JP2019057374A - 電極触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を提供する。【解決手段】電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料を表面3aに担持する導電性炭素3とを有する。そして、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満である。また、電極触媒1は、導電性炭素の表面に設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜4をさらに有する。【選択図】図1

Description

本発明は電極触媒に関する。詳細には本発明は、高い耐久性を有し、二次電池や燃料電池に好適に用いることが可能な電極触媒に関する。
電極触媒は、H/O燃料電池をはじめとした電気化学デバイスの電極に幅広く用いられており、化学エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換するための材料として重要である。そして、燃料電池において、式1に示す酸素還元反応はカソード反応として用いられており、式2に示す水素酸化反応はアノード反応として用いられている。
+4H+4e→2HO (式1)
→2H+2e (式2)
現状、これらの反応に対する電極触媒には白金族元素が広く使用されており、その中でも特に白金や白金合金が用いられている。そして、これらの反応を効率的に進行させるために、電極触媒の形態としては、白金や白金合金のナノ粒子を導電性カーボンに担持したものが一般的である。しかしながら、白金族元素は稀少で高価であり、かつ、価格が不安定である。そのため、省資源化の観点、入手安定性を確保する観点、低コスト化の観点などから、白金族元素の使用量を低減することが強く望まれている。
これまで、白金族元素の使用量を低減する方法としては、特許文献1のように、金属錯体をカーボン上に分散させて担持することで、原子の利用効率を高くする方法が知られている。また、特許文献2及び非特許文献1のように、遷移金属と窒素原子とを含む錯体をカーボン上に担持することによって、白金と代替する方法が知られている。
特開2016−203134号公報 特開2006−35186号公報
Rongrong Chen et al., The Journal of Physical Chemistry C, 2009, 113(48), pp 20689-20697
電極触媒としての利用を実用的な観点から見た場合、電極触媒の耐久性は極めて重要である。しかしながら、特許文献1及び2並びに非特許文献1のように、金属錯体をカーボン上に担持した電極触媒は、金属錯体がカーボン上に物理吸着しているだけであるため、このような電極触媒では錯体の脱離等が生じやすい。そのため、このような電極触媒は耐久性が低いという問題があった。なお、非特許文献1では、僅か数十サイクルの測定によって、触媒活性が著しく低下していることが記載されている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る電極触媒は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料と、高分子材料を表面に担持する導電性炭素とを有する。そして、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満である。
本発明の第二の態様に係る電極触媒は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料と、高分子材料を表面に担持する導電性炭素と、導電性炭素の表面に設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜とを有する。そして、金属元素の比率は、高分子被膜の表面よりも高分子被膜の内部の方が高い。
本発明によれば、金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を得ることができる。
本発明の実施形態に係る電極触媒の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る電極触媒の表面近傍を拡大して示す概略図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池の一例を示す概略図である。 実施例1の電極触媒の製造時(初期)、並びに当該電極触媒に対して電位サイクル試験を1000サイクル及び2000サイクル行った後に、リニアスイープボルタンメトリーを行った結果を示すグラフである。 実施例2の電極触媒の製造時(初期)、並びに当該電極触媒に対して電位サイクル試験を1000サイクル及び2000サイクル行った後に、リニアスイープボルタンメトリーを行った結果を示すグラフである。 比較例1の電極触媒の製造時(初期)、並びに当該電極触媒に対して電位サイクル試験を1000サイクル及び2000サイクル行った後に、リニアスイープボルタンメトリーを行った結果を示すグラフである。 実施例1及び2並びに比較例1の電極触媒における、電位サイクル試験のサイクル数と−0.1Vにおける相対電流密度との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る電極触媒について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも好ましい例を示すものである。また、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは一例であり、本実施形態を限定する主旨ではない。
本実施形態に係る電極触媒は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料と、導電性炭素とを有する。具体的には、図1に示すように、電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面に担持する粒子状の導電性炭素3とを含んでいる。電極触媒1は、さらに、金属元素の触媒活性の低下を抑制するために、高分子被膜4を含んでいる。
[高分子材料]
電極触媒1において、高分子材料2は、少なくともトリアジン環(C)を含む高分子からなる。また、高分子材料2は、トリアジン環を含む共有結合性有機構造体からなることが好ましい。共有結合性有機構造体は、水素、炭素、窒素、酸素、ホウ素、硫黄などの原子が共有結合のみによって連結して形成された分子である。より具体的には、共有結合性有機構造体は、同一又は異なる複数の芳香族環基が共有結合によって環状の繰返しユニットを形成した構造を有する高分子を意味する。また、共有結合性有機構造体は、当該繰返しユニットが他の1つ以上の繰返しユニットと共有結合により連続して連結された、二次元又は三次元のネットワーク構造を有する高分子も意味する。このような共有結合性有機構造体は、メゾやマイクロサイズの細孔を有する多孔質構造を有するとともに、低密度かつ優れた熱安定性を有する。
電極触媒1に用いられる高分子材料2は、分子内に複数のトリアジン環を有する繰返しユニットよりなる共有結合性有機構造体からなることが好ましい。上記のとおり、このような繰返しユニットが隣り合う他の繰返しユニットと共有結合によって連結し、このような構造を連鎖的に反復することによって、共有結合性有機構造体を形成することができる。
高分子材料2は、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はヘテロ原子を介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造を有する共有結合性有機構造体からなることが好ましい。ここで、「アリーレン」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いてなる二価の官能基を意味する。「ヘテロアリーレン」は、芳香族性を有する複素環式化合物から2個の水素原子を除いてなる二価の官能基を意味する。好ましくは、アリーレンはフェニレンである。好ましくは、ヘテロアリーレンはピリジレンである。当該アリーレン及びヘテロアリーレンは、置換基を有していてもよく、そのような置換基は、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル又はハロゲンとすることができる。また、ヘテロ原子としては、硫黄、ホウ素、窒素、リン等を挙げることができ、好ましくは硫黄又は窒素である。
電極触媒1に用いられる高分子材料2は、1nm〜50nmの細孔を有することが好ましい。また、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、当該共有結合性有機構造体は、1nm〜50nmの細孔を有することが好ましい。さらに、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、共有結合性有機構造体は、1000〜20000の範囲の分子量を有することが好ましい。
高分子材料2は金属元素を含んでおり、当該金属元素は高分子材料2に配位していることが好ましい。つまり、高分子材料2は、配位結合により金属を修飾することが好ましい。このような金属は特に限定されないが、遷移金属を用いることができる。具体的には、当該金属は、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt及びAuからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。なお、高分子材料2に配位する金属は、一種類であってもよく、複数種であっても構わない。
高分子材料2として共有結合性有機構造体を用いた場合、当該金属元素は、共有結合性有機構造体を構成する複素芳香環のヘテロ原子と配位結合を形成することで、共有結合性有機構造体と錯形成して存在することができる。そして、共有結合性有機構造体に金属が配位することにより、金属を単原子状に分散させ、金属の表面積を大きくすることができる。さらに、共有結合性有機構造体から導電性炭素3へ高い割合で電子移動することができるため、当該金属の触媒活性を高めることが可能となる。
触媒作用を発現する上述の金属は、高分子材料2に含まれる非共有電子対を有する原子と配位結合を形成することが好ましい。また、当該金属は、高分子材料2に含まれる窒素原子と配位結合を形成することがより好ましい。これにより、効率的に金属を単原子状に分散させ、金属の表面積を大きくすることが可能となる。
高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体の代表的な例は、以下の化学式1の構造を有する化合物である。
Figure 2019057374
化学式1の化合物は、後述の実施例で示すように、2,6−ジシアノピリジンを縮合反応させることによってトリアジン環を形成し、当該反応を繰り返すことにより合成することができる。当該化合物は、トリアジン環がピリジレン基を介して共有結合によって連結した構造を有する。化学式1から分かるように、3つのトリアジン環と3つのピリジン環よりなる環状構造の繰返しユニットを形成し、当該複数の繰返しユニットがさらにピリジレン基によって連結している。その結果、化学式1の化合物は、複数の細孔を有し、二次元のネットワーク構造を有する高分子となっている。化学式1のトリアジン環を含む共有結合性有機構造体を、特に共有結合性トリアジン構造体(CTF、Covalent Triazine Framework)と呼ぶ場合もある。
化学式1の共有結合性有機構造体には、金属を担持することができる。つまり、例えば図1に示すように、トリアジン環の窒素原子やピリジレン基の窒素原子と金属が配位結合を形成することによって、錯形成することができる。また、化学式1の共有結合性有機構造体のように、トリアジン環を含む高分子材料は、非共有電子対を含む原子を高濃度で含有しており、この非共有電子対と金属原子とが相互作用をすることによって、金属原子は安定化される。そのため、トリアジン環を含む高分子材料は、粒径が小さい金属原子を安定的に担持することができる。
高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体は、化学式1のものに限定されず、以下のようなトリアジン環を含む化合物も好ましく用いることができる。
Figure 2019057374
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Figure 2019057374
高分子材料2は、一種類の環状構造の繰返しユニットが連結した共有結合性有機構造体であってもよい。また、高分子材料2は、複数種類の環状構造の繰返しユニットが連結したコポリマーとしての共有結合性有機構造体であってもよい。
高分子材料2の重合度は、高ければ高いほど好ましい。高分子材料2の重合度が高まることにより、電極触媒1として使用する際に、低分子成分の一部が導電性炭素3の表面から脱離して失活することを抑制できる。具体的には、高分子材料2の重合度は10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。なお、高分子材料2の重合度は数平均重合度をいう。
高分子材料2として用いられ、トリアジン環を有する共有結合性有機構造体は、次のようにして得ることができる。まず、ジシアノ基またはトリシアノ基を有するモノマーを縮合反応させることによってトリアジン環が形成される。次に、当該縮合反応を繰り返すことにより、最終的に複数のトリアジン環が共有結合によって連結した共有結合性有機構造体を得ることができる。
ジシアノ基を有するモノマーは、ジシアノベンゼン又はジシアノピリジンであることが好ましい。トリシアノ基を有するモノマーは、トリシアノベンゼン又はトリシアノピリジンであることが好ましい。モノマーがジシアノベンゼンである場合、フェニレンを介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造となる。また、モノマーがジシアノピリジンである場合、ピリジレンを介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造となる。そのため、共有結合性有機構造体は、フェニレン又はピリジレンを介して、複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造を有することが好ましい。また、共有結合性有機構造体は、ジシアノベンゼン又はジシアノピリジンの縮合反応により得られる化合物であることが好ましい。
ジシアノ基を有するモノマーは、さらに置換基を有することができる。そのような置換基は、シアノ基の縮合反応が進行する限り特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基又はハロゲン基とすることができる。
[導電性炭素]
本実施形態の電極触媒1において、高分子材料2を表面3aに担持する導電性炭素3は、二次電池の電極用導電性材料として一般に用いられるものである。ただ、導電性炭素3は、高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体を表面3aに担持することによって、当該共有結合性有機構造体に電子伝導性を付与することができるものであることが特に好ましい。
導電性炭素3は、より安定的に高分子材料2及び金属元素を担持する観点から、多孔質材料であることが好ましい。このような導電性炭素3としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラフェン、グラファイト微粒子、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。また、導電性炭素3としては、無定形炭素も使用することができる。これらの導電性炭素3は導電性及び耐食性に優れるため、長期間に亘り高い電極性能を維持することができる。
導電性炭素3は、高分子材料2及び金属元素の担持量を増加させるために、比表面積が大きい方が好ましい。例えば、導電性炭素3は、BET法で算出される比表面積が500m/g以上であることが好ましい。
導電性炭素3の形状は特に限定されず、例えば球状、板状、鱗片状、柱状、針状などが挙げられる。さらに、導電性炭素3は、ナノ粒子の形態であることが好ましい。また、導電性炭素3の平均一次粒子径は、10nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがより好ましい。導電性炭素3の粒子径がこの範囲内であることにより、高分子材料2及び当該高分子材料に配位している金属を高分散させ、当該金属の活性を高めることが可能となる。なお、導電性炭素3の粒子径は、例えば電極触媒1を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより求めることができる。
電極触媒1において、高分子材料2を構成する共有結合性有機構造体と導電性炭素3の比率は、質量比で共有結合性有機構造体:導電性炭素が100:10以上であることが好ましい。また、質量比で、共有結合性有機構造体:導電性炭素が100:20〜100:5000であることがより好ましい。
図1及び図2に示すように、電極触媒1において、高分子材料2は、粒子状の導電性炭素3の表面3aに担持されていることが好ましい。ただ、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、共有結合性有機構造体はいずれも導電性が低い材料であることから、共有結合性有機構造体は、電子移動が行われやすい薄い膜厚で導電性炭素3の表面3aに担持されていることが好ましい。共有結合性有機構造体が薄膜状で担持されていることにより、共有結合性有機構造体と導電性炭素3との間の距離が小さくなり、共有結合性有機構造体と導電性炭素3との間の電子移動が容易となる。そのため、電極触媒1の触媒活性をより向上させることが可能となる。
なお、図1及び図2において、高分子材料2は、導電性炭素3の表面3a全体を覆っているが、電極触媒1はこのような態様に限定されない。例えば、高分子材料2は、導電性炭素3の表面3aの一部に担持されてもよい。
[高分子被膜]
一般的に、電極触媒に担持された金属は、粒径が小さいほど表面エネルギーの大きさから凝集が生じやすくなり、不安定になる。しかしながら、金属の表面露出率の観点からは粒径が小さい方が好ましく、粒径が小さいほど金属の利用効率は向上する。
そのため、電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面3aに担持する導電性炭素3に加えて、当該金属元素の凝集を抑制するための高分子被膜4を含んでいる。さらに、高分子被膜4は、非共有電子対を有する元素を含むことが好ましい。非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜4を形成することにより、高分子材料2に担持された金属原子は、非共有電子対を有する元素と相互作用を生じ、金属原子をより安定化する。その結果、金属の凝集を抑制して表面露出率を高め、触媒活性を向上させることが可能となる。
高分子被膜4は、導電性炭素3の表面3aに設けられており、さらに高分子材料2の表面2aを被覆していることが好ましい。具体的には、図1及び図2に示すように、高分子被膜4は、導電性炭素3の表面3aに膜状に担持された高分子材料2の表面2aを覆うように、導電性炭素3に設けられていることが好ましい。これにより、高分子材料2に含まれる金属原子に対して、高分子被膜4中の非共有電子対が配位し易くなり、金属原子の安定性をより高めることが可能となる。なお、高分子被膜4は、高分子材料2の表面2aを完全に覆う必要はなく、高分子材料2の表面2aの一部のみを覆っていてもよい。また、高分子被膜4は、図2に示すように、高分子材料2を介して導電性炭素3の表面3aに設けられる必要はなく、導電性炭素3の表面3aに直接接触するように設けられてもよい。
高分子被膜4は、非共有電子対を有する元素を含む高分子からなることが好ましい。具体的には、高分子被膜4は、窒素及び硫黄の少なくとも一方を含む高分子からなることが好ましい。窒素及び硫黄の非共有電子対は金属原子に配位し易いため、金属原子を安定化して凝集を抑制することが可能となる。
高分子被膜4における非共有電子対を有する元素の比率は、高いほど好ましい。具体的には、高分子被膜4における非共有電子対を有する元素の比率は、原子組成百分率で5.0%以上であることが好ましい。非共有電子対を有する元素の比率が高いほど、金属原子との相互作用が大きくなるため、金属原子を安定化させて凝集を抑制することができる。
高分子被膜4は、トリアジン環(C)を含む高分子からなることが好ましく、トリアジン環を含む共有結合性有機構造体からなることがより好ましい。トリアジン環を含む高分子は、非共有電子対を含む原子を高濃度で含有しているため、非共有電子対と金属原子とが相互作用をすることによって、金属原子をさらに安定化することができる。なお、トリアジン環を含む共有結合性有機構造体は、上述の高分子材料2で説明したものと同じものを使用することができる。
高分子被膜4は、導電性の観点からは特に限定されるものではない。つまり、高分子被膜4は、導電性を有する高分子であってもよく、また、導電性を有しない高分子であってもよい。ただ、高分子被膜4が導電性を有する高分子からなる場合には、電極触媒として必要な導電性を担保する上で好ましい。このような導電性を有する高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
高分子被膜4は、多孔質であることが好ましい。上述のように、高分子被膜4は、金属元素を含む高分子材料2の表面2aを覆うように、導電性炭素3に設けられることが好ましい。そのため、高分子被膜4が多孔質であることにより、触媒反応の進行に必要となる反応物質と金属原子との接触を阻害し難くなり、金属原子の触媒活性を良好にすることが可能となる。
電極触媒1において、高分子材料2を構成する高分子及び高分子被膜4を構成する高分子は、互いに化学構造及び分子量の少なくとも一方が異なることが好ましい。つまり、上述のように、高分子材料2を構成する高分子は、トリアジン環を有する高分子であり、上述の共有結合性有機構造体であることが好ましい。また、高分子被膜4を構成する高分子は、非共有電子対を有する元素を含む高分子であることが好ましい。そして、高分子材料2を構成する高分子及び高分子被膜4を構成する高分子は、互いに化学構造が異なる高分子から構成されていてもよい。また、高分子材料2を構成する高分子及び高分子被膜4を構成する高分子は、共に化学構造が同じ高分子から構成されているが、それぞれ分子量が異なっていてもよい。高分子材料2を構成する高分子及び高分子被膜4を構成する高分子が互いに化学構造及び分子量の少なくとも一方が異なることにより、異なる高分子が金属原子に配位するため、金属原子をより安定化し、凝集を抑制することが可能となる。なお、高分子材料2を構成する高分子及び高分子被膜4を構成する高分子の分子量は、数平均分子量をいう。
上述のように、高分子材料2はトリアジン環を含んでおり、高分子被膜4はトリアジン環を含んでもよい。ここで、トリアジン環を含む高分子材料の多くは、塩化亜鉛の溶融塩中での重合反応によって合成される。このように合成された高分子材料においては、残留物として亜鉛を検出することができる。そのため、各種分析においてトリアジン環を含む高分子材料を検出するに当たっては、亜鉛を指標に用いることができる。
例えば、導電性炭素3の表面3aにトリアジン環を含む高分子材料2が形成され、更にその表面2aにポリアニリンからなる高分子被膜4が形成されているような構造において、電極触媒1の断面における亜鉛の分布を調べる。これにより、電極触媒1における高分子材料2と高分子被膜4の位置や厚み、保持量を観察することができる。なお、電極触媒1の断面における亜鉛の分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって調べることができる。
このように、電極触媒1において、高分子材料2及び高分子被膜4の少なくとも一方は亜鉛を含有してもよい。
[電極触媒の構成]
上述のように、電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面3aに担持する導電性炭素3とを含有する。ここで、電極触媒1において、X線光電子分光法(XPS)によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法(XRF)によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満であることが好ましい。
一般的に、触媒として作用する金属元素は、反応物質との接触を容易にするために、触媒の表面近傍に存在するように配置される。そして、光電子が物質中を非弾性散乱することなく進む距離は数nmであるため、X線光電子分光法によって測定できるのは、材料の表面から数nmまでの深さとなる。そのため、X線光電子分光法によって触媒を分析した場合における、担体材料に対する金属元素の比率は、触媒全体の担体材料に対する金属元素の比率に比べて高くなる。
一方で、蛍光X線分析法は、検出深さが数十μmあり、バルク分析に近い。そのため、蛍光X線分析法によって触媒を分析した場合における、担体材料に対する金属元素の比率は、触媒全体の担体材料に対する金属元素の比率と殆ど同一となる。したがって、従来の触媒は、一般的に、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bは、1.0以上となる。
これに対して、電極触媒1では、導電性炭素3の表面3aに高分子被膜4が設けられており、さらに高分子被膜4は、導電性炭素3に担持された高分子材料2の表面2aを覆うように、導電性炭素3に設けられていることが好ましい。これにより、高分子被膜4の表面4aよりも高分子被膜4の内部の方が、金属元素の比率が高まる。つまり、高分子被膜4の表面4aに存在する当該金属元素の量は、高分子被膜4よりも内側に存在する金属元素の量より少なくなる。その結果、X線光電子分光法によって電極触媒1を分析した場合における、導電性炭素3に対する金属元素の比率は、触媒全体の導電性炭素3に対する金属元素の比率に比べて大きく低下する。したがって、電極触媒1では、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満となる。
X線光電子分光法における各元素の定量は、次のように行うことができる。まず、各元素に由来するピークに対して、ピークの低エネルギー側の末端から小さい側に2.0eVまでの間の平均値に対して、Shirley法によってベースラインを引く。同様に、当該ピークの高エネルギー側の末端から大きい側に2.0eVまでの間の平均値に対して、Shirley法によってベースラインを引く。そして、そのベースラインとピークとの差の絶対値を積分することにより、各元素のピークの積分強度を求める。X線光電子分光法では、各元素の相対感度係数が定められていることから、各元素のピークの積分強度と相対感度係数との関係から、元素組成を定量することができる。
なお、X線光電子分光法では、水素及びヘリウムを除く全ての元素の検出と定量が可能である。そのため、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aは、水素及びヘリウムを除いた値として算出されるものとする。
蛍光X線分析法における各元素の定量は、各元素の特性X線について、既知試料から予め求めた検量線と、測定で得られた特性X線の強度との関係から、元素の定量を行うことができる。
なお、蛍光X線分析法では、実用的には、原子番号11(ナトリウム)以上の原子番号を持つ元素の検出と定量が可能である。また、軽元素の高感度分析用の分光結晶を装備した場合には、原子番号5(ホウ素)以上の原子番号を持つ元素の検出と定量が可能である。そのため、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bは、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムを除いた値として算出されるものとする。
電極触媒1において、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bの下限は特に限定されない。比A/Bは、例えば0.1以上とすることができる。
電極触媒1において、X線光電子分光法によって観測される窒素(N)と炭素(C)との元素組成比N/Cが0.050以下であることが好ましい。つまり、電極触媒1をX線光電子分光法で観測した際、N1sスペクトル及びC1sスペクトルのピーク面積から求められる窒素と炭素の元素組成比N/Cが0.050以下であることが好ましい。電極触媒1の元素組成比N/Cが0.050以下の場合には、導電性炭素3に対する高分子材料2の担持量が過多と成り難い。そのため、高分子材料2の膜厚が薄くなり、高分子材料2に担持された金属元素と導電性炭素3との間における電子移動を効率的に行うことができる。その結果、高分子材料2に担持された金属元素の利用効率をより高めることが可能となる。
このように、電極触媒1における元素組成比N/Cは0.050以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.015以下であることが特に好ましい。なお、元素組成比N/Cの下限は特に限定されないが、例えば0.001とすることができる。
電極触媒1において、高分子材料2と導電性炭素3がナノオーダーで複合化していることが好ましい。つまり、導電性炭素3の平均一次粒子径を1000nm以下とし、導電性炭素3の表面3aに高分子材料2が膜状に担持されることで複合化していることが好ましい。電極触媒1がナノオーダーで複合化した状態であることにより、高分子材料2の実質的な膜厚をナノオーダーまで薄くなることができる。そのため、高分子材料2に担持された金属から導電性炭素3への電子移動が可能となり、電極触媒1として有効に作用することができる。
このように、本実施形態の電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面3aに担持する導電性炭素3とを有する。そして、X線光電子分光法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満である。また、電極触媒1は、導電性炭素3の表面3aに設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜4をさらに有することが好ましい。
また、本実施形態の電極触媒1は、金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面3aに担持する導電性炭素3と、導電性炭素3の表面3aに設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜4とを有する。そして、高分子被膜4の表面4aよりも高分子被膜4の内部の方が、金属元素の比率が高い。高分子被膜4を設けることにより、高分子材料2における金属元素と高分子被膜4における非共有電子対を有する元素との相互作用が生じ、金属原子を安定化して凝集を抑制している。そのため、電極触媒1では、金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を得ることが可能となる。
なお、電極触媒1において、金属元素の担持部位は高分子材料2のみに限定されない。つまり、高分子材料2に担持されていた金属元素の一部が高分子被膜4に移動して、高分子被膜4に担持されていてもよい。ただ、この場合でも、高分子被膜4の表面4aよりも高分子被膜4の内部の方が、金属元素の比率が高いことが好ましい。つまり、当該金属元素の量は、高分子被膜4の表面4aよりも高分子被膜4の内部の方が多いことが好ましい。また、高分子被膜4に担持されている金属元素の量は、高分子材料2に担持されている金属元素の量よりも少ないことが好ましい。これにより、金属原子の凝集を抑制して、触媒活性を高めることが可能となる。
[電極触媒の製造方法]
次に、本実施形態に係る電極触媒1の製造方法について説明する。電極触媒1において、高分子材料2は、導電性炭素3上においてモノマーを重合させるin−situ反応により得ることができる。また、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合も、導電性炭素3上において共有結合性有機構造体のモノマーを重合させるin−situ反応により得ることができる。
例えば、導電性炭素3の粉末を共有結合性有機構造体のモノマーと混合させた状態で、ZnCl等の溶融塩中でモノマーの縮合反応を行う。これにより、当該導電性炭素上においてin−situで共有結合性有機構造体の形成反応を行うことができる。
導電性炭素3に高分子材料2を担持した電極触媒に対して金属を担持する方法は、特に限定されない。金属を担持する方法としては、例えば、金属イオンを含む電解液中に、トリアジン環を含む高分子材料2と導電性炭素3とを含有する材料を分散させ、還流する方法などが挙げられる。
このようにして得られた、高分子材料2を担持した導電性炭素3に対して、高分子被膜4を形成する。高分子被膜4の形成方法は特に限定されない。例えば、高分子被膜4が共有結合性有機構造体からなる場合には、高分子材料2を担持した導電性炭素3の表面で共有結合性有機構造体のモノマーを重合させるin−situ反応により形成することができる。
具体的には、高分子材料2を担持した導電性炭素3の粉末を、共有結合性有機構造体のモノマーと混合した状態で、ZnCl等の溶融塩中でモノマーの縮合反応を行う。これにより、当該導電性炭素上においてin−situで共有結合性有機構造体からなる高分子被膜4を形成することができる。
なお、高分子被膜4は、導電性炭素3上においてモノマーを重合させるin−situ反応以外の方法でも形成することができる。例えば、最初に、高分子被膜4を構成する高分子を溶媒に溶解して、高分子溶液を調製する。次に、高分子材料2を担持した導電性炭素3を高分子溶液に添加した後に、溶媒を除去することによって、高分子被膜4を形成するができる。
[燃料電池]
本実施形態の電極触媒1は高い触媒活性を有することから、燃料電池をはじめとした電気化学デバイスの電極に幅広く用いることができる。以下、電極触媒1を燃料電池に適用した例を説明する。
図3では、本実施形態における燃料電池の構成の一例を示している。なお、同図には、当該燃料電池に接続された場合に電流が供給される負荷14も図示されている。この燃料電池10は、電気を放出することができる一次電池であり、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC)及びリン酸形燃料電池(PAFC)のような水素燃料電池、並びに微生物燃料電池(MFC)を含む。
水素燃料電池は、水の電気分解の逆反応により、水素と酸素から電気エネルギーを得る燃料電池であり、PEFC、PAFC、アルカリ形燃料電池(AFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体電解質形燃料電池(SOFC)等が知られている。燃料電池10は、PEFC又はPAFCであることが好ましい。PEFCはプロトン伝導性イオン交換膜を電解質材とする燃料電池であり、PAFCはマトリクス層に含浸されたリン酸(HPO)を電解質材とする燃料電池である。
このような燃料電池10は、図3に示すように、例えば、電解液11(電解質材)を備える。また、燃料電池10は、アノード12(燃料極)とカソード13(空気極)とを備える。アノード12は、酸素発生反応により負荷14に電子を放出する電極である。また、カソード13は、酸素還元反応により負荷14から電子が流入する電極である。
本実施形態において、カソード13はガス拡散電極として構成され、上述の電極触媒1を備える。ガス拡散電極は、水素燃料電池及びMFC等の電極に好適に適用され得る。本実施形態における燃料電池10は、カソード13を備え、さらにカソード13が電極触媒1を備えるガス拡散電極であること以外は、公知の構成を有していればよい。
なお、上記説明では、カソード13がガス拡散電極として構成され、電極触媒1を備えているとして説明したが、このような構成に限定されない。本実施形態における燃料電池10において、電極触媒1を備える電極は、アノード12及びカソード13のいずれにも用いることができる。
例えば、燃料電池10が水素燃料電池である場合、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、アノード12として用いられてもよい。この場合、アノード12に含まれる電極触媒1は、燃料である水素ガスの酸化反応(H→2H+2e)を促進して、アノード12に電子を供与する。また、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、カソード13として用いられてもよい。この場合、カソード13に含有される電極触媒1は、酸化剤である酸素ガスの還元反応(1/2O+2H+2e→HO)を促進する。
ただし、燃料電池10がMFCである場合、アノード12は電子供与微生物から直接電子を受容する。よって、この場合、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、主として水素燃料電池と同じ電極反応を起こすカソードとして用いられる。
このように、電極触媒1は燃料電池の電極に好適に用いることができる。ただ、電極触媒1の用途は燃料電池に限定されず、種々の電気化学デバイスの電極として用いられてもよい。このような電気化学デバイスとしては、水の電気分解装置、二酸化炭素透過装置、食塩電解装置、金属空気電池(リチウム空気電池など)等が挙げられる。
以下、実施例により本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらによって限定されるものではない。
[試料の調製]
(実施例1)
<窒素含有カーボンの合成>
化学式10に示すスキームに従って、ケッチェンブラック(登録商標)上に共有結合性トリアジン構造体(CTF)を担持した窒素含有カーボンを合成した。
Figure 2019057374
まず、2730mgのZnCl、0.030gの2,6−ジシアノピリジン、及び0.129gのケッチェンブラックを窒素雰囲気のグローブボックス中で混合した。ZnClは和光純薬工業株式会社製のものを使用し、2,6−ジシアノピリジンはシグマアルドリッチ社のものを使用した。ケッチェンブラックは、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製EC600JDを使用し、平均一次粒子径が34.0nmであった。
次に、得られた混合物をガラス管の内部に真空封入した後、400℃で21時間保持した。そして、得られた粉末を0.1Mの塩酸、水、テトラヒドロフラン(THF)、及びアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、窒素含有カーボンを得た。
<白金の担持>
化学式10に示すスキームに従って、上述のようにして得られた窒素含有カーボンに白金を担持した。具体的には、窒素含有カーボン100mg、テトラクロロ白金酸カリウム(K[PtCl](和光純薬工業株式会社製))5.40mg、水30mLを混合して超音波分散した後、60℃で4時間攪拌した。その後、水、アセトンで洗浄した後に乾燥することにより、白金担持窒素含有カーボンを得た。なお、得られた白金担持窒素含有カーボンを後述するXPSで同定した結果、白金の担持量は2.5wt%であった。
<高分子被膜の形成>
得られた白金担持窒素含有カーボン64.5mgと、1360mgのZnCl及び0.0150gの2,6−ジシアノピリジンとを窒素雰囲気のグローブボックス中で混合した。次に、この混合物をガラス管の内部に真空封入した後、400℃で4時間保持した。得られた粉末を、0.1Mの塩酸、水、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルで洗浄した後、乾燥した。これにより、共有結合性トリアジン構造体を表面に形成した白金担持窒素含有カーボンからなる本例の電極触媒を得た。
(実施例2)
実施例1で得られた白金担持窒素含有カーボンに、ポリアニリンからなる高分子被膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、本例の電極触媒を調製した。
具体的には、実施例1で得られた白金担持窒素含有カーボン50mg、ポリアニリン100mg、及びキシレン600mLを混合し、超音波ホモジナイザーにて5分間分散した。なお、ポリアニリンは、重量平均分子量Mwが15000を超えるものを使用した。また、超音波ホモジナイザーは、出力が200Wのものを使用した。
次に、ロータリーエバポレーターを用いて、得られた混合物から溶媒であるキシレンを除去した。これにより、ポリアニリンを表面に形成した白金担持窒素含有カーボンからなる本例の電極触媒を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた白金担持窒素含有カーボンに高分子被膜を形成せず、そのまま本例の電極触媒として使用した。
[評価]
(X線光電子分光法(XPS)による分析)
各例の電極触媒をXPS測定することにより、当該電極触媒における全元素に対する金属元素の重量比Aを求めた。XPS測定は、XPS分析装置(AXIS Ultra HAS、Kratos Analytical社製)を用いた。また、励起X線としては、AlKα線(10kV)を用いた。そして、各元素に対してナロースキャン測定を行い、各元素のスペクトルを求めた。また、各元素のピークの面積から重量比Aを求めた。
(蛍光X線分析法(XRF)による分析)
各例の電極触媒をXRF測定することにより、当該電極触媒における全元素に対する金属元素の重量比Bを求めた。XRF測定は、XRF分析装置(株式会社リガク製、蛍光X線分析装置ZSX100e)を用いた。対陰極にはロジウムを用い、加速電圧は4kVとした。そして、各元素のピーク面積と検量線の値から、重量比Bを求めた。
そして、各例の電極触媒における重量比Aを重量比Bで除算することにより、比A/Bを求めた。実施例1の電極触媒は、XPS測定から求めた重量比Aが0.023であり、XRF測定から求めた重量比Bが0.025であったことから、比A/Bは0.92となった。また、実施例2の電極触媒の比A/Bは0.58であり、比較例1の電極触媒の比A/Bは1.1であった。
(電位サイクル試験)
まず、上述のようにして得られた各例の電極触媒の粉末5mgを、1500μLのエタノール及び100μLのNafion溶液中に加え、超音波ホモジナイザーにより分散した。Nafion溶液は、低級脂肪族アルコール混合物と水の5質量%溶液で、シグマアルドリッチ社製のものを使用した。そして、当該溶液2.1μLを直径4mmグラッシーカーボン電極に滴下して乾燥することにより、作用電極を作製した。
この作用電極を用いて、0.1Mの過塩素酸水溶液中にて、水素飽和条件下でTi線を対極に、可逆水素電極を参照電極に用いて、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行った。具体的には、初期特性評価として、0.1Mの過塩素酸水溶液中において、+0.30Vから−0.40V(vs.RHE)の間で卑な電位方向へ、5mV/sの掃引速度でリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行った。実施例1の電極触媒における初期(製造時)のリニアスイープボルタンメトリーの結果を図4に示し、実施例2の電極触媒の結果を図5に示し、比較例1の電極触媒の結果を図6に示す。なお、図4〜図6の結果は、単位触媒量当たりの水素発生触媒活性を意味し、電流密度が負に大きいほど触媒活性が高いといえる。
次に、各例の電極触媒を塗布した電極に対して、電位サイクル試験を実施した。電位サイクル試験は、電極に対して、+0.050Vから+1.0V(vs.RHE)の電位の間を200mV/sの速度で掃引し、この掃引を2000サイクル行った。なお、電位サイクル試験は25℃にて行った。
そして、電位サイクル試験で1000サイクル及び2000サイクル経過ごとに、上述のリニアスイープボルタンメトリーを行った。実施例1の電極触媒における1000サイクル及び2000サイクル経過時のリニアスイープボルタンメトリーの結果を図4に示し、実施例2の電極触媒の結果を図5に示し、比較例1の電極触媒の結果を図6に示す。
図4より、実施例1の電極触媒に関し、−0.1V(vs.RHE)における電流保持率は、1000サイクルで68%、2000サイクルで66%であった。図5より、実施例2の電極触媒に関し、−0.1V(vs.RHE)における電流保持率は、1000サイクルで67%、2000サイクルで51%であった。図6より、比較例1の電極触媒に関し、−0.1V(vs.RHE)における電流保持率は、1000サイクルで40%、2000サイクルで11%であった。この結果より、電極触媒に高分子被膜を設け、比A/Bを1.0未満とすることにより、電極触媒の電流保持率が高まり、耐久性が向上することが分かる。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
1 電極触媒
2 高分子材料
3 導電性炭素
4 高分子被膜

Claims (8)

  1. 金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料と、
    前記高分子材料を表面に担持する導電性炭素と、
    を有し、
    X線光電子分光法によって定量される全元素に対する前記金属元素の重量比Aと、蛍光X線分析法によって定量される全元素に対する前記金属元素の重量比Bとの比A/Bが、1.0未満である、電極触媒。
  2. 金属元素及びトリアジン環を含む高分子材料と、
    前記高分子材料を表面に担持する導電性炭素と、
    前記導電性炭素の表面に設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜と、
    を有し、
    前記高分子被膜の表面よりも前記高分子被膜の内部の方が、前記金属元素の比率が高い、電極触媒。
  3. 前記導電性炭素の表面に設けられ、かつ、非共有電子対を有する元素を含む高分子被膜をさらに有する、請求項1に記載の電極触媒。
  4. 前記高分子被膜は前記高分子材料の表面を被覆している、請求項2又は3に記載の電極触媒。
  5. 前記高分子材料を構成する高分子及び前記高分子被膜を構成する高分子は、互いに化学構造及び分子量の少なくとも一方が異なる、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電極触媒。
  6. 前記高分子材料及び前記高分子被膜の少なくとも一方は亜鉛を含有する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の電極触媒。
  7. X線光電子分光法によって観測される窒素(N)と炭素(C)との元素組成比N/Cが0.050以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電極触媒。
  8. 前記高分子材料と前記導電性炭素がナノオーダーで複合化している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電極触媒。
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