JP2019019240A - 蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物 - Google Patents

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裕樹 河野
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直子 藤澤
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Tadanori Suzuki
忠憲 鈴木
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Eiji Kawamura
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Abstract

【課題】 本発明は、無色蛍光発光材料と、より耐光性の劣る蛍光材料を混合使用して、経時劣化により蛍光色が変化する蛍光インキ及びそのインキを用いて製造した印刷物を提供する。【解決手段】 第一の蛍光材料と第二の蛍光材料を少なくとも有する蛍光インキであって、第二の蛍光材料は、第一の蛍光材料と発光色が異なり、かつ、第一の蛍光材料よりも低い耐光性を有し、有色材料とした特徴を有する蛍光インキ及びそのインキを用いて製造した印刷物である。【選択図】図1

Description

本発明は、無色蛍光発光材料と、より耐光性の劣る蛍光材料を混合使用して、経時劣化により蛍光色が変化する蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物に関するものである。
近年、国内外の銀行券をはじめとした有価証券等のセキュリティ印刷物では、偽造防止策として蛍光発光材料が多用されており、UVランプ又はUV−LEDランプのような簡易的な判別具を用いることによって発光状態を確認し真偽判別する、いわゆる第二認証技術が広まっている。
しかし昨今、ホームセンター等の住関連用品店にて一般の人が蛍光材料を簡単に入手できるほか、蛍光インクジェットインクも市販されていることから、印刷技術や発光材料の知識を有していない者であっても容易に偽造や模造ができる環境となっている。そのため、単に蛍光発光する機能だけにとどまらず、より高度な偽造防止策を付加したセキュリティ印刷物が求められている。
従来のセキュリティ印刷物は、流通過程における品質を維持するため、高い堅ろう性を有するものが多いが、高い堅ろう性であるが故、使用期限が比較的短い入場券等のセキュリティ印刷物であっても堅ろう性が損なわれることなく変わらず保持される。そのため、使用期限の表示のみを改ざんすることによって、再使用されてしまうリスクがある。
使用期限の改ざんを防止する技術の一例として、ブルースケール1級以下の耐光性の弱い蛍光インキ層と、かつ、ブルースケール6乃至7級である耐光性の強い蛍光インキ層を積層した蛍光表示体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この蛍光表示体は、一定以上の光を浴びた場合、耐光性の弱い蛍光インキ層の発光色のみが退色し、耐光性の強い蛍光インキ層の発光色は退色しないことから、耐光性の強い蛍光インキ層の発光色が視認され、利用可能期間の終了を表示することができるという利点を有する。
特許第5793953号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、二つの蛍光インキにて形成された印刷層を積層した構成であることからコスト高となるほか、蛍光材料の異なる二つの蛍光インキを可視光下において等色にする必要があり、印刷濃度のバランス、刷合せ等が複雑となる。また、使用できる二つの蛍光インキの組合せも制限されることから、蛍光材料の選択の自由度が低いという問題があった。
前述した課題を解決するため、インキ選択の制限がなく作製でき、低価格であり、かつ、改ざん品であるか否かを容易に真偽判別等できる蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物を提供する。
本発明の蛍光インキは、第一の蛍光材料と第二の蛍光材料を少なくとも有する蛍光インキであって、第二の蛍光材料は、第一の蛍光材料と発光色が異なり、かつ、第一の蛍光材料よりも低い耐光性を有する蛍光インキである。
また、第二の蛍光材料は、有色材料である蛍光インキである。
また、第一の蛍光材料と、第一の蛍光材料と発光色が異なり、かつ、第一の蛍光材料よりも低い耐光性を有する第二の蛍光材料を少なくとも有する蛍光インキを用いて印刷した印刷層を基材上の少なくとも一部に有する印刷物である。
さらに、第一の蛍光材料と、第一の蛍光材料と発光色が異なり、かつ、第一の蛍光材料よりも低い耐光性を有するとともに有色材料である第二の蛍光材料を少なくとも有する蛍光インキを用いて印刷した印刷層を基材上の少なくとも一部に有する印刷物である。
本発明の蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物は、一つの蛍光インキ層で形成されるため、印刷濃度のバランスや刷合せ等の高度な印刷技術を駆使することなく偽造防止効果が発揮される。加えて、幅広い印刷方式にて簡便に作製することが可能であり、印刷工程も少ないことから、低コストにて作製できる。
また、本発明の蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物は、二つのインキをペアにして使う必要もないため、デザイン的な制約が少なく、簡単に導入できるメリットがある。特に、使用期限の短い金券やチケット等はデザインが多種多様で、幅広いデザイン設計が可能な偽造防止インキやそのインキを使用した印刷技術が求められる背景を考えると、本発明技術のメリットは大きい。
さらに、本発明の蛍光インキ及びそれを用いて製造した印刷物は、当該印刷物を確認することで流通過程における紫外線曝露時間、使用環境、保管環境等をモニタリングすることも可能である。
セキュリティ印刷物の概略図 第一の蛍光材料の発光スペクトルと分光スペクトル 第二の蛍光材料の発光スペクトルと分光スペクトル 印刷サンプルの耐光性試験前後の測色結果(CIE L*a*b*表色系[a*b*座標]、色差ΔEの推移) 印刷サンプルの耐光性試験前後の発光スペクトルと分光スペクトル
本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思考の範囲であれば、その他の実施の形態も含まれる。
図1に本実施の形態におけるセキュリティ印刷物(以下「印刷物」という。)(A1)の概略図を示す。図1(a)は、印刷物(A1)の平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す印刷物(A1)のAA´断面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、印刷物(A1)は、基材(1)上に形成された蛍光印刷層(2)を有する。なお、図1では蛍光印刷層(2)が基材(1)の一部に形成されているが、基材(1)全体に形成されていてもよい。
また、本実施の形態では、蛍光印刷層(2)の形状を「商品券」の文字により形成しているが、各領域の形状は特に限定されず、任意の形状により形成することができる。以降の実施の形態に記載する印刷領域についても形状は同様であるため、その説明は省略する。さらに、蛍光印刷層(2)以外には、料額、文字、番号等の必要な付加情報(3)が記載されていてもよい。
基材(1)は、蛍光がなく、印刷可能な基材(1)であれば特に限定されず、公知の紙、プラスチック、フィルム、布等を使用することができる。なお、基材(1)を紙とした例としては、上質紙、中質紙、微塗工紙、コート紙、アート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、合成紙等がある。
蛍光印刷層(2)は、互いに発光色と耐光性が異なる第一の蛍光材料と第二の蛍光材料を少なくとも含んだ蛍光インキにより形成される。ここで、第一の蛍光材料と第二の蛍光材料の選定には、双方の発光色が異なり、かつ、第二の蛍光材料が第一の蛍光材料よりも耐光性が劣ることが必要な条件である。本条件を満たせば、蛍光材料の組成、性状又は外観色にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。
蛍光印刷層(2)は、光に曝露された時間に応じて発光色の色相が変化するため、曝露された光の強度、時間及び色相変化の関係性をあらかじめ調査しておき、印刷物の使用環境における光の強度、蛍光印刷層(2)の発光色の色相を調べることで、印刷物の使用期間を推定することができる。なお、使用環境によるおおよその光の強度を照度として表した一例を表1に示す。
Figure 2019019240
蛍光印刷層(2)の発光色の色相変化を確認することで、所定の発光色に達したものを使用の限界とすれば、使用期間の決まっている証明書類や金券、チケット等の改ざんによる再利用を防ぐことができる。
例えば、第一の蛍光材料が赤色に発光し、第二の蛍光材料が緑色に発光した場合、発光色は加法混色で黄色として認識されるが、使用期限が過ぎると第二の蛍光材料が退色して、第一の蛍光材料の発光色である赤色のみが残るため、赤色への変色が確認された時点を使用の限界とする。
この方法を応用すれば、使用期限のないセキュリティ印刷物においては、流通時間又は流通環境のモニタリングとして使用でき、日光曝露等に曝された時間が長かった製品、故意に異常な環境に曝された製品を見分けることができる。
例えば、銀行券のような使用期限のない印刷物においては、流通過程における疲労度の判定手法ともなり、機械読取りにおいて蛍光色の変化を測定することによって、再度市場に流通させるか又は廃棄するかを効率よく確実に判断する手段としても使用できる。
また、使用期限後も第一の蛍光材料の発光は残っているため、使用期限後の印刷物も真偽を判別することが可能であり、単純に単一の蛍光材料を使用して発光がなくなることで使用期間を限定する従前技術と比較してセキュリティ性は高い。
例えば、偽造券の流通可能性が発覚した場合、単純に単一の蛍光材料を使用して発光がなくなることで使用期間を限定する従前技術では、真券であるが使用期限に達して発光しなくなったものなのか、偽造券のために元々発光しなかったものなのかを区別することは困難であり、偽造という犯罪が行われたかどうかを後々立証することが難しい。しかし、本発明においては、使用期限にかかわらず、少なくとも第一の蛍光材料の発光があるか否かにて、真券と偽造券との区別を行うことが容易である。
(第一の蛍光材料)
第一の蛍光材料は、後述する第二の蛍光材料より耐光性が高く、かつ、発光色が異なる蛍光材料であればよく、単一材料又は複数の材料を使用してもよい。第一の蛍光材料の外観色は、後述する第二の蛍光材料と同色又は異なる色のいずれでもよい。しかし、第一の蛍光材料の外観が有色の場合、色相によっては第二の蛍光材料の発光を吸収して弱く認識される可能性がある。本発明は、退色によって第二の蛍光材料の発光が弱まることが重要であり、退色する以前に第二の蛍光材料の発光が弱く認識されると、退色により発光色の色相が変化する効果が低くなるため、発明の効果を高くするためには、第一の蛍光材料は白色又は淡色である方が望ましい。
なお、第一の蛍光材料としては、材料の組成によらず、第二の蛍光材料より耐光性が高くて、外観色が白色又は淡色であれば選択可能であるが、とりわけ、無機の蛍光材料は一般に耐光性が高く、外観色が白色又は淡色であることが多いことから選択しやすい。その一例として、主な無機蛍光材料の発光色と組成を表2に示す。
Figure 2019019240
一例として、図2に第一の蛍光材料として使用可能な、赤色に発光する市販の無機蛍光材料(ユウロピウム賦活バナジン酸イットリウムビスマス)の発光スペクトル及び分光スペクトルを示す。図2(a)の発光スペクトルと図2(b)の分光スペクトルから分かるように、波長域620nmに発光ピークを有する。よって、後述する第二の蛍光材料は、第一の蛍光材料の発光ピークの波長域(620nm)付近に強い吸収があり、発光ピークの波長域(620nm)と補色の関係にある発光色を有することが、より顕著な効果が望める。
(第二の蛍光材料)
第二の蛍光材料は、前述した第一の蛍光材料より耐光性が低く、かつ、発光色が異なる蛍光材料であればよく、単一材料又は複数の材料を使用してもよい。また、第二の蛍光材料は、印刷物の使用環境、使用期限に合わせて、発光が消失するような耐光性を有するものを選ぶことが肝要である。第二の蛍光材料に有色の材料を選定すると、発光が第二の蛍光材料の色により吸収される効果も加わり、かつ、外観色と発光が退色するとその効果も薄れて第一の蛍光材料の発光がより際立ってくるため、発光輝度の増加とともに発光色のより大きな色相変化が望める。また、第一の蛍光材料の発光色と第二の蛍光材料の外観色が補色の関係にある場合、外観色の退色に伴い、より顕著な効果が望める。
第二の蛍光材料としては、蛍光染料等の耐光性が低いものが選ばれる。例えば、メロシアニン、ペリレン、アクリジン、ルシフェリン、ピラニン、スチルベン、ローダミン、クマリン、ピロメテン、フルオレセイン、ウンベリフェロン等の蛍光色素を基に生成された染料等が挙げられる。また、それらについて化学的に分子構造を修飾することや、物理的に樹脂やセラミックにて被覆すること、あるいは樹脂に溶解させて粉砕したものについては第一の蛍光材料よりは耐光性が劣るものの、化学的及び物理的手法によって耐光性の向上が図られており、これらを含めると、使用期限に合わせた耐光性を持つ材料を選定するに当たり、選択の幅が広くなる。
また、C.I.PigmentYellow12といった、一般的な着色顔料の中にも蛍光発光機能を有するものもあり、染料と比較すると耐光性が強いため、使用期限が長い製品又は流通環境や期間等のモニタリングに選択できる。
一例として、図3に第二の蛍光材料として使用可能である、市販の蛍光ペンに使用されている緑色蛍光発光材料の発光スペクトル及び分光スペクトルを示す。図3(a)に示すように、第二の蛍光材料の発光スペクトルは波長域540nmに発光ピークを有する。第一の蛍光材料の赤色の発光色と補色の関係にある該材料を第二の蛍光材料として使用した場合、図3(b)の分光スペクトルから分かるように、第一の蛍光材料の発光ピークの波長域(620nm)付近において強い吸収があるため、第一の蛍光材料の発光を大きく阻害するが、退色するとその吸収が大きく減少するため、阻害がなくなって第一の蛍光材料の発光がより際立つことになり、発光色の大きな色相変化が望める。
(蛍光インキ)
蛍光インキは、第一の蛍光材料と第二の蛍光材料を、バインダー、助剤等と十分に混合し、3本ロールミル等の分散機を用いて練合して付与に適した特性を持つよう粘度等を調整してインキ化又はペースト化する。第一の蛍光材料と第二の蛍光材料の配合比率は、蛍光材料の単位重量当たりの発光輝度や発光色の色相によるため限定されないが、重量比でおよそ9:1〜1:9程度である。好ましくは第二の蛍光材料の退色による色相の変化を大きくするために、7:3〜1:9が望ましい。また、第一の蛍光材料及び第二の蛍光材料とバインダー等との配合割合は、蛍光材料を1〜60重量%程度とすればよい。作製した蛍光インキの付与方式によって異なるが、あまり多いとインキの良好な付与適性を損ない、少ないと効果的な発光輝度を得られないことから、好ましくは10〜40重量%にすることが望ましい。
蛍光インキに使用するバインダーとしては、特に限定されるものではない。例えば、アマニ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等の油脂類、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、エステルワックス、低分子量ポリエチレン等の合成ワックス類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロメン酸、ヘベニン酸等の高級脂肪酸類、ステアリルアルコール、ヘベニルアルコール等の高級アルコール類、グルコース、エチレングルコース、アミロース等の炭化水素類、脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂、石油系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルビン樹脂等の樹脂類、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のエラストマー類、アクリレート、メタクリレートのオリゴマー及びモノマーからなる紫外線硬化樹脂、水添石油樹脂、シリコーン、流動パラフィン、フッ素樹脂等のタッキファイヤー類等を単独又は含有された物から成るバインダーを使用できる。
また、バインダーは、必要に応じて界面活性剤、充填剤、酸化防止剤、乾燥剤、光重合開始剤等を添加して使用してもよい。なお、各インキには、インキの粘性を整え、印刷適性を向上させる目的で、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料を体質顔料として配合してもよい。また、識別を妨げない範囲であれば、公知の色材、機能性材料等を混合してもよい。
さらに、蛍光インキを基材に印刷する方式は特に限定されず、発光インキ組成物を基材に印刷、コーティング等により付与する方式としては、一般に公知の凹版印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、コーティング等の方式を用いることができ、また、これらの印刷方式の組合せにより付与してもよい。
(セキュリティ印刷物)
次に、本発明の印刷物(A1)の効果について説明する。本発明の印刷物(A1)は、紫外線を照射することで、蛍光印刷層(2)において第一の蛍光材料と第二の蛍光材料の二つの発光が加法混色して強い発光として観察されるが、光に曝露されることで、耐光性の弱い第二の蛍光材料が第一の蛍光材料よりも早く退色し蛍光発光が減少するため、第一の蛍光材料と第二の蛍光材料の発光輝度のバランスが変化し、光に曝露された時間に応じて観察される蛍光発光色の色相が変化していくとともに発光輝度が低下することとなる。
この発光色の変化を顕著にするためには、第一の蛍光材料の発光が退色せずに保持されることが望ましく、第二の蛍光材料の発光が退色して減少し、ある期間で発光が消失することが望ましい。
前述の理由から、第一の蛍光材料には一般的に耐光性がよい無機材料で白色又は淡色のもの、また、第二の蛍光材料には、耐光性が比較的弱く、その程度も多様な有機材料で有色のものを選定すると、本発明の効果がより大きくなる。
発光色の色相の変化は、CIE L*a*b*表色系で捉え、その変化前後の色差ΔEを色相の変化の判断基準とすると管理しやすい。一般的な色差の程度の評価例では、色差ΔEが12.0を超えると別の色系統になるとされていることから、これらの値を目視による発光色変化の判断基準にするとよい。なお、色差の程度の評価例を表3に示す。
Figure 2019019240
次に、印刷サンプルとして、第一の蛍光材料として赤色に発光する市販の無機蛍光材料(ユウロピウム賦活バナジン酸イットリウムビスマス)、第二の蛍光材料として黄色に発光する市販の蛍光発光機能を有する材料(C.I.PigmentYellow12)を使用した製造例を示す。
印刷サンプルをスーパーキセノンフェードメーター(スガ試験機株式会社製)にて温度63℃、湿度50%RH、照射強度180W/mの条件で、1、3、5、10、20、30時間の曝露試験(耐光性試験)を行った。
印刷サンプルに波長365nmの紫外線を照射すると、試験前のサンプルは赤味の黄色に発光して見えるが、曝露時間が増えるにつれて徐々に赤色に変化していくことが確認できる。
表4は、試験前後の印刷サンプルについて、波長352nmの紫外線光源下で色彩色差計CS−100(コニカミノルタジャパン株式会社製)を使用して蛍光発光色を測色(Yxy表色系)し、そのデータをCIE L*a*b*表色系(光源D65)に変換した後、未試験品との色差(ΔE)を算出した結果であり、図4にグラフとして示す。データは、曝露時間が増えるにつれて連続的に値が変化していることが分かる。ここで、ΔEがある値まで達した時点を使用限度と定めることで、印刷物の使用限度を設定することができる。
Figure 2019019240
試験前後(未試験と30時間曝露)の印刷サンプルの発光スペクトル及び分光スペクトルについて、蛍光分光光度計F−4500及び自記分光光度計U−4000(共に日立製作所株式会社製)を用いて測定した結果のグラフを図5に示す。図5(a)の発光スペクトルにおいて、試験後に540nm付近にある第二の蛍光材料の発光ピークが減少し、620nm付近にある第一の蛍光材料の発光ピークが僅かに増加していることが分かる。
第二の蛍光材料の発光ピークの減少は、第二の蛍光材料の退色により、第二の蛍光材料自身の発光が減少したものであり、第一の蛍光材料の発光ピークの増加も、第二の蛍光材料の退色によるものである。図5(b)の分光スペクトルから分かるように、第一の蛍光材料の発光ピークの波長域(620nm)付近において、第二の蛍光材料による発光の吸収が退色により僅かに減少したことによって、第一の蛍光材料の発光強度が僅かに増え、本発明の原理が実証される結果となった。
以下に、本発明の実施例を示すが、これらの実施例によって本発明の実施形態が制限されるものではない。
本発明の実施例について、実施形態と同様に図1の印刷物(A1)を用いて説明する。本実施例では、基材(1)として、蛍光増白剤を含まない白色の上質紙(北越紀州製紙株式会社製)を用いた。
蛍光材料は、第一の蛍光材料として赤色に発光する市販の無機蛍光材料(ユウロピウム賦活バナジン酸イットリウムビスマス)、第二の蛍光材料として黄色に発光する市販の蛍光発光機能を有する材料(C.I.Pigment Yellow12)を使用した。表5のとおり配合したものを、3本ロールミル(井上製作所株式会社製)で練合して、蛍光インキを作製した。
Figure 2019019240
次に、万能印刷適性試験機(熊谷理機工業株式会社製)を使用して、作製した蛍光インキにより、インキ膜厚1μmの蛍光印刷層(2)を基材(1)上に印刷して、印刷物(A1)を作製した。
得られた印刷物(A1)を、スーパーキセノンフェードメーター(スガ試験機株式会社製)にて温度63℃、湿度50%RH、照射強度180W/mの条件にて、1、3、5、10、20、30時間の曝露試験(耐光性試験)を行った。
印刷物(A1)に波長365nmの紫外線を照射すると、試験前の蛍光印刷層(2)は、赤味の黄色に発光して見えたが、曝露時間が増えるにつれて徐々に赤色に変化したことを確認した。
20時間曝露でΔEが12.0を超えて、別の色系統として認識されるレベルに達したため、この時点を使用限度と定めた。該試験機の20時間曝露は日本における太陽光の15日程度の曝露時間に相当するため、該インキは、屋外において約2週間の広告掲示を許可するステッカー等に使用できる。
A1 セキュリティ印刷物
1 基材
2 蛍光印刷層
3 付加情報

Claims (3)

  1. 第一の蛍光材料と第二の蛍光材料を少なくとも有する蛍光インキであって、前記第二の蛍光材料は、前記第一の蛍光材料と発光色が異なり、かつ、前記第一の蛍光材料よりも低い耐光性を有することを特徴とする蛍光インキ。
  2. 前記第二の蛍光材料は、有色材料であることを特徴とする請求項1記載の蛍光インキ。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の蛍光インキを用いて印刷した印刷層を基材上の少なくとも一部に有することを特徴とする印刷物。
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