JP2019056471A - 高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システム - Google Patents

高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システム Download PDF

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Abstract

【課題】被冷却部における冷却効果の不均一性を抑制することで、配管寿命を均一に延命化させて、高温配管が適用されるプラントの信頼性を向上することを目的とする。【解決手段】配管の冷却構造1は、外周面2aを第1断熱材3に被覆された配管2の溶接部5を冷却する配管の冷却構造1であって、第1断熱材3の一部が撤去された配管2の外周面2aから離間し、かつ配管の溶接部5を被覆する第2断熱材27と、溶接部5を冷却する冷却空気を供給する供給部14と、供給部14から供給された冷却空気を第1断熱材3の外周面3a側へ排出する排出口30と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電プラント、原子力発電プラント、化学プラントなどのプラントで用いられる高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システムに関するものである。
例えば、火力発電プラントでは、ボイラで加熱された水蒸気を蒸気タービンに搬送する配管が多数配置されている。この配管は、金属配管であり、内部に高温で高圧の水蒸気が流動することから、この水蒸気により加熱された高温状態の環境下にある。このような金属配管は、上述した環境下で長時間使用されると、クリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至るおそれがある。
このような配管の破断を防止するため、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析してクリープ損傷度を導出し、金属配管の余寿命評価を行っている。この場合、一般的に、金属配管は、母材部に比べて溶接部のクリープ損傷リスクが高いことから、主に、この溶接部が検査対象箇所となる。非破壊検査の結果、次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、プラント全体の運転温度を下げることで、金属配管のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減する対策を講じるが、プラント全体の運転温度を下げると、プラントの運転効率が低下してしまう欠点がある。
このように次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、金属配管を冷却してメタル温度を低下することで、クリープ損傷リスクを低減する手法が考えられる。このような技術として例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1では、高温配管の外周部を被覆する断熱材を撤去し、高温配管を露出させて、露出させた高温配管に対してフィンを設けて、フィンに冷却用エアを送給することで高温配管を冷却する。
特開2016−160959号公報
しかしながら、特許文献1では、フィンに対して冷却用エアを送給しているのでフィンによって冷却用エアが乱される。このため、好適に冷却用エアの流路を形成することができずに、冷却用エアが淀む可能性があった。冷却用エアの流れが淀むと、昇温された空気が滞留してしまうので、当該箇所では、被冷却部を好適に冷却できない可能性がある。一方、淀みが発生していない箇所では、冷却効果が好適に発揮される。このように、淀みが発生した箇所と、そうでない箇所とで、被冷却部における冷却効果の不均一性を生じる可能性がある。このように、被冷却部を均一に冷却することができないと、冷却後の被冷却部のメタル温度が不均一となる可能性があった。冷却後の被冷却部のメタル温度が不均一となると、配管寿命を均一に延命化することができず、高温配管の寿命予測が難しくなるという問題が生じる。
上記事情に鑑み本開示は、被冷却部における冷却効果の不均一性を抑制することで、配管寿命を均一に延命化し、高温配管の寿命予測精度を向上することができる高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システムは以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、外周面を第1断熱材に被覆された高温配管の被冷却部を冷却する高温配管の冷却構造であって、前記第1断熱材の一部を撤去した前記高温配管の外周面から離間し、かつ該高温配管の前記被冷却部を被覆する第2断熱材と、前記被冷却部を冷却する冷却媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給された前記冷却媒体を前記第1断熱材の外周面側へ排出する排出部と、を備える。
上記構成では、被冷却部を冷却する冷却媒体は供給部から供給され、供給された冷却媒体が排出部から排出される。また、高温配管の外周面から離間する第2断熱材で被冷却部を被覆するので、被冷却部と第2断熱材との間に空間が形成され、この空間が供給部から排出部へ流れる冷却媒体の流路となる。このように、第2断熱材及び排出部を設けることで、冷却媒体の流路を好適に形成するので、供給部から供給された冷却媒体が淀むことがない。冷却媒体が淀むことがないので、被冷却部における冷却効果の不均一性を、流路が形成されない場合と比較して、抑制できる。このように、被冷却部を均一に冷却するので、冷却後の被冷却部のメタル温度が均一化され、配管寿命を均一に延命化できる。よって、高温配管の寿命予測精度を向上し、プラントの信頼性を向上できる。
また、第2断熱材が、高温配管から離間しつつ被冷却部を被覆する。これにより、第1断熱材を撤去した部分であっても、高温となる高温配管が露出しない構成にできるので、火傷などに対する安全性を高めることができる。また、被冷却部が被覆されているので、被冷却部を冷却する際に、高温配管が設置されている環境の影響を受けにくくすることができる。したがって、高温配管の設置環境の影響を抑制し、安定して冷却性能を発揮することができる。また、降雨等があった場合であっても、雨水等を第2断熱材が遮ることができ、雨水等が被冷却部に至ることを抑制できる。したがって、雨よけの構造等を設ける必要がなく、コンパクトな構造にできる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記排出部に、該排出部からの流入を防止する流入防止部を設けてもよい。
上記構成では、排出部に流入防止部が設けられる。これにより、排出部から雨水等が流入し、雨水等が被冷却部に至ることを防止できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、前記排出部に、前記冷却媒体を排出する空間に対して均一に開口してもよい。
上記構成では、冷却媒体を排出する空間に対して均一に開口する。これにより、被冷却部を冷却した冷却媒体を均一に第1断熱材の外周面側に排出できる。このように構成することで、より効果的に、供給部から排出部まで流れる冷却媒体の流れが一部分に偏ることを防止でき、冷却媒体の流れを均一化できる。したがって、被冷却部を均一に冷却できるので、冷却後の被冷却部のメタル温度が均一化され、配管寿命を均一に延命化できる。よって、高温配管の寿命予測精度を向上し、高温配管が適用されるプラントの信頼性を向上できる。
なお、冷却媒体を排出する空間に対して均一に開口している状態とは、例えば、同形の開口が等間隔に並んでいる状態や、同一幅のスリットが略全域に亘って開口している状態などを示す。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記排出部の全開口面積を、前記供給部の全開口面積よりも大きくしてもよい。
上記構成では、排出部の全開口面積を、供給部の全開口面積より大きく形成する。これにより、排出側の圧力損失を低減するため、供給部から供給される冷却媒体を効果的に排出部から排出することができる。したがって、供給部から供給された冷却媒体の滞留や熱籠りを防止し、好適に排出部から冷却媒体を排出できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記排出部を、前記供給部よりも上方に位置してもよい。
供給部から供給され、被冷却部を冷却後の冷却媒体は昇温する。昇温した冷却媒体は、温度差に伴う密度差によって浮力が生じるので、上方に流れる。上記構成では、排出部が供給部よりも上方に位置するので、被冷却部を冷却後の冷却媒体を、浮力を利用して排出部方向への流れを加速できる。したがって、より好適に供給部から排出部への冷却媒体の流れを形成することができる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記被冷却部を、前記高温配管の中心軸方向に延在していて、前記供給部と前記被冷却部とが為す周方向の角度は45度以下であってもよい。
上記構成では、被冷却部が高温配管の中心軸方向に延在するので、供給部から供給された冷却媒体は、高温配管の周方向に沿って流れる。配管の周方向に沿って流れる冷却媒体は、供給された部分から約45度以上となると高温配管から剥離し、局所熱伝達率が低下する。上記構成では、供給部と被冷却部とが為す周方向の角度は45度以下とする。これにより、供給部から供給された冷却媒体は高温配管から剥離し、局所熱伝達率が低下する前に被冷却部に到達するので、被冷却部の冷却能力の低下を抑制できる。
また、例えば、第1断熱材の撤去箇所を供給部から周方向の一部のみとした場合には、高い冷却効果を得るとともに、第1断熱材の撤去箇所を低減することができる。したがって、高温配管の露出面を低減し、火傷など対する安全性を高めることができる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記供給部及び前記排出部を、前記第2断熱材に形成してもよい。
上記構成では、供給部及び排出部を第2断熱材に形成する。これにより、特別な装置や構造を設けることなく、供給部及び排出部を設けることができる。したがって、故障や損傷等が発生し難くすることができ、メンテナンス性を向上できる。また、特別な装置は構造を設けておらず省スペースなので、周りに空きスペースがない状況の高温配管にも適用することができる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、冷却媒体供給装置から前記冷却媒体が導入される供給ヘッダと、前記被冷却部を冷却した前記冷却媒体が導入される排出ヘッダと、を備え、前記供給部は、前記供給ヘッダに形成され、前記排出部は、前記排出ヘッダに形成されていてもよい。
上記構成では、供給部が供給ヘッダに形成され、排出部が排出ヘッダに形成される。これにより、冷却媒体を被冷却部まで導くことができるとともに、冷却媒体を第1断熱材の外周面側に排出できる。したがって、被冷却部の冷却効果を向上できる。
また、ヘッダを介することで、被冷却部に対して均一に冷却媒体を導くことができるとともに、均一に冷却媒体を排出できる。したがって、供給部から排出部まで流れる冷却媒体の流れが局所に偏ることを防止し、冷却媒体の流れを均一化できる。以上から、被冷却部を均一に冷却できるので、冷却後の被冷却部のメタル温度が均一化され、配管寿命を均一に延命化でき、この結果、高温配管の寿命予測精度の向上、プラントの信頼性向上が可能となる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造では、前記排出部を、前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に形成し、前記第2断熱材は、前記高温配管の前記外周面から前記第2断熱材の外周面側に向かう輻射を遮るように、前記排出部方向に突出してもよい。
上記構成において、第2断熱材は、高温配管の外周面から第2断熱材の外周面側に向かう輻射を遮るように、排出部方向に突出する。これにより、高温配管の外周面から第2断熱材の外周面側に向かう輻射を前記突出部分が遮蔽する。したがって、高温配管の外周面からの輻射によって、排出部や、排出部近傍の部材が加熱されることを防止し、火傷などに対する安全性を向上できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造において、前記第1断熱材は、前記高温配管と交差する端面を有し、前記供給部は、前記端面に沿って設けられた第1板材と、前記第1板材と対向する平板状の第2板材と、を有し、前記第1板材の前記高温配管側の端部は、前記第2板材の前記高温配管側の端部よりも、前記高温配管側に位置し、前記第1板材の前記高温配管側の端部には、前記高温配管に近づくにつれて前記端面から離間するように湾曲した湾曲部が形成され、前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間から前記冷却媒体を供給してもよい。
上記構成では、平板状の第2板材の端部と、高温配管の外周面によって供給部を形成する。これにより、供給部から流出する冷却媒体の速度分布及び温度分布が高温配管の表面近傍で大きくなる。したがって、高温配管の表面近傍のせん断力が大きくなり、熱伝達率が向上するため、被冷却部を効果的に冷却できる。
また、第1板材に湾曲部が形成されるので、この湾曲部に沿うように冷却媒体が流れることで、供給口から供給される冷却媒体の速度勾配及び温度勾配を高温配管の表面近傍でより大きくできるので、被冷却部をより効果的に冷却できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、前記湾曲部を、断面が90度よりも小さい円弧状に形成してもよい。
第1板材は、高温配管の近傍に配置されるので、高温配管からの熱により、熱変形を起こす可能性がある。
上記構成では湾曲部が、断面が90度よりも小さい円弧状に形成される。これにより、熱変形等によって、第1板材が第1断熱材側に傾斜した場合であっても、冷却媒体の流れる向きが高温配管の外表面から離れにくくすることができる。したがって、第1板材が熱変形した場合であっても、冷却媒体の供給方向を、高温配管の外周面に沿うように維持できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、前記第1断熱材に、前記高温配管と交差する端面を有し、前記供給部は、前記端面に沿って設けられた平板状の第1板材と、該第1板材と対向する平板状の第2板材と、を有し、前記第1板材の前記高温配管側の端部は、前記第2板材の前記高温配管側の端部よりも、前記高温配管側に位置していて、前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間から前記冷却媒体を供給してもよい。
上記構成では、第1板材を平板状に形成しており、第1板材に湾曲部を設けていない。これにより、熱変形等によって、第1板材が第1断熱材の端面側に傾斜した場合であっても、第1板材の高温配管側の端部は、供給部が高温配管の外表面から離れる方向を向かない。したがって、第1板材が熱変形等した場合であっても、高温配管の外周面に沿うように冷却媒体を供給できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間にスペーサーを設けてもよい。
上記構成では、第2板材の高温配管側の端部と高温配管の外周面との間にスペーサーを設ける。これにより、第2板材の高温配管側の端部と高温配管の外周面との間にある供給部の変形を抑制し、冷却装置に信頼性を向上できる。
また、本発明の一態様に係る高温配管の冷却構造は、前記冷却媒体供給装置から前記供給ヘッダまで前記冷却媒体を供給するダクトを備え、前記ダクトは、前記高温配管に沿って配置してもよい。
上記構成では、冷却媒体供給装置から供給ヘッダまで冷却媒体を供給するダクトを備える。これにより、冷却媒体供給装置と供給ヘッダとの距離が離れている場合でも、供給ヘッダに冷却媒体を供給できるので、冷却装置の信頼性を向上できる。したがって、冷却媒体供給装置を供給ヘッダの近傍に配置する必要がないので、高温配管の近傍に冷却媒体供給装置を設置するスペースがない場合であっても、高温配管を冷却できる。また、ダクトを高温配管に沿って設けるので、ダクトを支持するための特別な支持具等を設ける必要がないため、コンパクトな装置構成でダクトを設置できる。
本発明の一態様に係る高温配管の冷却システムは、上述のいずれかの高温配管の冷却構造において、前記被冷却部が複数形成されていて、1つの前記冷却媒体供給装置から、複数の前記被冷却部に対して前記冷却媒体が供給される。
上記構成では、1つの冷却媒体供給装置から複数の被冷却部に対して冷却媒体が供給される。これにより、被冷却部が複数ある場合に、それぞれの被冷却部に対して冷却媒体供給装置を1台ずつ設置する場合と比較して、設置コストを低減できるとともに、省スペース化を図ることができる。
本開示によれば、被冷却部における冷却性能を均一化することで、高温配管の寿命延命化を均一化的にさせて、高温配管を用いるプラントの信頼性を向上できる。
第1実施形態に係る高温配管の冷却構造を示す配管軸方向の断面図(溶接部は配管周方向)である。 図1の高温配管の冷却構造を示す斜視図である。 (a)は、図1の高温配管の冷却構造の部分拡大断面図を示し、(b)及び(c)は(a)の変形例を示し、(d)は(a)が傾斜した場合を示す。 図1の供給部を模式的に示す端面図である。 図1の排出部を模式的に示す側面図である。 図1の排出部を示す斜視図である。 第2実施形態に係る高温配管の冷却構造を示す断面図である(溶接部は配管軸方向)。 (a)は冷却空気の一様流が円柱側面に衝突するモデル図であり、(b)はその円柱側面における局所熱伝達率を示すグラフである。 第3実施形態に係る高温配管の冷却構造を示す配管軸方向の断面図である(溶接部は配管軸方向の上向き)。 図9のX−X矢視端面図である。 図10の変形例を示す端面図である。 第4実施形態に係る高温配管の冷却構造を示す配管軸方向の断面図である(溶接部は配管軸方向の下向き)。 図12のXIII−XIII矢視端面図である。 第5実施形態に係る高温配管の冷却構造を示す配管軸方向の断面図である(溶接部は配管周方向)。 図14のXV−XV矢視端面図である。 図15の変形例を示す端面図である。 第6実施形態に係る高温配管の冷却システムの概略構成図である。
以下に、高温配管の冷却構造及び高温配管の冷却システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について、図1から図6を用いて説明する。
本実施形態に係る高温配管の冷却構造1における配管(高温配管)2は、例えば、火力発電プラントにて、ボイラで加熱された水蒸気を蒸気タービンに搬送する金属製の配管2であって、内部に流動する高温高圧の水蒸気により加熱された状態にある。また、配管2は、所定の方向に直線状に延び、周方向に沿って溶接部5が設けられる。配管2の外周面2aは、高温高圧の蒸気温度低下を抑制するために第1断熱材3で覆われる。
配管2は、高温環境下で長時間使用されると、クリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る可能性がある。この破断を防止するため、配管2には、定期的に非破壊検査が実施され、配管2のクリープボイドの成長度合いを分析してクリープ損傷度を導出し、配管2の余寿命評価を行う。次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、本実施形態に係る冷却構造1を適用して、配管2の温度を下げることで、クリープ損傷リスクを低減する。
配管2は、他の配管等と接続する溶接部5のクリープ損傷リスクが、母材部に比べて高いことから、本実施形態では主に、配管2の周方向に沿うように設けられる溶接部5周辺を被冷却部とする。
本実施形態に係る冷却構造1について図1から図6を用いて詳細に説明する。図1に示すように、配管2の外周には第1断熱材3が配置される。配管2には、溶接部(被冷却部)5が円周方向に形成されており、この溶接部5を含む領域において第1断熱材3の一部が除去されて空間4が形成される。すなわち、配管2の外周面2aが空間4に対して露出している。なお、溶接部は配管軸方向に延びるように形成されてもよく、その場合は、配管軸方向に形成された溶接部に沿った領域が露出するように第1断熱材3が部分的に除去される。
また、冷却構造1は、図1及び図2に示すように、冷却媒体供給装置(図示しないがファンやブロワ等の冷却媒体の供給装置を示す)から冷却空気が導入される供給ヘッダ11と、溶接部5を冷却後の冷却空気が導出される排出ヘッダ12とを備える。なお、図2では、図示の関係上、第1断熱材3を省略して図示する。
供給ヘッダ11は、第1断熱材3の外周面3aを周方向に略全域に亘って囲うヘッダ部13と、ヘッダ部13の内周面から半径方向内側に延びる供給部14とを有する。
ヘッダ部13は、矩形断面を有する環状部材であって外形が多角形状に形成される。ヘッダ部13の中心軸と、配管2の配管軸C1とは同心となる。また、ヘッダ部13の外周面には、冷却媒体供給装置から供給される冷却媒体が流通するダクト15が接続される。ダクト15は、ヘッダ部13の内部空間と連通し、ヘッダ部13の内部空間に冷却媒体を供給する。ヘッダ部13は、配管2と交差する第1断熱材3の一端面3b(以下、「第1断熱材3の一端面3b」という。)から所定距離だけ空間4側にせり出して配置される。空間4側にせり出した部分の下面から供給部14が半径方向内側(すなわち、配管側)に延在している。また、供給ヘッダ11の外周面には、周方向に複数の第1フランジ部16が形成される(図1及び図2参照)。第1フランジ部16は、排出ヘッダ12に設けられた第2フランジ部17(第2フランジ部17については、後述する)と固定されることで、供給ヘッダ11と排出ヘッダ12とを連結する。
供給部14は、図3(a)に示すように、配管2と交差する第1断熱材3の一端面3bに沿って設けられる第1板材18と、この第1板材18と対向する平板状の第2板材19とを有している。第1板材18と第2板材19とは所定距離離間しており、第1板材18と第2板材19との間に冷却媒体が流通する流路を形成している。当該流路は、ヘッダ部13の内部空間と連通する。
第1板材18の配管2側の端部は、第2板材19の配管2側の端部よりも、配管2側に位置する。また、第1板材18の配管2側の端部には、配管2に近づくにつれて第1断熱材3の一端面3bから離間するように湾曲した湾曲部20が形成される。湾曲部20は、断面が略90度の円弧状に形成されている。また、第2板材19の配管2に対向する端部と、配管2の外周面2aとによって、供給部14の供給口が形成される。供給口は、図2に示すように、配管2の周方向に沿って全域に亘って設けられる。これにより、供給口から供給される冷却空気は、図2の矢印で示すように、配管2の外周面2aの周方向の略全域に沿って、均一に供給される。
また、第2板材19の配管2に対向する端部と、配管2の外周面2aと間には、図4に示すように、複数のスペーサー21が設けられる。スペーサー21は、第2板材19の端部に固定され、配管2側には固定されない。また、2つのスペーサー21は、供給ヘッダ11を配管軸C1の延在方向から見たときに、中心線C2を基準として、一方側と他方側に対称となるように配置する。
排出ヘッダ12は、略円筒形状に形成され、空間4の略全域を配管2の半径方向外側から覆っている。排出ヘッダ12の中心軸と配管2の配管軸C1とは同心となる。また、排出ヘッダ12は、周方向に3つに分割可能な構成とされる。図2では、複数に分割された排出ヘッダ12のうちの一台のみを図示する。
排出ヘッダ12は、円筒の外周面を構成する外装板23と、円筒の内周面を構成する内装板24と、外装板23の配管軸C1方向の一端と内装板24の配管軸C1方向の一端とを連結する第1側板25と、外装板23の配管軸C1方向の他端から配管方向に向かって延びる第2側板26と、外装板23と内装板24との間に設けられる第2断熱材27とを有する。なお、図2では、図示の関係上、第2断熱材27を省略して図示する。
外装板23、第1側板25及び内装板24が、第2断熱材27の形状に対応した空間を形成し、この空間の内部に第2断熱材27を収納する。
外装板23は、金属で形成された円筒部材であって、第2断熱材27の外周面を覆う。また、外装板23の外周面には、第1フランジ部16と対応する位置に第2フランジ部17が形成される。上述のように、第1フランジ部16と第2フランジ部17とが固定されることで、供給ヘッダ11と排出ヘッダ12とを連結する。内装板24は、略円筒形状の部材であって、第2断熱材27の内周面を覆う。
第2断熱材27は、円筒状の部材であって、第1断熱材3が撤去された配管2部分の外周面2aから半径方向外側に所定距離離間して設けられるとともに、溶接部5を半径方向外側から被覆する。また、第2断熱材27は、半径方向外側に位置する基部28と、基部28の第2側板26方向の端部から第2側板26方向に突出する突出部29とを有する。
基部28の厚さ(半径方向の長さ)は、配管2からの輻射を好適に断熱可能な厚さに設定される。例えば、基部28の厚さは、第2断熱材27の外周面に接する外装板23の外周面の温度が火傷をしない温度(50℃程度)となるように設定される。
基部28の半径方向内側端部から配管2の外周面2aまでの距離は、外装板23の外周面の温度が低下するので配管2の外周面2aから離れるほど望ましいので、本実施形態では第1断熱材3の外周面3aから配管2の外周面2aまでの距離と略同一となるように配置する。
突出部29の厚さは、冷却後の冷却空気を導出するため、基部28の厚さよりも薄く設定される。排出ヘッダ12をコンパクトにするため、突出部29の外周面と基部28の外周面とは面一となるように配置してもよい。突出部29は、外装板23の加熱を抑制するため、配管2の外周面2aから外装板23または第2側板26へと向かう輻射を遮るように突出させる。具体的には、第1断熱材3の一端面3bと配管2の外周面2aとの接触箇所と、第1断熱材3の他端面3c(第1断熱材3の一端面3bと対向する端面)の半径方向外端とを結ぶ直線Bの延長線上まで突出させる。
第2断熱材27と第1断熱材3との間に、冷却後の冷却空気を導出する流路を形成するため、基部28と突出部29の連結箇所を、第1断熱材3の他端面3cよりも一端面3b側に設けてもよく、突出部29の半径方向内側の端部を第1断熱材3の外周面よりも、半径方向外側に設けてもよい。
第2側板26は、図5に示すように、円環状の板材であって、配管軸(中心軸)C1と同心に配置される。第2側板26は、周方向に1つ以上の排出口(排出部)30を有する。また、排出口30は、空間4の内部を流通した冷却後の冷却空気を外部に排出する。空間4で均一な流量分配を得るため、排出口30は配管2の円周方向に等ピッチで配置することが望ましい。
図6に示すように、排出ヘッダ12の外部側から空間4内部への雨水などの侵入を抑制するため、排出口30に、チャッキダンパ(流入防止部)31を設けてもよい。またチャッキダンパ(流入防止部)31での圧力損失を抑制するため、排出口30の全流路面積が、供給口20aの全流路面積よりも大きくなるように形成してもよい。
次に、少なくとも一実施形態における冷却空気(冷却媒体)の流れについて説明する。
冷却媒体供給装置からダクト15を介して供給ヘッダ11のヘッダ部13内部の空間に冷却空気が供給される。ヘッダ部13内部の空間に供給された冷却空気は、ヘッダ部13内部の空間を流通するとともに、略均等に供給部14に流入する。具体的には、第1板材18と第2板材19との間を流通する(図1矢印A1参照)。第1板材18と第2板材19との間を流通した冷却空気は、湾曲部20によって、配管2の外周面2aに沿うように流れ、供給口20aを通過して空間4内に流入する(図3(a)矢印A7参照)。
このとき、冷却空気は、配管2の外周面2aの周方向の略全域に沿って、均一に供給される(図2参照)。空間4内に流入した冷却空気は、配管2の外周面2aに沿うように流れ、そのまま溶接部5に到達する(図2矢印A2及び図1矢印A3参照)。溶接部5に到達した冷却空気は、その勢いのまま配管2の外周面2aに沿って流れる。配管2の外周面2aに沿って流れた冷却空気は、第1断熱材3の他端面3cに衝突し、他端面3cに沿って流通する(図1矢印A4参照)。他端面3cに沿って流通した冷却空気は、第2断熱材27と第1断熱材3との間に形成された流路に流入する(図1矢印A5参照)。流路を流通した冷却空気は、第2側板26に形成された複数の排出口30に向かい、複数の排出口30から均等に大気に排出される(図1矢印A6参照)。
上記構成によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、供給部14から溶接部5を冷却する冷却空気が供給され、供給された冷却空気が排出口30から排出される。また、排出ヘッダ12によって、溶接部5を被覆しているので、溶接部5の周囲には空間4が形成され、この空間4が供給部14から排出口30へと流れる冷却空気の流路となる。このように、冷却空気の流路を好適に形成することができるので、供給部14から供給された冷却空気が淀むことがない。冷却空気が淀むことがないので、空間4の流路がない場合と比較して、溶接部5における冷却効果の不均一性を抑制できる。
また複数の排出口30は、周方向に略等ピッチで設けられる。これにより、溶接部5を冷却した冷却空気を均一に大気に排出される。このように構成することで、より効果的に、空間4内を流れる冷却空気の流れが局所に偏ることを防止でき、冷却空気の流れを均一化できる。
このように、溶接部5を均一に冷却できるので、冷却後の溶接部5のメタル温度が均一化され、配管寿命を均一に延命化できる。この結果、配管2の寿命予測精度を向上させ、プラントの信頼性を向上できる。
排出ヘッダ12内に設けられた第2断熱材27は、配管2から離間しつつ溶接部5を被覆する。これにより、第1断熱材3を撤去した部分であっても、高温となる配管2が露出しない構成にできるので、安全性を高めることができる。本実施形態では、外部に露出する外装板23の温度が火傷をしない温度(約50℃程度)となるように、第2断熱材27の厚さが設定される。したがって、外装板23に対する安全性を高めることができる。
また、溶接部5が被覆されているので、溶接部5を冷却する際に、配管2が設置される環境の影響を受けにくくすることができる。したがって、配管2の設置環境の影響を抑制し、安定した冷却性能を得ることができる。また、屋外環境下で降雨等があった場合であっても、雨水等を第2断熱材27が遮ることができ、雨水等が空間4内部から溶接部5に至ることを抑制することができる。したがって、別途雨よけの構造等を設ける必要がないので、冷却構造1をコンパクトな構造にできる。
また、排出口30にチャッキダンパ31を設けてもよい。これにより、排出口30から雨水等が流入し、雨水等が空間4内部から溶接部5に至ることを防止できる。
また、複数の排出口30の全流路面積を、供給口20aの全流路面積よりも大きく形成してもよい。これにより、排出口30の圧力損失を抑制し、供給口から供給される冷却空気を排出口30から均一に排出できる。
また、供給口20aが供給ヘッダ11に形成され、排出口30が排出ヘッダ12に形成される。具体的には供給ヘッダ11に、図示しない冷却空気供給装置から冷却空気が供給され、冷却空気を溶接部5まで導くとともに、排出口30から冷却媒体を排出する。このように、冷却後の高温空気を逆流させずに、溶接部5での均一な冷却空気の流れを得ることによって、高い冷却性能を得ることができる。
また、第2断熱材27は、排出口30方向に突出する突出部29を有している。これにより、600℃近い高温となる配管2の外周面2aから、第2側板26等への輻射を、第2断熱材27の突出部29が遮蔽することで昇温を抑制することで、火傷等への安全性を向上できる。
また、平板状の第2板材19の端部と、配管2の外周面2aとによって供給口20aが形成される。これにより、供給口20aから流出される冷却空気の速度分布及び温度分布が配管2の外周面2a近傍で大きくなる。したがって、配管2の外周面2a近傍のせん断力が大きくなり、熱伝達率が向上するため、溶接部5を効果的に冷却できる。
なお、第2板材19の配管2側の端部と配管2の外周面2aとの間に、複数のスペーサー21を設けてもよい。これにより、第2板材19の配管2側の端部と配管2の外周面2aとの間にある供給口20aの変形を抑制し、冷却構造1の信頼性を向上できる。複数のスペーサー21は、供給ヘッダ11を配管軸C1の延在方向から見たときに、中心線C2を基準として、一方側と他方側に対称となるように配置される(その重心が中心線C2と一致し、重量バランスが取れている)。
なお、少なくとも一実施形態では、第1板材18の配管2側の端部に、断面が略90度の円弧状に形成されている湾曲部20を設ける供給口20aについて説明したが、第1板材18の配管2側の端部の供給口20aは、上記に限定されない。例えば、第1板材18の配管2側の端部の供給口20aは、図3(b)に示すように、断面が90度よりも小さい円弧状に形成してもよく、図3(c)に示すように、湾曲部20を設けずに、平板状に配管2の外周面まで延びていてもよい。
第1板材18は、600℃近い高温となる配管2の近傍に配置されるので、配管2からの加熱により、熱変形を起こす可能性がある。断面が略90度の円弧状に形成されている湾曲部20では、熱変形等によって、第1板材18が第1断熱材3の一端面3b側に傾斜した場合、図3(d)に示すように、第1板材18が傾斜した角度分だけ、湾曲部20の下流端部が配管2の半径方向外側(図3(d)では紙面上方側)を向いてしまう(図3(d)矢印A10参照)。これにより、供給口から供給される冷却空気流れは、配管2の外周面2aに沿わずに、配管2の半径方向外側に供給されるため、冷却能力が低下する。
一方、図3(b)(c)に示す構成とすることで、図3(d)に示すように熱変形等によって、第1板材18が第1断熱材3の一端面3b側に傾斜した場合であっても、これにより、供給口から供給される冷却空気は、配管2の外周面2aに沿う流れを維持するため、冷却能力の低下を抑制できる(図3(d)矢印A8、A9参照)。
また、本実施形態ではスペーサー21を中心線C2を基準として、対称となるように1つずつ配置するが、スペーサー21の数はこれに限定されない。中心線C2を基準として対称となるように配置すれば、一方側と他方側に複数ずつ配置してもよい。また、中心線C2に依らず、周方向に均等に設けてもよい。
また、排出口30にチャッキダンパ31を設ける例について説明したが、排出口30からの流入を防止する構成はこれに限定されない。例えば、ラビリンス構造としてもよいし、ガラリを設けてもよい。
また、複数の排出口30を周方向に等間隔に設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第2側板26の周方向の略全域にスリットを形成してもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について図7及び図8を用いて説明する。
本実施形態では、図7に示すように、被冷却部である溶接部35が配管軸方向に延びるように形成される点及び第1断熱材36を配管2の周方向の一部のみ撤去している点が上第1実施形態と主に異なる。第1実施形態と同様の形態については、その詳しい説明は省略する。
本実施形態では、供給部34と溶接部35とが為す周方向の角度θ1が略45度以下となるように形成される。また、第1断熱材36を撤去する周方向の角度θ2が略90度以下となるように形成される。なお、供給部34が供給ヘッダ37に設けられ、排出部39が排出ヘッダ38に設けられる点は第1実施形態と同様である。
少なくとも一実施形態では、溶接部35が配管軸方向に延在しているので、供給部34から供給された冷却空気は、配管2の周方向に沿って流れる。配管2の周方向に沿って流れる冷却空気は、供給された部分から約45度以上になると配管2から剥離し、局所熱伝達率が低下する。この局所熱伝達率の低下について、図8(a)及び図8(b)を用いて説明する。図8(a)は、冷却空気Wの一様流が配管Xの円柱側面に衝突するモデルを示す。なお、図8(a)中の符号Zは、冷却空気の流れを示す。また、図8(b)はその円柱側面における局所熱伝達率を示す。図8(b)のように、円柱側面の局所熱伝達率は、衝突点から45度近辺までほぼ一定で、これ以降、外周面から次第に剥離していくため、局所熱伝達率は次第に低下する。
上記の構成では、供給部34と溶接部35とが為す周方向の角度を、局所熱伝達率が一定である45度以下とする。これにより、供給部34から供給された冷却空気は配管2から剥離し局所熱伝達率が低下する前に、溶接部35に到達するので、冷却性能を低下させることなく溶接部35を冷却できる。
また、第1断熱材36の撤去箇所を供給部14から周方向に略90度以下とする。したがって、高い冷却性能が得られるとともに、周方向の全域に亘って第1断熱材36を撤去する場合と比べて、第1断熱材36の撤去箇所を低減できる。この結果、600℃近い高温となる配管2の露出面を低減することで火傷などに対する安全性を高め、かつ、放熱を抑制することでプラント効率の低下を抑制できる。
なお、本実施形態で説明したθ1及びθ2の角度は例示であって、これに限定されない。θ1は45度以下であれば何度でもよく、θ2は360度よりも小さい角度であれば、周方向の全域に亘って第1断熱材36を撤去する場合と比べて安全性を高めることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について図9及び図10を用いて説明する。
本実施形態では、供給ヘッダ及び排出ヘッダを用いずに、第2断熱材47に供給部49及び排出部50を形成する。
本実施形態に係る高温配管の冷却構造41について説明する。図9に示すように、本実施形態における溶接部45は、配管42の上端に形成される。
第1断熱材43は、溶接部45を被覆している部分が除去され、溶接部45を取り囲むように空間44が形成される。また、第1断熱材43は、配管42の周方向の全域に亘って撤去している。また、空間44の半径方向の外側は、第2断熱材47で塞がれている。第2断熱材47は、配管42の外周面42aから半径方向外側に所定の距離だけ離間している。また、第2断熱材47には、空間44に連通する供給部49及び排出部50が形成される。排出部50は、図9及び図10に示すように、溶接部45の直上に形成され、配管42の外部に対して上向きに開口する(図9では鉛直上向き)。これに対し供給部49は、排出部50の周方向180度反対側に形成される(図9では鉛直下向き)。
次に、一実施形態における冷却空気(冷却媒体)の流れについて説明する。
供給部49から空間44内に、自然対流によって冷却空気が流入する(図10矢印A11参照)。供給部49から空間44内に流入した冷却空気は、二手にわかれ、図10の矢印A12に示すように、配管42の外周面42aを周方向に沿うように上昇しながら流通する。配管42の外周面42aを周方向に沿うように上昇しながら流通した冷却空気は、溶接部45を冷却したのち、排出部50から空間44の外部へと排出される(矢印A13参照)。
上記の構成によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、供給部49及び排出部50が第2断熱材47に形成される。これにより、既存設備に追加する冷却装置や冷却構造を設けることなく、供給部49及び排出部50を設けることができる。したがって、故障や損傷等の発生頻度を抑制し、メンテナンス性を向上できる。また、既存設備に追加する冷却装置や冷却構造を設けておらず省スペースなので、既存設備に空きスペースがない状況の高温配管にも適用できる。
また、供給部49から空間44内に供給され、配管42と接触した冷却空気は昇温する。昇温した冷却空気は、温度差に伴う密度差によって浮力が生じるので、鉛直上向きに流れる。本実施形態では、排出部50が供給部49よりも鉛直上方に位置しているので、供給部49から空間44内に供給された冷却空気を、浮力を利用して排出部50方向に向かわせることができる。したがって、ファンやブロワなどの駆動源を用いることなく、供給部49から排出部50への冷却空気の流れを形成することができる。
また、排出部50が鉛直上向きに開口しているので、冷却流路に空気が淀むことなく、好適に冷却空気を排出できる。
なお、本実施形態では、配管42の周方向の略全域に亘って空間44を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図11に示すように、供給部49を上下方向の中間位置に形成し、配管42の周方向の供給部49から排出部50までの領域のみで第1断熱材43を撤去してもよい。このような装置構成とすることで、600℃近い高温となる配管42の露出面を低減することで火傷などに対する安全性を高め、かつ、放熱を抑制することでプラント効率の低下を抑制できる。
また、本実施形態において、配管軸方向に複数の供給部又は排出部を形成してもよい。このように構成することで、空間44内を流通する冷却空気の流量を増加させ、溶接部45の冷却を促進できる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について図12及び図13を用いて説明する。
図12及び図13に示すように、一実施形態における溶接部55は、配管52の下端に形成されている点のみが第3実施形態と異なる。
一実施形態に係る冷却構造51では、供給部59は溶接部55の直下に形成される。したがって、第2断熱材57と配管52の外周面52aとの間に形成された空間54内に、供給部59から自然対流によって冷却空気が流入する(図13矢印A14参照)と直ちに溶接部55を冷却する。溶接部55を冷却した冷却空気は、二手にわかれ、図13の矢印A15に示すように、配管52の外周面52aを周方向に沿うように上昇しながら流通する。配管52の外周面52aを周方向に沿うように上昇しながら流通した冷却空気は、排出孔60から空間54の外部へと排出される(矢印A16参照)。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について図14及び図15を用いて説明する。
図14及び図15に示すように、一実施形態における溶接部65は、配管62の周方向に亘って設けられる。
一実施形態では、第2断熱材67と配管62の外周面62aとの間に形成された空間64内に、供給部69から自然対流によって冷却空気が流入する(図15矢印A17参照)。供給部69から空間64内に流入した冷却空気は、二手にわかれ、図15の矢印A18に示すように、配管62の外周面62aを周方向に沿うように上昇しながら流通するとともに、溶接部65を冷却する。配管62の外周面62aを周方向に沿うように上昇しながら流通するとともに溶接部65を冷却した冷却空気は、排出部70から空間64の外部へと排出される(矢印A19参照)。
なお、本実施形態では、配管の周方向の略全域に亘って空間64を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば図16に示すように、供給部69を上下方向の中間位置に形成し、溶接部65が形成された配管の周方向の領域のみ第1断熱材63を撤去してもよい。このような装置構成とすることで、600℃近い高温となる配管62の露出面を低減することで火傷などに対する安全性を高め、かつ、放熱を抑制することでプラント効率の低下を抑制できる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について図17を用いて説明する。
本実施形態に係る高温配管の冷却システム100は、配管74に設けられた第1被冷却部70a及び第2被冷却部70bと、第1被冷却部70a及び第2被冷却部70bに冷却空気を供給するブロワ(冷却媒体供給装置)71と、ブロワ71と第1被冷却部70a及び第2被冷却部70bとを連通するダクト72と、を備える。
ダクト72は、ブロワ71と被冷却部との間において、第1ダクト72aと第2ダクト72bとに分岐する。第1ダクト72aは、第1被冷却部70aと連通し、第2ダクト72bは、第2被冷却部70bと連通する。また、第1ダクト72aは配管74に沿って設けられ、配管74に固定される。
また、第1ダクト72a及び第2ダクト72bには、内部を流通する冷却空気の流量を調整する流量調整弁73が設けられる。
なお、第1被冷却部70a及び第2被冷却部70bにおける配管の冷却構造は、第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
上記の構成によれば、以下の作用効果を有する。
本実施形態では、ブロワ71と被冷却部との距離が離れていたとしても、ダクト72によって、リークすることなく被冷却部に冷却媒体を供給できる。したがって、ブロワ71を被冷却部の近傍に配置する必要がないので、被冷却部の近傍にブロワ71を設置するスペースがない場合であっても、配管74を冷却できる。また、第1ダクト72aを配管74に沿って設けているので、第1ダクト72aを支持するための特別な支持具等を設ける必要がなく、設置コストを低減できる。
また、1台のブロワ71から複数の被冷却部に対して冷却空気を供給できる。これにより、被冷却部が複数ある場合でも、それぞれの被冷却部に対してブロワを1台ずつ設ける場合と比較して、設置コストを低減できるとともに、省スペース化を図ることができる。
なお、本発明は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1 冷却構造
2 配管(高温配管)
2a 外周面
3 第1断熱材
3a 外周面
3b 一端面
3c 他端面
4 空間
5 溶接部(被冷却部)
11 供給ヘッダ
12 排出ヘッダ
13 ヘッダ部
14 供給部
15 ダクト
16 第1フランジ
17 第2フランジ
18 第1板材
19 第2板材
20 湾曲部
21 スペーサー
23 外装板
24 内装板
25 第1側板
26 第2側板
27 第2断熱材
28 基部
29 突出部
30 排気口(排出部)
31 チャッキダンパ(流入防止部)
34 供給部
35 溶接部
36 第1断熱材
37 供給ヘッダ
38 排出ヘッダ
42、52、62 配管
42a、52a、62a 外周面
43、63 第1断熱材
44、54、64 空間
45、55、65 溶接部
47、57、67 第2断熱材
49、59、69 供給部
50、60、70 排出部
71 ブロワ(冷却媒体供給装置)
72、72a、72b ダクト
73 流量調整弁
74 配管
100 冷却システム
A1〜A19 冷却空気の流れ
C2 中心線
W 冷却空気
X 配管
Z 冷却空気の流れ
θ1、θ2 角度

Claims (15)

  1. 外周面を第1断熱材に被覆された高温配管の被冷却部を冷却する高温配管の冷却構造であって、
    前記第1断熱材の一部が撤去された前記高温配管の外周面から離間し、かつ該高温配管の前記被冷却部を被覆する第2断熱材と、
    前記被冷却部を冷却する冷却媒体を供給する供給部と、
    前記供給部から供給された前記冷却媒体を前記第1断熱材の外周面側へ排出する排出部と、を備える高温配管の冷却構造。
  2. 前記排出部には、該排出部からの流入を防止する流入防止部が設けられている請求項1に記載の高温配管の冷却構造。
  3. 前記排出部は、前記冷却媒体を排出する空間に対して均一に開口している請求項1または請求項2に記載の高温配管の冷却構造。
  4. 前記排出部の全開口面積は、前記供給部の全開口面積よりも大きい請求項1から請求項3のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  5. 前記排出部は、前記供給部よりも上方に位置している請求項1から請求項4のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  6. 前記被冷却部は、前記高温配管の中心軸方向に延在していて、
    前記供給部と前記被冷却部とが為す周方向の角度は45度以下である請求項1から請求項5のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  7. 前記供給部及び前記排出部は、前記第2断熱材に形成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  8. 冷却媒体供給装置から前記冷却媒体が導入される供給ヘッダと、
    前記被冷却部を冷却した前記冷却媒体が導入される排出ヘッダと、を備え、
    前記供給部は、前記供給ヘッダに形成され、
    前記排出部は、前記排出ヘッダに形成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  9. 前記排出部は、前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に形成されていて、
    前記第2断熱材は、前記高温配管の前記外周面から前記第2断熱材の外周面側へと向かう輻射を遮るように、前記排出部方向に突出している請求項8に記載の高温配管の冷却構造。
  10. 前記第1断熱材は、前記高温配管と交差する端面を有し、
    前記供給部は、前記端面に沿って設けられた第1板材と、該第1板材と対向する平板状の第2板材と、を有し、
    前記第1板材の前記高温配管側の端部は、前記第2板材の前記高温配管側の端部よりも、前記高温配管側に位置していて、
    前記第1板材の前記高温配管側の端部には、前記高温配管に近づくにつれて前記端面から離間するように湾曲した湾曲部が形成され、
    前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間から前記冷却媒体が供給される請求項8または請求項9に記載の高温配管の冷却構造。
  11. 前記湾曲部は、断面が90度よりも小さい円弧状に形成されている請求項10に記載の高温配管の冷却構造。
  12. 前記第1断熱材は、前記高温配管と交差する端面を有し、
    前記供給部は、前記端面に沿って設けられた平板状の第1板材と、該第1板材と対向する平板状の第2板材と、を有し、
    前記第1板材の前記高温配管側の端部は、前記第2板材の前記高温配管側の端部よりも、前記高温配管側に位置していて、
    前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間から前記冷却媒体が供給される請求項8または請求項9に記載の高温配管の冷却構造。
  13. 前記第2板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の前記外周面との間にはスペーサーが設けられている請求項10から請求項12のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  14. 前記冷却媒体供給装置から前記供給ヘッダまで前記冷却媒体を供給するダクトを備え、
    前記ダクトは、前記高温配管に沿って配置されている請求項8から請求項13のいずれかに記載の高温配管の冷却構造。
  15. 請求項8から請求項14のいずれかに記載の高温配管の冷却構造において、
    前記被冷却部が複数形成されていて、
    1つの前記冷却媒体供給装置から、複数の前記被冷却部に対して前記冷却媒体が供給される高温配管の冷却システム。
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