図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
(第1実施形態)
図1に示す排気管11は、車両に搭載されて走行駆動源として機能する内燃機関(図示せず)の排気ポートに接続されている。内燃機関の燃焼室から排出された排気は、排気管11内部の排気通路11aを通じて流れ、微粒子捕集フィルター(DPF20A)および浄化装置20等で浄化された後に大気へ放出される。DPF20Aは、排気に含まれる微粒子状物質を捕集する機能を有しており、排気管11のうち浄化装置20の上流側に取り付けられている。浄化装置20は、排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を還元浄化する機能を有する。
DPF20Aでの捕集量が所定量を超えたと判定された場合には、DPF20Aを所定温度(例えば650℃)以上に温度上昇させて、捕集されている微粒子を燃焼させて除去する。温度上昇させる手法としては、排気温度を上昇させるように内燃機関の運転状態を制御したり、排気に含まれる未燃燃料を増量させるように内燃機関の運転状態を制御したりすることが挙げられる。また、DPF20Aの上流側と下流側との差圧を検出し、検出された差圧が所定値以上である場合に、捕集量が所定量を超えたと判定する。
浄化装置20は、保持部材21、基材22および触媒層を備える。基材22はハニカム形状に形成されたセラミック製であり、ハニカムの表面には触媒層が支持されている。基材22の外形形状は、排気流れ方向に延びる円柱形状である。基材22の円柱両端面のうち排気流れ上流側の端面は、排気流入口22aとして機能する。基材22の外周面は、保持部材21により排気管11に保持されている。触媒層には、以下に説明する還元触媒成分および吸着成分が含まれている。還元触媒成分は、排気に含まれるNOxを還元するための成分であり、例えば白金が用いられる。吸着成分にはゼオライトが用いられており、後述するアンモニアを物理的に吸着する。
排気管11のうち浄化装置20の上流側部分かつDPF20Aの下流側部分には、尿素水を噴射する尿素水噴射装置Dが取り付けられている。排気通路11aに噴射された尿素水は、排気熱により加水分解する。これにより、排気通路11aで気体のアンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、排気流入口22aから基材22内部へ流入し、触媒層に吸着される。具体的には、触媒層に含まれる吸着成分にアンモニアが物理的に吸着される。
吸着されているアンモニアの一部は、触媒層に含まれる還元触媒成分上で、排気に含まれているNOxを還元する。したがって、厳密には、尿素水噴射装置Dから噴射される尿素水の状態では還元剤とは言えず、尿素水の加水分解により生成されたアンモニアが還元剤として作用する。
尿素水噴射装置Dは、尿素水を噴射する噴射弁30と、噴射弁30を冷却する冷媒を流通させる冷却部材60とを備える。排気管11は、本体部110および取付部12を有する。本体部110には円形の開口部110aが形成されている。この開口部110aに取付部12が溶接等で固定されている。クリップ等の結合部材13により冷却部材60が取付部12に取り付けられており、冷却部材60に噴射弁30が保持されている。噴射弁30は、重力方向下側に向けて尿素水を噴射する向き、車両搭載状態において中心線Cが重力方向と一致する向きに搭載されている。
図2に示すように、噴射弁30は、ボデー31、弁体32および電磁コイル33を備える。ボデー31は、弁体32および電気アクチュエータを内部に収容する。電気アクチュエータは、電磁コイル33と、図示しない固定コアおよび可動コアを有する。電磁コイル33への通電により生じた電磁吸引力により、弁体32が開弁作動すると、ボデー31に形成された噴孔51(図3参照)から尿素水が排気通路11aへ噴射される。
ボデー31の一部は排気通路11aに位置して排気に晒されている。ボデー31のうち排気に晒されている部分には、尿素水を噴射する噴孔51が形成されている。本実施形態に係る噴射弁30は噴孔51を1つ備えているが、複数備えていてもよい。噴孔51から噴射された尿素水は円錐形状の噴霧F(図1参照)を形成する。
車両には、尿素水を貯留するタンクと、タンクに貯留された尿素水を噴射弁30へ圧送するポンプが搭載されている(図示せず)。ポンプは、電動モータにより駆動する電動式である。ポンプへ供給する電力を制御することで、噴射弁30へ供給される尿素水の圧力が制御され、ひいては、噴孔51からの尿素水の噴射圧力が制御される。
図示しない電子制御装置(以下、ECUと記載)は、電磁コイル33への通電を制御することで、噴孔51からの尿素水の噴射開始と噴射停止を制御する。さらにECUは、ポンプが有する電動モータへの供給電力を制御することで、尿素水の噴射圧を制御する。本実施形態に係る尿素水噴射システムは、尿素水噴射装置DおよびECUを備える。本実施形態に係る排気浄化システムは、尿素水噴射システムに加えて浄化装置20を備える。
次に、噴射弁30の構造について、図2を用いて詳細に説明する。
噴射弁30の電磁コイル331へ通電すると、電気アクチュエータの固定コアおよび可動コアに磁束が生じ、この磁束による電磁吸引力により可動コアは固定コアへ吸引される。可動コアは弁体32に取り付けられているので、弁体32は可動コアとともに、中心線C方向に往復移動する。
噴射弁30のボデー31は、先端側ボデー313、プレート部材40および噴孔部材50を有する。先端側ボデー313は、内部に弁体32を収容する円筒形状である。先端側ボデー313の円筒内周面には、弁体32の先端に設けられたシート面32sが離着座するシート面313sが形成されている(図3参照)。
噴射弁30には尿素水を供給する供給配管14が接続されている。供給配管14から供給される尿素水は、ボデー31の流入口31aから弁体32の内部通路32aを流通した後、弁体32の側壁に形成された流出口32c(図3)から流出する。そして、先端側ボデー313の内周面と弁体32の外周面との間に形成される環状通路313a、弁体32の先端に沿う合流通路313bを順に流通する。環状通路313aは、シート面313sに弁体32が離着座することで開閉される。合流通路313bは、環状通路313aにて環状に分布する尿素水を合流させて、中心線Cを含む円盤状に分布させる。なお、環状通路313a、合流通路313bおよび噴孔51の中心線は、弁体32の中心線Cと一致する。
図3に示すように、先端側ボデー313の先端には、プレート部材40および噴孔部材50が取り付けられている。プレート部材40は、先端側ボデー313と噴孔部材50の間に配置されている。例えば、先端側ボデー313、プレート部材40および噴孔部材50は溶接により接合されている。
プレート部材40は、合流通路313bを噴孔側から覆う円板形状のプレート41と、プレート41の外周端から先端側ボデー313の外周面に沿って延びる円筒部42とを有する。プレート41には、合流通路313bと連通する第1貫通穴43および第2貫通穴44が形成されている。第1貫通穴43および第2貫通穴44は、プレート41内で連通することなく互いに分離した状態で形成されている。
図4に示すように、第1貫通穴43および第2貫通穴44は、中心線Cの周りに延びる円弧形状である。第1貫通穴43の円弧長さと第2貫通穴44の円弧長さは同じである。第1貫通穴43および第2貫通穴44の外周縁の径方向位置は、合流通路313bの外周縁の径方向位置と同じである。プレート41の反噴孔側の面は、中心線Cに対して垂直に拡がる平坦な形状である。プレート41の噴孔側の面には、噴孔51に向けて突出する突起部材45が形成されている。プレート41は金属製であり、突起部材45は、プレート41をプレス加工して製造してもよいし切削加工して製造してもよいし、プレート41に溶接して製造してもよい。
噴孔部材50には、尿素水を噴射する噴孔51が1つ形成されている。噴孔51は、噴孔部材50の中心線C上に沿って中心線C方向に延びる形状であり、下流側であるほど通路断面積が大きくなる形状である(図4参照)。噴孔51の下流端開口51bは、中心線Cを中心とした円形である。噴孔部材50のうちプレート部材40と反対側の端面には、下流端開口51bを囲む環状溝52(図3参照)が形成されている。環状溝52を形成することで、噴孔部材50の端面のうち下流端開口51bの周縁部分に尿素水が表面張力で付着することを抑制させている。なお、図4では環状溝52の図示を省略している。
噴孔部材50のうちプレート41に接触する面には、互いに異なる向きに延びて尿素水を流通させる第1流通部53および第2流通部54が形成されている。これらの流通部は、プレート41側に開口する溝形状であり、溝開口はプレート41によって覆われている。第1流通部53および第2流通部54は、同一平面上で延びるように配置され、径方向に直線状に延び、かつ、互いに並行に延びる形状である。
さらに、噴孔部材50のうちプレート41に接触する面には、第1流通部53を流通した尿素水と第2流通部54を流通した尿素水とを噴孔部材50の中心で合流させ、合流した尿素水を噴孔51へ導く合流部55が形成されている。合流部55は、渦生成部55aおよび渦流出部55bを有する(図3参照)。
渦生成部55aは、中心線C方向に延びる円柱形状である。渦生成部55aは、第1流通部53の下流端および第2流通部54の下流端と連通する。以下の説明では、第1流通部53から渦生成部55aへと流入する流入口を第1流入口53a、第2流通部54から渦生成部55aへと流入する流入口を第2流入口54aと呼ぶ(図7参照)。
渦流出部55bは、中心線Cに沿って延びる円錐形状であり、下流側であるほど通路断面積が小さくなる形状である。渦流出部55bの上流端は渦生成部55aの下流端と連通し、渦流出部55bの下流端は噴孔51の上流端と連通する。
プレート41に形成された突起部材45は、渦生成部55aに配置されている。突起部材45は、プレート41面に対して垂直に突出する形状、つまり中心線C方向に突出する形状である(図3参照)。噴孔側から見た突起部材45の形状は、4つの頂点を有する四角形である(図7参照)。突起部材45は、第1流入口53aおよび第2流入口54aと対向する位置に配置されている。第1流通部53の流れ方向から見て、突起部材45は第1流入口53aを覆う大きさであり、その流れ方向に投影した突起部材45の面積は、第1流入口53aの面積よりも大きい。第2流通部54の流れ方向から見て、突起部材45は第2流入口54aを覆う大きさであり、その流れ方向に投影した突起部材45の面積は、第1流入口53aの面積よりも大きい。
突起部材45の突出長さは、弁体32の開閉作動方向(中心線C方向)における第1流通部53の深さ寸法および第2流通部54の深さ寸法よりも長い。つまり、突起部材45の突出端面45aは、第1流入口および第2流入口よりも噴孔側に位置する。渦生成部55aは、突起部材45の突出方向から見て、第1流通部53の幅寸法L5および第2流通部54の幅寸法L5を拡幅させた形状である。つまり、渦生成部55aの直径D2は上記幅寸法L5よりも大きい(図5および図7参照)。なお、第1流通部53の幅寸法L5および第2流通部54の幅寸法L5は同一である。突起部材45の幅寸法L6(図7参照)、つまり図3の紙面垂直方向の寸法は、突起部材45の突出方向から見た第1流入口53aの幅寸法L5および第2流入口54aの幅寸法L5に比べて大きい。
図7に示すように、突起部材45は、第1傾斜面45t1および第2傾斜面45t2を有する。第1傾斜面45t1は、突起部材45の突出方向から見た幅寸法を、第1流入口53aから突起部材45の中心に近づくにつれて徐々に拡大させる向きに傾斜する形状である。第2傾斜面45t2は、突起部材45の突出方向から見た幅寸法を、第2流入口54aから突起部材45の中心に近づくにつれて徐々に拡大させる向きに傾斜する形状である。第1傾斜面45t1および第2傾斜面45t2は、突起部材45の中心側へ凹む向きに湾曲した形状である。
次に、図4〜図8を用いて、合流通路313bから下流端開口51bに至るまでの尿素水の流れについて詳細に説明する。なお、以下の説明では第1貫通穴43のうち第1流通部53と連通する部分を第1連通部43aと呼び、第2貫通穴44のうち第2流通部54と連通する部分を第2連通部44aと呼ぶ。第1貫通穴43のうち第1連通部43aより一端側の部分および他端側の部分の各々を第1通路43b、43cと呼び、第2貫通穴44のうち第2連通部44aより一端側の部分および他端側の部分の各々を第2通路44b、44cと呼ぶ。そして、第1連通部43aは第1貫通穴43の中央部分に配置され、2つの第1通路43b、43cの通路長さは同一である。同様にして、第2連通部44aは第2貫通穴44の中央部分に配置され、2つの第2通路44b、44cの通路長さは同一である。
環状通路313aから合流通路313bへ合流した尿素水は、第1貫通穴43および第2貫通穴44へ流入する。詳細には、合流通路313bのうち第1貫通穴43および第2貫通穴44の直上に位置する尿素水は、そのまま第1貫通穴43および第2貫通穴44へ流入する。上記直上から外れた位置の尿素水は、図4中の矢印F1に示すように、プレート41面に沿って流れて、第1貫通穴43および第2貫通穴44へ流入する。
第1貫通穴43へ流入した尿素水は、第1連通部43aへ向けて流れる。そして、第1貫通穴43の円弧両端の一端側から第1連通部43aへ向けて流れる尿素水(矢印F2参照)と、他端側から第1連通部43aへ向けて流れる尿素水(矢印F3参照)とが、第1連通部43aで正面衝突する。つまり、2つの第1通路43b、43cをそれぞれ流れた尿素水が、第1連通部43aで衝突する。その後、衝突した尿素水は、第1流通部53の両端のうち径方向外側の端部へ流入する。
同様にして、第2貫通穴44の円弧両端の一端側から第2連通部44aへ向けて流れる尿素水と、他端側から第2連通部44aへ向けて流れる尿素水とが、第2連通部44aで衝突する。つまり、2つの第2通路44b、44cをそれぞれ流れた尿素水が、第2連通部44aで正面衝突する。その後、衝突した尿素水は、第2流通部54の両端のうち径方向外側の端部へ流入する。
第1流通部53および第2流通部54の各々へ流入した尿素水は、合流部55の渦生成部55aへ向けて流れる。そして、第1流通部53を流れて第1流入口53aから渦生成部55aへ流入した尿素水(矢印F4参照)と、第2流通部54を流れて第2流入口54aから渦生成部55aへ流入した尿素水(矢印F5参照)とが、渦生成部55aで衝突する。
厳密には、これらの尿素水の主流は、渦生成部55a内にて先ず突起部材45に衝突し、第1傾斜面45t1および第2傾斜面45t2に沿って渦を巻くように流れる(矢印F6、F7参照)。そして、第1傾斜面45t1に衝突して渦巻く尿素水(矢印F6参照)と、第2傾斜面45t2に衝突して渦巻く尿素水(矢印F7参照)とが、渦生成部55aで衝突して合流する。
このように渦巻く尿素水は、渦の直径を拡大させようとしながら、つまり径方向外側へ拡がろうとしながら渦流出部55bおよび噴孔51へと順に流通し、その後も、径方向外側へ拡がろうとしながら下流端開口51bから噴射される。そのため、下流端開口51bから噴射した直後も、径方向外側へ拡がろうとするので、噴霧Fの角度が大きくなる。
なお、内部通路32a、環状通路313a、合流通路313b、第1貫通穴43、第2貫通穴44、第1流通部53、第2流通部54および合流部55は、噴孔51へ尿素水を供給する供給流路に相当する。また、第1貫通穴43は、一端側から流入した尿素水と他端側から流入した尿素水とを衝突させるとともに、その衝突後の尿素水を第1流通部53へ導く第1流路部に相当する。第2貫通穴44は、一端側から流入した尿素水と他端側から流入した尿素水とを衝突させるとともに、その衝突後の尿素水を第2流通部54へ導く第2流路部に相当する。
次に、冷却部材60の構造について、図2を用いて詳細に説明する。
冷却部材60は、外ボデー61、内ボデー62、熱伝導部材63、係止部64およびカバー65を有する。外ボデー61は金属製の有底円筒形状であり、外ボデー61の円筒外周面は鍔部121の開口部12aに挿入されている。外ボデー61の底面は、排気通路11aに露出する冷却露出面61aに相当する。冷却露出面61aには円形の開口穴61bが形成されている。開口穴61bには噴孔部材50が取り付けられている。噴孔部材50のうち、噴孔51を取り囲む面であって、開口穴61bから排気通路11aに露出する面は、噴孔露出面50aに相当する。つまり、冷却露出面61aは噴孔露出面50aを取り囲む円環形状である。
内ボデー62は、外ボデー61の内側に配置された金属製の有底円筒形状である。内ボデー62の外周面と外ボデー61の内周面とで囲まれた領域が冷媒通路62aとして機能する。外ボデー61には流入配管61inおよび流出配管61outが接続されている。冷媒には、内燃機関の冷却水が用いられている。
流入配管61inから冷媒通路62aへ流入した冷媒は、流出配管61outから流出する。熱伝導部材63は円筒形状であり、内ボデー62と噴射弁30との間に配置されている。熱伝導部材63の外周面は内ボデー62の内周面と接触し、熱伝導部材63の内周面はボデー31の外周面と接触する。したがって、ボデー31の熱は熱伝導部材63および内ボデー62を通じて冷媒へと伝わり、図示しない冷媒ポンプを駆動させて液体の冷媒を循環させることで、ボデー31は冷媒により冷却される。
係止部64は、外ボデー61の外周面に溶接等で固定されている。結合部材13は、冷却部材60の係止部64と取付部12の係止部122とを挟み込んで結合する。これにより、冷却部材60が取付部12に取り付けられる。
カバー65は、外ボデー61に溶接等で固定され、カバー65の開口部65aにボデー31が嵌め込まれている。これにより、ボデー31がカバー65で支持される。また、噴孔部材50の外周面が外ボデー61で支持されている。これらの支持により、噴射弁30は冷却部材60に保持されている。
さて、排気管11の取付部12のうち開口部110aに嵌め込まれた部分を鍔部121と呼ぶ。鍔部121は冷却露出面61aを取り囲む円環形状である。排気通路11aは、本体部110の内壁面11cおよび鍔部121の内壁面12bにより形成される。鍔部121は、本体部110のうち直角に折れ曲がる部分に取り付けられている。図1を用いてより詳細に説明すると、本体部110は、中心線C1を中心とした第1配管部111と、中心線C2を中心とした第2配管部112とを有し、これらの中心線C1、C2は直交する。第1配管部111にはDPF20Aが配置され、第2配管部112には浄化装置20が配置されている。そして、取付部12は第1配管部111に取り付けられている。
第1配管部111の内壁面11cが中心線C1方向に見て円形であり湾曲している。この湾曲に倣って、鍔部121の内壁面12bも湾曲している。具体的には、各々の内壁面11c、12bの曲率は同じである。これに対し、冷却露出面61aおよび噴孔露出面50aについては、中心線C1方向に見て平板形状である。よって、厳密には、中心線C1の周方向において鍔部121の内壁面12bと冷却露出面61aと境界は段差を有している。但し、第1配管部111の直径に対して冷却露出面61aの直径は十分に小さい(例えば半分以下)ため、上記段差は目視確認困難な程度に小さい。
排気管11のうち鍔部121の内壁面12bと第1配管部111の内壁面11cとは同一平面上に配置されており、互いの内壁面12b、11cは、中心線C1の方向(排気流れ方向)および第1配管部111の周方向のいずれにおいても連続して連なっている。
また、噴射弁30の中心線Cおよび第1配管部111の中心線C1を含む断面、つまり図2に示す断面で見た場合に、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aが、鍔部121の内壁面12bと同一直線上に配置されている。つまり、中心線C1の方向(排気流れ方向)において、噴孔露出面50a、冷却露出面61aおよび内壁面12bは連続して連なっている。
厳密には、冷却露出面61aの外周縁部は曲げ加工により湾曲した形状になっているため、その湾曲部については内壁面12bとは同一直線上に配置されていない。そのため、冷却露出面61aの全体が内壁面12bと同一直線上に配置されているとまでは言えず、冷却露出面61aのうち上記湾曲部を除く部分が内壁面12bと同一直線上に配置されていると言える。
また、噴孔露出面50aには環状溝52が形成されているため、環状溝52の部分については内壁面12bとは同一直線上に配置されていない。そのため、噴孔露出面50aの全体が内壁面12bと同一直線上に配置されているとまでは言えず、噴孔露出面50aのうち環状溝52の外周側部分つまり環状溝52を取り囲む部分が、内壁面12bと同一直線上に配置されていると言える。
また、噴孔露出面50aのうち環状溝52を取り囲む部分と、冷却露出面61aのうち上記湾曲部を除く部分とは、同一平面上に配置されている。つまり、これらの部分同士は、中心線C1の方向(排気流れ方向)および第1配管部111の周方向のいずれにおいても同一直線上に配置されている。
ここで、「排気管11の内壁面12bから奥まった位置に噴孔部材50を位置させると、噴孔露出面50aに付着した尿素水が難溶性物質に変質しやすい」との知見を本発明者らは得ている。この現象が生じるメカニズムについて以下に説明する。
先ず噴孔露出面50aに尿素水が付着すると、その付着した尿素水の水分が排気熱により蒸発して、噴孔露出面50aに尿素が析出する。その後、噴孔露出面50aに析出した尿素の一部は、排気熱により熱分解してアンモニアガス(反応ガス)やイソシアン酸ガス(反応ガス)に変化する。その後、析出している尿素の一部が、反応ガスと反応することで難溶性物質に変化する。
この変化をより詳細に説明すると、尿素は、100℃以上の雰囲気でイソシアン酸ガスと反応することでビウレットに変化する。ビウレットは、110℃以上の雰囲気でイソシアン酸ガスと反応することでトリウレットに変化する。トリウレットは、110℃以上の雰囲気でシアヌル酸に変化する。シアヌル酸は、140℃以上の雰囲気でアンモニアガスと反応することでアンメリドに変化する。アンメリドは、250℃以上の雰囲気でアンモニアガスと反応することでアンメリンに変化する。アンメリンは、300℃以上の雰囲気でアンモニアガスと反応することでメラミンに変化する。
要するに、反応ガスと反応する雰囲気温度が高温になるにつれ、尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌル酸、アンメリド、アンメリン、メラミンの順に変化する。そして、シアヌル酸、アンメリド、アンメリン、メラミンは、環状構造を有する分子構造であり、これらは水に溶けにくい難溶性物質として定義される。一方、尿素、ビウレット、トリウレットは、環状構造を有していない分子構造であり、これらは水に溶けやすい可溶性物質として定義される。
このように、噴孔露出面50aや噴孔51の内周面に付着した尿素水が、高温環境下で可溶性物質に変質し、さらに高温の環境下では難溶性物質に変質するおそれがある。可溶性物質であれば、噴孔51から噴射される尿素水に溶けて除去される。その一方で、難溶性物質であれば、噴孔51から噴射される尿素水に溶けにくいので除去されにくく、噴孔51から噴射される尿素水に干渉し、噴射量の低下や噴霧F形状の悪化を招く。
この問題に対し本実施形態では、噴射弁30の中心線Cおよび第1配管部111の中心線C1を含む断面で見た場合に、噴孔露出面50aの少なくとも一部は、排気管11のうち取付部12の内壁面12bと同一直線上に配置されている。
これによれば、排気管11の内壁面12bに沿い第1配管部111の中心線C1方向に流れる排気が、噴孔露出面50aに沿って流すことを促進できる。よって、噴孔露出面50aに析出した尿素から発生する反応ガスが、排気とともに流されやすくなる。そのため、噴孔露出面50aに尿素が析出したとしても、その析出尿素の難溶性物質への変質に要する反応ガスの多くが排気とともに流されているので、析出尿素の難溶性物質への変質が抑制される。よって、難溶性物質が噴孔51の一部を塞ぐことを抑制でき、噴孔51からの噴射量低下や噴霧形状変化を招くおそれを低減できる。
さらに本実施形態では、噴孔露出面50aには、噴孔51を取り囲む環状溝52が形成されている。そのため、噴孔露出面50aのうち下流端開口51bの周縁部分に尿素水が表面張力で付着することを抑制できる。そして、噴孔露出面50aのうち環状溝52を取り囲む部分が、内壁面12bと同一直線上に配置されている部分である。そのため、反応ガスを排気とともに流しやすくするとともに尿素水の付着抑制を図ることができる。
さらに本実施形態では、噴射弁30に取り付けられ、噴射弁30を冷却する冷媒を流通させる冷却部材60を備える。この冷却部材60は、噴孔露出面50aを取り囲む面であって、排気通路11aに露出する冷却露出面61aを有する。そして、噴射弁30の中心線Cおよび第1配管部111の中心線C1を含む断面で見た場合に、冷却露出面61aの少なくとも一部は、噴孔露出面50aおよび内壁面12bと同一直線上に配置されている。そのため、排気管11の内壁面12bに沿い第1配管部111の中心線C1方向に流れる排気が、冷却露出面61aとともに噴孔露出面50aに沿って流れることを促進できる。よって、噴孔露出面50aに析出した尿素から発生する反応ガスが、排気とともに流されやすくなることをさらに促進できる。
さらに本実施形態では、噴孔露出面50aの少なくとも一部と冷却露出面61aの少なくとも一部とは、同一平面上に配置されている。そのため、その同一平面に沿って排気が流れやすくなるので、反応ガスが排気とともに流されやすくなることをさらに促進できる。
ここで、本実施形態では以下に説明する構成(微粒化構造)を採用することで、噴霧Fを広角にでき、その結果、浄化装置20の排気流入口22aに対して均一に尿素水を噴霧させることができる。しかも、噴霧広角化に伴い噴霧の微粒化を促進できる。しかし、微粒化が促進されると噴孔露出面50aに尿素水が付着しやすくなり、先述した難溶性物質の生成が懸念されるようになる。つまり、微粒化構造を採用して微粒化および広角化を図ることの背反として難溶性物質の生成が懸念される。したがって、微粒化構造を採用した噴射弁30に、先述した同一直線上配置の構造を採用する本実施形態によれば、微粒化および広角化を図りつつ、難溶性物質の生成抑制を図ることができる。
以下、上述した微粒化構造について説明する。
本実施形態では、噴孔51へ尿素水を供給する供給流路は、互いに異なる向きに尿素水を流通させる第1流通部53および第2流通部54と、合流部55とを有する。合流部55は、第1流通部53を流通した尿素水と第2流通部54を流通した尿素水とを合流させ、合流した尿素水を噴孔51へ導く。そして合流部55には、噴孔51に向けて突出する突起部材45が配置されている。
したがって、互いに異なる方向に流通した尿素水が合流するにあたり、互いの尿素水は突起部材45に衝突した後に合流するようになり、互いの尿素水が正面衝突して合流することが抑制される。そして、突起部材45に衝突した尿素水は、図7中の矢印F6、F7に示すように、突起部材45の突出方向から見て渦生成部55aの径方向外側に流れて渦巻き、その後に合流するように促される。その結果、合流後の尿素水は、径方向に拡がる向きに渦巻きながら噴孔51から噴射されることになり、噴霧Fを広角にでき、微粒化を促進できる。
なお、図8に示す第2比較例では、本実施形態に係る突起部材45を廃止している。この場合、図7中の矢印F6、F7に示すような、突起部材45に衝突したことに起因する渦成分は生成されない。そのため、突起部材45を備える本実施形態によれば、突起部材45を廃止した第2比較例に比べて噴霧Fが広角になる。
さらに本実施形態では、合流部55の渦生成部55aは、突起部材45の突出方向から見て、第1流通部53の幅寸法L5および第2流通部54の幅寸法L5を拡幅させた形状である。そのため、渦生成部55aで尿素水が渦巻くに必要なスペースを十分に確保でき、尿素水の渦生成を促進でき、ひいては、噴霧Fが径方向に拡がることを促進でき、微粒化を促進できる。
さらに本実施形態では、突起部材45の突出方向から見た第1流入口53aの幅寸法L5および第2流入口54aの幅寸法L5に比べて、突起部材45の幅寸法L6は大きい。これによれば、第1流入口53aから渦生成部55aへ流入する尿素水の主流と、第2流入口54aから渦生成部55aへ流入する尿素水の主流とが正面衝突することを抑制できる。そのため、正面衝突による渦巻き生成の阻害を抑制でき、噴霧Fが径方向に拡がることを促進でき、微粒化を促進できる。
さらに本実施形態では、突起部材45の突出端面45aは、第1流入口53aおよび第2流入口54aよりも噴孔51の側に位置する。そのため、第1流入口53aおよび第2流入口54aから渦生成部55aへ流入した尿素水のうち、突起部材45に衝突せずに渦流出部55bへ流入する成分、つまり十分な渦生成が為されずに渦流出部55bへ流入する成分を少なくできる。よって、尿素水の渦生成を促進でき、ひいては、噴霧Fが径方向に拡がることを促進でき、微粒化を促進できる。
さらに本実施形態では、第1傾斜面45t1および第2傾斜面45t2は、突起部材45の中心側へ凹む向きに湾曲した形状である。そのため、第1傾斜面45t1および第2傾斜面45t2に沿って流れた尿素水は、湾曲面に沿った渦の流れになることを促される(図7参照)。よって、尿素水の渦生成をより一層促進できる。
さらに本実施形態では、第1流通部53および第2流通部54は同一平面上、つまり中心線Cに垂直な平面上に配置され、突起部材45は、第1流通部53の流通方向および第2流通部54の流通方向に対して垂直に突出する形状である。そのため、第1流入口53aから渦生成部55aへ流入する流入方向と、第2流入口54aから渦生成部55aへ流入する流入方向とは、同一平面上、つまり中心線Cに垂直な平面上に配置される。よって、第1流入口53aから流入した尿素水の渦巻きと、第2流入口54aから流入した尿素水の渦巻きとが、同一平面上に位置することが促される。そのため、合流後の尿素水が径方向に拡がる向きに渦巻きながら噴孔51から噴射されることが促進され、噴霧Fの広角化を促進でき、微粒化を促進できる。
さらに本実施形態では、合流通路313bと第1流通部53を連通させる第1貫通穴43、および合流通路313bと第2流通部54を連通させる第2貫通穴44を備える。第1貫通穴43は、第1連通部43aおよび2つの第1通路43b、43cを有する。第1連通部43aは、2つの第1通路43b、43cの下流端と連通するとともに、第1流通部53と連通する。2つの第1通路43b、43cは、互いに異なる向きに尿素水を流通させて第1連通部43aへと導き衝突させる。第2連通部44aは、2つの第2通路44b、44cの下流端と連通するとともに、第2流通部54と連通する。2つの第2通路44b、44cは、互いに異なる向きに尿素水を流通させて第2連通部44aへと導き衝突させる。
これによれば、第1連通部43aおよび第2連通部44aの各々で尿素水を衝突させた後に、合流部55で尿素水が衝突することとなる。よって、第1流通部53および第2流通部54を流通する尿素水を、数多くの渦成分が含まれた状態、つまり乱流エネルギの高い状態にできる。その結果、渦生成部55aでの尿素水の渦生成を促進でき、ひいては、噴霧Fが径方向に拡がることと微粒化を促進できるようになる。上述した乱流エネルギとは、尿素水に含まれる複数の渦の運動エネルギの総和であるとも言える。
なお、図6に示す第1比較例では、本実施形態に係る第1貫通穴43および第2貫通穴44を、第1通路43b、43cを廃止した第1貫通穴43Pおよび第2通路44b、44cを廃止した第2貫通穴44Pに置き換えている。この場合、合流通路313bに分布する尿素水が、第1貫通穴43および第2貫通穴44の周囲から均等に流入するので、第1貫通穴43および第2貫通穴44での尿素水の衝突は殆ど生じない。これに対し本実施形態では、第1貫通穴43Pは第1通路43b、43cを有し、第2貫通穴44Pは第2通路44b、44cを有するので、第1貫通穴43および第2貫通穴44で尿素水が衝突することが促される。
さらに本実施形態では、第1貫通穴43の中央部分に第1連通部43aを配置することで、2つの第1通路43b、43cの通路長さを同一にしている。換言すると、第1貫通穴43(第1流路部)の流路長のうち、第1連通部43aより一端側の流路長と第1連通部43aより他端側の流路長とが同一である。そのため、尿素水の衝突位置を第1連通部43aにでき、衝突直後の尿素水を第1流通部53へ流入させることを促せる。
同様にして、第2貫通穴44の中央部分に第2連通部44aを配置することで、2つの第2通路44b、44cの通路長さを同一にしている。換言すると、第2貫通穴44(第2流路部)の流路長のうち、第2連通部44aより一端側の流路長と第2連通部44aより他端側の流路長とが同一である。そのため、尿素水の衝突位置を第2連通部44aにでき、衝突直後の尿素水を第2流通部54へ流入させることを促せる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態に係る噴射弁30では、合流部55に突起部材45が設けられているが、本実施形態に係る噴射弁30Aでは、図9に示すように突起部材45が廃止されている。また、上記第1実施形態では、第1流通部53および第2流通部54が同一直線上に延びる位置に設けられ、仮に突起部材45が廃止されていれば、第1流通部53を流通した尿素水と第2流通部54を流通した尿素水とが合流部55で正面衝突する構造である。これに対し本実施形態では、図10に示すように第1流通部53が延びる方向と第2流通部54が延びる方向とがずれて配置されている。
また、上記第1実施形態では、第1流通部53および第2流通部54の各々に連通する第1貫通穴43および第2貫通穴44がプレート部材40に形成されている。これに対し本実施形態では、図11に示すようにプレート部材40を廃止しており、第1貫通穴43および第2貫通穴44が先端側ボデー313に形成されている。また、第1実施形態に係る第1貫通穴43および第2貫通穴44は、中心線C方向視において円周方向に延びる形状である。これに対し、本実施形態に係る第1貫通穴43および第2貫通穴44は、図11に示すように中心線C方向視において円形形状である。
上記構造の噴射弁30Aでは、第1貫通穴43および第2貫通穴44を流通した尿素水の各々は、第1流通部53および第2流通部54へ流入する。その後、第1流通部53および第2流通部54を流通して合流部55へ流入する。そして、第1流通部53が延びる方向と第2流通部54が延びる方向とがずれて配置されており、かつ、突起部材45が廃止されているので、合流部55へ流入した各々の尿素水は、中心線Cの周りに旋回する。例えば図10では、合流部55へ流入した尿素水は反時計周りに旋回する。その後、旋回しながら噴孔51から円錐状に噴射される。
そして、本実施形態においても図2と同様にして、噴孔露出面50aと冷却露出面61aは同一平面上に配置され、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aは、内壁面12bと同一直線上に配置されている。
以上により、上述の如く合流部55で尿素水を旋回させる構造の噴射弁30Aにおいても、噴霧Fの広角化と微粒化を促進できる。そして、微粒化が促進される構造つまり尿素水が付着しやすい構造の噴射弁30Aに、噴孔露出面50aを排気管11の内壁面12bと同一直線上に配置する構造を適用する本実施形態によれば、難溶性物質の固着抑制の効果が好適に発揮される。
(第3実施形態)
図12、図13および図14に示すように、本実施形態に係る噴射弁30Bは、上記第2実施形態に係る噴射弁30Aに、第3流通部540および第3貫通穴44を追加した構造である。つまり、第2実施形態に係る噴射弁30Aは、第1流通部53および第2流通部54といった流通部を2本備えているのに対し、本実施形態に係る噴射弁30Bは、第1流通部53、第2流通部54および第3流通部540といった流通部を3本備えている。
そして、本実施形態においても第2実施形態と同様にして、噴孔露出面50aと冷却露出面61aは同一平面上に配置され、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aは、内壁面12bと同一直線上に配置されている。よって、本実施形態においても第2実施形態と同様の効果が発揮される。
(第4実施形態)
上記各実施形態に係る噴射弁は噴孔51を1つ備えているのに対し、本実施形態に係る噴射弁30Cは、図15および図16に示すように噴孔51を複数(4つ)備えている。なお、本実施形態ではプレート部材40および噴孔部材50が廃止されており、先端側ボデー313に噴孔51が形成されている。
また、本実施形態に係る尿素水噴射装置では、冷却部材60が排気通路11aに露出しておらず、冷却部材60は冷却露出面61aを有していない。そして、図2の例では噴孔露出面50aが冷却露出面61aに隣接し、さらに冷却露出面61aが内壁面12bに隣接しているが、本実施形態では、噴孔露出面50aは取付部12の内壁面12bに隣接し、内壁面12bと同一直線上に配置されている。
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aは排気管11の内壁面12bと同一直線上に配置されている(図2参照)。これに対し本実施形態では、図17に示すように、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aは排気管11の内壁面12bよりも径方向外側に位置し、同一直線上よりも奥まった位置に配置されている。但し、噴射弁30の中心線Cおよび排気管11の中心線C1を含む断面で見た場合に、噴孔露出面50aの少なくとも一部は、冷却露出面61aと同一直線上に配置されている。より詳細には、噴孔露出面50aと冷却露出面61aとは互いに同一平面上に配置されている。
これによれば、冷却露出面61aに沿い第1配管部111の中心線C1方向に流れる排気が、噴孔露出面50aに沿って流すことを促進できる。よって、噴孔露出面50aに析出した尿素から発生する反応ガスが、排気とともに流されやすくなる。そのため、噴孔露出面50aに尿素が析出したとしても、その析出尿素の難溶性物質への変質が抑制される。
(第6実施形態)
上記第1実施形態では、第1配管部111の湾曲した内壁面11cに開口部110aが形成され、その開口部110aに溶接されている取付部12の内壁面12bも、内壁面11cと同一面上に沿うように湾曲している。その一方で、冷却露出面61aおよび噴孔露出面50aは同一平面上に拡がる平坦形状であり湾曲していない。これに対し本実施形態では、図18に示すように、排気管11に平面部113が形成されている。
平面部113の内壁面は平面形状に形成された平坦面113bに相当し、平面部113に形成された挿入穴113aに噴射弁30および冷却部材60が挿入されている。なお、噴射弁30の中心線Cと浄化装置20の中心線C2とが一致するように噴射弁30は配置されている。そして、噴孔露出面50aおよび冷却露出面61aは、平坦面113bと同一平面上に配置されている。
以上により、本実施形態によれば、噴孔露出面50aの少なくとも一部は、排気管11の内壁面のうち平面形状に形成された平坦面113bと同一平面上に配置されている。そのため、平坦面113bに沿って流れる排気が、冷却露出面61aおよび噴孔露出面50aに沿って流すことを促進できる。よって、噴孔露出面50aに析出した尿素から発生する反応ガスが、排気とともに流されやすくなり、噴孔露出面50aに尿素が析出したとしても、その析出尿素の難溶性物質への変質が抑制される。
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記第1実施形態では、噴孔露出面50aの少なくとも一部は、排気管11の内壁面12bと同一直線上に配置されている。詳細には、噴孔露出面50aと内壁面12bとの間には冷却露出面61aが介在しており、噴孔露出面50aと内壁面12bとは隣接配置されていない。これに対し、冷却露出面61aを廃止して、噴孔露出面50aと内壁面12bとを隣接配置させてもよい。
上記第1実施形態では、冷却露出面61aの外周縁部が曲げ加工により湾曲した形状になっているが、このような湾曲部を廃止した形状に形成し、冷却露出面61aの全体が内壁面12bと同一直線上に配置されている構成であってもよい。
上記第1実施形態では、噴孔露出面50aに環状溝52が形成されているが、このような環状溝52を廃止した形状に形成し、噴孔露出面50aの全体が内壁面12bと同一直線上に配置されている構成であってもよい。
各実施形態に係る尿素水噴射装置Dが適用される排気浄化システムは、噴射弁30から噴射された尿素水を拡散させる拡散板を備えていてもよいし、そのような拡散板を備えていなくてもよい。
上記第1実施形態では、第1流通部53および第2流通部54は、同一平面上に配置され、中心線Cに対して垂直に延びる形状である。これに対し、第1流通部53および第2流通部54は、中心線Cを含む断面視(図3参照)において、中心線Cに垂直な平面に対して傾斜する向きに延びる形状であってもよい。
上記第1実施形態では、噴孔部材50に形成される噴孔51の数は1つである。これに対し、複数の噴孔51を噴孔部材50に形成してもよい。例えば、複数の噴孔を1つの合流部55から分岐させ、合流部55内の尿素水が複数の噴孔へ分配されるように構成すればよい。
上記各実施形態では、第1貫通穴43(第1流路部)と第2貫通穴44(第2流路部)とが直接連通せずに分離しているが、これらの貫通穴43、44はプレート部材40で連通していてもよい。例えば、第1貫通穴43の第1通路43bの一端と、第2貫通穴44の第2通路44bの一端とが連通していてもよい。
上記第1実施形態では、ボデー31と噴孔部材50との間に隣接して配置されたプレート部材40に、第1貫通穴43(第1流路部)および第2貫通穴44(第2流路部)が形成されている。これに対し、プレート部材40を廃止して、ボデー31または噴孔部材50に貫通穴43、44が形成されていてもよい。