JP2018536489A - 調節可能な睡眠時無呼吸用口腔内装置 - Google Patents

調節可能な睡眠時無呼吸用口腔内装置 Download PDF

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Abstract

睡眠時無呼吸及び/又はいびきを治療し、同時に対象者の歯科矯正治療を可能とするために、口腔内装置は、上部トレー、下部トレー、及びユーザの上顎及び下顎の相対位置を調節するのに上部トレーに取り付けられるアキシャルインサートを有する。
【選択図】なし

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年11月30日に出願された「ADJUSTABLE SLEEP APNEA ORAL APPLIANCE(調節可能な睡眠時無呼吸用口腔内装置)」と題する米国特許出願第62261243号からの優先権の利益を主張する。
睡眠時無呼吸は、睡眠中の異常な呼吸停止、又は異常に低い呼吸という例を特徴とする疾患である。無呼吸と称される呼吸停止の各々は、数秒から数分続くことがあり(通常、20〜40秒続く)、1時間に5〜30回以上発生することがある。睡眠時無呼吸は、対象者の気道の部分的ないし完全な閉塞により生じる。気道を通る空気の速度が増すと、動圧の上昇、対応して静圧の低下が生じる。場合によっては、静圧の低下により下顎及び舌が引っ込み、それによって気道を塞いでしまう。この塞がりが完全になるところまでくると、そこで少なくとも一時的に呼吸が中断され得る。
対象者が肥満である、又は糖尿病、高血圧、又は慢性の鼻づまり等の症状を有する場合、対象者は一般的に睡眠時無呼吸の危険性がより高くなる。しかしながら、睡眠時無呼吸をもたらし得る要因は様々である。1つの要因は、対象者における狭い上顎及び/又は下顎の存在である。上顎の狭搾により、鼻腔抵抗が増加して舌の位置が代わり、舌後方の気道の狭窄をもたらす。上顎及び/又は下顎の狭搾は、一般的に口腔内の空気量を減らし、後方の気道空間に舌を押しやる傾向があり、睡眠中に閉塞性睡眠時無呼吸をもたらす。
歯科矯正は歯科医学の分野で、例えば対象者の歯の「過密」を起因とする美的又は他の理由による対象者の歯及び顎の再配置に焦点をあてたものである。歯科矯正の方法では、典型的には、結果を達成するために、対象者は歯科用装置を一定期間継続的に使用することが必要である。そのような装置を使用すると、睡眠時無呼吸を治療するための現在入手可能な口腔内装置との同時使用ができない。従って、睡眠時無呼吸を持つ歯科矯正装置の使用者において睡眠時無呼吸を治療するための改良型装置及び方法の必要性が残っている。
図1は、互いに嵌合し、使用可能状態にある本発明の装置の上部及び下部の左側の上面斜視図である。 図2は、本発明の装置の下部の左側の上面斜視図である。 図3は、本発明の装置の下部の右側の下面斜視図である。 図4は、本発明の装置の上部の右側の下面斜視図である。 図5は、図4に示した上部の装置の後方部分の右側の下面斜視図で、インサート部分が取り付けられた状態を示す。 図6は、図4に示した上部の装置の後方部分の右側の下面斜視図で、インサート部分が部分的に取り外された状態を示す。 図7は、図4に示した上部の装置の後方部分の右側の下面斜視図で、インサート部分が完全に取り外された状態を示す。 図8は、本発明の装置の上部に用いられる1組のインサートの上面斜視図である。 図9は、図8のインサートのうちの1つの上面斜視図である。 図10は、部分的に引き離された本発明の装置の上部及び下部の左側の上面斜視図である。 図11は、部分的に引き離された本発明の装置の上部及び下部の左側の立面図である。 図12は、2つの矯正トレーの左側の上面斜視図で、それらの本発明の装置の上部及び下部への配置を示す。
本発明は、対象者におけるいびき及び/又は睡眠時無呼吸を治療するための口腔内装置(10)を具え、単独又は歯科矯正トレーと合わせてのいずれかにより口腔内治療も成し遂げる。装置は、一般的に、少なくとも上部歯科用トレー、下部歯科用トレー、及び1対の機械的インサートを具える。上部トレー(100)は、前方部分(16)、後方部分(18)、右側(12)、左側(14)、頬側(8)、舌側(9)、冠状面(130)、内面(11)、及び外面(13)を有する。上部トレー(100)は、上部トレー(100)の内面(11)により囲まれた受け部(20)、及び1対の側面の突出部(80)を更に含む。
上部トレーの右側では、右側の側面の突出部(87)が、上部トレー(100)の後方部分(18)における上部トレー(100)の右側の頬側(8)に連結され、係合面(84)を有する前端(81)、後端(83)、上面(88)、下面(91)、及び側面(85)を有する。右側の側面の突出部(87)の前端(81)は、第1の側面(304)、第2の側面(306)、及び前端(302)を更に具える右側インサート(300)の後端(310)に可逆的に取り付けられるよう構成される。
上部トレーの左側では、左側の側面の突出部が、上部トレー(100)の後方部分(18)における上部トレー(100)の左側の頬側面(8)に連結され、係合面(84)を有する前端(81)、後端(83)、上面(88)、下面(91)、及び側面(85)を有する。左側の側面の突出部(87)の前端(81)は、第1の側面(304)、第2の側面(306)、及び前端(302)を更に具える左側インサート(300)の後端(310)に可逆的に取り付けられるよう構成される。
好ましくは、それぞれのインサート(300)の後端(310)は、締り嵌めでそれぞれの側面の突出部(80)の前端(81)に可逆的に取り付けられる。例えば、それぞれの側面の突出部(80)の前端(81)は凹部を具えることができ、それぞれのインサート(300)の後端(310)は、当該凹部内に嵌り、それによってインサート(300)をそれぞれの側面の突出部(80)に固定するように適合された後方の突出部を具えることができる。後方の突出部は、側方且つ後方に延在する面を有するくさびであってよく、凹部は、くさび形状であって、さねはぎ式に突出部を受け入れて保持するように構成される。更なる実施形態において、本発明は、複数対のインサート(300)を含み、それらの対のインサートのうち少なくともいくつかは、他の対のインサートの側面と比べて長さの異なる側面を有することができる。これによって、本発明の装置の使用中に、ユーザの下顎に対するユーザの上顎の配置のカスタマイズが可能となる。
装置の下部トレー(200)は、前方部分(16)、後方部分(18)、右側(12)、左側(14)、頬側(8)、舌側(9)、冠状面(230)、内面(11)、及び外面(13)を有し、上部トレーと同様、下部トレー(100)の内面(11)により囲まれた受け部(20)を含む。下部トレーは、それぞれのインサート(300)の前端(302)に接触する1対の上方に延在する突出部(50)を更に含む。具体的には、下部トレーは、右側の上方に延在する突出部(50)、及び左側の上方に延在する突出部(50)を具える。右側の上方に延在する突出部(50)は、近位端(52)、遠位端(54)、内面(51)、外面(53)、前側(56)、及び後側(58)を有し、この突出部(50)は近位端(52)で下部トレー(200)の右側に連結され、そこから上方に延在する。左側の上方に延在する突出部(50)は、近位端(52)、遠位端(54)、内面(51)、外面(53)、前側(56)、及び後側(58)を有し、左側の上方に延在する突出部(50)は、近位端(52)で下部トレー(200)の左側に連結され、そこから上方に延在する。この下部の突出部は、一般的に上部トレー(200)の前方部分に位置する。装置がユーザにより着用された時に、右側の上方に延在する突出部(50)の後側(58)は、上部トレー(100)の右側の右側インサート(300)の前面(302)に面し、左側の下部の突出部の後側(58)は、上部トレー(100)の左側の左側インサート(300)の前面(302)に面する。
ユーザにおけるいびき及び/又は無呼吸を緩和するために、右側インサートの前面は、右側の下部の突出部の後面に接触する係合面を具え、左側インサートの前面は、左側の下部の突出部の後面に接触する係合面を具え、これによって使用時に上部トレー(100)の下部トレー(200)に対する前方への配置が制限される。歯科矯正を達成するために、上部トレー(100)及び下部トレー(200)の受け部(20)は、それぞれ歯科矯正トレー(400)を受け入れて保持するか、対象者の1又はそれ以上の歯を再配置するかのいずれか、及び/又は装置がユーザにより着用される時に、対象者の下顎及び/又は上顎の構成を変えるように構成される。
好ましい実施形態において、本発明は、第1の歯科矯正トレー(402)及び第2の歯科矯正トレー(404)を含み、歯科矯正トレー(400)はそれぞれ、対象者の歯の少なくともいくつかに接触する内面(403)及び外面(405)を有する。歯科矯正トレー(400)は、それぞれの歯科矯正トレー(400)の外面(405)がそれぞれの受け部(20)の内面(11)に接触するように、それぞれの受け部(20)内で受け入れ可能である。歯科矯正トレーは、一連の第1の歯科矯正トレー、及び一連の第2の歯科矯正トレーを具え、これらの一連の歯科矯正トレーのそれぞれが、対象者の歯の位置、及び/又は対象者の顎の形状を変えるために、異なる構成を有することができる。これらの実施形態において、上部トレー(100)の受け部(20)は、第1の歯科矯正トレー(402)の全部を受け入れるよう形成され、下部トレー(200)の受け部(20)は、第2の歯科矯正トレー(404)の全部を受け入れるよう形成される。
好ましい実施形態において、上部トレー(100)が、上部切歯面(101)を具えるとともに、下部トレー(200)が、下部切歯面(201)を具え、上部トレー(100)の冠状面(130)が、装置の後方部分において下部トレー(200)の冠状面(230)に接触した時に、上部切歯面(101)及び下部切歯面(201)の少なくとも一部が接触せず、これによって前方開口(76)が形成されて、使用時に空気の流れが前方開口(76)を通ることが可能となる。
[定義]
本明細書で用いられるにあたり、以下の用語及びそれらの変形は、そのような用語が用いられる文脈によって異なる意味が明確に意図されない限り、以下に示す意味を有する。対象者に対する、以下に記載する方向、位置、及び配向(例えば、「下向き」、「水平」、「前方」)は、装置が対象者により着用された時の本発明の装置またはその一部の方向又は配置を指すこともできる。
「前方」は、対象者の口の前部分(開口部)の方向、対象者の口の前部分(開口部)の方に向かう、又は対象者の口の前部分(開口部)に近いことを意味する。
「無呼吸」及び「睡眠時無呼吸」は、一般的に対象者の気道が塞がって生じる、睡眠中の呼吸の一時的な停止、及び/又は浅い又は頻繁でない呼吸の事象をいう(閉塞性睡眠時無呼吸と称する)。
「アキシャル面」は、身体を頭側の部分及び尾側の部分(上部及び下部)に分ける架空の面を指す。
「頬側」は、対象者の頬の方向、又は対象者の頬の方に向かうことを指す。対象者の歯に関して、頬側とは頬に面する歯の側を指す。
「冠状面」は、頭から足までの身体を通り、身体を前半分と後半分とに分ける仮定の平面をいう。
「冠状」は、歯の遠位端(すなわち、そしゃく面が位置するところ)上の又は歯の遠位端の方に向かう位置又は方向を指す。従って、冠状面は歯のそしゃく面であり、後方の歯では一般的に咬合面と呼ばれ、前方の歯では切歯面と呼ばれる。「冠状面」は、本発明の装置をユーザが着用する時に一方の歯科用トレーに接触する他方の歯科用トレーの対応する面、すなわち上部の歯科用トレーの下面、又は下部の歯科用トレーの上面にも関する。
「歯科用トレー」は、対象者の歯を受け入れる受け部を具える構造を指す。いくつかの実施形態において、歯科用トレーの受け部は、歯を受け入れるための開口、及び対象者の歯に直接接触する内面を有する。他の実施形態において、受け部は歯科矯正トレーを受け入れる。
「下方」及び「下方に」は、対象者の身体の下部の方向、又は対象者の身体の下部の方に向かうことを意味する。「上方」及び「上方に」は、反対方向、すなわち対象者の身体の上部の方向、又は対象者の身体の上部の方に向かうことを意味する。
「細長い」は、幅より長い長さを有する構成又は形状を指す。
本発明の装置に対して「水平」とは、対象者の矢状面及び/又は冠状面にほぼ直交する面、すなわちそのような直交面の15度以内への配置を指す。
「唇側」は、対象者の唇の方向、対象者の唇の方に向かう、又は対象者の唇に近いことを意味する。対象者の歯に関して、唇側とは唇に面する前の歯の側を指す。
「横方向」は、対象者の矢状面から離れることを意味する。「横方向に」は、対象者の矢状面から離れて配置され又は延在する、位置又は方向を指す。
「左」は、対象者から見て対象者の矢状面の左側を意味する。
「舌側」は、対象者の舌の方向、対象者の舌の方に向かう、又は対象者の舌に近いことを意味する。対象者の歯に関して、舌側とは舌に面する歯の側を指す。
「下側」は、本発明の装置における構成要素の、当該構成要素の使用時に対象者の身体の下部に近いか下側に向かっている相対位置を指す。
「下顎の」は、下顎を指す。
「下顎歯列」は、下顎の歯を指す。
「上顎の」は、上顎を指す。
「上顎歯列」は、上顎の歯を指す。
「機械的に連結された」は、直接的な物理的接触に基づいた連結を通じて、又は別の中間の機械的構造を介してのいずれかで物理的に連結されることを意味する。
「中間の」は、対象者の中央の矢状面の方に向かうことを意味する。
「歯科矯正」は、対象者の歯、及び/又は顎の位置の再配置を行う機能又は装置を指す。
「歯科矯正トレー」は、対象者の上部歯列、又は下部歯列を受け入れるための歯科用トレーを指す。歯科矯正トレーの内面は、対象者の歯を受け入れる大きさであるソケット又は凹みで、対象者の歯と直接接触する。
「後方」は、対象者の口の後方の方向、対象者の口の後方の方に向かう、又は対象者の口の後方に近いことを意味する。
「右」は、対象者から見て、対象者の矢状面の右側を意味する。
「矢状面」は、対象者の身体の上から下まで垂直に進み、対象者の身体を左部分と右部分とに分ける架空の平面を指す。
「対象者」は、本発明の装置のユーザであって、通常は人間のユーザを指す。
「熱可塑性」は、可逆の物理過程において、加熱により軟化し、冷却により硬化し得る材料で、一般的にポリマー材料を指す。本発明の装置のいくつかの構成要素に用いられる熱可塑性材料は、100°Fではその形状を保ち、好ましくは212°F以下で軟らかく(変形可能に)なる。
本明細書で用いられる「トレー」及び「歯科用トレー」は、本発明の装置の概ねU字状の部分を指し、状況次第で対象者の上顎又は下顎の歯を受け入れるための開口領域を具える。
「上側」は、本発明の装置における構成要素の相対位置であって、使用時に対象者の身体の上部に近いか、対象者の身体の上側に向かっている相対位置を指す。
本発明の装置に対して「垂直」とは、対象者の矢状面及び/又は冠状面にほぼ平行な面、すなわちそのような平行面の15度以内への配置を指す。好ましくは、垂直は対象者の頭又は脚の方に向かう、又は対象者の頭又は脚から離れる方向を指す。
「具える(comprise)」の用語、及び「具える(comprising)」、「具える(comprises)」等のその用語の変形は、他の付加物、構成要素、整数、又は工程を除外することを意図していない。本明細書で用いられる、「a」、「an」、及び「the」の用語、及び類似の指示語は、文脈においてそれらの使用が特定されない限りは、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。
[口腔内装置]
図1は、本発明の睡眠時無呼吸用口腔内装置の実施形態を示す。本発明の装置10は、一般的には1対の歯科用トレー15、上部トレー100、及び下部トレー200を具え、それらは睡眠時無呼吸を治療又は回避するように、協働して対象者の顎を位置づける。上部トレー100は対象者の上顎歯列に嵌合し、一方で下部トレー200は対象者の下顎歯列に嵌合する。本発明の装置のトレー部分15は、頬側面8、舌側面9、内面11、外面13、右側12、左側14、前方部分16、及び後方部分18を有し、それぞれが、従来の歯科矯正装置のように、対象者の歯列に適合するようトレー15の一方の水平側に形成された、概ねU字型の歯を受け入れるための受け部20を具える。
一実施形態において、受け部20は、対象者の歯を受け入れ、トレー15の内面11上で歯と接触するように構成される。受け部20は、横方向に連続した壁23であって、その壁は対象者の歯の一部又は全部の頬側及び唇側の一部又は全部を覆うように、対象者の歯の冠状面に面する底面21から、それぞれ上顎又は下顎に向かって延在する、場合によっては、頬側壁22及び唇側壁24を具える。以下で更に説明するように、トレー15は、対象者の既存の歯列に一致するように形成することができ、又は好ましい実施形態において、トレー15は、歯科矯正トレー400を受け入れて、既存の歯列及び/又は対象者の下顎及び/又は上顎の形状の変更を実現するように形成され得る。
トレー15の外側部分は、受け部20と反対側のトレーの水平側、すなわちトレー15の外面13に形成された冠状面30を具える。上部トレー100の冠状面130は、おおよそユーザの歯列の臼歯の領域における、装置10の左右の後方部分18で下部トレー200の冠状面230に接触する。好ましくは、ユーザによる着用時に冠状面130及び冠状面230が互いに接触したとき、上部トレー100と下部トレー200の前方の冠状面の少なくとも一部分(すなわち、上部切歯面101及び下部切歯面201)は接触せず、それによって装置10の前方部分16における上部切歯面101と下部切歯面201との間に前方開口76が設けられる。前方開口76により、使用中に空気が通り抜けることが可能となる。このように上顎及び下顎を離すことで対象者の口を若干空けた位置で維持することが、無呼吸の治療の手助けになる。
図示した実施形態において、下部トレー200のそれぞれの側面は、上側に延在する突出部50を具える。突出部50は、下部トレー200の冠状面30から遠位に、すなわち対象者が本発明の装置10を着用した時に上側に延在する。突出部の遠位端(遠位側)54は、対象者による着用時に、突出部50の遠位端54の一部が上部トレー100の一方の側面の外面13に対して横に位置するように、上部トレー100の冠状面130を超えて上側に延在する。従って、それぞれの突出部50の内面51は、場合によって、右側12又は左側14で上部トレー100の外面13に接触、又は隣接する。この位置決めにより、本発明の装置10がユーザにより着用される時に上顎と下顎の横方向の移動が制限され、側面の安定性が提供される。
突出部50の近位(下)端52は、下部トレーの中央部分において、前方開口76に対しては後側だが、下部トレー200のそれぞれの側面側の後方部分又は端部18に対して前側で下部トレー200の冠状面30に連結している。突出部50は、前側56及び後側58を更に含む。後側58は、好ましくは上部トレー100のインサート300の前方に面した係合面(前端部)302に接触するための、比較的平坦な、又は平面の後方に面した面を具える。本発明の装置10がユーザにより着用される時、上顎(maxilla:上顎)の前方移動、及び対応する下顎(mandible:下顎)の後方移動を制限する(止める)ために、突出部の後側58は、インサート300の前面302に接触し、それによって睡眠時無呼吸の予防、又は改善を促す配向にユーザの顎を維持する。
本発明の口腔内装置10の独特の構成として、横に位置するアキシャルインサート300の使用がある。インサート300は、上部トレー100のそれぞれの側面に取り付けられ、且つインサート300の係合面302において下部トレー200の上向きの突出部50の後側58に係合するように構成される。図9に示すように、それぞれのインサート300は、係合面302、第1の側面304及び第2の側面306、及び係合面(前端部)302の反対側の取り付け端(後方端)310を具える。インサート300は、上部トレー100のそれぞれの側面の外面13に接触又は近い内面と、外面330の反対側の外面330とを更に具える。図4乃至7で最もよくみられるように、上部トレー100の右側の側面12及び左側の側面14の外面13は、それぞれ側面の突出部80、すなわち右側の側面の突出部87と左側の側面の突出部89とを具える。それぞれの側面の突出部80は、好ましくは係合面84を有する前端81、後端83、上面88、下面91、及び側面85を具える。側面の突出部80の中間側は、上部トレー100の後方位置で、(機械的又は化学的取り付けによって、又は上部トレー100との一体成型によって、のいずれかで)上部トレー100の頬側面8に連結される。
側面突出部80の前方に面した係合面84は、上部トレー100のインサート300の係合面302と協働して、上部トレー100のインサート300を機械的に保持するように設計される。インサート300を上部トレー100に保持するため、後方の取り付け端310及び前方の連結端81には、好ましくは相互に嵌る締め要素が設けられる。図示した実施形態において、インサート300の取り付け端310は、上部トレー100の連結端84とさねはぎ式に係合し、すなわち横方向に広がるくさび312が連結端84に形成された凹部86に嵌るようにする。当業者に明らかであるように、インサート300には代替的に溝を設けるとともに、連結端84に前方に突出する「舌部」を構成してもよく、又は他の構成を供給してインサート300を上部トレー100に機械的に取り付けてもよい。図示した実施形態において、くさび312の側311、313、及び315は、本発明の装置10においてインサート300をしっかりと保持するため、好ましくは溝又は凹部86と締り嵌めを形成する。好ましい実施形態において、インサート300は弾性材料から形成され、取り付け端310の舌部は、凹部86よりも若干大きい寸法で形成され、従って舌部が凹部86内に付勢されると、凹部86内に保持するのを補助する外向きの力が加わる。上部トレー100に取り付けられると、インサート300の前方に面した係合面302は、本発明の装置10がユーザに着用される時に、突出部50の後方に面した係合面58と接触するように配置される。
インサートの係合面302及び突出部50の後側58は、下顎の係合面の発達を果たすよう互いに作用する、好ましくは角度のついた対向面を有し、すなわち、インサートの係合面302及び突出部50の後側58は、垂直ではなく、装置が着用される時に対象者の冠状面に対して傾斜して配置される。後面(後側58)及び前面(インサートの係合面302)の両方に角度をつけて、トレー15が縦に閉じる時に、カミング作用により下顎の前進を補助するようにしてもよい。後側58の係合面は、好ましくは上方及び前方に傾斜した非垂直の角度に配置されるが、インサートの係合面302と突出部50との間を垂直又は他の境界面とすることも可能である。
本発明の装置10の装着時に、ユーザの上顎及び下顎の相対位置を調節可能とするため、異なる長さの複数のインサート300を用いることができる。図8に示すように、側面304、306の長さが異なるインサート300を形成することができ、異なるインサートの係合面302がユーザの必要に応じて前方又は後方に更に延在するようにする。図8において、「1」から「6」と書かれたインサートは、長さを増大させた側面304及び306を具える。その結果、ユーザの下顎を、番号がより大きい、すなわちより長いインサートの使用を通じて相対的に前側に配置し、又は側面がより短い、小さい番号のインサートの使用を通じて相対的に後側に配置することができる。例えば、1mm単位、0.5mm単位、又は0.25mm単位で異なる側面を有する1組のインサートを、本発明の装置10での使用に提供することができる。このため、インサート300は上部トレー100に機械的な連結を介して取り付けることが好ましく、これにより取り付けが可逆となるとともに、必要に応じて変更可能となる。好ましくは、患者の快適性のため、第1の側面304は、側面の突出部80の上面88と同一平面上にあり、第2の側面306は、側面の突出部80の下面91と同一平面上にある。
本発明の装置10は、歯科矯正装置を形成するのに用いられる様々な経口適合材料、典型的にポリマーから形成することができる。一実施形態において、アクリルを用いて本発明の装置を形成する。熱可塑性ポリマー、熱硬化性、熱可塑性エラストマー、及び他の材料を用いることもできる。熱可塑性材料を用いる場合、対象者の使用時にその形を保持可能でなければならず、従って少なくとも約100°Fで、好ましくは、110°F、120°F以上といった、若干高い温度でも固体のままであることが好ましい。本発明のトレーを形成するのに熱可塑性材料を用いる場合、それらは好ましくは212°F以下の温度で変形可能となり、熱湯につけることによって可塑性となる。好ましくは、材料は120°F以下、好ましくは少なくとも145°F以下では変形可能とならない。
代替の実施形態において、上部トレー及び下部トレーの機能を逆にして、下部トレー(200)の上方に延在する突出部(50)が上部トレー(100)の下方に延在する突出部になるようにすることができる。この実施形態は、図1乃至10に示した実施形態を採用し、それを上下逆さに配置したものとみなすことができ、この実施形態の機能は、同様に図1乃至10に示す実施形態に対して上下逆さに配置したものと解することができる。
下部トレーは、前方部分、後方部分、右側、左側、頬側、舌側、内側、及び外側を有する。下部トレーは、下部トレーの内面によって囲まれた受け部、及び1対の側面の突出部を更に含む。下部トレーの右側では、右側の側面の突出部は、下部トレーの後方部分における下部トレーの右側の頬側に連結され、右側の側面の突出部は、係合面を有する前端、後端、下面、上面、及び側面を含む。右側の側面の突出部の前端は、第1の側面、第2の側面、及び前端を更に具える右側のインサートの後端に可逆的に取り付けられるよう構成される。下部トレーの左側では、左側の側面の突出部は、下部トレーの後方部分における下部トレーの左側の頬側面に連結され、左側の側面の突出部は、係合面を有する前端、後端、下面、上面、及び側面を含む。左側の側面の突出部の前端は、第1の側面、第2の側面、及び前端を更に具える左側のインサートの後端に可逆的に取り付けられるよう構成される。図示した実施形態と同様、それぞれのインサートの後端は、締り嵌めでそれぞれの側面の突出部の前端に可逆的に取り付けられる。
装置の上部トレーは、前方部分、後方部分、右側、左側、頬側、舌側、冠状面、内面、及び外面を有し、下部トレーと同様、上部トレーの内面によって囲まれた受け部を含む。上部トレーは、それぞれのインサートの前端に接触する1対の下方に延在する突出部を更に含む。具体的には、上部トレーは、右側の下方に延在する突出部、及び左側の上側突出部を備える。右側の下方に延在する突出部は、近位端、遠位端、内側、外側、前側、及び後側を有し、突出部が近位端で上部トレーの右側に連結され、そこから下方に延在する。左側の上側突出部は、近位端、遠位端、内側、外側、前側、及び後側を有し、左側の上側突出部が近位端で上部トレーの左側に連結され、そこから下方に延在する。上側突出部は、一般的に下部トレーの前方部分に位置する。右側の上側突出部の後側は、装置がユーザに着用される時に、下部トレーの右側の右側インサートの前面に面し、左側の上側突出部の後側は、下部トレーの左側の左側インサートの前面に面する。
ユーザのいびき及び/又は無呼吸を緩和するために、右側インサートの前面は、右側の上側突出部の後面に接触する係合面を具え、左側インサートの前面は、左側の上側突出部の後面に接触する係合面を具え、これによって使用時に下部トレーの上部トレーに対する前方への配置が制限される。歯科矯正を達成するために、下部トレー及び上部トレーの受け部は、それぞれ歯科矯正トレーを受け入れて保持するか対象者の1又はそれ以上の歯を再配置するかのいずれか、及び/又は装置がユーザにより着用される時に、対象者の下顎及び/又は上顎の構成を変えるように構成される。
[歯科矯正トレー]
一実施形態において、トレー15は、対象者により用いられる一連の歯科矯正トレーとして形成され得る。本実施形態において、異なって構成された受け部20を有する1組の上部トレー100及び下部トレー200は、個々の歯を連続工程で再配置し、及び/又は対象者の下顎及び/又は上顎の構成を変更するために、時間をかけて対象者に適用できる。このような多くの歯科用トレー15を連続使用すると、各装置が個々の歯を小さい単位で、典型的には2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下(単一の装置を用いた結果、歯の任意の地点の最大線形平行移動を指す)移動させるように構成することが可能になる。歯科矯正トレーが本発明で用いられる場合に、本発明の装置10のインサート300の使用は多大な利点をもたらす。それは、ユーザの下顎及び上顎の最適な相対位置が、所望の長さを有するインサートを用いて提供され、それによってユーザの睡眠時無呼吸に対処し、同時に歯科矯正を可能とするからである。
本実施形態において、歯科用トレー15において歯を受け入れる受け部20は、典型的に対象者専用の中間又は最終的な歯列に対応する形状を有する。対象者がこのようなトレー15を最初に装着した場合に、ある程度の歯は、トレー15の受け部20のきれいな輪郭に対してずれている。本実施形態において、トレー15は、ずれのある歯を収容又は適合するのに十分に弾力のある材料から形成されるが、そのようなずれのある歯に対して治療の段階で求められる中間又は最終的な配置に歯を再配置するために、十分な弾性力をかけるだろう。必須ではないが、装置は、好ましくは上顎又は下顎に存在する全部の歯に嵌ることとなる。場合によって、一部の歯のみが再配置されるが、一方で再配置される歯又は複数の歯に対して弾性の再配置の力をかけるため、再配置の装置を所定の位置に保つためのベース又はアンカー領域が設けられる。
対象者の口に位置調整を増分した一連の装置を配置することにより、対象者の歯は、当初の歯列から最終的な歯列へと再配置される。一連のうちの最初のトレー装置は、当初の歯列から第1の中間の歯列まで歯を再配置するよう選択された形状を有することになる。第1の中間の歯列に近くなるか達成されたら、連続して1またはそれ以上の更なる(中間の)装置が歯に配置され、これらの更なる装置は、第1の中間の歯列から連続的な中間の歯列を通して歯を徐々に再配置するよう選択された形状を有する。最後の装置を対象者の歯に配置することにより治療は終了し、この最後の装置は、最後の中間の歯列から最終的な歯列まで徐々に歯を再配置するように選択された形状を有する。
特定の対象者の歯を再配置する一連の歯科用トレー15を設計するために、当初の歯列と最終的な歯列を表すデジタルデータセットを決定することができる。当初の歯列を表す最初のデータは、視覚像として表すことができ、個々の歯を再配置するのに操作される。それから、再配置された歯を有する最終的な歯列を表す最後のデジタルデータセットが作成される。最初のデジタルデータセットは、従来技術により提供することができ、それにはX線画像のデジタル化、コンピュータ援用断層写真(CATスキャン)による作成画像、磁気共鳴画像法(MRI)による作成画像、及び/又は対象者の歯の三次元デジタル表示を作成するための当業者に周知の他の方法が含まれる。代替的には、最初のデジタルデータセットは、例えば、従来技術により(治療の前に)対象者の歯の石膏模型を作成することにより提供され、その後にこの石膏模型をレーザ又は他のスキャン技術機器を用いてスキャンして、対象者の歯の石膏模型の高解像度デジタル表示を作成するようにしてもよい。
最初と最後のデータセットが決定されると、対象者の歯に関して中間の歯の位置を表す一連の中間のデータセットが決定される。連続的な中間のデジタルデータセットは、好ましくは最初のデータセット及び最後のデータセットにおける選択された個々の歯の位置の相違を決定し、その相違を補間することにより作成される。そのような補間は、少なくとも3つの別々の段階にわたって行われ、3つの異なる歯科用トレーに実装され得るが、より頻繁には少なくとも10、時折少なくとも25、稀に40以上の異なる歯科用トレーに実装されてよい。補間は、位置の相違の一部又は全部に対して直線的な補間であってよく、代替的には非直線的であってもよい。位置の相違は、歯の任意の箇所の最大直線移動が、好ましくは2mm以下、通常1mm以下、及び好ましくは0.5mm以下である歯の移動に対応する。
中間及び最後のデータセットが決定されると、例えば高速原型装置又はデジタルプリンターを用いて、装置を作成することができる。好ましくは、装置はポリマーでなり、Tru−Tain0.03インチの熱形成歯科用材料(Tru−Tain Plastics,Rochester,Minn.55902)等の適切なエラストマーの高分子の薄いシートから形成される。歯科用トレー装置の各々に対応して1つの構造体が製造される。
上述の歯科用トレー装置及び口腔内治療におけるそれらの使用は、米国特許第5975893号、及びAlign Technology,Inc.に譲渡された米国特許第621562、6217325、6398548、6626666、6629840、6699037、7134874、7474307、8105080、及び8562340号を含む他の特許に記載されている。
別の実施形態において、図12に示されるように、本発明のトレー15は、典型的にはポリマー材料から形成される、1組の別々に形成された歯科矯正トレー400との組み合わせで用いられるよう設計され得る。歯科矯正トレー400は、本発明の上部トレー及び下部トレーで説明したような方法により異なって構成された受け部を有する一連の歯科矯正トレーとして形成可能で、同様に、個々の歯を連続工程で再配置し、及び/又は対象者の下顎及び/又は上顎の構成を変更するために、時間をかけて対象者に適用される。そのようなトレーは、INVISALIGN歯科矯正トレーとして、Align Technology(San Jose,California)から入手可能である。本実施形態において、上部トレー100及び下部トレー200の内面11(すなわち、受け部20)は、それぞれの歯科矯正トレー400の外面405を受け入れるようにそれぞれ構成される。
図12に示すように、1組の歯科矯正トレー400は、本発明の装置で用いる少なくとも上部トレー402及び下部トレー404を具える。そのような歯科矯正トレー400はそれぞれ、通常、対象者の歯の少なくともいくつかと接触する内面403、外面405、前方部分416、後方部分418、右側412、及び左側414を具える。本実施形態において、本発明の装置10の受け部20は、一般的に歯科矯正トレー400の外面405と接触することにより、歯科矯正トレー400を受け入れ、可逆に保持する大きさである。このようにして、対象者は、歯科矯正トレー400を日中使用し、それから睡眠時無呼吸から楽になるために、本発明の装置10と組み合わせて夜間も使用し続けることができる。
特定の好ましい実施形態を参照しながら本発明はかなり詳細に説明したが、他の実施形態も実現可能である。例えば、本発明の方法に関して開示される工程は、限定を意図しておらず、またそれぞれの工程が必ずしもその方法に不可欠なものであると示すことも意図せず、むしろ例示的な工程に過ぎない。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。
本明細書における数値範囲の記載は、その範囲に入るそれぞれ別個の値を個々に参照するための簡潔な方法の機能を果たすことを単に意図している。本明細書において特段記載されない限り、それぞれの個々の値は、それが個々に本明細書に記載されているかのごとく本明細書に組み込まれる。本明細書において引用される全部の特許、特許出願、及び文献は、その全体において参照として組み込まれる。

Claims (11)

  1. 対象者におけるいびき及び/又は睡眠時無呼吸を治療するための口腔内装置(10)であって、
    (1)前方部分(16)、後方部分(18)、右側(12)、左側(14)、頬側(8)、舌側(9)、冠状面(130)、内面(11)、及び外面(13)を有する上部トレー(100)であって、
    (a)前記上部トレー(100)の内面(11)によって囲まれた受け部(20)と、
    (b)係合面(84)を有する前端(81)、後端(83)、上面(88)、下面(91)、及び側面(85)を具える右側の側面の突出部(87)であって、前記上部トレー(100)の後方部分(18)における前記上部トレー(100)の右側の前記頬側(8)に連結される、右側の側面の突出部(87)と、
    (c)第1の側面(304)、第2の側面(306)、前端(302)、及び後端(310)を具える右側インサート(300)であって、前記後端(310)は、前記右側の側面の突出部(87)の前端(81)に可逆的に取り付けられるよう構成される、右側インサート(300)と、
    (d)係合面(84)を有する前端(81)、後端(83)、上面(88)、下面(91)、及び側面(85)を具える左側の側面の突出部であって、前記上部トレー(100)の後方部分(18)における前記上部トレー(100)の左側の頬側面(8)に連結される、左側の側面の突出部と、
    (e)第1の側面(304)、第2の側面(306)、前端(302)、及び後端(310)を具える左側インサート(300)であって、前記後端(310)は、前記左側の側面の突出部の前端(81)に可逆的に取り付けられるよう構成される、左側インサート(300)と、を具える上部トレー(100)と、
    (b)前方部分(16)、後方部分(18)、右側(12)、左側(14)、頬側(8)、舌側(9)、冠状面(230)、内面(11)、及び外面(13)を有する下部トレー(200)であって、
    (a)前記下部トレー(100)の内面(11)によって囲まれた受け部(20)と、
    (b)近位端(52)、遠位端(54)、内面(51)、外面(53)、前側(56)、及び後側(58)を有する右側の上方に延在する突出部(50)であって、前記近位端(52)で前記下部トレー(200)の右側に連結され、そこから上方に延在し、前記突出部(50)の後側(58)は、前記上部トレー(100)の右側の前記右側インサート(300)の前側(302)に面する、右側の上方に延在する突出部(50)と、
    (c)近位端(52)、遠位端(54)、内面(51)、外面(53)、前側(56)、及び後側(58)を有する左側の上方に延在する突出部(50)であって、前記近位端(52)で前記下部トレー(200)の左側に連結され、そこから上方に延在し、前記突出部の後側(58)は、前記上部トレー(100)の左側の前記左側インサート(300)の前面(302)に面する、左側の上方に延在する突出部(50)と、を具える下部トレー(200)とを具え、
    前記右側インサートの前面は、前記右側の上方に延在する突出部の後面に接触する係合面を具え、前記左側インサートの前面は、前記左側の上方に延在する突出部の後面に接触する係合面を具え、これによって前記上部トレー(100)の前記下部トレー(200)に対する前方への配置が制限され、対象者による前記口腔内装置の使用時にいびき及び/又は無呼吸が緩和され、
    前記上部トレー(100)及び前記下部トレー(200)の受け部(20)は、それぞれ歯科矯正トレー(400)を受け入れて保持するように構成され、又は前記上部トレー(100)及び前記下部トレー(200)の受け部(20)は、それぞれ前記装置が対象者により着用される時に、対象者の1又はそれ以上の歯を再配置し、及び/又は対象者の下顎及び/又は上顎の構成を変えるように構成されることを特徴とする口腔内装置。
  2. 請求項1に記載の口腔内装置において、前記上部トレー(100)が、上部切歯面(101)を具えるとともに、前記下部トレー(200)が、下部切歯面(201)を具え、前記上部トレー(100)の冠状面(130)が、前記装置の後方部分において前記下部トレー(200)の冠状面(230)に接触した時に、前記上部切歯面(101)及び前記下部切歯面(201)の少なくとも一部が接触せず、これによって前方開口(76)が形成されて、使用時に空気の流れが前記前方開口(76)を通ることが可能となることを特徴とする口腔内装置。
  3. 請求項1又は2に記載の口腔内装置において、それぞれのインサート(300)の後端(310)は、締り嵌めでそれぞれの側面の突出部(80)の前端(81)に可逆的に取り付けられることを特徴とする口腔内装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の口腔内装置において、それぞれの側面の突出部(80)の前端(81)は凹部を具え、それぞれのインサート(300)の後端(310)は、前記凹部内に嵌り、それによって前記インサート(300)をそれぞれの側面の突出部(80)に固定するように適合された後方の突出部を具えることを特徴とする口腔内装置。
  5. 請求項6に記載の口腔内装置において、前記後方の突出部は、側方且つ後方に延在する面を有するくさびを具え、前記凹部は、くさび形状であって、前記突出部をさねはぎ式に受け入れて保持するように構成されることを特徴とする口腔内装置。
  6. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の口腔内装置において、複数対のインサート(300)を更に具え、それらの前記対のインサートのうち少なくともいくつかは、他の対のインサートの側面と比べて、長さの異なる側面を有するインサートを具えることを特徴とする口腔内装置。
  7. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の口腔内装置において、第1の歯科矯正トレー(402)、及び第2の歯科矯正トレー(404)を更に具え、これらの歯科矯正トレー(400)はそれぞれ、対象者の歯の少なくともいくつかに接触するための内面(403)、及び外面(405)を具え、前記歯科矯正トレー(400)は、それぞれの歯科矯正トレー(400)の外面(405)がそれぞれの受け部(20)の内面(11)に接触するように前記口腔内装置のそれぞれの受け部(20)内で受け入れ可能である、ことを特徴とする口腔内装置。
  8. 請求項8に記載の口腔内装置において、前記歯科矯正トレーは、一連の第1の歯科矯正トレー、及び一連の第2の歯科矯正トレーを具え、これらの一連の歯科矯正トレーはそれぞれ、対象者の歯の位置、及び/又は前記対象者の顎の形状を変えるために、異なる構成を具えることを特徴とする口腔内装置。
  9. 請求項8に記載の口腔内装置において、前記上部トレー(100)の前記受け部(20)は、前記第1の歯科矯正トレーの全部を受け入れるよう形成され、前記下部トレー(200)の前記受け部(20)は、前記第2の歯科矯正トレーの全部を受け入れるよう形成されることを特徴とする口腔内装置。
  10. 睡眠時無呼吸を治療するための、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の口腔内装置の使用。
  11. いびきを治療するための、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の口腔内装置の使用。
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