JP2019021483A - 蓄電装置の製造装置 - Google Patents

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英史 大石
木下 恭一
Kyoichi Kinoshita
恭一 木下
文隆 早川
Fumitaka Hayakawa
文隆 早川
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Abstract

【課題】電極の端部へのダメージを抑制しつつ、高速搬送中の電極を取り出すことができる蓄電装置の製造装置を提供する。【解決手段】高速搬送されるシート状の複数の電極20から一部の電極20を取り出す取出装置13は、搬送される電極20の下側に配置された筒状の吸着ロール14と、吸着ロール14の位置を、吸着ロール14の頂点部Pが電極20の下面20bに接触する取出位置と、取出位置よりも下側であり、搬送される電極20に接触しない待機位置とに制御する制御装置15と、吸着ロール14の内部空間を常時減圧する排気ファン16とを備える。吸着ロール14は、排気ファン16によって減圧される第1ロール17と、第1ロール17の外周に位置し、常時回転する第2ロール18とを有する。第2ロール18を径方向に貫通する複数の第2孔部18aは、一部の第2孔部18aが第1ロール17を貫通する第1孔部17aと連通するように配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、高速搬送される複数の電極から一部の電極を取り出す取出装置を備える蓄電装置の製造装置に関する。
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。二次電池は、例えば、正極電極と負極電極とがセパレータを介して積層された電極組立体を備える。二次電池の製造工程は、帯状の電極材料を電極の形状に切断する切断工程と、切断された電極を搬送する搬送工程と、電極を積層して電極組立体を製造する積層工程とを含む。搬送工程には、例えば、特許文献1に開示の吸着搬送コンベアが用いられる。吸着搬送コンベアは、電極を吸着しながら搬送する。二次電池の生産性向上のため、電極を高速搬送し、搬送工程に要する時間の短縮化がなされている。
特開2013−136437号公報
ところで、切断工程において、電極の切断面、すなわち電極の端部にバリが生じることがある。端部にバリが生じた正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層すると、バリがセパレータを貫通し、貫通したバリを介して正極電極と負極電極とが短絡する虞がある。したがって、電極の端部にバリが発生しているか否かを検査する必要がある。このような検査は、二次電池の生産性の低下を抑制するため搬送工程の最中に行われる。そして、電極の端部にバリが発生している場合、高速搬送されている複数の電極から該当の電極を取り出し、回収する。回収された電極は、例えば、バリが発生する原因を究明するために利用される。また、高速搬送されている複数の電極から定期的又はランダムに一部の電極を取り出し、取り出された電極についてバリが発生しているか否かを検査する場合もある。電極の取り出しは、例えば、電極を面方向に払い出すことによって行われる。このとき、電極の端部が損傷すると、その後のバリの発生原因の究明やバリの有無の検査が困難になるため好ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電極の端部へのダメージを抑制しつつ、高速搬送中の電極を取り出すことができる蓄電装置の製造装置を提供することにある。
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造装置は、シート状の電極を吸着して高速搬送する複数の吸着搬送コンベアと、高速搬送される複数の電極から一部の電極を取り出す取出装置と、を備え、前記取出装置は、前記吸着搬送コンベアによって搬送される電極の下側に配置された筒状の吸着ロールと、前記吸着ロールの位置を、前記吸着ロールの頂点部が前記電極の下面に接触する取出位置と、前記取出位置よりも下側であり、搬送される電極に接触しない待機位置とに制御する制御装置と、前記吸着ロールの内部空間を常時減圧する減圧装置と、を備え、前記吸着ロールは、前記減圧装置によって内部空間が減圧される第1ロールと、前記第1ロールの外周に位置し、前記第1ロールに対して常時回転する第2ロールと、を有し、前記第1ロールは、前記第1ロールを径方向に貫通し、前記第1ロールの内部空間と連通する第1孔部を有し、前記第1孔部は、前記吸着ロールの周方向に対向する一対の内側面を有し、前記一対の内側面のうち、一方の内側面は前記頂点部に位置し、他方の内側面は前記電極の搬送方向において前記頂点部よりも下流に位置し、前記第2ロールは、前記第2ロールを径方向に貫通する複数の第2孔部を全周に有し、前記複数の第2孔部は、前記第2ロールが常時回転する状態で、前記複数の第2孔部のうち一部の第2孔部が前記第1孔部と連通するように配置され、前記第1孔部と連通する前記一部の第2孔部の内部空間の体積の合計は、前記第1孔部の内部空間の体積よりも小さいことを要旨とする。
これによれば、吸着力を常時有し、かつ回転する吸着ロールを取出位置に移動させて電極を取り出すため、例えば、吸着ロールを取出位置に移動させた後に吸着力を発生させる場合と比べると、電極を早急に取り出すことができる。よって、高速搬送されている電極であっても、取出装置によって取り出すことができる。また、吸着ロールは、電極の下面を吸着して取り出すため、電極の端部へのダメージを抑制できる。また、第1ロールの内部空間、第1孔部の内部空間、第1孔部に連通する一部の第2孔部の内部空間の順に段階的に体積が小さくなる。このため、吸着ロールの吸着力は、最も体積の小さい第2孔部で最大となり、高速搬送される電極でも吸着できる。
また、蓄電装置の製造装置について、前記電極を検査する検査装置を前記搬送方向において前記取出装置よりも上流に備え、前記制御装置は、前記検査装置による前記電極の検査結果によって前記吸着ロールの位置を制御するのが好ましい。
これによれば、電極の検査結果に応じて電極を取り出すことができる。よって、例えば、不良品と判定された電極を取り出すことで、良品から不良品を選別できる。
また、蓄電装置の製造装置について、前記吸着ロールの外周面と前記吸着ロールに吸着された電極との間にガスを噴射する噴射装置を前記搬送方向において前記吸着ロールよりも下流に備えるのが好ましい。
これによれば、電極の取り出し後、吸着ロールから電極をより剥がしやすい。
また、蓄電装置の製造装置について、前記吸着ロールの軸方向に沿う方向を前記電極の幅方向としたとき、前記複数の第2孔部は、一部の第2孔部が前記第2ロールに吸着された電極の幅方向の両端部と対向するように配置されるのが好ましい。
これによれば、第2孔部は電極の幅方向の両端部を吸着することで、電極をより取り出しやすくなる。
また、蓄電装置の製造装置について、前記吸着ロールの周方向において、隣り合う前記第2孔部同士の間に形成される角度は、前記第1孔部の一対の内側面によって形成される角度よりも小さいのが好ましい。
これによれば、吸着ロールの周方向において第1孔部と第2孔部とは重なるため、吸着ロールは、第2ロールの回転角度に依らず、吸着力を常時有する。よって、第2ロールが回転する状態で待機位置から取出位置に移動しても、電極を吸着して取り出すことができる。
本発明によれば、電極の端部へのダメージを抑制しつつ、高速搬送中の電極を取り出すことができる。
実施形態の二次電池の製造装置の側面図。 実施形態の吸着ロールの斜視図。 (a),(b)は取出装置の側面図。
以下、蓄電装置の製造装置を二次電池の製造装置に具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。本実施形態の二次電池の製造装置は、リチウムイオン電池に用いられる電極組立体を製造する。
図1に示すように、二次電池の製造装置10は、シート状の電極20を吸着し、高速搬送する吸着搬送コンベア11を備える。ここで、高速搬送とは、搬送速度が約50〜80m/sの場合を指す。吸着搬送コンベア11によって電極20が搬送される方向を搬送方向X1とし、電極20の厚みを構成する方向を上下方向X2とする。また、搬送方向X1及び上下方向X2と直交する方向を幅方向X3とする。
吸着搬送コンベア11は、第1〜第4吸着搬送コンベア11a〜11dから構成されている。第1〜第4吸着搬送コンベア11a〜11dは、搬送方向X1に沿って順に配置される。第1吸着搬送コンベア11aは、上下方向X2において電極20の下側に配置され、電極20の下面20bを吸着する。第2吸着搬送コンベア11bは、搬送方向X1において第1吸着搬送コンベア11aよりも下流、かつ上下方向X2において電極20の上側に配置され、電極20の上面20aを吸着する。第1吸着搬送コンベア11aの搬送方向X1の一部と第2吸着搬送コンベア11bの搬送方向X1の一部は、上下方向X2において重なる。第3吸着搬送コンベア11cは、搬送方向X1において第2吸着搬送コンベア11bよりも下流、かつ上下方向X2において電極20の上側に配置され、電極20の上面20aを吸着する。搬送方向X1において、第2吸着搬送コンベア11bと第3吸着搬送コンベア11cとの間隔は、電極20の寸法よりも小さい。搬送方向X1における第2吸着搬送コンベア11bと第3吸着搬送コンベア11cとの間の領域を取出領域Aとする。第4吸着搬送コンベア11dは、搬送方向X1において第3吸着搬送コンベア11cよりも下流、かつ上下方向X2において電極20の下側に配置され、電極20の下面20bを吸着する。第3吸着搬送コンベア11cの搬送方向X1の一部と第4吸着搬送コンベア11dの搬送方向X1の一部は、上下方向X2において重なる。
二次電池の製造装置10は、電極20を検査する検査装置12を備える。検査装置12は、第1吸着搬送コンベア11aに吸着された電極20の上側に配置される第1検査部12aと、第2吸着搬送コンベア11bに吸着された電極20の下側に配置される第2検査部12bとを備える。本実施形態の検査装置12は、電極20の端部におけるバリの有無を検査する。検査装置12は、電極20の端部にバリがない場合、電極20を良品と判定し、電極20の端部にバリがある場合、電極20を不良品と判定する。
二次電池の製造装置10は、吸着搬送コンベア11によって搬送される複数の電極20から一部の電極20を取り出す取出装置13を備える。本実施形態では、取出装置13は、検査装置12による検査の結果、不良品であると判定された電極20を取り出す。
取出装置13は、電極20を吸着する筒状の吸着ロール14と、吸着ロール14の位置を制御する制御装置15と、吸着ロール14の内部空間を常時減圧する減圧装置としての排気ファン16とを備える。
吸着ロール14は、取出領域Aにおいて電極20の下側に配置される。吸着ロール14の軸方向は、幅方向X3と一致する。図2に示すように、吸着ロール14は、回転しない円筒状の第1ロール17と、第1ロール17の外周に位置し、第1ロール17に対して常時回転する円筒状の第2ロール18とを備える。第2ロール18において上下方向X2の最も上側に位置する部分を頂点部Pとする。吸着ロール14は、第2ロール18の頂点部Pが電極20の下面20bに接触し、電極20を吸着する取出位置と、取出位置よりも下側であり、搬送される電極20に接触しない待機位置とで上下方向X2に移動可能である。
制御装置15は、通常時、吸着ロール14を待機位置に位置させる。通常時とは、電極20が搬送されず検査装置12による検査が行われていない時や、検査装置12による検査の結果、電極20が良品と判定されている時である。制御装置15は、検査装置12に信号接続されている。第1及び第2検査部12a,12bは、電極20が不良品であると判定すると制御装置15に信号を送信する。制御装置15は、第1及び第2検査部12a,12bの少なくとも一方から信号を受信すると、不良品と判定された電極20が取出領域Aまで搬送された時点で吸着ロール14が取出位置に位置するように吸着ロール14を待機位置から取出位置に高速で上昇させる。第1検査部12aから取出領域Aまでの距離は、第2検査部12bから取出領域Aまでの距離よりも長い。よって、第1検査部12aが良品と判定し、その後、第2検査部12bが不良品と判定した場合の吸着ロール14の移動速度は、第1検査部12aが不良品と判定した場合の移動速度よりも速くなる。
第1ロール17の軸方向の両端には、排気ファン16が接続されている(図2では図示しない)。排気ファン16は、第1ロール17の内部空間S17の空気を吸着ロール14の外部に常時排出することで、内部空間S17を減圧する。第1ロール17は、第1ロール17を径方向に貫通し、第1ロール17の内部空間S17と連通する第1孔部17aを有する。第1ロール17の軸方向における第1孔部17aの寸法は、電極20の幅方向X3の寸法とほぼ同じである。第1孔部17aは、第1ロール17の軸方向の中央に存在する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1孔部17aは、第1ロール17の周方向に対向する一対の内側面B1,B2を有する。一方の内側面B1は、頂点部Pと第1ロール17の中心軸とを結ぶ直線状上に位置し、他方の内側面B2は、搬送方向X1において頂点部Pよりも下流に位置する。第1孔部17aの一対の内側面B1,B2によって形成される角度α(以下、第1孔部17aの角度αという)は、本実施形態では20度である。なお、角度αは、10〜45度の範囲で適宜変更してよく、10〜30度であるのが好ましい。また、第1孔部17aは、第1ロール17の軸方向に対向する一対の内側面C1,C2を有する。内側面B1,B2,C1,C2によって囲まれる空間を第1孔部17aの内部空間S17aとする。内部空間S17aの体積は、第1ロール17の内部空間S17の体積よりも小さい。
第2ロール18は、図示しないモータによって回転される。第2ロール18は、上下方向X2の上側部分が搬送方向X1の上流から下流に向かう方向に回転する。第2ロール18の回転によって電極20を搬送方向X1に送り出す速度を送り出し速度とする。第2ロール18の回転速度は、送り出し速度が吸着搬送コンベア11による電極20の搬送速度と一致するように設定されている。第2ロール18は、第2ロール18を径方向に貫通する複数の第2孔部18aを全周に有する。第2ロール18の周方向に沿った第2孔部18aの断面形状は、円形状である。各第2孔部18aの内部空間S18aの体積は、第1孔部17aの内部空間S17aの体積よりも小さい。本実施形態の第2孔部18aは、第2ロール18の軸方向、すなわち電極20の幅方向X3に5つ配置されている。幅方向X3に並ぶ5つの第2孔部18aのうち、最外に位置する第2孔部18aの外縁同士の距離は、電極20の幅方向X3の寸法とほぼ同じである。よって、幅方向X3に並ぶ5つの第2孔部18aは、電極20の下面20bと対向する。また、吸着ロール14(第2ロール18)の周方向において、隣り合う第2孔部18aの中心軸Lの間に形成される角度βは、第1ロール17の第1孔部17aの角度αよりも小さい。このため、第2ロール18の回転角度に依らず、常に一部(本実施形態では第2ロール18の周方向に2個、軸方向に5個の計10個)の第2孔部18aが第1ロール17の第1孔部17aと周方向に重なる。つまり、第2ロール18が常時回転する状態で、複数の第2孔部18aのうち一部の第2孔部18aが第1孔部17aの内部空間S17aと径方向に連通する。第1孔部17aと連通する一部の第2孔部18aの内部空間S18aの体積の合計は、第1孔部17aの内部空間S17aの体積よりも小さい。
第1ロール17の内部空間S17は、第1孔部17aの内部空間S17a、及び第1孔部17aに重なる第2ロール18の第2孔部18aの内部空間S18aによって、吸着ロール14の外部に連通する。このため、排気ファン16により第1ロール17の内部空間S17が減圧されると、第1ロール17の第1孔部17aの内部空間S17aが減圧され、さらに第2ロール18の第2孔部18aの内部空間S18aが減圧される。上述したように、各内部空間S17,S17a,S18aの体積は、第1ロール17の内部空間S17、第1孔部17aの内部空間S17a、第1孔部17aに連通する一部の第2孔部18aの内部空間S18aの順に段階的に小さくなる。このため、各内部空間S17,S17a,S18aの圧力は、第1ロール17の内部空間S17、第1孔部17aの内部空間S17a、第1孔部17aに連通する一部の第2孔部18aの内部空間S18aの順に段階的に小さくなる。よって、吸着ロール14は、第1ロール17の第1孔部17aと周方向に重なる第2ロール18の第2孔部18aに最大の吸着力を有する。換言すると、吸着ロール14は、角度αの範囲で第2孔部18aに吸着力を有する。なお、吸着ロール14が上述の待機位置にあるとき、第2ロール18の第2孔部18aの吸着力は電極20に及ばないものとする。
図1に示すように、二次電池の製造装置10は、噴射装置31を備える。噴射装置31は、搬送方向X1において吸着ロール14よりも下流、かつ上下方向X2において電極20の下側に配置される。噴射装置31は、吸着ロール14の第2ロール18の外周面と、吸着ロール14によって吸着された電極20の下面20bとの間にガス(例えば、空気)を噴射する。このガスの噴射により、吸着ロール14から電極20を剥がしやすくなる。二次電池の製造装置10は、取り出された電極20を図示しない回収装置へ搬送する搬送装置32を備える。搬送装置32は、搬送方向X1において吸着ロール14よりも下流、かつ上下方向X2において電極20の下側に配置された一対の挟持ロール33と、搬送方向X1において挟持ロール33よりも下流で回収装置に繋がる搬送コンベア34と、挟持ロール33と搬送コンベア34との間に配置された支持ロール35とを備える。挟持ロール33及び支持ロール35は、回転可能である。本実施形態の回収装置は、複数のポケットと、ポケットを周回搬送させるポケット搬送部とを備える。
次に、二次電池の製造工程のうち、電極の搬送工程、検査工程、及び取出工程について詳述する。検査工程及び取出工程は、搬送工程の最中に行われる。
図3(a)に示すように、電極20の搬送を開始する前、待機位置に位置する吸着ロール14の第2ロール18は回転しているとともに、排気ファン16によって、各内部空間S17,S17a,S18aは減圧され、角度αの範囲で第2孔部18aに吸着力が発生している。
電極20の搬送を開始する。図示しない搬送装置によって前工程から搬送された電極20は、第1吸着搬送コンベア11aに受け渡される。第1吸着搬送コンベア11aは、電極20の下面20bを吸着しつつ搬送方向X1の下流へ搬送する。このとき、第1検査部12aは電極20を検査する。第1吸着搬送コンベア11aによって搬送された電極20は、第2吸着搬送コンベア11bに受け渡される。第2吸着搬送コンベア11bは、電極20の上面20aを吸着しつつ搬送方向X1の下流へ搬送する。このとき、第2検査部12bは電極20を検査する。
そして、第1検査部12a及び第2検査部12bは電極20を良品であると判定すると、制御装置15に信号を送信せず、吸着ロール14は待機位置に位置したままとなる。すると、第2吸着搬送コンベア11bによって搬送された電極20は、第3吸着搬送コンベア11cに受け渡される。第3吸着搬送コンベア11cは、電極20の上面20aを吸着しつつ搬送方向X1の下流へ搬送する。第3吸着搬送コンベア11cによって搬送された電極20は、第4吸着搬送コンベア11dに受け渡される。第4吸着搬送コンベア11dは、電極20の下面20bを吸着しつつ搬送方向X1の下流へ搬送する。第4吸着搬送コンベア11dによって搬送された電極20は、図示しない搬送装置に受け渡され、後工程に搬送される。
一方、第1検査部12aや第2検査部12bが電極20を不良品であると判定すると、第1検査部12aや第2検査部12bは、制御装置15に信号を送信する。制御装置15は、第1検査部12a及び第2検査部12bの少なくとも一方から信号を受信すると、吸着ロール14を待機位置から取出位置に高速で上昇させる。図3(b)に示すように、吸着ロール14は、不良品と判定された電極20が取出領域Aまで搬送された時点で取出位置に位置する。そして、第2孔部18aに発生している吸着力により、第2ロール18に電極20が吸着されるとともに第2ロール18が回転することで、電極20は、搬送方向X1の下流、かつ上下方向X2の下方に取り出される。その後、第2ロール18が更に回転すると、電極20と対向している第2孔部18aは、角度αの範囲から外れ、吸着力を失う。同時に、噴射装置31は、吸着ロール14の第2ロール18の外周面と吸着ロール14に吸着された電極20との間にガスを噴射し、吸着ロール14から電極20を剥がす。なお、制御装置15は、図3(a)に示すように、電極20の取り出し後、吸着ロール14を待機位置に高速で下降させる。
一対の挟持ロール33は、吸着ロール14から剥がされた電極20を挟持し、支持ロール35へ送り出す。支持ロール35は、電極20を支持しながら回転し、電極20を搬送コンベア34へ送り出す。搬送コンベア34は、電極20を回収装置へ搬送する。搬送コンベア34によって搬送された電極20は1枚ずつ、ポケット搬送部によって搬送されたポケットに回収される。本実施形態では、ポケットに回収された電極20は、バリが発生する原因を究明するために用いられる。
次に、本実施形態の効果を作用とともに記載する。
(1)吸着力を常時有し、かつ回転する吸着ロール14を取出位置に移動させて電極20を取り出すため、例えば、吸着ロール14を取出位置に移動させた後に吸着力を発生させる場合と比べると、電極20を早急に取り出すことができる。よって、高速搬送されている電極20であっても、取出装置13によって取り出すことができる。また、吸着ロール14は、電極20の下面20bを吸着して取り出すため、電極20の端部へのダメージを抑制できる。また、第1ロール17の内部空間S17、第1孔部17aの内部空間S17a、第1孔部17aに連通する一部の第2孔部18aの内部空間S18aの順に段階的に体積が小さくなる。このため、吸着ロール14の吸着力は、最も体積の小さい第2孔部18aで最大となり、高速搬送される電極20でも吸着できる。
(2)制御装置15は、検査装置12による電極20の検査結果によって、吸着ロール14の位置を制御するため、検査装置12によって不良品と判定された電極20を取り出すことができる。
(3)噴射装置31は、電極20の取り出し後、吸着ロール14の第2ロール18の外周面と、吸着ロール14に吸着された電極20との間にガスを噴射するため、吸着ロール14から電極20をより剥がしやすい。
(4)吸着ロール14の周方向において、第2孔部18a同士の間に形成される角度βは、第1孔部17aの角度αよりも小さいため、第1孔部17aと第2孔部18aとは常に重なる。このため、吸着ロール14は、第2ロール18の回転角度に依らず、第2孔部18aに吸着力を常時有する。よって、第2ロール18が回転する状態で吸着ロール14が待機位置から取出位置に移動しても、電極20を吸着して取り出すことができる。
(5)第1孔部17aの角度αは10度以上であるため、電極20を上下方向X2の下方に取り出すことができる。また、第1孔部17aの角度αは30度以下であるため、挟持ロール33によって取り出された電極20を挟持する際の衝撃や振動によって、電極20の搬送方向の端部が損傷することを抑制できる。
(6)電極20は、リチウムイオン二次電池の電極組立体に用いられる電極である。リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、一般に厚みが薄く、撓みやすい。このため、取出装置13を用いることで電極20は吸着ロール14に沿うように吸着され、電極20を取り出しやすい。
(7)吸着ロール14は、搬送方向X1において、電極20の上面20aを吸着する第2吸着搬送コンベア11bと第3吸着搬送コンベア11cとの間に配置される。このため、吸着ロール14を取出位置に位置させた際に、吸着ロール14によって電極20が吸着搬送コンベア11に押しつけられることがない。よって、電極20の上面20a及び下面20bへのダメージを抑制できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 取出装置13によって取り出される電極20は、搬送中の電極20から定期的又はランダムに取り出されて検査される検査用の電極であってもよい。この場合、検査装置12による検査工程は、取出装置13による取出工程の後に行われる。
○ 第1ロール17の外周面、及び第2ロール18の内周面の少なくとも一方に、耐摩耗性のコーティング(例えば、ePTFEやDLCなど)を施してもよい。コーティングにより、第1ロール17と第2ロール18との摺動による摩耗粉の発生が抑制され、取出装置13周辺での異物の発生を抑制できる。また、第1ロール17の回転時の抵抗が小さくなり、第1ロール17の回転に要するエネルギを低減できる。
○ 第1ロール17の外周面と第2ロール18の内周面との間にボールベアリングを配置してもよい。ただし、吸着ロール14の軸方向の両端に第1ロール17と第2ロール18との隙間を塞ぐパッキン等を設けることで、各内部空間S17,S17a,S18aの減圧状態を維持する。
○ 第1ロール17の第1孔部17aは、多孔質の固体材料が充填されていてもよいし、多孔質の固体材料によって覆われていてもよい。同様に、第2ロール18の第2孔部18aは、多孔質の固体材料が充填されていてもよいし、多孔質の固体材料によって覆われていてもよい。
○ 第2ロール18の軸方向における第2孔部18aの個数は5個に限定されず、1個以上であれば適宜変更してよい。例えば、第2ロール18の軸方向における第2孔部18aの個数を2個にするとともに、軸方向に隣り合う第2孔部18a同士の距離を電極20の幅方向の寸法とほぼ同じにしてもよい。この場合、第2孔部18aは第2ロール18に吸着された電極20の幅方向の両端部と対向する。よって、第2ロール18は、電極20の下面20bのうち幅方向X3の端部を吸着することができ、電極20を取り出しやすくなる。
○ 吸着ロール14の周方向に隣り合う第2孔部18a同士の間に形成される角度βは、第1ロール17の第1孔部17aの角度αよりも小さくなる範囲で適宜変更してよい。
○ 第2孔部18aの断面形状は、円形状に限定されず、楕円形状や多角度形形状であってもよい。また、第2孔部18aの断面形状は、全ての第2孔部18aで同じでなくてもよい。
○ 第2ロール18の断面形状は、円形に限定されず、18〜36角度形であってもよい。
○ 減圧装置は、排気ファン16に限定されない。減圧装置は、吸着ロール14の内部空間を減圧できればよく、例えば、吸着ロール14の内部空間の空気を吸引する真空ポンプなどの吸引装置であってもよい。
○ 噴射装置31を省略してもよい。
○ 搬送装置32を省略してもよい。
○ 取り出された電極20は、複数枚でまとめられ、ポケットに収容されてもよい。
○ 電極20は、リチウムイオン二次電池以外の他の二次電池に用いられる電極であってもよい。また、電極20は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置に用いられる電極であってもよい。
以下、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を記載する。
(イ)前記取出装置によって取り出された電極を挟持する一対の挟持ロールを備え、前記第1孔部の一対の内側面によって形成される角度は10〜30度である。
(ロ)前記電極は、リチウムイオン二次電池に用いられる電極である。
(ハ)前記吸着ロールは、前記電極の搬送方向において、前記電極の上面を吸着する前記吸着搬送コンベアの間に配置される。
10…二次電池の製造装置としての蓄電装置の製造装置、11…吸着搬送コンベア、12…検査装置、13…取出装置、14…吸着ロール、15…制御装置、16…減圧装置としての排気ファン、17…第1ロール、17a…第1孔部、18…第2ロール、18a…第2孔部、20…電極、31…噴射装置、X1…搬送方向、X3…幅方向、P…頂点部、S17,S17a,S18a…内部空間、α,β…角度。

Claims (5)

  1. シート状の電極を吸着して高速搬送する複数の吸着搬送コンベアと、高速搬送される複数の電極から一部の電極を取り出す取出装置と、を備え、
    前記取出装置は、
    前記吸着搬送コンベアによって搬送される電極の下側に配置された筒状の吸着ロールと、
    前記吸着ロールの位置を、前記吸着ロールの頂点部が前記電極の下面に接触する取出位置と、前記取出位置よりも下側であり、搬送される電極に接触しない待機位置とに制御する制御装置と、
    前記吸着ロールの内部空間を常時減圧する減圧装置と、
    を備え、
    前記吸着ロールは、前記減圧装置によって内部空間が減圧される第1ロールと、前記第1ロールの外周に位置し、前記第1ロールに対して常時回転する第2ロールと、を有し、
    前記第1ロールは、前記第1ロールを径方向に貫通し、前記第1ロールの内部空間と連通する第1孔部を有し、
    前記第1孔部は、前記吸着ロールの周方向に対向する一対の内側面を有し、
    前記一対の内側面のうち、一方の内側面は前記頂点部に位置し、他方の内側面は前記電極の搬送方向において前記頂点部よりも下流に位置し、
    前記第2ロールは、前記第2ロールを径方向に貫通する複数の第2孔部を全周に有し、
    前記複数の第2孔部は、前記第2ロールが常時回転する状態で、前記複数の第2孔部のうち一部の第2孔部が前記第1孔部と連通するように配置され、
    前記第1孔部と連通する前記一部の第2孔部の内部空間の体積の合計は、前記第1孔部の内部空間の体積よりも小さいことを特徴とする蓄電装置の製造装置。
  2. 前記電極を検査する検査装置を前記搬送方向において前記取出装置よりも上流に備え、
    前記制御装置は、前記検査装置による前記電極の検査結果によって前記吸着ロールの位置を制御する請求項1に記載の蓄電装置の製造装置。
  3. 前記吸着ロールの外周面と、前記吸着ロールに吸着された電極との間にガスを噴射する噴射装置を前記搬送方向において前記吸着ロールよりも下流に備える請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置の製造装置。
  4. 前記吸着ロールの軸方向に沿う方向を前記電極の幅方向としたとき、
    前記複数の第2孔部は、一部の第2孔部が前記第2ロールに吸着された電極の幅方向の両端部と対向するように配置される請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の蓄電装置の製造装置。
  5. 前記吸着ロールの周方向において、隣り合う前記第2孔部同士の間に形成される角度は、前記第1孔部の一対の内側面によって形成される角度よりも小さい請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の蓄電装置の製造装置。
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