JP2018532116A - 中赤外分光法を用いて組織品質を分析するための方法およびシステム - Google Patents

中赤外分光法を用いて組織品質を分析するための方法およびシステム Download PDF

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Abstract

細胞試料の品質状態(例えば固定状態)を評価する方法を提供する。試料のMIRスペクトル(220)を得て、そして分類(211)または定量化(231)アルゴリズムをMIRスペクトルに適用して、品質状態の指標となる特徴(221)を同定し、そして/または試料を分類する。品質状態を次いで、試料が分析法に適切であるかどうか、および/または是正プロセシング(例えばさらなる固定)が適切であるかどうかを決定するために用いてもよい。

Description

関連出願
本開示は、本明細書に援用される、2015年10月28日出願のUS仮特許出願第62/247,609号に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、組織試料の品質を評価するための中赤外(MIR)分光法の使用に関する。
組織試料に関する代表的な情報を得るため、組織学においては組織薄切片が用いられる。薄切片の品質は、試料の切除が行われた組織領域全体を適切に代表するように、多くの特性を満たさなければならない。指針は、組織タイプおよび用途にしたがって多様でありうるが、薄切片のサイズは、一般的に、2μmより小さくてはならない。典型的には、2〜5μmの間の範囲で組織切片を調製し、そして適切なさらなるプロセシングを可能にするため、薄切片の側面の度合いの50%を越えて厚さが多様であってはならない。組織切片品質に影響を及ぼすさらなる要因には、切片作製プロセス中に維持される、適切な試料水分および温度が含まれうる。
切片サイズおよび厚さなどのいくつかの特性は、直ちに認識可能であるが、他のものは、通常、プロセシングが始まった後、特に固定および染色後にしか同定されない。ひとたび固定されたら、何らかの損傷を逆転させるためにできることはほとんどなく、そして特定の試料を脱染色することは可能である一方、貴重な染色剤、例えば高価な抗体は回収不能である。したがって、さらなるプロセシング前に、組織薄切片を品質評価するための方法を提供することが有用であろう。
切除された組織試料が、ex vivoで、切除前(すなわちin vivo)の組織の生化学および形態の適切な代表を提供する場合、その特性は、固定として知られるプロセスにおいて、切除が行われた直後に保存されなければならない。固定の主な目的は、組織の微少構造を維持し、ペプチド、タンパク質、脂質、mRNA、およびDNAを含む、細胞構成要素の喪失を最小限にし、そして細胞膜などの巨大分子構造の破壊を防止することである[15]。固定は、酵素活性を停止し、そして自己分解を停止することによって、短期および長期の微少構造破壊を防止する。
組織試料を固定するための標準法の1つは、ホルムアルデヒド、すなわちホルマリンの水溶液での処理を介する。ホルマリンに基づく固定の保存機構は、メチレン架橋を通じたタンパク質のホルムアルデヒド誘導性架橋を生じることであると考えられる。しかし、ホルマリン固定の完全な機構は、完全には理解されておらず、そして多くの不確実性および不一致が存在する。例えば、依然としてある未解決問題の中に、ホルマリンが他の組織構成要素、例えば核酸にどのような影響を与えるのかということがある。
不確実性に対処するため、再現性があり、よく定義され、そして理想的な場合にはまた、時間を節約する方式で、固定を行う方法を記載する標準法が開発されていている(例えば[1]を参照されたい)。しかし、異なる実験室は、しばしば、異なる固定プロトコルにしたがう。さらに、特定のプロトコル内に当てはまる広い範囲のパラメータが存在する。例えば、HER2 IHC試験の背景における試料の分析前処理のための最近のASCO/CAP指針は、HER2試験における固定時間の役割に関する解決されていない論争(例えば[3〜5]を参照されたい)があるにもかかわらず、6時間〜72時間の間の固定時間を許している[2]。これらの問題にも関わらず、ホルマリン固定は、切除組織保存のための非常に一般的な選択であり続けている。
固定のための別の生化学的アプローチは、組織から遊離の水を除去し、そしてしたがって、タンパク質を沈殿させそして凝集させる剤の使用である。こうしたアプローチの1つの例は、エタノールなどの脱水剤(「アルコールのみの固定剤」)の使用を伴う。遊離の水を組織から除去し、そして置換すると、組織内のタンパク質に対していくつかの影響があり、そしてこれによって、タンパク質の三次構造が破壊されうる[15]。タンパク質の三次構造の破壊(すなわち変性)は、タンパク質の物理的特性を変化させ、主に、不溶性および機能喪失を引き起こす。大部分のタンパク質は、これらの有機環境中ではより不溶性になるが、ホルムアルデヒドに基づく固定では0%であるのに対して、エタノールのみの固定では最大8%のタンパク質が失われる。
アルコールのみの固定によるアーチファクトにより、またはホルマリン中の時間が不十分であることにより、過剰な組織収縮、よく明示されない細胞境界、ならびに劣った核および細胞質形態を生じうる[14、15]。これは、最小限の収縮を伴って、優れた核および細胞質形態を示し、そして明示された基質膜および細胞境界を明らかに示す、よく固定された組織を生じる、適切なホルマリン固定とは対照的である。アルコールのみの固定はまた、多様な組織化学的および免疫組織化学的試薬での個々の細胞要素の染色の度合いおよび特異性にも影響を及ぼしうる[13、16]。
組織試料の分析前プロセシングの変動もまた、組織学的標識および染色法に影響を及ぼす可能性があり、そしてしたがって、不確定な結果を導きうる。Piebaniら(Clin. Chem. 1997;42:1348−1351)の初期の研究は、組織病理学における全体のエラー率に対する分析前工程の高い寄与(68%)を強調した。例えば、HER2試験法の一致の欠如における固定の役割に関する進行中の議論があり、そして2007年に、「・・・現在のHER2試験のおよそ20%が不正確でありうる」と言及された(Arch Pathol Lab Med 2007, 131:18−43)。
臨床実験室的観点から、到着した試料をIHC前に品質チェックすることによって、分析前の不確実性に概念的に取り組む1つのオプションが提供されうる。しかし、こうした品質チェックは、好適には、いかなる試料薄切片も不変のままに、そして特に未染色のままにしておくであろう。したがって、組織病理学的薄切片の品質管理に向けた試薬を伴わない経路が探索されてきているが、現在まで、限定された成功しか収めていない。
近年、調節可能量子カスケードレーザーが利用可能になったことで、これがフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)の欠点のいくつか(例えば、獲得時間が長い、装置コストが高い、そして液体窒素冷却が必要である)を防ぐため、中赤外(MIR)分光に基づく組織病理学分野における顕著な進展が提供されている[6〜9]。続くMIR分光法に対するホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)法の影響に関して、いくつかの以前の研究がある。しかし、その結果は決定的ではなく(例えば[10]およびその参考文献を参照されたい)、そしてFFPE処理試料に対する全体の組織調製法を、未処理試料と比較する程度のみであった。二次タンパク質構造に対するホルムアルデヒド固定工程の結果を単独で考慮した場合、到達する結論は、「固定および未固定タンパク質のスペクトルは実質的に同一である」ことである[11]。実際、「天然組織中のタンパク質に対するホルムアルデヒド固定の二次構造効果を調べることが理想的であるが、事実上、これは不可能である」と述べられている。すべての組織は、多くの異なるタンパク質構成要素を含有するため、損なわれていない組織上の分光測定は、存在する「平均的な」タンパク質に関するデータしか提供しえない。異なるタンパク質は、異なる方式で固定に反応する可能性もあるが、生じるのは、変化しない「標準」である。精製したタンパク質を調べる際、著者らはまた、「固定および未固定タンパク質のスペクトルは実質的に同一である」と言及している[23]。
要旨
驚くべきことに、MIRスペクトルの改変は、実際に、細胞試料中で観察可能であり、そして細胞試料の品質状態を評価するために、これらの改変を用いることも可能である。
本開示は、(a)細胞試料の中赤外分光(MIR)スペクトル(試験スペクトル)において、品質シグネチャーを同定し;そして(b)分類および/または定量化アルゴリズムを試験スペクトル中の品質シグネチャーに適用して、細胞試料の品質状態を決定することによって、細胞試料の品質状態を評価することに関する。
例えば、固定細胞試料の固定品質を決定する方法であって:
(a)固定組織試料の中赤外分光(MIR)スペクトル(試験スペクトル)において、固定シグネチャーを同定し;そして
(b)試験スペクトル中の固定シグネチャーを、固定組織試料の固定状態に相関させる
工程を含む、前記方法を提供する。
例示的な固定シグネチャーには:(1)二次微分スペクトルにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の位のピーク;(2)主成分スペクトルにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の位のピーク;(3)赤外スペクトルおよび/またはその微分における1またはそれより多いピーク振幅;(4)800cm−1〜1750cm−1の範囲あるいはこの領域の単数または複数の一部の多変数シグネチャー、およびその組み合わせが含まれる。いくつかの例において、細胞試料は組織試料、例えば架橋固定剤で固定された組織試料である。特定の態様において、架橋固定剤はアルデヒド、例えばホルマリン溶液である。
いくつかの態様において、試験スペクトル中の固定シグネチャーと、少なくとも1つの参照MIRスペクトル(参照スペクトル)中の対応する固定シグネチャーの間に、相違が存在するかどうかを決定することによって、試験スペクトル中の固定シグネチャーを固定組織試料の固定状態に相関させる。参照スペクトルの例には、必ずしも限定されるわけではないが、許容可能に固定された組織試料、過少固定組織試料、および/または過剰固定組織試料と相関するスペクトルが含まれる。例えば、試験スペクトルを、許容可能に固定された組織試料と相関する参照スペクトルに比較する場合、スペクトルシグネチャー、例えば二次微分スペクトルまたは主成分スペクトルのいずれかにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の振幅および/またはピーク位における顕著な変化は、シフトの方向に応じて、過少固定または過剰固定のいずれかに相関する。例えば、より高い波数に向かうシフト(二次微分スペクトルにおけるもの)および/または振幅減少(二次微分スペクトルまたは主成分分析におけるもの)は、参照スペクトルに比較した固定の増加の指標である可能性があり、一方、反対のシフトは、参照スペクトルに比較した固定の減少の指標である可能性もある。主成分分析を用いる場合、第一の主成分(PC1)(全体の分散の最大分画を所持する)を単独で、またはさらなる主成分と一緒に用いてもよい。さらなる単変数または多変数分析、あるいは分析の組み合わせスキームを用いてもよい。この情報を次いで、組織試料に対するその後の分析を実行するかどうか、あるいは是正組織プロセス(例えばさらなる固定)を実行するかどうかを決定するために用いてもよい。したがって、分子または組織診断試験は、診断可能な結果を生じる可能性が最も高い試験試料のために確保され、高価な診断試薬に関する費用を節約し、完全にプロセシングされる診断不能な試料の数を減少させることによって時間を節約し、そして固定プロセスの品質を判定可能である標準を提供することによって、結果の一貫性を改善することも可能である。
分析結果はまた、例えば赤外画像化法から知られる固定における局所変動に関する染色から得られる画像を調節することによって、不完全な固定に関して補償するためにも使用可能である。
出願ファイルは、少なくとも1つの着色された図を含有する。カラー図を含む、本特許または特許出願のコピーは、要請し、そして必要な料金を支払えば、特許局より提供されるであろう。
図1は、本分析法を実行するための例示的なシステムを示す。矢印は、システムの構成要素間のデータフローを例示する。点線の矢印は、代替経路を示す。 図2は、試験スペクトルを分析する際に関与するワークフローを例示するフローチャートである。曲線の角を持つ長方形は物理デバイス(またはその構成要素)である。ひし形は、ハードウェアによって実装されるソフトウェアモジュールである。楕円は、システムに入力され、そしてシステムから出力されるデータパケットである。角のある長方形は、入力データから生成され、そして出力データを生成するために用いられる中間データである。矢印はデータフローを示す。曲線はコンピューティング工程を示す。 図3は、組織が0(1625cm−1周辺の吸光度の最高の二次微分値)、4(同じ波数で中間)、および24(同じ波数で最低)時間固定されている、組織薄切片に渡って平均された、アミドIおよびIIバンドにおける二次微分スペクトルを示す。実線は平均スペクトルを示し、そして影の領域は標準偏差を示す。示した実験において、4時間および24時間の平均スペクトルは、ほぼ同一であり、そして「中間」および「最低」スペクトルはほぼ区別不能である。しかし、これらのスペクトルが0時間平均スペクトルとは非常に異なることに注目することが重要である。 図4は、未染色組織薄切片の可視光透過型顕微鏡画像を重層した、1615cm−1〜1640cm−1領域の組織切片に渡るスペクトル変化を示す顕微鏡写真であって、固定期間を0時間(最上部)から4時間(中央部)、さらに24時間(下部)に変化させた、前記顕微鏡写真である。 図5Aは、第一主成分分析の結果を示し、そして最大ピクセル間変動が1625cm−1周辺であることを示すグラフである。図5Bは、組織薄切片の全体の平均内で、PC1が単独で、固定(#:24時間、:4時間)および未固定(+)試料の間の明確な区別を提供するが、PC2もまた、固定の度合いを区別する際に有用であることを示すグラフである。 図6Aは、未固定組織に関する主成分#1(PC1)の相対振幅を示す顕微鏡写真である。図6Bは、4時間固定した組織に関する主成分#1(PC1)の相対振幅を示す顕微鏡写真である。図6Cは、24時間固定した組織に関する主成分#1(PC1)の相対振幅を示す顕微鏡写真である。 図7は、QCLに基づく顕微鏡で測定した際のクラスター中心スペクトルを示す。 図8Aは、未固定試料に関する1050〜1080cm−1の間の範囲の平均傾斜の画像である。図8Bは、固定試料に関する1050〜1080cm−1の間の範囲の平均傾斜の画像である。 図9Aは、組織を不適切に固定することが知られる条件下で、ホルマリン中で固定されたMCF7異種移植片の組織試料の主成分分析由来の第一主成分を例示する。図9Bは、組織を不適切に固定することが知られる条件下で、ホルマリン中で固定されたMCF7異種移植片のH&E染色画像である。
本発明の方法およびシステムは、試料の品質状態を決定するための細胞試料の中赤外(MIR)スペクトルの評価に頼る。試験しようとする試料に関して、MIRスペクトルを得る。このスペクトルを、直接、あるいは分類または定量化アルゴリズムを用いて、既知の品質状態を有するMIRスペクトルに比較する。試料の品質が変化するにつれて予測可能に変化するスペクトルの部分間の相違を比較し、そしてこれらの相違を分析して、試料の品質状態と相関させることが可能なスコアを計算する。
I. 略語および定義
本開示の多様な例のレビューを容易にするため、略語および特定の用語の以下の説明を提供する:
H&E:ヘマトキシリンおよびエオジン染色。
FFPE:ホルマリン固定パラフィン包埋
IHC:免疫組織化学。
ISH:in situハイブリダイゼーション。
NBF:中性緩衝ホルマリン溶液。
IR:赤外
MIR:中赤外
FT−IR:フーリエ変換赤外
QCL:量子カスケードレーザー
本明細書において、用語「細胞試料」は、損なわれていない(intact)細胞を含有する任意の試料、例えば細胞培養物、体液試料、あるいは病理学的、組織学的、または細胞学的解釈のために採取された外科標本を指す。例えば、試料は、限定されるわけではないが、血液、骨髄、唾液、痰、喉洗浄液、涙、尿、精液、および膣分泌物、あるいは外科標本、例えば腫瘍もしくは組織生検もしくは切除物、または細胞学的検査のために除去された組織を含む、体液試料であってもよい。
本明細書において、用語「組織試料」は、試料を得た被験体内で存在していたような細胞間の横断面空間的関係を保存する、細胞試料を指すものとする。「組織試料」は、初代組織試料(すなわち被験体によって産生された細胞および組織)および異種移植片(すなわち被験体内に移植された外来細胞試料)の両方を含むものとする。
本明細書において、用語「細胞学的試料」は、試料がもはや、細胞試料を得た被験体中で存在していたような細胞の空間的関係を反映しないように、試料の細胞が部分的にまたは完全に脱凝集している細胞試料を指す。細胞学的試料の例には、組織擦過(例えば子宮頸部擦過)、細針吸引物、被験体の洗浄によって得られる試料などが含まれる。
本明細書において、「品質状態」は、細胞試料が、細胞試料を特定の最終使用に適したものにする特性を所持する度合いを指す。品質状態の例には:固定状態、例えば固定の度合いおよび/または均一性;試料サイズ;組織完全性、例えば破壊された細胞または壊死の度合い;形態学的完全性、例えば細胞形状が変化するような、引き裂かれたまたは引き延ばされた組織の存在または非存在;例えば許容しえないほど改変されたpHまたは塩濃度を示しうる、細胞の平均サイズ;凍結保存試料の融解度などが含まれる。このリストは包括的ではなく、そして潜在的な適用の多くの他の例が当業者には直ちに明らかでありうる。
本明細書において、用語「試験試料」は、品質状態を決定しようとする試料を指す。
本明細書において、用語「参照試料」は、試験試料を比較しようとする試料を指す。
本明細書において、「品質シグネチャー」は、試料の品質特性の指標となる細胞試料の1またはそれより多い特徴の変化とともに予測可能に変化する、スペクトル内の、または数学的手段によってスペクトルから得られる、特定の特徴である。細胞試料の品質特性の例は、固定状態である。この背景において、「固定シグネチャー」は、固定状態の変化とともに予測可能に変化する、スペクトル内の、または数学的手段によってスペクトルから得られる、特定の特徴である。固定シグネチャーは、ピーク振幅および/またはピーク位における1またはそれより多い変化、スペクトルの傾斜(一次微分)またはスペクトルの曲率(二次微分)の1またはそれより多い変化であることも可能である。スペクトルから得られるスペクトル特徴の例は、ピーク比、スペクトル値の合計(例えば特定のスペクトル範囲に渡る積分)、主成分、ローディング、スコア、クラスターメンバーシップ、フィッシャーの基準、ジーニの重要性、コルモゴロフ・スミルノフ試験、短時間フーリエ変換(STFT)、ウェーブレット変換などによって選択されるスペクトルの特別な領域である。
本明細書において、用語「信頼閾値」は、所定の品質状態を有する試料から所定の品質シグネチャーが得られる、最小限に許容されうる可能性を指す。
本明細書において、用語「スペクトル」は、電磁放射の特定の波長または波数「で」、またはその範囲内で得られる情報(吸収、透過、反射)を指す。波数範囲は、4000cm−1程度の広さまたは0.01cm−1程度の狭さであってもよい。いわゆる「単一レーザー波長」での測定は、典型的には、小さいスペクトル範囲(例えばレーザー線幅)を含み、そしてしたがって、用語「スペクトル」が本文書全体で用いられる場合はいつでも含まれるであろう。量子カスケードレーザーの固定波長セッティングでの透過測定は、例えば、本明細書において、本出願全体の用語、スペクトル内に属するものとする。
本明細書において、用語「固定」は、細胞試料の分子的および/または形態学的詳細が保存されるプロセスを指す。一般的に、固定プロセスには3つの種類:(1)熱固定、(2)灌流;および(3)浸漬がある。熱固定では、試料を熱殺し、そしてスライドに付着させるのに十分な期間、試料を熱源に曝露する。灌流は、血管系を使用して、全臓器または全生物全体に、化学的固定剤を分布させることを伴う。浸漬は、試料をある体積の化学的固定剤中に浸漬し、そして固定剤が試料全体に拡散することを可能にすることを伴う。化学的固定は、細胞試料全体に化学薬品を拡散させるかまたは灌流することを伴い、ここで、固定試薬は、構造を(化学的または構造的にの両方で)可能な限り生存細胞試料のものに近く保存する反応を引き起こす。化学固定剤は、作用様式に基づいて、2つの広いクラス:架橋固定剤および非架橋固定剤に分類されうる。架橋固定剤、典型的にはアルデヒドは、組織試料中に存在する内因性生物学的分子、例えばタンパク質および核酸の間に共有化学結合を形成する。ホルムアルデヒドは、組織学において最も一般的に用いられる架橋固定剤である。ホルムアルデヒドは、固定のため、多様な濃度で使用可能であるが、主に、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)として用いられ、これは、水性リン酸緩衝生理食塩水溶液中、約3.7%ホルムアルデヒドである。パラホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドの重合型であり、加熱されると脱重合してホルマリンを提供する。グルタルアルデヒドは、ホルムアルデヒドと類似の方式で作用するが、より緩慢な速度で膜を渡って拡散する、より大きな分子である。グルタルアルデヒド固定は、より堅固または緊密に連結された固定産物を提供し、迅速でそして不可逆的な変化を引き起こし、4℃で迅速にそしてよく固定し、優れた全体の細胞質および核詳細を提供するが、免疫組織化学染色には理想的ではない。いくつかの固定プロトコルは、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの組み合わせを使用する。グリオキサールおよびアクロレインは、より一般的でなく用いられるアルデヒドである。変性固定剤、典型的にはアルコールまたはアセトンは、細胞試料中の水を置換することによって作用し、タンパク質内の疎水性および水素結合を脱安定化する。これは、そうでなければ水溶性のタンパク質を水不溶性にし、そして沈殿させ、これは大部分不可逆的である。
本明細書において、「固定状態」は、固定プロセスまたはその構成要素が進行することを可能にされている度合いを指す。例えば、「固定状態」は、固定反応の完全性を指すことも可能である。この場合、架橋固定剤に関しては、「固定状態」は、試料内で進行することを可能にされている架橋の度合いを指す。同様に、この場合、変性固定剤に関しては、「固定状態」は、少なくとも1つの参照試料に比較して、試料内のタンパク質が変性している度合いを指す。別の例において、「固定状態」は、固定剤が、組織試料内に浸透する(例えば拡散または灌流によって)ことを可能にされている度合いおよび/または均一性を指す可能性もある。
本明細書において、用語「許容可能であるように固定された組織試料」は、十分な分子的および/または形態学的詳細が保存されており、トレーニングされた病理学者による病理学的状態の組織学的または組織化学的診断が可能になっている、固定組織試料を指す。形態学的保存が、診断可能性に重要である、1つの例において、許容可能に固定された組織試料は、トレーニングされた病理学者が組織試料を診断可能であると見なすであろう、十分な形態学的詳細が保存されている(H&E染色によって決定した際)、固定組織試料である。特定の分析物の組織化学分析が、診断可能性に重要である例では(例えば特定のタンパク質または核酸配列の存在または非存在)、許容可能に固定された組織試料は、分析物が検出可能である、固定組織機構である。
本明細書において、用語「過少固定」は、不十分な固定が起こっている試料を指す。過少固定の一例は、固定剤が組織試料全体に適切に拡散を可能にされていない場合に起こる。こうした場合、組織試料の外側部分は適切に保存されうるが、組織試料の内部部分の形態学的および/または分子的詳細は時間とともに失われうる。結果は、組織内の不均一な染色パターンである可能性もあり、この場合、組織試料の外部部分は、検出されているマーカーまたは分析物に関して、組織試料の内部部分よりも、より強く染色される。別の例において、固定反応は、組織試料の分子的および/または形態学的詳細を完全に保存するために十分な期間、進行することを許されない可能性もある。
本明細書において、用語「過剰固定」は、固定プロセスが、試料の形態学的および/または分子的詳細を不明確にするかまたは不適切に改変した組織試料を指す。過剰固定の一例は、ターゲットに結合不能となった抗体を伴う。
II. 品質シグネチャーの同定および分析のためのシステム
本分析法を実行するための例示的なシステムを図1に例示する。
A. スペクトル分析システム
プロセッサにカップリングされたメモリを含むスペクトル分析システム100であって、メモリが、プロセッサによって実行された際に、プロセッサに操作を実行させる、コンピュータ実行可能命令を記憶するためのものである、前記システムが含まれる。用語「プロセッサ」は、例えば、プログラム可能マイクロプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、あるいは前述のものの多数のものまたは組み合わせを含む、データをプロセシングするためのすべての種類の装置、デバイス、および機械を含む。装置には、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)が含まれてもよい。装置にはまた、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、操作システム、クロス・プラットホーム・ランタイム環境、バーチャルマシン、あるいはこれらの1またはそれより多くの組み合わせを構成するコードが含まれてもよい。装置および実行環境は、多様な異なるコンピューティングモデルインフラ、例えばウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングインフラを実現可能である。
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む、任意の型のプログラミング言語で書かれていてもよく、そして独立型プログラムとして、あるいはモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境で使用するために適した他の単位としてを含む任意の型で展開可能である。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に(例えばマークアップ言語文書中に記憶された1またはそれより多いスクリプト)、問題のプログラムに特化した単一ファイルに、あるいは多数のコーディネートされたファイル(例えば1またはそれより多いモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に、記憶されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つの場所に位置するかまたは多数の場所に渡って分布し、そしてコミュニケーションネットワークによって相互連結される多数のコンピュータ上で実行されるように展開可能である。
本明細書に記載するプロセスおよび論理の流れは、1またはそれより多いコンピュータプログラムを実行して、入力データを操作し、そして出力を生じることによって動作を実行する、1またはそれより多いプログラム可能プロセッサによって実行可能である。プロセスおよび論理の流れはまた、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行されてもよく、そして装置もまた、こうした回路として実装されてもよい。
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用および専用マイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1またはそれより多いプロセッサの両方が含まれる。一般的に、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令にしたがって動作を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1またはそれより多いメモリデバイスである。一般的に、コンピュータは、データを受け取り、またはデータを送るため、データを記憶するための1またはそれより多い大量記憶デバイス、例えば磁気、磁気光学ディスク、または光学ディスクもまた含むか、あるいはこうしたデバイスに操作可能であるようにカップリングされている。しかし、コンピュータはこうしたデバイスを持っている必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えばいくつかのみを挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレイヤー、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)レシーバー、またはポータブルストレージデバイス(例えばユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)中に埋め込まれていてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために適したデバイスには、すべての型の不揮発性メモリ、メディアおよびメモリデバイスが含まれ、これには、例えば、半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスクまたは取り外し可能ディスク;磁気光学ディスク;ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補充されてもよいし、またはこれらに取り込まれてもよい。
ユーザーとの相互作用を提供するため、本明細書に記載する主題の態様は、場合によって、ユーザーに情報を示すためのディスプレイデバイス、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、ならびにユーザーがコンピュータに入力を提供可能である、キーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスまたはトラックボールを有するコンピュータ上に実装されていてもよい。いくつかの実装において、タッチスクリーンを用いて、情報を示し、そしてユーザーからの入力を受け取ることも可能である。他の種類のデバイスを用いて、ユーザーとの相互作用を提供することもまた可能であり;例えばユーザーに提供されるフィードバックは、任意の型の感覚的フィードバック、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであってもよく;そしてユーザーからの入力は、音響、スピーチ、または接触入力を含む、任意の型で受け取り可能である。さらに、コンピュータは、ユーザーによって用いられるデバイスに文書を送り、そしてそこから文書を受け取ることによって;例えばウェブブラウザから受け取った要請に応えて、ユーザーのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送ることによって、ユーザーと相互作用することも可能である。
本明細書記載の主題の態様は、例えばデータサーバーとして、バックエンド構成要素を含むか、あるいはミドルウェア構成要素、例えばアプリケーションサーバーを含むか、あるいはフロントエンド構成要素、例えば本明細書に記載する主題の実装とユーザーが相互作用可能であるグラフィカルユーザーインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ、あるいは1またはそれより多いこうしたバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムにおいて実装可能である。システムの構成要素は、任意の型または媒体のデジタルデータコミュニケーション、例えばコミュニケーションネットワークによって相互連結されていてもよい。コミュニケーションネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えばインターネット)、およびピアツーピアネットワーク(例えばアドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。
スペクトル分析システムには、場合によって、任意の数のクライアントおよびサーバーが含まれてもよい。クライアントおよびサーバーは、一般的に、互いに遠隔であり、そして典型的にはコミュニケーションネットワークを通じて相互作用する。クライアントおよびサーバーの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、そして互いにクライアント−サーバー関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの態様において、サーバーはデータ(例えばHTMLページ)をクライアントデバイスに送る(例えばクライアントデバイスと相互作用するユーザーにデータを示し、そしてユーザー入力を受け取る目的のため)。クライアントデバイスで生じるデータ(例えばユーザー相互作用の結果)は、サーバーで、クライアントデバイスから受け取り可能である。
B.スペクトル獲得(SA)デバイス
スペクトル獲得(SA)デバイス101がシステムに含まれていてもよく、これは細胞試料のMIRスペクトル(またはその一部)を得るために設定される。次いで、獲得デバイス101は、非一時的コンピュータ読み取り可能記憶デバイス102にスペクトルデータを通信して111a、獲得したMIRスペクトルに対応するデータを記憶することも可能である。記憶デバイス102は、獲得デバイス101と一体となっていてもよいし、あるいは例えばスペクトル分析システム100の一体化部分または独立型デバイス(例えば外部ハードドライブ、サーバー、データベース等)であることによって、獲得デバイス101に対して外部であってもよい。記憶デバイスは、好ましくは、データをスペクトル分析デバイス100に送信するように設定されている。さらにまたはあるいは、獲得デバイス101は、分析のため、プロセッサに直接、獲得スペクトルに対応するデータを通信してもよい111b。ネットワークまたは直接連結は、スペクトル分析デバイス100および/またはSAデバイス101および/または記憶媒体102を相互連結してもよい。
細胞試料のMIR分析に有用なデバイスは、当該技術分野においてよく確立されており、そして一般の当業者によってよく理解されるであろう。試料に関して、代表的なMIRスペクトルを生成するために適した任意の方法が使用可能である。フーリエ変換赤外分光およびその生物医学的適用は、例えば、P. Lasch, J. Kneipp(監修) Biomedical Vibrational Spectroscopy” 2008(John Wiley&Sons)に論じられる。しかし、より最近、調節可能量子カスケードレーザーにより、その高いスペクトルパワー密度によって、生物医学的標本の迅速な分光および顕微鏡観察が可能になってきている(N. Kroegerら, Biomedical Vibrational Spectroscopy VI: Advances in Research and Industry中, A. Mahadevan−Jansen, W. Petrich監修, Proc. of SPIE Vol. 8939, 89390Z; N. Kroegerら,J. Biomed. Opt. 19(2014)111607; N. Kroeger−Luiら, Analyst 140(2015)2086)。これらの刊行物各々の内容は、その全体が本明細書に援用される。この研究は、調査がはるかにより迅速である(例えば18時間の代わりに5分間)ような適用可能性に向けた大きなブレークスルー(前述の赤外顕微鏡セットアップに比較して)を構成し、液体窒素冷却を必要とせず、そして実質的により低いコストで、画像あたりに、より多くのピクセルを提供する。未染色組織の品質評価の背景において、QCLに基づく顕微鏡の1つの特定の利点は、例えば640x480ピクセルを含むマイクロボロメーターアレイ検出装置によって可能になる、より広い視野(FT−IR画像化に比較して)である。
広い波長範囲、1またはそれより多い狭い波長範囲に渡って、またはさらに単に1つの波長で、あるいはその組み合わせで、スペクトルを得ることも可能である。スペクトル範囲を狭めると、通常、特に量子カスケードレーザーを用いた際は、獲得スピードに関して好適である。1つの特定の態様において、単一の調節可能レーザーを次々に、それぞれの波長に調節する。あるいは、特定の周波数での測定に必要であるいずれかのレーザーをスイッチオンおよびオフすることによって、波長選択が行われるように、固定した周波数の調節不能レーザーセットを用いてもよい。1つの側面において、品質シグネチャーが見いだされる波長範囲を少なくとも含むように、用いる単数または複数のレーザーの単数または複数の特定の波長を選択すべきである。
例えば透過または反射測定を用いて、スペクトルを獲得してもよい。透過測定のため、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、シリコン、薄いポリマーフィルム、またはセレン化亜鉛が支持体として通常用いられる。反射測定のため、金または銀プレート支持体ならびに標準的な顕微鏡ガラススライド、またはMIR反射コーティング(例えば多層誘電コーティングまたは薄銀コーティング)でコーティングされたガラススライドが一般的である。さらに、ナノアンテナのような構造化された表面などの、表面増進(例えばSEIRS)を用いるための手段を実装してもよい。
C.出力デバイス
スペクトル分析システム100から分類結果を得て、そして次いで少なくとも部分的に分類結果に基づいた機能を実行するように設定された、出力デバイス103が、システムに含まれてもよい。例えば、出力デバイスは、分類結果を示すためのデバイス、例えばディスプレイデバイス(例えばLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ)、プリンター等であってもよい。別の例として、出力デバイスは、続く分析のため、細胞試料をプロセシングするための自動化ワークフローの一部であってもよく、その場合、分類結果を用いて、試料が自動化プロセシング経路に沿って進行可能であるかどうか、またはどのプロセシング経路に沿って試料がプロセシング可能であるかを決定することも可能である。例えば、本発明の方法および分析が、染色用のFFPE組織試料を準備するための自動化組織プロセシングワークフローの一部である状況を想定可能である。脱ワックス前または後に、FFPE試料に対して、スペクトル分析を実行して、試料が適切に固定されているかどうかを決定することも可能であり、そして適切に固定されていない場合、試料を是正組織プロセシングに戻すか、またはさらなる分析から組織試料を拒絶するか、いずれかとなるように、自動化プロセスが実装されている。この方式で、価値ある(そして潜在的に高価である)資源を、有用な情報を提供する可能性が最も高い試料のために確保することも可能である。別の例として、出力デバイスは、分類結果を記憶するための、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であってもよい。
D.システムワークフロー
操作において、獲得された試験スペクトルと関連するデータを、SAデバイス101からスペクトル分析システム100に111b、または記憶媒体102に111c通信する。スペクトル分析システム100は次いで、データを評価して、試験スペクトル内の品質シグネチャーを同定し、そしてこの分析に基づいて、試験スペクトルを分類する。このプロセスを図2に例示する。試験スペクトル220に関連するデータは、スペクトル分析システム内への入力である。スペクトル分析システム200のプロセッサは、次いで、評価しようとしている品質シグネチャーに相当する試験スペクトルの特徴を抽出する230、特徴抽出(FE)モジュール210を実行する。スペクトル分析システム200(FEモジュールを実行するプロセッサと同じプロセッサでもまたは異なるプロセッサでもよい)は、次いで、試験スペクトル220から抽出された特徴に対して分類子モジュール211を実行する。分類子モジュール211は、抽出された特徴221に、分類(教師つきでもまたは教師なしでもよい)および/または定量化アルゴリズムを適用して231、その出力は、試験スペクトルが特定の品質状態の指標となる可能性である。次いで、分類結果を出力デバイス203に出力する。
1つの態様において、分類子は、教師なし分類アルゴリズムを用いる。教師なし分類(例えばクラスター分析、主成分分析、k−最近傍等)の概念は、試料の品質に関するいかなる推測的な情報も伴わずに、スペクトルの間で、主要な相違に関して単純な方式で検索することによって、実行される。こうした例において、アルゴリズムをまず、複数のスペクトル上でトレーニングして、類似の特徴を有する複数のクラスタースペクトルを生成する。次いで、各クラスターを評価して、どのクラスターが特定の品質状態と相関するかを決定する。トレーニングされたアルゴリズムを次いで、試験スペクトルに適用し、そしてアルゴリズムは、試験スペクトルをクラスターの1つに割り当てる。
別の態様において、分類子は、教師つきアルゴリズムを用いる。教師つき分類アルゴリズムにおいて、各トレーニングスペクトルに関する情報およびそれぞれの試料品質特性を、システムに入力し、そしてアルゴリズムは、どの測定値がクラスメンバーシップと相関するかを「学習する」。(例えば人工神経ネットワーク、サポートベクターマシーン、判別分析等)。このトレーニング後、トレーニングされたアルゴリズムを試験スペクトルに適用し、そして試験スペクトルは、トレーニングプロセス中に同定された測定値に基づいて分類される。
別の態様において、分類子は、定量化アルゴリズムを用いる。教師つきおよび教師なし分類アルゴリズム(本質的にビンの限定された数の1つへの分類を目的とする)とは対照的に、定量化アルゴリズムは、しばしば、回帰分析によって、スペクトルを連続数値に相関させることを目的とする。1つの態様において、定量化アルゴリズムは主成分回帰である。別の態様において、定量化アルゴリズムは部分最小二乗回帰である。
E.トレーニングデータベース
トレーニングされた分類アルゴリズムを試験スペクトルに適用する特定の態様において、トレーニングデータベース104が含まれてもよい。トレーニングデータベース104には、類似の細胞試料の特定の品質状態に基づいて注釈をつけられる複数のスペクトルシグネチャー(トレーニングスペクトル)が含まれる。スペクトル分析システム100は、トレーニングされる分類子をトレーニングする際に、トレーニングデータベース104にアクセスする。既知の品質状態と関連付けられるトレーニングスペクトルを評価することによって、分類アルゴリズムをトレーニングして、特定の品質状態にあるメンバーシップを表すスペクトル内の特定の特徴を同定することも可能である。トレーニング分類アルゴリズムを1度トレーニングすることも可能であり、この場合、トレーニングデータベース104は、スペクトル分析システムによって持続的にアクセス可能である必要はない。あるいは、トレーニングデータベースを連続してアップデートしてもよく、したがって、トレーニング分類子は、さらなるトレーニングスペクトルが利用可能になるにつれて、連続的に洗練されることも可能である。この場合、トレーニングデータベースは、持続的にシステムに連結されていてもよいし、またはシステムにオープンアクセスを有してもよい。ネットワークまたは直接連結が、トレーニングデータベース104およびスペクトル分析デバイス100を相互連結してもよい。レーザー周波数が固定された単純な場合、トレーニングは、所定の波長での試料の「劣った品質」に対して、透過振幅範囲を「優れた品質」とする程度の単純なものでありうる。
III.固定分析
本発明のシステムおよび方法を用いてアッセイするために有用であろう品質状態の1つの例示的な態様は、固定状態である。試料を分析して、固定状態を決定する前に、固定シグネチャーを同定しなければならない。これは、固定の多様な状態での1より多い試料のMIRスペクトルを生成することによって達成される。次いで、スペクトルを例えば、二次微分スペクトルまたは主成分振幅における特定の波長でのピークにおいて、異なる試料間での変動に関して評価してもよい。
A.試料
候補固定シグネチャーを同定するため、望ましい固定状態および単数または複数の望ましくない固定状態の両方の代表的なサンプリングを提供する、多様な異なる固定試料を生成しなければならない。各々の場合で、正確な固定状態は、分析物または分析中の試料の特徴に応じるであろう。
いくつかの場合、標準固定プロセスがすでに同定されてきている。例えば、受容体チロシンプロテインキナーゼerbB−2(HER2)、エストロゲン受容体(ER)、およびプロゲステロン受容体(PR)発現を免疫組織化学的にまたはin situハイブリダイゼーションを通じて試験しようとする乳房組織に関しては、米国臨床腫瘍学会および米国腫瘍学者協会は、室温、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中、6時間〜48時間の間試料を固定するよう示唆している。こうした場合、標準固定プロセスにしたがったかどうかを知ることが有用であろう。したがって、固定プロセスの非常に重要な変数(例えば時間、温度、試薬濃度等)を、標準固定プロセスに収まる時点および/または条件、そして標準固定プロセスの外に属する時点および/または条件を含むよう、変動させることも可能である。次いで、異なる固定時間および/または条件間で予測可能な方式で異なるMIRスペクトルの構成要素を、候補固定シグネチャーとして選択する。
他の場合、固定プロセスが、適切な時間、進行を許されているかどうかを決定することが有用でありうる。反応が十分な度合いまで進行することを許されていない場合、試料は過少固定される可能性があり、これは、試料内のターゲット分析物の分解、形態の喪失、および特異的免疫反応性の減少を導きうる。一方で、反応が余りにも長く進行を許される場合、試料は過剰固定される可能性があり、これは、ターゲットタンパク質のマスキング、核酸の喪失、および/または抗体の強い非特異的バックグラウンド結合を導きうる。この場合、時間経過は、許容可能に固定された試料、ならびに過少固定試料および/または過剰固定試料の少なくとも1つを生じる時点を含む設定であってもよい。次いで、異なる固定状態間で予測可能な方式で異なるMIRスペクトルの構成要素を、候補固定シグネチャーとして選択する。
他の場合、固定剤が試料内に適切に拡散可能となっているかどうかを決定することが有用でありうる。架橋固定剤の場合、不適切な拡散はしばしば、固定プロセスの初期段階中に、固定剤の温度があまりにも高く上昇することを可能にすることによって引き起こされる。過剰な架橋が試料の外側の領域で起こり、これによって固定剤が試料内にさらに拡散することが妨げられる。結果はしばしば、勾配染色であり、この際、分子的または形態学的詳細が、外側の縁では保存されるが、内部では失われ、診断ミスにつながりうる。この場合、US 2012−0329088 A1(本明細書に援用される)に記載されるプロセスによって、固定剤の拡散を積極的に監視しながら、試料を固定することも可能である。多様な時点で拡散を停止してもよい(例えば多様な時点で固定剤から試料を除去し、そして/または温度を増加させて固定を誘導することによって)。次いで、試料の少なくとも内部部分から、MIRスペクトルを得る。次いで、異なる拡散状態間で、予測可能な方式で多様であるMIRスペクトルの構成要素を、候補固定シグネチャーとして選択する。場合によって、さらに、試料の縁領域から、MIRスペクトルを得てもよい。縁領域および内部部分のMIRスペクトル間の比較もまた、候補固定シグネチャーを明らかにするかまたは候補固定シグネチャーを確認するために有用でありうる。
パラフィン包埋試料の場合、脱ワックス前または後に、あるいは低温凍結試料の場合、凍結または融解試料から、MIRスペクトルを得てもよい。
B. 固定状態と固定シグネチャーの相関
候補固定シグネチャーが同定されたら、固定シグネチャーの変動を、試料の特定の固定状態と相関させる。一般的な意味で、関係は、試料が固定状態の特定のカテゴリー内に当てはまる可能性を計算し、そして/または固定度に関する数値を計算する工程を伴う。
1つの態様において、相関は、1またはそれより多い参照スペクトルに基づいて、実行可能である。例えば、参照スペクトルとして単一固定状態と相関する高い可能性を有するスペクトルの特定の統計を選択することも可能である。次いで、さらに分析したスペクトルを固定シグネチャーにおける偏差に関して、参照スペクトルに比較し、そしてこの偏差を、分析試料が参照スペクトルの固定状態にどの程度適合するかに、相関させてもよい。プロセスは、信頼閾値が定義可能となるまで、異なる試料で続けられ、ここで、信頼閾値よりも、参照スペクトルの固定シグネチャーにより近く属する固定シグネチャーを有する試料は、参照スペクトルを有する試料と同じ固定状態を有すると見なされ、そして逆もまた当てはまる。
スペクトルシグネチャーを同定し、そして用いる、多くの方法がある。方法は、単変数または多変数であってもよい。通常、アプローチは教師つきおよび教師なし法に分類される。アプローチの一般性を限定することなく、方法には、クラスター分析、主成分分析、主成分回帰または部分最小二乗回帰のような回帰法、線形または二次判別分析、人工神経ネットワーク、サポートベクターマシーン等が含まれる。固定レーザー周波数の場合、評価法は、最も頻繁には単変数法であろう。スペクトルシグネチャーの例は、この場合、その所定のレーザー周波数での透過振幅でありうる。2つの固定レーザー周波数の場合、単純な多変数手段は、これらの2つのレーザー周波数での反射および/または透過振幅の組み合わせ、ならびに合計、相違、比、その積、または例えば相違および比の組み合わせでありうる。この場合、1つの頻繁な例は、2つのピーク振幅間の相違を計算し、そしてこの相違を2つの振幅の合計で割り、こうして「相対相違」を得ることである。
1またはそれより多い固定レーザー周波数データ点に関して、またはスキャンスペクトルに関して、定量化アルゴリズムには、例えば、粒子最小二乗回帰(particle least square regression)または主成分回帰が含まれる。一般性を限定することなく、定量化アルゴリズムは、例えば、0%〜100%のスケールで、固定の状態を定量化することを目的とすることも可能である。
分類または定量化アルゴリズムが、特定の組織タイプおよび/または試料獲得およびプロセシング前モードに特異的であるように選択可能であることが注目される。例えば、「十分に固定された」および「不十分に固定された」試料の間を区別するための分類アルゴリズムを、パラフィン包埋乳房組織試料に関して生成してもよいし、そして同じ目的の別の分類子を凍結肝臓組織試料に関して生成してもよい。
一般的な設定において、これらの分類子を組み合わせ、そして/または順序付けてもよい。1つの態様において、決定ツリーは、例えば、同じ品質基準(例えば固定の度合い)に関して、異なる分類スキームを組み合わせる例を構成しうる。別の態様において、試料に関するさらなる情報を、分類および/または数え上げ法において考慮してもよい。例えば、バーコードを同じ試料スライド上で測定する場合、組織タイプに関するデータをデータベースからアルゴリズムに提供し、そしてアルゴリズムに入力してもよい。
望ましい場合、各試料に関する候補固定シグナルを評価し、そして次いで、分析中の分析物または試料特徴に関して試料を試験することによって、固定状態が未知である試料セットに関して、相関を検証してもよい。候補固定シグナルが有効である場合、候補固定シグナルに基づいて、分析物または試料特徴分析(およびしたがって固定状態)の品質を予測することが可能であるはずである。
C.試験スペクトルの分析
適切な固定シグネチャーが同定され、そして方法(例えば評価アルゴリズム)が定義されたら、試料は試験する用意ができている。MIRスペクトルを試料に関して収集する。
いくつかの態様において、例えばあらかじめ決定したサイズを持つ試料の重複する領域からスペクトルを収集することによって、スペクトルを全試料から収集してもよい。次いで、収集されたスペクトル各々から固定シグナルを抽出し、合成スペクトルを生成してもよく、そして相関を合成スペクトルに適用してもよい。これは、単一固定状態が全試料に割り当てられている場合に有用である。さらにまたはあるいは、抽出固定シグネチャーの「マップ」を試料の画像上に重層して、全試料に渡る固定状態のグラフ表示を提供してもよい。これは、全試料に渡って一貫した固定状態を確実にすることが有益である場合に特に有用である。
いくつかの態様において、MIRスペクトルを試料の一部のみから収集してもよい。これは、収集したスペクトルを分析するために必要なコンピューティング力を節約しようとする場合に有用でありうる。こうした場合、例えばランダムサンプリングによって、または全試料を覆うグリッドに渡って、規則的な間隔でサンプリングすることによって、試料のあらかじめ定義された比率からMIRスペクトルを収集するように、分光計をプログラムしてもよい。これはまた、試料の特定の領域のみが分析に適切である場合にもまた有用でありうる。こうした場合、例えば関心対象の単数または複数の領域のランダムサンプリングによって、または全領域を覆うグリッドに渡って、規則的な間隔でサンプリングすることによって、該領域のあらかじめ定義された比率からMIRスペクトルを収集するように、分光計をプログラムしてもよい。これは、固定状態が、試料内の固定剤拡散の度合いである場合に特に有用である。
1つの特定の態様において、試料の全体の広がりを覆うために、試料の線に沿って、またはグリッドの形で、画像を得てもよい。固定度合いの勾配に関して検索し、そして組織品質の言及において、この勾配情報を含めることが有用でありうる。
いくつかの態様において、1またはそれより多い狭い範囲の波数に関して、スペクトルを得てもよい。量子カスケードレーザーは、例えば、単一の波長で操作されてもよく、そしてそのスペクトル(ここでは、この波長でのスペクトル情報を意味する。上記定義を参照されたい)を、組織品質に関して、全画像に渡って評価する。
別の態様において、2またはそれより多い量子カスケードレーザーの適切に選択された固定波長で、2またはそれより多いスペクトルを得る。例えば、これらの2つの波長での吸光度値間の比または相違(または両方)を容易に計算し、そして固定状態を評価するために用いることも可能である。
別の態様において、量子カスケードレーザーを、スペクトル特徴、例えば吸収ピークに渡って、連続的に調節する。この態様の特別な型では、f=1/dt(例えば10Hz)で画像スペクトルを調節するように、期間dt(例えば0.1秒)で、正弦時間依存性にレーザーを調節する。次いで、画像シリーズの対応するフィルタリング、例えばfの少し下でのカットオフを伴う、画像シリーズの広域フィルタリングは、より低いバックグラウンドノイズでの示差的な評価を可能にする。
別の態様において、多重線発振QCLを用いて、2またはそれより多い波長を生成してもよく、そして試料のレーザー照射の時間配列を、レーザー流によって調整してもよいし、またはチョッパーホイールを用いて調節してもよい。
別の態様において、2またはそれより多いレーザーは、概して、試料を同時に照射することも可能である一方、試料の位置でのレーザー光力を2またはそれより多い周波数で調節することも可能である。このアプローチは、基本的に、単一ピクセルシグナル各々に関するロックイン技術を構成し、ここから、個々のレーザーの調節周波数(またはその高調波)に基づいて、特定のレーザーに関して、シグナルを得てもよい。
望ましい場合、この情報を用いて、組織試料をさらにプロセシングするかどうか、そしてどのようにプロセシングするかに関して、決定を行うことも可能である。例えば、固定シグネチャーは、組織試料が過少固定されているか、または特定の分析のために十分に固定剤が拡散していないかまたは灌流されていないことを示す場合、分析に関する試料の拒絶または固定剤のさらなる曝露を実行してもよい。
総数9の扁桃腺薄切片が入手可能であり、これに関して、以下の異なる固定時間/方法のみを例外として、全体のFFPEプロセスは一定に維持された:
・未固定試料(アルコールのみの固定)の3つの薄切片:4mm厚にスライスしたヒト扁桃腺試料を、大部分の自動化組織プロセッサの最初の試薬である70%エタノール内に直接入れた。次いで、これらの試料を脱水し、清浄にし、そして自動化組織プロセッサ上で、標準的な一晩周期で、ワックスを含浸させた。
・固定4時間を経た試料の3つの切片(部分固定):4mm厚にスライスしたヒト扁桃腺試料を、室温(21℃)で4時間、10%中性緩衝ホルマリン内に入れた。次いで、これらの試料を脱水し、清浄にし、そして自動化組織プロセッサ上で、標準的な一晩周期で、ワックスを含浸させた。
・RTでの固定を24時間経た試料の3つの切片:4mm厚にスライスしたヒト扁桃腺試料を、室温(21℃)で24時間、10%中性緩衝ホルマリン内に入れた。次いで、これらの試料を脱水し、清浄にし、そして自動化組織プロセッサ上で、標準的な一晩周期で、ワックスを含浸させた。
比較目的のため、類似の試料から3つの切片が入手可能であり、これに関して、本発明者らは、参考文献[1]に記載されるような低温/高温固定プロトコルにしたがった。より正確には、このプロトコルのため、本発明者らは、低温/高温プロトコルのバリエーション:4℃で2時間その後45℃で2時間、4℃で3時間その後45℃で1時間、そして4℃で5時間その後45℃で1時間で、ホルムアルデヒドに曝露した試料を用いた。
16.7μm・・・1.67μmに対応する波数範囲600〜6000cm−1で、Tensor 27と一緒に、Bruker Hyperion 1000(Bruker Optics、ドイツ・エットリンゲン)を用いて、FT−IR顕微分光を行った。液体窒素で冷却したMCT検出装置(InfraRed D326−025−M)を用いた。スペクトル解像度は4cm−1であった。36xカセグレン対物レンズ(NA:0.5)を用いて、60x60ステップの領域上で、組織切片をマッピングした。3.75μmの開口部を、顕微鏡内に導入した。ステップの幅は50μmであった。各ピクセルのスペクトルに関して、25の順方向/逆方向干渉計スキャンを収集した。バックグラウンド修正およびベクター基準化の前に、ブラックマン−ハリスの3ターム・アポダイゼーションを行った。サビツキー−ゴーレー・フィルタリングを用いて、二次微分を計算した。薄切片あたりの総獲得時間は、18時間に上った。
0、4、および24時間固定された試料の二次微分スペクトルを図3に示す。図3に示す波数範囲は、タンパク質およびペプチドにおける分子振動に起因する、アミド−Iおよびアミド−IIバンドを含む。1746cm−1および1500cm−1の波数周辺では、顕著な相違は見いだされず、これらは、それぞれ、C=OストレッチングおよびCHはさみ振動によって引き起こされる、(気体性)ホルムアルデヒドの既知の吸収ピークである。この知見は、水中のホルムアルデヒドが99.5%より多く水和され、メチレングリコールが形成されることを示す、C13−NMR分光法[12]由来の以前の知見とよく一致する。
対照的に、1625cm−1で有意なスペクトル相違が明らかであり、これはおそらく、タンパク質のβシート内容における変化に関する。有意な変動はまた、1640cm−1でも見られ、これはポリペプチド主鎖の順序だっていない構造における変化の指標となる。
1625cm−1周囲のピーク上を詳細に見ることによって、振幅の変化およびピーク位のシフトの両方が明らかになる。第一の分析において、本発明者らは、ピーク位を用いて、MIR画像に対する固定の影響を調べた(図4A−未固定、4B−固定4時間、および4C−固定24時間)。したがって、1615cm−1および1640cm−1の間のピーク位を単に測定することによって、固定および未固定組織の間の明らかな相違が得られうる。
例えばこのピークの振幅および/または位置を用いることによって、これらの線に沿ったさらなる研究が解明可能であるが、本発明者らは、直接、周知の多変数データ分析に移った。これらの中に主成分分析があり、ここで、個々のピクセルスペクトルが再配置されて、スペクトルのピクセル間変動を表す(減少する順序で)。第一の主成分(PC)は、最も変化する成分のスペクトル依存性を提供し、第二のPCは二番目に最も変化する成分のものを提供する等である。3つのスペクトル画像すべてが一緒である主成分分析(PCA)の形で、1490cm−1および1740cm−1の間の完全スペクトル情報を利用すると、第一のPCは、実際、1625cm−1周囲のスペクトルシフトおよび振幅変化が、最大のスペクトルピクセル間変動を生じることを示す(図5A)。ピクセルのスペクトルをPCの荷重合計にデコンボリューションし、そしてPC2の荷重に対するPC1の荷重をプロットすることによって、PCAの結果を示す。こうした例示を、3つの試料各々の平均スペクトルに関して、図5Bに示す。
次いで、PC1を用いて、未染色組織薄切片間そしてさらには切片内の固定の度合いを示すことも可能である(図6A−未固定、6B−固定4時間、および6C−固定24時間)。さらに、PC1は、アルコールのみの固定対ホルマリン固定の間の区別を容易にすることも可能である。これらの画像は、この実施例において、固定に関する情報を、未染色、パラフィン包埋組織薄切片において、得ることが可能であることを示す。形態学的画像分析を含む、さらなる単変数または多変数法は、さらにより優れた結果を導くことも可能である。
固定の度合いおよびアルコールのみの固定の検出の両方が、損なわれうる組織形態および免疫反応性の解釈のための重要な検討事項である。
さらなる実施例において、QCLに基づく顕微鏡でもまた、上記試料を測定した。1500〜1750cm−1の範囲のQCL操作は、上記結果を容易に再現可能であるが、本発明者らはここで、この背景のQCL顕微鏡検査の潜在能力、単純性およびスピードを例示する。2つのQCLを、それぞれ9.74μm〜9.20μmおよび8.57μm〜7.58μmの波長に対応する、1027〜1087cm−1および1167〜1319cm−1のスペクトル範囲に渡って調節した。各レーザーを11秒以内でそれぞれの範囲に渡って調節した。マイクロボロメータアレイ(640x480ピクセル)カメラは、これらのスキャンの間、各20msの透過画像を記録し、これは、4cm−1の有効なスペクトル解像度を生じる。各スキャンを5回反復し、そして透過スペクトルを空のスライドに照合した。4倍の空間過剰サンプリングを行った。総獲得時間は7分間に上り、そして例えば波数範囲を減少させるかまたはさらに固定周波数条件で測定することによって、さらに短縮することも可能であった。セットアップの詳細は、N. Kroegerら, Biomedical Vibrational Spectroscopy VI: Advances in Research and Industry中, A. Mahadevan−Jansen, W. Petrich監修, Proc. of SPIE Vol. 8939, 89390Z; N. Kroegerら,J. Biomed. Opt. 19(2014)111607;およびN. Kroeger−Luiら, Analyst 140(2015)2086に記載される。さらなる分析の前に、スペクトルを67μmの空間伸長に渡って滑らかにした。k−平均クラスター分析を行った。同等のQCLに基づくクラスター中心スペクトルもまた、もちろん、図3と類似のタンパク質バンド領域における固定に関して、明確な相違を示すが、本実施例における例示に用いるQCLのスペクトル範囲でもまた、スペクトル相違は観察可能である(図7):こうしたスペクトル相違の1つの単純な例は、1050cm−1〜1080cm−1スペクトル範囲の平均傾斜である。単純に、この平均傾斜を固定状態の測定値と解釈する場合、未固定および固定試料の間の明確な相違が例示される(それぞれ、図8Aおよび図8B)。例えば組織試料の縁および中央の間の色勾配によって、そして/または傾斜のヒストグラムによって、これをさらに評価することも可能である。さらなる例は、1230cm−1のピークおよび1280cm−1のショルダーの(基準化または非基準化)比(または相違または両方)である。
別の例において、MCF7異種移植片を、マウスの背中上で増殖させ、そして採取して組織試料を生成し、これを10%ホルマリンに室温で2時間供した後、ルーチンにプロセシングし、そしてパラフィンに包埋した。室温固定剤中でのこの量は、組織を不適切に固定することが知られる。組織ブロックを4μmの横断切片に切片作製し、キシレン中で脱ワックスし、そして一晩乾燥させた。次いで、試料を量子カスケードレーザー(QCL)を伴うハイパースペクトル顕微鏡上で画像化した。試料を、組織の縁に位置する、2mmx2mm空間的視野で、透過モードで画像化し、各ピクセルは〜4μmに相当した。次いで、試料のスペクトル吸収を、900〜1800cm−1の間、4cm−1間隔で、波長に関して、空間的位置各々でマッピングした。
次いで、中赤外(MID IR)透過データの各ハイパーキューブを基準化して、単位振幅が、試料間の透過変動を考慮するようにし、そして標準的主成分分析(PCA)を用いて分解した。この統計法を用いて、元来の波長データを恣意的直行軸上に変換し、これは、降順で、各主成分中に含有されるデータからの分散がどの程度大きいかを示す。したがって、第一主成分分析(PC1)は、最大の変動性を含有する変数である。PC1の度合いを画像化し、そして固定剤浸透およびその結果としての架橋形成が最小限である場合、組織中心全体で、より高いPC1値が観察された。図9Aを参照されたい。次いで、試料をヘマトキシリンおよびエオジンで染色して、固定依存性形態学的構造を分析し、そして試料の内部が、視覚的に劣った核密度およびひび割れた特徴によって示されるように、劣った固定であることが発見された。図9Bを参照されたい。したがって、PCAを固定または架橋状態と相関させることも可能であることが明らかであろう。
参考文献

Claims (39)

  1. 細胞試料の品質状態を評価する自動化法であって:
    (a)細胞試料の中赤外分光(MIR)スペクトル(220)(試験スペクトル)において、品質シグネチャー(221)を同定し;そして
    (b)分類(211)または定量化(231)アルゴリズムを試験スペクトル中の品質シグネチャーに適用して、細胞試料の品質状態を決定する
    工程を含む、前記方法。
  2. 前記細胞試料が固定細胞試料であり、前記品質状態が固定状態であり、そして前記品質シグネチャーが固定シグネチャーである、請求項1の方法。
  3. 試験スペクトル中の固定シグネチャーと、少なくとも1つの参照MIRスペクトル(参照スペクトル)中の固定シグネチャーの間に、相違が存在するかどうかを決定することによって、該試験スペクトル中の固定シグネチャーを固定組織試料の固定状態と相関させる、請求項2の方法。
  4. 前記少なくとも1つの参照スペクトルが、許容可能に固定された組織試料と相関する、請求項3の方法。
  5. 固定シグネチャーにおける前記相違が、二次微分スペクトルにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の振幅および/またはピーク位の変化である、請求項3または請求項4の方法。
  6. 多変数評価法において、固定シグネチャーにおける相違が、1615cm−1〜1640cm−1の間のスペクトルシフトまたは振幅変化に基づく、請求項3または請求項4の方法。
  7. 前記固定組織試料が、架橋固定剤で固定されている、請求項5または請求項6の方法。
  8. 前記試験スペクトルが、量子カスケードレーザー(QCL)に基づく顕微鏡によって得られる、前述の請求項のいずれかの方法。
  9. 前記試験スペクトル(220)が30分またはそれ未満で得られる、請求項8の方法。
  10. 前記試験スペクトルが、ワックス包埋細胞試料から、脱ワックス前または脱ワックス後に得られる、請求項8または9の方法。
  11. 前記ワックス包埋細胞試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である、請求項10の方法。
  12. 前記試料が低温凍結試料であり、そして試験スペクトルが融解前または後のいずれかに得られる、請求項8または9の方法。
  13. 前記品質状態を、細胞試料の1またはそれより多い視野内の複数の位置で評価する、請求項1〜12のいずれかの方法。
  14. (c)細胞試料の1またはそれより多い視野内の複数の位置各々で評価した品質状態を、視野のデジタル画像にマッピングする
    工程をさらに含む、請求項13の方法。
  15. (d)あらかじめ定義した品質状態を満足する視野の総面積を自動的に計算する
    工程をさらに含む、請求項13または14の方法。
  16. 固定細胞試料を標識する方法であって:
    (a)固定細胞試料の中赤外分光(MIR)スペクトル(220)(試験スペクトル)において、固定シグネチャーを同定し;
    (b)分類(211)または定量化(231)アルゴリズムを試験スペクトル中の該固定シグネチャーに適用して、該固定細胞試料の固定状態を決定し、ここで該固定状態は過少固定、過剰固定、または許容可能固定に分類される;
    (c)該試料が過剰固定または過少固定と決定された場合、1またはそれより多い是正組織プロセスを実行し、そして許容可能に固定された組織試料が得られるまで、(a)〜(c)を反復し、ここで該是正組織プロセスは:
    (c1)過少固定組織試料のさらなる固定;または
    (c2)過剰組織試料の拒絶および新規試料の獲得
    を含む;そして
    (d)許容可能に固定された組織試料に対する標識プロセスを実行する
    工程を含む、前記方法。
  17. 分類または定量化アルゴリズムが、試験スペクトル中の固定シグネチャーを、1またはそれより多い参照MIRスペクトル(参照スペクトル)中の固定シグネチャーに比較する、請求項16の方法。
  18. 前記参照スペクトルが、許容可能固定、過剰固定、または過少固定と実験的に同定された1またはそれより多いスペクトルを含む、請求項17の方法。
  19. 固定シグネチャーにおける前記相違が、二次微分スペクトルにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の振幅および/またはピーク位の変化である、請求項17または請求項18の方法。
  20. 前記固定シグネチャーにおける相違が、主成分分析における1615cm−1〜1640cm−1の間のスペクトルシフトまたは振幅変化である、請求項17または請求項18の方法。
  21. 前記試験スペクトルが、量子カスケードレーザー(QCL)に基づく顕微鏡によって得られる、請求項16〜20のいずれかの方法。
  22. 前記試験スペクトルが30分以内に得られる、請求項21の方法。
  23. 前記試験スペクトルが、ワックス包埋細胞試料から、脱ワックス前に得られる、請求項21または22の方法。
  24. 前記ワックス包埋細胞試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である、請求項23の方法。
  25. 細胞試料品質の自動化分析のためのシステム(100)であって、プロセッサ(200)およびメモリを含み、メモリが解釈可能な命令を含み、該命令が、プロセッサによって実行された際、プロセッサに:
    (a)特徴抽出機能(210)を実行して、細胞試料の中赤外分光(MIR)スペクトル(220)(試験スペクトル)から、品質シグネチャーの特徴(221)を抽出し;そして
    (b)分類子機能を実行して、前記試験スペクトルから抽出された品質シグネチャーの特徴に、分類(211)または定量化(231)アルゴリズムを適用する、ここで該分類または定量化アルゴリズムは、品質シグネチャーが細胞試料の複数のあらかじめ定義された品質状態の1つの指標となる可能性の指標となる、信頼スコアを計算する
    工程を含む方法を実行させる、前記システム。
  26. 前記分類または定量化アルゴリズムが、クラスター分析、主成分分析、回帰法、線形または二次判別分析、人工神経ネットワーク、またはサポートベクターマシーンからなる群より選択される、請求項25のシステム。
  27. 前記細胞試料が固定細胞試料であり、品質シグネチャーが固定シグネチャーであり、そしてあらかじめ定義された品質状態が固定状態である、請求項25または26のシステム。
  28. 前記分類または定量化アルゴリズムが、試験スペクトルから抽出された固定シグネチャーの1またはそれより多い特徴を、実験的に決定された固定状態を有する1またはそれより多い参照MIRスペクトル(参照スペクトル)に比較する、請求項27のシステム。
  29. 前記参照スペクトルが、許容可能に固定されていることが実験的に同定された試料由来の複数のスペクトルを含む、請求項28のシステム。
  30. 前記参照スペクトルが、過少固定および/または過剰固定と実験的に同定された1またはそれより多いスペクトルをさらに含む、請求項29のシステム。
  31. 前記固定シグネチャーの特徴が、二次微分スペクトルにおける1615cm−1〜1640cm−1の間の振幅および/またはピーク位の変化である、請求項28〜30のいずれかの方法。
  32. 前記固定シグネチャーの特徴が、主成分分析における1615cm−1〜1640cm−1の間のスペクトルシフトまたは振幅変化である、請求項28〜30のいずれかの方法。
  33. 細胞試料から試験スペクトルを得るように設定されたMIRスペクトル獲得デバイスをさらに含む、請求項25〜32のいずれかのシステム。
  34. 前記MIRスペクトル獲得デバイスが、複数の波長でスペクトルを得るように設定されている、請求項33のシステム。
  35. 前記MIRスペクトル獲得デバイスが、単一の波長でスペクトルを得るように設定されている、請求項33のシステム。
  36. 前記MIRスペクトル獲得デバイスが、細胞試料の1またはそれより多い視野内で、複数のX−Y位各々で試験スペクトルを得るように設定されている、請求項33のシステム。
  37. 前記MIRスペクトル獲得デバイスが量子カスケードレーザー(QCL)に基づく顕微鏡である、請求項33〜36のいずれかのシステム。
  38. 前記MIRスペクトル獲得デバイスが、試験スペクトルをプロセッサに電子的に通信するように設定されている、請求項33〜37のいずれかのシステム。
  39. 請求項33〜38のいずれかのシステムであって、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体(102)をさらに含み、前記MIRスペクトル獲得デバイスが該非一時的コンピュータ読み取り可能媒体上に試験スペクトルを記憶するよう設定され、そして該非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が該スペクトルをプロセッサに電子的に通信するように設定される、前記システム。
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