため、閾値は、そこに達すると及びそれを超えると失禁事象のリスクが増大する膀胱充満レベルに対応するように判定される。更に、閾値が測定されたパラメータ(単数又は複数)である少なくとも1つの判定されたパラメータに基づくことにより、閾値は特定の個人のために必要に応じて調整される。
本発明の一実施形態によると、処理回路は記録したデータで表される少なくとも1つの判定されたパラメータ及び以前に判定した閾値に基づいて閾値を判定するように更に構成される。前述の実施形態と関連して述べられる利点は、同様に本実施形態に当てはまる。更に、閾値の判定が以前に判定した閾値に基づくことにより、閾値は、時間の経過とともに、より良好に特定の個人の失禁問題に対応するよう調整される。
本発明の一実施形態によると、処理回路は記録したデータで表される少なくとも1つの判定されたパラメータ及び推定された動き及び/又は姿勢に基づいて閾値を判定するように更に構成される。着用者の動き及び/又は姿勢は測定回路によるパラメータ(単数又は複数)の判定及び、また、失禁事象のリスクの両方に影響を与えるため、本実施形態は、失禁事象時に着用者が有したと推定される動き及び/又は姿勢に基づいて、閾値が判定されることを可能にする。したがって、閾値は動き及び/又は姿勢に関連する。
本発明の一実施形態によると、測定回路は膀胱の充満レベルにより変化する少なくとも1つのパラメータを繰り返し判定するように構成され、処理回路は繰り返し判定されたパラメータと1つ以上の膀胱充満閾値を比較するように更に構成され、各閾値はセンサにより判定された向き又は動きに関連付けられている。本実施形態の利点は先の実施形態から理解される。
本発明の一実施形態によると、排尿事象を検出することの後に(例えば、尿検知回路が尿に晒されていることを検出することにより)処理回路は、排尿事象の検出に応じて、記録されたデータで表される少なくとも1つのパラメータと、排尿事象の検出後の場合において測定回路により判定されたパラメータの間の比較を実行するように更に構成される。排尿の前のレベルと後のレベルとの充満レベルを比較することにより、尿閉問題を特定することができる。
また、個々の発明の態様を形成するように意図される一実施形態によると、ユーザの皮膚に近接している場合は、第1の電気特性若しくは応答を呈示し、ユーザの皮膚から遠隔している場合は、第2の電気特性若しくは応答を呈示するように構成される皮膚近接センサと、膀胱の充満レベルにより変化するパラメータを判定するために着用者の膀胱の測定を実行するように構成される測定回路と、皮膚近接センサの変化した電気特性又は応答に基づいて皮膚近接センサとユーザの皮膚の間の分離を検出することに応じて、測定回路により判定された第1のパラメータを表し、分離の検出における若しくは分離の検出の前の第1の時点において膀胱充満レベルを示すデータを記録し、測定回路により判定された第2のパラメータを表し、第1の時点より後の第2の時点において膀胱充満レベルを示すデータを記録するように構成される処理回路とを備えるシステムが提供される。
処理回路は第1及び第2のパラメータの間の比較を実行するように構成される。
第2の時点は予め決められた時間間隔(例えば、通常の排尿の想定持続時間)により第1の時点に対して遅延する。あるいは、第2の時点は、処理回路が、皮膚に対する皮膚近接センサの復元した近接度を検出した後又は検出する時点に対応する。
皮膚近接センサは、例えば(おむつ/おしめ又は下着/肌着などの)ユーザにより着用された吸収性物品又は例えば(ズボン、ショーツ、スカート又はユーザにより着用された同様のものなどの)衣類の上縁部へと取り付けられるように構成される。ユーザがトイレ内で排尿するために吸収性物品又は衣類を引き下げると、皮膚近接センサは皮膚との近接度を失う。ユーザが排尿後に吸収性物品又は衣類を引き上げると、皮膚近接センサは皮膚との近接度を取り戻す。排尿の前のレベルと後のレベルと充満レベルを比較することにより、尿閉問題を特定する。
本発明の各態様の詳細な実施形態を、ここで、図面に基づいて説明する。
図1は失禁を監視するためのシステム100の実施形態を概略的に示す。システム100は尿検知回路110、測定回路120及び処理回路130を備える。尿検知回路110は、尿に晒されると、変化した電気特性を呈示するように構成される。換言すれば、尿検知回路110は、尿に晒されていることに反応して、変化した電気特性又は電気性質を呈示す。以下に更に詳細に記載するように、尿検知回路110の変化した電気特性は尿検知回路110へと放出された尿の量を示し、又は尿検知回路110へと放出された尿の量に比例する。使用に際して、尿検知回路110は、通常、着用者の股領域内に、例えば、吸収性物品(例えば、おむつ/おしめ、生理用ナプキン/パッド又は尿を吸収するための幾つかのその他の物品)において又は下着若しくは肌着に関連して位置する。着用者は、また、システム100のユーザと称される。失禁事象が生じる場合、尿は吸収性物品又は着用者の下着へ放出され、尿検知回路110は尿に晒される。
処理回路130は尿検知回路110が尿に晒されているかどうかを判定するように構成される。以下に更に詳細に記載するように、処理回路130は尿検知回路110と(例えば、無線又は有線インタフェース上で)通信し、尿検知回路110の電気特性が変化したことを検出することにより尿検知回路110が尿に晒されていることを判定するように構成される。処理回路130は、また、ユーザへ(例えば、無線又は有線インタフェース上で)吸収性物品(例えば、おむつ/おしめ、生理用ナプキン/パッド又は尿を吸収するための幾つかのその他の物品)が飽和し、交換されなければならないという信号を送る。これにより吸収性物品の漏れを回避するだろう。一方、測定回路120は膀胱の充満レベルにより変化する少なくとも1つのパラメータを判定するために着用者の膀胱の測定を実行するように構成される。測定回路120により判定されたパラメータ(単数又は複数)は、例えば、膀胱のインピーダンス及び/又は膀胱サイズの超音波測定であってもよい。更なる例を以下で示す。測定回路120は、通常、着用者の膀胱領域に又は着用者の膀胱領域の近くに位置する。測定回路120は、例えば、膀胱領域の皮膚に(例えば、接着剤によって)固定される、ストラップによって着用者に固定される、又はおむつ若しくは下着の縁部に固定されるユニット内に提供される。
システム100は、着用者に取り付けられ、センサ140の向き及び/又は動きを判定するように構成されるセンサ140を更に備える。センサ140は、例えば、MEMSデバイスの形態で加速度計及び/又はジャイロスコープを有していてもよい。加速度計は単軸加速度計、2軸加速度計又は3軸加速度計であってもよい。加速度計は、例えば処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内に測定を記憶することにより、向き及び/又は動きの測定を提供する。センサ140は予め定められた数の測定を記憶し、予め定められた数を超えた場合に最も古い測定を廃棄することを開始するように構成される。これは、例えば、先入れ先出しバッファ(すなわち、FIFOバッファ)を用いて簡便に実装されてもよい。処理回路130は向き及び/又は動き測定に基づき、センサ140の着用者の動き及び/又は姿勢を推定する。時間間隔の間、動き測定を比較することにより、処理回路130は時間間隔の間着用者が動いていたかどうかを判定及び/又は着用者の姿勢を推定する。また、処理回路130は、動きのタイプを、歩くことによる動き、走ることによる動き、又は着用者が向き若しくは姿勢を変えることによる動きとして任意で特徴付ける。非限定的実施例として、加速度計の軸が身体の長さ方向に沿って配向される場合、加速度計はユーザが立っている場合の重力による加速度に対応する信号とユーザが横たわっている場合のゼロに近い信号とを提供する。この概念を更なる姿勢を特定することができるように拡張する。
センサ140の着用者の動きパターン及び姿勢は現在の膀胱充満レベルが不随意の排尿事象のリスクの増大を意味するかどうかに更に影響を及ぼす。また、それは、パラメータ測定(単数又は複数)、特に測定回路120により測定されるインピーダンスに影響を及ぼす。
そのため、処理回路130は、尿検知回路110が尿に晒されていることを判定することに応じて、尿検知回路110へと放出された尿の量を推定し、測定回路120により判定された少なくとも1つのパラメータを表すデータ、センサ140により判定された向き又は動きに基づく着用者の推定された動き及び/又は姿勢、並びに尿検知回路110へと放出された尿の推定量を記録するように更に構成される。失禁事象の発生は着用者の動きパターン若しくは姿勢(すなわち、活動)及び膀胱充満レベルの両方に相関付けられるため、パラメータ測定(単数又は複数)を表すデータ、尿の推定量及び動き/姿勢の組み合わせは着用者の失禁事象のより正確かつ広範な分析を可能にする。
処理回路130は測定回路120として同一ユニット内に構成され、測定回路120に直流的に接続される。センサ140は測定回路及び/又は処理回路130として同一ユニット内に設けられる。また、測定回路120、処理回路130及びセンサ140は、別々のキャリア(例えば、異なる回路基板若しくは異なる基板)上に構成され、測定回路120及びセンサ140は配線又は対応するプラグ−ソケットインタフェースにより処理回路130に接続できる。また、測定回路120、処理回路130及びセンサ140は、同一のキャリア上に構成され、回路120、130及びセンサ140は導電路のセットにより接続される。
尿に晒される量が増加する場合(すなわち、失禁事象により)、尿検知回路110の電気特性は第1の特性から第2の特性へ変化する。変化した電気特性は、尿検知回路110が比較的乾燥した状態(例えば、失禁事象の発生前)から比較的湿った状態(例えば、失禁事象が発生した場合)へ変化することの結果として発生することが理解されよう。また、変化した特性が、尿検知回路110がすでに湿った状態(例えば、第1の失禁事象の結果として)から更により湿った状態(例えば、第1の失禁事象後の第2の失禁事象の結果として)へ変化することの結果として発生する。したがって、電気特性は尿検知回路110が晒されている尿の量に比例する方法で変化する。換言すれば、尿検知回路110の変化した電気特性は尿検知回路110へと放出された尿の量を示する、又は尿検知回路110へと放出された尿の量に比例する。
更に、尿検知回路110に関して尿に晒すことは、本文脈中、必ずしも尿との直接的接触を意味しなくてもよい。事実、尿検知回路110を吸収性材料内に埋め込んでもよく、したがって、着用者により放出された尿に対する直接的接触が生じなくてよい。しかしながら、尿検知回路に近接する尿の存在は、それにもかかわらず、変化した電気特性を引き起こす。
幾つかの実施形態によると、尿検知回路110は尿に晒されると電気的応答を呈示するように構成され、処理回路130は尿検知回路110の電気的応答を検出することにより尿検知回路110が尿に晒されていることを判定するように構成される。更に、尿検知回路の電気的応答は、尿検知回路110へと放出された尿の量を示す、又は尿検知回路110へと放出された尿の量に比例し、処理回路130は尿検知回路110の電気的応答に基づいて尿検知回路110へと放出された尿の量を推定するように構成される。
変化した電気特性又は尿検知回路110の電気的応答は、例えば、尿検知回路110の変化した電気的パラメータを含んでいてもよい。変化する特定のタイプの電気的パラメータは尿検知回路110の実際の設計(例えば、どの回路要素が回路110内に含まれているか)に依存し、例えば、変化した抵抗、変化したインダクタンス、変化したキャパシタンス若しくは変化したインピーダンスのうちの1つ又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。また、以下に詳細に記載するように、変化した電気特性又は電気的応答は、受信高周波信号の変化したエネルギー吸収、及び/又は(例えば、尿検知回路110の変化した共振周波数及び/又は尿検知回路110における尿による送信した/受信した高周波信号の吸収による信号減衰により)尿検知回路110から送信される高周波信号の変化したエネルギーを含んでいてもよい。また、以下に詳細に記載するように、変化した電気特性は、また、尿検知回路110の一対の電極(例えば、アノード−カソードペア)における変化した電圧を含んでいてもよい。
また、以下この点について記載するように、処理回路130は変化の大きさを判定することにより尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される。
図2はシステム100内の尿検知回路110として用いられてもよい尿検知回路210の一実施形態を示す。尿検知回路210は尿に晒されると電流を生成させるように構成される部分212を有する。尿検知回路210は第1及び第2の電極214,215を有する。尿が電極214,215の間に存在するとき、第1の電極214はアノードとして機能するように構成され、第2の電極215はカソードとして機能するように構成される。したがって、尿は電解質として機能してよく、第1及び第2の電極214,215の間の電圧を生成する。したがって、尿検知回路210は、尿に晒されると変化した電圧特性及び電流特性を呈示するように構成される。生成された電流の大きさは部分212の尿に晒されている表面積に比例する。電極214,215のための種々の材料の組み合わせが可能である。例えば、第1の電極214は銅を含んでいてもよく、第2の電極215はマグネシウムを含んでいてもよい。第1の電極214は銅を含んでいてもよく、第2の電極215は亜鉛を含んでいてもよい。第1の電極214は炭素を含んでいてもよく、第2の電極215はマグネシウムを含んでいてもよい。
図示した実施形態において、第1の電極214及び第2の電極215の各1つは櫛状の構造に配置される4つの細長い又は指状の電極部を有する。第1及び第2の電極214、215の電極部は、図示されているように、交互に構成される。電極214,215のかかる構成は櫛型電極構造と称される。第1及び第2の電極214,215の電極部の数を変えて、特定の用途のために所望の範囲内にある電流を生成し、したがって、尿検知回路210の感度を用途別の要件に応じて適合させてもよいという点に留意すべきである。理解され得るように、部分212において生成した最大電流はとりわけ電極の寸法(例えば、長さ)、隣接したアノード−カソード電極部の間のオーバーラップの量及び、また、尿内の電解質濃度(イオン濃度)により制限されるだろう。生成される電流は、このため、部分212において塩(例えば、塩化ナトリウム)を供給することによって増大する。また、最大電流は、各電極214,215の電極部の数に比例する。より多くの電極部はより大きな生成される電流をもたらすけれども、幾つかの用途において各電極214,215の単一の電極部(例えば、単一の「指部」)で十分であると考えられる。より多くの数の電極部は尿検知回路210のより大きな尿検知領域を提供するということもまた理解されたい。
任意で、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタンなどのポリマーコーティングが部分212において及び/又は電極214,215に対して適用される。より一般的に、ポリマーは尿内に存在する1つ以上の特定の分析物(例えば、クレアチン、カルシウム又は尿酸)と反応するポリマーであってもよい。尿に晒される(及び分析物が尿内に存在する)と部分212において生成される電流は、それによって、増大する。
第1及び第2の電極214,215は尿検知回路210の送信機216に直流的に接続できる。したがって、電極214,215において生成された電流は、尿検知回路210から無線信号を送信するための送信機216に電力を供給する。更に以下この点について記載されるように、無線信号を処理回路130に接続された受信機により受信でき、処理回路130は尿検知回路210が尿に晒されていることを判定することができる。
部分212において生成されたより大きな電流は送信機216に供給されるより大きな電力を意味する。したがって、送信機216から送信される無線信号の電力は部分212へと放出された尿の量を示す、又は部分212へと放出された尿の量に比例する。処理回路130は、したがって、受信した無線信号の強度(例えば、絶対強度又は予め定められた基準値に関連した相対強度)を判定することにより尿検知回路210へと放出された尿の量を推定する。処理回路130は、例えば、受信した信号の電力を測定でき、測定された電力を、予め定められた(例えば、キャリブレーション手順により確立された)電力レベルと尿に晒される異なる量を関連付けるルックアップテーブル(LUT)と比較できる。
送信機216は、一般に、LC回路又はRLC回路を有していてもよい。任意で、アンテナ素子は送信機216の範囲を向上させるためにLC又はRLC回路に接続できる。あるいは、電極214、215はアンテナ素子として機能するように設計される。具体例によると、送信機216は近距離通信タイプ(NFC)又は無線自動識別タイプ(RFID)であってもよい。
図2に示すように、尿検知回路210は基板218上に設けられる。基板は、一般に、比較的薄いフレキシブル基板であってもよい。それ自体が当業者には周知であるプロセスに従って、例えば、基板上への導電性材料の堆積により又は基板からの導電性材料のマスキング及びエッチングにより、基板218上に設けられる通電部により尿検知回路210を形成する回路要素を形成してもよい。基板218は、例えば、PETホイル(ポリエチレンテレフタレート)などの薄いプラスチックホイルであってもよい。基板218の一面は接着剤を設けることができる。したがって、尿検知回路210は、パッチ様構造に構成されてもよい。接着面は吸収性物品又は下着上への尿検知回路210の容易な取り付けとそこからの容易な除去とを可能にする。有利には、基板218は生体適合性でありかつ環境適合性であり、着用者の日常活動全体を通して着用者の不便さを最少化する形状及びサイズが提供される。また、基板218は、紙、布、綿又は吸収性ポリマーなどの吸収性材料を含有又はそれらから製造してもよい。したがって、基板自体が、尿を吸収し、吸収された尿は、続いて、尿検知回路210の電気特性の変化を引き起こす。尿検知回路210を有する基板218は吸収性物品(例えば、おむつ又は下着)の内側上に配置され、尿検知回路210は、吸収性物品に面する(基板は尿検知回路210と皮膚の間に挟入される)、又は着用者の皮膚に面する。尿検知回路210は、代替的に、吸収性物品の外側に配置されてもよく、尿検知回路210は吸収性物品により吸収された尿に晒される。更なる選択肢によれば、尿検知回路210は、代替的に、吸収性物品内に、例えば、おむつ又は生理用ナプキンの吸収性材料内に一体化されてもよい。
図3はシステム100内の尿検知回路110として用いてもよい尿検知回路310の別の実施形態を示す。尿検知回路310は第1及び第2の電極314,315を有する。尿検知回路210と対照的に、第1及び第2の電極314,315は同一の導電性材料、例えば、銅でできていてもよい。第1及び第2の電極314,315はアンテナ構成において構成される。第1及び第2の電極314,315はLC又はRLC回路316に接続されており、尿検知回路310は入力高周波信号に応じて共振する。第1及び第2の電極314,315において尿が存在する場合、尿検知回路310の共振周波数は(第1及び第2の電極314,315の間などの尿検知回路310内の抵抗又はキャパシタンスの変化により)変化する。以下に詳細に記載するように、高周波信号は処理回路130に接続された送信機により送信される。したがって、処理回路130は、送信された高周波信号に対する変化した応答に基づいて尿検知回路310が尿に晒されていることを判定する。
尿検知回路310の共振周波数の変化は尿検知回路310へと放出された尿の量により影響される。換言すれば、尿の存在は第1及び第2の電極314,315の周りの環境を変化させ、それによって尿検知回路310のための共振条件が変化する。環境の変化がより大きくなるにつれて、共振条件の変化もより大きくなる。環境内の変化は、例えば、共振条件のシフト、拡大及び/又はスペクトル変化を生じさせ、それによって影響された共振条件から尿の量を判定できる。したがって、処理回路130は、尿検知回路310に放出された尿の量を推定する。処理回路130は、例えば、受信した応答の電力又は受信した応答の持続時間を測定でき、測定された電力を、予め定められた(例えば、キャリブレーション手順により確立された)電力又は持続時間と尿に晒される異なる量とを関連付けるルックアップテーブル(LUT)と比較できる。
図3を参照すると、各電極314,315の「指状の」電極部の数は2よりも大きいか又は小さい場合がある。上記のように、より多くの数の電極部は尿検知回路310のより大きい尿検知領域を提供する。更に、電極314,315の設計及び寸法は、一方では、入力するRF電界に対する十分な結合及び、他方では、特定の用途のための尿に対する所望の感度を得るために変更されてもよい。
また、図2に関連して記載される代替的実施形態によると、無線信号の送信に電力を供給することの代わりに、部分212において生成した電流が尿検知回路210のメモリ内に記憶されるカウンターの増加に電力を供給するために用いられる。以下の議論のために、図2の素子216はメモリ及び送信機−受信機回路の両方を表す。処理回路は、カウンターに基づいて尿検知回路へと放出された尿の量を推定するために更に構成される。
尿検知回路210のメモリは、例えば、N−ビットレジスタを含んでいてもよく、電流/電圧がメモリに(当業者により理解されるように、特定のタイプ及びメモリの実装に特有であり得る)電力供給するのに必要な電流/電圧レベルを超えるときにレジスタ内のいくつかのビットを「0」から「1」へシフトするように構成される。シフトされるビットの数は部分212から供給される電圧/電流に比例する。非限定的実施例として、部分212への1mlの尿の放出はレジスタ内の1つのビットの「0」から「1」へのシフトをもたらす場合がある。部分212への追加的な1mlの尿の放出は部分212において生成される電流/電圧の倍加をもたらす場合があり、したがってレジスタ内のもう一つのビットの「0」から「1」へのシフトをもたらす場合がある。好ましくは、メモリは不揮発性メモリであり、メモリが電力供給されないときでもビットレジスタの状態が維持されるだろう。それによって、部分212が以後の尿の放出前になるか又はメモリの読み出しが実行されているとしてもビットレジスタの状態(及び、したがって、カウンターの値)は保存される。
尿検知回路210の送信機−受信機回路は、読み出しユニット(例えば、処理回路130に接続された送信機を用いて無線信号を送信する処理回路130)から無線読み出し信号を受信することに応じて、カウンターの値を応答信号にエンコードし、応答信号を当業者には周知である技術を用いて無線で読み出しユニットへ送信するように構成される。任意で、尿検知回路210のメモリ内のカウンターは読み出し後にゼロにリセットされる。読み出し信号は、好ましくは、(5〜30秒毎、1〜5分毎などの)固定の繰り返し率において送信される。読み出しの間の送信機−受信機回路及びメモリの動作は、よく知られている回路設計を用いて、読み出しユニットから受信した無線信号のエネルギーにより電力供給される。また、動作は、小さいバッテリにより電力供給される。
送信機−受信機の動作と同様にメモリの更新、読み出し及び初期化を統御するロジックは、例えば、電極214,215に接続されている集積回路内に実装してもよい。尿検知回路210の共振周波数の、場合により望ましくないシフトを回避又は低減するために、流体不透過層又は封入(例えば、プラスチック)が、尿検知回路210をカバーするように構成されるが、電極214,215を有する部分212は露出する。それによって、尿検知回路210の部分212以外のその他の部分の尿への曝露は回避又は最小化される。尿検知回路210に対する環境からの電気的アーチファクトを回避するのと同様に、例えば、金属材料(尿検知回路210の電極のために用いられるような同一又は異なる材料)からの絶縁層が、回路210を設けられた面と反対の基板218の下面上に構成される。
尿検知回路210はタイマーを更に有していてもよく、各カウンターの増加におけるタイマーの値をカウンターの値と一緒にメモリ内に記録できる。また、記録されたタイマーの値も、読み出しユニットに送信される応答信号にエンコードできる。それによって、読み出しユニットはカウンターの増加の相対的タイミングを判定する。タイマーは送信機−受信機回路及びメモリと同一のバッテリにより電力供給される。また、タイマーは、部分212において生成された電流により充電されるコンデンサなどのエネルギー貯蔵要素により電力供給される。好ましくは、エネルギー貯蔵要素内に記憶されるエネルギーは読み出しユニットからの無線読み出し信号の繰り返し率に等しい又は超える持続期間の間にタイマーに電力を供給するために十分である。任意で、(尿検知回路210のメモリ内のカウンターに加えて)タイマーは読み出し後にゼロにリセットされる。
図1を参照すると、測定回路120は膀胱の充満レベルにより変化するパラメータを判定するために膀胱の測定を実行するように構成される。一実施形態によると、測定回路120は測定回路120の着用者の膀胱のインピーダンスを測定するように構成される。通常、膀胱内の尿の量が増加する(すなわち、膀胱充満レベルが増大する)につれて、膀胱を横切って測定されたインピーダンスが増大するであろう。このため、判定されたインピーダンスは、膀胱充満レベルにより変化する測定可能なパラメータを形成する。測定回路120(この場合、インピーダンス測定回路120と称される)は着用者の膀胱を通じて電気的測定信号を送信するように構成される。測定信号は交流信号であってもよい。非限定的実施例として、周波数は、例えば、5kHzから200kHzの範囲内であってもよい。非限定的実施例として、電流は、10μAから1000μAの範囲内であってもよい。
処理回路130は、例えば、測定されたインピーダンスと、予め定められた(例えば、キャリブレーション手順により確立される)インピーダンス値を異なる膀胱充満レベルと関連付けるルックアップテーブル(LUT)とを比較する。
測定回路120はインピーダンスの二端子測定を実行するように構成される。測定回路120は、膀胱を介して、膀胱の第1の側において着用者の皮膚へと取り付けられるように構成される第1の皮膚電極から、(有利には、一般に、第1の側の反対側にある)膀胱の第2の側において着用者の皮膚へと取り付けられるように構成される第2の皮膚電極へ、測定信号を送信するように構成され、膀胱のインピーダンスが送信された測定信号及び第2の皮膚電極により受信される測定信号に基づいて判定される。あるいは、測定回路120はインピーダンスの四端子測定を実行するように構成される。それによって電極−皮膚接触抵抗の寄与分は補償する。いずれの場合においても、電極は乾式タイプであってよく、又は、電極と皮膚との間の接触を向上させるために、ゲルタイプ若しくは湿式タイプであってもよい。
測定回路120は膀胱のインピーダンスを繰り返し測定するように構成される。測定されたインピーダンスは測定回路120のアナログ−デジタル変換器によりデジタル化され、処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内に記憶される。測定回路120は予め定められた数の測定されたインピーダンスを記憶し、予め定められた数を超えると最も古いインピーダンス測定を廃棄することを開始するように構成される。これは、例えば、先入れ先出しバッファ(すなわち、FIFOバッファ)を用いて簡便に実装されてよい。
測定されたインピーダンスをデジタル化する測定回路120に代えて、測定されたインピーダンスを表しているアナログ信号が処理回路130に提供され、処理回路130のアナログ−デジタル変換器を用いて受信したアナログ信号をデジタル化し、デジタル化された信号を処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内に記憶できる。
代替的実施形態によると、測定回路120は膀胱の超音波測定を実行するように構成される。より具体的には、測定回路120は膀胱の寸法を判定又は推定する。この寸法は、例えば、膀胱の幅であってもよい。通常、膀胱内の尿の量が増加する(すなわち、膀胱充満レベルが増大する)につれて、膀胱は膨張し、膀胱の幅寸法が増大するであろう。定められた幅は、このため、膀胱充満レベルにより変化する測定可能なパラメータを形成する。測定回路120(この場合、超音波測定回路120と称される)は超音波信号を送信し、超音波エコー信号を受信するように構成される超音波トランスデューサーを有するように構成される。超音波トランスデューサーは測定回路120の使用の際に着用者の膀胱領域において皮膚部分に面するように構成される。膀胱が膨張するにつれて、トランスデューサーに最も近い膀胱壁における反射からもたらされるエコー信号と遠隔の及び反対側の膀胱壁における反射からもたらされるエコー信号との間の時間が増大するであろう。上記のインピーダンスを測定する場合と同様に、トランスデューサーは、処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内、例えば上記のようなFIFOバッファ内にこれらの2つのエコー信号の間の時間差を記憶するように構成される。超音波測定の精度を向上させるために、測定回路120が超音波トランスデューサーのアレイにより提供することが可能であり、複数の位置において膀胱の幅寸法に基づいて膀胱の膨張のより正確な推定を得ることが可能である。
上記において代案として記載されるが、膀胱の超音波測定とともにインピーダンス測定を実行するために測定回路120を設計することも可能であろう。これらの2つの異なるタイプのパラメータの両方を判定すること及び相関付けることにより、膀胱充満レベルの精度は向上する。
膀胱充満レベルに関する上記の測定に加えて、測定回路120は膀胱の磁界測定、膀胱の光反射測定又は膀胱サイズ若しくは膀胱圧の機械的測定の1つ又はそれらの組み合わせを実行するように(インピーダンス及び超音波測定に代えて又はそれに加えて)構成される。
磁気測定のために、測定回路120は膀胱を通じて振動磁界を生成するインダクタ回路を有していてもよい。膀胱充満レベルが増大するにつれて、膀胱内の尿の増加量はインダクタ回路内の渦電流を誘導し、その結果として増大したエネルギーが磁界により消散する。この変化に比例するパラメータが判定され、測定回路120のアナログ−デジタル変換器によりデジタル化される。測定回路120の上記の説明を踏まえて、判定されたパラメータは処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内、例えば上記のようなFIFOバッファ内に記憶される。
光反射測定のために、測定回路120は光学トランスデューサー(例えば、発光ダイオード及びフォトディテクタ)を有していてもよい。非限定的実施例として、光の波長は赤外領域内又は近赤外領域内であってもよい。光学トランスデューサーは測定回路120の使用の際に着用者の膀胱領域において皮膚部分に面するように構成される。膀胱が膨張するにつれて、膀胱の血流特性は変化するだろう。これはフォトダイオードにより受信した反射された光学エネルギーに影響を与えるだろう。フォトディテクタにより検出される反射した光は、したがって、膀胱充満レベルを表しているパラメータを形成する。フォトディテクタにより検出される電力を測定回路120のアナログ−デジタル変換器によりデジタル化する。測定回路120の上記の説明を踏まえて、検出された電力の値は処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内、例えば上記のようなFIFOバッファ内に記憶される。
機械的測定のため、測定回路120は、膀胱領域において接着剤で皮膚に取り付けられた又は着用者の腰部の周りに提供されるように構成される可撓性ベルトに組み込まれているひずみゲージの抵抗を測定するように構成される。膀胱が膨張するにつれて、ひずみゲージの電気抵抗は増大する。したがって、抵抗は、膀胱充満レベルを表しているパラメータを形成する。測定回路120により測定されるひずみゲージの抵抗を、測定回路120のアナログ−デジタル変換器によりデジタル化する。測定回路120の上記の説明を踏まえて、抵抗の値は処理回路130によりアクセス可能なメモリ又はバッファ内、例えば上記のようなFIFOバッファ内に記憶される。測定回路120により、任意に、着用者の皮膚に(ひずみゲージに接近して又はより一般に、着用者の腹側領域上に)構成される加速度計の信号をサンプリングし記録し、呼吸により引き起こされたひずみゲージのひずみの影響を補償する。
上記のように、処理回路130は、尿検知回路110が尿に晒されていることを判定することに応じて、尿検知回路110へと放出された尿の量を推定し、測定回路120により判定された少なくとも1つのパラメータを表すデータと、センサ140により判定されるような向き又は動きに基づいて着用者の推定された動き及び/又は姿勢と、尿検知回路110へと放出された尿の推定量とを記録するように構成される。詳しくは、処理回路130が、処理回路130により、例えば、処理回路130によりアクセス可能な上記メモリ又はバッファから測定回路120により判定されたとして最後に記憶されたパラメータを取得することにより、排尿事象の検出に直前の時点に測定回路120により判定されるようなパラメータ(単数又は複数)を表しているデータを記録するように構成される。更に、処理回路130は、上述のように、センサ140による動き及び/又は向きの測定に基づいて着用者の動き/姿勢を推定する。それによって、記録したデータを用いて、膀胱充満レベルと、排尿若しくは失禁事象の発生、着用者の動き及び/若しくは姿勢、並びに放出された尿の量を相関付けてもよい。データを処理回路130のメモリ内に記録できる。記録されたデータは外部ユニットへの送信のために又は更なる分析のために記憶される。
より具体的には、処理回路130は測定回路120により判定されるような少なくとも1つのパラメータ、推定された動き/姿勢及び尿検知回路110へと放出された尿の推定量を検出された排尿事象とリンクさせるデータ構造内にデータを記録することができる。データは、例えば、配列データ構造内に又はデータベース内のエントリとして記憶され、測定回路120によって判定されるような少なくとも1つのパラメータ、推定された動き/姿勢、及び尿検知回路110へと放出された尿の推定量を、検出された排尿事象と関連付ける。データと一緒に、尿検知回路が尿に晒されているという表示が、例えば単一ビットの2値フラグを用いて記憶される。任意で、システム100はタイマーを有していてもよく、排尿事象の検出の時間をデータ構造内に記録できる。記憶された時間は、例えば、時刻に対応する。
また、処理回路130は、測定回路120により判定されるようなパラメータ(単数又は複数)を表すデータを連続的に又は繰り返し、対応する閾値と比較するように構成される。例えば、測定回路120が膀胱のインピーダンスを判定するように構成される場合、閾値は不随意の排尿事象のリスクが大幅に増大する膀胱充満レベルに対応するインピーダンス閾値であってもよい。したがって、インピーダンス閾値は、膀胱充満閾値と称される。閾値は処理回路130にアクセス可能なメモリ内に記憶される。処理回路130が閾値を満たす又は超えることを判定する場合、不随意の排尿事象のリスクが増大することを示すために着用者に対して警報信号(すなわち、警告信号)が提供される。有利には、処理回路130は、判定されたインピーダンスと閾値との差が、着用者に例えばトイレに行かせるための時間を与えるように適合された(例えば、失禁事象が発生すると予想されている時間の10分又は20分前に前もって)予め定められた量よりすでに少なくなったときに、着用者に対して信号を提供してもよい。信号は視覚的インジケータ(例えば、ディスプレイ又はLED)、処理回路130に接続された聴覚的インジケータ(例えば、スピーカ)又は触覚的インジケータ(例えば、振動器)によって生成された視覚的、聴覚的及び/又は触覚的信号であってもよい。あるいは、信号は、処理回路130により、そのディスプレイ上に警告を呈示又は聴覚的警告を生成する外部機器(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ又はパーソナルコンピュータ)へ提供される。
また、上記のインピーダンスベースの閾値比較を、測定回路120が判定する、上述のその他のパラメータタイプのために対応する方法で行ってよい。したがって、各タイプのパラメータ閾値はそれぞれ膀胱充満閾値と称される。処理回路130は、判定されたパラメータ(単数又は複数)の任意の1つがその関連した閾値を満たすか又は超えることに応じて、警告信号を提供するように構成される。
閾値(単数又は複数)は、例えばシステム100のキャリブレーション段階の間に予め定められる。代替的実施形態によると、処理回路130は閾値(単数又は複数)を判定するように構成される。処理回路130は測定回路120により判定され、失禁事象を検出することに応じて、処理回路130により記録されるデータで表されるパラメータ(単数又は複数)に基づいて各閾値を設定又は構成する。処理回路は、例えば最初に検出された排尿事象に応じて、各閾値を設定又は構成するように構成される。任意で、処理回路は、測定回路120により判定されたパラメータ(単数又は複数)及び以前に判定した閾値の両方に基づいて各閾値を設定又は構成する。例えば、排尿事象の検出に応じて、処理回路130により記録されるデータが先の閾値より小さいパラメータ値を表す場合、新しい閾値は先の閾値より小さくなるように構成されてもよい。逆に、排尿事象の検出に応じて、処理回路130により記録されるデータが先の閾値より大きいパラメータ値を表す場合、新しい閾値は先の閾値より大きくなるように構成されてもよい。それによって閾値(単数又は複数)は排尿事象の実際の発生時の膀胱充満レベルに基づいて適合される。
任意で、処理回路130は膀胱充満レベルを示す信号を繰り返し提供するように構成される。信号は、例えば、測定回路120により最も最近判定されたパラメータ(単数又は複数)の一つの値又は複数の値を示する。また、信号は、測定回路120により最も最近判定されたパラメータ(単数又は複数)の一つの値又は複数の値と関連するパラメータ閾値との間の一つの比率又は複数の比率を示す。信号は、例えば、膀胱充満レベルが判定したパラメータとなることを可能にする情報を提供するディスプレイへ提供される。値(単数又は複数)及び/又は比率(単数又は複数)は、例えば、処理回路120に接続されたディスプレイ上に呈示される。あるいは、信号は、処理回路120により、ディスプレイ上に値(単数又は複数)及び/又は比率(単数又は複数)を呈示する外部機器(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ又はパーソナルコンピュータ)へ提供される。
上記のように、処理回路130が閾値の比較を実行するように構成される場合において、パラメータ閾値は、好ましくは、着用者の対応する動き又は姿勢に関連してよい。例えば、着用者が横たわっている場合、第1のインピーダンス閾値を用いてもよく、着用者が直立であるか又は歩行している場合、第2のインピーダンス閾値を用いてもよい。非限定的実施例として、ある特定の人の膀胱は、その膀胱が350mLの流体を含んでいて、その人が横たわっている場合に40オームのインピーダンスで、その人が直立に着座した場合に42オーム又は38オームのインピーダンスである場合、半分いっぱいであることが臨床医により予め判定される。複数の異なる姿勢又は動きのタイプのための膀胱のインピーダンスを判定することにより、複数の閾値が判定され、各々特定の姿勢又は動きのタイプに関連している。閾値は処理回路130にアクセス可能なメモリ又はバッファ内に記憶される。
図4は失禁を監視するためのシステム400の更なる実施形態を示す。システム400は尿検知回路410を備える。尿検知回路410は上記の尿検知回路210又は310に従って実装してもよい。システム400は測定回路120に対応する測定回路420及びセンサ140に対応するセンサ440を更に備える。測定回路420は、例えば、皮膚電極422を用いて膀胱のインピーダンスを測定できる。システム400は処理回路130に対応する処理回路430を更に備える。処理回路430は、測定回420により判定された膀胱充満レベルに関連するパラメータ(単数又は複数)を表すデータ、着用者の動き及び/又は姿勢を表すデータ、並びに放出された尿の推定量を表す閾値及びデータを記録するためのメモリ434を有する。処理回路430は例えば測定回路420,センサ440及び追加的センサ460からの測定信号をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器432を更に有していてもよい。システム400は測定回路420、処理回路430、送信機436、受信機438、センサ440並びに下記の任意選択の追加的センサに電力を供給するためのバッテリ430を更に備えていてもよい。受信機436は、外部機器又は通信ネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)低エネルギーなどのBluetooth(登録商標)プロトコル)との通信をサポートするための送信機部、並びに(例えば、NFCを用いて)尿検知回路へ読み出し又は問い合わせ信号を送信するための送信機部の両方を有していてもよい。同様に、受信機438は、外部機器又は通信ネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)低エネルギーなどのBluetooth(登録商標)プロトコル)との通信をサポートするための受信機部、並びに(例えば、NFCを用いて)尿検知回路からの信号を受信するための受信機部の両方を有していてもよい。
任意で、システム400はユーザインタフェース(図4には示さず)を更に備えていてもよい。ユーザインタフェースはボタン若しくはキーパッドなどのユーザ入力デバイス、ライト、スピーカ及び液晶(LCD)ディスプレイ若しくは発光ダイオード(LED)ディスプレイのようなディスプレイを有していてもよい。上記のように、スピーカ及び/又はディスプレイはユーザへ表示及び警告を提供するために用いてもよい。ユーザインタフェースは、また、代わりに用いられるか又はスピーカ及びディスプレイに対する補完として用いられる振動器などの触覚的インジケータを有していてもよい。
図4に概略的に示すように、要素420〜460は同一のキャリア上に構成される。キャリアは、好ましくは、(例えば、接着剤によって)着用者の膀胱領域において皮膚に固着され、ストラップによって着用者に固定され、又は、おむつ若しくは下着の縁部に固定される比較的軽量及び目立たないユニットであってもよい。
処理回路430は、例えば、マイクロプロセッサ又はCPUを有していてもよい。処理回路430の動作を統御するロジックは、例えば、ソフトウェア命令として、例えばメモリ434などの記憶媒体(通常、非一時的な形態)に記憶され、命令は処理回路430により実行される場合に本明細書で記載される処理回路430の動作を実行するように構成される。メモリ434は揮発性メモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はフラッシュメモリ等であってもよい。メモリ434は、例えば、プログラムセクション及びデータセクションを有していてもよく、プログラムセクションは上記のソフトウェア命令を記憶し、データセクションは記載された動作を行うために用いられるデータ及び変数を記憶しる。あるいは、処理回路430の機能は1つ以上の集積回路、又は更に1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)に実装されてもよい。
図4に示すように、尿検知回路410が尿検知回路210に従って実装される場合、尿検知回路410は、尿に晒されていることに応じて、処理ユニット430に接続された受信機438によって受信される無線信号の送信に電力を供給する電流を生成する。無線信号を検出することに応じて、処理回路430は排尿事象が生じたことを判定し、そのため、(無線信号の検出の直前か又は無線信号の検出と同時である時点において測定回路420により判定されるような)パラメータ(単数又は複数)を表しているデータと、尿検知回路へと放出された尿の推定量と、着用者の推定された動き及び/又は姿勢とを記録する。あるいは、尿検知回路410が尿検知回路310に従って実装される場合、処理回路430は、送信機436によって送信された無線信号に対する尿検知回路410からの応答が変化する場合に、排尿事象が生じたことを判定する。処理回路430は予め定められた繰り返し率において尿検知回路410へ無線信号を繰り返し送信するように送信機436を制御できる。
任意で、システム400は、一般的に図4の素子460として示される追加的なセンサを備えていてもよい。例えば、システム400は、制御された放尿(通常、排尿と称される)の間に尿の流れを監視するためのマイクロホンを備えていてもよい。システム400は、皮膚近接センサ(例えば、それ自体当該技術分野において周知である皮膚の近接度又は接触を検出するための静電容量ベースの又は抵抗ベースのタッチセンサ)を更に備えていてもよい。皮膚近接センサは、着用者の皮膚との近接度の低減又は接触の喪失を検出することに応じて、信号を処理ユニット430へ提供するように構成される。信号は、「パンツを下げる」事象の検出を処理回路430へ示す。事象を処理回路430によりメモリ434内に記録でき、膀胱充満レベルに関する測定回路420の現在の測定に関連付けることができる。「パンツを下げる」事象は着用者が意図した放尿(排尿としても知られている)のためにトイレに行ったことを意味する。分析及び診断目的のために、トイレに行ったときの膀胱の充満レベルを記録することは有用である。任意で、「パンツを下げる」事象はマイクロホンの作動をトリガし、マイクロホンからの音響信号に基づいて処理回路430は、例えばマイクロホンからの音響信号の振幅を分析することにより、放尿の音を分析し、尿の流れは連続的であるか又は断続的であるかどうかを判定する。処理回路430はこの情報を、上記の「パンツを下げる」事象と併せて、(例えば、連続的な又は断続的な流れのいずれかを示すビットフラグとして)記録することができる。更に、処理回路430は排尿が終了した後の膀胱充満レベルに関する測定回路420の測定を記録することができる。膀胱内に残っている尿の量が特定の予め定められた(及びユーザ固有の)量、例えば、100mL又は150mLを超える場合、(例えば、システムのユーザインタフェースを介して)警告信号を生成する。処理回路が失禁事象を検出することに応じて(すなわち、尿検知回路410が尿に晒されていることを判定することにより)、排尿後の膀胱充満レベルのかかる測定を実行してもよい。したがって、システム400を尿貯留の検出のために用いてもよい。尿貯留の検出は尿路感染症につながる。また、処理回路430は、メモリ434内にこの情報を記録できると考えられる。任意で、専用の皮膚近接センサの代わりに、皮膚に近接するか又は接触すると、変化した電気特性を呈示する尿検知回路410を用いて、パンツを下げる事象を検出してもよい。
また、皮膚温度及び/又は周囲温度を測定するための温度センサがシステム400内に設けられる。また、システム400は、高度を測定するための高度計を備えていてもよい。また、これらの追加的なセンサ460により実行される測定に関連するデータは、失禁事象を検出することに応じて、処理回路430によりメモリ434内に記録される。この追加的なデータは、失禁事象の発生を不随意の排尿事象の発生に対する影響を有する追加的なパラメータに相関付けるため、着用者の失禁事象の更により正確かつ広範な分析を可能にすることができる。
記録されたデータは、繰り返し又は要求があれば、送信機436により図4の要素470により一般的に示される外部機器又は通信ネットワークへ送信される。送信機436は、例えば、Bluetooth(登録商標)低エネルギープロトコルを用いる。外部機器470は、例えば、着用者のモバイル機器、医療スタッフのモバイル機器及び/又はネットワークサーバである。外部機器は、ベッドに隣接して又は着用者の室内に設置されることを意図した、又は日常業務全体を通してシステム400の着用者に常に付いている機器などの小さい、バッテリ駆動の携帯型機器であってもよい。外部機器はボタン若しくはキーパッド、及びディスプレイ若しくはその他の視覚的インジケータなどの簡単なユーザインタフェースを有する。更なる例として、外部機器は携帯電話であってもよい。送信されたデータは、順次、着用者又は医療スタッフに対してモバイル機器上に、切迫した又はすでに発生した失禁事象、推定された膀胱充満レベル及び/又は放出された尿の量の表示を提供するために用いることが可能である。また、送信されたデータは、失禁診断を判定し、ユーザの状態に最も良く適した処置を提案するための分析的研究を実行するために用いることができる。
分析及び診断目的のために、処理回路130,430により記録されるデータを尿意のログ又は尿意の日誌を確立するために用いてもよい。例えば、日誌は日中の(昼間)及び夜の(夜間)尿減少量及びその時間、排尿(通常の放尿)の前の膀胱内の尿の量並びに排尿時間、尿の流れ、失禁事象における動き及び/又は姿勢並びに各失禁事象前の現在の膀胱充満レベルを含んでいてもよい。
前述したように、システム100,400は緊張性尿失禁を監視するために特に有用である。また、それは、切迫性及び混合タイプの失禁を監視するために有用である。けれども、尿漏れが尿検知センサ110,210,310,410の感度範囲を超える場合、幾つかの切迫性尿失禁事象は尿の量の推定のピーククリッピングをもたらす場合があるという点に留意すべきである。
上記において、限られた数の実施例を参照して発明概念が主として記載されている。しかしながら、当業者により容易に理解されるように、上記で開示される実施例以外のその他の実施例は、添付の請求項により定義されたような、発明概念の範囲内で同様に可能である。
例えば、無線接続される(及び、したがって、直流的に分離される)ことの代わりに、尿検知回路110は配線により処理回路130へ直流的に接続される。配線は、例えば、肌着内に又は吸収性物品内に一体化されてもよい。例えば、尿検知回路210と同様の尿検知回路を、送信機216なしで用いることができ、電極214,215において生成された電流又は電圧は当該技術分野において周知である技術を用いて処理回路130により直接的に検出され測定される。他の実施例によれば、尿検知回路310と同様の尿検知回路を用いることができ、電極314,315の間の変化したインピーダンス、抵抗又はキャパシタンスは処理回路130により直接的に検出され測定される。そのため、処理回路130は、例えば、部分212において生成された電圧若しくは電流、又は電極314,315の間のインピーダンス、キャパシタンス若しくは抵抗を測定でき、測定を、予め定められた(例えば、キャリブレーション手順により確立された)電流/電圧/インピーダンス/キャパシタンス/抵抗レベルと尿に晒される異なる量とを関連付けるルックアップテーブル(LUT)と、比較できる。
これらの実施例において、尿検知回路1の電極214,215,314,315は、例えば、薄層として基板218,318上に形成可能である。これらの層は、例えば、1マイクロメートルの厚さであってよく、電極は可撓性であり、したがって、着用者の不快感を最小化する。電極214,215,314,315の重量を更に低減するために、それらは穴があけられる。
代替策として又は膀胱充満レベルに関する上記の測定に加えて、その他のパラメータに関するデータを記録することができることが更に意図されている。そのため、尿に晒されると変化した電気特性を呈示するように構成される(例えば、回路110,210,310又は410に対応する)尿検知回路と、尿検知回路が尿に晒されているかどうかを判定し、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、膀胱充満レベルに影響を及ぼす測定された又はユーザが提供したパラメータを表すデータを記録するように構成される(例えば、処理回路130又は430に対応する)処理回路と、を備えるユーザの失禁を監視するためのシステムが提供される。
ユーザが提供したパラメータはユーザによる液体摂取の体積、液体のタイプ、糸球体濾過率(GFR)又は最後にトイレに行った時間であってもよい。このパラメータは、例えば、ユーザにより、例えば、上記ユーザインタフェースを介して又は外部機器のユーザインタフェース(例えば、470)を介して入力され、処理回路(例えば、430)に送信される。ユーザの液体摂取の知見及び糸球体濾過率に基づいて、膀胱充満レベルは膀胱の直接の測定を必要とすることなく計算により正確に推定される。臨床医はGFRパラメータを判定し、処理ユニットのメモリ内に(又は代替的に外部機器のメモリ内に)これを導入する。GFRを判定する1つの方法は所定の時間間隔にわたって血液から除去されたクレアチンの量を判定するために尿を(通常24時間)収集することである。例えば、24時間内に1440mgを除去する場合、これは1mg/分を除去することと同等である。血中濃度が0.01mg/mL(1mg/dL)である場合、100mL/分の血液がクレアチンから「きれいになって」いると言うことができる。なぜなら、1mgのクレアチンを得るために、0.01mg/mLを含む100mLの血液がきれいになっている必要があるためである。クレアチンの測定は、次いで、ユーザのGFRを判定するために、例えば、ユーザの年齢、性別及び人種と相関付けされる。
測定されたパラメータは(例えば、上記の皮膚センサを用いて判定された最後の「パンツを下げる」事象から経過した時間を判定することにより)最後にトイレに行ったときから経過した時間、(ユーザが吸収性物品上に排尿していることを判定したときの)温度又は時刻を表すことができる。
システムが、センサの向き及び/又は動きを判定するように構成されるセンサ(例えば、センサ140又は440)を備える場合、記録されたデータは、センサにより判定された向き及び/又は動きに基づく、着用者の推定された動き及び/又は姿勢を表す。システムが測定回路(例えば、測定回路120又は420)を備える場合、記録されたデータは、測定回路により判定されたパラメータ(単数又は複数)を表す。処理回路が、尿検知回路が尿に晒されていることを判定することに応じて、尿検知回路へと放出された尿の量を推定するように構成される場合、記録されたデータは、尿検知回路へと放出された尿の推定量を表す。
膀胱の充満レベルにより変化する少なくとも1つのパラメータを判定するために着用者の膀胱の測定を実行するように構成される測定回路を備える上記の実施形態と組み合わされて用いられる場合、膀胱充満レベル及び膀胱の充満レベルにより変化するパラメータ(単数又は複数)に対する影響を有する両方のパラメータ(単数又は複数)の記録は、したがって、失禁の更により詳細なかつ完全な分析及び診断を可能にする。