JP2019045401A - 部分放電診断装置および部分放電診断方法 - Google Patents

部分放電診断装置および部分放電診断方法 Download PDF

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浩輔 藤田
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Abstract

【課題】ノイズセンサを省略した装置構成でも部分放電成分とノイズ成分を識別可能にして、簡素な装置構成で信頼性の高い部分放電診断装置を提供する。【解決手段】交流電源200の電圧が印加される部分放電の診断対象設備100の接地線に流れる電流を計測する電流センサ310と、電流センサ310により計測された電流を解析して部分放電を検知する解析装置320を備え、解析装置320は、前記計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集し、前記収集された時系列電流波形データの周波数分布を求め、前記求められた診断対象の周波数分布が、予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、部分放電診断技術に関するものである。
変圧器や回転機などの高電圧の電力機器には、その絶縁性を高めるために様々な絶縁材料が用いられている。これらの絶縁材料は徐々に劣化して絶縁破壊に至るが、その主な原因が部分放電である。
一般に部分放電は絶縁体内の空隙に一定以上の電圧が掛かったタイミングで放電するため、交流電源電圧に同期して所定の位相領域で、1回あたり10〜数百nsの持続時間で1回または複数回のパルス的電流が発生する。部分放電が継続的に繰り返し発生すると、絶縁材料を侵食し、やがては絶縁破壊に至る。そこで、電力機器の突然の故障を防いで安心して使用するためには、部分放電を診断して絶縁劣化の初期的な段階を検知する必要がある。
部分放電時には電磁波、異常電流等が発生するので、電磁波センサ、電流センサ等を利用して計測を行い検知することができる。
しかしながら、電磁波センサ、電流センサ等を使用して計測した波形には、ノイズが混入して部分放電成分の検知を妨げる。ノイズと部分放電を識別して部分放電検知の精度を高める技術として、例えば特許文献1に記載の絶縁診断装置が提案されている。
特許文献1における図6の部分放電検出アルゴリズムには、次のようにして部分放電の有無を判定することが記載されている。すなわち、まず部分放電センサとノイズセンサにより取得したデータについて、少なくとも2サイクル分のデータをとり、1秒ごとにN個のデータを取得することにより、商用周波に同期したデータを取得する。そしてN個のデータを平均化して、又は代表データを取り出して同期ノイズを除去し、部分放電信号とノイズ信号とを差動演算して非同期ノイズを除去する。さらに、差動演算したデータから、周期的ピーク点と1/4サイクル点を算出し、周期的ピーク点と1/4サイクル点のデータを比較することにより、部分放電の有無を判定する。
特開2001−249156号公報
特許文献1に係る部分放電診断装置では、部分放電センサとノイズセンサの2種類のセンサが必要となるため、装置構成のコストがかさんでしまう。
さらに、ノイズ成分を差分演算処理によって除去するためには、部分放電センサとノイズセンサのそれぞれを介して得られる波形データに含まれるノイズ成分が同一のものでなければならない。両センサ間のノイズ成分信号に差異があった場合、差分をとることによって、ノイズ成分の誤差が増幅されて残ってしまう。そのため、部分放電に起因する信号が、この誤差により検出できなくなる可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、ノイズセンサを省略した装置構成でも部分放電成分とノイズ成分を識別可能にして、簡素な装置構成で信頼性の高い部分放電診断装置、方法を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載の部分放電診断装置は、
交流電源電圧が印加される部分放電診断対象設備に流れる電流を計測する電流計測部と、
前記電流計測部により計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集する時系列電流波形データ収集部と、
前記時系列電流波形データ収集部により収集された時系列電流波形データの周波数分布を求める周波数分布演算部と、
前記周波数分布演算部により求められた周波数分布が予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する部分放電発生判定部と、
を備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の部分放電診断装置は、請求項1において、
前記電流計測部は、前記部分放電診断対象設備の接地線に流れる電流を計測し、
前記周波数分布演算部は、設定したデータ収集期間における前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換して診断対象の振幅スペクトルを算出することで、前記周波数分布を求め、
前記部分放電発生判定部における正常時の周波数分布の範囲は、部分放電が発生していない正常時に前記時系列電流波形データ収集部によって、前記データ収集期間と同一期間で収集した時系列電流波形データを周波数領域へ変換した正常時の振幅スペクトルの範囲に設定され、
前記部分放電発生判定部は、前記診断対象の振幅スペクトルが前記正常時の振幅スペクトルの範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する
ことを特徴としている。
請求項3に記載の部分放電診断装置は、請求項2において、
前記正常時の振幅スペクトルの範囲は、部分放電が発生していない正常時に前記振幅スペクトルを複数回算出し、その平均値と標準偏差から設定することを特徴としている。
請求項4に記載の部分放電診断装置は、請求項2又は3において、
前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換する手段は、フーリエ変換であることを特徴としている。
請求項5に記載の部分放電診断装置は、請求項2ないし4のいずれか1項において、
前記振幅スペクトルを算出する際のデータ収集期間は、前記交流電源電圧の極性が反転する所定期間に設定されていることを特徴としている。
請求項6に記載の部分放電診断方法は、
電流計測部が、交流電源電圧が印加される部分放電診断対象設備に流れる電流を計測する電流計測ステップと、
時系列電流波形データ収集部が、前記電流計測部により計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集する時系列電流波形データ収集ステップと、
周波数分布演算部が、前記時系列電流波形データ収集部により収集された時系列電流波形データの周波数分布を求める周波数分布演算ステップと、
部分放電発生判定部が、前記周波数分布演算部により求められた周波数分布が、予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する部分放電発生判定ステップと、
を備えたことを特徴としている。
請求項7に記載の部分放電診断方法は、請求項6において、
前記電流計測ステップは、前記部分放電診断対象設備の接地線に流れる電流を計測し、
前記周波数分布演算ステップは、設定したデータ収集期間における前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換して診断対象の振幅スペクトルを算出することで、前記周波数分布を求め、
前記周波数分布演算部が、部分放電が発生していない正常時に、前記時系列電流波形データ収集部によって前記データ収集期間と同一期間で収集した時系列電流波形データを周波数領域へ変換し、正常時の振幅スペクトルの範囲を算出して設定する正常時振幅スペクトル範囲設定ステップ、を備え、
前記部分放電発生判定ステップは、前記診断対象の振幅スペクトルが前記設定された正常時の振幅スペクトルの範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する
ことを特徴としている。
請求項8に記載の部分放電診断方法は、請求項7において、
前記正常時振幅スペクトル範囲設定ステップは、部分放電が発生していない正常時に前記振幅スペクトルを複数回収集し、その平均値と標準偏差から設定することを特徴としている。
請求項9に記載の部分放電診断方法は、請求項7又は8において、
前記周波数分布演算ステップおよび正常時振幅スペクトル範囲設定ステップにおける周波数領域への変換は、ともにフーリエ変換により行われることを特徴としている。
請求項10に記載の部分放電診断方法は、請求項7ないし9のいずれか1項において、
前記振幅スペクトルを算出する際のデータ収集期間は、前記交流電源電圧の極性が反転する所定期間に設定されていることを特徴としている。
(1)請求項1〜10に記載の発明によれば、ノイズセンサを用いることなく部分放電成分とノイズ成分の識別が可能となり、簡素な装置構成で信頼性の高い部分放電診断が行える。
(2)請求項2、7に記載の発明によれば、設定したデータ収集期間において、時系列電流波形データを周波数領域へ変換して算出した振幅スペクトルを利用しているので、解析対象周波数帯の範囲外に含まれるノイズ成分が排除される。これによって、ノイズ成分による誤判定が防止される。
(3)請求項5、10に記載の発明によれば、交流電源電圧の極性が反転する短い期間で振幅スペクトルを算出しているため、演算にかかる負荷が小さい。このため、演算処理性能が高くない装置にも適用可能となる。
本発明の実施形態例による部分放電診断装置の構成図。 図1の部分放電診断装置における解析装置が実行する処理のフローチャート。 本発明の実施形態例による時系列電流波形データ収集の様子を示し、(a)は部分放電診断装置の実際の構成図、(b)は部分放電診断対象設備に印加される交流電源電圧および接地線の電流の各波形図。 本発明の実施形態例において、交流電源電圧に生じるサージ電圧をデータ収集開始タイミングとすることの説明図。 本発明の実施形態例において、収集した時系列電流波形データを高速フーリエ変換して振幅スペクトルを算出する様子を示す説明図。 本発明の実施形態例における振幅スペクトルの説明図。 本発明の実施形態例における、正常時の振幅スペクトルの範囲の設定方法を示す説明図。 本発明の実施形態例における、正常時の振幅スペクトルの範囲と部分放電発生時の振幅スペクトルの範囲を示す説明図。 本発明の実施形態例における、診断対象設備の接地線に流れる電流の、正常時と部分放電発生時の各電流波形の特徴を示す説明図。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
本実施形態例では、部分放電センサとして電流センサを用い、ノイズセンサは用いない。変圧器や回転機などの部分放電診断対象設備に流れる電流を電流センサで計測し、デジタルサンプリングして得た時系列電流波形データを解析する。
図9は、交流電源電圧が印加される診断対象設備の接地線に流れる電流を計測した例であり、上段は交流電源電圧の波形、中段は正常時に接地線に流れる電流波形、下段は部分放電発生時に接地線に流れる電流波形を示している。
前述のように、部分放電は交流電源電圧に同期して所定の位相領域で発生し、電流波形がバラつく。部分放電が発生していない正常時の電流波形を計測した場合でも、ノイズ成分が含まれるため電流波形がバラつくが、部分放電発生時はバラつきがより大きくなる。従って、部分放電成分を含む電流波形と正常時の電流波形では、周波数成分に違いが出る。
そこで、本実施形態例では、正常時の周波数分布と、部分放電発生時の周波数分布とを比較して周波数成分の違いを見分けることにより部分放電の発生を検知する。この方法によれば、ノイズ成分を含んだ電流波形においても部分放電成分を確実に識別して誤検出を防ぎ、信頼性の高い部分放電診断が可能である。
図1は、本実施形態例による部分放電診断装置の構成を表している。100は交流電源200の電圧が印加される部分放電の診断対象設備であり、110は部分放電発生源を示している。
診断対象設備100は接地線を介して接地され、この接地線には、部分放電診断装置300の、例えば変流器により構成された電流センサ310(電流計測部)が介挿されている。
320は、後述する時系列電流波形データ収集部、周波数分布演算部および部分放電発生判定部を備え、電流センサ310により計測された電流を解析して部分放電を検知し、診断する解析装置である。
前記電流センサ310は簡単な作業により接続が可能であり、設置に手間がかからない。このため、本部分放電診断装置300は既設の診断対象設備にも容易に適用することができる。
前記解析装置320の部分放電診断処理は、図2のステップS1〜S3のフローチャートに沿って実行される。図2では一回の部分放電診断処理手順を示している。本発明の部分放電診断方法は電力機器の運用中に実施が可能であり、運用中に図2の診断処理手順を定期的に行う方法や、リアルタイムに連続して繰り返し行う方法などが考えられる。
<時系列電流波形データ収集>
まず図2のステップS1では、解析装置320内の時系列電流波形データ収集部(図示省略)が、電流センサ310により計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集する。
部分放電は交流電源200の電圧に同期して所定の位相領域で発生するため、この位相領域を含む期間をサンプリングして、サンプル数N個の時系列電流波形データを診断対象として収集する。この診断対象とする位相領域は診断対象設備100の条件に合わせて決定する。部分放電発生の可能性がある位相領域が複数想定される場合は、それぞれの位相領域を収集して個別に繰り返し診断を行う。
ここで、サンプリング周波数とサンプル数Nは、部分放電成分を含む周波数帯域によって決定する。例えば、部分放電成分を含む周波数帯が1MHz〜50MHzの場合を考える。
はじめに、サンプリング周波数は上限の50MHzを十分にカバーできる5GHzとする。サンプリング周波数を5GHzとすると1サンプルあたりの時間は2×10-10sとなる。
次に、下限の1MHzの1周期の長さは1×10-6sである。サンプリングデータ数を5000個にすればその長さは、2×10-10s×5000=1×10-6sであるため、下限1MHzの1周期分をカバーできる。このようにして、1MHz〜50MHzをカバーする適切なサンプリングデータ数5000が定まる。またこのようにすることで、目的とする周波数帯の範囲外の周波数はカットされ、そこに含まれるノイズ成分も除去される。
サンプリングを開始する位相の把握方法はここでは特定しないが、例えば図3(a)のように電圧センサで交流電源電圧を監視する方法がある。
図3は、本発明の実施形態例による時系列電流波形データ収集の様子を示し、(a)は部分放電診断装置の実際の構成図、(b)は診断対象設備100に印加される交流電源電圧および接地線の電流の各波形図である。
図3(a)のように、交流電源200と診断対象設備100を結ぶ電路に介挿された、例えば計器用変圧器などの電圧センサ400によって交流電源電圧変動周期の位相を把握し、その電圧がマイナスからプラスに転じるタイミングを位相0度とし、そこからの相対位置でサンプリングを開始する。
そして、部分放電発生の可能性がある位相領域のサンプル数N個の時系列電流波形データを診断対象として収集する。
尚、交流電源200が、インバータにより制御される交流電源である場合は、例えば図4のように、電圧の符号が転じる際に瞬間的に大きなサージ電圧が発生する。したがって、図4のようなサージ電圧により位相を把握する方法も考えられる。
<診断対象の振幅スペクトル算出>
次にステップS2において、解析装置320内の周波数分布演算部(図示省略)が、前記ステップS1で収集した時系列電流波形データの周波数分布を調べる。この周波数分布は、設定したデータ収集期間における時系列電流波形データを周波数領域へ変換して振幅スペクトルを算出することで求める。例えば、図5のように、設定したデータ収集期間における時系列電流波形データを高速フーリエ変換(FFT)して診断対象の振幅スペクトルを図6のように算出することで求める。
図5は、振幅スペクトル算出の様子を表しており、収集した診断対象の時系列電流波形データ(サンプル数N個)に対して高速フーリエ変換を実施し(FFTをかけ)、その結果周波数ごとに振幅スペクトルが求められることを示している。
また図6は、前記高速フーリエ変換の実施により求められ振幅スペクトルの例を示し、Fsはサンプリング周波数、Nは高速フーリエ変換(FFT)を行った区間のサンプル数である。
ここで、元の信号をf(t)とすると、振幅スペクトル|Ck|は、以下の式で求められる。
Figure 2019045401
なお、Tは基本周波数(サンプリング周波数/FFT対象データ数N)に対する周期、a0は直流成分、ak、bkはフーリエ係数であり、a0、ak、bkは以下の式で表される。
Figure 2019045401
ここで、解析装置320内の部分放電発生判定部(図示省略)は、後述するステップS3において、周波数分布演算部により求められた周波数分布(診断対象の振幅スペクトル)と、予め設定した正常時の周波数分布の範囲(振幅スペクトルの範囲)とを比較して部分放電発生を判定している。この正常時の周波数分布の範囲(振幅スペクトルの範囲)は、次のようにして設定する。
<正常時の振幅範囲設定方法>
解析装置320内の周波数分布演算部は、部分放電が発生していない正常時に、前記時系列電流波形データ収集部によって前記データ収集期間と同一期間で収集された時系列電流波形データを周波数領域へ変換、例えば高速フーリエ変換して正常時の振幅スペクトルの範囲を算出して設定する。
すなわち、
(1)前記図5と同様の方法で、部分放電が発生していない正常時における振幅スペクトルを、正常時の振幅スペクトルの範囲の設定方法を示す図7の(1)のように、複数回(n回)求める。
(2)複数回求めた振幅スペクトルの同じ位置(同じ周波数帯)において、図7の(2)に示すように平均値μと標準偏差σを算出する。
正常時の振幅スペクトルの範囲は、平均値μと標準偏差σから、例えば図8のようにμ−3σ以上、μ+3σまでの範囲とする。
図8において、μ−3σ未満およびμ+3σ以上の範囲が、部分放電発生時の振幅スペクトルの範囲となる。
尚、確率論や統計学で用いられる、データの分布が平均値付近に集積するものを、正規分布と呼ぶ。図8はこの正規分布のイメージを表しており、この分布に従うデータは、平均μからのずれが±σ以内の範囲に含まれる確率は68.27%、±2σ以内だと95.45%、±3σ以内だと99.73%となる。そして、異常判定の基準としてよく用いられるのがμ±3σである。
このように、正常時のデータを判定基準とすれば、様々な電力機器に合わせての適用が容易である。
<部分放電発生判定>
次にステップS3では、解析装置320内の部分放電発生判定部が、周波数分布演算部で算出された周波数分布が、予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に部分放電が発生していると判定する。
すなわち、前記<診断対象の振幅スペクトル算出>で述べた診断対象の振幅スペクトルが、前記<正常時の振幅範囲の設定方法>で述べた正常時の振幅スペクトルの範囲(図8)を逸脱している場合に部分放電が発生していると判定する。
具体的には、診断対象の振幅スペクトル列を順に、同じ位置(同じ周波数帯)の正常時の振幅スペクトルの範囲(図8)と比較し、範囲に収まるか否かを調べる。範囲に収まる場合は、部分放電発生なしと判定する。範囲外となった場合は部分放電発生と判定する。
前記診断対象の振幅スペクトルと正常時の振幅スペクトルの算出条件(サンプリング周波数、高速フーリエ変換対象位相、高速フーリエ変換対象のサンプル数)は同じにする。
また、部分放電発生の判定がシビアで誤検出する場合は、下記式(2)、式(3)に示す、範囲からの逸脱量(異常度)が所定の割合(10%など)を超えた場合に部分放電発生と判定する等、不感帯を設けてもよい。
Figure 2019045401
Figure 2019045401
尚、(異常度%)>100%となった場合、(異常度%)=100%とする。
本発明の方法は、1回の部分放電に伴う成分を捉えて発生を検知している。部分放電は大きな電圧がかかる際に発生するため、その周辺位相の短い期間(交流電源電圧の極性が反転する所定期間)を高速フーリエ変換すれば検知することが可能である。そのため、演算にかかる負荷が小さく、演算処理性能が高くない解析装置でも実施可能である。
本実施形態例によれば、従来のように部分放電センサとノイズセンサの2種類のセンサを用意する必要はなく、ノイズセンサを省くことができる。
また、部分放電センサ(電流センサ310)を介して得られる波形データは、サンプリングによってナイキスト周波数(図6のサンプリング周波数の1/2の周波数)以上の周波数(図6のエイリアシング部分)がカットされ、高速フーリエ変換対象サンプリングデータ長以下の周期の周波数もカットされる。これにより、解析対象周波数帯以外に含まれるノイズ成分は排除される。また、部分放電発生時と正常時とでは、ノイズ成分を含んでいても周波数分布が異なるため、本実施形態例のように振幅スペクトルを比較することにより、確実に識別できる。
尚、上記実施形態例では、時系列電流波形データを周波数領域へ変換する手段が、高速フーリエ変換によるものであるとして説明したが、これに限らず他のフーリエ変換を用いてもよい。
以上の方法により、安価で信頼性の高い部分放電診断装置が実現可能となる。
100…診断対象設備
110…部分放電発生源
200…交流電源
300…部分放電診断装置
310…電流センサ
320…解析装置
400…電圧センサ

Claims (10)

  1. 交流電源電圧が印加される部分放電診断対象設備に流れる電流を計測する電流計測部と、
    前記電流計測部により計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集する時系列電流波形データ収集部と、
    前記時系列電流波形データ収集部により収集された時系列電流波形データの周波数分布を求める周波数分布演算部と、
    前記周波数分布演算部により求められた周波数分布が予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する部分放電発生判定部と、
    を備えたことを特徴とする部分放電診断装置。
  2. 前記電流計測部は、前記部分放電診断対象設備の接地線に流れる電流を計測し、
    前記周波数分布演算部は、設定したデータ収集期間における前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換して診断対象の振幅スペクトルを算出することで、前記周波数分布を求め、
    前記部分放電発生判定部における正常時の周波数分布の範囲は、部分放電が発生していない正常時に前記時系列電流波形データ収集部によって、前記データ収集期間と同一期間で収集した時系列電流波形データを周波数領域へ変換した正常時の振幅スペクトルの範囲に設定され、
    前記部分放電発生判定部は、前記診断対象の振幅スペクトルが前記正常時の振幅スペクトルの範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の部分放電診断装置。
  3. 前記正常時の振幅スペクトルの範囲は、部分放電が発生していない正常時に前記振幅スペクトルを複数回算出し、その平均値と標準偏差から設定することを特徴とする請求項2に記載の部分放電診断装置。
  4. 前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換する手段は、フーリエ変換であることを特徴とする請求項2又は3に記載の部分放電診断装置。
  5. 前記振幅スペクトルを算出する際のデータ収集期間は、前記交流電源電圧の極性が反転する所定期間に設定されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の部分放電診断装置。
  6. 電流計測部が、交流電源電圧が印加される部分放電診断対象設備に流れる電流を計測する電流計測ステップと、
    時系列電流波形データ収集部が、前記電流計測部により計測された電流をデジタルサンプリングして時系列電流波形データを収集する時系列電流波形データ収集ステップと、
    周波数分布演算部が、前記時系列電流波形データ収集部により収集された時系列電流波形データの周波数分布を求める周波数分布演算ステップと、
    部分放電発生判定部が、前記周波数分布演算部により求められた周波数分布が、予め設定した正常時の周波数分布の範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する部分放電発生判定ステップと、
    を備えたことを特徴とする部分放電診断方法。
  7. 前記電流計測ステップは、前記部分放電診断対象設備の接地線に流れる電流を計測し、
    前記周波数分布演算ステップは、設定したデータ収集期間における前記時系列電流波形データを周波数領域へ変換して診断対象の振幅スペクトルを算出することで、前記周波数分布を求め、
    前記周波数分布演算部が、部分放電が発生していない正常時に、前記時系列電流波形データ収集部によって前記データ収集期間と同一期間で収集した時系列電流波形データを周波数領域へ変換し、正常時の振幅スペクトルの範囲を算出して設定する正常時振幅スペクトル範囲設定ステップ、を備え、
    前記部分放電発生判定ステップは、前記診断対象の振幅スペクトルが前記設定された正常時の振幅スペクトルの範囲を逸脱している場合に、部分放電が発生していると判定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の部分放電診断方法。
  8. 前記正常時振幅スペクトル範囲設定ステップは、部分放電が発生していない正常時に前記振幅スペクトルを複数回収集し、その平均値と標準偏差から設定することを特徴とする請求項7に記載の部分放電診断方法。
  9. 前記周波数分布演算ステップおよび正常時振幅スペクトル範囲設定ステップにおける周波数領域への変換は、ともにフーリエ変換により行われることを特徴とする請求項7又は8に記載の部分放電診断方法。
  10. 前記振幅スペクトルを算出する際のデータ収集期間は、前記交流電源電圧の極性が反転する所定期間に設定されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の部分放電診断方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113408210A (zh) * 2021-07-12 2021-09-17 内蒙古电力(集团)有限责任公司乌兰察布电业局 基于深度学习的非侵入负荷分解方法、系统、介质和设备
CN113848435A (zh) * 2021-08-31 2021-12-28 四川大学 基于频谱能量分布概率的直流局部放电信号分类识别方法
CN114910758A (zh) * 2022-05-17 2022-08-16 国网黑龙江省电力有限公司佳木斯供电公司 基于智能声电联合感知的开关设备局部放电检测方法

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