JP2019043423A - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】室外熱交換器が着霜することによる暖房能力の低下を、室外膨張弁の弁開度制御によって未然に回避することができる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】室外膨張弁6により放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが所定の閾値Ts1、Ps1以下に低下した場合、若しくは、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値Ts1、Ps1以下に低下すると予測される場合、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
【選択図】図1
【解決手段】室外膨張弁6により放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが所定の閾値Ts1、Ps1以下に低下した場合、若しくは、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値Ts1、Ps1以下に低下すると予測される場合、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ式の空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられて冷媒を放熱させる放熱器(室内熱交換器)と、車室外側に設けられて冷媒を吸熱させる室外熱交換器を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させることで車室内を暖房するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この場合、室外熱交換器の入口には室外膨張弁(減圧手段)が設けられ、この室外膨張弁により室外熱交換器に流入する冷媒を減圧すると共に、室外膨張弁の弁開度で放熱器の出口における冷媒の過冷却度(冷媒過冷却度)を制御していた。
ここで、室外熱交換器では冷媒が蒸発して外気から吸熱するため、室外熱交換器の温度(冷媒の蒸発温度)が外気の霜点温度以下になると、外気中の水分が霜となって室外熱交換器に成長し、外気と冷媒との熱交換性能を悪化させるようになる。
一方で、室外膨張弁の弁開度は大きい方が、室外熱交換器の温度低下が抑制されるため、室外熱交換器への着霜も生じ難くなる。図12はこの種の車両用空気調和装置の暖房運転時における、室外膨張弁の弁開度が大きい場合(L1)と、小さい場合(L2)のp−h線図をそれぞれ示している。尚、このp−h線図中のL1とL2は、それぞれ吸込冷媒圧力が同じ圧力となるまで圧縮機を回転させた場合を示している。この図からも明らかな如く、室外膨張弁の弁開度が小さい方が(L2)、大きい場合(L1)に比べてエンタルピー差を大きくとれるため、運転効率(COP)は良くなる。しかしながら、弁開度が大きい場合(L1)と比べて、弁開度が小さい場合(L2)は冷媒循環量が減少するため、外気からの吸熱量が少なくなる。そのため、仮に弁開度が大きい場合(L1)と同等の吸熱量にするには、室外熱交換器の温度が低くなって着霜し易くなる。
他方、室外膨張弁の弁開度が大きい場合(L1)、圧縮機の吸込冷媒圧力が上昇し、吸込冷媒温度も上昇して、圧縮機の回転数が上昇する。これにより、冷媒の流量が増加し、圧縮機の吐出冷媒圧力が上昇するため、エンタルピー差が小さくても外気からの吸熱量は大きくなり、暖房能力が増大する。そして、室外熱交換器の温度低下も抑制されるので着霜し難くなる。
そこで、前記特許文献では室外熱交換器に着霜が生じ、所定の着霜量に達した場合に、室外膨張弁(減圧手段)の弁開度を大きくするようにしていたが、室外熱交換器には着霜が生じてしまっているので、何れにしても外気との熱交換性能は低下するという問題があった。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、室外熱交換器が着霜することによる暖房能力の低下を、室外膨張弁の弁開度制御によって未然に回避することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、放熱器を経て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させることで車室内を暖房するものであって、制御装置は、室外膨張弁により放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが所定の閾値以下に低下した場合、若しくは、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下すると予測される場合、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、圧縮機の起動直後に、外気温度Tam、圧縮機の制御上の上限回転数NCmax、空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、放熱器の冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てに基づき、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの予測値を算出すると共に、当該予測値と閾値に基づいて、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下するか否かを予測することを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御装置は、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの閾値からの低下度合に応じて、室外膨張弁の制御上の下限開度を変更することを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、請求項1又は請求項2の発明において制御装置は、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと閾値との偏差eに基づくフィードバック演算により、室外膨張弁の制御上の下限開度を算出することを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、放熱器を経て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させることで車室内を暖房するものであって、空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、制御装置は、室外膨張弁により放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、放熱器の最大暖房能力Qmaxと、補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合、又は、TGQ>Qmaxとなった場合、若しくは、TGQ>QPTCmaxとなった場合、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする。
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、放熱器を経て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させることで車室内を暖房するものであって、制御装置は、室外膨張弁により放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、室外熱交換器の温度TXOと霜点温度Tfrostに基づき、当該室外熱交換器への着霜が予測される場合、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、TXO<Tfrost、又は、TXO<(Tfrost+所定の余裕度α)となった場合、室外熱交換器に着霜すると予測することを特徴とする。
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、放熱器を経て室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させることで車室内を暖房する車両用空気調和装置では、制御装置が、室外膨張弁により放熱器の冷媒過冷却度SCを制御している場合、室外熱交換器の温度が低下して着霜が生じ易い状況になると、圧縮機の吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psが低下して来る。
そこで、請求項1の発明では、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが所定の閾値以下に低下した場合、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更するようにしたので、室外熱交換器の温度の低下を抑制して、着霜の発生を未然に回避若しくは抑制することができるようになる。
又は、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下すると予測される場合に、制御装置が室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更するようにすれば、例えば、圧縮機の起動時の状況によっては早期に吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下すると予測される場合に、予め室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更しておくことで、室外熱交換器の温度の低下を早い段階で抑制し、着霜の発生を予防することができるようになる。
これらにより、室外熱交換器の着霜に伴う暖房能力の低下が未然に回避されるのに加え、制御装置が放熱器の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁の弁開度を拡大し、冷媒流量を増加させるかたちとなるので、暖房能力も増大させることができるようになるものである。
請求項2の発明によれば上記に加えて制御装置が、圧縮機の起動直後に、外気温度Tam、圧縮機の制御上の上限回転数NCmax、空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、放熱器の冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てに基づき、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの予測値を算出すると共に、当該予測値と閾値に基づいて、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下するか否かを予測するようにしたので、圧縮機の起動後に吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値以下に低下するか否かを的確に予測することができるようになる。
以上の発明において、請求項3の発明の如く制御装置が、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの閾値からの低下度合に応じて、室外膨張弁の制御上の下限開度を変更することにより、或いは、請求項4の発明の如く、圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと閾値との偏差eに基づくフィードバック演算により、室外膨張弁の制御上の下限開度を算出するようにすることにより、室外膨張弁の下限開度を最適な値に変更して、運転効率の低下を最小限に抑えることができるようになる。
また、空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備えている場合は、請求項5の発明の如く、暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、放熱器の最大暖房能力Qmaxと、補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合、制御装置が、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することでも、放熱器の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁の弁開度を拡大するかたちとなるので、室外熱交換器への着霜を未然に回避若しくは抑制し、且つ、冷媒流量を増加させ、暖房能力も増大させることができるようになる。
この場合、TGQ>Qmaxとなった場合に、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更し、補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxに拘わらず、暖房能力を増大させるようにしてもよい。また、例えば補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxが小さいときには、TGQ>QPTCmaxとなった場合に、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することで、予め室外膨張弁の弁開度を拡大しておき、室外熱交換器の温度が下がり難い状態としておくことができる。これにより、補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxが小さい場合にも、室外熱交換器への着霜の発生を効果的に抑制することができるようになるものである。
更に、請求項6の発明の如く、室外熱交換器の温度TXOと霜点温度Tfrostに基づき、当該室外熱交換器への着霜が予測される場合、制御装置が、室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することでも、放熱器の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁の弁開度を拡大するかたちとなるので、室外熱交換器への着霜を未然に回避若しくは抑制し、且つ、冷媒流量を増加させ、暖房能力も増大させることができるようになる。
この場合、請求項7の発明の如く制御装置が、TXO<Tfrost、又は、TXO<(Tfrost+所定の余裕度α)となった場合、室外熱交換器に着霜すると予測することで、室外熱交換器への着霜の発生を的確に予測することができるようになるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、バッテリに充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。
即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房モードを行い、更に、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを選択的に実行するものである。
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6(減圧装置)と、車室外に設けられて冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8(機械式膨張弁等の減圧装置でもよい)と、空気流通路3内に設けられ、冷房時及び除湿時に冷媒を吸熱させて車室内外から吸い込んで車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
そして、この冷媒回路Rには所定量の冷媒と潤滑用のオイルが充填されている。尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房時に開放される電磁弁17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口側の冷媒配管13Bは室内膨張弁8介して吸熱器9の入口側に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成している。
また、過冷却部16と室内膨張弁8間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側の冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷媒配管13Dに分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。この冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の入口側に接続されている。
また、圧縮機2の吐出側と放熱器4の入口側の間の冷媒配管13Gには後述する除湿暖房とMAX冷房時に閉じられる電磁弁30(流路切換装置を構成する)が介設されている。この場合、冷媒配管13Gは電磁弁30の上流側でバイパス配管35に分岐しており、このバイパス配管35は除湿暖房とMAX冷房時に開放される電磁弁40(これも流路切換装置を構成する)を介して室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに連通接続されている。これらバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45が構成される。
このようなバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45を構成したことで、後述する如く圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7に直接流入させる除湿暖房モードやMAX冷房モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4に流入させる暖房モードや除湿冷房モード、冷房モードとの切り換えを円滑に行うことができるようになる。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給し、吸熱器9に通風するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
また、図1において23は、実施例の車両用空気調和装置1に設けられた補助加熱装置としての補助ヒータである。実施例の補助ヒータ23は電気ヒータであるPTCヒータにて構成されており、空気流通路3の空気の流れに対して、放熱器4の風上側(空気上流側)となる空気流通路3内に設けられている。そして、補助ヒータ23に通電されて発熱すると、吸熱器9を経て放熱器4に流入する空気流通路3内の空気が加熱される。即ち、この補助ヒータ23が所謂ヒータコアとなり、車室内の暖房を行い、或いは、それを補完する。
ここで、HVACユニット10の吸熱器9より風下側(空気下流側)の空気流通路3は仕切壁10Aにより区画され、暖房用熱交換通路3Aとそれをバイパスするバイパス通路3Bとが形成されており、前述した放熱器4と補助ヒータ23は暖房用熱交換通路3Aに配置されている。
また、補助ヒータ23の風上側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を、補助ヒータ23及び放熱器4が配置された暖房用熱交換通路3Aに通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。
更に、放熱器4の風下側におけるHVACユニット10には、FOOT(フット)吹出口29A(第1の吹出口)、VENT(ベント)吹出口29B(FOOT吹出口29Aに対しては第2の吹出口、DEF吹出口29Cに対しては第1の吹出口)、DEF(デフ)吹出口29C(第2の吹出口)の各吹出口が形成されている。FOOT吹出口29Aは車室内の足下に空気を吹き出すための吹出口で、最も低い位置にある。また、VENT吹出口29Bは車室内の運転者の胸や顔付近に空気を吹き出すための吹出口で、FOOT吹出口29Aより上方にある。そして、DEF吹出口29Cは車両のフロントガラス内面に空気を吹き出すための吹出口で、他の吹出口29A、29Bよりも上方の最も高い位置にある。
そして、FOOT吹出口29A、VENT吹出口29B、及び、DEF吹出口29Cには、空気の吹き出し量を制御するFOOT吹出口ダンパ31A、VENT吹出口ダンパ31B、及び、DEF吹出口ダンパ31Cがそれぞれ設けられている。
次に、図2は実施例の車両用空気調和装置1の制御装置11のブロック図を示している。制御装置11は、何れもプロセッサを備えたコンピュータの一例であるマイクロコンピュータから構成された空調コントローラ20及びヒートポンプコントローラ32から構成されており、これらがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を構成する車両通信バス65に接続されている。また、圧縮機2と補助ヒータ23も車両通信バス65に接続され、これら空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32、圧縮機2及び補助ヒータ23が車両通信バス65を介してデータの送受信を行うように構成されている。
空調コントローラ20は、車両の車室内空調の制御を司る上位のコントローラであり、この空調コントローラ20の入力には、車両の外気温度Tamを検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれて吸熱器9に流入する空気の温度(吸込空気温度Tas)を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度(室内温度Tin)を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ42と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52の各出力と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調(エアコン)操作部53が接続されている。
また、空調コントローラ20の出力には、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、各吹出口ダンパ31A〜31Cが接続され、それらは空調コントローラ20により制御される。
ヒートポンプコントローラ32は、主に冷媒回路Rの制御を司るコントローラであり、このヒートポンプコントローラ32の入力には、圧縮機2の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力Psを検出する吸込圧力センサ44と、圧縮機2の吸込冷媒温度Tsを検出する吸込温度センサ55と、放熱器4の冷媒温度(放熱器4の出口側及び/又は入口側の冷媒温度:放熱器温度TCI)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力PCI(放熱器4の出口側の冷媒圧力:放熱器圧力PCI)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の冷媒温度(吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力を検出する吸熱器圧力センサ49と、補助ヒータ23の温度(補助ヒータ温度Tptc)を検出する補助ヒータ温度センサ50と、室外熱交換器7の出口の冷媒温度(室外熱交換器温度TXO)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の出口の冷媒圧力(室外熱交換器圧力PXO)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
また、ヒートポンプコントローラ32の出力には、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、電磁弁30(リヒート用)、電磁弁17(冷房用)、電磁弁21(暖房用)、電磁弁40(バイパス用)の各電磁弁が接続され、それらはヒートポンプコントローラ32により制御される。尚、圧縮機2と補助ヒータ23はそれぞれコントローラを内蔵しており、圧縮機2と補助ヒータ23のコントローラは車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32とデータの送受信を行い、このヒートポンプコントローラ32によって制御される。
ヒートポンプコントローラ32と空調コントローラ20は車両通信バス65を介して相互にデータの送受信を行い、各センサの出力や空調操作部53にて入力された設定に基づき、各機器を制御するものであるが、この場合の実施例では外気温度センサ33、吐出圧力センサ42、車速センサ52、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga(空調コントローラ20が算出)、エアミックスダンパ28による風量割合SW(空調コントローラ20が算出)、空調操作部53の出力は空調コントローラ20から車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32に送信され、ヒートポンプコントローラ32による制御に供される構成とされている。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。この実施例では制御装置11(空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32)は、暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードにおける冷媒の流れと制御の概略について説明する。
(1)暖房モード
ヒートポンプコントローラ32により(オートモード)或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁30(リヒート用)を開放し、電磁弁40(バイパス用)を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量を調整してもよい。
ヒートポンプコントローラ32により(オートモード)或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁30(リヒート用)を開放し、電磁弁40(バイパス用)を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量を調整してもよい。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は当該放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)にて加熱された空気は各吹出口29A〜29Cから吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は、空調コントローラ20が目標吹出温度TAOから算出する目標ヒータ温度TCO(後述する加熱温度THの目標値)から目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は、放熱器温度センサ46が検出する放熱器4の冷媒温度(放熱器温度TCI)及び放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度(冷媒過冷却度SC)を制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32はこの暖房モードにおいては、車室内空調に要求される暖房能力に対して放熱器4による暖房能力が不足する場合、その不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完するように補助ヒータ23の通電を制御する。それにより、快適な車室内暖房を実現し、且つ、室外熱交換器7の着霜も抑制する。このとき、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、空気流通路3を流通する空気は放熱器4の前に補助ヒータ23に通風されることになる。
ここで、補助ヒータ23が放熱器4の空気下流側に配置されていると、実施例の如くPTCヒータで補助ヒータ23を構成した場合には、補助ヒータ23に流入する空気の温度が放熱器4によって上昇するため、PTCヒータの抵抗値が大きくなり、電流値も低くなって発熱量が低下してしまうが、放熱器4の空気上流側に補助ヒータ23を配置することで、実施例の如くPTCヒータから構成される補助ヒータ23の能力を十分に発揮させることができるようになる。
(2)除湿暖房モード
次に、除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
次に、除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却され、且つ、当該空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は冷却され、且つ、除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
このとき、室外膨張弁6の弁開度は全閉とされているので、圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。更に、この除湿暖房モードにおいてヒートポンプコントローラ32は、補助ヒータ23に通電して発熱させる。これにより、吸熱器9にて冷却され、且つ、除湿された空気は補助ヒータ23を通過する過程で更に加熱され、温度が上昇するので車室内の除湿暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と、空調コントローラ20が算出する吸熱器温度Teの目標値(吸熱器9の目標温度)である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱による加熱)を制御することで、吸熱器9での空気の冷却と除湿を適切に行いながら、補助ヒータ23による加熱で各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出される空気温度の低下を的確に防止する。これにより、車室内に吹き出される空気を除湿しながら、その温度を適切な暖房温度に制御することが可能となり、車室内の快適且つ効率的な除湿暖房を実現することができるようになる。
尚、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、補助ヒータ23で加熱された空気は放熱器4を通過することになるが、この除湿暖房モードでは放熱器4に冷媒は流されないので、補助ヒータ23にて加熱された空気から放熱器4が吸熱してしまう不都合も解消される。即ち、放熱器4によって車室内に吹き出される空気の温度が低下してしまうことが抑制され、COPも向上することになる。
(3)除湿冷房モード
次に、除湿冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を開放し、電磁弁40を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
次に、除湿冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を開放し、電磁弁40を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。この除湿冷房モードではヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ23に通電しないので、吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)される。これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値(吸熱器9の目標温度)である目標吸熱器温度TEO(空調コントローラ20から送信される)に基づいて圧縮機2の回転数NC(圧縮機2の能力)を制御する。即ち、吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEOより高いときは圧縮機2の回転数NCを上昇させ、吸熱器温度Teが目標吸熱器温度TEOより低いときには回転数NCを低下させる。また、ヒートポンプコントローラ32は前述した目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCOを算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4による加熱を制御する。
ここで、実施例ではヒートポンプコントローラ32は、放熱器温度TCIの目標値である目標ヒータ温度TCOから算出された目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力PCIとに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御するようにしているが、放熱器温度TCIと目標ヒータ温度TCOとに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御するようにしても良い。何れにしてもヒートポンプコントローラ32は、放熱器4の圧力(又は温度)が目標値より低いときには室外膨張弁6の弁開度を小さくする。室外膨張弁6の弁開度が小さくなると放熱器4における冷媒過冷却度SCが大きくなるので、放熱器4の温度が上がって加熱能力は大きくなる。一方、目標値より高い場合には室外膨張弁6の弁開度を大きくして放熱器4の温度を下げ、加熱能力を小さくする。
(4)冷房モード
次に、冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において室外膨張弁6の弁開度を全開とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
次に、冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において室外膨張弁6の弁開度を全開とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入すると共に、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。このとき室外膨張弁6は全開とされているので冷媒はそれを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着する。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので(一部は放熱器4を通過して熱交換する)、これにより車室内の冷房が行われることになる。また、この冷房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(5)MAX冷房モード(最大冷房モード)
次に、最大冷房モードとしてのMAX冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
次に、最大冷房モードとしてのMAX冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、同様に圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。
ここで、前述した冷房モードでは放熱器4に高温の冷媒が流れているため、放熱器4からHVACユニット10への直接の熱伝導が少なからず生じるが、このMAX冷房モードでは放熱器4に冷媒が流れないため、放熱器4からHVACユニット10に伝達される熱で吸熱器9からの空気流通路3内の空気が加熱されることも無くなる。そのため、車室内の強力な冷房が行われ、特に外気温度Tamが高いような環境下では、迅速に車室内を冷房して快適な車室内空調を実現することができるようになる。また、このMAX冷房モードにおいても、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(6)補助ヒータ単独モード
尚、実施例の制御装置11は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合にも、ヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
尚、実施例の制御装置11は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合にも、ヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
また、空調コントローラ20は室内送風機27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出された空気流通路3内の空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23に通風し、風量を調整する状態とする。補助ヒータ23にて加熱された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
(7)運転モードの切換
空調コントローラ20は、下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、車室内に吹き出される空気の温度の目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する室内温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
空調コントローラ20は、下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、車室内に吹き出される空気の温度の目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する室内温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
ヒートポンプコントローラ32は、起動時には空調コントローラ20から車両通信バス65を介して送信される外気温度Tam(外気温度センサ33が検出する)と目標吹出温度TAOとに基づいて上記各運転モードのうちの何れかの運転モードを選択すると共に、各運転モードを車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信する。また、起動後は外気温度Tam、車室内の湿度、目標吹出温度TAO、後述する加熱温度TH(放熱器4の風下側の空気の温度。推定値)、目標ヒータ温度TCO、吸熱器温度Te、目標吸熱器温度TEO、車室内の除湿要求の有無、等のパラメータに基づいて各運転モードの切り換えを行うことで、環境条件や除湿の要否に応じて的確に暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード及び補助ヒータ単独モードを切り換えて車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOに制御し、快適且つ効率的な車室内空調を実現するものである。
(8)ヒートポンプコントローラ32による暖房モードでの圧縮機2の制御
次に、図4を用いて前述した暖房モードにおける圧縮機2の制御について詳述する。図4は暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(TH−Te)で得られるエアミックスダンパ28による風量割合SWと、放熱器4の出口における冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCと、後述する加熱温度THの目標値である前述した目標ヒータ温度TCO(空調コントローラ20から送信される)と、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
次に、図4を用いて前述した暖房モードにおける圧縮機2の制御について詳述する。図4は暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(TH−Te)で得られるエアミックスダンパ28による風量割合SWと、放熱器4の出口における冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCと、後述する加熱温度THの目標値である前述した目標ヒータ温度TCO(空調コントローラ20から送信される)と、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
ここで、風量割合SWを算出する上記THは、放熱器4の風下側の空気の温度(加熱温度と称する)であり、ヒートポンプコントローラ32が下記に示す一次遅れ演算の式(II)から推定する。
TH=(INTL×TH0+Tau×THz)/(Tau+INTL) ・・(II)
ここで、INTLは演算周期(定数)、Tauは一次遅れの時定数、TH0は一次遅れ演算前の定常状態における加熱温度THの定常値、THzは加熱温度THの前回値である。このように加熱温度THを推定することで、格別な温度センサを設ける必要がなくなる。
TH=(INTL×TH0+Tau×THz)/(Tau+INTL) ・・(II)
ここで、INTLは演算周期(定数)、Tauは一次遅れの時定数、TH0は一次遅れ演算前の定常状態における加熱温度THの定常値、THzは加熱温度THの前回値である。このように加熱温度THを推定することで、格別な温度センサを設ける必要がなくなる。
尚、ヒートポンプコントローラ32は前述した運転モードによって上記時定数Tau及び定常値TH0を変更することにより、上述した推定式(II)を運転モードによって異なるものとし、加熱温度THを推定する。そして、この加熱温度THは車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信される。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標冷媒過冷却度TGSCと目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部59が演算する。更に、F/B(フィードバック)操作量演算部60はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器4の冷媒圧力である放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを演算する。そして、F/F操作量演算部58が演算したF/F操作量TGNChffとF/B操作量演算部60が演算したTGNChfbは加算器61で加算され、リミット設定部62で制御上の上限回転数NCmaxと制御上の下限回転数NCminのリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。前記暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNChに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(9)エアミックスダンパ28の制御
次に、図3を参照しながら空調コントローラ20によるエアミックスダンパ28の制御について説明する。図3においてGaは前述した空気流通路3に流入した空気の体積風量、Teは吸熱器温度、THは前述した加熱温度(放熱器4の風下側の空気の温度)である。
次に、図3を参照しながら空調コントローラ20によるエアミックスダンパ28の制御について説明する。図3においてGaは前述した空気流通路3に流入した空気の体積風量、Teは吸熱器温度、THは前述した加熱温度(放熱器4の風下側の空気の温度)である。
空調コントローラ20は、前述した如き式(下記式(III))により算出される暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWに基づき、当該割合の風量となるようにエアミックスダンパ28を制御することで放熱器4(及び補助ヒータ23)への通風量を調整する。
SW=(TAO−Te)/(TH−Te) ・・(III)
SW=(TAO−Te)/(TH−Te) ・・(III)
即ち、暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWは0≦SW≦1の範囲で変化し、「0」で暖房用熱交換通路3Aへの通風をせず、空気流通路3内の全ての空気をバイパス通路3Bに通風するエアミックス全閉状態、「1」で空気流通路3内の全ての空気を暖房用熱交換通路3Aに通風するエアミックス全開状態となる。即ち、放熱器4への風量はGa×SWとなる。
(10)ヒートポンプコントローラ32による暖房モードでの室外膨張弁6の制御
次に、図5は前述した暖房モードにおける室外膨張弁6の目標開度(室外膨張弁目標開度)TGECCVscを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。
次に、図5は前述した暖房モードにおける室外膨張弁6の目標開度(室外膨張弁目標開度)TGECCVscを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。
(10−1)暖房モードでの室外膨張弁6による放熱器4の冷媒過冷却度SCの制御
先ず、ヒートポンプコントローラ32が行う室外膨張弁6の弁開度制御による放熱器4の冷媒過冷却度SCの基本的な制御について説明する。ヒートポンプコントローラ32のF/F操作量演算部63は、放熱器4の出口における冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCと、放熱器温度TCI及び飽和温度TsatuPCIからSC演算部64が演算する放熱器4の出口における実際の冷媒過冷却度SCと、目標放熱器圧力PCOと、空気流通路3に流入した空気の体積風量Gaと、外気温度Tamに基づいて室外膨張弁目標開度のF/F操作量TGECCVffを演算する。
先ず、ヒートポンプコントローラ32が行う室外膨張弁6の弁開度制御による放熱器4の冷媒過冷却度SCの基本的な制御について説明する。ヒートポンプコントローラ32のF/F操作量演算部63は、放熱器4の出口における冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCと、放熱器温度TCI及び飽和温度TsatuPCIからSC演算部64が演算する放熱器4の出口における実際の冷媒過冷却度SCと、目標放熱器圧力PCOと、空気流通路3に流入した空気の体積風量Gaと、外気温度Tamに基づいて室外膨張弁目標開度のF/F操作量TGECCVffを演算する。
また、F/B操作量演算部66は目標冷媒過冷却度TGSCと冷媒過冷却度SCに基づき、実施例ではそれらの偏差eによるPI制御によって室外膨張弁目標開度のF/B操作量TGECCVfbを演算する。このF/B操作量演算部66で算出されたF/B操作量TGECCVfbとF/F操作量演算部63で算出されたF/F操作量TGECCVffは加算器67で加算され、リミット設定部68で制御上の上限開度ECCVmaxと制御上の下限開度ECCVmin(何れも通常時の値)のリミットが付けられた後、室外膨張弁目標開度TGECCVとして決定される。
暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32は基本的にはこの室外膨張弁目標開度TGECCVに基づいて室外膨張弁6の弁開度を細かく制御することにより、放熱器4の出口における冷媒過冷却度SCを目標冷媒過冷却度TGSCに制御する。尚、F/B操作量演算部66における演算はPI制御に限らず、PID制御であってもよい。
(10−2)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御(その1)
上述した如くヒートポンプコントローラ32は、暖房モードでは室外膨張弁6の弁開度が、図5の機能ブロックで算出された室外膨張弁目標開度TGECCVとなるように制御することで、放熱器4の冷媒過冷却度SCを目標冷媒過冷却度TGSCに制御しているが、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器温度TXO)が低下してくると着霜が生じ易くなる。
上述した如くヒートポンプコントローラ32は、暖房モードでは室外膨張弁6の弁開度が、図5の機能ブロックで算出された室外膨張弁目標開度TGECCVとなるように制御することで、放熱器4の冷媒過冷却度SCを目標冷媒過冷却度TGSCに制御しているが、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器温度TXO)が低下してくると着霜が生じ易くなる。
そこで、この実施例ではヒートポンプコントローラ32は、暖房モードでの運転中に吸込温度センサ55が検出する圧縮機2の吸込冷媒温度Tsが所定の閾値Ts1以下に低下した場合、又は、吸込圧力センサ44が検出する圧縮機2の吸込冷媒圧力Psが所定の閾値Ps1以下に低下した場合、図5のリミット設定部68における室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを、通常の値より大きくする方向で変更する。
ここで、上記閾値Ts1や閾値Ps1は所定の低い値(閾値Ts1は例えば−20℃、閾値Ps1は例えば0.03MPaG等)であり、実際には室外熱交換器7に着霜が生じるようになる前、若しくは、生じるようになる吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psの値を予め実験により求め、それらの値、又は、それに所定の余裕度βを持たせた値を閾値Ts1、Ps1として決定し、ヒートポンプコントローラ32に予め設定しておく。
また、ヒートポンプコントローラ32により室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更は、所定ステップ分弁開度を拡大するか、又は、上限開度ECCVmaxに近い所定の開き側の開度まで拡大するか、或いは、上限開度ECCVmaxと同じまで大きくするか、の何れかであり、実施例では下限開度ECCVminを上限開度ECCVmaxまで大きくする。即ち、その場合、室外膨張弁目標開度TGECCVは、冷媒過冷却度SCを制御するために加算器67で加算された値(F/B操作量TGECCVfb+F/F操作量TGECCVff)に拘わらず、或いは、それに代えて上限開度ECCVmaxに固定されることになる。
このように室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminが大きくなる方向に変更されることで、図12にL1で示した如く圧縮機2の吸込冷媒圧力Psが上昇し、吸込冷媒温度Tsも上昇して、圧縮機2の回転数NCが上昇する。これにより、冷媒回路R内の冷媒の流量が増加し、圧縮機2の吐出冷媒圧力Pdが上昇するため、エンタルピー差が小さくても室外熱交換器7における外気からの冷媒の吸熱量は大きくなり、暖房能力が増大すことになる。
また、室外熱交換器温度TXOの低下も抑制されるので室外熱交換器7は着霜し難くなる。即ち、室外熱交換器7の着霜に伴う暖房能力の低下が未然に回避されるのに加え、ヒートポンプコントローラ32が放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大し、冷媒流量を増加させるかたちとなるので、暖房能力も増大させることができるようになる。
(10−3)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御(その2)
以上のように暖房モードでの運転中、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psに基づいて室外膨張弁6の下限開度ECCVminを変更するものであるが、圧縮機2が停止しているときには運転した場合の吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psは分からない。しかしながら、環境条件によっては起動した後、早期にそれらの値が前述した閾値Ts1やPs1以下に低下してしまう場合もある。
以上のように暖房モードでの運転中、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psに基づいて室外膨張弁6の下限開度ECCVminを変更するものであるが、圧縮機2が停止しているときには運転した場合の吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psは分からない。しかしながら、環境条件によっては起動した後、早期にそれらの値が前述した閾値Ts1やPs1以下に低下してしまう場合もある。
そこで、ヒートポンプコントローラ32は、実施例では下記式(IV)、式(V)を用いて外気温度Tam、圧縮機2の上限回転数NCmax、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga、及び、目標冷媒過冷却度TGSCに基づき、即ち、そのときの環境条件や制御条件に基づいて、圧縮機2の上限回転数NCmaxのときの吸込冷媒温度Ts及び吸込冷媒圧力Psの予測値TspredNCmax及びPspredNCmaxを算出する。
TspredNCmax=f(Tam、NCmax、Ga、TGSC) ・・(IV)
PspredNCmax=f(Tam、NCmax、Ga、TGSC) ・・(V)
TspredNCmax=f(Tam、NCmax、Ga、TGSC) ・・(IV)
PspredNCmax=f(Tam、NCmax、Ga、TGSC) ・・(V)
そして、圧縮機2の起動直後に下記式(VI)、(VII)が成立する場合、その後、早期に吸込冷媒温度Tsや吸込冷媒圧力Psが各閾値Ts1、Ps1以下に低下するものと予測する。
TspredNCmax<Ts1 ・・(VI)
PspredNCmax<Ps1 ・・(VII)
尚、圧縮機2の起動直後とは、起動後の所定の短い期間t1の時点、又は、期間t1以内の所定の時点を意味する。また、式(IV)、(V)中の各パラメータTam、NCmax、Ga、TGSCは、この実施例では全てを用いているが、それに限らず、それらのうちの何れか、又は、それらの組み合わせでもよい。更に、上記式(VI)、(VII)中の<は、≦であってもよいものとする。
TspredNCmax<Ts1 ・・(VI)
PspredNCmax<Ps1 ・・(VII)
尚、圧縮機2の起動直後とは、起動後の所定の短い期間t1の時点、又は、期間t1以内の所定の時点を意味する。また、式(IV)、(V)中の各パラメータTam、NCmax、Ga、TGSCは、この実施例では全てを用いているが、それに限らず、それらのうちの何れか、又は、それらの組み合わせでもよい。更に、上記式(VI)、(VII)中の<は、≦であってもよいものとする。
以上を図6のフローチャートで吸込冷媒温度Tsを例に採って説明する。即ち、ヒートポンプコントローラ32は図6のステップS1で暖房モードを開始した後、ステップS2で外気温度Tam、上限回転数NCmax、体積風量Ga、及び、目標冷媒過冷却度TGSCを読み込む。そして、ステップS3で上記式(IV)を用いて起動直後(起動から期間t1の時点)の吸込冷媒温度Tsの予測値TspredNCmaxを演算し、ステップS4で式(VI)が成立するか否か判断する。
ステップS4で予測値TspredNCmaxが閾値Ts1より小さく、式(VI)が成立した場合、ヒートポンプコントローラ32は、その後、早期に吸込冷媒温度Tsが閾値Ts1以下に低下するものと予測し、ステップS5に進んで図5のリミット設定部68における室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを、前述と同様に通常の値より大きくする方向で変更する。尚、ステップS4で式(VI)が成立しない場合はステップS6に進み、下限開度ECCVminの変更を行わない。そして、図6は吸込冷媒圧力Psの場合も同様である。
このように、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値Ts1、Ps1以下に低下すると予測される場合に、ヒートポンプコントローラ32が室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更するようにすれば、圧縮機2の起動時の状況によっては早期に吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが閾値Ts1、Ps1以下に低下すると予測される場合に、予め室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更しておき、室外熱交換器温度TXOの低下を早い段階で抑制し、着霜の発生を予防することができるようになる。
そして、この場合も室外熱交換器7の着霜に伴う暖房能力の低下が未然に回避されるのに加え、ヒートポンプコントローラ32が放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大し、冷媒流量を増加させるかたちとなるので、暖房能力も増大させることができるようになる。
尚、上記の如く吸込冷媒温度Ts、吸込冷媒圧力Psが各閾値Ts1、Ps1以下に低下し、又は、それらの予測値TspredNCmax、PspredNCmaxに基づいて吸込冷媒温度Ts、吸込冷媒圧力Psが各閾値Ts1、Ps1以下に低下すると予測して室外膨張弁6の下限開度ECCVminを大きくした後、吸込冷媒温度Ts、吸込冷媒圧力Psが所定の復帰用の閾値Ts2(Ts1<Ts2)、Ps2(Ps1<Ps2)以上に上昇した場合、ヒートポンプコントローラ32は下限開度ECCVminを通常時の値に戻すものである。
(11)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御の他の例
次に、図7を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御の他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの各閾値Ts1、Ps1からの低下度合に応じて、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
次に、図7を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御の他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの各閾値Ts1、Ps1からの低下度合に応じて、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
具体的には、図7に示す如く例えば圧縮機2の吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps)が低下して来て閾値Ts1(Ps1)になるまでは、室外膨張弁6の下限開度ECCVminを通常時の下限開度ECCVminとしている。吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps)が閾値Ts1(Ps1)から更に低下した場合、所定の値X1で通常の上限開度ECCVmaxとなるように、吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps1)の閾値Ts1(Ps1)からの低下度合に応じて下限開度ECCVminを大きくしていく。
この状態から吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps)が上昇して来て所定の値X2(X1に所定のヒステリシスを持たせた値。X1<X2)になるまでは、室外膨張弁6の下限開度ECCVminを通常時の上限開度ECCVmaxとし続ける。そして、吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps)が所定値X2から更に上昇した場合、所定の値X3(Ts1、Ps1に所定のヒステリシスを持たせた値。Ts1(Ps1)<X3)で通常の下限開度ECCVminとなるように、吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps1)の所定値X2からの上昇度合に応じて下限開度ECCVminを小さくしていく。
このように、ヒートポンプコントローラ32が、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの閾値Ts1、Ps1からの低下度合に応じて、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを変更するようにすれば、運転効率の低下を最小限に抑えながら室外熱交換器7の着霜を防止若しくは抑制し、暖房能力の向上を図ることができるようになる。
(12)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御のもう一つの他の例
次に、図8を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御のもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと各閾値Ts1、Ps1との偏差eに基づくフィードバック演算により、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを算出する。
次に、図8を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御のもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと各閾値Ts1、Ps1との偏差eに基づくフィードバック演算により、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを算出する。
具体的なヒートポンプコントローラ32の制御ブロックを図8に示す。ヒートポンプコントローラ32は、図8の減算器72で圧縮機2の吸込冷媒温度Ts(吸込冷媒圧力Ps)がと閾値Ts1(Ps1)との偏差e(=Ts1−Ts、又は、Ps1−Ps)を算出する。次に、F/B(フィードバック)操作量演算部73で偏差eに基づく操作量として下限開度ECCVminをフィードバック演算する。
即ち、例えば吸込冷媒温度Tsが低下して閾値Ts1(例えば−20℃)より低くなり、それらの偏差e(Ts1−Ts)が大きくなると、操作量としての下限開度ECCVminも通常時の下限開度ECCVminよりも大きくなる。逆に、吸込冷媒温度Tsが閾値Ts1以上になると、偏差eはマイナスの値となるが、操作量としての下限開度ECCVminは通常時の値より低くしない。
このように、ヒートポンプコントローラ32が、圧縮機2の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと各閾値Ts1、Ps1との偏差eに基づくフィードバック演算により、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを算出するようにすることにより、室外膨張弁6の下限開度ECCVminを最適な値に変更して、運転効率の低下を最小限に抑えながら、室外熱交換器7への着霜を防止若しくは抑制し、暖房能力の向上も図ることができるようになる。
(13)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御の更にもう一つの他の例
次に、図9を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御に関する更にもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、放熱器4の最大暖房能力Qmaxと、補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合に、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
次に、図9を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御に関する更にもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、放熱器4の最大暖房能力Qmaxと、補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合に、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。
具体的な制御の実施例を図9のフローチャートを参照しながら説明する。即ち、ヒートポンプコントローラ32は図9のステップS7で暖房モードを開始した後、ステップS8で外気温度Tam、上限回転数NCmax、体積風量Ga等を読み込み、下記式(VIII)を用いて要求される暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQ(kW)を算出する。
TGQ=(TCO−Te)×Cpa×Ga×γaTe×1.16 ・・(VIII)
尚、Cpaは空気の定圧比熱[kJ/m3・K]、γaTeは空気比重、1.16は単位を合わせるための係数である。
TGQ=(TCO−Te)×Cpa×Ga×γaTe×1.16 ・・(VIII)
尚、Cpaは空気の定圧比熱[kJ/m3・K]、γaTeは空気比重、1.16は単位を合わせるための係数である。
次に、ステップS9で下記式(IX)を用いて放熱器4の最大暖房能力の推定値である最大暖房能力Qmax(kW)を算出する。
Qmax=f(Tam、Ga、NCmax、Tptc−Te) ・・(IX)
尚、QPTCmaxは補助ヒータ23の能力から算出する。そして、ステップS10でTGQ>(Qmax+QPTCmax)となったか否か判断する。
Qmax=f(Tam、Ga、NCmax、Tptc−Te) ・・(IX)
尚、QPTCmaxは補助ヒータ23の能力から算出する。そして、ステップS10でTGQ>(Qmax+QPTCmax)となったか否か判断する。
ステップS10で目標暖房能力TGQが放熱器4の最大暖房能力Qmaxと補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxの和より大きくなった場合、ヒートポンプコントローラ32は、放熱器4と補助ヒータ23による最大の暖房能力が目標暖房能力に不足し、室外熱交換器7にも着霜が生じ易くなるものと判断し、ステップS11に進んで図5のリミット設定部68における室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを、前述と同様に通常の値より大きくする方向で変更する。尚、ステップS10でTGQ≦(Qmax+QPTCmax)であった場合はステップS12に進み、下限開度ECCVminの変更を行わない。
実施例のように、空気流通路3から車室内に供給する空気を加熱するための補助ヒータ23を備えている場合は、この実施例のように暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、放熱器4の最大暖房能力Qmaxと、補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合、ヒートポンプコントローラ32が、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更することにより、放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大し、室外熱交換器7への着霜を未然に回避若しくは抑制し、且つ、冷媒回路R内の冷媒流量を増加させ、放熱器4の暖房能力も増大させることができるようになる。
この実施例ではTGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合に室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更するようにしたが、それに限らず、目標暖房能力TGQが放熱器4の最大暖房能力Qmaxより大きくなったこと(TGQ>Qmax)で室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更するようにしてもよい。即ち、補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxに拘わらず、暖房能力を増大させるようにしてもよい。
また、例えば補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxが小さいときには、目標暖房能力TGQが補助ヒータ23最大暖房能力QPTCmaxより大きくなったこと(TGQ>QPTCmax)で室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更するようにしてもよい。その場合には、予め室外膨張弁6の弁開度を拡大しておき、室外熱交換器7の温度が下がり難い状態としておくことができ、補助ヒータ23の最大暖房能力QPTCmaxが小さい場合にも、その後に室外熱交換器7に着霜が発生することを効果的に抑制することができるようになる。
(14)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御の更にもう一つの他の例
次に、図10を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御に関する更にもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は室外熱交換器7の温度(室外熱交換器温度TXO)と霜点温度Tfrostに基づき、TXO<(Tfrost+α)となった場合に、室外熱交換器7への着霜が予測されると判断して室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。尚、上記αは所定の余裕度であり、必要が無い場合には、TXO<Tfrost(即ち、α=0)で判断してもよい。
次に、図10を参照しながら暖房モードでのヒートポンプコントローラ32による室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御に関する更にもう一つの他の実施例について説明する。この実施例では、ヒートポンプコントローラ32は室外熱交換器7の温度(室外熱交換器温度TXO)と霜点温度Tfrostに基づき、TXO<(Tfrost+α)となった場合に、室外熱交換器7への着霜が予測されると判断して室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更する。尚、上記αは所定の余裕度であり、必要が無い場合には、TXO<Tfrost(即ち、α=0)で判断してもよい。
具体的な制御の実施例を図10のフローチャートを参照しながら説明する。即ち、ヒートポンプコントローラ32は図10のステップS13で外気温度センサ33が検出する車両の外気温度Tamと、外気湿度センサ34が検出する車両の外気湿度(何れも空調コントローラ20から送信される)から、室外熱交換器7に霜が生じる当該室外熱交換器7周囲の外気の温度(外気中の水蒸気圧が氷の飽和水蒸気圧と等しくなる温度)である霜点温度Tfrostを算出する。この霜点温度Tfrostの算出方法は一般的なものであるので、説明を省略する。
次に、ステップS14で室外熱交換器温度センサ54が検出する室外熱交換器温度TXOを取り込み、ステップS15でTXO<(Tfrost+α)となったか否か判断する。そして、ステップS15で室外熱交換器温度TXOが霜点温度Tfrost+αより低くなった場合、ヒートポンプコントローラ32は、室外熱交換器7に着霜すると予測してステップS16に進み、図5のリミット設定部68における室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを、前述と同様に通常の値より大きくする方向で変更する。尚、ステップS15でTXO≧(Tfrost+α)である場合はステップS17に進み、下限開度ECCVminの変更を行わない。
このように、この実施例では室外熱交換器温度TXOと霜点温度Tfrostに基づき、室外熱交換器7への着霜が予測される場合、ヒートポンプコントローラ32が、室外膨張弁6の制御上の下限開度ECCVminを大きくする方向で変更するので、放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大するかたちとなり、室外熱交換器7への着霜を未然に回避若しくは抑制し、且つ、冷媒回路Rの冷媒流量を増加させ、暖房能力も増大させることができるようになる。
特に、実施例ではヒートポンプコントローラ32が、TXO<Tfrost、又は、TXO<(Tfrost+所定の余裕度α)となった場合、室外熱交換器7に着霜すると予測するようにしているので、室外熱交換器7への着霜の発生を的確に予測することができるようになる。
次に、図11は本発明を適用した他の実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。尚、この図において図1と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものである。この実施例の場合、過冷却部16の出口は逆止弁18に接続され、この逆止弁18の出口が冷媒配管13Bに接続されている。尚、逆止弁18は冷媒配管13B(室内膨張弁8)側が順方向とされている。
また、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で分岐しており、この分岐した冷媒配管(以下、第2のバイパス配管と称する)13Fは電磁弁22(除湿用)を介して逆止弁18の下流側の冷媒配管13Bに連通接続されている。更に、吸熱器9の出口側の冷媒配管13Cには、内部熱交換器19の冷媒下流側であって、冷媒配管13Dとの合流点より冷媒上流側に蒸発圧力調整弁70が接続されている。
そして、これら電磁弁22や蒸発圧力調整弁70もヒートポンプコントローラ32の出力に接続されている。尚、前述の実施例の図1中のバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40から成るバイパス装置45は設けられていない。その他は図1と同様であるので説明を省略する。
以上の構成で、この実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。ヒートポンプコントローラ32はこの実施例では、暖房モード、除湿暖房モード、内部サイクルモード、除湿冷房モード、冷房モード及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する(MAX冷房モードはこの実施例では存在しない)。尚、暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードが選択されたときの動作及び冷媒の流れと、補助ヒータ単独モードは前述の実施例(実施例1)の場合と同様であるので説明を省略する。但し、この実施例(実施例6)ではこれら暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードにおいては電磁弁22を閉じるものとする。
(15)図11の車両用空気調和装置1の除湿暖房モード
他方、除湿暖房モードが選択された場合、この実施例ではヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁22(除湿用)を開放する。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
他方、除湿暖房モードが選択された場合、この実施例ではヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁22(除湿用)を開放する。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には暖房用熱交換通路3Aに流入した空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は当該放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A、電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
また、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部は分流され、電磁弁22を経て第2のバイパス配管13F及び冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至るようになる。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁70を順次経て冷媒配管13Cにて冷媒配管13Dからの冷媒と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
空調コントローラ20は、目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(加熱温度THの目標値)をヒートポンプコントローラ32に送信する。ヒートポンプコントローラ32は、この目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度Teと、空調コントローラ20から送信された目標吸熱器温度TEOに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度Teに基づき、蒸発圧力調整弁70を開(流路を拡大する)/閉(少許冷媒が流れる)して吸熱器9の温度が下がり過ぎて凍結する不都合を防止する。
(16)図11の車両用空気調和装置1の内部サイクルモード
また、内部サイクルモードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁21を閉じる。この室外膨張弁6と電磁弁21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て第2のバイパス配管13Fに全て流れるようになる。そして、第2のバイパス配管13Fを流れる冷媒は冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
また、内部サイクルモードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁21を閉じる。この室外膨張弁6と電磁弁21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て第2のバイパス配管13Fに全て流れるようになる。そして、第2のバイパス配管13Fを流れる冷媒は冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁70を順次経て冷媒配管13Cを流れ、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより、車室内の除湿暖房が行われることになるが、この内部サイクルモードでは室内側の空気流通路3内にある放熱器4(放熱)と吸熱器9(吸熱)の間で冷媒が循環されることになるので、外気からの熱の汲み上げは行われず、圧縮機2の消費動力分の暖房能力が発揮される。除湿作用を発揮する吸熱器9には冷媒の全量が流れるので、上記除湿暖房モードに比較すると除湿能力は高いが、暖房能力は低くなる。
空調コントローラ20は目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(加熱温度THの目標値)をヒートポンプコントローラ32に送信する。ヒートポンプコントローラ32は送信された目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。
実施例6の車両用空気調和装置1の暖房モードにおいても外気中の水分が霜となって室外熱交換器7に成長した場合、外気と冷媒との熱交換性能を悪化させるようになるので、前述した各実施例における(10−2)〜(14)暖房モードでの室外膨張弁6の下限開度ECCVminの変更制御を行うことにより、前述同様に室外熱交換器7の着霜に伴う暖房能力の低下を未然に回避することができるようになる。また、ヒートポンプコントローラ32が放熱器4の冷媒過冷却度SCを制御して運転効率を向上させるのに代えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大し、冷媒流量を増加させて暖房能力も増大させることができるようになる。
尚、各実施例で示した数値等はそれに限られるものでは無く、適用する装置に応じて適宜設定すべきものである。また、補助加熱装置は実施例で示した補助ヒータ23に限られるものでは無く、ヒータで加熱された熱媒体を循環させて空気流通路3内の空気を加熱する熱媒体循環回路や、エンジンで加熱されたラジエター水を循環するヒータコア等を利用してもよい。
また、実施例では吸込圧力センサ44で圧縮機2の吸込冷媒圧力Psを検出するようにしたが、それに限らず、吸込温度センサ55が検出する吸込冷媒温度Tsと飽和圧力から吸込冷媒圧力Psを算出するようにしてもよい。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
10 HVACユニット
11 制御装置
20 空調コントローラ
32 ヒートポンプコントローラ
44 吸込圧力センサ
54 室外熱交換器温度センサ
55 吸込温度センサ
65 車両通信バス
R 冷媒回路
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
10 HVACユニット
11 制御装置
20 空調コントローラ
32 ヒートポンプコントローラ
44 吸込圧力センサ
54 室外熱交換器温度センサ
55 吸込温度センサ
65 車両通信バス
R 冷媒回路
Claims (7)
- 冷媒を圧縮する圧縮機と、
車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、
前記放熱器を経て前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、
制御装置とを備え、
該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記室外膨張弁で減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させることで前記車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
前記制御装置は、前記室外膨張弁により前記放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが所定の閾値以下に低下した場合、若しくは、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが前記閾値以下に低下すると予測される場合、前記室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする車両用空気調和装置。 - 前記制御装置は、前記圧縮機の起動直後に、外気温度Tam、前記圧縮機の制御上の上限回転数NCmax、前記空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、前記放熱器の冷媒過冷却度SCの目標値である目標冷媒過冷却度TGSCのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てに基づき、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの予測値を算出すると共に、
当該予測値と前記閾値に基づいて、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psが前記閾値以下に低下するか否かを予測することを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。 - 前記制御装置は、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psの前記閾値からの低下度合に応じて、前記室外膨張弁の制御上の下限開度を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
- 前記制御装置は、前記圧縮機の吸込冷媒温度Ts又は吸込冷媒圧力Psと前記閾値との偏差eに基づくフィードバック演算により、前記室外膨張弁の制御上の下限開度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
- 冷媒を圧縮する圧縮機と、
車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、
前記放熱器を経て前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、
制御装置とを備え、
該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記室外膨張弁で減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させることで前記車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、
前記制御装置は、前記室外膨張弁により前記放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、暖房能力の目標値である目標暖房能力TGQと、前記放熱器の最大暖房能力Qmaxと、前記補助加熱装置の最大暖房能力QPTCmaxに基づき、TGQ>(Qmax+QPTCmax)となった場合、又は、TGQ>Qmaxとなった場合、若しくは、TGQ>QPTCmaxとなった場合、前記室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする車両用空気調和装置。 - 冷媒を圧縮する圧縮機と、
車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
車室外に設けられて冷媒を放熱させるための室外熱交換器と、
前記放熱器を経て前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧させるための室外膨張弁と、
制御装置とを備え、
該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記室外膨張弁で減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させることで前記車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
前記制御装置は、前記室外膨張弁により前記放熱器の冷媒過冷却度SCを制御すると共に、前記室外熱交換器の温度TXOと霜点温度Tfrostに基づき、当該室外熱交換器への着霜が予測される場合、前記室外膨張弁の制御上の下限開度を大きくする方向で変更することを特徴とする車両用空気調和装置。 - 前記制御装置は、TXO<Tfrost、又は、TXO<(Tfrost+所定の余裕度α)となった場合、前記室外熱交換器に着霜すると予測することを特徴とする請求項6に記載の車両用空気調和装置。
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