JP2019014632A - 酸化チタン被覆メソポーラスシリカ - Google Patents

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祥生 浅野
宏平 岩永
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宏平 岩永
史晃 吉冨
Fumiaki Yoshitomi
史晃 吉冨
由紀夫 大貫
Yukio Onuki
由紀夫 大貫
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Junko Nomura
淳子 野村
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Abstract

【課題】 一般的な酸化チタンの結晶化温度以上の温度下でメソポーラス構造を維持する酸化チタン表面を持つ物質を提供する。また、高い可視光透過率と紫外線遮蔽率を有し、かつ光触媒能を抑制した紫外線散乱剤を提供し、さらに、そのような紫外線散乱剤を含んでなる膜を提供する。【解決手段】 特定のチタン原子とケイ素原子のモル比であり、かつバンドギャップエネルギーが特定の値以上である酸化チタン被覆メソポーラスシリカ、及び得られた酸化チタン被覆メソポーラスシリカを含んでなる紫外線散乱剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、酸化チタン被覆メソポーラスシリカに関するものである。
酸化チタンは触媒や触媒担体などの材料として有用であり、触媒能の向上などへの期待から、比表面積の大きいメソポーラス構造を有する酸化チタンを作製する試みがこれまでになされている(例えば、特許文献1、非特許文献1及び2参照)。しかし多くの場合、高温条件下では、酸化チタンの結晶化に伴いメソポーラス構造が崩れてしまうことが知られている。触媒や触媒担体などとして利用する際には高い熱安定性を有することが望ましい。高い熱安定性を有する物質としては、結晶構造を持つメソポーラス酸化チタン(例えば、特許文献2参照)、チタン原子含有メソポーラスシリカ(例えば、特許文献3、4及び5参照)などの他、酸化チタンで被覆されたメソポーラスシリカが知られている。これは、800℃程度の高温までメソポーラス構造を維持するメソポーラスシリカを基材とし、その表面に酸化チタンの被膜を形成させることにより作製した、メソポーラス構造を有する酸化チタンの代替材料である。例えば、非特許文献3、4及び5には、四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシドなどのチタン含有化合物をメソポーラスシリカであるMCM−41又はSBA−15と反応させることにより作製した酸化チタン被覆メソポーラスシリカについて記載されている。しかし、いずれもメソポーラスシリカ粒子外部又はメソ孔内部での酸化チタン粒子の析出などにより、メソ孔を閉塞なく内表面を酸化チタンで被覆することは実現できていない。いずれの方法も、本発明チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10以上であり、かつバンドギャップエネルギーが3.5eV以上であることを特徴とする酸化チタン被覆メソポーラスシリカとは異なる。
塗料や化粧料などの塗膜には、太陽から地表へ届く紫外線によって下地や皮膚を保護するため、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。紫外線吸収剤は、光エネルギーを吸収することによって紫外線を遮蔽するものであるが、光エネルギーによって紫外線吸収剤自体が分解されるため耐久性が低く、また化粧料に配合するにあたっては、紫外線吸収剤そのもの及び上記の分解生成物の皮膚への悪影響が懸念されている。
一方、紫外線散乱剤は、紫外線を散乱させることによって紫外線を遮蔽するものであり、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料が用いられている。これらは紫外線吸収剤に比べ不活性であるため耐久性・安全性に優れる。
反面、これらの無機顔料、特に二酸化チタンや酸化亜鉛は被覆力(隠蔽力)も大きく、多量に配合すると塗膜が白濁するという問題がある。これに対して微粒子状の二酸化チタンや酸化亜鉛等を用いることが提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。一般に粒径が小さいほど紫外線の遮蔽効果は高く、かつ可視光透過性が高まり、透明性が高まることが知られている。
しかし、これらの無機顔料の微粒子は一般に凝集性が高く、配合系への安定的な分散は困難である。また、これらの微粒子顔料は光の屈折率が高く、多量に用いると隠蔽性が高くなり、白濁を生じるという問題がある。さらに、粒子の凝集によって、塗料等の延展性を妨げ、また塗布する際にきしみ感を生じる等、使用性が悪化する。さらに結晶性酸化チタンを紫外線散乱剤として用いる場合には、酸化チタンの光触媒能により、塗料やその他の化粧料に配合されている材料が劣化するという問題がある。この光触媒能は結晶性酸化チタンの表面積に比例して強くなるため、微粒子化された酸化チタンは極めて強い触媒能を有する。これに対して酸化チタンを酸化ケイ素や酸化アルミニウムで被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献9参照)。
以上から、これらの紫外線散乱剤は配合量が自ずと制限されるため、期待されるほど紫外線遮蔽効果並びに透明性は得られていないのが現状である。
一方、そのような微粒子酸化チタンをメソポーラスシリカ等の多孔質体に担持させた材料が報告されている。特許文献10では、厚みが0.1〜3μmであり、単層でフレーク状の形状を有し、平均細孔径が10nm以上である、メソポーラス粒体が開示されており、これに撥水剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素、導電体、熱伝導体、蛍光体および触媒から選ばれる少なくとも1つとして機能する機能性材料を内包するメソポーラス粒体が開示されている。しかし、当該文献中に記載の通り、当該材料の紫外線遮蔽率及び可視光透過率は等量の酸化チタン微粒子と同等であり、特に可視光透過率は不十分である。さらに当該文献中に記載の通り、当該材料は光触媒機能を持つとされており、塗料や化粧料への配合には不適である。
また、特許文献11では、表面に細孔を有する光透過性粒子の表面を光触媒機能を有する二酸化チタンで均一に被覆されてなり、比表面積が600〜1500m/gである光触媒粒子が開示されている。しかし、当該文献中に記載の通り、当該材料は光触媒機能を持つため、塗料や化粧料への配合には不適である。また、紫外線遮蔽率や可視光透過率に関する記載は一切ない。
米国特許 第5098684号 特開2006−069877号公報 特開2006−151753号公報 特開2008−221076号公報 特許4590552号公報 特公昭47−042502号公報 特開昭49−000450号公報 特開昭64−007941号公報 特開2010−006629号公報 再表2012−096171号公報 特開2011−005389号公報
Nature、第359巻、710頁(1992年) Angewandte Chemie International Edition in English、第34巻、2014頁(1995年) Catalysis Letter、第131巻、381頁(2009年) Microporous and Mesoporous Materials、第165巻、6頁(2013年) Nanoscience and Nanotechnology、第3巻、第1号、19頁(2013年)
本発明が解決しようとする課題は、一般的な酸化チタンの結晶化温度以上の温度下でメソポーラス構造を維持する、酸化チタン表面を持つ物質を開発することである。
また、本発明の目的は、高い可視光透過率と紫外線遮蔽率を有し、かつ光触媒能を抑制した紫外線散乱剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のチタン原子とケイ素原子のモル比であり、かつバンドギャップエネルギーが特定の値以上である酸化チタン被覆メソポーラスシリカが、一般的な酸化チタンの結晶化温度以上の温度下でメソポーラス構造を維持することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10以上であり、かつバンドギャップエネルギーが3.5eV以上であることを特徴とする、酸化チタン被覆メソポーラスシリカに関する。
さらに本発明は、上述の酸化チタン被覆メソポーラスシリカを含んでなる紫外線散乱剤に関する。
さらに本発明は、上述の紫外線散乱剤を含有する膜に関する。
さらに本発明は、上述の紫外線散乱剤を含有する塗料に関する。
さらに本発明は、上述の紫外線散乱剤を含有する化粧料に関する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは、基材であるメソポーラスシリカの表面が酸化チタン被膜により被覆された物質である。基材となるメソポーラスシリカとしては、形状には限定はなく、粒子、膜、成形体など、いかなる形状のメソポーラスシリカでもよい。また、細孔径には限定はなく、メソ孔の定義である2〜50nmのいずれの細孔径を有するメソポーラスシリカであってもよい。また、メソポーラスシリカの種類には限定はなく、例えばFSM−16、SBA−15、MCM−41、MSU−F、MSU−H、HMSなど、いかなる種類のメソポーラスシリカであってもよい。また、メソ孔の均一性についても限定はなく、メソポーラスシリカの有するメソ孔の細孔径及び配列は、均一であっても不均一であってもよい。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカのチタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)は0.10以上である。チタン原子が過剰量存在することによる細孔の閉塞がない点で、チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)は0.10〜2.0が好ましく、0.10〜1.5がさらに好ましく、0.10〜1.0がさらに好ましく、0.10〜0.75がさらに好ましく、0.10〜0.50が特に好ましい。なお、チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)は、得られた酸化チタン被覆メソポーラスシリカを高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により求めたものである。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカのバンドギャップエネルギーは3.5eV以上であり、3.5〜4.5eVが好ましく、3.6〜4.3eVがさらに好ましく、特に好ましくは3.7〜4.2eVである。バンドギャップエネルギーの値は酸化チタン被膜の膜厚に依存し、膜厚が小さいほどバンドギャップエネルギーは大きい。本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは非特許文献3〜5に記載の酸化チタン被覆メソポーラスシリカより大きなバンドギャップエネルギーを有することより、膜厚が小さな酸化チタン被膜を有していることが分かる。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカの酸化チタン被膜は固体酸触媒としての性能が良好である点で、酸化チタン被膜が非晶質であることが好ましい。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカが安定に存在する温度の範囲には特に限定はなく、基材であるメソポーラスシリカがメソポーラス構造を維持できる点で1000℃以下が好ましく、800℃以下がさらに好ましく、特に好ましくは−100〜800℃である。
続いて、本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカの製造方法について説明する。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは、例えば、チタン酸化物クラスター化合物溶液をメソポーラスシリカに含浸させる工程と、含浸後の固体を分離する工程と、分離した固体を加熱する工程を含む方法により製造することができる。
チタン酸化物クラスター化合物とは、チタン原子を3個以上有し、かつ、該チタン原子が架橋酸素原子によって架橋されている化合物が好ましく、一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
Ti(OR) (1)
(式中、xは3以上100以下の整数、yは1以上の整数、zは2以上の整数である。ただし、x、y及びzは、4x=2y+zを満たすものとする。Rは同一又は相異なって、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。ただし、Rはヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよい。)
一般式(1)のxは3以上100以下の整数であり、好ましくは3以上18以下の整数であり、特に好ましくは11又は12である。y及びzは、4x=2y+zを満たす値が選択される。
Rは同一又は相異なって、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、1−ブチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、6−メチルヘキシル基、1,3,5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−ブチルヘプチル基、1,3,5−メチルヘプチル基、オクチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルオクチル基、4−メチルオクチル基、1,3,5−メチルオクチル基、ノニル基、1−メチルノニル基、1−エチルノニル基、4−メチルノニル基、1,3,5−メチルノニル基、デシル基、1−メチルデシル基、1−エチルデシル基、4−メチルデシル基、1,3,5−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルドデシル基、1−エチルドデシル基、4−メチルドデシル基、1,3,5−メチルドデシル基、アダマンチル基、トリデシル基、1−メチルトリデシル基、1−エチルトリデシル基、4−メチルトリデシル基、1,3,5−メチルトリデシル基、ブタデシル基、1−メチルブタデシル基、1−エチルブタデシル基、4−メチルブタデシル基、1,3,5−メチルブタデシル基、ヘキサデシル基、1−メチルヘキサデシル基、1−エチルヘキサデシル基、4−メチルヘキサデシル基、1,3,5−メチルヘキサデシル基、ペンタデシル基、1−メチルペンタデシル基、1−エチルペンタデシル基、4−メチルペンタデシル基、1,3,5−メチルペンタデシル基、ヘプタデシル基、1−メチルヘプタデシル基、1−エチルヘプタデシル基、4−メチルヘプタデシル基、1,3,5−メチルヘプタデシル基、ステアリル基、1−メチルステアリル基、1−エチルステアリル基、4−メチルステアリル基、1,3,5−メチルステアリル基、ウンステアリル基、1−メチルウンステアリル基、1−エチルウンステアリル基、4−メチルウンステアリル基、1,3,5−メチルウンステアリル基、ドステアリル基、1−メチルドステアリル基、1−エチルドステアリル基、4−メチルドステアリル基、1,3,5−メチルドステアリル基等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,6−メチルフェニル基、2,3,4,5,6−メチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,6−メチル,4−プロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、2−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2,6−メチル−4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4−メチルシクロヘキシル)フェニル基、2−オクチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(1,1−ジエチル−2−メチルプロピル)フェニル基、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル基、4−(1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル)フェニル基、2−デシルフェニル基、2−デシル,4−エチルフェニル基、4−デシルフェニル基、2−エチル−5−デシルフェニル基、4−(1,1−ジメチルオクチル)フェニル基、4−(1,1−ジメチルデシル)フェニル基、2−ドデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2−ヘキシル,4−ドデシルフェニル基、3,4,5−ドデシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−トリデシルフェニル基、4−トリデシルフェニル基、3,4,5−トリデシルフェニル基、2−ブタデシルフェニル基、4−ブタデシルフェニル基、3,4,5−ブタデシルフェニル基、2−ペンタデシルフェニル基、4−ペンタデシルフェニル基、3,4,5−ペンタデシルフェニル基、2−ヘキサデシルフェニル基、4−ヘキサデシルフェニル基、3,4,5−ヘキサデシルフェニル基、2−ヘプタデシルフェニル基、4−ヘプタデシルフェニル基、3,4,5−ヘプタデシルフェニル基、2−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、3,4,5−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、2−ステアリルフェニル基、4−ステアリルフェニル基、3,4,5−ステアリルフェニル基、2−ウンステアリルフェニル基、4−ウンステアリルフェニル基、3,4,5−ウンステアリルフェニル基、2−ドステアリルフェニル基、4−ドステアリルフェニル基、3,4,5−ドステアリルフェニル基等が挙げられる。
また、Rはヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよく、該ヘテロ原子を含む官能基としては、例えばメトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、ブタデシルオキシエチル基、ドデシルオキシエチル基、ペンタデシルオキシエチル基、ヘキサデシルオキシエチル基、ステアリルオキシエチル基、ウンステアリルオキシエチル基、ドステアリルオキシエチル基、1−ヘキシルオキシ−2−プロピル基、1−オクチルオキシ−2−プロピル基、1−デシルオキシ−2−プロピル基、1−ブタデシルオキシ−2−プロピル基、1−ドデシルオキシ−2−プロピル基、1−ペンタデシルオキシ−2−プロピル基、1−ヘキサデシルオキシ−2−プロピル基、1−ステアリル−2−プロピル基、1−ウンステアリル−2−プロピル基、1−ドステアリル−2−プロピル基、モノメチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノエチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノプロピルエーテルジエチレングリコキシ基、モノブチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノペンチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノオクチルジエチレングリコキシ基、モノデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノブタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノペンタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノウンステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドステアリルエーテルジエチレングリコキシ基等が挙げられる。
これらの中でもRとしては、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が好ましく、特に好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基であり、アリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,6−メチルフェニル基、2,3,4,5,6−メチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,6−メチル,4−プロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、2−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基又は2,6−メチル−4−ヘキシルフェニル基が好ましく、特に好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基又は4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基であり、ヘテロ原子を含む官能基としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、ブタデシルオキシエチル基、ドデシルオキシエチル基、ペンタデシルオキシエチル基、ヘキサデシルオキシエチル基、ステアリルオキシエチル基、ウンステアリルオキシエチル基又はドステアリルオキシエチル基が好ましく、特に好ましくはメトキシエチル基、エトキシエチル基又はブトキシエチル基である。
該製造方法において、使用できるチタン酸化物クラスター化合物の大きさには特に制限はなく、基材として用いるメソポーラスシリカの細孔径未満であることが好ましい。あえて限定するとすれば、基材として細孔径8〜12nmのSBA−15を用いる場合、チタン酸化物クラスターの大きさは0.5〜8nmが好ましく、1〜4nmが特に好ましい。好ましい大きさのチタン酸化物クラスター化合物は、一般式(1)において、xが11又は12である。xが11又は12のチタン酸化物クラスター化合物の大きさは約2nmである。また、xが11又は12のチタン酸化物クラスター化合物としては、Rがイソプロピル基のものが、合成も容易であるので、工業的に使用するには最も好ましい。
一般式(1)で表されるチタン酸化物クラスター化合物としては、例えば、TiO(OPr)10、TiO(OMe)(OPr)、TiO(OH)(OPr)、Ti(OPr)、TiO(OPr)(dmheot)、Ti(OEt)(OCOCH、Ti(OPr)(OCOCH、Ti(OBu)(OCOCH、Ti(OPr)12(OCOCH、Ti(OEt)20、Ti(OCH20、Ti(OPr)(OMc)、Ti10(OEt)24、Ti1113(OPr)18、Ti1113(OPr)13(OEt)、Ti1216(OPr)16、Ti1216(OEt)(OPr)10、Ti1216(OEt)(OBu)12BuOH)、Ti1216(OCH Bu)16、Ti1419(OH)(OBu)13(OCOCH、Ti1514(OEt)32、Ti1616(OEt)32、Ti1616(OEt)28(OPr)、Ti1616(OEt)24(OPr)、Ti1724(OPr)20、Ti1828(H)(OBu)17、Ti1828(OBu)16BuOH)、Ti1825(OBu)12(OCOCH10、Ti1822(OBu)26(acac)、Ti2840(OBu)20(OCOCH12、Ti2834(OEt)44、Ti3450(OPr)36、Ti4260(OH)12(OPr)42(H)、Ti4260(OH)12(OPr)36PrOH)等の化合物が挙げられ、その中でも入手が容易である点で、Ti(OEt)(OCOCH、Ti(OPr)(OCOCH、Ti(OBu)(OCOCH、Ti(OPr)12(OCOCH、Ti(OEt)20、Ti10(OEt)24、Ti1113(OPr)18、Ti1113(OPr)13(OEt)、Ti1216(OPr)16、Ti1216(OCH Bu)16、Ti1419(OH)(OBu)13(OCOCH、Ti1616(OEt)32、Ti1724(OPr)20、Ti1828(H)(OBu)17、Ti1828(OBu)16BuOH)、Ti1825(OBu)12(OCOCH10が好ましく、特に好ましくはTi1113(OPr)18、Ti1113(OPr)13(OEt)、Ti1216(OPr)16、Ti1216(OCH Bu)16である。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Prはイソプロピル基、Buはtert−ブチル基、(dmheto)は2,6−ジメチルヘプタ−3−エン−2,4,6−トリス(オラト)配位子、(OMc)はメタクリラト配位子、(aaa)はオクト−7−エン−2,4−ジオナト配位子(CHCOCHCOCHCHCHCH)、(acac)はアセチルアセトナト配位子の略である。
該製造方法に用いるチタン酸化物クラスター化合物は、例えば、特開2015−093821号公報、国際特許公開2013/035672A1号、Russian Chemical Reviews、第73巻、第11号、1041頁(2004年)、Chemical Society Reviews、第40巻、1006頁(2011年)、Chemical Reviews、第114巻、第19号、9645頁(2014年)、New Journal of Chemistry、第23巻、1079頁(1999年)、又はD.C.Bradleyら著、「Alkoxo and Aryloxo Derivatives of Metals」、第1版、ACADEMIC PRESS、4−51ページ(2001年)などの公知文献に開示されている方法に従い製造することができる。
該製造方法においてチタン酸化物クラスターの溶解に用いる有機溶媒としては、反応を阻害することがなく、また原料及び生成物と反応しない有機溶媒であればよく、具体的にはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−プロパンジオールジメチルエーテル、1,2−ブタンジオールジメチルエーテル、1,3−ブタンジオールジメチルエーテル、1,4−ブタンジオールジメチルエーテル、2,3−ブタンジオールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロアルカン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシドなどを例示することができ、これらのうち一種類を単独で用いても良く、二種類以上の有機溶媒を任意の比率で混合して用いても良い。原料又は生成物の溶解性が良い点で、芳香族炭化水素が好ましく、トルエンが特に好ましい。
チタン酸化物クラスターを有機溶媒に溶解させて溶液とする際のチタン酸化物クラスターの濃度には特に限定はなく、0.01〜15重量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
用いられるメソポーラスシリカの形状には限定はなく、粒子、膜、成形体など、いかなる形状のメソポーラスシリカについても、該製造方法を適用することができる。
用いられるメソポーラスシリカの細孔径には限定はなく、メソ孔の定義である2〜50nmのいずれの細孔径を有するメソポーラスシリカについても、該製造方法を適用することができる。
用いられるメソポーラスシリカの種類にも限定はなく、FSM−16、SBA−15、MCM−41、MSU−F、MSU−H、HMSなどのメソポーラスシリカの種類によらず、該製造方法を適用することができる。
メソポーラスシリカを含浸させる際の濃度には限定はなく、メソ孔の閉塞を抑制しやすい点で30重量%以下が好ましく、10重量%以下が特に好ましく、5重量%以下が殊更好ましい。
チタン酸化物クラスターとメソポーラスシリカの表面との反応が、より生じやすいことから、チタン酸化物クラスター化合物を有機溶媒に溶解させてなる溶液にメソポーラスシリカを含浸させた懸濁液を還流することが好ましく、還流する温度は、用いる有機溶媒の沸点の温度であり、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは80〜150℃であり、特に好ましくは100〜120℃である。
含浸させた後、含浸後の固体を分離する工程を行う。固体を分離する方法としては、沈降分離、ろ過、溶媒留去などの一般的な方法を用いることができる。
なお、メソポーラスシリカに担持されなかったチタン酸化物クラスター化合物を除去できる点で、固体を分離する工程の前後に洗浄を行うことが好ましい。洗浄する際の洗浄方法としては、ろ過した後に残渣を洗浄液で洗浄する方法、目的物を沈殿させた後に上澄み液を除去し洗浄液を加えてデカンテーションする方法など、一般的な洗浄方法を用いることができる。洗浄回数は1回でもよく、複数回行ってもよい。洗浄液としては、有機溶媒を用いることが好ましい。用いることができる有機溶媒としては、原料及び生成物と反応しない有機溶媒であればよく、具体的にはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−プロパンジオールジメチルエーテル、1,2−ブタンジオールジメチルエーテル、1,3−ブタンジオールジメチルエーテル、1,4−ブタンジオールジメチルエーテル、2,3−ブタンジオールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロアルカン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシドなどを例示することができ、これらのうち一種類を単独で用いても良く、二種類以上の有機溶媒を任意の比率で混合して用いても良い。洗浄効率がよく、また後工程の加熱前の乾燥が容易である点で、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素が好ましく、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが特に好ましい。
分離した固体を加熱する工程における加熱温度は300〜1000℃が好ましく、さらに好ましくは400〜800℃であり、特に好ましくは400〜600℃であり、加熱する際の時間は10分〜24時間が好ましく、特に好ましくは3〜10時間である。加熱処理は、大気中、窒素雰囲気中いずれでも可能である。
また、本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは、一般的な酸化チタンの結晶化温度(300〜400℃)以上の温度下でもメソポーラス構造を維持するため、表面積の大きな酸化チタンとして、紫外線散乱剤、触媒、触媒担体などとして有用であり、その中でも特に紫外線散乱剤として有用である。
本発明で得られる酸化チタン被覆メソポーラスシリカでは、光触媒能が抑制され、その他の物質と混合した際の安定性が良好である点で、酸化チタンが非晶質であることが好ましい。
本発明で得られる酸化チタン被覆メソポーラスシリカにおける酸化チタンの含有量には特に制限はないが、含有量が多いほど高い紫外線遮蔽能を得ることができる点で10〜90重量%が好ましく、酸化チタンの過剰導入による可視光散乱の増加を回避できる点で10〜60重量%がさらに好ましい。
本発明で得られる酸化チタン被覆メソポーラスシリカにおいて、特に有用である紫外線散乱剤は、単独で用いても、その他の物質と混合して用いてもよい。混合して用いる場合は、任意の固体成分と混合してもよいし、任意の液体または溶液を媒質として、液中に分散させてもよい。媒質の例としては、水、有機溶媒、ポリジメチルシロキサンやデカメチルシクロペンタシロキサンのようなポリシロキサン及びそれらの混合物等を挙げることができる。この際、界面活性剤や分散剤を適宜使用することによって、上記の紫外線散乱剤の均一分散を促進することができる。
このようにして得られた酸化チタン被覆メソポーラスシリカを含む紫外線散乱剤は、直接手を用いて、又はスピンコート、バーコート、グラビア印刷、オフセット印刷等の手法を用いて適宜塗布し、膜として使用することができる。さらに、このようにして得られた酸化チタン被覆メソポーラスシリカを含む紫外線散乱剤は、例えば塗料や化粧料などとして使用することができる。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは、チタン原子の含有率が高く、また一般的な酸化チタンの結晶化温度以上の温度下でもメソポーラス構造を維持するため、比表面積の大きな酸化チタンとして触媒や触媒担体等に好適に使用可能である。また、本発明の製造方法により、既存の酸化チタン被覆メソポーラスシリカと比較して膜厚の小さな酸化チタン被膜有する酸化チタン被覆メソポーラスシリカを作製することができる。
また、本発明で得られる酸化チタン被覆メソポーラスシリカにおいて好ましく用いられる紫外線散乱剤は、高い可視光透過率と紫外線遮蔽率を有し、かつ光触媒能が抑制されている。
参考例1、比較例1及び実施例1〜4で得られた白色固体の窒素吸脱着等温線の測定結果である。図中、横軸は相対圧p/pを表し、縦軸は吸着量Vを表す。本測定は、自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製:BELSORP−mini)を用いて行った。 参考例1、比較例1及び実施例1〜4で得られた白色固体の粉末X線回折測定の結果である。X線回折の回折角2θが0°〜5°の範囲の結果である。図中、横軸は回折角2θを表し、縦軸は強度を表す。本測定は、X線回折装置((株)リガク製:Ultima III diffractometer)を用いて行った。 比較例1及び実施例1〜4で得られた白色固体の紫外可視拡散反射スペクトル測定の結果である。図中、横軸は波長を表し、縦軸は拡散反射率をクベルカ−ムンク式により変換した値を表す。本測定は、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製:V−650)を用いて行った。 実施例6で得られた白色固体の粉末X線回折測定の結果である。 実施例6で得られた白色固体の紫外可視拡散反射スペクトル測定の結果である。 実施例6で得られた拡散透過スペクトルである。 実施例6で得られた光触媒能試験結果である。 実施例7で得られた全透過スペクトルである。 比較例2で得られた拡散透過スペクトルである。 比較例2で得られた光触媒能試験結果である。 比較例3で得られた全透過スペクトルである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ICP発光分析はICP発光分析装置((株)島津製作所製:ICPE−9000)を用いて測定を行った。
参考例1
P123(SIGMA−ALDRICH社製、H(OCHCH20(OCH(CH)CH70(OCHCH20OH)20gを水732gに溶解させた溶液に、12mol/L塩酸68.08g及びテトラエトキシシラン41.6gを順に加え、40℃で20時間攪拌し、次いで100℃で20時間攪拌した。該液体をろ過し、得られた固体をエタノールで洗浄した後、100℃で加熱乾燥することで、メソポーラスシリカであるSBA−15を白色固体として得た。
参考例1について、窒素吸脱着等温線を図1に、粉末X線回折の測定結果を図2に示す。図1に示した窒素吸脱着等温線の測定結果の解析により得られた比表面積(BET法)の値を表1に示す。
参考例2
アルゴン雰囲気下で、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OPr))4.22g(14.8mmol)、トルエン20ml及び磁気撹拌子を50mlシュレンク管に入れ、チタンテトライソプロポキシドのトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液に、ジアセトンアルコール1.72g(14.8mmol)を室温で撹拌中に添加した。24時間後、反応溶液をろ過し、不溶解物の白色沈殿を分取した。該白色沈殿にアセトニトリル6mlを加え、不溶解物の白色沈殿を分取した。該不溶解物を減圧乾燥することにより、Ti1113(OPr)18を主成分とする白色固体0.76gを得た。
実施例1〜4
参考例1で得られたSBA−15 0.5gを減圧下、200℃で1時間加熱した後、窒素雰囲気下で、参考例2で得られたTi1113(OPr)18を主成分とする白色固体のトルエン溶液50mLに加えた。Ti1113(OPr)18の使用量は表1のTi/Si(モル比、仕込み)に準じた量である。該分散液を窒素雰囲気下で3時間還流した後、ろ過して得られた固体をヘキサンで洗浄した。該固体を100℃で乾燥した後、大気下、500℃で5時間加熱処理することで、白色固体を得た。
実施例1〜4について、窒素吸脱着等温線を図1に、粉末X線回折の測定結果を図2に、紫外可視拡散反射スペクトルの測定結果を図3に示す。得られた白色固体のICP発光分析によるTi/Si比(モル比)、図1に示した窒素吸脱着等温線の測定結果の解析により得られた比表面積(BET法)、及び紫外可視拡散反射スペクトルの解析により得られたバンドギャップの値を表1に示す。なお、表1中、Ti/Si(モル比、仕込み)は、加えたTi1113(OPr)18中に含まれるチタン原子と用いたSBA−15中に含まれるケイ素原子のモル比を示す。
比較例1
Ti1113(OPr)18の代わりにチタンテトライソプロポキシド(Ti(OPr))を用いた以外は実施例1〜4と同様の操作を行い、白色固体を得た。
比較例1について、窒素吸脱着等温線を図1に、粉末X線回折の測定結果を図2に、紫外可視拡散反射スペクトルの測定結果を図3に示す。得られた白色固体のICP発光分析によるTi/Si比(モル比)、図1に示した窒素吸脱着等温線の測定結果の解析により得られた比表面積(BET法)、及び紫外可視拡散反射スペクトルの解析により得られたバンドギャップの値を表1に示す。なお、表1中、Ti/Si(モル比、仕込み)は、加えたTi(OPr)中に含まれるチタン原子と用いたSBA−15中に含まれるケイ素原子のモル比を示す。
Figure 2019014632
表1に記載の通り、実施例1〜4の生成物は、チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10以上であり、かつバンドギャップエネルギーが3.5eV以上である。一方、比較例1は、Ti/Si(モル比、仕込み)の値が実施例1と同一にも関わらず、生成物のTi/Si(モル比、ICP)が0.08であり、比較例1の生成物は本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカとは異なる。本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは比較例よりTi/Si(モル比、仕込み)の値が高く、触媒活性を示し得る酸化チタンをより多く含む点で好適である。
図1に示す窒素吸脱着等温線において吸着、脱着のヒステリシスが観察されることから、実施例1〜4で得られた白色固体はいずれも細孔を有する構造であることがわかる。また、吸着線と脱着線とがほぼ平行であることから、メソ孔内部に閉塞部や狭小部がないことがわかる。
また、図2に示すX線回折の結果において、参考例1で得られたSBA−15のメソ孔の二次元ヘキサゴナル対称性に由来する回折ピークのパターン((100)面(2θ=0.93°)、(110)面(2θ=1.50°)、(200)面(2θ=1.72°))と、実施例1〜4のそれぞれから得られた白色固体の回折ピークのパターン((100)面(2θ=0.85〜0.91°)、(110)面(2θ=1.45〜1.49°)、(200)面(2θ=1.68〜1.69°))が同様であることから、該白色固体はいずれもSBA−15と同様の二次元ヘキサゴナル対称性を有するメソポーラス構造を有していることがわかった。
実施例6
紫外線散乱剤の合成
参考例2で得られたTi1113(OiPr)18(5.59g,3.11mmol)をトルエン溶液(500mL)に溶解した溶液に参考例1で得られたSBA−15(Aldrich製,5.14g)を加えた混合物を、攪拌しながら3時間加熱還流した。得られた混合物をろ過して液体成分を除去し、残った固体をヘキサン(200mL)で洗浄した。固体を乾燥後、電気炉に入れ500℃で5時間加熱することにより白色固体(5.21g)を得た。得られた固体を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で分析したところ、11重量%のTi元素、及び36重量%のSi元素を含有していた。これより、Ti/Si(モル比、ICP)は0.18である。また、得られた白色固体をX線回折法により分析したところ、酸化チタン結晶に由来するピークは観測されず、含有される酸化チタンは非晶質であることが明らかであった。また、得られた白色固体の紫外可視拡散反射スペクトルの解析により得られたバンドギャップの値は3.8eVであった。
(拡散透過スペクトル測定)
得られた白色固体を流動パラフィン(和光純薬製)と混合し、白色固体が20重量%含まれるスラリーを調製した。このスラリーを段差が20μmに加工された凹面をもつ石英板(日本分光製)にバーコーターで塗布し、積分球を備えた紫外可視分光光度計(日本分光製V−650)で拡散透過スペクトルを測定した。測定結果を図6に示す。図6より、本実施例で得られた白色固体は、比較例2に比べて高い紫外線遮蔽率及び可視光透過率を有することが明らかである。よって、得られた白色固体は紫外線散乱剤として有用である。
(光触媒能測定)
得られた白色固体0.1gを幅50mm×長さ100mm×厚み1mmのすりガラス上に均一に塗布したものを試験片とし、JIS R 1701−3:2008に基づいた光触媒試験を実施した。測定結果を図7に示す。トルエンの除去量は0.1μmol/h未満、除去率は5%未満であった。本実施例で得られた白色固体は、比較例2に比べて光触媒能が抑制されていることが明らかである。よって、得られた白色固体は紫外線散乱剤として有用である。
実施例7
実施例6で得られた紫外線散乱剤を含有する膜の作成
実施例6で得られた白色固体0.040gをシリコーン溶液(スリーボンド社製スリーボンド2901)0.202gに混合し、バーコーター(宝泉(株)製MINI−COATER:MC20)を用いて石英基板上に塗布し乾燥させることで、白色塗膜を作成した。該白色塗膜上に、さらに前述のシリコーン溶液をバーコーターにより塗布し乾燥させることで、透明塗膜を作成した。マイクロメーター((株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーター:MDC−25MX)で測定したところ、膜厚は28μmであった。該透明塗膜の全透過スペクトルを紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−1800)により測定した。測定結果を図8に示す。測定結果より、本実施例で得られた紫外線散乱剤含有膜は比較例3に比べて良好な紫外線遮蔽率及び可視光透過率を有することが明らかである。よって、得られた白色固体は紫外線散乱剤として有用である。
比較例2
酸化チタン被覆メソポーラスシリカでないルチル型酸化チタン粉末の測定
(拡散透過スペクトル測定)
ルチル型結晶構造を有する酸化チタン粉末(<5μm,Aldrich製)を流動パラフィン(和光純薬製)と混合し、ルチル型結晶構造を有する酸化チタン粉末が20重量%含まれるスラリーを調製した。このスラリーを段差が20μmに加工された凹面をもつ石英板にバーコーターで塗布し、積分球を備えた紫外可視分光光度計(日本分光製V−650)で拡散透過スペクトルを測定した。測定結果を図9に示す。
(光触媒能測定)
ルチル型結晶構造を有する酸化チタン粉末(<5μm,Aldrich製)0.1gを幅50mm×長さ100mm×厚み1mmのすりガラス上に均一に塗布したものを試験片とし、JIS R 1701−3:2008に基づいた光触媒試験を実施した。測定結果を図10に示す。トルエンの除去量は0.2μmol/h、除去率は12.6%であった。
比較例3
シリコーン膜の作成
シリコーン溶液(スリーボンド社製スリーボンド2901)をバーコーター(宝泉(株)製MINI−COATER:MC20)を用いて石英基板上に塗布し乾燥させることで、透明塗膜を作成した。マイクロメーター((株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーター:MDC−25MX)で測定したところ、膜厚は28μmであった。該透明塗膜の全透過スペクトルを紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−1800)により測定した。測定結果を図11に示す。
本発明の酸化チタン被覆メソポーラスシリカは、一般的な酸化チタンの結晶化温度以上の温度下でもメソポーラス構造を維持しているため、比表面積の大きな酸化チタンとして、触媒や触媒担体などとして有用である。

Claims (8)

  1. チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10以上であり、かつバンドギャップエネルギーが3.5eV以上であることを特徴とする、酸化チタン被覆メソポーラスシリカ。
  2. 酸化チタン被膜が非晶質である、請求項1に記載の酸化チタン被覆メソポーラスシリカ。
  3. チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10〜2.0である、請求項1又は2に記載の酸化チタン被覆メソポーラスシリカ。
  4. チタン原子とケイ素原子のモル比(Ti/Si)が0.10〜1.5である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン被覆メソポーラスシリカ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン被覆メソポーラスシリカを含んでなることを特徴とする紫外線散乱剤。
  6. 請求項5に記載の紫外線散乱剤を含んでなることを特徴とする膜。
  7. 請求項5に記載の紫外線散乱剤を含んでなることを特徴とする塗料。
  8. 請求項5に記載の紫外線散乱剤を含んでなることを特徴とする化粧料。
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