JP2019067555A - 位相差透過電子顕微鏡装置 - Google Patents

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博幸 工藤
幸則 永谷
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幸則 永谷
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Abstract

【課題】像のコントラストを向上し、操作性にも優れかつ、より実用的なインテリアCTの画像再構成方法により試料の所望領域の3次元断層像を計測可能な位相差CT透過電子顕微鏡装置を提供する。【解決手段】電子線を放射する電子源と、対物レンズ36と、前記電子線源と前記対物レンズの間に配置され、試料35を保持するための試料保持台と、前記対物レンズの後方に配置された結像光学系と、前記結像光学系による試料像を、電子線の強度分布として検出するための手段とを備えた透過電子顕微鏡装置であって、前記対物レンズの背後の焦点面上において、前記電子線に、その進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光を照射する第1のレーザー光照射手段を備える。【選択図】図12

Description

本発明は、透過電子顕微鏡装置(Transmission Electron Microscope:TEM)に関し、特に、電子線の位相をコントラストに変換して試料の構造を計測する位相差式の透過電子顕微鏡装置に関する。
透過電子顕微鏡(TEM)は、試料のナノメートルの構造を観察する等に広く用いられている。これは、試料に電子線を照射し、当該試料を透過した電子線を、検出器上に拡大投影し、試料内部の構造を透かし観る手法であり、試料物体内部の電子線の吸収度を反映した投影像が得られるものであり、例えば、以下の特許文献1により既に知られている。
更に、TEMの異なる傾斜角で撮影された複数の投映像から試料の3次元像を構成する手法については、例えば、以下の非特許文献1によって知られている。また、投影像の位置補正に関するFiducial Marker法については非特許文献2及び特許文献2によって既に知られている。
次に3次元像を構成する手法は、CT手法として試料の断面を完全に覆う電子線を照射して、試料断面を通過する全ての直線上の投影データを測定するものになっている。しかし、対象物(試料)内の小さな関心領域(ROI:Region of Interest)だけの断層画像が欲しい場合でも、一般的にはROIのみではなく、試料断面を通過する全ての直線上の投影データを必要であった。
TEMで撮影される投影像は高倍率で試料のROI部分を測定することが多く、従来のCT手法ではデータ欠落により必ずしも精度の高い3次元像再構成が出来なかった。これは、CTの画像再構成に用いられる計算手順であるフィルタ補正逆投影(FBP:Filtered Back Projection)法において、ROI画像を生成するのにROIを通過しない直線上の投影データも必要なことによる。しかし、ROIを通過しない直線上の投影データはROIの情報を全く含んでいない。そこで、X線CTの分野ではROIだけにX線を照射して、ROIを通過する(全ての)直線上の投影データのみを測定してROIの画像のみを生成するCT撮影の方法が、インテリアCTとして開発されてきた。
このインテリアCTには、不必要な投影データをも測定する従来のX線CTと比較して、(1)ROI外部の被曝量(試料損傷)の大幅な低減、(2)検出器サイズやX線ビーム幅の削減、(3)視野に収まらない大きい物体の撮影が可能になること、(4)物体の小視野だけにX線を照射して拡大撮影する高分解能CTが可能になること等が挙げられ、これらの長所は電子線による3次元CTでも同様である。
インテリアCTでは、ROIを通過しない直線上の投影データは測定されないため、一部が欠損した不完全投影データから画像再構成を行う手法が必要となる。平行ビームによる投影データ収集では、対象物f(x,y)と画像化の対象となるROIを(図1を参照)直線が通過する投影データp(r,θ)(rは動径、θは角度)のみが測定可能である。この場合、直線がROIを通過しないp(r,θ)は測定されないため、各角度θの投影データは、左右がトランケーションされて欠損することになる。このようなトランケーションされた投影データからROIにおいて画像f(x,y)を正しく再構成する必要がある。
このインテリアCTの再構成は長年多くの研究が行われてきており、非特許文献4では、インテリアCTの画像再構成は解が投影データから唯一に決まり数学的に正しい画像再構成として定まらないことが数学的に証明されている。この非一意性が知られていたため、多くの近似的な画像再構成法が研究されてきた。
その代表的な手法として、(1)各方向投影データ左右の欠損部分を滑らかな関数で外挿してから画像再構成する手法、(2)不完全な投影データのまま逐次近似法により画像再構成を行う手法などが研究されたが、近似誤差によるアーティファクトが発生して実用に至らなかった(非特許文献5、6、7)。このインテリアCTにおいて発生する典型的なアーティファクトの例を示すと、画像低周波成分に歪みが発生するシェーディングアーティファクト(図2(a)を参照)やROI周辺部で値が増大するカッピング効果(図2(b)を参照)が発生し、画像の値が安定に定まらないことが知られている。
これらの先行研究に対し、インテリアCTの厳密な画像再構成法が案出され(非特許文献8、9)、ROIの内部にある任意の小さな領域B(即ち、図3(a)においてROIの内部にある丸印の領域)において画像f(x,y)の値が事前に既知であるという先験的知識があれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まることを証明した。解の一意性を保証するための領域Bは複数あれば小さくともROI S内のどの場所にあっても良い。この成果は、特許文献1として知られている。
一方、別の先験的知識を用いて厳密な画像再構成を可能にする手法も案出されており(非特許文献10)、圧縮センシングと呼ばれる不足した測定データから高精度で信号復元を行う手法に基づき、画像f(x,y)がROIの全体で区分的一様であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まることが示された。ここで、区分的一様とは、数値ファントムのように、画像が完全な一定値を持つ有限個の領域で構成されていることを指す(図3(b)を参照)。この成果は、特許文献4として知られている。
Transmission Electron Microscope observation of Magnetic Domain Walls, Journal of Applied Physics, Vol.32, No.7(July,1961), 1261-1265 Nanofabrication of cylindrical STEM specimen of InGaAs/GaAs quantum dots for 3D-STEM observation, Ultramicroscopy, 101(2004), 55-61 Alignment of tomographic projections using an incomplete set of fiducial markers, Ultramicroscopy, 35(1991), 37-43 Natterer F: The Mathematics of Computerized Tomography. Wiley, 1986 Ye Y, Yu H, Wei Y, Wang G: A general local reconstruction approach based on a truncated Hilbert transform. International Journal of Biomedical Imaging 2007: Article ID 63634, 2007 Kudo H, Courdurier M, Noo F, Defrise M: Tiny a priori knowledge solves the interior problem in computed tomography. Physics in Medicine and Biology 53: 2207-2231, 2008 Yu H, Wang G: Compressed sensing based interior tomography. Physics in Medicine and Biology 54: 2791-2805, 2009 Yang J, Yu H, Jiang M, Wang G: High order total variation minimization for interior tomography. Inverse Problems, 26: Article ID 35013, 2010 Courdurier M, Noo F, Defrise M, Kudo H: Solving the interior problem of computed tomography using a priori knowledge. Inverse Problems 24: Paper No. 065001, 2008 Katsevich A, Analysis of an exact inversion algorithm for spiral cone-beam CT. Physics in Medicine and Biology 47: 2583-2598, 2002
特公昭59−16705号公報 特許第5555653号公報 米国特許第7,697,658号 米国特許第8,811,700号
TEMにおいて、特に、電子線の吸収が少なくコントラストの着きにくい無染色の生体軟組織、樹脂や似通った組成の薄膜を積層した構造体などを対象とする場合には、試料物体を透過する電子線の位相をコントラストに変換して観察する、所謂、位相差TEMが用いられる。本発明は、上述した位相差TEMのうち、試料と検出器との間に透過電子ビームの吸収体が存在しないことから、特に、試料の電子ビーム被曝の低減に有利な位相差TEMに関する。
本発明の関わる位相差TEMにおいても、なお、試料物体中においてより重い元素がより高い密度で存在している程、大きな電子線の散乱があり、明瞭なコントラストが得られるという吸収コントラストの原理による画像のコントラストは生ずる。しかしながら、同種の軽元素を主成分とする無染色の生体組織、樹脂や似通った組成の薄膜を積層した構造体を対象とする場合には、像にコントラストが着きにくいため、これを解決する手法として、位相板を用いて試料物体を透過する電子線の位相をコントラストに変換して観察する、位相差TEM(図4を参照)が用いられる。位相板として厚さ数10nmのアモルファス炭素薄膜の中心部に直径数100nmの穴を開けた炭素薄膜型ゼルニケ位相板、アモルファス炭素薄膜をそのまま用い、炭素薄膜の中心部を電子ビームスポット照射により物性変化させた穴の無い炭素薄膜型ゼルニケ位相板、シリコン微細加工技術により中心部だけに電位差を生じさせるアインツェルレンズ型などが提案されている。
しかし、従来型の位相差TEMで、これらの位相板は、対物レンズの焦点面上の高強度の収束電子線スポット近傍に前記中心部の穴を設置するため、不可避的に電子線照射を受けることになる位相板の物性が経時変化する。その結果として、位相コントラストが正しく再現されなくなってしまう欠点があり、位相板の帯電現象として知られている。また、これらの位相板は、装置調整等の操作により、収束された電子線を位相板へ照射したとき、容易に破壊するという欠点もあった。
また、TEMでは、像拡大倍率の関係から電子線に対して垂直な試料回転軸を必ずしも所望の試料位置に設定することが出来ず、非特許文献3にあるようなFiducial Marker法によりそれぞれの投影2次元画像位置を補正することにより3次元像の再構成を行ってきた。この場合、試料の形状により電子線投影データが回転角度によっては検出器の計測範囲から逸脱するような場合があり、従来のCT法による3次元断面像再構成では目的とする精度の画像が得られないという欠点もあった。
上記した欠点を克服するためにはインテリアCT画像解析手法が用いられるが、前記非特許文献5と非特許文献6により知られた厳密解法を適用するには、撮像前に、物体に関する先験的知識(図3aにおけるROI内部の小さな領域Bにおける画像の値)が分かっている必要があるが、撮像前に画像の値が既知という状況はごく希である。また、前記非特許文献7の厳密解法では、画像のROIの一部が区分的一様という仮定をするため、この手法では滑らかな濃度変化が失われてしまう。
そこで、本発明は、同種の軽元素を主成分とする無染色の生体組織、樹脂や似通った組成の薄膜を積層した構造体を対象とする場合でも、像のコントラストを向上し、操作性にも優れかつ、より実用的なインテリアCTの画像再構成方法により試料の所望領域の3次元断層像を計測可能な位相差CT透過電子顕微鏡装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明によれば、まず、電子線を放射する電子源と、対物レンズと、前記電子線源と前記対物レンズの間に配置され、試料を保持するための試料保持台と、前記対物レンズの後方に配置された結像光学系と、前記結像光学系による試料像を、電子線の強度分布として検出するための手段とを備えた透過電子顕微鏡装置であって、前記対物レンズの背後の焦点面上において、前記電子線に、その進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光を照射する第1のレーザー光照射手段を備えている位相差透過電子顕微鏡装置が提案される。
また、本発明では、上記に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、さらに、前記電子線源と前記対物レンズの間において前記電子線源から放射された電子線を集光する第1の集光レンズを備え、当該第1の集光レンズの焦点面上においてレーザーを照射する第2のレーザー光照射手段を備えていることが好ましく、更には、前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光も、前記電子線の進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光であることが好ましい。
そして、本発明では、上記に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第1のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光は、同一のレーザー発振器から発生されたレーザー光であることが好ましく、更には、前記同一のレーザー発振器は、シングルモードのレーザー発振器であることが好ましい。また、前記第2のレーザー光照射手段によるレーザー光の照射の下流側で前記試料を透過する以前の前記電子線の焦点にレーザーを照射する第3のレーザー光照射手段を備えていることが好ましく、そして、前記第3のレーザー光照射手段からのレーザー光も、前記電子線の進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光であることが好ましく、更には、前記第1のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第3のレーザー光照射手段からのレーザー光は、同一のレーザー発振器から発生されたレーザー光であることが好ましい。加えて、前記同一のレーザー発振器は、シングルモードのレーザー発振器であり、更には、前記試料像の検出手段は、スクリーンもしくは2次元電子線センサを含んでいることが好ましい。
さらに、上記に記載の位相差透過電子顕微鏡装置では、前記照射レーザーのパラメーターを変化させ、複数の画像を取得することにより、前記試料による位相変化、振幅変化、もしくは、ビジビリティを画像として検出することが好ましい。
撮像するための試料を保持する試料ステージは真空外から傾き角及び回転角操作が可能であり、前記電子ビームに対して傾き角θ、回転角φの歳差運動を行う回転制御可能な駆動機構を備えている。
撮像された画像データについては、撮像対象のROIを通過する電子ビームにより投影データを取得し、前記で得られた投影データを用いてCTの画像再構成法により第1段階の近似的な再構成を行う。次に、前記で再構成したCT画像に基づいて前記ROI内において物理量を表す画像数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表される領域を特定し、前記特定した領域の位置とその内部で前記物理量が区分的に一様または区分的に多項式で表すことにより、前記第1段階の再構成よりも精度の高い第2段階の再構成を行うインテリアCTの画像再構成方法とする。
あるいは、第1の測定段階では低倍率で試料全体に電子ビームが照射される状況として画像データを取得し、第2の測定段階で目的とする画像解像度が得られるよう高倍率で画像データを取得し、第1及び第2の測定段階の取得画像データを用いて精度の高い第2段階の再構成を行うインテリアCTの画像再構成方法とする。
なお、本発明では、前記に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記物理量を表す投影データの数値は、当該撮影対象による前記電子ビームの吸収を含んでもよく、或いは、当該撮影対象による前記電子ビームの位相シフトを含んでもよく、或いは、当該撮影対象による前記電子ビームの回折を含んでもよく、或いは、当該撮影対象による前記電子ビームの散乱を含んでもよい。
前記インテリアCTの画像再構成方法において、前記ROI内において特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記第1段階の再構成により得られたCT画像を使用して人間が手動で設定してもよく、或いは、前記第1段階の再構成により得られたCT画像を使用して画像処理により設定してもよい。或いは、前記ROI内で、前記撮影対象の以前に取得したCT画像からの特定、前記撮影対象の構造を表すモデルや先験情報からの特定の少なくとも一つにより予め設定されていてもよい。なお、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して前記ROI内で特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記ROIの境界の一部を含んで形成されてもよい。
前記インテリアCTの画像再構成方法において、前記第1段階の近似的な再構成を、フィルタ補正逆投影(FBP)法、逐次近似法、統計的再構成法を含む従来のCTの画像再構成法の少なくとも一つにより実行してもよく、或いは、前記第2段階の再構成を、微分逆投影ヒルベルト変換法、拘束条件付き逐次近似法、及び、拘束条件付き統計的再構成法を含むCTの画像再構成法の少なくとも一つにより実行してもよい。
上述した本発明によれば、試料物体を通過する電子線の位相差を画像化し、電子線の位相差の分布を定量的に計測し、従来技術よりも、はるかに少ない先験的知識で厳密な画像再構成が可能な、より実用的なインテリアCTの画像再構成方法を備えた位相差CT透過電子顕微鏡装置を提供することが可能となる。
通常のCTとの比較により本発明が関わるインテリアCTについて説明する図である。 従来の厳密な再構成が可能になる場合と、従来の厳密な再構成が可能になる例を示す図である。 インテリアCTにおいて発生する典型的なアーティファクトの例を示す図である。 従来技術において、ゼルニケ位相板などを用いることにより得られる電子ビームを使用する位相差STEMの像生成原理を説明する図である。 従来技術におけるレーザー光の照射による電子ビームの振動を説明するための図である。 本発明の事前バンチャー式レーザー位相差TEMになる位相差走査透過電子顕微鏡装置の主要部分構成図である。 本発明の位相差透過電子顕微鏡装置の主要部分構成の変形例について説明する図である。 本発明の第1の実施例になる位相差透過電子顕微鏡装置の具体的な構成を示す図である。 上記位相差透過電子顕微鏡装置のレーザー発生装置の具体的な構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施例になる位相差透過電子顕微鏡装置の具体的な構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態になる位相差走査透過電子顕微鏡装置の全体構成図である。 本発明の第3の実施形態になる試料載置台及び試料載置台傾斜機構を備えた位相差走査透過電子顕微鏡装置の全体構成図である。 本発明の2段階画像再構成法の詳細を示すフローチャート図である。 本発明の2段階画像再構成法における不完全画像と厳密な画像の一例を示す図である。 従来の厳密な再構成が可能になる場合と、従来の厳密な再構成が可能になる例を示す図である。 本発明でいう区分的一様と区分的多項式について説明する図である。 先験的知識非同定型画像再構成法(実施例3)においてROI Sの一部に先験情報領域Bを設定する具体例を示す図である 先験的知識同定型画像再構成法(実施例1)と先験的知識非同定型画像再構成法(実施例3)の具体的なシミュレーション実験例を示す図である。 本発明の画像再構成方法である先験情報を利用することなくインテリアCTの数学的に厳密な画像再構成を実現する手法を説明する図である。 本発明の画像再構成方法を一般化する場合の考え方を説明する図である。 上記画像再構成方法を、180度平行ビーム、ファンビームショートスキャン、多角形軌道ファンビームスキャンに適用した場合の説明図である。 本発明の位相差走査透過電子顕微鏡装置の装置制御装置及びデータ蓄積装置を含む全体構成図である。 本発明の位相差走査透過電子顕微鏡装置の装置制御装置を含む全体外観図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<実施例1>
(偏光レーザー位相差TEM)
まず、本発明の基本的な考え方として、TEMの後方焦点面にレーザー焦点を導入し、当該レーザーの電場で後方焦点面内の電子位相を局所的に操作することであり、その際、レーザーの偏光方向(レーザーの電場の方向)を電子ビーム軸(電子の進行方向)と平行に導入することである。
TEMの後方焦点面にレーザー焦点を導入し、当該レーザーの電場で後方焦点面内の電子位相を局所的に操作することは、既に、R. Glaser et al.により提案されていた。しかしながら、この方式では、図5にも示すように、レーザーの偏光方向と電子の進行方向とは直交しており、原理的には、後方焦点面では、電子ビームはその進行方向に対して左右に振られ、もって光路長が延長して位相差を生じさせることとなるが、しかしながら、必要とされる90度程度の位相差を得るためには、数kW級の出力のレーザーが必要となり、実際の装置に組み込んで実現することは難しいことが分かった。
種々の検討によれば、対物レンズの後方焦点に収束するレーザー光を、レーザー偏光が電子ビームの軸と平行になるように導入し、当該レーザーの電場で局所的に電子を加速できれば、合計で5mW級のレーザーでも必要な90度の位相差を得られることが確認された。ただし、実際には、レーザーの電場は、光の周波数である300THz程度で向きが交代的に振動しているため、この周波数での加速と減速とが入り交じっており、さらに加速と減速では位相コントラストの明と暗が逆転しているために、位相コントラストがキャンセルされるため、そのままでは利用できない。
(事前バンチャー式レーザー位相差TEM)
そこで、本発明では、上記レーザー焦点に、加速(又は、減速)されるタイミングだけ電子を投入することによって上述した課題を解決するものであり、図6にも示すように、レーザー光の事前の照射により電子の速度変調を行い、速度変調された電子の自己集群化(バンチ化(bunching):即ち、レーザー・バンチャー)を利用して、対物レンズ後方焦点面のレーザー照射点への到着タイミングのレーザー振動数への同期化(タイミング調整)を行い、加速と減速とが入り交じることなく、電子を一方向(例えば、加速)に加速することにより、上述した必要な90度の位相差を得る。
可視領域波長のレーザー光は、直径d=1μmに絞り込む事が容易に可能であるが、例えば出力Pow=2.1mWのレーザーを用いれば、その電力密度はp=Pow/(π(d/2)2)=2.65 W/μm2となるが、真空のインピーダンスZ0=120πΩを用いれば、絞り込んだレーザー光の電場の強度は概ね E=√(p Z0)= 1V/μmとなる。このレーザー電場と平行な向きに光速に近い速度vの電子が入射した場合、直径d=1μmのレーザー焦点を通過するのに必要な時間は、レーザー光の振動周期(約300THz)と同程度であり、電子は+1eV程度から-1eV程度までの加減速を、レーザー光の振動に同期して受ける事になる。
電子の加速電圧Vと相対論係数γとの関係γ=1+eV/(mc2)、及び相対論係数γと速度vとの関係v/c=√(1-γ-2)に注意すると、加速電圧V=200kVの電子ビーム(質量m=511keV/c2) の場合、その速度vは光速c=3.00×108m/secの69.5%であり、eΔV=1eVの加減速による速度変調Δvは、Δv/v=(∂v/∂V)/v×ΔV=(v/c)-2γ-3×eΔV/mc2=1.50×10-6と求められる。
このΔvの速度変調を受けた電子が、距離L=0.3mを自由移動すれば、変調を受けていない電子に対して相対位置の差 ΔL = L×Δv/v = 0.45μmを得る事になる。その結果、距離L程度の自由移動により、交代する加速と減速の双方の効果として、加速された速い速度の電子が減速された遅い電子に追いつく事になり、電子の位置がレーザーの波長(1μm 弱)と同程度の間隔をもって集群化(バンチ化)される事が分かる。なお、この電子バンチの通過タイミングは、レーザーの周期に完全に同期している。
以上の説明では、加速器分野で用いられる集群化(バンチ化)の考え方を援用したが、実際の電子顕微鏡の電子ビーム内の電子ビーム軸方向の電子の密度(平均電子間隔は ve/I で与えられ、eは素電荷、Iはビーム電流で数百pA程度より、cmのオーダーとなる)は、電子ビーム軸方向のバンチの密度(バンチ間隔はレーザー光の波長のv/c倍となり、上記例ではv/c=0.695より、サブミクロンのオーダーとなる)よりも小さく、電子の集群化というよりも電子の入射タイミングのレーザー振動数への同期化と理解する方がより正確である。
即ち、以上に述べたことによれば:
(1)本発明に係る第1の観点は、電子源である電子銃と、前記電子線源と対物レンズの間に配置され、前記電子線源から放射された電子線に対してレーザー光を照射する第1のレーザー照射過程と、前記対物レンズの背後の焦点面上に配置され、試料を透過した電子線の焦点にレーザーを収束して照射する第2のレーザー照射過程と、結像光学系により試料像を電子線の強度分布として検出するスクリーンもしくは2次元電子線センサとを備えるように構成される透過電子顕微鏡である。
(2)上記(1)の構成において、第1および第2のレーザー照射過程でのレーザー電場の向きは、電子の進行方向と平行である事が重要であり、第1および第2のレーザーは、同じレーザー発振器より分波されて供給され、其々のレーザーの強度および相対位相を調整する機能とすることが好ましい。
(3)上記(1)の構成によれば、第1のレーザー照射過程において、試料透過前に照射されたレーザー光により電子ビームは速度変調を受け、電子の自由移動により電子の位置が集群化する過程を備える事となる。
(4)上記(1)の構成において、試料を透過した電子ビームは、第2のレーザー照射過程での電子ビームの後方焦点面上の焦点への収束レーザーの照射により、焦点近傍の電子ビームのみが一方的に加速もしくは一方的に減速される。他方、焦点から離れた電子ビームは、加速も減速もされず、このことにより、後方焦点面上の焦点近傍の電子ビームのみが位相変調を受ける事となる。
なお、後方焦点面上の焦点に照射する第2のレーザーに必要な出力は、集群化に必要な第1のレーザーの必要出力に比べ大幅に小さい値でよい。エネルギーをeΔVだけ変調を受けた電子波が、距離Lだけ自由伝播した場合の、電子波位相の相対変化は、h~=6.58×10- 16eV sを換算プランク定数(ディラック定数)として、電場に関するアハラノフ・ボームの関係式 ΔΦ = (e/h~)ΔVL/v により評価できる。即ち、位相差90度を得るのに必要な最小加速はΔV=(π/2) (h~/e)(v/L)で与えられ、電子ビームの加速電圧がV=200kVの場合、例えば、第2のレーザー照射の焦点からスクリーンまでの距離をL=20cmとすれば、第2のレーザー焦点での必要な最小加速電圧はΔV=1.08μV、必要最小レーザー出力はP=ΔV2/Z0 =3.09fW と求められる。
上記の必要最小のレーザー出力値は極めて小さな値であるが、電子位相は360度変化でもとに戻ることから、この必要加速の任意の奇数倍であってもよく、レーザー出力値はこの必要最小値の任意の奇数の2乗倍であってもよい。また、レーザー位相と電子バンチのタイミング位相とを最適値からずらすことにより、必要となる出力値を必要最小出力値から任意倍に増やす事もできる。このため、取扱いの容易なミリボルト加速、ナノワット出力のレーザー光を用いてもよい。
なお、よりコヒーレンスな実装としては、図7に示すような構成とすることも可能である。
上記した位相差透過電子顕微鏡の全体構成(第1の実施例)について、図8を参照しながら以下に詳細に説明する。なお、以下の説明では、電子顕微鏡を構成する各種の電子レンズは、実際には電磁場を形成するための電磁コイルにより構成されるが、以下の説明では、説明の簡素化のため、単にレンズを呼び、図中においても通常の光学レンズと同様の形態で示す。また、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ参照番号を付している。
図からも明らかな様に、本発明の一実施例になる位相差透過電子顕微鏡は、一般的な電子顕微鏡と同様に、例えば、真空鏡筒内に、電子銃31と共に、収束光学系を構成する第1のコリメートレンズ32、集光レンズ33、第2のコリメートレンズ34等を備えており、さらに、試料を所定の位置に保持する保持台(集合的に参照符号35で示す)、対物レンズ36、投影光学系を構成する投影レンズ37、そして、試料を透過した電子線により電子線を検出して映像を形成するための電子検出装置38を構成するスクリーンや2次元検出器を備えている。
本発明によれば、上述した構成において、更に、後にその詳細を説明するレーザー発生装置40が設けられており、当該レーザー発生装置40からのレーザー光は、シングルモードかつ偏光面を保持する光ファイバー41−1を介して、バンチャー用レーザー照射装置50と位相調整用レーザー照射装置60とに供給され、それぞれ、電子線に照射される。
バンチャー用レーザー照射装置50は、電子線の進行方向と平行な電場の向きに偏光されたレーザー光(図中の矢印を参照)を、電子銃31から放出された電子ビーム全体に照射する機能をもっている。なお、本例では、当該バンチャー用レーザー照射装置50は、コリメートレンズ51や集光レンズ52等を備えており、電子銃31から放出された電子ビームを集光する集光レンズ33の焦点面に沿って配置されている。これにより、焦点に収束された電子ビームに対し、光ファイバー41−1からの偏光されたレーザー光を収束して照射する。
その結果、上記バンチャー用レーザー照射装置50から照射されるレーザー光の周波数で交替する電場により、電子ビームは、当該レーザー光の周波数で交替して加速(もしくは減速)され、換言すれば、電子ビームはレーザー光の周波数で速度変調を受けることとなる。なお、このようにして速度変調をうけた電子ビームは、顕微鏡鏡筒内における進行により、自発的に集群化(バンチ化:bunching)する。なお、電子の集群が通過する周期は、レーザーの振動数に一致している。
その後、集群化した電子ビームは試料を透過し、図にも示すように、対物レンズ36の働きにより、後方焦点面には、電子線の焦点と共に試料による回折パターンが現れる。
一方、位相調整用レーザー照射装置60は、同様に、レーザー発生装置40から光ファイバー41−2を介して供給された、電子線の進行方向と平行な電場の向きに偏光されたレーザー光(図中の矢印を参照)を、上述した対物レンズ36により後方焦点に収束された電子線に照射する機能を有する。なお、本例では、当該位相調整用レーザー照射装置60も、上記バンチャー用レーザー照射装置50と同様に、コリメートレンズ61や集光レンズ62等を備えており、対物レンズ36の後方焦点面に沿って(もしくは近傍に)配置されている。これにより、電子ビームの焦点に対してのみ、光ファイバー41−2からの偏光されたレーザー光が収束されて照射される。即ち、電子の集群が通過する周期はレーザーの振動数に一致している為、位相調整用レーザー照射装置60によるレーザー照射過程においては、電子線の焦点近傍のみが、一方的に、加速(もしくは減速)されることとなり、このことにより、必要な90度の位相差を得ることが可能となる。
なお、上述した構成においては、バンチャー用レーザー照射装置50と位相調整用レーザー照射装置60は、鏡筒長さよりもコヒーレント長が長い単一のレーザー発振器により生成されたレーザーを照射するように構成されている(例えば、本例では300mW以上)。また、バンチャー用レーザー照射装置50による集群化は、位相調整用レーザー照射装置60の照射部において最大となる様に設定されている。
ここで、上記レーザー発生装置40の具体的な構成の一例を、図9に示す。この図からも明らかなように、レーザー発生装置40は、シングルモードのDPSSレーザー発振器401、分光ミラー402−1、402−2、そして、ダンパー403を含んでいる。なお、本例では、このレーザー発振器401として、例えば、532nmの波長で、300mWの出力のSingle Mode DPSS Laser LASOS GLK-532-300(登録商標)を使用した。このレーザー発振器401により発生されたレーザー光は、例えば、ダイクロイックミーラーなど、所望の偏光成分だけを選択的に反射することのできる分光ミラー402−1、402−2により、それぞれ、その一部が反射されて分岐された後、ダンパー403に吸収される。このように、同一のレーザー発振器と複数の分光ミラーを用いることで、複数の同一位相で所定の方向に偏光したレーザー光が、比較的簡単な構成により得られる。また、本例では、分光ミラー402−1、402−2としては、UVFS Beamsplitter Newport 10Q40BS.1x2(登録商標)を使用した。
分光ミラー402−1により反射されたレーザー光は、第1段目において、強度変調器404−1、位相変調器405−1において所望の強度および位相に変調され、カップラー406−1を介して上記光ファイバー41−1へ結合されている。また、分光ミラー402−2により反射されたレーザー光も、第2段目において、同様に、強度変調器404−2、位相変調器405−2において所望の強度および位相に変調され、カップラー406−2を介して上記光ファイバー41−2へ結合されている。なお、ここでは、強度変調器404−1、404−2として、Amplitude Modulator Newport 4102 NF(登録商標)を、位相変調器405−2、405−2として、Phase Modulator Newport 4002(登録商標)を、そして、カップラー406−1、406−2として、Single Mode Fiber Couple r Newport F91-C1(登録商標)を採用した。また、上記の光ファイバー41−1、41−2には、Pol. Maint. Fiber Corning F-PM480(登録商標)を採用した。
上記のレーザー発生装置40には、更に、上記強度変調器404−1、404−2および位相変調器405−2、405−2を制御するための制御回路/アンプ407とその制御装置である制御PC408を備えている。なお、ここでは、上記第1段目の構成(即ち、強度変調器404−1、位相変調器405−1、カップラー406−1)からのレーザー光は、光ファイバー41−1を介して、上記バンチャー用レーザー照射装置50へ導かれており、上記第2段目の構成(即ち、強度変調器404−2、位相変調器405−2、カップラー406−2)からのレーザー光は、光ファイバー41−2を介して、上記位相調整用レーザー照射装置60へ、それぞれ、導かれている。即ち、2本の照射レーザーのパラメーター調整により、電子ビームの焦点近傍の位相変化量は、任意に設定可能となっている。
上述したレーザー発生装置40の構成によれば、その第1段目の強度変調器404−1および位相変調器405−1によってバンチャー用レーザー照射装置50へのレーザー光の相対位相を変化させ、また、その第2段目の強度変調器404−2および位相変調器405−2によって位相調整用レーザー照射装置60へのレーザー光の強度の変化することが可能となる。即ち、上述した第1および第2のレーザー照射過程でのレーザー光の強度を調節することにより、対物レンズの後方焦点面上の焦点近傍のみの電子線の位相を、非接触に、変調することがでる。換言すれば、従来のゼルニケ位相板と同等の効果を得る事ができることとなる。その際にも、電子ビームを損失する過程は存在せず、試料を透過したビームを無駄なく使う事ができ、もって、試料の電子線被曝を最小化する事が可能となる。
また、照射レーザーの相対位相や強度は、高速に制御することが可能な量であり、そのことにより、電子線の位相変調量も、同様に、高速に制御可能となっている。このため、位相変調量を変えながら複数の像を撮影することにより、試料を透過した電子ビームの位相と振幅の両方を短時間に取得する事も可能である。即ち、このことによれば、透過電子ビームの位相と振幅の両方を同時に計測する複素画像計測が可能となり、撮影後の画像処理によるピンボケの補正が可能となる。
また、位相変調量を変えながら3枚以上の像を撮影することにより、連続的な位相変調に対する各点でのコントラスト変化量の振幅の大きさを示すビジビリティと呼ばれる量の分布、即ち、ビジビリティ像を取得することも可能となる。また、上記に詳述した位相差透過電子顕微鏡によれば、透過電子顕微鏡における対物レンズの後方焦点面上において、試料により散乱された電子線を損なうことなく、透過した電子線のみを位相変調して所要の90度の位相差を得ることが可能となることから、高いコントラスト(=試料による光量変化/背景光量)を実現することが可能となる。
<実施例2>
上述した実施例では、バンチャー用レーザー照射装置50は、電子源である電子銃31と対物レンズ36との間に、より具体的には、電子銃31に近接した集光レンズ33の焦点位置に対応して配置され、当該バンチャー用レーザーの照射による集群化は、位相調整用レーザー照射装置60の照射部において最大となる様に設定されていた。しかしながら、上記対物レンズ36にはレーザーにより速度変調をうけた電子ビームが投入され、上記対物レンズ36の色収差による影響を受け易いという課題もあった。
そこで、本発明の第2の実施例になる位相差透過電子顕微鏡では、上述した課題を解消するため、上記バンチャー用レーザー照射装置50による電子の自己集群化(バンチ化)の領域を所定の領域に規定して、速度が一定のバンチ化された電子ビームを対物レンズに投入するものであり、これを図10により説明する。
図からも明らかなように、この第2の実施例になる位相差透過電子顕微鏡では、上記図10に示した構成において、更に、電子の速度変調を元に戻すための、所謂、デバンチ化(debunching)を行う。具体的には、第2のコリメートレンズ34の下方に、更に、第2の集光レンズ33'と第3のコリメートレンズ34'を設け、バンチャー用レーザー照射装置50でバンチ化された電子ビームに対してデバンチ化のためのレーザー光を、デバンチャー用レーザー照射装置50'により、照射する。即ち、このデバンチ化のためのレーザー光の照射により、一旦、バンチャー用レーザー照射装置50により自己集群化(バンチ化)された電子ビームの速度変調を元に戻し、自己集群化(バンチ化)済の速度一定の電子ビームにする。
その後、自己集群化(バンチ化)済の電子ビームが試料を透過し、対物レンズ36の働きにより、後方焦点面には、電子線の焦点と共に試料による回折パターンとして現れる。その後、こられをスクリーンや2次元検出器からなる電子検出装置38により検出して映像として形成することは上記と同様である。
なお、この場合、デバンチャー用レーザー照射装置50'も、上記バンチャー用レーザー照射装置50と同様、コリメートレンズ51'や集光レンズ52'等を備えており、レーザー発生装置40から光ファイバー41−1'を介して供給された、電子線の進行方向と平行な電場の向きに偏光されたレーザー光(図中の矢印を参照)を第2の集光レンズ33'の後方焦点に収束された電子線に照射する機能を有する。なお、その場合、上記レーザー発生装置40は、ここでは図示しないが、上記図9の構成に加え、更に、第3段目の強度変調器、位相変調器、カップラーを設け、その出力をファイバー41−1'へ結合すればよいことは、当業者であれば自明である。
以上、詳細に述べたように、本発明になる位相差透過電子顕微鏡装置によれば、従来の位相差電子顕微鏡法に用いる位相板の機能を、レーザー光を用いて非接触に実現する事が可能となる。このことによれば、従来の位相板では帯電防止のために必要であった高温加熱(例えば、300°C)の必要もなく、そのため、当該位相板に近接して配置される試料、特に、凍結試料(例えば、−196°C)への熱的負担を解消し、広い分野での適用が可能で、操作性にも優れた電子顕微鏡装置を実現することができる。
また、従来の位相板とは異なり、必要な電子線の位相差を、レーザー光を用いて非接触に実現する事から、位相板のような破損などもなく、半永久的に利用可能であり、更には、その位相変化量可も制御可能であることから、複素位相イメージング、およびビジビリティ・イメージングを容易に可能とする他、試料の電子線被曝を最小化することが可能となる。
以上、本発明の実施例になる位相差透過電子顕微鏡装置について述べた。しかしながら、本発明は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一邪を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一邪について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
(CT像データの取得方法)
<実施例3>
上述した実施例1及び2の位相差透過電子顕微鏡装置により明視野検出器38に試料35の位相差TEM像が得られる。CT像を撮像するためには、図11(a)に示す試料を保持する試料ホルダ71に搭載する。試料ホルダ71の先端には試料固定冶具72があり、これにより試料ホルダに試料を固定・搭載する。この試料ホルダは位相差TEMの内部に挿入され、試料位置は図11(b)に示すように真空外から電子ビームに垂直な面(X,Y)位置及び傾きαを操作可能である。試料は前記電子ビーム(主プローブ及び参照ビーム)の中心軸に対し角度αで傾斜させ、前記電子ビームに垂直な面で傾斜軸を180度以上360度以下の角度θで回転制御可能な駆動機構を備えている。試料ホルダ72はこれらの位置及び傾き調整に対して、電子ビームが試料を透過することができるように円錐状の空洞を有している。試料を傾斜角αで測定したときの状態を図11(c)に示す。異なる傾斜角αで測定すると試料の同一面が傾きαで投影された像が計測され、αを変化させることにより異なる投影面が得られる。
前記電子ビームの中心軸を試料軸Zと並行とし、試料軸XYを前記電子ビームに直交する面内での移動軸とし、任意の試料位置の位相差TEM像を取得する。また、任意の試料位置で試料軸Zを中心として角度α傾斜させた試料の位相差TEM像を取得する。一定の角度Δα及びΔθ毎に傾斜・回転させて位相差TEM像を取得することにより、試料に入射する電子ビームの方向をある程度の範囲ではあるが変化させることが出来、CT像データの取得が可能である。半導体等の結晶試料では前記電子ビームに対する試料の角度を調整するため、もう一つの軸φで回転制御し、特定の結晶面や試料面を前記電子ビームと並行に撮像することが好ましい場合がある。このような場合のために、φでの回転制御が可能であってもよい。本実施例ではαの最大角は35度とした。図12に試料の傾斜制御が可能な試料載置装置を備えた第3の実施例を示す。図中70は試料の位置(X、Y)及び傾斜角度α、回転角度θ及びφの角度制御を行う試料載置調整装置を表す。
電子顕微鏡の画像は一般的に高倍率で撮像されるため、前記試料回転軸で回転させたとき、機械的精度の問題で回転軸がXZ面で不規則に移動する場合が多い。このような前記CT像データを用いてCT像を再構成すると、不充分な空間分解能のCT像となる。これを防ぐために、位置特定が可能な試料の特徴点を複数抽出するか、試料に金の微細粒子を微量塗布して特徴点とし、前記試料の回転角θに対し明視野検出器36上の全体像の位置を補正する。この方法は非特許文献3でFiducial Marker法として知られている。
前記のようにCT再構成するためのCT像データを得ることができるが、TEM像で試料35の特定の部位のCT再構成を行う場合、高倍率撮像では完全なCT像データが得られない場合が多い。試料の形状が平面形状となっている場合が多いとともに、前記明視野検出器38の撮像範囲に試料35の全体が収まらない場合もあり、インテリアCTを用いたCT画像の再構成が必要となる。
(インテリアCTの画像再構成法)
<実施例4>
本発明では、測定した投影データから先験的知識を同定する手法(先験的知識同定型画像再構成法)と、同定せずに(どんな画像でも概ね近似的に当てはまる)画像の周辺部に固定する手法(先験的知識非同定型画像再構成法)を開発した。
図13は、本発明の2段階画像再構成法の処理の流れを示す。第1ステップ(S61)では、先験的知識なしで従来のFBP法、逐次近似画像再構成法、統計的画像再構成法などを用いて、アーティファクトを含む不完全画像を生成する。この不完全画像はアーティファクトを含むが、インテリアCTで発生するアーティファクトは低周波成分であるため、組織や構造物などの境界の情報はほとんどの場合、正確に生成されている。図7(a)にも示す上記の不完全画像から、ユーザが手動やソフトウェアを用いた画像解析(処理)により、先験的知識として使用できるROI 内の任意小領域である領域Bを特定する(S62)。
第2ステップでは、第1ステップで得られた領域Bを先験的知識に使用して、図14(b)に示すように、厳密な画像再構成法により(即ち、第1段階の再構成よりも精度の高い)画像再構成を行う(S63)。なお、第1ステップによりどのような先験情報領域Bが抽出できたかにより決定する。
ここで、上記の不完全画像から得られた結果は、以下の[結果1]〜[結果4]の4つに要約される。例えば、一定値のBであれば[結果1]を、一定値とは言えないが多項式の濃度変化に近いBであれば[結果2]を、区分的一様のBであれば[結果3]を、そして、区分的多項式の濃度変化に近いBであれば[結果4]を選択して用いる。
[結果1(一定値先験的知識)]
図15(a)に示すように、ROI の内部に任意の小さな先験情報領域Bが存在し、Bにおいて前記の画像f(x,y)が一定値C(constant)であることが既知であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まる。この結果1は非特許文献5、6の厳密解法の先験的知識を少なくしたものとなっている。
[結果2(多項式先験的知識)]
図15(a)に示すように、ROI の内部に任意の小さな先験情報領域Bが存在し、Bにおいて前記画像f(x,y)がM次の多項式(polynomial)であることが既知であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まる。ここで、多項式とは、前記画像f(x,y)の濃度変化が以下の形をしていることである。
Figure 2019067555
ただし,多項式の次数Mは既知である必要があり,多項式の係数amnは未知で良い。[結果1]は、[結果2]において多項式の次数をM=0に設定した関数の形の制限を強くしたものであり、即ち、[結果2]は[結果1]の先験的知識を少なくしたものになっている。
[結果3(区分的一様先験的知識)]
図15(a)に示すように、ROI の内部に任意の小さな領域Bが存在し、Bにおいて前記画像f(x,y)が区分的一様(piecewise constant)であることが既知であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まる。ここで、区分的一様とは、図4に示すように、Bが有限個(L個)の領域D1,D2, …,DLから構成され各領域で一定値C1,C2, …,CLであることである。ただし、領域数Lと一定値C1,C2, …,CLの値は事前に未知で良く、[結果3]は[結果1]の先験的知識を少なくしたものとなっている。
[結果4(区分的多項式先験的知識)]
図15(a)に示すように、ROI の内部に任意の小さな領域Bが存在し、Bにおいて前記画像f(x,y)がM次の区分的多項式(piecewise polynomial)であることが既知であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まる。ここで、区分的多項式とは、図16に示すようにBが有限個(L個)の領域D1,D2,…,DLから構成されl番目の領域の画像fl(x,y)の濃度変化が以下の形をしていることである。
Figure 2019067555
ただし、多項式の次数Mは既知である必要があり、領域数Lと多項式係数amn (l)は未知で良く、[結果4]は、[結果2]と[結果3]の先験的知識を少なくしたものとなっている。
このように、厳密な画像再構成を行うために必要な物体に関する先験的知識を理論的に考察して、上記従来技術(非特許文献5と6、特許文献1)に述べられている先験的知識より、はるかに少ない先験的知識で厳密な画像再構成を可能とした。
上記非特許文献5と6では、[結果1]〜[結果4]と同じROI 内の任意小領域Bの先験的知識を用いているが、画像f(x,y)の値そのものが必要であるのに対し、本発明では、[結果1]〜[結果4]では画像f(x,y)の値が(区分的)一様または(区分的)多項式など、はるかに少ない先験的知識だけで良い点で大きく異なる。また、非特許文献7では、区分的一様タイプの先験的知識を用いているが、ROI 内の任意小領域Bではなく、ROI 全体で区分的一様という無理な仮定が必要な点で異なる。
また、図5(a)〜(c)には、上記[結果1]〜[結果3]の先験的知識を用いた場合の実際の再構成例を示す。どの場合も、少しの先験的知識により大きなアーティファクトの低減が達成できていることがわかる。
<実施例5>
上記の実施例4で説明した発明により、インテリアCTの厳密な画像再構成に必要な先験的知識ははるかに少なくできた。しかしながら、実際のCTイメージングにおいては、撮影前に対象とする物体に関する先験的知識が分かっている場合は比較的少ない。そこで、実施例5では、上記の図13に示した処理の流れにおいて、ステップS62で先験的知識として使用できるROI 内の任意小領域である領域Bを自動的に同定するものである。この先験情報領域の自動的同定は、例えば、画像解析(処理)技術を利用することによって実現可能である。
<実施例6>
上記の実施例5の先験的知識自動推定型画像再構成法の成否は、第1ステップにおける先験的知識(領域B)の同定が上手くできるか否かに依存する。そこで、更に本実施例6では、領域Bを同定しないで画像再構成を行う「先験的知識非同定型画像再構成法」である。ROI 周囲の縁の部分が区分的一様または区分的多項式であるという仮定は厳密には正しくないため、本手法は近似的な画像再構成法に止まるが、しかし、多くのCTイメージングの状況では[知見3]が成立するため、ROI の周囲である縁の部分に固定して配置することにより、図17(a)〜(c)に示すように、先験的知識を利用しない他の近似的画像再構成法と比較して、はるかに精度高く画像再構成できる。
図18(a)〜(f)には、先験的知識同定型画像再構成法(実施例1)と先験的知識非同定型画像再構成法(実施例3)の具体的なシミュレーション実験例を、従来技術との比較により示す。実験には胸部CT画像を用い、中央に位置する心臓部分がROI Sとして画像再構成を行った(図18(a)参照)。
実施例4では、第1ステップのFBP法による再構成画像をユーザが見て先験情報領域BをROI S内に指定して、第2ステップの厳密な画像再構成を行った(なお、用いた先験的知識は[結果3]に対応するBで区分的一様である)。その結果を図18(e)に示す。また、実施例6では、ROI Sの周辺部(図17(c)の額縁型)に先験情報領域Bを固定して画像再構成を行った(なお、用いた先験的知識は[結果3]に対応するBで区分的一様である)。その結果を図18(f)に示す。
また、比較例として、投影データの欠損部分を滑らかな関数で外挿してFBP法を適用するローカルFBP法による結果を図18(b)に、同じ先験情報領域Bにおける画像f(x,y)の真値を先験的知識に用いた手法(非特許文献5、6)による結果を図18(c)に、小さな先験情報領域BのみではなくROI S全体に対して区分的一様の拘束であるトータリバリエーション(TV:Total Variation)をかける圧縮センシング法(非特許文献7)による結果を図18(d)に、それぞれ、示す。
これらの結果から明らかなように、ローカルFBP法では強いカッピング効果が発生して画像劣化が著しく、圧縮センシング法ではTVの影響により細部や滑らかな濃度変化がかなり失われている。これに対して、本発明の実施例4及び6の手法では、いずれもアーティファクトを削減してかなり上手く画像再構成できていることがわかる。
[画像再構成法]
上述した[結果1]〜[結果4]の解の一意性に基づいて投影データから画像を生成する画像再構成法について説明する。まず、画像f(x,y)と投影データp(r,θ)を離散化したベクトルを、各々、f,bで表し、画像に投影データを対応づける投影演算行列をAで表す。ただし、画像fはROI S内の画素のみではなく、断面内の物体存在領域に属する全ての画素を含め(注意が必要)、投影データベクトルbは全ての測定値を一列に並べて作成する。また、先験情報領域Bにおいて先験的知識が満足されているかどうかを評価する評価関数をF(x)で表す。このとき、画像再構成は以下の3つの最適化問題のいずれかとして定式化できる。
[定式化1]
Figure 2019067555
[定式化2]
Figure 2019067555
[定式化3]
Figure 2019067555
ただし、f∈Cは画像に関して事前に分かる拘束条件を表し、以下のものが良く用いられる。
(a)(サポート拘束)画像fが事前に既知であるサポート領域ΩOBJの外側でゼロになる。
(b)(非負条件)画像fの成分は負の値を取らない。
(c)(ヒルベルト直線上の投影データ値)後述するヒルベルト変換を用いた画像再構成法では、Af=bをHf=cに書き換える際の情報のロスを補うため、後述するヒルベルト直線L(u)上の投影データ値が用いられる。
もしもF(x)が凸関数と呼ばれる局所的最適解(local minimum)が存在しない関数であれば、上述の問題を解く反復解法または非反復解法は、数理最適化分野や画像再構成分野で多数知られており、これらの手法が全て利用可能である。例えば、拘束条件付統計的画像再構成法や拘束条件付逐次近似法などが利用できる。また,別のクラスの画像再構成法として、微分逆投影(DBP:Differentiated Back Projection)と呼ばれる後述する枠組みに基づき、画像再構成法を構築することが可能である。DBP法の詳細は後述するが、DBP法ではAf=bで表される画像fと投影データbの関係式をそのまま用いるのではなく、一旦、DBPと呼ばれる手法により画像fとヒルベルト画像(Hilbert image)と呼ばれる不完全な画像cの関係式Hf=cに変換して、以下のように定式化して画像再構成を行う。このクラスの手法は、微分逆投影+トランケーションヒルベルト変換法などの名称で呼ばれる(非特許文献5と6、特許文献1)。
[定式化4]
Figure 2019067555
[定式化5]
Figure 2019067555
[定式化6]
Figure 2019067555
もちろん、上述のように定式化した問題は反復解法または非反復解法を用いて解く。
次に,本発明において厳密または正確な画像再構成を行うキーである先験情報領域Bにおける先験的知識を評価する評価関数F(x)について説明する。
まず、F(x)を設計するにあたって、ROI S全体に対して先験的知識に基づく拘束条件をかける非特許文献7や非特許文献8の手法と異なり、本発明の画像再構成法ではS内の任意小領域である先験情報領域Bのみに拘束条件を課す。[結果1]の場合はf(x,y)の一回導関数がB内でゼロになる先験的知識であるから、Bにおけるf(x,y)の一回導関数のノルムを最小化するか、または、B内の濃度変化のばらつき(分散)を最小化すれば良い。[結果2]の場合は、f(x,y)のM+1回導関数がB内でゼロになる先験的知識であるから、M+1回導関数のノルムを最小化するか、f(x,y)とf(x,y)((x,y)∈B)にM次の多項式を当てはめた関数との誤差を最小化すれば良い。[結果3]の場合は、f(x,y)がB内で区分的一様になる先験的知識であるから、B内におけるL0ノルムまたはL1ノルムに基づくトータルバリエーション(TV:Total Variation)ノルムを最小化すれば良い。[結果4]の場合は、f(x,y)のM回導関数がB内で区分的一様になる先験的知識であるから、M+1回の導関数に基づき定義されたTVノルムを最小化すれば良い。
典型的なF(x)の例を表1に示す。ただし、表1においてパラメーターpはノルムの次数であり、その値は[結果1]と[結果2]では0≦p≦2で良いが、[結果3]と[結果4]では一様またはM次の多項式の濃度変化を持つ有限個(L個)の部分領域の境界の影響が過度に大きく評価されるのを避けるため、0≦p≦1を用いる必要がある。ただし、0≦p<1の場合には、F(x)は凸関数にならないため、反復解法や非反復解法に工夫が必要であり、p=1を用いるのが良いと言える。なお,表1に示したF(x)で複数の候補があるものは数値実験によるテストを行ったが、どれも概ね良好に動作して大きな差は見られなかった。
Figure 2019067555
(低倍率による全体画像データを用いたインテリアCT厳密解法)
<実施例7>
更に、上述したように従来技術における対象物に関する先験情報を利用することなく、インテリアCTの数学的に厳密な画像再構成を実現する手法について、以下に詳述する。
インテリアCTにおいて解の一意性(画像再構成問題の解が一つに定まること)が成り立ち、厳密な画像再構成を可能にするためには、インテリアCT投影データに加えて、何らかの付加的な情報が必要である。本実施例ではこれに代わるものとして、インテリアCTでは通常は測定しない投影データ、即ち、画像を得たい領域ROIΩを通らない余分な投影データを測定して、この補足データを利用する。即ち、本発明実施例7の厳密解法の重要な特徴は、ROIΩを通らない必要最小限の余分な投影データを測定することにある。
特に試料撮像の倍率を変更可能な撮像光学系をもつことにより、試料全体像を撮像し、その一部をROIΩを通らない余分な投影データとて、補足データを利用することが有効な方法となる。
上記の手法は電子線、X線、中性子線等の顕微CTの多様な光学系にも適用できる一般性を有するが、まず、試料が回転することにより相対的に電子線源が円軌道上を360度動くファンビームCTについてその原理を説明する。図19(a)に示すように、360度の円軌道のファンビームCTにおいて、ROIΩを通過する電子線のみを照射して投影データを測定するインテリアCTの状況を考える。もちろん、インテリアCT投影データだけでは数学的に厳密なROI Ωの画像再構成は不可能であり、図19(b)に示すように、付加的な情報として、円軌道の一部の円弧セグメントEから対象物全体をカバーする電子線を照射して、全体の投影データを測定する。この部分的な全体投影データ(以下、単に「全体投影データ」とも言う)をインテリアCT投影データに加味して、厳密なROI Ωの再構成ができるようにしたところ、円弧セグメントEの任意の、一点ではない小さな円弧セグメントで全体投影データがあれば、厳密なROI Ωの画像再構成が可能であることが数学的に証明できた。
また、上記の問題に対しては、過去の対象物に関する先験情報を用いたインテリアCT厳密解法の研究で解の一意性を示すツールとして使用された微分逆投影(DBP: Differentiated Backprojection)法とトランケーションヒルベルト変換を組み合わせた画像再構成法(非特許文献[5]-[9])では証明できないが、FBP法におけるフィルタリング処理にトランケーションヒルベルト変換を導入した新しい画像再構成法を用いることで証明した。ここで、本発明で明らかになった360度円軌道ファンビームCTにおけるインテリアCT画像再構成問題の解の一意性をまとめると、次のようになる。
[解の一意性]
インテリアCT投影データに加えて任意の円弧セグメントE(いくら小さくともよい)の全体スキャン(左右のトランケーションなし)投影データがあれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意である。
<得られたインテリアCTにおける解の一意性>
ここでは、後に説明するFBP法のフィルタリング処理にトランケーションヒルベルト変換を導入した新しい画像再構成法に基づき証明することに成功した、インテリアCT画像再構成における解の一意性の結果をまとめて述べる。なお、記号の定義として、対象画像(物体)をf(x,y)、ROIをΩで表す。
まず、図20に基づいて、一般化する際の考え方を述べる。任意の幾何学系を用いた場合において、物体の直線上の線積分値の集合を測定している点は共通であり、両者の投影データの間には座標変換の関係が成立する。そこで、任意の幾何学系で測定した投影データを、一旦、図20(a)に示すように、仮想的な360度円軌道ファンビームCTの投影データに座標変換して、そのデータが360度円軌道ファンビームCTの場合における一意性の条件を満足しているか調べ、任意の幾何学系で測定した投影データに適用可能な解の一意性を導出すると、最終的に、次の結論が得られる。
[解の一意性(任意の幾何学系)]
以下の2つの両方の条件が満足されるように投影データが測定されていれば、ROI Ωで画像f(x,y)は一意に定まり、Ωの厳密な再構成が可能である。
(条件1)ROI Ωを通る全ての投影データが測定されていること(インテリアCTの測定条件)。
(条件2)物体外部にある任意の(物体を内部に含むある円に対応する)小円弧セグメントEを通る全ての直線上の投影データ(部分的な全体投影データ)が測定されていること(解を一意に定めるために余分に測定する投影データの条件)。
ただし、小円弧セグメントEの長さは、物体を内部に含むある円に対応するセグメントであり、一点ではないならばいくら短くともよく、どの場所にあってもよい。上述した2つの幾何学的条件の意味を、図20(b)に示す。
更に、上述の一般化した解の一意性が有効な3つの事例を以下に述べる。
(a)180度平行ビームスキャンの場合
CTのデータ収集法の中で、電子線撮像では最も基本的な180度平行ビームスキャンでインテリアCTを実施する場合を考える。動径をr、角度をθとして投影データをp(r,θ)(投影角度範囲-π/2≦θ<π/2)で表す。いま、-ε≦θ≦ε(εは小角度)の角度範囲では(トランケーションなしの)全体投影データが測定され、それ以外ではインテリアCT投影データしか測定されないとする。このとき、小円弧セグメントEを図21(a)に示すようにとれば上述の解の一意性の条件を満足していることが分かり、ROI再構成の解は一意である。
[解の一意性(180度平行ビーム)]
-π/2≦θ<π/2の角度範囲のインテリアCT投影データに加え任意の小角度範囲E(いくら小さくともよい)で全体投影データを測定すれば、ROI Ωで画像f(x,y)は一意に定まり、Ωの厳密な再構成が可能である。
なお、この一意性は、360度円軌道ファンビームCTの場合の解の一意性において円軌道の半径を無限にした極限と解釈することができ、180度平行ビームスキャンにおいても360度円軌道ファンビームCTと同様な解の一意性が成立する。なお、この結果は任意の幾何学系に一般化した一意性を用いて初めて証明できる。
(b)ファンビームショートスキャンの場合
図21(b)に示すファンビームショートスキャンの場合を考える。円軌道上のX線源の位置をβ∈[-π/2-αmax,π/2+αmax)(αmaxはショートスキャンの条件から決まるオーバースキャン角度、非特許文献[11])、直線検出器上の座標をuとしてファンビーム投影データをg(u,β)で表す。いま、-ε≦β≦ε(εは小角度)の角度範囲で(トランケーションなしの)全体投影データが測定され、それ以外ではインテリアCT投影データしか測定されないとする。このとき、小円弧セグメントEを図21(b)に示すようにとれば、上述の解の一意性の条件を満足していることが分かり、ROI再構成の解は一意である。
[解の一意性(ファンビームショートスキャン)]
-π/2-αmax≦β<π/2+αmaxの角度範囲のインテリアCT投影データに加えて、任意の小角度範囲E(いくら小さくともよい)で全体投影データを測定すれば、ROI Ωで画像f(x,y)は一意に定まり、Ωの厳密な再構成が可能である。
(c)多角形軌道を用いたファンビームスキャン:
図21(c)に示す正五角形軌道を用いたファンビームスキャンを考える。正五角形軌道上のX線源の位置をβ∈[-π,π)(βは正五角形の中心から軌道上の点を見た方位角)、直線検出器上の座標をuとしてファンビーム投影データをg(u,β)で表す。今、-ε≦β≦ε(εは小角度で正五角形軌道の一辺がEになるように決定)の角度範囲では(トランケーションなしの)全体投影データが測定され、それ以外ではインテリアCT投影データしか測定されないとする。
このとき、小円弧セグメントEを図21(c)に示すようにとれば、上述の解の一意性の条件を満足していることが分かり、ROI再構成の解は一意である。
[解の一意性(多角形軌道を用いたファンビームスキャン)]
-π≦β<πの角度範囲のインテリアCT投影データに加えて、任意の小角度範囲E(いくら小さくともよい)で全体投影データを測定すれば、ROI Ωで画像f(x,y)は一意に定まり、Ωの厳密な再構成が可能である。
<実施例9>
位相差CT走査透過電子顕微鏡装置の全体構成の実施例について図22を用いて説明する。位相差CT走査透過電子顕微鏡装置は電子銃31、照射光学系32、スキャンコイル33、収束光学系34、対物レンズ35、そして、検出手段として、電子線の強度を検出する明視野検出器36を備えている。更に、本発明の特徴の一つであるFZP40及びその載置装置43、STEM像面には試料50が配置され、試料位置及び姿勢を制御可能な試料載置装置51からなる。これらの装置は図23に示す鏡筒70に設置される。
位相差CT走査透過電子顕微鏡の制御は制御装置60により行う。制御装置にはFZP位置制御・試料位置及び姿勢制御・検出器信号用のインターフェース装置62、照射光学系・スキャンコイル・収束光学系・対物レンズ制御用インターフェース63、電子銃制御用インターフェース64が制御装置に接続され、所望の電子顕微鏡像が得られるようになっている。また、取得された大容量の画像はデータ蓄積装置61に格納される。
インテリアCTによる試料画像を取得するため、次の工程により画像取得を行う。
(a)画像の倍率を変更し2回以上複数回の画像測定を行う
1回目の投影データ測定は少なくとも試料50のX方向の全てをカバーするような倍率に設定して行い、画像情報データ蓄積装置61に保存する。このとき、試料を回転軸Ryにて微小ステップで回転させ、これらのステップ毎の投影データも保存しておく。試料の回転範囲は必ずしもCT画像が得るための回転範囲をとる必要は無い。1回目の画像取得により、所望の高分解能画像測定範囲ROIΩを特定し必要な拡大倍率を定める。
次に所望の高分解能画像測定範囲ROIΩが画像検出器36に全て入る倍率に変更してRy軸の回転により、2回目の測定はROIΩを通過する電子線のみを照射してインテリアCT投影データ全てが測定されるように行い、画像情報データ蓄積装置61に保存する。これにより、インテリアCT画像を再構築するためのデータ取得が行える。
(b)位置合わせのScout-Viewスキャン投影データを全体投影データに利用する
撮影を行う前に見たいROIΩを上手く視野内に収める位置決めの目的で、物体全てが視野内に入るような低倍率のScout-Viewスキャンが行われる。このScout-Viewスキャンの機能を利用して、低倍率の投影データを、部分軌道Eの全体投影データとして利用することができる。
次にScout-Viewスキャンにより特定したROIΩに対して2回目の測定が行われ、Ry軸の回転により、ROIを通過する電子線のみを照射してインテリアCT投影データ全てが測定され、画像情報データ蓄積装置61に保存される。これにより、インテリアCT画像を再構築するためのデータ取得が行える。
画像情報データ蓄積装置61に保存された1回目測定の試料全体投影の部分データ及びROIΩに対して行う2回目のインテリアCT投影データ全ての測定データを用いて記述の画像再構築方法を用いて、インテリアCT画像を再構築する。
<実施例10>
位相差CT透過電子顕微鏡装置の全体構成の実施例について図22を用いて説明する。位相差CT透過電子顕微鏡装置は電子銃31、照射光学系32、33、収束光学系34、対物レンズ36、投影レンズ37そして、検出手段として、電子線の強度を検出する検出器38を備えている。更に、本発明の特徴の一つであるレーザー発生装置40、光ファイバー41−1、41−2、バンチャー用レーザー照射装置50、位相調整用レーザー照射装置60、試料載置調整装置70で構成される。これらの機器は、制御装置80、データ蓄積装置81、試料位置及び姿勢制御・検出器信号用のインターフェース装置82、照射光学系・収束光学系・対物レンズ・投影レンズ制御用インターフェース83、電子銃制御用インターフェース84に接続され制御及びデータ収集が行われる。
これら位相差CT透過電子顕微鏡装置の機器は図23に示す鏡筒90に設置される。位相差CT透過電子顕微鏡の制御は制御装置80により行う。制御装置にはFZP位置制御・試料位置及び姿勢制御・検出器信号用のインターフェース装置82、照射光学系・スキャンコイル・収束光学系・対物レンズ制御用インターフェース83、電子銃制御用インターフェース84が制御装置に接続され、所望の電子顕微鏡像が得られるようになっている。また、取得された大容量の画像はデータ蓄積装置81に格納される。データ解析は制御装置80またはここに図示していない別のデータ処理装置で行う。
インテリアCTによる試料画像を取得するため、次の工程により画像取得を行う。
(a)画像の倍率を変更し2回以上複数回の画像測定を行う
1回目の投影データ測定は少なくとも試料35のX方向の全てをカバーするような倍率に設定して行い、画像情報データ蓄積装置81に保存する。このとき、試料を回転角θ傾斜角αにて微小ステップΔαで傾斜させ、これらのステップ毎の投影データも保存しておく。試料の回転範囲は必ずしもCT画像が得るための回転範囲をとる必要は無い。1回目の画像取得により、所望の高分解能画像測定範囲ROIΩを特定し必要な拡大倍率を定める。
次に所望の高分解能画像測定範囲ROIΩが画像検出器38に全て入る倍率に変更してθ軸の回転及び傾斜角αの座標(θ、α)の多数点の測定により、2回目の測定はROIΩを通過する電子線のみを照射してインテリアCT投影データ全てが測定されるように行い、画像情報データ蓄積装置81に保存する。これにより、インテリアCT画像を再構築するためのデータ取得が行える。
(b)位置合わせのScout-Viewスキャン投影データを全体投影データに利用する
撮影を行う前に見たいROIΩを上手く視野内に収める位置決めの目的で、物体全てが視野内に入るような低倍率のScout-Viewスキャンが行われる。このScout-Viewスキャンの機能を利用して、低倍率の投影データを、部分軌道Eの全体投影データとして利用することができる。
次にScout-Viewスキャンにより特定したROIΩに対して2回目の測定が行われ、Ry軸の回転により、ROIを通過する電子線のみを照射してインテリアCT投影データ全てが測定され、画像情報データ蓄積装置61に保存される。これにより、インテリアCT画像を再構築するためのデータ取得が行える。
画像情報データ蓄積装置81に保存された1回目測定の試料全体投影の部分データ及びROIΩに対して行う2回目のインテリアCT投影データ全ての測定データを用いて記述の画像再構築方法を用いて、インテリアCT画像を再構築する。
31…電子銃、32、32'、33、33'、34…照射光学系、35…試料、36…対物レンズ、37…投影光学系、38…検出装置、40…レーザー発生装置、41−1、41−1'、41−2…光ファイバー、50…バンチャー用レーザー照射装置、50'…デバンチャー用レーザー照射装置、51、52、51',52'、61,62…収束レーザー照射光学系、60…位相調整用レーザー照射装置、70…試料載置調整装置、80…制御装置、81…データ蓄積装置、82…試料位置及び姿勢制御・検出器信号用のインターフェース装置、83…照射光学系・収束光学系・対物レンズ制御用インターフェース、84…電子銃制御用インターフェース、90…鏡筒。


Claims (18)

  1. 電子線を放射する電子源と、対物レンズと、
    前記電子線源と前記対物レンズの間に配置され、試料を傾斜させながら回転可能に保持するための試料傾斜回転保持台と、前記対物レンズの後方に配置された結像光学系と、
    前記結像光学系による試料像を、電子線の強度分布として検出するための手段とを備えた透過電子顕微鏡装置であって、
    前記対物レンズの背後の焦点面上において、前記電子線に、その進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光を照射する第1のレーザー光照射手段を備えていることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  2. 前記請求項1に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、さらに、前記電子線源と前記対物レンズの間において前記電子線源から放射された電子線を集光する第1の集光レンズを備え、当該第1の集光レンズの焦点面上においてレーザーを照射する第2のレーザー光照射手段を備えていることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  3. 前記請求項2に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光も、前記電子線の進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  4. 前記請求項3に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第1のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光は、同一のレーザー発振器から発生されたレーザー光であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  5. 前記請求項4に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記同一のレーザー発振器は、シングルモードのレーザー発振器であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  6. 前記請求項4に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第2のレーザー光照射手段によるレーザー光の照射の下流側で前記試料を透過する以前の前記電子線の焦点にレーザーを照射する第3のレーザー光照射手段を備えていることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  7. 前記請求項6に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第3のレーザー光照射手段からのレーザー光も、前記電子線の進行方向と平行である電場の向きを有するレーザー光であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  8. 前記請求項7に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記第1のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第2のレーザー光照射手段からのレーザー光と前記第3のレーザー光照射手段からのレーザー光は、同一のレーザー発振器から発生されたレーザー光であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  9. 前記請求項8に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記同一のレーザー発振器は、シングルモードのレーザー発振器であることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  10. 前記請求項1に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記試料像の検出手段は、スクリーンもしくは2次元電子線センサを含んでいることを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  11. 前記請求項1に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記照射レーザーのパラメーターを変化させ、複数の画像を取得することにより、前記試料による位相変化、振幅変化、もしくは、ビジビリティを画像として検出することを特徴とする位相差透過電子顕微鏡装置。
  12. 前記請求項1乃至11の何れか一項に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記試料内部の計測を所望する領域を通過する前記電子ビームにより投影データを取得し、前記回転制御可能な一軸を回転のステップ毎に撮像した複数の前記投影データを用いて断層撮像(CT)の画像再構成法により第1段階の近似的な再構成を行い、前記で再構成したCT画像に基づいて前記試料内部の計測を所望する領域内において物理量を表す投影データの画像数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表される領域Aを特定し、前記領域Aの位置とその内部で前記物理量が区分的に一様または区分的に多項式で表される性質を用いて、前記第1段階の再構成よりも精度の高い第2段階の再構成を行うインテリアCTの画像再構成方法により前記試料内部の計測を所望する領域内の構造を3次元計測可能なことを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  13. 前記請求項1乃至11の何れか一項に記載した位相差透過電子顕微鏡装置において、前記試料内部の計測を所望する領域を通過する前記電子ビームにより投影データを取得する準備段階として、試料全体のCTデータが取得可能な低倍率で、前記CTデータ像の一部を測定し、前記第準備段階のデータを精度の高い第2段階の再構成を行うデータと合わせて利用するインテリアCTの画像再構成方法により前記試料内部の計測を所望する領域内の構造を3次元計測可能なことを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  14. 請求項12又は13に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記投影データの画像数値が、当該撮影対象による前記電子ビームの位相シフトを含んでいるインテリアCTの画像再構成方法であることを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  15. 請求項12又は13に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記投影データの画像数値が、当該撮影対象による前記電子ビームの回折を含んでいるインテリアCTの画像再構成方法であることを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  16. 請求項12又は13に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記試料内部の計測を所望する領域内において特定される前記領域Aが、前記第1段階の近似的な再構成で得られたCT画像から特定した区分的に一様または区分的に多項式で表される複数の領域Aの中から選択可能であることを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  17. 請求項12又は13に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記試料内部の計測を所望する領域内において特定される前記領域Aは、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して人間が手動で設定可能であることを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
  18. 前記請求項12又は13に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して前記試料内部の計測を所望する領域内で特定される前記領域Aは、前記試料内部の計測を所望する領域内で、同一あるいは類似試料の以前に取得したCT画像からの特定、前記撮影対象の構造を表すモデルや先験情報からの特定の少なくとも一つにより予め設定されることを特徴とする位相差走査透過電子顕微鏡装置。
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EP4109487A1 (en) * 2021-06-24 2022-12-28 FEI Company Charged particle microscope scan masking for three-dimensional reconstruction

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