JP2019059645A - セラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法 - Google Patents

セラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法 Download PDF

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達也 平原
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達也 平原
伸悦 高嶋
Nobuyoshi Takashima
伸悦 高嶋
木村 和幸
Kazuyuki Kimura
和幸 木村
貴光 内田
Takamitsu Uchida
貴光 内田
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Abstract

【課題】簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法を提供する。【解決手段】複数の標準セラミックス材料について、基本形状の成形体の焼成過程における変形量を確認すると共に、当該標準セラミックス材料について、設計指標の構築を目的とする特定形状の成形体を複数水準作製して焼成し、当該特定形状における設計指標を構築する。また、当該標準セラミックス材料に対して、それぞれ基本性能と設計指標との関係をデータベースとして蓄積する。次に、新たに設計指標を求めようとするセラミックス材料について、当該セラミックス材料の基本性能をデータベースのデータ群と照合して、当該セラミックス材料の設計指標を確認又は予測する。【選択図】図13

Description

本発明は、セラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムに関するものであり、特にセラミックス成形体を焼結した際に生じる変形量から設計指標を予測する設計指標確認・予測システムに関するものである。また、本発明は、この設計指標確認・予測システムを使用したセラミックス焼結体の設計方法に関するものである。
セラミックス材料は、焼成時に約20%もの収縮を生じると共に、自重や形状の影響を受けて焼成時に大きく変形する。そのため、セラミックス焼結体を設計寸法誤差以内に製造することが非常に難しい。実際のセラミックス焼結体の製造過程においては、まず、設計された焼成後の寸法から経験値に基づいて成形体の寸法を逆算する。更に、測定可能な収縮率と変形が予測される箇所を見越して、成形や削り出しによる成形体を試作する。次に、この成形体の評価を行うと共にこれを焼成した焼結体の評価を行う。その結果、問題があれば成形型の修正を行う。実際には、成形体の試作と焼結体の評価及び成形型の修正を複数回繰り返して、設計寸法誤差以内となる製品を製作している。
このように、試作と評価を複数回繰り返すという試行錯誤に近い製造工程により、多大な時間とコストを要する。そのため、セラミックス製品の納期が遅くなり、価格が高くなるという問題があった。このような状況では、近年の市場要求である多品種少量生産、短い製品サイクルに対処できないという問題があった。
そこで、製品開発のリードタイムを短縮するために、セラミックス焼結体の焼成過程における収縮や変形を予測するシステムが求められている。この取り組みとして、セラミックス製品の焼成時の形状変化を予測するために、コンピュータを用いたシミュレーション技術の開発が行われている。しかし、これまでのシミュレーション技術は、特定の材料やプロセスについての報告に限られており汎用的なものではなかった。これらに対して、例えば、一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)は、焼結シミュレーションソフト「SinterPro」を提供している。また、下記特許文献1においては、セラミックス製造過程のシミュレーション方法が提案されている。
特開平11−157946号公報
ところで、これらのシミュレーション方法は、多くのセラミックス材料に適用可能とされている。しかし、実用的な精度の計算結果を得るには、多くの予備実験を必要とするものや複雑な計算を必要とするものが殆どである。また、提供されているソフト自体も高価であることから、窯業業界において多くを占める中小企業の製造現場への普及には至っていない。
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法を提供する。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、所定の基本形状をしたセラミックス成形体の焼成時における変形量をリアルタイムで測定することにより、各種セラミックス材料を変形のし易さによりグループ分けできることを見出して本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムは、請求項1の記載によれば、
セラミックス材料の焼成過程における変形量の基本性能から、当該セラミックス材料の設計指標を確認又は予測するシステムにおいて、
市場に流通する組成・性能の安定したセラミックス材料を標準セラミックス材料として、当該標準セラミックス材料について所定の基本形状の成形体を作製し、これに所定方向から定荷重を付加した状態で焼成することにより、当該焼成過程における変形量を断続又は連続して時系列で測定することにより、前記標準セラミックス材料の基本性能を求めておく基本性能確認工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムであって、
前記標準セラミックス材料について、焼成時の形状変化の予測を目的とする特定形状の成形体を複数水準作製し、これらを焼成することにより、当該特定形状における設計指標を構築する設計指標構築工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムであって、
複数の標準セラミックス材料について、前記基本性能確認工程及び前記設計指標構築工程を行うことにより、前記複数の標準セラミックス材料に対して、それぞれ前記基本性能と前記設計指標との関係をデータベースとして蓄積するデータベース蓄積工程を有し、
基本性能既知のセラミックス材料について、前記基本性能確認工程と同様の測定を行うことなく、当該セラミックス材料の基本性能を前記データベースのデータ群と照合して、当該基本性能と前記データベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を確認する設計指標確認工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムであって、
複数の標準セラミックス材料について、前記基本性能確認工程及び前記設計指標構築工程を行うことにより、前記複数の標準セラミックス材料に対して、それぞれ前記基本性能と前記設計指標との関係をデータベースとして蓄積するデータベース蓄積工程を有し、
基本性能未知のセラミックス材料について、前記基本性能確認工程と同様にして基本性能を測定し、当該セラミックス材料の基本性能を前記データベースのデータ群と照合して、当該基本性能と前記データベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を予測する設計指標予測工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムであって、
前記基本性能確認工程において、変形量を時系列で測定する基本形状の成形体は、所定の長さ・幅・高さを有する立方体及び直方体、又は、所定の直径・高さを有する円柱からなる成形体のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1〜5のいずれか1つに記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムであって、
前記設計指標構築工程において、設計指標を構築する特定形状の成形体は、各部位の寸法をそれぞれ変化させた複数水準の板状成形体、円筒状成形体、又は、これらの組み合わせのうち少なくとも1つであることを特徴とする。
即ち、本発明に係るセラミックス焼結体の設計方法は、請求項7の記載によれば、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の設計指標確認・予測システムを使用して、対象とするセラミックス材料の設計指標を確認又は予測し、
確認又は予測した設計指標に基づいて設計を行い、当該設計に従って試作品を焼成して、当該試作品の焼結結果に基づき、必要により設計の修正を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、本発明に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムは、基本性能確認工程を有している。この基本性能確認工程においては、市場に流通する組成・性能の安定したセラミックス材料を標準セラミックス材料として使用する。この標準セラミックス材料について所定の基本形状の成形体を作製し、これに所定方向から定荷重を付加した状態で焼成する。この焼成過程において、変形量を断続又は連続して時系列で測定することにより、標準セラミックス材料の基本性能を求めるようにする。
また、上記構成によれば、本発明に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムは、設計指標構築工程を有している。この設計指標構築工程においては、標準セラミックス材料について、焼成時の形状変化の予測を目的とする特定形状の成形体を複数水準作製し、これらを焼成する。このことにより、当該特定形状における設計指標を構築するようにする。
また、上記構成によれば、本発明に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムは、データベース蓄積工程を有している。このデータベース蓄積工程においては、複数の標準セラミックス材料について、基本性能確認工程及び設計指標構築工程を行う。このことにより、複数の標準セラミックス材料に対して、それぞれ基本性能と設計指標との関係をデータベースとして蓄積する。
このデータベースを利用するに当たり、上記構成によれば、設計指標確認工程を有している。この設計指標確認工程においては、基本性能既知のセラミックス材料について基本性能確認工程と同様の測定を行うことなく、当該セラミックス材料の基本性能をデータベースのデータ群と照合する。その結果、当該基本性能とデータベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を確認することができる。
一方、このデータベースを利用するに当たり、上記構成によれば、設計指標予測工程を有している。この設計指標予測工程においては、基本性能未知のセラミックス材料について基本性能確認工程と同様にして基本性能を測定し、当該セラミックス材料の基本性能をデータベースのデータ群と照合して、当該基本性能とデータベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を予測することができる。
よって、上記構成によれば、簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムを提供することができる。
また、上記構成によれば、基本性能確認工程において、変形量を時系列で測定する基本形状の成形体は、所定の長さ・幅・高さを有する立方体及び直方体、又は、所定の直径・高さを有する円柱からなる成形体のうち少なくとも1つを採用するようにしてもよい。このことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記構成によれば、設計指標構築工程において、設計指標を構築する特定形状の成形体は、各部位の寸法をそれぞれ変化させた複数水準の板状成形体、円筒状成形体、又は、これらの組み合わせのうち少なくとも1つを採用するようにしてもよい。このことにより、上記構成によれば、上記作用効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記構成によれば、本発明に係るセラミックス焼結体の設計方法は、まず、上記構成に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムを使用して、セラミックス材料の設計指標を確認又は予測する。次に、確認又は予測した設計指標に基づいて設計を行い、当該設計に従って試作品を焼成する。次に、当該試作品の焼結結果に基づき、必要により設計の修正を行う。
よって、上記構成によれば、簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計方法を提供することができる。
本実施形態の基本性能確認工程における荷重軟化試験の状態を示す概要図である。 図1の荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフである。 円筒状成形体とこれを焼成した焼結体の例を示す写真である。 円筒状成形体の焼成収縮モデルの例を示す写真である。 標準セラミックス材料(アルミナ1)の円筒状成形体について焼成前の厚みに対する各部位の収縮率の関係を示すグラフである。 円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の厚みの設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。 円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の内径の設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。 円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の外径の設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。 板状成形体を焼成した板状焼結体の例を示す写真である。 標準セラミックス材料(アルミナ1)の板状成形体の焼成前の厚みに対する各部位の収縮率の関係を示すグラフである。 焼成後の板状焼結体の反りを測定する状態を示す写真である。 焼成前の厚みに対する板状焼結体の反りを示すグラフである。 本実施形態に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムを使用して、セラミックス焼結体の設計を行う操作を示すフロー図である。 実施例1の未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフである。 未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の収縮率の変化量を微分曲線で示すグラフである。 実施例1で採用したアルミナ3の板状成形体の設計指標(収縮率)を示すグラフである。 実施例1で作製したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位の収縮率を示すグラフである。 実施例2で採用したアルミナ3の板状成形体の設計指標(収縮率)を示すグラフである。 本実施例2で作製したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の反りの大きさを示すグラフである。
以下、本発明を実施形態の各工程に従って説明する。なお、本発明は、下記の実施形態にのみ限定されるものではない。
<基本性能確認工程>
本基本性能確認工程においては、まず、複数の標準セラミックス材料を準備した。ここで、標準セラミックス材料とは、特に限定するものではないが、市場に安定的に流通する組成・性能の安定したセラミックス材料であることが好ましい。なお、標準セラミックス材料が単一材料であるか混合材料であるかを問わず、業界において広く使用されている代表的な材料であればよい。
本実施形態においては、3種類の酸化アルミニウム粉体(以下「アルミナ1」、「アルミナ2」、「アルミナ3」という)を準備した。
次に、それぞれの材料について基本形状の成形体を作製した。ここで、基本形状とは、単純な形状で焼成時の基本的な寸法変化を計測し易い形状をいう。また、材料による変形量に主眼を置いて計測するために、密度分布の違いによる変形量を排除する意味から単純な形状であることが好ましい。例えば、立方体、直方体、円柱などが挙げられるが、これらに限定するものではない。なお、成形体の大きさについても、特に限定するものではないが、本実施形態においては、長さ20mm、幅20mm、高さ50mmの直方体を使用した。成形体の作製には、各材料に対して金型成形で一次成形体を作製し、これをCIP後削り出しにより成形して作製した。
次に、準備した各標準セラミックス材料の成形体に対して、荷重軟化試験を行った。図1は、本実施形態の基本性能確認工程における荷重軟化試験の状態を示す概要図である。図1において、基本形状である直方体10の上面11から垂直方向に定荷重Wの負荷を掛けながら焼成する。本実施形態においては、焼成温度を100℃/hとして標準セラミックス材料が焼結するまで昇温した。また、上面に掛ける負荷を0(負荷なし)、5kg/cm、7.5kg/cmの3水準のうちいずれか1つ又は2つ以上を使用した。なお、昇温条件と上面に掛ける負荷については、これらの条件に限定するものではない。
なお、本実施形態においては、焼成時の形状の変形量を時系列で測定した。この時系列の変形量の測定を伴う測定装置(TMA:熱機械的分析装置)は、特に限定するものではないが、本実施形態においては、NETZSCH社製DIL402を使用した。図2は、荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフである。図2は、準備した材料のうち一部の材料(アルミナ1及びアルミナ2)の変形量(収縮率)を示すものである。なお、図2においては、上面に掛ける負荷を0(負荷なし)、5kg/cmの2水準とした。なお、図2においてTMAと記載するデータは、負荷を0(負荷なし)のものを示している。
図2において、各材料により、また付加する荷重の違いにより焼成時の変形量が異なっている。また、焼成初期においては変形量が少なく(変形の開始時A)、途中から急激に変化して(変形の中間時B)、最終的には変化しなくなっている(変形の終了時C)。よって、本発明者らは、材料の変形のし易さにより、図2における変形の開始時A、変形の中間時B、変形の終了時Cの測定曲線の傾きが異なることから、これらを組み合わせることにより各材料をグループ分けできることを見出した。なお、グループ分けは必ずしも行う必要はなく、各セラミックス材料の特性を個別具体的に比較するようにしてもよい。
<設計指標構築工程>
本設計指標構築工程においては、まず、基本性能確認工程で基本形状に対する焼成時の変形量を測定した各標準セラミックス材料について、特定形状の成形体を複数水準作製した。ここで、特定形状とは、焼成時の形状変化の予測が難しい形状であって、セラミックス焼結体の設計時に設計指標の予測が難しく寸法変化を計測し難い形状をいう。本実施形態においては、板状成形体及び円筒状成形体についての設計指標を得ることとした。なお、これら以外の特定形状についての設計指標を得るようにしてもよい。例えば、箱型成形体、円筒状成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の円筒状成形体)、及び、箱型成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の箱型成形体)などであってもよい。
まず、円筒状成形体について説明する。なお、円筒状成形体の大きさについては、特に限定するものではないが、本実施形態においては、外径20mm、高さ20mmで厚みを1、2、3、4、5mmに変化させた5水準の成形体を作製した。なお、円筒状成形体の作製は、上記基本形状の場合と同様にして行った。
次に、作製した各水準の円筒状成形体を焼成した。本実施形態においては、焼成温度を100℃/hとして標準セラミックス材料が焼結するまで昇温して円筒状セラミックス焼結体を得た。図3は、円筒状成形体とこれを焼成した円筒状焼結体の例を示す写真である。図3の奥の4本が焼成前の成形体(20)であって、図3の手前の4本が焼成後の焼結体(21)を示している。また、図4は、円筒状成形体の焼成収縮モデルの例を示す写真である。図4の上の2本が焼成前の成形体(20)であって、図4の下の2本が焼成後の焼結体(21)を示している。
次に、焼成した円筒状セラミックス焼結体について、焼結後の各部位の寸法を測定した。まず、円筒状焼結体については、各水準の焼結体の外径・内径・高さ・厚みを測定した。図5は、標準セラミックス材料(アルミナ1)の円筒状成形体について焼成前の厚みに対する各部位の収縮率の関係を示すグラフである。図5において、外形・内径・高さに比べて厚みの収縮率が大きく、特に焼成前の厚みが薄い程大きく変化したことが分かる。
次に、本設計指標構築工程においては、測定した各部位の寸法変化を解析して円筒状セラミックス焼結体の設計指標を構築した。例えば、図6は、円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の厚みの設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。また、図7は、円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の内径の設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。更に、図8は、円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の外径の設計指標と実寸との誤差を示すグラフである。
図6〜図8において、円筒状成形体について焼成前の厚みに対する円筒状焼結体の厚み・内径・外径の関係は、直線関係(一次関数)を示している。これらの関係から、厚みが2mmと5mmの2水準で円筒状成形体を作製することにより、円筒状焼結体の設計指標を構築するようにしてもよい。
次に、板状成形体について説明する。なお、板状成形体の大きさについては、特に限定するものではないが、本実施形態においては、長さ80mm、幅40mmで厚みを2、4、6、10、15mmに変化させた5水準の板状成形体を作製した。なお、板状成形体の作製は、上記基本形状の場合と同様にして行った。
次に、作製した各水準の板状成形体を焼成した。本実施形態においては、焼成温度を100℃/hとして標準セラミックス材料が焼結するまで昇温して板状セラミックス焼結体を得た。図9は、板状成形体を焼成した板状焼結体の例を示す写真である。図9においては、各厚みの板状焼結体(31)を示している。次に、焼成した板状セラミックス焼結体について、焼結後の各部位の寸法を測定した。板状焼結体については、各水準の焼結体の長さ・幅・厚みを測定した。
図10は、標準セラミックス材料(アルミナ1)の板状成形体の焼成前の厚みに対する各部位の収縮率の関係を示すグラフである。図10において、焼成前の厚みが薄いものは、長さ・幅の収縮率に比べて厚みの収縮率が大きく変化したことが分かる。なお、板状成形体については、長さ・幅・厚みの変形量に加え、板状の反りについても測定した。図11は、焼成後の板状焼結体(31)の反りを測定する状態を示す写真である。
次に、本設計指標構築工程においては、測定した各部位の寸法変化を解析して板状セラミックス焼結体の設計指標を構築した。例えば、図12は、焼成前の厚みに対する板状焼結体の反りを示すグラフである。図12において、厚みが小さい場合には、表裏の温度差が小さく反りが小さくなっている。一方、厚みが大きい場合には、自重の影響で反りが小さくなっている。従って、6〜8mm以下のある領域において反りが大きくなることが分かる。
<データベース蓄積工程>
本データベース蓄積工程においては、各標準セラミックス材料について、設計指標構築工程で解析した各形状の設計指標と基本性能確認工程で測定した基本形状の変形量とを組み合わせたデータベースを蓄積する。本発明者らは、基本形状の変形量がセラミックス材料の種類や組成に拘らずグループ化でき、各グループにおいては類似の設計指標を示すことを確認した。従って、設計指標が未知の新規セラミックス材料についても、基本形状の変形量が分かれば、本データベースを活用して特殊形状の設計指標を予測することが可能となる。
なお、本実施形態においては、5種類の標準セラミックス材料についてのデータベースを蓄積するものであるが、更に多くの標準セラミックス材料についてのデータを追加することにより、データベースの有効性が更に向上する。また、本実施形態においては、設計指標を予測する特殊形状として円柱状焼結体と板状焼結体に関するデータベースを蓄積するものであるが、その他の特殊形状についてデータを追加することにより、データベースの有効性が更に向上する。その他の特殊形状としては、例えば、箱型成形体、円筒状成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の円筒状成形体)、及び、箱型成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の箱型成形体)などを挙げることができる。
<設計指標確認工程>
本設計指標確認工程においては、設計指標が既知の新規セラミックス材料(「既存セラミックス材料」ともいう)について、上記基本性能確認工程と同様の測定を行うことなく、既存セラミックス材料の基本性能をデータベースのデータ群と照合することができる。すなわち、過去に得られている既存セラミックス材料の基本性能とデータベースの一致性又は近似性を指標として、当該既存セラミックス材料の設計指標を確認することができる。
<設計指標予測工程>
一方、本設計指標予測工程においては、設計指標が未知の新規セラミックス材料(「新規セラミックス材料」ともいう)について、上記基本性能確認工程と同様にして変形量を測定する。まず、新規セラミックス材料を用いて長さ20mm、幅20mm、高さ50mmの直方体(基本形状)の成形体を作製した。次に、作製した新規セラミックス材料の成形体に対して、上記基本性能確認工程と同様の荷重軟化試験を行った。その結果、図2と同様にして荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフを得た。
次に、このようにして測定した新規セラミックス材料の変形量をデータベースのデータ群と照合した。具体的には、新規セラミックス材料の変形量とデータベースの変形量について、荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフから、変形の開始時A、変形の中間時B、変形の終了時Cの測定曲線の傾きが一致又は近似する標準セラミックス材料を特定した。その結果、新規セラミックス材料の設計指標は、測定曲線の傾きが一致又は近似する標準セラミックス材料の設計指標に近似するものと予測することができる。
なお、新規セラミックス材料の変形量をデータベースのデータ群と照合する際に、上述の変形の開始時A、変形の中間時B、変形の終了時Cの測定曲線の傾きとの一致又は近似を評価することなく、グラフソフト等で使用されるフィッティング操作を使用することにより、標準セラミックス材料を特定するようにしてもよい。
ここで、上述のようにして蓄積したデータベースを活用して、セラミックス材料の設計指標を確認又は予測して特定形状の焼結体の設計を行う方法について説明する。図13は、本実施形態に係るセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システムを使用して、セラミックス焼結体の設計を行う操作を示すフロー図である。ここで、図13のフロー図の各ステップについて説明する。
(ステップ1)
ステップ1(S1)においては、まず、セラミックス焼結体を作製するセラミックス材料Xについて、基本形状の成形体の変形量が分かっているか否かを確認する。ステップ1(S1)において、基本形状の成形体の変形量が分かっていない場合には、NOと判断してステップ2(S2)に進む。一方、基本形状の成形体の変形量が分かっている場合には、YESと判断してステップ3(S3)に進む。
(ステップ2)
ステップ2(S2)においては、基本形状の成形体の変形量が分かっていないセラミックス材料Xについて、基本形状の成形体の変形量を測定する。この測定は、上記基本性能確認工程と同様にして行う。基本形状の成形体の変形量を測定した後は、ステップ3(S3)に進む。
(ステップ3)
次に、ステップ3(S3)においては、セラミックス材料Xについて既知或いは新たに測定した基本形状の成形体の変形量のデータをデータベースの変形量と照合する。ここで、データベースの変形量の照合は、セラミックス材料Xの変形量とデータベースとの一致性又は近似性を指標として行う。
(ステップ4)
次に、ステップ4(S4)においては、一致性又は近似性のある標準セラミックス材料のデータベースから参考となる設計指標を選択する。この選択は、1種類の標準セラミックス材料の設計指標でもよく、或いは、2種類以上の標準セラミックス材料の設計指標であってもよい。
(ステップ5)
次に、ステップ5(S5)においては、選択した標準セラミックス材料の設計指標からセラミックス材料Xの設計指標を確認又は予測する。このようにして確認又は予測した設計指標を用いて、実際にセラミックス材料Xを焼成してセラミックス焼結体を作製する。
(ステップ6)
次に、ステップ6(S6)においては、実際に焼成したセラミックス焼結体の各部位の寸法を測定し、目標とする寸法誤差以内にあるか否かを評価する。その結果、目標とする寸法誤差以内にある場合には、YESと判断してステップ7(S7)に進む。一方、目標とする寸法誤差以内にない場合には、NOと判断してステップ8(S8)に進む。
(ステップ7)
セラミックス焼結体の各部位の寸法が目標とする寸法誤差以内にある場合には、ステップ7(S7)においてセラミックス焼結体の作製は終了する。
(ステップ8)
一方、セラミックス焼結体の各部位の寸法が目標とする寸法誤差以内にない場合には、ステップ8(S8)において、設計指標の構築・修正を行って、再度ステップ5(S5)による設計指標の予測を行う。次に、修正した設計指標を用いて、セラミックス材料Xを焼成して2回目のセラミックス焼結体を作製する。更に、ステップ6(S6)において目標とする寸法誤差以内にあるか否かを評価する。
本実施形態においては、有効なデータベースを活用することにより、ステップ8(S8)における設計指標の構築・修正を行うことなく、又は、行った場合でも回数を明らかに減少することができる。このことにより、本実施形態においては、簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法を提供することができる。
次に、上述のように説明した設計指標確認・予測システムを用いてセラミックス焼結体の設計指標の予測が可能であることを実施例により説明する。なお、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例1は、設計指標が未知のセラミックス材料(ジルコニアX1)を用いて、円筒状成形体の設計指標の予測可能性を確認するものである。まず、標準セラミックス材料として市場に安定的に流通するセラミックス材料である上記アルミナ1、アルミナ2、及びアルミナ3を使用した。まず、これらの標準セラミックス材料について、上述の基本性能確認工程により基本形状の成形体(長さ20mm、幅20mm、高さ50mmの直方体)を作製し、荷重軟化試験により焼成時の形状の変形量を時系列で測定して基本性能を得た。
次に、各標準セラミックス材料について、上述の設計指標構築工程により特殊形状の成形体(本実施例1においては、各水準の円筒状成形体)を作製し、これらを焼成して各水準の円筒状セラミックス焼結体を得た。また、これらの円筒状セラミックス焼結体について、外径・内径・高さ・厚みを測定して各設計指標を構築した。これらの設計指標は、基本性能と共に本実施例1におけるデータベースとして蓄積した。
次に、設計指標が未知のジルコニアX1について、上述の基本性能確認工程により基本形状の成形体(長さ20mm、幅20mm、高さ50mmの直方体)を作製し、荷重軟化試験により焼成時の形状の変形量を時系列で測定して基本性能を得た。図14は、未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の荷重軟化試験における時間経過に対する収縮率の関係を示すグラフである。なお、図14においては、上面に掛ける負荷を0(負荷なし)、5kg/cm、7.5kg/cmの3水準とした。
次に、本実施例1においては、焼成時の変形の開始時A、変形の中間時B、変形の終了時Cの測定曲線の傾きを比較するために、図14における収縮率の変化量を微分曲線に変換した。図15は、未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の収縮率の変化量を微分曲線で示すグラフである。なお、図15においては、上面に掛ける負荷を0(負荷なし)及び5kg/cmの2水準のみを示している。
次に、図15の微分曲線から、収縮率の平均変化率のy=0の交点とピークトップのxの値を読み取り、変形開始〜変形終了の平均変化率の幅をx=0の最初の交点と後の交点の幅とし、変形開始〜変形中間の幅をx=0の最初の交点とピークトップのxの値の幅とし、変形中間〜変形終了の幅をピークトップのxの値と後の交点との幅として読み取る。これらの幅の広さにより、変化が大きいか小さいか、荷重をかけることで変化の大きさがどのように変わるかを確認することができる。なお、データベースにおいても、同様の微分曲線により平均変化率の幅をデータ群として蓄積している。
よって、平均変化率の各部位の幅の広さを指標として、未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の基本性能に対して、データベースのデータ群との一致性又は近似性を評価することができる。このようにして、未知セラミックス材料(ジルコニアX1)の基本性能を各標準セラミックス材料(アルミナ1、アルミナ2及びアルミナ3)の基本性能と比較した値を表1に示す。
表1において、標準セラミックス材料の変形開始〜変形終了の幅が未知セラミックス材料(ジルコニアX1)に近い順に並べると、アルミナ3(0kg/cm2における差:-55、5kg/cm2における差:-50)、アルミナ1(0kg/cm2における差:+58、5kg/cm2における差:+50)、アルミナ2(0kg/cm2における差:-67、5kg/cm2における差:-100)となる。0kg/cm2から5kg/cm2と圧力をかけた際も、ジルコニアX1はほとんど変化しておらず、アルミナ3、アルミナ1も変化が小さい。一方、変形開始〜変形中間、変形中間〜変形終了の挙動を見ると、アルミナ1は変形中間〜変形終了の幅が狭く変化が大きいことが分かり、ジルコニアX1とは異なる挙動を取る。そこで、ジルコニアX1の基本性能に近似性のあるアルミナ3の設計指標を採用することとした。図16は、本実施例1で採用したアルミナ3の円筒状成形体の設計指標(収縮率)を示すグラフである。
なお、本実施例1は、上述のように、設計指標が未知のジルコニアX1を用いて、円筒状成形体の設計指標の予測可能性を確認するものである。そこで、まず本実施例1で採用したアルミナ3の円筒状成形体の設計指標を基に、ジルコニアX1の設計指標を予測した。次に、予測したジルコニアX1の設計指標に従って、外径20mm、高さ20mmで厚みを1、2、3、4、5mmに変化させた5水準の円筒状成形体をCIP後削り出しにより成形して焼成した。
次に、焼成したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位の実寸を測定し収縮率を計算した。図17は、本実施例1で作製したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位の収縮率を示すグラフである。予測した各部位の収縮率(予測)、得られた各セラミックス焼結体の各部位の収縮率(実寸)、及び寸法誤差の各値を表2に示す。
表2において、成形体厚み1mmにおける厚みの予測値以外の寸法誤差は、全て1%以内に入っており、ジルコニアX1に対して円筒状成形体の設計指標を良好な精度で予測することができた。
本実施例2は、上記実施例1と同じ設計指標が未知のセラミックス材料(ジルコニアX1)を用いて、板状成形体の設計指標の予測可能性を確認するものである。また、標準セラミックス材料としては、上記実施例1と同様にアルミナ1、アルミナ2及びアルミナ3を使用した。これらの標準セラミックス材料の荷重軟化試験による焼成時の形状の変形量は、上記実施例1の基本性能と同じものを採用した。
次に、各標準セラミックス材料について、上述の設計指標構築工程により特殊形状の成形体(本実施例2においては、各水準の板状成形体)を作製し、これらを焼成して各水準の板状セラミックス焼結体を得た。また、これらの板状セラミックス焼結体について、長さ・幅・厚みの変形量、及び板状の反りについても測定して各設計指標を構築した。これらの設計指標は、基本性能と共に本実施例2におけるデータベースとして蓄積した。
一方、設計指標が未知のジルコニアX1の基本性能は、上記実施例1の基本性能と同じものを採用した。従って、本実施例2においても、上記実施例1と同様にしてデータベースのデータ群との一致性又は近似性を評価した結果(表1参照)、ジルコニアX1の基本性能に近似性のあるアルミナ3の設計指標を採用することとした。図18は、本実施例2で採用したアルミナ3の板状成形体の設計指標を示すグラフである。
なお、図18の設計指標は、板状成形体を寝かせて焼成し、焼成時の成形体の上下の温度差によりどれくらい反るか予測するものである。具体的には、〔焼結後の反った最大高さ(mm)/焼結後の厚み(mm)〕として、反りの大きさを評価した。この反りの発生は、板状成形体の下面は棚板に接しているため昇温が遅く、上面は直接熱が伝わるため昇温が早いことによる。その結果、上面は先に収縮し、下に凸の形で焼結する。そのため、変形しやすいセラミックスは反りが大きいと考えられる。
なお、本実施例2は、上述のように、設計指標が未知のジルコニアX1を用いて、板状成形体の設計指標の予測可能性を確認するものである。そこで、まず本実施例2で採用したアルミナ3の円筒状成形体の設計指標を基に、ジルコニアX1の設計指標を予測した。次に、予測したジルコニアX1の設計指標に従って、長さ80mm、幅40mmで厚みを2、4、6、10、15mmに変化させた5水準の板状成形体をCIP後削り出しにより成形して焼成した。
次に、焼成したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位(長さ・幅・厚みの変形量、及び板状の反り)の実寸を測定し収縮率及び反りの大きさを計算した。図19は、本実施例2で作製したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の反りの大きさを示すグラフである。予測した反りの大きさ(予測)、得られた各セラミックス焼結体の反りの大きさ(実寸)、及び寸法誤差の各値を表3に示す。
表3において、成形体厚み2mmにおける反りの大きさ(高さ/厚み)の予測値以外の誤差は、全て2%以内に入っており、ジルコニアX1に対して板状成形体の設計指標を良好な精度で予測することができた。
本実施例3は、上記実施例1と同じ設計指標が未知のセラミックス材料(ジルコニアX1)を用いて、複雑な形状の成形体(ここでは「ルツボ状成形体」という)の設計指標の予測可能性を確認するものである。ルツボ状成形体とは、円筒状成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の円筒状成形体)であって、底のない側の円筒(上部円筒)と底のある側の円筒(下部円筒)における収縮率が大きく異なる成形体である。すなわち、上部円筒の収縮率は、通常の円筒状成形体の収縮率に近似する。一方、下部円筒の収縮率は、底の板状成形体の影響を受けて収縮が抑制される。
本実施例3においても、上記実施例1と同様にしてデータベースのデータ群との一致性又は近似性を評価した結果、ジルコニアX1の基本性能に近似性のあるアルミナ3の設計指標を採用し、アルミナ3における円筒状成形体及び板状成形体の設計指標を用いて、ジルコニアX1のルツボ状成形体の設計指標を予測することとした。そこで、まず本実施例3で採用したアルミナ3の円筒状成形体及び板状成形体の設計指標を基に、ジルコニアX1の設計指標を予測した。次に、予測したジルコニアX1の設計指標に従って、外径20mm、高さ20mm、厚み2mm、底の厚み2mm、及び、外径20mm、高さ20mm、厚み4mm、底の厚み4mmの2水準のルツボ状成形体をCIP後削り出しにより成形して焼成した。
次に、焼成したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位(円筒部分厚み・上部外径・下部外径・底部分厚み・円筒部分高さ・高さ)の実寸(収縮率)を測定し収縮率を計算した。予測した各部位の収縮率(予測)、得られた各セラミックス焼結体の各部位の収縮率(実寸)、及び寸法誤差の各値を表4に示す。
表4において、成形体厚み4mmにおいては全ての部位で寸法誤差2%以内、成形体厚み2mmにおいても円筒部分厚み以外は全て寸法誤差2%以内に入っており、ジルコニアX1に対してルツボ状成形体の設計指標を良好な精度で予測することができた。
本実施例4は、上記実施例1と同じ設計指標が未知のセラミックス材料(ジルコニアX1)を用いて、他の複雑な形状の成形体(ここでは「匣鉢状成形体」という)の設計指標の予測可能性を確認するものである。匣鉢状成形体とは、箱型成形体と板状成形体との組み合わせ(底付の箱型成形体)であって、底のない側の箱(上部箱)と底のある側の箱(下部箱)における収縮率が大きく異なる成形体である。すなわち、上部箱の収縮率は、通常の箱状成形体の収縮率に近似する。一方、下部箱の収縮率は、底の板状成形体の影響を受けて収縮が抑制される。
本実施例4においても、上記実施例1と同様にしてデータベースのデータ群との一致性又は近似性を評価した結果、ジルコニアX1の基本性能に近似性のあるアルミナ3の設計指標を採用し、アルミナ3における円筒状成形体及び板状成形体の設計指標を用いて、ジルコニアX1の匣鉢状成形体の設計指標を予測することとした。そこで、まず本実施例4で採用したアルミナ3の円筒状成形体及び板状成形体の設計指標を基に、ジルコニアX1の設計指標を予測した。次に、予測したジルコニアX1の設計指標に従って、内寸(幅120mm×長さ180mm×高さ36mm)、厚さ15mmの1水準の匣鉢状成形体をCIP後削り出しにより成形して焼成した。
次に、焼成したジルコニアX1の各セラミックス焼結体の各部位の実寸(収縮率)を測定し収縮率を計算した。板状成形体の設計指標から厚さ15mmでは反りがなく、また、円筒状成形体の設計指標からどの箇所も均一に収縮していることが分かっている。焼成した焼結体を評価した結果、どの箇所も反りがなく、均一に収縮し、寸法誤差2%以内に入っており、ジルコニアX1に対して匣鉢状成形体の設計指標を良好な精度で予測することができた。
このように、本発明においては、簡単な方法でセラミックス材料に対する焼成時の形状変化を考慮した製造プロセス設計を可能とし、製品開発のリードタイムを短縮することのできるセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム及び設計方法を提供することができる。また、特殊形状の設計指標の種類を更に強化することにより、上記実施例以外のより複雑なセラミックス焼結体の設計も容易に行うことができる。また、本発明を各種の焼結シミュレーションソフトに組み込むことにより、当該ソフトの解析計算精度が更に向上することが期待される。
10…直方体(基本形状)、11…上面、
20…円筒状成形体、21…円筒状焼結体、31…板状焼結体、
A…変形の開始時、B…変形の中間時、C…変形の終了時、W…定荷重。

Claims (7)

  1. セラミックス材料の焼成過程における変形量の基本性能から、当該セラミックス材料の設計指標を確認又は予測するシステムにおいて、
    市場に流通する組成・性能の安定したセラミックス材料を標準セラミックス材料として、当該標準セラミックス材料について所定の基本形状の成形体を作製し、これに所定方向から定荷重を付加した状態で焼成することにより、当該焼成過程における変形量を断続又は連続して時系列で測定することにより、前記標準セラミックス材料の基本性能を求めておく基本性能確認工程を有することを特徴とするセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  2. 前記標準セラミックス材料について、焼成時の形状変化の予測を目的とする特定形状の成形体を複数水準作製し、これらを焼成することにより、当該特定形状における設計指標を構築する設計指標構築工程を有することを特徴とする請求項1に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  3. 複数の標準セラミックス材料について、前記基本性能確認工程及び前記設計指標構築工程を行うことにより、前記複数の標準セラミックス材料に対して、それぞれ前記基本性能と前記設計指標との関係をデータベースとして蓄積するデータベース蓄積工程を有し、
    基本性能既知のセラミックス材料について、前記基本性能確認工程と同様の測定を行うことなく、当該セラミックス材料の基本性能を前記データベースのデータ群と照合して、当該基本性能と前記データベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を確認する設計指標確認工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  4. 複数の標準セラミックス材料について、前記基本性能確認工程及び前記設計指標構築工程を行うことにより、前記複数の標準セラミックス材料に対して、それぞれ前記基本性能と前記設計指標との関係をデータベースとして蓄積するデータベース蓄積工程を有し、
    基本性能未知のセラミックス材料について、前記基本性能確認工程と同様にして基本性能を測定し、当該セラミックス材料の基本性能を前記データベースのデータ群と照合して、当該基本性能と前記データベースのデータ群との一致性又は近似性を指標として、当該セラミックス材料の設計指標を予測する設計指標予測工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  5. 前記基本性能確認工程において、変形量を時系列で測定する基本形状の成形体は、所定の長さ・幅・高さを有する立方体及び直方体、又は、所定の直径・高さを有する円柱からなる成形体のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  6. 前記設計指標構築工程において、設計指標を構築する特定形状の成形体は、各部位の寸法をそれぞれ変化させた複数水準の板状成形体、円筒状成形体、又は、これらの組み合わせのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のセラミックス焼結体の設計指標確認・予測システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の設計指標確認・予測システムを使用して、対象とするセラミックス材料の設計指標を確認又は予測し、
    確認又は予測した設計指標に基づいて設計を行い、当該設計に従って試作品を焼成して、当該試作品の焼結結果に基づき、必要により設計の修正を行うことを特徴とするセラミックス焼結体の設計方法。
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