JP2019025617A - 工作機械における工具切込方向の制御装置及び制御方法 - Google Patents

工作機械における工具切込方向の制御装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】旋削工具や切込量の大小等にかかわらず、且つ生産効率を低下させることなく、容易にびびり振動の抑制効果を得る。
【解決手段】工作機械1の制御装置13は、工具11の振動を測定する振動センサ21と、切込方向制御部16により切込方向を変更し、変更した切込方向の設定値及び振動センサ21で測定される振動の大きさの履歴から、振動が最小となる最適切込方向を検出する最適切込方向検出部24と、を備え、切込方向制御部16は、最適切込方向検出部24によって検出された最適切込方向に工具11を位置決めする。
【選択図】図1

Description

本発明は、工作機械を用いた旋削加工において、ワークに対する工具の切込方向を制御する制御装置及び制御方法に関する。
工作機械を用いた旋削加工を行う際、ワークの剛性が低い場合や工具の剛性が低い場合には、びびり振動と呼ばれる振動がしばしば発生する。このびびり振動は、加工面にびびりマークと呼ばれる周期的な模様を発生させ、仕上げ面性状や加工精度の劣化を引き起こす。こうしたびびり振動を抑制する手段として、ワーク固定手段の変更によるワーク剛性の改善、刃物台の設計変更による工具剛性の改善、切込量の低減等が挙げられる。
しかし、ワーク固定手段の変更や刃物台の設計変更による剛性の改善については、手段の検討及び部品の作成に高度な専門知識と時間及び費用とを要するため、容易に実施することができない。また、切込量の低減については、実施は容易であるものの、生産効率の低下に繋がる。
そこで、特許文献1には、加工プログラムの切込量データに従って旋削加工がなされるときに工具がワークに加える背分力の絶対値が規定値以下(このましくは0)となるアプローチ角を算出して旋削加工を実行することで、びびり振動を抑えて旋削加工精度を高めようとする発明が開示されている。
特許第5766895号公報
上記特許文献1の発明においては、旋削工具として丸駒チップのインサートを使用すると、アプローチ角を変更しても背分力が変化しないため、びびり振動の抑制効果が期待できない。また、ワイパーチップを使用する場合、アプローチ角を変更すると目的の表面粗さが得られなくなる。さらに、溝入れ加工ではアプローチ角を変更できない等、加工によっては適用できない場合がある。
一方、旋削工具にかかわらず、切込量の小さい加工ではアプローチ角を変更しても背分力が殆ど変化しないため、やはりびびり振動の抑制効果は期待できない。
そして、ここでは刃物台をB軸周りに旋回させるため、段付きワークを加工する場合、刃物台がワークと干渉してアプローチ角の変更ができない場合が生じる。
そこで、本発明は、旋削工具や切込量の大小等にかかわらず、且つ生産効率を低下させることなく、容易にびびり振動の抑制効果を得ることができる工作機械における工具切込方向の制御装置及び制御方法を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに直交する3つの直進軸と、工具の回転角度位置を変更及び保持可能な工具回転軸と、ワークを回転させるワーク回転軸と、旋削加工を行う際に、少なくとも2つの直進軸と工具回転軸とを制御して工具のワークへの切込方向を変更する切込方向制御手段と、を備えた工作機械に設けられ、工具の切込方向を制御する装置であって、
工具及び/又はワークの振動を測定する振動検出手段と、切込方向制御手段により切込方向を変更し、変更した切込方向の設定値及び振動検出手段で測定される振動の大きさの履歴から、振動が最小となる最適切込方向を検出する最適切込方向検出手段と、を備え、切込方向制御手段は、最適切込方向検出手段によって検出された最適切込方向に工具を位置決めすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、切込方向制御手段は、切込方向の変更を連続的に行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、ワーク回転軸の負荷を監視する加工負荷監視手段を備え、最適切込方向検出手段は、最適切込方向を検出する際、加工負荷監視手段により得られる負荷が切込方向の変更開始時の値から所定の割合又は所定の値以上異なる場合、当該場合に測定された振動の大きさの履歴を除外することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、互いに直交する3つの直進軸と、工具の回転角度位置を変更及び保持可能な工具回転軸と、ワークを回転させるワーク回転軸と、旋削加工を行う際に、少なくとも2つの直進軸と工具回転軸とを制御して工具のワークへの切込方向を変更する切込方向制御手段と、工具及び/又はワークの振動を測定する振動検出手段と、を備えた工作機械において、工具の切込方向を制御する方法であって、
切込方向制御手段により切込方向を変更し、変更した切込方向の設定値及び振動検出手段で測定される振動の大きさを記憶する切込方向変更ステップと、
設定値及び振動の大きさの履歴から、振動が最小となる最適切込方向を検出する最適切込方向検出ステップと、
切込方向制御手段により、検出された最適切込方向に工具を位置決めする位置決めステップと、を実行することを特徴とする。
本発明によれば、旋削加工中に自動的に最適切込方向を探索して工具の位置決めを行うことができる。よって、容易にびびり振動を抑制することができる。また、変更するのは切込方向のみであるため、生産効率を低下させることがない上、工具の種類や切込量の大小にかかわらず常にびびり振動の抑制効果を得ることができる。
工作機械の工具切込方向の制御装置のブロック図である。 工具切込方向の制御方法のフローチャートである。 切込方向の変更状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、工作機械の工具切込方向の制御装置の一例を示すブロック図である。図において、1は、周知の構成からなる工作機械であり、ベッド2には、ワーク回転軸としての主軸3が回転可能に支持されて、主軸モータ4によって、主軸3に固定されたテーブル5を回転可能としている。ベッド2には、コラム6がベッド2に沿って前後へスライド可能に立設されて、コラム6の前面で上下移動可能に設けたクロススライド7に沿って、サドル8が左右方向へスライド可能となっている。サドル8には、刃物台9が固定され、刃物台9に工具回転軸としてのM軸10が回転可能に支持されて、M軸10に工具11を取り付け可能となっている。M軸10は、周知の構成により回転及び回転位置の割出しが可能となっている。
よって、この工作機械1では、コラム6、クロススライド7、サドル8をそれぞれ駆動させる3つの直交する送り軸を制御することで、テーブル5上に取り付けられて回転するワーク12に対して、工具11を径方向に送り、且つ回転軸方向に送ることにより、旋削加工を行うことができる。
13は、工具切込方向の制御装置で、ここではNC装置内に設けられる。この制御装置13は、加工プログラムや後述する最適切込方向の探索開始指令等を入力する入力部14と、主軸モータ4や送り軸の制御に係る数値制御情報を保持し、入力部14に入力された指令に基づいて数値制御情報を出力する数値制御情報実行部15と、数値制御情報実行部15からの数値制御情報に基づいて、主軸モータ4を制御する主軸制御部17、送り軸を制御する送り軸制御部18、M軸10を制御するM軸制御部19をそれぞれ制御して切込方向を決定する切込方向制御手段としての切込方向制御部16とが設けられている。また、主軸制御部17が保持するトルク指令値を用いて所定のサンプリング周期で加工負荷の平均値を演算する加工負荷監視手段としての加工負荷監視部20が設けられている。
さらに、刃物台9には、振動検出手段としての振動センサ21が設けられ、制御装置13には、振動センサ21で測定した振動波形をフーリエ変換して振動振幅を演算する振動量演算部22が設けられている。23は記憶部で、記憶部23には、入力部14を介して入力された加工プログラムやその他の指令、数値制御情報実行部15が保持する数値制御情報、加工負荷監視部20で演算された加工負荷の平均値、振動量演算部22で演算された振動振幅等が記憶可能となっている。
そして、24は、最適切込方向検出手段としての最適切込方向検出部で、この最適切込方向検出部24は、記憶部23に記憶されたM軸10の角度位置と刃物台9の振動振幅の値とを参照して、振動振幅の値が最小となる切込方向を検出して数値制御情報実行部15へ出力する。
以上の如く構成された制御装置13による工具切込方向の制御方法を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、旋削加工中に、S1で、オペレータが入力部14を介して数値制御情報実行部15に最適切込方向の探索開始指令を入力すると、S2で、切込方向制御部16が、送り軸制御部18とM軸制御部19とを介して、サドル8の送り軸とコラム6の送り軸とによる円弧運動と、M軸10の回転運動とを同期させて、図3に示すように、工具11の刃先位置が常にワーク12の円周面に対して垂直且つ切込量の設定値が一定である状態で、工具11の切込方向を、所定の値まで所定の速度で連続的に変更する(切込方向変更ステップ)。図3では、切込方向がD1である工具初期位置Aから、切込方向がD2となる移動位置Bまで円弧運動させた場合を示している。矢印Sはワーク12の回転方向である。
このとき、記憶部23では、数値制御情報実行部15が保持する切込方向を示すM軸10の角度位置と、振動量演算部22が保持する振動振幅の値とを所定のサンプリング周期で記憶する。
次に、S3で、最適切込方向検出部24が、記憶部23に記憶されたM軸10の角度位置と刃物台9の振動振幅の値とを参照し、振動振幅の値が最小となる最適切込方向を検出する(最適切込方向検出ステップ)。
但し、加工負荷監視部20によって演算された加工負荷の平均値が、切込方向の変更開始時の値から所定の割合以上変化している場合、或いは所定の値以上の差が生じている場合、最適切込方向検出部24は、当該変化部分或いは差部分に該当する振動振幅のデータは除外して最適切込方向を検出する。溝などのワーク形状によって制御中に切込態様が変化する場合に起因する一時的な振動振幅の変化を排除するためである。
そして、S4で、切込方向制御部16が、数値制御情報実行部15を介して最適切込方向検出部24が検出した最適切込方向となるように、サドル8の送り軸とコラム6の送り軸とによる円弧運動と、M軸10の回転運動とを同期させて、工具11を最適切込方向に位置決めする(位置決めステップ)。S5で加工が終了すると、工具切込方向の制御は終了する。
このように、上記形態の工具切込方向の制御装置13及び制御方法によれば、最適切込方向の探索開始指令が入力部14に入力されると、切込方向制御部16により工具11の切込方向を変更し、変更した切込方向を示すM軸10の角度位置(切込方向の設定値)と、振動量演算部22が保持する振動振幅の値(振動の大きさ)とを記憶し、M軸10の角度位置と振動振幅の値との履歴から、最適切込方向検出部24が、振動が最小となる最適切込方向を検出し、検出された最適切込方向に工具11を位置決めするので、旋削加工中に自動的に最適切込方向を探索して工具11の位置決めを行うことができる。よって、容易にびびり振動を抑制することができる。また、変更するのは切込方向のみであるため、生産効率を低下させることがない上、工具11の種類や切込量の大小等にかかわらず常にびびり振動の抑制効果を得ることができる。
なお、本発明に係る制御装置及び制御方法は、上記形態に限定されるものではなく、制御装置や工作機械に係る構成等は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
例えば、上記形態では、工具の振動を間接的に検出するために刃物台の振動を振動センサで測定し、刃物台の振動が最小となるように切込方向を制御しているが、ワークの振動をベッドに設けた振動センサで間接的に測定し、ワークの振動に基づいて最適切込方向を検出するようにしてもよい。また、工具側とワーク側との振動に基づいて最適切込方向を検出してもよい。この場合、各振動センサで測定した振動振幅と所定値との比をそれぞれ比較して、値が大きい方の振動が最小となるように切込方向を制御することが考えられる。また、工具とワークとのどの振動を最小とするかをオペレータが選択して指令できるようにしてもよい。
さらに、上記形態では、加工負荷監視部を設けて所定のサンプリング周期の加工負荷の平均値を演算し、加工負荷の平均値が所定の割合以上変化した場合等には最適切込方向の検出の際に当該振動振幅のデータを無視するようにしているが、加工負荷監視部を省略して、振動振幅のデータを全て参照して最適切込方向を検出することもできる。
そして、上記形態では、最適切込方向を探索する際、切込方向制御部が切込方向を連続的に変更しているが、所定の角度毎に切込方向を断続的に変更して振動振幅データを取得し、最適切込方向を検出するようにしてもよい。
その他、工作機械の構成も上記形態に限らず、立形でなく横形であっても本発明は適用可能である。
1・・工作機械、2・・ベッド、3・・主軸、4・・主軸モータ、5・・テーブル、6・・コラム、8・・サドル、9・・刃物台、10・・M軸、11・・工具、12・・ワーク、13・・制御装置、14・・入力部、15・・数値制御情報実行部、16・・切込方向制御部、17・・主軸制御部、18・・送り軸制御部、19・・M軸制御部、20・・加工負荷監視部、21・・振動センサ、22・・振動量演算部、23・・記憶部、24・・最適切込方向検出部、D1,D2・・切込方向。

Claims (4)

  1. 互いに直交する3つの直進軸と、工具の回転角度位置を変更及び保持可能な工具回転軸と、ワークを回転させるワーク回転軸と、旋削加工を行う際に、少なくとも2つの前記直進軸と前記工具回転軸とを制御して前記工具の前記ワークへの切込方向を変更する切込方向制御手段と、を備えた工作機械に設けられ、前記工具の切込方向を制御する装置であって、
    前記工具及び/又は前記ワークの振動を測定する振動検出手段と、
    前記切込方向制御手段により切込方向を変更し、変更した切込方向の設定値及び前記振動検出手段で測定される振動の大きさの履歴から、前記振動が最小となる最適切込方向を検出する最適切込方向検出手段と、を備え、
    前記切込方向制御手段は、前記最適切込方向検出手段によって検出された最適切込方向に前記工具を位置決めすることを特徴とする工作機械における工具切込方向の制御装置。
  2. 前記切込方向制御手段は、切込方向の変更を連続的に行うことを特徴とする請求項1に記載の工作機械における工具切込方向の制御装置。
  3. 前記ワーク回転軸の負荷を監視する加工負荷監視手段を備え、前記最適切込方向検出手段は、最適切込方向を検出する際、前記加工負荷監視手段により得られる負荷が切込方向の変更開始時の値から所定の割合又は所定の値以上異なる場合、当該場合に測定された前記振動の大きさの履歴を除外することを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械における工具切込方向の制御装置。
  4. 互いに直交する3つの直進軸と、工具の回転角度位置を変更及び保持可能な工具回転軸と、ワークを回転させるワーク回転軸と、旋削加工を行う際に、少なくとも2つの前記直進軸と前記工具回転軸とを制御して前記工具の前記ワークへの切込方向を変更する切込方向制御手段と、前記工具及び/又は前記ワークの振動を測定する振動検出手段と、を備えた工作機械において、前記工具の切込方向を制御する方法であって、
    前記切込方向制御手段により切込方向を変更し、変更した切込方向の設定値及び前記振動検出手段で測定される振動の大きさを記憶する切込方向変更ステップと、
    前記設定値及び前記振動の大きさの履歴から、前記振動が最小となる最適切込方向を検出する最適切込方向検出ステップと、
    前記切込方向制御手段により、検出された最適切込方向に前記工具を位置決めする位置決めステップと、を実行することを特徴とする工作機械における工具切込方向の制御方法。
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