JP2019043827A - 微生物資材およびその製造方法 - Google Patents

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浩 福井
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Abstract

【課題】作物の連作障害を防止できる微生物資材を提供すること。【解決手段】みみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させることを含む、微生物資材の製造方法、およびそれにより製造することができる微生物資材。【選択図】なし

Description

本発明は、微生物資材およびその製造方法に関する。
同じ場所で同じ作物を続けて栽培すると(連作)、作物に病害が発生し生産量が減少することがある。これを連作障害という。土壌には、多くの微生物が存在しており、なかには病原性微生物も存在する。植物は根から微生物の餌となる有機酸や糖、アミノ酸等の物質を分泌しており、近縁植物は類似物質を分泌するため、連作すると土壌に存在する微生物の種類には偏りがみられるようになる。したがって、連作後の土壌では、微生物多様性が失われ、特定の病原性微生物(例、病原性フザリウム菌)が生育し易くなり、連作障害が発生することがある。
ところで、堆肥等の微生物資材の作製には、みみず糞土が用いられることがある(例、特許文献1、2を参照)。みみず糞土は、通気性・透水性に優れる団粒構造を有する。みみず糞土を含む堆肥を用いた場合、散布初期では団粒構造が維持されていることもあり作物の成長は良好であるが、このような効果は必ずしも収穫期まで維持されないことがあった。
また、みみず糞土は、微生物多様性に優れることが知られている一方で、糞土を天日乾燥させると一部の微生物が死滅して微生物多様性が低下することが知られている(例、非特許文献1を参照)。
特開2007−176759号公報 特開2012−66957号公報
食品・栄養シリーズ、微生物学 化学同人(大杉ら共著) 19頁
本発明の目的は、作物の連作障害を防止できる微生物資材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、みみず糞土を完全に乾燥させると芽胞が多く形成されて微生物多様性が向上すること、およびみみず糞土の乾燥物を用いて作製された微生物資材が作物の連作障害の原因となり得る病原性微生物に対する耐性に優れることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕みみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させることを含む、微生物資材の製造方法。
〔2〕みみず糞土の乾燥物が20重量%以下の水分量を有する、〔1〕の方法。
〔3〕堆肥原料が菌床を含む、〔1〕または〔2〕の方法。
〔4〕堆肥原料がキチン質材料および/または米糠を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかの方法。
〔5〕キチン質材料が固形材料である、〔4〕の方法。
〔6〕堆肥原料が納豆試料を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかの方法。
〔7〕炭化物を混合物に添加することをさらに含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかの方法。
〔8〕炭化物が燻炭である、〔7〕の方法。
〔9〕以下を含む、〔1〕〜〔8〕のいずれかの方法:
(a)堆肥原料、キチン質材料、および米糠を混合して、第1混合物を得ること;
(b)第1混合物を発酵させて、第1発酵物を得ること;
(c)みみず糞土の乾燥物、および納豆試料を第1発酵物と混合して、第2混合物を得ること;
(d)第2混合物を発酵させて、第2発酵物を得ること;
(e)みみず糞土の乾燥物を第2発酵物と混合して、第3混合物を得ること;ならびに
(f)第3混合物を発酵させて、微生物資材として第3発酵物を得ること。
〔10〕(g)炭化物を第3発酵物と混合して、第4混合物を得ること;および
(h)第4混合物を発酵させて、微生物資材として第4発酵物を得ること、
をさらに含む、〔9〕の方法。
〔11〕〔1〕〜〔10〕のいずれかの方法により得られる微生物資材。
〔12〕みみず糞土塊、およびキチン質材料を含み、
フザリウム耐性試験における病原抑止力値(PSV)が64以上である、微生物資材。
〔13〕菌床由来の成分、米糠由来の成分、および納豆試料由来の成分からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む、〔12〕の微生物資材。
〔14〕炭化物をさらに含む、〔12〕または〔13〕の微生物資材。
本発明の微生物資材の製造方法は、安価な原料を用いて簡便に行うことができ、また、廃棄物(例、菌床等の堆肥原料、甲殻類の殻等のキチン質材料、米糠)を活用して優れた微生物資材を製造することができる。
本発明の微生物資材は、高い微生物多様性を有するみみず糞土塊(みみず糞土の乾燥物由来)を含み、また堆肥原料(例、菌床)、納豆試料、米糠等の成分を製造方法で用いていることから、その製造方法の性質上、種々の芽胞菌、放線菌等の微生物(例、みみず糞土の乾燥物由来、菌床等の堆肥原料由来、納豆試料由来)の多様性に優れると考えられる。
本発明の微生物資材はまた、キチン質材料を含むことによって、キチン質を餌とする微生物(例、放線菌)の増殖を支援することができることから、微生物多様性に優れると考えられる。特に、本発明の微生物資材にはキチン質が残存しているため、作物の播種もしくは定植から一定の時期を経ると、放線菌の餌となり根圏に有用な放線菌が多くなり病原耐性を獲得する傾向が認められ、または芽胞菌の萌芽によって、他の有用菌(例、納豆菌)が増え一層微生物多様性が増加する傾向が認められる。
本発明の微生物資材はさらに、上述したようなみみず糞土塊およびキチン質材料を含むことから、これらが完全に分解されるまでの長期にわたる微生物多様性の維持に貢献することができる。
本発明の微生物資材はまた、その作製過程において、難分解性であり通気性・透水性に優れ得る炭化物(例、燻炭)の添加後に発酵させることによって、微生物が住みやすい環境を提供することができ、長期にわたる微生物多様性の維持に貢献することができる。
本発明の微生物資材はさらに、病原性微生物に対する耐性に優れることから、連作障害の防止に有用である。
1.微生物資材の製造方法
本発明は、みみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させることを含む、微生物資材の製造方法を提供する。
(1)みみず糞土の乾燥物
本発明の方法では、みみず糞土の乾燥物が用いられる。みみず糞土を乾燥させると、芽胞が多く形成されて微生物多様性が向上することが本発明者らにより判明している。このようなみみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させることにより、微生物多様性に優れる微生物資材を製造することができる。みみず糞土を乾燥させれば乾燥させるほど芽胞を多く形成させることができる。したがって、ミミズ糞土の乾燥物の乾燥度がより大きいほど、より微生物多様性を向上させ得ること、および製造される微生物資材においてみみず糞土塊が長期にわたり維持され易くなり微生物多様性の維持に貢献し得ることから、乾燥度は大きいこと(換言すれば、水分量が少ないこと)が好ましい(物質収支で考えても、水分量が少なければみみず糞土は濃厚になる)。みみず糞土のできたて水分量は、通常、約30〜40重量%である。本発明の方法で用いられるみみず糞土の乾燥物における乾燥の程度は、乾燥(すなわち、水分量の減少)により芽胞の量が増加する限り特に限定されないが、水分量の観点から規定すると、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下、特に好ましくは約7重量%以下である。このようなみみず糞土の乾燥物の調製は、適宜行うことができる。例えば、水分量が約7重量%以下であるみみず糞土の乾燥物は、みみず糞土を絶乾させることにより調製することができる。
みみず糞土は、みみずの排泄物を含む土である。みみずは、入手容易性等の観点から、好ましくはフトミミズ科またはツリミミズ科のみみずであり、より好ましくはシマミミズ、レッド・ワーム、またはその交配ミミズである。みみず糞土は、栄養素(例、炭素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム)に富み、また、微生物に富むことが知られている。みみず糞土は、市販されているものを使用してもよいし、または、作製したものを使用することもできる。
みみず糞土の調製は、例えば、堆肥原料等の餌をみみずに摂食させることにより行うことができる。堆肥原料とは、微生物の増殖に必要な有機物を含む原料をいう。このような堆肥原料としては、例えば、廃菌床、食品廃棄物(例、野菜くず)、植物廃棄物(C/Nの高くないもの)(例、米糠、ふすま、おから)、排泄物(例、家畜排せつ物)、汚泥(例、し尿汚泥)、果実(例、バナナ、リンゴ)、植物(例、ステビア)およびこれらの2種以上(例、2種、3種、4種)の混合物が挙げられる。菌床は、木質基材(例、おがくず)および栄養源を含む、キノコ栽培用の培地である。菌床としては、資源の再利用等の観点から、キノコ栽培使用後の廃菌床を用いることが好ましい。このような廃菌床を利用することで、本発明の方法により得られる微生物資材は、有用菌として農業に使われている糸状菌であるトリコデルマを含むことができる。
乾燥は、任意の様式で行うことができる。このような様式の乾燥としては、例えば、温室内乾燥(例、ガラス温室、ビニール温室)、屋外乾燥、加熱による乾燥が挙げられる。日光の紫外線の低減の観点から、乾燥は、温室内乾燥が好ましい。
本発明の方法は、みみず糞土を乾燥させてみみず糞土の乾燥物を調製することをさらに含んでいてもよい。本発明の方法はまた、みみず糞土の乾燥物の調製に加えて、みみず糞土を調製することをさらに含んでいてもよい。これらの調製は、上述したとおりに行うことができる。
本発明の方法において、みみず糞土の乾燥物は、固形物の形態において用いることができる。このような固形物としては、例えば、乾燥後の塊である乾燥物を細かく破砕して得られる破砕物、加工して得られるペレットが挙げられる。
(2)みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合
本発明の方法では、先ず、みみず糞土の乾燥物は、上述したような堆肥原料と混合される。堆肥原料としては、上述したような任意の堆肥原料を用いることができるが、好ましくは、菌床が用いられる。菌床としては、任意のキノコの栽培用の菌床を用いることができる。このようなキノコとしては、例えば、シイタケ、シメジ、エノキ、ヒラタケが挙げられるが、シイタケが好ましい。好ましくは、堆肥原料は、シイタケ廃菌床である。
みみず糞土の乾燥物と混合される堆肥原料は、キチン質材料、米糠等の成分をさらに含んでいてもよい。
キチン質材料とは、キチン質(例、キチン、キトサン)の供給源として利用できる材料をいう。キチン質は、甲殻類(例、カニ、エビ)の殻、節足動物の外骨格、軟体動物の器官部などの部分に含まれるムコ多糖である。したがって、キチン質材料としては、例えば、これらの部分、またはこれらの部分の処理物(例、破砕物、粉末、抽出残渣、抽出液)を利用することができる。堆肥原料に含まれ得るキチン質の量は、C/N比(有機物に含まれる炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の重量比)が18〜27となるように調整することができる。このようなキチン質の量は、目安として、堆肥原料10重量部を基準とすると、例えば0.1〜5重量部である。好ましくは約0.2重量部以上、より好ましくは約0.4重量部以上、さらにより好ましくは約0.6重量部以上、特に好ましくは約0.8重量部以上であってもよい。また、好ましくは約4重量部以下、より好ましくは約3重量部以下、さらにより好ましくは約2.5重量部以下、特に好ましくは約2重量部以下であってもよい。
好ましくは、キチン質材料は、キチン質の固形材料である。キチン質材料を固形材料として用いた製造方法により得られる微生物資材は、作物の栽培の初期のみならず収穫期においても完全に分解され得ず残存することによりキチン質を持続的に供給できることから、栄養供給源としての持続性に優れる。キチン質の固形材料としては、大量に容易に入手可能であり、また、廃棄物を資源として再利用する等の観点から、甲殻類(例、カニ、エビ)の殻、または甲殻類の殻の処理物(例、破砕物、粉末、抽出残渣)が好ましい。例えば、キチン質の固形材料としては、甲殻類であるカニやエビから工業的に調製された物(例、カニ殻をアルカリで抽出して得られたキトサン残渣であるキトサンケーキ)を好適に利用することができる。
米糠は、米を精白するときに生ずる果皮、種皮、胚芽などの混合物である。本発明では、米糠として、このような混合物である普通の米糠に加えて、米糠を圧搾または抽出して油脂を取り出した脱脂米糠を用いてもよい。堆肥原料に含まれ得る米糠の量は、C/N比が18〜27となるように調整することができる。このような米糠の量は、目安として、堆肥原料10重量部を基準とすると、例えば約0.02〜2重量部である。好ましくは約0.05重量部以上、より好ましくは約0.1重量部以上、さらにより好ましくは0.15重量部以上、特に好ましくは約0.2重量部以上であってもよい。また、好ましくは約1.5重量部以下、より好ましくは約1重量部以下、さらにより好ましくは約0.7重量部以下、特に好ましくは約0.5重量部以下であってもよい。
堆肥原料は、堆肥として有用な他の成分をさらに含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、無機成分、および有機成分が挙げられる。無機成分としては、例えば、アンモニウム塩(例、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム)、尿素、カリウム塩(例、硫酸カリウム、塩化カリウム、珪酸カリウム)、リン酸塩(例、過リン酸石灰)、カルシウム塩(例、炭酸石灰、硫酸石灰、過リン酸石灰)、マグネシウム塩(例、硫酸マグネシウム)が挙げられる。有機成分としては、例えば、油粕(例、だいず油粕、なたね油粕、ひまし油粕)、魚粕、骨粉が挙げられる。
堆肥原料としては、発酵物を用いることが好ましい。例えば、本発明の方法においてキチン質および/または米糠等の成分を含む堆肥原料を用いる場合、発酵物としては、堆肥原料をキチン質および/または米糠と混合し、得られた混合物に対して発酵の促進に必要な量の水分を適宜補充し、所定の期間において発酵させることにより調製したものを用いることができる。例えば、発酵の順調な進行の観点より、C/N比が18〜27となるように堆肥原料を他の成分と混合し水分を50〜60重量%とする。これを堆積すると発酵して温度が上昇するが、堆肥原料中に存在する菌が死滅しないように60℃以下に保つ。その後、温度が下がり始めたら、切り替えしを行い、終点で15〜25℃の温度、および水分量が40重量%以下となるようにする。堆肥原料の製造の詳細については、例えば、有機栽培の肥料と堆肥(小祝政明(著))を参照のこと。
みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合は、上記C/Nを満たすような任意の比率で行うことができる。上記C/Nを満たすような任意の比率でみみず糞土の乾燥物を含む堆肥原料を発酵させても、みみず糞土の乾燥物中に含まれる微生物を増殖させ微生物多様性に富む微生物資材を製造することができるためである。しかし、みみず糞土の乾燥物に含まれる微生物を効率・バランス良く増殖させる等の観点から、みみず糞土の乾燥物は、堆肥原料(他の成分を含んでいてもよい)の総重量に対して、例えば約0.1〜5重量%である。好ましくは約0.15重量%以上、より好ましくは約0.2重量%以上、さらにより好ましくは約0.25重量%以上、特に好ましくは約0.3重量%以上であってもよい。また、好ましくは約4重量%以下、より好ましくは約3重量%以下、さらにより好ましくは約2重量%以下、特に好ましくは約1.5重量%以下であってもよい。
(3)みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵
みみず糞土の乾燥物と堆肥原料の混合物との発酵(1回目の発酵)は、所望の発酵度が達成される期間において行うことができる。所望の発酵度が達成されるかどうかは、例えば、発酵物の温度を目安にして行うことができる。
発酵の間において、切り返しが行われてもよい。切り返しとは、発酵物をいちど取り崩し、撹拌して再堆積することをいい、ムラなく均一に発酵させる等の目的のために行われる操作である。切り返しは、例えば、発酵物の温度が所定の温度に低下した時期を目安にして行うことができる。
みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵の間において、みみず糞土の乾燥物を発酵物にさらに添加し混合した後、発酵させてもよい(2回目の発酵)。上述した1回目の発酵においては、堆肥の中にあるみみず糞土の乾燥物において、一部の芽胞のみが萌芽し、残りの芽胞は休眠状態にあるが、休眠状態にある芽胞は、土壌に入り作物が定植されると萌芽すると考えられる。2回目の混合・発酵は、好ましくは発酵の終了直前に行われる。2回目の発酵においては、さらに添加されたみみず糞土の乾燥物中の芽胞は条件が整えば萌芽し、その頃には放線菌も多くなり、微生物多様性が長期に保たれることが期待される。みみず糞土の乾燥物は、添加前の混合物(発酵物)の総重量に対して、上述したものと同様の比率で堆肥原料と混合することができる。
また、みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵の間において、みみず糞土の乾燥物に加えて、他の成分を、発酵物にさらに添加し混合してもよい。他の成分は、みみず糞土の乾燥物と同じ時期または異なる時期に、発酵物に添加され混合されてもよいが、簡便に行う観点から、同じ時期に添加され混合されてもよい。
みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵の間において添加され混合され得る他の成分としては、例えば、納豆試料が挙げられる。納豆試料は、納豆自体、または納豆の加工物(例、粉末、抽出液)の形態で利用することができる。納豆試料は、その形態に応じて、適切な量において添加することができる。例えば、納豆試料として納豆自体を用いる場合、納豆自体が栄養源になることから、C/N比を考慮した適切な量が添加される。一方、納豆試料として納豆粉末を用いる場合、栄養源としてではなく芽胞の供給原として捉えることができることから、供給されるべき所望の芽胞量を考慮して適切な量が添加される。より具体的には、納豆試料は、目安として、添加前の混合物(発酵物)の総重量に対して、好ましくは0.005〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.02〜0.1重量%の比率で混合することができる。勿論、納豆試料以外の他の成分も、みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵の間において、所定の量で添加し混合することができる。
また、みみず糞土の乾燥物と堆肥原料との混合物の発酵の間において、または発酵後に、炭化物を発酵物に加えてもよい。炭化物としては、植物性材料の炭化物が好ましい。植物性材料としては、炭化処理ができる任意の植物性材料(例、植物全体、および籾殻等の植物部分、ならびに、おがくず、木材チップ等の植物の加工物)を利用することができる。炭化物としては、多孔性炭化物が好ましく、例えば、燻炭(籾殻の炭化物)、活性炭、木炭が挙げられるが、燻炭が好ましい。炭化物は破砕されていてもよい。炭化物は、難分解性であり通気性・透水性に優れ得るため、微生物が住みやすい環境を提供することができる。したがって、このような炭化物を発酵物に添加し発酵物をさらに発酵させることで、みみず糞土の乾燥物に由来する多種多様な微生物が生育し易い微生物資材を製造することができる。炭化物は、添加前の混合物(発酵物)の総重量に対して、例えば約0.2〜10重量%である。好ましくは約0.3重量%以上、より好ましくは約0.4重量%以上、さらにより好ましくは約0.5重量%以上、特に好ましくは約0.6重量%以上であってもよい。また、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約6重量%以下、さらにより好ましくは約4重量%以下、特に好ましくは約2重量%以下であってもよい。
(4)本発明の方法の特定の実施形態
特定の実施形態では、本発明の方法は、以下を含む方法により行われてもよい。
(a)堆肥原料、キチン質材料、および米糠を混合して、第1混合物を得ること;
(b)第1混合物を発酵させて、第1発酵物を得ること;
(c)みみず糞土の乾燥物、および納豆試料を第1発酵物と混合して、第2混合物を得ること;
(d)第2混合物を発酵させて、第2発酵物を得ること;
(e)みみず糞土の乾燥物を第2発酵物と混合して、第3混合物を得ること;ならびに
(f)第3混合物を発酵させて、微生物資材として第3発酵物を得ること。
(a)では、堆肥原料、キチン質材料、および米糠を混合することにより、第1混合物が得られる。堆肥原料、キチン質材料、および米糠、ならびにそれらの量(比率)の詳細は、上述したとおりである。
(b)では、第1混合物を発酵させることにより、第1発酵物が得られる。第1発酵物としては、所定の期間において第1混合物を発酵させることにより、温度が約60℃から約40℃に低下した発酵物が好ましい。このような期間は、第1混合物の原料の種類、気温等の種々の条件によっても変動するが、例えば約40〜80日間である。
(c)では、みみず糞土の乾燥物、および納豆試料を第1発酵物と混合することにより、第2混合物が得られる。みみず糞土の乾燥物、および納豆試料、ならびにそれらの量(比率)の詳細は、上述したとおりである。
(d)では、第2混合物を発酵させることにより、第2発酵物が得られる。発酵の間において切り返しが行われてもよい。第2発酵物としては、所定の期間において第2混合物を発酵させることにより、温度が約40℃に低下した発酵物が好ましい。このような期間は、第2混合物の原料の種類、気温等の種々の条件によっても変動するが、例えば約40〜80日間である。
(e)では、みみず糞土の乾燥物を第2発酵物と混合することにより、第3混合物が得られる。みみず糞土の乾燥物、およびその量(比率)の詳細は、上述したとおりである。
(f)では、第3混合物を発酵させることにより、第3発酵物が得られる。発酵の間において切り返しが行われてもよい。第3発酵物としては、所定の期間において第3混合物を発酵させることにより、温度が約30℃に低下した発酵物が好ましい。このような期間は、第3混合物の原料の種類、気温等の種々の条件によっても変動するが、例えば約5〜20日間である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、以下をさらに含む方法により行われてもよい。
(g)炭化物を第3発酵物と混合して、第4混合物を得ること;および
(h)第4混合物を発酵させて、微生物資材として第4発酵物を得ること。
(g)では、炭化物を第3発酵物と混合することにより、第4混合物が得られる。炭化物、およびその量(比率)の詳細は、上述したとおりである。
(h)では、第4混合物を発酵させることにより、第4発酵物が得られる。発酵の間において切り返しが行われてもよい。本工程により、第4発酵物中の微生物が炭化物に定着し、特に、炭化物として燻炭等の多孔性炭化物を用いた場合には、微生物が住みやすい環境を提供することができる。
2.微生物資材
本発明はまた、微生物資材を提供する。
微生物資材は、微生物を含む資材であり、主に農業において土壌改良資材の一つ(例、堆肥)として用いられている。
一実施形態では、本発明の微生物資材は、上述したような本発明の製造方法により得られるものであってもよい。
別の実施形態では、本発明の微生物資材は、みみず糞土塊、およびキチン質材料を含み、フザリウム耐性試験における病原抑止力値(PSV)が64以上であってもよい。フザリウム耐性試験における病原抑止力値は、好ましくは65以上であってもよく、より好ましくは68以上であってもよい。
本発明の微生物資材に含まれるみみず糞土塊は、みみず糞土の乾燥物に由来する塊である。みみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させると、みみず糞土の乾燥物は吸水し乾燥度は低下する。したがって、みみず糞土の乾燥物が吸水した塊であるみみず糞土塊が本発明の微生物資材に含まれることになる。微生物資材がみみず糞土塊を含むか否かは、(i)微生物資材において土塊の有無を確認し、次に、(ii)土塊が有ると確認された場合、土塊がみみず糞土由来か否かを検査することにより評価することができる。(i)微生物資材における土塊の有無の確認は、例えば、目視やふるい分けにより行うことができる。土塊がみみず糞土由来か否かの検査は、例えば、土塊がみみず特有の成分(例、DNA、タンパク質)を含むか否かを検査することにより行うことができる。このような検査は、例えば、遺伝子増幅法(例、PCR)、プローブ法(例、DNAプローブを用いる方法)、メタゲノム解析、またはイムノアッセイ等の方法により行うことができる。
本発明の微生物資材に含まれるみみず糞土塊の量は、本発明の微生物資材の総重量に対して、例えば約0.2〜10重量%である。好ましくは約0.3重量%以上、より好ましくは約0.4重量%以上、さらにより好ましくは約0.5重量%以上、特に好ましくは約0.6重量%以上であってもよい。また、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約6重量%以下、さらにより好ましくは約4重量%以下、特に好ましくは約2重量%以下であってもよい。
本発明の微生物資材に含まれるキチン質材料は、キチン質を持続的に供給できることから、栄養供給源としての持続性に優れる。キチン質材料としては、大量に容易に入手可能であり、また、廃棄物を資源として再利用する等の観点から、甲殻類(例、カニ、エビ)の殻、または甲殻類の殻の処理物(例、破砕物、粉末、抽出残渣)が好ましい。例えば、キチン質材料としては、甲殻類であるカニやエビから工業的に調製された物(例、カニ殻をアルカリで抽出して得られたキトサン残渣であるキトサンケーキ)を好適に利用することができる。微生物資材がキチン質材料を含むか否かは、(i)微生物資材において材料の有無を確認し(例、目視、ふるい分け)、次に、(ii)材料が有ると確認された場合、材料がキチン質を含むか否かを成分分析することにより評価することができる。材料がキチン質を含むか否かの成分分析は、当該分野において公知の方法を用いて行うことができる。
本発明の微生物資材に含まれるキチン質材料の量は、本発明の微生物資材の総重量に対して、例えば約0.1〜20重量%である。好ましくは約0.2〜15重量%、より好ましくは約0.5〜10重量%であってもよい。
本発明の微生物資材は、フザリウム耐性試験における病原抑止力値(PSV)が64以上である。フザリウム耐性試験におけるPSVは、以下のようにして決定することができる。
まず、フザリウム耐性試験について説明する。YPMG培地に試験試料の希釈液(滅菌水で10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、および10倍に希釈した液)を塗布し、フザリウム菌(例、キュウリつる割れ病病原性フザリウム菌(F.oxysporum)が培養された5mm平方の寒天を培地の中央に置き(供試資材1点につき6枚のシャーレを作成)、30℃で1週間培養する。培養後、放射状に伸長したフザリウム菌(F.oxysporum)の菌糸の最も長く伸びた部分(最大伸長部位)と最も伸びていない部分(最小伸長部位)の長さを測定する。比較対照として、試料の希釈液の代わりに滅菌水を用いて同様の操作を行い(対照は希釈する必要がないので、1枚のシャーレのみ)、最大伸長部位と最小伸長部位を測定する。
つぎに、計算式によりPSVを算出する。計算は、それぞれの希釈液について測定した(1)最大伸長部位と(2)最小伸長部位の(3)平均値に希釈倍率の加重値(10倍希釈液は1、10倍希釈液は2、・・・10倍希釈液は6)を加算した数値を1/6にして(4)相対伸長として表し、同様に対照についても(5)相対伸長を求める(対照は希釈液はないものの、試料と対応させるため同様の計算を行う)。最後に、(5)と(4)の差を(5)で除算した値に100を掛けてPSVを求める。この計算式より、フザリウム菌の生育を抑えていれば、(4)の数値は小さくなるので、PSVは大きな数値になる。一方、フザリウム菌の生育を抑えていなければ、(4)の数値は大きくなるので、PSVは小さな数値になる。一般に、PSVが60を超えると病害発生率が低下し、60以下になると病害発生率は高くなる傾向が認められる。
Figure 2019043827
本発明の微生物資材はまた、菌床由来の成分、米糠由来の成分、および納豆試料由来の成分からなる群より選ばれる1種以上(例えば1種、好ましくは2種、より好ましくは3種)をさらに含んでいてもよい。本発明の微生物資材このような成分を含むか否かの検査は、例えば、菌床、米糠、および納豆試料からなる群より選ばれる1種以上に特有の成分(例、DNA、タンパク質)を含むか否かを検査することにより行うことができる。このような検査は、例えば、遺伝子増幅法、プローブ法、メタゲノム解析、またはイムノアッセイ等の方法により行うことができる。
本発明の微生物資材は、好ましくは完熟堆肥である。後述するような微生物多様性は、半熟堆肥であると非常に高くなることがある。これは、完熟せず、微生物による分解が未だ十分ではないことを示す、一般には、アンモニア態窒素が多い物は未熟であり、ぼかしとして使用されることがある。本発明の微生物資材が完熟堆肥である場合、そのEC値(ms/cm)は2以下であり、好ましくは1.5以下である。EC値の測定は、導電率メータを用いることにより行うことができる。
本発明の微生物資材はまた、炭化物をさらに含んでいてもよい。本発明の微生物資材に含まれる炭化物は、発酵物に混ぜても分解されず通気性・透水性に優れ得るため、微生物が住みやすい環境を提供することができる。したがって、本発明の微生物資材は、みみず糞土の乾燥物に由来する多種多様な微生物が生育し易いという利点を有する。炭化物は、上述したものと同様である。
本発明の微生物資材に含まれる炭化物の量は、本発明の微生物資材の総重量に対して、例えば約0.2〜10重量%である。好ましくは約0.3重量%以上、より好ましくは約0.4重量%以上、さらにより好ましくは約0.5重量%以上、特に好ましくは約0.6重量%以上であってもよい。また、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約6重量%以下、さらにより好ましくは約4重量%以下、特に好ましくは約2重量%以下であってもよい。
本発明の微生物資材は、任意の植物用の堆肥として利用することができる。特に、本発明の微生物資材は、病原性フザリウム菌や病原性ピシウム菌に対する耐性が高いため(フザリウム菌に耐性があるものは、ピシウム菌にも耐性があるといわれている)、病原性フザリウム菌による病気に感染する可能性がある植物用の堆肥として有用である。このような植物としては、例えば、病原性フザリウム菌によるつる割病に感染する可能性がある植物(例、キュウリ、メロン、スイカ)、病原性フザリウム菌による萎黄病に感染する可能性がある植物(例、イチゴ、ダイコン、キャベツ、カブ、コマツナ)、病原性フザリウム菌による萎凋病に感染する可能性がある植物(例、トマト、ホウレンソウ、ネギ類)、病原性フザリウム菌による根腐病に感染する可能性がある植物(例、サラダナ、レタス)、病原性フザリウム菌による乾腐病に感染する可能性がある植物(例、ニラ)が挙げられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:微生物資材の調製
(1)みみず糞土の乾燥物の調製
みみず糞土(約60重量%の水分量)をガラス温室内で完全に乾燥させて、みみず糞土の乾燥物(約7重量%の水分量)を調製した。みみず糞土の乾燥物を砕いて得られた破砕物(カリカリ太郎)を、以降において、みみず糞土の乾燥物として用いた。みみず糞土としては、シマミミズとレッド・ワームの交配ミミズであるタイヘイ2号(豊徳)の糞土を用いた。
(2)堆肥原料の調製
みみず糞土の乾燥物と混合される堆肥原料として、シイタケ廃菌床を用いた。シイタケ廃菌床は、あらかじめ3ヶ月程山積して半熟堆肥として用いた。
(3)堆肥化
(a)半熟堆肥(シイタケ廃菌床)を12重量部、カニ殻キトサンケーキ(北海道曹達(株)製)を1.5重量部、米糠0.3重量部を混合し水分を60重量%程度になるように噴霧した。この水噴霧混合物(約1900(水分含む)kgの総重量。半熟堆肥8(絶乾)重量%、カニ殻キトサンケーキ1.3(絶乾)重量%、米糠0.5(絶乾)重量%)を放置することにより発酵させた。
(b)約60日後に温度が約60℃から約40℃に低下した発酵物に対して、みみず糞土の乾燥物を約1重量%、および粉末納豆(市販品)1袋(100g入り。約86億個の生きた納豆菌を含む。約0.05重量%)を添加して、切り返しを行い、引き続き発酵させた。
(c)約60日後に温度が約40℃以下に低下した発酵物に対して、乾燥糞土を約1重量%再度添加し、切り返しを行った。
(d)約10日後に温度が約30℃以下に低下した発酵物に対して、約1重量%の燻炭(籾殻の炭化物)を添加し、切り返しを行い、本発明の微生物資材を完成させた。
比較例1〜3
甘糖くん(比較例1、関東農産製)、カリカリ太郎(比較例2、豊徳製)、みみず太郎(比較例3、豊徳製)を用いた。
Figure 2019043827
試験例1.本発明の微生物資材の病原抑止力の調査
病原抑止力の調査は、病原菌および培地を用いて行った。
より詳細には、以下のとおり行った。
試験試料として、本発明の微生物資材(実施例1)、甘糖くん(比較例1、関東農産製)、カリカリ太郎(比較例2、豊徳製)、みみず太郎(比較例3、豊徳製)を用いた。
フザリウム耐性試験によるPSVの測定は、上述した方法により行った。
実験結果を表2〜5に示す。
Figure 2019043827
Figure 2019043827
Figure 2019043827
Figure 2019043827
その結果、本発明の微生物資材(実施例1)については、10希釈液では殆どフザリウム菌の伸長が認めらなかったものの、10希釈液ではフザリウム菌の伸長が大きくなっていた。PSVは77.1であった。
甘糖くん(比較例1)については、10希釈液では殆どフザリウム菌の伸長が認められなかったものの、10希釈以上ではフザリウム菌の伸長が大きくなっていた。PSVは62.6であった。
カリカリ太郎(比較例2)については、10希釈液では殆どフザリウム菌の伸長が認められなかったものの、10希釈以上ではフザリウム菌の伸長が大きくなっていた。PSVは56.2であった。
みみず太郎(比較例3)については、10希釈液では殆どフザリウム菌の伸長が認められなかったものの、10希釈以上ではフザリウム菌の伸長が大きくなっていた。PSVは51.3であった。
一般に、PSVが70以上であれば、病原菌に対する抑止力に非常に優れるといわれている。したがって、本発明の微生物資材(実施例1)は、病原菌に対する抑止力に非常に優れることが確認された。
試験例2:本発明の微生物資材の土壌微生物多様性・活性値の調査
微生物多様性の調査は、DGCテクノロジー(株)に依頼して土壌微生物多様性・活性値を評価することにより行った。土壌微生物多様性・活性値は、微生物群集の有機物分解活性の多様性と高さを数値化した指標である。特定の菌を検出したり、菌の量をはかるものではなく、土の中に生息している微生物全体の能力を評価するもので、土壌の生物性を客観的に評価することが可能である。
土壌微生物多様性・活性値の高い土は、土壌消毒しなくても連作障害を起こしにくい、病気にかかりにくいことが判明している。また、土壌微生物多様性・活性値は、土壌の硬度とも関係性があり、土壌微生物多様性・活性値の高い土は柔らかく、生産物の根の発達が良く、しかも、えぐみの元である硝酸態窒素が生産物に残りにくい傾向にあることが判明している。したがって、土壌微生物多様性・活性値は、健康で高品質な生産物を獲得するための指標となる。
より詳細には、土壌微生物多様性・活性値の評価は、95種類の異なった有機物(微生物のエサ)が入った試験用プレートに、試験試料を中性にして純水で薄めたものを濾過して入れて、48時間後に測定し、各有機物が分解される速度を調べることにより行った。微生物によって分解できる有機物の種類は異なっているため、たくさんの種類の有機物が分解できたという実験結果は、たくさんの種類の微生物が存在することを示す。また、有機物の分解速度が速いという実験結果は、それだけ微生物が活発に働いていることを示す。本方法については、例えば、国際公開第2011/092860号を参照のこと。
実験結果を表6に示す。
Figure 2019043827
その結果、実施例1の微生物資材については、微生物多様性の高いものが得られ、2ヶ月放置後においても190万以上の値を確保していた。したがって、実施例1の微生物資材には、枯草菌、トリコデルマなどの芽胞がまだ存在しており、放線菌類もある程度増加したままになっていると考えられる。
以上より、本発明の微生物資材は土壌微生物多様性に優れることが確認された。また、ミミズ糞土の中にある芽胞菌の有効利用を行うには乾燥させて終盤の堆肥発酵に添加すると(重量あたりの菌数も増えて)効果があり、作物を定植または播種した後においてはキチン質の影響により放線菌が増加し、通常の資材よりも長く効果が期待できることが確認された。
試験例3:本発明の微生物資材の化学分析
本発明の微生物資材の化学分析は、片倉コープアグリに依頼して評価することにより行った。具体的には、水分量の測定、および、N−P−Kの測定は、肥料等試験法(2016)に従って行った。EC値の測定は、試料20gをビーカーに正確に測り、そこに蒸留水100ml加え2分間撹拌・静地し、上澄み液を導電率メータ(株式会社堀場製作所 ES−51、電極:浸漬形導電率電極 9382−10D)により測定した。歩留まりは、初期の重量−終了時の重量から、容積・嵩比重を用いて重量計算した(その際、水分量は、大きく異ならない限り考慮しなかった)。
分析結果を表7に示す。
Figure 2019043827
本発明の微生物資材は、例えば、堆肥、および肥料(例、造粒することにより元肥と混合して使用できるもの)として有用である。

Claims (14)

  1. みみず糞土の乾燥物を堆肥原料と混合し、混合物を発酵させることを含む、微生物資材の製造方法。
  2. みみず糞土の乾燥物が20重量%以下の水分量を有する、請求項1記載の方法。
  3. 堆肥原料が菌床を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 堆肥原料がキチン質材料および/または米糠を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. キチン質材料が固形材料である、請求項4記載の方法。
  6. 堆肥原料が納豆試料を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 炭化物を混合物に添加することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 炭化物が燻炭である、請求項7記載の方法。
  9. 以下を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法:
    (a)堆肥原料、キチン質材料、および米糠を混合して、第1混合物を得ること;
    (b)第1混合物を発酵させて、第1発酵物を得ること;
    (c)みみず糞土の乾燥物、および納豆試料を第1発酵物と混合して、第2混合物を得ること;
    (d)第2混合物を発酵させて、第2発酵物を得ること;
    (e)みみず糞土の乾燥物を第2発酵物と混合して、第3混合物を得ること;ならびに
    (f)第3混合物を発酵させて、微生物資材として第3発酵物を得ること。
  10. (g)炭化物を第3発酵物と混合して、第4混合物を得ること;および
    (h)第4混合物を発酵させて、微生物資材として第4発酵物を得ること、
    をさらに含む、請求項9記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項記載の方法により得られる微生物資材。
  12. みみず糞土塊、およびキチン質材料を含み、
    フザリウム耐性試験における病原抑止力値(PSV)が64以上である、微生物資材。
  13. 菌床由来の成分、米糠由来の成分、および納豆試料由来の成分からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む、請求項12記載の微生物資材。
  14. 炭化物をさらに含む、請求項12または13記載の微生物資材。
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