JP2019017676A - 頭部刺激方法及び頭部刺激装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】VR酔いの抑制に関してより高い効果を得ることができる技術を提供すること。【解決手段】実施形態の頭部刺激方法は、人の略頭頂部に負極を配置し、前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に正極を配置し、前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する刺激方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、脳に刺激を与える技術に関する。
近年、バーチャルリアリティ(VR:Virtual Reality)を体験させる各種装置が実用化されている。一方で、バーチャルリアリティを体験した人が乗り物酔いに似た症状(以下「VR酔い」という。)を訴えることが報告されている。VR酔いは、動揺病の一種と解され、視覚による認識と前庭で認識される運動体感との不一致によるものと説明される。バーチャルリアリティが身近なものとなるにつれて、VR酔いを抑制する技術の確立が望まれている。従来、このようなVR酔いを始めとする動揺病の抑制に関して種々の方法が提案されている。
特許第5815540号公報 特許第6032894号公報 特許第4481209号公報 特開2017−060581号公報
Nishiike et al., The effect of visual-vestibulosomatosensory conflict induced by virtual reality on postural stability in humans, The Journal of Medical Investigation Vol. 60 2013.
しかしながら、従来提案されている技術は、必ずしも高い抑制効果を得られるものではなかった。
上記事情に鑑み、本発明は、VR酔いの抑制に関してより高い効果を得ることのできる技術を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、人の略頭頂部に負極を配置し、前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に正極を配置し、前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する、頭部刺激方法である。
本発明の一態様は上記の頭部刺激方法であって、前記人の視点に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する、頭部刺激方法である。
本発明の一態様は上記の頭部刺激方法であって、前記人が視聴している映像に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する、頭部刺激方法である。
本発明の一態様は、人の略頭頂部に配置される負極と、前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に配置される正極と、前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する電源と、を備える頭部刺激装置である。
本発明の一態様は上記の頭部刺激装置であって、前記人の視点を示す視点情報を取得する視点情報取得部と、前記視点情報に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する制御部と、をさらに備える。
本発明の一態様は上記の頭部刺激装置であって、前記人に視聴させる映像を表示する表示部と、前記表示部に表示される映像に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する制御部と、をさらに備える。
本発明により、VR酔いの抑制に関してより高い効果を得ることが可能となる。
第1実施形態におけるVR酔いの抑制方法の概略を示す図である。 第1実施形態の頭部刺激方法によってVR酔いの症状が緩和される効果を示す図である。 第1実施形態の頭部刺激方法によってVR酔いの症状が緩和される効果を示す図である。 第1実施形態の頭部刺激装置1の外観の具体例を示す図である。 第1実施形態の頭部刺激装置1における操作部20の機能構成の具体例を示すブロック図である。 第1実施形態の頭部刺激装置1の動作例を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるVR装置2の外観の具体例を示す図である。 第2実施形態のVT装置2におけるVR機能部40の機能構成の具体例を示すブロック図である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるVR酔いの抑制方法の概略を示す図である。従来、運動体感を認識する前庭に電気的な刺激を与えることによって動揺病の症状を緩和する方法が考案されている。従来の頭部刺激方法は、前庭の末梢神経に刺激を与えるものが一般的であり、末梢神経に与える刺激には交流電流を用いるのが一般的であった。また、前庭の末梢神経を刺激するためには、交流電流を印加する電極が乳様突起周辺や額、後頸部、こめかみ付近に配置されるのが一般的であった。
これに対して、本実施形態の頭部刺激方法は、前庭ではなく、大脳皮質に刺激を与える点で従来の頭部刺激方法と異なる。この違いは、刺激を与える対象を、運動体感を認識する前庭に代えて、視覚による認識と前庭による運動体感の認識とを統合する大脳皮質としたことによる。具体的には、図1に示すように、略頭頂部に負極を配置し、右側頭部から後頭部までの範囲内であって、右耳より後方かつ上方の位置(以下「正極部」という。)に正極を配置して直流電流を印加する。
また、従来の頭部刺激方法は、耳の奥の末梢神経に刺激を与えるものであったため、そのためには小さな電極を用いてピンポイントに交流電流を印加する必要があった(例えば、1cm角の電極によるGVS(Galvanic Vestibular Stimulation))。このように小さな電極を用いて交流電流を印加する場合、狭い範囲にエネルギーが集中するとともに刺激の向きが断続的に変化するため、電流を印加される人が断続的な痛みを伴うものであった。
これに対して、本実施形態の頭部刺激方法は、前庭ではなく、大脳皮質に刺激を与えるものであるため、大きな電極を用いて直流電流を印加することができる。そのため、本実施形態の頭部刺激方法では、電流を印加される人の痛みを軽減することが可能である。
図2及び図3は、第1実施形態の頭部刺激方法によってVR酔いの症状が緩和される効果を示す図である。具体的には、図2及び図3は、VR体験前の被験者に対して本実施形態の頭部刺激方法で頭部に刺激を与え、VR体験前後で被験者の状態を比較したものである。図2及び図3は、被験者に対して与えた刺激の種類ごとの比較を示す。なお、ここでは、1.5mAの直流電流を15分印加することにより、頭部への刺激を行った。また、ここでは、重心動揺計を用いた重心動揺の測定値と、アンケートによる被験者の自己診断によるVR酔いの診断結果(以下「自己診断結果」という。)と、をVR体験前後で比較した。図2は被験者の重心がベースラインから変化した量(重心動揺)(mm)の比較結果を示し、図3は自己診断結果の比較結果を示す。
図2及び図3に示すように、この試験はコントロール刺激、興奮性刺激及び抑制性刺激の3種類の条件で実施した。コントロール刺激は無刺激を意味する。すなわち図中のコントロール刺激の系列は、被験者に刺激を与えなかった場合の測定結果を表す。これに対して、興奮性刺激は図1に示す方法で与えた刺激を意味し、抑制性刺激は正極及び負極を興奮性刺激とは逆にして与えた刺激を意味する。この結果、図2及び図3に示すように、重心動揺の測定値の比較、及び自己診断結果の比較の両面で、興奮性刺激がVR酔いの緩和に効果的であることが分かった。なお、図2及び図3における『*』は興奮性刺激に関するデータが有意差を持つことを表している。すなわち、この試験によって、頭部への刺激がVR酔いの症状を緩和するという仮説に関して、興奮性刺激を与えることが統計学的に有意であることが分かった。
以下、上述した本実施形態の頭部刺激方法を実現する頭部刺激装置の構成の具体例について説明する。
図4は、第1実施形態の頭部刺激装置1の外観の具体例を示す図である。頭部刺激装置1は、頭部装着部10及び操作部20を備える。例えば、頭部装着部10は、正極11及び負極12と、正極11及び負極12を人体頭部の所定位置に固定する固定部13とを備える。具体的には、固定部13は、正極11を正極部に、負極12を頭頂部に固定する。正極11は導線L1を介して操作部20の第1端子21に接続され、負極12は導線L2を介して操作部20の第2端子22に接続される。
操作部20は、内部に電池等の直流電源を有し、第1端子21及び第2端子22間に、第1端子21を正極、第2端子22を負極とする直流電圧を印加する。これにより、正極11及び負極12が配置された人体頭部に直流電流が印加される。また、例えば、操作部20は、印加開始ボタンB1や印加停止ボタンB2、強度調整つまみK1などの各種の入力部23を備え、入力部23の操作に応じて各端子に電圧を印加する。
図5は、第1実施形態の頭部刺激装置1における操作部20の機能構成の具体例を示すブロック図である。操作部20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。操作部20は、プログラムの実行によって第1端子21、第2端子22、入力部23、電源部24及び印加制御部25を備える装置として機能する。なお、操作部20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
第1端子21は、導線L1を介して頭部装着部10の正極11に接続される。第2端子22は、電源L2を介して頭部装着部10の負極12に接続される。第1端子21及び第2端子22には電源部24によって直流電圧が印加される。
入力部23は、自装置に対するユーザの操作入力を受け付ける。例えば、入力部23には、図4に示した印加開始ボタンB1、印加停止ボタンB2及び強度調整つまみK1などが接続される。入力部23は、印加開始ボタンB1、印加停止ボタンB2又は強度調整つまみK1等を介して入力された入力情報を印加制御部25に出力する。
電源部24は、電池等の直流電源を有し、自装置の各機能部の動作に必要な電力を供給する。電源部24は、第1端子21及び第2端子22に接続され、印加制御部25の制御に基づいて第1端子21及び第2端子22に直流電圧を印加する。
印加制御部25は、入力部23から出力される入力情報に基づいて電源部24の動作を制御する。例えば、印加制御部25は、印加開始ボタンB1の押下(通電開始指示)を示す入力情報が出力された場合、電源部24に対して第1端子21及び第2端子22に対する直流電圧の印加の開始を指示する。また、例えば、印加制御部25は、印加停止ボタンB2の押下(通電停止指示)を示す入力情報が出力された場合、電源部24に対して第1端子21及び第2端子22に対する直流電圧の印加の停止を指示する。また、例えば、印加制御部25は、強度調整つまみK1が操作されたことを示す入力情報が出力された場合、電源部24に対して第1端子21及び第2端子22に対して印加する直流電圧の強度の調整(増幅又は減衰)を指示してもよい。
図6は、第1実施形態の頭部刺激装置1の動作例を示すフローチャートである。まず、頭部刺激装置1が被験者の頭部に装着されることで、正極11が被験者頭部の正極部に、負極12が被験者の頭頂部に配置される(ステップS101)。印加制御部25は、通電開始指示が入力されたか否かを判定する(ステップS102)。通電開始指示が入力されていないと判定した場合(ステップS102−NO)、印加制御部25は通電開始指示が入力されるまでステップS102の処理を繰り返し実行する。一方、通電開始指示が入力されたと判定した場合(ステップS102−YES)、印加制御部25は電源部24に対して第1端子21及び第2端子22に対する直流電圧の印加の開始を指示する(ステップS103)。
続いて、印加制御部25は、通電停止指示が入力されたか否かを判定する(ステップS104)。通電停止指示が入力されていないと判定した場合(ステップS104−NO)、印加制御部25は直流電圧の印加を開始してから所定の設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS105)。この設定時間は、直流電流を印加する時間の長さであり、印加する直流電流の大きさや想定されるVR酔いの症状の程度等に応じて決定され、予め操作部20に設定される。
直流電圧の印加を開始してから設定時間が経過していないと判定した場合(ステップS105−NO)、印加制御部25はステップS104に処理を移し、通電停止指示が入力されたか否かを判定する。一方、ステップS104において、通電停止指示が入力されたと判定した場合、又はステップS105において、直流電圧の印加を開始してから設定時間が経過したと判定した場合、印加制御部25は電源部24に対して第1端子21及び第2端子22に対する直流電圧の印加の停止を指示する(ステップS106)。
このような第1実施形態の頭部刺激方法又は第1実施形態の頭部刺激装置1によれば、人頭の頭頂部に負極を配置し、右側頭部から後頭部までの範囲において、右耳より後方かつ上方に位置する正極部に正極を配置し、このように配置した負極及び正極を介して人頭に直流電流を印加することで、VR酔いをより効果的に抑制することが可能となる。
なお、本実施形態の頭部刺激方法は、VR酔いに限らず、動揺病に分類される各種症状(乗り物酔いなど)の緩和にも適用可能である。その場合、頭部刺激装置1は、可搬型の装置であることが望ましい。上記の実施形態では、頭部刺激装置1自身が電源を備える構成について説明したが、頭部刺激装置1を可搬型の装置として構成する場合、頭部刺激装置1は電源部24を備えず、外部から電力供給を受けることが可能なように構成されてもよい。例えば、頭部刺激装置1は、USB(Universal Serial Bus)等の電力の送受信が可能な接続インタフェースを備え、このような接続インタフェースを介して他の装置から電力の供給を受けてもよい。なお、この場合、接続インタフェースは9V程度の電圧出力が可能であることが望ましい。
また、以下の参考文献にも記載されているように、直流電流の効果は強い刺激の方が効果的であり、逆に弱い刺激ではあまり効果が得られないことが知られている。そのため、被験者の症状の重さに応じて、強度調整つまみK1などで、直流電流の強度が調整されるとよい。この場合、従来方法の交流電流による刺激では、刺激の強度を増すとより強い痛みが断続的に継続されることになる。これに対して、本実施形態の頭部刺激方法は、直流電流により刺激を与えるため、印加開始時点での痛みは伴うものの、印加中の痛みは従来方法よりも緩和される。また、本実施形態の頭部刺激方法は、従来方法のように末梢神経をピンポイントに刺激する必要がなく、略頭頂部及び正極部をある程度の範囲(例えば5cm角の電極)で刺激できればよい。そのため、本実施形態の頭部刺激方法によれば、刺激による被験者の痛みを抑制しつつ、効果的に症状を緩和することができる。
参考文献1:M.B. Iyer et al., Safety and cognitive effect of frontal DC
brain polarization in healthy individuals, Neurology 2005;64;872-875.
参考文献2:M. A. Nitsche et al., Excitability changes induced in the human motor cortex by weak transcranial direct current stimulation, Journal of Physiology (2000), 527.3, pp. 633-639.
(第2実施形態)
第1実施形態では、VR体験前の被験者の頭部に直流電流を印加することでVR酔いを抑制する頭部刺激方法について説明した。この頭部刺激方法は、VR体験中の被験者がVR酔いを発症することを抑制するのにも有効であると考えられる。第2実施形態では、VR体験中の被験者に対して第1実施形態と同様の頭部刺激を行うことが可能なVR装置について説明する。VR装置は、自装置を頭部に装着したユーザに対してVRを体験させる装置である。
図7は、第2実施形態におけるVR装置2の外観の具体例を示す図である。例えば、VR装置2は、正極31、負極32、VR機能部40、頭部固定部51、電極固定部52−1及び52−2を備える。正極31及び負極32は、第1実施形態の頭部刺激装置1の正極11及び負極12と同様である。VR機能部40は、VR装置2を装着した人に視聴させるVR映像を表示する機能を有する。
具体的には、VR機能部40は、紙面奥側の面にVR映像を表示させる表示部41を有し、頭部固定部51に連結される。例えば、頭部固定部51は、図7に示すような冠状の構造物であり、ユーザは、頭部固定部51を頭部に装着することによって表示部41に表示されるVR映像を視聴することができる。
また、頭部固定部51には、電極固定部52−1及び52−2が連結される。電極固定部52−1は、正極31がVR装置2を装着したユーザの頭部の正極部に配置されるように正極31を支持する。同様に、電極固定部52−2は、負極32がユーザの頭頂部に配置されるように負極32を支持する。
図8は、第2実施形態のVT装置2におけるVR機能部40の機能構成の具体例を示すブロック図である。VR機能部40は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。VR機能部40は、プログラムの実行によって、表示部41、VR映像出力部42、撮像部43、視点情報取得部44、電源部45及び印加制御部46を備える装置として機能する。なお、VR機能部40の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
表示部41は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。表示部41は、VR映像出力部42から出力される映像信号に基づいてVR映像を表示する。
VR映像出力部42は、表示部41に対してVR映像を表示させるための映像信号を出力する。映像信号は、VR映像出力部42が図示しない記憶部に記憶されたVR映像のデータファイルを再生することによって生成されてもよいし、図示しない通信線を介して他の装置から入力されてもよい。また、VR映像出力部42は、映像信号の出力の開始又は停止を示す信号(以下「撮像制御信号」という。)を撮像部43に出力する。
撮像部43は、カメラ等の撮像装置を用いて構成される。撮像部43は、VR装置2を装着したユーザの眼球を撮像可能な位置に設置される。撮像部43は、VR映像出力部42から出力される撮像制御信号に基づいて撮像動作を開始又は停止する。具体的には、撮像部43は、映像信号の出力開始を示す撮像制御信号が出力された場合に撮像動作を開始し、映像信号の出力停止を示す撮像制御信号が出力された場合に撮像動作を停止する。撮像部43は、撮像動作によって取得した映像又は画像を示す情報(以下「撮像情報」という。)を視点情報取得部44に出力する。
視点情報取得部44は、撮像部43から出力される撮像情報に基づいてユーザの視点に関する情報(以下「視点情報」という。)を取得する。なお、人の眼球が撮像された画像からその人の視点を識別する方法にはどのような方法が用いられてもよい。視点情報取得部44は、取得した視点情報を印加制御部46に出力する。
電源部45は、電池等の直流電源を有し、自装置の各機能部の動作に必要な電力を供給する。また、電源部45は、正極31及び負極32に接続され、印加制御部46の制御に基づいて正極31及び負極32に直流電圧を印加する。
印加制御部46は、視点情報取得部44から出力される視点情報に基づいて電源部45の動作を制御する。具体的には、印加制御部46は、ユーザの視点の動き量が所定の閾値を越えた場合に正極31及び負極32に対する直流電圧の印加の開始を指示し、動き量が所定の閾値以下となった場合に直流電圧の印加の停止を指示する。
このように構成された第2実施形態の頭部刺激装置(VR装置2)によれば、ユーザの視点の動きに応じて直流電流を印加することで、VR映像を視聴中のユーザに対して必要最低限の頭部刺激を、タイミング良く与えることができる。
(変形例)
印加制御部46は、表示部41に表示されているVR映像に応じて直流電流の印加タイミングを制御してもよい。例えば、印加制御部46は、VR酔いを引き起こす可能性があるシーンが表示されているタイミングに応じて直流電流を印加するように電源部45を制御してもよい。VR映像の各シーンがVR酔いを引き起こす可能性を示す情報(以下「シーン情報」という。)は、どのような方法で取得されてもよい。例えば、シーン情報は、各シーンがユーザの視点をどの程度動かすかを示す情報として取得されてもよい。また、シーン情報は、VR映像に含まれる被写体の動きの激しさを示す情報として取得されてもよい。例えば、このようなシーン情報は、VR映像のフレーム間差分を分析することによって取得することができる。なお、シーン情報は、印加制御部46がVR映像の表示に同期して生成してもよいし、VR映像の表示に同期して取得可能な情報として予め生成されていてもよい。
また、印加制御部46は、表示されているVR映像と、ユーザの視点情報とに基づいて直流電流の印加タイミングを制御してもよい。例えば、シーン情報が、フレーム内の小領域ごとに生成される場合、印加制御部46は、ユーザがVR酔いを引き起こす可能性のある領域を注視しているタイミングで直流電流の印加するように電源部45を制御してもよい。
上述した実施形態における頭部刺激装置1又はVR装置2をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…頭部刺激装置、 10…頭部装着部、 11…正極、 12…負極、 13…固定部、 20…操作部、 21…第1端子、 22…第2端子、 23…入力部、 24…電源部、 25…印加制御部、 2…VR装置、 31…正極、 32…負極、 40…VR機能部、 41…表示部、 42…映像出力部、 43…撮像部、 44…視点情報取得部、 45…電源部、 46…印加制御部、 51…頭部固定部、 52−1,52−2…電極固定部、 B1…印加開始ボタン、 B2…印加停止ボタン、L1,L2…導線
本発明の一態様は、大脳皮質に電気刺激を与えるために、人の略頭頂部に負極を配置するとともに、前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に正極を配置し、前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する、頭部刺激方法である。
本発明の一態様は、大脳皮質に電気刺激を与える手段として人の略頭頂部に配置される負極と、前記手段として前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に配置される正極と、前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する電源と、を備える頭部刺激装置である。

Claims (6)

  1. 人の略頭頂部に負極を配置し、
    前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に正極を配置し、
    前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する、
    頭部刺激方法。
  2. 前記人の視点に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する、
    請求項1に記載の頭部刺激方法。
  3. 前記人が視聴している映像に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する、
    請求項1に記載の頭部刺激方法。
  4. 人の略頭頂部に配置される負極と、
    前記人の右側頭部から後頭部までの範囲において、前記人の右耳より後方かつ上方の位置に配置される正極と、
    前記負極及び正極を介して前記人の頭部に直流電流を印加する電源と、
    を備える頭部刺激装置。
  5. 前記人の視点を示す視点情報を取得する視点情報取得部と、
    前記視点情報に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する制御部と、
    をさらに備える、
    請求項4に記載の頭部刺激装置。
  6. 前記人に視聴させる映像を表示する表示部と、
    前記表示部に表示される映像に基づいて、前記人の頭部に前記直流電流を印加するタイミングを制御する制御部と、
    をさらに備える、
    請求項4に記載の頭部刺激装置。
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