JP2019002826A - 風速計測装置及び変状評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大幅かつ非線形に変化する風速を正確に計測することができるとともに、評価対象物内の変状を正確に評価することができる風速計測装置及び変状評価装置を提供する。【解決手段】風速計測装置1は、風力Fに基づいて風速を計測する。可撓支持部3は、風力Fが作用する風力作用部2Aを支持する。たわみ量調整部4は、風力Fが作用する風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて、可撓支持部3のたわみ量を調整する。たわみ量調整部4は、風力作用部2Bに作用する風力Fが小さいときには、可撓支持部3のたわみ量が大きくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0を長くする。一方、たわみ量調整部4は、風力作用部2Bに作用する風力Fが大きいときには、可撓支持部3のたわみ量が小さくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0を短くする。【選択図】図2
Description
この発明は、風力に基づいて風速を計測する風速計測装置、及び評価対象物内を通過する風の風速に基づいて、この評価対象物内の変状を評価する変状評価装置に関する。
鉄道では、既存の風速計として、垂直な回転軸を中心に回転する複数の半球殻又は円錐殻の羽(風杯)によって風速を計測する風杯型風速計、プロペラ型の羽(風車)によって風速を計測する風車型風速計、受信部と発信部との間の超音波の伝搬時間を測定することによって風速を計測する超音波式風速計などが用いられている。従来の風速測定システムは、超音波を送信及び受信する第1及び第2の超音波送受信器をトンネルの長手方向の天井に所定の間隔をあけて配置してトンネル内の風速を測定している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の風速測定システムでは、第1の超音波送受信器から道路面に超音波を送信してこの道路面で反射する超音波を第2の超音波送受信器で受信するとともに、第2の超音波送受信器から道路面に超音波を送信してこの道路面で反射する超音波を第1の超音波送受信器で受信し、それぞれの超音波の伝搬時間差からトンネル内の風速を測定している。
近年、トンネル内を走行する列車が発生する列車風を利用して、トンネル覆工の変形を継続して長期間計測する変形計測方法が提案されている。しかし、トンネル内の風速を測定するときには、列車の走行に伴って発生する列車風がこの列車の走行に伴って大幅かつ非線形に時系列で変化する。従来の風速計では、風速の最大値が計測レンジ(計測可能範囲)に入る風速計を用いていたため、測定結果に計測誤差が大きかった。このため、トンネル内の風速の変化を正確に把握することが困難であった。
この発明の課題は、大幅かつ非線形に変化する風速を正確に計測することができるとともに、評価対象物内の変状を正確に評価することができる風速計測装置及び変状評価装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図3に示すように、風力(F)に基づいて風速を計測する風速計測装置であって、風力が作用する第1及び第2の風力作用部(2A,2B)と、前記第1の風力作用部を支持する可撓支持部(3)と、前記第2の風力作用部に作用する風力の大きさに応じて、前記可撓支持部のたわみ量を調整するたわみ量調整部(4)とを備える風速計測装置(1)である。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図3に示すように、風力(F)に基づいて風速を計測する風速計測装置であって、風力が作用する第1及び第2の風力作用部(2A,2B)と、前記第1の風力作用部を支持する可撓支持部(3)と、前記第2の風力作用部に作用する風力の大きさに応じて、前記可撓支持部のたわみ量を調整するたわみ量調整部(4)とを備える風速計測装置(1)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の風速計測装置において、前記可撓支持部は、複数の支点(3b,3c)で支持されたはり部(3a)によって前記第1の風力作用部を支持し、前記たわみ量調整部は、前記可撓支持部の支点間距離(L0)を可変することによって、この可撓支持部のたわみ量を調整することを特徴とする風速計測装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の風速計測装置において、図3に示すように、前記たわみ量調整部は、前記第2の風力作用部に作用する風力が小さいときには、前記可撓支持部のたわみ量が大きくなるようにこの可撓支持部の支点間距離を長くし、前記第2の風力作用部に作用する風力が大きいときには、前記可撓支持部のたわみ量が小さくなるようにこの可撓支持部の支点間距離を短くすることを特徴とする風速計測装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、図1及び図2に示すように、前記たわみ量調整部は、前記第2の風力作用部に作用する風力の大きさに応じてこの第2の風力作用部が移動するように、この第2の風力作用部を移動自在にガイドするガイド部(4d)と、前記可撓支持部の支点(3c)の位置が変化するように、この支点とともに往復移動するスライド部(4a)と、前記第2の風力作用部の移動に連動して前記スライド部を移動させる連動部(4e)とを備えることを特徴とする風速計測装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、図1及び図2に示すように、前記たわみ量調整部は、前記第2の風力作用部に作用する風力と逆方向に、この第2の風力作用部に復元力を作用させる復元力作用部(4f)を備えることを特徴とする風速計測装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、図1、図2、図4及び図7に示すように、前記可撓支持部の支点(3c)の変位(x)を検出する支点変位検出部(5)の検出結果と、前記可撓支持部に発生する変形を検出する変形検出部(6)の検出結果とに基づいて、風速を演算する風速演算部(7d)を備えることを特徴とする風速計測装置である。
請求項7の発明は、図6、図7及び図10に示すように、評価対象物(T;G)内を通過する風(W)の風速に基づいて、この評価対象物内の変状(T4;T5)を評価する変状評価装置において、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の風速計測装置(1)が計測する風速に基づいて、前記評価対象物内の変状を評価する変状評価部(8c)を備えることを特徴とする変状評価装置(8)である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の変状評価装置において、図6に示すように、前記変状評価部は、前記評価対象物(T)の内壁の変形を評価することを特徴とする変状評価装置である。
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載の変状評価装置において、前記風速計測装置は、前記評価対象物がトンネル(T)であるときに、このトンネル内を移動体(V)が移動するときにこのトンネル内に発生する風(W)の風速を計測し、前記変状評価部は、前記トンネルの内壁の変形を評価することを特徴とする変状評価装置である。
請求項10の発明は、請求項7に記載の変状評価装置において、図10に示すように、前記変状評価部は、前記評価対象物(G)内の詰まりを評価することを特徴とする変状評価装置である。
請求項11の発明は、請求項7又は請求項10に記載の変状評価装置において、前記風速計測装置は、前記評価対象物がトンネル樋(G)であるときに、このトンネル樋内を通過する風(W)の風速を計測し、前記変状評価部は、前記トンネル樋内の詰まりを評価することを特徴とする変状評価装置である。
この発明によると、大幅かつ非線形に変化する風速を正確に計測することができるとともに、評価対象物内の変状を正確に評価することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1及び図2に示す風Wは、空気の流れである。風Wは、例えば、列車の走行に伴って発生する列車風などである。設置面Sは、風速計測装置1を設置する部分である。設置面Sは、例えば、風速計測装置1を支持する構造物の表面などである。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1及び図2に示す風Wは、空気の流れである。風Wは、例えば、列車の走行に伴って発生する列車風などである。設置面Sは、風速計測装置1を設置する部分である。設置面Sは、例えば、風速計測装置1を支持する構造物の表面などである。
風速計測装置1は、風力Fに基づいて風速を計測する装置である。風速計測装置1は、風力Fが作用したときに発生する変形を検出し、この変形に基づいて風速を計測する。ここで、風力Fは、構造物に風Wが作用することによって発生する荷重(風荷重)であり、列車の走行によって構造物に作用する風圧などである。風速計測装置1は、例えば、列車風のような非線形に変化する風Wに追従して計測レンジを自動的に補正することによって風速を計測可能な計測レンジ自動制御風速計である。風速計測装置1は、図3(A)に示すように、風力Fが小さいときにはたわみ量を大きくすることによって高感度で風速を測定可能であり、図3(B)に示すように風力Fが大きいときにはたわみ量が小さくても高分解能で風速を計測可能である。風速計測装置1は、風力Fが大き過ぎるときには、たわみ量が大きくなり過ぎないようにたわみ量を調整して、この風速計測装置1の破損を防止する。風速計測装置1は、図1及び図2に示す風力作用部2A,2Bと、図1〜図3に示す可撓支持部3と、たわみ量調整部4と、図1、図2及び図4に示す支点変位検出部5と、図1〜図4に示す変形検出部6と、図1、図2及び図4に示す風速演算装置7などを備えている。風速計測装置1は、風力Fの大きさに応じて可撓支持部3のたわみ量を調整し、この可撓支持部3に発生する変形を検出して、この変形に基づいて風速を演算する。風速計測装置1は、例えば、風Wが通過可能な流路を有する収容体内に収容されている。
図1及び図2に示す風力作用部2A,2Bは、風力Fが作用する手段である。風力作用部2A,2Bは、風Wを受ける受風板であり、風Wを受ける受風面の面積がいずれも同一である。風力作用部2A,2Bは、風力Fの大きさに応じて水平方向(図2に示すD11,D12方向)に移動可能である。風力作用部2Aは、可撓支持部3のはり部3aをたわませるために必要な荷重をこのはり部3aに作用させる。風力作用部2Bは、可撓支持部3の支点間距離L0を可変するために必要な荷重をたわみ量調整部4のスライド部4aに作用させる。風力作用部2A,2Bは、これらの風力作用部2A,2Bに作用する風力Fが増加するとD11方向に移動し、風力作用部2A,2Bに作用する風力Fが低下するとD11方向とは逆方向のD12方向に移動する。
図1〜図3に示す可撓支持部3は、風力作用部2Aを支持する手段である。可撓支持部3は、風力作用部2Aを両端支持はり(両端単純支持はり)によって支持する。可撓支持部3は、はり部3aと、支点3b,3cと、固定端3dなどを備えている。可撓支持部3は、複数の支点3b,3cで支持されたはり部3aによって風力作用部2Aを支持している。
はり部3aは、風力作用部2Aに風力Fが作用したときにたわむ部分である。はり部3aは、風力作用部2Aに風力Fが作用したときに、支点3bと支点3cとの間でたわむように、風力作用部2Aを支持した状態で支点3b,3cの二点で支持されている。はり部3aは、このはり部3aの長さ方向と直交する平面で切断したときの断面形状がこのはり部3aの長さ方向において一定である。はり部3aは、例えば、風力作用部2Aに作用する風力Fに応じてたわむ可撓性を有する金属又は合成樹脂などである。はり部3aは、例えば、断面形状が多角形の柱状又は板状部材や、円形又は楕円形の中実又は中空の柱状部材である。
支点3b,3cは、はり部3aを支持する部分である。支点3b,3cは、この支点3b,3cにおいてはり部3aに曲げモーメントが作用しないようにこのはり部3aを回転自在に支持する。支点3bは、はり部3aの端部を支持する固定支点であり、設置面S又はガイド部4bなどに固定部材によって固定されている。支点3cは、支点3bと固定端3dとの間ではり部3aを支持する可動支点であり、スライド部4aと一体となって垂直方向(図2に示すD21,D22方向)に移動可能なようにこのスライド部4aに支持されている。支点3cは、はり部3aとの間に微小な隙間を形成してこのはり部3aと摺動可能な軸受であり、はり部3aに曲げモーメントが作用しないようにこの支点3cにおいてはり部3aを支持している。固定端3dは、はり部3aの端部を固定支持する部分である。固定端3dは、はり部3aの支点3b側とは反対側の端部を設置面Sに固定している。
たわみ量調整部4は、風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて、可撓支持部3のたわみ量を調整する手段である。たわみ量調整部4は、図1及び図2に示すように、可撓支持部3の支点間距離L0を可変することによって、この可撓支持部3のたわみ量を調整する。ここで、支点間距離L0は、支点3bと支点3cとの間の距離である。たわみ量調整部4は、図2に示すように、風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて、はり部3aの長さ方向に支点3cを移動することによって支点間距離L0を可変する。たわみ量調整部4は、図3(A)に示すように、風力作用部2Bに作用する風力Fが小さいときには、可撓支持部3のたわみ量が大きくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0を長くする。一方、たわみ量調整部4は、図3(B)に示すように、風力作用部2Bに作用する風力Fが大きいときには、可撓支持部3のたわみ量が小さくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0を短くする。たわみ量調整部4は、図2に示すように、風力作用部2Bに作用する風力Fを駆動源として、はり部3aの支点間距離L0を可変してたわみ量を調整する。たわみ量調整部4は、図1〜図3に示すスライド部4aと、図1及び図2に示すガイド部4bと、図1〜図3に示すストッパ部4cと、図1及び図2に示すガイド部4dと、連動部4eと、復元力作用部4fなどを備えている。
図1〜図3に示すスライド部4aは、可撓支持部3の支点3cの位置が変化するように、この支点3cとともに往復移動する手段である。スライド部4aは、図1及び図2に示すように、可撓支持部3の支点間距離L0が変化するように、この可撓支持部3に沿って往復移動する。スライド部4aは、図2に示すように、可撓支持部3のはり部3aの長さ方向に沿ってD21,D22方向に移動可能である。スライド部4aは、可撓支持部3のはり部3aをガイドするガイドポールとして機能し、支点3cを支持した状態で移動する。スライド部4aは、可撓支持部3のはり部3aが貫通する貫通孔を有し、このはり部3aに対して摺動する軸受を備えている。スライド部4aは、図1に示すように、風力作用部2Bに風力Fが作用していないときには基準位置(原点)P0に位置し、図2に示すように風力作用部2Bに風力Fが作用しているときには移動位置P1に位置する。スライド部4aは、風力作用部2Bに作用する風力Fが増加すると、復元力作用部4fが発生する復元力に抗してこの風力作用部2Bに作用する風力FによってD21方向に移動する。一方、スライド部4aは、風力作用部2Bに作用する風力Fが低下すると、復元力作用部4fから作用する復元力によってD21方向とは逆方向のD22方向に移動する。
図1及び図2に示すガイド部4bは、スライド部4aを移動自在にガイドする手段である。ガイド部4bは、このガイド部4bの長さ方向が設置面Sに対して直交するようにこの設置面Sに固定されている剛体であり、可撓支持部3のはり部3aに対して平行に配置されている。ガイド部4bは、スライド部4aを水平姿勢で支持した状態でこのスライド部4aをガイドする。ガイド部4bは、可撓支持部3のはり部3aが貫通する側とは反対側のスライド部4aの端部を支持している。ガイド部4bは、例えば、スライド部4aがスライド自在に嵌合するガイドレールに沿ってこのスライド部4aを進退自在にガイドするリニアガイド装置などである。図1〜図3に示すストッパ部4cは、スライド部4aの可動範囲を所定範囲内に規制する手段である。ストッパ部4cは、スライド部4aが基準位置P0よりも下方に移動するのを規制するガイド止めとして機能する。
図1及び図2に示すガイド部4dは、風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じてこの風力作用部2Bが移動するように、この風力作用部2Bを移動自在にガイドする手段である。ガイド部4dは、このガイド部4dの長さ方向が設置面Sに対して平行になるようにこの設置面Sに固定されている剛体である。ガイド部4dは、例えば、風力作用部2Bがスライド自在に嵌合するガイドレールに沿ってこの風力作用部2Bを進退自在にガイドするリニアガイド装置などである。
連動部4eは、風力作用部2Bの移動に連動してスライド部4aを移動させる手段である。連動部4eは、風力作用部2Bに作用する風力Fをたわみ量調整部4に伝達する。連動部4eは、風力作用部2Bの往復動作に連動してスライド部4aを往復動作させる。連動部4eは、連結部材4gとガイド部材4hなどを備えている。連結部材4gは、風力作用部2Bとスライド部4aとを連結する部材である。連結部材4gは、例えば、一方の端部が風力作用部2Bに連結され他方の端部が復元力作用部4fに連結されるワイヤなどである。ガイド部材4hは、連結部材4gをガイドする部材である。ガイド部材4hは、例えば、連結部材4gを巻き掛けるガイドローラなどである。ガイド部材4hは、設置面Sに固定される固定部材に回転自在に支持されている。
復元力作用部4fは、風力作用部2Bに作用する風力Fと逆方向に、この風力作用部2Bに復元力を作用させる手段である。復元力作用部4fは、風力作用部2Bに作用する風力Fが低下したときに、この風力作用部2BがD22方向に移動してこの風力作用部2Bが元の位置に復帰するように、この風力Fの作用方向とは反対方向にこの風力作用部2Bに復元力を作用させる。復元力作用部4fは、図2に示すように、風力作用部2Bに風力Fが作用したときに、この風力作用部2Bの移動量に対してスライド部4aの移動量が所定範囲内になるようにこのスライド部4aに引張力を作用させる。復元力作用部4fは、例えば、弾性力(ばね力)を発生するばね、減衰力を発生する減衰器(ダッシュポット)又はこれらの組み合わせであり、風力作用部2Bに衝撃的な風力Fが作用したときに衝撃を緩和する緩衝装置(バッファ)として機能する。復元力作用部4fは、風速に応じた硬さ(ヤング率)を有する弾性材である。復元力作用部4fは、一方の端部が連結部材4gに接続されており、他方の端部が設置面Sに接続されている。
図1、図2及び図4に示す支点変位検出部5は、支点3cの変位を検出する手段である。支点変位検出部5は、図2に示すように、支点3cがスライド部4aとともに基準位置P0から移動位置P1まで移動した距離を支点変位xとして検出する。支点変位検出部5は、スライド部4aの可動範囲内でこのスライド部4aの位置を計測可能なようにガイド部4bに取り付けられている。支点変位検出部5は、例えば、高周波磁界内にスライド部4aが存在するときに発生するセンサヘッド内のコイルのインピーダンス変化に基づいて、スライド部4aの変位を測定する渦電流式変位センサなどである。支点変位検出部5は、支点3cの支点変位xを支点変位検出信号(支点変位情報)として図4に示す制御部7kに出力する。
図1〜図4に示す変形検出部6は、可撓支持部3に発生する変形を検出する手段である。変形検出部6は、風力作用部2Aに風力Fが作用したときに可撓支持部3に発生する曲げ変形を検出して、この曲げ変形をひずみとして検出する。変形検出部6は、図1〜図3に示すように、支点3bと支点3cとの間で最も曲げモーメントが大きくなる風力作用部2Aの近傍に配置されている。変形検出部6は、図1〜図3に示すように、風力作用部2Aとスライド部4aとの間における可撓支持部3のひずみ検出位置(ひずみ計測位置)P2に取り付けられている。変形検出部6は、例えば、可撓支持部3のひずみを電気信号に変換して出力するひずみゲージなどである。変形検出部6は、可撓支持部3の変形をひずみ検出信号(ひずみ情報)として図4に示す制御部7kに出力する。
図1、図2及び図4に示す風速演算装置7は、風速を演算する装置である。風速演算装置7は、可撓支持部3の支点3cの変位を検出する支点変位検出部5の検出結果と、支点変位検出部5の検出結果と変形検出部6の検出結果とに基づいて風速を演算する。風速演算装置7は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、風速演算プログラムに従って所定の処理を実行する。風速演算装置7は、図4に示すように、信号入力部7aと、支点変位情報記憶部7bと、ひずみ情報記憶部7cと、風速演算部7dと、風速情報記憶部7eと、演算条件設定部7fと、演算条件情報記憶部7gと、送受信部7hと、風速演算プログラム記憶部7iと、表示部7jと、制御部7kなどを備えている。
図4に示す信号入力部7aは、支点変位検出部5が出力する支点変位検出信号と、変形検出部6が出力するひずみ検出信号とが入力する手段である。信号入力部7aは、支点変位検出部5及び変形検出部6が出力する電気信号(アナログ信号)からノイズ成分を除去するフィルタ回路と、このアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器などを備えている。信号入力部7aは、支点変位検出部5が出力する支点変位検出信号と、変形検出部6が出力するひずみ検出信号とを制御部7kに出力する。信号入力部7aは、例えば、支点変位検出部5及び変形検出部6から制御部7kに支点変位検出信号及びひずみ検出信号を入力させるインタフェース(I/F)回路などである。
支点変位情報記憶部7bは、支点変位検出部5が出力する支点変位情報を記憶する手段である。支点変位情報記憶部7bは、例えば、支点変位検出部5が出力する支点変位情報を時系列順に記憶するメモリである。ひずみ情報記憶部7cは、変形検出部6が出力するひずみ情報を記憶する手段である。ひずみ情報記憶部7cは、例えば、変形検出部6が出力するひずみ情報を支点変位情報と対応させて時系列順に記憶するメモリである。
風速演算部7dは、支点変位検出部5の検出結果と変形検出部6の検出結果とに基づいて風速を演算する手段である。風速演算部7dは、支点変位検出部5が出力する支点変位検出信号と、変形検出部6が出力するひずみ検出信号とに基づいて風速を演算する。ここで、図1〜図3に示すひずみ検出位置P2における曲げモーメントMは、以下の数1によって表される。
ここで、数1に示すL1は、図1及び図2に示す基準位置P0からひずみ検出位置P2までの検出点距離であり既知の定数である。L2は、支点3bから風力Fの作用点までの作用点距離であり既知の定数である。L3は、図2に示す基準位置P0から支点3bまでの支点距離であり既知の定数である。xは、支点変位検出部5が検出する基準位置P0から移動位置P1まで支点3cが移動した支点距離である。図1及び図2に示すひずみ検出位置P2におけるひずみεは、以下の数2によって表される。
ここで、数2に示すZは、はり部3aの断面係数であり、Eははり部3aのヤング率であり、ZEははり部3aの材料特性を示す既知の定数である。風速演算部7dは、風力作用部2Aに作用する風力Fを以下の数3によって演算する。
風速演算部7dは、支点変位情報記憶部7bが記憶する支点変位xに関する支点変位情報と、ひずみ情報記憶部7cが記憶するひずみεに関するひずみ情報と、演算条件情報記憶部7gが記憶する検出点距離L1、作用点距離L2、支点距離L3、断面係数Z、ヤング率E及び関数ν(F)に関する演算条件情報とに基づいて、風力作用部2Aに作用する風力Fを演算する。風速演算部7dは、数3によって風力Fを演算した後に、この風力Fの関数である風速ν(F)によって風速νを演算する。ここで、関数ν(F)は、風力作用部2A,2Bの受風面の面積によって異なる値を示す関数である。風速演算部7dは、演算後の風速νを風速情報として制御部7kに出力する。風速情報記憶部7eは、風速演算部7dが演算した風速情報を記憶する手段である。風速情報記憶部7eは、例えば、風速演算部7dが出力する風速情報を支点変位情報及びひずみ情報と対応させて時系列順に記憶するメモリである。
演算条件設定部7fは、風速を演算するために必要な演算条件を設定する手段である。演算条件設定部7fは、数3に示すような検出点距離L1、作用点距離L2、支点距離L3、断面係数Z、ヤング率E及び関数ν(F)などの風速νの演算に必要な諸元を演算条件情報として設定する。演算条件設定部7fは、例えば、使用者の手動操作によって演算条件情報を入力する入力装置又は補助入力装置などである。演算条件設定部7fは、設定後の演算条件を演算条件信号(演算条件情報)として制御部7kに出力する。演算条件情報記憶部7gは、演算条件設定部7fが設定した演算条件情報を記憶する手段である。演算条件情報記憶部7gは、例えば、演算条件設定部7fが出力する演算条件情報を記憶するメモリである。
送受信部7hは、風速計測装置1と他の装置との間で種々の情報を送受信する手段である。送受信部7hは、例えば、支点変位情報記憶部7bが記憶する支点変位情報、ひずみ情報記憶部7cが記憶するひずみ情報、及び風速情報記憶部7eが記憶する風速情報などを外部装置の送受信部に無線又は有線によって送信する送受信装置などである。
風速演算プログラム記憶部7iは、風速を演算するための風速演算プログラムを記憶する手段である。風速演算プログラム記憶部7iは、情報記録媒体から読み取った風速演算プログラム、又は電気通信回線を通じて取り込まれた風速演算プログラムなどを記憶するメモリである。表示部7jは、種々の情報を表示する手段である。表示部7jは、例えば、風速演算部7dが演算した風速情報及び演算条件情報記憶部7gが記憶する演算条件情報などを画面上に表示する表示装置などである。
制御部7kは、風速演算装置7に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部7kは、例えば、風速演算プログラム記憶部7iから風速演算プログラムを読み出してこの風速演算プログラムに従って所定の演算処理を実行したり、信号入力部7aが出力する支点変位情報及びひずみ情報を支点変位情報記憶部7b及びひずみ情報記憶部7cに出力したり、支点変位情報及びひずみ情報の記憶を支点変位情報記憶部7b及びひずみ情報記憶部7cに指令したり、支点変位情報記憶部7b及びひずみ情報記憶部7cから支点変位情報及びひずみ情報を読み出して風速演算部7dに出力したり、演算条件設定部7fが出力する演算条件情報を演算条件情報記憶部7gに出力したり、演算条件情報記憶部7gに演算条件情報の記憶を指令したり、演算条件情報記憶部7gから演算条件情報を読み出して風速演算部7dに出力したり、風速演算部7dに風速の演算を指令したり、風速演算部7dが出力する風速情報を風速情報記憶部7eに出力したり、風速情報記憶部7eに風速情報の記憶を指令したり、支点変位情報記憶部7b、ひずみ情報記憶部7c及び風速情報記憶部7eから支点変位情報、ひずみ情報及び風速情報を読み出してこれらの情報の送信を送受信部7hに指令したり、表示部7jに種々の情報の表示を指令したりする。制御部7kには、信号入力部7a、支点変位情報記憶部7b、ひずみ情報記憶部7c、風速演算部7d、風速情報記憶部7e、演算条件設定部7f、演算条件情報記憶部7g、送受信部7h、風速演算プログラム記憶部7i及び表示部7jなどが相互に通信可能なように接続されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る風速計測装置の作用を説明する。
図1に示すように、風力作用部2Aが風Wを受けると、風力作用部2Bもこの風Wを同時に受けて、風力作用部2A,2Bに風力Fが作用する。このため、図2に示すように、風力作用部2Aを支持する可撓支持部3のはり部3aがたわむとともに、風力作用部2Bがガイド部4dにガイドされながらD11方向に移動する。風力作用部2BがD11方向に移動すると、復元力作用部4fから風力作用部2Bに作用する復元力に抗して連動部4eの連結部材4gに引張力が作用する。このため、ガイド部4bにガイドされながらスライド部4aが基準位置P0からD21方向に移動すると、スライド部4aと一体となって支点3cもD21方向に移動して、可撓支持部3のはり部3aの支点3bに向かって支点3cが移動して支点間距離L0が短くなる。風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて支点3cの支点変位xが変化するため、この風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて可撓支持部3のはり部3aのたわみ量も変化する。
図1に示すように、風力作用部2Aが風Wを受けると、風力作用部2Bもこの風Wを同時に受けて、風力作用部2A,2Bに風力Fが作用する。このため、図2に示すように、風力作用部2Aを支持する可撓支持部3のはり部3aがたわむとともに、風力作用部2Bがガイド部4dにガイドされながらD11方向に移動する。風力作用部2BがD11方向に移動すると、復元力作用部4fから風力作用部2Bに作用する復元力に抗して連動部4eの連結部材4gに引張力が作用する。このため、ガイド部4bにガイドされながらスライド部4aが基準位置P0からD21方向に移動すると、スライド部4aと一体となって支点3cもD21方向に移動して、可撓支持部3のはり部3aの支点3bに向かって支点3cが移動して支点間距離L0が短くなる。風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて支点3cの支点変位xが変化するため、この風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて可撓支持部3のはり部3aのたわみ量も変化する。
図3(A)に示すように、風Wが弱く風力作用部2A,2Bに作用する風力Fが比較的小さいときには、スライド部4aがD21方向に殆ど移動しない。このため、可撓支持部3のはり部3aの支点間距離L0が長くなって、このはり部3aのたわみ量が大きくなるようにたわみ量調整部4が調整する。支点間距離L0が長くなると、風Wが弱く比較的小さな風力Fが風力作用部2Aに作用しても、可撓支持部3のはり部3aのたわみ量が大きくなる。可撓支持部3のはり部3aのたわみが大きくなると、このはり部3aの変形が大きくなるため、このはり部3aに発生するひずみが変形検出部6によって正確に計測される。このため、変形検出部6が出力するひずみ検出信号に基づいて風速演算部7dによって風速が高精度に演算される。
一方、図3(B)に示すように、風Wが強く風力作用部2A,2Bに作用する風力Fが比較的大きいときには、スライド部4aがD21方向に大きく移動する。このため、可撓支持部3のはり部3aの支点間距離L0が短くなって、このはり部3aのたわみ量が小さくなるようにたわみ量調整部4が調整する。支点間距離L0が短くなると、風Wが強く比較的大きな風力Fであっても可撓支持部3のはり部3aのたわみ量が小さくなる。可撓支持部3のはり部3aのたわみが小さくこのはり部3aの変形が小さくても、はり部3aに発生するひずみが変形検出部6によって十分な精度で計測される。このため、変形検出部6が出力するひずみ検出信号に基づいて風速演算部7dによって風速が高精度に演算される。風速が強く風力Fが大きいときには、支点間距離L0が短くなって可撓支持部3のはり部3aに大きなたわみが発生しない。このため、可撓支持部3のはり部3aが塑性変形することがなく、風速計測装置1の損傷が防止される。
風力作用部2A,2Bに作用する風力Fが低下すると、風力作用部2Bに作用する風力Fより復元力作用部4fが風力作用部2Bに作用させる復元力のほうが大きくなる。このため、図2に示す風力作用部2BがD12方向に移動して元の位置で待機するとともに、スライド部4aがD22方向に移動してストッパ部4cに接触し、スライド部4aが基準位置P0で停止する。
この発明の第1実施形態に係る風速計測装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、風力作用部2A,2Bに風力Fを作用させて、 この風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて、この風力作用部2Aを支持する可撓支持部3のたわみ量をたわみ量調整部4が調整する。このため、風力Fの大きさに応じて可撓支持部3のたわみ量を自動的に調整することができ、大幅かつ非線形に時系列に変化する風速を正確に計測することができる。その結果、可撓支持部3のたわみ量を調整することによって、風速の大小に関わらず風速を正確に計測することができる。例えば、急激に風速が上昇した後に急激に風速が下降するような風速の変化が非常に大きい列車風を高精度に計測することができる。
(1) この第1実施形態では、風力作用部2A,2Bに風力Fを作用させて、 この風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じて、この風力作用部2Aを支持する可撓支持部3のたわみ量をたわみ量調整部4が調整する。このため、風力Fの大きさに応じて可撓支持部3のたわみ量を自動的に調整することができ、大幅かつ非線形に時系列に変化する風速を正確に計測することができる。その結果、可撓支持部3のたわみ量を調整することによって、風速の大小に関わらず風速を正確に計測することができる。例えば、急激に風速が上昇した後に急激に風速が下降するような風速の変化が非常に大きい列車風を高精度に計測することができる。
(2) この第1実施形態では、複数の支点3b,3cで支持されたはり部3aによって風力作用部2Aを支持し、この可撓支持部3の支点間距離L0を可変することによって、この可撓支持部3のたわみ量をたわみ量調整部4が調整する。このため、可撓支持部3を簡単で単純なはり構造によって構成し、はり部3aの支点間距離L0を風力Fの大きさに応じて変更して、このはり部3aのたわみ量を簡単に調整することができる。その結果、風速の変化に応じて計測レンジを変化させることができ、変化の大きい風速を容易に計測することができる。
(3) この第1実施形態では、風力作用部2Bに作用する風力Fが小さいときには、可撓支持部3のたわみ量が大きくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0をたわみ量調整部4が長くする。また、この第1実施形態では、風力作用部2Bに作用する風力Fが大きいときには、可撓支持部3のたわみ量が小さくなるようにこの可撓支持部3の支点間距離L0をたわみ量調整部4が短くする。このため、風力Fの大きさに関わらず風速を高精度に計測することができる。また、風力Fが大きくてもはり部3aのたわみ量が小さくなるため、はり部3aが塑性変形して風速計測装置1のレンジアウト(故障)するのを防ぐことができる。
(4) この第1実施形態では、風力作用部2Bに作用する風力Fの大きさに応じてこの風力作用部2Bが移動するように、この風力作用部2Bを移動自在にガイド部4bがガイドする。また、この第1実施形態では、可撓支持部3の支点3cの位置が変化するように、この支点3cとともにスライド部4aが往復移動する。さらに、この第1実施形態では、風力作用部2Bの移動に連動してスライド部4aを連動部4eが移動させる。このため、風力作用部2Bに作用する風力Fを利用して、可撓支持部3の支点3cの位置を簡単に可変することができる。また、風力Fの大きさに応じて支点3cの位置を変更して支点間距離L0を調整することができ、可撓支持部3のたわみ量を簡単に調整することができる。
(5) この第1実施形態では、風力作用部2Bに作用する風力Fと逆方向に、この風力作用部2Bに復元力作用部4fが復元力を作用させる。このため、風力作用部2Bに作用する風力Fが低下したときに、風力作用部2Bを元の位置に迅速に復帰させることができる。
(6) この第1実施形態では、可撓支持部3の支点3cの変位を検出する支点変位検出部5の検出結果と、可撓支持部3に発生する変形を検出する変形検出部6の検出結果とに基づいて、風速演算部7dが風速を演算する。このため、例えば、可撓支持部3の支点3cの位置とこの可撓支持部3のひずみとを検出することによって風速を高精度に演算することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5及び図6に示すトンネルTは、変状評価装置8によって内部の変状T4が評価される評価対象物である。トンネルTは、二地点間の交通及び物資のお輸送を目的として上部に地山を残して建設される細長い通路であり、山腹などの地中を貫通して車両Vを通過させるための固定構造物(土木構造物)である。トンネルTは、地山の変形及び崩落を抑制及び防止するとともに漏水を防ぎ、トンネルT内の所要断面及び機能を維持するトンネル覆工である。トンネルTは、図5に示すように、このトンネルTの上端面を構成する天端(クラウン)T1と、このトンネルTの上半分を構成する半円状のアーチ部T2と、このトンネルTの下半分の両側部分を構成する側壁T3などを備えている。図6(B)に示す変状T4は、トンネルT内の変形である。変状T4は、例えば、地殻変動による偏圧又は断層変位によるトンネルTの内壁の天端T1又はアーチ部T2の変形である。図5及び図6に示す軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。軌道Rは、二本の本線で構成された複線、又は一本の本線で構成された単線である。車両Vは、軌道Rに沿って移動する移動体である。車両Vは、例えば、トンネルT内を走行する鉄道車両などの列車である。
以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5及び図6に示すトンネルTは、変状評価装置8によって内部の変状T4が評価される評価対象物である。トンネルTは、二地点間の交通及び物資のお輸送を目的として上部に地山を残して建設される細長い通路であり、山腹などの地中を貫通して車両Vを通過させるための固定構造物(土木構造物)である。トンネルTは、地山の変形及び崩落を抑制及び防止するとともに漏水を防ぎ、トンネルT内の所要断面及び機能を維持するトンネル覆工である。トンネルTは、図5に示すように、このトンネルTの上端面を構成する天端(クラウン)T1と、このトンネルTの上半分を構成する半円状のアーチ部T2と、このトンネルTの下半分の両側部分を構成する側壁T3などを備えている。図6(B)に示す変状T4は、トンネルT内の変形である。変状T4は、例えば、地殻変動による偏圧又は断層変位によるトンネルTの内壁の天端T1又はアーチ部T2の変形である。図5及び図6に示す軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。軌道Rは、二本の本線で構成された複線、又は一本の本線で構成された単線である。車両Vは、軌道Rに沿って移動する移動体である。車両Vは、例えば、トンネルT内を走行する鉄道車両などの列車である。
図5及び図6に示す風速計測装置1は、トンネルT内の列車風の風速を計測する。風速計測装置1は、例えば、トンネルTの天端T1を図1に示す設置面Sとして設置されている。風速計測装置1は、図5に示すように、トンネルT内を車両Vが通過するときに、このトンネルT内に発生する列車風の風速を計測する。風速計測装置1は、例えば、トンネルT内の変状T4の発生が予測される箇所に単数又は複数設置されている。風速計測装置1は、トンネルTと車両Vとの間の隙間を通過する風Wの風速を計測する。風速計測装置1は、例えば、トンネルT内を車両Vが通過する時刻に合わせて風速の計測を開始する。風速計測装置1は、計測後の風速を風速情報として送受信部7hから変状評価装置8の送受信部8aに送信する。
図6及び図7に示す変状評価装置8は、トンネルT内を通過する風Wの風速に基づいて、このトンネルT内の変状T4を評価する装置である。変状評価装置8は、トンネルT内を車両Vが通過するときに発生する風Wの風速の時間変化を計測することによって、このトンネルT内の変状T4を評価する。変状評価装置8は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、変状評価プログラムに従って所定の処理を実行する。変状評価装置8は、列車の運行状況を管理する中央制御所などに設置されている。変状評価装置8は、図7に示すように、送受信部8aと、風速情報記憶部8bと、変状評価部8cと、評価結果記憶部8dと、評価条件設定部8eと、評価条件情報記憶部8fと、変状評価プログラム記憶部8gと、表示部8hと、制御部8iなどを備えている。
図7に示す送受信部8aは、風速計測装置1と変状評価装置8との間で種々の情報を送受信する手段である。送受信部8aは、例えば、風速計測装置1の送受信部7hが送信する風速情報などを無線又は有線によって受信する送受信装置などである。風速情報記憶部8bは、送受信部8aが受信した風速情報を記憶する手段である。風速情報記憶部8bは、例えば、送受信部8aが出力する風速情報を時系列順に記憶するメモリである。
変状評価部8cは、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネルT内の変状T4を評価する手段である。変状評価部8cは、図5(B)に示すように、トンネルTの内壁の変形T4を評価する。変状評価部8cは、トンネルTと車両Vとの間の隙間を通過する風Wの風速がトンネルTの変形によって変化するため、風速計測装置1が出力する時系列順の風速情報に基づいて、トンネルT内の変状T4の有無を評価する。変状評価部8cは、トンネルT内を移動する車両Vの速度が一定であるときには列車風の流量が一定であるため、このトンネルTの内壁の変形量dA1を以下の数4によって演算する。
ここで、数4に示すν11は、風速計測装置1が計測するトンネルTの内壁の変形後の風速である。ν10は、風速計測装置1が計測するトンネルTの内壁の変形前の風速である。A10は、トンネルTと車両Vとの間の隙間(間隔)である。変状評価部8cは、風速計測装置1が初期状態で計測したトンネルTの内壁の変形前の風速ν10と、風速計測装置1が継続して計測するトンネルTの内壁の変形後の風速ν11とに基づいて、数4によってトンネルTの内壁の変形量dA1を演算する。変状評価部8cは、トンネルT内に変状T4が発生しているか否かを変形量dA1に基づいて評価し、この評価結果を評価信号(評価情報)として制御部8iに出力する。評価結果記憶部8dは、変状評価部8cが評価した評価結果を記憶する手段である。評価結果記憶部8dは、例えば、変状評価部8cが出力する評価情報を時系列順に記憶するメモリである。
評価条件設定部8eは、変状T4を評価するために必要な評価条件を設定する手段である。評価条件設定部8eは、トンネルTと車両Vとの間の隙間A10などの変状T4の評価に必要な諸元を評価条件情報として設定する。評価条件設定部8eは、例えば、使用者の手動操作によって評価条件情報を入力する入力装置又は補助入力装置などである。評価条件設定部8eは、設定後の評価条件を評価条件信号(評価条件情報)として制御部8iに出力する。評価条件情報記憶部8fは、評価条件設定部8eが設定した評価条件情報を記憶する手段である。評価条件情報記憶部8fは、例えば、評価条件設定部8eが出力する評価条件情報を記憶するメモリである。
変状評価プログラム記憶部8gは、トンネルT内の変状T4を評価するための変状評価プログラムを記憶する手段である。変状評価プログラム記憶部8gは、情報記録媒体から読み取った風速演算プログラム、又は電気通信回線を通じて取り込まれた変状評価プログラムなどを記憶するメモリである。表示部8hは、種々の情報を表示する手段である。表示部8hは、例えば、変状評価部8cの評価結果などを画面上に表示する表示装置などである。
制御部8iは、変状評価装置8に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部8iは、例えば、変状評価プログラム記憶部8gから変状評価プログラムを読み出してこの変状評価プログラムに従って所定の演算処理を実行したり、送受信部8aが出力する風速情報を風速情報記憶部8bに出力したり、風速情報の記憶を風速情報記憶部8bに指令したり、風速情報記憶部8bから風速情報を読み出して変状評価部8cに出力したり、評価条件設定部8eが出力する評価条件情報を評価条件情報記憶部8fに出力したり、評価条件情報記憶部8fに評価条件情報の記憶を指令したり、評価条件情報記憶部8fから評価条件情報を読み出して変状評価部8cに出力したり、変状評価部8cに変状T4の評価を指令したり、変状評価部8cが出力する評価情報を評価結果記憶部8dに出力したり、評価結果記憶部8dに評価結果の記憶を指令したり、表示部8hに種々の情報の表示を指令したりする。制御部8iには、送受信部8a、風速情報記憶部8b、変状評価部8c、評価結果記憶部8d、評価条件設定部8e、評価条件情報記憶部8f、変状評価プログラム記憶部8g及び表示部8hなどが相互に通信可能なように接続されている。
次に、この発明の第2実施形態に係る変状評価装置の作用を説明する。
図5(A)に示すように、トンネルTの内壁が変形していないときには、このトンネルTと車両Vとの間の隙間A10に変化がなく、これらの間の風速も変化しない。このため、トンネルTの内壁の変形量dA1を変状評価部8cが演算すると変形量dA1がほぼゼロであり、トンネルTの内壁に変状T4が発生していないと変状評価部8cが評価する。一方、図5(B)に示すように、トンネルTの内壁が変形するとこのトンネルTと車両Vとの間の隙間A10が狭くなって、これらの間の風速が変化して速くなる。このため、トンネルTの内壁の変形量dA1を変状評価部8cが演算すると変形量dA1がある値を示し、トンネルTの内壁に変状T4が発生していると変状評価部8cが評価する。
図5(A)に示すように、トンネルTの内壁が変形していないときには、このトンネルTと車両Vとの間の隙間A10に変化がなく、これらの間の風速も変化しない。このため、トンネルTの内壁の変形量dA1を変状評価部8cが演算すると変形量dA1がほぼゼロであり、トンネルTの内壁に変状T4が発生していないと変状評価部8cが評価する。一方、図5(B)に示すように、トンネルTの内壁が変形するとこのトンネルTと車両Vとの間の隙間A10が狭くなって、これらの間の風速が変化して速くなる。このため、トンネルTの内壁の変形量dA1を変状評価部8cが演算すると変形量dA1がある値を示し、トンネルTの内壁に変状T4が発生していると変状評価部8cが評価する。
この発明の第2実施形態に係る変状評価装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネルT内の変状T4を変状評価部8cが評価する。このため、トンネルT内の非常に大きな列車風の風速の変化を風速計測装置1によって正確に計測することができる。また、車両Vが通過していない時間帯である深夜などにトンネルT内に立ち入って、トンネルTの内壁の変形などを作業員が目視で観察する必要がなくなって、メンテナンス作業を軽減することができる。
(1) この第2実施形態では、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネルT内の変状T4を変状評価部8cが評価する。このため、トンネルT内の非常に大きな列車風の風速の変化を風速計測装置1によって正確に計測することができる。また、車両Vが通過していない時間帯である深夜などにトンネルT内に立ち入って、トンネルTの内壁の変形などを作業員が目視で観察する必要がなくなって、メンテナンス作業を軽減することができる。
(2) この第2実施形態では、トンネルTの内壁の変状T4を変状評価部8cが評価する。このため、例えば、地殻変動による偏圧や断層変位によるトンネルTの内壁の変形の有無を正確に評価することができる。
(3) この第2実施形態では、トンネルT内を車両Vが移動するときにこのトンネルT内に発生する風Wの風速を風速計測装置1が計測し、このトンネルTの内壁の変状T4を変状評価部8cが評価する。このため、風速計測装置1によって高精度に計測された風速に基づいて、トンネルTの内壁の変形などを正確に評価することができる。
(第3実施形態)
図8〜図10に示すトンネル樋Gは、変状評価装置8によって内部の変状T5が評価される評価対象物である。トンネル樋Gは、トンネルT内に発生する漏水を集めて排水する構造物であり、トンネルT内のレール又は架線への漏水を防止する。トンネル樋Gは、図9(B)及び図10(B)に示すように、断面形状が略U字状の鉄製又は合成樹脂製の樋である。トンネル樋Gは、図8に示すように、トンネルTのアーチ部T2及び側壁T3に沿って配置されており、漏水を収集して側壁T3の下部に排出する。トンネル樋Gは、このトンネル樋G内に風Wを導入する導入口と、このトンネル樋G内の風Wが排出する排出口などを備えている。図10に示す変状T5は、トンネル樋G内の詰まりである。変状T5は、例えば、トンネルTの内壁のコンクリート中のカルシウム塩又はアルカリ塩の析出物、トンネル樋G内に流入した噴泥又は土砂、トンネルTの内壁に発生する鉄バクテリアなどの汚れである。
図8〜図10に示すトンネル樋Gは、変状評価装置8によって内部の変状T5が評価される評価対象物である。トンネル樋Gは、トンネルT内に発生する漏水を集めて排水する構造物であり、トンネルT内のレール又は架線への漏水を防止する。トンネル樋Gは、図9(B)及び図10(B)に示すように、断面形状が略U字状の鉄製又は合成樹脂製の樋である。トンネル樋Gは、図8に示すように、トンネルTのアーチ部T2及び側壁T3に沿って配置されており、漏水を収集して側壁T3の下部に排出する。トンネル樋Gは、このトンネル樋G内に風Wを導入する導入口と、このトンネル樋G内の風Wが排出する排出口などを備えている。図10に示す変状T5は、トンネル樋G内の詰まりである。変状T5は、例えば、トンネルTの内壁のコンクリート中のカルシウム塩又はアルカリ塩の析出物、トンネル樋G内に流入した噴泥又は土砂、トンネルTの内壁に発生する鉄バクテリアなどの汚れである。
図8〜図10に示す風速計測装置1は、トンネル樋G内の風Wの風速を計測する。風速計測装置1は、例えば、トンネル樋G内のトンネルTの壁面を図1に示す設置面Sとして、図8に示すようにこのトンネル樋Gの長さ方向に所定の間隔をあけて設置されている。風速計測装置1は、トンネル樋G内を通過する風Wの風速を計測する。風速計測装置1は、例えば、トンネルT内を車両Vが移動するときにトンネル樋G内を通過する列車風の風速を計測、又はトンネル樋Gに送風したときにこのトンネル樋G内を通過する送風の風速を計測する。風速計測装置1は、トンネルT内を車両Vが通過する時刻、又はトンネル樋G内に送風する送風装置が動作を開始する時刻に合わせて、風速の計測を開始する。
図8に示す変状評価装置8は、トンネル樋G内の風速に基づいてこのトンネル樋G内の変状T5を評価する装置である。変状評価装置8は、トンネル樋G内を通過する風Wの風速の時間変化を計測することによってこのトンネル樋G内の変状T5を評価する。
変状評価部8cは、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネル樋G内の変状T5を評価する手段である。変状評価部8cは、トンネル樋G内の詰まりを評価する。変状評価部8cは、トンネルTとトンネル樋Gとの間の隙間を通過する風Wの風速がトンネル樋G内の詰まりによって変化するため、風速計測装置1が出力する時系列順の風速情報に基づいてトンネル樋G内の詰まりの有無を評価する。変状評価部8cは、トンネル樋G内を通過する風Wの流量が一定であるときには、このトンネル樋G内の詰まりの原因となる変状T5の厚さdA2を以下の数5によって演算する。
ここで、数5に示すν21は、トンネル樋G内の詰まり発生後の風速であり、ν20はトンネル樋G内の詰まり発生前の風速であり、A20はトンネル樋GとトンネルTとの間の隙間(間隔)である。変状評価部8cは、風速計測装置1が初期状態で計測したトンネル樋G内の詰まり発生前の風速ν20と、風速計測装置1が継続して計測するトンネル樋G内の詰まり発生後の風速ν21とに基づいて、数5によってトンネル樋G内の変状T5の厚さdA2を演算する。変状評価部8cは、トンネル樋G内に変状T5が発生しているか否かを厚さdA2に基づいて評価し、この評価結果を評価信号(評価情報)として制御部8iに出力する。
次に、この発明の第3実施形態に係る変状評価装置の作用を説明する。
図9に示すように、トンネル樋G内に変状T5に起因する詰りが発生していないときには、このトンネル樋GとトンネルTとの間の隙間A20に変化がなく、これらの間の風速も変化しない。このため、トンネル樋G内の変状T5の厚さdA2を変状評価部8cが演算すると変状T5の厚さdA2がほぼゼロであり、トンネル樋G内に変状T5が発生していないと変状評価部8cが評価する。一方、図10に示すように、トンネル樋G内に変状T5に起因する詰りが発生するとこのトンネル樋GとトンネルTとの間の間隔が狭くなって、これらの間の風速が変化して速くなる。このため、トンネル樋G内の変状T5の厚さdA2を変状評価部8cが演算すると変状T5の厚さdA2がある数値を示し、トンネル樋G内に変状T5が発生していると変状評価部8cが評価する。
図9に示すように、トンネル樋G内に変状T5に起因する詰りが発生していないときには、このトンネル樋GとトンネルTとの間の隙間A20に変化がなく、これらの間の風速も変化しない。このため、トンネル樋G内の変状T5の厚さdA2を変状評価部8cが演算すると変状T5の厚さdA2がほぼゼロであり、トンネル樋G内に変状T5が発生していないと変状評価部8cが評価する。一方、図10に示すように、トンネル樋G内に変状T5に起因する詰りが発生するとこのトンネル樋GとトンネルTとの間の間隔が狭くなって、これらの間の風速が変化して速くなる。このため、トンネル樋G内の変状T5の厚さdA2を変状評価部8cが演算すると変状T5の厚さdA2がある数値を示し、トンネル樋G内に変状T5が発生していると変状評価部8cが評価する。
この発明の第3実施形態に係る変状評価装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネル樋G内の変状T5を変状評価部8cが評価する。このため、トンネル樋G内の非常に大きな風Wの風速の変化を風速計測装置1によって正確に計測することができる。また、作業員が目視によって確認不可能なトンネル樋G内の詰まりを計測することができる。また、トンネル樋G内に詰りが発生して導水性能が低下しているトンネル樋Gのみを交換することができ、無駄な交換作業により発生するコストを削減することができる。
(1) この第3実施形態では、風速計測装置1が計測する風速に基づいて、トンネル樋G内の変状T5を変状評価部8cが評価する。このため、トンネル樋G内の非常に大きな風Wの風速の変化を風速計測装置1によって正確に計測することができる。また、作業員が目視によって確認不可能なトンネル樋G内の詰まりを計測することができる。また、トンネル樋G内に詰りが発生して導水性能が低下しているトンネル樋Gのみを交換することができ、無駄な交換作業により発生するコストを削減することができる。
(2) この第3実施形態では、トンネル樋G内の詰まりを変状評価部8cが評価する。このため、例えば、トンネルTの内壁とトンネル樋Gとの間に発生する汚れなどに起因するトンネル樋G内の詰まりの有無を正確に評価することができる。
(3) この第3実施形態では、トンネル樋G内を通過する風Wの風速を前記風速計測装置1が計測し、このトンネル樋G内の詰まりを変状評価部8cが評価する。このため、風速計測装置1によって高精度に計測された風速に基づいて、トンネル樋G内の詰まりを正確に評価することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、風Wが列車風である場合を例に挙げて説明したが、列車風以外の風速を計測する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、可撓支持部3が両端支持はりである場合を例に挙げて説明したが、このようなはり構造にこの発明を限定するものではない。例えば、一端支持他端固定はり、両端固定はり、一端張り出しはり、両端張り出しはり、ゲルバーばり又は連続ばりなどのはり構造についても、この発明を適用することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、風Wが列車風である場合を例に挙げて説明したが、列車風以外の風速を計測する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、可撓支持部3が両端支持はりである場合を例に挙げて説明したが、このようなはり構造にこの発明を限定するものではない。例えば、一端支持他端固定はり、両端固定はり、一端張り出しはり、両端張り出しはり、ゲルバーばり又は連続ばりなどのはり構造についても、この発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、スライド部4aの変位を支点変位検出部5によって検出する場合を例に挙げて説明したが、このような変位検出方法にこの発明を限定するものではない。例えば、風力作用部2B又は連結部材4gの変位を接触式変位計又はワイヤ式変位計などの変位検出部によって検出する場合や、風力計によって計測した風力Fと復元力作用部4fの剛性(ヤング率)又はばね定数とに基づいて支点変位xを検出する場合などについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、風力作用部2Aの近傍のひずみ検出位置P2に変形検出部6を取り付けてひずみを検出する場合を例に挙げて説明したが、はり部3aの任意の検出位置に変形検出部6を取り付けてひずみを検出する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、風力作用部2A,2Bの受風面の面積がいずれも同一である場合を例に挙げて説明したが、これらの受風面の面積が異なる場合についても、この発明を適用することができる。例えば、はり部3aの曲げ剛性及び支点間距離L0、復元力作用部4fの硬さなどを調整することによって、風力作用部2A,2Bの受風面の面積を任意に設定することができる。
(3) この第2実施形態及び第3実施形態では、トンネルT内を列車が移動する場合を例に挙げて説明したが、自動車などの他の移動体がトンネルT内を移動する場合についても、この発明を適用することができる。また、この第2実施形態及び第3実施形態では、トンネルTの天端T1を設置面Sとして風速計測装置1を設置する場合を例に挙げて説明したが、トンネル樋Gの下面に風速計測装置1を設置する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この第2実施形態及び第3実施形態では、演算条件設定部7fを風速演算装置7が備える場合を例に挙げて説明したが、風速演算装置7の構造を限定するものではない。例えば、変状評価装置8側の演算条件設定部7fによって演算条件を設定し、変状評価装置8側の送受信部8aから風速演算装置7側の送受信部7hに演算条件情報を送信して、この演算条件情報を演算条件情報記憶部7gに記憶させる場合についても、この発明を適用することもできる。
(4) この第2実施形態では、トンネルTの天端T1に風速計測装置1を設置する場合を例に挙げて説明したが、アーチ部T2又は側壁T3に風速計測装置1を設置して、トンネルTと車両Vとの間の隙間を通過す列車風の風速を計測する場合についても、この発明を適用することができる。また、この第2実施形態では、トンネルTの内壁の変形量dA1に基づいてトンネルTの内壁の変状T4を変状評価部8cが評価しているが、このような評価方法にこの発明を限定するものではない。例えば、風速が所定値を超えているときには、トンネルTの内壁に変状T4が発生していると変状評価部8cが評価し、風速が所定値以下であるときには、トンネルTの内壁に変状T4が発生していないと変状評価部8cが評価する場合についても、この発明を適用することができる。同様に、この第3実施形態では、トンネル樋G内の変状T5の厚さdA2に基づいてトンネル樋G内の変状T5を変状評価部8cが評価しているが、このような評価方法にこの発明を限定するものではない。例えば、風速が所定値を超えているときには、トンネル樋G内に変状T5が発生していると変状評価部8cが評価し、風速が所定値以下であるときには、トンネル樋G内に変状T5が発生していないと変状評価部8cが評価する場合についても、この発明を適用することができる。
1 風速計測装置
2A 風力作用部(第1の風力作用部)
2B 風力作用部(第2の風力作用部)
3 可撓支持部
3a はり部
3b,3c 支点
3d 固定端
4 たわみ量調整部
4a スライド部
4b ガイド部
4c ストッパ部
4d ガイド部
4e 連結部
4f 復元力作用部
4g 連結部材
4h ガイド部材
5 支点変位検出部
6 変形検出部
7 風速演算装置
7d 風速演算部
8 変状評価装置
8c 変状評価部
W 風
F 風力
S 設置面
L0 支点間距離
P0 基準位置
P1 移動位置
P2 ひずみ検出位置
L0 支点間距離
L1 検出点距離
L2 作用点距離
L3 支点距離
x 支点変位
T トンネル(評価対象物)
T4,T5 変状
R 軌道
V 車両(移動体)
G トンネル樋(評価対象物)
dA1 変形量
dA2 厚さ
2A 風力作用部(第1の風力作用部)
2B 風力作用部(第2の風力作用部)
3 可撓支持部
3a はり部
3b,3c 支点
3d 固定端
4 たわみ量調整部
4a スライド部
4b ガイド部
4c ストッパ部
4d ガイド部
4e 連結部
4f 復元力作用部
4g 連結部材
4h ガイド部材
5 支点変位検出部
6 変形検出部
7 風速演算装置
7d 風速演算部
8 変状評価装置
8c 変状評価部
W 風
F 風力
S 設置面
L0 支点間距離
P0 基準位置
P1 移動位置
P2 ひずみ検出位置
L0 支点間距離
L1 検出点距離
L2 作用点距離
L3 支点距離
x 支点変位
T トンネル(評価対象物)
T4,T5 変状
R 軌道
V 車両(移動体)
G トンネル樋(評価対象物)
dA1 変形量
dA2 厚さ
Claims (11)
- 風力に基づいて風速を計測する風速計測装置であって、
風力が作用する第1及び第2の風力作用部と、
前記第1の風力作用部を支持する可撓支持部と、
前記第2の風力作用部に作用する風力の大きさに応じて、前記可撓支持部のたわみ量を調整するたわみ量調整部と、
を備える風速計測装置。 - 請求項1に記載の風速計測装置において、
前記可撓支持部は、複数の支点で支持されたはり部によって前記第1の風力作用部を支持し、
前記たわみ量調整部は、前記可撓支持部の支点間距離を可変することによって、この可撓支持部のたわみ量を調整すること、
を特徴とする風速計測装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の風速計測装置において、
前記たわみ量調整部は、
前記第2の風力作用部に作用する風力が小さいときには、前記可撓支持部のたわみ量が大きくなるようにこの可撓支持部の支点間距離を長くし、
前記第2の風力作用部に作用する風力が大きいときには、前記可撓支持部のたわみ量が小さくなるようにこの可撓支持部の支点間距離を短くすること、
を特徴とする風速計測装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、
前記たわみ量調整部は、
前記第2の風力作用部に作用する風力の大きさに応じてこの第2の風力作用部が移動するように、この第2の風力作用部を移動自在にガイドするガイド部と、
前記可撓支持部の支点の位置が変化するように、この支点とともに往復移動するスライド部と、
前記第2の風力作用部の移動に連動して前記スライド部を移動させる連動部とを備えること、
を特徴とする風速計測装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、
前記たわみ量調整部は、前記第2の風力作用部に作用する風力と逆方向に、この第2の風力作用部に復元力を作用させる復元力作用部を備えること、
を特徴とする風速計測装置。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の風速計測装置において、
前記可撓支持部の支点の変位を検出する支点変位検出部の検出結果と、前記可撓支持部に発生する変形を検出する変形検出部の検出結果とに基づいて、風速を演算する風速演算部を備えること、
を特徴とする風速計測装置。 - 評価対象物内を通過する風の風速に基づいて、この評価対象物内の変状を評価する変状評価装置において、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の風速計測装置が計測する風速に基づいて、前記評価対象物内の変状を評価する変状評価部を備えること、
を特徴とする変状評価装置。 - 請求項7に記載の変状評価装置において、
前記変状評価部は、前記評価対象物の内壁の変形を評価すること、
を特徴とする変状評価装置。 - 請求項7又は請求項8に記載の変状評価装置において、
前記風速計測装置は、前記評価対象物がトンネルであるときに、このトンネル内を移動体が移動するときにこのトンネル内に発生する風の風速を計測し、
前記変状評価部は、前記トンネルの内壁の変形を評価すること、
を特徴とする変状評価装置。 - 請求項7に記載の変状評価装置において、
前記変状評価部は、前記評価対象物内の詰まりを評価すること、
を特徴とする変状評価装置。 - 請求項7又は請求項10に記載の変状評価装置において、
前記風速計測装置は、前記評価対象物がトンネル樋であるときに、このトンネル樋内を通過する風の風速を計測し、
前記変状評価部は、前記トンネル樋内の詰まりを評価すること、
を特徴とする変状評価装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017118500A JP2019002826A (ja) | 2017-06-16 | 2017-06-16 | 風速計測装置及び変状評価装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017118500A JP2019002826A (ja) | 2017-06-16 | 2017-06-16 | 風速計測装置及び変状評価装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019002826A true JP2019002826A (ja) | 2019-01-10 |
Family
ID=65006009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017118500A Pending JP2019002826A (ja) | 2017-06-16 | 2017-06-16 | 風速計測装置及び変状評価装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019002826A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109900323A (zh) * | 2019-02-27 | 2019-06-18 | 李伟健 | 一种基于多风险源叠加的三防风险评估装置 |
-
2017
- 2017-06-16 JP JP2017118500A patent/JP2019002826A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109900323A (zh) * | 2019-02-27 | 2019-06-18 | 李伟健 | 一种基于多风险源叠加的三防风险评估装置 |
CN109900323B (zh) * | 2019-02-27 | 2023-05-23 | 深圳市安亿通科技发展有限公司 | 一种基于多风险源叠加的三防风险评估装置 |
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