JP2019055915A - 神経活性化組成物 - Google Patents
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シナプスとは、神経情報を出力する側と入力される側の間に発達した、情報伝達のための接触構造である。最も基本的な構造はシナプス前細胞の軸索末端がシナプス後細胞の樹状突起に接触しているものである。シナプスには大別して化学シナプスchemical synapseと電気シナプスelectrical synapseがあり、化学シナプスでは、出力する側の細胞をシナプス前細胞、入力される側の細胞をシナプス後細胞という。中枢神経系の多くのシナプスを占める化学シナプスでは、活動電位の到来により、シナプス前部の電位依存性カルシウムチャネルが開口してカルシウムが流入し、シナプス顆粒の開口放出を引き起こす。その結果シナプス顆粒に含まれている神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。
神経伝達物質は、シナプス後部にある神経伝達物質受容体に結合し、直接膜電位を変化させるか細胞内二次メッセンジャーを活性化する事で伝達を行う。化学シナプスは興奮性シナプスと抑制性シナプスに細分される。一方、電気シナプスは接触膜上のギャップ結合を介して、膜電位変化を直接的に次の神経細胞に伝える構造である。このように受け取られたシナプス電位が細胞体まで伝わり、軸索小丘で統合され、最終的にシナプス後細胞が発火するかどうかが決まる。この影響の相互作用を神経統合と呼ぶ。またシナプス伝達の効率は必ずしも一定ではなく、入力の強度により変化する。これをシナプス可塑性と呼び、学習・記憶の細胞メカニズムであると考えられている。
(1) シナプス前細胞の軸索で活動電位(膜の脱分極)が伝わり、カルシウムイオンがシナプス前終末に流入する、
(2)カルシウムイオンの上昇による神経伝達物質のシナプス間際での放出、
(3)神経伝達物質がシナプス後部の受容体に結合することにより、電気的または化学的変化をもたらし、シグナルが伝達される。
この過程で、神経細胞中で複数の遺伝子が活性化されて、情報シグナルの下流側への伝達を担うことになる。この一群の遺伝子群は、最初期遺伝子と総称されている。最初期遺伝子は、増殖シグナルや分化シグナル等が細胞へ伝わると、既に細胞内に存在する因子のみを用いて速やかに、且つ、一過的に転写が引き起こされる。コードされているタンパク質は、転写制御因子・成長因子・細胞骨格など様々なカテゴリーを含む。神経細胞においては、シナプス活動に伴う細胞内カルシウム濃度上昇や神経調節物質によるシグナル活性化などによって最初期遺伝子の発現が誘導されることが明らかになっている。一部の最初期遺伝子は、シナプス可塑性を引き起こす電気刺激や学習・記憶課題によって特定の脳領域に特異的な発現誘導パターンを示すことから、シナプスや神経回路の長期可塑的変化への関与が示唆されている。また、最初期遺伝子の発現は、数分〜数十分前の神経活動状態をよく反映することから、最初期遺伝子のmRNAやタンパク質は神経活動の分子マーカーとして広く利用されている。
神経細胞において最初期遺伝子は、シナプス活動や活動電位に伴うカルシウムイオンの流入などによって発現が誘導される活動依存的遺伝子であり、脳における代表的な最初期遺伝子としてc-fosやEgr-1などの転写制御因子をコードする遺伝子やArc、Homer1a/Vesl-1s等のシナプス関連タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。これら遺伝子のmRNAや発現産物であるタンパク質は神経活動の指標マーカーとしてすでに用いられている。
特許文献1には、c-fos、zif268、Arc等の最初期遺伝子の発現量変化を観察することで、薬物などに対する脳細胞の感受性や反応性を評価する技術が記載されている。
特許文献2には、神経栄養因子であるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の効果を評価するためにCREBのリン酸化促進作用を指標とする方法が開示されている。また、このCREBのリン酸化を、c-fosの産生を測定することで評価できることも記載されている。
特許文献3には、末梢投与で作用を示す食欲抑制ペプチドPYYが、末梢投与においては、視床下部の弓状核内におけるc-fosの増加、および、視床下部の神経ペプチドY(NPY)mRNAの低下を引き起こし、さらに、PYY3-36が、NPY神経末端のシナプス活動を阻害し、POMCニューロンを活性化する、ことを記載している。すなわちPYYが神経において、c-fosを介して、食欲抑制神経を活性化していることを明らかにしている。
非特許文献1、2には、c-fos、Arc、ノックアウトマウスでは、神経可塑性の障害、空間
恐怖記憶が障害されること、またc-fos、Arc発現細胞を光遺伝学的手法により不活性化す
ることで、記憶障害が誘発されるというこれまでの研究成果がレビューされている。
このように、神経系の活性化には最初期遺伝子の活性化が大きな役割を果たしていることが明らかになっている。
特許文献4には杏仁、麻黄、桂枝、人参、当帰、川きゅう、乾姜、甘草及び石膏、又はこれらの抽出物を有効成分として含有する神経栄養因子(BDNF)合成促進剤が記載されている。特許文献5にはプラセンタ抽出物を含有する脳由来神経栄養因子(BDNF)合成促進剤が記載されている。
さらに特許文献6には、ヒトES細胞を神経細胞組織に分化誘導するに当たって、PI3K−Akt経路のキナーゼ阻害によってニューロンの分化を調整できることが記載されている。
(1)クウシンサイ抽出物を有効成分とする神経活性化組成物。
(2)クウシンサイ抽出物が水及び/又はエタノール抽出物である(1)に記載の神経活性化組成物。
(3)(1)又は(2)に記載の神経活性化組成物を含む認知機能改善剤。
クウシンサイ(空心菜、空芯菜)別名ヨウサイ、学名Ipomoea aquaticaは、ヒルガオ科サツマイモ属の野菜である。茎が空洞になっており、このため、中国語で空心菜(コンシンツァイ)や通菜(トンツァイ)とも呼ばれる。「空心菜」を日本語の読みでクウシンサイという。
本発明で言う「クウシンサイ」は、これらの名称で呼ばれている植物を全て包含する。
日本国内でも、沖縄県で古くから栽培されていたほか、九州地方などの温暖な地域で栽培が広がりつつあり、栽培農家も増えている。このため本発明原料を入手することは、極めて容易である。
本発明において用いるクウシンサイは、野菜として市販されているもの、及びこれを自然乾燥又は加熱乾燥させたものでも良い。クウシンサイを細切し、これを約10倍量の水または、含水濃度0〜80%(v/v)エタノールに3〜5日間浸漬して室温で抽出するか、あるいは還流冷却器を付して50〜80℃で5〜24時間抽出し、濾過してクウシンサイ抽出液を回収する。この抽出液は、ロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置によって、水及びエタノールを除去してクウシンサイ抽出物とする。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
ファンケルが保有している天然化合物及び天然抽出物ライブラリーの中から100%エタノール抽出物650検体、70%エタノール抽出物730検体、天然化合物380検体を試料として以下の1次スクリーニングに付した。
妊娠17日目のSDラット(日本エスエルシー)から調製した初代神経細胞を4×105cells/mlの濃度になるように懸濁し、ポリ-L-リジンコートの96ウエルプレート(住友ベークライト)に200μlずつ播種し、37℃、5% CO2下で7日間培養した。
ファンケル所有の天然化合物及び天然抽出物ライブラリー中の植物100%エタノール抽出物、70%エタノール抽出物または天然化合物を添加し、20分培養した後上清を除去しPBSで細胞を洗浄した。次いで4%パラホルムアルデヒド溶液(和光純薬工業)を添加し、室温で30分間細胞固定を行った。その後PBSで洗浄し、0.1% Triton-Xを含むPBS-T(0.1% Tween-PBS(-))溶液を加え、室温で15分反応後、PBS-T溶液で洗浄し、ブロッキング溶液(25% Blocking One (Nacalai Tesque)/PBS-T)を加え1時間ブロッキングを行った。
その後ブロッキング溶液で1/3000倍に希釈した抗phospho-p44/42 MAPK (Erk1/2)(Thr202/Tyr204) (197G2)抗体(Cell Signaling Technology)を加え、室温で1時間反応させた。
PBS-T溶液で3回洗浄後、ブロッキング溶液で1/1000倍に希釈したRabbit IgG, HRP-linked F(ab')2 Fragment (GE Healthcare)を加え1時間反応させた。その後、PBS-T溶液で3回洗浄し、TMB Microwell Peroxidase Substrate System (KPL)を100μl加え室温で10分間反応させたのち、等量の1N HClを加え反応を停止させ、450nmの吸光度を測定した。なお試験試料N=1で試験した。
試験サンプル無添加の試験に対してpERKが1.5倍以上に上昇した試料を陽性と評価した。この検体を、再度N=3で試験を行い、活性の再現性確認を行った。さらに再現性の得られた試料をラット初代神経培養細胞(DIV10)に添加し、20分経過後のpERKの上昇を、抗pERK抗体を用いたウエスタンブロッティングにより確認した。
スクリーニングで陽性となった検体からクウシンサイを選択し試験を行った。
乾燥したクウシンサイは日本粉末薬品より入手した。
乾燥クウシンサイをミキサーで粉砕した後、10倍量の100%エタノールを加え3日間撹拌し、濾過した抽出液からエバポレーターを用いて植物抽出物を得た。得られた抽出物は、DMSOで溶解した。
妊娠17日目のSDラット(日本エスエルシー)から胎仔を取り出し、大脳皮質と海馬を単離した後、神経細胞分散液キット(住友ベークライト)を用いて添付の説明書に従い、初代神経細胞を調製した。調製したラット初代神経細胞を2% B27(Gibco)、0.5mM L-グルタミン(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含むニューロベイサル培地(Gibco)で4×105cells/mlの濃度になるように懸濁し、ポリ-L-リジンコートの48ウエルプレート(住友ベークライト)に350μlずつ播種し、37℃、5% CO2下で培養した。
培養11日目にDMSOに溶解させたクウシンサイ100%エタノール抽出物を添加し、20分培養後に上清を除去し、PBS(Gibco)で細胞を洗浄後、プロテアーゼ阻害剤、フォスファターゼ阻害剤(Roche Diagnostics)を加えたRIPA溶液(50mM Tris-HCl (pH8.0)、150mM NaCl、0.1% SDS、0.5% DOC、1% NP-40)150μlを加え細胞抽出液を調製した。BCA assay kit(Pierce Chemical)でタンパク質定量を行った後、調製した細胞抽出液に4倍希釈 Laemmli sample溶液(Bio-rad)、終濃度50mMになるようDTT(和光純薬工業)を加え95℃、5分加熱し、電気泳動用のサンプルを調製した。1レーンあたり1μgのタンパク質量のサンプルをMini PROTEAN TGX Gels(4-20%:15レーン、Bio-rad)にロードし、電気泳動を行った後、トランスブロットTurboミディPVDF転写パック(Bio-rad)を用いて2.5A、25V、7分の条件で転写反応を行った。
転写させたメンブレンをBlocking One(Nacalai Tesque)に浸し、室温で1時間振盪させながらブロッキングした後、10% Blocking One-TBS-T(0.1% Tweenを含むTBS溶液)溶液で1/5000倍に希釈した抗phospho-p44/42 MAPK (Erk1/2)(Thr202/Tyr204) (197G2)抗体(Cell Signaling Technology)または、1/1000倍に希釈したphospho-CaMKIIに浸し、室温で1時間振盪させながら反応させた。TBS-T溶液で3回洗浄後、10% Blocking One -TBS溶液で1/10000倍に希釈したHRP標識抗ラビットIgG抗体(Invitrogen)で浸し、室温で振盪させながら1時間反応させた。TBS-T溶液で3回洗浄した後、ECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare)で5分反応させ発光量をChemiDoc(Bio-rad)にて測定した。得られたウエスタンブロッティングのバンドの発光強度をImage labソフトを使用して測定した。
ウエスタンブロッティングのバンドを図1、発光強度測定結果を図2、図3に示す。
図2及び図3に示すように、クウシンサイの100%エタノール抽出物の添加により、リン酸化ERK(pERK)及びリン酸化CaMKII(pCaMKII)の増強作用が認められた。
上記「2)pERK、pCaMKIIの増加作用確認試験」に記載の方法により、ラット初代神経細胞を調製し、10日間培養した。クウシンサイ100%エタノール抽出液を各濃度になるように添加し2時間培養した後、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い添付の説明書に従ってRNAを調製した。調製した70 ngのRNAを用いて、PrimeScript RT reagent kit(Takara)を使用し、添付の説明書に従いcDNAを作製した。c-fos、 Arc発現量は、1μl cDNA、ラットc-fos, Arc taq man probe(TaqMan Gene expression assays:Applied Biosystems)とLightCycler 480 Probe Master(Roche)を混合し、Quanti Studio (Applied Biosystems)を用いて、95℃、10秒、(95℃、15秒→60℃、30秒)×45サイクル、50℃、30秒の反応条件で測定を行った。内部標準としてGAPDHの発現量をRodent GAPDH control Reagent(Life Technologies)を使用し、上記と同様の反応で測定した。測定により得られたCt値からGAPDHを内部標準としてΔΔCt法により、各サンプルの相対的遺伝子発現量を求めた。
試験結果を図4、5に示す。図4、5に示すようにラット初代神経細胞において、クウシンサイの100%エタノール抽出物の添加により、最初期遺伝子であるArc、c-fosの発現増加作用が認められた。
上記記載の方法により、ラット初代神経細胞を調製し、11日間培養した。クウシンサイ100%エタノール抽出液を添加し2時間培養した後、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い添付の説明書に従ってRNAを調製した。調製した70ngのRNAを用いて、PrimeScript RT reagent kit(Takara Bio)を使用し、添付の説明書に従いcDNAを作製した。BDNF発現量は、1μl cDNA、ラットBDNF taq man probe(TaqMan Gene expression assays: Applied Biosystems)とLightCycler 480 Probe Master(Roche Daignostics)を混合し、LightCycler 480 II(Roche Diagnostics)を用いて、95℃、10秒、(95℃、15秒→60℃、30秒)×45サイクル、50℃、30秒の反応条件で測定を行った。内部標準としてGAPDHの発現量をRodent GAPDH control Reagent(Thermo Fisher Scientific)を使用し、上記と同様の反応で測定した。測定により得られたCt値からGAPDHを内部標準としてΔΔCt法により、各サンプルの相対的遺伝子発現量を求めた。
その結果を図6に示す。クウシンサイの100%エタノール抽出物に、BDNFの発現増加作用が認められた。
妊娠17日目のSDラット(日本エスエルシー)から胎仔を取り出し、大脳皮質と海馬を単離した後、0.25%トリプシン、0.1mg/ml DNaseIを含むHBSS(-)溶液で37℃、20分酵素反応を行い神経幹/前駆細胞を調製した。調製した神経幹/前駆細胞を2% B27(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)、20ng/ml bFGF、hEGFを含むDMEM-F12培地で3.4×104cells/mlの濃度になるように縣濁し、10mlずつ10cmシャーレに播種した後、37℃、5% CO2下で9日間培養した。神経幹/前駆細胞を回収し、ピペッティングで細胞を分離した後、2% B27(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含むDMEM-F12培地で2×105cells/mlの濃度になるように縣濁し、ポリ-L-リジンコートの96ウエルプレート(住友ベークライト)に100μlずつ播種し、37℃、5% CO2下で18時間培養した。各濃度になるようにクウシンサイ100%エタノール抽出物を添加し2日間培養後、10μlのCell Counting Kit-8(DOJINDO)を添加し、3時間後に450nmの吸光度を測定した。結果を図7に示す。
図7に示すようにクウシンサイ100%エタノール抽出物添加により、神経幹/前駆細胞の増殖促進作用が認められた。
上記5)と同様の方法で神経幹/前駆細胞を調製し、7日間培養した。神経幹/前駆細胞を回収し、ピペッティングで細胞を分離した後、2% B27(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)、20ng/ml bFGF、hEGFを含むDMEM-F12培地で1×105 cells/mlの濃度になるように縣濁し、ポリ-L-リジンコートの96ウエルプレート(住友ベークライト)に100μlずつ播種し、37℃、5% CO2下で18時間培養した。培養液を分化培地(2% B27(Gibco)、0.5mM L-グルタミン(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含むニューロベイサル培地(Gibco))に交換し、クウシンサイ100%エタノール抽出物を加え、6日間培養した。上清を除去しPBSで細胞を洗浄した。4%パラホルムアルデヒド溶液(和光純薬工業)を添加し、4℃で細胞固定を行った。PBSで洗浄し、0.1% Triton-Xを含むPBS-T(0.1% Tween-PBS(-))溶液を加え、室温で15分反応後、PBS-Tで洗浄し、ブロッキング溶液(25% Blocking One (Nakalai)/PBS-T)を加え1時間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液で1/1000倍に希釈した抗βIII-tubulin抗体(Sigma Aldrich)を加え、4℃で18時間反応させた。PBS-T溶液で3回洗浄後、ブロッキング溶液で1/200倍に希釈したAlex 488 anti-mouse IgGを加え1時間反応させ、PBS-T溶液で3回洗浄後DAPIを含むPBS溶液に置換し、InCell analyzerで画像取得を行った。画像を図8に示す。
発現量測定は、以下の方法で行った。
上記の方法で分化培地に交換した神経幹/前駆細胞にクウシンサイ100%エタノール抽出物を各濃度になるように添加し、4日間培養した。上清を除去しPBSで細胞を洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド溶液(和光純薬工業)を添加し、4℃で細胞固定を行った。PBSで洗浄し、0.1% Triton-Xを含むPBS-T(0.1% Tween-PBS(-))溶液を加え、室温で15分反応後、PBS-Tで洗浄し、ブロッキング溶液(25% Blocking One (Nakalai)/PBS-T)を加え1時間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液で1/2000倍に希釈した抗βIII-tubulin抗体(Sigma Aldrich)を加え、4℃で18時間反応させた。PBS-T溶液で3回洗浄後、ブロッキング溶液で1/1000倍に希釈したHRP anti-mouse IgGを加え1時間反応させた。その後、PBS-T溶液で3回洗浄し、TMB Microwell Peroxidase Substrate System (KPL)を100μl加え室温で15分間反応させたのち、等量の1N HClを加え反応を停止させ、450nmの吸光度を測定した。
その結果、図9に示すように、クウシンサイ100%エタノール抽出物添加により、神経細胞のマーカーであるβIII-tubulinの発現増加が確認された。この結果から、クウシンサイ抽出物が神経細胞への分化促進作用を有していることが明らかとなった。
マウスは本来新奇物体を新奇と認識すると接近し、形状の確認、匂いを嗅ぐなどの探索行動を行う。このとき、記憶している物体に対しては探索行動をとらない又は、新奇物体に比べて短い時間しか探索しない。新奇物体認識試験は、この性質を利用し、マウスの記憶学習能を評価する。
図10に実験の概要を示す。以下に図10に沿って試験の概要を説明する。
6週齢ICRマウス雄(日本エスエルシー)1群8匹を1週間飼育部屋で順化の後、試験を行った。試験前日に試験用のボックス(40cm×40cm×40cm)でマウスに60分の順化(Habituation)を行った。
このボックスの隣り合った角から一定距離離れた中央寄りの場所に2つの同じ形をした同じ大きさの積み木Object 1及びObject 2を設置した。
試験当日開始1時間前に、vehicle (コーン油:和光純薬工業)、または被験サンプルを経口投与した。
投与60分後にマウスをボックスに入れて、5分間自由探索を行わせ、object1,2に対する探索時間を測定した。終了後は飼育ケージへ戻した。これを獲得試行とした。この獲得試行により記憶が形成される。
72時間後に片方の物体を新奇の物体Novel(Object 1')に変えたボックスにマウスを戻し、5分間自由探索を行わせて2つの物体に対する接触時間を各々測定した。これをテスト試行とする。両物体Object 1'及びObject 2に対する探索行動の時間の長さの違いから、記憶の保持を評価した。
その結果、図11に示すようにクウシンサイ抽出物投与群において、新奇物体に対する接触時間の増加が見られた。
このことから、この新奇性に対する行動変化は「獲得試行時の物体の形状または位置の記憶」を反映していると考えられる。本試験系では、獲得試行において報酬や罰といった強化因子を用いないことから、情動レベルの低い条件で形成される記憶の増加を意味している。したがって、クウシンサイは神経を活性化し、記憶を増強していることが明らかとなった。
Claims (3)
- クウシンサイ抽出物を有効成分とする神経活性化組成物。
- クウシンサイ抽出物が水及び/又はエタノール抽出物である請求項1に記載の神経活性化組成物。
- 請求項1又は2に記載の神経活性化組成物を含む認知機能改善剤。
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INTERNATIONAL JOURNAL OF PHARMTECH RESEARCH, vol. 2, no. 1, JPN6021016075, 2010, pages 475 - 479, ISSN: 0004622769 * |
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