JP2019050908A - 四足歩行動物分娩判断システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 四足歩行動物の分娩領域を感知領域とするように設置され上記四足歩行動物の動作に伴う振動を検出する床センサと、上記床センサから検出される信号に基づいて上記四足歩行動物の分娩が間近であるか否かを判断する分娩判断装置と、を具備し、上記分娩判断装置は少なくとも横臥・いきみ時振動特徴情報を予め記憶しているともに上記床センサにより検出される信号を解析する解析手段を備えていて、上記解析手段による解析の結果検出された振動が上記横臥・いきみ時振動特徴を備えているか否かを判別するもの。
【選択図】 図1
Description
まず、特許文献1に記載された分娩兆候検知方法および分娩兆候検知システムは、センサモジュールを動物の分娩の際の破水排出経路、すなわち、膣内に留置し、分娩時に上記センサモジュールが上記動物の体外に排出されたことを検知することにより分娩を検知するものである。
上記生体情報検知用床センサは、人が日常行動を行う室の床に設置され、上記床面板上で人の活動を検出できるとされている。
すなわち、特許文献1に記載された分娩兆候検知方法および分娩兆候検知システムでは、センサモジュールを動物の膣内に設置するため、上記動物に掛かる負担が大きくなってしまうという問題があった。
また、特許文献2に記載された分娩通知システムの場合も、繁殖牛に子機を取り付けるため、同様に、上記繁殖牛に掛かる負担が大きくなってしまうという問題があった。
このような問題に対しては、特許文献3に記載されている人を対象とした生体情報検知用床センサを用いることも考えられる。しかしながら、特許文献3はあくまで人の生体情報が取得できる可能性を示唆しただけであり、実際にどのような生体情報を取得できたかを示す具体的なデータ等の記載はない。当然のことながら、そのような生体情報検知用床センサを四足歩行動物の分娩間近の判断に利用することについては記載もなければ示唆もない。
なお、本件特許出願人は、四足歩行動物の起立から分娩までの挙動を実際にビデオカメラで撮影し、それを床センサからの信号と対比させる実験を繰り返し行った。その結果、分娩に至るまでの間、起立時における起立・静止時振動と起立・移動時振動、分娩に向かう際の体位変更(起立〜横臥)時振動、横臥が完了して安静にしているときの横臥・呼吸時振動、分娩兆候を示しいきみを生じてきた頃の横臥・いきみ時振動と、それぞれ異なる特徴を持った振動が経時的に観測されることを確認するに至った。本願発明はそれら特徴的な振動情報を利用して四足歩行動物の分娩が間近であるか否かを判断するべくなされたものである。
又、請求項2による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項1記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記四足歩行動物の分娩が間近であると判断した場合にこれを報知するものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項1又は請求項2記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は、横臥・いきみ時振動が所定回数連続して確認された場合又は予め決められた期間内に所定回数の横臥・いきみ時振動が確認された場合に分娩が間近である、と判断するものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号に周波数解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報は周波数解析時のものであることを特徴とするものである。
又、請求項5による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号にクロス点解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報はクロス点解析時のものであることを特徴とするものである。
又、請求項6による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項4又は請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記床センサにより検出される信号に基づいて最初に起立/横臥の判断を行なうものであることを特徴とするものである。
又、請求項7による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項6記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は起立時振動特徴情報を予め記憶していて、上記床センサにより検出される信号をサンプリングし、そのサンプリングされた信号が上記起立時振動特徴を備えているか否かによって起立/横臥の判断を行なうことを特徴とするものである。
又、請求項8による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項4記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は周波数解析の結果、予め設定された低周波数帯域の振動強度が高く、予め設定された高周波数帯域の振動強度が低い、ことをもって横臥・いきみ時振動であると判断することを特徴とするものである。
又、請求項9による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記クロス点解析により得られたクロス点間隔が予め設定された短期クロス点間隔〜長期クロス点間隔の範囲で長期クロス点間隔側に集中していることをもって横臥・いきみ時振動であると判断することを特徴とするものである。
又、請求項10による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項1〜請求項9の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記床センサは、床側板材と、反床側板材と、上記床側板材と上記反床側板材の間に介挿されその内部に気体を封入されたチューブと、上記チューブ内と気密連通された圧力センサ素子と、を少なくとも有してなることを特徴とするものである。
また、請求項11による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項10記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記チューブ相互間にはスペーサが設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項2による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項1記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記四足歩行動物の分娩が間近であると判断した場合にこれを報知するように構成されているので、上記四足歩行動物は分娩の際速やかに作業員の介助を受けることができ、より安全な分娩を実現することができる。
又、請求項3による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項1又は請求項2記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は、横臥・いきみ時振動が所定回数連続して確認された場合又は予め決められた期間内に所定回数の横臥・いきみ時振動が確認された場合に分娩が間近である、と判断するものであるため、分娩間近であることを確実に且つ精度良く判断することができる。
又、請求項4による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号に周波数解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報は周波数解析時のものである構成になっているため、横臥・いきみ時振動特徴をより際立たせることができ、分娩間近であることを確実に且つ精度良く判断できる。
又、請求項5による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号にクロス点解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報はクロス点解析時のものである構成になっているため、この場合にも横臥・いきみ時振動特徴をより際立たせることができ、分娩間近であることを確実に且つ精度良く判断できる。
又、請求項6による四足歩行動物分娩判断システムは、請求項4又は請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は上記床センサにより検出される信号に基づいて最初に起立/横臥の判断を行なうものであるため、横臥・いきみ時振動の判断精度を高めることができる。
又、請求項7による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項6記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は起立時振動特徴情報を予め記憶していて、上記床センサにより検出される信号をサンプリングし、そのサンプリングされた信号が上記起立時振動特徴を備えているか否かによって起立/横臥の判断を行なうため、起立/横臥の判断の精度を高めることができる。
又、請求項8による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項4記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記分娩判断装置は周波数解析の結果、予め設定された低周波数帯域の振動強度が高く、予め設定された高周波数帯域の振動強度が低い、ことをもって横臥・いきみ時振動であると判断するため、横臥・いきみ時振動ひいては分娩間近の判断の精度を高めることができる。
又、請求項9による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、クロス点間隔が予め設定された短期クロス点間隔〜長期クロス点間隔の範囲で長期クロス点間隔側に集中していることをもって横臥・いきみ時振動であると判断するため、横臥・いきみ時振動ひいては分娩間近の判断の精度を高めることができる。
又、請求項10による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項1〜請求項9の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記床センサは、床側板材と、反床側板材と、上記床側板材と上記反床側板材の間に介挿されその内部に気体を封入されたチューブと、上記チューブ内と気密連通された圧力センサ素子と、を少なくとも有してなるため、簡易な構成により確実に分娩を判別できる。
また、請求項11による四足歩行動物分娩判断システムによると、請求項10記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、上記チューブ相互間にはスペーサが設置されているので、シリコンチューブの間隔を変えて密度を適宜調整することができ、様々な四足歩行動物が乗ってもシリコンチューブの内径が完全に潰れることがない床センサを提供することができる。
本実施の形態による四足歩行動物分娩判断システム1は、床センサ3と、この床センサ3を介して検出された信号を解析し、その解析の結果検出された振動が横臥・いきみ時振動に該当するか否か、牛5の分娩が間近であるか否か、を判断する分娩判断装置7と、から構成されている。上記分娩判断装置7は、その判断結果を遠隔・配置されたパーソナルコンピュータ9、作業員11が携帯しているスマートフォン13に報知する。
上記四足歩行動物分娩判断システム1には撮像装置15も併設されている。
尚、撮像装置15の併設は必ずしも必要ではない。
以下、各部の構成を順次詳細に説明する。
また、上記ゴム製カバ21内の上記シリコンチューブ33相互間には複数のスペーサ35が設置されている。上記スペーサ35は上記シリコンチューブ33と同様のチューブを所定の長さに切断し、内部に気体(例えば、空気)を封入して両端を閉塞したものである。これらスペーサ35によりシリコンチューブ33の間隔を変えて密度を調整し、上記牛5が乗っても上記シリコンチューブ33の内径が完全に潰れないようにしている。
また、上記床センサ3には床板37がある。上記床板37は、3つの上記ゴム製カバ21の上に跨って設置されている。この床板37の上にはさらに藁39が敷かれている。上記牛5はこの藁39を介して上記床センサ3の上に乗っており、上記牛5の様々な動作によって上記シリコンチューブ33内の空気圧が変化する。
なお、以下に説明する実施例では、何れも、2.5Vが出力電圧の波形振幅の中央値になるように設定している。
まず、床センサ3を牛5の飼育小屋2の分娩領域に設置し、上記床センサ3の上に藁39を敷き詰め、そこに上記牛5を乗せる。この状態で分娩判断装置7を動作させる。上記分娩判断装置7は、上記床センサ3の出力信号に基づいて、上記牛5の分娩が間近であるか否かを判断する。以下、上記床センサ3の出力信号と上記牛5の状態の相関関係について説明する。
以下、後述する図7(b)、図8(b)も同様である。
なお、これら出力データは後述する第1の実施例の実データである。
図6(b)に示すように、上記牛5が起立・静止している場合には振動が殆ど発生しない平坦な信号が得られ、起立・移動している場合には大きな振幅の信号が得られる。
なお、既に説明した分娩判断装置7のメモリ53の振動情報71の起立時振動特徴情報73には、上記起立・静止時の振動特徴情報が記憶されている。
なお、既に説明した分娩判断装置7のメモリ53の振動情報71の横臥・いきみ時振動特徴情報77には、上記横臥・いきみ時の振動特徴情報を周波数解析した情報が記憶されている。
上記ステップS11において、床センサ3からの出力をサンプリングし、出力データ59としてメモリ53に蓄積する。上記出力データ59には、過去80秒分のデータが蓄積され、一秒ごとに更新されていく。次にステップS12に移行する。
上記ステップS12では、5秒前から検知時までの出力データ59について、起立時振動特徴情報73に基づいて判断が行われる。すなわち、上記5秒前からの検知時までの出力データ59について2.0V以上3.0V以下のデータが80%未満であるか否かが判断される。2.0V以上3.0V以下のデータが80%未満であれば、次のステップS13に移行する。
なお、上記起立時振動特徴情報73には、上記ステップS12、S13において使用されている条件、それらの条件で使用されている閾値、等が記憶されている。
また、上記ステップS12で、過去5秒間のデータ59において2.0V以上3.0V以下のデータが80%未満ではないと判断された場合や、上記ステップS13で過去5秒間の出力データ59について極大値と極小値が2個以上ではないと判断された場合は、ステップS15に移行する。
その後、ステップS11からの処理が繰り返される。
次に、ステップS25に移行して、1.5Hzから2.0Hzまで(B帯域)の強度のうちで最も大きい強度、すなわち、B帯域最大振幅強度(Bmax)を算出する。
なお、上記A帯域が所定の低周波数帯域であり、上記B帯域が所定の高周波数帯域である。
なお、上記判断サイクルであるが、上記ステップS28又はS31で最初に「1」がカウントされた時の20秒のデータを含めて連続12個分のデータ(20秒×12=240秒分のデータ)を処理する判断サイクルを意味している。
上記ステップS37では、判断サイクルを終了し、上記ステップS21に戻り、上記カウント数Lや上記カウント数Sをリセットして、上記処理を繰り返す。判断サイクルは、上記ステップS28又は上記ステップS31でカウントがされない限り、再び開始されることはない。
まず、図12に示す表は、牛の状態と、4分毎の時刻と、4分間に検知された横臥・いきみ時小振動の回数(S)と、横臥・いきみ時大振動の回数(L)と、分娩間近の検知/報知の有無と、を示すものである。
因みに、上記4分毎の時刻と上記判断サイクルの開始時刻は一致するとは限らない。
この図12の表によると、8時44分に明らかな陣痛(分娩時の子宮収縮のことで、胎子を娩出させるためのいきみ行動が続いたり多くなる状態)が認められ、実際にカウント数L又はカウント数Sのカウントが連続し、且つ、カウント数Lとカウント数Sの合計が「7」となり、検知/報知有り(「1」)となっている。
そして、四足歩行動物分娩判断システム1による分娩間近の検知・報知がされてから26分後の9時10分に上記牛5の実際の分娩が行われている。
また、図13(b)の上側には体位変更時の床センサ3の出力信号の波形が示され、図13(b)の下側には体位変更時の床センサ3の出力信号の周波数毎の強度の分布が示されている。
また、図13(c)の上側には横臥・呼吸時の床センサ3の出力信号の波形が示され、図13(c)の下側には横臥・呼吸時の床センサ3の出力信号の周波数毎の強度の分布が示されている。
さらに、図13(d)の上側には横臥・いきみ時の床センサ3の出力信号の波形が示され、図13(d)の下側には横臥・いきみ時の床センサ3の出力信号の周波数毎の強度の分布が示されている。
尚、前述した横臥・いきみ時振動特徴情報77には図13(d)の分布図の特徴が情報として記憶されている。すなわち、横臥・いきみ時(図13(d)に示す)には、その他、すなわち、起立・移動時(図13(a))、体位変更時(図13(b))、横臥・呼吸時(図13(c))と比べて、A帯域とB帯域に顕著な特徴、すなわち、図11に示したA帯域、B帯域に関する各種閾値が記憶されている。
まず、牛5に負担を掛けることなく、分娩が間近であるか否かを判断することができる。これは牛5の分娩領域の略全域を感知領域とするように床センサ3を設置し、上記牛5の動作に伴う振動を検出するようにしたからであり、床センサ3からの信号と予め記憶されている横臥・いきみ時振動特徴情報77に基づいて、横臥・いきみ時振動の有無、さらには、牛5の分娩が間近であるか否か、を判断するようにしたからである。
なお、横臥・いきみ時振動は、下腹部に力を入れる動物特有の大きな動きを規則的・周期的にゆっくりと行うことに起因している。一方、起立・移動時振動や体位変更時振動では規則性・周期性が無いため、いろいろな周波数の振幅が混在している。また、横臥・呼吸時振動は周期的な小さな呼吸の動きに起因しており、これらの特徴的な振動類型により分娩が間近であるか否かの判断が可能になる。
また、周波数解析を採用することにより横臥・いきみ時振動の特徴を際立たせることができ、それによって、横臥・いきみ時振動の有無及び分娩間近の判断の精度を高めることができる。
また、牛5の分娩が間近であると判断した場合には、パーソナルコンピュータ9、スマートフォン13に報知するようにしているので、牛5の分娩が間近であることを作業員11に迅速に知らせて適切な処置を早期にとらせることができる。
また、上記分娩判断装置7は、横臥・いきみ時振動が所定回数(7回)連続して確認された場合、又は予め決められた期間内に所定回数(10回)の横臥・いきみ時振動が確認された場合に、牛5の分娩が間近であると判断するようにしているので、判断の精度も高い。
また、起立/横臥判断プログラム61により予め起立/横臥の判断を行っているので、横臥・いきみ時振動を的確に判断する精度が高まり、それによって、分娩間近の判断の精度を高めることができる。
また、上記床センサ3は、床側ゴム板7と、ポリカーボネート板13と、上記床側ゴム板7と上記ポリカーボネート板13の間に介挿されその内部に気体を封入されたシリコンチューブ33と、焦電センサモジュール41と、から構成されているため、簡易な構成により確実に分娩間近を判断することができる。
また、シリコンチューブ33相互間にはスペーサ35が設置されていて、シリコンチューブ33の間隔を変えて密度を調整するようにしているので、上記牛5が乗っても上記シリコンチューブ33の内径が完全に潰れるようなことはない。
また、上記床センサ3はシリコンチューブ33等がゴム製カバ21内に収容された構成となっているので、上記牛5の糞や尿、分娩時の体液によって汚染されても清掃等を行い易い。
前記第1の実施の形態の場合には、最初に、起立/横臥の判断を行い、横臥の場合に周波数解析を施して分娩間近の判断を行なうようにしたが、この第2の実施の形態では、起立/横臥の判断を行うことなくクロス点解析を施して分娩間近の判断を行なうようにしている。以下詳細に説明する。
なお、上記第1基準電圧と上記第2基準電圧を、出力電圧の振幅の略中心点である2.5Vあたりではなく、振幅の振れた側の1.0Vと4.0Vのあたりに設定することにより、牛5の横臥・いきみ時振動のような振幅の大きい信号を確実に検出することができる。
図16(a)に牛5が体位変更して起立から横臥となったときの上記床センサ3からの出力を示す。この場合のクロス点間隔の分布を図16(b)に示す。この場合も、0.4秒〜3秒以上まで、広い範囲でクロス点間隔が測定されている。
図17(a)に牛5が横臥していて通常呼吸している場合の上記床センサ3からの出力を示す。この場合のクロス点間隔の分布を図17(b)に示す。この場合は、クロス点はなくクロス点間隔もない。
図18(a)に牛5が横臥していていきみ状態の場合の上記床センサ3からの出力を示す。この場合のクロス点間隔の分布を図18(b)に示す。この場合は、3秒以上のクロス点間隔が多く測定されている。
このように、横臥・いきみ時における上記クロス点間隔の分布は図18(b)に示すような特徴的なものとなる。すなわち、3秒以上のクロス点間隔が非常に多く、その他の範囲のものは殆どない状態となっている。
なお、この実施の形態では、クロス点間隔時間を0〜3秒以上の範囲で測定したが、0〜7秒以下、といったような範囲で測定して判断することも考えられ、その範囲は様々である。
このフローチャートによる処理では、条件を満たした時点から開始される判断サイクル毎に分娩判断を行う。上記判断サイクルは、床センサ3の出力を20秒間サンプリングした出力データ59についての判断を6回(2分間)行うことで構成されている。
まず、ステップS41において、カウントをリセットする。次に、ステップS42に移行して、床センサ3からの出力をサンプリングし、出力データ59としてメモリ53に蓄積する。例えば、サンプリング周波数は100Hzであり、サンプリング数は2000個、サンプリング時間は20秒である。
上記判断サイクルとは、上記ステップS47において最初に「1」をカウントした時の20秒のデータを含めて連続6個分のデータ(20秒×6=120秒分のデータ)を処理するサイクルを意味している。
上記ステップS47の処理を終えた場合や、上記ステップS46において、上記長期クロス点間隔数が「4」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上であると判断されなかった場合は、ステップS48に移行する。
なお、上記ステップS46において、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものを求める際、上記短期クロス点間隔数が「0」である場合は、上記短期クロス点間隔数が「0.01」であると仮定して計算を行う。このような処理を行うことで、「0」で割り算を行ってしまうことを回避するとともに、上記短期クロス点間隔数がなく、上記長期クロス点間隔数のみという、上記牛5がいきんでいる状態での特徴が検出され易くなる。
図20(a)に牛が起立・静止/起立・移動している状態での床センサ3の出力のグラフを示す。図20(b)の表には、図20(a)のグラフから算出された長期クロス点間隔数(LC)、短期クロス点間隔数(SC)、長期クロス点間隔数(LC)と短期クロス点間隔数(SC)の比(LC/SC)と、検知・報知の有無と、がサンプリング期間(20秒)毎に示されている。
この場合は、上記長期クロス点間隔数が「4」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上の場合はない。
この場合も、上記長期クロス点間隔数が「4」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上の場合はない。
この場合も、上記長期クロス点間隔数が「4」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上の場合はない。
この場合は、上記長期クロス点間隔数が「4」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上となるサンプリング期間が「3回」連続しており、その結果、検知/報知有り(「1」)となっている。
そして、実際にその後5時27分に分娩が行われ、分娩間近である検知が可能であることが確認された。
また、クロス点解析を採用することによっても横臥・いきみ時振動の特徴を際立たせることができ、それによって、横臥・いきみ時振動か否かを確実に判断することが可能となる。
また、クロス点解析に際して、第1基準電圧として低い電圧を設定し、第2基準電圧として高い電圧を設定しているので、牛5の横臥・いきみ時振動の場合の振幅の大きい信号を確実に検出することができる。仮に、中央付近に基準電圧を設定すると、いきむ時に細かい動きが入る場合もあるため、うまく判断できないおそれがある。
また、いきむ時は、場合によって高い(低い)基準電圧側だけに長期クロス点間隔が出現したり、低い(高い)基準電圧側に短期クロス点間隔が出現したりする場合もあるが、本実施の形態では、両基準電圧におけるクロス点間隔の合計を算出しているので、横臥・いきみ時振動か否かを確実に判断することが可能となる。
なお、その他の構成は前記第2の実施の形態の場合と同じである。
このフローチャートによる処理では、条件を満たした時点から開始される判断サイクル毎に分娩判断を行う。また、上記判断サイクルは、床センサ3の出力をサンプリングした出力データ59についての判断を「6回分」(2分間)行うことで構成されている。
まず、ステップS61において、カウントをリセットする。次に、ステップS62に移行して、焦電センサモジュール41の出力をサンプリングし、出力データ59としてメモリ53に蓄積する。例えば、サンプリング周波数は100Hzであり、サンプリング数は6000点、サンプリング時間は60秒である。また、このサンプリングデータは20秒ずつずらして記憶されていく。
上記ステップS67の処理を終えた場合や、上記ステップS66において、上記長期クロス点間隔数が「10」以上、且つ、上記長期クロス点間隔数と上記短期クロス点間隔数を割ったものが「1」以上であると判断されなかった場合は、ステップS68に移行する。
上記ステップS69では、分娩間近を検知したと判断し、出力回路39を介して上記作業員11が使用するパーソナルコンピュータ9やスマートフォン13に対して、分娩間近を検知したことを報知する。
ステップS71では、分娩間近を検知したと判断し、出力回路39を介して上記作業員11が使用するパーソナルコンピュータ9やスマートフォン13に対して分娩間近を検知したことを報知する。上記ステップS70において、上記カウント数が「4」になったと判断されない場合は、ステップS72に移行する。
なお、その他の構成は前記第1乃至第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
まず、前記第1乃至第4の実施の形態においては、対象となる四足歩行動物として牛を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、馬、豚、羊、山羊等の家畜や、トラ、ライオン等の動物園等で飼育される四足歩行動物等、様々なものが考えられる。
また、対象となる四足歩行動物の種類が変わった場合には、床センサのシリコンチューブ及びスペーサの密度(間隔等)を、耐荷重特性や、使用する圧力センサ素子の特性と勘案して変更することになる。この場合、特に、対象となる四足歩行動物が乗った時にシリコンチューブの内径が完全につぶれないようにするのが肝要で、それは専ら、動物の体重によって、チューブ及びスペーサの密度(間隔等)を変更することによって適用可能となる。
また、四足歩行動物の種類によって、横臥・いきみ時振動であると判断する際の条件も適宜変更され、本発明は、上記各実施の形態で説明したフローチャートに示したアルゴリズムやその際の閾値に限られるものではない。
また、前記第1乃至第4の実施の形態の場合には、上記床センサのゴム製カバの数は3個としたが、それに限定されるものではなく、例えば、1つのゴム製カバ内に全てのシリコンチューブ等が収容された構成でも良く、逆に、4個以上のゴム製カバを使用する場合も想定される。
又、前記第1乃至第4の実施の形態の場合には、予め記憶しておく振動情報として、起立時振動特徴情報、横臥・いきみ時振動特徴情報の二つを例に挙げて説明したが、それ以外にも、体位変更時振動特徴情報、横臥・呼吸時振動特徴情報、等、別の振動情報を記憶し、それらを利用してより細かな監視を行うようにしても良い。
その他、各部の構成は、図示したものに限定されず、様々な変更か考えられる。
3 床センサ
5 牛(四足歩行動物)
7 分娩判断装置
23 床側ゴム板(床側板材)
31 ポリカーボネート板(反床側板材)
33 シリコンチューブ
35 スペーサ
45 焦電センサ素子(圧力センサ素子)
73 起立時振動特徴情報
77 横臥・いきみ時振動特徴情報
Claims (11)
- 四足歩行動物の分娩領域を感知領域とするように設置され上記四足歩行動物の動作に伴う振動を検出する床センサと、
上記床センサから検出される信号に基づいて上記四足歩行動物の分娩が間近であるか否かを判断する分娩判断装置と、
を具備し、
上記分娩判断装置は少なくとも横臥・いきみ時振動特徴情報を予め記憶しているともに上記床センサにより検出される信号を解析する解析手段を備えていて、
上記解析手段による解析の結果検出された振動が上記横臥・いきみ時振動特徴を備えているか否かを判断するものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項1記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は上記四足歩行動物の分娩が間近であると判断した場合にこれを報知するものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項1又は請求項2記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は、横臥・いきみ時振動が所定回数連続して確認された場合又は予め決められた期間内に所定回数の横臥・いきみ時振動が確認された場合に分娩が間近である、と判断するものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号に周波数解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報は周波数解析時のものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は上記解析手段によって上記床センサにより検出される信号にクロス点解析を施すものであり、且つ、上記横臥・いきみ時振動特徴情報はクロス点解析時のものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項4又は請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は上記床センサにより検出される信号に基づいて最初に起立/横臥の判断を行なうものであることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項6記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は起立時振動特徴情報を予め記憶していて、上記床センサにより検出される信号をサンプリングし、そのサンプリングされた信号が上記起立時振動特徴を備えているか否かによって起立/横臥の判断を行なうことを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項4記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記分娩判断装置は周波数解析の結果、予め設定された低周波数帯域の振動強度が高く、予め設定された高周波数帯域の振動強度が低い、ことをもって横臥・いきみ時振動であると判断することを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項5記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記クロス点解析により得られたクロス点間隔が予め設定された短期クロス点間隔〜長期クロス点間隔の範囲で長期クロス点間隔側に集中していることをもって横臥・いきみ時振動であると判断することを特徴とする四足歩行動物分娩システム。 - 請求項1〜請求項9の何れかに記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記床センサは、床側板材と、反床側板材と、上記床側板材と上記反床側板材の間に介挿されその内部に気体を封入されたチューブと、上記チューブ内と気密連通された圧力センサ素子と、を少なくとも有してなることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。 - 請求項10記載の四足歩行動物分娩判断システムにおいて、
上記チューブ相互間にはスペーサが設置されていることを特徴とする四足歩行動物分娩判断システム。
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