JP2019025610A - 研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法および研削加工用ダイヤモンド砥粒の検査方法 - Google Patents

研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法および研削加工用ダイヤモンド砥粒の検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ミクロンダイヤモンド粒子を用いた研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法およびそのダイヤモンド粒子の検査方法を提供する。【解決手段】 試料準備工程P1において測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドに対して、情報取得工程P2において、個々の粉体形状を測定して測定対象粒子のうち独立した粒子として認識されたものの位置情報と形状係数を含む粒子情報とを粒子単位で取得すると、分光測定工程P3において、粒子情報が取得された粒子に対してその位置を保ったままラマン分光測定が行われ、選別工程P4において、その測定結果に基づき、主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子が98%以上を占める測定対象群が使用砥粒として選別され、砥粒固着工程において、選別された使用砥粒を工具基材に固着することにより、ワイヤーソー10が得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、ダイヤモンドが砥粒として用いられた研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法およびその研削加工用ダイヤモンド工具に用いられるダイヤモンド砥粒の検査方法に関する。
例えば、研削加工において、ダイヤモンド砥粒は、基材に固着された固定砥粒或いは液中に分散させた遊離砥粒として用いられている。固定砥粒型の研削工具の一種として、細線ワイヤーの外周面にダイヤモンド砥粒を固着したワイヤーソーが知られており、種々の加工分野で用いられている。例えば、太陽電池、半導体、磁性体等の各種の半導体デバイス等を製造するに際しては、単結晶、多結晶、或いはアモルファスのシリコン、水晶、石英、ガラス、サファイア、炭化珪素等から成る例えば柱状の素材インゴットが、スライシング加工により所定の厚さ寸法の薄板(ウェハ)に切断加工される。ワイヤーソーは、このような高脆性材料を高精度且つ低価格で切断する用途に好適とされる。
上記のワイヤーソーは、ワイヤーに砥粒をめっきによって固着する電着ワイヤー(例えば、特許文献1、2等を参照。)と、樹脂で固着するレジンワイヤー(例えば、特許文献3、4、5等を参照。)とに大別される。前者の電着ワイヤーは、砥粒保持力が高く、加工効率が高い特徴がある。一方、後者のレジンワイヤーは、砥粒を弾性率の低い樹脂で固着しているため、柔軟性が高く、捩れに起因する断線が少なく、加工面の面粗さが良好な特徴がある。
特開昭53−14489号公報 特許第4157724号公報 特許第3078020号公報 特開平10−138114号公報 特開平11−347911号公報 特許第5076300号公報 特開平06−262520号公報 特許第3655811号公報
ところで、固定砥粒型の研削工具において一様な切れ味を得るためには、基材に固着されるダイヤモンド砥粒の特性にバラツキの無いことが望ましい。例えば、ワイヤーソーを使用するに際しては、5(km)もの長さのワイヤーを2〜3(km)程度の長さ範囲で往復させつつ、徐々に巻き取って使用位置を変更することから、全長に渡って一様な切れ味を有することが必要であり、固着されているダイヤモンド砥粒は10万個を優に超えるため、その特性のバラツキの無いことが一層望まれる。しかも、ワイヤーソーに固着される砥粒は単層若しくは2層程度に過ぎないことから、砥粒が破砕して脱落すると直ちにその部分の切れ味が低下する。特に、細く脆弱な細線ワイヤーが基材に用いられている場合には、砥粒が摩耗して脱落した部分から基材に加工傷が入って断線に至り易い。そのため、このような研削工具には、容易に破砕しないダイヤモンド粒子を砥粒として用いる必要がある。
如何なるダイヤモンド粒子が適切かは、研削工具の構成や用途で相違する。例えば、複数層にダイヤモンド砥粒が存在するダイヤモンドホイールなどの研削工具では、グラフェン、窒素、硫黄などの不純物を0.01(%)程度添加し或いは一次結晶子を小さく制御するなどによりダイヤモンド結晶を不完全なものとし、自生作用を誘発することで、ダイヤモンド工具の切れ味を持続させることが行われている。破砕し易いダイヤモンド砥粒が一定量以上入っていても、複数層に存在するため、砥粒が破砕して脱落しても切れ味は低下せず、却って自生作用で切れ刃が生成するので切れ味が持続するのである。しかし、ワイヤーソーのように砥粒層が単層若しくは2層程度の場合は、不完全なダイヤモンド粒子が一定割合以上存在すると、砥粒が早期に摩耗して脱落することにより砥粒が存在しない部分が生ずるので、切れ味が低下する。そのため、このような研削工具では、完全なダイヤモンド粒子の割合で性能が大きく左右されることになる。
上記のような用途では一般に人造ダイヤモンドが用いられているが、このような研削加工に用いられる人造ダイヤモンドは、宝石や切削加工等に使用されるダイヤモンドと区別して「ダイヤモンドパウダー」若しくは「ミクロンダイヤモンド」などと慣用的に称されており、単結晶および多結晶の別、製法、不純物量、粒子径などが相違する多種多数の商品が市販されている。しかしながら、これらの中から一般に適切とされるダイヤモンド粒子を用いて研削工具を製造しても、必ずしも所望する特性が得られず、砥粒の破砕性のばらつきに起因して工具性能にばらつきが生ずる問題があった。これは、市販されているダイヤモンド粒子の品質ばらつきによるものと考えられる。天然ダイヤモンドでも同様に品質のバラツキがあり、何れにしても、購入したダイヤモンド粒子を選別する方法が見出されておらず、研削工具を製造して実際に研削加工に用いることにより、事後的に品質ばらつきの程度を知ることしかできなかった。
因みに、切削加工や研削加工に用いられるダイヤモンド粒子を評価する方法として、ラマンスペクトル線を利用することが従来から行われている。欠陥や歪みの無いダイヤモンドのラマンスペクトル線は、1332.0(cm-1)付近にあるので、その位置および強度によってダイヤモンド粒子の品質を評価できるのである。例えば、ラマンスペクトル線が高波数側にシフトしたものを用いると高い切削性能が得られることを見出し、1332.2(cm-1)以上の人造ダイヤモンドを用いた切削工具が提案されている(例えば、前記特許文献6を参照。)。
また、ラマンスペクトルの非晶質炭素の1550(cm-1)付近のピークとダイヤモンド結晶の1333(cm-1)付近のピークとの強度比が1:1〜10:1の範囲となるように非晶質炭素とダイヤモンド結晶との混合割合を定めた混合体から成る粒子を砥粒に用いる研削砥石が提案されている(例えば、前記特許文献7を参照。)。ダイヤモンド結晶は結晶方位による先端形状・粒径・硬度等の相違が生ずることから、砥粒を非晶質炭素との混合体とすることにより、砥粒先端部の形状が均一で良好な表面粗さが得られ、効率よく研削を行うことができるようにしたものである。
上述したように、特定のラマンスペクトル線を有するダイヤモンド粒子が切削工具に適していることや、非晶質炭素のピークとダイヤモンド結晶のピークとの強度比が特定の割合となる粒子が研削砥石に適していることが提案されていた。しかしながら、これらは、特定の用途に対して適切な特性を有するダイヤモンド粒子が一定のラマンスペクトル線の条件を満たすことを見出したものに過ぎず、一定の品質を備えたダイヤモンド粒子を選別して用いることは考えられていなかった。
しかも、研削工具に用いられるミクロンダイヤモンド粒子に対して、ラマンスペクトル線を用いると、ピークが不明確で広がりの大きなスペクトル線しか得ることができず、ダイヤモンド粒子の評価は困難であった。ミクロンダイヤモンドは、例えば、大きな原材料人造ダイヤモンドを粉砕・分級することによって製造される(例えば特許文献8等を参照。)。このように粉砕・分級を経ることで製造されるミクロンダイヤモンドは、結晶性の異なるものが混在すると共に凝集粒が多数存在することから、個々の粒子の重心(或いは中心)に測定光を照射することが困難なため、ラマンスペクトル線が広がるものと考えられる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、微粉ダイヤモンド粒子を用いた研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法およびそのダイヤモンド粒子の検査方法を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、ダイヤモンド砥粒が固着された研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法であって、(a)各々が平均粒径が1000(μm)以下の微粉ダイヤモンドから成る1または複数の測定対象群の各々から少なくとも一部を抜き取ってその測定対象群毎に測定板上に分散させて測定試料を用意する試料準備工程と、(b)前記微粉ダイヤモンドの粉体形状を個々に測定することにより、前記測定試料から凝集粒子を識別して除外し、独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得する独立粒子情報取得工程と、(c)選別された前記独立した粒子に対して、前記位置情報を取得したときの位置を保ったまま個々にラマン分光測定を行う分光測定工程と、(d)前記ラマン分光測定の結果に基づき、ラマン散乱光の主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子が前記測定試料の98%以上を占める測定対象群を使用砥粒として選別する選別工程と、(e)選別された前記使用砥粒を工具基材に固着する砥粒固着工程とを、含むことにある。
また、第2発明の要旨とするところは、研削加工用ダイヤモンド砥粒の検査方法であって、(a)平均粒径が1000(μm)以下の微粉ダイヤモンドから少なくとも一部を抜き取って測定板上に分散させて測定試料を用意する試料準備工程と、(b)前記微粉ダイヤモンドの粉体形状を個々に測定することにより、前記測定試料から凝集粒子を識別して除外し、独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得する独立粒子情報取得工程と、(c)選別された前記独立した粒子に対して、前記位置情報を取得したときの位置を保ったまま個々にラマン分光測定を行う分光測定工程と、(d)前記ラマン分光測定の結果に基づき、ラマン散乱光の主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子の全体に対する割合を算出する工程と、(e)前記算出された割合に基づいて前記微粉ダイヤモンドの性能を判定する工程とを、含むことにある。
前記第1発明によれば、試料準備工程において測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドに対して、独立粒子情報取得工程において、個々の粉体形状を測定して測定対象粒子のうち独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得すると、分光測定工程において、選別された独立した粒子に対してその位置を保ったままラマン分光測定が行われ、選別工程において、その測定結果に基づき、主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子が98%以上を占める測定対象群が使用砥粒として選別され、砥粒固着工程において、選別された使用砥粒を工具基材に固着することにより、研削加工用ダイヤモンド工具が得られる。そのため、独立した粒子の個々に対してラマン分光測定が行われることから、その個々の粒子のラマン散乱光主ピークを確実に取得してその結晶性を評価することができる。上記主ピークの範囲は、完全なダイヤモンドに対してラマン分光測定を行った場合に得られるものであり、これが98%以上を占める測定対象群を選別して工具基材に固着すると、砥粒の完全なダイヤモンドの割合が極めて高い研削工具が得られる。
また、前記第2発明によれば、試料準備工程において測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドに対して、独立粒子情報取得工程において、個々の粉体形状を測定して測定対象粒子のうち独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得すると、分光測定工程において、選別された独立した粒子に対してその位置を保ったままラマン分光測定が行われ、次いで、その測定結果に基づき、主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子の割合が算出され、その割合に基づいて、前記微粉ダイヤモンドの性能が判定される。そのため、独立した粒子の個々に対してラマン分光測定が行われることから、その個々の粒子のラマン散乱光主ピークを確実に取得してその結晶性を評価することができる。上記主ピークの範囲は、完全なダイヤモンドに対してラマン分光測定を行った場合に得られるものであり、その割合に応じて微粉ダイヤモンド全体の破砕性が異なることとなるため、これにより、研削工具に応じた適切な微粉ダイヤモンドを選択することができる。
要するに、本願第1発明および第2発明によれば、ラマン分光測定に先立って、測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドから粉体形状に基づいて凝集粒子を除外して独立した粒子を選別し、その位置情報を取得して、そのときの位置を保ったまま独立した粒子に対して個々に光を照射してラマン分光測定が行われることから、凝集粒子と独立した粒子とを区別することなく測定を行う場合に比較して、粒子の重心に光を照射することが容易になる。そのため、照射位置を適切に定めて、個々の粒子のラマン散乱光主ピークを確実に取得し、延いてはその結晶性を正しく評価することが容易になるのである。
なお、本願において、ラマン散乱光の主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子の全体に対する割合は、例えば個数を基準として求められるが、体積を基準として求めても同程度の値を得ることができる。また、試料準備工程においては、抜き取った試料が全体を代表するように、例えば実験的に定めた量だけ抜き取ればよい。また、独立粒子情報取得工程および分光測定工程は、測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドのうち更に無作為に選び出した一部に対して行うことができ、この場合に選び出す個数も、全体を代表するものとなるように、例えば実験的に定められる。前記測定対象群は、一様な品質の微粉ダイヤモンドから成ることを経験的に期待できる単位、例えば製造ロットで構成される。例えば複数の製造ロットの各々から一部を抜き取って各ロットの測定試料とし、これらに対してラマン分光測定を行えば、各製造ロットにおける完全なダイヤモンドの割合を判定できる。これにより、第1発明においては、完全なダイヤモンドの割合が98%以上と判定された製造ロットを用いて研削加工用ダイヤモンド工具を製造することができ、第2発明においては、製造ロット毎の完全なダイヤモンドの割合を判定できて、その製造ロットの性能を判定して、適切な用途に利用することが容易になる。
ここで、好適には、前記試料準備工程は、平均粒径が0.2(μm)以上50(μm)以下の前記微粉ダイヤモンドを用意するものであり、前記砥粒固着工程は、外径がφ40(μm)以上φ500(μm)以下であり且つ長さが3(km)以上の金属線を前記工具基材として用いて、前記微粉ダイヤモンドを2層以下の厚みでその金属線の外周面に固着するものである。第1発明および第2発明は、このように細く且つ長い金属線に微粉ダイヤモンドを固着した砥粒固定型ワイヤーソーに好適に適用される。
また、好適には、前記砥粒固着工程は、鉄を含む合金から成る金属線を前記工具基材として用いて、その金属線の外周面に前記微粉ダイヤモンド砥粒をニッケル若しくはニッケル合金で電着するものである。第1発明および第2発明は、このような電着ワイヤーソーに好適に適用される。
また、好適には、前記試料準備工程は、人造ダイヤモンドを合成する工程と、合成された人造ダイヤモンドを破砕する細粒化工程とを含むものである。第1発明および第2発明は、このような合成、破砕して製造された人造ダイヤモンドに好適に適用される。
また、好適には、前記人造ダイヤモンドを合成する工程は、溶解度差法、温度差法、直接変換法、衝撃合成法、および爆轟法のうちの何れかの方法を用いて人造ダイヤモンドを合成するものである。第1発明および第2発明において、人造ダイヤモンドを製造する方法は特に限定されず、上記例示されたものが適宜用いられる。
また、好適には、前記独立粒子情報取得工程および分光測定工程は、粉体形状測定装置とラマン分光装置とを一体的に備えた測定装置によって行われる。微粉ダイヤモンドの個々の粒子の粉体形状の測定、凝集粒子の識別と除外、独立した粒子として認識されたものの位置情報等の粒子単位の取得は、極めて多数の微粉ダイヤモンドを対象とすることから、このような機器を用いて自動的に行うことが好ましい。このようにすれば、例えば、測定板上に分散させた微粉ダイヤモンド全数またはそれらのうちから任意に選び出した測定対象粒子に対して、粒子個々に順次に形状を測定すると共に重心座標を取得して記憶し、全ての測定対象粒子の形状および座標取得を終えた後、独立した粒子と認識されたものに対して、その重心座標に順次に光を照射してラマン分光測定を行い、座標データに関連づけて分光測定結果を記憶することが可能である。
また、上記粉体形状の測定、凝集粒子の識別と除外は、例えば、包絡度法を利用して行うことができる。「包絡度」とは、物体表面の凹凸の程度を0〜1の範囲で表す指標であり、周囲長包絡度と面積包絡度とがある。物体表面の凹部を埋めた凸包を想定したとき、前者は物体の凸包の周囲長を物体の周囲長で割った値であり、後者は物体の面積を凸包で囲まれた面積で割った値である。物体表面の凹凸が複雑になるほど包絡度の値が小さくなるため、包絡度が一定の値を下回るものは複数の粒子がくっついた凝集粒子と判断することができる。第1発明および第2発明においては、例えば、面積包絡度で0.9以上を独立した粒子として扱うことが好ましい。
なお、本願においては、ラマン散乱光の主ピークがダイヤモンドの特徴的なピークである1332.0cm-1に現れる粒子の個数の全測定個数に対する比を「ダイヤモンド化率」として定義する。不完全なダイヤモンド粒子は主ピークが低角度にシフトすることが知られており、「ダイヤモンド化率」は、全ダイヤモンド粒子に対する完全なダイヤモンドの個数比である。
本発明の一実施例のワイヤーソーの一部を示す斜視図である。 図1のワイヤーソーを製造するに際して、砥粒を選別する方法を説明する工程図である。 図2の試料準備工程において、プレート上に分散した砥粒を示す写真である。 図2の情報取得工程において、形状を解析された粒子を示す図である。 包絡度を説明するための模式図である。 図2の情報取得工程において、凝集粒を除外した独立しているものと認められる粒子を示す図である。 ラマン分光測定で得られたラマン散乱光ピーク波形の一例である。 電着ワイヤーの製造工程を説明する図である。 レジンワイヤーの製造工程を説明する図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明のワイヤー工具の一実施例である砥粒固定型ワイヤーソー10の長手方向における一部分を抜き出して示す斜視図である。ワイヤーソー10は、ワイヤー12の外周面に鍍金層14によって多数の砥粒16が固着されることにより構成されている。
上記のワイヤー12は、例えばピアノ線等の鋼線から成り、例えば0.05〜0.30(mm)程度の範囲内、例えば0.16(mm)程度の線径を備えたものである。また、砥粒16は、例えば0.2〜100(μm)の範囲内、例えば50(μm)程度の平均粒径を備えた単結晶ダイヤモンド砥粒である。
また、前記鍍金層14は、例えばニッケル等から成るもので、例えば0.5〜10(μm)の範囲内、例えば4(μm)程度の略一様な厚さ寸法でワイヤー12の外周面を覆っている。砥粒16は、この鍍金層14からその一部が突き出した状態でワイヤー12に固着されている。
また、前記図1に示されるように、砥粒16は、ワイヤー12の外周面に比較的疎な分布で設けられており、その外周面上における砥粒被覆率すなわち外周面のうちの砥粒16で覆われた面積の割合は、例えば35(%)程度以下である。なお、図においては、説明の便宜上実際よりも砥粒分布を疎に描いている。
上記のワイヤーソー10の砥粒16は、例えば、市販の微粉ダイヤモンドのうち、後述するように定義されたダイヤモンド化率が98(%)以上と判定されたもののみが選別されて用いられている。そのため、ワイヤー12の全長に渡って一様な品質の微粉ダイヤモンドが砥粒16として固着されていることから、その全長に渡って一様な切れ味を有する。以下に、このワイヤーソー10の製造方法について説明する。
図2は、ワイヤーソー10を製造するに際して、微粉ダイヤモンドを選別する工程を説明する工程図である。図2において、試料準備工程P1においては、例えば市販の微粉ダイヤモンドを用意し、その中から検査対象として一定量(例えば13(mm3))を抜き取る。これを、例えば、粒子径、粒子形状およびラマン分光による定性分析を行う測定装置(例えば、マルバーン社製 モフォロギG3−ID)のサンプル自動分散ユニット(SDU)のプレート上に分散させる。SDUは、試料カセットに投入した粉体を圧縮空気で分散させるもので、粉体を乾式でプレート上に分散させることができる。分散圧力は(5bar)、圧縮空気の印加時間は10(ms)とした。分散させた状態の一例を図3に示す。図示の領域は大凡80mm四方の大きさであり、多数の黒点の個々が微粉ダイヤモンドである。
次いで、情報取得工程P2においては、前記プレート上に分散された微粉ダイヤモンドに対して、一定の静置時間(例えば120(s))が経過した後、上記測定装置G3−IDを用いて、粉体形状を個々に測定する。この測定は、測定装置G3−IDで微粉ダイヤモンドを1粒ずつ順次に選択して自動的に行われるもので、これにより、個々の粒子の形状等が取得される。測定により取得されるデータは、例えば、サイズ(粒子径)、粒子形状、透過性、個数、位置情報、化学情報である。粒子径に関するパラメータとしては、例えば、円相当径(CE)、長軸径、短軸径、周囲長、面積、最大径、球相当体積を取得する。粒子形状に関するパラメータ(形状係数ともいう)としては、例えば、アスペクト比、円形度、包絡度(周囲長)、伸長率、面積円形度、包絡度(面積)を取得する。なお、「円形度」は面積Sと周囲長Lを元に形状の複雑さを測る特徴量であり、円形度=4πS/L2 で求められる。また、位置情報としては、例えば、重心X座標、重心Y座標を取得する。なお、本実施例において粒子の重心は、プレート上に投影された多角形の重心すなわち図心であり、測定装置に設定された原点を基準とする絶対座標(X,Y)として重心位置を計測し、Xを重心X座標、Yを重心Y座標とする。図4に、取得された粒子形状の一例を示す。左上等に示されるような複雑な形状を備えたものは複数の粒子が凝集したものであり、ラマン分光測定には不適当であるため、これを例えば包絡度法を用いて除外する。
図5に示すような物体A(斜線部分)があるとき、その物体Aとその凹み部分を埋めるBとを合わせた全体の輪郭を凸包といい、このような物体Aに対して、凸包を含む形状の周囲長(A+B)と面積(A+B)を想定して、包絡度は、周囲長包絡度=周囲長(A+B)/周囲長A、面積包絡度=面積A/面積(A+B) で求められる。この包絡度は、物体の凹凸の程度を表す指標であり、本実施例では、例えば、面積包絡度0.9以上であるものを独立した粒子として識別し、0.9未満のものを凝集粒子としてラマン分光測定の対象から除外する。図6に、このようにして凝集粒子を除外した粒子形状の一例を示す。この粒子1粒ずつの位置情報(例えば重心座標)と形状係数(例えば、粒径、アスペクト比、円形度)とを測定し、記憶して、これらに対してラマン分光測定が行われる。この一連の作業は、測定装置G3−IDに予め読み込まれているプログラムで自動的に処理される。なお、上記の情報取得工程P2では、少なくともラマン分光測定の対象粒子について粒子情報が記憶されていればよいので、粒子情報の記憶、選別の処理手順は任意に変更される。例えば、個々の粒子について形状を測定する都度、独立した粒子か否かの判断を行って、独立した粒子については位置情報および形状係数を併せて記憶し、凝集粒子については順次データを捨てることができる。なお、本実施例においては、上記情報取得工程P2が独立粒子情報取得工程に対応する。
図2に戻って、分光測定工程P3においては、プレート上に分散させたままの状態で、測定装置G3−IDによって、微粉ダイヤモンドに対して続けてラマン分光測定を行う。この工程では、前述した情報取得工程P2において記憶された微粉ダイヤモンドの1粒ずつの位置情報に基づき、個々のダイヤモンド粒子の重心に向けてレーザー光を照射し、ラマン散乱光ピークを順次に取得する。この分光測定も予め読み込まれているプログラムによって自動的に実行される。個々の粒子の測定時間は5(s)、レーザー出力はHigh、測定個数は500個とする。この測定は、例えば、位置情報および形状係数を取得した微粉ダイヤモンドのうち、測定順に10個おきに500個を選択して行う。ピーク波形の一例を図7に示す。
上記の分光測定工程P3では、ラマン散乱光ピークを個々に取得した粒子を、予め定められた3つの基準スペクトル (1)1332cm-1、(2)1328cm-1、(3)1324cm-1 の何れかに分類する。すなわち、主ピークがこれら3つの基準スペクトルの何れに最も近いかを判定し、最も近い基準スペクトルにその粒子を帰属させる。これにより、測定対象の粒子がどのような物質であるのかが同定される。
選別工程P4では、上記のように測定した粒子の全数を3種に分類した後、基準スペクトル(1)に帰属する粒子の個数の全個数に対する割合(ダイヤモンド化率)を求め、これが98(%)以上である試料の微粉ダイヤモンドをワイヤーソー10の使用砥粒として選別する。
このようにして使用砥粒を選別した後、ワイヤー12にこれを固着して、ワイヤーソー10を製造する。この固着工程には、例えば、図8に示すワイヤー工具製造装置20が用いられる。図において、工具製造装置20には、ワイヤー12の供給源となるロール22が備えられており、そのロール22側から順に、アルカリ脱脂槽24,第1水洗槽26,酸洗槽28,第2水洗槽30,下地鍍金槽32,および電着槽34が相互に隣接して設けられている。各槽24乃至34の槽内および上方には複数個のガイド・プーリ42がそれぞれ備えられており、ワイヤー12は、そのプーリ42で案内されることにより各槽24乃至34内を順次に通過させられる。
上記脱脂槽24は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液が蓄えられたものであり、ワイヤー12の表面に付着している油分等の汚れがここで除去される。また、第1水洗槽26は、油分が除去されたワイヤー12に付着している水酸化ナトリウム水溶液を洗い流すためのものである。また、酸洗槽28は、例えば塩酸(HCl水溶液)が蓄えられたものであり、ワイヤー12表面の酸化物層(すなわち錆等)がここで除去される。第2水洗槽30は、ここで付着した塩酸を洗い流すためのものである。
また、下地鍍金槽32は、ワイヤー12に砥粒16を固着するためのニッケル鍍金が乗り易くなるようにニッケル鍍金から成る下地鍍金層を形成するためのものである。この槽内には、ニッケル・イオンを含む電着液(鍍金液)が蓄えられており、ワイヤー12の移動方向における長さ寸法は例えば1(m)程度である。この下地鍍金槽32内の電着液すなわち鍍金浴は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、および硼酸から成るワット浴であり、例えば3.0〜6.0程度の範囲内のpHに調製されている。また、鍍金浴の温度は例えば30〜50(℃)程度の範囲内である。
また、電着槽34は、下地鍍金層が設けられたワイヤー12にニッケル鍍金によって砥粒16を固着(電着)するためのものである。槽内にはニッケル・イオンを含む電着液が蓄えられており、ワイヤー12の移動方向における長さ寸法は例えば1(m)程度である。この電着槽34内の電着液すなわち鍍金浴も、前記の下地鍍金槽32と同様なワット浴である。
また、上記電着槽34のうち下地鍍金槽32側の一部すなわちワイヤー12の送り方向後方側には、砥粒沈降領域44が設けられている。この砥粒沈降領域44では、砥粒16を水等の分散媒に分散させた鍍金液が電着液中のワイヤー12に向かって供給される。鍍金液中に含まれる砥粒16は、前述したように選別された例えば粒径が50(μm)程度の微粉ダイヤモンド(例えば(株)グローバルダイヤモンド製 FMM M40/60)である。ここには、その鍍金液の供給装置や、沈降した余剰の砥粒16を回収するための回収装置等が適宜備えられている。
また、ワイヤー12の進行経路のうち、下地鍍金槽32および電着槽34の前後3箇所には、そのワイヤー12に接触する陰極電極46が備えられており、それら槽32,34内に備えられている陽極電極48との間で通電させられるようになっている。電流密度は例えば0.5〜15(A/dm2)の範囲内となるように調節される。
このような工具製造装置20を用いてワイヤーソー10を製造するに際しては、先ず、鍍金工程(砥粒電着工程)において、プーリ42で案内されることにより脱脂槽24乃至電着槽34内を順次に通されているワイヤー12を、その電着槽34の先に備えられたモータ等の図示しない適宜の巻取り装置で巻き取ることにより、矢印R方向に断続的に送る。すなわち、例えば50〜500(mm)の範囲内、例えば100(mm)程度の所定長さだけ送った後、例えば0.5〜5分の範囲内、例えば3分程度の所定時間だけその位置で停止させ、再び所定長さだけ送って所定時間だけ停止させる動作を繰り返す。ワイヤー送り速度は、例えば50〜5000(mm/min)程度に設定される。
上記のワイヤー送り過程において、脱脂槽24乃至第2水洗槽30でワイヤー外周面の油膜や酸化物等が除去された後、先ず、下地鍍金槽32では、ワイヤー12に1〜10(μm)程度の厚さ寸法でニッケル鍍金が施される。この下地鍍金工程では、陰極電極46によって負極にされたワイヤー12と陽極電極48との間の電位差に基づき、鍍金液内の金属(ニッケル)イオンがワイヤー12の外周面に固着される。
次いで、電着槽34内では、その砥粒沈降領域44においてワイヤー12に向かって上方から砥粒16を含む鍍金液が供給されるので、陰極電極46が接触させられることで負極となっているワイヤー12の外周面32に、分散状態で沈降するその砥粒16が付着させられ、且つ電着液中の金属イオン(ニッケル・イオン)がその外周面に引き寄せられて鍍金層を形成する。これにより、砥粒16がニッケル鍍金によってワイヤー外周面に固着される。砥粒16は専ら沈降過程でワイヤー12に付着させられることから、その外周面における付着厚みは砥粒16の一層程度の厚みに留まる。
なお、砥粒沈降領域44は、電着槽34のうちワイヤー12の進行方向後方側の一部に設けられているので、電着槽34内において、ワイヤー12はその外周面に砥粒16が付着させられたまま水平方向に移動させられる。本実施例においては、このように砥粒16を乗せたまま移動させられる過程でワイヤー12にニッケル鍍金が施されて、砥粒16が固着され、前記のワイヤーソー10が得られる。ワイヤーソー10は、必要に応じて設けられる図示しない水洗槽内で電着液を洗浄除去された後、図示しないロールに巻き取られて回収される。
上述した工程では、砥粒16がニッケル鍍金によってワイヤー12に固着されていたが、ニッケル鍍金に代えてレジンで固着することもできる。図9は、レジンワイヤーの製造工程の要部を説明する図である。図において、このワイヤー工具製造装置は、前記の下地鍍金槽32および電着槽34に代えて貯留槽60が設けられたもので、その貯留槽60内には、熱硬化型の液状樹脂と砥粒16とが混合されたスラリーが蓄えられている。ワイヤー12は、前記ワイヤー工具製造装置20を用いる場合と同様に前処理が行われた後、この貯留槽60内に送られ、外周面にスラリーが付着させられる。貯留槽60の上方には、ダイス62および熱硬化炉64が備えられている。貯留槽60を通過したワイヤー12上に付着した液状樹脂厚みは、ダイス62を通過することで均一化され、その後、熱硬化炉64によって加熱することにより、液状樹脂が硬化させられて砥粒16が固着される。
上述した製造工程に従って製造したワイヤーソー10を評価した結果を、比較例と併せて説明する。
(比較例1)
砥粒として、「ブロッキー砥粒」として市販されている(株)グローバルダイヤモンド製 FRM 粒度M30-40(平均粒径26.8(μm))を用いた。前記図2に示される工程に従って測定したダイヤモンド化率は46.2(%)であった。これを前記図8に示されるワイヤー工具製造装置20を用いてφ180(μm)のワイヤー12に電着してワイヤーソーを作製した。
(実施例1)
砥粒として、「タフ砥粒」として市販されている(株)グローバルダイヤモンド製 FMM 粒度M30-40を用いた。前記図2に示される工程に従って測定したダイヤモンド化率は99.4(%)であった。これを前記図8に示されるワイヤー工具製造装置20を用いてφ180(μm)のワイヤー12に電着してワイヤーソーを作製した。
(比較例2)
砥粒として、「ブロッキー砥粒」として市販されている(株)グローバルダイヤモンド製 FRM 粒度M12-25(平均粒径16(μm))を用いた。前記図2に示される工程に従って測定したダイヤモンド化率は46.2(%)であった。これを前記図9に示されるワイヤー工具製造装置を用いてφ120(μm)のワイヤー12にレジンで固着してワイヤーソーを作製した。
(実施例2)
砥粒として、「タフ砥粒」として市販されている(株)グローバルダイヤモンド製 FMM 粒度M12-25を用いた。前記図2に示される工程に従って測定したダイヤモンド化率は99.4(%)であった。これを前記図9に示されるワイヤー工具製造装置を用いてφ120(μm)のワイヤー12にレジンで固着してワイヤーソーを作製した。
上記のようにして製造した実施例および比較例のワイヤーソーを用い、市販のマルチワイヤーソー(例えばコマツNTC(株)製 MWM-442DM)を用いて、単結晶シリコンの切断試験を行った。切断条件を表1に、結果を表2にそれぞれ示す。
上記の切断結果において、「最大たわみ」は、ワイヤーソー10を単結晶シリコンに押し付けたときにワイヤーソー10に生じたたわみの大きさである。また、「面粗さ」は切断された単結晶シリコンの表面を測定したものであり、(株)東京精密製サーフコム1400を用いて測定した。上記切断結果に示される通り、電着ボンド、レジンボンドの何れにおいても、実施例の方が比較例よりも最大たわみが小さく、面粗さも優れた結果が得られた。なお、レジンボンドの比較例2は、最大たわみが16mm以上となったことから切断試験を中断したため、面粗さは測定できなかった。
上記の評価結果によれば、「タフ砥粒」として市販されている微粉ダイヤモンドは、粒度30-40、12-25の何れにおいてもダイヤモンド化率が99.4(%)と極めて高く、これを用いたワイヤーソー10は極めて高い切れ味を有することが確かめられた。これに対して、「ブロッキー砥粒」として市販されている微粉ダイヤモンドは、粒度30-40、12-25の何れにおいてもダイヤモンド化率が46.2(%)と低く、これを用いたワイヤーソーは実施例に比較して切れ味が劣ることが確かめられた。
なお、上記の評価に際して、「タフ砥粒」として市販されているものであっても、ダイヤモンド化率が98(%)未満のものが存在しており、これを用いたワイヤーソーは十分な切れ味が得られないことが確かめられたため、上記評価において実施例のワイヤーソーを製造する際に使用砥粒から除外した。
上述したように、本実施例によれば、試料準備工程P1において測定板上に分散させた微粉ダイヤモンドに対して、情報取得工程P2において、個々の粉体形状を測定して測定対象粒子のうち独立した粒子として認識されたものの位置情報と形状係数を含む粒子情報とを粒子単位で取得すると、分光測定工程P3において、粒子情報が取得された独立した粒子に対してその位置を保ったままラマン分光測定が行われ、選別工程P4において、その測定結果に基づき、主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子が98%以上を占める測定対象群が使用砥粒として選別され、砥粒固着工程において、選別された使用砥粒を工具基材に固着することにより、ワイヤーソー10が得られる。そのため、独立した粒子の個々に対してラマン分光測定が行われることから、その個々の粒子のラマン散乱光主ピークを確実に取得してその結晶性を評価することができる。上記主ピークの範囲は、完全なダイヤモンドに対してラマン分光測定を行った場合に得られるものであり、これが98%以上を占める測定対象群を選別して工具基材に固着すると、砥粒16の完全なダイヤモンドの割合が極めて高いワイヤーソー10が得られる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10 ワイヤーソー、12 ワイヤー、14 鍍金層、16 砥粒、20 ワイヤー工具製造装置、22 ロール、24 アルカリ脱脂槽、26 第1水洗槽、28 酸洗槽、30 第2水洗槽、32 下地鍍金槽、34 電着槽、42 プーリ、44 砥粒沈降領域、46 陰極電極、48 陽極電極、60 貯留槽、62 ダイス、64 熱硬化炉

Claims (7)

  1. ダイヤモンド砥粒が固着された研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法であって、
    各々が平均粒径が1000(μm)以下の微粉ダイヤモンドから成る1または複数の測定対象群の各々から少なくとも一部を抜き取ってその測定対象群毎に測定板上に分散させて測定試料を用意する試料準備工程と、
    前記微粉ダイヤモンドの粉体形状を個々に測定することにより、前記測定試料から凝集粒子を識別して除外し、独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得する独立粒子情報取得工程と、
    選別された前記独立した粒子に対して、前記位置情報を取得したときの位置を保ったまま個々にラマン分光測定を行う分光測定工程と、
    前記ラマン分光測定の結果に基づき、ラマン散乱光の主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子が前記測定試料の98%以上を占める測定対象群を使用砥粒として選別する選別工程と、
    選別された前記使用砥粒を工具基材に固着する砥粒固着工程と
    を、含むことを特徴とする研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  2. 前記独立粒子選別工程は、包絡度に基づいて前記凝集粒子を識別するものである請求項1の研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  3. 前記試料準備工程は、平均粒径が0.2(μm)以上50(μm)以下の前記微粉ダイヤモンドを用意するものであり、
    前記砥粒固着工程は、外径がφ40(μm)以上φ500(μm)以下であり且つ長さが3(km)以上の金属線を前記工具基材として用いて、前記微粉ダイヤモンドを2層以下の厚みでその金属線の外周面に固着するものである請求項1または請求項2の研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  4. 前記砥粒固着工程は、鉄を含む合金から成る金属線を前記工具基材として用いて、その金属線の外周面に前記微粉ダイヤモンド砥粒をニッケル若しくはニッケル合金で電着するものである請求項1から請求項3の何れか1項の研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  5. 前記試料準備工程は、人造ダイヤモンドを合成する工程と、合成された人造ダイヤモンドを破砕する細粒化工程とを含むものである請求項1から請求項4の何れか1項の研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  6. 前記人造ダイヤモンドを合成する工程は、溶解度差法、温度差法、直接変換法、衝撃合成法、および爆轟法のうちの何れかの方法を用いて人造ダイヤモンドを合成するものである請求項5の研削加工用ダイヤモンド工具の製造方法。
  7. 研削加工用ダイヤモンド砥粒の検査方法であって、
    平均粒径が1000(μm)以下の微粉ダイヤモンドから少なくとも一部を抜き取って測定板上に分散させて測定試料を用意する試料準備工程と、
    前記微粉ダイヤモンドの粉体形状を個々に測定することにより、前記測定試料から凝集粒子を識別して除外し、独立した粒子として認識されたものを選別してその位置情報を粒子単位で取得する独立粒子情報取得工程と、
    選別された前記独立した粒子に対して、前記位置情報を取得したときの位置を保ったまま個々にラマン分光測定を行う分光測定工程と、
    前記ラマン分光測定の結果に基づき、ラマン散乱光の主ピークが1330cm-1以上1334cm-1未満にある粒子の全体に対する割合を算出する工程と、
    前記算出された割合に基づいて前記微粉ダイヤモンドの性能を判定する工程と
    を、含むことを特徴とする研削加工用ダイヤモンド砥粒の検査方法。
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