JP2018531695A - マイクロ構造表面を備える低垂直力牽引装置 - Google Patents

マイクロ構造表面を備える低垂直力牽引装置 Download PDF

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Abstract

本開示は、マイクロテクスチャ表面を備える手術用リトラクターを提供する。手術用リトラクターは、リトラクターの1つ以上の部分にマイクロテクスチャ表面を備え、それによって、有利には、濡れた組織表面に固定力又は位置決め力が提供されると同時に、組織への損傷若しくは外傷が防止されるか又は最小限に抑えられる。

Description

関連出願
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される2015年10月5日に出願された米国特許仮出願第62/237,448号の利益を主張するものである。
本開示は、マイクロテクスチャ表面を備える手術用リトラクターに関する。手術用リトラクターは、リトラクターの1つ以上の部分にマイクロテクスチャ表面を備え、それによって、有利には、濡れた組織表面に固定力又は位置決め力が提供されると同時に、組織への損傷若しくは外傷が防止されるか又は最小限に抑えられる。
損傷を受けやすい構造物を封入する比較的耐久性のある表面を有し、耐久性のある表面に対して垂直に印加された力によっては有害に変形し、耐久性のある表面に対する接線方向又は平面内に印加された力によっては変形しないことを特徴とする多くの天然及び人工の物体が存在する。したがって、本技術分野において、これらの物体を、リトラクターによって印加された力による内部損傷を引き起こすことなく、固定、移動、又は位置決めすることを可能とする牽引装置が求められている。
限定されない例は、外科手術などの医療手技の過程での生組織の牽引である。これらの手技では、治療若しくは観察すべき目的の臓器又は組織へのアクセスを得るために、臓器を牽引することが多くの場合必要である。他の手技では、治療若しくは観察すべき臓器又は組織へのアクセスを得るために、治療すべき臓器を、それを取り囲む組織から分離することが必要である。例えば、心臓の外面を観察可能とするためには、心臓を心膜から分離する必要がある。必要な牽引を得るために、現行の腹腔鏡手技では、複数の切開部に挿入されるいくつかの小型リトラクターが用いられる。そのようなリトラクターは、比較的表面積が小さいことから、局所的な垂直力を印加することによって、牽引された臓器又は組織に損傷を与え、及び/又は外傷を引き起こす傾向にある。
Wenzel、Cassie、及びWenzel−Cassie状態は、混合物の疎水性成分と親水性成分との間の表面界面における濡れ現象を表している。気体環境中での固体テクスチャ表面と水との相互作用は、Cassie−Baxterモデルで表される。このモデルでは、空気が、テクスチャ表面のマイクロ溝に捕捉され、水滴が、空気及びマイクロ突起の上部を含む複合表面上に存在する。複数のスケールのテクスチャ間でのフラクタル次元の重要性は充分に認識されており、多くの手法が、このフラクタル寄与に、すなわち、異なるスケールのテクスチャ間の大小関係に基づいて行われてきた。
しかし、用いられる材料(有機又は無機)、及び表面テクスチャの幾何学的構造(粒子、ロッドアレイ、又はポア)に関わらず、いわゆる超疎水性表面を得るには、低表面エネルギーと組み合わせて複数のスケールのテクスチャが必要である。超疎水性は、平滑であるが強疎水性である材料で実現可能である接触角よりも大きい水との接触角を示す材料として様々に報告されている。超疎水性物質における最小接触角についての一般的なコンセンサスは、150度である。
疎水性表面は、水をはじく。表面の疎水性は、例えば、表面上の水滴の接触角を特定することによって測定され得る。接触角は、静的状態又は動的状態で測定され得る。動的接触角測定は、水滴などの付着性種に関して、前進接触角又は後退接触角を特定することを含み得る。前進接触角と後退接触角との差が小さい(すなわち、低接触角ヒステリシス)
疎水性表面は、面内移動に対する抵抗が低い表面という結果となる(低付着性)。水は、高接触角ヒステリシスの表面上よりも、低接触角ヒステリシスの表面上の方がより容易に移動可能であり、したがって、接触角ヒステリシスの大きさを、物質の移動に要するエネルギーの量と同等であると見なすことができる。
表面テクスチャの研究における自然からの古典的な動機付けは、ハスの葉であり、これは、水との高い接触角及び低い接触角ヒステリシスを有し、強力なセルフクリーニング性を示す凸状の細胞乳頭突起とランダムに配向した疎水性ワックス細管との階層状構造によって、超疎水性である。これほどは知られていない自然からの動機付けは、凸状の細胞乳頭突起と、その周囲に配置され、軸方向に向けて添えられた畝状部分(ridges)との階層状構造を有する赤バラ花弁であり、これは、中程度の接触角及び高い接触角差を有する。
接触角は、テクスチャ表面と直接接触している水の量の尺度であり、一方接触角ヒステリシスは、表面上を水が移動可能な度合いの尺度である。これらの状態に対する各々の進化上の動機付けは、非常に異なっている。ハスの葉、及び植物の葉全般の場合、水との最小限の接触及び高い水の移動度により、水が粒子状汚染物へ優先的に付着する結果となり、汚染物は、水が流れ落ちる際に葉から取り除かれる。これは、表面汚染物による光吸収量を減少させ、光合成効率を高めるように作用する。バラの花弁、及び植物の花弁全般の場合、ほとんどの花粉媒介者は、昆虫が溺れることなく容易にアクセスできる高い張力の水源に引き寄せられる。したがって、高い接触角と高い接触角ヒステリシスとの組み合わせは、進化上の刺激が植物の生殖作用である場合に好ましく、高い接触角と低い接触角ヒステリシスとの組み合わせは、進化上の刺激が代謝及び成長である場合に好ましい。
単一のテクスチャスケールについて少し考えると、水は、テクスチャ表面に置かれた場合、テクスチャのピーク部に留まるか、又は谷部に吸われるかのいずれかであり得る。前者は、Cassie状態と称され、後者は、Wenzel状態と称される。Wenzel状態が優位である場合、表面粗さが増加するに従って、接触角及び接触角ヒステリシスの両方が増加する。しかし、粗さ因子が臨界レベルを超えると、接触角は増加を続けるが、ヒステリシスは、減少し始める。この時点で、表面と水滴との間の界面における疎水性成分(この場合は空気)の量が増加することに起因して、優位な濡れ挙動が変化する。複数のテクスチャスケールが用いられる場合、Wenzel状態もあればCassie状態もあるという状態になり得る。これら2つの状態のうち、Wenzel状態の方が、接触角が低く、接触角ヒステリシスが高く、移動度が低い。混合Wenzel−Cassie状態では、高い接触角と高い接触角ヒステリシスを有することが可能である。しかし、相互作用を起こす疎水性及び親水性成分に対するテクスチャ固体の疎水性が、非常に重要である。
植物の世界では、ほとんどのテクスチャ表面は、疎水性である基材上に存在する。しかし、水が疎水性流体に置き換わると、Cassie状態は容易にWenzel状態へと変換され得る。これは、常に当てはまるわけではなく、疎水性物質の蒸気圧及び粘度、並びに表面テクスチャ中に捕捉された空気がいかに素早く放散され得るかに依存する。
疎水性コーティング及び表面を実現するために、以下の様な様々な試みが行われてきた。米国特許第6,994,045号には、非常に粘度の低い気体潤滑剤のための基材として作用する超疎水性コーティングについて記載されており、これは、階層状フラクタル構造表面を有し、第一階層レベルの形態は、コーティング基材に位置し、各連続する階層レベルの形態は、その前の階層レベルの表面上に位置し、個々の高い方の階層レベルの形態は、低い方の階層レベルの形態を繰り返している。米国特許第7,419,615号には、疎水性材料を可溶性粒子と混合して混合物を形成することによって、超疎水性材料を形成する方法が開示されている。米国特許第7,887,736号には、大面積にわたる超
疎水性ポリマーの大量生産が経済的に実施可能となるように、テンプレートを用いて繰り返しインプリントされた超疎水性表面が開示されている。米国特許出願公開第20030147932号には、防汚性を有するセルフクリーニング又はハス効果表面が開示されている。米国特許出願公開第20060029808号には、水に1週間浸漬された後でも超疎水性を維持することができるコーティングが開示されている。米国特許出願公開第20080015298号には、超疎水性コーティング組成物が開示されている。米国特許出願公開第20080241512号には、超親水性表面特性、又は超疎水性表面特性、又はそのような特性の組み合わせを任意の表面の様々な場所に提供するために材料の層を堆積させる方法が開示されている。米国特許出願公開第20090011222号には、様々なシステム用途のための超疎水性保護コーティングとしてハス効果材料を適用する方法、さらにはハス効果コーティングを製造/作製する方法が開示されている。米国特許出願公開第20090076430号には、通気性を有し得る材料を含み、第一の表面、及び第一の表面に接着された複数の超疎水性粒子を有する包帯が開示されている。この材料は、第一の表面の反対側に親水性である第二の表面を有し得る。米国特許出願公開第20090227164号には、不織材料がマイクロ及びナノ範囲のスポンジ状メッシュ構造でコーティングされる超疎水性コーティングが開示されている。米国特許出願公開第20100112286号には、人工的に構造化された超疎水性表面上の液滴状態の制御及び切り替えが開示されている。米国特許出願公開第20100021692号には、マルチスケール(階層状)超疎水性表面の製造方法が提供され、開示されている。この方法は、ポリマー表面を、フラクタル状又は疑似フラクタル状に3つのサイズスケールでテクスチャ化することを含み、最も低いスケールがナノスケールであり、最も高いスケールがマイクロスケールである。米国特許出願公開第20100028604号には、基材及び基材の少なくとも1つの表面上に堆積された階層状表面構造を備える超疎水性構造が開示されており、階層状表面構造は、基材の少なくとも1つの表面上に間隔を空けた幾何学的パターンで配置された複数のマイクロ凹凸部を備えるマイクロ構造を有する。米国特許出願公開第20110077172号には、材料の局所的堆積の方法が開示されており、盛り上がった表面構造を備える超疎水性基材を含む。
したがって、本発明の目的は、濡れた生組織と接触して配置された場合に、付着性のCassie状態及びWenzel状態を作り出す低垂直力リトラクターを提供することである。
本開示は、低スリップ性マイクロテクスチャ表面を提供することによって表面又は物体を機械的に牽引する低垂直力牽引装置に関する。その最も単純な実施形態では、牽引装置は、物体を牽引するための1つ以上のアーム、挟み部、又は触手部(tentacles)を含む。これらの機能部を、まとめて「アーム」と称する。ある例では、アームは、垂直方向には柔らかくフレキシブルであり、接線方向には、実質的に非伸長性である。他の実施形態では、1つ以上のアームは、持ち上げ又は支持機能を提供するために、剛性であってよく、そのような剛性アームは、典型的には、持ち上げ又は保持の適用時に単位表面積あたりの垂直力を最小限に抑えるために、より大きい表面積を有する。
他の実施形態では、牽引装置は、牽引すべき物体を取り囲むのに特に有用であるマイクロテクスチャ表面を有する単一のフレキシブルアームから成っていてよい。この場合、牽引は、物体の一部分を同じ物体の別の部分の上に折り曲げること、及び折り曲げられた物体をこの構成で保持することを含んでよい。牽引装置が単一のフレキシブルアームである場合、それはさらに、そのアームを外部固定構造に固定するために用いることができる孔又はフックなどの他の固定機能部を備えていてもよい。これらの追加の固定機能部は、2
つ以上の単一アームリトラクターを一緒に結合する際に用いられてもよい。これらの追加の固定機能部としては、限定されないが、プライヤー又は鉗子などのロック式グラスパーが挙げられ得る。
以下の記述において、「マイクロテクスチャ表面」の用語は、重ね合わされて少なくとも2つの空間スケールでテクスチャを有する単一表面を形成する様々な空間スケールのマイクロ構造を備える階層状構造を有する表面を意味するために用いられる。ある実施形態では、マイクロテクスチャ表面は、3、4、又は5つ以上の空間スケールを、好ましくは、3又は4つの空間スケールを備える。本発明のリトラクターで有用であるマイクロテクスチャ表面の例としては、自然のバラ花弁のテクスチャに似せた超疎水性表面が挙げられる。他の例としては、生組織との接触ヒステリシスが5度よりも大きい表面が挙げられる。これらの表面は、マイクロテクスチャ表面が濡れた又は滑らかな表面と接触した場合に、Wenzel−Cassie界面が作り出されることを特徴とする。他の階層状マイクロテクスチャ表面としては、ハスの葉の表面テクスチャに似せたものが挙げられ、この場合、界面は、Cassie−Baxter型界面である。
マイクロテクスチャ表面は、上記で述べたバラ型及びハス型の表面テクスチャの混成物を備えてよく、この場合、1つの部分がバラ様であり、他の部分がハス様であり、「ロータス(rotus)」表面が得られる。本発明のアームは、一方の側にハス型表面を有し、他方の側にバラ型表面を有してよい。以下の記述において、「垂直力」の語は、力が表面領域に対して直角又は垂直である場合の、単位表面積あたりの力又は圧力を意味するために用いられる。表面領域は、典型的には、マイクロテクスチャアームのテクスチャ表面領域を意味し、垂直力は、牽引すべき物体との接触を通して印加されるアームのテクスチャ表面に対して直角である力を意味する。したがって、垂直力は、一般的には、アームの表面積が大きくなるに従って減少し得る。ある例では、マイクロテクスチャアームの表面積を変更可能とすることが有用であり得る。したがって、アームは、波形を小さくしてアームの表面積を増加させることができる波形構造を有してよい。他のリトラクターは、アームの膨張又は拡張を含む。さらに他の実施形態では、面積が増加される領域は、マイクロ構造領域から分離されており、マイクロ構造の空間的寸法は、アームの表面積を増加させる操作によって変化されない。膨張の態様は、マイクロテクスチャアームの剛性を変化させるために、又はその形態を変化させるために用いられてよい。例えば、2つのマイクロ構造アームの膨張は、印加される垂直力を変化させる挟み付ける動き(pincer movement)を生み出すように構成されてよい。
本発明の異なる態様によると、本発明に従うマイクロテクスチャ牽引装置は、牽引を提供すると同時に、治療又は観察すべき物体への他の器具のアクセスを提供するその能力を保持するために、様々な方法を用いる。I型牽引装置として一般的には称される牽引装置などの本発明の1つの態様に従うマイクロテクスチャ牽引装置は、Wenzel−Cassie効果単独によって牽引を提供し、この場合、マイクロテクスチャ表面は、濡れた表面との疎水性相互作用によってそれ自体を自然に付着させる。I型装置は、典型的には、弾力性、剛性、弾性率などの固定された機械的特性を有する。II型装置は、これらの特性及びアーム間の関係を変化させるための補助コンポーネントを含む。例えば、膨張によってアームを補強する又は2つのアームを好ましい配向とすることである。膨張は、気体による膨張及び液体による膨張の両方を含む。気体による膨張の場合、圧力が制御され、液体による膨張の場合、体積が制御される。コンポジット膨張構造が可能である。第一の膨張チャンバーが、管形状マイクロテクスチャアームの2つの逆向きの表面間に形成されてよく、この場合、逆向きの表面間のブリッジ構造が、膨張下において略平坦テープ形状のマイクロテクスチャアームを維持する。追加の可膨張性チャンバーは、マイクロテクスチャアームの第一のチャンバーの内部にあるより小さい内部管状構造を形成する。膨張下では、この第二のチャンバーは、マイクロテクスチャアームに好ましい曲線構造を提供し
得る。第二の可膨張性チャンバーは、通常は、牽引装置の主の可膨張性チャンバーが膨張され、牽引装置がその所望される牽引効果を発生させた後に膨張される。そのような追加の可膨張性チャンバーは、主の可膨張性チャンバーよりも小さく、力も弱い。追加のチャンバーの膨張だけでは、臓器の所望される牽引を得るのに充分な力が必ずしも発生されない。しかし、膨張した追加のチャンバーは、より強力な主の可膨張性チャンバーによって牽引された物体を、その牽引位置に維持するのには充分な力を提供する。追加の可膨張性チャンバーは、したがって、主のチャンバーの気嚢に穴を開けてしまうことによって主の可膨張性チャンバーの牽引効果が破壊された後、治療すべき物体へのアクセスを提供するために、牽引装置の牽引効果を維持することができる。
本発明のさらなる態様によると、装置のマイクロテクスチャアームの表面にタブが取り付けられた本発明に従うI型又はII型の牽引装置が提供され得る。タブを適切な掴み具で掴むことによって、治療すべき組織に対する牽引装置の位置及び配向が調節される。
本発明のさらなる態様によると、作動前のその第一の状態である場合に、作動前の適切な配向を補助するためのマークをその表面に有するか、又は異なる表面テクスチャの領域を示すことを意図する類似のマークを有するI型又はII型の牽引装置が提供され得る。本発明のさらなる態様によると、I型又はII型の牽引装置は、波形表面を有してよく、この場合、波形の1つの構成が、付着性のWenzel−Cassie表面を提供し、波形の別の構成が、低摩擦のCassie−Baxter表面を提供する。この機能部は、Wenzel−Cassie状態で開放を試みた場合に物体に与える可能性のある損傷を低減する方法で、牽引された物体を開放するために用いられ得る。例えば、I型装置は、第一の付着性状態であってよく、続いて、接線方向に伸長する動きをマイクロテクスチャアームに適用することによってマイクロ構造アームを不可逆的に変形させることにより、非付着性とされてよい。II型装置の場合は、同じことを、膨張操作によって可逆的に実現することができる。
本発明のさらなる態様によると、本発明に従う牽引装置において、牽引部位の遊離液体を除去するための吸引チューブがアームに組み込まれていてもよい。別の選択肢として、そのような吸引チューブのためのアタッチメントが、マイクロ構造アームに装備されていてもよい。外科手術手技の過程での牽引の場合、吸引の態様は、手術室の吸引ラインと接続され、腹腔鏡手術の過程で牽引装置によって作り出された手術による空洞部の底に貯留する流体の連続的な又は間欠的な排出が可能となる。
図1は、本発明の超疎水性Wenzel−Cassie表面の実施形態の断面図である。 図2は、本発明の第二の実施形態に従うテープ状II型可膨張性牽引装置の透視図である。 図3は、本発明の第三の実施形態に従う吸引手段が装備されたI型牽引装置の透視図である。 図4は、低垂直力リトラクターに有用であるマイクロ構造表面を示す。 図5は、低垂直力リトラクター表面の第一の実施形態を示す。 図6は、反転した表面を有する第二の実施形態を示す。 図7A〜図7Dは、基材710全体にわたって別の選択肢としての湾曲表面テクスチャフィーチャを提供する様々な正弦波形パターンを有する一連の基材710を示す。 図7Aの続き。 図7Bの続き。 図7Cの続き。 図8は、基材の表面に第二のセットのフィーチャが配置されている本開示に従う基材上のマイクロ構造表面の実施形態の側面図を示す。 図9は、本開示に従う薄い基材上のマイクロ構造表面の別の実施形態の側面図を示す。 図10は、第四のセットのマイクロフィーチャを有するマイクロ構造表面の透視図を示す。 図11は、第四のセットのマイクロフィーチャを有するマイクロ構造表面の模式的上面図を示す。 図12は、本発明の別の実施形態に従う混成ロータスI型牽引装置の透視図である。 図13は、本発明の別の実施形態に従う波形II型牽引装置の透視図である。 図14は、本発明の別の実施形態に従う面積が変化するII型牽引装置の透視図である。装置1400は、表面テクスチャ1414を有し、1410及び1412の2つの構成を取ることができる。構成1410は、平らな表面と接触する最大表面積を有する平坦形状であり、構成1612は、最小表面積である膨張した形状である。したがって、構成1710である場合、装置1700は、付着性であり、構成1412では、滑らせての移動がより容易である。加圧されると、膨張部材1416は、装置1400を構成1412へと変形させる。 図15は、本発明の第六の実施形態に従う面積が変化する混成I型牽引装置1500の側面図であり、この場合、テクスチャ領域1514は変化しない。装置1500は、2つの双安定構成1510及び1512を呈する。構成1510では、バラ花弁型テクスチャ1514が、装置1500が付着することになる別の表面に対して提示される唯一の表面である。構成1510での接触表面積は、1514の面積の合計である。領域1516は、平滑であり、構成1512の面積は、構成1510の面積よりも大きい。構成1512の面積は、1514及び1516の面積の合計である。構成1512は、構成1510を方向1518に引くことによって実現される。 図16は、本発明の第七の実施形態に従う挟み付ける動きをするII型牽引装置1600の透視図である。装置1600は、弛緩した形状適合可能な状態1610、及び強固に挟んでいる状態1612を有する。状態1610から状態1612への変形は、膨張手段1616によって実現される。フィーチャ1614は、バラ花弁型付着性表面を備える。 図17は、本開示のマイクロテクスチャ表面がその一部分に配置されたアームを備えるリトラクターを示す。
本発明の原理の理解を促す目的で、図面に例示される実施形態をここで参照し、具体的な用語を用いてそれを記載する。しかし、それによって本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明が関連する技術分野の当業者であれば通常思い付くような例示される装置の変更及びさらなる改変、並びにそこで例示される本発明の原理のさらなる適用が考慮されることは理解される。本発明の少なくとも1つの実施形態が、記載され、示されるものであり、本出願は、本発明の他の実施形態も示し、及び/又は記載し得る。特に断りのない限り、「本発明」への言及はいずれも、発明のファミリーの実施形態への言及であり、すべての実施形態に含まれなければならない装置、プロセス、又は組成物を含む単一の実施形態はないことは理解される。
I型装置
図1は、本発明に従う牽引装置の第一の実施形態100の縦断面図である。この種類の牽引装置は、その機械的及び幾何学的態様に本質的に固定されており、I型牽引装置と称される。牽引装置は、その平坦状態で示されるが、装置は、牽引すべき物体の表面に追随させることができる充分な柔軟性を有することは理解される。牽引装置100は、第一の
側102及び第二の側104を備える。牽引装置100は、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリウレタンなどの比較的非弾性で堅いプラスチックフィルムから作られる。好ましい材料は、ポリエチレンとナイロンとのコンポジットである。牽引装置100の厚さは、典型的には、0.5から5mmである。表面テクスチャ106は、大スケール構造108、中スケール構造110、及びマイクロスケール構造112を備える。マイクロスケール構造112は、中スケール構造110上に重ね合わされ、この組み合わせは、大スケール構造108上に重ね合わされる。大スケール構造108は、100から1000ミクロンの特徴的な寸法を有する。中スケール構造110は、25から100ミクロンの特徴的な寸法を有する。マイクロスケール構造112は、1から25ミクロンの特徴的な寸法を有する。
一般的に、牽引装置のサイズ及び形状は、用途に依存する。例えば、外科手術用途では、本発明に従う牽引装置のサイズは、心膜内部での使用の場合は、長さ約2インチ(50mm)、幅約0.5インチ(12mm)の範囲、腹腔での使用の場合は、長さ10インチ〜14インチ(250〜350mm)、幅2インチ〜8インチ(50〜200mm)の範囲であってよい。任意の用途において必要とされる牽引装置のサイズは、その用途及び患者のサイズに依存する。
II型牽引装置
II型牽引装置の基本的実施形態は、単一の膨張チャンバーを含む。別の選択肢としての実施形態では、単一チャンバーは、複数のサブチャンバーに分割されていてもよい。サブチャンバーは、互いに隔離されており、それによって、牽引装置の使用中にサブチャンバーの1つ以上に誤って穴が開いてしまった場合に、牽引装置のすべてが収縮してしまうことが回避され得る。各サブチャンバーは、それ自体の追加の膨張チューブを備えていてよい。別の選択肢として、各サブチャンバーは、逆止弁を通して膨張マニホールドに接続されていてもよい。マニホールドの配置では、治療手技の終了後に身体から牽引装置を取り外すための準備として、各サブチャンバーが個々に収縮されることが必要である。これらのサブチャンバーの主たる利点は、相互連結されていても、又は分離されていても、膨張下で好ましい幾何学的形状が定められることである。
図2は、複数の膨張チャンバーを有するII型装置200の透視図である。主気嚢202は、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリウレタンなどの比較的非弾性で堅いプラスチックフィルムから作られる。主気嚢のための好ましい材料は、ポリエチレンとナイロンとのコンポジットである。主気嚢202の壁厚さ204は、典型的には、0.5から5ミル(13から130ミクロン)である。膨張時、マイクロ構造アーム200の装置厚さ206は、1mmから5mmである。装置厚さ206は、個々のサブチャンバー212を形成する非弾性部材208の高さ210によって制限される。サブチャンバー212は、マニホールド214まで伸びている。チューブ216によって空気圧又は液圧が供給される。供給チューブ216は、小さく、フレキシブルであってよく、直径218は1mmから5mmの範囲内である。主膨張チューブ216により、サブチャンバー212に対する膨張ガスの供給及び排出が可能となる。膨張ガスは、典型的には、空気、窒素、又は二酸化炭素であるが、他の適切なガスが用いられてもよい。膨張液は、典型的には、生理食塩水である。典型的な膨張ガス圧は、0.3から0.7psi(0.21から0.48Pa)の範囲内であり、好ましい圧力は、0.5psi(0.35kPa)である。装置200が完全に膨張されると、膨張ガス圧は、約0.3psi(0.21kPa)まで低下されてよい。
I型及びII型装置の追加の機能部
吸引の態様
本発明のさらなる態様によると、本発明に従う牽引装置は、牽引装置が液体の存在する
空洞部に配置される場合、牽引装置の最下部に管状吸引部分が装備されていてよい。図3は、吸引機能部が取り付けられたI型装置を示す。本発明のこの態様の吸引部分は、I型及びII型牽引装置に用いられ得る。牽引が空洞環境に適用される場合、灌流が多くの場合用いられる。灌流は、細片を除去するために用いられる。外科手術用途の場合、細片は、血液及び凝固成分から成る。この流体は、牽引装置によって作り出された体内の空洞部の底に貯留し、除去することが必要である。吸引部分302は、マイクロ構造リトラクター300と一体的である。牽引装置300の底部は、吸引ライン302に接続され、治療手技中にそのような流体を除去し、蓄積された流体が空洞部に存在しない状態を維持する。示される例では、吸引部分302は、牽引装置の最下部の端に取り付けられた管状の付属物である。吸引部分は、牽引装置の主要本体にとって好ましい材料であるポリエチレンナイロンコンポジットから作られていてよい。この材料は、充分な弾性を有するため、それから作られた管状構造は、低真空下でもその開口した断面を維持することができる。吸引部分302の一方の端は、閉じられ、他方の端は、牽引装置が挿入されているものと同じ切開部を通して身体から出るように牽引装置の側部を伸びている薄壁ポリエチレンチューブ304と接続されている。吸引は、孔306を通して手術部位に供給される。
湾曲した牽引装置
テープ状マイクロ構造リトラクターアーム内に湾曲部が形成されてもよい。例えば、湾曲部は、弛緩状態の場合にアームがそれ自体に対して少なくとも1回曲がるように、リトラクターの長さよりも非常に小さい曲率半径を有していてよい。リトラクターに囲まれた物体が曲率半径よりも大きい場合、予め形成された曲率半径が、用いられる材料の剛性と共に、垂直力を決定する。ほとんどの場合、垂直力は、物体の直径対リトラクターの曲率半径の比に比例する。
図4を参照すると、一般的に、本発明の低垂直力リトラクター表面400における表面は、基材408の少なくとも1つの表面上に幾何学的パターンで配置された複数の凸部404及び凹部406を有する大スケール構造402、並びに大スケールレベル構造402の少なくとも1つの表面上に配置された凸部412を有する中スケール構造410を備える階層状表面を有する。小スケール構造414も、同様に、中スケール構造410上に配置された凸部416及び凹部418を備える。大スケール凸部404は、疎水性/親水性接触混合物の親水性成分が隣接する凸部404間の大スケール凹部に接触しないように、充分に高くされるべきである。図4の実施形態では、大スケール凸部404は、約25から約1000ミクロンの高さH、及び約25から約2000ミクロンの直径Dを有してよく、凸部404で覆われた基材408の表面領域の割合は、約0.1から約1.0の範囲であってよい。中スケール凸部412は、5から約25ミクロンの高さ420、及び5から約50ミクロンの直径422を有してよく、凸部412で覆われた基材408の表面領域の割合は、約0.1から約0.9の範囲であってよい。小スケール構造414は、主として中スケール構造412上に配置されてよい。階層状構造の配置は、幾何学的であってよく、一般的には、数式で表すことができる。別の選択肢として、階層状構造は、ランダムに、場合によってはピッチを変動させて配置されてよく、自然の構造ではこれがより典型的である。階層状構造の配置は、一般的には、フラクタル次元によって表すことができる。
フラクタル次元は、構造の集合が、その構造を多数の空間的スケールで調べた場合、どれだけ完全に空間を、本発明の場合は平面を満たしているように見えるかを示す統計的な量である。統計的な性質であるフラクタル次元を指定することは、階層状構造が数式によって良好に定められることを必ずしも示してはいない。一般的に、特定のスケール内での構造のランダムな配置は、表面上のすべての点で構造が数学的に記載される配置よりも高いフラクタル次元を有する。したがって、ランダム構造は、本発明の付着性表面が自然の表面と相互作用する場合に有用性が高い態様において、利点を有し得る。特定の空間的ス
ケール内でのより高いフラクタル次元は、基材に複数のピッチ配置を適用することによって実現され得る。凸部及び凹部は、局所的なピッチに関連して局所的なスケールとされ得る。したがって、ピッチは、あるスケール構造内で変動してよい。より高いフラクタル次元構造の実用的な実現では、ピッチの変動は、数式によって表すことが可能であり得るものであり、例えば、ピッチの正弦波変動であり、これは、自然表面の模倣に有用である。
一般的に、構造は、端部の尖った又は丸みを帯びた構造として表され得るが、この特徴は、典型的には、フラクタル次元では捕らえられない。上記の記述的パラメータでは扱われない別の構造の態様は、構造間の連結の度合いである。連結とは、凸部又は凹部などの構造が、ピッチよりも大きい空間的広がりを有することを意味する。例えば、凸部を取り囲む谷部は、別の凸部を取り囲む別の谷部と接続されていてよく、したがって、凹部は、連結しているとされ、一方凸部は連結していないとされる。連結は、1から約1000の範囲であってよく、より詳細には、連結は、基材の表面全体にわたって広がっていてもよい。これらの構造は、本発明の低垂直力リトラクターが疎水性/親水性接触混合物と接触する場合に、多数のスケールでWenzel状態及びCassie状態を作り出す目的で構築される。
相互作用のスケールは、本発明の低垂直力リトラクターの表面テクスチャによって定められ、典型的には階層状であって、少なくとも2つの空間的スケールを特徴とし、1つのスケールは、マイクロメートル(ミクロン)のオーダーであり、別のスケールは、数百ミクロンのオーダーである。表面テクスチャは、前進接触角と後退接触角との差(接触角ヒステリシス)が大きいことによって1つの状態を、又は別の選択肢として、接触角ヒステリシスが小さいことによって別の状態を誘発し得る。目的の状態は、それぞれ、Wenzel状態及びCassie状態として知られる。階層状の空間スケールの各々は、多数の空間的スケールでの組み合わせが可能であるように、Wenzel状態及びCassie状態を別々に誘発し得る。
これらの状態は、テクスチャ表面界面に存在する混合物の疎水性成分と親水性成分との間の現象である。Cassie状態では、付着性テキスタイルは、疎水性細片の付着に対して耐性を有し、例えば、油水混合物中の油である。Wenzel状態では、インプラントは、親水性表面に対して可逆的に付着性であり、例えば、濡れた表面又は氷の表面である。1つのテクスチャスケールがWenzelであり他方がCassieである混成Cassie−Wenzel状態では、リトラクターは、濡れた表面に配置され、及び脂肪などの疎水性汚染物に対して耐性を有するという両方であり得る。
気体環境中での固体テクスチャ表面と水との相互作用は、Cassie−Baxterモデルで表される。このモデルでは、空気が、テクスチャ表面のマイクロ溝に捕捉され、水滴が、空気及びマイクロ突起の上部を含む複合表面上に存在する。複数のスケールのテクスチャ間でのフラクタル次元の重要性は充分に認識されており、多くの手法が、このフラクタル寄与に、すなわち、異なるスケールのテクスチャ間の大小関係に基づいて行われてきた。
しかし、用いられる材料(有機又は無機)、及び表面テクスチャの幾何学的構造(粒子、ロッドアレイ、又はポア)に関わらず、いわゆる超疎水性表面を得るには、低表面エネルギーと組み合わせて複数のスケールのテクスチャが必要である。超疎水性は、平滑であるが強疎水性である材料で実現可能である接触角よりも大きい水との接触角を示す材料として様々に報告されている。超疎水性物質における最小接触角についての一般的なコンセンサスは、150度であり、したがって、この文脈において、本発明の実施形態のいくつかは、厳密には超疎水性ではないが、この選択肢は除外されない。その理由は、Wenzel−Cassie状態が、非テクスチャ表面とCassie−Baxter界面を形成
する表面との間のその疎水性にあるからである。本発明のテキスタイルの付着性を最適化するにあたって、超疎水性は、数ある興味深いテクスチャ制御機構の1つの態様に過ぎず、この文脈では、接触角は、接触角ヒステリシスほど重要ではない。
Wenzel状態への移行が、表面の面内に角の尖ったフィーチャを用いることによって阻害され得ることは、本技術分野において公知である。しかし、バラの花弁などの自然の構造中に角の尖った構造が存在することはそれほど一般的ではない。自然の構造は、丸みを帯びた表面フィーチャ、特に、アールが付けられた又は面取りされた角(radiused or filleted corners)を有する傾向にある。自然では、Wenzel状態への変換に対する抵抗は、尖った端部ではなく、インボリュートな(involute)丸みを帯びた構造を作り出すことを含むものと思われる。インボリュートとは、基材表面に対して直角ではない線で配向された凹みを意味する。そのような構造は、エッチング又はキャスティングの方法によって作り出すことは困難であるが、構造の折り曲げを伴うエンボス法によって容易に作り出すことができる。
同様に、Wenzel状態は、直線による連結とは対照的に、構造間の曲線による連結の使用によって阻害され得る。ほとんどの場合、より高い疎水性は、Wenzel遷移への傾向がより低いことと等しい。表面の疎水性は、凹部の周りに外側の角部分(exterior
corners)を配置することによって高められる。ある実施形態では、これは、凹部の内側に突出し、そこで繋がっている追加の対の隣接する凹部壁を作り出すことによって実現される。ある実施形態では、これは、第一の階層の凹部の規則的なアレイを設計することによって実現される(例:三角形、四角形、五角形、又は六角形の形状、規則的又は不規則的;さらには、直線セグメントによって概略的に定められる多角形の形状)。
サイズがより小さく異なる階層オーダーである第二のフィーチャが、次に、第一のパターンの凹部壁上に重ね合わされる。そのような構造を作り出す際に用いられる方法は、まず、大スケールの構造をエンボスし、次に追加のより小さいスケールの構造を二次的にエンボスすることを含んでよく、好ましくは、より大きいスケールの構造上により小さいスケールの構造がエンボスされる。
水は、帯電している他のいずれの物質に対しても引き寄せられる双極構造を有する。分子上の特定の位置に局在化された過剰電荷を有する分子では、その分子は親水性となる。ポリマーの場合、電荷が会合し得るものであり、バルク物質として、巨視的な電荷を有する。そのような巨視的な集合状態では、そのような材料は、強い親水性である。そして、それらの巨視的電荷の位置が表面テクスチャと関連する場合、物質は、超親水性となる。超親水性の用語は、文献において様々な意味を有するが、多くの場合、単に、同じ物質の平坦表面と比較して、物質をより親水性にすること、又は接触角を低下させることを意味する。ここでは、それは、特定のいずれかの水分子がポリマー表面上で短い滞留時間を有し得る場合であっても、水が常に基材表面と結合するように、表面電荷及び表面エネルギーが強化されることを意味する。このことは、低垂直力リトラクターの付着性表面が、汚染細片から保護されること、及びさらには、表面からの水分子の確率的な付着/脱着によるセルフクリーニング性であることの両方において、商業的利点を有する。本発明のテクスチャ表面低垂直力リトラクターの製造方法は、リソグラフィ、キャスティング、押出し/エンボス加工、及びテクスチャを表面に転写させるための複数の方法のいずれかを含む。そのような階層状マイクロ構造表面を形成するための方法は、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願第14/802,632号に記載されている。
好ましい方法は、エンボス加工であり、この場合、ポリマー物質が、溶融状態まで加熱され、少なくとも一方が所望されるエンボス構造のネガイメージを有する二重ローラーに通される。小スケールのテクスチャが、平面シート上にエンボスされる。このエンボス平
面シートは、柔軟であるが流体ではない状態まで加熱され、反転イメージを型押しする中スケールのテクスチャを有する二重ローラーを通される。このプロセスが、複数回繰り返されてもよい。中スケールのテクスチャは、小スケールのテクスチャよりも大きく、したがって、中スケールテクスチャの型押しは、小スケールのテクスチャを折り曲げ、それによって、リソグラフィ又はキャスティングの方法では通常は成し得ないインボリュートな構造が可能となる。
本発明の低垂直力リトラクターは、テクスチャ間に、第一に表面洗浄を、第二に表面付着性を促進するための液体の流れ及び透過を可能とする最小限の間隔を維持し、並びに材料強度が過剰となる臨界レベル未満にすべてのフィーチャの高さ対幅のアスペクト比を維持することによって得られる最小構造強度を維持しながら、大表面積を得る方法で集合された3レベル以上のテクスチャを有する。
図5を参照すると、全体として510と称される基材を備える本発明に従うテキスタイル表面上の低垂直力リトラクター配置500の第一の実施形態が示される。例示される実施形態において、基材510は、基材510の少なくとも一部分の全体にわたって連続する湾曲表面を作り出す一連の丸みを帯びたピーク部及び谷部を含む正弦波形を有する。基材510の正弦波形は、全体として512と称される第一セットの大スケールのフィーチャを定め、一方第二セットのマイクロフィーチャ514は、大スケールのフィーチャ上に配置されている。
図5において、基材510は、表面から上向きに突き出しているピーク部515を形成する一連の丸みを帯びたコブ状部分に注目し、ピーク部515間に配置された谷部517を伴って構築及び配置されている。
図6に示される第二の実施形態では、反転した配置が示され、この場合、基材610は、優位なフィーチャとして基材610の内側へ伸びる谷部617を形成する一連の丸みを帯びた窪みに注目し、谷部617間に配置されたピーク部615を伴って構築及び配置されており、614は、第二セットのマイクロフィーチャを示す。両方の実施形態において、基材610の表面は、正弦波形パターン領域全体にわたって連続的に湾曲している。
本発明によると、本明細書で用いられる場合の正弦波形の用語は、サイン、コサイン、タンジェントの三角関数、又は指数関数及びべき級数関数が組み込まれた数式によって表される丸みを帯びた非平坦湾曲部の反復振動を有する表面を意味する。これらの数式は、正弦波形テクスチャフィーチャを有するポリマー又は金属表面を作り出すためのラピッドプロトタイピング、切削加工、放電加工、又は類似の技術を用いてテクスチャ表面を作り出すためのコンピュータ支援設計、及びコンピュータ支援製造ソフトウェアに用いられる。数式を用いることの利点は、数多くの丸みを帯びた非平坦フィーチャを、コンピュータ支援設計、及びコンピュータ支援製造ソフトウェアで迅速に作り出すことができることである。この種類のテクスチャフィーチャを、リソグラフィ技術を用いて作り出すことはできない。
図7A〜7Dを参照すると、基材710全体にわたって別の選択肢としての湾曲表面テクスチャフィーチャを提供する様々な正弦波形パターンを有する一連の基材710が示される。これらの実施形態は、基材710の実施形態の例としての例示を単に目的とするものであり、本発明、及び本明細書で用いられる場合の正弦波形の用語を限定するものではない。本発明によると、第一セットのテクスチャフィーチャ712は、約100ミクロンから約1000ミクロンの範囲内のサイズから選択される寸法を含む。より具体的には、本明細書において以下に詳細に記載されるように、好ましい実施形態では、正弦波形は、第一セットのテクスチャフィーチャ712が、750ミクロンの丸みを帯びた正弦波形の
窪み、750ミクロンのピッチ、及び約240から500ミクロンの深さを有するように配置される。基材のこの配置は、疎水性/親水性接触混合物との付着性Wenzel−Cassie状態を促進することを意図している。図8及び9を参照すると、第二セットのテクスチャフィーチャ814及び914が、基材810及び910の表面に配置される。1つの実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ814は、それぞれ、基材810及び910の第一セットのテクスチャフィーチャ812及び912上に成形される。本明細書において以下に詳細に記載されるように、好ましい実施形態では、基材810又は910は、圧縮成形されたポリマー材料であり、この場合、第一及び第二セットのテクスチャフィーチャ812、814、及び912、914は、単一の成形工程の過程で、それぞれ、基材810及び910上に形成される。第一及び第二セットのテクスチャフィーチャ812、814は、協同的に表面積を増加させ、基材810及び910の付着性、摩擦、親水性、及び疎水性のうちの少なくとも1つに影響を与える。好ましくは、基材810を形成する圧縮成形ポリマー材料は、耐環境性ポリマーである。1つの実施形態では、基材810又は910は、ポリエチレンナイロンコポリマーを含む。例示される実施形態では、第二セットのマイクロ構造814又は914は、マイクロ構造突起、及びマイクロ構造窪み、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。図6の例示される実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ614は、基材610の中へ下向きに伸びるマイクロ構造窪みを備える。
図8〜11の例示される実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ814、914、1014、及び1114は、それぞれ、基材810、910、1010、及び110から上向きに伸びるマイクロ構造突起を備える。好ましくは、図8〜11の例示される実施形態では、前記第二セットのテクスチャフィーチャ814、914、1014、及び1114のマイクロ構造突起は、一般的に、円柱形状のピラー(pillar)を備える。
好ましくは、図6の例示される実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ614のマイクロ構造窪みは、一般的に、円柱形状のリセス(recess)を備える。
図9を参照すると、基材910が薄膜基材であり、実施可能である逆向きの上表面及び下表面を有する1つの実施形態では、基材910の上表面921上に配置された第一セットのテクスチャフィーチャ912は、基材910の下表面923上に相補的形状を形成し、それによって、上表面921上の丸みを帯びたピーク部が、下表面923上の丸みを帯びた谷部を形成し、上表面921上の丸みを帯びた谷部が、下表面923上の丸みを帯びたピーク部を形成する。
再度図9を参照すると、基材910が薄膜基材であり、実施可能である逆向きの上表面及び下表面を有する実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ914は、基材910の上表面921及び下表面923のうちの一方の上に一連のマイクロ構造突起を含み、そしてそれは、前記上表面及び前記下表面921、923のうちの他方の上に一連の相補的マイクロ構造窪みを定める。
同様に、第二セットのテクスチャフィーチャ914が、上表面921から基材910を通って下向きに突き出るマイクロ構造窪みを備える実施形態では、それらは、逆側の下表面上に相補的マイクロ構造突起を形成する。
図5、8、及び9を参照すると、例示される実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ514、814、及び914は、個々のマイクロ構造における任意の点で、基材510、810、及び910の正弦波形の曲線に対して垂直である軸線に沿って伸びるテクスチャフィーチャの少なくとも一部分を含む。この方法では、第二セットのテクスチャフィーチャは、第一セットのテクスチャフィーチャ512、812、及び912の湾曲部
に沿う。
本発明によると、第二セットのテクスチャフィーチャは、約10ミクロンから約100ミクロンの範囲内のサイズから選択される寸法を含む。さらに、第二セットのテクスチャフィーチャは、好ましくは、構造的強度を維持しながら、第二セットのテクスチャフィーチャを成す個々のマイクロ構造間の液体の流れ及び透過を可能とするために、5未満の高さ対幅アスペクト比、及び1ミクロンの前記第二セットのテクスチャフィーチャの各テクスチャフィーチャ間の最小間隔を有する。
再度図8〜11を参照すると、第三セットのテクスチャフィーチャ820、920、1020、及び1120も、それぞれ、基材810、910、1010、及び1110上に配置されてよい。好ましくは、第三セットのテクスチャフィーチャ820は、マイクロ構造突起、及びマイクロ構造窪み、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。1つの実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ820、920、1020、及び1120のマイクロ構造突起は、一般的に、円柱形状のピラーを備える。
図6を参照すると、1つの実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ620のマイクロ構造窪みは、一般的に、円柱形状のリセスを備える。好ましくは、第三セットのテクスチャフィーチャ620は、第一及び第二セットのテクスチャフィーチャ612、614と同時に圧縮成形される。さらなる好ましい実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ620は、構造的強度を維持しながら、前記第三セットのテクスチャフィーチャ間の液体の流れ及び透過を可能とするために、5未満の高さ対幅アスペクト比、及び1ミクロンの第三セットのテクスチャフィーチャ620の各テクスチャフィーチャ間の最小間隔を有する。装置が強度の低い材料から作られる場合、アスペクト比はより小さく、より強い材料から作られる場合は、より大きい。粘性の低い液体の場合、フィーチャ間の間隔はより小さく、より粘性である場合は、より大きい。
図5、8、9を参照すると、第三セットのテクスチャフィーチャ520、820、及び920は、基材10の正弦波形の曲線に対して垂直である軸線に沿って伸びるテクスチャフィーチャの少なくとも一部分を含む。第二及び第三セットのテクスチャフィーチャが正弦波形の曲線に対して垂直である軸線に沿って伸びる本発明の目的のために、曲線に対しての垂直線とは、特定の点における曲線の接線に対して垂直である線のことである。例示される実施形態では、第二セットのテクスチャフィーチャ514、814、及び914は、それぞれ、第一セットのテクスチャフィーチャ512、812、及び912よりも小さく、第三セットのテクスチャフィーチャ520、820、及び920は、それぞれ、第二セットのテクスチャフィーチャ514、814、及び914よりも小さい。本発明によると、第三セットのテクスチャフィーチャは、約1ミクロンから約10の範囲内のサイズから選択される寸法を含む。
図5、及び8〜11を参照すると、1つの実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ520、820、及び920は、第二セットのテクスチャフィーチャ514、814、及び914の先端部表面522、822、及び922上に配置される。さらなる有利な実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ520、820、及び920は、第二セットのテクスチャフィーチャ14間の第一セットのテクスチャフィーチャ12上に配置される。さらなる有利な実施形態では、第三セットのテクスチャフィーチャ20は、第二セットのテクスチャフィーチャ14の先端部表面22上に配置され、さらには第二セットのテクスチャフィーチャ14間の第一セットのテクスチャフィーチャ12上に配置される。
図10及び11を参照すると、第四セットのテクスチャフィーチャ1024及び112
4が、それぞれ、第二セットのテクスチャフィーチャ1014及び1114の側部表面上に配置されてよい。第四セットのテクスチャフィーチャ1024及び1124は、縦溝1016、1116、及びリブ1018、1118、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。例示される実施形態では、縦溝(1016、1116)及びリブ(1018、1118)は、前記第二セットのテクスチャフィーチャ(1014、1114)を成す各マイクロ構造の外側周囲上の側部表面の高さに沿って垂直に伸びる。第四セットのテクスチャフィーチャは、好ましくは、約1ミクロンから約10ミクロンの範囲内のサイズから選択される寸法を含む。好ましくは、第四セットのテクスチャフィーチャ1024及び1124は、前記第一、第二、及び第三セットのテクスチャフィーチャと同時に、基材1010及び1110へ圧縮成形される。
好ましくは、フィーチャ及び間隔が1ミクロンよりも大きい縦溝及び/又はリブ(1016、1018、1116、1118)が、第二セットのテクスチャフィーチャ(1014、1114)を定める円柱形状のピラー又は窪みの外部に追加されて、表面積が追加されると共に、曲げ及び破壊に対する構造的耐性が高められる。第四セットのテクスチャフィーチャ1024及び1124の個々のマイクロ構造間、並びに第二セットのテクスチャフィーチャ(1014、1114)の個々のマイクロ構造間の間隔は、粘性が低い液体の場合はより小さく、粘性の高い液体の場合はより大きい。
第三セットのテクスチャフィーチャ(1020、1120)は、ピラーの上部及び窪みの底部、並びに第二セットのテクスチャフィーチャ1314を定めるピラー又は窪みの間の領域を、実質的に均一に覆っている。第二及び第三セットのテクスチャフィーチャ(1014、1114)、(1020、1120)は、一緒になって、基材と対向する表面を覆っている液体に曝露される表面積を大きく増加させる。所望される用途に応じて、第一、第二、第三、及び第四セットのテクスチャフィーチャは、協同して基材(1010、1110)の表面積を増加させ、基材の付着性、摩擦、親水性、及び疎水性のうちの少なくとも1つをもたらす。1つの実施形態では、基材(1010、1110)は、疎水性/親水性混合物を含む表面に対して適用される場合、50gr/cm2を超える滑り摩擦力である表面付着性を有する。好ましい実施形態では、基材(1010、1110)は、疎水性/親水性混合物を含む表面に対して適用される場合、約325gr/cm2の滑り摩擦力である表面付着性を有する。
初期の研究において、本発明者らは、バラ花弁構造を特徴付け、マイクロ構造に「ローリングヒル(rolling hill)」効果を観察した。加えて、超疎水性効果に強く寄与していると思われるより小さいマイクロ構造を「ヘア(hairs)」と記載した。このスキームの最良の模倣を行うために、本発明者らは、直径300ミクロン、ピッチ100ミクロンのフィーチャを有する正弦波形基材から始めて、自然で見られる丸みを帯びた微細構造の効果を再現し、改良し得る本明細書で示す正弦波形設計を作り出した。
第三セットのテクスチャフィーチャ(1020、1120)の寸法は、1つの実施形態において、直径3マイクロメートル、ピッチ6マイクロメートル、及び高さ5マイクロメートルを有するピラーを含む。第二セットのテクスチャフィーチャ(1014、1114)は、1つの実施形態において、少なくとも直径35マイクロメートル、高さ35マイクロメートル、及び間隔10マイクロメートルである縦溝付きのマイクロ構造ピラーを含む。一緒に重なり合う場合、第二及び第三セットのマイクロフィーチャ(1014、1114、1020、1120)は、正弦波形フィーチャの表面に対して垂直である軸線に沿って形成される。これらはさらに、曲面部(the round)全体にわたって多次元的に維持される。
自然のバラ花弁で見られる超疎水性効果を改良するために、第二セットのテクスチャフ
ィーチャ(1014、1114)に、側部表面に沿って伸びる「縦溝」又は「リブ」のフィーチャを追加した。第四セットのテクスチャフィーチャ(1024、1124)を定めるこれらの縦溝及びリブのフィーチャは、バラ花弁のより小さいヘア状のマイクロ構造を模倣して、疎水性をさらに高めるものである。したがって、前記第一、第二、第三、及び第四セットのテクスチャフィーチャの各マイクロ構造は、それぞれのピッチ、高さ/深さ、及び直径を有し、液体で覆われた表面に対して適用された場合に、液体が、完全に濡れたWenzel状態で少なくとも前記第一及び第二セットのテクスチャフィーチャの間を透過して、基材と隣接する表面との間の付着性を高めるように配置される。好ましくは、第一セットのテクスチャフィーチャの正弦波形は、液体で覆われた表面に対して押し付けられた場合に、圧力の基材全体への分布を促進する丸みを帯びたピーク部を含む。
好ましくは、第二及び第三セット(1014、1020、1114、1120)のテクスチャフィーチャは、第一セットのテクスチャフィーチャの丸みを帯びたピーク部全体に均一に分布されて、第一セットのテクスチャフィーチャの表面積を増加させる。丸みを帯びたピーク部は、基材が液体で覆われた表面に対して適用された場合に、少なくとも前記第一及び第二セットのテクスチャフィーチャの間で、浮いたCassie−Baxter状態から完全に濡れたWenzel状態への液滴の移行を促進する圧力が高められる領域を定める。好ましい実施形態では、第一、第二、及び第三セット(1012、1112、1112、1114)のテクスチャフィーチャは、完全に濡れたWenzel状態への液体の透過を可能とし、一方第四セットのテクスチャフィーチャ(1024、1124)は、超疎水性の特性を維持するように構築、配置される。
第二及び第三セットのテクスチャフィーチャの機能は、大きい表面積と同時に充分に広い間隔を作り出して、粘性液体が低い圧力で構造を流れることができるようにすることである。本出願において、低い圧力は、液体で覆われた隣接する表面に対する基材10の付着性を高めるための完全に濡れたWenzel状態を作り出すのに充分である液滴に伴う重量という文脈で定められる。したがって、本発明のマイクロ構造表面は、10テクスチャリットル(texture liters)よりも大きいサイズの水滴による液滴が浮いたCassie−Baxter状態から完全に濡れたWenzel状態への移行を促進するように設計される。
第一セットのテクスチャフィーチャの正弦波形の1つの機能は、表面積をさらに増加させ、同時にフィーチャのピーク部において圧力が高められた領域を作り出すことである。表面積が増加されたこれらの領域は、まず濡れた状態となり、液滴が浮いたCassie−Baxter状態から完全に濡れたWenzel状態への迅速な移行を引き起こす。第一セットのテクスチャフィーチャの正弦波形の2つ目の機能は、表面の液体層を通って下地材料への透過がほとんど又はまったくないように、ピーク圧力を充分に低く維持し、及び圧力を分散させることである。第二及び第三セットのテクスチャフィーチャは、第一セットのテクスチャフィーチャの正弦波形全体に均一に分散されており、表面の曲線に対して垂直である。すなわち、それらは、表面上のマイクロ構造の各点において、表面接線に対して直角である。このことにより、成形可能な構造中に確実に最大の表面積が作り出される。
具体的な実施形態
ロータスI型
図12は、本発明の第三の実施形態に従う混成ロータスI型牽引装置の透視図である。装置1200は、バラ型テクスチャ側1210及びハス型テクスチャ側1212を備える。バラ型テクスチャ1210は、水滴1214の幾何学的形状によって特徴付けられ、水滴1214は、超疎水性表面に特徴的である球形状1216を取る。水滴1214は、吸われた幾何学的形状1218によって表面1210上に固定される。ハス型テクスチャ1
212は、水滴1220の幾何学的形状によって特徴付けられ、その形状は、フィーチャ1518に類似して、吸われた構造のない球形状である。水滴1220は、表面1212に対して耐付着性を有し、表面から容易に転がり落ちる。
波形II型
図13は、本発明の第四の実施形態に従う波形II型牽引装置の側面図である。マニュアルで作動されるI型のバージョンも可能であることは理解されたい。装置1300は、2つの構成1310及び1312であり得る。構成1310は、バラ型テクスチャ構成であり、構成1312は、ハス型テクスチャ構成である。したがって、構成1610である場合、装置1300は付着性であり、構成1312である場合、滑らせての移動が容易である。波形状態1310である装置1300は、第一の構造1314及び第二の構造1316を有する。加圧されると、膨張部材1320は、装置1600を方向1318へ動かして、構成1312へ変形させる。
面積が変化するII型
図14は、本発明の第五の実施形態に従う面積が変化するII型牽引装置の透視図である。装置1400は、表面テクスチャ1314を有し、2つの構成1310及び1312であり得る。構成1310は、平らな表面と接触する最大表面積を有する平坦構成であり、構成1612は、最小表面積である膨張した構成である。したがって、構成1310である場合、装置1300は、付着性であり、構成1312では、滑らせての移動がより容易である。加圧されると、膨張部材1316は、装置1300を構成1312へと変形させる。
面積が変化するI型
図15は、本発明の第六の実施形態に従う面積が変化する混成I型牽引装置1500の側面図であり、この場合、テクスチャ領域1514は変化しない。装置1500は、2つの双安定構成1510及び1512を呈する。構成1510では、バラ花弁型テクスチャ1514が、装置1500が付着することになる別の表面に対して提示される唯一の表面である。構成1510での接触表面積は、1514の面積の合計である。領域1516は、平滑であり、構成1512の面積は、構成1510の面積よりも大きい。構成1512の面積は、1514及び1516の面積の合計である。構成1512は、構成1510を方向1518に引くことによって実現される。
挟み付けII型
図16は、本発明の第七の実施形態に従う挟み付ける動きをするII型牽引装置1600の透視図である。装置1600は、弛緩した形状適合可能な状態1610、及び強固に挟んでいる状態1612を有する。状態1610から状態1612への変形は、膨張手段1616によって実現される。フィーチャ1614は、バラ花弁型付着性表面を含む。
図17は、アーム1703及び手術用固定具1705を備えるリトラクター1701を示す。手術用固定具1705により、外科医は、術中用縫合剤(perioperative surgical
dressing)にリトラクター1701を固定することができる。リトラクター1701の遠位側端部1707は、超疎水性表面1019を有する。超疎水性表面の詳細な例は、上記で示され、記載される。所望に応じて、リトラクターは、チューブ1715を介して加圧することができる中空セクション1713を有する膨張部材1711を備えていてもよい。示されるように、中空セクション1713が膨張されると、リトラクターは、剛性となり、方向1717に沿って直線状となる。所望に応じて、リトラクターは、組織接触側1721から内部吸引容積部1723へのスループットを提供する一連の孔1719を有する吸引ブラダー(suction bladder)を備えていてもよい。吸引ブラダーは、組織接触側1721及び外部側1725を備える。外部側1725は、タブ1726を有していて
よく、外科医は、タブに支持糸(stay line)を縫い合わせてよく、又はタブを掴むことによって組織表面に対してリトラクター1を位置決定してもよい。吸引ブラダーに取り付けられた吸引チューブ1727は、吸引を提供し、組織液1729を吸引ブラダー中に吸い込む。所望に応じて、リトラクター1は、幅1731が直線状であり、長さ1733が曲率半径1735で湾曲するように、予め形成された形状を有していてもよい。所望に応じて、リトラクター1701は、波形37である組織接触表面1721を有する。波形の頻度1739は、膨張部材1711によって調節することができ、それによって、膨張の上昇が、頻度1739を減少させ、長さ1733を増加させる。
本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全内容が参照により本明細書に援用される。

Claims (16)

  1. Wenzel−Cassie表面、Cassie−Baxter表面、又はこれらの表面の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える超疎水性表面を有する少なくとも1つのアームを備えるマイクロ構造リトラクターであって、濡れた表面上に置かれた場合、前記マイクロ構造リトラクターを前記濡れた表面に沿って移動させるのに必要とされるせん断力が、印加される垂直力を超える、マイクロ構造リトラクター。
  2. 膨張部材をさらに備え、前記膨張部材は、前記マイクロ構造リトラクターに調節可能な剛性を提供する、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  3. 前記マイクロ構造リトラクターの使用中に流体を除去するための吸引部材が取り付けられている、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  4. 前記リトラクターが、幅と称される短い方の寸法、及び長さと称される長い方の寸法を有し、前記リトラクターが、固有の曲率で予め形成することが可能であるフレキシブルな材料を含み、前記幅が、本質的に曲率ゼロを有し、及び前記長さの寸法における曲率半径が、前記長さよりも小さい、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  5. 前記リトラクターが、前記リトラクターが濡れた表面に置かれた場合に、前記マイクロ構造表面の一部分のみが前記濡れた表面と接触するような方向に波形とされており、前記波形は、前記濡れた表面と接触する前記マイクロ構造リトラクターの前記表面の量を変化させるように、前記マイクロ構造リトラクターの持続性の変形によって調節可能である、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  6. 前記波形が、可逆的に変形可能であり、前記リトラクターが、膨張した場合に前記波形の頻度が可逆的に変化するように、膨張部材をさらに備え、前記膨張部材が、膨張体積が制御可能であるように、バルブをさらに備える、請求項5に記載のマイクロ構造リトラクター。
  7. 膨張した場合に、前記マイクロ構造リトラクターを可逆的に補強する追加の膨張部材が組み込まれている、請求項6に記載のマイクロ構造リトラクター。
  8. 第一の波形状態が、濡れた表面と接触した場合に、Wenzel−Cassie状態であり、第二の波形状態が、濡れた表面と接触した場合に、Cassie−Baxter状態である、請求項5に記載のマイクロ構造リトラクター。
  9. 一方の側が、Wenzel−Cassieマイクロテクスチャ表面を備え、他方の側が、Cassie−Baxterマイクロテクスチャ状態を備える、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  10. 第一のアームが、Wenzel−Cassie表面を備える少なくとも1つの表面を有し、第二のアームが、Cassie−Baxter表面を備える少なくとも1つの表面を有する、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  11. 前記少なくとも1つのアームが、少なくとも1つのバラ模倣表面を備える、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  12. 前記少なくとも1つのアームが、少なくとも1つのハス模倣表面を備える、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  13. 前記アームの少なくとも一部分が、超疎水性表面を備える、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  14. 前記アームの少なくとも一部分が、超疎水性表面を備える、請求項5に記載のマイクロ構造リトラクター。
  15. 前記リトラクターの少なくとも一部分が、濡れた表面と接触した場合に5度を超える接触角ヒステリシスを有する表面を備える、請求項1に記載のマイクロ構造リトラクター。
  16. 前記リトラクターの少なくとも一部分が、濡れた表面と接触した場合に5度を超える接触角ヒステリシスを有する表面を備える、請求項5に記載のマイクロ構造リトラクター。
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