JP2019051594A - 繊維強化部材およびその製造方法 - Google Patents

繊維強化部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019051594A
JP2019051594A JP2017175047A JP2017175047A JP2019051594A JP 2019051594 A JP2019051594 A JP 2019051594A JP 2017175047 A JP2017175047 A JP 2017175047A JP 2017175047 A JP2017175047 A JP 2017175047A JP 2019051594 A JP2019051594 A JP 2019051594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fiber reinforced
tape
shaped member
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017175047A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6789902B2 (ja
Inventor
岩田 元孝
Mototaka Iwata
元孝 岩田
慎 近藤
Shin Kondo
慎 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizuno Corp
Mizuno Technics Corp
Original Assignee
Mizuno Corp
Mizuno Technics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mizuno Corp, Mizuno Technics Corp filed Critical Mizuno Corp
Priority to JP2017175047A priority Critical patent/JP6789902B2/ja
Publication of JP2019051594A publication Critical patent/JP2019051594A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6789902B2 publication Critical patent/JP6789902B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)

Abstract

【課題】フィラメントがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である繊維強化部材を提供する。【解決手段】繊維強化部材1は、軸O1を中心として巻回されているように積層されており、かつ軸方向から視て環状に形成されている繊維強化樹脂層10を備える。繊維強化樹脂層10は、樹脂12に覆われた開繊繊維11を含む。開繊繊維11は、軸O1を中心とする周方向に延在している第1繊維線11aと、繊維強化樹脂層10を径方向から視たときに第1繊維線11aと交差する方向に沿って延在している第2繊維線11bとを有している。繊維強化樹脂層10の軸方向の両端面10A,10Bは、繊維強化部材1の軸方向の両端面1A,1Bのみに含まれている。【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化部材およびその製造方法に関し、特に環状に形成された繊維強化樹脂層を備える繊維強化部材およびその製造方法に関する。
従来、繊維強化樹脂により形成された環状部材が知られている。
例えば特開2015−91202号公報には、高速回転する電動機のロータの外周側に配置した磁石の浮き上がりおよび飛散を防止するための、炭素繊維強化樹脂製の部材が開示されている。該特許文献1に記載の磁石浮き上がり及び飛散防止部材は、フィラメントワインディング法(以下、FW法とよぶ)を用いた巻回により形成されている。
また特開2000−502291号公報には、高速回転するスライスを収容及び拘束する拘束部材を、カーボンファイバ強化ポリマー(CFRP)、芳香性ポリイミドファイバ、またはカーボン−グラスファイバ強化ポリマーなどにより形成したものが開示されている。該特許文献2においては、CFRP等よりなる拘束部材を、フィラメントの巻き付けにより形成できる旨が開示されている。
特開2015−91202号公報 特表2000−502291号公報
しかしながら、FW法を用いた巻回方法では、樹脂が含浸されたフィラメントは軸方向の左右にトラバースされながら巻回される。フィラメントの延在方向に垂直な断面形状は、一般的に円形または楕円形状である。そのため、フィラメントが軸方向にトラバースされながら巻回されて形成された炭素繊維強化樹脂製の環状部材では、フィラメントの外形に由来して形成される界面上に空隙が形成され易い。当該空隙は、熱硬化処理の際に樹脂により埋められる場合もあるが、埋められずに繊維強化樹脂層中に残存する場合もある。
繊維強化樹脂層において空隙が生じている部分では、所定の厚み中に含まれる繊維線の総数は、空隙が生じていない部分と比べて少ない。そのため、繊維強化樹脂層中に残存した空隙は、繊維強化樹脂層の全体的または部分的な強度低下を引き起こし、かつ、大きな破壊源となり得る。
そこで、本発明の主たる目的は、フィラメントがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である繊維強化部材を提供することである。
本発明に係る繊維強化部材は、軸を中心として巻回されているように積層されており、かつ軸方向から視て環状に形成されている繊維強化樹脂層を備える繊維強化部材であって、繊維強化樹脂層は、樹脂に覆われた複数の繊維線を含む。複数の繊維線は、軸を中心とする周方向に延在している第1繊維線と、繊維強化樹脂層を径方向から視たときに第1繊維線と交差する方向に沿って延在している第2繊維線とを有している。繊維強化樹脂層の軸方向の両端面は、繊維強化部材の軸方向の両端面のみに含まれている。
上記繊維強化部材において、繊維強化樹脂層の径方向の幅に対する繊維強化樹脂層の軸方向の幅の比率が、30以上2700以下である。
上記繊維強化部材の周方向に垂直な断面において、繊維強化部材の軸方向の一方の端面が軸方向に対して88度以上92度以下を成している。
上記繊維強化部材では、繊維強化樹脂層における複数の繊維線の体積含有率が60%以上75%以下である。
本発明に係る繊維強化部材の製造方法は、第1繊維線と第1繊維線と交差する方向に沿って延在している第2繊維線とを含むテープ状部材を準備する工程と、外周面が軸方向に沿って延びる筒状部と、筒状部の軸方向の両端に接続されており、かつ筒状部の外周面に対して径方向に沿って突出の幅が広い板部とを含む内型の外周面上にテープ状部材を巻回する工程と、外周面上に巻回されたテープ状部材を覆うように外型を配置して、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程と、内型と外型との間に収容されたテープ状部材に熱処理を施す工程とを備える。テープ状部材を巻回する工程では、テープ状部材の延在方向に垂直な方向の両端面が外周面上に巻回されたテープ状部材の軸方向の両端面のみに含まれるように巻回される。
上記繊維強化部材の製造方法において、テープ状部材を準備する工程では、幅の寸法が厚みの寸法の30倍以上2700倍以下となるようにテープ状部材が拡幅される。
上記繊維強化部材の製造方法において、テープ状部材を巻回する工程では、少なくとも1つの押圧部材を用いてテープ状部材を内型に押圧させながら、テープ状部材を巻回する。
上記繊維強化部材の製造方法のテープ状部材を準備する工程において、テープ状部材を構成する材料は樹脂を含んでいてもよい。
上記繊維強化部材の製造方法は、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程の後に、テープ状部材に樹脂を含浸させる工程をさらに備え、テープ状部材に熱処理を施す工程において、テープ状部材を構成する材料は樹脂を含んでいてもよい。
上記繊維強化部材の製造方法のテープ状部材を内型と外型との間に収容する工程において、外型は、外周面上に巻回されたテープ状部材と、板部において少なくとも筒状部側に位置する一部とを覆うようにラッピングテープが巻回されることにより形成されてもよい。
本発明によれば、フィラメントがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である繊維強化部材を提供することができる。
実施の形態1に係る繊維強化部材の斜視図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の周方向に垂直な部分断面図である。 実施の形態1に係る開繊繊維の部分平面図である。 実施の形態1に係る開繊繊維束の断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る繊維強化部材の周方向に垂直な部分拡大断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法に用いられる内型の側面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法において、内型にテープ状部材を巻回する工程を示す部分断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法において、内型にテープ状部材を巻回する工程を示す部分断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法において、内型にテープ状部材を巻回する工程を示す部分断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法において、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程を示す部分断面図である。 図11中の矢印XII−XIIから視た部分断面図である。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法に用いられる内型の部分断面図である。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法に用いられる内型の側面図である。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法において、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程を示す部分断面図である。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法において、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程を示す部分側面図である。 実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法において、内型と外型との間に収容されたテープ状部材に樹脂を含浸させる工程を示す部分側面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法の変形例において、内型にテープ状部材を巻回する工程を示す部分断面図である。 実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法の変形例において、テープ状部材を内型と外型との間に収容する工程を示す部分断面図である。 実施例1における繊維強化部材の周方向に垂直な部分断面像である。 実施例2における繊維強化部材の見掛破壊強度の測定方法を説明する図である。 図22に示される見掛破壊強度の測定方法を説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
<繊維強化部材の構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る繊維強化部材1は、環状部材であり、例えば軸O1を中心とする周方向に延在する円環状部材である。周方向に垂直な断面において、繊維強化部材1の軸O1の延在する方向(軸方向)に延びる端面1A,1Bは、繊維強化部材1の製造方法において使用される内型および外型の構成に基づいて任意の構成を有することが出来るが、例えば平面である。繊維強化部材1の内周面および外周面は、例えば軸O1と平行である。
繊維強化部材1は、軸O1を中心として巻回されるように積層されている繊維強化樹脂層10を備える。図2に示されるように、繊維強化部材1の周方向に垂直な断面に現れる繊維強化樹脂層10の複数の部分は、互いに径方向に積層されている。繊維強化部材1の周方向に垂直な断面に現れる繊維強化樹脂層10の複数の部分は、互いに同等の形状および寸法を有している。
図1および図2に示されるように、繊維強化部材1の軸方向の一端と他端との間の距離W1と、繊維強化樹脂層10の軸方向の幅とは、略等しく、好ましくは等しい。異なる観点から言えば、繊維強化樹脂層10の軸方向の一方の端面10Aは、繊維強化部材1において表出しており、繊維強化部材1の軸方向の一方の端面1Aのみに含まれている。繊維強化樹脂層10の軸方向の他方の端面10Bは、繊維強化部材1において表出しており、繊維強化部材1の軸方向の他方の端面1Bのみに含まれている。
図2に示されるように、繊維強化樹脂層10の内周面および外周面は、例えば軸O1と平行である。繊維強化樹脂層10において、径方向に隣り合う2つの部分のうち、内周部分の外周面は、例えば外周部分の内周面と面接触している。異なる観点から言えば、周方向に垂直な断面において、繊維強化樹脂層10の内周部分と外周部分との界面10Cは、軸方向の両端面10A,10B間を軸方向に沿うようにのみ設けられており、例えば径方向に沿うように設けられていない。繊維強化樹脂層10の径方向の幅W3に対する繊維強化樹脂層10の軸方向の幅の比率は、30以上2700以下である。繊維強化樹脂層10の径方向の幅W3は、開繊繊維11の単繊維数等に応じて任意に設定され得るが、例えば開繊繊維11の単繊維数が2万本以上3万本以下である場合0.04mm以上0.08mm以下であってもよく、開繊繊維11中の単繊維数が3万本以上4万本以下である場合0.07mm以上0.25mm以下であってもよい。繊維強化樹脂層10の軸方向の幅W1は、開繊繊維11の単繊維数等に応じて任意に設定され得るが、例えば開繊繊維11の単繊維数が2万本以上3万本以下である場合19mm以上105mm以下であってもよく、開繊繊維11の単繊維数が3万本以上4万本以下である場合9mm以上105mm以下であってもよい。
このような繊維強化樹脂層10は、1つのテープ状部材が軸方向にトラバースされることなく軸O1を中心に巻回されることにより形成されたものである。具体的には、繊維強化樹脂層10は、径方向から視て、1つのテープ状部材が軸O1に対し88°以上92°以下の角度(巻回角度)を成すように軸O1を中心に巻回されてなるものである(詳細は後述する)。
繊維強化樹脂層10は、開繊繊維11に樹脂12を含浸させた開繊繊維束13を材料として形成される。図3は、開繊繊維束13を構成する開繊繊維11の部分平面図である。開繊繊維11は、単繊維の束であるフィラメントをさらに束ねてなるトウを、公知の方法により開繊したものである。フィラメントは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、およびバルカン繊維からなる群から選択される少なくとも1つの単繊維により構成される。単繊維の原糸は、長繊維の他に短繊維を紡績したものを使用することができる。
図3に示されるように、開繊繊維11は、長手方向に沿って延在している第1繊維線11aと、第1繊維線11aと斜行する方向に沿って延在している第2繊維線11bとを有している。第1繊維線11aおよび第2繊維線11bは、巨視的に見たときにはフィラメントが表れた線であり、微視的には単繊維自体の線として表れる。
開繊繊維束13は、図4に示すように、トウを開繊することにより形成されたフィラメント間の隙間、すなわち、第1繊維線11aおよび第2繊維線11bの間に樹脂12が含浸されたものである。樹脂12は、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂あるいはフェノール樹脂などである。
繊維強化樹脂層10を径方向から視たときの任意の平面領域において、繊維線の総数に対する第1繊維線11aの本数の比率は例えば90%以上であり、繊維線の総数に対する第2繊維線11bの本数の比率は例えば10%以下である。開繊繊維11の径方向の幅に対する開繊繊維11の軸方向の幅の比率は、30以上2700以下である。繊維強化樹脂層10においては、上述した開繊繊維11の構造に由来する第1繊維線11aと第2繊維線11bとが形成されている。具体的には、繊維強化樹脂層10は、周方向に延在している第1繊維線11aと、繊維強化樹脂層10を径方向から視たときに第1繊維線11aと交差する方向に沿って延在している第2繊維線11bとを有している。繊維強化樹脂層10の第1繊維線11aおよび第2繊維線11bは、繊維強化樹脂層10の内部のみならず、径方向に隣り合う2つの繊維強化樹脂層10の界面にも配置されている。繊維強化樹脂層10における開繊繊維11の体積含有率は、60%以上75%未満であり、好ましくは60%以上70%以下である。
<繊維強化部材の製造方法>
図5を参照して、実施の形態1に係る繊維強化部材1の製造方法では、まずトウ(図示しない)を準備する(工程(S00))。本工程(S00)では、断面形状が円形または楕円形であるトウが準備される。
次に、開繊繊維束13を形成する(工程(S10))。本工程(S10)では、まず、トウが開繊(拡幅)される。具体的には、トウに対して任意の方法により接圧や空気圧、あるいは流体圧が加えられる。これにより、トウと当該トウに対して圧力を印加している部材(例えばロール)との間に摩擦力が発生し、トウ内の繊維線間の結合が部分的に解かれることにより、開繊繊維11が形成される。このようなトウを開繊するプロセスは、開繊繊維11が略同一幅かつ略同一厚に構成されるよう、トウの張力や印加する空気圧等を調整しながら実行される。開繊繊維11には、図3に示すように、開繊繊維11の延在方向に沿って延在する第1繊維線11aと、該延在方向に対して交差する方向に延在(斜交)する第2繊維線11bとが形成される。
次に、開繊繊維11に樹脂12が含浸される。このようにして、図4に示されるように、延在方向に垂直な断面形状が扁平であるテープ状部材としての開繊繊維束13が形成される。開繊繊維束13の表面は、相対的に面積が小さい側面13A,13Bと、相対的に面積が大きい主面13Cとを有している。側面13A,13Bは、開繊繊維束13の上記断面形状の短手方向に沿って延びている。主面13Cは、開繊繊維束13の上記断面形状の長手方向に沿って延びている。開繊繊維束13の主面13Cには、例えば第1繊維線11aおよび第2繊維線11bが少なくとも部分的に表出している。なお、開繊繊維束13では、上記空隙の形成が抑制されている。開繊繊維束13の上記短手方向の最大幅W4に対する開繊繊維束13の上記長手方向の最大幅W5の比率は、30以上2700以下である。
次に、図7〜図12に示されるように、開繊繊維束13を内型100に複数回巻回する(工程(S20))。本工程(S20)では、まず内型100を備える巻回装置が準備される。内型100は、軸O2を中心として回転方向R1に回転可能に設けられている。内型100は、外周面が軸O2の延在方向(軸方向)に沿って延びる筒状部101と、筒状部101の軸方向の両端に接続されており、かつ筒状部101の外周面に対して突出している板部102とを含む。板部102において筒状部101側に向いた側面は、例えば軸O2に垂直な径方向に沿って延びている。内型100は、ボビン構造を有している。筒状部101および板部102は、例えば軸O2を中心とする円筒状に設けられている。筒状部101の軸方向の幅W1は、製造される繊維強化部材1の軸方向の幅W1以上であり、例えば幅W1と等しい。内型100の径方向における筒状部101に対する板部102の突出幅は、製造される繊維強化部材1の径方向の幅W2以上であり、例えば幅W2と等しい。板部102の外径は、製造される繊維強化部材1の外径と同等に設けられている。
次に、図8および図9に示されるように、開繊繊維束13を内型100の筒状部101の外周面上に巻回す。開繊繊維束13は、軸O2を中心として渦巻状に巻き回される。言い換えると、開繊繊維束13は、その延在方向が軸O2を中心とする周方向に、延在方向に垂直な断面における長手方向が軸方向に、該断面における短手方向が径方向に、それぞれ沿うように同軸巻きされる。このとき、開繊繊維束13には、張力が付与されている。
好ましくは、開繊繊維束13は、径方向において軸O2に向けて押圧されながら巻回される。この場合、上記巻回装置は、径方向において筒状部101に対し相対的な位置を変更可能に設けられており、開繊繊維束13を筒状部101の外周面に押圧可能に設けられている押圧部材をさらに備えている。押圧部材は、例えば軸O3を中心として回転可能に設けられているローラ103である。ローラ103は、内型100の板部102と干渉しないように設けられている。ローラ103の軸O3を中心とする半径は、筒状部101の軸O2を中心とする半径よりも短い。ローラ103の軸O3は、内型100の軸O2と平行に設けられている。ローラ103の軸O2の延在方向の幅は、筒状部101の軸方向の上記幅W1(図7参照)以下であり、例えば幅W1と等しい。ローラ103の回転方向R2は、内型100の回転方向R1と逆である。ローラ103は、開繊繊維束13の巻回数に応じて、軸O3と軸O2との間の距離を変更可能に設けられている。
本工程(S20)では、開繊繊維束13が、筒状部101の外周面上に、開繊繊維束13の径方向の幅が上記幅W2となるように予め定められた巻数nよりも1層少ない数n−1回巻かれた状態とされる。
次に、図10〜図12に示されるように、筒状部101の外周面上に巻回された開繊繊維束13を覆うように外型200を配置して、開繊繊維束13を内型100と外型200との間に収容する(工程(S30))。まず、図10に示されるように、開繊繊維束13について筒状部101の外周面上へのn回目の巻き回しが開始されると同時に、ラッピングテープ201について筒状部101および板部102の外周面上への1回目の巻回しが開始される。ラッピングテープ201を構成する材料は、開繊繊維束13を熱硬化するための熱処理が施された際に外形が保持され得る任意の材料であればよいが、好ましくは開繊繊維束13を熱硬化するための熱処理を受けたときに熱収縮可能な材料であり、例えばポリプロピレンやPET(ポリエチレンテレフタレート)などである。
ラッピングテープ201の延在方向に垂直な方向の幅、すなわち軸O2の延在方向に垂直な方向の幅は、筒状部101の当該軸方向の幅W1超えである。ラッピングテープ201は、軸O2を中心として、開繊繊維束13よりも外周側に巻き回されて、軸方向における一方の板部102および他方の板部102と接続される。このように巻回されたラッピングテープ201は、内型100との間に開繊繊維束13を収容する外型200を構成する。ラッピングテープ201には、張力が付与されている。開繊繊維束13は、例えば1巻分の巻回しが完了する直前に切断される。ラッピングテープ201は、例えば開繊繊維束13と同時に切断されてもよい。つまり、ラッピングテープ201は、内型100に、少なくとも1回巻以上巻回されていればよい。好ましくは、ラッピングテープ201は、例えば開繊繊維束13の巻回しが完了した後、単独で複数回(例えば5回)内型100に巻回された後、切断される。
図11および図11のXII−XII断面である図12に示されるように、本工程(S30)により、上記軸方向の幅W1かつ上記径方向の幅W2である開繊繊維束13の積層体(巻取体)が形成されると同時に、当該開繊繊維束13を覆うようにラッピングテープ201からなる外型200が形成される。
好ましくは、ラッピングテープ201は、開繊繊維束13とともに、軸O2に向けて押圧されながら巻回される。ラッピングテープ201および開繊繊維束13を押圧するための押圧部材は、例えば上記ローラ103である。また、当該押圧部材は、軸O2の延在方向の幅がローラ103と比べて広いローラであってもよい。また、ラッピングテープ201は、2巻以上巻回されてもよい。
次に、内型100とラッピングテープ201からなる外型200との間に収容された開繊繊維束13に熱処理を施し、開繊繊維束13を熱硬化させる(工程(S40))。熱処理の温度は、樹脂を構成する材料に応じて決定される。本工程(S40)により、開繊繊維束13は熱硬化されて繊維強化樹脂層10とされる。このとき、開繊繊維束13は内型100と外型200とにより封止されているため、熱処理によって得られる繊維強化樹脂層10の外形は内型100と外型200との間に形成された空間の形状に応じたものとなる。また、繊維強化樹脂層10には、図2及び繊維強化樹脂層10の部分拡大断面図である図6に示すように、開繊繊維束13の内周面および外周面に由来する界面10C(図2参照)が、端面10Aから端面10Bまで軸方向に沿って延びるように形成される。本工程(S40)後に、内型100および外型200が取り外されることにより、実施の形態1に係る繊維強化部材1が製造される。
なお、上記繊維強化部材の製造方法では、上記長手方向に沿って互いに間隔を隔てて並列配置された複数の開繊繊維11の各々に対して上記工程(S10)が同時に実施され、かつこのようにして得られた複数の開繊繊維束13の各々に対し上記工程(S20)および工程(S30)が同時に実施されてもよい。
<作用効果>
実施の形態1に係る繊維強化部材1は、軸O1を中心として巻回されているように積層されており、かつ軸方向から視て環状に形成されている繊維強化樹脂層10を備える。繊維強化樹脂層10は、樹脂12を含んだ開繊繊維11を含む。開繊繊維11は、軸O1を中心とする周方向に延在している第1繊維線11aと、繊維強化樹脂層10を径方向から視たときに第1繊維線11aと交差する方向に沿って延在している第2繊維線11bとを有している。繊維強化樹脂層10の径方向の幅に対する繊維強化樹脂層10の軸方向の幅W1の比率が、30以上2700以下である。繊維強化樹脂層10の軸方向の両端面10A,10Bは、繊維強化部材1の軸方向の両端面1A,1Bのみに含まれている。
図2に示されるように、このような繊維強化部材1では、開繊繊維束13の外形に由来して繊維強化樹脂層10内に形成される界面10Cが軸方向に沿って延在して、繊維強化部材1の軸方向の両端面1A,1Bに連なっている。そのため、上記製造方法の開繊繊維束13を巻回する工程(S20)では、開繊繊維束が軸方向にトラバースされながら巻回される(例えばフープ巻またはヘリカル巻により巻回される)場合と比べて、径方向に積層された開繊繊維束13の内周部分の外周面と外周部分の内周面との間に、上記空隙が形成されにくい。そのため、繊維強化部材1は、フィラメントがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である。
また、繊維強化部材1の繊維強化樹脂層10は1本の開繊繊維束13により形成されている。そのため、繊維強化部材1は、複数のシートプリプレグを周方向に繋ぎあわせることにより形成された繊維強化部材よりも高強度である。
特に、上記繊維強化部材1は、繊維強化樹脂層10が第1繊維線11aを有しているため、周方向において高い引張強度が実現されている。さらに、例えば繊維強化部材1が径方向の内側から外側に向かう力(内圧)を受けた結果、周方向には伸ばされて軸方向には縮められるような繊維強化部材1の寸法変化が引き起こされる場合にも、繊維強化樹脂層10の界面10C上の少なくとも一部には第2繊維線11bが表出しているため、上記繊維強化部材1では繊維強化樹脂層10の層間(界面)での剥離が抑制されている。
上記繊維強化部材1では、繊維強化樹脂層10は、径方向から視て、1つのテープ状部材が軸O1に対し88°以上92°以下の巻回角度で軸O1を中心に巻回されてなるものである。
このような繊維強化部材1は、上記巻回角度が88度未満とされて得られた繊維許可樹脂層を備える繊維強化部材と比べて、周方向の引張り強度が高い。また、このような繊維強化部材1は、上記巻回角度が92度超えとされて得られた繊維許可樹脂層を備える繊維強化部材場合と比べて、周方向の引張り強度が高い。また、このような繊維強化部材1は、上記繊維強化部材1の製造方法により、容易に製造され得る。
上記繊維強化部材1において、繊維強化樹脂層10における開繊繊維11の体積含有率(Vf)が60%以上75%以下である。このような繊維強化部材1は、繊維強化樹脂層10における開繊繊維11の体積含有率が75%以上である場合と比べて、周方向への寸法変化(伸び量)が許容されている。よって、たとえば部材にキズやクラックが入ったとしても、Vfが75%より大きいものに比べて壊れ難くなる。
実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法は、トウを準備する工程(S00)と、トウから、第1繊維線11aと第1繊維線11aと交差する方向に沿って延在している第2繊維線11bとを含む開繊繊維束13を形成する工程(S10)と、外周面が軸方向に沿って延びる筒状部101、および筒状部101の軸方向の両端に接続され、かつ筒状部101の外周面に対して径方向に沿って突出の幅が広い板部102を含む内型100の外周面上に開繊繊維束13を巻回する工程(S20)と、外周面上に巻回された開繊繊維束13を覆うように外型200を配置して、開繊繊維束13を内型100と外型200との間に収容する工程(S30)と、内型100と外型200との間に収容された開繊繊維束13を熱硬化させる工程(S40)とを備える。開繊繊維束13を巻回する工程(S20)では、開繊繊維束13の延在方向に垂直な方向の両端面が外周面上に巻回された開繊繊維束13の軸方向の両端面のみに含まれるように巻回される。
このようにすれば、図12に示されるように、上記製造方法の開繊繊維束13を巻回する工程(S20)において、図4に示される開繊繊維束13の両側面13A,13Bは、図2に示される繊維強化部材1の軸方向の両端面1A,1B内のみに配置されて、繊維強化部材1の内部に配置されない。言い換えると、繊維強化樹脂層10において開繊繊維束13の外形に由来して形成される界面10Cは、開繊繊維束13の延在方向および上記長手方向に沿って延び、上記両側面13A,13Bに接続された両主面13Cのみにより構成されている。そのため、開繊繊維束が軸方向にトラバースされながら巻回される(例えばフープ巻またはヘリカル巻により巻回される)場合と比べて、径方向に隣り合う開繊繊維束13の内周部分の外周面と外周部分の内周面との間に、上記空隙が形成されにくい。その結果、上記製造方法により製造される繊維強化部材1は、フィラメントがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である。
上記繊維強化部材の製造方法では、開繊繊維束13を構成する材料は樹脂を含む。つまり、上記繊維強化部材の製造方法では、開繊繊維11に樹脂12を含浸させて得られた開繊繊維束13を用いて、上記工程(S20)が実施される。
上述のように、上記工程(S20)において内型100の外周面上に巻回された開繊繊維束13中の、径方向に隣り合う内周部分の外周面と外周部分の内周面との間には、上記空隙が形成されにくい。そのため、上記製造方法により製造される繊維強化部材1は、トウプリプレグがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である。
上記繊維強化部材の製造方法において、開繊繊維束13を巻回する工程(S20)では、ローラ103を用いて開繊繊維束13を内型100に押圧させながら、開繊繊維束13を巻回するのが好ましい。
このようにすれば、開繊繊維束13を内型100に押圧させずに開繊繊維束13を内型100に巻回する場合と比べて、上記空隙がより形成されにくくなる。
上記繊維強化部材の製造方法では、開繊繊維束13を内型100と外型200との間に収容する工程(S30)において、外型200は、内型100の筒状部101の外周面上に巻回された開繊繊維束13と、板部102において少なくとも筒状部101側に位置する一部とを覆うようにラッピングテープ201が巻回されることにより形成される。
このようにすれば、外型200を比較的容易にかつ安価に形成することができる。特に、外径が異なる複数種の繊維強化部材1を製造する場合には、予め複数種の外型200を準備しておくことなく、1種のラッピングテープ201から複数種の外型200を容易に形成することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る繊維強化部材1の製造方法は、基本的に実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法と同様の構成を備えるが、テープ状部材として準備された開繊繊維11を内型110に巻回した後に、該巻回された開繊繊維11に対し樹脂を含浸させる点で異なる。
図13に示されるように、実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法では、はじめにテープ状部材として開繊繊維11を準備する(工程(S50))。本工程(S50)で準備される開繊繊維11は、実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法の上記工程(S10)において樹脂が含浸される前の開繊繊維11と同等である。
具体的には、まず断面形状が円形または楕円形であるトウが準備され、該トウが開繊(拡幅)されることにより、開繊繊維11が形成される。開繊繊維11には、開繊繊維11の延在方向に沿って延在する第1繊維線11aと、該延在方向に対して交差する方向に延在(斜交)する第2繊維線11bとが形成される。
次に、図14および図15に示されるように、開繊繊維11を内型110に複数回巻回す(工程(S60))。本工程(S60)では、まず内型110を備える巻回装置が準備される。内型110は、基本的には図7に示される上記内型100と同様の構成を備えるが、筒状部111の内部に樹脂が周方向、径方向および軸方向に流動可能な流動部114が設けられており、かつ該流動部114と連通する多数の流通孔115が筒状部111の外周面上に設けられている点で異なる。つまり、内型110は、流動部114に供給された樹脂が複数の流通孔115を通って筒状部111の外周面上に流出可能に設けられている。流動部114に樹脂を供給するための供給部116は、例えば筒状部111の内周側に設けられている。内型110は、軸O2を中心として回転方向R1に回転可能に設けられている。
次に、開繊繊維11を内型110の筒状部111の外周面上に巻回す。開繊繊維11は、軸O2を中心として渦巻状に巻き回される。言い換えると、開繊繊維11は、その延在方向が軸O2を中心とする周方向に、延在方向に垂直な断面における長手方向が軸方向に、該断面における短手方向が径方向に、それぞれ沿うように同軸巻きされる。このとき、開繊繊維11には、張力が付与されている。
好ましくは、開繊繊維11は、径方向において軸O2に向けて押圧されながら巻回される。この場合、上記巻回装置は、径方向において筒状部111に対し相対的な位置を変更可能に設けられており、開繊繊維11を筒状部111の外周面に押圧可能に設けられている押圧部材をさらに備えている。該押圧部材は、上記ローラ103と同様の構成を備えていればよい。
本工程(S60)では、開繊繊維11が、筒状部111の外周面上に、開繊繊維11の径方向の幅が上記幅W2となるように予め定められた巻数n回巻かれた状態とされる。
次に、図16および図17に示されるように、筒状部111の外周面上に巻回された開繊繊維11を覆うように外型210を配置して、開繊繊維11を内型110と外型210との間に収容する(工程(S70))。外型210は、例えば軸方向に分割された第1外型211および第2外型212により構成されている。第1外型211には、内型110の一方の板部112を含む一部を収容可能な凹部213が設けられている。第2外型212には、内型110の他方の板部112を含む残部を収容可能な凹部214が設けられている。凹部213,214の内径は、製造される繊維強化部材1の外径と同等に設けられている。第1外型211の凹部213および第2外型212の凹部214は、互いに組み合わされたときにその内部に内型110および該内型110に巻き回された開繊繊維11を収容可能に設けられている。
さらに、図18に示されるように、外型210には、凹部213,214により形成される内部空間を排気可能に設けられている。外型210には、凹部213または凹部214に連通する複数の排気孔215が設けられている。複数の排気孔215は、例えば周方向および軸方向において、互いに間隔を隔てて設けられている。複数の排気孔215は、排気部216に接続されている。排気部216は、複数の排気孔215を介して上記内部空間を排気可能に設けられている。
次に、内型110に巻き回されかつ内型110と外型210との間に収容された開繊繊維11に、樹脂を含浸させる(工程(S80))。本工程(S80)では、供給部116から流動部114、複数の流通孔115を経て、上記内部空間に樹脂が供給される。これにより、上記内部空間内に巻き回されている開繊繊維11に樹脂が含浸される。
好ましくは、本工程(S80)では、上記内部空間は排気部216により排気された状態に維持されている。これにより、上記内部空間内の気体が樹脂内に残存することを抑制することができる。
次に、内型110と外型210との間に収容された開繊繊維11および開繊繊維11に含浸された樹脂12に熱処理を施し、樹脂12を熱硬化させる(工程(S90))。これにより、開繊繊維11に含浸された樹脂12は熱硬化されて繊維強化樹脂層10とされ、繊維強化部材1が製造される。
実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法によれば、径方向に隣り合う開繊繊維11間に、上記空隙が形成されにくい。そのため、当該方法により製造された繊維強化部材1は、実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法により製造された繊維強化部材1と同様に、トウプリプレグがFW法によって軸方向にトラバースされながら巻回されることにより製造される従来の繊維強化部材よりも高強度である。
なお、実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法により製造された繊維強化部材1においても、図2に示されるような開繊繊維束の外形に由来する界面10Cが確認され、繊維強化樹脂層10の径方向の幅は、繊維強化樹脂層10全体の径方向の幅を開繊繊維11の巻回数で割った値として定義される。
<変形例>
実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法では、テープ状部材としての開繊繊維束およびラッピングテープが複数の押圧部材により内型に押圧されながら巻回されてもよい。実施の形態2に係る繊維強化部材の製造方法では、テープ状部材としての開繊繊維11が複数の押圧部材により内型に押圧されながら巻回されてもよい。例えば、実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法では、図19および図20に示されるように、上記巻回装置は、軸O2に対しその周方向に互いに間隔を隔てて配置された複数のローラを備えていてもよい。複数のローラは、例えば、軸O2に対し回転方向R1側に形成される中心角が180度以上(例えば270度以上)となるように配置された2つのローラ103a,103bを有している。ローラ103a,103bの各々は、開繊繊維束13を内型100に押圧可能に設けられている。ローラ103a,103bは、内型100に対し周方向における相対的な位置関係が固定されており、径方向における相対的な位置関係が変更可能に設けられている。
このようにすれば、開繊繊維束およびラッピングテープにおいて、ローラ103aによって内型100に押圧されている部分とローラ103bによって内型100に押圧されている部分との間に位置する領域は張力が印加された状態に保持されている。そのため、このようにして内型に巻き回された開繊繊維束およびラッピングテープは、これらが1つの押圧部材により内型に押圧されながら巻回された場合と比べて、緩みの発生がより効果的に防止されている。
本実施例では、実施の形態1に係る繊維強化部材に対し断面観察を行い、繊維強化樹脂層中に空隙が存在するか否かを評価した。
実施例試料として、実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法により製造された繊維強化部材を準備した。製造に用いた開繊繊維束は、延在方向に垂直な断面において長手方向の幅が20mm、短手方向の幅が0.1mmであり、上記Vf値が65%であるものとした。
<断面観察評価>
図21は、上記実施例に係る繊維強化部材に対し、その周方向に垂直な断面観察を行って得られた断面像である。図21中に示される2つの線分は、繊維強化樹脂層において径方向に隣り合う部分間の界面の位置を示している。つまり、2つの線分間の最短距離は、繊維強化樹脂層の上記幅W3に相当する。
本実施例では、実施の形態1に係る繊維強化部材に対しバースト試験を行い、繊維強化部材の見掛破壊強度を評価した。
<試料>
実施例試料1,2は、実施の形態1に係る繊維強化部材の製造方法により製造された、内径が147mm、径方向の幅が4.5mm、軸方向の幅が20mmである環状の繊維強化部材とした。実施例試料1,2は、延在方向に垂直な断面において長手方向の幅が20mm、短手方向の幅が0.1mmであり、繊維弾性率Efが265GPaである炭素繊維と、樹脂弾性率Erが2.5GPaであるエポキシ樹脂とからなる開繊繊維束を用いて製造された。実施例試料1は、上記Vf値が64.3%である開繊繊維束により製造された。実施例試料2は、上記Vf値が66.4%である開繊繊維束により製造された。
比較例試料1,2は、開繊されていないトウに樹脂が含浸されたトウプリプレグをヘリカル巻することにより製造された繊維強化部材とした。比較例試料1,2の寸法は、上記実施例試料1,2と同等とした。比較例試料1,2は、延在方向に垂直な断面において長手方向の幅が8mm、短手方向の幅が1mmであり、繊維弾性率Efが265GPaである炭素繊維と、樹脂弾性率Erが2.5GPaであるエポキシ樹脂とからなるトウプリプレグを用いて製造された。比較例試料1は、上記Vf値が65.1%であるトウプリプレグにより製造された。比較例試料2は、上記Vf値が64.6%であるトウプリプレグにより製造された。
<バースト試験>
実施例試料1,2および比較例試料1,2について、以下のようなバースト試験を行った。図22は、本実施例のバースト試験方法を説明するための部分断面図である。バースト試験機は、保持部301とロッド302とを備える。ロッド302は、その中心軸に対し交差する方向の延びる円錐面を有しており、該中心軸が延在する方向Aに沿って保持部301に対し相対的に移動可能である。図22に示されるように、実施例試料1,2および比較例試料1,2のいずれかの試験片300は、その中空部にウレタンゴム303および複数のセグメント304が嵌め込まれた状態で、その中心軸がロッド302の中心軸と重なるように、保持部301により保持される。
図23は、図22に示される試験片300、ロッド302、ウレタンゴム303、および複数のセグメント304の各部材の位置関係を示す平面図である。ウレタンゴム303は、環状に設けられており、その内周面および外周面は方向Aに沿って延びている。複数のセグメント304の各々は、方向Aに沿って延びる外周面と、方向Aに対し交差する方向の延びるテーパー状の内周面とを有する環状部材が、周方向に12分割されたものである。
バースト試験は、試験片300に嵌め込まれた複数のセグメント304の中空部に挿入されたロッド302が、方向Aに沿って移動されることにより実施される。
方向Aに向いた外力が印加されていないロッド302のテーパー状の外周面が試験片300の内周面と接触して保持されている状態(基準状態)のロッド302の方向Aにおける位置を、基準高さとする。当該基準状態から、ロッド302に対し方向Aに向いた外力を徐々に印加してロッド302を試験片300の上記中空部に押し込んでいくと、複数のセグメント304がロッド302によって方向Aに垂直な径方向において外側に押し広げられるため、試験片300の内周面は複数のセグメント304およびウレタンゴム303によって径方向に押し広げられる。つまり、本バースト試験において、試験片300には、ロッド302によって周方向において引張応力が付与される。試験片300の内周面に付与される引張応力は、試験片300の内周面の歪み量に比例して大きくなり、試験片300が破壊されたときに最大引張応力値となる。当該最大引張応力値は、フックの法則に基づき、試験片300の内周面の歪み量と試験片300の弾性率との積により算出される。しかし、試験片300の内周面の歪み量を直接測定することは困難である。
一方で、試験片300の内周面の歪み量は、方向Aにおけるロッド302の押し込み量に比例して大きくなる。そこで、本実施例では、上記バースト試験において測定された、試験片300が破壊されたときの方向Aにおけるロッド302の押し込み量xと、試験片300の弾性率との積により算出された値を見掛破壊強度として評価した。
実施例試料1,2および比較例試料1,2の各弾性率E(MPa)は、各試料の繊維弾性率Efと上記Vf値との積として算出した。実施例試料1,2および比較例試料1,2の各弾性率Eは、ほぼ同等となるように設定した。
表1に、評価結果を示す。
表1に示されるように、実施例試料1,2および比較例試料1,2の各弾性率Eは171.3〜176.8GPaであってほぼ同等であるのに対し、実施例試料1,2の上記押し込み量xは、比較例試料1,2の上記押し込み量よりも十分に大きかった。これにより、実施例試料1,2の見掛破壊強度GPa・mmは、比較例試料1,2の見掛破壊強度よりも十分に大きく、例えば比較例試料1,2の見掛破壊強度よりも10%以上大きいことが確認された。
また、上記比較例試料1,2と同様の方法により作製された比較例試料を周方向に垂直な断面で観察したところ、その繊維強化樹脂層中には複数の空隙が確認された。一方、実施例試料1,2と同様の方法により作製された実施例試料を周方向に垂直な断面で観察したところ、その繊維強化樹脂層中には複数の空隙が確認されなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 繊維強化部材、1A,1B,10A,10B 端面、10C 界面、10 繊維強化樹脂層、11 開繊繊維、11a 第1繊維線、11b 第2繊維線、12 樹脂、13 開繊繊維束、100,110 内型、101,111 筒状部、102,112 板部、103,103a,103b ローラ、114 流動部、115 流通孔、116 供給部、200,210 外型、201 ラッピングテープ、211 第1外型、212 第2外型、213,214 凹部、215 排気孔、216 排気部、300 試験片、301 保持部、302 ロッド、303 ウレタンゴム、304 セグメント。

Claims (11)

  1. 軸を中心として巻回されているように積層されており、かつ軸方向から視て環状に形成されている繊維強化樹脂層を備える繊維強化部材であって、
    前記繊維強化樹脂層は、樹脂に覆われた複数の繊維線を含み、
    前記複数の繊維線は、前記軸を中心とする周方向に延在している第1繊維線と、前記繊維強化樹脂層を径方向から視たときに前記第1繊維線と交差する方向に沿って延在している第2繊維線とを有し、
    前記繊維強化樹脂層の前記軸方向の両端面は、前記繊維強化部材の前記軸方向の両端面のみに含まれている、繊維強化部材。
  2. 前記繊維強化樹脂層の前記径方向の幅に対する前記繊維強化樹脂層の前記軸方向の幅の比率が、30以上2700以下である、請求項1に記載の繊維強化部材。
  3. 前記繊維強化樹脂層における前記複数の繊維線の体積含有率が60%以上75%未満である、請求項1または2に記載の繊維強化部材。
  4. 前記複数の繊維線は、トウが開繊されて成る開繊繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化部材。
  5. 前記繊維強化樹脂層は、前記開繊繊維を含むテープ状部材が、前記軸に対する径方向から視て前記軸に対し88度以上92度以下の角度を成すように前記軸を中心として巻回されて成るものである、請求項4に記載の繊維強化部材。
  6. 第1繊維線と前記第1繊維線と交差する方向に沿って延在している第2繊維線とを含むテープ状部材を準備する工程と、
    外周面が軸方向に沿って延びる筒状部と、前記筒状部の前記軸方向の両端に接続されており、かつ前記筒状部の前記外周面に対して径方向に沿って突出の幅が広い板部とを含む内型の前記外周面上に前記テープ状部材を巻回する工程と、
    前記外周面上に巻回された前記テープ状部材を覆うように外型を配置して、前記テープ状部材を前記内型と前記外型との間に収容する工程と、
    前記内型と前記外型との間に収容された前記テープ状部材を熱硬化させる工程とを備え、
    前記テープ状部材を巻回する工程では、前記テープ状部材の延在方向に垂直な方向の両端面が前記外周面上に巻回された前記テープ状部材の前記軸方向の両端面のみに含まれるように巻回される、繊維強化部材の製造方法。
  7. トウを準備する工程をさらに備え、
    前記テープ状部材を準備する工程では、前記テープ状部材の幅の寸法が厚みの寸法の30倍以上2700倍以下となるように、前記トウが開繊される、請求項6に記載の繊維強化部材の製造方法。
  8. 前記テープ状部材を巻回する工程では、少なくとも1つの押圧部材を用いて前記テープ状部材を前記内型に押圧させながら、前記テープ状部材を巻回する、請求項6または7に記載の繊維強化部材の製造方法。
  9. 前記テープ状部材を前記内型と前記外型との間に収容する工程の後に、前記テープ状部材に樹脂を含浸させる工程をさらに備え、
    前記テープ状部材を熱硬化させる工程において、前記テープ状部材を構成する材料は樹脂を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の繊維強化部材の製造方法。
  10. 前記テープ状部材を準備する工程において、前記テープ状部材を構成する材料は樹脂を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の繊維強化部材の製造方法。
  11. 前記テープ状部材を前記内型と前記外型との間に収容する工程において、前記外型は、前記外周面上に巻回された前記テープ状部材と、前記板部において少なくとも前記筒状部側に位置する一部とを覆うようにラッピングテープが巻回されることにより形成される、請求項10に記載の繊維強化部材の製造方法。
JP2017175047A 2017-09-12 2017-09-12 繊維強化部材の製造方法 Active JP6789902B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017175047A JP6789902B2 (ja) 2017-09-12 2017-09-12 繊維強化部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017175047A JP6789902B2 (ja) 2017-09-12 2017-09-12 繊維強化部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019051594A true JP2019051594A (ja) 2019-04-04
JP6789902B2 JP6789902B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=66013860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017175047A Active JP6789902B2 (ja) 2017-09-12 2017-09-12 繊維強化部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6789902B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112628324A (zh) * 2019-10-08 2021-04-09 霍尼韦尔国际公司 用于盘式制动器的复合材料纤维预制件
WO2024116983A1 (ja) * 2022-11-29 2024-06-06 東レ株式会社 回転電機保護リング、その製造方法、回転電機および電動モビリティ機器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112628324A (zh) * 2019-10-08 2021-04-09 霍尼韦尔国际公司 用于盘式制动器的复合材料纤维预制件
WO2024116983A1 (ja) * 2022-11-29 2024-06-06 東レ株式会社 回転電機保護リング、その製造方法、回転電機および電動モビリティ機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP6789902B2 (ja) 2020-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10730246B2 (en) Fiber-reinforced member and method for manufacturing same
KR101829127B1 (ko) 탱크의 제조 방법
US20070014980A1 (en) Composite flywheel rim having commingled layers with macroscopically uniform patterns of fiber arrangement and methods for manufacturing same
KR20100042247A (ko) 복합 로프 구조물, 및 복합 로프 구조물을 제조하기 위한 시스템 및 방법
JP6077489B2 (ja) 圧力容器及びフィラメントワインディング方法
JP2014506546A5 (ja)
WO2018092880A1 (ja) 光ファイバケーブルおよび光ファイバケーブルの製造方法
KR20160023836A (ko) 스트립 형상 스틸 코드
JP2009237341A (ja) 光ファイバケーブル及びその製造方法
US4993651A (en) Yarn winding apparatus
JP3732953B2 (ja) 樹脂強化繊維の引抜成形法および引抜成形機
JP2019051594A (ja) 繊維強化部材およびその製造方法
JP5808598B2 (ja) 木製部材の接合部構造
US20110281044A1 (en) Composite structures with unidirectional fibers
JP2019026960A (ja) 無機系繊維の製造方法
US20070193246A1 (en) Cabled Carbon-Fibre Thread
JP2013088641A (ja) 光ファイバケーブル
JP2015085641A5 (ja)
JP2006249635A (ja) スチールコード、スチールコードの製造方法及びこの方法に用いる撚線機
JP2018098144A (ja) 電線の製造方法
JP2004121402A (ja) ゴルフクラブシャフト
JP5267035B2 (ja) 長繊維強化樹脂ペレットの製造方法
JP6266293B2 (ja) 圧力容器及びその製造方法
JP2019073839A (ja) 損傷検知機能付繊維強化プラスチック線条体
JP2003300256A (ja) Frpスプリングおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180807

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20180809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180809

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201009

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6789902

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250