JP2018536849A - ヒストン修飾及びバリアントを含むヌクレオソームを検出するための方法 - Google Patents

ヒストン修飾及びバリアントを含むヌクレオソームを検出するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソームの存在を検出し、かつ測定するための方法、並びに疾患の検出及び診断のためのそのような測定の使用に関する。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1タンパク質又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームに関する。本発明はさらに、単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソーム及びヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在を検出し、かつ測定するための方法、並びに疾患の検出及び診断のためのそのような測定の使用に関する。本発明はまた、疾患の検出及び診断のためにヒストンH1の修飾及びバリアントのバイオマーカーを同定する方法、並びに該方法により同定されたバイオマーカーに関する。
(発明の背景)
ヒトの体は、数百の細胞種を含んでいる。これらの細胞種は全て、同じゲノムを含んでいるが、広範に異なる表現型及び体内での異なる機能を有する。この表現型の多様性は、異なる細胞種におけるゲノムの差次的発現によるものである。差次的遺伝子発現の制御は、完全には理解されていないが、その基本的機構は、ユークロマチン又はヘテロクロマチンとしてのクロマチン詰め込みの制御、ヌクレオソームの位置取り及びヌクレアーゼ到達可能部位の制御、DNAのメチル化、並びにその周りにDNAが巻き付いたヌクレオソームの構造の変化を含む、遺伝子と関連する多数の相互接続された後成的シグナルによる遺伝子調節を含んでいる。
ヌクレオソームは、クロマチン構造の基本単位であり、8種の高度に保存されたコアヒストンのタンパク質複合体(ヒストンH2A、H2B、H3及びH4の各々の対を含む)からなる。この複合体の周りには、DNAのおよそ146塩基対が巻き付いている。別のヒストンであるH1又はH5は、リンカーとして働き、かつクロマチン凝縮に関与している。このDNAは、「ひも上のビーズ」に似ていると言われることの多い構造で連続したヌクレオソームの周りに巻き付いており、かつこれは、開いたクロマチン、すなわちユークロマチンの基本構造を形成している。凝縮されたクロマチン、すなわちヘテロクロマチンにおいて、このひもは、閉じた複雑な構造へ、螺旋形成及び超螺旋形成される(Herranz及びEstellerの文献、2007)。
ヌクレオソームの構造は、ヒストンタンパク質の転写後修飾(PTM)により、及びバリアントヒストンタンパク質を含めることにより、変化し得る。ヒストンタンパク質のPTMは典型的には、リジン残基のアセチル化、メチル化又はユビキチン化、並びにアルギニン残基のメチル化及びセリン残基のリン酸化及び多くのその他の修飾を含む。ヒストン修飾は、遺伝子発現の後成的調節に関与していることがわかっている(Herranz及びEstellerの文献、2007)。ヌクレオソームの構造はまた、異なる遺伝子若しくはスプライシング産物であり、かつ異なるアミノ酸配列を有する選択的ヒストンアイソフォーム又はバリアントを含めることにより、変化し得る。ヒストンバリアントは、個別の型にさらに細分されている数多くのファミリーへ分類することができる。多数のヒストンバリアントのヌクレオチド配列が公知であり、かつ例えば、米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)ヒストンデータベース(Marino-Ramirez, Lらの文献、「ヒストンデータベース:ヒストン及びヒストン折り畳み含有タンパク質に関する統合リソース(The Histone Database: an integrated resource for histones and histone fold-containing proteins)」、Database Vol.2011. Article ID bar048;及びhttp://genome.nhgri.nih.gov/histones/complete.shtml)、GenBank(NIH遺伝子配列)データベース、EMBLヌクレオチド配列データベース、並びに日本DNAデータバンク(DDBJ)において公的に入手可能である。
成人における正常細胞のターンオーバーには、毎日数千億個の細胞の細胞分裂による創出、及び主にアポトーシスによる同等数の死が関与している。細胞死の過程において、クロマチンは、単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソームを含むクロマチン断片へと分解され、該単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソームの一部は、無細胞ヌクレオソームとして循環又は他の体液中に放出され得る。通常の条件下で、健常対象において認められる循環ヌクレオソームのレベルは、低いことが報告されている。多くの癌、自己免疫性疾患、炎症状態、卒中及び心筋梗塞を含む様々な状態の対象において、上昇したレベルが認められる(Holdenreider及びStieberの文献、2009)。無細胞ヌクレオソームに会合しているDNAは、無細胞DNAである。
単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソームは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により検出することができ、かついくつかの方法が報告されている(Salgameらの文献、1997;Holdenriederらの文献、2001;van Nieuwenhuijzeらの文献、2003)。これらのアッセイは典型的には、捕捉抗体として抗ヒストン抗体(例えば、抗H2B、抗H3又は抗H1、H2A、H2B、H3及びH4)を、並びに検出抗体として抗DNA又は抗H2A-H2B-DNA複合抗体を利用する。これらのアッセイを使用し、当技術分野の研究者らは、血清中のヌクレオソームのレベルは、同じ患者から採取した血漿試料中よりも(最大一桁だけ)高いことを報告している。これはまた、PCRによって行われる血清及び血漿のDNA測定についても当てはまる(Holdenriederらの文献、2005)。このことの理由は不明であるが、前記著者らは、これは凝固過程におけるDNAの追加放出によるものであろうと仮説を立てている。しかし本発明者らは、現在の技術のヌクレオソームELISAアッセイの結果は、互いに一致しないことを発見した。さらに、血清又は血漿中の大部分の循環DNAは、単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソームとして存在することが報告されているが(Holdenriederらの文献、2001)、血清又は血漿中のヌクレオソーム及びDNAの測定されたレベルは、良くは一致しない。循環無細胞ヌクレオソームレベルのELISA結果とリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により測定された循環DNAレベルの間の相関係数は、血清中r=0.531、及び血漿中r=0.350であることが報告されている(Holdenriederらの文献、2005)。
現在のヌクレオソームELISA法は、細胞培養物において、主にアポトーシスを検出する方法として、使用され(Salgameらの文献、1997;Holdenriederらの文献、2001;van Nieuwenhuijzeらの文献、2003)、かつ血清及び血漿中の循環無細胞ヌクレオソームの測定のためにも使用される(Holdenriederらの文献、2001)。瀕死の細胞により循環中に放出された無細胞血清及び血漿ヌクレオソームレベルは、潜在的なバイオマーカーとしてのそれらの使用を評価するために、数多くの異なる癌の研究においてELISA法により測定されている(Holdenriederらの文献、2001)。平均循環ヌクレオソームレベルは、全てではないが大部分の試験された癌において、高いことが報告されている。最も高い循環ヌクレオソームレベルは、肺癌対象において観察された。最も低いレベルは、前立腺癌において観察され、これは健常対象の正常範囲内であった。しかし悪性腫瘍を有する患者は、かなり変動する血清ヌクレオソーム濃度を有することが報告されており、かつ進行した腫瘍疾患を有する患者の一部は、健常対象について測定された範囲内の低い循環ヌクレオソームレベルを有することが認められている(Holdenriederらの文献、2001)。このこと及び様々な非癌がヌクレオソームレベルの上昇を引き起こすという理由で、循環ヌクレオソームレベルは、臨床上、癌のバイオマーカーとしては使用されない(Holdenrieder及びStieberの文献、2009)。
ヒストンPTM検出のためのELISA法もまた、当技術分野において公知である。遊離のヒストンタンパク質(ヌクレオソーム複合体中の他のヒストン及びDNAに結合していない)中のPTM検出のためのELISA法は、細胞溶解液から通常酸抽出により抽出されたヒストンにおけるPTMの検出のために使用される。循環無細胞ヌクレオソームにおけるPTMの検出のための免疫アッセイが、報告されている(WO 2005/019826)。マイクロタイターウェルに直接コーティングされた精製されたヌクレオソームにおけるヒストンPTMのELISA検出の方法も、報告されている(Daiらの文献、2011)。この方法において、培養細胞からのクロマチン抽出物の消化により得られたヌクレオソームは、マイクロタイターウェルに直接コーティングされ、かつ抗PTM抗体と反応する。この方法は、比較的純粋なヌクレオソーム試料を必要とし、かつ血液又は血清などの複雑な生体媒体中のヒストンPTMの直接測定には適していないことは、当業者には明らかであろう。
血漿中の特定のDNA配列に会合している無細胞ヌクレオソーム内のヒストンPTM(H3K9Me、リジン残基K9でモノメチル化されたヒストンH3)の検出のための改変クロマチン免疫沈降(ChIP)法が、報告されている。配列特異的ヒストンメチル化のレベルは、循環ヌクレオソームの濃度とは無関係であることが報告された(Deligezerらの文献、2008)。
ヌクレオソーム位置及びヌクレオソーム構造(構成的ヒストンタンパク質バリアント及びPTM構造の両方に関して)により媒介された後成的シグナル伝達に加え、細胞における遺伝子発現の制御も、DNAのシトシンメチル化状態を含む、DNAヌクレオチドへの修飾により媒介される。DNAは、シトシンヌクレオチドの5位でメチル化され、5-メチルシトシンを形成し得ることは、先般から当技術分野において公知であった。5-メチルシトシンの形でメチル化されたDNAは、シトシンヌクレオチドがグアニンヌクレオチドの隣にあるDNA配列中の位置に存在することが報告されている。これらの位置を短縮して「CpG」と呼ぶ。脊椎動物においてCpG位置の70%よりも多くが、メチル化されていることが報告されている(Penningsらの文献、2005)。CpG部位を高い比率で含むゲノムの領域を、「CpGアイランド」と呼ぶことが多く、ヒト遺伝子プロモーター配列のおよそ60%は、そのようなCpGアイランドに関連している(Rodriguez-Paredes及びEstellerの文献、2011)。活動的遺伝子において、これらのCpGアイランドは、一般に低メチル化されている。遺伝子プロモーター配列のメチル化は、安定した遺伝子不活化に関連している。DNAメチル化はまた通常、Alu反復エレメントを含む反復エレメント及び長い散在性ヌクレオチドエレメント中に存在する(Herranz及びEstellarの文献、2007;Allenらの文献、2004)。
ヒストンバリアント(ヒストンアイソフォームとしても公知)は、遺伝子発現の後成的調節因子であることもわかっている(Herranz及びEstellerの文献、2007)。ヒストンバリアントは、特定のバリアントをコードしている遺伝子のノックダウン試験(例えば、RNAiノックダウンを使用)、クロマチン免疫沈降法、アミノ酸の安定同位体標識及び定量的質量分析プロテオミクス、免疫組織化学及びウェスタンブロットを含む様々な技術を使用し、インビボ及びインビトロにおいて研究されている(Whittleらの文献、2008;Boulardらの文献、2010;Spornらの文献、2009;Kapoorらの文献、2010;Zeeらの文献、2010;Huaらの文献、2008)。
肺癌、乳癌及び黒色腫と診断された対象から手術時に又は生検により採取された組織試料中のヒストンバリアント発現の免疫組織化学試験が、報告されている。これらの免疫組織化学試験は、切除された癌組織試料中のヒストンmacroH2A(mH2A)バリアント及びH2AZバリアントの染色は、これらの癌の予後判定で適用され得ることを報告している(Spornらの文献、2009、Huaらの文献、2008、Kapoorらの文献、2010)。臨床使用のための免疫組織化学法の一つの欠点は、組織試料収集には手術又は生検が必要であるため、侵襲的であることである。免疫組織化学法の別の欠点は、生検又は組織切除が行われる前に、通常疾患の理にかなった予測が既に存在しなければならないので、これらは早期診断又はスクリーニング診断には適していないことである。最小の侵襲性の血液ELISA検査は、より広い範囲の適用に適しており、かつこれらの欠点を克服し、患者にとって好ましいことに加え、医療提供者にとってより迅速、より低コスト、及びよりハイスループットであるであろう。
WO 2005/019826は、個体由来の試料中の無細胞ヌクレオソームと関連するヒストン修飾の分析による、疾患状態、例えば癌及び自己免疫性疾患の診断に関する。WO 2013/030579は、単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソーム、及び特定のヒストンバリアントを含むヌクレオソームの存在を検出し、かつ測定するための方法、並びに疾患の検出及び診断のためのそのような測定の使用に関する。
本発明者らはここで、ヒストンH1に関する無細胞ヌクレオソームの分析であって;ヌクレオソーム中にヒストンH1が存在するかどうか、及び存在する場合、存在するバリアント(又はアイソフォーム)の観点からのその性質、及び少しでもヒストンH1の翻訳後修飾(PTM)を含むかどうかを含む、前記分析のための方法を記載する。
(発明の概要)
本発明の第一の態様に従い、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病及び関節リウマチの検出又は診断用バイオマーカーとして使用するための、ヒストンH1タンパク質、又はヒストンH1の修飾、又はヒストンH1のバリアント若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームが、提供される。
本発明のさらなる態様に従い、試料中の、ヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) 該試料をヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する結合剤と接触させる工程;
(ii) 該結合剤の該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
(iii) 該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム、あるいはヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が、提供される。
本発明のさらなる態様に従って、試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) 該試料を、非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第1の結合剤と接触させる工程;
(ii) 該ヌクレオソーム又は試料を、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する第2の結合剤と接触させること;
(iii) 該第2の結合剤の、該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
(iv) 該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) 該試料をヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する第1の結合剤と接触させる工程;
(ii) 該ヌクレオソーム又は試料の、非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第2の結合剤と接触させる工程;
(iii) 該第2の結合剤の、該試料中の非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
(iv) 該試料中の、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、細胞中の本明細書に規定するヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) 細胞からクロマチンを単離する工程;
(ii) 該クロマチンを消化し、超音波処理し、又は別途分解して、単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソームを形成させる工程;及び
(iii) 本明細書に規定する方法に従い、該ヌクレオソーム中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在を検出し、又は測定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、血液、血清、又は血漿試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) ヌクレオソーム複合体からヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを取り出し、放出させ、又は抽出して、遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム成分を生じさせる工程;
(ii) 該試料中の遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを検出し、又は定量化する工程;及び
(iii) 該試料中の、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度として、遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在又は量を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象における疾患状態を検出し、又は診断するための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルを使用して、該対象の該疾患状態を特定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、医学的治療への適性についての動物又はヒト対象の評価のための方法であって:
(i) 該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む、無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルを該対象に好適な治療の選択のパラメータとして使用する工程、を含む前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象の治療をモニタリングするための方法であって:
(i) 該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
(ii) 1以上の機会に該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの検出又は測定を繰り返す工程;及び
(iii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルの任意の変化を、該対象の状態の任意の変化のパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象において疾患状態を検出し、又は診断するための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定する方法であって:
(i) 該対象の体液中の該ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
(ii) 健常対象又は対照対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(iii) 疾患対象及び対照対象において検出されたレベルの間の差を使用して、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームが該疾患状態のバイオマーカーとして有用であるかどうかを特定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、本明細書に規定する方法により同定されたバイオマーカーが提供される。
本発明のさらなる態様に従って、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの検出のためのキットであって、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームに特異的なリガンド又は結合子、あるいはそれらの構成要素部分、あるいはヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの構造/形状模倣体、あるいはそれらの構成要素部分を、本明細書に規定する方法のいずれか1つに従うキットの使用説明書と一緒に含む、前記キットが提供される。
本発明のさらなる態様に従って、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の使用が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの使用が提供される。
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の態様に従って、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1タンパク質を含む無細胞ヌクレオソームが提供される。
本発明のさらなる態様に従って、癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームが提供される。
ヌクレオソームのコアは、H2A、H2B、H3、及びH4ヒストンタンパク質の各々の対を含む8つのヒストンタンパク質からなる。ヒストンH1(H1)はコアヒストンではなく、コアの外側に位置してリンカーとして働く。特にH1は「ひも上のビーズ」基本構造の高次構造への詰め込みに関与する。理論に束縛されることなく、本発明者らは腫瘍を起源とする無細胞ヌクレオソームに会合しているH1は、ヒストンH1の修飾、バリアント、及び/又はアイソフォームの存在、又はヒストンH1の完全な喪失をもたらすさらなる修飾を受けることを突き止めた。
主要なヒストンH1のバリアント又はアイソフォームには、限定されることなく、増殖中及び休止中の体細胞において発現するH1.0及びH1.10、並びに分裂細胞で高レベルに発現するH1バリアント、H1.1、H1.2、H1.3、H1.4、H.1.5、及びH1.6がある。さらに、精巣に主に発現するH1.8、及び卵母細胞に主に発現するH1.7を含む生殖系列特異的バリアントがある。クロマチンのヒストンバリアントの組成は癌細胞において変化し、共通のH1アイソフォームのうち、ヒストンH1.0アイソフォームの発現は癌細胞において下方調節されるのに対し、ヒストンアイソフォームH1.1, H1.2, H1.3, H1.4、及びH.15は癌細胞において高レベルに発現することが報告されている(Scaffidiの文献、2015)。従って、一実施態様において、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1のバリアント及び/又はアイソフォームは、本明細書に列記された少なくとも1つのヒストンH1のバリアント及び/又はアイソフォームを含む。
H1ヒストンはN及びC末端尾部に位置するアミノ酸残基で、並びにタンパク質の球状ドメイン内で翻訳後修飾を受ける場合があり、これらの修飾は癌と関連付けることができる(Izzo及びSchneiderの文献、2015)。本明細書における「ヒストンH1の修飾」への言及は、アセチル化、モノ、ジ、又はトリメチル化であり得るメチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、シトルリン化、ヒドロキシル化、グリコシル化、ニトロシル化、グルタミン化(glutamination)、及び/又は異性化を含み得るH1の翻訳後修飾(PTM)を指すことが理解されよう。修飾を受けるヒストンのアミノ酸残基は、ヒストンアミノ酸配列内の任意のSer、Lys、Arg、His、Glu、Pro、又はThr残基であり得る。
例えば、コアヒストン配列内のリシン残基は、モノ、ジ、若しくはトリメチル化、アセチル化、又はユビキチン化される場合があり、コアヒストン配列内のアルギニン残基はモノメチル化され、対称若しくは非対称にジメチル化され、又はシトルリンに変換される場合があり、コアヒストン配列内のセリン又はスレオニン残基は、リン酸化される場合があり、かつ/あるいはコア配列内のプロリン残基は、異性化される場合がある。
当業者には、特定のヒストン修飾を記載するのに使用される表記により、どのヒストンが修飾されたか、修飾された特定のアミノ酸(複数可)、及び生じた修飾の種類が示されることが理解されよう。例えば、H1K64(Ac)は、ヒストンH1のリシン64でのアセチル化を意味する。
一実施態様において、バイオマーカーは、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾を含む。さらなる実施態様において、ヒストンH1の修飾は、リン酸化、アセチル化、メチル化、ユビキチン化、及び/又はホルミル化から選択される。H1の修飾としては、部位:S2、T4、T11、S/T18、S27、T31、S36、S37、T39、S41、S44、S107、T138、T142、T146、T147、T154、T155、T165、S172、S173、T180、S/T187、S189でのリン酸化;部位:S2、K17、K26、K34、K46、K49、K52、K63、K64、K85、K88、K90、K93、K97、K109、K168、K169、K192、K209でのアセチル化;部位:K26、K27、K34、K52、K64、K97、K106、K119、K148、K168、K169、K187でのメチル化;部位:K17、K21、K34、K46、K47、K64、K65、K75、K76、K85、K86、K90、K91、K97、K98、K106、K107でのユビキチン化;部位:K17、K34、K46、K63、K64、K67、K75、K85、K88、K90、K97、K110、K140、K141、K160でのホルミル化を挙げることができる。従って、一実施態様において、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾は、本明細書に列記された少なくとも1つのヒストンH1の修飾を含む。
当業者には、異なる又は追加のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含むヌクレオソームの検査を含めることにより、そのようなパターンを使用する差別的な診断の識別力が向上する可能性が高くなることが明らかであろう。従って、一実施態様において、バイオマーカーは少なくとも1つの無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾及び/又はバリアント及び/又はアイソフォームを含む。
一実施態様において、ヌクレオソームは無細胞単一ヌクレオソーム又はオリゴヌクレオソームである。
言及され得る本発明の一つの特定の態様に従って、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用が提供される。
一実施態様において、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームは癌のバイオマーカーとして使用される。さらなる実施態様において、癌は、膀胱、乳房、結腸、子宮頸部、食道、腎臓、大腸、肺、口腔、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、皮膚、又は胃の癌である。言及され得る特定の一実施態様において、癌は結腸、肺、口腔、又は膵臓の癌である。
一実施態様において、癌細胞において高発現するヒストンバリアントは、ヌクレオソームコア内に、又は同様に癌において異なる会合しているDNA内に位置する別のヌクレオソームエピトープと組み合わせた、古典的な二重抗体免疫アッセイ法における固相抗体として使用される。
別の実施態様において、本発明のアッセイのパネルは、対象の疾患状態のパネル試験として使用される。
「バイオマーカー」という用語は、プロセス、事象、又は状態の特色を示す生体指標又は生体由来指標を意味する。バイオマーカーは、診断方法、例えば、臨床スクリーニング及び予後評価において、並びに治療結果のモニタリング、特定の治療的処置に反応する見込みが最も高い患者を特定すること、薬物スクリーニング及び創薬において使用することができる。バイオマーカー及びその使用は、新薬治療の特定及び薬物治療の新規標的の発見のために有益である。
(検出法)
本発明のさらなる態様に従って、試料中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームを免疫アッセイにより検出し、かつ測定するための方法であって:
(i) 試料をヒストンH1と結合する抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 試料中の該抗体又は他の結合子のヒストンH1との結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iii) 試料中の無細胞ヌクレオソームと会合しているヒストンH1の存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本明細書で説明するように、驚くべきことに、腫瘍細胞を起源とする無細胞ヌクレオソームが、ヒストンH1を喪失している(すなわち、ヒストンH1が存在しない)可能性がより高いことが認められた。従って、検出され、測定された無細胞ヌクレオソームがヒストンH1と会合していないならば、これらは腫瘍を起源とすると考えられる。
本発明のさらなる態様に従って、試料中の特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを免疫アッセイにより検出し、かつ測定するための方法であって:
(i) 試料をヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームと結合する抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 試料中の該抗体又は他の結合子のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォーム種との結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iii) 試料中の無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本明細書で説明するように、腫瘍細胞を起源とする無細胞ヌクレオソームにまさにヒストンH1が存在する場合、このH1は健常細胞を起源とする大部分のヌクレオソームに存在するH1のバリアントとは異なるバリアント又はアイソフォームとして存在する可能性が高い。同様に、腫瘍細胞を起源とする無細胞ヌクレオソームに存在するH1は、健常細胞を起源とするヌクレオソームに存在するものとは異なるH1の修飾パターンを含む可能性が高い。従って、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームは、腫瘍を起源とする可能性が高い。
本発明のさらなる態様に従って、試料中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための二重抗体免疫測定法又はサンドイッチ免疫アッセイ法であって:
(i) 試料をヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第1の結合剤と接触させる工程;
(ii) ヌクレオソーム又は試料をヒストンH1と結合する第2の結合剤と接触させる工程;
(iii) 試料中の該第2の結合剤のヒストンH1との結合を検出し、又は定量化する工程;及び
(iv) 試料中のヒストンH1を含むヌクレオソームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、試料中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
(i) 試料をヒストンH1と結合する第1の結合剤と接触させる工程;
(ii) ヌクレオソーム又は試料をヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第2の結合剤と接触させる工程;
(iii) 試料中の該第2の結合剤のヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
(iv) 試料中のヒストンH1を含むヌクレオソームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、試料中の特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、かつ測定するための二重抗体免疫測定法又はサンドイッチ免疫アッセイ法が提供される。本態様の一実施態様は、免疫アッセイであって:
(i) 無細胞ヌクレオソームを含み得る試料をヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第1の抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 無細胞ヌクレオソーム又は試料をヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームと結合する第2の抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(iii) 試料中の該第2の抗体又は他の結合子のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォーム種との結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iv) 試料中の無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記免疫アッセイである。
別の実施態様に従って、試料中の特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを免疫アッセイにより検出し、かつ測定するための方法であって:
(i) 無細胞ヌクレオソームを含み得る試料をヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームと結合する第1の抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 無細胞ヌクレオソーム又は試料をヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第2の抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(iii) 試料中の該第2の抗体又は他の結合子のヌクレオソーム又は非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープとの結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iv) 試料中の無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
様々な抗体又は他の結合子を、ヌクレオソームと結合する結合子として本発明において利用することができる。これらには、インタクトなヌクレオソーム中に存在し、遊離ヒストン中には存在しないエピトープ(例えば、ヌクレオソーム中の2つのヒストンの間の連結部に認められるエピトープ)と結合するように方向づけられた結合子、及びまた、共通のヌクレオソームタンパク質、ヒストン、又は核酸エピトープを含む任意のヌクレオソーム構成要素に方向づけられた結合子も含まれる。
本明細書における「非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープ」への言及は、ヒストンH1には存在しない、ヌクレオソーム中に存在する任意のエピトープを指す。そのようなエピトープには、ヒストンH2A、H2B、H3、若しくはH4、又は任意のDNAエピトープ中に存在する任意のエピトープがある。一方の抗体がヒストンH1エピトープと結合し、他方の抗体が「非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープ」と結合する二重抗体アッセイの使用により、アッセイにより検出されたヒストンH1エピトープがヌクレオソームに組み込まれていることが保証される。
複数のアイソフォーム又はバリアントが、ヒストンH2A、H2B及びH3について報告されている。他方でヒストンH4は、単独の形として存在することが報告されている(Tachiwanaらの文献、2011)。ヒストンH4に結合するように標的化された抗体又は結合子を使用する本発明のELISA法は、試料中の事実上全てのヌクレオソームに結合することは、当業者には明らかであろう。さらに、この適用のために作製された好適な抗体又はリガンドは、PTM修飾を受けないヒストンH4の領域を標的化することができることは、当業者には明らかであろう。これはさらに、全て又は大部分のヌクレオソームに共通なエピトープとして選択されたエピトープの汎用性を増大するであろう。従って、一実施態様において、ヌクレオソームと結合する抗体又は他の結合子は、ヒストンH4、特にPTM修飾を受けないヒストンH4の領域を標的化する。同様に、類似した好適な抗体は、選択された他のヒストン成分の領域へ結合するように標的化することができ、その結果それらの領域は、該ヒストン成分の全て又は大部分のヒストンバリアント又はアイソフォームに共通であること、並びにPTMを受けないこと(例えば、非限定的に;ヒストンH2A、H2B又はH3の共通領域)は、当業者に明らかであろう。
例えばヌクレオソームが、細胞、又は血液試料、血清試料若しくは血漿試料などの生体液から抽出されたクロマチンの消化により得られた試料中に存在する場合、本発明の方法を使用し、任意の試料中のヌクレオソームを直接検出及び測定することができることは、当業者には明らかであろう。
本発明の方法は、全て又は大部分の癌の検出に有効である。本発明の臨床成果は、さらなるヌクレオソーム構造検査を含めること、及び存在する異なるヌクレオソーム構造の比の検討により、さらに改善され得ることは、当業者に明らかであろう。
説明された本発明の方法は、古典的競合免疫アッセイに加え、バイオセンサー型アッセイ及び例えば事実上免疫測定的であってよい、米国のForteBio社から市販されている型の非標識アッセイを含む、多種多様な実施態様を含むことは、当業者には明らかであろう。
本発明の一実施態様に従い、非標識免疫測定的免疫アッセイによる、試料中のヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム、又は無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを検出し、かつ測定するための方法であって:
(i) 試料を、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームに結合する抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 試料中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームへの該抗体又は他の結合子の結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iii) 試料中のヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム又は無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる実施態様に従い、競合免疫アッセイにより、試料中の無細胞ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム、又は無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを検出し、かつ測定するための方法であって:
(i) 試料を、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームに結合する抗体又は他の結合子と接触させる工程;
(ii) 試料中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームへの該抗体又は他の結合子の結合を検出し、かつ/又は定量化する工程;及び
(iii) 試料中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの存在の尺度として、そのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従い、試料中の、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含むヌクレオソームの比率を検出するための方法であって:
(i) 試料中のヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;
(ii) 本発明の方法に従い、ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのレベルを検出し、又は測定する工程;及び
(iii) 前記ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含むヌクレオソームの比率を決定するために、2つの測定値を使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のこの態様の一実施態様に従い;試料中の全ヌクレオソームレベル及び関心対象のヌクレオソームに会合しているヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルの両方が、本発明の方法を用いて測定される。別の実施態様において、現在の技術のヌクレオソームELISA法を使用し、全ヌクレオソームレベルを決定する。さらに別の実施態様において、無細胞DNAの測定を、全ヌクレオソームレベルの代理として使用する。
本発明のさらなる態様に従い、細胞中の、ヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在及び/又はレベルを検出し、又は測定するための方法であって:
(i) 細胞からクロマチンを単離する工程;
(ii) 該クロマチンを消化し、超音波処理し、又は別途分解し、単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソームを形成する工程;並びに
(iii) 本明細書記載の方法により、該単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソーム中のヒストンH1の存在を検出し、又は測定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、細胞中の特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在及び/又はレベルを検出し、又は測定するための方法であって:
(i) 細胞からクロマチンを単離する工程;
(ii) クロマチンを消化し、超音波処理し、又は別途分解して単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソームを形成させる工程;並びに
(iii) 単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソーム中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームの存在を、本明細書に記載の方法によって検出し、又は測定する工程、を含む、前記方法が提供される。
クロマチンから単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソームを作製する方法は、当該技術分野において周知であり、かつ酵素消化及び超音波処理を含む(Daiらの文献、2011)。
当業者であれば、説明された細胞又は組織中のヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを検出する方法は、IHC、ウェスタンブロット又はFACSを含む、現在使用されている方法よりも、簡単で、より迅速、より安価で、より定量的及び/又はより再現性があることを認識するだろう。特定のヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのレベル、濃度又は量は、例えば存在する全ヌクレオソーム若しくは全DNAの比率として、又は別のヒストンバリアント若しくはPTM若しくはヌクレオチドを含むヌクレオソームのレベルに対する比として、絶対項又は相対項として表すことができる。
本発明における使用のための抗ヒストンH1抗体には、特定のヒストンH1バリアント又はアイソフォームに結合するように方向づけられた抗体、特定のヒストンH1の翻訳後修飾と結合するように方向づけられた抗体、及び全て又は大部分のH1アイソフォーム又はバリアント中に存在する共通のH1エピトープと結合するように方向づけられたヒストンH1それ自体と結合するように方向づけられた抗体がある。これらの型の抗体は全て当技術分野で周知されており、商業的に入手可能である。「非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープ」に対する抗体は、ヒストンH1上に存在しないヌクレオソームに存在する任意のエピトープと結合するように方向づけられる。そのようなエピトープには、ヒストンH2A、H2B、H3、若しくはH4中に存在する任意のエピトープ又は任意のDNAエピトープがある。また、これらの抗体は当技術分野で周知されており、商業的に入手可能である。当業者には、本発明のあらゆる態様に関する抗体、結合子、又はリガンドという用語が限定的なものではなく、特定の分子又は実体と結合することができるあらゆる結合子を含むように意図されていること、及びあらゆる好適な結合子を本発明の方法において使用することができることは明らかであろう。また、ヌクレオソームという用語が単一ヌクレオソーム及びオリゴヌクレオソーム、並びに流体媒体中で分析可能なあらゆるクロマチン断片を含むように意図されることも、明らかであろう。
本発明のさらなる態様は、バイオマーカーに特異的に結合することが可能である、天然の又は化学的に合成された化合物などの、リガンド又は結合子を提供する。本発明のリガンド又は結合子は、バイオマーカーに特異的に結合することが可能である、ペプチド、抗体若しくはそれらの断片、又はプラスチック抗体などの合成リガンド、又はアプタマー若しくはオリゴヌクレオチドを含んでよい。この抗体は、バイオマーカーに特異的に結合することが可能である、モノクローナル抗体又はそれらの断片であることができる。本発明のリガンドは、発光、蛍光、酵素又は放射性マーカーなどの検出可能なマーカーにより標識されてよく;あるいは又は加えて、本発明のリガンドは、アフィニティータグ、例えばビオチン、アビジン、ストレプトアビジン若しくはHis(例えばhexa-His)タグにより標識されてよい。あるいは、リガンド結合は、非標識技術、例えばForteBio社の技術を用い、決定されてよい。
本発明のバイオセンサーは、バイオマーカーに対する抗体に特異的に結合することが可能である、バイオマーカー又はそれらの構造/形状模倣体を含んでよい。同じく、本明細書記載のリガンド又は模倣体を含むアレイも提供される。
同じく本発明により、天然の又は化学的に合成されることができ、かつ好適にはペプチド、抗体若しくはそれらの断片、アプタマー若しくはオリゴヌクレオチドである、本明細書に記載の1以上のリガンドの使用、又はそのバイオマーカーを検出及び/又は定量化するための、本発明のバイオセンサー、若しくは本発明のアレイ、若しくは本発明のキットの使用が提供される。これらの使用において、検出及び/又は定量化は、本明細書に規定する生体試料について実施することができる。
同定及び/又は定量化は、患者由来の生体試料中の又は生体試料の精製物若しくは抽出物若しくはそれらの希釈物中の、特異的タンパク質の存在及び/又は量を同定するのに好適な任意の方法により実施することができる。本発明の方法において、定量化は、1又は複数の試料中のバイオマーカーの濃度を測定することにより実施することができる。本発明の方法において検査され得る生体試料は、本明細書において先に規定されたものを含む。試料を調製し、例えば、適切な場合は希釈し、又は濃縮し、かつ通常の様式で貯蔵することができる。
バイオマーカーの同定及び/又は定量化は、バイオマーカー又はそれらの断片、例えばC-末端切断を伴う断片、又はN-末端切断を伴う断片の検出により実施することができる。断片は、好適には、長さが4個よりも大きいアミノ酸、例えば、長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸である。特にヒストン尾部の配列と同じ又は関連した配列のペプチドが、特に有用なヒストンタンパク質の断片であることは、注目される。
前記バイオマーカーは、例えば、SELDI又はMALDI-TOFにより、直接的に検出されてよい。あるいは、バイオマーカーは、抗体若しくはそれらのバイオマーカー結合断片、又は他のペプチドなどの、1種又は複数のリガンドとの相互作用、あるいは例えばバイオマーカーに特異的に結合することが可能であるアプタマー又はオリゴヌクレオチドなどのリガンドとの相互作用を介して、直接的に又は間接的に検出されてよい。リガンド又は結合子は、発光、蛍光又は放射性標識などの、検出可能な標識、及び/又はアフィニティータグを有することができる。
例えば、検出及び/又は定量化は、SELDI(-TOF)、MALDI(-TOF)、1-Dゲルベース分析、2-Dゲルベース分析、質量分析(MS)、逆相(RP)LC、サイズ透過(ゲル濾過)、イオン交換、アフィニティ、HPLC、UPLC及び他のLC又はLC MSベースの技術からなる群から選択される1種以上の方法により、実施することができる。適切なLC MS技術は、ICAT(登録商標)(Applied Biosystems社、CA、米国)、又はiTRAQ(登録商標)(Applied Biosystems社、CA、米国)を含む。液体クロマトグラフィー(例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又は低圧液体クロマトグラフィー(LPLC))、薄層クロマトグラフィー、NMR(核磁気共鳴)分光法も、使用することができる。
本発明に従う診断又はモニタリングの方法は、バイオマーカーの存在又はレベルを検出するために、SELDI TOF又はMALDI TOFにより試料を分析することを含んでよい。これらの方法は同じく、臨床スクリーニング、予後、治療結果のモニタリング、特定の治療的処置に対し反応する可能性が最も高い患者の特定、薬物スクリーニング及び創薬、並びに薬物治療に関する新規標的の同定に好適である。
検体バイオマーカーの同定および/または定量化は、バイオマーカーに特異的に結合することが可能である抗体、又はそれらの断片を必要とする、免疫学的方法を用いて実施されてよい。好適な免疫学的方法は、検体バイオマーカーの検出が検体バイオマーカー上の異なるエピトープを認識する2つの抗体を用いて実施される、サンドイッチELISAなどの、サンドイッチ免疫アッセイ;放射免疫アッセイ(RIA)、直接的、間接的又は競合酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法及び任意の粒子ベースの免疫アッセイ(例えば、金、銀、若しくはラテックス粒子、磁気粒子、又はQ-dotsを使用する)を含む。免疫学的方法は、例えば、マイクロタイタープレート又はストリップフォーマットにおいて実施されてよい。
本発明の免疫アッセイには、酵素検出法を利用する免疫測定的アッセイ(例えば、ELISA)、蛍光標識免疫測定的アッセイ、時間分解蛍光標識免疫測定的アッセイ、化学発光免疫測定的アッセイ、免疫比濁アッセイ、微粒子標識免疫測定的アッセイ、及び免疫放射分析アッセイ、並びに標識抗原及び標識抗体を含む競合免疫アッセイ法、放射性、酵素、蛍光、時間分解蛍光、及び微粒子標識を含む様々な標識型による競合免疫アッセイ法がある。前記免疫アッセイ法は全て当技術分野で周知されている。例えば、Salgameらの文献、1997及びvan Nieuwenhuijzeらの文献、2003を参照されたい。
疾患に特異的な重要なバイオマーカーの同定は、診断手順と治療レジメンの統合に重要である。予測的バイオマーカーを使用すれば、バイオセンサーなどの適切な診断ツールを開発することができ;従って、本発明の方法及び使用において、同定及び定量化を、バイオセンサー、マイクロ分析システム、マイクロ工学システム、マイクロ分離システム、イムノクロマトグラフィーシステム又は他の好適な分析装置を用いて、実行することができる。バイオセンサーは、これらのバイオマーカー(複数可)の検出のための免疫学的方法、電気技術、熱技術、磁気技術、光学技術(例えばホログラム)又は音響技術を組み込んでよい。そのようなバイオセンサーを使用すれば、生体試料中に認められる予測された濃度で標的バイオマーカー(複数可)を検出することが可能となる。
本明細書において使用される「バイオセンサー」という用語は、バイオマーカーの存在を検出することが可能であるものを意味する。バイオセンサーの例は、本明細書に記載されている。
本発明のバイオセンサーは、バイオマーカーへの特異的結合が可能である本明細書記載のリガンド結合子又はリガンドを含んでよい。そのようなバイオセンサーは、本発明のバイオマーカーの検出及び/又は定量化において有用である。
本発明のバイオマーカー(複数可)は、「スマート」ホログラム、又は高周波音響システムを基にしたバイオセンサー組み入れ技術を用いて検出することができ、そのようなシステムは特に「バーコード」又はアレイ構成に適している。
スマートホログラムセンサー(Smart Holograms社、Cambridge、英国)において、ホログラフィー像は、バイオマーカーと特異的に反応するように増感されている薄いポリマーフィルム上に保存される。露光時に、バイオマーカーはポリマーと反応し、ホログラムにより表示された像の変化をもたらす。この検査結果の読み取りは、輝度(optical brightness)、像、色及び/又は像の位置の変化であることができる。定性的及び半定量的適用のためには、センサーホログラムは、肉眼により読み取ることができ、従って検出装置が不要となる。定量的測定値が必要である場合は、簡単な色センサーを使用し、シグナルを読み取ることができる。試料の不透明性又は色は、このセンサーの運用に干渉しない。このセンサーのフォーマットは、いくつかの物質の同時検出のための多重化(multiplexing)を可能にする。可逆センサー及び不可逆センサーを、様々な必要要件に合致するように設計することができ、かつ対象の特定のバイオマーカーの連続モニタリングが実現可能である。
好適には、本発明の1以上のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーは、生体分子認識を、試料中のバイオマーカーの存在の検出又は定量化をシグナルへ変換するのに適切な手段と組合せている。バイオセンサーは、例えば病棟、外来患者部門、手術室、自宅、野外及び職場など、「代替場所」での診断検査のために適合させることができる。
本発明の1以上のバイオマーカーを検出するためのバイオセンサーは、音響センサー、プラズモン共鳴センサー、ホログラフィーセンサー、バイオレイヤー干渉(BLI)センサー及びマイクロ工学センサーを含む。インプリンティング認識エレメント、薄膜トランジスタ技術、磁気音響共振装置及び他の新規音響電気システムを、本発明の1以上のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーにおいて利用してよい。
本発明の1以上のバイオマーカーの同定及び/又は定量化に関与する方法は、卓上装置において実施することができるか、あるいは例えば医師の診療所又は患者のベッド脇など、非実験室環境で使用することができる、使い捨ての診断又はモニタリング用のプラットフォームに組み込むことができる。本発明の方法を実施するのに好適なバイオセンサーは、光学リーダー又は音響リーダーを備える、「クレジット(credit)」カードを含む。バイオセンサーは、収集されたデータが、解釈のために医師に電送されることを可能にするように構成することができ、従って電子医療(e-medicine)の基礎を形成することができる。
(診断方法)
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象における疾患状態を検出し、又は診断するための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームと会合しているヒストンH1のレベルを使用して、対象の疾患状態を特定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象における疾患状態を検出し、又は診断するための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを使用して、対象の疾患状態を特定する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明の別の態様に従って、体液中のヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在及び/又はレベル又は濃度を測定し、又は検出すること、並びに対象の疾患状態のバイオマーカーとして検出されたレベルを使用することによって疾患の存在を検出し、又は診断するための方法であって、限定されることなく、疾患の臨床診断、疾患の型若しくは亜型、又は疾患の予後、又は疾患の再発の示差的診断、あるいは対象の治療レジメンへの感受性の診断を含む、前記方法が提供される。当業者であれば、診断検査のために使用される体液が、限定されることなく、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、喀痰、糞便、及び他の流体を含むことを認識するであろう。好ましい実施態様において、試料として選択される体液は、血液、血清、又は血漿である。体液中のヌクレオソームに会合しているヒストンH1又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのアッセイ反応レベル、濃度、又は量は、絶対項又は相対項で、例えば、限定されることなく、存在する全ヌクレオソーム若しくは全DNAのレベルの比率として、又は別のヒストンバリアント若しくはヌクレオチド若しくはPTMを含むヌクレオソームのレベルの比として表すことができる。
一実施態様において、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを、測定パネルの1つとして検出し、又は測定する。
本発明の一実施態様において、対照試料を提供し、陽性又は陰性結果を識別するためのアッセイ用のカットオフレベルを、対照試料に対する結果に関して定義する。このカットオフレベルは、対照試料の結果のレベル以上又は該レベル以下の任意の比率とすることができる。このレベルを下回る患者の結果を陰性とみなし、このレベルを上回る患者の結果を陽性とみなす。また、患者の結果がカットオフレベルに非常に近い「グレーエリア(grey area)」範囲も存在し、この範囲では決定は確定できないと判断され、かつ/又は検査を繰り返すべきである。
当業者には、ヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームがまた、ヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームタンパク質のヌクレオソーム複合体からの抽出と、それに続く抽出された遊離ヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームタンパク質の検出又は定量化のための方法を伴う手順により、血液、血漿、血清、及び尿を含む生体液中に検出され得ることは明らかであろう。好適な抽出手順としては、ヒストンタンパク質の塩基性を利用した、ヒストンに対する一般に使用される酸抽出手順が挙げられる。遊離ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの検出を、例えば、遊離ヒストン成分に対する免疫アッセイにより実施することができる。従って、本発明の一実施態様において、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを血液、血漿、血清、及び尿を含む生体液から抽出し、抽出物をヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在について検査する。
他の成分を含む複合体の一部として含まれるたんぱく質の存在を、免疫アッセイ法により検出することは可能であることが、当技術分野で公知である。当業者には、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを、流体中のヒストンの修飾、アイソフォーム、又はバリアントそれ自体の直接的免疫アッセイを伴う手順により、血液、血漿、血清、及び尿を含む生体液中で検出できることは、明らかであろう。この手順においては、ヒストンの修飾、アイソフォーム、若しくはバリアント上に存在するエピトープに方向づけられた抗体を利用する、単一抗体免疫アッセイ、あるいはヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム上に存在する2つのエピトープに方向づけられた2つの抗体を利用する、2部位免疫アッセイを使用して、ヌクレオソーム内のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在を検出する。従って、本発明の別の実施態様においては、ヌクレオソーム内に含まれているヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを、免疫アッセイ法を使用することにより、血液、血漿、血清、喀痰、糞便、及び尿を含む生体液中で直接検出する。
従って、本発明の一実施態様においては、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを血液、血漿、血清、喀痰、糞便、及び尿を含む生体液から抽出し、抽出物を検査する。
本明細書で使用される「検出する」及び「診断する」という用語は、疾患状態の特定、確認、及び/又は特性評価を包含する。本発明に従って検出し、モニタリングし、かつ診断する方法は、疾患の存在を確認し、発症及び進行を評価することにより疾患の発症をモニタリングし、又は疾患の改善若しくは軽減を評価するのに有用である。検出、モニタリング、及び診断の方法はまた、臨床スクリーニングの評価、予後、治療法選択、治療的利益の評価のための、すなわち、薬物スクリーニング及び創薬のための方法においても有用である。
効率のよい診断及びモニタリング法があれば、正しい診断を確立し、最も適切な治療の迅速な特定を可能とし(従って有害な薬物副作用への不必要な曝露が減り)、かつ再発率を減らすことにより、予後の改善のための潜在性を有する非常に強力な「患者解決法」が提供される。
一実施態様において、該バイオマーカーは腫瘍細胞から放出される。従って、本発明のさらなる態様によると、腫瘍成長の検出のための方法であって、(i) 生体試料中の腫瘍細胞と関連する、又は該細胞から放出されるバイオマーカーを測定する工程、及び(ii) 該バイオマーカーのレベルが腫瘍の大きさ、ステージ、侵攻性、又は転移と関連づけられることを実証する工程、を含む、前記方法が提供される。
細胞のターンオーバー、細胞死、及びアポトーシスが増加すると、無細胞ヌクレオソームの循環レベルが増加することが知られている(Holdenriederらの文献、2001)。循環無細胞ヌクレオソームのレベルは非特異的な指標であり、炎症性疾患、多岐にわたる良性及び悪性状態、自己免疫性疾患、並びに外傷又は虚血後の状態を含む様々な状態で出現する(Holdenriederらの文献、2001)。当業者には、本発明が、対象において循環ヌクレオソームが認められる様々な疾患領域での応用性を有することが明らかであろう。これらには、限定されることなく、外傷(例えば、重度の傷害又は外科手術)、過度の運動(例えば、マラソンを走ること)、卒中、及び心臓発作、及び敗血症、又は他の深刻な感染症がある。
一実施態様においては、本発明の方法を、複数の機会に繰り返す。この実施態様は、検出結果をある期間にわたりモニタリングすることが可能となるという利点を提供する。そのような計画は、疾患状態の治療の有効性をモニタリングし、又は評価することの利益を提供する。本発明のそのようなモニタリング法は、発症、進行、安定化、改善、再発、及び/又は寛解をモニタリングするのに使用することができる。
従って、本発明はまた、疾患状態を有すると疑われる対象における、そのような疾患の治療の有効性をモニタリングする方法であって、該対象由来の生体試料中に存在するバイオマーカーを検出し、かつ/又は定量化することを含む、前記方法を提供する。モニタリング法において、検査試料を2以上の機会に採取することができる。方法はさらに、検査試料中に存在するバイオマーカー(複数可)のレベルを1以上の対照と、並びに/又は同じ検査対象からより早く、例えば治療の開始前に、及び/若しくは同じ検査対象から治療のより早い段階で採取された1以上の以前の検査試料(複数可)と比較することをさらに含み得る。方法は、異なる機会に採取された検査試料におけるバイオマーカー(複数可)の性質又は量の変化を検出することを含み得る。
従って、本発明のさらなる態様によると、動物又はヒト対象の医学的治療への適性の評価のための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1のレベルを対象にとって好適な治療の選択のためのパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象の医学的治療への適性の評価のための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのレベルを対象にとって好適な治療の選択のためのパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象の治療をモニタリングするための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
(ii) 1以上の機会に、対象の体液中のヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの検出又は測定を繰り返す工程;及び
(iii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1のレベルのあらゆる変化を、対象の状態のあらゆる変化についてのパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、動物又はヒト対象の治療をモニタリングするための方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
(ii) 1以上の機会に対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの検出又は測定を繰り返す工程;及び
(iii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのレベルのあらゆる変化を、対象の状態のあらゆる変化についてのパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、ヒト又は動物対象における疾患状態についての治療の有効性をモニタリングするための方法であって:
(i) 本明細書に規定するバイオマーカー(すなわち、ヒストンH1又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム)の量を定量化する工程;並びに
(ii) 検査試料中の該バイオマーカーの量を、1以上の対照及び/又は同じ検査対象からより早い時に採取された1以上の以前の検査試料において存在する量と比較する工程、を含む、前記方法が提供される。
本明細書に記載の「バイオマーカー」への言及は、ヒストンH1それ自体、又はヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームへの言及であると理解されよう。
同じ検査対象からより早期に採取された、以前の検査試料におけるレベルに対し相対的な、検査試料中のバイオマーカーのレベルの変化は、障害又は疑われる障害に対する該治療の有益な効果、例えば、安定化又は改善を示し得る。さらに、いったん治療が完了したら、本発明の方法は、疾患の再発についてモニタリングするために定期的に繰り返してもよい。
治療の有効性をモニタリングするための方法は、ヒト対象及び非ヒト動物(例えば、動物モデル)における既存の治療法及び新規治療法の治療効果をモニタリングするために使用することができる。これらのモニタリング方法は、新規薬物物質及び物質の組合わせのスクリーニングに組み込むことができる。さらなる実施態様において、速効性の治療法によるより急速な変化のモニタリングは、より短い時間又は日数の間隔で実施され得る。
疾患状態の存在の診断及びモニタリングのための診断用キットが、本明細書に説明されている。一実施態様において、このキットは追加的に、バイオマーカーの同定及び/又は定量化が可能であるバイオセンサーを含む。本発明のキットは好適には、バイオマーカー又はバイオマーカーの構造/形状模倣体に特異的な、リガンド結合子、又はリガンド、1以上の対照、1以上の試薬及び1以上の消耗品の群から選択される1以上の成分を;任意に、本明細書に規定する方法のいずれかに従うキットの使用説明書と一緒に、含んでよい。
疾患状態に関するバイオマーカーの同定は、診断手順と治療レジメンの統合を可能にする。本発明のバイオマーカーの検出は、臨床試験への対象の参加前の、対象のスクリーニングに使用することができる。これらのバイオマーカーは、治療反応、反応不良、好ましくない副作用プロファイル、服薬遵守の程度及び適切な血清薬物レベルの達成を示す手段を提供する。これらのバイオマーカーを使用し、有害な薬物反応の警告を提供することができる。反応の評価は、用量の微調整、処方薬の数の最小化、有効な療法への到達の遅延の減少、及び有害薬物反応の回避に使用することができるので、バイオマーカーは、個別療法の開発において有用である。従って、本発明のバイオマーカーをモニタリングすることにより、患者の管理(care)を、患者の障害及び薬理ゲノミクスプロファイルにより決まる必要性と合致するように正確に合わせることができ、従ってこのバイオマーカーを使用し、適量まで漸増し、陽性治療反応を予測し、かつ重度の副作用のリスクが高い患者を特定することができる。
バイオマーカーベースの検査は、「新規」患者の第一線の評価を提供し、かつ現在の尺度を用いては達成され得ない、正確で迅速な診断のための客観的測定を提供する。
さらに、診断用バイオマーカー検査は、軽度の又は無症候性の疾患を伴うか、あるいは症候性疾患を発症するリスクの高いかもしれない、家族の一員又は患者を特定するために有用である。このことは、適切な療法の開始、又は予防的対策、例えばリスク因子の管理を可能にする。これらのアプローチは、転帰を改善することが認められ、かつ該障害の顕性の発症を防止することができる。
バイオマーカーモニタリング法、バイオセンサー及びキットはまた、再発が、該障害の増悪に起因するかどうかを医師が決定することを可能にするための、患者をモニタリングするツールとしても不可欠である。薬学的治療が不適切であると評価される場合は、治療法を元に戻す、若しくは増加することができ;適切ならば、治療法が変更され得る。これらのバイオマーカーが該障害の状態に感受性がある場合、これらは、薬物療法の影響の指標を提供する。
疾患の存在を検出するためのバイオマーカーは、新規標的及び障害の進行を遅延させ、又は停止させる薬物分子の発見のために不可欠な標的である。バイオマーカーのレベルは障害及び薬物への反応を示すため、バイオマーカーは、インビトロアッセイ及び/又はインビボアッセイにおける新規治療化合物の同定に有用である。本発明のバイオマーカーは、バイオマーカーの活性を調節する化合物のスクリーニング方法において利用することができる。
従って、本発明のさらなる態様において、記載されたように、本発明によるペプチド、抗体、若しくはそれらの断片、又はアプタマー、又はオリゴヌクレオチドであり得る結合子又はリガンドの使用;あるいは本発明によるバイオセンサー、又は本発明によるアレイの使用;あるいはバイオマーカーの生成を促進し、かつ/又は抑制することができる物質を同定するための、本発明によるキットが提供される
また、対象におけるバイオマーカーの生成を促進し、又は抑制することができる物質を同定する方法であって、対象動物に試験物質を投与すること、及び対象由来の検査試料中に存在するバイオマーカーのレベルを検出し、かつ/又は定量化すること、を含む、前記方法が提供される。
(治療方法)
本発明のさらなる態様に従って:動物又はヒト対象における癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチから選択される疾患の治療方法であって:
(i) 対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
(ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのレベルを、対象の疾患状態を特定するために使用する工程;及び
(iii) 該疾患を有する患者であると工程(ii)において診断された対象を外科手術により処置し、又は該対象に治療薬を投与する工程、を含む、前記方法が提供される。
本明細書に記載の方法は、1以上の対照の生体試料中に存在する、バイオマーカー(複数可)のレベルを比較することをさらに含み得る。一実施態様において、1以上の対照由来の生体試料を健常(又は「正常な」)患者(複数可)及び/又は関連する良性疾患を有する患者(複数可)から採取する。さらなる実施態様において、1以上の対照由来の生体試料を健常患者(複数可)から採取する。
従って、本発明のさらなる態様に従って、それを必要とする個体における疾患の治療方法であって、対照対象から取得した生体試料中の該バイオマーカー(複数可)のレベルと比較した場合、生体試料中の、本明細書に規定するバイオマーカー(複数可)を異なるレベルで有するものとして特定された患者に、治療薬を投与する工程、を含む、前記方法が提供される。
一実施態様において、疾患は、癌である。さらなる実施態様において、癌は:乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、膵癌、腸癌、肝癌、子宮内膜癌、リンパ腫、口腔癌、頭頸部癌、白血病、及び骨肉腫から選択される。
該疾患を治療するために使用される治療薬及び外科手術法は、当業者に周知されている。癌の治療方法には、これらに限定はされないが、外科手術、化学療法、放射線療法、又は他の治療薬(例えば、薬物又は生物学的治療法、例えばモノクローナル抗体)がある。
(バイオマーカーの同定法)
本発明のさらなる態様に従って、疾患状態の存在を検出するためのバイオマーカーを同定する方法が提供される。本明細書で使用される「同定する」という用語は、生体試料中に存在するバイオマーカーの存在を確認することを意味する。試料中に存在するバイオマーカーの量の定量化は、試料中に存在するバイオマーカーの濃度を決定することを含み得る。同定及び/又は定量化は、試料に対し直接的に、又は該試料からの抽出物若しくは該試料の希釈物に対し間接的に、実施することができる。
本発明の別の態様に従って、動物又はヒトにおける疾患状態を検出し、又は診断するための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定する方法であって:
(i) 疾患対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;
(ii) 対照対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;及び
(iii) 疾患対象及び対照対象において検出されたレベルの差を、特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームがその疾患のバイオマーカーとして有用であるかどうかを特定するために使用する工程、を含む、前記方法が提供される。
当業者には、対照対象を、例えば、疾患を有さないことが分かっている対象を含み得るか、又は別の疾患を有する対象とし得る(例えば、別の診断の調査のために)様々な根拠に基づいて選択することができることが、明らかであろう。
本発明のさらなる態様に従って、疾患動物又はヒト対象の予後を評価するための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定するための方法であって:
(i) 疾患対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 疾患対象の体液中に検出されたヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを、対象の疾患転帰と相互に関連付ける工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、治療を必要とする疾患動物又はヒト対象に対する治療レジメンの選択のために使用すべきヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定するための方法であって:
(i) 疾患対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;及び
(ii) 疾患対象の体液中に検出されたヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを、観察されたこれらの対象における治療レジメンの有効性と相互に関連付ける工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、疾患動物又はヒト対象の治療をモニタリングするために使用すべきヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定するための方法であって:
(i) 疾患対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを検出し、又は測定する工程;
(ii) 対象の疾患が進行する間の1以上の機会に、該検出又は測定を繰り返す工程;及び
(iii) 疾患対象の体液中に検出されたヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームのレベルを、対象における疾患の進行と相互に関連付ける工程、を含む、前記方法が提供される。
本発明のさらなる態様に従って、本明細書に規定される方法によって同定されたバイオマーカーが提供される。
(キット)
本発明のさらなる態様に従って、ヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定するためのキットであって、ヒストンH1若しくはその構成要素部分に特異的なリガンド若しくは結合子、又はヌクレオソーム若しくはその構成要素部分の構造/形状模倣体を、本明細書に規定する方法のいずれかに従うキットの使用説明書と一緒に含む、前記キットが提供される。
本発明のさらなる態様に従って、特定のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定するためのキットであって、ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム、又はそれらの構成要素部分、あるいはヌクレオソーム又はその構成要素部分の構造/形状模倣体に特異的なリガンド又は結合子を、本明細書に規定する方法のいずれかに従うキットの使用説明書と一緒に含む、前記キットが提供される。
本発明の方法を実施するための診断用又はモニタリング用キットが提供される。そのようなキットは、好適にはバイオマーカーの検出及び/若しくは定量化のための本発明によるリガンド、並びに/又はバイオセンサー、並びに/又は本明細書に記載のアレイを、任意にキットの使用説明書と一緒に含む。
本発明のさらなる態様は、疾患状態の存在を検出するためのキットであって、本明細書に規定する1以上のバイオマーカーを検出し、かつ/又は定量化することができるバイオセンサーを含む、前記キットである。
本明細書に記載の実施態様が、本発明の全ての態様に適用し得ることは、理解されよう。さらに、これらに限定はされないが、特許及び特許出願を含む、本明細書で引用する全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
ここで本発明を、以下の非限定的な実施例を参照して例示する。
(実施例1)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血液試料を連続希釈し、コアヒストンに加えてヒストンH1を含む、無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ方法は以下の通りである:全ての又は大部分のH1バリアントに存在する共通H1エピトープと結合するように方向づけられた抗ヒストンH1捕捉抗体を、0.1 Mリン酸緩衝液 pH 7.4で希釈し、マイクロタイターウェルに加え(100 μL/ウェル)、4℃で一晩インキュベートしてウェルを捕捉抗体でコーティングする。余分な抗ヒストンH1抗体をデカントで捨てる。ウシ血清アルブミンの溶液(20 g/L)をウェルに加え(150 μL/ウェル)、室温で60分間インキュベートしてウェルの余分なタンパク質結合部位をブロッキングする。余分なウシ血清アルブミン溶液をデカントで捨て、ウェルを洗浄緩衝液(200 μL/ウェル、1% Tween 20を含む0.05 M トリス/HCl緩衝液 pH 7.5)で2回洗浄する。試料(10 μL/ウェル)及びアッセイ緩衝液(50 μL/ウェル、0.9% NaCl、0.05%デオキシコール酸ナトリウム、及び1% Nonidet P40 代替品を含む0.05 M トリス/HCl pH 7.5)をウェルに加え、穏やかに撹拌しながら室温で90分間インキュベートする。試料及びアッセイ緩衝液の混合物をデカントで捨て、ウェルを洗浄緩衝液(200 μL/ウェル)で3回洗浄する。任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体の溶液を加え(50 μL/ウェル)、穏やかに撹拌しながら室温で90分間インキュベートする。余分な検出抗体をデカントで捨て、ウェルを再度洗浄緩衝液(200 μL/ウェル)で3回洗浄する。ストレプトアビジン-セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体を含む溶液を加え(50 μL/ウェル)、穏やかに撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。余分な複合体をデカントで捨て、ウェルを再度洗浄緩衝液(200 μL/ウェル)で3回洗浄する。発色基質溶液(100 μL/ウェル、2,2'-アジノビス[3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸]-ジアンモニウム塩)を加え、穏やかに撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む停止溶液(100 μL/ウェル)を加え、ウェルの405 nmの波長での光学密度(OD)を標準的なマイクロタイタープレートリーダーを使用して測定する。ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の濃度の増加とともに色が増加する、再現的な用量反応曲線が観察され、ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の非存在下では低いバックグラウンドシグナルが観察される。ELISAシグナルが陽性であることは、ELISAによって検出されたヒストンH1が、無細胞ヌクレオソームに組み込まれていることを示している。
(実施例2)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血液試料を連続希釈し、コアヒストンに加えてヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例1に記載の方法と同様であるが、任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及び全ての又は大部分のH1バリアントに存在する共通のH1エピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例3)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血清又は血漿試料を、コアヒストンに加えて翻訳後修飾されたヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例1に記載の方法と同様であるが、任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及びH1 PTMエピトープ(例えば、アセチル化、モノ、ジ、若しくはトリメチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、シトルリン化、ヒドロキシル化、グリコシル化、ニトロシル化、グルタミン化、及び/又は異性化によって修飾されたアミノ酸残基を含むヒストンH1分子)と結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例4)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血液試料をコアヒストンに加えて翻訳後修飾されたヒストンH1を含む無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例3に記載の方法と同様であるが、H1 PTMエピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及び任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例5)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血清又は血漿試料をコアヒストンに加えてヒストンH1バリアントを含む無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例1に記載の方法と同様であるが、任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及びヒストンH1バリアントH1.0、H1.1、H1.2、H1.3、H1.4、H1.5、H1.6、H1.7、H1.8、又はヒストンバリアントH1.10に特異的なエピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例6)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血液試料をコアヒストンに加えてヒストンH1バリアントを含む無細胞ヌクレオソームの存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例5に記載の方法と同様であるが、ヒストンH1バリアントH1.0、H1.1、H1.2、H1.3、H1.4、H1.5、H1.6、H1.7、H1.8、又はヒストンバリアントH1.10に特異的なエピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及び任意のヌクレオソームコアエピトープ又はDNAエピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例7)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血清又は血漿試料を、コアヒストンに加えてヒストンH1分子及び付加タンパク質を含む無細胞ヌクレオソーム付加物の存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例1に記載の方法と同様であるが、任意のヒストンH1エピトープと結合するように方向づけられた捕捉抗体、及びヌクレオソームに付加するタンパク質(例えば、高移動度タンパク質(例えばHMGB1)と特異的に結合するように方向づけられた抗体)、ポリコームタンパク質、クロマチン修飾酵素、DNA修飾酵素、転写調節因子、構成的又は構造タンパク質、転写増強因子、転写抑制因子、複製タンパク質、DNA損傷修復タンパク質、又は核内ホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、ビタミンD、若しくはレチノイン酸受容体、若しくは甲状腺受容体分子))と結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(実施例8)
無細胞ヌクレオソームを含むヒト血清又は血漿試料を、コアヒストンに加えてヒストンH1分子及び付加タンパク質を含む無細胞ヌクレオソーム付加物の存在についてアッセイする。アッセイ法は実施例7に記載の方法と同様であるが、ヌクレオソームに付加するタンパク質と結合するように方向づけられた捕捉抗体、及び任意のヒストンH1エピトープと結合するように方向づけられた標識検出抗体を利用する。
(参考文献)
Figure 2018536849
Figure 2018536849

Claims (24)

  1. 癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1タンパク質又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む、無細胞ヌクレオソーム。
  2. 癌、子宮内膜症、自己免疫性疾患、炎症性疾患、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1タンパク質を含む、請求項1記載の無細胞ヌクレオソーム。
  3. 癌、子宮内膜症、自己免疫性疾患、炎症性疾患、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての使用のための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む、請求項1記載の無細胞ヌクレオソーム。
  4. 前記ヌクレオソームが、無細胞単一ヌクレオソーム又はオリゴヌクレオソームである、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用のためのヌクレオソーム。
  5. 前記無細胞ヌクレオソームが血液試料中で測定される、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用のためのヌクレオソーム。
  6. 前記癌が、膀胱、乳房、結腸、子宮頸部、食道、腎臓、大腸、肺、口腔、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、皮膚、又は胃の癌である、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用のためのヌクレオソーム。
  7. 前記癌が、結腸、肺、口腔、又は膵臓の癌である、請求項6記載の使用のためのヌクレオソーム。
  8. 試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
    (i) 該試料をヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する結合剤と接触させる工程;
    (ii) 該結合剤の該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
    (iii) 該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム、あるいはヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法。
  9. 試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
    (i) 該試料を、非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第1の結合剤と接触させる工程;
    (ii) 該ヌクレオソーム又は試料を、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する第2の結合剤と接触させる工程;
    (iii) 該第2の結合剤の、該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
    (iv) 該試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法。
  10. 試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
    (i) 該試料をヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームと結合する第1の結合剤と接触させる工程;
    (ii) 該ヌクレオソーム又は試料を、非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープと結合する第2の結合剤と接触させる工程;
    (iii) 該第2の結合剤の、該試料中の非ヒストンH1ヌクレオソームエピトープとの結合を検出し、又は定量化する工程;及び
    (iv) 該試料中の、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度としてそのような結合の存在又は程度を使用する工程、を含む、前記方法。
  11. 前記結合剤が抗体である、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記試料が生体液である、請求項8〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記試料が、血液、血清、又は血漿である、請求項8〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 細胞中の請求項8〜13のいずれか1項記載のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
    (i) 細胞からクロマチンを単離する工程;
    (ii) 該クロマチンを消化し、超音波処理し、又は別途分解して、単一ヌクレオソーム及び/又はオリゴヌクレオソームを形成させる工程;並びに
    (iii) 請求項8〜13のいずれか1項記載の方法に従い、該ヌクレオソーム中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在を検出し、又は測定する工程、を含む、前記方法。
  15. 血液、血清、又は血漿試料中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在を検出するための方法であって:
    (i) ヌクレオソーム複合体からヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを取り出し、放出させ、又は抽出して、遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォーム成分を生じさせる工程;
    (ii) 該試料中の遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを検出し、又は定量化する工程;及び
    (iii) 該試料中の、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含むヌクレオソームの存在の尺度として、遊離ヒストンH1、又は遊離ヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの存在又は量を使用する工程、を含む、前記方法。
  16. 動物又はヒト対象における疾患状態を検出し、又は診断するための方法であって:
    (i) 対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
    (ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルを使用して、該対象の該疾患状態を特定する工程、を含む、前記方法。
  17. 医学的治療への適性についての動物又はヒト対象の評価のための方法であって:
    (i) 該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む、無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
    (ii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルを該対象に好適な治療の選択のパラメータとして使用する工程、を含む前記方法。
  18. 動物又はヒト対象の治療をモニタリングするための方法であって:
    (i) 該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
    (ii) 1以上の時期に該対象の体液中のヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームの検出又は測定を繰り返す工程;及び
    (iii) 検出されたヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームのレベルの任意の変化を、該対象の状態の任意の変化のパラメータとして使用する工程、を含む、前記方法。
  19. 前記ヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームを測定パネルの1つとして検出し、又は測定する、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 動物又はヒト対象において疾患状態を検出し、又は診断するための、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームのバイオマーカーを同定する方法であって:
    (i) 該対象の体液中の該ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;
    (ii) 健常対象又は対照対象の体液中のヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームを含む無細胞ヌクレオソームを検出し、又は測定する工程;及び
    (iii) 疾患対象及び対照対象において検出されたレベルの間の差を使用して、ヒストンH1の修飾、バリアント、又はアイソフォームが該疾患状態のバイオマーカーとして有用であるかどうかを特定する工程、を含む、前記方法。
  21. 請求項20に記載の方法によって同定されたバイオマーカー。
  22. 無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの検出のためのキットであって、ヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームに特異的なリガンド又は結合子、あるいはそれらの構成要素部分、あるいはヒストンH1、又はヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの構造/形状模倣体、あるいはそれらの構成要素部分を、請求項8〜20のいずれか1項記載の方法のいずれか1つに従うキットの使用説明書と一緒に含む、前記キット。
  23. 癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の使用。
  24. 癌、心筋症、全身性エリテマトーデス、結腸炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、及び関節リウマチの診断用のバイオマーカーとしての、無細胞ヌクレオソームに会合しているヒストンH1の修飾、バリアント、若しくはアイソフォームの使用。
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