1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機PY1は、当該パチンコ遊技機PY1の外郭を構成する遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、図2に示すように、外枠22と内枠21と前扉(前枠)23とを備えている。外枠22は、パチンコ遊技機PY1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、外枠22の内側に配置されていて、後述の遊技盤1を取付ける縦長方形状の枠体である。前扉23は、外枠22及び内枠21の前面側に配置されていて、遊技盤1を保護する縦長方形状のものである。前扉23は、遊技者に正対する部分であり、種々の飾り付けがなされている。
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えて構成されている。このヒンジ部24により、前扉23は、外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は、外枠22及び前扉23に対してそれぞれ回動自在になっている。つまり図2に示すように、遊技機枠2の左側で上下方向に延びる開閉軸KH周りに、内枠21が回動可能であると共に、前扉23が回動可能である。前扉23の中央には開口部23aが形成されていて、遊技者が後述の遊技領域6を視認できるように透明の透明板23tが開口部23aに取付けられている。開口部23aに取付けられた透明板23tのうち開口部23aの内側に位置する部分を、窓部23mと称する。透明板23tは、本形態ではガラス板であるが、透明な合成樹脂板であってもよい。すなわち、透明板23tは、前方から遊技領域6を視認可能なものであればよい。なお遊技機枠2のうち外枠22を「基枠部」と見た場合には、内枠21及び前扉23を「開閉部」と見ても良く、遊技機枠2のうち外枠22及び内枠21を「基枠部」と見た場合には、前扉23を「開閉部」と見ても良い。
この遊技機枠2の内枠21には、その内枠21が外枠22に対して開放(回動)していることを検出可能な内枠開放センサ25(枠開放検出手段)が設けられている。そのため、内枠21が外枠22に対して閉鎖しているときには、内枠開放センサ25が内枠21の開放を検出していない状態(OFF状態)になる。一方、内枠21が外枠22に対して開放しているときには、内枠開放センサ25が内枠21の開放を検出している状態(ON状態)になり、ON状態を示す検出信号を出力する。
また遊技機枠2の前扉23には、その前扉23が内枠21に対して開放(回動)していることを検出可能な前扉開放センサ26(枠開放検出手段)が設けられている。そのため、前扉23が内枠21に対して閉鎖しているときには、前扉開放センサ26が前扉23の開放を検出していない状態(OFF状態)になる。一方、前扉23が内枠21に対して開放しているときには、前扉開放センサ26が前扉23の開放を検出している状態(ON状態)になり、ON状態を示す検出信号を出力する。
本形態の内枠開放センサ25及び前扉開放センサ26は、フォトスイッチ(フォトセンサ)である。しかしながら、押しボタンとスプリングとによって物理的な接触を検出するスイッチや、圧力スイッチ(圧力センサ)、近接スイッチ(近接センサ)等であっても良く、適宜変更可能である。なお内枠開放センサ25を内枠21に設けたが、同様の機能を有するものを例えば外枠22に設けても良く、設置箇所は適宜変更可能である。また前扉開放センサ26を前扉23に設けたが、同様の機能を有するものを例えば内枠21に設けても良く、設置箇所は適宜変更可能である。また内枠開放センサ25の機能と前扉開放センサ26の機能とを併せ持つ1つのセンサを設けるようにしても良い。
図1、図3、及び図4に示すように、前扉23は、上側装飾ユニット200と、左側装飾ユニット210と、右側装飾ユニット220と、操作機構ユニット230とを備えている。なお、これらの各ユニットは、前扉23のベース枠23w(図2参照)の前面側に取付けられている。
操作機構ユニット230は、前扉23の下側に配されるものである。操作機構ユニット230は、右下部に、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル72k(発射操作部)を備えている。また操作機構ユニット230の上側部38には、遊技球(貸球や賞球)を貯留する上皿34が設けられているとともに、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る入力部40k(演出ボタン)やセレクトボタン42k(十字キー)が設けられている。また操作機構ユニット230の下側には、上皿34に収容しきれない遊技球を貯留する下皿35が設けられている。
また操作機構ユニット230の上側部38の左前部には、左下装飾部231が設けられている。左下装飾部231は、透光可能な合成樹脂部材からなり、内蔵されている後述の枠ランプ212(LED)が放つ光を透過させる。また操作機構ユニット230の上側部38の右前方には、右下装飾部233が設けられている。右下装飾部233は、透光可能な合成樹脂部材からなり、内蔵されている後述の枠ランプ212が放つ光を透過させる。左下装飾部231の前面の下側および左側の左下縁部231aと、右下装飾部233の前面の下側および右側の右下縁部233aには、光を拡散させるためのローレット加工が施されている。よって、枠ランプ212が発光すると、左下装飾部231の左下縁部231a及び右下装飾部233の右下縁部233aは面発光する。
左側装飾ユニット210は、前扉23における窓部23mの左側に配されるものである。左側装飾ユニット210は、透光可能な合成樹脂部材からなる左中装飾部211と、左中装飾部211に後方から光を入射させる枠ランプ212を備えている。左中装飾部211は、前扉23における窓部23mの左側を上下方向に沿って装飾している。左中装飾部211の前面部211aには、光を拡散させるためのローレット加工が施されている。枠ランプ212が点灯すると、左中装飾部211の前面部211aが面発光する。なお、左側装飾ユニット210の下部には、左中装飾部211と比べて後方に奥まっている逃げ部219(左中装飾部211よりも前方に突出していない部分)が設けられている。この逃げ部219は、上皿34に遊技球を供給するためにホールに設置される装置(「象の鼻」と通称される装置)を配するスペースを確保するためのものである。
右側装飾ユニット220は、前扉23における窓部23mの右側に配されるものである。右側装飾ユニット220は、透光可能な合成樹脂部材からなる右中装飾部221と、右中装飾部221に後方から光を入射させる枠ランプ212を備えている。右中装飾部221は、前扉23における窓部23mの右側を上下方向に沿って装飾している。右中装飾部221の前面部221aには、光を拡散させるためのローレット加工が施されている。枠ランプ212は、前扉23における窓部23mの右側に上下方向に沿って複数配置されている。枠ランプ212が点灯すると、右中装飾部221の前面部221aが面発光する。なお、右側装飾ユニット220には、左側装飾ユニット210の逃げ部219に相当するものは設けられていない。
上側装飾ユニット200は、前扉23の上側に配されており、左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220、操作機構ユニット230よりも前方に突出している(図4)。上側装飾ユニット200は、左右方向中央に配された中央上部ユニット400と、中央上部ユニット400の左方に配された左上部ユニット500と、中央上部ユニット400の右方に配された右上部ユニット550とを有している。
左上部ユニット500の前方部分には、透光可能な合成樹脂部材からなる左上装飾部525が設けられている。左上装飾部525の前面部525aには、光を拡散させるためのローレット加工が施されている。左上部ユニット500に内蔵された枠ランプ212を点灯させると、左上装飾部525の前面部525aが面発光する。また、右上部ユニット550の前方部分には、透光可能な合成樹脂部材からなる右上装飾部575が設けられている。右上装飾部575の前面部575aには、光を拡散させるためのローレット加工が施されている。右上部ユニット550に内蔵された枠ランプ212を点灯させると、右上装飾部575の前面部575aが面発光する。
ここで、右上装飾部575(前面部575a)、右中装飾部221(前面部221a)、および右下装飾部233(右下縁部233a)は、形状的に、正面視略J字形状(図3)に繋がり、また右側面視で略逆C字形状(図4)に繋がるように立体的にデザインされている。また、左上装飾部525(前面部525a)、左中装飾部211(前面部211a)、および左下装飾部231(左下縁部231a)は、逃げ部219を除いて、右側の各装飾部とは左右対称の形状にデザインされている。前扉23の右側で繋がる前面部575a、前面部221a、及び右下縁部233aは、外側(前扉23の上下左右の縁寄り)よりも内側(前扉23の窓部23m寄り)が前方に位置するように傾斜している。また、前扉23の左側で繋がる前面部525a、前面部211a、及び左下縁部231aも、外側よりも内側(前扉23の窓部23m寄り)が前方に位置するように傾斜している。
各種の枠ランプ212を発光させると、前扉23の右上から右下までの上下のライン(詳細には、上下方向の中央が上端や下端よりも後方に位置するように湾曲したライン、図4参照)と、前扉23の左上から左下までの上下のライン(逃げ部219を除く)が強調されて発光する。なお、逃げ部219を設けることなく、左側の各装飾部が形状的に繋がるように構成してもよい。
右上装飾部575、右中装飾部221、右下装飾部233を総称する場合、右側装飾部(あるいは右側レンズ部)と言う。また、前面部575a、前面部221a、右下縁部233aを総称する場合、右側発光面部と言う。また、左上装飾部525、左中装飾部211、左下装飾部231を総称する場合、左側装飾部(あるいは左側レンズ部)と言う。また、前面部525a、前面部211a、左下縁部231aを総称する場合、左側発光面部と言う。
遊技機枠2には、図5に示す遊技盤1が取付けられている。図5に示すように、遊技盤1には、ハンドル72kの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域6が、レール部材62で囲まれて形成されている。また遊技盤1には、後述の盤ランプ54が設けられている。また遊技領域6には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎが突設されている。
また遊技領域6の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置50(演出表示手段)が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置50の表示画面50a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄EZ(装飾図柄)の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄EZを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの演出図柄表示領域からなる。左演出図柄表示領域には左演出図柄EZ1が表示され、中演出図柄表示領域には中演出図柄EZ2が表示され、右演出図柄表示領域には右演出図柄EZ3が表示される。演出図柄EZはそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置50は、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3の組み合わせによって、後述の第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bにて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特図表示器81aや第2特図表示器81bにより把握するのではなく、画像表示装置50にて把握する。なお、演出図柄表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置50は、上記のような演出図柄EZを用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面50aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄EZのほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄EZ以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置50の表示画面50aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて保留アイコンHA(演出保留画像)を表示する保留アイコン表示領域がある。保留アイコンHAの表示により、後述の第1特図保留表示器83aにて表示される第1特図保留の記憶数や、後述の第2特図保留表示器83bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域6の中央付近であって画像表示装置50の前方には、センター枠61(内側壁部)が配されている。センター枠61の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口11へと誘導可能なステージ61sが形成されている。またセンター枠61の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ61sへ遊技球を流出させるワープ61wが設けられている。またセンター枠61の上部には、上下動可能な盤可動体55kが設けられている。盤可動体55kは、表示画面50aの上方の原点位置から表示画面50aの中央と前後方向で重なる演出位置に移動可能なものである。
遊技領域6における画像表示装置50の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口11を備える第1始動入賞装置11Dが設けられている。第1始動口11を、第1入球口や、固定入球口、第1始動入賞口、第1始動領域ともいう。また第1始動入賞装置11Dを、第1入球手段や、固定入球手段、第1始動入賞装置ともいう。第1始動口11への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
電チュー12Dは、開状態と閉状態とをとる電チュー開閉部材12k(入球口開閉部材)を備え、電チュー開閉部材12kの作動によって第2始動口12を開閉するものである。電チュー開閉部材12kは、後述の電チューソレノイド12sにより駆動される。電チュー開閉部材12kが開状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口12は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、電チュー開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域6における第1始動口11の右方には、大入賞口14を備えた大入賞装置(特別電動役物)14Dが設けられている。大入賞口14を、特別入賞口ともいう。また大入賞装置14Dを、アタッカー(AT)や、特別入賞手段、特別可変入賞装置ともいう。大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とをとるAT開閉部材14k(特別入賞口開閉部材)を備え、AT開閉部材14kの作動により大入賞口14を開閉するものである。AT開閉部材14kは、後述のATソレノイド14sにより駆動される。大入賞口14は、AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、センター枠61の右方には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。ゲート13を、通過口や通過領域ともいう。ゲート13への遊技球の通過は、電チュー12Dを開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域6の下部には、複数の一般入賞口10が設けられている。また遊技領域6の最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6外へ排出するアウト口19が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域6には、左右方向の中央より左側の左遊技領域6L(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6R(第2遊技領域)とがある。左遊技領域6Lを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域6Rを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機PY1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口11と、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口11への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー12Dが開放されることはない。
一方、第2流路R2上には、ゲート13と、大入賞装置14Dと、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート13への通過や、第2始動口12及び大入賞口14への入賞を狙うことができる。
また図5に示すように、遊技盤1の右下部には表示器類8が配置されている。表示器類8には、図6に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特図表示器81a、第2特別図柄を可変表示する第2特図表示器81b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普図表示器82が含まれている。第1特別図柄を、第1特図又は特図1ともいい、第2特別図柄を第2特図又は特図2ともいう。また、普通図柄を普図ともいう。
また表示器類8には、第1特図表示器81aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器83a、第2特図表示器81bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器83b、および普図表示器82の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器84が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bを総称して特図表示器81ということがある。また、第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83bを総称して特図保留表示器83ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。
特図表示器81では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。詳細には、第1始動口11への入賞であれば第1特図保留として、後述の第1特図保留記憶部105aに記憶され、第2始動口12への入賞であれば第2特図保留として、後述の第2特図保留記憶部105bに記憶される。各々の特図保留記憶部105に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ「4」となっている。
特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器83に表示される。具体的には特図保留表示器83はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート13への遊技球の通過を契機として行われる。普図表示器82では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口12を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口12の開放パターンについては後述する。
具体的には普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており(図6参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、後述の普図保留記憶部106に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部106に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器84に表示される。具体的には普図保留表示器84は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
2.上側装飾ユニットの構成
次に図3及び図7〜図12に基づいて、上側装飾ユニット200の構成を説明する。図7に示すように、上側装飾ユニット200は、前扉23のベース枠23wの上部に取付けられている。上側装飾ユニット200は、昇降ユニット300と、中央上部ユニット400と、左上部ユニット500と、右上部ユニット550とを備えている。中央上部ユニット400、左上部ユニット500、右上部ユニット550は、昇降ユニット300の前面側に配された取付ベース331に組付けられている。
昇降ユニット300は、上側装飾ユニット200の昇降動作を行うものである(図3及び図8参照)。左上部ユニット500および右上部ユニット550は、開閉動作を行うものである(図8及び図11参照)。なお以下では、左上部ユニット500及び右上部ユニット550をまとめて説明する場合には、「開閉ユニット600」ということがある。開閉ユニット600は、中央上部ユニット400に対して組付けられている。
先ず、上側装飾ユニット200での昇降動作について説明する。上側装飾ユニット200のうち可動側である中央上部ユニット400及び開閉ユニット600は、昇降ユニット300により、図3に示す通常位置から図8に示す上昇位置へ上昇(移動)することが可能である。なお側面図において、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600は、図9(A)に示す通常位置から図9(B)に示す上昇位置へ移動することが可能である。勿論、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600は、通常位置へ下降(移動)できるようになっている。
昇降ユニット300は、図10(A)(B)に示すように、ステッピングモータである昇降モータ310(二点鎖線参照)と、第1ギヤ311と、第2ギヤ312と、第3ギヤ313とを備えている。そのため、昇降モータ310が駆動すると、第1ギヤ311、第2ギヤ312、第3ギヤ313が順番に回転する。また昇降ユニット300には、上下方向に長く伸びる円弧状の長孔314(二点鎖線参照)が形成されている。長孔314には、後述するスライド部材410の軸ピン411が上下方向にスライド可能に挿通されている。
中央上部ユニット400は、図10(A)(B)に示すように、後方の左右両側に、スライド部材410を備えている。スライド部材410の下端には、上述した長孔314に挿通される軸ピン411が設けられている。また中央上部ユニット400には、リンク機構420が設けられている。リンク機構420は、スライド部材410を組付けていて、上述した第3ギヤ313が回転することで、スライド部材410を長孔314に沿って移動させることが可能になっている。
こうして、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600が、図3に示す通常位置にあるときに、昇降モータ310が駆動すると、第1ギヤ311と第2ギヤ312と第3ギヤ313とが回転する。これによりリンク機構420が作動して、スライド部材410の軸ピン411が図10(A)に示す位置から図10(B)に示す位置まで、長孔314に沿って上方にスライドする。その結果、スライド部材410を組付けている中央上部ユニット400と、開閉ユニット600とが、図8に示す上昇位置へ上昇するようになっている。
ここで図8に示すように、昇降ユニット300には、発光表示部320が設けられている。発光表示部320は、図3に示すように中央上部ユニット400が通常位置にあるときには、中央上部ユニット400の後側に隠れて視認不可能である。一方、発光表示部320は、図8に示すように中央上部ユニット400が上昇位置まで上昇すると、露出して視認可能になる。発光表示部320には、所定の発光態様(文字、図形、記号等)で発光可能な表示ランプ321(図18参照)が設けられている。従って、中央上部ユニット400が通常位置から上昇位置へ上昇するのに伴って、遊技者には発光表示部320を視認させると共に、所定の発光態様での発光を認識させることが可能である。その結果、単に中央上部ユニット400が上昇するだけの場合に比べて、インパクトを強めることが可能である。
そして、図9(A)(B)に示すように、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600は、真上に移動するのではなく、前方に向かって斜め上方へ移動する。即ち、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600の移動方向は、上下方向の成分と前後方向の成分とを含んでいる。このため、真上に移動する構成と比べて、遊技機枠2(前扉23)の一部がずれたような印象を与え易くなっている。具体的には、デザイン的に繋がっていた右上装飾部575(左上装飾部525)と右中装飾部221(左中装飾部211)とが上下に分離しつつ、右上装飾部575(左上装飾部525)が右中装飾部221(左中装飾部211)に対して前方にずれる。これにより、遊技機枠2(前扉23)のデザインが崩れる。よって、遊技者に対して遊技機枠2がずれたような斬新な印象を与えることが可能となっている。
図3に示すように、中央上部ユニット400が通常位置にあるときの前扉23の上下方向の距離(高さ)を、X1とする。一方、図8に示すように、中央上部ユニット400が上昇位置にあるときの前扉23の上下方向の距離(高さ)を、X2とする。この場合、勿論、距離X2が距離X1よりも大きくなる。本形態では、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600は、通常位置から既にそれらの一部が遊技機枠2の上縁2Uよりも上方に配されている。そのため、遊技者には予め上下方向に長い遊技機枠2という印象を与えることが可能である。その上で、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600が、図3に示す状態から図8に示すように上方へ移動するため、一層上方へ延びる遊技機枠2という印象を与えることが可能である。
なお遊技機枠2の上縁2Uとは、外枠22の上端で左右方向に延びる縁部分のことである。なお遊技機枠2にはその他に、下縁2Dと左縁2Lと右縁2Rとがある。下縁2Dは、外枠22の下端で左右方向に延びる縁部分のことである。左縁2Lは、外枠22の左端で上下方向に延びる縁部分のことである。右縁2Rは、外枠22の右端で上下方向に延びる縁部分のことである。これら上縁2Uと下縁2Dと左縁2Lと右縁2Rとが、遊技機枠2の「枠縁」に相当する。
次に、上側装飾ユニット200での開閉動作について説明する。開閉ユニット600(具体的には後述する左側可動体510及び右側可動体560)は、図8に示す閉塞位置(待機位置)から図11に示す開放位置(駆動位置)へ開く(移動する)ことが可能である。なお開閉ユニット600は、中央上部ユニット400に対して開閉するものである。そのため、図8及び図11では、中央上部ユニット400が上昇位置にあるときに開閉ユニット600の開閉動作が示されているが、中央上部ユニット400が通常位置にあっても開閉ユニット600は開閉動作可能である。左上部ユニット500と右上部ユニット550は、左右対称の形状をしており、構成要素は同じである。よって以下では、左上部ユニット500について説明し、右上部ユニット550については詳細な説明を省略する。
図12に示すように、左上部ユニット500は、左側可動体510(可動部材,駆動部材)と、左側可動体510を駆動させるための開閉駆動部530とを備えている。開閉駆動部530は、ステッピングモータである左上部モータ531(駆動手段)と、左上部モータ531の回転軸に取付けられた駆動ギヤ532と、駆動ギヤ532と噛み合っている従動ギヤ533と、従動ギヤ533と噛み合っている扇形ギヤ部534とを備えている。扇形ギヤ部534は、左側可動体510に固定されている。よって、左上部モータ531が駆動すると、駆動ギヤ532、従動ギヤ533、扇形ギヤ部534が連動し、左側可動体510は、軸部材511を回転中心として回転する。
左側可動体510は、閉塞位置(図8参照)にあるときに遊技者に視認されない内側部材512と、閉塞位置にあるときに遊技者に視認される外側部材520とが組合わされたものである。内側部材512は、円形状の内側レンズ部513と、内側レンズ部513を囲う内側本体部515とを備えており、外側部材520は、円形状の外側レンズ部521(図8参照)と、外側レンズ部521(図8参照)を囲う外側本体部523とを備えている。内側本体部515および外側本体部523は、透光性を有する合成樹脂からなる。左側可動体510の前方部分が、上述した左上装飾部525であり、左上装飾部525の前面部525aは、外側本体部523の前面部である。
また左側可動体510は、内側部材512と外側部材520との間に、左上枠ランプ528(LED,図18参照)が両面に実装されたLED基板を内蔵している。左上枠ランプ528が点灯すると、左上装飾部525の前面部525aが面発光する。また、左側可動体510が閉塞位置(図8参照)にあれば、外側レンズ部521を通った光が遊技者からよく見え、左側可動体510が開放位置(図11参照)にあれば、内側レンズ部513を通った光が遊技者からよく見える。
また左上部ユニット500は、内側に左鏡面部527を備えている(図11参照)。この左鏡面部527によって、開閉駆動部530(図12参照)が遊技者から見えないようになっている。左側可動体510が開放位置にあるとき、左上枠ランプ528の光であって内側レンズ部513等を通った光の一部が、左鏡面部527で反射する。よって、左側可動体510が開放位置にあるときの発光演出の演出効果が、左鏡面部527がない場合よりも高められる。
なお、右上部ユニット550については、左側可動体510に対応する構成を右側可動体560(可動部材,駆動部材)と称し、左上部モータ531に対応する構成を右上部モータ581(駆動手段)と称し、左鏡面部527に対応する構成を右鏡面部577と称し、残りの構成を左上部ユニット500における構成と同様の名称および符号とする。また、右側可動体560の前方部分が上述の右上装飾部575であり、右側可動体560における外側本体部523の前面部が、右上装飾部575の前面部575aである。また、右側可動体560は、内側部材512と外側部材520との間に、右上枠ランプ578(LED)が両面に実装されたLED基板を内蔵している。
左側可動体510および右側可動体560の回転量は100度程度である。左側可動体510および右側可動体560は、閉塞位置にあるときには前面部525a,575aを内側に向けるように斜めに配されているが(図8参照)、開放位置にあるときには前面部525a,575aを外側に向ける(図11参照)。
ここで図8に示すように、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にあるときに、左側可動体510の左端から右側可動体560の右端までの左右方向の距離(幅)を、W1とする。一方、図11に示すように、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあるときに、左側可動体510の左端から右側可動体560の右端までの左右方向の距離(幅)を、W2とする。この場合、本形態では、距離W2が距離W1よりも大きくなるように、左側可動体510及び右側可動体560が開くようになっている。特に本形態では、距離W2は、遊技機枠2の左右方向の距離(外枠22の左端から右端までの距離)W3よりも大きい。つまり、左側可動体510は、遊技機枠2の左縁2Lよりも右方にある閉塞位置から、一部が遊技機枠2の左縁2Lよりも左方にある開放位置まで移動する。同様に、右側可動体560は、遊技機枠2の右縁2Rよりも左方にある閉塞位置から、一部が遊技機枠2の右縁2Rよりも右方にある開放位置まで移動する。こうして、左側可動体510及び右側可動体560を左右に大きく開かせることで、遊技者に与えるインパクトを高めることが可能である。
そして本形態では、図8に示すように、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にあるとき、左側可動体510の左端から右側可動体560の右端までの左右方向の距離W1が、遊技機枠2の左右方向の距離W3よりも若干短いが、窓部23mの左右方向の距離W4よりは長い。つまり、上側装飾ユニット200のうち可動側である中央上部ユニット400と開閉ユニット600は、比較的幅がある可動物(遊技機枠2と同程度の幅をもつ可動物)であり、これが上方に移動することになる。よって、単に遊技機枠2(前扉23)に配された可動物が動いただけの印象とはならず、遊技機枠2(前扉23)全体が上に伸びたような印象を遊技者に与えることが可能である。
3.左中装飾部及び右中装飾部の構成
次に図13〜図15に基づいて、左中装飾部211及び右中装飾部221の構成を説明する。なお、左中装飾部211と右中装飾部221は、左右対称の形状をしており、構成要素は同じである。そして後述する左中装飾部211が奏する作用効果も、右中装飾部221が奏する作用効果と同じである。よって以下では、左中装飾部211について説明し、右中装飾部221については詳細な説明を省略する。
左中装飾部211(演出部材)は、上述したように、透光可能な合成樹脂部材で構成されていて、図13(A)(B)に示すように、前側に配されている前面部211a(第3面部)と、左側に配されている左側面部211bと、上側に配されている上面部211c(第2面部)と、右側に配されている右側面部211d(第1面部)とを備えている。なお、図13(B)は、図13(A)において矢印Y1で示す方向から見たときの斜視図である。本形態では、図8に示すように、左中装飾部211の上面部211cが、左側可動体510の下面に対向するように設けられている。そのため、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600が通常位置から上昇位置へ移動して、左側可動体510の下面が上面部211cから離れることで、上面部211cが露出して現れるようになっている。
前面部211aは、上述したようにローレット加工が施されている部分である。この前面部211aは、主に上下左右方向(上下方向且つ左右方向)に延びる面部分であって、僅かに前方で且つ右斜め上方に延びるように形成されている。従って、前面部211aの右上端が、前面部211aのうち遊技者側に最も近く(前方)に配されている。左側面部211bは、主に上下前後方向(上下方向且つ前後方向)に延びる面部分であって、前方で且つ右斜め下方に延びるように形成されている。図13(A)に示すように、左側面部211bの前側縁部と前面部211aの左側縁部とが接していて、約120度程度(鈍角)の角部分を形成している。
上面部211cは、主に前後左右(前後方向且つ左右方向)に延びる面部分であって、前方且つ右斜め下方に延びるように形成されている。従って、上面部211cの右下端が、上面部211cのうち遊技者側に最も近く(前方)に配されている。図13(A)に示すように、上面部211cの前側縁部と前面部211aの上側縁部とが接していて、約70度程度(鋭角)の角部分を形成している。また、上面部211cの左側縁部と左側面部211bの上側縁部とが接していて、約90度の角部分を形成している。
右側面部211d(図13(B)参照)は、主に上下前後に延びる面部分であって、左側面部211bとほぼ平行になるように形成されている。ここで図13(A)(B)に示すように、右側面部211dよりも前方には、主に上下方向に延びる前方縁部211eが設けられている。また右側面部211dよりも上方には、主に前後方向に延びる上方縁部211fが設けられている。
なお本形態では、左中装飾部211は、2部材で構成されている。一方の部材は、前面部211aと左側面部211bと上面部211cと前方縁部211eと上方縁部211fとが一体成型されたものである。もう一方の部材は、右側面部211dのみで構成されている。つまり前方縁部211eは、前面部211aの右端に一体的に接合していて、右側面部211dに接合しているわけではない。また上方縁部211fは、上面部211cの右端に一体的に接合していて、右側面部211dに接合しているわけではない。従って、右側面部211dは、前方縁部211e及び上方縁部211fの内側に嵌め込まれるように組付けられている(図13(B)参照)。
前方縁部211e及び上方縁部211fは、右側面部211dと同一平面状(同一方向)に形成されているものである。これら前方縁部211e及び上方縁部211fは、上述したように、それぞれ右側面部211dよりも外側にて別体として設けられているものである(図13(B)参照)。前方縁部211eは、前面部211aの右側縁部と接合していて、約60度の角部分を形成している(図13(A)参照)。
これに対して、上方縁部211f(延長部)は、図13(A)に示すように、上面部211cの右側縁部よりも上方に突出している。つまり上方縁部211fは、左中装飾部211を前面部211a側から見た場合に、右側面部211dと上面部211cと前面部211aとに基づく仮想角部KK(図13(A)の仮想線参照)よりも、上方に飛び出て見える。要するに、上方縁部211fは、右側面部211dが僅かに上方に延長されたように見える部分である。こうして、一般的な演出部材であれば、互いに接する3つの面によって角部分を形成するところ、本形態では、敢えて上方縁部211fを飛び出すようにしている。これは以下の理由に基づく。
本形態では、デザイン性を高めるべく、できるだけ左中装飾部211の鋭利な外観を保つことを目的としている。そのため、角部分を強調することが考えられるが、鋭利な角部分があると、遊技者が接触したときの危険性が高まってしまう。そこで、比較例として図14(A)に示すような演出部材EBの構成が考えられる。比較例の演出部材EBは、前面部901と上面部902と左側面部903とを備え、前面部901と上面部902とが接する部分に角部分904が形成されている。そしてこの角部分904には、曲面状の面取り(R面取り)が施されている。この比較例の演出部材EBでは、接触に対する安全性を高めているものの、鋭利な印象を与え難い。つまり、角部分904に施されている曲面状の面取りが強調されてしまい、鋭利なデザイン性を損ねてしまう。
そこで本形態では、図14(B)に示すように、上方縁部211fを上面部211cよりも上方に突出させている。なお上方縁部211fが上面部211cよりも上方に突出している突出量T1は約2mmであって、上方縁部211fの幅T2は約1mmである。これらの長さは、左中装飾部211の各面部(前面部211a、左側面部211b、上面部211c、右側面部211d)を構成する何れの一辺の長さの10分の1以下である。こうして、左中装飾部211から少し離れて見る遊技者には、右側面部211dと上面部211cと前面部211aとに基づく仮想角部KKを意識させつつ、僅かに突出する上方縁部211fを見せることが可能である。その結果、左中装飾部211としての鋭利な外観を保ちつつ、斬新な印象を与えることが可能である。
その上で本形態では、図13(A)に示すように、上方縁部211fの前端側(遊技者側)にある角部分211f1に、曲面状の面取り(R面取り)を施している。つまり、角部分211f1は、遊技者側に向かって突き出ているものの、曲面状になっている。そのため、遊技者が上方縁部211fの角部分211f1に接触しても、負傷するのを防ぐことが可能である。以上により、僅かに上方に突出する上方縁部211fと、上方縁部211fの前端に形成した面取りにより、左中装飾部211の鋭利な外観を保つことと、接触したときの安全性を高めることの両立を図ることが可能である。
ここで、図13(A)に示すように、仮想角部KKは、左中装飾部211の中では最も前方側に配されている部分である。言い換えると、仮想角部KKは、左中装飾部211という一つの演出部材の中で、遊技者側に向かって突き出ている部分である。従って本形態の特徴は、遊技者側に向かって突き出ている演出部材において、敢えて上方縁部211fを設けて、その先端部分である角部分211f1に面取りを施すことで、背反し易い鋭利な外観と安全性の両方を実現していることである。
また図13(A)に示すよう、上方縁部211fには、前後方向(長手方向)に沿って3つのリブ211f2が形成されている。各リブ211f2は、上面部211cと上方縁部211fとに接合されていて、上方縁部211fの強度を高めるものである。従って、上方縁部211fが上面部211cから僅かに上方に突出していても、リブ211f2によって、上方縁部211fが折れ曲がったり、破損したりする等の不具合を生じ難くすることが可能である。更に、リブ211f2自体に面取り(C面取り)が施されている。そのため、遊技者等がリブ211f2を触ったときに負傷しないようにすることが可能である。
ところで、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600が通常位置から上昇位置へ移動した後(図8参照)、図15(A)に示すように、遊技者の左手が、左中装飾部211の上面部211cに左方から載せられる場合があり得る。この場合に、中央上部ユニット400及び開閉ユニット600が上昇位置から通常位置へ移動すると、左側可動体510の下面と左中装飾部211の上面部211cとの間に、遊技者の手が挟まれるおそれがある。
そこで本形態の上面部211cは、左側(外側)が右側(内側)よりも低くなるように形成されている。つまり、上面部211cは、左方に向かって下方になるように傾斜した傾斜面になっている。これにより、遊技者の左手が左中装飾部211の上面部211cに載っても、左方へズレ落ち易くすることが可能である。そして万一、遊技者の左手が左中装飾部211の上面部211cに載ったまま、左側可動体510の下面が下降しても、左側が低い上面部211cにより、遊技者の左手を左方へ抜け易くすることが可能である。つまり、仮に右側が左側よりも低い上面部である場合には、左側可動体510の下面が下降したときに、遊技者の左手が右方(内側)に巻き込まれるおそれがある。一方、仮に上面部が水平方向に延びる平面である場合には、仮想角部KK(図13(A)参照)が遊技者側に向かって突き出ている印象が弱まってしまう。よって本形態では、上面部211cの左側を右側よりも低くすることで、より鋭利な外観を表現しつつ、安全性を高めることが可能である。
また本形態では、左中装飾部211の上方縁部211fは、図15(A)に示すように、長手方向である前後方向に沿って、曲面状の面取り(R面取り)が施されている。つまり、図15(B)の断面図で示すように、上方縁部211fの縦断面の上側は、角がある凸形状にはなっておらず、円弧状になっている。従って、遊技者の左手が左中装飾部211の上方縁部211fに触っても、負傷しないようにすることが可能である。こうして、上方縁部211fには、前端にて曲面状の面取りが施された角部分211f1があるだけでなく、長手方向に沿って曲面状の面取りが施されているため、安全性を一層高めることが可能である。
4.遊技機の電気的構成
次に図16〜図18に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図16及び図17に示すようにパチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板100(主制御基板)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170等を備えている。なお、遊技制御基板100は、メイン制御部を構成し、演出制御基板120は、後述する画像制御基板140、音声制御基板161、及びサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。
なお、サブ制御部は、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50やスピーカ610、盤ランプ54、盤可動体55k、枠ランプ212、左上枠ランプ528、右上枠ランプ578、枠可動体等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。枠可動体には、左上部ユニット500、右上部ユニット550、中央上部ユニット400がある。
またパチンコ遊技機PY1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、遊技制御基板100、演出制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、後述する遊技制御基板100の遊技用RAM(Random Access Memory)104や演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、遊技制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を遊技制御基板100に設けたり、演出制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路を演出制御基板120に設けたりしてもよい。
図16に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート118が含まれている。遊技用RAM104には、上述した特図保留記憶部105(第1特図保留記憶部105aおよび第2特図保留記憶部105b)と普図保留記憶部106とが設けられている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
遊技制御基板100には、中継基板110を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、および一般入賞口センサ10aが接続されている。
第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ14aは、大入賞口14内に設けられて大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10内に設けられて一般入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、およびATソレノイド14sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動するものである。ATソレノイド14sは、大入賞装置14DのAT開閉部材14kを駆動するものである。
また遊技制御基板100には、内枠開放センサ25と前扉開放センサ26が接続されている。内枠開放センサ25は、内枠21が外枠22に対して開放していることを検出するものである。そのため、内枠21が外枠22に対して開放すると、内枠開放センサ25から遊技制御基板100に対して開放していること(ON状態)を示す検出信号が検出される。前扉開放センサ26は、前扉23が内枠21に対して開放していることを検出するものである。そのため、前扉23が内枠21に対して開放すると、前扉開放センサ26から遊技制御基板100に対して開放していること(ON状態)を示す検出信号が検出される。
さらに遊技制御基板100には、特図表示器81(第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81b)、普図表示器82、特図保留表示器83(第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83b)、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドや信号を送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72k(図1参照)が含まれる。
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検知信号が払出制御基板170に出力される。
なお遊技者による発射装置72のハンドル72k(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また遊技制御基板100は、演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図17に示すように、演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
また図17に示すように、演出制御基板120には、画像制御基板140、音声制御基板161(音声制御回路)が接続されている。画像制御基板140には画像表示装置50が接続され、音声制御基板161にはスピーカ610が接続されている。また図17及び図18に示すように、演出制御基板120には、サブドライブ基板162(サブドライブ回路)が接続されている。サブドライブ基板162には、盤ランプ54、盤可動体55k、複数の枠ランプ212が接続されているとともに、枠上中継基板180を介して、上側装飾ユニット200に搭載されている各種の電子部品が接続されている。
具体的には、枠上中継基板180には、昇降ユニット300の昇降モータ310と表示ランプ321が接続されている。また枠上中継基板180には、左上部ユニット500の左上部モータ531、左上枠ランプ528、左側開放フォトセンサ535、左側閉塞フォトセンサ536が接続されている。左側開放フォトセンサ535は、左側可動体510が開放位置(図11参照)にあることを検出するものである。そのため、左側可動体510が開放位置にあると、左側開放フォトセンサ535から枠上中継基板180とサブドライブ基板162とを介して演出制御基板120に、左側可動体510が開放位置にあること(ON状態)を示す検出信号が入力される。左側閉塞フォトセンサ536は、左側可動体510が閉塞位置(図8参照)にあることを検出するものである。そのため、左側可動体510が閉塞位置にあると、左側閉塞フォトセンサ536から枠上中継基板180とサブドライブ基板162とを介して演出制御基板120に、左側可動体510が閉塞位置にあること(ON状態)を示す検出信号が入力される。
また枠上中継基板180には、右上部ユニット550の右上部モータ581、右上枠ランプ578、右側開放フォトセンサ585、右側閉塞フォトセンサ586が接続されている。右側開放フォトセンサ585は、右側可動体560が開放位置(図11参照)にあることを検出するものである。そのため、右側可動体560が開放位置にあると、右側開放フォトセンサ585から枠上中継基板180とサブドライブ基板162とを介して演出制御基板120に、右側可動体560が開放位置にあること(ON状態)を示す検出信号が入力される。右側閉塞フォトセンサ586は、右側可動体560が閉塞位置(図8参照)にあることを検出するものである。そのため、右側可動体560が閉塞位置にあると、右側閉塞フォトセンサ586から枠上中継基板180とサブドライブ基板162とを介して演出制御基板120に、右側可動体560が閉塞位置にあること(ON状態)を示す検出信号が入力される。
図17に示すように、演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の制御を行わせる。画像制御基板140は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶した画像用ROM142、ワークメモリとして使用される画像用RAM143、及び、画像用ROM142に記憶されたプログラムを実行する画像用CPU141を備えている。なお、画像用ROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
また演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板161を介してスピーカ610から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ610から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。なお、音声制御基板161にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板161にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ610を画像制御基板140に接続し、画像制御基板140の画像用CPU141に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板140の画像用ROM142に音響データを格納してもよい。
また図17および図18に示すように、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162、枠上中継基板180を介して、各種の枠ランプ212、盤ランプ54、表示ランプ321、左上枠ランプ528、右上枠ランプ578等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプ駆動データともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン121(制御手段)は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162、枠上中継基板180を介して、各種の枠可動体(中央上部ユニット400、左上部ユニット500、右上部ユニット550)や盤可動体55k等の可動体の駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、各可動体の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って、各可動体の駆動制御を行う。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
なお、サブドライブ基板162にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や、可動体の駆動制御を行わせてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板162にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
また演出制御基板120には、入力部検知センサ40a(演出ボタン検知センサ)およびセレクトボタン検知センサ42aが接続されている。入力部検知センサ40aは、入力部40k(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。入力部40kが押下操作されると入力部検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42k(図1参照)が押下操作されたことを検知するものである。セレクトボタン42kが押下操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
なお図16〜図18は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図16〜図18に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板100を除いて、図16〜図18に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図16〜図18に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ここで本形態の左上部モータ531の構造について、図19に基づいて説明する。図19に示すように、本形態の左上部モータ531は、バイポーラ型のステッピングモータである。なお本形態では、左上部モータ531の他、右上部モータ581、昇降モータ310もバイポーラ型のステッピングモータである。
バイポーラ型のステッピングモータでは、機能を概略的に説明すると、図19に示すように、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられている。このバイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図19の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、コイルAとコイルBに流す電流の向きを交互に切替えるようになっている。
即ち、先ず図19の(1)に示すように、コイルAのφ1端子からφ2端子へ電流を流す。次に図19の(2)に示すように、コイルBのφ3端子からφ4端子へ電流を流す。続いて図19の(3)に示すように、コイルAのφ2端子からφ1端子へ電流を流す。最後に図19の(4)に示すように、コイルBのφ4端子からφ3端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてバイポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが切替わることが特徴になる。
このバイポーラ側のステッピングモータを用いる場合、従来のようなユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、同じ巻き数のコイルであれば、コイルの利用効率が高くなる。その結果、モータを効率良く回転させることが可能であり、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。
また本形態では、バイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合の励磁方式として、2相励磁を用いている。2相励磁は、パルスを付与する次の相に対して1パルス分だけずらしながら、2相ずつ同時に励磁する方式である。この2相励磁に対して例えば、1相励磁がある。1相励磁は、パルスを付与する度に1相ずつ励磁する方式である。本形態の2相励磁であれば、1相励磁に比べて、回転を安定させることが可能であり、高速回転に有利である。更に、出力トルクを大きくできるというメリットがある。但し、1相励磁に比べて、消費電流(電力)が2倍になるというデメリットがある。
5.枠上中継基板の電気回路
次に図20及び図21に基づいて、枠上中継基板180の電気回路について説明する。図20に示すように、枠上中継基板180には、左上部モータドライバIC11と、右上部モータドライバIC21とが実装されている。左上部モータドライバIC11は、左上部モータ531の駆動を制御するステッピングモータドライバである。また右上部モータドライバIC21は、右上部モータ581の駆動を制御するステッピングモータドライバである。
左上部モータドライバIC11は、図20に示すように、Vcc端子、VREFA端子、VREFB端子、PHASEA端子、PHASEB端子、INA1端子、INA2端子、INB1端子、INB2端子、STANDBY端子、6ビット分のGND端子、2ビット分のOUTA+端子、2ビット分のOUTA−端子、2ビット分のOUTB+端子、2ビット分のOUTB−端子、2ビット分のRSA端子、2ビット分のRSB端子、18ビット分のNC(未接続)端子、及びその他の端子(OSCM端子、VM端子)を備えている。左上部モータドライバIC11には、例えばテキサスインスツルメンツ製「TB67S101AFTG」などの汎用ドライバを好適に使用できる。
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。VREFA端子は、左上部モータ531に対するA相モータ出力設定端子である。またVREFB端子は、左上部モータ531に対するB相モータ出力設定端子である。ここで、VREFA端子に作用する電圧によって、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFA端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。同様に、VREFB端子に作用する電圧によって、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFB端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。
PHASEA端子は、左上部モータ531(図19参照)に対するA相極性設定端子である。PHASEB端子は、左上部モータ531に対するB相極性設定端子である。INA1端子及びINA2端子は、左上部モータ531に対するA相出力制御端子である。INB1端子及びINB2端子は、左上部モータ531に対するB相出力制御端子である。STANDBY端子は、省電力モード設定端子である。GND端子は、グランドに接続するための端子である。
ところで、図20に示す左上部モータドライバIC11は、左上部モータ531のコイルAの各端子φ1,φ2、及びコイルBの各端子φ3,φ4に所定の一定電流(電流値が一定である電流)を供給することが可能な定電流駆動方式のものである。定電流駆動方式では、各コイルA,Bに流れる電流が一定電流になるように常に監視して、規定電流以上の電流が流れようとすると高速で電圧のONとOFFとを繰り返して、一定電流を保つ方式である。本形態の左上部モータドライバIC11では、定電流駆動方式によって供給する一定電流が200mAになるように設定されている。なお上記した一定電流は、必要とする駆動トルクに応じて、適宜変更可能である。
左上部モータドライバIC11のOUTA+端子は、制御ラインL11を介してコネクタCN11の1番端子に接続されている。コネクタCN11の1番端子は、図示しないハーネスを介して、左上部モータ531のコイルAの端子φ1(図19参照)に接続されている。従って、左上部モータドライバIC11のOUTA+端子から出力される電流を、制御ラインL11を通して、左上部モータ531のコイルAの端子φ1へ流すことが可能である。
また左上部モータドライバIC11のOUTA−端子は、制御ラインL12を介してコネクタCN11の2番端子に接続されている。コネクタCN11の2番端子は、図示しないハーネスを介して、左上部モータ531のコイルAの端子φ2(図19参照)に接続されている。従って、左上部モータドライバIC11のOUTA−端子から出力される電流を、制御ラインL12を通して、左上部モータ531のコイルAの端子φ2へ流すことが可能である。
また左上部モータドライバIC11のOUTB+端子は、制御ラインL13を介してコネクタCN11の3番端子に接続されている。コネクタCN11の3番端子は、図示しないハーネスを介して、左上部モータ531のコイルBの端子φ3(図19参照)に接続されている。従って、左上部モータドライバIC11のOUTB+端子から出力される電流を、制御ラインL13を通して、左上部モータ531のコイルBの端子φ3へ流すことが可能である。
また左上部モータドライバIC11のOUTB−端子は、制御ラインL14を介してコネクタCN11の4番端子に接続されている。コネクタCN11の4番端子は、図示しないハーネスを介して、左上部モータ531のコイルBの端子φ4(図19参照)に接続されている。従って、左上部モータドライバIC11のOUTB−端子から出力される電流を、制御ラインL14を通して、左上部モータ531のコイルBの端子φ4へ流すことが可能である。
なお図20に示すように、左上部モータドライバIC11の2つのOUTA+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL11になっている。また左上部モータドライバIC11の2つのOUTA−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL12になっている。また左上部モータドライバIC11の2つのOUTB+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL13になっている。また左上部モータドライバIC11の2つのOUTB−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL14になっている。これは、左上部モータドライバIC11の1つ(1ビット分)の端子から出力できる電流は限られているため、2つの端子から延びる制御ラインを結合することで、より大きな電流を供給可能にするためである。
各制御ラインL11,L12,L13,L14とグランドとの間には、それぞれツェナーダイオードD11,D12,D13,D14が配されていて、各制御ラインL11,L12,L13,L14と24Vの電源との間には、それぞれツェナーダイオードD15,D16,D17,D18が配されている。このようにグランド側と電源側の両方にツェナーダイオードが設けられているのは、以下の理由に基づく。
本形態の左上部モータ531は、上述したように、バイポーラ型のステッピングモータである。そのため、左上部モータ531の回転時の各フェーズのコイルA,Bでは、電流の向きが切替わるため、各制御ラインL11,L12,L13,L14(図20参照)でも電流の向きが切替わる。よって、意図しない超過電流が生じた場合、その超過電流をグランド側又は電源側の何れにも確実に逃がすことができるように、グランド側と電源側の両方にツェナーダイオードを設けている。
また図20に示すように、枠上中継基板180には、入出力IC12が実装されている。入出力IC12は、デジタル信号を入出力するためのものである。入出力IC12には、図21に示すように、シリアルデータ入出力端子(SDA端子)、シリアルクロック入力端子(SCL端子)、Vcc端子、3ビット分のアドレス設定端子(A0〜A2端子)、16ビット分の出力端子P00〜P15、その他の端子(GND端子、INT端子)を備えている。入出力IC12は、例えばテキサスインスツルメンツ製「SNB6006PWR」などのGPIO(General Purpose Input Output)を好適に使用できる。
入出力IC12と演出制御用マイコン121とは、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。即ち、演出制御用マイコン121のシリアルポート125が接続されているデータ信号ラインに、入出力IC12のSDA端子が接続されている。また演出制御用マイコン121のシリアルポート125が接続されているクロック信号ラインに、入出力IC12のSCL端子が接続されている。
演出制御用マイコン121は、I2C通信方式によって入出力IC12と通信する場合、先ず入出力IC12のアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられた入出力IC12から、返答信号を受信すると、入出力IC12に対して、左側可動体510を駆動させるための駆動データをシリアルデータとして送信する。入出力IC12は、演出制御用マイコン121から入力される駆動データに基づいて、出力端子P10〜P15から制御信号を出力する。これにより、左側可動体510が駆動データに基づく動作態様で動作するように、左上部モータ531を駆動させることが可能である。
図21に示すように、入出力IC12において、Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。A0端子(アドレス設定端子)は、5Vの電源に接続されている一方、A1端子及びA2端子は、グランドに接続されている。出力端子P08〜P15のうち、6ビット分の出力端子P10〜P15は、図20に示す左上部モータドライバIC11のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に制御信号を出力する端子である。出力端子P00〜P07のうち、6ビット分の出力端子P02〜P07は、図20に示す右上部モータドライバIC21のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に制御信号を出力する端子である。
ここで本形態の定電流駆動方式のドライバ(例えば左上部モータドライバIC11)は、一定電流を供給可能に構成されていると共に、一定電流よりも小さい低下電流を供給可能に構成されている。具体的に、図20に示す左上部モータドライバIC11を例にすると、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、予め設定している一定電流(本形態では200mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図21に示す入出力IC12から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、100%の電流としての一定電流を供給することが可能である。
これに対して、左上部モータドライバIC11は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流(本形態では200mA)に対する71%の大きさの電流を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図21に示す入出力IC12から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「L」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「L」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも29%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
また、左上部モータドライバIC11は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流(本形態では200mA)に対する38%の大きさの電流を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図21に示す入出力IC12から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「L」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「L」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも62%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
なお、左上部モータドライバIC11は、PHASEA端子又はPHASEB端子に入力する信号のレベルに拘わらず、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、電流を供給しないように構成されている。
以上、左上部モータドライバIC11の周りの電気回路の構成について説明したが、右上部モータドライバIC21の周りの電気回路の構成も実質的に同様である。そのため図20において、右上部モータドライバIC21の周りの電気回路の構成については、図20に示す各構成の10番台を20番台に換えることとして、その詳細な説明を省略する。
6.左側可動体と右側可動体の位置とドライバによる制御状態との関係
次に、図22に基づいて、左側可動体510と右側可動体560の位置と、ドライバによる制御状態との関係について説明する。なお本形態では、左側可動体510の位置に対する左上部モータドライバIC11の制御状態と、右側可動体560の位置に対する右上部モータドライバIC21の制御状態とは同じである。そのため以下では主に、左側可動体510の位置に対する左上部モータドライバIC11の制御状態を代表して説明する。
図3又は図8に示すように、左側可動体510が閉塞位置にあるときには、左側可動体510の姿勢は比較的安定している。そのためこのときには、左上部モータドライバIC11は、左上部モータ531に電流を供給しないようにしている。このようにドライバ(左上部モータドライバIC11,右上部モータドライバIC21)が電流を供給しない状態を、「無電流状態」と呼ぶことにする(図22参照)。この無電流状態により、左上部モータ531での消費電流を抑えている。なおステッピングモータである左上部モータ531は、元々ある程度の保持力を備えている。そのため、左側可動体510に対して後述する停止励磁に基づく停止保持力がなくても、閉塞位置にある左側可動体510の停止を保持することができる。
これに対して、図11に示すように、左側可動体510が開放位置にあるときには、左側可動体510は左方に大きく開いているため、左側可動体510の姿勢は不安定である。そのためこのときには、ステッピングモータの機能として元々備える保持力だけでは、開放位置にある左側可動体510の停止を確実に保持できないおそれがある。そこで、左上部モータドライバIC11は、左上部モータ531に電流を供給して、左上部モータ531に停止励磁を生じさせるようにしている。つまり、左上部モータ531は、供給される電流に基づいて、開放位置にある左側可動体510の停止を保持させるための磁界(停止励磁)を発生させる。その結果、左側可動体510は、開放位置にて停止保持力を付与されることにより、停止したい状態を確実に維持することが可能である。
本形態では、開放位置にある左側可動体510に停止保持力を付与する場合、左上部モータドライバIC11が、左上部モータ531に対して、予め設定された一定電流(本形態では200mA)の71%の大きさの電流を供給するようにしている。これにより、一定電流(左側可動体510を駆動させる際の駆動電流)を供給する場合に比べて、消費電流を抑えながら、開放位置にある左側可動体510の停止を保持することが可能である。このようにドライバ(左上部モータドライバIC11,右上部モータドライバIC21)が一定電流の71%の大きさの電流を供給することで停止励磁を発生させる状態を、「保持状態(71%)」と呼ぶことにする。
ところで本形態では、左側可動体510が開放位置にあるとき場合において、常に左側可動体510に停止保持力を付与することとすると、以下の問題点が生じ得る。即ち、図23に示すように、本パチンコ遊技機PY1の左隣に、パチンコ遊技機PY2が配されている状況を想定する。この想定の上で、本パチンコ遊技機PY1で左側可動体510が開放位置にある状態で、前扉23を内枠21に対して開放させたこととする。この場合、前扉23の開放に伴って、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510が、左隣のパチンコ遊技機PY2に接近する。特に本形態では、遊技機枠2(前扉23及び内枠21)が閉鎖しているときでも、開放位置にある左側可動体510が遊技機枠2の左縁2L(遊技機枠2の開閉軸KH側の縁部分)よりも左方に配される(図11参照)。そのため遊技機枠2の開放によって、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510が、左隣のパチンコ遊技機PY2にほとんど当接するように接近する。
ここで、仮に本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510に停止保持力が付与されていると、左隣のパチンコ遊技機PY2の前扉23又は内枠21を開放させ難い事態が生じる。つまり、停止保持力によって、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510を閉塞位置の方へ戻すことが難しく、左側可動体510が邪魔になるおそれがあった。なお上記した問題点は、前扉23を内枠21に対して開放させた場合だけでなく、内枠21を外枠22に対して開放させた場合も同様に生じ得る。以下では、前扉23の内枠21に対する開放、又は内枠21の外枠22に対する開放をまとめて、「遊技機枠2の開放」と呼ぶことにする。また、前扉23の内枠21に対する閉鎖、及び内枠21の外枠22に対する閉鎖をまとめて、「遊技機枠2の閉鎖」と呼ぶことにする。
こうして上記した問題点を解決すべく、本形態では、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にて停止保持力を付与されている(保持状態にある)ときに、遊技機枠2の開放(所定条件の成立)に基づいて、保持状態から無電流状態に切替えるようにしている。つまり、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にある状態で、前扉23又は内枠21が開放すると、左上部モータドライバIC11と右上部モータドライバIC21は、左上部モータ531と右上部モータ581に対して、一定電流(本形態では200mA)の71%の大きさの電流を供給しなくなる。
これにより、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560の停止を保持するための停止励磁が生じなくなって、左側可動体510及び右側可動体560に停止保持力が付与されなくなる。その結果、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあっても、遊技機枠2の開放中には、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置の方へ動かし易くすることが可能である。なお「無電流状態」は、停止励磁に基づく停止保持力を発生させていない状態でもあるため、「無保持状態」と呼ぶこともできる。
よって、図23に示すように、本パチンコ遊技機PY1において、前扉23の開放に基づいて開放位置にある左側可動体510が左隣のパチンコ遊技機PY2に接近しても、左隣のパチンコ遊技機PY2の前扉23又は内枠21を開放させ易くすることが可能である。つまり、遊技場(ホール)の従業員が、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510を手動(比較的小さな力)で閉塞位置へ戻すことができて、その後に左隣のパチンコ遊技機PY2の前扉23又は内枠21を開放させることが可能である。或いは、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510が開放位置にある状態で、左隣のパチンコ遊技機PY2の前扉23又は内枠21を開放させても、左隣のパチンコ遊技機PY2に当接した本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510は、閉塞位置の方へ逃げることが可能である。よって、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510に大きな衝撃力が作用するのを回避できて、故障するのを防ぐことが可能である。
なお、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあるときに、遊技機枠2の開放に基づいて停止保持力(停止励磁)を解除することには、以下のメリットもある。即ち、前扉23又は内枠21が開放されているとき(図23参照)、前扉23に取付けられている左側可動体510や右側可動体560は比較的大きなものであるため、遊技場の通路を歩く従業員や遊技者等にとっては邪魔になり易い。従って、従業員や遊技者等が開放位置にある左側可動体510や右側可動体560に不注意で当接してしまう可能性がある。そこで本形態のように、遊技機枠2の開放中には、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に対する停止保持力が解除される。そのため、遊技機枠2の開放中に開いている左側可動体510及び右側可動体560が動かないように固定されるのを回避することができて、通路を歩く従業員や遊技者等によって邪魔になるのを回避することが可能である。そして、通路を歩く従業員や遊技者等が左側可動体510や右側可動体560に不注意で当接しても、衝撃力を緩和することが可能である。
また、遊技機枠2の開放中に、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に対する停止保持力が解除されていても、基本的に問題ない。即ち、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に停止保持力が付与されていないと、位置ずれが生じ易くなる。しかしながら、遊技機枠2が開放している状況とは、基本的に故障や不具合が生じてしまって、遊技者による遊技が行われていない状況である。従って、遊技が行われてない以上、遊技者にとって、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に多少位置ずれが生じても問題ないためである。
ところで本形態では、当選期待度が高いことを示す特定のSPリーチ(特定演出)の実行中に、可動体開放演出を実行し得るようにしている。可動体開放演出は、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置から開放位置へ移動させて、その後に開放位置から閉塞位置へ移動させる演出である。なお本形態の可動体開放演出は、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置⇒開放位置⇒閉塞位置の動作を、所定時間毎に複数回繰り返すようになっている。この可動体開放演出により、遊技者には当選期待度が高いことによる高揚感を与えることが可能である。
ここで本形態の可動体開放演出では、左側可動体510及び右側可動体560が左右に大きく開くため(図11参照)、左側可動体510及び右側可動体560の可動範囲が広い。そのため仮に、遊技機枠2の開放中に可動体開放演出が実行されると、左側可動体510及び右側可動体560が遊技場の通路を歩く従業員や遊技者等に当接するおそれがある。また従業員や遊技者から見れば、遊技機枠2が開いている状態で左側可動体510及び右側可動体560が動くと、邪魔である。
そこで本形態では、遊技機枠2の開放中には、当選期待度が高いことを示す特定のSPリーチの実行中において可動体開放演出の実行タイミングであっても(駆動条件が成立しても)、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にある状態を維持するようにしている。つまり、遊技機枠2の開放中には可動体開放駆動演出を実行することがなく、遊技機枠2の閉鎖中に限り、可動体開放演出を実行可能にしている。これにより、遊技機枠2の開放中に、左側可動体510及び右側可動体560が左右に大きく開くのを防ぐことが可能であり、遊技場の通路を歩く従業員や遊技者等とって邪魔になるのを防ぐことが可能である。
7.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図24に示す通りである。図24に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。確変大当たりと通常大当たりである。確変大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に制御する大当たりである。通常大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(低確率状態)に制御する大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから8Rまでは大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから16Rまでは大入賞口14を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。これらの大当たりでは9Rから16Rまでは、大入賞口14の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、特図1の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第1特図表示器81aに「特図1_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第1特図表示器81aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから16Rまで大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。特図2の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第2特図表示器81bに「特図2_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第2特図表示器81bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
いずれの大当たりに当選した場合であっても、大当たり遊技後には後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態に伴って制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)に伴って制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお図24に示すように、特図1の抽選および特図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが65%、通常大当たりが35%となっている。但し、特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が8ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が16ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図25(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面50a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート13への通過に基づいて取得される乱数には、図25(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
8.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特図表示器81および普図表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特図表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図26(A)参照)。つまり、特図表示器81の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特図表示器81による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図27参照)。つまり、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特図表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特図表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図26(C)参照)。つまり、普図表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普図表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では7秒であるが、時短状態では1秒である(図26(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図28参照)。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図28参照)。すなわち、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動している。
普図表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普図表示器82の確率変動機能、普図表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、確変大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6R(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6L(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
9.パチンコ遊技機の制御動作
次に、図29及び図30に基づいて遊技制御用マイコン101の動作について説明し、図31〜図36に基づいて演出制御用マイコン121の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン101の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン101は、図29に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン101は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、演出図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン101は、後述する入力処理を行う(S102)。続いて、遊技制御用マイコン101は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ11a又は第2始動口センサ12aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図25(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ13aによる通過検知があれば、普図保留が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図25(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図24,図26(A)(B),図27参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。特別図柄の変動表示の開始時(開始直前)には変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時(開始直前)には変動停止コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、図27に示す特図変動パターン判定テーブルを用いて決定される。図27に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。図27の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。また強SPリーチの方が弱SPリーチA又は弱SPリーチBよりも、当選期待度が高くなるように設定されている。
大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図24参照)に従って大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の開始に際して、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。なおオープニングコマンドは、オープニングの開始を示すコマンドである。また大当たり遊技が開始された後、ラウンド遊技の開始時にはラウンド指定コマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットし、エンディングの開始時にはエンディングコマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S104)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン121に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した普通図柄乱数を普通図柄当たり判定テーブル(図26(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図28参照)に従って電チュー12Dを開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン101は、上述の各処理においてセットしたコマンド等を演出制御基板120等に出力する出力処理(S106)を行う。
[入力処理]図30に示すように、入力処理(S102)では、遊技制御用マイコン101は、枠開放フラグがONであるか否かを判定する(S201)。枠開放フラグは、前扉23が内枠21に対して開放していること、又は内枠21が外枠22に対して開放していることの何れか一方が成立していること(遊技機枠2が開放していること)を示すものである。なお、枠開放フラグは、遊技制御用マイコン101(主制御側)が遊技機枠2の開閉状態を把握するためのものである。枠開放フラグがONでなければ(S201でNO)、ステップS202に進む。
ステップS202では、前扉23が内枠21に対して開放しているか否かを判定する。具体的には、前扉開放センサ26から前扉23の開放を示す検出信号を入力しているか否かを判定する。前扉23の開放を示す検出信号を入力していれば(S202でYES)、ステップS203に進む。一方、入力していなければ(S202でNO)、続いて、内枠21が外枠22に対して開放しているか否かを判定する。具体的には、内枠開放センサ25から内枠21の開放を示す検出信号を入力しているか否かを判定する。内枠21の開放を示す検出信号を入力していれば(S205でYES)、ステップS203に進む。一方、入力していなければ(S205でNO)、遊技機枠2が開放していないことになり、ステップS210に進む。
ステップS203では、枠開放コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットする。枠開放コマンドは、演出制御用マイコン121(サブ制御側)に遊技機枠2の開放を知らせるものである。こうして、前扉23又は内枠21の何れか一方でも開放されていれば、枠開放コマンドがセットされる。そして、枠開放フラグをONにして(S204)、ステップS210に進む。
またステップS201にて、枠開放フラグONであると判定されると(S201でYES)、ステップS206に進む。ステップS206では、前扉23が内枠21に対して開放しているか否かを判定する。前扉23が開放していれば(S206でYES)、ステップS210に進む。一方、前扉23が開放していなければ(S206でNO)、続いて、内枠21が外枠22に対して開放しているか否かを判定する(S207)。内枠21が開放していれば(S207でYES)、ステップS210に進む。一方、内枠21が開放していなければ(S207でNO)、ステップS208に進む。
ステップS208では、枠閉鎖コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットする。枠閉鎖コマンドは、演出制御用マイコン121(サブ制御側)に遊技機枠2の閉鎖を知らせるものである。こうして、前扉23及び内枠21の何れも閉鎖されていれば、枠閉鎖コマンドがセットされる。そして、枠開放フラグをOFFにして(S209)、ステップS210に進む。
ステップS210では、その他の入力処理として、主に、パチンコ遊技機PY1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a等(図16参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。ステップS210の後、入力処理(S102)を終える。
以上の遊技制御用マイコン101における処理と並行して、演出制御用マイコン121は図31〜図36に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン121の動作について説明する。
[サブ側1msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン121は、図31に示すサブ側1msタイマ割り込み処理を1msecといった短時間毎に繰り返す。なお演出制御用マイコン121は、サブ側1msタイマ割り込み処理を実行すると共に、後述するようにサブ側10msタイマ割り込み処理(図33参照)を実行するようになっている。図31に示すように、サブ側1msタイマ割り込み処理ではまず、入力処理を行う(S301)。入力処理(S301)では、入力部検知センサ40aやセレクトボタン検知センサ42a(図17参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S302)。ランプデータ出力処理(S302)では、演出に合うタイミングで枠ランプ212、盤ランプ54、表示ランプ321、左上枠ランプ528、右上枠ランプ578を発光させるべく、後述のサブ側10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S406)で作成したランプデータをサブドライブ基板162に出力する。つまり、ランプデータに従って枠ランプ212、盤ランプ54、表示ランプ321、左上枠ランプ528、右上枠ランプ578を所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理を行う(S303)。駆動制御処理(S303)は、中央上部ユニット400(昇降モータ310)、左側可動体510(左上部モータ531)、右側可動体560(右上部モータ581)、盤可動体55kの駆動を制御するための処理である。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S304)を行って、本処理を終える。
[駆動制御処理]図32に示すように、駆動制御処理(S303)では、演出制御用マイコン121は、可動体開放演出駆動データが演出用RAM124の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する(S310)。可動体開放演出駆動データは、可動体開放演出を実行するための駆動データであり、後述する変動演出開始処理(S502)のステップS606(図35参照)でセットされるようになっている。可動体開放演出駆動データがセットされていれば(S310でYES)、ステップS311に進む。一方、セットされていなければ(S310でNO)、ステップS314に進む。
ステップS311では、可動体開放演出の実行タイミングであるか否かを判定する(S311)。即ち、左側可動体510及び右側可動体560を開閉させるタイミングであるか否かを判定する。可動体開放演出の実行タイミングでなければ(S311でNO)、ステップS314に進む。一方、可動体開放演出の実行タイミングであれば(S311でYES)、続いて、枠開放中フラグがONであるか否かを判定する(S312)。枠開放中フラグは、遊技機枠2が開放していることを示すものであり、演出制御用マイコン121(サブ制御側)が遊技機枠2の開閉状態を把握するためのものである。
ステップS312にて、枠開放中フラグがONでなければ(S312でNO)、遊技機枠2が閉鎖していることになる。この場合には、可動体開放演出を実行すべく、可動体開放演出駆動データに従って左上部モータ531及び右上部モータ581を駆動させるための制御処理(シリアルポート125からシリアル信号やクロック信号を出力する処理)を行って(S313)、ステップS314に進む。これにより、遊技機枠2の閉鎖中には、可動体開放演出の実行タイミングにて、可動体開放演出が実行される。
一方、ステップS312にて、枠開放中フラグがONであれば(S312でYES)、遊技機枠2が開放していることになる。この場合には、ステップS313の処理をパスして、ステップS314に進む。これにより、遊技機枠2の開放中には、可動体開放演出の実行タイミングであっても、可動体開放演出が実行されない。よって、遊技機枠2の開放中に左側可動体510及び右側可動体560が左右に大きく開いて邪魔になるのを防ぐことが可能である。
ステップS314では、その他の駆動制御処理として、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットされているその他の駆動データに基づいて、中央上部ユニット400や盤可動体55kを駆動させるための制御処理(シリアルポート125からシリアル信号やクロック信号を出力する処理)を行う。なおセットされている駆動データは、駆動制御が終了した後に、適宜クリアするようになっている。こうして駆動制御処理(S303)を終える。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン121は、図33に示すサブ側10msタイマ割り込み処理を10msecといった短時間毎に繰り返す。図33に示すように、サブ側10msタイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S401)。次いで、サブ側1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM124に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S402)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて画像表示装置50の表示画面50aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S403)。
続いて、演出制御用マイコン121は、音声制御処理を行う(S404)。音声制御処理(S404)では、音声データ(スピーカ610から音声を出力するためのデータ)の作成、音声制御基板161への音声データの出力、及び音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ610から出力される。なおスピーカ610は、上側装飾ユニット200(昇降ユニット300)のうち後方の下側に設けられている。
続いて、演出制御用マイコン121は、後述するシリアル信号出力処理を行う(S405)。その後、ランプデータ(枠ランプ212、盤ランプ54、表示ランプ321、左上枠ランプ528、右上枠ランプ578の発光を制御するデータ)を作成したり、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S406)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図34に示すように、受信コマンド解析処理(S401)ではまず、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S501)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S502)。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S503)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S504)。変動演出終了処理(S504)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から大当たり遊技のオープニングの実行開始を示すオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S505)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S506)。オープニング演出選択処理(S506)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から大当たり遊技のラウンド遊技の実行開始を示すラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S507)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S508)。ラウンド演出選択処理(S508)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から大当たり遊技のエンディングの実行開始を示すエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S509)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S510)。エンディング演出選択処理(S510)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から遊技機枠2の開放を示す枠開放コマンドを受信したか否か判定し(S511)、受信していれば枠開放中フラグをONにする(S512)。これにより演出制御用マイコン121は、遊技機枠2が開放されたことを把握する。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から遊技機枠2の閉鎖を示す枠閉鎖コマンドを受信したか否か判定し(S513)、受信していれば枠開放中フラグをOFFにする(S514)。これにより演出制御用マイコン121は、遊技機枠2が閉鎖されたことを把握する。
ステップS515では、その他の処理として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(客待ち演出を実行するための処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理(S401)を終える。
[変動演出開始処理]図35に示すように、変動演出開始処理(S502)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動開始コマンドを解析する(S601)。変動開始コマンドには、変動パターン(図27参照)の情報や、大当たりの判定等に基づく特図停止図柄データの情報が含まれている。次に演出制御用マイコン121は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄EZの選択を行う(S602)。続いて演出制御用マイコン121は、変動開始コマンドの解析結果に基づいて、変動演出の内容である変動演出パターンを選択する(S603)。変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。各種の変動演出パターンの中には、可動体開放演出を実行する変動演出パターンが含まれている。
続いて演出制御用マイコン121は、予告演出の選択を行う(S604)。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。そして、ステップS603で選択した変動演出パターンが可動体開放演出を実行する変動演出パターンであるか否かを判定する(S605)。可動体開放演出を実行する変動演出パターンであれば(S605でYES)、可動体開放演出駆動データを演出用RAM124の所定の記憶領域にセットして(S606)、ステップS607に進む。一方、可動体開放演出を実行する変動演出パターンでなければ(S605でNO)、ステップS606をパスして、ステップS607に進む。
ステップS607では、演出制御用マイコン121は、選択した演出図柄、変動演出パターン、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットして、変動演出開始処理(S502)を終了する。ステップS607でセットされた変動演出開始コマンドが、画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、所定の演出画像を画像用ROM142から読み出して、画像表示装置50の表示画面50aにて変動演出を行う。
[シリアル信号出力処理]図36に示すように、シリアル信号出力処理(S405)では、演出制御用マイコン121は、左側可動体510及び右側可動体560の開放動作が終了したタイミングであるか否かを判定する。左側可動体510及び右側可動体560の開放動作とは、可動体開放演出において左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置から開放位置へ移動する動作を意味する。具体的に、演出制御用マイコン121は、左側開放フォトセンサ535及び右側開放フォトセンサ585からON状態の検出信号を受信したか否かで、左側可動体510及び右側可動体560の開放動作が終了したタイミングであるか否かを判断する。
左側可動体510及び右側可動体560の開放動作が終了したタイミングであれば(S701でYES)、左側可動体510及び右側可動体560は開放位置に移動し終えたことになる。従ってこの場合には、保持状態にするため(停止励磁を発生させるため)、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、左上部モータ531及び右上部モータ581に対してそれぞれ一定電流の71%の大きさの電流を供給するように、シリアルポート125からシリアル信号及びクロック信号を出力する(S702)。これにより、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に停止励磁に基づく停止保持力を付与して、左側可動体510及び右側可動体560の停止を保持することが可能である。左側可動体510及び右側可動体560の開放動作が終了したタイミングでなければ(S701でNO)、ステップS702をパスして、ステップS703に進む。
ステップS703では、左側可動体510及び右側可動体560の閉鎖動作が終了したタイミングであるか否かを判定する。左側可動体510及び右側可動体560の閉鎖動作とは、可動体開放演出において左側可動体510及び右側可動体560が開放位置から閉塞位置へ移動する動作を意味する。具体的に、演出制御用マイコン121は、左側閉塞フォトセンサ536及び右側閉塞フォトセンサ586からON状態の検出信号を受信したか否かで、左側可動体510及び右側可動体560の閉鎖動作が終了したタイミングであるか否かを判断する。
左側可動体510及び右側可動体560の閉鎖動作が終了したタイミングであれば(S703でYES)、左側可動体510及び右側可動体560は閉塞位置に移動し終えたことになる。従ってこの場合には、無電流状態にするため、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、左上部モータ531及び右上部モータ581に対してそれぞれ電流を供給しないように、シリアルポート125からシリアル信号及びクロック信号を出力する(S704)。これにより、閉塞位置にある左側可動体510及び右側可動体560には、停止励磁に基づく停止保持力が付与されない。左側可動体510及び右側可動体560の閉鎖動作が終了したタイミングでなければ(S703でNO)、ステップS704をパスして、ステップS705に進む。
ステップS705では、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にある状態(開放中)であるか否かを判定する。つまり、左側開放フォトセンサ535及び右側開放フォトセンサ585からON状態の検出信号を受信しているか否かを判定する。開放中でなければ(S705でNO)、ステップS710に進む。一方、開放中であれば(S705でYES)、続いて、枠開放中フラグがOFFからONに切替わったか否かを判定する。つまり、遊技機枠2が開放されたタイミングであるか否かを判定する。枠開放中フラグがOFFからONに切替わっていれば(S706でYES)、ステップS707に進む。
ステップS707では、無電流状態にするため、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、左上部モータ531及び右上部モータ581に対してそれぞれ電流を供給しないように、シリアルポート125からシリアル信号及びクロック信号を出力して(S707)、ステップS710に進む。こうして、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあるときに、遊技機枠2が開放すると、保持状態から無電流状態に切替わる。これにより、図23に示すように、本パチンコ遊技機PY1の左側可動体510が右隣のパチンコ遊技機PY2に接近しても、左側可動体510を手動で(比較的小さな力で)閉塞位置の方へ戻すことができる。その結果、左隣のパチンコ遊技機PY2の遊技機枠2が開放し難くなるのを防ぐことが可能である。
またステップS706にて、枠開放中フラグがOFFからONに切替わっていないと判定すれば(S706でNO)、ステップS708に進む。ステップS708では、枠開放中フラグがONからOFFに切替わったか否かを判定する。つまり、遊技機枠2が閉鎖されたタイミングであるか否かを判定する。枠開放中フラグがONからOFFに切替わっていないと判定すれば(S708でNO)、ステップS710に進む。一方、枠開放中フラグがONからOFFに切替わっていれば(S708でYES)、ステップS709に進む。
ステップS709では、保持状態にするため(停止励磁を発生させるため)、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、左上部モータ531及び右上部モータ581に対してそれぞれ一定電流の71%の大きさの電流を供給するように、シリアルポート125からシリアル信号及びクロック信号を出力する。こうして、左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあるときに、遊技機枠2が閉鎖すれば、無電流状態から保持状態に切替える。これにより、遊技機枠2が閉鎖した後では、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560の位置ずれを防ぐことができて、見た目が損なわれるのを防ぐことが可能である。
ステップS710では、シリアル信号を出力するためのその他の処理(例えば演出位置にある盤可動体55kに停止保持力を付与すべく、シリアルポート125からシリアル信号及びクロック信号を出力する処理等)を実行して、本処理を終える。
10.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本パチンコ遊技機PY1によれば、図11に示すように、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560は、遊技機枠2の枠縁(上縁2Uと下縁2Dと左縁2Lと右縁2Rからなる縁部分)よりも外側にあるものである。そのため、仮に遊技機枠2の開放中に、閉塞位置にある左側可動体510及び右側可動体560が開放位置へ移動すると、左側可動体510及び右側可動体560と人体又はその他の構造物とが当接する可能性が非常に高くなる。そこで本形態では、遊技機枠2が開放しているときには、可動体開放演出の実行タイミングでも、左側可動体510及び右側可動体560を移動させないようにしている。従って、遊技機枠2の開放中に、遊技機枠2に取付けられている左側可動体510及び右側可動体560が周囲に当接するのを回避することが可能である。
特に本パチンコ遊技機PY1によれば、開放位置にある左側可動体510は、遊技機枠2の左縁2Lよりも左方にあるものである。そのため、仮に遊技機枠2の開放中に、閉塞位置にある左側可動体510が開放位置へ移動してしまうと、本パチンコ遊技機PY1の左隣のパチンコ遊技機PY2の遊技機枠2が開放し難くなってしまう(図23参照)。そこでこのときには、上述したように、左側可動体510を移動させないことで、左隣のパチンコ遊技機PY2の遊技機枠2を開放させ易くすることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置から開放位置へ移動すると、当該左側可動体510及び右側可動体560に停止保持力を付与するようにしている。ここで仮に、遊技機枠2の開放中にも拘わらず、左側可動体510及び右側可動体560を開放位置にあって、且つ停止保持力が付与されていると、当該左側可動体510及び右側可動体560が邪魔になって、閉塞位置の方へ動かし難い事態が生じてしまう。そこで上述したように、遊技機枠2の開放中には左側可動体510及び右側可動体560を開放位置へ移動させないことで、左側可動体510及び右側可動体560が邪魔になって動かし難いという事態が生じるのを未然に防ぐことが可能である。
11.変形例
以下、変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変形例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変形例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、遊技機枠2を開放させると、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置又は開放位置にある状態で、遊技機枠2が開放するようになっていた。これに対して第1変形例では、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にいない状態で、遊技機枠2を開放させると、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ移動(復帰)させるようにしている。以下では、図37に基づいて、第1変形例における受信コマンド解析処理(S401)について説明する。但し、上記形態の受信コマンド解析処理(S401,図34参照)と異なる点を中心に説明する。
[受信コマンド解析処理]図37に示すように、第1変形例の受信コマンド解析処理(S401)では、演出制御用マイコン121は、ステップS511にて枠開放コマンドを受信すると(S511でYES)、枠開放中フラグをONにして(S512)、強制閉塞処理を実行する(S520)。
[強制閉塞処理]図38に示すように、強制閉塞処理(S520)では、演出制御用マイコン121は、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にいる状態(閉塞中)であるか否かを判定する(S801)。つまり、左側閉塞フォトセンサ536及び右側閉塞フォトセンサ586からON状態の検出信号を受信しているか否かを判定する。閉塞中であれば(S801でYES)、本処理を終える。一方、閉塞中でなければ(S801でNO)、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ強制的に復帰させる可動体強制復帰データを演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする(S802)。そして、可動体強制復帰データに従って左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ復帰させるため、左上部モータ531及び右上部モータ581を駆動させるための制御処理(シリアルポート125からシリアル信号やクロック信号を出力する処理)を行って(S803)、本処理を終える。
この第1変形例によれば、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にいない場合に(左側可動体510及び右側可動体560が移動途中である場合も含む)、遊技機枠2が開放すると、左側可動体510及び右側可動体560を自動で閉塞位置へ復帰させることが可能である。従って、遊技機枠2が開いている状態では、左側可動体510及び右側可動体560が左右に大きく開いている(開閉位置にある)ことがなく、邪魔になるのを未然に防ぐことが可能である。つまり、遊技機枠2の開放を条件に、左側可動体510及び右側可動体560を自動で閉塞位置に復帰させるため、上記形態のように左側可動体510を手動で閉塞位置の方へ戻す手間を省くことが可能である。
上記形態では、図22に示すように、遊技機枠2の開放中で左側可動体510及び右側可動体560が開放位置にあるときには、左側可動体510及び右側可動体560の両方に対して無電流状態にした。これに対して第2変形例では、図39に示すように、遊技機枠2の開放中で左側可動体510が開放位置にあるときには無電流状態にする一方、遊技機枠2の開放中で右側可動体560が開放位置にあるときには保持状態(71%)にしている。つまり、左側可動体510と右側可動体560に対してドライバ(左上部モータドライバIC11,右上部モータドライバIC21)による制御状態を異ならせるようにしている。
この第2変形例によれば、図23に示すように、遊技機枠2の開放中に、開放位置にある左側可動体510が左隣のパチンコ遊技機PY2に接近しても、左側可動体510では無電流状態である。そのため、手動で(比較的小さな力で)で左側可動体510を閉塞位置の方へ戻すことが可能であり、左隣のパチンコ遊技機PY2を開放させ易くすることが可能である。これに対して、遊技機枠2の開放中に、開放位置にある右側可動体560は左隣のパチンコ遊技機PY2にはあまり接近しない。従って、右側可動体560に対しては停止保持力を付与することで、開放位置にある右側可動体560で位置ずれを防ぐことが可能である。
なお右側可動体560は遊技機枠2の右縁2Rよりも右方に移動し得るものである(図11参照)。従って、本パチンコ遊技機PY1の開放中に、右隣のパチンコ遊技機の遊技機枠2が開放した場合には、本パチンコ遊技機PY1の右側可動体560と右隣のパチンコ遊技機の遊技機枠2とが当接するおそれがある。よってこのときには、右側可動体560に停止保持力が付与されていない方が、当接による衝撃力を小さくすることが可能である。以上、遊技機枠2の開放中に、右側可動体560の位置ずれよりも、当接による衝撃力の緩和を考慮する場合には、変形例(図39参照)よりも上述した本形態(図22参照)の方が好ましい。
上記形態では、図13(A)(B)に示すように、左中装飾部211のうち上方縁部211fの前端側にある角部分211f1には、曲面状の面取り(R面取り)が施されていた。これに対して第3変形例では、図40(A)(B)に示すように、角部分211f3には、平面状の面取り(C面取り)が施されている。平面状の面取りであれば、曲面状の面取りよりも、製造し易くすることが可能である。つまり、製造コストを抑えることが可能である。
但し、図13(A)(B)と図40(A)(B)との比較から分かるように、曲面状の面取りの方が平面状の面取りよりも、面取りが施されている印象を与え難い。つまり、上記形態の角部分211f1の方が、第3変形例の角部分211f3よりも、遊技者に違和感を与え難く、より鋭利な外観を保ち易くすることが可能である。
また上記形態では、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560に対して、遊技機枠2が開放すると、保持状態から無電流状態に切替えるようにした。しかしながら、左側可動体510及び右側可動体560以外の可動部材(駆動部材)、例えば上昇位置にある中央上部ユニット400や、演出位置にある盤可動体55kに対して、遊技機枠2が開放すると、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。演出位置にある盤可動体55kに対して遊技機枠2が開放すると、保持状態から無電流状態に切替えるようにした場合、盤可動体55kを原点位置に手動で戻すことができる。これにより、盤可動体55kが表示画面50aの中央の前方で邪魔になるのを回避することが可能である。従って、遊技場の従業員が、遊技機枠2を開放させた後、例えば球詰まりに対する作業を行い易くすることが可能である。
また上記形態では、遊技機枠2が開放すること、即ち前扉23が内枠21に対して開放すること又は内枠21が外枠22に対して開放することの何れか一方に基づいて、保持状態から無電流状態に切替えるようにした。しかしながら、前扉23が内枠21に対して開放する場合にだけ、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。又は、内枠21が外枠22に対して開放する場合にだけ、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。
また上記形態では、開放位置(動作位置)にある左側可動体510及び右側可動体560に対して、保持状態から無電流状態に切替えるようにした。しかしながら、保持状態から無電流状態に切替える際の可動部材の位置は、可動部材が待機位置(原点位置,初期位置)から移動した後の動作位置に限られるものではない。例えば、遊技機枠2の閉鎖時において、閉塞位置(原点位置,初期位置)にある左側可動体510及び右側可動体560に対して停止保持力を付与するようにする(保持状態にする)。そして遊技機枠2が開放すると、閉塞位置にある左側可動体510及び右側可動体560に対して保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。この場合には、無電流状態に切替わることによって、左上部モータ531及び右上部モータ581での消費電流を抑えることが可能である。なお、遊技機枠2の開放時には、基本的に遊技者による遊技が行われていないため、閉塞位置にある左側可動体510及び右側可動体560の位置ずれが生じても問題はない。
また上記形態では、遊技機枠2が開放すること(所定条件の成立)に基づいて、左側可動体及び右側可動体560に対して、保持状態から無電流状態(無保持状態)に切替えるようにした。しかしながら、遊技機枠2が開放すること以外の条件によって、保持状態から無保持状態に切替えるようにしても良い。例えば、客待ち状態(特別図柄の変動表示が開始されていない状態)に基づいて、閉塞位置又は開放位置にある左側可動体及び右側可動体560に対して、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。この場合には、客待ち状態になることによって、左上部モータ531及び右上部モータ581での消費電流を抑えることが可能である。なお客待ち状態においては、基本的に遊技者による遊技が行われていないため、左側可動体510及び右側可動体560の位置ずれが多少生じても問題はないことになる。
また例えば、所定時間(例えば午後11時)になると、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。又は、所定の操作手段による操作に基づいて、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。この場合には、例えば遊技機枠2の裏側に所定の操作手段を設ける。そして遊技場の従業員が遊技機枠2を開放したときに、その所定の操作手段を操作すると、保持状態から無電流状態に切替わるようにしても良い。なおこの場合の操作手段は、専用の操作手段であっても良いが、入力部40kやセレクトボタン42k等の既存の操作手段であっても良い。
また上記形態では、図11に示すように、遊技機枠2の左縁2Lよりも左方に移動可能な左側可動体510(可動部材、駆動部材)、遊技機枠2の右縁2Rよりも右方に移動可能な右側可動体560(可動部材)に対して、保持状態から無電流状態に切替えるようにした。しかしながら、遊技機枠2の上縁2Uよりも上方に移動可能な可動部材や、遊技機枠2の下縁2Dよりも下方に移動可能な可動部材に対して、保持状態から無電流状態に切替えるようにしても良い。また、保持状態から無電流状態に切替える可動部材は、回転可能な可動部材、移動可能な操作手段(演出ボタン)、振動可能な操作手段、移動可能な発光手段、移動可能な表示手段(液晶表示装置やタッチパネル)、電チュー開閉部材12k、AT開閉部材14k等、適宜変更可能である。なお保持状態から無電流状態への切替えを、演出制御用マイコン121(制御手段)により実行したが、サブドライブ基板162に設けられているCPUや、遊技制御基板100に設けられている遊技制御用マイコン101等、その他の制御手段に実行させるようにしても良い。
また上記形態では、内枠21と前扉23(開閉部)が、遊技機枠2の左側にて上下方向に延びる開閉軸KH(図2参照)周りに回動可能になっていた。しかしながら、内枠21と前扉23が、遊技機枠2の右側にて上下方向に延びる開閉軸周りに回動可能になっていても良い。又は、内枠21と前扉23が、遊技機枠2の上側にて左右方向に延びる開閉軸周りに回動可能になっていたり、遊技機枠2の下側にて左右方向に延びる開閉軸周りに回動可能になっても良い。
また上記形態では、保持状態にするときに(停止励磁を発生させるとき)、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、左上部モータ531及び右上部モータ581に対してそれぞれ、一定電流(本形態では200mA)の71%の大きさの電流(第1の低下電流)を供給するようにした。しかしながら、停止励磁を発生させるときの電流の大きさは適宜変更可能であり、例えば左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が一定電流そのものを供給することに基づいて、保持状態にしても良い。又は、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が一定電流の38%の電流(第2の低下電流)を供給することに基づいて、保持状態にしても良い。この場合には、左上部モータ531及び右上部モータ581での消費電流を抑えることが可能である。なお、停止励磁に基づく停止保持力を発生させるモータ(駆動手段)は、バイポーラ型のステッピングモータに限られるものではなく、適宜変更可能であり、例えばユニポーラ型のステッピングモータであっても良い。
また上記形態では、遊技機枠2の開放に基づいて、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、一定電流(本形態では200mA)の71%の大きさの電流を供給する状態(保持状態)から、電流を全く供給しない状態(無電流状態)に切替えた。しかしながら、例えば、左上部モータドライバIC11及び右上部モータドライバIC21が、一定電流の71%の大きさの電流を供給する状態(第1保持状態)から、一定電流の38%の大きさの電流を供給する状態(第2保持状態)に切替えるようにしても良い。この場合には、遊技機枠2の開放に基づいて、停止励磁に基づく停止保持力を弱くすることで、左側可動体510及び右側可動体560を少しだけ動き易くすることが可能である。
また上記形態では、遊技機枠2の開放中に、可動体開放演出の実行タイミングであっても(駆動条件が成立しても)、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にある状態を維持した。しかしながら、駆動条件が成立しても停止している状態を維持する可動部材(駆動部材)は、左側可動体510及び右側可動体560に限られるものではなく、適宜変更可能である。例えば、遊技機枠2の開放中に、原点位置にある盤可動体55kを演出位置に移動させるタイミングであっても、盤可動体55kを原点位置に維持させるようにしても良い。この場合には、遊技機枠2の開放中で、遊技場の従業員が球詰まり等の作業をしているときに、原点位置にある盤可動体55kが演出位置に移動する際に従業員と当接するのを防ぐことが可能である。
なお上記形態において、「停止保持力」とは、左上部モータ531及び右上部モータ581の停止励磁に基づく停止保持力であって、ステッピングモータが元々備える機能としての保持力とは異なるものである。言い換えれば、「停止保持力」とは、演出制御用マイコン121(制御手段)による制御に基づいて付与されるものである。
また上記形態では、遊技機枠2の開放中に、閉塞位置(待機位置)にある左側可動体510及び右側可動体560において、可動体開放演出の実行タイミングであっても(駆動条件が成立しても)、閉塞位置を維持するようにした。しかしながら、停止を維持する可動部材(駆動部材)の位置は、移動前の位置(待機位置,原点位置,初期位置)に限られるものではなく、移動後の位置(動作位置、駆動位置)であっても良い。要するに、遊技機枠2の開放中に、開放位置にある左側可動体510及び右側可動体560において、閉塞位置に戻す駆動条件が成立しても(例えば所定時間が経過した場合や、可動部材を待機位置へ戻す復帰ボタン等を押しても)、開放位置を維持させるようにしても良い。
また上記形態では、前扉23が内枠21に対して開放しているとき又は内枠21が外枠22に対して開放しているときの何れかにおいて、可動体開放演出の実行タイミングであっても、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にある状態を維持するようにした。しかしながら、前扉23が内枠21に対して開放している場合にだけ、可動体開放演出の実行タイミングであっても、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にある状態を維持させても良い。又は、内枠21が外枠22に対して開放している場合にだけ、可動体開放演出の実行タイミングであっても、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にある状態を維持させても良い。
また上記形態では、図11に示すように、遊技機枠2の左縁2Lよりも左方に移動可能な左側可動体510、遊技機枠2の右縁2Rよりも右方に移動可能な右側可動体560に対して、移動させる駆動条件が成立しても、停止している状態を維持させた。しかしながら、遊技機枠2の上縁2Uよりも上方に移動可能な可動部材(駆動部材)や、遊技機枠2の下縁2Dよりも下方に移動可能な可動部材に対して、移動させる駆動条件が成立しても、停止している状態を維持させても良い。また、駆動条件が成立しても停止している状態を維持させる可動部材は、回転可能な可動部材、移動可能な操作手段(演出ボタン)、振動可能な操作手段、移動可能な発光手段、移動可能な表示手段(液晶表示装置やタッチパネル)、電チュー開閉部材12k、AT開閉部材14k等、適宜変更可能である。
また上記形態では、遊技機枠2の開放中に、可動体開放演出の実行タイミングであっても(駆動条件が成立しても)、左側可動体510及び右側可動体560が停止している状態を維持した。しかしながら、その他の駆動条件が成立した場合に、左側可動体510及び右側可動体560が停止している状態を維持させても良い。例えば、可動部材を移動させるために操作手段(演出ボタン)への操作があっても、遊技機枠2の開放中には、その可動部材が停止している状態を維持させるようにしても良い。又はRTC(リアルタイムクロック)に基づいて所定の時刻に到達した場合に、可動部材が自動で移動するものとする。この場合において、遊技機枠2の開放中には、所定の時刻に到達しても、その可動部材が停止している状態を維持させるようにしても良い。
また上記形態では、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置(所定位置)にいないときに、遊技機枠2が開放することに基づいて、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ自動で復帰させるようにした。しかしながら、遊技機枠2の開放を条件に、自動で復帰させる可動部材は、左側可動体510及び右側可動体560に限られるものではなく、例えば遊技機枠2の上縁2Uよりも上方に移動し得る中央上部ユニット400であっても良く、適宜変更可能である。例えば、盤可動体55kが原点位置にいないときに、遊技機枠2が開放することに基づいて、盤可動体55kを原点位置へ自動で復帰させるようにしても良い。この場合には、遊技場の従業員が遊技機枠2を開放させた状態で球詰まり等の作業を行うときに、手動で盤可動体55kを原点位置へ戻す必要がないため、作業を簡易にすることが可能である。また自動で復帰させる可動部材は、回転可能な可動部材、移動可能な操作手段(演出ボタン)、振動可能な操作手段、移動可能な発光手段、移動可能な表示手段(液晶表示装置やタッチパネル)、電チュー開閉部材12k、AT開閉部材14k等であっても良い。
また上記形態では、遊技機枠2が開放したときに、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置(所定位置)にいなければ、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ自動で復帰するようにした。しかしながら、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置以外のその他の所定位置(例えば開放位置)にいなければ、遊技機枠2が開放することに基づいて、その所定位置に自動で移動するようにしても良い。また例えば盤可動体55kが、演出位置(所定位置)にいなければ、遊技機枠2が開放することに基づいて、その演出位置に自動で移動するようにしても良い。
また上記形態では、左側可動体510及び右側可動体560が閉塞位置にいないときに、前扉23が内枠21に対して開放すること、又は内枠21が外枠22に対して開放することの何れかに基づいて、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ自動で復帰させるようにした。しかしながら、前扉23が内枠21に対して開放する場合にだけ、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ自動で復帰させても良い。又は、内枠21が外枠22に対して開放する場合にだけ、左側可動体510及び右側可動体560を閉塞位置へ自動で復帰させても良い。
また上記形態では、前扉23の左側装飾ユニット210に設けられている左中装飾部211(演出部材)において(図8参照)、上方縁部211f(延長部)を設けると共に、その角部分211f1に面取りを施すようにした。しかしながら、上述した延長部及び面取りを施す対象となる演出部材は、前扉23に設けられる左中装飾部211に限られるものではなく、適宜変更可能である。従って、操作機構ユニット230に設けられている演出部材や、遊技盤1に設けられている演出部材(例えばロゴ部材等の装飾部材)であっても良い。また、可動部材、スピーカ610、発光装飾体等に対して、上述した延長部及び面取りを施しても良い。
また上記形態では、図13(A)(B)に示すように、右側面部211d(第1面部)と同一方向にて当該右側面部211dよりも上方に延びる上方縁部211f(延長部)を設けた。しかしながら、延長部を設ける部位は適宜変更可能である。例えば、前面部211a(第3面部)と同一方向にて当該前面部211aよりも上方又は右方に延びる延長部を設けても良い。又は、上面部211c(第3面部)と同一方向にて当該上面部211cよりも前方に延びる延長部を設けても良い。そして上記形態では、上方縁部211f(延長部)は、主に前後方向に延びるものであったが、延長部が延びる方向は適宜変更可能である。例えば延長部は、主に左右方向や上下方向に延びるものであっても良い。
また上記形態では、遊技者側に向かって突き出るように仮想角部KKを備える左中装飾部211(演出部材)において(図8参照)、上方縁部211f(延長部)を設けると共に、その角部分211f1に面取りを施すようにした。しかしながら、上述した延長部及び面取りを施す対象となる演出部材の形状は、適宜変更可能であり、少なくとも互いにそれぞれ接する第1面部と第2面部と第3面部とを備え、第1面部と第2面部と第3面部とに基づく仮想角部が認識できるような演出部材であれば良い。よって例えば、直方体、立方体、三角柱、四角柱等の形状からなる演出部材に対して、上述した延長部及び面取りを施しても良い。
また上記形態では、図15(A)(B)に示すように、上方縁部211fの上側には、長手方向に沿って、曲面状の面取りが施されていた。しかしながら、平面状の面取りが施されていても良く、面取りが施されていなくても良い。また上記形態では、図13(A)に示すように、上方縁部211fの前方側の角部分211f1に曲面状の面取りが施されていたが、面取りが施されていなくても良い。
また上記形態では、左中装飾部211は、2部材で構成されていたが、1部材で構成されていても良く、3部材以上で構成されていても良い。また左中装飾部211において、上方縁部211fは、上面部211c(第2面部)と接合していて、右側面部211d(第1面部)に接合していないように設けられていた。しかしながら、上方縁部211fを、右側面部211dと接合していて、上面部211cに接合していないように設けても良い。又は上方縁部211fを、上面部211c(第2面部)と右側面部211d(第1面部)の両方に接合しているように設けても良い。
また上記形態では、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(特定領域の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成しても良い。大入賞装置として大入賞装置14Dのみが設けられていたが、2つの大入賞装置を設けるようにしても良い。
また上記形態では、小当たり遊技(大入賞口の総開放時間が所定時間(例えば1.8秒)以下と短い特別遊技)を実行しないパチンコ遊技機PY1であったが、小当たり遊技を実行し得るパチンコ遊技機としても良い。なお小当たり遊技の実行中の状態を、小当たり遊技状態という。
また上記形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成しても良い。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域を遊技用RAM104に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
本明細書における「所定の制御条件の成立」とは、上記形態では、第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選において大当たりに当選し、その当選を示す大当たり図柄が停止表示されることである。
12.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
<手段A>
手段A1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動部材(左側可動体510,右側可動体560)と、
前記可動部材の停止を保持させる停止保持力を付与可能な駆動手段(左上部モータ531,右上部モータ581)と、
前記駆動手段を制御可能な制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記制御手段は、
前記駆動手段が前記可動部材に停止保持力を付与する保持状態にしているときに所定条件の成立に基づいて、前記駆動手段が前記可動部材に停止保持力を付与しない無保持状態(無電流状態)に切替可能(ステップS707の処理を実行可能,図22参照)なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動部材に停止保持力が付与される保持状態から、停止保持力が付与されない無保持状態に切替えることが可能である。従って万一、人体やその他の構造物等が可動部材に当接した場合でも、可動部材の方が逃げ易くなり、可動部材が邪魔になるのを回避することが可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記可動部材は、所定の待機位置(閉塞位置)、又は前記待機位置よりも当接し易くなる動作位置(開放位置)に移動可能なものであり、
前記制御手段は、前記可動部材が前記動作位置に移動すると前記保持状態にすることが可能(ステップS702の処理を実行可能,図22参照)なものであって、当該可動部材が前記動作位置にあるときに前記所定条件の成立に基づいて前記保持状態から前記無保持状態に切替可能なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動部材が動作位置にあるときには、待機位置にあるときよりも人体やその他の構造物等に当接し易くなる。このとき仮に、動作位置にある可動部材において保持状態のままであると、人体やその他の構造物等に当接した場合の衝撃力が大きくなってしまう。そこで、可動部材が動作位置にあるときに保持状態から無電流状態に切替可能にすることで、万一当接した場合の衝撃力を緩和することが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A2に記載の遊技機において、
枠状の基枠部(外枠22、又は、外枠22及び内枠21)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(内枠21及び前扉23、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)を備え、
前記可動部材は、前記開閉部に取付けられていて、
前記所定条件は、前記開閉部が前記基枠部に対して開放すること基づいて成立するものであることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、開閉部に取付けられている可動部材が動作位置にあって、更にその開閉部が基枠部に対して開放されると、人体やその他の構造物等が可動部材に当接する可能性が非常に大きくなる。そこでこのときに、保持状態から無保持状態に切替えることで、可動部材が周囲に当接した場合の衝撃力を緩和することが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A3に記載の遊技機において、
前記可動部材は、前記動作位置にあるときに、少なくとも一部が前記遊技機枠の枠縁(上縁2Uと下縁2Dと左縁2Lと右縁2Rとからなる縁部分)よりも外側にあるものである(図11参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、動作位置にある可動部材が遊技機枠の枠縁よりも外側にあるため、開閉部が開放されたときに可動部材が当接する可能性が一層高まる。そこで、上述したように保持状態から無保持状態に切替えることで、可動部材が周囲に当接した場合の衝撃力を緩和することが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A4に記載の遊技機において、
前記可動部材は、前記動作位置にあるときに、少なくとも一部が前記遊技機枠の開閉軸(KH)側の縁部分(左縁2L)よりも外側(左方)にあるものである(図11参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、動作位置にある可動部材が遊技機枠の開閉軸側の縁部分よりも外側にあるため、開閉部が開放されたときに、可動部材が当該遊技機の開閉軸側に配されている他の遊技機に当接するおそれがある。この場合、仮に動作位置にある可動部材において保持状態のままであると、他の遊技機の開閉部を開放させ難い。そこで、開閉部を開放させたときに動作位置にある可動部材において保持状態から無保持状態に切替えることで、他の遊技機の開閉部を開放させ易くすることが可能である。
手段A6に係る発明は、
手段A3乃至手段A5の何れかに記載の遊技機において、
前記制御手段は、前記可動部材が所定位置(閉塞位置)にいないときに、前記開閉部が前記基枠部に対して開放すること(ステップS511にて枠開放コマンドを受信すること)に基づいて、当該可動部材を前記所定位置へ移動させることが可能(ステップS803の処理を実行可能)なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動部材が所定位置にいないときに開閉部が開放した場合には、その可動部材を所定位置へ移動させることが可能である。従って、開閉部の開放中に可動部材が所定位置にいないことによって周囲の邪魔になり得るのを回避することが可能である。
手段A7に係る発明は、
枠状の基枠部(外枠22、又は、外枠22及び内枠21)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(内枠21及び前扉23、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)を備え、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
前記開閉部に取付けられていて駆動可能な駆動部材(左側可動体510,右側可動体560)と、
前記駆動部材の停止を保持させる停止保持力を付与可能な駆動手段(左上部モータ531,右上部モータ581)と、
前記駆動手段を制御可能な制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記制御手段は、
前記駆動手段が前記駆動部材に停止保持力を付与する保持状態にしているときに前記開閉部が前記基枠部に対して開放すること基づいて、前記駆動手段が前記駆動部材に停止保持力を付与しない無保持状態(無電流状態)に切替可能(ステップS707の処理を実行可能,図22参照)なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、開閉部が基枠部に対して開放されると、その開閉部に取付けられている駆動部材が人体やその他の構造物等に当接する可能性がある。そこでこのときには、保持状態から無保持状態に切替えることで、駆動部材が周囲に当接した場合の衝撃力を緩和することが可能である。
ところで、特開2008−272111号公報に記載の遊技機では、移動(駆動)可能な可動部材(駆動部材)が取付けられている。可動部材は、モータ(駆動手段)から付与される駆動力によって移動可能である。モータの駆動は、演出制御用マイコン(制御手段)によって制御される。ところで、可動部材は常に移動しているわけではなく、停止していることもある。可動部材が停止しているときには、可動部材の位置がずれないように、可動部材に停止保持力を付与する保持状態にすることがある。なお停止保持力は、モータによって可動部材に付与されるようになっている。ここで、停止している可動部材に対して停止保持力が常に付与されたままであると、可動部材が却って邪魔になるおそれがあった。つまり、仮に可動部材に付与される停止保持力が全く解除されなくなると、万一人体やその他の構造物等が可動部材に当接したときに、可動部材の方が逃げることができなくて、衝撃力が大きくなるおそれがあった。そこで上記したA1〜A7に係る発明は、特開2008−272111号公報に記載の遊技機に対して、制御手段は、駆動手段が可動部材(駆動部材)に停止保持力を付与する保持状態にしているときに所定条件の成立に基づいて、駆動手段が可動部材に停止保持力を付与しない無保持状態に切替可能なものであるという点で相違している。これにより、可動部材(駆動部材)が邪魔になるのを回避することが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段B>
手段B1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
枠状の基枠部(外枠22、又は、内枠21及び前扉23)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(外枠22及び内枠21、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)と、
移動可能な可動部材(左側可動体510,右側可動体560)と、
前記可動部材の移動を制御可能な制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記制御手段は、前記開閉部が前記基枠部に対して開放しているときに、当該可動部材を移動させる駆動条件が成立しても(可動体開放演出の実行タイミングであっても)、前記可動部材が停止している状態を維持可能なものである(ステップS313の処理を実行しない)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、開閉部が基枠部に対して開放しているときには、可動部材を移動させる駆動条件が成立しても、可動部材が移動しない。従って、開閉部の開放中に移動する可動部材が人体やその他の構造物等に当接してしまうのを回避することが可能である。
手段B2に係る発明は、
手段B1に記載の遊技機において、
前記可動部材は、前記開閉部に取付けられていて、所定の待機位置(閉塞位置)又は前記待機位置よりも当接し易くなる動作位置(開放位置)に移動可能なものであり(図11参照)、
前記制御手段は、前記可動部材が前記待機位置にあり且つ前記開閉部が前記基枠部に対して開放しているときに、当該可動部材を前記動作位置へ移動させる駆動条件が成立しても(可動体開放演出の実行タイミングであっても)、前記可動部材が停止している状態を維持可能なものである(ステップS313の処理を実行しない)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、仮に開閉部の開放中に、待機位置にある可動部材が動作位置へ移動してしまうと、可動部材と人体又はその他の構造物等とが当接する可能性が非常に高くなる。そこで、開閉部の開放中には、開閉部に取付けられている可動部材を動作位置へ移動させないことで、可動部材の当接による不具合を回避することが可能である。
手段B3に係る発明は、
手段B2に記載の遊技機において、
前記可動部材は、前記動作位置にあるときに、少なくとも一部が前記遊技機枠の開閉軸(KH)側の縁部分(左縁2L)よりも外側(左方)にあるものである(図11参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、動作位置にある可動部材が遊技機枠の開閉軸側の縁部分よりも外側にあるものである。そのため、仮に開閉部の開放中に、待機位置にある可動部材が動作位置へ移動してしまうと、当該遊技機の開閉軸側に配されている他の遊技機の開閉部が開放し難くなってしまう。そこでこのときには、上述したように可動部材を移動させないことで、他の遊技機の開閉部を開放させ易くすることが可能である。
手段B4に係る発明は、
手段B2又は手段B3に記載の遊技機において、
前記制御手段による制御に基づいて前記可動部材の停止を保持させる停止保持力を付与可能な駆動手段(左上部モータ531,右上部モータ581)を備え、
前記制御手段は、前記可動部材が前記動作位置に移動すると前記駆動手段が前記可動部材に停止保持力を付与する保持状態にすることが可能(ステップS702の処理を実行可能)なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、仮に開閉部の開放中に可動部材が動作位置にあると、その可動部材が邪魔になる場合があり得る。更にこの場合に、動作位置にある可動部材に停止保持力が付与されていると、可動部材を動かし難い事態が生じてしまう。そこで上述したように、開閉部の開放中には可動部材を動作位置へ移動させないことで、可動部材が邪魔になって動かし難いという事態が生じるのを未然に防ぐことが可能である。
手段B5に係る発明は、
手段B1乃至手段B4の何れかに記載の遊技機において、
前記制御手段は、前記可動部材が所定位置(閉塞位置)にいないときに、前記開閉部が前記基枠部に対して開放すること(ステップS511にて枠開放コマンドを受信すること)に基づいて、当該可動部材を前記所定位置へ移動させることが可能(ステップS803の処理を実行可能)なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動部材が所定位置にいないときに開閉部が開放した場合には、その可動部材を所定位置へ移動させることが可能である。従って、開閉部の開放中に可動部材が所定位置にいないことによって周囲の邪魔になり得るのを回避することが可能である。
手段B6に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
枠状の基枠部(外枠22、又は、内枠21及び前扉23)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(外枠22及び内枠21、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)と、
前記開閉部に取付けられていて、所定の待機位置(閉塞位置)又は少なくとも一部が前記遊技機枠の枠縁(上縁2Uと下縁2Dと左縁2Lと右縁2Rとからなる縁部分)よりも外側にある動作位置(開放位置)に移動可能な可動部材(左側可動体510,右側可動体560)と、を備え、
前記制御手段は、前記開閉部が前記基枠部に対して開放しているときに、当該可動部材を前記動作位置へ移動させる駆動条件が成立しても(可動体開放演出の実行タイミングであっても)、前記可動部材が停止している状態を維持可能なものである(ステップS313の処理を実行しない)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、動作位置にある可動部材が遊技機枠の枠縁よりも外側にあるものである。そのため、仮に開閉部の開放中に、待機位置にある可動部材が動作位置へ移動してしまうと、可動部材と人体又はその他の構造物等とが当接する可能性が非常に高くなる。そこで、開閉部が基枠部に対して開放しているときには、可動部材を動作位置へ移動させる駆動条件が成立しても、可動部材が移動しない。こうして、開閉部の開放中には、開閉部に取付けられている可動部材を動作位置へ移動させないことで、可動部材の当接による不具合を回避することが可能である。
ところで、特開2008−272111号公報に記載の遊技機において、外枠と内枠と前扉とを含む遊技機枠と、移動可能な可動部材とが設けられている。可動部材の駆動は、演出制御用マイコン(制御手段)によって制御されるようになっている。ここで近年の可動部材においては、複雑化及び大型化する傾向がある。そのため遊技機枠のうち前扉、又は、前扉及び内枠(開閉部)の開放中に、可動部材が移動すると、その可動部材が人体やその他の構造物等に当接する可能性があった。そこで上記したB1〜B6に係る発明は、特開2008−272111号公報に記載の遊技機に対して、制御手段は、開閉部が基枠部に対して開放しているときに、当該可動部材を移動させる駆動条件が成立しても、可動部材が停止している状態を維持可能なものである点で相違している。これにより、遊技機枠の開閉部の開放中に、可動部材が周囲に当接するのを回避することが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段C>
手段C1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
互いにそれぞれ接する第1面部(前面部211a)と第2面部(上面部211c)と第3面部(右側面部211d)とを有する演出部材(左中装飾部211)を備え、
前記演出部材は、前記第1面部と同一方向にて当該第1面部よりも外側(上方)に延びる延長部(上方縁部211f)を備え、
前記延長部は、前記演出部材を前記第3面部側(遊技者側)から見た場合に、前記第1面部と前記第2面部と前記第3面部とに基づく仮想角部(KK)よりも突出している(図13(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出部材を第3面部側から見た場合に、第1面部と第2面部と第3面部とに基づく仮想角部を意識させつつ、仮想角部よりも突出している延長部を見せることが可能である。よって、鋭利な外観を保ちつつ、斬新な演出部材を見せることが可能である。
手段C2に係る発明は、
手段C1に記載の遊技機において、
前記延長部のうち前記第3面部側の角部分(211f1)には、面取り(R面取り,C面取り)が施されている(図13(A),図40(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、延長部のうち第3面部側の角部分が尖っていない。そのため、延長部の第3面部側の角部分に接触した場合の安全性を高めることが可能である。従って、第1面部と第2面部と第3面部とに基づく仮想角部によって鋭利な外観を保ちつつ、安全な演出部材を提供することが可能である。
手段C3に係る発明は、
手段C2に記載の遊技機において、
前記延長部のうち前記第3面部側の角部分には、曲面状に面取り(R面取り)が施されている(図13(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、延長部のうち第3面部側の角部分が、曲面状になっている。つまり、平面状に面取りされているわけではない。従って、演出部材を第3面部側から見た場合に、面取りが施されている印象を与え難くして、鋭利な外観を保ち易くすることが可能である。
手段C4に係る発明は、
手段C2又は手段C3に記載の遊技機において、
枠状の基枠部(外枠22、又は、外枠22及び内枠21)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(内枠21及び前扉23、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)を備え、
前記演出部材は、前記遊技機枠に取付けられていて、
前記延長部のうち前記第3面部側の角部分は、遊技者側に向かって突き出ている(図8,図13(A)参照)ものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出部材が遊技機枠に取付けられていて、延長部のうち第3面部側の角部分が遊技者側に向かって突き出ているため、鋭利な外観を有する遊技機枠の印象を高めることが可能である。しかしながら、遊技者が角部分に接触し易い状況になる。そこで上述したように、角部分には曲面状の面取りが施されているため、鋭利な外観と安全性との両立を図ることが可能である。
手段C5に係る発明は、
手段C2乃至手段C4の何れかに記載の遊技機において、
前記延長部には、長手方向に沿って面取りが施されている(図15(A)(B)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、延長部のうち第3面部側の角部分だけでなく、長手方向に沿って面取りが施されているため、安全性を一層高めることが可能である。
手段C6に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
枠状の基枠部(外枠22、又は、外枠22及び内枠21)と前記基枠部に対して開閉可能な開閉部(内枠21及び前扉23、又は、前扉23)とを含む遊技機枠(2)と、
前記遊技機枠に取付けられていて、互いにそれぞれ接する第1面部(前面部211a)と第2面部(上面部211c)と第3面部(右側面部211d)とを有する演出部材(左中装飾部211)と、を備え、
前記演出部材は、前記第1面部と同一方向にて当該第1面部よりも外側(上方)に延びる延長部(上方縁部211f)を備え、
前記延長部は、前記演出部材を前記第3面部側(遊技者側)から見た場合に、前記第1面部と前記第2面部と前記第3面部とに基づく仮想角部(KK)よりも突出していて(図13(A)参照)、
前記延長部のうち前記第3面部側の角部分は、遊技者側に向かって突き出ているものであって(図8,図13(A)参照)、面取り(R面取り,C面取り)が施されているものである(図13(A),図40(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出部材を第3面部側から見た場合に、第1面部と第2面部と第3面部とに基づく仮想角部を意識させつつ、仮想角部よりも突出している延長部を見せることが可能である。よって、鋭利な外観を保ちつつ、斬新な演出部材を見せることが可能である。しかしながら、演出部材は遊技機枠に取付けられていて、延長部のうち第3面部側の角部分が遊技者側に向かって突き出ているため、その角部分に遊技者が接触するおそれがある。そこで、遊技者側に向かっている角部分に面取りを施すことで、遊技者に危害が加わるのを回避することが可能である。こうして、鋭利な外観と安全性との両立を図る演出部材を提供することが可能である。
ところで、特開2009−233209号公報に記載の遊技機において、様々な演出部材が設けられている。これら演出部材により、他のパチンコ遊技機との差別化が図られていて、遊技者に特有の外観の印象を抱かせるようになっている。ここで、演出部材の中には、互いにそれぞれ接する第1面部と第2面部と第3面部とを有し、それら第1面部と第2面部と第3面部とに基づく角部分が形成されているものがある。例えば、立方体形状の演出部材や、直方体形状の演出部材である。このような演出部材の角部分は、鋭利な印象を与える部分であるが、このような形状はありきたりであった。即ち、鋭利な印象を与える演出部材には、改善の余地があった。そこで上記したC1〜C6に係る発明は、特開2009−233209号公報に記載の遊技機に対して、演出部材は、第1面部と同一方向にて当該第1面部よりも外側に延びる延長部を備え、延長部は、演出部材を第3面部側から見た場合に、第1面部と第2面部と第3面部とに基づく仮想角部よりも突出している点で相違している。これにより、鋭利な外観を保ちつつ、斬新な演出部材を見せることが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。