JP2018536027A - コアシェル複合材 - Google Patents

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Abstract

本明細書は、任意に活性成分化合物を含むコア、少なくとも2つの交互の層を含むシェル構造(前記交互の層は、タンパク質層又はポリフェノール層から選択される)、及び任意に前記コア及び前記シェル構造を接続する高分子電解質層(前記高分子電解質層は、前記タンパク質層又は前記ポリフェノール層に隣接して配置される)を含み、前記シェル構造は、胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解することが可能であるように選択されるコアシェル複合材を開示する。好ましい実施形態において、タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)又はペプシンであり、ポリフェノール層は、タンニン又はタンニン酸であり、シェル構造は、ペプシンによって分解可能である。
【選択図】 図1

Description

関連出願の相互参照
優先権の主張
本出願は、2015年10月26日に出願されたシンガポール特許出願第10201508831S号の優先権を主張する。
本発明は、一般的に化合物又は活性成分の標的送達のためのコアシェル複合材に関する。
ヒト又は動物の身体における所望の吸収部位への化合物、例えば、生物活性剤、活性成分、薬剤、ビタミン、タンパク質、ホルモン、酵素等の標的送達は、栄養関連産業及び製薬産業の両方に常に存在する技術的課題である。
輸送される化合物は、その水性媒体中での乏しい溶解性及び胃液内での不安定性によって、しばしば制限された生体利用効率を示す。これらの化合物は、pHに敏感であり、胃液において酵素的な分解を受け得る。ヒトの身体による栄養の吸収は、主に小腸で行われる。そうであるので、これらの化合物は小腸に到達する前でも実質的に分解され得る。
最大限の健康上の利益を得るために、そのような化合物を胃液内での分解から保護しなければならない。伝統的に、ゼラチンカプセルは、食品処方において食物成分の遅延放出のために使用されている。ゼラチンは安全であり、容易に入手でき、比較的低コストで得ることができるが、それは胃液の酸性環境において溶解する。したがって、ゼラチンカプセルは、小腸への送達が企図された化合物を輸送するのに適していない可能性がある。
胃液中での輸送された化合物の早すぎる放出の問題を克服するために、多層カプセルが、胃液中でのカプセルの分解を防止するために提案されている。現在のところ、そのような多層カプセルを用いた化合物の制御放出は、pHの変化に依存する。例えば、生物活性化合物をカプセル化する多層カプセルは、胃液の低いpHでは無傷のままであり得るが、腸液のより高いpHで構造的に変形し得、カプセル化された化合物の放出をもたらし得る。したがって、そのようなカプセル化製品を、消費の前に酸性条件下で保存する必要があり、これは食品のおいしさ及び食品中に見られる他の成分の安定性に影響し得る。さらに、輸送される化合物が固体支持体上に吸収されるか、又は薬学的に許容され得る担体と混合される場合、このような支持体又は担体は、胃液による分解の危険にさらされる可能性がある。その結果、化合物の早すぎる放出又は輸送された化合物の汚染が生じ得る。
加えて、pH状態の変化によって誘発される化合物送達機構については、個々のヒト又は動物それぞれの胃腸管(GIT)におけるpHプロファイルの変動を考慮する必要があり、該変動は食事、胃の充満度、遺伝学、及び/又は胃腸障害の違いによって引き起こされ得る。このような変化は、一般的な使用に適した包括的な送達システムを設計することを困難にする。
したがって、好ましくは小腸への標的送達のために、化合物を輸送するために使用することができる材料を提供する必要がある。
第1の側面によれば、a)任意に活性成分化合物を含むコア、b)少なくとも2つの交互の層を含むシェル構造(前記交互の層は、タンパク質層又はポリフェノール層から選択される)、及び任意にc)前記コア及び前記シェル構造を接続する高分子電解質層(前記高分子電解質層は、前記タンパク質層又は前記ポリフェノール層に隣接して配置されている)を含み、前記シェル構造は、胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解可能であるように選択されるコアシェル複合材が提供される。
開示された複合材は、胃の条件下で分解に耐えることができる。胃の条件は、胃の主細胞によって放出される1種以上の天然又は合成の酵素を含む模擬酸性混合物、又は生理学的/生物学的な胃の条件をいい得る。開示された複合材のシェル構造は、ポリフェノール層の間に挟まれた1つ以上のタンパク質層を含み得る。タンパク質層は、同じものであってもよいし異なるものであってもよく、独立に提供される。ポリフェノール層は、同じものであってもよいし異なるものであってもよく、独立に提供される。
タンパク質層は、胃の酵素、例えば、ペプシン又は胃リパーゼによる分解又は加水分解に対して実質的に耐性があるものであり得る。有利には、この特性は、コアシェル複合材が、その内容物、例えば、それにカプセル化された活性成分コアを実質的に放出することなく(又は最低限の放出で)ヒト/動物の対象体の胃を通過することを許容する。有利には、開示された複合材は、身体の所望の位置、例えば、小腸への活性成分の標的送達を提供する。有利には、開示された複合材は、容易に入手可能なタンパク質からなり得、それは、コアシェル複合材の製造におけるコスト効果を示唆する。更に有利には、開示された複合材は、単純な交互層堆積(layer by layer deposition)プロセスによって合成され得る。
他の側面に従うと、上記のコアシェル複合材を調製する方法が提供され、当該方法はa)少なくとも1つのタンパク質層及び少なくとも1つのポリフェノール層を交互に堆積し、それによって活性成分を包含する多層シェル構造を形成することを含み、前記タンパク質層は、前記シェル構造が胃の条件下で分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解することが可能であるように選択される。
この堆積工程は、逆に帯電した層を介在させてシェル構造を形成することを含み得る。堆積工程は、シェル構造の交互のタンパク質/ポリフェノール層を作製するための交互層(LBL)堆積を含み得る。堆積工程は、シェルの所望の厚さ及びシェルの層の所望の数を達成するために必要に応じて繰り返され得る。有利には、本方法は、コアシェル複合材構造の簡単な合成を提供する。開示された方法は、更に、溶解/加水分解プロファイルを調節するための異なるタンパク質及び/又はポリフェノールの種々の組み合わせを許容する。これは、次に制御放出又は持続放出の薬学的担体としての潜在的な適用により、活性成分の送達速度の微調整を可能にする。このカスタマイズ可能な特性は、更に、例えば、シェル構造に、固有の/部位特異的酵素によって加水分解可能な特定のタンパク質を用いることによって、活性成分送達の意図した部位を妥当な正確さで選択することを許容する。
定義
本明細書で使用される以下の言葉及び用語は、示された意味を有するものとする。
本明細書で用いられる用語「活性成分」は、限定されるものではないが、抗酸化物質、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗血栓剤、抗炎症剤、抗発癌剤、鎮痛剤、免疫変調成分、脂質代謝調節剤、アミノ酸、脂質、ペプチド、タンパク質、植物抽出物、植物化学物質、糖類、酵素、ホルモン、受容体阻害剤、レセプターアゴニスト、及びビタミンを含む生理学的に活性な化合物を含むと広く解釈され得る。
本明細書で用いられるとき、用語「胃の条件」は、生物学的又は生理学的な胃の条件、或いは4.5未満のpHを有し、少なくとも1種の胃の酵素を含む液体又は水性媒体を含む胃の条件を模擬した環境をいう。
用語「胃の酵素」は、高分子をヒトの身体によって吸収できるより小さな分子に分解する胃液中の酵素を含むと解釈されるべきである。本明細書で用いられる用語「胃の酵素」は、タンパク質、グリセリド、又は脂肪酸を分解する胃液中の酵素を含み得る。模擬の胃液に関連して本明細書で用いられるとき、用語「胃の条件」は、上に定義したものと同じように解釈されるべきである。
本明細書で用いられるとき、用語「腸の酵素」は、高分子をヒトの身体よって吸収されることができるより小さい分子に分解する腸液に見られる酵素を含むと広く理解されるべきである。これは、小腸によって分泌される酵素又は他の器官(例えば、膵臓)によって腸内環境へと分泌される酵素を含み得る。
本明細書で用いられるとき、用語「高分子電解質」は、溶媒(例えば、水)に溶解すると正又は負に帯電し得るオリゴマー又はポリマー化合物を含むと解釈されるべきである。本明細書で用いられる用語「高分子電解質」は、ポリカチオン又はポリアニオンのどちらかをいい得る。本明細書で用いられる用語「ポリカチオン」は、幾つかの部位に2つ以上の正電荷を有するオリゴマー又はポリマー化合物をいう。本明細書で用いられる用語「ポリアニオン」は、幾つかの部位に2つ以上の負電荷を有するオリゴマー又はポリマー化合物をいう。ポリカチオンの例は、限定されるものではないが、ポリ(L−アルギニン)又は「PLA」及びポリ(L−リジン)又は「PLL」を含む。
用語「プロテアーゼ」又は用語「タンパク質分解酵素」は、互換可能に用いられ得、タンパク質をポリペプチドに、ポリペプチドをペプチドに及び/又はペプチドをアミノ酸残基に分解するタンパク質又は酵素をいう。
用語「実質的に」は、「完全に」を排除するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくともよい。必要であれば、用語「実質的に」は、本発明の定義から省略してもよい。
別段指示が無い限り、用語「含む(comprising)」及び「含む(comprise)」、並びにその文法的変形は、それらが列挙された要素を含むだけでなく追加の列挙していない要素の包含も許可するような「解放」又は「包括的な」言語を表すことが企図されている。
本明細書で用いられるとき、用語「約」は、組成物の成分の濃度の文脈において、典型的には、記載された値の+/−5%、より典型的には記載された値の+/−4%、より典型的には記載された値の+/−3%、より典型的には記載された値の+/−2%、更により典型的には記載された値の+/−1%、更により典型的には記載された値の+/−0.5%を意味する。
本開示を通して、特定の実施形態が範囲形式で開示され得る。範囲形式の記載は単に便宜及び簡便さのためのものであり、開示された範囲の範囲に対する柔軟性の無い限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。従って、ある範囲の説明は、その範囲に含まれる全ての可能なサブ範囲、及び個々の数値を具体的に開示するものであると考えられるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記載は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで等のサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5及び6を具体的に開示していると考えられるべきである。これは、範囲の幅によらず適用される。
特定の実施形態は、本明細書において広範かつ総称的に記載され得る。包括的な開示に含まれるより狭い種及び亜属のグループの各々も、開示の一部を形成する。これは、排除された物質が本明細書に具体的に列挙されているか否かに関わらず、属からの何れかの主題を除去する条件又は否定的な制限を有する実施形態の包括的な説明を含む。
実施形態の詳細な説明
本発明の例示的で非限定的な又は好ましい実施形態をここに開示する。
本開示は、a)任意に活性成分化合物を含むコア、b)少なくとも2つの交互の層を含むシェル構造(前記交互の層は、タンパク質層又はポリフェノール層から選択される)及び、任意に、c)前記コア及び前記シェル構造を接続する高分子電解質層(前記高分子電解質層は、前記タンパク質層又は前記ポリフェノール層に隣接して配置される)を含み、前記シェル構造は、胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解することが可能であるように選択されるコアシェル複合材に関する。
コアシェル複合材は、粒子、マイクロサイズ又はナノサイズの粒子であり得る。
コアシェル複合材は、約5nmから100nmまでのシェル構造の総厚さを示し得る。シェル構造の厚さは、実質的に均一であり得る。厚さは、GI管における複合材の滞留時間に従って有利に調節され得る。実施形態において、厚さは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100nmから選択され得るか、或いは厚さは、これらの値から選択される上限及び下限を有する範囲で調製され得る。シェル構造の各タンパク質層又はポリフェノール層は、独立に1nmから10nmまでの厚さであり得る。
コアシェル複合材は、実質的に球の形状であり得、約0.5μmから約10μmまでの直径を有する。コアシェル複合材は、約500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm又は10μmの平均直径を有し得る。コアシェル複合材は、各々が実質的に同じ平均直径を有する、実質的に単分散粒子を含み得る。コアシェル材はまた、平均粒径の分布を有する粒子も含み得る。
タンパク質層は、胃の消化酵素による分解に実質的に耐性があり得、分解耐性タンパク質は、30%未満の、胃の酵素によって切断可能なアミノ酸(「aa」)残基対総アミノ酸残基の割合を有することによって特徴づけられ得る。実施形態において、この割合は、30%、28%、26%、24%、22%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、6%、4%、又は2%、或いはそれ以下であり得る。実施形態において、タンパク質は、胃の酵素に対して実質的に不活性であり得る。幾つかの実施形態において、タンパク質は、ペプシンによって分解又は加水分解されないものであり得る。
加えて、又は或いは、タンパク質層は、35%を超える総切断可能AA残基対総AA残基の割合を有することによって更に特徴づけられ得る。総切断可能AA残基は、胃及び腸の酵素の両方によって切断又は加水分解可能なAA残基を含む。幾つかの実施形態において、この割合は、35%、40%、45%、50%、55%、60%又はそれ以上であり得る。有利には、タンパク質層は、胃の酵素活性に曝されたとき30%未満が加水分解されるが、腸液に曝されたとき35%を超える量が加水分解されるものであってもよい。
実施形態において、タンパク質は、胃の酵素によって切断されるアミノ酸残基又は活性部位に対してより多くの、腸の酵素によって切断可能な活性部位又はアミノ酸残基を有するものであるものとして特徴づけられるものであってもよい。ただし、切断可能な活性部位又はアミノ酸残基の総割合は、少なくとも35%であるか、35%よりも多い。
他の実施形態において、タンパク質は、本明細書で開示された胃の酵素で切断可能な活性部位の割合と、本明細書で開示された全ての切断可能な活性部位の割合との何れもの組み合わせを含み得る。例えば、胃の酵素で切断可能な活性部位の割合は、約30%であり得、かつ全ての切断可能な部位は60%であり得、或いは胃の酵素で切断可能な活性部位の部分は、約10%であり得、かつ全ての切断可能な部位は約35%であり得る。
タンパク質のアミノ酸配列は、GenBank(NCBI、米国国立生物工学情報センター)及びUniprot Universal(タンパク質リソースSwiss−Prot/TREMBL/PIR)データベースから得ることができる。切断部位、即ち、胃腸の酵素(例えば、胃液におけるペプシン、及び腸液におけるトリプシン+キモトリプシン)によって切断されるタンパク質内のアミノ酸配列の決定又は予測は、ペプチドCutter(EXPASY、SwissModel)及びUniprot Universal(タンパク質リソースSwiss−Prot/TREMBL/PIR)プログラムの手段によって行うことができる。
コアシェル複合材は、そのシェル構造の最外層として、ポリフェノール層を含み得る。ポリフェノールは、分岐、超分岐又は樹状構造であり得る。ポリフェノールは、エステル結合、エーテル結合、ビアリール結合或いはその混合物を含み得る。
ポリフェノールは、フェノール酸、例えば、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸又は桂皮酸に由来するものであり得る。ポリフェノールは、天然又は合成である食物ポリフェノールであり得る。ポリフェノールは、生適合性であり得る。ポリフェノールは、没食子酸、カテキン類、エピカテキン類、プロアントシアニジン、アントシアニジン、ガロイル化カテキン類、フラボノイド、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、フラボン、又はタンニンから選択され得るか、その誘導体であり得る。
1つの実施形態において、ポリフェノールは、没食子酸エステル及びプロアントシアニジンの混合物から誘導され、当該ポリフェノールは、少なくとも1つ又は複数のガロイル官能基を含む。1つの実施形態において、ポリフェノールは、タンニン又はタンニン酸(TA)又はその塩及び誘導体である。有利には、ガロイル官能基又はTAを有するポリフェノールは、没食子酸から誘導されたものではないポリフェノールに対して、タンパク質、例えば、タンパク質分解酵素とのより大きな結合親和性又は反応性を示し得る。1つの実施形態において、最外層のポリフェノール層は、少なくとも1種の胃の消化酵素と反応し得、それによって前記胃の消化酵素の層をコアシェル粒子へと結合させ得る。これは、コアシェル複合材粒子の最外層を胃の酵素から構成される層へと変換する効果を有し得る。
例えば、シェル構造の最外層として提供されるとき、ポリフェノールは、胃の酵素、例えば、ペプシンと有利に結合し得る。これは、最外ペプシン層の形成をもたらし得、それは、コアシェル複合材構造及びそのカプセル化内容物を胃の酵素から更に保護し得る。これは、胃の条件に曝された際にコアシェル複合材の分解に対する耐性を高め得る。
1つの実施形態において、コアシェル複合材粒子は、対象体に投与される前に、ペプシンを含む水性媒体に部分的に又は完全に接触させることができる。そのようにすることは、コアシェル粒子が胃を通過する際の分解に対する耐性を有利に高め得る。
任意に、コアシェル複合材は、シェル構造と活性成分を含むコアとの間に挟まれた高分子電解質層を含み得る。高分子電解質層は、活性成分コアの全体を実質的にカプセル化するシード層を提供し得る。高分子電解質層は、隣接するタンパク質層又は隣接するポリフェノール層に化学的及び/又は静電気的に結合するように選択されたポリカチオン、又はポリアニオンであり得る。高分子電解質は、生適合性かつヒト又は動物に無毒であり得る。高分子電解質は、天然のものであり得る。高分子電解質は、ポリ(L−リジン)、ポリ(L−アルギニン)、キトサン、デキストラン、デキストラン誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース又はセルロース誘導体から選択され得、好ましくは、ポリ(L−リジン)又はポリ(L−アルギニン)から選択される。
開示されたコアシェル複合材のタンパク質は、アルファs1カゼイン、ペプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、リゾチーム、ウシ血液由来のヘモグロビン、キモトリプシン、β−ラクトグロブリン、トリプシン、ユビキチン、レクチン、ラクトペルオキシダーゼ、ウサギの筋肉からのミオシン、アクチン、カッパ−カゼイン、ベータ−カゼイン、アルファラクトアルブミン、ウシ頸部靱帯からのエラスチン、フェリチン及びその組み合わせからなる群から選択され得る。タンパク質は、胃の条件下で30%未満の分解を受けるが、腸液に曝露された場合に35%を超える総分解を受けるように選択され得る。特定の実施形態において、タンパク質は、BSA又はペプシンから選択される。
胃の条件は、約pH3又はそれ以下で特徴づけられ得、コアシェル複合材は少なくとも1種の胃の酵素、例えば、ペプシンと接触する。
腸液は、膵臓又は小腸から分泌される1種以上の酵素を含み得る。酵素は、膵臓の外分泌腺を介して及び腸に直接分泌され得るものであり、例えば、キモトリプシンである。酵素は、小腸によって局所的に分泌されるものであり、例えば、アミノペプチダーゼである。腸の酵素は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ及びその混合物からなる群から選択され得る。1つの実施形態において、腸の酵素は、トリプシン又はキモトリプシン或いはその混合物である。
輸送される化合物又は活性成分は、薬学的に活性な化合物又はその塩、食品添加物、多糖類、ホルモン、生物活性剤、タンパク質、酵素、ペプチド、ポリペプチド、プレバイオティクス、植物化学物質(例えば、プロアントシアニジン)、プロバイオティクス(例えば、マルトデキストリンのようなもの)、ビタミン並びにそれらの混合物及び錯体からなる群から選択され得る。特定の実施形態において、コアシェル複合材粒子によって輸送される化合物は、ラクトフェリン(「Lf」)又はウシの初乳から選択される。輸送される化合物は、酵素阻害剤、例えば、グリコシド加水分解酵素の阻害剤を含み得る。
本発明の他の実施形態は、コアシェル複合材を調製する方法に関し、当該方法は、少なくとも1つのタンパク質層及び少なくとも1つのポリフェノール層を交互に堆積し、それにより活性成分コアをカプセル化する多層のシェル構造を形成する工程を含み、前記タンパク質層は、前記シェル構造が胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解可能であるように選択される。開示された方法において、ポリフェノール及びタンパク質は、本明細書に説明したものであり得る。
堆積工程(a)は、交互層堆積を含み得る。例えば、本方法は、交互に、タンパク質溶液に活性成分を混合し、前記活性成分上にタンパク質層を形成すること、その後に、タンパク質でコーティングされた活性成分をポリフェノール溶液と混合し、前記タンパク質層上にポリフェノール層を形成することを含み得る。所望の厚さを有する多層のシェル構造を形成するために、必要に応じてこのプロセスが繰り返され得る。
タンパク質堆積工程又はポリフェノール堆積工程の各々は、十分に厚い層を得るために、必要に応じて独立して繰り返され得る。1つの実施形態において、タンパク質又はポリフェノール層の堆積の際に2つ以上の混合工程を行うことができる。例えば、タンパク質層は、ポリフェノール層で更にカプセル化又は包まれる前に、特定の所望の厚さを達成するために繰り返し堆積され得る。
混合工程は、周囲条件で行われ得る。混合工程は、物理的撹拌、例えば、かき混ぜることを含み得る。各堆積工程の間に、残留したタンパク質又はポリフェノールを取り除くための洗浄工程があり得る。
本方法は、実質的に同じ厚さを有するタンパク質層及びポリフェノール層を堆積することを含み得る。方法は、異なる厚さのタンパク質及びポリフェノール層を堆積することも含み得る。1つの実施形態において、本方法は、前記ポリフェノール層よりも実質的に厚いタンパク質層及びその反対を堆積することを含み得る。
活性成分は、固体の支持体上に提供され得る。例えば、活性成分は、固体の支持体、例えば、CaCO上に吸着又は吸収され得る。支持体は無機物であり得る。支持体は、多孔質でもあり得る。固体の支持体は、ミクロンサイズの又はナノサイズの直径を有する粒子の形態であり得る。
活性成分は、任意に、タンパク質又はポリフェノールを堆積する前に、高分子電解質によってカプセル化され得る。高分子電解質は、本明細書で開示されたものであり得る。高分子電解質は、活性成分(又は活性成分を含む固体支持体)を高分子電解質溶液に接触させ、高分子電解質の層を沈殿させ、それによって活性成分をカプセル化することによって堆積され得る。高分子電解質は、ポリ(L−リジン)、ポリ(L−アルギニン)、キトサン、デキストラン、デンプン、セルロース又はその誘導体から選択され得る。2つ以上の高分子電解質層が提供され得る。1つの実施形態において、高分子電解質は、ポリ(L−リジン)又はポリ(L−アルギニン)から選択される。
本方法は、前記堆積工程の前、間又は後に固体の支持体を除去する工程を更に含み得る。除去工程は、前記固体の支持体を化学的に分解することを含み得る。実施形態において、コアシェル複合材が形成された後に、支持体材料を保持するか、又はそのまま残してもよい。支持体材料は、胃液内で見られる1種以上の成分と反応し得る。実施形態において、支持体材料は、胃で塩酸と反応し、分解され得る。他の実施形態において、支持体材料は、酸と反応して活性成分を取り囲む追加の保護層を形成し得る。
本方法は、最内層としてタンパク質層を堆積することを含み得、例えば、この層は、高分子電解質層が提供される場合、そのすぐ隣に配置され、高分子電解質層が存在しない場合、活性成分コアのすぐ隣に配置される。或いは、本方法は、ポリフェノール層を最内層として堆積することを含み得る。
開示された方法において、タンパク質は、好ましくは本明細書で開示されたものであり、例えば、30%未満の、前記胃の酵素で切断可能なアミノ酸基対総アミノ酸基の割合を有することを特徴とする。この割合は、30%、28%、26%、24%、22%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、6%、4%又は2%未満であり得る。加えて、タンパク質は、全ての切断可能な残基を総アミノ酸残基の35%を超える割合で有することによって更に特徴づけられ得る。
タンパク質は、アルファs1カゼイン、ペプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、リゾチーム、ウシ血液由来のヘモグロビン、キモトリプシン、β−ラクトグロブリン、トリプシン、ユビキチン、レクチン、ラクトペルオキシダーゼ、ウサギの筋肉からのミオシン、アクチン、カッパ−カゼイン、ベータ−カゼイン、アルファラクトアルブミン、ウシ頸部靱帯からのエラスチン又はフェリチン、例えば、BSA又はペプシンから選択され得る。
開示された方法において、ポリフェノールは、フェノール酸、例えば、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸又は桂皮酸に由来するものであり得る。ポリフェノールは、天然又は合成である食物ポリフェノールであり得る。ポリフェノールは、生適合性であり得る。ポリフェノールは、没食子酸、カテキン類、エピカテキン類、プロアントシアニジン、アントシアニジン、ガロイル化カテキン類、フラボノイド、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、フラボン又はタンニンから選択され得るか、その誘導体である。
1つの実施形態において、ポリフェノールは、没食子酸エステル及びプロアントシアニジンの混合物から誘導され、当該ポリフェノールは、少なくとも1つ又は複数のガロイル官能基を含む。1つの実施形態において、ポリフェノールは、タンニン又はタンニン酸(TA)又はその塩及び誘導体である。
活性成分コアは、薬学的に活性な化合物又はその塩、食品添加物、多糖類、ホルモン、生物活性剤、タンパク質、酵素、ペプチド、ポリペプチド、プレバイオティクス、植物化学物質(例えば、プロアントシアニジン)、プロバイオティクス(例えば、マルトデキストリンのようなもの)、ビタミン、並びにそれらの混合物及び錯体からなる群から選択され得る。特定の実施形態において、活性成分は、コアシェル複合材内にカプセル化され、粒子は、ラクトフェリン又はウシの初乳から選択される。
1つの実施形態において、例えば、薬剤送達のための薬学的に許容され得る担体として治療に用いられるための本明細書で開示されたコアシェル複合材が提供される。
医薬の製造における本明細書で開示されたコアシェル複合材の使用も提供され、前記医薬は、活性成分をヒト又は動物の小腸への送達するように構成される。医薬は、腸内、経口、又は静脈内投与用に調製され得る。医薬は、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤を更に含み得る。
有利には、コアシェル複合材は、タンパク質若しくは酵素又は薬学的に活性な化合物或いはその塩のような活性成分の標的送達のための担体又はビヒクルとして用いられ得、開示された複合材は、活性成分を小腸(十二指腸、空腸及び回腸を含む)、大腸又は結腸へ送達するように構成される。これは、GI管を介して腸内へ投与される薬剤において特に有用であるが、薬剤は、胃における吸収には適切ではないか、又は胃で吸収することができない。
添付の図面は、1つ以上の開示された実施形態を示しており、開示された実施形態の原理を説明するのに用いられる。しかしながら、図面は例示のみを目的として作成されたものであり、本発明の制限を定義するものではないことが理解されるべきである。
図1は、(a)吸収されたLfを含む多孔質CaCOマイクロ粒子、(b)Lfを吸収したCaCOマイクロ粒子をカプセル化するPLL−(BSA−TA)シェル、及び(c)CaCOマイクロ粒子の分解後、Lfをカプセル化するPLL−(BSA−TA)シェルのSEM画像を含む。 図2は、(a)Lfを含むPLL−(BSA−TA)シェルからの正イオンの質量分離された50μm×50μm画像(C及びFeマップ)である。明るい色は各要素のより高い強度に対応し、一方、黒色の領域は各要素が存在しないことに対応する。(b)個々のLfを含むPLL−(BSA−TA)シェル内のLfの分布を示すFe/Cピーク強度比の棒グラフである。 図3は、平坦なシリコン表面上の(a)(BSA−TA)及び(b)(ペプシン−TA)多層膜の集合体であり、その後膜を37℃で連続的な撹拌下においてSGF及びSIFにおいて分解させたもののグラフを示す。膜の厚さはエリプソメトリーによってそのまま測定する。 図4は、(a)SGF処理前のBSA−FITCカプセル化PLL−(ペプシン−TA)シェル、(b)SGF中における37℃での1時間の連続的撹拌後のBSA−FITCカプセル化PLL−(ペプシン−TA)シェル、及び(c)SGF中における37℃での1時間の連続的撹拌の後、SIF中における37℃での1時間の連続的撹拌を行った後のBSA−FITCカプセル化PLL−(ペプシン−TA)シェルのCLSM画像である。 図5は、SGF中における37℃での(a)10分、(b)30分、及び(c)60分の連続的撹拌の後、SIF中における37℃での(d)60分の連続的撹拌を行った後のLfカプセル化PLL−(BSA−TA)シェルのSEM画像である。 図6は、SGF中における37℃での連続的撹拌(最初の1時間)の後、SIF中における37℃での連続的撹拌(次の1時間)後のPLL−(BSA−TA)にカプセル化されたDQ Red BSA(四角)、PLL−(BSA−TA)(丸)、カプセル化されていないDQ Red BSA(三角)の蛍光強度(λex=590nm、λem=620nm)のグラフである。差し込み図は、異なる規模の蛍光強度におけるSGF処理の最初の60分を示す。 図7は、(a,b)Lfカプセル化PARG−(BSA−TA)シェル及び(c)CaCOコアの分解の後、観察可能なLfカプセル化(BSA−TA)シェル(高分子電解質固定層を含まない)が無いSEM画像である。 図8は、pH1におけるCaCOの分解後に得られたPLL−(BSA−TA)構造のSEM画像である。

本発明の非限定的な例及び比較例を、具体的な例を参照することによって、より詳細に説明するが、それは、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
例1−1:吸収されたラクトフェリン(Lf)を含む多孔質CaCOマイクロ粒子の調製
塩化カルシウム(CaCl)溶液(720mL、1M)を、Lf水溶液(1.8mL、1〜30mg/mL)へ添加する。次いで、炭酸ナトリウム(NaCO)溶液(480mL、1M)を激しく撹拌しながら1回で注入する。1分後に撹拌を停止する。得られた粒子の分散液を遠心により分離し、脱イオン水を用いて2回洗浄する。
図1の(a)は、2mmから4mmまでの粒子径を有する球形の、得られた、吸収されたLfを含むCaCOマイクロ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。球状粒子の粗い表面は、数多くの孔の存在を示す。
回収された、吸収されたLfを含むCaCO粒子を塩酸(HCl)(1M)によるpH3までの滴定によって分解する。CaCOマイクロ粒子に吸収されたLfの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び酵素免疫測定法(ELISA)によって決定し、それぞれ、0.8mg及び1.0mgである。CaCOマイクロ粒子に吸収されたLfの算出された濃度は、約1.75wt.%である。
例1−2:CaCOマイクロ粒子の表面上へのウシ血清アルブミン−タンニン酸(BSA−TA)シェルの集成
例1−1の吸収されたLfを含むCaCOマイクロ粒子をポリ(L−リジン)(PLL)溶液(2mL、2mg/L)に浸し、15分間連続的に振盪する。次いで、マイクロ粒子を遠心によって回収し、残分PLLを脱イオン水による2回の洗浄により取り除く。
次に、マイクロ粒子をBSA水溶液(2mL、2mg/mL)(pH5.8)に懸濁し、少なくとも15分間振盪する。得られたマイクロ粒子を遠心により回収し、残分BSAを脱イオン水による2回の洗浄により取り除く。続いて、マイクロ粒子をTA水溶液(2mL、2mg/mL)(pH3)に浸し少なくとも15分間振盪する。得られたマイクロ粒子を遠心により回収し、残分TAを脱イオン水による2回の洗浄により取り除く。この手順を、マイクロ粒子上に合計4つのBSA−TA二重層が堆積するまで繰り返す。
図1の(b)は、シェル形成の成功を示す、例1−1のCaCOと比較して滑らかな表面を有する吸収されたLfを含むマイクロ粒子の表面に堆積された得られたPLL−(BSA−TA)シェルのSEM画像を示す。
例1−3:CaCOコアの溶解及びカプセル化されたLfを含むBSA−TAシェルの形成
例1−2のマイクロ粒子を遠心により回収し、脱イオン水(1mL)に再分散する。次いで、分散液に、HCl溶液(1M)を約pH3まで滴下する。得られたカプセル化されたLfを含むシェルを遠心により回収し、脱イオン水で2回洗浄する。図1の(c)は、CaCOコアが完全に分解した、カプセル化されたLfを含むPLL−(BSA−TA)シェルのSEM画像を示す。
個々のシェルにおけるカプセル化されたLfの量及び1バッチにおけるシェル内のカプセル化されたLfの分布を二次イオン質量分析法(SIMS)によって評価する。PLL−(BSA−TA)シェルにカプセル化されたLfの懸濁液を銅の基体上に堆積し、周囲温度の雰囲気で乾燥し、真空下に置く。Arビームによってシェルから表面汚染を除去した後、50μm×50μm領域をBiイオンの分析ビームによって解析し、解析の各画素からマススペクトルを得る。マススペクトルにおいてC及びFeの正イオンに対応するピークを同定し、その強度を統合し、一次イオンビーム位置に対してプロットする。図2の(a)は、Feの画像がCの画像と関連しているカプセル化されたLfを含むPLL−(BSA−TA)シェルの典型的な画像を示す。C及びFeイオンが酵素に由来するため、明るい箇所は、銅の基体上のシェルの位置を示す。周囲の領域のイオンは、低い強度を有する。
PLL−(BSA−TA)シェルにカプセル化されたLfの量は、各個々のシェルにおけるFe対Cのピーク強度の比を計算することによって決定される。図2の(b)は、Lfカプセル化シェルの1バッチにおけるPLL−(BSA−TA)シェルにカプセル化されたLfの量の分布を示す。0.5±0.2の平均値を有する0.2から0.9までのFe/Cピーク強度比が観察される。
例2:模擬的な胃及び腸液内におけるタンパク質−ポリフェノールシェル
模擬胃液(SGF)は、塩化ナトリウム(NaCl)溶液(4mL、150mM)(HClを用いてpH3に調整した)をペプシン溶液(1mL、7.1mg/mLのペプシン、150mMのNaCl)と混合することにより調製する。
模擬腸液(SIF)は、SGFをpH7.0の胆汁塩溶液(1mL、120mMの胆汁塩、0.1Mの重炭酸ナトリウム(NaHCO))及びpH7.0のパンクレアチン溶液(1mL、1800USP U/mLのパンクレアチン、0.1MのNaHCO)と混合することにより調製する。
シリコン基体の平坦な表面上へペプシン−TA又はBSA−TA多層膜を作製した後、37℃での連続流下においてSGF及びSIF中で膜を分解するプロセスを精密なエリプソメトリーによって調査する。図3は、4つのBSA−TA及びペプシン−TAの二重層の集成上の0から、それぞれ16±2.5nm及び15±3.9nmまでの膜の厚さの増加を示す。BSA−TA多層シェルの場合、SGF中での処理の60分後、更に厚さが18.2±1.2nm増加する。これは、末端であるTA層によるペプシンの吸収及び膜内へのその取り込みによるものであり得る。明らかに、これはペプシン−末端(ペプシン−TA)多層における場合ではない。有利には、BSA−TA及びペプシン−TA膜の厚さは、SIF中における処理の60分後、それぞれ9.5±2.0及び8.3±3.1nmまで劇的に減少し、それは小腸における膜の分解を示す。
PLL−(ペプシン−TA)シェルにカプセル化されたBSAフルオレセインイソチオシアネート複合体(BSA−FITC)のバッチを調製し、37℃の連続撹拌下でSGF及びSIFで処理する。この例においては、PLLを固定層として用いる。SGF中における処理の前及び60分後、並びにSIF中における処理の更に60分後にサンプルを回収する。pHを水酸化ナトリウム(NaOH)で7.0に増加させ、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の錠剤を1つ添加することにより消化を停止する。各サンプルを遠心し、脱イオン水で3回洗浄する。図4の(a)は、SGF及びSIF処理の前のよく分散したPLL−(ペプシン−TA)シェル内にカプセル化されたBSA−FITCの共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)画像を示す。図4の(b)は、PLL−(ペプシン−TA)シェルにカプセル化されたBSA−FITは、SGF中における処理の60分後、大きさ又は凝集の変化が観察されず安定したままであることを実証する。図4の(c)は、PLL−(ペプシン−TA)シェルにカプセル化されたBSA−FITCがSIF中での処理の60分後完全に分解し、蛍光BSAが周囲の溶液に溶出したことを示す。
Lfカプセル化PLL−(BSA−TA)シェルのバッチを調製し、37℃の連続撹拌下でSGF及びSIFで処理する。SGF中における処理の前及び60分後、並びにSIF中における処理の更に60分後にサンプルを回収する。pHをNaOHによって7.0に増加させ、PMSFの錠剤を1つ添加することによって消化を停止させる。各サンプルを遠心し、脱イオン水で3回洗浄し、凍結乾燥する。表1は、SGF及びSIF処理の前及び後のLfカプセル化PLL−(BSA−TA)シェルの重量を示す。SGF及びSIF処理後の対応する重量減少が計算され、それぞれ約2.2%及び99.1%である。
Figure 2018536027
Lfカプセル化PLL−(BSA−TA)シェルの他のバッチを調製し、37℃の連続撹拌下でSGF及びSIFで処理する。SGFにおける10分、30分、及び60分後、SIFにおける60分後、サンプルを回収する。pHをNaOHによって7.0に増加させ、PMSFの錠剤を1つ添加することによって消化を停止させる。各サンプルを遠心し、脱イオン水で3回洗浄する。図5は、SGF及びSIFでの処理後のカプセル化されたLfを含むPLL−(BSA−TA)シェルSEM画像を示す。SGF中における1時間の処理の後のPLL−(BSA−TA)シェルの変化は、最小限であり有意ではないようである。対して、SIF中における1時間の処理の後、サンプルに残っている観察可能なPLL−(BSA−TA)シェルの数は、有意に減少する。ごく少数のシェルがSEMによって観察される。
例3:SIF中の放出が後続するSGF中のタンパク質の保護効率
保護されていないDQ Red BSAタンパク質を含むブランクサンプルを例1−1及び1−3に記載の方法に従って調製する。PLL−(BSA−TA)及びPLL−(BSA−TA)シェル内にカプセル化されたDQ Red BSAタンパク質のサンプルを例1−1及び1−3に記載の方法に従って調製する。
DQ Red BSAタンパク質は、BODIPY染料で高度に標識したBSAの誘導体である。プロテアーゼによるDQ Red BSAの加水分解は、明るい蛍光製品である単一の染色標識されたペプチドをもたらす。
ブランクサンプル、並びにDQ Red BSAをカプセル化しているPLL−(BSA−TA)及びPLL−(BSA−TA)シェルのサンプルを37℃の連続撹拌下でSGF及びSIFで処理する。SGFにおける10分、30分、及び60分後、並びにSIFにおける10分、30分、及び60分後にサンプルを回収する。回収したサンプルの蛍光スペクトルを記録し、全てのサンプルのλ=620nmにおける発光バンドの蛍光強度を図6に示す。カプセル化されたDQ Red BSAの蛍光強度は、SGFにおける60分の処理時間の間非常に低いが、SIF中へのサンプルの導入は大幅に増加する。保護していないDQ Red BSAについては、蛍光強度がSGF中における処理で増加し、SIF中での処理で更に顕著に増加する。
カプセル化によって提供される保護効率(P.E.)は、以下のように定義する。
P.E.=(1−I/I)*100%
は、PLL−(BSA−TA)又はPLL−(BSA−TA)シェル内にカプセル化されたタンパク質の蛍光強度であり、Iは、処理時間の同じ時間における保護されていないタンパク質の蛍光強度である。
SGF中における処理の60分後の、PLL−(BSA−TA)及びPLL−(BSA−TA)シェルによって提供されるP.E.は、それぞれ76±6%及び85±2%である。
比較例1
ポリ(L−アルギニン)(PARG)をPLLの代わりに固定材として使用する。PARG−(BSA−TA)シェルにカプセル化されたLfを例1−1から1−3に記載の方法にしたがって調製する。加えて、固定層の無いLfカプセル化(BSA−TA)シェルを、PLL溶液にマイクロ粒子を浸す工程を省くこと以外は例1−1から1−3に記載の方法によって調製する。図7は、CaCO溶解後のこれらのサンプルのSEM画像を示す。PARG−(BSA−TA)シェルは、図1に示すPLL−(BSA−TA)シェルと同じサイズ、形状及び一体性である。むしろ、サンプル内に高分子電解質の固定層の無いシェルは見られない。
比較例2
図8は、図1の(c)(例1−3に記載された)のサンプルであるが、pH〜1のHClに溶解したもののSEM画像を示す。このサンプルにおいて崩壊したシェル構造が観察され、安定したシェルは見られない。従って、(BSA−TA)シェルは健康的な人の胃液のpHレベルでは安定であるが、より高い胃の酸性度の原因となる特定の疾患を有する人の胃液では分解し得る。
開示されたコアシェル複合粒子又は材の潜在的な産業上の利用可能性は、自明である。最も具体的には、開示されたコアシェル複合材は、有利には、小腸(空腸、十二指腸又は回腸を含む)内で反応するか、又は吸収することが企図された化合物の輸送において、特に、これらの化合物がpHに敏感であり得るか、又はコアシェル構造の保護なしでペプシン又は他の胃の酵素によって潜在的に分解され得るときに有用である。
前述の開示を読んだ後で、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な他の改変及び適合が当業者に明らかであろうことが明確であろうし、そのような改変及び適合の全てが添付の特許請求の範囲の範囲内であることが企図されている。

Claims (37)

  1. a.任意に活性成分化合物を含むコア、
    b.少なくとも2つの交互の層を含むシェル構造であって、前記交互の層は、タンパク質層又はポリフェノール層から選択される該シェル構造及び
    c.任意に、前記コア及び前記シェル構造を結合する高分子電解質層であって、前記高分子電解質層は、前記タンパク質層又は前記ポリフェノール層に隣接して配置される該高分子電解質層
    を含み、
    前記シェル構造は、胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解することが可能であるように選択される
    コアシェル複合材。
  2. 前記シェル構造の最外層は、ポリフェノール層である、請求項1に記載のコアシェル複合材。
  3. 前記高分子電解質は、ポリ(L−リジン)、ポリ(L−アルギニン)、キトサン、デキストラン、デンプン、セルロース又はその誘導体から選択される請求項1又は2に記載のコアシェル複合材。
  4. 前記タンパク質は、アルファs1カゼイン、ペプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、リゾチーム、ウシ血液由来のヘモグロビン、キモトリプシン、β−ラクトグロブリン、トリプシン、ユビキチン、レクチン、ラクトペルオキシダーゼ、ウサギの筋肉からのミオシン、アクチン、カッパ−カゼイン、ベータ−カゼイン、アルファラクトアルブミン、ウシ頸部靱帯からのエラスチン又はフェリチンから選択される請求項1〜3の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  5. 前記タンパク質層は、胃の消化酵素によるタンパク質分解に耐性があり、30%未満の前記胃の酵素で切断可能なアミノ酸残基対総アミノ酸残基の割合を有することを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  6. 前記タンパク質層は、35%を超える総切断可能残基対総アミノ酸残基の割合を有することを更に特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  7. 前記最外のポリフェノール層は、少なくとも1種の胃の消化酵素と反応し、それによって前記胃の消化酵素の層をそれに結合させることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  8. 前記胃の消化酵素がペプシンである請求項5に記載のコアシェル複合材。
  9. 前記タンパク質は、アルファs1カゼイン、ペプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、リゾチーム、ウシ血液由来のヘモグロビン、キモトリプシン、β−ラクトグロブリン、トリプシン、ユビキチン、レクチン、ラクトペルオキシダーゼ、ウサギの筋肉からのミオシン、アクチン、カッパ−カゼイン、ベータ−カゼイン、アルファラクトアルブミン、ウシ頸部靱帯からのエラスチン又はフェリチンから選択される上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  10. 前記タンパク質は、BSA又はペプシンから選択される請求項9に記載のコアシェル複合材。
  11. 各ポリフェノール層は、独立に、没食子酸、カテキン類、エピカテキン類、プロアントシアニジン、アントシアニジン、ガロイル化カテキン類、フラボノイド、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、フラボン、又はタンニンから選択されるか、又はその誘導体である上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  12. 前記最外のポリフェノール層は、タンニン、タンニン酸又はその誘導体である請求項2〜11の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  13. 前記活性成分は、薬学的に活性な化合物又はその塩、食品添加物、多糖類、ホルモン、生物活性剤、タンパク質、酵素、ペプチド、ポリペプチド、プレバイオティクス、植物化学物質、プロバイオティクス、ビタミン、並びにそれらの混合物及び錯体からなる群から選択される上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  14. 前記シェル構造の総厚さは、5nmから100nmまでである上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  15. 前記複合シェルは、実質的に球体の形状であり、約0.5μmから約10μmまでの直径を有する上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  16. 前記胃の条件は、約pH3及び少なくとも1種の胃の酵素の存在によって特徴づけられる上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  17. 前記胃の酵素がペプシンである請求項16に記載のコアシェル複合材。
  18. 前記腸の酵素は、膵臓又は小腸から分泌される1種以上の酵素である上記請求項の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  19. 前記腸の酵素は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ及びその混合物の群から選択される請求項18に記載のコアシェル複合体。
  20. 前記腸の酵素は、トリプシン、キモトリプシン又はその混合物である請求項19に記載のコアシェル複合材。
  21. a)少なくとも1つのタンパク質層及び少なくとも1つのポリフェノール層を交互に堆積し、それによってカプセル化された活性成分を包む多層のシェル構造を形成する工程
    を含み、
    前記タンパク質層は、前記シェル構造が胃の条件下での分解に耐性があるが、1種以上の腸の酵素によって分解可能であるように選択される
    コアシェル複合材を調製する方法。
  22. 前記活性成分は、任意に前記堆積工程の前に高分子電解質によってカプセル化され、更に、任意に、前記活性成分は、固体の支持体に吸収される請求項21に記載の方法。
  23. 前記タンパク質層は、胃の消化酵素によるタンパク質分解に耐性があり、30%未満の、前記胃の酵素によって切断可能残基対総アミノ酸残基の割合を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の方法。
  24. 前記タンパク質層は、35%を超える総切断可能残基対総アミノ酸残基の割合を有することを特徴とする請求項21〜23の何れか1項に記載の方法。
  25. 前記固体の支持体は、多孔質構造を含む請求項22に記載の方法。
  26. 前記方法は、前記堆積工程の前、間又は後に前記固体の支持体を除去する工程を更に含む請求項22〜25の何れか1項に記載の方法。
  27. 前記除去工程は、前記固体の支持体を化学的に分解することを含む請求項26に記載の方法。
  28. 前記堆積工程(a)は、交互に、活性成分をタンパク質溶液に混合して前記タンパク質層を形成し、次いで、ポリフェノール溶液中に混合して前記タンパク質層上に前記ポリフェノール層を形成し、それによって前記多層のシェル構造を形成することを含む交互層堆積である請求項21〜27の何れか1項に記載の方法。
  29. 前記堆積工程は、前記高分子電解質層に隣接して前記タンパク質層を堆積することを含む請求項22〜28の何れか1項に記載の方法。
  30. 前記堆積工程は、前記高分子電解質層に隣接して前記ポリフェノール層を堆積することを含む請求項22〜28の何れか1項に記載の方法。
  31. 前記堆積工程は、最外層として前記ポリフェノール層を堆積することを更に含む、請求項21〜30の何れか1項に記載の方法。
  32. 前記高分子電解質は、ポリ(L−リジン)、ポリ(L−アルギニン)、キトサン、デキストラン、デンプン、セルロース又はその誘導体から選択される請求項21〜31の何れか1項に記載の方法。
  33. 前記タンパク質は、アルファs1カゼイン、ペプシン、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、リゾチーム、ウシ血液由来のヘモグロビン、キモトリプシン、β−ラクトグロブリン、トリプシン、ユビキチン、レクチン、ラクトペルオキシダーゼ、ウサギの筋肉からのミオシン、アクチン、カッパ−カゼイン、ベータ−カゼイン、アルファラクトアルブミン、ウシ頸部靱帯からのエラスチン又はフェリチンから選択される請求項21〜32の何れか1項に記載の方法。
  34. 前記タンパク質は、BSA又はペプシンから選択される請求項33に記載の方法。
  35. 各堆積された前記ポリフェノール層は、独立に、没食子酸、カテキン類、エピカテキン類、プロアントシアニジン、アントシアニジン、ガロイル化カテキン類、フラボノイド、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、フラボン、又はタンニンから選択されるか、又はその誘導体である請求項21〜34の何れか1項に記載の方法。
  36. 治療に用いるための請求項1〜22の何れか1項に記載のコアシェル複合材。
  37. 医薬の製造における請求項1〜22の何れか1項に記載のコアシェル複合材の使用であって、前記医薬はヒト又は動物の小腸へ活性成分を送達するように構成されている使用。
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