以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の車両用空調装置について図1〜図8を用いて説明する。第1実施形態は、明細書に開示の目的を達成可能な車両用空調装置の一例を示したものである。したがって、明細書に開示の目的を達成可能な車両用空調装置は、第1実施形態の車両用空調装置に限定するものではなく、例えば、複数の空調ユニットで前席側の左右、後席側の左右を個別に空調制御可能とするものでもよい。
第1実施形態の車両用空調装置は、車室内1のうち、前席側の左右、後席側の左右のそれぞれに位置する空調ゾーン1a,1b,1c,1dをそれぞれ独立して空調制御する装置である。図3に示すように、空調ゾーン1aは前席側の運転席2に相当するエリアである。空調ゾーン1bは前席側の助手席3に相当するエリアである。空調ゾーン1cは運転席側後席に相当するエリアである。空調ゾーン1dは助手席側後席に相当するエリアである。車両用空調装置は、図1に示すように、空調ゾーン1a、空調ゾーン1b、空調ゾーン1cおよび空調ゾーン1dをそれぞれ独立に空調するための空調ユニット5を備えている。空調ユニット5は計器盤の裏側に設置されている。
空調ユニット5は、車室内1に送風するためのユニットケース51を備えている。ユニットケース51には、車室内1から内気を導入するための内気導入口と車室外から外気を導入するための外気導入口とが設けられている。ユニットケース51には、外気導入口と内気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドアが設けられている。ユニットケース51内であって外気導入口および内気導入口の空気下流側には、車室内1に向けて吹き出される空気流を発生させる送風機52が設けられている。送風機52は、羽根車とこの羽根車を回転させるブロアモータとを備える送風装置である。
ユニットケース51内であって送風機52の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としての蒸発器53が設けられている。蒸発器53の空気下流側には、空気加熱手段としてのヒータコア54が設けられている。蒸発器53は、圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに冷凍サイクルを構成している熱交換器である。蒸発器53は、ユニットケース51内を流れる空気を冷却する。ヒータコア54は、自動車のエンジン冷却水を熱源とする熱交換器であり、蒸発器53によって冷却された冷風を加熱する。
ユニットケース51内であって蒸発器53の空気下流側には、仕切り板57aと仕切り板57bが設けられている。図2に示すように、仕切り板57aと仕切り板57bは、蒸発器53の空気下流側においてユニットケース51の内部を4個の通路に区画している。4個の通路は、運転席側通路51aと運転席側後席通路51cと助手席側通路51bと助手席側後席通路51dである。仕切り板57aは、ユニットケース51内を、運転席側通路51aおよび運転席側後席通路51cと、助手席側通路51bおよび助手席側後席通路51dと、に仕切っている。仕切り板57bは、ユニットケース51内を、運転席側通路51aおよび助手席側通路51bと、運転席側後席通路51cおよび助手席側後席通路51dと、に仕切っている。仕切り板57aは、運転席側通路51aと運転席側後席通路51cの並び方向と空気流れ方向とに延びる平板である。仕切り板57bは、運転席側通路51aと助手席側通路51bの並び方向と空気流れ方向とに延びる平板である。
蒸発器53は、ユニットケース51内の通路全体にわたって設けられている。図2に示すように、ヒータコア54は、運転席側通路51a、運転席側後席通路51c、助手席側通路51bおよび助手席側後席通路51dのそれぞれの一部を占有するように設けられている。ヒータコア54は、仕切り板57bで仕切られた運転席側通路51aと運転席側後席通路51cとの並び方向についてユニットケース51内の通路全体を横断して設けられ、この並び方向に直交する方向について中央寄りに通路半分を占有するように設けられている。
運転席側通路51aのうち外側に位置するヒータコア54の側方には、バイパス通路51abが設けられている。バイパス通路51abは、蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる通路である。運転席側後席通路51cのうち外側に位置するヒータコア54の側方には、バイパス通路51cbが設けられている。バイパス通路51cbは、蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる通路である。バイパス通路51abとバイパス通路51cbは、仕切り板57bによって仕切られている通路である。
助手席側通路51bのうち外側に位置するヒータコア54の側方には、バイパス通路51bbが設けられている。バイパス通路51bbは、蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる通路である。助手席側後席通路51dのうち外側に位置するヒータコア54の側方には、バイパス通路51dbが設けられている。バイパス通路51dbは、蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる通路である。バイパス通路51bbとバイパス通路51dbは、仕切り板57bによって仕切られている通路である。
ヒータコア54の空気上流側には、4個のエアミックスドア55a,55b,55c,55dが設けられている。エアミックスドア55aは、その開度により、運転席側通路51aを流通する冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とバイパス通路51abを通る風量との比を調整する。エアミックスドア55cは、その開度により、運転席側後席通路51cを流通する冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とバイパス通路51cbを通る風量との比を調整する。エアミックスドア55bは、その開度により、助手席側通路51bを流通する冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とバイパス通路51bbを通る風量との比を調整する。エアミックスドア55dは、その開度により、助手席側後席通路51dを流通する冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とバイパス通路51dbを通る風量との比を調整する。エアミックスドア55a,55b,55c,55dには、駆動手段としてのサーボモータがそれぞれ連結されている。エアミックスドア55a,55b,55c,55dの開度はエアコンECU8が制御するサーボモータによって調整されている。
ユニットケース51には、ヒータコア54よりも運転席側通路51aの空気下流側に、運転席フェイス通路58a1、運転席フット通路58a2が設けられている。運転席フェイス通路58a1は車室内1に開口する運転席フェイス吹出口に連通する吹出通路である。運転席フット通路58a2は車室内1に開口する運転席フット吹出口に連通する吹出通路である。運転席フェイス通路58a1を流通する空気は、運転席2に着座する運転者の位置に設定された空調ゾーン1aに吹き出される。運転席フット通路58a2を流通する空気は、運転席2に着座する運転者の位置に設定された空調ゾーン1aに吹き出される。
ユニットケース51には、ヒータコア54よりも助手席側通路51bの空気下流側に、助手席フェイス通路58b1、助手席フット通路58b2が設けられている。助手席フェイス通路58b1は車室内1に開口する助手席フェイス吹出口に連通する吹出通路である。助手席フット通路58b2は車室内1に開口する助手席フット吹出口に連通する吹出通路である。助手席フェイス通路58b1を流通する空気は、助手席3に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1bに吹き出される。助手席フット通路58b2を流通する空気は、助手席3に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1bに吹き出される。
ユニットケース51には、ヒータコア54よりも運転席側後席通路51cの空気下流側に、運転席側後席フェイス通路58c1が設けられている。運転席側後席フェイス通路58c1は車室内1に開口する運転席側後席フェイス吹出口に連通する吹出通路である。運転席側後席フット通路58c2は車室内1に開口する運転席側後席フット吹出口に連通する吹出通路である。運転席側後席フェイス通路58c1を流通する空気は、運転席側後席に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1cに吹き出される。運転席側後席フット通路58c2を流通する空気は、運転席側後席に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1cに吹き出される。
ユニットケース51には、ヒータコア54よりも助手席側後席通路51dの空気下流側に、助手席側後席フェイス通路58d1が設けられている。助手席側後席フェイス通路58d1は車室内1に開口する助手席側後席フェイス吹出口に連通する吹出通路である。助手席側後席フット通路58d2は車室内1に開口する助手席側後席フット吹出口に連通する吹出通路である。助手席側後席フェイス通路58d1を流通する空気は、助手席側後席に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1dに吹き出される。助手席側後席フット通路58d2を流通する空気は、助手席側後席に着座する乗員の位置に設定された空調ゾーン1dに吹き出される。
運転席フェイス通路58a1には、運転席フェイス通路58a1を開閉するフェイス吹出ドア56a1が設けられている。フェイス吹出ドア56a1は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。運転席フット通路58a2には、運転席フット通路58a2を開閉するフット吹出ドア56a2が設けられている。フット吹出ドア56a2は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。助手席フェイス通路58b1には、助手席フェイス通路58b1を開閉するフェイス吹出ドア56b1が設けられている。フェイス吹出ドア56b1は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。助手席フット通路58b2には、助手席フット通路58b2を開閉するフット吹出ドア56b2が設けられている。フット吹出ドア56b2は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。
運転席側後席フェイス通路58c1には、運転席側後席フェイス通路58c1を開閉するフェイス吹出ドア56c1が設けられている。フェイス吹出ドア56c1は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。運転席側後席フット通路58c2には、運転席側後席フット通路58c2を開閉するフット吹出ドア56c2が設けられている。フット吹出ドア56c2は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。助手席側後席フェイス通路58d1は、助手席側後席フェイス通路58d1を開閉するフェイス吹出ドア56d1が設けられている。フェイス吹出ドア56d1は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。助手席側後席フット通路58d2は、助手席側後席フット通路58d2を開閉するフット吹出ドア56d2が設けられている。フット吹出ドア56d2は、エアコンECU8が制御する、駆動手段としてのサーボモータによって開度調整されている。
また、ユニットケース51には、運転席側通路51aを介してフロントウインドシールドの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す運転席デフロスタ吹出通路が設けられている。運転席デフロスタ吹出通路の空気上流部には、それぞれの吹出通路を開閉する吹出ドアが設けられている。この吹出ドアはサーボモータによって開閉駆動されている。また、ユニットケース51には、助手席側通路51bを介してフロントウインドシールドの内表面のうち助手席側領域に空気を吹き出す助手席側デフロスタ吹出通路が設けられている。助手席側デフロスタ吹出通路の空気上流部には、吹出通路を開閉する吹出ドアが設けられている。この吹出ドアはサーボモータによって開閉駆動されている。
車両用空調装置には、空調ユニット5を制御するための空調制御手段であるエアコンECU8が設けられている。エアコンECU8には外気温度センサ、冷却水温度センサ、日射センサ、内気温度センサ、蒸発器温度センサ等の各種センサ6によって検出された温度情報、日射量情報等が入力されるように構成されている。外気温度センサは、車室外温度を検出しその検出温度に応じた外気温度信号TamをエアコンECU8に出力する。冷却水温度センサは、エンジンの冷却水の温度を検出しその検出温度に応じた冷却水温度信号TwをエアコンECU8に出力する。
車室内前方に設けられた日射センサは、フロントウインドウの内側にて車両左右方向の略中央部分に配置された2素子タイプの日射センサである。この日射センサは、運転席の空調ゾーン1aに入射される日射量と助手席の空調ゾーン1bに入射される日射量とを検出し、それら検出した各日射量に応じた日射量信号TsDrおよびTsPaをエアコンECU8に出力する。車室内後方に設けられた日射センサは、1素子タイプの日射センサである。この日射センサは、車両後方から車室内1に入射される日射量を検出し、その検出した日射量に応じた日射量信号TsRrをエアコンECU8に出力する。
車室内前方に設けられた内気温度センサは、前席側空調領域である空調ゾーン1aや空調ゾーン1bの空気温度を検出し、その検出温度に応じた内気温度信号TrFrをエアコンECU8に出力する。車室内後方に設けられた内気温度センサは、後席側空調領域である空調ゾーン1cや空調ゾーン1dの空気温度を検出し、その検出温度に応じた内気温度信号TrRrをエアコンECU8に出力する。蒸発器温度センサ86は、蒸発器53の吹出空気温度を検出しその検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeFrをエアコンECU8に出力する。
エアコンECU8は、その出力側に接続された各種空調用機器を制御する制御手段が一体に構成された電子式の制御装置である。各空調用機器の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、各空調用機器の作動を制御する制御手段を構成している。エアコンECU8は、プログラムに従って動作するマイコンのようなデバイスを主なハードウェア要素として備える。
図4に示すように、エアコンECU8は、各空調用機器と各種センサ6とが接続されるインターフェース部と、演算処理部81と、記憶部とを少なくとも備えている。記憶部は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。演算処理部81は、演算処理装置であり、インターフェース部を通して各種センサ6から取得した環境情報と、記憶部に記憶された制御特性マップやデータとを用いて所定のプログラムにしたがった判定処理や演算処理を行う。演算処理部81は、エアコンECU8における演算実行部であり判定処理実行部である。インターフェース部は、演算処理部81による判定結果、演算結果に基づいて前述の各空調用構成機器を操作する。したがって、インターフェース部は、制御装置における入力部80および制御出力部82である。
温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dは、各空調ゾーンにおける空調出力を設定可能な操作部の一例である。温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dは、複数の空調ゾーンのそれぞれについて風量制御条件を設定可能とする設定操作部でもある。エアコンECU8には、乗員が温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dを操作することで設定される、空調ゾーン1a,1b,1c,1dそれぞれの設定温度信号TsetFrDr,TsetFrPa,TsetRrDr,TsetRrPaが入力される。前席側をFr、後席側をRr、運転席側をDr、助手席側をPaと表し、これらを組み合わせることで各空調ゾーン1a〜1dの各座席を表すこととする。温度設定スイッチ9aは、空調ゾーン1aの設定温度を設定することができる設定操作部である。温度設定スイッチ9bは、空調ゾーン1bの設定温度を設定することができる設定操作部である。温度設定スイッチ9cは、空調ゾーン1cの設定温度を設定することができる設定操作部である。温度設定スイッチ9dは、空調ゾーン1dの設定温度を設定することができる設定操作部である。
エアコンECU8は、空調制御の一例として、以下に示すように算出した目標吹出温度を用いた通常の制御を実施する。エアコンECU8は、後述する非接触温度センサ7によって検出された所定の検出範囲における表面温度情報を用いて肩寒補正量を算出する。この肩寒補正量は、乗員が例えばサイドウインドウシールドの温度によって肩部の冷えを感じることに対して空調補正するものである。エアコンECU8は、非接触温度センサ7によって検出された前席乗員および後席乗員の各表面温度情報を用いて、日射補正量を算出する。この日射補正量は、車室内1への前方からの日射、側方からの日射、および後方からの日射の影響を空調制御に加味し、日射補正量として目標吹出温度に反映させるものである。
エアコンECU8は、肩寒補正量および日射補正量を用いて、各空調ゾーン1a〜1dについて目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPa、TAORrDrおよびTAORrPaを算出する。これらの目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPa、TAORrDrおよびTAORrPaは、肩寒補正量および日射補正量を考慮した空調補正として算出される目標吹出温度である。エアコンECU8は、このように算出された各空調ゾーン1a〜1dについて目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPa、TAORrDrおよびTAORrPaに基づいて、以下に示す空調装置の各構成部品を制御することにより車両用空調装置の制御を実行する。
具体的には、TAOFrDrとTAOFrPaとの平均値、およびTAORrDrとTAORrPaとの平均値に基づいて送風機52のブロアモータに印加する電圧を決定する。そして、TAOFrDr、TAOFrPa、TAORrDrおよびTAORrPaに基づいて内外気切替ドアの開閉制御による内外気取入れモードの決定、空調ゾーン1a〜1d毎の吹出口モードの決定、および各エアミックスドア55a,55b,55c,55dの目標開度の決定を行う。さらに、エアコンECU8は、決定された送風機52のブロアモータへの印加電圧を制御する信号をブロアモータに出力して、送風機52の作動を制御する。これと同時に、内外気切替ドア、吹出通路ドア56a,56b,56c,56d、エアミックスドア55a,55b,55c,55dの各目標開度を制御する信号をサーボモータなどに出力して、各ドアの作動を制御する。
非接触温度センサ7は、車室内1において運転席や助手席のシートバック2a,3aよりも前方かつ上方に位置する場所に設けられている。エアコンECU8には、サイドウインドウシールド、乗員等の複数部位の表面温度を検出する非接触温度センサ7が接続されている。非接触温度センサ7は、入力される赤外線量の変化に対応した起電力変化を温度変化として検出するサーモパイル型検出素子が用いられたマトリクス型のIRセンサであり、マトリクス状に配列された所定個数の温度検出セルを有している。非接触温度センサ7は、一つのケースに収納されて車室内前部の天井に設置されている。非接触温度センサ7は、前席に着座した状態の乗員の頭部よりも前方および上方となる車室内1の一か所に設置されており、例えば天井に設置することができる。
各温度検出セルは、あらかじめ設定された検出範囲に存在する検温対象物からレンズ等を通して入射される赤外線を吸収して熱に変換し、さらに変換した熱を電圧値に変換する機能を有する。各温度検出セルは、得られた電圧値の信号をエアコンECU8に出力する。エアコンECU8は、各温度検出セルから入力された電圧値を用いて温度を算出して、検出範囲毎の温度情報を検出することができる。
非接触温度センサ7が検出可能な検出範囲は、運転席2、助手席3、後席4の運転席側、後席4の助手席側のそれぞれに対応する位置に設定されている。各座席に対応する位置に設定されている検出範囲は、1つまたは複数か所である。非接触温度センサ7は、所定の検出範囲の表面温度を検出することによって、当該検出範囲が設定された座席に着座する乗員の表面温度情報を検出することができる。各座席に対応する位置に検出範囲が1か所設定されている場合、その位置は、座席のシートバックの表面温度を検出可能とする範囲である。各座席に対応する位置に検出範囲が2か所以上設定されている場合、その位置は少なくとも、座席のシートバックの表面温度を検出可能とする範囲と、着座シートの表面温度を検出可能とする範囲とを含んでいる。座席のシートバックに設定された検出範囲は、乗員の上半身温度または腹部温度を検出できる範囲である。着座シートに設定された検出範囲は、乗員の腰部温度または脚部温度を検出できる範囲である。
このように非接触温度センサ7は、車室内1の複数か所に設定された所定の検出範囲の表面温度情報を検出できる。このため、車両用空調装置は、空調ゾーン1a、空調ゾーン1b、空調ゾーン1cおよび空調ゾーン1dのそれぞれに存在する乗員の表面温度を検出することができる。
エアコンECU8の演算処理部81は、車室内1の各座席について設定された検出範囲に関する表面温度情報が所定の人体相当温度範囲に含まれているか否かを判定することができる。所定の人体相当温度範囲は、人体温度として想定される温度範囲であり、所定のプログラムにおいてあらかじめ保存されている。
演算処理部81は、各座席について設定された検出範囲の表面温度情報が人体相当温度範囲に含まれている場合には、該当する座席にそれまで存在していなかった乗員が乗り込んできたとみなし、乗員に提供する空調出力を増加させる。さらに演算処理部81は、複数の空調ゾーンのうち、乗員の乗り込みを検出していない空調ゾーンにおける空調出力の変化を抑える制御を実施する。
演算処理部81は、各座席について設定された検出範囲の表面温度情報が人体相当温度範囲に含まれている場合に、対応する空調ゾーンに対して、検出した表面温度情報に応じた自動の空調運転を実施する。例えば、車両用空調装置は、検出した表面温度情報が設定温度よりも高い場合は、該当する空調ゾーンに対する冷風の風量を増加し、検出した表面温度情報が設定温度よりも低い場合は、該当する空調ゾーンに対する温風の風量を増加する。このように車両用空調装置は、車外から座席に人が乗車してきたことを認識した場合に、乗車してきた乗員の表面温度情報に適した空調制御を実施して快適性を提供するとともに、それ以外の乗員に対する空調変化を抑えて不快感を与えにくい制御を提供する。
演算処理部81は、所定の検出範囲について検出した表面温度情報が人体相当温度範囲に含まれる場合には人体温度条件が成立し、該当する検出範囲が設定されている座席に乗員が存在している状態になったと判定する。つまり、演算処理部81は、非接触温度センサ7によって検出された表面温度情報が人体温度として想定される人体温度条件を満たす状態に変化した場合には、該当する座席に乗員が乗り込んできて乗車条件が成立したと判定する。エアコンECU8は、この判定結果によって、該当する座席において風量制御条件が変化したと判定する。
演算処理部81は、検出した表面温度情報が人体相当温度範囲に含まれていない場合には人体温度条件が成立していないと判定し、該当する検出範囲が設定されている座席には乗員が存在していないと判定する。人体相当温度範囲は、冬期や夏期の外気に触れていた人が乗車してくることを考慮して、平穏時の人の体温である35℃〜37℃の範囲にさらに所定の上下幅(例えば10℃以内の上下幅)を持たせて設定された温度範囲である。演算処理部81は、検出範囲の表面温度情報が人体相当温度範囲に含まれていない場合や例えば人体相当温度から大きく外れた低温または高温である場合は、その検出範囲に人や物が存在していない状態または荷物や人でない発熱体が置かれた状態であると判定する。
次に、図5〜図7を参照して、第1実施形態の車両用空調装置が実施する空調運転制御の一例を説明する。図5は、第1実施形態の空調運転制御に対する比較例であり、従来の車両用空調装置の制御による風量変化を示したタイムチャートである。
従来の車両用空調装置では、複数の空調ゾーンのうち、ある空調ゾーンに対する風量を増加する際に、この風量増加ゾーンの風量を増加するとともに風量増加ゾーン以外の風量維持ゾーンの風量を維持するように制御を実行する。この場合、時間T1において送風機による送風量の増加を開始する同時に風量維持ゾーンに対応する通路におけるドア開度を絞り始める。
この制御によれば、ドア開度絞り動作時間は送風機による風量増加時間(T2−T1時間)よりも時間を要するため、風量維持席である風量維持ゾーンの風量は時間T1から増加し始める。そして、風量維持ゾーンの風量は、送風機による風量増加時間、例えば送風機の回転数上昇時間が終了するまで増加し続け、その後ドア開度絞り動作が完了する時間T3まで減少し続けるようになる。つまり、風量維持ゾーンの風量は、送風機による風量増加開始後、急激に増加した後、ドア開度絞り動作が完了する時間T3まで減少し続けて、制御開始前の風量に戻って維持されることになる。一方、風量増加ゾーンの風量は、送風機による風量増加時間の間に増加し続けるので、風量増加ゾーンの乗員に対して空調出力増加による快適性向上を提供できる。しかしながら、従来の車両用空調装置では、風量維持ゾーンの風量が一時的に大きく増加するため、風量維持ゾーンの乗員に対して風量増加による違和感を与えてしまう。換言すれば、制御開始と同時に風量維持ゾーンの風量が増え続けるので、風量維持ゾーンの乗員は、制御開始前のちょうどよい風量状態に対して風量が増加した分を違和感として受け止め、この増加分が大きいほど違和感が大きくなる。
このような風量維持ゾーンの乗員の違和感を抑えるために、第1実施形態の車両用空調装置は図6のタイムチャートに図示する空調運転制御を実施する。図6は、第1実施形態の車両用空調装置の制御による風量変化を示したタイムチャートである。
第1実施形態の車両用空調装置では、複数の空調ゾーンのうちある空調ゾーンに対する風量を増加する際に、この風量増加ゾーン以外の風量維持ゾーンの風量を制御実施前の元の風量に対して大きく変化しないように増減させてから元の風量に近づける制御を実行する。この場合、時間TAにおいて風量維持ゾーンに対応する通路におけるドア開度を絞り始めてから遅延時間(TB−TA時間)経過後に送風機52による送風量の増加を開始する。
この制御によれば、風量増加ゾーンの風量は、送風機52による風量増加時間(T2−T1時間)の間に増加し続けるので、風量増加ゾーンの乗員に対して空調出力増加による快適性向上を提供できる。風量維持ゾーンの風量は、ドア開度絞り開始時間TAから徐々に減少し始め、送風機52による風量増加開始時間TB付近で増加に転じ、時間TCで時間TA前の元の風量に回復した後も、送風機52による風量増加完了時間TDまで増加し続ける。さらに風量維持ゾーンの風量は、時間TD以降、徐々に減少し続けてドア開度絞り完了時間TE付近で時間TA前の元の風量に回復する。つまり、風量維持ゾーンの風量は、ドア開度絞り開始後、元の風量よりも一旦減少する。そして遅延時間経過後の送風機52による風量増加の開始とともに最小の風量から増加し始めて元の風量に戻るまでは、風量維持ゾーンの風量は元の風量よりも減少している状態である。さらに風量維持ゾーンの風量は、元の風量に回復してから送風機52による風量増加が完了してドア開度絞りが完了するまで、元の風量よりも増加している状態となる。図6に図示した、元の風量に対する風量減少分の大きさと風量増加分の大きさは、それぞれ図5に図示した元の風量に対する風量増加分の大きさよりも小さくなる。このため、第1実施形態の車両用空調装置は、風量維持ゾーンの乗員の違和感を従来の装置よりも抑えることができる。
第1実施形態の車両用空調装置は、送風機52による風量増加開始時間TBをドア開度絞り開始時間TAよりも遅らせ、ドア開度絞り完了時間TEの前に送風機52による風量増加を完了するように、制御する。第1実施形態の車両用空調装置は、風量維持ゾーンの風量が元の風量に比べて一時的に減少する減少時間(TC−TA時間)と一時的に増加する増加時間(TE−TC時間)とを同程度にするように、制御する。第1実施形態の車両用空調装置は、ドア開度絞り開始時間TAとドア開度絞り完了時間TEとの中間の時間TCと、送風機52による風量増加開始時間TBと風量増加完了時間TDとの中間の時間TCとを合わせるように、制御する。つまり、時間TCは、吹出ドアによって吹出通路の流路断面積の減少を開始する開始時と完了する完了時との中間時間のタイミング、送風機52によって送風量の増加を開始する開始時と完了する完了時との中間時間のタイミング、である。
図6のタイムチャートに図示した制御処理の一例を図7のフローチャートにしたがって説明する。車両用空調装置は、エアコン電源スイッチがオンされた状態で図7に示すフローチャートの各ステップにおける処理を順に実行し、これらのステップを反復処理することで、エアコン電源スイッチがオンの間、常に図7に示す制御を実行する。図7に示す制御に係るプログラムは、エアコンECU8の記憶部に記憶されている。図6に示したタイムチャートは、図7のステップS100、S110、S120、S130の処理を示している。
まず、車両用空調装置に電源が投入されると、エアコンECU8は、ステップS100で、空調ゾーン1a〜1dの少なくとも一つのゾーンについて風量増加指令が入力されたか否かを判定する。風量増加指令は、乗員が設定操作部を操作することによって、エアコンECU8に入力される。乗員が温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dの少なくとも一つを操作すると、操作された温度設定スイッチに対応する空調ゾーンについて風量制御条件が設定されることになる。さらに演算処理部81は、この設定に基づいて、対応する空調ゾーンに対する風量を増加する空調を行う風量増加指令があった場合にはステップS100において風量増加指令があると判定する。
演算処理部81は、ステップS100において風量増加指令がないと判定すると、エアコンECU8は、ステップS105で、前述するように算出した目標吹出温度を用いた通常の制御を実施する。エアコンECU8は、再びステップS100に戻って、各空調ゾーンに対する風量増加指令の有無判定を繰り返し実行する。
ステップS100で風量増加指令があると判定すると、エアコンECU8はステップS110で、ステップS100の判定処理にしたがって風量増加指令があった第1の空調ゾーン以外の空調ゾーン(風量維持席)に対して吹出ドアの開度を減少する処理を実行する。ステップS110の処理タイミングは、図6に図示するドア開度絞り開始時間TAに対応する。ステップS110の処理は、図6に図示するドア開度絞り完了時間TEになるまで継続実行される。次に演算処理部81は、ステップS120において、ステップS110処理を開始後、あらかじめ定めた遅延時間が経過したか否かを判定する。
演算処理部81は、ステップS120で遅延時間が経過したと判定すると、ステップS130で、車室内1に向けて送風する空調風の風量を増加させるように送風機52を制御する処理を実行する。ステップS130の処理のタイミングは、図6に図示する風量増加開始時間TBに対応する。エアコンECU8は、図6の風量増加完了時間TDまでステップS130の処理を実行し、再びステップS100に戻って、各空調ゾーンに対する風量増加指令の有無判定を繰り返し実行する。
以上のようにエアコンECU8は、ステップS100で、いずれかの空調ゾーンや座席に対して風量制御条件が変化したか否かを判定する。ステップS110、S120、S130では、エアコンECU8は風量制御条件の変化があった場合に風量制御条件が変化した第1の空調ゾーンの空調出力を増加するとともに、第1の空調ゾーン以外のゾーンへの風量を維持するような空調運転を実施する。
図6のタイムチャートに図示した制御処理の一例を図8のフローチャートにしたがって説明する。図8に示すフローチャートは、前述の図7に示すフローチャートに対してステップS100の代わりにステップS90、S100Aを備える点が相違している。以下、相違点のみ説明する。図8のフローチャートにおいて前述の図7のフローチャートと同様の符号を付したステップについては前述の説明を援用する。
まず、車両用空調装置に電源が投入されると、エアコンECU8は、ステップS90で非接触温度センサ7によって検出されたすべての検出範囲に関する各検出温度信号を読み込む。演算処理部81は、ステップS100Aで、前述したように乗車条件が成立した座席があるか否かを判定する。乗車条件が成立するか否かの判定処理は、各席において設定された検出範囲に関する表面温度情報が、前述する人体温度条件を満たすか否かを判定することによって行われる。
ステップS100Aにおいて乗車条件が成立していないと判定すると、エアコンECU8は、ステップS90に戻って、非接触温度センサ7によって検出されたすべての検出温度信号を読み込む。ステップS100Aにおいて乗車条件が成立すると判定すると、エアコンECU8はステップS110、S120、S130の各処理を順に実行する。
以上のようにエアコンECU8は、S100Aで、いずれかの空調ゾーンや座席に対して風量制御条件が変化したか否かを判定する。ステップS110、S120、S130では、エアコンECU8は風量制御条件の変化があった場合に変化があった第1の空調ゾーンの空調出力を増加するとともに、第1の空調ゾーン以外のゾーンへの風量を維持するような空調運転を実施する。
次に、第1実施形態の車両用空調装置がもたらす作用効果について説明する。車両用空調装置は、複数の空調ゾーン1a〜1dのそれぞれに対して空調風を吹き出すようにそれぞれ設けられた複数の吹出通路に空気を送風可能とする送風機52と、複数の吹出通路のそれぞれの流路断面積を制御可能なように設けられた複数の吹出ドアとを備える。エアコンECU8は、複数の空調ゾーン1a〜1dのうち風量制御条件が変化した第1の空調ゾーンに対する風量を増加させる場合に第1の空調ゾーン以外の空調ゾーンに対して空調風を吹き出す吹出通路の流路断面積が徐々に減少するように吹出ドアを制御する。さらにエアコンECU8は吹出通路の流路断面積が徐々に減少し始めてから遅延時間経過後に送風量の増加を開始するように送風機52を制御する。
この車両用空調装置によれば、複数の空調ゾーン1a〜1dのうち少なくとも一つのゾーンに対する風量を増加させる場合に、この風量増加ゾーンに空調風を吹き出す通路について流路断面積の減少を開始してから遅延時間経過後に送風量の増加を開始する。この制御により、風量を増加しない風量維持ゾーンについて制御開始後、急激に風量が増加することを抑えられる。このため、風量維持ゾーンに存在する乗員の違和感を抑えつつ、風量増加ゾーンの乗員に対する空調出力を強化して快適性を提供することができる。この車両用空調装置によれば、複数の空調ゾーン1a〜1dのうち風量制御条件が変化したゾーン以外のゾーンにおける風量変化の抑制を図ることができる。
エアコンECU8は、吹出ドアによる吹出通路の流路断面積の減少が完了する前に送風機52による送風量の増加を完了するように、吹出ドアの作動と送風機52の作動を制御する。この制御によれば、送風量増加時間よりも動作完了時間を要する吹出ドアによる流路絞りの完了時に合わせて、風量維持ゾーンにおける風量調整を完了させることができる。この風量維持調整によって、風量維持ゾーンの乗員が感じる風量変化を抑えた制御を提供できる。
エアコンECU8は、第1の空調ゾーンに対する風量を増加させる場合に、第1の空調ゾーン以外の空調ゾーンに吹き出される空調風の風量が風量制御条件の変化前の風量に比べて一時的に減少する減少時間と送風量の増加に伴って一時的に増加する増加時間とを同程度にするように、吹出ドアの作動と送風機52の作動を制御する。この制御によれば、風量維持ゾーンの乗員が感じる風量減少時間と風量増加時間とが同程度になるので、風量変化によって乗員が感じる違和感を抑えた制御を提供できる。
エアコンECU8は、第1の空調ゾーンに対する風量を増加させる場合に、吹出ドアによって吹出通路の流路断面積の減少を開始する開始時と完了する完了時との中間時間のタイミングと、送風機52によって送風量の増加を開始する開始時と完了する完了時との中間時間のタイミングとを合わせるように、吹出ドアの作動と送風機52の作動を制御する。この制御によれば、風量維持ゾーンの乗員が感じる風量減少分の大きさと風量増加分の大きさとが同程度になるので、風量変化によって乗員が感じる違和感を抑えた制御を提供できる。
エアコンECU8は、複数の空調ゾーンのそれぞれについて空調制御条件を設定可能とする設定操作部によって空調制御条件が変更された場合に風量制御条件が変化したと判定する。この制御によれば、乗員の意思によって変更された空調制御条件に基づいて、風量増加ゾーンへの風量増加を提供できるとともに、それ以外のゾーンについては元の空調条件に対する違和感を抑えた車両用空調装置を提供できる。
エアコンECU8は、複数の空調ゾーンのそれぞれにおいて設定された複数の検出範囲についてそれぞれ表面温度情報を検出する非接触温度センサ7によって検出された表面温度情報が人体温度として想定される人体温度条件を満たす状態に変化した場合に風量制御条件が変化したと判定する。この制御によれば、乗員の表面温度にしたがって自動で変更された空調制御条件に基づいて、風量増加ゾーンへの風量増加を提供できるとともに、それ以外のゾーンについては元の空調条件に対する違和感を抑えた車両用空調装置を提供できる。
複数の空調ゾーン1a〜1dは、運転席2、助手席3、運転席側後席および助手席側後席のそれぞれに相当する4つのゾーンである。これによれば、車室内1の運転席2、助手席3、運転席側後席および助手席側後席のそれぞれについて、各席の状況に応じて風量増加席と風量維持席とを区別した快適性の高い空調を提供する車両用空調装置が得られる。
複数の空調ゾーン1a〜1dは、運転席2、助手席3、後席のそれぞれに相当する3つのゾーンである。これによれば、車室内1の運転席2、助手席3、後席のそれぞれについて、各席の状況に応じて風量増加席と風量維持席とを区別した快適性の高い空調を提供する車両用空調装置が得られる。
(第2実施形態)
第2実施形態の空調ユニット105について、図9および図10を参照して説明する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
第2実施形態の空調ユニット105は、6個のエアミックスドアを備える点が第1実施形態の空調ユニット5に対して相違する。空調ユニット105はヒータコア54よりも空気流れの上流側にエアミックスドア155aを備えている。エアミックスドア155aは、運転席フット吹出口から空調ゾーン1aに吹出される空気の温度調整を行う温度調整用ドアである。エアミックスドア155aは、その開度により、運転席フット吹出口に向けて流れる冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とヒータコア54を通過しない風量との比を調整する。空調ユニット105はヒータコア54よりも空気流れの上流側にエアミックスドア155bを備えている。エアミックスドア155bは、助手席フット吹出口から空調ゾーン1bに吹出される空気の温度調整を行う温度調整用ドアである。エアミックスドア155bは、その開度により、助手席フット吹出口に向けて流れる冷風のうち、ヒータコア54を通る風量とヒータコア54を通過しない風量との比を調整する。
このように第2実施形態の空調ユニット105は、車室内1の4つの空調ゾーンを個別に空調制御するために、6個のエアミックスドアを備えている。図10に示すようにエアミックスドア155aとエアミックスドア155aの間には、エアミックスドア55cとエアミックスドア55dが位置し、エアミックスドア155a,55c,55d,155bはエアミックスドア55a,55bの下側に位置している。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
前述の実施形態において車両用空調装置は、運転席2、助手席3、運転席側後席、助手席側後席のそれぞれに位置する空調ゾーン1a,1b,1c,1dをそれぞれ独立して空調制御する装置であるが、この4か所に関する個別空調制御に限定されない。明細書に開示の目的を達成する車両用空調装置は、運転席2、助手席3、後席のそれぞれに相当する空調ゾーンを個別に空調制御する装置でもよいし、前席、後席のそれぞれに相当する空調ゾーンを個別に空調制御する装置でもよい。
前述の実施形態においては、温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dは、各空調ゾーンの設定温度を設定することができる操作部であるが、この構成に限定されない。温度設定スイッチ9a,9b,9c,9dは、各空調ゾーンにおける空調出力を設定可能な操作部であり、例えば、各空調ゾーンに対する送風量を設定することができる操作部として構成してもよい。
前述の実施形態においては、非接触温度センサ7が乗員を検出するゾーンとして、前席ゾーンと後席ゾーンの2分割したゾーンを説明しているが、3列シートを有する車両に適用する場合には車室内1を前後方向に3分割した各ゾーンについて乗員を検出することができる。