JP2019009631A - 倍率色収差制御装置及びそれを有するレンズ装置及びカメラ装置及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レンズ装置からカメラ装置に送出する電子的な倍率色収差補正テーブルに、撮影状況や対応色域に応じた補正係数を掛け合わせることで、補正誤差の少ない倍率色収差補正テーブルへ修正することが可能なレンズ装置及び撮像装置を提供すること。【解決手段】 倍率色収差制御装置は、基準光源におけるレンズ装置の倍率色収差を補正するための補正データを保持する記憶部と、前記レンズ装置が接続されたカメラ装置で取得された画像情報に基づき、前記基準光源の色温度と前記カメラ装置で撮像した色温度との差違に起因する撮像分光特性の変化量を取得し、該変化量に基づき前記補正データを修正する制御部と、を有することを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、倍率色収差制御装置及びそれを有するレンズ装置、カメラ装置、撮像装置に関し、特に放送用テレビカメラ、映画用カメラ、ビデオ用カメラ、デジタルスチルカメラ、銀塩写真用カメラ等に好適なものである。
近年は撮像センサーの高精細化やHDR、BT.709からBT.2020への色域拡張などの技術の普及に伴って、僅かな倍率色収差でも画面上で認識されやすい環境となってきた。そのため、倍率色収差を更に低減したレンズ装置への要求が高まってきているが、ズーム比や広角化などの高仕様化の要求と両立が難しい局面に来ている。限られたリソースの中で撮影画面中の色滲みを低減するためには、レンズ装置自身の収差を低減させることと同時にカメラと協力して行う電子的な補正による色滲みの低減が有効である。更にレンズの製造誤差や多様化する撮影効果なども色滲みが目立つ要因となり得るため、従来よりも高精度な色滲み補正技術が必要である。
色滲みの補正を高精度に行うためには、レンズ装置とカメラ装置の分光特性の整合性や、太陽光や照明光による色温度の違い、被写体からの発光、撮影者の好み等に合わせて補正量を変更することが必要である。例えば、日中から夕方への撮影環境の変化に応じてカメラでホワイトバランスを取り直しても、適切な色補正フィルタ(以下CCフィルタ)が選択されなかったり、画面に映り込む光源などの発光特性が異なると、色滲みの補正不足や補正過剰が目立つことがある。またレンズの製造誤差などの要因により、設計値から不整合が生じた場合も色滲みの原因となる。更にはカメラやディスプレイとの組み合わせや出力設定の違いによっても、出力画像上の色滲み量は変化して見える。これらを考慮すると、電子的な倍率色収差補正においては、様々な撮影条件に応じて倍率色収差補正テーブルを修正できることが有効である。
従来からレンズ装置とカメラによって生成される撮像画像に対して、電子補正を施して画質を改善する手法が提案されている。特にレンズの倍率色収差による色滲みを電子的に補正する技術は種々提案されている。
特許文献1にはレンズ固有のレンズデータを読み出し、レジストレーション誤差を生じる色成分の画素出力の配置を変更する技術が公開されている。特許文献1のレンズ固有のレンズデータとは、設計値または予め決められた基準値により得られるものとテストチャートなどを撮像した際の測定誤差によって取得するものである。
また、特許文献2には、倍率色収差補正を行う際にレンズ装置からカメラ装置の撮影モードに応じた補正テーブルを選択して送出する技術が公開されている。特許文献2の撮影モードとは、屋外、屋内、夜景、サチュレーション発生環境などである。
しかしながら、上記2つの文献では予め決められたテーブルを選択することにより補正量の変更を行うため、それが実際の撮影状況において必ずしも最適なものになるとは限らないという課題がある。また、撮影者の好みの色調での撮影や、被写体からの反射光や発光に対して補正量を調整したいなどの様々なニーズに対応するためには、予め決まった補正テーブルでは限界がある。細かく対応しようとすると、補正テーブルを想定数だけ記憶させておく必要があり、高精度化や多様化の要望に伴って記録容量が増大してしまう。
上記目的を達成するために、本発明の倍率色収差制御装置は、基準光源におけるレンズ装置の倍率色収差を補正するための補正データを保持する記憶部と、前記レンズ装置が接続されたカメラ装置で取得された画像情報に基づき、前記基準光源の色温度と前記カメラ装置で撮像した色温度との差違に起因する撮像分光特性の変化量を取得し、該変化量に基づき前記補正データを修正する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明のレンズ装置は上記課題に鑑みてなされたものであり、レンズ装置からカメラ装置に送出する倍率色収差補正テーブルを、色温度に基づいて補正することにより、レンズ装置の撮影状況に応じ、最適な倍率色収差補正テーブルへ修正可能とする。これにより、倍率色収差補正テーブルのための記憶容量を増大させることなく、撮影状況に応じた最適な倍率色収差補正、撮影者の好みの色調での撮影、倍率色収差の補正量の調整を可能とする。
本発明の倍率色収差制御装置は、基準光源におけるレンズ装置の倍率色収差を補正するための補正データを保持する記憶部と、前記レンズ装置が接続されたカメラ装置で取得された画像情報に基づき、前記基準光源の色温度と前記カメラ装置で撮像した色温度との差違に起因する撮像分光特性の変化量を取得し、該変化量に基づき前記補正データを修正する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明の実施例を図1〜図12を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施例を図1〜図12を参照しながら詳細に説明する。
<撮像装置の構成>
図1に本発明の実施例1の倍率色収差制御装置が構成された撮像装置の構成図を示す。
撮像装置は、レンズ装置1とカメラ装置2とを含み、互いに着脱可能に構成されている。レンズ装置1は光軸上にフォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部(焦点距離変換ユニット)14などを備えている。フォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部14のそれぞれの位置や状態は、フォーカス検出部111、ズーム検出部121、絞り検出部131、エクステンダー検出部141により検出される。
図1に本発明の実施例1の倍率色収差制御装置が構成された撮像装置の構成図を示す。
撮像装置は、レンズ装置1とカメラ装置2とを含み、互いに着脱可能に構成されている。レンズ装置1は光軸上にフォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部(焦点距離変換ユニット)14などを備えている。フォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部14のそれぞれの位置や状態は、フォーカス検出部111、ズーム検出部121、絞り検出部131、エクステンダー検出部141により検出される。
これらの検出部111、121、131、141はCPU等から成るレンズ演算部(制御部)15に接続されている。また、補正データ記録部(記憶部)16とレンズ操作部17はレンズ演算部15と接続されている。レンズ操作部17はレンズ装置1に備えられていてもよいし、外部機器としてレンズ装置1に接続される構成でもよい。光学パラメータや補正データ、撮影者の指示などに関する情報は、カメラ装置2とのインターフェースを担うレンズ通信部18を通じてやりとりされる。なお、光学パラメータとは、フォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12の現在の位置や状態に関する情報や、絞り部13の絞り値、エクステンダー部14の挿抜などのうち、少なくとも1つを含むパラメータである。
カメラ装置2は、レンズ装置1によって形成された被写体の像を受光する撮像素子21や、レンズ装置1と撮像素子21の間に配置され、色調を変換するCCフィルタ22、光軸上に配置され光量を調整するNDフィルタ(減光フィルタ)23などを備えている。CCフィルタ22やNDフィルタ23は、光路に対して挿抜可能で交換できるタイプでも良いし、印加電圧等の外部要因によって特性が変化するタイプでも良い。CCフィルタ22やNDフィルタ23の選択や状態は、CCフィルタ検出部221やNDフィルタ検出部231によって検出される。
カメラ演算部24は、レンズ装置1やCCフィルタ22、NDフィルタ23などを通過して撮像素子21に到達した光束を撮像素子21の分光特性に従って信号へ変換する役割を担っている。更にRGB各波長域の光量を電子的な補正でGainを揃える所謂ホワイトバランス補正もカメラ演算部24によって実行される。カメラ演算部24は、撮影者がカメラの撮影状態を操作するカメラコントロールユニットなどを含むカメラ操作部25と接続されている。このカメラ操作部25は、カメラ装置やビルドアップシステムに備わっていても良い。カメラ操作部25では、CCフィルタ22やNDフィルタ23の選択などが可能である。更に、撮影者が電子的な倍率色収差補正に過不足があると判断した時に再調整を指示するための再調整ボタン(入力部)251や、その過不足が生じている画像の位置を特定するタッチパネル252などが備わっていても良い。
カメラ演算部24は、レンズ装置1とのインターフェースを担うカメラ情報送受部26に接続され、レンズ装置1からの倍率色収差補正データや光学パラメータなどの情報をやりとりする。以下の説明において、倍率色収差補正データとは、レンズ装置のズーム位置、フォーカス位置、絞りの状態などの各パラメータに対応する倍率色収差量補正テーブルを指すものとする。画像処理部27は上述のように集められた情報に基づき、カメラ演算部24が導出した最適な倍率色収差補正量を元にして倍率色収差を補正した画像を生成する。画像処理部27で適切に倍率色収差補正された画像は、信号出力部28を経て、モニター3や記録媒体4に出力される。
本実施例では、倍率色収差制御装置(制御部、記憶部)がレンズ装置内に構成されている場合を例示するが、本発明はこれに限定されることはなく、カメラ装置2の内部に構成されるようにしてもよい。
<倍率色収差補正データの補正>
本発明のレンズ装置は、色温度の設定や撮影者の好みに応じてカメラの撮像分光特性が変化することを考慮し、変化する考慮すべき倍率色収差の補正量を、撮影状況や撮影者の指示などの情報を元に、倍率色収差補正テーブルを修正してカメラ装置に送出する。
本発明のレンズ装置は、色温度の設定や撮影者の好みに応じてカメラの撮像分光特性が変化することを考慮し、変化する考慮すべき倍率色収差の補正量を、撮影状況や撮影者の指示などの情報を元に、倍率色収差補正テーブルを修正してカメラ装置に送出する。
本発明の倍率色収差量とは、レンズ装置の色収差によって、カラー画像を構成する青(Bch)、と赤(Rch)の色光が、基準となる緑(Gch)の色光に対してどのくらい離れた位置に像を形成しているかを撮像面上の距離で表したものである。その距離とは、各色光が形成するスポット重心間の離れ量としても良いし、線像分布関数をある強度の閾値で評価した場合の各色光の離れ量としても良い。
または、倍率色収差量を示す指標として、輝度信号Yや、色差信号Pb、Prで簡易的に表すことも可能である。輝度信号に対して、線像分布関数の像高方向へのズレや信号形状の崩れ(フレア成分)などを指標として、撮影画面上の色滲みを評価することができる。また、初期の補正データは、レンズ装置の設計値より算出された倍率色収差量を設定しても良いし、出荷前にテストチャートなどで実測した倍率色収差量などを設定しても良い。本発明ではレンズ装置からカメラ装置へ送出する補正データの1つの形態として、ズーム、フォーカス、絞りなどのパラメータ毎に有限のサンプリング数を決め、その間を補完するようなテーブル方式を例に説明する。各サンプリング点における倍率色収差補正量は、ある撮影ポジションZj、Fj、Ijにおける、Bch、Rchそれぞれの補正量をRb、Rrとするとき、
Rb(Zj、Fj、Ij)(x)=ax3+bx2+cx ・・・(a)
Rr(Zj、Fj、Ij)(x)=dx3+ex2+fx ・・・(b)
という像高xついての3次関数によって表現する。(a)式及び(b)式の係数a〜fを適切に設定することによって、Bch、Rchそれぞれの倍率色収差曲線を近似的に再現し、その量を補正量として定義している。上記以外にも、焦点距離を変数にとって多項式化した形式などを採用しても良い。上記サンプリング数はカメラ装置の倍率色収差補正データ処理部の演算処理能力や記録部の容量などの制約に基づき適切な範囲で授受するのが好ましい。本発明では、レンズ装置1とカメラ装置2の分光特性は所謂HDレンズ用途、或いは、4K/8Kを含むUHDTVレンズ用途の分光特性いずれかで適合する組合せであることを基本と想定する。
Rb(Zj、Fj、Ij)(x)=ax3+bx2+cx ・・・(a)
Rr(Zj、Fj、Ij)(x)=dx3+ex2+fx ・・・(b)
という像高xついての3次関数によって表現する。(a)式及び(b)式の係数a〜fを適切に設定することによって、Bch、Rchそれぞれの倍率色収差曲線を近似的に再現し、その量を補正量として定義している。上記以外にも、焦点距離を変数にとって多項式化した形式などを採用しても良い。上記サンプリング数はカメラ装置の倍率色収差補正データ処理部の演算処理能力や記録部の容量などの制約に基づき適切な範囲で授受するのが好ましい。本発明では、レンズ装置1とカメラ装置2の分光特性は所謂HDレンズ用途、或いは、4K/8Kを含むUHDTVレンズ用途の分光特性いずれかで適合する組合せであることを基本と想定する。
なお、本発明の倍率色収差補正テーブルの修正は実際の撮影中でも可能であるが、例えば白と黒の模様から成るチャート等で倍率色収差の左右での発生が分かりやすい環境下で行うと更に精度良く色滲みを抑えることが可能となる。また実際の撮影の前に、撮影者の好みの色温度条件下で本発明の倍率色収差補正テーブルの修正を行っておくことで、更に理想的で色滲みの少ない撮影が可能となる。勿論、日中屋外での撮影では、時間の経過により色温度や写り込む光源などの変化が想定されるが、その場合は本発明の倍率色収差補正テーブルの修正を適宜行う事によって、撮影環境が変化しても色滲み量を少なく抑えた撮像が可能となる。
また、本実施例における異なる撮影状況とは、撮影時の照明光源や被写体の発光、ホワイトバランス取得時のCCフィルタの選択などを指す。撮影時の光源としては、屋外撮影などの太陽光や、スタジオ照明に使用されるハロゲン光源や蛍光灯などを想定している。一般的なカメラでは、代表的な色温度に合わせた数種類のCCフィルタが搭載されており、照明光源に適合したCCフィルタを選択してホワイトバランスを取ることで理想的な撮像分光特性に近づけることが可能である。また被写体の発光とは、太陽光を反射した被写体や、夜間の車のヘッドライト、スタジアムの照明などの高輝度照明が画面内に映り込むような状況を想定している。本発明では、撮像センサーに入射する光に基づいて、その分光強度を検出することを想定している。また、ホワイトバランスを取り直した時のゲイン調整状況を取得し、その環境下での倍率色収差補正への影響を分析・反映させることも想定する。
これらの撮影状況は、レンズ装置やカメラ装置の製造元が用意した色温度設定に近い場合は調整が比較的容易である。しかし、撮影者の意図により特別な効果を狙って色温度の選択が行われる場合もある。これらの状況はレンズ装置とカメラ装置、及びカメラ装置に接続している操作部などから情報がやりとりされる。
本発明の撮影者の指示とは、撮影者の好みの色温度に設定することや、補正量の強弱を手動で調整するなどの内容を指す。撮影者の好みとして、画面全体に青味や赤味を強調する意図的な撮影を行った場合、色滲みの目立つ色合いもに変化する。そういった特殊な色温度条件下においても色滲みの少ない撮影を可能とするものである。加えて、撮影者の意図として撮像装置が自動的に撮影状態の色温度を判断して、ある色温度特性への変化をフレームレート毎に繰り返すように設定しても良い。補正データを自動的に判断し修正する方法としては、レンズ装置が倍率色収差補正データをカメラ装置へ送出し、該倍率色収差補正データを、カメラの分光特性やホワイトバランス情報、CCフィルタ選択情報などと一緒にカメラ装置の演算回路が収集し、撮像素子が受光した分光情報に基づき判断した光源特性と照合して、倍率色収差補正量が適正か否かを判断する手法がある。或いは、撮像画像を輝度信号と色差信号(Pb、PrやCb,Crなど)の成分に分け、色差信号の基準状態からの変化量が極力小さくなるように補正量を修正しても良い。
また、補正量の強弱を手動で調整できると、背景の色滲みは色温度を考慮した理想的な補正を実施しつつ、高輝度光源や波長スペクトルの偏った被写体などが局所的に撮像画面に存在している際に有効である。また、レンズの個体差やカメラとのドッキング精度などによって軸上色収差や倍率色収差が設計値からズレて、色滲みの程度に変化を与える場合がある。それらを画面の水平垂直方向へのシフト補正や、ズームやフォーカスによる変動として1次や2次の補正特性で追い込む事ができると、更に精度の高い色滲み補正が可能である。
本発明の倍率色収差補正テーブルの修正とは、レンズ記録部に予め保有する倍率色収差補正テーブルに対して、上述の様々な撮影状況に関する情報を元に適切な色滲み補正を実現するための係数掛けを行うことである。係数掛けを行った補正テーブルを新しい補正テーブルとして記録部に一時的に保存し、カメラと通信して色滲みの改善した画像を実現する。倍率色収差補正量は上述の(a)式及び(b)式で表わされる形式で記録されているため、(a)式及び(b)式中の係数a〜fの値を修正することで補正量を変化させることが可能である。更に、画面の水平垂直方向へ一定の補正量を画面全体に与えても良いし、像高方向へ補正特性を変化させながら修正しても良い。例えば、横軸を焦点距離、縦軸をBchやRchの其々の倍率色収差量として表現した際に、そのズーム変動特性の傾きや倍率色収差補正量の増減を所望の特性となるように調整することとも云える。これはズーム特性に限らず、フォーカスや絞りに対する変動特性についても同様である。そのように変更した補正データをレンズ装置やカメラ装置の記録部に記録し、再び修正のトリガーがない限りはそのテーブルを使用し続けることにより、良好な倍率色収差の補正状態を維持することができる。
<倍率色収差補正テーブルの補正の処理フロー>
図2は、実施例1の撮像装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを示している。
実施例1は、レンズ装置保有の倍率色収差補正テーブルの前提となっている撮像装置の基準分光特性に対し、撮影時の撮像装置の分光特性がズレている場合に、補正不足や補正過剰を修正する上で有効な倍率色収差補正テーブルを補正する態様を示す。上記ズレは、主に補正テーブルの想定する色温度と撮像中の照明光源や被写体の色温度の違いにより発生するものとする。Bch、Rchの倍率色収差量が想定に対して異なる出力特性で現れている場合に有効な態様である。
図2は、実施例1の撮像装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを示している。
実施例1は、レンズ装置保有の倍率色収差補正テーブルの前提となっている撮像装置の基準分光特性に対し、撮影時の撮像装置の分光特性がズレている場合に、補正不足や補正過剰を修正する上で有効な倍率色収差補正テーブルを補正する態様を示す。上記ズレは、主に補正テーブルの想定する色温度と撮像中の照明光源や被写体の色温度の違いにより発生するものとする。Bch、Rchの倍率色収差量が想定に対して異なる出力特性で現れている場合に有効な態様である。
ステップS100では、レンズ装置1とカメラ装置2が接続されて電源がONになる。
ステップS101では、レンズ装置1のフォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部14の位置や状態などの光学パラメータがそれぞれの検出部111、121、131、141によって取得され、レンズ演算部15に集められる。
ステップS101では、レンズ装置1のフォーカスレンズ群11、ズームレンズ群12、絞り部13、エクステンダー部14の位置や状態などの光学パラメータがそれぞれの検出部111、121、131、141によって取得され、レンズ演算部15に集められる。
ステップS102では、カメラ装置2のCCフィルタ22やNDフィルタ23の選択状態などのカメラパラメータがそれぞれの検出部221と231によって取得され、カメラ演算部24に集められる。カメラパラメータは、撮像素子21の分光特性や撮像素子上に届いている光束の輝度や色差情報、CCフィルタ22やNDフィルタ23の選択に関する情報、ホワイトバランス補正に関する情報などのうち、少なくとも1つを含むパラメータである。また撮像素子21による撮影情報が、撮影情報取得部211からカメラ演算部24に送られる。
図3は、実施例1に係る撮像装置の撮像素子21の基準分光特性の概略を示す図である。横軸は波長(nm)で、縦軸はBチャンネル、Gチャンネル、Rチャンネルそれぞれのピーク値を1としたRGB分光特性ウェイトを示している。ここでは、例としてD65光源の光が、レンズ装置1を通して撮像素子21に入射した場合を想定した分光受光感度特性を撮像装置の「基準分光特性」として説明する。すなわち、図3の基準分光特性は、受光素子におけるRGBの各色の総合分光特性と、基準として想定するD65光源(基準光源)のエネルギー分布の分光特性との積で得られるRGB各色のスペクトルを、各色のスペクトル強度の最大値で規格化したものである。なお、撮像装置の総合分光特性とは、撮像素子の受光感度の分光特性にレンズ装置の分光透過特性(透過率の分光特性)とフィルタの分光透過特性(CCフィルタ選択情報とNDフィルタの選択情報を含む)を考慮した分光感度特性である。
ステップS103では、レンズ操作部17またはカメラ操作部25により、撮像装置のホワイトバランス調整を行うための操作が行われる。このとき、撮影中の照明光源に対して適切なCCフィルタが選択されていれば、撮像装置の基準分光特性を維持した撮影が可能である。しかし、そうでない場合は撮像装置の総合分光特性に照明光源特性が掛け合わされた、基準分光特性とは異なる分光特性で撮像が行われることになる。図4に、黒体輻射の3200K、6500K(D65光源)、9300Kの色温度において各色温度の最大値で正規化し、400nmから700nmの可視波長域に対する相対分光分布を示す。図5は、撮像装置の基準分光特性の前提となっている照明光源(D65)と撮影時の照明光源とが異なるときの分光特性の一例として、色温度3200Kの光源条件下で撮影した場合の撮像分光特性Bch’、Gch’、Rch’を示している。図5中には、図3に示した実施例1の撮像装置の基準分光特性(Bch、Gch、Rch)も合わせて記載した。
図6は、図5中のBch’、Gch’、Rch’それぞれの面積が互いに同一となるようにホワイトバランス調整を実施した後の分光特性を、Bch”、Gch”、Rch”として示している。ここで、レンズ装置1の設計上の基準波長λGから、撮像装置の基準分光特性として設定したBch,Rchそれぞれのピーク位置までの距離をΔλBG、ΔλRGとする。ΔλBG、ΔλRGの値は、例えばレンズ装置に予め固定値として保持されている値である。また、撮像装置の基準分光特性に撮影中の照明光源特性を掛け合わせた後のBch,Rchそれぞれのピーク位置から基準波長λGまでの距離をΔλBG’、ΔλRG’とする。ΔλBG’、ΔλRG’はホワイトバランス調整を実施したときに、撮像装置とレンズ装置との間で交換された必要情報に基づいて、カメラ演算部24或いはレンズ演算部15で演算される。ΔλBG’、ΔλRG’それぞれのΔλBG、ΔλRGからのズレは、基準光源(D65)の色温度と前記カメラ装置で撮像した色温度との差違に起因する撮像分光特性の変化である。このとき、倍率色収差補正テーブル用の補正係数kb、krを、
kb=ΔλBG’/ΔλBG ・・・(1)
kr=ΔλRG’/ΔλRG ・・・(2)
の式により、カメラ演算部24、或いはレンズ演算部15で算出する。
kb=ΔλBG’/ΔλBG ・・・(1)
kr=ΔλRG’/ΔλRG ・・・(2)
の式により、カメラ演算部24、或いはレンズ演算部15で算出する。
なお、Bch’、Gch’、Rch’とBch”、Gch”、Rch”のピーク位置はそれぞれ変わらないので、Bch’、Gch’、Rch’からBch”、Gch”、Rch”への変換は本発明には必須ではない。また、Bch、Gch、Rchのデータについても正規化によってピーク位置は変化しないのでBch、Gch、Rchへの正規化も本発明の実施に必須ではない。
ステップS104では、ステップS103で(1)式及び(2)式によって算出された補正係数kb、krを元に、倍率色収差補正テーブルを修正する。まず、倍率色収差の補正データ記録部16より補正データがレンズ演算部15に送られる。本発明では、撮影ポジションZj、Fj、Ijでの倍率色収差補正量を(a)、(b)式で表わすとき、(a)、(b)式中の係数a〜fに対して(1)、(2)式で与えられるkb、krの補正係数を積算し、撮像装置の分光特性に最適な補正データを求める。つまり、実際の撮影での光源が基準としていたD65とは異なることを考慮した更新後の補正量Rb1、Rr1は(a1)式と(b1)式で求められる。
Rb1(Zj、Fj、Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)
・・・(a1)
Rr1(Zj、Fj、Ij)(x)=kr×(dx3+ex2+fx)
・・・(b1)
Rb1(Zj、Fj、Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)
・・・(a1)
Rr1(Zj、Fj、Ij)(x)=kr×(dx3+ex2+fx)
・・・(b1)
補正量Rb1、Rr1の導出の考え方は、レンズ装置のBch、RchのGchに対するズレ量である色収差は、一般的には設計基準波長λGに近い波長ほど収差量が小さく、設計基準波長λGから遠く離れるに従って収差量が増大するという考え方に基づく。光源の様々な色温度に依存する分光特性の変化を倍率色収差補正テーブルに反映させることで、補正不足や補正過剰を低減する倍率色収差補正テーブルを得ることができる。
ステップS105では、上記ステップによって修正された倍率色収差補正テーブルをレンズ通信部18によってカメラの画像処理部27に送信し、倍率色収差補正を施すことで色滲みが改善された補正画像が生成される。
ステップS106では、画像処理部27から信号出力部28に色滲みの補正処理された画像信号が受け渡され、そこからモニター3や記録媒体4にデータとして出力される。
ステップS106では、画像処理部27から信号出力部28に色滲みの補正処理された画像信号が受け渡され、そこからモニター3や記録媒体4にデータとして出力される。
なお、ホワイトバランス処理は、カメラが自動的に撮影状況を判断して、自動でホワイトバランスをかける作動が行われても良い。また、撮像装置のレンズ装置とカメラ装置の組合せが電源ON時に変更されていない場合は、事前に設定されているホワイトバランス調整をそのまま引き継いでも良い。
実施例1の図5、6では3200Kの場合を例示して色温度補正の方法を説明したが、それ以外の色温度についても同様に補正を行うことができる。
本実施例においては、図6に示したように、RGBの各色光のピーク位置を各色光の代表波長として選択したが本発明はこれに限定されることはない。例えば、所定の波長範囲を限定した中での荷重平均(重心位置)で代表波長を求めても良いし、強度が半値を示す位置での中心波長を代表波長とするようにしてもよい。
本実施例においては、図6に示したように、RGBの各色光のピーク位置を各色光の代表波長として選択したが本発明はこれに限定されることはない。例えば、所定の波長範囲を限定した中での荷重平均(重心位置)で代表波長を求めても良いし、強度が半値を示す位置での中心波長を代表波長とするようにしてもよい。
これにより、倍率色収差補正テーブルのための記憶容量を増大させず、撮影状況に応じた最適な倍率色収差補正、撮影者の好みの色調での撮影、倍率色収差の補正量の調整を可能とするレンズ装置、及び該レンズ装置によって形成される光学像を受光する撮像素子を有する撮像装置を実現することができる。
本発明の実施例2に係る倍率色収差制御装置が構成された撮像装置を説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
図7を参照しながら、実施例2の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
図7を参照しながら、実施例2の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
実施例2では、倍率色収差の補正不足や補正過剰が、ズーム位置の全域或いはフォーカス位置の全域に対して、像高に比例して発生している場合を想定して、補正不足や補正過剰を改善する態様を示す。このような状態は、レンズの硝材成分や光学特性の微小なばらつきによって発生することがある。この態様は、実施例1の手順の後に行われても良いし、撮像装置の電源投入直後から開始されても良い。
S200では、倍率色収差補正に使用中の倍率色収差補正データに修正を加えるためのトリガー(指令)が入力されることを待つ。このトリガーは撮影者がカメラ操作部25に設けられている指示操作デバイス、例えば、再調整ボタン251などを押すことで与えられても良いし、自動モードが設定されて撮影者の指示無しに適宜与えられても良い。
S201では、ホワイトバランス調整によって、実施例1のS102と同様の方法で取得される、ΔλBG’、ΔλRG’に基づき、倍率色収差の補正量を求める。画像信号を取得する像高は一般的に倍率色収差が画面上で目立って見える7割から9割の像高付近が好ましいが、カメラ操作部25に設けられているタッチパネル252などで、撮影者が好みの画面内の位置を指定しても良い。
S201で取得したΔλBG’、ΔλRG’に基づき、その撮影ポジションZj、Fj、Ijにおける倍率色収差がゼロとなるような補正量として、前述の倍率色収差補正量を表す(a)式及び(b)式に対し、像高xに比例する修正補正量αxのαを求める。ここで、本実施例で修正しようとしている補正不足量や補正過剰量はズーム位置に関わらず像高に比例する量であるので、αはズーム位置に対して一定である(図8)。また、修正された倍率収差補正量は、
Rb2(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+α)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+αx(αは定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb2(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+αx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+αx
で表される。
Rb2(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+α)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+αx(αは定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb2(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+αx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+αx
で表される。
S202では、補正量をテーブル全体のBch、Rchそれぞれ補正テーブルに反映し、補正データ記録部16に保存する。すなわち、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置それぞれに対応する、補正データ(例えば、テーブルとして保存されているデータ)における係数cをc+αに修正する。
S203では、更新した補正テーブルはレンズ通信部18を通じてカメラに送信され、新しい補正テーブルとしてこれ以降の撮影に用いられる。
S203では、更新した補正テーブルはレンズ通信部18を通じてカメラに送信され、新しい補正テーブルとしてこれ以降の撮影に用いられる。
上記S200からS203のステップによって、例えば、ある撮像ポジションにおける軸上色収差のズレによる色滲みや、撮像装置の製造誤差による倍率色収差のオフセット的なズレ、またはモニター上の色味の目立ちやすさによる色滲み等を解消することができる。
S203の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
S203の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
これにより、倍率色収差補正テーブルのための記憶容量を増大させることなく、撮影状況に応じた最適な倍率色収差補正、撮影者の好みの色調での撮影、倍率色収差の補正量の調整を可能とするレンズ装置、及び該レンズ装置によって形成される光学像を受光する撮像素子を有する撮像装置を実現することができる。
本発明の実施例3に係る倍率色収差制御装置が構成された撮像装置を説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。図9、10を参照しながら、実施例3の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。図9、10を参照しながら、実施例3の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
実施例3では、実施例2に対して倍率色収差の補正不足や補正過剰がズーム変動やフォーカス変動に対して線形に近い勾配を持って発生している場合の倍率色収差補正テーブルの補正に好適な方法を取り扱う。具体的には、焦点距離を対数表示した数値に対して1次の特性を有する画角成分や倍率色収差成分などを想定している。この補正は、実施例1、2で示した倍率色収差補正テーブルの補正の後に行われても良いし、撮像装置の電源投入直後から開始されても良い。
図9に実施例3の倍率色収差補正テーブルの補正のフローを示す。
S300では、倍率色収差補正に使用中の倍率色収差補正データに修正を加えるためのトリガーが入力されることを待つ。このトリガーは撮影者がカメラ操作部25に設けられている再調整ボタン251を押すことで与えられても良いし、自動モードなどが設定されて撮影者の指示無しに適宜与えられても良い。
S300では、倍率色収差補正に使用中の倍率色収差補正データに修正を加えるためのトリガーが入力されることを待つ。このトリガーは撮影者がカメラ操作部25に設けられている再調整ボタン251を押すことで与えられても良いし、自動モードなどが設定されて撮影者の指示無しに適宜与えられても良い。
S301では、倍率色収差補正テーブルが1回以上の修正がなされた後に再調整のトリガーが与えられた場合はS302に進み、倍率色収差補正テーブルがまだ修正されていない状態でのトリガーが与えられた場合はS303に進む。前回の再調整からZ、F、I情報のいずれかが変化しているか否かの判断は、フォーカス検出部111、ズーム検出部121、絞り検出部131、エクステンダー検出部141からの情報を元にレンズ演算部15によって行われる。
S303では、少なくとも倍率色収差補正量Rb(Zj、Fj、Ij)とRr(Zj、Fj、Ij)のいずれか一方を新たに更新するために実施例2で図7に示したS201からS203のステップを実行し、S304に進む。
S302での処理の一例として、Bch補正テーブルについて、実施例2の処理によって倍率色収差補正データが既に修正されたズーム位置(Zj)とは異なるズーム位置Zkに移動していた場合を説明する。ズーム位置変化前のズーム位置Zj、フォーカス位置Fj、絞り位置Ijにおける補正量Rb(Zj、Fj、Ij)と、ズーム位置Zkに変化した後の補正量Rb(Zk、Fj、Ij)に基づき、ズーム位置に対する倍率色収差補正量の傾きを(3)式により求める。
(Rb(Zk、Fj、Ij)(x)−Rb(Zj、Fj、Ij)(x))
/(log(Zk)−log(Zj)) ・・・(3)
(Rb(Zk、Fj、Ij)(x)−Rb(Zj、Fj、Ij)(x))
/(log(Zk)−log(Zj)) ・・・(3)
このズーム位置に対する倍率色収差補正量の傾き、及び、上記補正量Rbを検討した像高に基づき、従来記録していた補正テーブルに修正を加えたものを新たなテーブルとして更新する。以前に同じステップを実行済みの場合は修正を上書きし、S304に進む。Rch補正テーブルについても、また、ズーム位置以外のフォーカス位置や絞り位置についても同様にテーブルを更新することができる。
ここで、本実施例で修正しようとしている補正不足量や補正過剰量は、対数表示した焦点距離に比例すると共に、像高に比例する量である(図10)。また、修正された倍率収差補正量は、
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+β)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+βx
β=m×log(Z)+k (m、kは定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+βx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+βx
で表される。
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+β)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+βx
β=m×log(Z)+k (m、kは定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+βx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+βx
で表される。
S304では、更新した補正テーブルをレンズ通信部18を通じてカメラに送信し、新しい補正テーブルとしてこれ以降の撮影に使用する。すなわち、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置それぞれに対応する補正データ(例えば、テーブルとして保存されているデータ)における係数cをc+β(β=m×log(Z)+k(m、kは定数))に修正する。これにより、2点のズーム位置での修正に基づき、全ズーム領域(1つのパラメータ全域)について補正データを修正する。
上記S300からS304のステップによって、倍率色収差のズーム変動やフォーカス変動、絞りに依存する変動などが、製造誤差や波長特性によって線形に近いズレを起こしていた場合に修正することが可能である。実施例2の全体的なオフセット補正に対して、ズームなどの変動要素を加味した高精度で柔軟な補正テーブルの改善が可能となる。
S304の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
S304の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
これにより、倍率色収差補正テーブルのための記憶容量を増大させることなく、撮影状況に応じた最適な倍率色収差補正、撮影者の好みの色調での撮影、倍率色収差の補正量の調整を可能とするレンズ装置、及び該レンズ装置によって形成される光学像を受光する撮像素子を有する撮像装置を実現することができる。
本発明の実施例4に係る倍率色収差制御装置が構成された撮像装置を説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。図11、12を参照しながら、実施例4の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
撮像装置の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。図11、12を参照しながら、実施例4の倍率色収差制御装置における倍率色収差補正テーブルの補正のフローを説明する。
実施例4では、倍率色収差の補正不足や補正過剰が、ズーム変動やフォーカス変動に関して変曲点を持って発生している場合の倍率色収差補正テーブルの補正に好適な方法を取り扱う。具体的には、ズーミング機構による影響で倍率色収差のズーム変動に変曲点がもたらされる場合や、軸上色収差など焦点距離の2乗で変動する要素によって引き起こされる色滲みなどの場合を想定する。この補正は、実施例1や2、3で示した倍率色収差補正テーブルの補正の後に行われても良いし、撮像装置の電源投入直後から開始されても良い。
図11に実施例4の倍率色収差補正テーブルの補正のフローを示す。
S400では、倍率色収差補正に使用中の倍率色収差補正データに修正を加えるためのトリガーが入力されることを待つ。このトリガーは撮影者がカメラ操作部25に設けられている再調整ボタン251を押すことで与えられても良いし、自動モードなどが設定されて撮影者の指示無しに適宜与えられても良い。
S400では、倍率色収差補正に使用中の倍率色収差補正データに修正を加えるためのトリガーが入力されることを待つ。このトリガーは撮影者がカメラ操作部25に設けられている再調整ボタン251を押すことで与えられても良いし、自動モードなどが設定されて撮影者の指示無しに適宜与えられても良い。
S401では、倍率色収差補正テーブルが2回以上の修正がなされた後に再調整のトリガーが与えられた場合はS402に進み、倍率色収差補正テーブルがまだ2回以上の修正がされていない状態でトリガーが与えられた場合はS403に進む。前回の再調整からZ、F、I情報のいずれかが変化しているかどうかをフォーカス検出部111、ズーム検出部121、絞り検出部131、エクステンダー検出部141からの情報を元にレンズ演算部15が判断する。
S402では、倍率色収差補正量Rb(Zj、Fj、Ij)とRr(Zj、Fj、Ij)の少なくとも一方に対して2回以上修正するために実施例2のS201〜S204や実施例3のS301〜S304のステップを実行し、S404に進む。
S403での処理の一例として、Bch補正テーブルについて、実施例2及び3の処理によって倍率色収差補正データが既に取得されている互いに異なる2点のズーム位置(Zj、Zk)とは異なる3点目のズーム位置Zmに移動していた場合を説明する。ズーム位置の関係が、Zj<Zk<Zmであり、ズーム位置Zm、フォーカス位置Fj、絞り位置Ijにおける補正量をRb(Zm、Fj、Ij)としたとき、ズーム位置ZkとZmの間の補正量Rbのズーム位置に対する傾きは(4)式により求められる。
[Rb(Zm、Fj、Ij)(x)−Rb(Zk、Fj、Ij)(x)]
/[log(Zm)−log(Zk)] ・・・(4)
[Rb(Zm、Fj、Ij)(x)−Rb(Zk、Fj、Ij)(x)]
/[log(Zm)−log(Zk)] ・・・(4)
ズーム位置ZkからZmにかけての範囲における新たなズーム変動傾きとして、Bch補正テーブルを更新する。このときZjからZkまでのズーム変動傾きは以前と同じ値を採用する。つまり上述の場合はZkを変曲点としてズーム位置の前後で異なる傾きを有することになる。
ここで、本実施例で修正しようとしている補正不足量や補正過剰量は、実施例3と同様に対数表示した焦点距離の関数となるが、対数表示した焦点距離に対して2つの領域それぞれにおいて線形で近似され、かつ、像高に比例する量となる(図12)。本実施例で修正された倍率収差補正量は、
Rb4(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+γ)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+γx
γ=m1×log(Z)+k1 (Z≦Zkのとき)
γ=m2×log(Z)+k2 (Zk≦Zのとき)
(m1、m2、k1、k2は定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+γx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+γx
で表される。
Rb4(Zj,Fj,Ij)(x)=ax3+bx2+(c+γ)x
=Rb(Zj,Fj,Ij)+γx
γ=m1×log(Z)+k1 (Z≦Zkのとき)
γ=m2×log(Z)+k2 (Zk≦Zのとき)
(m1、m2、k1、k2は定数)
で表される。又は、実施例1の補正が実施された後に本実施例が適用された場合には、
Rb3(Zj,Fj,Ij)(x)=kb×(ax3+bx2+cx)+γx
=Rb1(Zj,Fj,Ij)+γx
で表される。
S404では、更新した倍率色収差補正テーブルはレンズ通信部18を通じてカメラに送信され、新しい倍率色収差補正テーブルとしてこれ以降の撮影に用いられる。すなわち、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置それぞれに対応する補正データ(例えば、テーブルとして保存されているデータ)における係数cをc+γ(γ=m1×log(Z)+k1(Z≦Zkのとき)、γ=m2×log(Z)+k2(Zk≦Zのとき)(m1、m2、k1、k2は定数))に修正する。これにより、3点でのズーム位置での修正に基づき、全ズーム領域(1つのパラメータ全域)について補正データを修正する。
上記S400からS404のステップによって、倍率色収差のズーム変動やフォーカス変動、絞りに依存する変動などが、変動中間で変曲点を有するような場合にも最適な倍率色収差補正テーブルの修正を行うことが可能である。実施例2の全体的なオフセット補正、実施例3の線形補正に対して、変動中間に変曲点を有する場合までを加味した、更に高精度で柔軟な倍率色収差補正テーブルの改善が可能となる。
また、実施例4ではZj<Zk<Zmである場合を示したが、順番が入れ替わっても同様の考え方による倍率色収差補正テーブルの修正が可能である。すなわち、互いに異なる3箇所のズーム位置において補正量Rbが得られれば、隣接するズーム位置の間で補正量Rbのズーム位置に対する傾きを求めて、同様に倍率色収差補正テーブルの修正が可能である。更に、変曲点の数が増えても同様の範囲分けを行っていくことでより実機に即した倍率色収差補正テーブルへの改善が可能である。
S304の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
S304の後は、実施例1のS106以降と同様の倍率色収差補正の画像処理が行われ、モニター3や記録媒体4に出力される。
これにより、倍率色収差補正テーブルのための記憶容量を増大させず、撮影状況に応じた最適な倍率色収差補正、撮影者の好みの色調での撮影、倍率色収差の補正量の調整を可能とするレンズ装置、及び該レンズ装置によって形成される光学像を受光する撮像素子を有する撮像装置を実現することができる。
実施例2,3,4において、像高について一次の補正量の項に修正量を与える場合を例示したが、像高について二次、三次の補正量の項に対しても同様に修正することができる。これによって倍率色収差の必要修正量が像高に対して直線的ではなく、像高に対してうねって発生している場合にも倍率色収差の修正を良好に実施することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
15 レンズ演算部(制御部)
16 倍率色収差補正データ記録部(記憶部)
24 カメラ演算部(制御部)
16 倍率色収差補正データ記録部(記憶部)
24 カメラ演算部(制御部)
Claims (11)
- 基準光源におけるレンズ装置の倍率色収差を補正するための補正データを保持する記憶部と、
前記レンズ装置が接続されたカメラ装置で取得された画像情報に基づき、前記基準光源の色温度と前記カメラ装置で撮像した色温度との差違に起因する撮像分光特性の変化量を取得し、該変化量に基づき前記補正データを修正する制御部と、
を有することを特徴とする倍率色収差制御装置。 - 前記制御部は、前記基準光源を前提とする撮像分光特性である基準分光特性のうちの、Gチャンネルの分光特性の代表波長とRチャンネルの分光特性の代表波長との差をΔλBG、前記基準分光特性のうちの、Gチャンネルの分光特性の代表波長とBチャンネルの分光特性の代表波長との差をΔλRGとし、前記撮像分光特性のうちの、Gチャンネルの分光特性の代表波長とRチャンネルの分光特性の代表波長との差をΔλBG’、前記撮像分光特性のうちの、Gチャンネルの分光特性の代表波長とBチャンネルの分光特性の代表波長との差をΔλRG’とするとき、
kb=ΔλBG’/ΔλBG
kr=ΔλRG’/ΔλRG
をそれぞれ、Gチャンネルに対するBチャンネルの倍率色収差に対する前記補正データ、Gチャンネルに対するRチャンネルの倍率色収差に対する前記補正データ、に積算して前記補正データを修正する、ことを特徴とする請求項1に記載の倍率色収差制御装置。 - 前記基準分光特性は、前記基準光源の相対分光分布、前記カメラ装置の撮像素子の受光感度の分光特性、前記レンズ装置の分光透過特性、フィルタの分光透過特性、及びフィルタの選択情報に基づく分光特性であることを特徴とする請求項2に記載の倍率色収差制御装置。
- 撮像画像の色差信号Pb、Prに基づいて前記補正データを修正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の倍率色収差制御装置。
- 前記制御部は、前記レンズ装置のズーム位置Zj、フォーカス位置Fj、絞り位置Ijに対するBチャンネルとRチャンネルそれぞれに対し、像高xに対する倍率色収差補正量Rb(Zj、Fj、Ij)(x)、Rr(Zj、Fj、Ij)(x)に、像高xに比例する補正量に対応する前記補正データを修正する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の倍率色収差制御装置。
- 前記制御部は、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置の内の1つのパラメータにおいて2点で前記補正データが修正されたときに、該2点での修正に基づき該1つのパラメータ全域の前記補正データを修正する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の倍率色収差制御装置。
- 前記制御部は、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置の内の1つのパラメータにおいて3点で前記補正データが修正されたときに、該3点のうち隣り合う2点を結ぶ線形な補正特性に基づき、前記1つのパラメータ全域について前記補正データを修正する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の倍率色収差制御装置。
- 請求項1乃至7いずれか1項に記載の倍率色収差制御装置を有することを特徴とするレンズ装置。
- 前記レンズ装置に着脱可能に接続され、該レンズ装置によって形成された光学像を受光する撮像素子と、請求項1乃至7いずれか1項に記載の倍率色収差制御装置と、を有することを特徴とするカメラ装置。
- 前記レンズ装置と、該レンズ装置によって形成される光学像を受光する撮像素子を有するカメラ装置と、請求項1乃至7いずれか1項に記載の倍率色収差制御装置と、を有することを特徴とする撮像装置。
- 前記補正データを修正するための指令を入力する入力部を有し、
前記制御部は、前記入力部からの前記指令により、または、前記撮像素子のフレームレートに応じて前記補正データを修正する、
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ装置。
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JP2017123970A JP2019009631A (ja) | 2017-06-26 | 2017-06-26 | 倍率色収差制御装置及びそれを有するレンズ装置及びカメラ装置及び撮像装置 |
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Cited By (1)
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JP2020150411A (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | 株式会社シグマ | 撮像装置及び画像処理方法 |
-
2017
- 2017-06-26 JP JP2017123970A patent/JP2019009631A/ja active Pending
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JP2020150411A (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | 株式会社シグマ | 撮像装置及び画像処理方法 |
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