JP2019041097A - 電子部品装置を製造する方法、熱プレス用シート及び熱プレス用熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

電子部品装置を製造する方法、熱プレス用シート及び熱プレス用熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】電子部品及び配線基板を含む積層体を、熱硬化性樹脂を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させながらステージ及び圧着ヘッドで挟むことにより加熱及び加圧して配線基板に電子部品を搭載する場合において、熱プレス用シート内の空隙の発生を抑制すること。【解決手段】配線基板及び電子部品を備える電子部品装置を製造する方法が開示される。この方法は、絶縁基板上に設けられた配線層を有する配線基板と複数の電極を有する電子部品とバンプとを有する積層体を、ステージ及び圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧し、それにより、バンプを介して配線層と電極とを電気的に接続する工程を備える。この工程において、積層体と圧着ヘッドとの間に、熱硬化性樹脂及び充填材を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させた状態で、積層体が加熱及び加圧される。充填材の含有量が樹脂層の質量に対して60〜85質量%である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品装置を製造する方法、熱プレス用シート及び熱プレス用シートを形成するために用いられる熱プレス用熱硬化性樹脂組成物に関する。
パッケージ用配線基板に電子部品を搭載する方法として、実装効率のほか電気特性及び多ピン化対応に優れるフリップチップ実装の採用が増えている。フリップチップ実装は、表面にバンプ電極を形成したベアチップを、バンプ電極を介して配線基板にフェイスダウンで実装するものである。
例えば、電子部品の高集積化、高機能化、多ピン化、システム化、高速化、低コスト化等に対応するため、CSP(Chip Scale Package)と称される種々の小型パッケージが開発されており、フリップチップ実装が採用されている。COB(Chip on Board)、ハイブリッドIC(Integrated Circuit)、モジュール、カード等の分野においても、一部の電子部品を高密度実装するため、フリップチップ実装が採用されている。最近の表面実装型パッケージ及びCSPには、端子がエリアアレイ状に配置されたものが多い。この種のパッケージの実装形態もフリップチップ実装と同様である。
フリップチップ実装の場合、接続信頼性、耐湿信頼性等の観点から、電子部品と配線基板との間の間隙に熱硬化性のアンダーフィル材を充填し、硬化したアンダーフィル材によって接合部の補強及び素子の保護を図ることが通常行われている。
電子部品と配線基板との間にアンダーフィル材を介在させる方法として、後入れ型、先付与型等の種々の方式がある。中でも、CSPの小型化及び薄肉化に伴い、電子部品と配線基板との接続と、接続部の補強とを目的とした、先付与型のアンダーフィル材を用いた方法が注目を集めている(例えば、特許文献1参照)。
先付与型のアンダーフィル材を用いた実装方式としては、TCB(Thermal Compression Bonding)プロセスが知られている。現在、TCBプロセスにおいては、補助フィルムとして熱可塑性のフィルムが用いられることがある。このフィルムは、先付与したアンダーフィル材が実装時に染み出し、圧着ヘッドが汚染されるのを防ぐ役割を担う。
特開2013−219285号公報 国際公開第2017/038691号
ところで、先付与型のアンダーフィル材を用いた従来の実装方式では、各電子部品を個別に配線基板に実装することが主流であるが、近年、生産性の向上を図るために、圧着ヘッドの多段化及び大型化により、複数の電子部品を一括して配線基板に搭載することが検討されている(例えば、特許文献2参照)。
複数の電子部品を一括して配線基板に搭載する際には、圧着ヘッドの歪み、配線基材の反り等に起因して、圧着ヘッドとの接触状態が電子部品間でばらつくために、実装時の荷重が不均一になり易い傾向がある。荷重が不均一になると、一部の電子部品に十分な荷重がかからず、電子部品と、配線基板とが電気的に接続できない可能性がある。過剰な荷重の生じた箇所では電子部品が破損する懸念もある。不均一な荷重は、電子部品の面方向での位置ずれの原因にもなり得る。位置ずれが生じると、電子部品と配線基板との間の導通がとれなくなる可能性がある。
荷重の不均一化を緩和するため、電子部品及び配線基板を含む積層体を、熱硬化性樹脂を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させながらステージ及び圧着ヘッドで挟むことにより加熱及び加圧して配線基板に電子部品を搭載することが有効であると期待される。ところが、その場合、樹脂層での発泡によって熱プレス用シート内に空隙が形成されることがある。熱プレス用シート内に形成された空隙は、熱伝導率の低下、及び、搭載される電子部品への荷重の不均一化をまねく可能性があるため、空隙の発生を出来るだけ抑制することが望ましい。特に、隣接する電子部品間の距離が小さい場合、又は、電極等の接続部が狭ピッチで配置されている場合、荷重の不均一化がもたらす実装不良が顕著になることが予想される。
そこで本発明の一側面の目的は、電子部品及び配線基板を含む積層体を、熱硬化性樹脂を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させながらステージ及び圧着ヘッドで挟むことにより加熱及び加圧して配線基板に電子部品を搭載する場合において、熱プレス用シート内の空隙の発生を抑制することにある。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
本発明の一側面は、配線基板及び該配線基板に搭載された電子部品を備える電子部品装置を製造する方法に関する。この方法は、絶縁基板及び該絶縁基板上に設けられた配線層を有する配線基板と複数の電極を有する電子部品とバンプとを有する積層体であって、電子部品が配線層と電極とが対向するように配置され、対向する配線層と電極との間にバンプが介在している、積層体を、ステージ及び圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧し、それにより、バンプを介して配線層と電極とを電気的に接続する工程を備える。当該工程において、積層体と圧着ヘッドとの間に、熱硬化性樹脂及び充填材を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させた状態で、積層体が加熱及び加圧される。充填材の含有量が樹脂層の質量に対して60〜85質量%である。
上記方法によれば、電子部品を配線基板に搭載するために用いられる熱プレス用シート内の空隙の発生を抑制することができる。
積層体は、電子部品と配線基板との間で電極、バンプ及び配線層の間の間隙を充填している熱硬化性のアンダーフィル材を更に有していてもよい。
配線層と電極とを電気的に接続する工程において、それぞれ1つの電子部品を有する複数の積層体が、又は、1つの配線基板上に配置された複数の電子部品を有する1つ又は複数の積層体が、1組のステージ及び圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧されてもよい。また、配線基板の温度が25℃〜200℃、電子部品の温度が230℃〜300℃となるように、積層体が加熱及び加圧されてもよい。
本発明の別の一側面は、熱硬化性樹脂と、充填材と、を含む樹脂層を有し、上記方法において用いられる熱プレス用シートに関する。この熱プレス用シートにおいて、充填材の含有量が樹脂層の質量に対して60〜85質量%である。樹脂層の平均厚みが、10μm以上であってもよい。
熱プレス用シートは、樹脂層の片面上又は両面上に設けられた離型シートを更に有していてもよい。
熱硬化性樹脂がアクリレート化合物を含み、樹脂層が重合開始剤を更に含んでいてもよい。熱硬化性樹脂がエポキシ化合物を含み、樹脂層がエポキシ化合物の硬化剤を更に含んでいてもよい。
本発明の更に別の側面は、熱硬化性樹脂と、充填材とを含む熱硬化性樹脂組成物であって、充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して60〜85質量%であり、上記熱プレス用シートの樹脂層を形成するために用いられる、熱プレス用熱硬化性樹脂組成物に関する。熱硬化性樹脂がアクリレート化合物を含み、当該熱硬化性樹脂組成物が重合開始剤を更に含んでいてもよい。熱硬化性樹脂がエポキシ化合物を含み、当該熱硬化性樹脂組成物がエポキシ化合物の硬化剤を更に含んでいてもよい。この熱硬化性樹脂組成物は、溶剤を更に含んでいてもよい。
本発明によれば、電子部品及び配線基板を含む積層体を、熱硬化性樹脂を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させながらステージ及び圧着ヘッドで挟むことにより加熱及び加圧して配線基板に電子部品を搭載する場合において、熱プレス用シート内の空隙の発生を抑制することができる。空隙の発生が抑制されることで、例えば位置ずれの発生をより効果的に抑制することができる。
電子部品装置を製造する方法の一実施形態を示す断面図である。 電子部品装置を製造する方法の一実施形態を示す断面図である。 電子部品装置を製造する方法の一実施形態を示す断面図である。 一実施形態に係る電子部品装置の断面図である。 一実施形態に係る熱プレス用シートの断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「平均厚み」、「平均距離」、及び「平均幅」とは、任意に選択した3点での測定値の算術平均値を意味する。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
<電子部品装置を製造する方法>
以下、図1、図2及び図3を参照しながら本実施形態の製造方法の一例について説明する。図1〜図3に示される実施形態に係る方法においては、電子部品の配線基板と対向する面にアンダーフィル材を予め付与した後、電子部品の電極と配線基板の配線層とがバンプを介して電気的に接続される。
(付与工程)
まず、図1に示すように、本体部21、本体部21の一方の主面上に設けられた複数の電極23、及びそれぞれの電極23上に設けられたバンプ25を有する電子部品20の電極23及びバンプ25側の面に、アンダーフィル材30を付与する(付与工程)。
電子部品20は、例えば半導体チップであってもよい。電子部品の種類は特に制限されず、樹脂等によってパッケージングされていないダイ(チップ)そのもの、樹脂等によってパッケージングされているCSP、BGA(Ball Grid Array)等と呼ばれている半導体パッケージなどであってもよい。
バンプ25の材質は特に制限されず、はんだ等の通常使用される材質から選択することができる。バンプは、金属ポストとはんだとの組み合わせであってもよい。環境問題及び安全性の観点から、バンプには、Cu又はAuのほか、Ag−Cu系はんだ、Sn−Cu系はんだ、Sn−Bi系はんだ等の無鉛はんだを使用してもよい。バンプを無鉛はんだから形成する場合、無鉛はんだの濡れ不良に起因してバンプ周辺に微細な隙間が生じやすい。しかし、本実施形態の製造方法によれば、無鉛はんだをバンプに使用した場合にも、位置ずれの発生を効果的に抑制することができる。
(接触工程)
次いで、図2に示すように、アンダーフィル材30の付与された電子部品20を仮圧着ヘッド42上に配置し、電子部品20と、ステージ41上に配置された、絶縁基板11及び絶縁基板11上に設けられた配線層13を有する配線基板10とを対向させる。そして、ステージ41及び仮圧着ヘッド42により、電子部品20と配線基板10とを加熱及び加圧し、それにより、電子部品20と絶縁基板11との間で電極23、バンプ25及び配線層13の間の間隙にアンダーフィル材30を充填するとともに、バンプ25と配線層13とを接触させる(接触工程)。
絶縁基板11の種類は特に制限されず、例えば、FR4、FR5等の繊維基材を含む有機基板、繊維基材を含まないビルドアップ型の有機基板、ポリイミド、ポリエステル等の有機フィルム、及びアルミナ、ガラス、シリコンの無機基材を含む基材から選択することができる。絶縁基板としてシリコンを含む基材を用いる場合、基板内に貫通電極(シリコン貫通電極;TSV(Through Silicon Via))が形成されていてもよい。
配線層13は、通常、接続用の電極を含む導体配線である。配線層13は、例えば、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の手法により形成される。
アンダーフィル材は、電子部品20の電極23側の面、又は配線基板10の配線層13側の面のうち少なくとも一方に付与することができる。生産性の観点から、電子部品20のみにアンダーフィル材を付与することが好ましい。バンプが配線基板10の配線層13上に設けられていてもよい。
アンダーフィル材30としては、従来使用されているアンダーフィル材を使用することができる。例えば、特開2013−151642号公報、特開2013−219285号公報、特開2015−032637号公報、特開2015−032638号公報、特開2015−083633号公報、及び特開2015−083634号公報に記載されているアンダーフィル材を使用することができる。
アンダーフィル材の形状は特に制限されず、フィルム状であっても、液状であってもよい。加圧工程における電子部品と配線基板との面方向での位置ずれを抑制する観点から、アンダーフィル材の形状は、フィルム状であることが好ましい。隣接する接続部同士のピッチがより狭くなったときの接続信頼性の観点から、アンダーフィル材は導電性粒子を含まないことが好ましい。
アンダーフィル材を電子部品20の電極23側の面(又は、配線基板10の配線層13側の面)に付与する方法は、特に制限されない。
アンダーフィル材が液状の場合、付与方法としては、例えば、スクリーン印刷法、及びエアーディスペンサー、ジェットディスペンサー、オーガータイプディスペンサー等のディスペンサーを用いる方法が挙げられる。
アンダーフィル材がフィルム状の場合、付与方法としては、ダイアフラム方式のラミネータ、ロール方式のラミネータ等を用いる方法が挙げられる。
アンダーフィル材の塗布形状は特に制限されない。アンダーフィル材を配線基板の上に付与する場合、例えば、電子部品の搭載位置の全体に付与する方法、電子部品の搭載位置に対応する四角形の対角線に沿った2本の線からなるクロス形状に付与する方法、クロス形状に更にクロス形状を45°ずらして重ねた米字形状に付与する方法、又は電子部品の搭載位置の中心に一点で付与する方法によりアンダーフィル材が付与される。信頼性の観点からアンダーフィル材のクリーピング等を抑制するためには、クロス形状又は米字形状でアンダーフィル材を付与することが好ましい。配線基板に基板電極(又は配線層)が設けられている場合は、基板電極が設けられた箇所を含む電子部品の搭載位置にアンダーフィル材を付与することが好ましい。
フィルム状のアンダーフィル材を付与する場合、電子部品の配線基板と対向する面の全体、又は配線基板の電子部品が搭載される位置の全体にアンダーフィル材を付与することが望ましい。
アンダーフィル材を付与する際の温度は、アンダーフィル材の性質等に応じて選択することができる。フィルム状のアンダーフィル材をダイアフラム方式のラミネータにより電子部品に付与する場合には、アンダーフィル材及び電子部品表面の温度を、例えば、それぞれ50℃〜100℃とすることが好ましく、ラミネート時のボイド巻き込みを抑制する観点からは、それぞれ70℃〜90℃とすることがより好ましく、それぞれ80℃付近とすることが更に好ましい。
接触工程におけるアンダーフィル材の温度(以下、「充填温度」ともいう。)は、アンダーフィル材の硬化温度未満であることが好ましい。例えば、アンダーフィル材の充填温度は、200℃未満であることが好ましい。アンダーフィル材の充填温度を200℃未満とすることで、加圧によりアンダーフィル材を電子部品と配線基板との間の間隙に充填する際に、アンダーフィル材の増粘が抑えられ、アンダーフィル材の流動性が充分なものとなり、接続が確保されやすく、且つ、ボイドの発生を避けることができる傾向にある。
アンダーフィル材の充填温度の下限は特に制限されない。アンダーフィル材の低粘度化の観点からは、アンダーフィル材の充填温度は、例えば、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。
アンダーフィル材の充填温度を調節する具体的な方法は特に制限されない。例えば、電子部品及び配線基板の少なくとも一方の温度を充填温度に調節してアンダーフィル材に接触させる方法を挙げることができる。
接触工程において、ステージ及び仮圧着ヘッドにより配線基板及び電子部品装置に加わる圧力の大きさは、一般的なフリップチップの実装工程と同様に、バンプの数又は高さのばらつき、加圧によるバンプ又はバンプを受ける絶縁基板上に設けられた配線の変形量等を考慮して設定することができる。具体的には、例えば、バンプ1個あたりが受ける荷重が1g〜10g程度になるように設定することが好ましい。また、例えば、1チップあたりに掛かる荷重が10N〜100N程度になるように設定することが好ましい。
(接続工程)
次いで、図3に示すように、電子部品20、配線基板10及びそれらの間のアンダーフィル材30から構成される3個の積層体5を、積層体5と圧着ヘッド43との間に熱プレス用シート3を介在させながらステージ41及び圧着ヘッド43により加熱及び加圧する。この加熱及び加圧(熱プレス)により、電子部品20の電極23と配線基板10の配線層13とをバンプ25を介して電気的に接続し、且つ、アンダーフィル材30を硬化させる(接続工程)。通常、この接続工程において、熱プレス用シートの樹脂層も硬化する。
接続工程は、電子部品と配線基板とのバンプを介した接続を確保する観点から、バンプの融点以上の温度で行われることが好ましい。すなわち、バンプと絶縁基板上の配線等との金属接合が形成される温度で行われることが好ましい。例えば、バンプがはんだバンプである場合、接続工程は、230℃以上の温度で行われることが好ましい。アンダーフィル材の耐熱性の観点からは、接続工程は、例えば、320℃以下の温度で行われることが好ましく、300℃以下の温度で行われることがより好ましい。はんだ接続は、導電性粒子を用いた接続手法等に比べ高温を必要とする一方、高い接続信頼性を有しているため、接続する配線層が増加した場合、及び配線層間のピッチが狭くなった場合にも適用可能な接続方法である。以上の観点から、配線基板10の温度が25〜200℃、電子部品20の温度が230〜300℃となるように、積層体5が加熱及び加圧されることが好ましい。このような高温での加熱及び加圧に用いられる熱プレス用シート3は、200℃以上の耐熱性を有することが好ましい。このような耐熱性を有する熱プレス用シート3の詳細については後述される。
接続工程において、1組のステージ及び圧着ヘッドによって一括して加熱及び加圧されるける電子部品、配線基板及びこれらを含む積層体の数は特に制限されない。生産効率の観点からは、複数の電子部品、及び/又は複数の積層体を一括して加熱及び加圧することが好ましい。その場合、電子部品又は積層体ごとに1枚の熱プレス用シートを配置しても、1枚の熱プレス用シートを複数の電子部品を覆うように配置してもよい。生産効率の観点からは、1枚の熱プレス用シートを複数の電子部品を覆うように配置することが好ましい。
一括して加熱及び加圧される電子部品又は積層体の数は、例えば、それぞれ2個以上であることが好ましく、それぞれ3個以上であることがより好ましく、それぞれ5個以上であることが更に好ましい。本実施形態の製造方法による効果は、一括して加熱及び加圧する電子部品又は積層体の数が多いほど顕著である。一括して加熱及び加圧される電子部品又は積層体の数の上限は、特に制限されないが、例えば100個以下であってもよい。
接続工程は、生産効率の観点からは、短時間で行われることが好ましい。具体的には、例えば、昇温速度が5℃/秒以上であることが好ましく、10℃/秒以上であることがより好ましく、15℃/秒以上であることが更に好ましい。加熱時間は、バンプを構成する材料の種類により異なるが、生産効率の観点からは、短時間であるほど好ましい。バンプがはんだバンプである場合、加熱時間は、例えば、30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましく、10秒以下であることが更に好ましい。Cu−Cu又はCu−Auの金属接合の場合は、加熱時間は、例えば、30秒以下であることが好ましい。
接続工程において電子部品と配線基板との位置ずれを抑制する観点から、熱プレス用シートの樹脂層の硬化速度は、アンダーフィル材の硬化速度よりも速いことが好ましい。熱プレス用シートの樹脂層の硬化速度をアンダーフィル材の硬化速度よりも速くすることで、加熱時における熱膨張がより抑えられ、位置ずれを抑制しやすくなる傾向にある。
以上の工程を経ることで、図4に示す電子部品装置1が3個、一括して製造される。このように複数の電子部品装置を一括して製造する場合、従来、圧着ヘッドと電子部品との接触状態が電子部品間でばらつき、加熱及び加圧する際の荷重が不均一になる結果、電子部品装置の接続不良が多く発生し、歩留まりが低下することがあった。不均一な荷重は、電子部品装置の接続不良を発生させるほどではない場合であっても、電子部品装置の信頼性低下の一因となり得る。
これに対して、熱プレス用シートを用いた本実施形態の製造方法によれば、複数の電子部品装置を一括して製造する場合であっても、電子部品と圧着ヘッドとの接触状態のばらつきが低減し、荷重の不均一さが緩和され、その結果、歩留まりを向上すると考えられる。この理由は、例えば、以下のように考えることができる。
圧着ヘッドと電子部品との間に熱プレス用シートを介在させることで、熱プレス用シートの樹脂層の硬化によって、圧着ヘッド及び電子部品の熱膨張が抑えられ、それにより、熱膨張差に起因する位置ずれ、及び、平行度が不十分な圧着ヘッドから加わる面方向への力に起因する位置ずれが抑制されると考えられる。また、例えば、複数の電子部品装置を一括して製造する際に、圧着ヘッドとの接触状態が電子部品間でばらついていたとしても、圧着ヘッドと電子部品との間隙を熱プレス用シートによって埋めることができる。そして、その状態で熱プレス用シートの樹脂層が硬化する結果、電子部品と配線基板とに加わる荷重の不均一さが低減され、位置ずれが抑制されると考えられる。
加えて、本実施形態の熱プレス用シート内での空隙形成を抑制することにより、熱伝導率の低下、及び、熱プレス用シートを介した電子部品への荷重の均一化が更に抑制される。これにより、複数の電子部品装置をより安定して一括して製造することが可能である。
<電子部品装置>
図4に示す電子部品装置1は、絶縁基板11及び該絶縁基板11上に設けられた配線層13を有する配線基板10と、複数の電極23を有する電子部品20と、複数のバンプ25と、硬化したアンダーフィル材30とを有する。電子部品20は電極23と配線層13とが対向するように配置され、対向する電極23と配線層13との間にバンプ25が介在している。電極23と配線層13とがバンプ25により電気的に接続されている。アンダーフィル材30が、電子部品20と配線基板10との間で、電極23、バンプ25及び配線層13の間に形成された間隙を充填している。本実施形態の電子部品装置1は、電子部品と配線基板との接続性が良好であり、信頼性に優れる。
本実施形態の方法の効果は、電子部品と配線基板との間の距離及びバンプ間の距離が小さい電子部品装置を製造する場合に特に顕著である。具体的には、電子部品装置における電子部品と配線基板との間の平均距離は、例えば、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。また、隣り合うバンプ間の平均距離は、例えば、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、80μm以下であることが特に好ましい。
本実施形態において、配線基板は、絶縁基板上に配線パターン及びレジストパターンによる凹凸部を有していてもよい。配線基板が配線パターン及びレジストパターンを有する場合は、例えば、配線パターンの平均幅が50μm〜300μmであり、レジスト開口部の平均幅が50μm〜150μmであり、レジストの平均厚みが10μm〜20μmであることが好ましい。配線パターンは、バンプと接続される配線層を含む。
本実施形態の製造方法によれば、上記のような凹凸部を有する基板を使用した場合であっても、電子部品と基板との位置ずれを抑制することができる。
<熱プレス用シート>
本実施形態に係る方法において用いられる熱プレス用シートは、熱硬化性樹脂及び充填材を含む樹脂層を有するものであれば特に制限されない。
図5は、一実施形態に係る熱プレス用シートを示す断面図である。図5に示す熱プレス用シート3は、熱硬化性樹脂を含む樹脂層31と、樹脂層31の両面上に設けられた離型シート33a,33bとを有する。樹脂層31は、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形したものである。樹脂層31又はこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の硬化のための重合開始剤及び/又は硬化剤を含んでいてもよく、必要によりその他の成分を更に含んでいてもよい。
圧着ヘッドにより電子部品を加熱して電子部品を配線基板に実装する際に、圧着ヘッドと電子部品との間に、本実施形態の熱プレス用シートを介在させることで、電子部品と基板との位置ずれを抑制し、且つ、複数の電子部品装置を一括して製造することが可能となる。
以下、本実施形態の熱プレス用シートの各成分および構成について詳細に説明する。
<充填材>
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物に含まれる充填材は、無機充填材、有機充填材、又はこれらの組合せであることができる。
無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粒子;炭酸カルシウム、クレー、アルミナ等の粒子;窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粒子;これらの粒子を球形化したビーズ;及びガラス繊維が挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、有機充填材の少なくとも1種を含有していてもよい。有機充填材としては、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。また、有機充填材の好ましい含有量及び平均粒径は上記記載の無機充填材と同様である。
充填材の体積平均粒径は、例えば、0.01μm〜20μmの範囲が好ましく、0.3μm〜10μmの範囲がより好ましい。充填材の体積平均粒径が0.01μm以上であると、充填材の添加量により、樹脂シート用組成物の粘度調整が容易になる傾向がある。充填材の体積平均粒径が10μm以下であると、樹脂シートの凹凸追従性を損なうことなく、硬化性を調整し、硬化物の弾性率を制御することができる傾向にある。
本明細書において「体積平均粒径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を意味する。
充填材の含有量は、例えば、樹脂層、又はこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して60〜85質量%である。これにより、電子部品の搭載のための加熱及び加圧(接続工程)における熱プレス用シート内での空隙の発生が効果的に抑制される。また、熱プレス用シートの良好な成形性が得られる傾向にある。粉落ち抑制等の観点から、充填材の含有量は、樹脂層、又はこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して65〜75質量%であってもよい。
ここで、熱硬化性樹脂組成物の固形分とは、水分及び後述する溶剤等の揮発分以外の成分を指す。固形分は、25℃付近の室温で液状、又はワックス状のものも含み、必ずしも固体ではない。本明細書において、揮発分(すなわち水分及び溶剤)とは、沸点が大気圧下200℃以下である物質を意味する。本明細書において、熱硬化性樹脂組成物における各成分における含有量は、特に別に断らない限り、熱硬化性樹脂組成物の固形分に対する割合を意味する。
樹脂層、又は熱硬化性樹脂組成物の固形分の体積を基準にした充填材の含有量は、45〜70体積%であることが好ましく、50〜60体積%であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の固形分における無機充填材の体積基準の含有量は、以下のようにして測定される。まず、25℃における熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量(Wc)を測定し、その熱硬化性樹脂組成物を空気中400℃で2時間、次いで700℃で3時間熱処理し、樹脂分を燃焼して除去した後、25℃における残存した無機充填材の質量(Wf)を測定する。次いで、電子比重計又は比重瓶を用いて、25℃における無機充填材の比重(df)を求める。次いで、同様の方法で25℃における熱硬化性樹脂組成物の固形分の比重(dc)を測定する。次いで、熱硬化性樹脂組成物の固形分の体積(Vc)及び残存した無機充填材の体積(Vf)を求め、(式1)に示すように残存した無機充填材の体積を熱硬化性樹脂組成物の固形分の体積で除すことで、無機充填材の体積比率(Vr)として求める。
(式1)
Vc=Wc/dc
Vf=Wf/df
Vr=Vf/Vc
Vc:熱硬化性樹脂組成物の体積(cm
Wc:熱硬化性樹脂組成物の質量(g)
dc:熱硬化性樹脂組成物の密度(g/cm
Vf:無機充填材の体積(cm
Wf:無機充填材の質量(g)
df:無機充填材の密度(g/cm
Vr:無機充填材の体積比率
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、架橋構造体を形成して樹脂層を硬化させる反応性の官能基を有する化合物である。熱硬化性樹脂としては、アクリレート化合物、エポキシ化合物、ビスマレイミド化合物、シアネート化合物、フェノール化合物等を挙げることができる。中でも、樹脂層の粘度及び熱硬化性組成物の硬化物の熱膨張率の観点から、アクリレート化合物、エポキシ化合物、ビスマレイミド化合物、及びフェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アクリレート化合物、エポキシ化合物、及びビスマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、硬化速度の観点から、アクリレート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらの熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、特に制限されないが、充分な硬化性を得る観点からは、樹脂層、又は熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して、例えば、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂層の流動性の観点からは、樹脂層、又は熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して、例えば、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂として(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、(メタ)アクリレート化合物としては特に制限されず、通常用いられる(メタ)アクリレート化合物から適宜選択することができる。(メタ)アクリレート化合物は単官能(メタ)アクリレート化合物であっても、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物であってもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エリスリトール型ポリ(メタ)アクリレート化合物、グリシジルエーテル型(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物、シクロデカン型ジ(メタ)アクリレート化合物、メチロール型(メタ)アクリレート化合物、グリコール型ジ(メタ)アクリレート、ジオキサン型ジ(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールF型(メタ)アクリレート化合物、ジメチロール型(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌル酸型ジ(メタ)アクリレート化合物、及びトリメチロール型トリ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。中でも、トリメチロール型トリ(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌル酸型ジ(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールF型(メタ)アクリレート化合物、シクロデカン型ジ(メタ)アクリレート化合物、及びグリシジルエーテル型(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂としてエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限されるものではなく、電子部品の製造を用途として一般的に使用されているエポキシ化合物を用いることができる。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とする、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共重合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;p−アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;及び脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。反応性及び耐熱性の観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ化合物は、固体であっても液体であってもよく、固体のエポキシ化合物と液体のエポキシ化合物とを併用してもよい。熱硬化性樹脂組成物の粘度を低くする観点からは液状のエポキシ化合物が好ましい。
(重合開始剤)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂として(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、(メタ)アクリレート化合物の重合反応を促進するため、樹脂層及び熱硬化性樹脂組成物が重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、重合開始剤として熱重合開始剤を含有する場合、熱重合開始剤としては特に制限されず、例えば、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類(パーオキシエステル類)、及びパーオキシカーボネート類が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ケトンパーオキサイドの具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドが挙げられる。
ハイドロパーオキサイドの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドが挙げられる。
ジアシルパーオキサイドの具体例としては、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイド、及びコハク酸パーオキサイドが挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドの具体例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が挙げられる。
パーオキシケタールの具体例としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチルが挙げられる。
アルキルパーエステル(パーオキシエステル)の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−2−エチルヘキサノイルパーオキシヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−ベンゾイルパーオキシヘキサンが挙げられる。
パーオキシカーボネートの具体例としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−4−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、及び1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシロキシ)ヘキサンが挙げられる。
これらの熱ラジカル重合開始剤の中でも、硬化性の観点から、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のシクロヘキサン型の過酸化物が好ましい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、熱ラジカル重合開始剤を含有する場合、熱ラジカル重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリレート化合物の合計100質量部に対して、例えば、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.1質量部〜5質量部であることがより好ましい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、重合開始剤として光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤としては特に制限されず、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて増感剤を併用してもよい。光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤は、エポキシ化合物と組み合わせることもできる。
光ラジカル開始剤としては、特に限定されず、分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物、分子内にオキシムエステル構造を有する化合物、及び分子内にリン元素を有する化合物が挙げられる。
分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンが挙げられる。
分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369E、及びIRGACURE 379EG(いずれもBASF社製、「IRGACURE」は登録商標)が挙げられる。
分子内にオキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−(2−(1,3−ジオキソ−2−ジメチル−シクロペンチ−5−イル)エトキシ)−ベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
分子内にオキシムエステル構造を有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02(いずれもBASF社製)、及びN−1919((株)ADEKA製)が挙げられる。
分子内にリン元素を含有する化合物の具体例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが挙げられる。
分子内にリン元素を含有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE 819、IRGACURE TPO及びLUCIRIN TPO(いずれもBASF社製、「LUCIRIN」は登録商標)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE250、IRGACURE270、及びIRGACURE290(いずれもBASF社製)、CPI100P、CPI101A、CPI−200K、及びCPI210S(いずれもサンアプロ(株)製)、並びにアデカオプトマーSP300、及びアデカオプトマーSP150((株)ADEKA製)が挙げられる。
光アニオン重合開始剤の市販品としては、例えば、A2502、B5085、N0528、N1052及びO0396(いずれも東京化成工業(株)製)が挙げられる。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリレート化合物の合計100質量部に対して、例えば、0.01質量部〜3質量部であることが好ましく、0.1質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であることにより、光照射による反応率の低下を抑制させ、シート形成を容易にする傾向があり、また、光重合開始剤の含有量が3質量部以下であることにより、光照射による反応率が増大しすぎず、熱硬化時に反応性が阻害されることを抑制できる傾向にある。
(硬化剤)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂としてエポキシ化合物を含有する場合、樹脂層及び熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ化合物を硬化させる硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては特に制限されず、通常用いられる硬化剤から選択することができる。硬化剤は固体であっても液体であってもよく、固体の硬化剤と液体の硬化剤とを併用してもよい。短時間での硬化の観点からは、酸無水物の少なくとも1種を硬化剤として用いることが好ましい。
エポキシ化合物のエポキシ基の当量数と、エポキシ基と反応する硬化剤の官能基の当量数との比は特に制限されない。各成分の未反応分を少なくする観点からは、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の官能基を0.1当量〜2.0当量とすることが好ましく、0.5当量〜1.25当量とすることがより好ましく、0.8当量〜1.2当量とすることが更に好ましい。
(硬化促進剤)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂としてエポキシ化合物を含む場合、樹脂層及び熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ化合物の硬化反応を促進する硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及びグアニジン系硬化促進剤が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、及びイミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、例えば、エポキシ化合物及び硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%であることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の少なくとも1種を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、イミド樹脂、及びアミド樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂は、例えば、重合性単量体をラジカル重合することにより製造することができる。重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン又はスチレン誘導体;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル;マレイン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等のマレイン酸モノエステル;フマル酸;ケイ皮酸;イタコン酸;及びクロトン酸が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。熱可塑性樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、(株)クラレ製の「クラリティのLAシリーズ(LA−2140、LA−2250、LA−2330、LA−4285」等が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、成膜性及び流動性の観点から、例えば、5000〜1000000であることが好ましく、20000〜500000であることがより好ましい。
本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。GPCの条件を以下に示す。
ポンプ:L−6000型((株)日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)(日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:40℃
流速:2.05mL/分
検出器:L−3300型RI((株)日立製作所製、商品名)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、樹脂層及び熱硬化性樹脂組成物の総量中に1質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が1質量%以上であると、成膜性が向上する傾向にある。熱可塑性樹脂の含有量が70質量%以下であると、硬化性が向上し、電子部品と基板との接合性が向上する傾向にある。
(溶剤)
熱硬化性樹脂組成物は、溶剤の少なくとも1種を含有していてもよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は特に制限されない。例えば、熱プレス用シートを作製する設備に合わせてその含有量を調整することが好ましい。
(その他の成分)
樹脂層及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、カップリング剤、着色剤、界面活性剤、及びイオントラップ剤が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形する際には、作業性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の成分を前述の溶剤中で混合してワニスの形態としてもよい。また、得られたワニスを離型シート上に塗工し、乾燥して熱硬化性の樹脂層を形成してもよい。
熱プレス用シート3は、例えば、上述した熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物のワニスを離型シート33a上に塗工し、塗工された熱硬化性樹脂組成物のワニスを乾燥して樹脂層31を形成することと、樹脂層31上に離型シート33bを積層することとを含む方法により、得ることができる。
離型シート33aへのワニスの塗工は、通常の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。
離型シート33aに塗工されたワニスの乾燥は、ワニスに含まれる溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から適宜選択することができる。ワニスを用いる方法に代えて、光反応によって流動性が低下する熱硬化性樹脂組成物を離型シート33aに塗工し、塗工された熱硬化性樹脂組成物に紫外線を照射してもよい。
[樹脂層]
樹脂層31は、離型シート33a及び離型シート33bの間に設けられた層であり、例えば、熱硬化性樹脂を含有する前述の熱硬化性樹脂組成物を離型シート33a及び離型シート33bの少なくとも一方に塗布し、シート状に成形することによって形成される。
樹脂層の平均厚みは、電子部品と配線基板との面方向での位置ずれを抑制する観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。また、熱硬化性の組成物層の平均厚みは、成膜性の観点から、例えば、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、20μm未満であることが特に好ましい。
熱プレス用シートがステージ及び圧着ヘッドによる熱プレスに用いられる前に、樹脂層に含まれる熱硬化性樹脂の硬化反応がある程度進行していてもよい。これにより、電子部品の厚み等のばらつきが大きくなった場合にも、荷重不均一性の解消の点でより一層顕著な効果が得られる。例えば、樹脂層を形成するための乾燥条件の調整、又は、熱処理若しくは紫外線照射により、熱硬化性樹脂の硬化反応をある程度進行させることができる。
熱硬化性樹脂の硬化反応の進行の程度は、樹脂層の溶融粘度に基づいて見積もることができる。具体的には、樹脂層の25℃から180℃の領域における最低溶融粘度が1000〜100000Pa・sであってもよい。最低溶融粘度が1000以上であると、荷重不均一性を解消するために変形した熱プレス用シートにおいて、樹脂層が過度に流動せずに形状を保持し易い。最低溶融粘度が100000以下であると、熱プレス用シートが荷重不均一性を解消するように変形し易い傾向がある。同様の観点から、樹脂層の25℃から180℃の領域における最低溶融粘度が5000〜50000Pa・s、又は10000〜30000Pa・sであってもよい。樹脂層の最低溶融粘度は、5%振り角、周波数1Hz、昇温速度10℃/分の条件で樹脂層の粘度(複素粘性率)を測定したときの、粘度(複素粘性率)の最小値である。粘度(複素粘性率)の測定は、例えばレオメータ(動的粘弾性測定装置、装置名:MCR301、(株)アントンパール・ジャパン製)を用いて行うことができる。
[離型シート]
離型シート33a,33bは、積層体の加熱及び加圧の後、圧着ヘッド及び積層体に貼りつかない程度の離型性を有するシートである。容易な離型のためには離型シート33a,33bが設けられることが好ましいが、例えば樹脂層31自体が硬化後に離型性を有する場合、離型シート33a,33bが設けられていなくてもよく、これらのうち一方だけ設けられてもよい。離型シートは、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの有機樹脂フィルム;離型紙;及び銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を有していてもよい。支持体としては、耐熱性の観点から、ポリイミドフィルム、及び銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が好ましい。
配線基板の配線と電子部品の電極とをバンプを介して電気的に接続する際に染み出すアンダーフィル材のフィレット部との離型性を良好にする観点から、該電気的に接続する際に電子部品と接する離型シートは、離型剤を有機樹脂フィルム等に塗布して形成される離型層を有していてもよい。離型層の形成に使用される離型剤としては、アルキド樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の非シリコーン系離型剤、シリコーン系離型剤、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素樹脂系離型剤などが挙げられる。
離型剤の市販品としては、例えば、リンテック(株)製の「X」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;490mN/20mm)、「SK−1」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;1250mN/20mm)、「AL−5」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;1480mN/20mm)、「6050」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2400mN/20mm)、「6051」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2800mN/20mm)、及び「6052」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;4000mN/20mm)が挙げられる(括弧内の数値は初期の密着強度の値である)。離型剤の他の市販品としては、例えば、リンテック(株)製の「AL−7」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)、及び藤森工業(株)製の「NSP4」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)が挙げられる。更に、離型剤の市販品としては、例えば、日立化成(株)製のテスファインシリーズ(テスファイン303、テスファイン305、テスファイン314、テスファイン319、及びTA31−209E)が挙げられる。
離型シートを含めた熱プレス用シートの平均厚みは、例えば、20μm〜400μmであることが好ましい。樹脂層又は熱プレス用シートの厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<熱プレス用シートの作製>
実施例1
撹拌機を備えたフラスコに、熱可塑性樹脂としてアクリル系ブロック共重合体((株)クラレ製、商品名「LA4285」)を196.6g、熱硬化性樹脂としてトリメチロールプロパントリアクリレート(日立化成(株)製、商品名「FA137M」)を98.32g入れ、更に熱ラジカル重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサC」)1.5g、充填材としてシリカ粒子((株)アドマテックス製、商品名「SE2050」、体積平均粒径:0.5μm)を843.6g、溶剤としてメチルエチルケトン288.5gを加え、これらを撹拌して混合し、熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスにおいて、充填材の含有量は、固形分の質量に対して73質量%であった。
熱硬化性樹脂組成物のワニスを、離型シートとしてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)に塗工した。塗工されたワニスを70℃の乾燥機で10分間の加熱によって乾燥して、平均厚み40μmの樹脂層を形成させた。樹脂層に、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)を重ね、ホットロールラミネーターを用いて140℃、0.5MPa、1.0m/分の条件で貼り合わせることで、ポリイミドフィルム、樹脂層及びポリイミドフィルムの順に積層された熱プレス用シートを得た。
実施例2
充填材をシリカ粒子(デンカ(株)製、商品名「FB−5SDCH」、体積平均粒径:5.0μm)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製し、熱プレス用シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物の固形分及び熱プレス用シートの樹脂層における充填材の含有量は、73質量%であった。
実施例3
充填材をアルミナ粒子(住友化学(株)製、商品名「AA04」、体積平均粒径:0.5μm)に代えたこと以外は合成例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、熱プレス用シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物の固形分及び熱プレス用シートの樹脂層における充填材の含有量は、73質量%であった。
比較例1
熱可塑性樹脂をアクリル系ブロック共重合体((株)クラレ製、商品名「LA2140」)に代え、充填材を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、熱プレス用シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物の固形分及び熱プレス用シートの樹脂層における充填材の含有量は、0質量%であった。
比較例2
シリカ粒子の配合量を137.0gとしたこと以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、熱プレス用シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物の固形分及び熱プレス用シートの樹脂層における充填材の含有量は、31質量%であった。
比較例3
シリカ粒子の配合量を365.3gとしたこと以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、熱プレス用シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物の固形分及び熱プレス用シートの樹脂層における充填材の含有量は、55質量%であった。
比較例4
熱プレス用シートとしてアルミ箔を準備した。
<電子部品装置の製造>
電子部品として、アルミニウム配線及びアルミニウム配線上に設けられたバンプを有する7.3mm×7.3mm×0.1mmのシリコンチップ((株)ウォルツ製、商品名「WALTS−TEG CC80−0101JY−MODEL 1」、バンプ:Sn−Ag−Cu系、バンプ間隔:80μm)を準備した。配線基板として、配線層及びソルダーレジストを有する18mm×18mm×0.4mmの基板((株)ウォルツ製、商品名「WALTS−KIT CC80−0102JY−MODEL 1」、ソルダーレジスト:PSR4000−AUS703、基材:E679FGS)を準備した。
80℃まで昇温したシリコンチップに対して、フィルム状のアンダーフィル材(日立化成(株)製、エポキシ系NCF(Non−conductive Film))を、ダイアフラム方式の真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ(株)製、商品名「V130」)でラミネートした。
ステージ上に配線基板を配置し、ステージに対向する圧着ヘッド上に、配線基板の配線層とバンプとが対向するようにシリコンチップを設置した。そして、シリコンチップを80℃まで昇温し、ステージと仮圧着ヘッドとにより、120Nの荷重で配線基板とシリコンチップとを加圧し、配線基板の配線層と、シリコンチップのバンプとを接触させた。この際、シリコンチップ上に付与されたアンダーフィル材が加圧により流動し、配線基板とシリコンチップとの間でアルミニウム配線、バンプ及び配線層の間隙を充填した。このようにして、5個の積層体を作製した。
5個の積層体を、シリコンチップが上側に位置する向きで、10cm角のステージの四隅及び中心の位置にそれぞれ配置した。ステージ上の5個の積層体を覆うように、各実施例又は比較例の1枚の熱プレス用シートを重ねた。その後、該ステージに対向する圧着ヘッドを300℃まで昇温し、昇温した圧着ヘッドとステージとにより、積層体を200Nの荷重で10秒間加熱及び加圧した。これにより、配線基板の配線層と、シリコンチップのバンプとを電気的に接続した。このようにして、評価用の電子部品装置5個を一括して製造した。
得られた電子部品装置について、以下のようにして、電子部品の剥離の観察、接続性の確認、シリコンチップと配線基板との位置ずれの確認及び熱プレス用シート内の空隙の有無の確認を行った。評価結果を表1に示す。
<電子部品の剥離>
電子部品装置の内部を超音波観察装置(インサイト(株)製、商品名「INSIGHT−300」)を用いて観察することで電子部品の剥離の有無を確認した。電子部品の剥離状態を下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:5個の電子部品装置のうち、全ての電子部品装置において電子部品の剥離が観察されなかった。
B:5個の電子部品装置のうち、一部の電子部品装置において電子部品の剥離が観察された。
<接続性>
電子部品装置の導通をテスター(カイセ(株)製、商品名「SK−6500」)で確認し、下記の評価基準に従って接続性を評価した。
−評価基準−
A:5個の電子部品装置のうち、全ての電子部品装置において電子部品の導通が取れている。
B:5個の電子部品装置のうち、一部の電子部品装置において電子部品の導通が取れない。
<シリコンチップと配線基板との位置ずれの確認>
電子部品装置について、シリコンチップのバンプと配線基板の配線層との面方向での位置ずれをX線観察装置(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー(株)製、商品名「XD−7600NT100−CT)を用いて確認した。下記の評価基準に従って位置ずれを評価した。位置ずれは、電子部品装置1個につき5箇所、5個の電子部品装置で合計25箇所を測定し、その算術平均値を求めた。
−評価基準−
A:位置ずれの算術平均値が7μm未満である。
B:位置ずれの算術平均値が7μm以上、10μm未満である。
C:位置ずれの算術平均値が10μm以上である。
<熱プレス用シート内の空隙>
積層体を加熱及び加圧した後の熱プレス用シート内の空隙の有無を目視により確認した。
―評価基準―
A:熱プレス用シート内に空隙が確認されない。
B:熱プレス用シート内に空隙が確認される。
Figure 2019041097
表1に示されるように、60〜85質量%の充填材を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを用いることで、熱プレス用シート内の空隙を発生させることなく、複数の電子部品装置を一括して製造することができることが確認された。
1…電子部品装置、3…熱プレス用シート、5…積層体、10…配線基板、11…絶縁基板、13…配線層、20…電子部品、21…電子部品の本体部、23…電極、25…バンプ、30…アンダーフィル材、31…樹脂層、33a、33b…離型シート、41…ステージ、42…仮圧着ヘッド、43…圧着ヘッド。

Claims (13)

  1. 配線基板及び該配線基板に搭載された電子部品を備える電子部品装置を製造する方法であって、
    絶縁基板及び該絶縁基板上に設けられた配線層を有する配線基板と複数の電極を有する電子部品とバンプとを有する積層体であって、前記電子部品が前記配線層と前記電極とが対向するように配置され、対向する前記配線層と前記電極との間に前記バンプが介在している、積層体を、ステージ及び圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧し、それにより、前記バンプを介して前記配線層と前記電極とを電気的に接続する工程を備え、
    当該工程において、
    前記積層体と前記圧着ヘッドとの間に、熱硬化性樹脂及び充填材を含む樹脂層を有する熱プレス用シートを介在させた状態で、前記積層体が加熱及び加圧され、
    前記充填材の含有量が前記樹脂層の質量に対して60〜85質量%である、
    方法。
  2. 前記積層体が、前記電子部品と前記配線基板との間で前記電極、前記バンプ及び前記配線層の間の間隙を充填している熱硬化性のアンダーフィル材を更に有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記配線層と前記電極とを電気的に接続する前記工程において、
    それぞれ1つの前記電子部品を有する複数の前記積層体が、又は、1つの前記配線基板上に配置された複数の前記電子部品を有する1つ又は複数の前記積層体が、1組の前記ステージ及び前記圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記配線層と前記電極とを電気的に接続する前記工程において、
    前記配線基板の温度が25℃〜200℃、前記電子部品の温度が230℃〜300℃となるように、前記積層体が加熱及び加圧される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 熱硬化性樹脂と、充填材と、を含む樹脂層を有する熱プレス用シートであって、
    絶縁基板及び該絶縁基板上に設けられた配線層を有する配線基板と電極を有する電子部品とバンプとを有する積層体であって、前記電子部品が前記配線層と前記電極とが対向するように配置され、対向する前記配線層と前記電極との間にバンプが介在している、積層体を、ステージ及び圧着ヘッドで挟むことによって加熱及び加圧し、それにより、前記配線層と前記電極とを前記バンプを介して電気的に接続する工程において、前記積層体と前記圧着ヘッドとの間に介在させるために用いられ、
    前記充填材の含有量が前記樹脂層の質量に対して60〜85質量%である、熱プレス用シート。
  6. 前記樹脂層の平均厚みが、10μm以上である請求項5に記載の熱プレス用シート。
  7. 前記樹脂層の片面上又は両面上に設けられた離型シートを更に有する、請求項5又は6に記載の熱プレス用シート。
  8. 前記熱硬化性樹脂がアクリレート化合物を含み、前記樹脂層が重合開始剤を更に含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の熱プレス用シート。
  9. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ化合物を含み、前記樹脂層が前記エポキシ化合物の硬化剤を更に含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の熱プレス用シート。
  10. 熱硬化性樹脂と、充填材とを含む、熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物の固形分の質量に対して60〜85質量%であり、
    請求項5〜7のいずれか一項に記載の熱プレス用シートの樹脂層を形成するために用いられる、熱プレス用熱硬化性樹脂組成物。
  11. 前記熱硬化性樹脂が(メタ)アクリレート化合物を含み、当該熱硬化性樹脂組成物が重合開始剤を更に含む、請求項10に記載の熱プレス用熱硬化性樹脂組成物。
  12. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ化合物を含み、当該熱硬化性樹脂組成物が前記エポキシ化合物の硬化剤を更に含む、請求項10又は11に記載の熱プレス用熱硬化性樹脂組成物。
  13. 溶剤を更に含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の熱プレス用熱硬化性樹脂組成物。
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