JP2019000152A - 超音波診断装置及びモード遷移方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波診断装置において、ドプラモードへ自動的に遷移させる。
【解決手段】先に演算され且つ既に設定されたサンプルゲート位置214に基づいて安定判定範囲220が設定される。現在演算されたサンプルゲート位置222が安定判定範囲220に属する場合に安定が判定される。具体的には、サンプルゲート位置214からサンプルゲート位置222までの距離が半径β以下の場合に安定が判定される。安定がn(但しnは1以上の整数)回連続して判定された場合に、自動的にドプラモードへ遷移させる制御が実行される。
【選択図】図21
【解決手段】先に演算され且つ既に設定されたサンプルゲート位置214に基づいて安定判定範囲220が設定される。現在演算されたサンプルゲート位置222が安定判定範囲220に属する場合に安定が判定される。具体的には、サンプルゲート位置214からサンプルゲート位置222までの距離が半径β以下の場合に安定が判定される。安定がn(但しnは1以上の整数)回連続して判定された場合に、自動的にドプラモードへ遷移させる制御が実行される。
【選択図】図21
Description
本発明は超音波診断装置に関し、特にドプラモードへの自動的な遷移を生じさせる技術に関する。
超音波診断装置は、生体に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する医療装置である。超音波診断装置における動作モード(又は診断モード)として、Bモード、CFM(Color Flow Mapping)モード、ドプラ(Doppler)モード等が知られている。ドプラモードとしては、PW(Pulsed Wave Doppler)モード及びCW(Continuous Wave Doppler)モードが知られている。更に、高調波成分イメージングモードや三次元モード等も知られている。
上記CFMモードでは、白黒の断層画像(組織画像)上にカラーの血流画像が重畳表示される。血流画像は、二次元の速度分布又はパワー分布を表す画像である。以下においては、血管(頚動脈、下肢動脈等)の超音波検査について説明する。
Bモードの実行状態において、画面上に表示された断層画像内に対象血管の断面が適切に現れるように、プローブの位置及び姿勢が調整される。その後、CFMモードが実行され、これによって白黒の断層画像上にカラーの血流画像が重畳表示される。CFMモードでは、組織観測用超音波ビームの走査と血流観測用超音波ビームの走査とが並行して実行される。血流観測用超音波ビームは、通常、プローブ中心軸から一定角度傾けられる(ステアリングされる)。つまり、ステアリングされた血流観測用超音波ビームが走査される。その走査範囲は、関心領域(ROI:Region of Interest)によって定められる。関心領域は、血流を観測する走査方向範囲及び深さ方向範囲を定めるものである。
続いて、検査者により所定操作がなされると、リアルタイム表示されている画像(断層画像及び血流画像)上に、サンプルゲートを表すマーカー(又はカーソル)が表示される。画像上でマーカーを動かすことにより、マーカーが血管内における所望の観測点に位置決められる。典型的には、狭窄部位の内部にマーカーが設定される。サンプルゲートは、ドプラ情報を取得又は抽出する区間である。それは、観念的には、生体中の血流の内部に設定されるものであるが、実際上は、受信信号における信号抽出区間である。サンプルゲート内から取り出された信号(ドプラ情報)を周波数解析することにより、パワースペクトルが生成される。個々の時刻で生成された各パワースペクトルを輝度列として表現することにより、ドプラ波形が生成される。ドプラ波形の横軸は時間軸であり、その縦軸はドプラシフト周波数つまり血流速度を表す。パワースペクトルにおける周波数ごとのパワー成分が輝度によって表現される。
なお、CFMモードの実行中においてドプラモードをONにした時点で、CFMモードが自動的に終了する場合と、CFMモードとドプラモードとが同時並行的に実行される場合とがある。上記サンプルゲートはサンプルボリューム又はレンジゲートとも言われる。上記関心領域はカラーROI又はカラーボックスとも言われる。
特許文献1には、サンプルボリューム及びカラーボックスを自動的に設定する超音波診断装置が開示されている。その装置では、血流中心経路において質量中心に最も近い位置が特定され、その位置がサンプルボリューム位置として特定されている。続いて、質量中心がカラーボックス中心に一致するように、カラーボックスが設定されている。
特許文献2には、サンプルゲートを自動的に設定する超音波診断装置が開示されている。その装置では、カラーデータ又は白黒データに基づいて血管領域(血管セグメント)が抽出されており、その中心位置又はその近傍にサンプルゲートが設定されている。サンプルゲートサイズは血管サイズに基づいて決定されている。
特許文献3の第0054段落以下には、組織画像及び血流画像に基づいてサンプルゲートを自動的に設定する超音波診断装置が開示されている。その装置では、まず組織画像に基づいて基準部位が特定され、その基準部位に基づいて解析範囲が特定される。血流画像上に基づいて解析範囲内の最大流速点が特定される。その最大流速点がサンプルゲート位置とされている。
特許文献4には、血管壁に応じてレンジゲートの位置を自動的に調整する超音波診断装置が開示されている。
特許文献5には、ドプラモードへの自動遷移機能を有する超音波診断装置が開示されている。その装置では、複合モード(ドプラモードとBモード等との組み合わせ)の実行開始後において、その経過時間がタイマにより計測されており、その計測された経過時間が所定時間に到達した場合にドプラモードへ自動遷移する制御が実行されている。経過時間の計測中において、Bモード画像等において動きが検出された場合にタイマがリセットされている。
従来、サンプルゲート設定後においてドプラモードの実行を開始させるためには、検査者が所定のボタン操作を行う必要がある。そのような操作は、検査者にとって負担となるものであり、検査時間の短縮化の妨げとなるものである。そこで、サンプルゲート設定後において、状況次第でドプラモードへの遷移を自動化することが望まれる。特に、適切なタイミングでその遷移が行われるようにすることが望まれる。
なお、特許文献5に記載された超音波診断装置においては、Bモード画像等において動きが検出された場合にタイマがリセットされている。それに関しては、サンプルゲートとは無関係の変化を検出してしまう可能性やサンプルゲートに直接関連する変化を見逃してしまう可能性を指摘できる。
本発明の目的は、サンプルゲート設定後においてドプラモードへの遷移が自動的に行われるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、サンプルゲート位置が安定した段階でドプラモードへの遷移が自動的に行われるようにすることにある。
(1)実施形態に係る超音波診断装置は、超音波ビームの走査を繰り返すことによって時間軸上に並ぶ複数の血流データを取得する送受波手段と、前記複数の血流データに基づいて複数のサンプルゲート情報を順次演算する演算手段と、前記複数のサンプルゲート情報の時間的な変化に基づいてドプラモードへの遷移を制御する制御手段と、を含む。
上記構成によれば、複数のサンプルゲート情報の時間的な変化に基づいてドプラモードへの自動的な遷移が実行される。例えば、サンプルゲート情報について安定が認められる場合、ドプラモードへの遷移が判定される。個々のサンプルゲート情報は個々の血流データに基づいて演算される情報であって、ドプラモードへの自動的な遷移の可否を判断する際の指標となるものである。
実施形態において、前記制御手段は、前記複数のサンプルゲート情報における先のサンプルゲート情報に基づいて安定判定範囲を設定する設定手段と、前記複数のサンプルゲート情報における現在のサンプルゲート情報が前記安定判定範囲に含まれる場合に安定を判定する判定手段と、前記安定の判定に基づいて前記ドプラモードへの遷移を実行する手段と、を含む。この構成によれば、先のサンプルゲート情報を基準として、現在のサンプルゲート情報が評価される。
実施形態において、前記各サンプルゲート情報は、ドプラモードにおいて機能するサンプルゲートを設定する位置として演算されたサンプルゲート位置であり、前記先のサンプルゲート情報としての先のサンプルゲート位置に基づいて前記安定判定範囲が設定され、前記現在のサンプルゲート情報としての現在のサンプルゲート位置が前記安定判定範囲に含まれる場合に前記安定が判定される。この構成によれば、先のサンプルゲート位置を基準として安定を判定する範囲が定められる。サンプルゲート位置の変化が乏しいような場合に安定が判定され、それに基づいてモード遷移が制御される。先のサンプルゲート位置は、演算されたが実際には利用されなかったサンプルゲート位置(計算上のサンプルゲート位置)であってもよいし、演算され且つ実際に利用されたサンプルゲート位置(設定されたサンプルゲート位置)であってもよい。
実施形態において、前記安定判定範囲は、表示座標系上において前記先のサンプルゲート位置を中心とした所定半径を有する円形範囲に相当し、前記先のサンプルゲート位置から前記現在のサンプルゲート位置までの距離が前記所定半径以下であれば前記安定が判定される。この構成によれば、距離と所定半径の大小比較により、安定か否かを簡便に判定することが可能である。
実施形態において、前記安定が連続して判定された回数が計数され、前記回数がn(但しnは2以上の整数)に達した場合に前記ドプラモードへの遷移が実行される。この構成によれば、空間的な安定と時間軸上の安定の両面を考慮して、安定判定精度を高められる。もっとも、1回目の安定が判定された時点で、モード遷移を実行するようにしてもよい。そのような構成によれば、ドプラモードへの速やかなる遷移を期待でき、検査時間をより短縮化できる。
実施形態に係る超音波診断装置は、前記複数の血流データに基づいて拍動を表すグラフを生成する手段と、前記グラフに基づいて各心拍周期内の所定時相を判定する手段と、を含み、前記先のサンプルゲート情報及び前記現在のサンプルゲート情報はいずれも前記所定時相に対応する情報である。血流像の現れ方は時相によって変化するので、上記構成によれば、判定に適する所定時相に対応する2つのサンプルゲート情報の間で安定を正しく判定することが可能となる。
(2)実施形態に係るモード遷移方法は、超音波ビーム走査の繰り返しによって取得された時間軸方向に並ぶ複数の血流データに基づいて、複数のサンプルゲート位置を順次演算する工程と、前記複数のサンプルゲート位置の時間的な変化に基づいて、ドプラモードへの遷移を判定する工程と、前記ドプラモードへの遷移が判定された場合に、その時点で設定された又はそれ以前に設定されたサンプルゲートを機能させる工程と、を含む。
この方法は、ハードウエアの機能としてあるいはソフトウエアの機能として実現され得る。後者の場合、モード遷移方法を実行するプログラムがネットワークを介して又は可搬型記憶媒体を介して超音波診断装置へインストールされ得る。
本発明によれば、サンプルゲート設定後においてドプラモードへの遷移が自動的に行われるので、検査者の負担が軽減され、また検査時間を短縮できる。あるいは、本発明よれば、サンプルゲート位置が安定した段階でドプラモードへの遷移が自動的に行われる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)超音波診断装置の構成及び動作(図1〜図3)
図1には、超音波診断装置の構成がブロック図として示されている。この超音波診断装置は、病院等の医療機関に設置され、被検者を超音波診断する装置である。本実施形態において、被検部位は例えば頚動脈である。下肢動脈等の他の血管が診断対象となってもよい。
図1には、超音波診断装置の構成がブロック図として示されている。この超音波診断装置は、病院等の医療機関に設置され、被検者を超音波診断する装置である。本実施形態において、被検部位は例えば頚動脈である。下肢動脈等の他の血管が診断対象となってもよい。
図1において、プローブ10は超音波送受波器として機能するものであり、その送受波面が生体14の表面(例えば頸部)に当接される。生体14の内部には検査対象となる血管16が存在し、その内部は血流17である。プローブ10は、送受波手段として機能するアレイ振動子12を有する。アレイ振動子12は、直線的に配列された複数の振動素子からなる。アレイ振動子12として、2Dアレイ振動子が設けられてもよい。アレイ振動子12として、cMUT (Capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers)を用いてもよい。
Bモードにおいては、アレイ振動子12によって、組織観測用(Bモード用)の超音波ビームが形成され、それが電子的に走査される。本実施形態においては電子リニア走査方式が採用されている。組織観測用の超音波ビームは、通常、ステアリングされず、それは図1においてy’方向に平行に形成される。なお、x方向は電子走査方向であり、y方向は以下に説明するステアリングされた血流観測用の超音波ビームが向く方向であり、それは深さ方向である。電子リニア走査方式以外の電子走査方式が適用されてもよい。
CFMモードにおいては、アレイ振動子12によって、組織観測用の超音波ビームに加えて、血流観測用の超音波ビーム20が形成される。超音波ビーム20は、通常、ステアリングされ、つまり、それは偏向ビームである。図1において偏向角度はθ1である。偏向角度θ1を維持したまま、超音波ビーム20が直線的に走査される。
後に詳述するように、超音波ビーム20の初期走査制御によって得られた血流データに基づいて関心領域(ROI)18が自動的に設定される。ROI18の設定後においては、ROI18によって定義される走査範囲及び深さ範囲に基づいて、超音波ビーム20の走査が制御される。後に詳述するように、サンプルゲート24は、関心領域18内の超音波ビーム20の走査によって得られた二次元の血流データ、及び、Bモードに従う超音波ビームの走査によって得られた二次元の組織データに基づいて、自動的に設定される。サンプルゲート24は血流領域内に設定される。その実体は、受信信号中においてドプラ情報を切り出す区間である。符号22はサンプルゲート24を通過する方位を示している。
サンプルゲート24の設定後において、ドプラモードへ自動的に遷移する制御が実行される。これについても後に詳述する。なお、ドプラモードとしては、PWモード及びCWモードがあげられる。PWモードの実行過程においてCFMモードが同時並行的に実行されてもよい。
送受信部26は、送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する電子回路である。送信時において、送受信部26からアレイ振動子12へ複数の送信信号が供給される。これにより送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波がアレイ振動子12で受波される。これによりアレイ振動子12から送受信部26へ複数の受信信号が並列的に出力される。送受信部26は、複数のアンプ、複数のA/D変換器、複数の遅延回路、加算回路等を有する。送受信部26において、複数の受信信号が整相加算(遅延加算)されて、受信ビームに相当するビームデータが生成される。図示の構成例においては、送受信部26は、受信信号を検波する回路も有する。送受信部には、PWモード用の送受信回路も設けられている。
通常、超音波ビームの一回の走査当たり、1つの受信フレームデータ(二次元の組織データ又は二次元の血流データ)が取得される。1つの受信フレームデータは、走査方向に並ぶ複数のビームデータにより構成される。各ビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。PWモードの実行時には、サンプルゲートを通過するビーム方位に対応するビームデータが繰り返し取得される。
断層画像形成部28は、Bモードにおいて機能し、それは、第1のビームデータ処理回路、第1のDSC(デジタルスキャンコンバータ)等を有する。第1のビームデータ処理回路は、対数変換回路、相関処理回路、フィルタ処理回路等を有する。第1のビームデータ処理回路から出力されたビームデータ列(つまり受信フレームデータ)が第1のDSCへ送られ、同時に、演算制御部38へ送られている(図1において“B”を参照)。第1のDSCは、座標変換、補間処理等を実行する電子回路であり、そこから表示フレームデータ(Bモード断層画像データ)が出力される。その表示フレームデータが表示処理部34へ送られる。第1のDSCへ入力される受信フレームデータ及び第1のDSCから出力される表示フレームデータは、いずれも二次元画像に相当する組織データである。もっとも、前者は送受波座標系(Bモード送受波座標系)に従うデータであり、後者は表示座標系に従うデータである。組織データを構成する個々の画素データはエコー強度を表すものである。
血流画像形成部30は、CFMモード(カラードプラモード)において機能し、それは、第2のビームデータ処理回路、第2のDSC等を有する。第2のビームデータ処理回路は、ウォールモーションフィルタ、自己相関回路、速度演算回路、パワー演算回路等を有する。第2のビームデータ処理回路から出力されたビームデータ列(つまり受信フレームデータ)が第2のDSCへ送られ、同時に、演算制御部38へ送られている(図1において“C”を参照)。第2のDSCは上記第1のDSCと同様の機能を有する。第2のDSCへ入力される受信フレームデータ及び第2のDSCから出力される表示フレームデータは、いずれも二次元画像に相当する血流データである。もっとも、前者は送受波座標系(ステアリング送受波座標系)に従うデータであり、後者は表示座標系に従うデータである。血流データを構成する個々の画素データは血流速度を表すデータである。個々の画素データがドプラ情報のパワーを表すデータであってもよい。
なお、断層画像形成部28及び血流画像形成部30の内部には、それぞれデータを一時的に格納するシネメモリ(リングバッファ)が設けられている。座標変換前の組織データ及び血流データに代えて、座標変換後の組織データ及び血流データが、演算制御部38へ送られてもよい(図1において2つの破線を参照)。
ドプラ波形形成部32は、ドプラモード(具体的にはPWモード)において機能し、それは、ゲート回路、FFT回路、波形メモリ等を有する。ゲート回路は、ドプラ観測方位(図1において符号22を参照)において得られた各ビームデータの内でサンプルゲートに相当する期間内の信号(ドプラ情報)を取り出す回路である。取り出されたドプラ情報がFFT回路において周波数解析される。これによりパワースペクトルが得られる。時間軸上において順次得られたパワースペクトルをそれぞれ輝度列として表現することにより、ドプラ波形が生成される。ドプラ波形を示すデータが表示処理部34に送られる。そのデータは、必要に応じて、演算制御部38にも送られる。演算制御部38は、ドプラ波形のオートトレース処理や解析を行う機能を有している。
表示処理部34は、グラフィック画像生成機能、画像合成機能、カラー処理機能等を有する。グラフィック画像は、マーカー、カーソル等を含む画像である。演算制御部38においてグラフィック画像が生成されてもよい。表示器36には、Bモードにおいて、二次元組織画像(白黒断層画像)が表示される。CFMモードにおいては、二次元組織画像上に二次元カラー血流画像が重畳表示される。PWモードにおいては、表示器36にドプラ波形が表示される。ドプラ波形の解析結果やその計測結果も表示器36に表示される。表示器36は、例えば、LCDとして構成され、あるいは、有機ELデバイスとして構成される。
演算制御部38は、本実施形態において、CPU及び動作プログラムにより構成される。それが1又は複数のデバイス、1又は複数のプロセッサ、電子回路等によって構成されてもよい。演算制御部38は、図1に示されている各構成の動作を制御するものである。また、演算制御部38は、以下に図2を用いて説明する複数の機能を有する。演算制御部38には操作パネル40が接続されている。操作パネル40はトラックボール、複数のボタン、複数のスイッチ、キーボード等を備える入力デバイスである。
図2には、演算制御部38が有する複数の機能が複数のブロックによって表現されている。個々のブロックが専用のプロセッサ又はデバイスによって構成されてもよい。演算制御部38は、送受信制御機能、ROI設定機能、サンプルゲート設定機能、モード遷移制御機能、等を有している。以下にそれらの機能について具体的に説明する。
送受信制御部42は、図1に示した送受信部の制御を通じて、超音波の送受信を制御する手段である。選択された動作モードに応じたビーム走査等が実行されるように、送受信制御部42が超音波の送受信を制御している。送受信制御部42は、走査制御部42Aを有している。走査制御部42Aは、ROIの自動設定に先立って初期走査制御を実行し、ROIの自動設定後にROIに従う走査制御を実行する。その際においては、プリセットされたステアリング角度θ1が参照される。ステアリング角度θ1が血流データ及び組織データに基づいて自動的に設定されてもよい。ユーザー操作によってステアリング方向が反転されてもよいし、ステアリング角度θ1が変更されてもよい。
ROI(初期ROI、ROI)の自動設定においては、前処理部44、中心点演算部46及びROI設定部(更新部)48が機能する。前処理部44は、合成手段、加工手段及び除去手段として機能する。具体的には、前処理部44は、初期走査制御下において得られる複数の血流データを合成して合成血流データを生成する機能と、合成血流データを加工してその形態を走査方向に対称とする機能と、血流像の見かけ上のはみ出しが生じている場合にそのはみ出し部分を除去する機能と、を有する。なお、本実施形態において、血流データは、ドプラ観測用超音波ビームの走査により得られた受信フレームデータであり、それは座標変換前の血流画像に相当するものである。
中心点演算部46は、合成血流データ中の血流領域の中心点、及び、各血流データ中の血流領域の中心点を演算する手段である。それらの中心点は、血流領域の代表点である。ROI設定部(更新部)48は、血流領域の中心点をROI中心点としつつROIを設定し、またROIを更新する手段である。ROIの設定に際しては、プリセットされた走査方向ROI幅Wx,深さ方向ROI幅Wy及びステアリング角度θ1が参照される。それらのパラメータが血流データ及び組織データに基づいて自動的に決定されてもよい。なお、組織データは、組織観測用の超音波ビームの走査によって得られた受信フレームデータであり、それは座標変換前の組織画像に相当するものである。
波形生成部50は、時間軸上の複数の血流データに基づいて後述する波形(グラフ)を生成する手段である。ピーク判定部52は、波形における個々のピークを判定することにより心拍単位で所定時相(例えば拡張末期のやや後の時相)を判定する手段である。図示の構成例では、ピーク判定部52からROI設定部48及びゲート設定部62へ、所定時相を表すトリガ信号が出力されている。トリガ信号は、更新タイミング又は判定タイミングを示す信号である。
サンプルゲートの自動設定においては、最高流速点演算部54、中心点演算部56、選択部58、ゲートサイズ演算部60及びゲート設定部(更新部)62が機能する。最高流速点演算部54及び中心点演算部56が候補点演算手段として機能し、選択部58が候補点選択手段として機能し、ゲート設定部62がサンプルゲート設定手段として機能する。本実施形態においては、フレーム単位で血流領域内に属する複数の候補点が演算され、複数の候補点の評価結果からいずれかの候補点が選択される。選択された候補点がサンプルゲート位置(サンプルゲートの中心位置)となる。選択された候補点に基づいて、それとは異なる点として、サンプルゲート位置が定められてもよい。
より詳しくは、本実施形態において、第1候補点としての最高流速点と、第2候補点としての中心点と、が演算され、それらのいずれかがサンプルゲート位置とされる。狭窄部位が存在している場合、その内部にサンプルゲートを設定するのが望ましく、そのような観点から候補点群の中に最高流速点が含まれている。サンプルゲート位置が空間的にばらつくことを避けるためには安定的に生じる候補点を用意しておく必要があり、そのような観点から候補点群の中に中心点が含まれている。サンプルゲートがその本来の機能を発揮するのはドプラモードへの遷移後である。
最高流速点演算部54は、血流データに基づいて血流領域中の最高流速点を演算する手段である。もっとも、超音波診断装置において実際に観測できるのは、一般に、真のドプラ信号の内で超音波ビーム方向の成分である。中心点演算部56は、血流データに基づいて血流領域の中心点を演算する手段である。中心点は、例えば、血流領域の重心点、あるいは、血流領域における中間座標として定義される点、である。選択部58は選択手段として機能するものであり、その選択手段は方向演算手段及び評価手段を含む概念である。選択部58は、血流データ及び組織データに基づいて、最高流速点及び中心点をそれぞれ評価し、それらの評価結果から、いずれかの点を選択する。
ゲートサイズ演算部60は、サイズ演算手段として機能するものであり、それは、選択された点を通過する方位において血流像の幅を特定し、その幅に基づいてゲートサイズを演算する。ゲート設定部62はサンプルゲート設定手段として機能するものであり、それは、選択された点をサンプルゲート中心位置としつつ、演算されたゲートサイズを有するサンプルゲートを設定する。その際においては、プリセットされたステアリング角度θ1が参照される。サンプルゲートの設定(更新)は、ピーク判定部52からトリガ信号が得られたタイミングで、必要に応じて、実行される。
最高流速点演算部54、中心点演算部56、選択部58及びゲートサイズ演算部60は、フレーム単位で動作しているが、ゲート設定部62が設定動作を行うタイミングは、上記トリガ信号が入力された時点であり、つまり、個々の心拍における所定時相である。個々の心拍における所定時相限りにおいて、最高流速点演算部54等が動作するように制御してもよい。なお、所定時相ではなく、指定されたタイミングでサンプルゲートが演算及び設定されてもよい。
モード遷移制御においては、最高流速点演算部54、中心点演算部56、選択部58及びゲート設定部62がサンプルゲート情報演算手段として機能する。以下に説明する安定判定部66及び遷移制御部68が制御手段として機能する。本実施形態においては、サンプルゲートの安定の判定に当たって、サンプルゲート情報としてサンプルゲート位置が参照されているが、サンプルゲート位置が安定していることを示す他の情報が参照されてもよい。
安定判定部66には、複数のサンプルゲート位置を示す情報が順次入力されており、安定判定部66は、それらを監視し、サンプルゲート位置の時間的な変化が少ないことに基づいて、モード遷移を判定する。ここで、各サンプルゲート位置は、トリガ信号が生成された時点のものであり、1心拍離れた2つのサンプルゲート位置が比較されている。具体的には、先のサンプルゲート位置に基づいて安定判定範囲が定められ、現在のサンプルゲート位置が安定判定範囲に属する場合に安定が判定される。n回連続して安定が判定された場合(n心拍にわたって安定状態が続いた場合)に、モード遷移が判定される。遷移制御部68は、そのような事態を判定し、実際にモード遷移を実行する手段である。ドプラモードの実行開始に伴ってドプラ波形の表示が開始される。
角度補正部70は、サンプルゲート位置での補正角度を特定し、補正角度に基づいてドプラ波形の縦軸を補正する手段である。本実施形態においては、候補点ごとに流れ方向が演算されており、その流れ方向から補正角度が特定される。なお、表示画面上には、サンプルゲートを示すゲートマーカーと共に、その中心を横切る補正角度マーカーが表示される。なお、サンプルゲート位置、補正角度、その他のパラメータを、必要に応じて、マニュアルで修正することも可能である。
図3には、超音波診断装置の動作例がフローチャートとして示されている。S10においては、検査者によりBモードが選択され、あるいは、デフォルトの動作モードとしてBモードが自動的に選択される。検査者は、表示された断層画像を見ながら、断層画像の内部に対象血管の断面が含まれるように、プローブの位置及び姿勢を調整する。その後、S12において、検査者により、CFMモードの動作開始を指示する操作がなされる。S14においては、血流データに基づいて、ROIが自動的に設定され、その後、必要に応じて、設定されたROIが更新される。S16においては、必要に応じて、検査者によりステアリング角度が変更される。これに伴ってROIの形態が変化する。S18において、検査者により、サンプルゲートを模擬するカーソル(マーカー)を画面上に登場させる操作が行われる。それをトリガとして、S20において、血流データ及び組織データに基づいて、サンプルゲートが自動的に設定される。サンプルゲートは、一定の要件が満たされた時点で、自動的に更新される。S24では、サンプルゲートが安定状態にあるか否かが判断され、安定状態にあれば、S26においてPWモードへ自動的に遷移する。CWモードへ自動的に遷移してもよい。S28においては、ドプラ波形に対するオートトレース、オートトレース結果に基づく計測、等が実行される。
従来においては、ROIのマニュアル設定、サンプルゲートのマニュアル設定、及び、ドプラモード実行のためのマニュアル操作が必要であったが、上記実施形態においては、それらがすべて自動的に実行されるので、検査者の負担が大幅に軽減される。これにより検査者において画像観察へ集中できるという利点がもたらされる。また、検査時間を短縮できるので、被検者の負担を軽減できる。更に、ROIやサンプルゲートを客観的に設定でき、それらの設定において再現性を良好にできる、等の利点も得られる。
(2)ROIの自動設定(図4〜図14)
以下にROIの自動設定方法について詳しく説明する。その方法は図3に示したS14において実行されるものである。
以下にROIの自動設定方法について詳しく説明する。その方法は図3に示したS14において実行されるものである。
図4には、2つのビーム走査面が示されている。ビーム走査面71は、組織観測用の超音波ビームを電子走査することによって形成される。ビーム走査面71内には血管の断面74が含まれる。符号73は走査方向の全範囲を示している。ビーム走査面72は、ステアリングされた血流観測用の超音波ビーム75を電子走査することによって形成される。ステアリング角度はθ1である。CFMモードにおいては、一般に、ビーム走査面71とビーム走査面72とが同時進行で形成され、あるいは、それらが交互に形成される。
図5に示すように、初期走査制御においては、所定期間T1にわたって血流観測用の超音波ビームが繰り返し走査される。これにより、時間軸上において並ぶ複数の血流データ(複数の受信フレームデータ)F1〜Fnが得られる。所定期間T1は、例えば、平均的な1心拍期間のおよそ半分として定められ、それは例えば0.5秒である。一般に、1心拍内においては血流像の現れ方(位置や範囲)が大きく変化する。例えば、拡張末期又はその直後くらいの時相において血流像が最も良く現れる。そのような最良の血流像を取得でき、且つ、初期ROI設定の遅れをあまり生じさせないように、所定期間T1が定められる。初期走査制御においては、本実施形態では、走査方向の全範囲にわたって血流観測用の超音波ビームが走査される。もっとも、全範囲中の主要部分にわたってその走査が行われるようにしてもよい。
各血流データF1〜Fnには血流像R1〜Rnが含まれる。血流像R1〜Rnは一定以上の速度又はパワーを有するカラー部分に相当する。それらの内で、血流像R2は血管内部の全体に広がっており、血流像Rnはほとんど実体を有していない。本実施形態においては、所定期間T1内で得られた血流データF1〜Fnが合成される。具体的には加算される。これによって合成血流データが生成される。合成血流データには、複数の血流像からなる加算像78が含まれる。加算に際しては、累積加算法を採用してもよいし、OR条件に従う加算法を採用してもよい。いずれにしてもROI中心点を特定する前提として血流像発生エリアの全体が特定される。
続いて、図6に示されるように、表示座標系上で左右対称となるように、ステアリング方向及びステアリング角度に従って、合成血流データ76に対して加工処理が施される。具体的には、合成血流データ76における一部分84が切り取られて、左右対称(走査方向に対称)の形態をもった合成血流データ76Aが生成される。図示の例において、ステアリング角度はθ1であり、上記一部分84は、2×θ1、あるいは、+θ1及び−θ1に相当する部分である。具体的には、切り取られる一部分84は、切り取り側(超音波ビームが倒される側)の端点80から垂線82を降ろした場合において、垂線82の一方側にある角度θ1に相当するエリア86と、垂線82の他方側にある角度θ1に相当するエリア88と、からなる。加工後の合成血流データ76Aは、その中心線90を境として、左右対称の形態となる。
加工後の合成血流データ76Aに基づいて、その中心点Cが演算される。具体的には、合成血流データ76Aにおいて、血流像78Aのx方向の最大値及び最小値、並びに、血流像78Aのy方向(又はy’方向)の最大値及び最小値が特定され、それらに基づいて、x方向の中間値(平均値)及びy方向(又はy’方向)の中間値(平均値)が演算される。それらによって中心点の座標が特定される。中心点は血流像を代表する点であって、重心点に相当するものである。個々の画素値を考慮しながら、中心点を演算してもよい。
上記加工処理を行わないで中心点を求めると、例えば、位置Caが特定される。位置Caは、超音波ビームのステアリングの影響を受けて、超音波ビームの傾き方向にシフトしている。そのような位置Caに基づいてROIを設定した場合、ROIがシフトした位置に設定されてしまう。上記加工処理によれば、そのような問題が生じることを回避できる。左右対称性を得られる限りにおいて、加工処理によって他の形態が生成されてもよい。
図7に示すように、上記のように演算された中心点CがROI中心に一致するように、初期ROI92が生成される。その際においては、プリセットされたWx,Wy(又はWy’)が参照される。WxはROI92のx方向の幅を指定するものであり、WyはROI92のy方向の幅を指定するものである。なお、符号94はy方向に平行な中心線を示しており、符号96はx方向に平行な中心線を示している。例えば、Wxは全走査範囲の1/2であり、Wyは現在設定されているBモード診断レンジ(診断深さ)の1/2である。本願明細書上に記載した各数値はいずれも例示に過ぎないものである。
初期ROIの設定後においては、その初期ROIによって、血流観測用の超音波ビームの走査範囲及び血流観測用の診断レンジが画定される。その結果、初期ROI内部の血流データが繰り返し得られる。それらの血流データに基づいて、必要に応じて、ROIの位置が更新される。ROIの更新に先立って、ROI内部の各血流データに対してはみ出し部分を除去する処理が適用される。これについて図8及び図9を用いて説明する。
図8の左側には除去処理前の状態100が示されており、図8の右側には除去処理後の状態102が示されている。組織像106には血管断面像110が含まれる。ROI92内の血流像108には、はみ出し部分112が含まれる。図示の例において、はみ出し部分112は、血管内部からステアリング方向116の深部側へ膨らみ出ている。はみ出し部分112には、血管壁上に重畳した部分も含まれる。はみ出し部分112は、距離分解能の低さ等、様々な要因により生じるものである。はみ出し部分112を含む血流像108に基づいて中心点を演算すると、中心点を正しく求めることができなくなる。例えば、狭窄部位の外側に中心点が演算されてしまう事態が生じる。そこで、本実施形態では、以下において説明する除去処理が適用されており、除去処理後の血流像118に基づいて中心点が演算されている。
図9には、除去処理の一例が示されている。この除去処理においては、表示座標系上において画素単位で優劣を判定するために、血流データ及び組織データがそれぞれ仮想的に表示データに変換されている。その変換に際して必要な座標変換も実行されている。
具体的には、変換テーブル120は、血流データを構成する各速度値を表示データ(RGB値)に変換するものである。その場合においては正負の符号も考慮される。変換テーブル122は、組織データを構成する各輝度値を表示データ(RGB値)に変換するものである。符号124は変換後の血流データを示しており、それはROI126内に存在するデータである。符号128は変換後の組織データを示しており、符号130はROIに相当する領域を表している。変換後の血流データ及び組織データの間で、座標系を合わせる処理が適用された上で、画素ごとに2つの表示データ132,134間で、比較及び判定が行われる。例えば、組織の輝度値が一定値以上であり且つ血流の速度値が0でないことを前提として、変換後の血流RGB値が変換後の組織RGB値に対して所定の条件を満たす場合、血流RGB値が採用され(元の速度値が維持され)、そうでない場合、組織RGB値が採用される(元の速度値が除外される)。その条件としては様々なものを採用できる。
ちなみに、本実施形態においては、図10に示されるように、一連のフレームF11,F12,F13における個々のフレーム単位で、中心点C11,C12,C13が演算されている。また、個々のフレーム単位で、速度値(絶対値)の総和が演算されており、これによって、図11に示すグラフ(波形)144が生成されている。図11において、横軸は時間軸であり、縦軸は速度値(絶対値)の総和である。グラフ144は心拍に連動して周期的に変化している。逆に言えば、グラフ144から、個々の心拍期間内における所定時相を特定することが可能である。本実施形態では、グラフ144において心拍単位で生じるピーク(極大点)146が特定されており、ピーク検出タイミングでトリガ信号が生成されている。トリガ信号の生成タイミングで演算又は特定された中心点がROI更新の要否の判定において利用され、また、更新後のROIの中心点とされる。なお、トリガ信号が生成された時点の前後にわたる複数の中心点を参照し、それらに基づいて、ROI更新の要否を判定してもよく、また更新後のROIの中心点を決定してもよい。
図12には、ROI更新の要否を判定するための条件が示されている。符号148は既に設定されているROIを示している。C15はその中心点である。中心点C15を基準として、不感領域150が定められる。不感領域150の走査方向の幅154は、ROI148の走査方向の幅152に対して一定の係数(例えば0.6)を乗じることにより定められ、不感領域150の深さ方向の幅158は、ROI148の深さ方向の幅156に対して一定の係数(例えば0.6)を乗じることにより定められる。トリガ信号発生時点で演算された現在の中心点C16が不感領域150に属する場合、ROI更新は見送られる。一方、トリガ信号発生時点で演算された現在の中心点C16が不感領域150に属しない場合、ROIの更新が判定される。具体的には、中心点C16を中心とする新しいROIが生成される。その場合、通常、送受信条件がリセットされ、新しい送受信条件の下での送受信が実行される。中心点C17をROIの中心として利用してもよいし、新しい送受信条件の下で上記初期走査制御を適用して初期ROIを設定してもよい。
いずれにしても、血流像の中心点が不感領域150を超えるような大きな変化が生じた場合、現在のROIを維持するのは適当ではないので、ROIが更新される。一方、送受信条件のリセットが頻繁に生じると、検査者に心理的な負担がかかり、検査時間が長引くことになる。これを考慮し、血流像の中心点がそれほど変化しないような場合には現在のROIが維持されるようにしている。以上のような2つのニーズを満たすように、不感領域150のサイズや形態が適宜定められる。
図13には初期ROI設定方法がフローチャートとして示されている。S30では、初期走査条件に従い、ステアリングされた血流観測用の超音波ビームの走査が開始される。その場合、走査範囲の全体にわたって当該超音波ビームが走査される。S32においては、超音波ビームの繰り返し走査によって得られた複数の血流データ(複数のフレームデータ)が合成され、合成血流データが生成される。必要であれば、S34において、合成血流データに対して、上記はみ出し部分を除去する処理を適用してもよい。S36において、合成血流データが加工される。具体的には、合成血流データの形態がその中心線を基準として対称となるように、合成血流データが加工される。S36の実行後に上記S34が適用されてもよい。S38においては、加工後の合成血流データに基づいて、中心点が演算される。S40においては、中心点が初期ROI中心に一致するように、初期ROIが設定される。その後、初期ROIに従って血流観測用の送受信条件が再設定される。
図14には初期ROIの設定後において実行されるROI更新方法が示されている。S50及びS52はフレームごとに実行される。S50では、血流データに対して、はみ出し部分を除去する加工処理が適用される。その上で、S52においては、加工処理後の血流データに基づいて、中心点が演算される。S54においては、グラフにおけるピークが検出されたか否かが判定され、ピークが検出されていない場合、つまり現時点が更新判定を行う所定時相でないと判断された場合、S50以降の工程が実行される。S54において、ピークが検出された場合、つまり現時点が所定時相であると判断された場合、S56において不感エリアに基づく更新条件が満たされるか否かが判断され、更新条件が満たされない場合にはS50以降の各工程が実行される。S56において、更新判定条件が満たされた場合、S58においてROIの位置が更新される。つまり、ROIが再設定される。その後、そのROIに従って血流観測用の送受信条件が再設定される。
上記実施形態によれば、ドプラ情報を観測する関心領域を適切な位置に自動的に設定することが可能となる。特に、前処理としてのデータ加工によって、ステアリング方向やステアリング角度の影響を受けずに、中心点を演算することが可能となる。更に、中心点の演算に当たって合成血流データを利用しているので、個々の瞬時的な血流像が時相によって大きく変化しても、不適切な位置に中心点が演算されてしまうことはない。
上記実施形態では、合成血流データを生成した後に当該合成血流データが加工されていたが、個々の血流データを個別的に加工した上で、加工後の血流データを合成するようにしてもよいし、合成と同時進行で加工を行うようにしてもよい。結果として左右対称性を有する合成血流データが得られればよい。
(3)サンプルゲートの自動設定(図15〜図20)
以下にサンプルゲートの自動設定方法について詳しく説明する。それは図3に示したS20において実行されるものである。
以下にサンプルゲートの自動設定方法について詳しく説明する。それは図3に示したS20において実行されるものである。
図15には、ROI内の血流データが示されている。図示の例では、血管内において血流像160が比較的に大きく現れている。本実施形態では、血流データに基づいて、複数の候補点として、中心点P1及び最高流速点P2が演算される。中心点P1は、例えば、重心点である。重心点は、例えば、血流像(カラー部分)の走査方向における最大座標と最小座標の間の中間座標と、血流像(カラー部分)の深さ方向における最大座標と最小座標の間の中間座標と、により特定される。個々の画素が有する速度値を考慮して重心点を演算するようにしてもよいし、血流像の形態を考慮して重心点を演算してもよい。最高流速点P2は、絶対値として最も大きな速度値を有する点である。第3の点が候補点となってもよい。また、中心点又は最高流速点が他の点に置換されてもよい。
血流データに対して、ビーム方向に平行に複数の参照ライン164が設定され、個々の参照ライン上において血流像160の中間点166が演算される。走査方向に並ぶ複数の中間点166を繋げることにより、中心線168が構成される。中心線168は、血管の中心線ではなく、血流像160の中心線である。
中心線168を基礎として、中心点P1及び最高流速点P2のそれぞれについて、流れ方向(流れ角度)φ1,φ2が演算される。具体的には、例えば、中心点P1を通過するラインであってビーム方向に平行なラインL1と、中心線168と、が交わる交点170が特定される。中心線168において、交点170を中心として走査方向に広がる一定の区間172が参照され、区間172で画定される線分から、流れ方向が特定される。例えば、その線分に対して最小二乗法を適用することにより、あるいは、接線演算を適用することにより、流れ方向が演算される。他の方法を利用してもよい。流れ方向は具体的には流れ角度φ1として特定される。最高流速点P2についても、上記同様に、中心線168とラインL2との交点176を基準として、中心線168上に一定の区間178が定められ、その中の線分に基づいて流れ方向が演算される。流れ方向は具体的には流れ角度φ2として特定される。
上記のラインL1,L2を基準として、血管壁の壁方向も特定される。例えば、図16に示されるように、ラインL1が前壁(例えば前壁中の外膜)と交わる点におけるエッジ方向として前壁方向つまり前壁角度φF1を特定することが可能である。また、ラインL1が後壁(例えば後壁中の外膜)と交わる点におけるエッジ方向として後壁方向つまり後壁角度φR1を特定することが可能である。同様に、最高流速点P2についても、前壁角度φF2及び後壁角度φR2を特定することが可能である。エッジ方向の演算方法としては各種の公知技術を利用することが可能である。
本実施形態では、以上のように演算された、中心点P1についての流れ角度φ1、前壁角度φF1及び後壁角度φR1と、最高流速点P2についての流れ角度φ2、前壁角度φF2及び後壁角度φR2と、に基づいて、中心点又は最高流速点のいずれかが選択される。選択された点がサンプルゲート位置とされる。具体的には、中心点P1について、流れ角度φ1と前壁角度φF1との間の角度差ΔφF11(符号180参照)、及び、流れ角度φ1と後壁角度φR1との間の角度差ΔφR11(符号182参照)が演算される。最高流速点P2について、流れ角度φ2と前壁角度φF2との間の角度差ΔφF22(符号184参照)、及び、流れ角度φ2と後壁角度φR2との間の角度差ΔφR22(符号186参照)が演算される。角度差ΔφF11,ΔφR11は、中心点P1と中心点P1付近の血管壁との間の平行度を示すものである。つまり、それらは、中心点Pが安定的に生じるか否かを示す指標となるものである。角度差ΔφF22,ΔφR22は、最高流速点P2と最高流速点P2付近の血管壁との間の平行度を示すものである。それらは、狭窄部位であるのか否かを判断する指標になるものである。そこで、それらの4つの角度差を総合考慮して、中心点及び最高流速点の中から、いずれかの点が選択される(符号188参照)。
図17に示す例では、中心点P1は、およそ、血管190の内部領域の中央に特定されている。一方、最高流速点P2は、狭窄部位の内部に特定されている(符号192はプラークを模式的に示している)。このような場合、一般に、最高流速点P2が選択される。なお、狭窄部位が存在しない場合、最高流速点P2の位置は安定せず、特に、フレームレートが遅い場合には、様々な位置に最高流速点P2が生じてしまう。そのような場合、中心点P1が選択される。いわゆる折り返しが生じている場合には、それを補正した上で、最高流速点を特定するのが望ましい。
図18には、選択条件が示されている。符号194は、中心点についての評価を示している。符号196は、最高流速点についての評価を示している。符号198は選択結果を示している。詳しく検討すると、中心点が選択されるのは、角度差ΔφF11が所定値α1以下で且つ角度差ΔφR11が所定値α2以下という第1条件が満たされ、同時に、角度差ΔφF22が所定値α3以下で且つ角度差ΔφR22が所定値α4以下という第2条件が満たれた場合だけである。それ以外の場合には最高流速点P2が選択される。これは、最高流速点がある程度安定的に生じるような場合には、最高流速点を優先的に選択するという考え方に基づくものである。第1条件及び第2条件が同時に満たされる場合、狭窄部位が生じていない可能性が高く、しかも最高流速点の位置が大きく変化する可能性があるので、その場合には、中心点が選択されるようにしている。α1乃至α4として、同じ数値が設定されてもよい。例えば、それらの値を10度としてもよい。
以上のようにして、選択された点(中心点又は最高流速点)がサンプルゲートの中心位置とされる。選択された点について、既に演算されている流れ角度が補正角度となる。選択された点を通過するライン上において、血流像の幅が特定され(例えば先に演算された幅が参照され)、その幅に所定係数(例えば1/2又は2/3)を乗算することにより、サンプルゲートサイズが自動的に設定される。他の方法によってサンプルゲートサイズを決めるようにしてもよい。
図18に示した選択条件は一例であり、目的や状況に応じて、他の選択条件を採用してもよい。自動的に選択された点をマニュアルで変更するようにしてもよい。上記実施形態においては、候補点の選択に際して血流データのみならず組織データも参照しているので(前壁及び後壁も考慮するようにしたので)、候補点選択をより的確に行うことが可能である。
図19には、サンプルゲート設定方法がフローチャートとして示されている。S70からS78までの一連の工程がフレーム単位で実行される。S70においては、血流データに基づいて中心点及び最高流速点が演算される。S72においては、血流データに基づいて中心点についての流れ方向(流れ角度)及び最高流速点についての流れ方向(流れ角度)が演算される。また、組織データに基づいて、中心点についての前壁方向(前壁角度)及び後壁方向(後壁角度)、並びに、最高流速点についての前壁方向(前壁角度)及び後壁方向(後壁角度)が演算される。S74においては、それらの方向(角度)に基づいて、中心点及び最高流速点が評価され、その結果として、いずれかの点が選択される。S76では、選択された点についての流れ角度が補正角度とされる。S78では、選択された点を通過するライン上における血流像の幅からゲートサイズが演算される。S80においては、グラフにおけるピークが検出されたか否かが判断され、ピークが検出されていない場合には、S88での判断を経由して、S70以降の工程が実行される。S80においてピークが検出されたならば、S82において、最初のサンプルゲート設定か否かが判断され、YESであればS84を経由することなく、S86において、サンプルゲートが自動的に設定される。その際、設定されたサンプルゲートを表すマーカーが画面上に表示される。S88では本処理を継続するか否かが判断される。
一方、S82において、最初のサンプルゲート設定ではないと判断された場合(Noの場合)、S84において、更新条件を満たすか否かが判断される。例えば、前回設定されたサンプルゲート位置を中心として所定の不感エリアが設定され、現時点で選択された点が不感エリアを超えたか否か(更新条件を満たしたか否か)が判断される。更新条件を満たした場合だけ、S86におけるサンプルゲート更新が許容される。S86においては、不感エリアとして、例えば、図12に示した不感エリアのようなものが設定されてもよい。更新条件を設けることにより、サンプルゲート位置が頻繁に更新されて、その都度、送受波条件がリセットされてしまうことを回避できる。もっとも、選択対象が最高流速点から中心点に切り替わったような場合には、状況が大きく変化しており、サンプルゲートを更新すべきであるので、そのような場合にはS86が実行されるように更新条件を適宜定めておくのが望ましい。なお、最初のサンプルゲート設定の場合には、符号199で示すように、S78の実行後、直ちにS86が実行されてもよい。
図20には変形例が示されている。この変形例においては、中心点P1について、流れ角度φ1、前壁角度φF1及び後壁角度φR1に加えて、両壁角度差ΔφFR1も演算されている(符号200参照)。また、最高流速点P2について、流れ角度φ2、前壁角度φF2及び後壁角度φR2に加えて、両壁角度差ΔφFR2も演算されている(符号202参照)。両壁角度差ΔφFR1は、前壁角度φF1と後壁角度φR1との間の角度差である。両壁角度差ΔφFR2は、前壁角度φF2と後壁角度φR2との間の角度差である。両壁角度差ΔφFR1,ΔφFR2も考慮して、選択(符号204参照)を行うことにより、選択精度をより高められる。更に他の情報を参照するようにしてもよい。
上記実施形態によれば、状況に応じて適切な位置にサンプルゲートを自動的に設定できる。特に、その設定に際して、血流データ及び組織データの両方が利用されるので、設定結果の信頼性を高められる。なお、サンプルゲート設定後においてドプラモードへの遷移が遅れると、サンプルゲート更新が繰り返されて、検査者にストレスを与える可能性があるので、サンプルゲート設定後、一定条件下で早々にモード遷移制御が実行されるのが望ましい。
(4)ドプラモードへの自動遷移(図21〜図27)
以下にモード自動遷移方法について詳しく説明する。それは図3に示したS24及びS26において実行されるものである。
以下にモード自動遷移方法について詳しく説明する。それは図3に示したS24及びS26において実行されるものである。
図21には、現フレーム210が示されている。先のフレームに基づいてサンプルゲート218が設定されている。符号214はサンプルゲート218の中心位置(サンプルゲート位置)である。そこを通過するバー219が血流速度補正用の補正角度を表している。符号212はROIを示している。ROI212は、先のフレーム又はより過去のフレームに基づいて設定されたものである。符号223は、サンプルゲート更新条件をなす不感エリアを示している。
現フレーム210(具体的には現在の血流データ)に基づいて、中心点又は最高流速点として、サンプルゲート位置222が演算される。そのサンプルゲート位置222は、現時点では計算上のものであって、更新条件が満たされる限りにおいて、実際に採用されるものである。
本実施形態では、先のサンプルゲート位置214に基づいて、安定状態を判定するための近傍エリア220が設定される。近傍エリア220内に、現在演算されたサンプルゲート位置222が属する場合に安定が判定される。そして、n回連続して安定が判定された場合にモード遷移が判定され、モード遷移制御が実行される。nは1以上の整数であり、2以上であるのが望ましいが、nが1であってもよい。nを状況に応じて可変設定できるように構成してもよい。近傍エリア220は不感エリア212に包含される、より小さなエリアである。その半径は可変設定され得る。
図22には、近傍エリア220が拡大図として示されている。近傍エリア220は、表示座標系において、円形のエリアであり、その半径はβである。現時点で求められている計算上のサンプルゲート位置224が近傍エリア220内に属する場合、安定が判定され、現時点で求められている計算上のサンプルゲート位置226が近傍エリア220を外れる場合、安定は判定されない。半径βの大小によって安定判定の感度を調整できる。実際の比較判定においては、表示座標系上において、先のサンプルゲート位置214と計算上の現サンプルゲート位置224,226との間の距離r1、r2が演算され、続いて、距離r1、r2が半径β以内か否かが判断される。そのような演算に際しては、方向を考慮する必要がないので、比較的に簡易に比較判定を行える。もっとも、他の条件に従って安定か否かを判断してもよい。βは、例えば、数mm以下に設定され、望ましくは0.5mm以上1.0mm以下に設定される。
図23には、以上説明した内容がタイミングチャートとして示されている。符号230で示すように、グラフにおける個々のピークが検出される。これにより各心拍における所定時相が特定される。隣接する2つの心拍間で、同じ時相に対応する2つのサンプルゲート位置が比較される。符号231で示すように、個々のピーク検出時点でのサンプルゲート位置(計算上のサンプルゲート位置)q1・・・q7が特定される。図示の例では、タイミングt1において演算されたサンプルゲート位置q1がサンプルゲート設定で実際に採用されており(符号234参照)、その後において、設定されたサンプルゲート位置は維持されている。符号233で示すように、本実施形態では、隣接する2心拍間で2つのサンプルゲート位置が比較される。
具体的には、先の心拍について演算されたサンプルゲート位置に基づいて近傍エリアが設定され、その近傍エリア内に現在演算されたサンプルゲート位置が属するか否かが判断される。図示の例では、符号235で示すように、3回連続で安定が判定された場合、ドプラモードへ自動的に遷移する制御が実行される。なお、距離の演算に先立って、各サンプルゲート位置に対して座標変換が適用される。座標変換を行うことなく距離を求めることも可能である。例えば、送受波座標系上において、近傍範囲が定義されてもよい。
図24には、モード自動遷移方法がフローチャートとして示されている。S90では、カウンタMに0が代入され、Mが初期設定される。S92では、先のサンプルゲート位置と現在のサンプルゲート位置との間の距離が演算され、その距離がβ以内か否かが判断される。距離がβ以内でなければS90が実行され、Mがリセットされる。S92において、距離がβ以内であると判断された場合、S92においてMが1つインクリメントされる。その上で、S96において、Mが判定値Nに到達したか否かが判断される。到達していない場合、S92が実行される。距離がβ以内であることが連続してN回判定された場合、S98が実行され、つまりドプラモードの実行が開始される。なお、Nが1であれば、S92の条件が満たされた時点で、ドプラモードへ自動的に遷移することになる。
上記実施形態によれば、サンプルゲート設定後、安定状態が得られた時点で、ドプラモードへ自動的に遷移させることが可能である。これによって、検査者の負担を軽減でき、また検査時間を短縮化できる。
図25には、サンプルゲート更新を含む動作例が示されている。タイミングt1において、サンプルゲート位置q1が採用されている。その後、タイミングt2において、1心拍をおいた2つのサンプルゲート位置q1,q2が比較され、NG(不安定)が判定されている。次のタイミングt3において、2つのサンプルゲート位置q2,q3が比較され、OK(安定)が判定されている(符号250参照)。しかし、その後のタイミングt4において、サンプルゲート位置がq4に更新されている(符号252参照)。その場合、上記カウンタMがリセットされる。その上で、隣接する2つのサンプルゲート位置の比較が繰り返される。
図26に示すように、先のサンプルゲート位置240に基づいて、表示座標系上で平行四辺形の形状をもった近傍エリア(判定エリア)244が設定されてもよい。近傍エリア244は、ROIの縮小図形に相当する。そのような構成によれば、座標変換を行わなくても、近傍エリア244を設定できる。
上記の安定判定に際して、サンプルゲート位置に代えて、あるいは、それと共に、他の情報を参照してもよい。例えば、流れ角度、ゲートサイズ、サンプルゲート内速度分布、等を参照してもよい。それらもサンプルゲート情報の概念に含まれる。いずれにしても、先のサンプルゲート情報を基準として安定判定条件を定め、それに対して後のサンプルゲート情報が該当するのか否かを判断するのが望ましい。
図27には第1変形例が示されている。この第1変形例では、実際に採用された先のサンプルゲート位置が比較対象となる。具体的には、タイミングt1において、サンプルゲート位置q1が採用されている(符号254参照)。サンプルゲート位置q1に対して、その後に計算されたサンプルゲート位置が順次比較される。例えば、タイミングt2において、サンプルゲート位置q1に対して計算上のサンプルゲート位置q2が比較されており(符号258参照)、続いて、タイミングt3において、サンプルゲート位置q1に対して計算上のサンプルゲート位置q3が比較されている(符号259参照)。
図28には第2変形例が示されている。この例では、任意の期間Δtごとに、計算上のサンプルゲート位置が特定されている。その上で、時間的に隣り合う2つのサンプルゲート位置の比較により安定か否かが判定されている。
(5)他の実施形態
サンプルゲート設定に際して、候補点群に3つ以上の候補点を含めるようにしてもよい。また、最高流速点及び中心点以外の点を候補点とするようにしてもよい。いずれにしても複数の候補点を用意し、それらを評価選択することにより、サンプルゲート位置を画一的に定める場合において生じる問題を回避できる。
サンプルゲート設定に際して、候補点群に3つ以上の候補点を含めるようにしてもよい。また、最高流速点及び中心点以外の点を候補点とするようにしてもよい。いずれにしても複数の候補点を用意し、それらを評価選択することにより、サンプルゲート位置を画一的に定める場合において生じる問題を回避できる。
サンプルゲート設定において、流れ角度と壁角度とを比較するのでなく、別の観点から、平行度を評価するようにしてもよい。例えば、走査方向における血流幅又は血管径の変化に基づいて複数の候補点を評価するようにしてもよい。
モード遷移制御に際して、ドプラモードへの遷移に先立って、フリーズ状態が生じるようにしてもよい。各フレームにおける流速平均値又は血流領域面積に基づいて上記波形(グラフ)が生成されてもよい。上記実施形態に含まれる複数の特徴事項を単独で採用するようにしてもよい。
10 プローブ、28 断層画像形成部、30 血流画像形成部、32 ドプラ波形形成部、34 表示処理部、44 前処理部、46 中心点演算部、48 ROI設定部、50 波形生成部、52 ピーク判定部、54 最高流速点演算部、56 中心点演算部、58 選択部、60 ゲートサイズ演算部、62 ゲート設定部、66 安定判定部、68 遷移制御部、70 角度補正部。
Claims (7)
- 超音波ビームの走査を繰り返すことによって時間軸上に並ぶ複数の血流データを取得する送受波手段と、
前記複数の血流データに基づいて複数のサンプルゲート情報を順次演算する演算手段と、
前記複数のサンプルゲート情報の時間的な変化に基づいてドプラモードへの遷移を制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記制御手段は、
前記複数のサンプルゲート情報における先のサンプルゲート情報に基づいて安定判定範囲を設定する設定手段と、
前記複数のサンプルゲート情報における現在のサンプルゲート情報が前記安定判定範囲に含まれる場合に安定を判定する判定手段と、
前記安定の判定に基づいて前記ドプラモードへの遷移を実行する手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記各サンプルゲート情報は、ドプラモードにおいて機能するサンプルゲートを設定する位置として演算されたサンプルゲート位置であり、
前記先のサンプルゲート情報としての先のサンプルゲート位置に基づいて前記安定判定範囲が設定され、
前記現在のサンプルゲート情報としての現在のサンプルゲート位置が前記安定判定範囲に含まれる場合に前記安定が判定される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3記載の装置において、
前記安定判定範囲は、表示座標系上において前記先のサンプルゲート位置を中心とした所定半径を有する円形範囲に相当し、
前記先のサンプルゲート位置から前記現在のサンプルゲート位置までの距離が前記所定半径以下であれば前記安定が判定される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項4記載の装置において、
前記安定が連続して判定された回数が計数され、
前記回数がn(但しnは2以上の整数)に達した場合に前記ドプラモードへの遷移が実行される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記複数の血流データに基づいて拍動を表すグラフを生成する手段と、
前記グラフに基づいて各心拍周期内の所定時相を判定する手段と、
を含み、
前記先のサンプルゲート情報及び前記現在のサンプルゲート情報はいずれも前記所定時相に対応する情報である、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 超音波ビーム走査の繰り返しによって取得された時間軸方向に並ぶ複数の血流データに基づいて、複数のサンプルゲート位置を演算する工程と、
前記複数のサンプルゲート位置の時間的な変化に基づいて、ドプラモードへの遷移を判定する工程と、
前記ドプラモードへの遷移が判定された場合に、その時点で設定された又はそれ以前に設定されたサンプルゲートを機能させる工程と、
を含むことを特徴とするモード遷移方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017114994A JP2019000152A (ja) | 2017-06-12 | 2017-06-12 | 超音波診断装置及びモード遷移方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019000152A true JP2019000152A (ja) | 2019-01-10 |
Family
ID=65005495
Family Applications (1)
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JP2017114994A Pending JP2019000152A (ja) | 2017-06-12 | 2017-06-12 | 超音波診断装置及びモード遷移方法 |
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-
2017
- 2017-06-12 JP JP2017114994A patent/JP2019000152A/ja active Pending
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